JP2010030808A - 層構造を有するリチウム遷移金属酸化物 - Google Patents

層構造を有するリチウム遷移金属酸化物 Download PDF

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Abstract

【課題】EVやHEVに搭載される電池で主に使用される充放電深度領域で優れた特性を発揮する、特にSOC=50%において優れた熱安定性を発揮するリチウム遷移金属酸化物を提供する。
【解決手段】一般式Li1+x1-x-yM’y2-δ(式中、Mは、Mn、Co及び
Niのいずれかの元素或いはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる元素。M’は、周期律表における3周期までの典型元素のいずれかの元素、或いはそれらのうちの2以上の組み合わせからなる元素。)で表されるリチウム遷移金属酸化物であって、
結晶構造が空間群R−3mの三方晶(Trigonal)に帰属し、Rietveld法により求められる酸素席占有率が0.982<酸素席占有率≦0.997であり、3bサイト−6cサイト間距離が1.92Å≦3bサイト−6cサイト間距離<1.95Åであることを特徴とする、層構造を有するリチウム遷移金属酸化物を提案する。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム電池の正極活物質として用いることができ、特に電気自動車(EV:Electric Vehicle)やハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)に搭載する電池の正極活物質として優れた性能を発揮し得る、層構造を有するリチウム遷移金属酸化物に関する。
リチウム電池 、特にリチウム二次電池は、エネルギー密度が大きく、寿命が長いなどの特徴を有しているため、ビデオカメラ等の家電製品や、ノート型パソコン、携帯電話機等の携帯型電子機器などの電源として用いられており、最近では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)などに搭載される大型電池にも利用されている。
リチウム二次電池は、充電時には正極からリチウムがイオンとして溶け出して負極へ移動して吸蔵され、放電時には逆に負極から正極へリチウムイオンが戻る構造の二次電池であり、その高いエネルギー密度は正極活物質の電位に起因することが知られている。
リチウム二次電池の正極活物質としては、スピネル構造をもつリチウムマンガン酸化物(LiMn24)のほか、層構造をもつLiCoO2、LiNiO2などのリチウム遷移金属酸化物が知られている。例えばLiCoO2は、充放電容量が大きく、リチウムイオン吸蔵脱蔵の拡散性に優れているため、現在、市販されているリチウム二次電池の大半は、正極活物質として4Vの高電圧を有するLiCoO2が用いられている。しかし、Coが極めて高価であるため、LiCoO2の代替材料となり得る、層構造を有するリチウム遷移金属酸化物の開発が進められている。
LiCoO2やLiNiO2など、層構造を有するリチウム遷移金属酸化物は、一般式LiMeO2(Me:遷移金属)で示され、これらの結晶構造は、空間群R−3m(「−」は通常「3」の上部に付され、回反を示す。以下、同様。)に帰属され、Liイオン、Meイオン及び酸化物イオンは、それぞれ3aサイト、3bサイト及び6cサイトを占有する。そして、Liイオンからなる層(Li層)とMeイオンからなる層(Me層)とが、酸化物イオンからなるO層を介して交互に積み重なった層構造を呈することが知られている。
層構造を有するリチウム遷移金属酸化物(LiMx2)に関する発明としては、特許文献1には、マンガンとニッケルの混合水溶液中にアルカリ溶液を加えてマンガンとニッケルを共沈させ、水酸化リチウムを加え、ついで焼成することによって得られる、式:LiNixMn1-x2(式中、0.7≦x≦0.95)で示される活物質が開示されている。
また、特許文献2には、3種の遷移金属を含む酸化物の結晶粒子からなり、前記結晶粒子の結晶構造が層構造であり、前記酸化物を構成する酸素原子の配列が立方最密充填である、Li[Lix(APQR1-x]O2(式中、A、BおよびCはそれぞれ異なる3種の遷移金属元素、−0.1≦x≦0.3、0.2≦P≦0.4、0.2≦Q≦0.4、0.2≦R≦0.4)で表される正極活物質が開示されている。
特許文献3には、高嵩密度を有する層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体を提供するべく、粉砕及び混合された少なくともリチウム源化合物とニッケル源化合物とマンガン源化合物とを、ニッケル原子〔Ni〕とマンガン原子〔Mn〕とのモル比〔Ni/Mn〕として0.7〜9.0の範囲で含有するスラリーを、噴霧乾燥により乾燥させ、焼成することにより層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体となした後、該複合酸化物粉体を粉砕する層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法が開示されている。
特許文献4には、バナジウム(V)及び/又はボロン(B)を混合することにより、結晶子径を大きくしてなるリチウム遷移金属複合酸化物、すなわち、一般式LiZ−δ(式中、Mは遷移金属元素であるCo又はNiを示し、(X/Y)=0.98〜1.02、(δ/Z)≦0.03の関係を満たす)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を含むとともに、リチウム遷移金属複合酸化物を構成する遷移金属元素(M)に対して、((V+B)/M)=0.001〜0.05(モル比)のバナジウム(V)及び/又はボロン(B)を含有し、その一次粒子径が1μm以上、結晶子径が450Å以上、かつ格子歪が0.05%以下である物質が開示されている。
特許文献5においては、高い嵩密度や電池特性を維持し、割れが起きる心配のない1次粒子からなる非水系二次電池用正極活物質を提供することを目的として、Co、Ni、Mnの群から選ばれる1種の元素とリチウムとを主成分とする単分散の1次粒子の粉体状のリチウム複合酸化物であって、平均粒径(D50)が3〜12μm、比表面積が0.2〜1.0m/g、嵩密度が2.1g/cm以上であり、かつ、クーパープロット法による体積減少率の変曲点が3ton/cmまで現れないことを特徴とする非水系二次電池用正極活物質が提案されている。
特許文献6には、充電状態において熱的な安定性が高く、かつ高い初期放電容量と良好なサイクル特性が得られる正極活物質として、R−3mの空間群に属した層状岩塩型のリチウム複合酸化物であって、Liα(Ni1-x-yCoxy)Oβ・・式(1) (x,yは原子比率で、0.05≦x≦0.35、0.01≦y≦0.20、MはMn,Fe,Al,Ga,Mgから選ばれる1種以上の元素。α,βはNi,Co,元素Mの総和を1とした時の原子比率で、0<α<1.1、1.9<β<2.1)で表される組成を有し、酸素位置パラメータ(Zo)が0.2360〜0.2420で、かつ式(2)のリチウム−酸素間距離(d)が0.2100nm〜0.2150nmであるリチウム複合酸化物からなるリチウム二次電池用正極活物質を開示されている。
特開平8−171910号公報 特開2003−17052号公報 特開2003−34536号公報 特開2004−253169号公報 特開2004−355824号公報 特開2002−124261号公報
リチウム二次電池は、充放電を繰り返すうちに発熱及び発火する可能性があるため、リチウム二次電池の正極活物質の開発に当たっては、正極活物質の熱安定性について十分に検討する必要がある。
また、電気自動車(EV:Electric ehicle、「EV」とも略す。)やハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle、「HEV」とも略す。)に搭載される電池は、ビデオカメラやノート型パソコン、携帯電話機などの民生品用電池のように充放電深度の限界域間で充放電される電池とは異なり、主に充放電深度の中心領域(SOC(;State Of Charge)=20〜80%)で充放電される。そのため、EVやHEVに搭載される電池用の正極活物質の開発に当たっては、主に電池が使用される充放電深度における熱安定性について十分に検討する必要があり、その際、大電流により最も発熱が起きるSOC=50%前後での熱安定性について特に重視する必要がある。
そこで本発明は、層構造を有するリチウム遷移金属酸化物に関し、EVやHEVに搭載される電池の正極活物質として使用される充放電深度領域で優れた特性を発揮する、特にSOC=50%において優れた熱安定性を発揮することができる、新たなリチウム遷移金属酸化物を提供せんとするものである。
本発明は、一般式Li1+x1-x-yM’y2-δ(式中、Mは、Mn、Co及びNiのいずれかの元素或いはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる元素。M’は、周期律表における3周期までの典型元素のいずれかの元素、或いはそれらのうちの2以上の組み合わせからなる元素。)で表されるリチウム遷移金属酸化物であって、結晶構造が空間群R−3mの三方晶(Trigonal)に帰属し、Rietveld法により求められる酸素席占有率が0.982<酸素席占有率≦0.997であり、3bサイト−6cサイト間距離が1.92Å≦3bサイト−6cサイト間距離<1.95Åであることを特徴とする、層構造を有するリチウム遷移金属酸化物を提案する。
本発明は、主に充放電深度の中心領域で充放電を繰り返して使用される電池の正極活物質として使用した場合、優れた特性、特に優れた熱安定性を得ることができる。このように優れた熱安定性を得ることができる理由としては、M元素の一部をM’元素で置換することによって結晶構造を安定させることができ、さらに電子密度に影響を与える要素の制御、すなわち3bサイト−6cサイト間距離を1.92Å≦3bサイト−6cサイト間距離<1.95Åに制御し、且つ、酸素席占有率を0.982<酸素席占有率≦0.997に制御することで、結晶構造をより一層安定させることができるから、熱安定性を十分に高めることができたものと考えることができる。
よって、本発明の層構造を有するリチウム遷移金属酸化物は、特に電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)に搭載する電池の正極活物質として用いるのに特に優れている。
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明が下記実施形態に限定されるものではない。
(組成)
本実施形態のリチウム遷移金属酸化物(以下「本Li遷移金属酸化物」という)は、一般式(1)Li1+x1-x-yM’y2-δで表されるリチウム遷移金属酸化物を主成分とする粉体である。
なお、「主成分とする」とは、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない限りにおいて他の成分を含有することを許容する意を包含するものである。当該主成分の含有割合を特定するものではないが、少なくとも50質量%以上、特に70質量%以上、中でも90質量%以上、中でも95質量%以上(100%含む)を占める場合を包含する。例えば、本Li遷移金属酸化物は、不純物としてSOを1.0重量%以下、その他の元素をそれぞれ0.1重量%以下であれば含んでいてもよい。この程度の量であれば、本Li遷移金属酸化物の特性にほとんど影響しないと考えられるからである。
一般式(1)において「M元素」は、Mn、Co及びNiのいずれかの元素或いはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる元素であればよい。中でも、Mn、Co及び
Niの3元素を全て含んでいるのが好ましい。
「M’元素」は、周期律表における3周期までの典型元素のいずれかの元素、すなわち、第1族、第2族、第12−17族のいずれかに属する元素のうち3周期までの元素のいずれかの元素或いはそれらのうちの2以上の組み合わせからなる元素である。
周期律表における3周期までの典型元素としては、例えば第1族に属するナトリウム(Na)、第2族に属するベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、第13族に属するホウ素(B)、アルミニウム(Al)、第14族に属する炭素(C)、ケイ素(Si)を挙げることができる。
これらの元素は、M元素、すなわち主成分であるNi、Mn及びCoと比較して電子数が少なく、これらと置換することで3bサイト−6Cサイト間距離を適当な範囲に縮めることができ、熱安定性を高めることができる。
中でも、熱安定性の観点から、Al及びMgのいずれかの元素或いはこれら2種類の組み合わせからなる元素が特に好ましく、その中でも特にAlが好ましい。
一般式(1)を、Li1+x(MnαCoβNiγ1-x-yM’y2-δで表すとすると、Mnのモル比率(α)は、0.10≦α≦0.40であるのが好ましく、特に0.18≦α≦0.35、中でも特に0.18≦α≦0.31であるのがより一層好ましい。
Coのモル比率(β)は、0.10≦β≦0.40であるのが好ましく、特に0.18≦β≦0.35、中でも特に0.18≦β≦0.31であるのがより一層好ましい。
Niのモル比率(γ)は、0.30≦γ≦0.75であるのが好ましく、特に0.31≦γ≦0.59、中でも特に0.36≦γ≦0.59であるのがより一層好ましい。
このような組成のLi遷移金属酸化物は、Niの比率が比較的大きいため、この観点のみを考えれば、一般的には高容量が得られる一方、熱安定性に劣ることが予想される。しかし、M’元素を添加してM元素の一部を置換させると共に、3bサイト−6cサイト間距離を所定範囲に制御し、且つ、酸素席占有率を所定範囲に制御することで、結晶構造が安定して熱安定性を高くすることができるものと考えることができる。
一般式(1)において、Liのモル比率を示す「1+x」は、1.00≦1+x≦1.07であるのが好ましく、1.01≦1+x≦1.07であるのがさらに好ましく、特に1.03≦1+x≦1.07であるのがさらに好ましく、中でも1.05≦1+x≦1.07であるのがさらに好ましい。
M’元素のモル比率を示す「y」は、0.001≦y≦0.03であるのが好ましく、特に0.001≦y≦0.01であるのが好ましく、中でも特に0.001≦y≦0.005であるのがさらに好ましい。M’元素のモル比率を大きくすることで、熱安定性を向上させることが可能であるが、M’元素の置換量が多くなると電池の放電容量が低下するため、M’元素の置換量は0.03以下であることが好ましい。
また、酸素の原子比は多少の不定比性(例えば2−δで示す)を有してもよいし、酸素の一部がフッ素で置換されていてもよい。
(結晶構造)
本Li遷移金属酸化物の結晶構造は、空間群R−3mの三方晶(Trigonal)に帰属し、Liイオンは3aサイト、Mイオン及びM’イオンは3bサイト、酸化物イオンは6cサイトを占有する。
ここで、「3aサイト」「3bサイト」及び「6cサイト」は、原子位置を示すWyckoff位置の意味である。
本Li遷移金属酸化物においては、3bサイト−6cサイト間距離(「3b−6c距離」という)が1.92Å≦3b−6c距離<1.95Åであることが重要であり、1.93Å≦3b−6c距離<1.95Åであることが好ましく、特に1.94Å≦≦3b−6c距離<1.95Åであることがより一層好ましい。
温度上昇に伴い正極材料中の酸素が放出されると、可燃性の有機電解液を燃焼するため、電池の熱安定性は正極材料中の酸素の放出と密接な関係がある。その為、3bサイト−6cサイト間距離を1.95Åより縮め、遷移金属と酸素との結合を強め、酸素を放出しにくい結晶構造とすることで熱安定性を向上させることが出来るものと考えられる。その一方、3bサイト−6cサイト間距離を1.92Åよりもさらに縮めると、出力が低下するような弊害が生じることが予想されるため、1.92Å以上とすることが好ましい。
3bサイト−6cサイト間距離は、M’元素の置換によっても縮めることができるが、それだけでは限界があるため、例えば焼成温度を下げることによってさらに縮めることができる。
(酸素席占有率)
Rietveld法により求められるLi遷移金属酸化物の酸素席占有率(「Occ」という)は、0.982<Occ≦0.997であることが重要であり、0.992≦Occ≦0.997であることが好ましく、特に0.993≦Occ≦0.997であることがさらに好ましい。
3bサイト−6cサイト間距離を所定範囲に制御し、且つ、酸素席占有率を0.982<Occ≦0.997に制御することで、電子密度に与える影響を好ましく調整することができ、これによって結晶構造をより一層安定させることができるものと考えられる。
酸素席占有率の制御は、焼成雰囲気の選択によって調整することができる。例えば酸素濃度21%程度以下の雰囲気下で焼成すれば、酸素雰囲気下で焼成した場合に比べて酸素欠損が生じ易いため、酸素席占有率を1.0よりも低くなるように調整することができる。
(結晶子径/D50)
本Li遷移金属酸化物においては、レーザー回折散乱式粒度分布測定法で求められる平均粒径(D50)に対する、Rietveld法による測定方法(詳しくは実施例の測定条件参照)によって求められる結晶子径の比率(結晶子径/D50)が、0.03〜0.13であるのが好ましく、特に0.03〜0.12、中でも特に0.03〜0.11であるのが好ましい。
結晶子径/D50の比率が0.03〜0.13であれば、充放電深度の中心領域(例えばSOC20〜80%)で充放電を繰り返して使用される電池の正極活物質として用いた場合に、特に優れた寿命特性(サイクル特性とも言われる)及び出力特性(;実施例では低温容量確試験3及び6で評価されている特性)を発揮することができる。
ここで、「結晶子」とは、単結晶とみなせる最大の集まりを意味し、XRD測定を行いRietveld解析を行なうことにより求めることができる。
複数の結晶子によって構成され、SEM(例えば3000倍)で観察した際、粒界によって囲まれた最も小さな単位の粒子を、本発明では「1次粒子」という。したがって、1次粒子には単結晶及び多結晶が含まれる。
また、複数の1次粒子がそれぞれの外周(粒界)の一部を共有するようにして凝集し、他の粒子と孤立した粒子を、本発明では「2次粒子」又は「凝集粒子」という。
ちなみに、レーザー回折散乱式粒度分布測定法は、凝集した粉粒を一個の粒子(凝集粒子)として捉えて粒径を算出する測定方法であり、平均粒径(D50)は、50%体積累積粒径、すなわち体積基準粒度分布のチャートにおいて体積換算した粒径測定値の累積百分率表記の細かい方から累積50%の径を意味する。
(結晶子径)
本Li遷移金属酸化物の結晶子径、すなわちRietveld法による測定方法(詳しくは、実施例の欄に記載)により求められる結晶子径は、0.01μm〜0.50μmであるのが好ましく、特に0.05μm〜0.40μm、中でも特に0.05μm〜0.30μm、その中でも特に0.07μm〜0.25μmであるのが好ましい。
本Li遷移金属酸化物の結晶子径を比較的小さくすることにより、出力を高めることができる傾向にある。
結晶子径の調整は、遷移金属の組成比率(例えばMn:Co:Ni比、Li:Mn比等の組成比率)や原料粒度や焼成条件などによって調整可能である。例えば焼成温度を低下させることにより結晶子径を小さくすることができる。
(1次粒子の平均粒径)
本Li遷移金属酸化物の1次粒子の平均粒径は、0.5μm〜5.0μmであるのが好ましく、特に0.7μm〜4.0μm、中でも特に1.0μm〜3.0μmであるのが好ましい。
1次粒子の平均粒径は、走査電子顕微鏡(HITACHI S‐3500N)を使用し、加速電圧20kV、倍率3000倍にて観察し、電子顕微鏡写真の1次粒子像を画像解析ソフト(OLYMPUS製 analysis FIVE)を用いて算出して求めることができる。
(D50)
本Li遷移金属酸化物のレーザー回折散乱式粒度分布測定法により求められる平均粒径(D50)は、1.0μm≦D50≦4.0μmであるのが好ましく、特に1.5μm≦D50≦3.0μm、中でも特に2.0μm≦D50<3.0μmであるのが好ましい。
(D90)
本Li遷移金属酸化物のレーザー回折散乱式粒度分布測定法により求められる90%積算径(D90)は、2.0μm〜10.0μmであるのが好ましく、特に2.5μm〜8.0μm、中でも特に3.0μm〜6.0μmであるのが好ましい。
90%積算径(D90)を2.0μm〜10.0μmに調整する、すなわち、粗粉の粒径を2.0μm〜10.0μmの範囲に細かく調整することにより、正極活物質の結晶の外側に存在する粗大異物粒子、特に鉄やニッケル、クロム、亜鉛等の金属性粗大異物粒子を除去することができ、微小短絡の発生を抑制することができる。よって、本Li遷移金属酸化物を正極活物質として電池を構成した時に、前記粗大異物粒子が正極から溶出し、負極上に偏析析出してセパレータを突き破って内部短絡することを防ぐことができる。
なお、正極活物質の結晶の内側に不純物が存在しても微小短絡の発生に影響しないことが確認されており、D90を2.0μm〜10.0μmに調整することにより、正極活物質の結晶の外側に存在する粗大異物粒子を除去して微小短絡の発生を防止するという考え方は、所謂トータル鉄量を低減するという考え方とは全く異なるものである。
(粒度分布)
また、本Li遷移金属酸化物は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて体積基準粒度分布のチャートを求めた際、粒度分布曲線(ヒストグラム曲線)が一山となるものが好ましい。
(鉄量)
本Li遷移金属酸化物の鉄量、すなわち本Li遷移金属酸化物重量当りの鉄量は、0ppb<鉄量<75ppbであるのが好ましく、特に0ppb<鉄量<35ppbであるのが好ましい。
(製造方法)
次に、本Li遷移金属酸化物の製造方法について説明する。
本Li遷移金属酸化物は、原料、例えばリチウム塩化合物と、M元素化合物と、M’元素化合物とを混合し、湿式粉砕機等で平均粒径(D50)が2μm以下となるまで粉砕した後、熱噴霧乾燥機等を用いて造粒乾燥させ、焼成し、必要に応じて分級し、そして分級機構付衝突式粉砕機などを用いて平均粒径(D50)と結晶子径との比率が所定範囲内に入るように粉砕し、さらに必要に応じて熱処理し、さらに必要に応じて分級して得ることができる。ただし、本発明のリチウム遷移金属酸化物の製造方法がかかる製造方法に限定されるものではない。例えば所謂共沈法によって焼成に供する造粒粉を作製してもよい。
リチウム塩化合物としては、例えば水酸化リチウム(LiOH)、炭酸リチウム(LiCO)、硝酸リチウム(LiNO3)、LiOH・H2O、酸化リチウム(Li2O)、その他脂肪酸リチウムやリチウムハロゲン化物等が挙げられる。中でもリチウムの水酸化物塩、炭酸塩、硝酸塩が好ましい。
M元素化合物としては、例えばマンガン塩化合物、ニッケル塩化合物及びコバルト塩化合物等を挙げることができる。
マンガン塩化合物の種類は、特に限定するものではない。例えば炭酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガン、二酸化マンガンなどを用いることができ、中でも炭酸マンガン、二酸化マンガンが好ましい。その中でも、電解法によって得られる電解二酸化マンガンが特に好ましい。
ニッケル塩化合物の種類も特に制限はなく、例えば炭酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル、酸化ニッケルなどを用いることができ、中でも炭酸ニッケル、水酸化ニッケル、酸化ニッケルが好ましい。
コバルト塩化合物の種類も特に制限はなく、例えば塩基性炭酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト、オキシ水酸化コバルト、水酸化コバルト、酸化コバルトなどを用いることができ、中でも、塩基性炭酸コバルト、水酸化コバルト、酸化コバルト、オキシ水酸化コバルトが好ましい。
M‘元素化合物としては、M‘元素の炭酸塩や水酸化物を含む酸化物を挙げることができる。
原料の混合は、水や分散剤などの液媒体を加えて湿式混合してスラリー化させるのが好ましく、得られたスラリーを湿式粉砕機で粉砕するのが好ましい。但し、乾式粉砕してもよい。
そして、平均粒径(D50)が2μm以下、特に平均粒径(D50)0.5μm〜1.0μmとなるように粉砕するのが好ましい。
造粒方法は、前工程で粉砕された各種原料が分離せずに造粒粒子内で分散していれば湿式でも乾式でもよく、押し出し造粒法、転動造粒法、流動造粒法、混合造粒法、噴霧乾燥造粒法、加圧成型造粒法、或いはロール等を用いたフレーク造粒法でもよい。但し、湿式造粒した場合には、焼成前に充分に乾燥させることが必要である。乾燥方法としては、噴霧熱乾燥法、熱風乾燥法、真空乾燥法、フリーズドライ法などの公知の乾燥方法によって乾燥させればよく、中でも噴霧熱乾燥法が好ましい。噴霧熱乾燥法は、熱噴霧乾燥機(スプレードライヤー)を用いて行なうのが好ましい。
焼成は、焼成炉にて、大気雰囲気下、酸素分圧を調整した雰囲気下、或いは二酸化炭素ガス雰囲気下、或いはその他の雰囲気下において、850〜1100℃の温度(:焼成炉内の焼成物に熱電対を接触させた場合の温度を意味する。)で0.5〜30時間保持するように焼成するのが好ましい。この際、遷移金属が原子レベルで固溶し単一相を示す焼成条件を選択するのが好ましい。
焼成炉の種類は特に限定するものではない。例えばロータリーキルン、静置炉、その他の焼成炉を用いて焼成することができる。
焼成後の分級は、凝集粉の粒度分布調整とともに異物除去という技術的意義があるから、平均粒径(D50)が10μm〜50μmとなるように分級するのが好ましい。
分級後の粉砕は、分級機構付衝突式粉砕機、例えば分級ロータ付カウンタージェットミルなどを用いて、平均粒径(D50)と結晶子径との比率が所定範囲内に入るように微粉砕するのが好ましい。
分級機構付衝突式粉砕機で粉砕して得られる粉体粒子は、非真球形となるのが通常である。
熱処理は、大気雰囲気下において、300℃〜700℃、好ましくは600℃〜700℃の環境下に0.5〜20時間置くのが好ましい。この際、300℃より低温であると、熱処理の効果が得られ難く微粉が焼結せずに残留するおそれがある一方、700℃より高い温度で熱処理すると、焼結が始まり、本発明が目的とする粉体特性を得られなくなってしまう。
熱処理後の分級は、凝集粉の粒度分布調整とともに異物除去という技術的意義があり、平均粒径(D50)1.0μm〜4.0μmの範囲に分級するのが好ましい。
(特性・用途)
本Li遷移金属酸化物は、必要に応じて解砕・分級した後、リチウム電池の正極活物質として有効に利用することができる。
例えば、本Li遷移金属酸化物と、カーボンブラック等からなる導電材と、テフロン(テフロンは、米国DUPONT社の登録商標です。)バインダー等からなる結着剤とを混合して正極合剤を製造することができる。そしてそのような正極合剤を正極に用い、例えば負極にはリチウムまたはカーボン等のリチウムを吸蔵・脱蔵できる材料を用い、非水系電解質には六フッ化リン酸リチウム(LiPF)等のリチウム塩をエチレンカーボネート−ジメチルカーボネート等の混合溶媒に溶解したものを用いてリチウム2次電池を構成することができる。但し、このような構成の電池に限定する意味ではない。
本Li遷移金属酸化物を正極活物質として備えたリチウム電池は、充放電深度の中心領域(例えばSOC20−80%)で充放電を繰り返して使用した場合に優れた寿命特性(サイクル特性)及び出力特性をともに発揮するから、特に電気自動車(EV:Electric Vehicle)やハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)に搭載するモーター駆動用電源として用いるリチウム電池の正極活物質の用途に特に優れている。
なお、「ハイブリッド自動車」とは、電気モータと内燃エンジンという2つの動力源を併用した自動車であり、プラグインハイブリッド自動車も包含する。
また、「リチウム電池」とは、リチウム一次電池、リチウム二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー電池など、電池内にリチウム又はリチウムイオンを含有する電池を全て包含する意である。
(用語の説明)
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。また、その際のX及びYは、四捨五入を考慮した数値である。
また、「X以上」或いは「Y以下」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意を包含する。また、その際のX及びYは、四捨五入を考慮した数値である。
次に、実施例及び比較例に基づいて、本発明について更に説明するが、本発明が以下に示す実施例に限定されるものではない。
<Rietveld法による結晶子径・酸素席占有率・サイト間距離の測定>
Rietveld法とは、粉末X線回折等により得られた回折強度から、結晶の構造パラメータを精密化する方法である。結晶構造モデルを仮定し、その構造から計算により導かれるX線回折パターンと、実測されたX線回折パターンとができるだけ一致するように、その結晶構造の各種パラメータを精密化する手法である。
本実施例のX線回折パターンの測定には、Cu‐Kα線を用いたX線回折装置(ブルカー・エイエックスエス(株)製D8 ADVANCE)を使用し, FundamentalParameterを採用して解析を行った。回折角2θ=15〜120°の範囲より得られたX線回折パターンを用いて、解析用ソフトウエアTopas Version3を用いて行った。
結晶構造は、空間群R−3mの三方晶(Trigonal)に帰属され、その3aサイトにLi、3bサイトにMn、Co、Ni、置換元素M’そして過剰なLi分x、そして6cサイトにOが占有されていると仮定し、酸素の席占有率(Occ.)、結晶子径(Gauss)および3b−6cサイト間距離を求めた。なお、等方性温度因子(Beq.;isotropic temperature factor)を1と仮定し、Rwp<5.0、GOF<1.3まで精密化を行った。
精密化の手順としては、Beq=1に固定し、酸素のz座標および席占有率、結晶子径(Gauss)および各サイト間の結合距離を変数とした状態で、各変数が変動しなくなるまで繰り返し行なった。
なお、上記のRwpおよびGOFは以下の式により求められる値である(参照:「粉末X線解析の実際」(社)日本分析化学X線分析研究懇談会編.朝倉書店発行.2002年2月10日.p107の表6.2)。
Rwp=[Σiwi{yi-fi(x)2}/Σiwiyi2]1/2
Re=[(N-P)/Σiwiyi2]1/2
GOF=Rwp/Re
但し、wiは統計的重み、yiは観測強度、fi(x)は理論回折強度、Nは全データ点数、Pは精密化するパラメータの数を示している。
その他測定・Rietveld法解析に使用した機器仕様・条件等は以下の通りである。なお、解析に当っては、三方晶に帰属するリチウム遷移金属酸化物を、六方晶に帰属するものと仮定して解析を行った。
Sample disp(mm):Refine
Generate Bond-lengths/errors:Refine
Detector:PSD
Detector Type:VANTEC−1
High Voltage:5616V
Discr. Lower Level:0.45V
Discr. Window Width:0.15V
Grid Lower Level:0.075V
Grid Window Width:0.524V
Flood Field Correction:Disabled
Primary radius:250mm
Secondary radius:250mm
Receiving slit width:0.1436626mm
Divergence angle:0.3°
Filament Length:12mm
Sample Length:25mm
Receiving Slit Length:12mm
Primary Sollers:2.623°
Secondary Sollers:2.623°
Lorentzian,1/Cos:0.01630098Th
Det.1 voltage:760.00V
Det.1 gain:80.000000
Det.1 discr.1 LL:0.690000
Det.1 discr.1 WW:1.078000
Scan Mode:Continuous Scan
Scan Type:Locked Coupled
Spinner Speed:15rpm
Divergence Slit:0.300°
Start:15.000000
Time per step:1s
Increment:0.01460
♯steps:7152
Generator voltage:35kV
Generator current:40mA
精密化を行なう際に使用した各元素の価数は、便宜上Li(1+)、Ni(2+)、Co(3+)、Mn(4+)の値を使用し、他の元素については表1に示した値を使用した。
なお、これら以外の典型元素については、次の価数を便宜上用いればよい。Na(1+)、Be(2+)、B(3+)、C(4+)、Si(4+)。
<平均粒径(D50)、90%積算径(D90)の測定>
実施例及び比較例で得られたサンプル(粉体)の粒度分布を次のようにして測定した。
レーザー回折粒度分布測定機用試料循環器(日機装株式会社製「Microtorac ASVR」)を用い、サンプル(粉体)を水に投入し、40mL/secの流速中、40wattsの超音波を360秒間照射した後、日機装株式会社製レーザー回折粒度分布測定機「HRA(X100)」を用いて粒度分布を測定し、得られた体積基準粒度分布のチャートからD50及びD90を求めた。
なお、測定の際の水溶性溶媒には60μmのフィルターを通した水を用い、溶媒屈折率を1.33、粒子透過性条件を反射、測定レンジを0.122〜704.0μm、測定時間を30秒とし、2回測定した平均値を測定値として用いた。
<鉄量の測定及び評価>
サンプル(粉体)をスラリー化すると共に、テトラフルオロエチレンで被覆された磁石をスラリーに投入して磁着物を磁石に付着させた後、JIS G 1258:1999を参酌して、磁石に付着した磁着物を酸溶解して鉄量を定量した。次に詳細に説明する。
なお、磁石に付着した磁着物は微量であるため、磁石ごと酸性溶液に浸漬させて磁着物を酸溶解させる必要がある。そこで、磁石には、テトラフルオロエチレンで被覆された磁石(100mT〜150mT、円筒形、直径2cm、長さ5cm、表面積37.7cm2)を用い、測定前に各磁石の強度を測定した。磁石の強度は、KANETEC社製TESLA METER 型式TM−601を用いて測定した。
1000ccのポリプロピレン製ポット内に、リチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)100gとイオン交換水500ccとを入れてスラリー化すると共に、このスラリーに前記磁石(100mT〜150mT)1個を投入し、ボールミル回転架台に載せて、回転数60rpmで30分間回転させた。
次に、磁石を取り出し、300mLトールビーカーに入れてイオン交換水に浸し、超音波洗浄機(型式US-205 株式会社エスエヌディ製)を使用して2周波方式(28kHz/38kHzの同時発振)で3分間洗浄し、次いで磁石を浸しているイオン交換水を交換し、このようにイオン交換水の交換と超音波での洗浄を8回繰り返すことによって磁石に付着している微粉を除去した。
次に、磁石を取り出して100mLのメスシリンダーに入れ、磁石が完全に水没する量の王水(濃塩酸と濃硝酸とを3:1の体積比で混合した液体)に浸し、王水中で80℃×30分間加温して磁着物を溶解させた。次いで、王水から磁石を取り出し、磁着物が溶解している王水をイオン交換水で希釈し、希釈した王水をICPで分析し、Fe量を定量し、サンプル重量当りの鉄量を算出した。
得られたサンプル重量当りの鉄量に基づき、次の基準でリチウム遷移金属酸化物粉体を評価し選別した。
0ppb <鉄量<35ppb:◎(好ましく採用可能)
35ppb≦鉄量<75ppb:○(採用可能)
75ppb≦鉄量 :×(採用不可)
<電池評価>
EVやHEVで主に電池が使用される充放電深度(SOC=20〜80%)を考慮し、次のような電池評価を行った。
正極活物質としてのリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)8.00gと、導電材としてのアセチレンブラック(電気化学工業社製)1.00gと、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中にポリフッ化ビニリデン(PVDF、キシダ化学社製)を12wt%溶解した溶液8.30gと、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)5mLとを混合し、遊星式撹拌・脱泡装置(クラボウ製 マゼルスターKK‐50S)を用いて混練しペースト状の正極合剤とした。
このペースト状の正極合剤を、集電体であるアルミニウム箔上に、クリアランスを350μmに調整したアプリケーターを用いて塗布し、120℃で一昼夜真空乾燥させ、14mmφのポンチで打ち抜いて4t/cm2の圧力でプレス圧密し、正極板とした。
電池作製に際しては、電池作製直前に、この正極を120℃で120分間真空乾燥させて付着水分を除去して電池に組み込んだ。
また、予め14mmφのアルミ箔の重さを求めておき、正極板の重さから該アルミ箔の重さを差し引き、塗布した正極合剤の重さを求めた。また、正極活物質、アセチレンブラック及びPVDFの混合割合から正極活物質の含有量を求めたところ、1枚の正極板中の正極活物質は約40mgであった。
負極として、Φ20mm×厚さ1.0mmの金属Liを用いて、図1の電気化学評価用モデルセル「TOMCELL(登録商標)」を作製した。
すなわち、図1に示すように耐有機電解液性のステンレス鋼製の下ボディ1の内側中央に、前記正極板3を配置した。この正極板3の上面には、電解液を含浸させたポリプロピレン製セパレータ(「セルガード2400」)4を配置し、テフロンスペーサー5(「テフロン」は米国DUPONT社の登録商標)によりセパレータ4を固定した。さらに、セパレータ4の上面には、その下方に上記負極6を配置し、負極端子を兼ねたスペーサー7を配置し、その上に上ボディ2を被せてネジで締め付け、電池を密閉し、電気化学評価用セルを作製した。
電解液は、ECとDMCを3:7の体積割合で混合したものを溶媒とし、これに溶質としてLiPF6を1mol/L溶解させたものを用いた。
サイクル試験1では、45℃において、電極電位が3.0V〜4.3Vの範囲で充放電を30回繰り返した。3サイクル目の放電容量に対する30サイクル後の放電容量の比率をサイクル維持率とし、実施例1のサイクル維持率を100とした場合の相対値で評価した。充放電は0.2Cレートに相当する一定の電流値で実施した。なお、Cレートというのは、電池の全容量を1時間かけて充放電する電流値を1Cレートとし、その何倍の電流値で充放電しているかを表したものである。0.2Cレートは、1Cレートの0.2倍の電流値で充放電することを意味し、全電池容量を5時間で充放電する電流値を示す。
サイクル試験2では、55℃において、SOC:20〜80%の範囲で充放電を30回繰り返した。3サイクル目の放電容量に対する30サイクル目の放電容量の比率をサイクル維持率とし、実施例1のサイクル維持率を100とした場合の相対値で評価した。ここで、SOCとは充電深度を意味し、SOC80%とは25℃において開放電圧から4.1Vまでを0.2Cの電流値で充電し、その後4.3Vの定電圧で充電した時の充電容量の80%の充電量状態を意味する。
低温容量確認試験3では、0℃において、1Cレートの定電流にて3.0〜4.3Vの範囲で充放電する充放電サイクルを繰り返し、その3サイクル目の放電容量を測定し、実施例1の前記3サイクル目の放電容量を100とした場合の相対値で評価した。
<熱安定性の評価>
EVやHEVにおいて主に電池が使用される状況を考慮し、大電流により最も自己発熱が生じる充電深度SOC=50%での熱安定性を、次のように測定し評価した。
なお、正極活物質としては満充電状態での発熱量が多いが、自動車用電池はSOC制御を細かく行うため、満充電になる可能性は極めて低い。よって、実用域である中心領域での熱安定性が重要となる。
前記の電池評価と同様にモデルセルを作製し、充電深度SOC=50%に充電した。その後、このモデルセルをアルゴン雰囲気下で分解し、正極板を取り出した後、新しい電解液に正極板を一度浸漬し、電解液、正極活物質、バインダ、導電剤を含んだ電極を15mg程度に切断し、SUS製(Auメッキ)の高圧試料密閉容器に封入して熱分析の試料とした。
熱分析は、株式会社マック・サイエンス製DSC装置(DSC3300S)を用いた。DSC測定は、Arガスを50ml/minの流量でフローさせ、昇温速度を5℃/minとし350℃まで測定し、最大発熱ピーク温度を求めた。
(実施例1)
平均粒径(D50)8μmの炭酸リチウムと、平均粒径(D50)22μmの電解二酸化マンガンと、平均粒径(D50)14μmのオキシ水酸化コバルトと、平均粒径(D50)25μmの水酸化ニッケルと、平均粒径(D50)3μmの酸化マグネシウムとを、モル比でLi:Mn:Co:Ni:Mg=1.07:0.30:0.30:0.30:0.03となるように秤量し、水を加えて混合攪拌して固形分濃度50wt%のスラリーを調製した。
得られたスラリー(原料粉20kg)に、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩(サンノプコ(株)製 SNディスパーサント5468)を前記スラリー固形分の6wt%添加し、湿式粉砕機で1300rpm、29分間粉砕して平均粒径(D50)を0.7μmとした。
得られた粉砕スラリーを熱噴霧乾燥機(スプレードライヤー、大川原化工機(株)製OC‐16)を用いて造粒乾燥させた。この際、噴霧には回転ディスクを用い、回転数21000rpm、スラリー供給量24kg/hr、乾燥塔の出口温度100℃となるように温度を調節して造粒乾燥を行なった。
得られた造粒粉を、静置式電気炉を用いて、大気中975℃で20時間焼成した。焼成して得られた焼成粉を目開き75μmの篩で分級し、篩下の粉体を分級機構付衝突式粉砕機(ホソカワミクロン製カウンタージェットミル「100AFG/50ATP」)を用いて、分級ローター回転数:14900rpm、粉砕空気圧力:0.6MPa、粉砕ノズルφ:2.5×3本使用、粉体供給量:4.5kg/hの条件で粉砕を行い、リチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)を得た。
得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)について、結晶子径、酸素席占有率及びサイト間距離および鉄量を測定すると共に、熱安定性を評価した。
また、得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)について、上記の如くレーザー回折粒度分布測定機(日機装株式会社製「Microtorac ASVR・HRA(X100)」)を用いて体積基準粒度分布のチャートを求めたところ、粒度分布は一山であった。すなわち、微分変曲点は一点であった。
表1に示す各元素濃度は、ICPによる分析値から算出した値である。
(実施例2)
平均粒径(D50)8μmの炭酸リチウムと、平均粒径(D50)22μmの電解二酸化マンガンと、平均粒径(D50)14μmのオキシ水酸化コバルトと、平均粒径(D50)25μmの水酸化ニッケルと、平均粒径(D50)1.3μmの水酸化アルミニウムとを、モル比でLi:Mn:Co:Ni:Al=1.07:0.30:0.30:0.30:0.03となるように秤量し、水を加えて混合攪拌して固形分濃度50wt%のスラリーを調製した。以降は実施例1と同様に処理を行い、リチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)を得た。
得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)について、結晶子径、酸素席占有率及びサイト間距離および鉄量を測定すると共に、熱安定性を評価した。
また、得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)について、上記の如くレーザー回折粒度分布測定機(日機装株式会社製「Microtorac ASVR・HRA(X100)」)を用いて体積基準粒度分布のチャートを求めたところ、粒度分布は一山であった。すなわち、微分変曲点は一点であった。
表1に示す各元素濃度は、ICPによる分析値から算出した値である。
(比較例1)
平均粒径(D50)8μmの炭酸リチウムと、平均粒径(D50)22μmの電解二酸化マンガンと、平均粒径(D50)14μmのオキシ水酸化コバルトと、平均粒径(D50)25μmの水酸化ニッケルとを、モル比でLi:Mn:Co:Ni=1.07:0.31:0.31:0.31となるように秤量し、水を加えて混合攪拌して固形分濃度50wt%のスラリーを調製した。以降は実施例1と同様に処理を行い、リチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)を得た。
得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)について、結晶子径、酸素席占有率及びサイト間距離および鉄量を測定すると共に、熱安定性を評価した。
また、得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)について、上記の如くレーザー回折粒度分布測定機(日機装株式会社製「Microtorac ASVR・HRA(X100)」)を用いて体積基準粒度分布のチャートを求めたところ、粒度分布は一山であった。すなわち、微分変曲点は一点であった。
表1に示す各元素濃度は、ICPによる分析値から算出した値である。
(比較例2)
平均粒径(D50)8μmの炭酸リチウムと、平均粒径(D50)22μmの電解二酸化マンガンと、平均粒径(D50)14μmのオキシ水酸化コバルトと、平均粒径(D50)25μmの水酸化ニッケルと、平均粒径(D50)1.7μmの酸化亜鉛とを、モル比でLi:Mn:Co:Ni:Zn=1.07:0.30:0.30:0.30:0.03となるように秤量し、水を加えて混合攪拌して固形分濃度50wt%のスラリーを調製した。以降は実施例1と同様に処理を行い、リチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)を得た。
得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)について、結晶子径、酸素席占有率及びサイト間距離および鉄量を測定すると共に、熱安定性を評価した。
また、得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)について、上記の如くレーザー回折粒度分布測定機(日機装株式会社製「Microtorac ASVR・HRA(X100)」)を用いて体積基準粒度分布のチャートを求めたところ、粒度分布は一山であった。すなわち、微分変曲点は一点であった。
表1に示す各元素濃度は、ICPによる分析値から算出した値である。
Figure 2010030808
(考察)
表1の結果から、実施例1及び2で得られたリチウム遷移金属酸化物粉体は、SOC20〜80%の領域で充放電を繰り返して使用される電池の正極活物質として使用した場合、優れた出力特性及びサイクル特性を発揮し、且つ、特に大電流により最も発熱が起きるSOC=50%前後での熱安定性にも優れていることが分かった。
このように優れた熱安定性を得ることができる理由としては、M元素の一部をM’元素で置換することによって結晶構造を安定させることができ、さらに電子密度に影響を与える要素の制御、すなわち3bサイト−6cサイト間距離を1.92Å〜1.95Åに制御し、且つ、酸素席占有率を0.982〜0.997に制御することで、結晶構造をより一層安定させることができるから、熱安定性が高めることができたものと考えることができる。
なお、上記実施例では、置換元素(M´)として、Al、Mgの効果を確認しているだけであるが、これらが全て周期律表における3周期までの典型元素であることを考えると、周期律表における3周期までの典型元素であれば、主成分であるNi、Mn、Coと比較して電子数が少なく、置換することで3bサイト-6cサイト間距離を適当な範囲に縮めることが可能であるため、周期律表における3周期までの典型元素であれば同様の効果が得られるものと考えられる。
また、3bサイト-6cサイト間距離と熱安定性の関係については、温度上昇に伴い正極材料中の酸素が放出されると、可燃性の有機電解液を燃焼するため、電池の熱安定性は正極材料中の酸素の放出と密接な関係がある。その為、3bサイト-6cサイト間距離を縮め、遷移金属と酸素間の結合を強め、酸素を放出しにくい結晶構造とすることで熱安定性を向上させることが出来たものと推測することができる。
[追加試験]
レーザー回折散乱式粒度分布測定法で求められる平均粒径(D50)に対する、Rietveld法により求められる結晶子径の比率(結晶子径/D50)に関する知見を得るために、以下の試験を行った。
<Rietveld法による結晶子径の測定>
Rietveld法とは、粉末X線回折等により得られた回折強度から、結晶の構造パラメータを精密化する方法である。結晶構造モデルを仮定し、その構造から計算により導かれるX線回折パターンと、実測されたX線回折パターンとができるだけ一致するように、その結晶構造の各種パラメータを精密化する手法である。
本実施例のX線回折パターンの測定には、Cu‐Kα線を用いたX線回折装置(ブルカー・エイエックスエス(株)製D8 ADVANCE)を使用し, FundamentalParameterを採用して解析を行った。回折角2θ=15〜120°の範囲より得られたX線回折パターンを用いて、解析用ソフトウエアTopas Version3を用いて行った。
結晶構造は、空間群R−3mの三方晶(Trigonal)に帰属され、その3aサイトにLi、3bサイトにMn、Co、Ni、そして過剰なLi分x、そして6cサイトにOが占有されていると仮定し、結晶子径(Gauss)及び結晶歪み(Gauss)を求めた。なお、等方性温度因子(Beq.;isotropic temperature factor)を1と仮定し、Rwp<5.0、GOF<1.3まで精密化を行った。
精密化の手順としては、Beq=1に固定し、結晶子径(Gauss)を変数とした状態で、各変数が変動しなくなるまで繰り返し行なった。
なお、上記のRwpおよびGOFは以下の式により求められる値である(参照:「粉末X線解析の実際」(社)日本分析化学X線分析研究懇談会編.朝倉書店発行.2002年2月10日.p107の表6.2)。
Rwp=[Σiwi{yi-fi(x)2}/Σiwiyi2]1/2
Re=[(N-P)/Σiwiyi2]1/2
GOF=Rwp/Re
但し、wiは統計的重み、yiは観測強度、fi(x)は理論回折強度、Nは全データ点数、Pは精密化するパラメータの数を示している。
その他測定・Rietveld法解析に使用した機器仕様・条件等は以下の通りである。なお、解析に当っては、三方晶に帰属するリチウム遷移金属酸化物を、六方晶に帰属するものと仮定して解析を行った。
Sample disp(mm):Refine
Generate Bond-lengths/errors:Refine
Detector:PSD
Detector Type:VANTEC−1
High Voltage:5616V
Discr. Lower Level:0.45V
Discr. Window Width:0.15V
Grid Lower Level:0.075V
Grid Window Width:0.524V
Flood Field Correction:Disabled
Primary radius:250mm
Secondary radius:250mm
Receiving slit width:0.1436626mm
Divergence angle:0.3°
Filament Length:12mm
Sample Length:25mm
Receiving Slit Length:12mm
Primary Sollers:2.623°
Secondary Sollers:2.623°
Lorentzian,1/Cos:0.01630098Th
Det.1 voltage:760.00V
Det.1 gain:80.000000
Det.1 discr.1 LL:0.690000
Det.1 discr.1 WW:1.078000
Scan Mode:Continuous Scan
Scan Type:Locked Coupled
Spinner Speed:15rpm
Divergence Slit:0.300°
Start:15.000000
Time per step:1s
Increment:0.01460
♯steps:7152
Generator voltage:35kV
Generator current:40mA
<平均粒径(D50)、90%積算径(D90)の測定>
サンプル(粉体)の粒度分布を次のようにして測定した。
レーザー回折粒度分布測定機用試料循環器(日機装株式会社製「Microtorac ASVR」)を用い、サンプル(粉体)を水溶性溶媒に投入し、40mL/secの流速中、40wattsの超音波を360秒間照射した後、日機装株式会社製レーザー回折粒度分布測定機「HRA(X100)」を用いて粒度分布を測定し、得られた体積基準粒度分布のチャートからD50及びD90を求めた。
なお、測定の際の水溶性溶媒には60μmのフィルターを通した水を用い、溶媒屈折率を1.33、粒子透過性条件を反射、測定レンジを0.122〜704.0μm、測定時間を30秒とし、2回測定した平均値を測定値として用いた。
なお、レーザー回折散乱式粒度分布測定法で求められる平均粒径(D50)は、少なくとも本発明のようなリチウム遷移金属酸化物粉体の場合には、SEM画像のような画像データからその値を推定することが可能である。ここで、試験例1で得られたサンプル(平均粒径D50=2.3μm)のレーザー回折粒度分布測定機で測定して得られた体積基準粒度分布の粒度分布チャート及びそのSEM画像(倍率:1万倍)を図3及図4に示し、比較試験例2で得られたサンプル(平均粒径D50=0.9μm)のレーザー回折粒度分布測定機で測定して得られた体積基準粒度分布の粒度分布チャート及びそのSEM画像(倍率:1万倍)を図5及図6に示す。これら図3−6を比較すると分かるように、SEM像で確認できる最も大きな一次粒子の粒子径が、レーザー回折粒度分布測定機から求められる平均粒径(D50)と略一致する。よって、レーザー回折散乱式粒度分布測定法で求められる平均粒径(D50)は、SEM像において最も大きな一次粒子の粒子径を測定することで、代わりに求めることができる。
また、電極から採取したサンプルの場合、導電材等を含む混合物となっているが、前述したように、超音波を360秒或いはそれ以上かけて十分に分散させた場合には、レーザー回折粒度測定機を用いて測定して得られる体積基準粒度分布のチャートのピークトップの粒径が、使用されているリチウム遷移金属酸化物粉体の平均粒径(D50)とほぼ一致することが確認されている。
<電池評価>
試験例及び比較試験例で得られたサンプル(粉体)8.0gと、導電材としてのアセチレンブッラク(電気化学工業社製)1.0gと、バインダーとしてのPVDF1.0gとを乳鉢に入れて混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)5mLを混ぜて遊星式撹拌・脱泡装置(クラボウ製 マゼルスターKK‐50S)を用いて混練しペースト状とした。
このペーストを、アルミニウム箔上にクリアランス350μmとしたベーカー式アプリケーターを用いて塗布して乾燥させ、14mmφのポンチで打ち抜いた後、4t/cm2の圧力でプレスし、正極板とした。なお、正極板重量、アルミニウム箔のみを14mmφのポンチで打ち抜いたものの重量を引き、上記混合重量比からサンプル重量を算出したところ、1枚の正極板中のサンプル重量は0.04gであった。
負極には、Φ16mm×厚さ0.5mmのLiメタルを用い、電解液には1M-LiPF6/EC+DMC(3:7vol比)を用いて、図2のコインセル電池を作製して下記サイクル試験を行なった。
サイクル試験4では、45℃において、電極電位が3.0V〜4.3Vの範囲で充放電を30回繰り返した。3サイクル目の放電容量に対する30サイクル後の放電容量の比率をサイクル維持率とし、比較試験例1のサイクル維持率を100とした場合の相対値で評価した。充放電は0.2Cレートに相当する一定の電流値で実施した。なお、Cレートというのは、電池の全容量を1時間かけて充放電する電流値を1Cレートとし、その何倍の電流値で充放電しているかを表したものである。0.2Cレートは、1Cレートの0.2倍の電流値で充放電することを意味し、全電池容量を5時間で充放電する電流値を示す。
サイクル試験5では、45℃において、SOC:50〜80%の範囲で充放電を30回繰り返した。4サイクル目の放電容量に対する30サイクル目の放電容量の比率をサイクル維持率とし、比較試験例1のサイクル維持率を100とした場合の相対値で評価した。ここで、SOCとは充電深度を意味し、SOC80%とは25℃において開放電圧から4.1Vまでを0.2Cの電流値で充電し、その後4.3Vの定電圧で充電した時の充電容量の80%の充電量状態を意味する。
低温容量確認試験6では、0℃において、1Cレートの定電流にて3.0〜4.3Vの範囲で充放電する充放電サイクルを繰り返し、その3サイクル目の放電容量を測定し、比較試験例1の前記3サイクル目の放電容量を100とした場合の相対値で評価した。
図2のコインセル電池について説明する。
耐有機電解液性のステンレンス鋼製の正極ケース11の内側に、同じくステンレス鋼製の集電体13がスポット溶接されている。この集電体13の上面には前記正極合材からなる正極15が圧着されている。この正極15の上面には、電解液を含浸した微孔性のポリプロピレン樹脂製のセパレータ16が配置されている。前記正極ケースの開口部には、下方に金属Liからなる負極14を接合した封口板12がポリプロピレン製のガスケット17をはさんで配置され、これにより電池は密封されている。前記封口板12は負極端子をかね、正極ケースと同様ステンレス製である。
電池の直径は20mm、電池の総高は3.2mmとした。電解液は、エチレンカーボネートと1,3−ジメトキシカーボネートを体積比で3:7の割合で混合したものを溶媒とし、これに溶質としてLiPF6を1moL/L溶解させたものを用いた。
(試験例1)
平均粒径(D50)8μmの炭酸リチウムと、平均粒径(D50)22μmの電解二酸化マンガンと、平均粒径(D50)25μmの水酸化ニッケルと、平均粒径(D50)14μmのオキシ水酸化コバルトとを、モル比でLi:Mn:Ni:Co=1.06:0.31:0.31:0.32となるように秤量し、水を加えて混合攪拌して固形分濃度50wt%のスラリーを調製した。
得られたスラリー(原料粉20kg)に、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩(サンノプコ(株)製 SNディスパーサント5468)を前記スラリー固形分の6wt%添加し、湿式粉砕機で1300rpm、29分間粉砕して平均粒径(D50)を0.7μmとした。
得られた粉砕スラリーを熱噴霧乾燥機(スプレードライヤー、大川原化工機(株)製OC‐16)を用いて造粒乾燥させた。この際、噴霧には回転ディスクを用い、回転数21000rpm、スラリー供給量24kg/hr、乾燥塔の出口温度100℃となるように温度を調節して造粒乾燥を行なった。
得られた造粒粉を、静置式電気炉を用いて、大気中975℃で20時間焼成した。焼成して得られた焼成粉を目開き75μmの篩で分級し、篩下の粉体を分級機構付衝突式粉砕機(ホソカワミクロン製カウンタージェットミル「100AFG/50ATP」)を用いて、分級ローター回転数:14900rpm、粉砕空気圧力:0.6MPa、粉砕ノズルφ:2.5×3本使用、粉体供給量:4.5kg/hの条件で粉砕を行い、リチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)を得た。
得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)について、上記の如くレーザー回折粒度分布測定機(日機装株式会社製「Microtorac ASVR・HRA(X100)」)を用いて体積基準粒度分布のチャートを求めたところ、粒度分布は一山であった。すなわち、微分変曲点は一点であった。
なお、各原料の平均粒径(D50)は、上記の如くレーザー回折粒度分布測定機(日機装株式会社製「Microtorac ASVR・HRA(X100)」)を用いて得られた体積基準粒度分布のチャートから得たD50の値である。
(試験例2)
試験例1で得られたリチウム遷移金属酸化物粉体を、大気中650℃の環境下に10時間置いて熱処理し、目開き250μmの篩で分級し篩下を回収してリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)を得た以外は、試験例1と同様に処理を行った。
得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)について、上記の如くレーザー回折粒度分布測定機(日機装株式会社製「Microtorac ASVR・HRA(X100)」)を用いて体積基準粒度分布のチャートを求めたところ、粒度分布は一山であった。
(試験例3)
平均粒径(D50)8μmの炭酸リチウムと、平均粒径(D50)22μmの電解二酸化マンガンと、平均粒径(D50)25μmの水酸化ニッケルと、平均粒径(D50)14μmのオキシ水酸化コバルトとを、モル比でLi:Mn:Ni:Co=1.07:0.30:0.32:0.31となるように秤量し、焼成温度を960℃とした以外は、試験例2と同様に処理を行い、リチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)を得た。
得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)について、上記の如くレーザー回折粒度分布測定機(日機装株式会社製「Microtorac ASVR・HRA(X100)」)を用いて体積基準粒度分布のチャートを求めたところ、粒度分布は一山であった。
(試験例4)
平均粒径(D50)8μmの炭酸リチウムと、平均粒径(D50)22μmの電解二酸化マンガンと、平均粒径(D50)25μmの水酸化ニッケルと、平均粒径(D50)14μmのオキシ水酸化コバルトとを、モル比でLi:Mn:Ni:Co=1.05:0.31:0.32:0.32となるように秤量し、焼成温度を950℃、熱処理温度を600℃とした以外は、試験例2と同様に処理を行い、リチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)を得た。
得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)について、上記の如くレーザー回折粒度分布測定機(日機装株式会社製「Microtorac ASVR・HRA(X100)」)を用いて体積基準粒度分布のチャートを求めたところ、粒度分布は一山であった。
(試験例5)
平均粒径(D50)8μmの炭酸リチウムと、硫酸マンガン・5水和物と、硫酸ニッケル・6水和物と、硫酸コバルト・7水和物とを、モル比でLi:Mn:Ni:Co=1.01:0.33:0.33:0.33となるように秤量した。
攪拌機付きの10Lの密閉容器(オイルジャケット付き)に市水を2.5L入れ、これに上記硫酸マンガン・5水和物、硫酸ニッケル・6水和物、硫酸コバルト・6水和物を加えて溶解させ、4Lとなるように水を加え調整した。
その中に25wt%のアンモニア水(アガタ薬品工業社製)を加え、この溶液を攪拌しながら6moL/Lの苛性ソーダ水溶液を加え、pH計を用いてpH11.5に調整した。浴温は45℃に保ち12時間攪拌した。攪拌後の沈殿物を上澄みの導電率が1mS以下となるまでデカンテーション洗浄を繰り返し、その後反応溶液をろ過により固液分離し、固形分を120℃で10時間乾燥し、金属水酸化物原料を得た。
得られた金属水酸化物原料に上記炭酸リチウムを加えてボールミルで十分に混合し、原料混合粉を得、この原料混合粉を大気中900℃で20時間焼成し、焼成粉を得た。
得られた焼成粉を目開き75μmの篩で分級し、篩下の粉体を、分級機構付衝突式粉砕機(ホソカワミクロン製カウンタージェットミル「100AFG/50ATP」)を用いて、分級ローター回転数14900rpm、粉砕空気圧力0.6MPa、粉砕ノズルφ2.5×3本使用、粉体供給量4.5kg/hの条件で粉砕を行った。
得られた粉体を、大気中650℃の環境下に10時間置いて熱処理し、目開き250μmの篩で分級し篩下を回収してリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)を得た。
(比較試験例1)
炭酸リチウムと、硫酸マンガン・5水和物と、硫酸ニッケル・6水和物と、硫酸コバルト・6水和物とを、モル比でLi:Mn:Ni:Co=1.01:0.33:0.33:0.33となるように秤量し、その後は分級機構付衝突式粉砕機を用いた粉砕を行なわなかった以外、試験例5と同様に焼成、分級、熱処理、分級を行なってリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)を得た。
(比較試験例2)
平均粒径(D50)8μmの炭酸リチウムと、平均粒径(D50)22μmの電解二酸化マンガンと、平均粒径(D50)25μmの水酸化ニッケルと、平均粒径(D50)14μmのオキシ水酸化コバルトとを、モル比でLi:Mn:Ni:Co=1.07:0.31:0.31:0.31となるように秤量し、その後は分級機構付衝突式粉砕機の代わりに東京奈良製造製ピンミルを用いて粉砕を行なった以外、試験例1と同様に湿式粉砕、乾燥造粒、焼成および分級を行ってリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)を得た。
(比較試験例3)
平均粒径(D50)8μmの炭酸リチウムと、平均粒径(D50)22μmの電解二酸化マンガンと、平均粒径(D50)25μmの水酸化ニッケルと、平均粒径(D50)14μmのオキシ水酸化コバルトとを、モル比でLi:Mn:Ni:Co=1.05:0.31:0.32:0.32となるように秤量し、その後は分級機構付衝突式粉砕機を用いた粉砕を行なわなかった以外、試験例1と同様に湿式粉砕、乾燥造粒、焼成および分級を行ってリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)を得た。
Figure 2010030808
(考察)
表2の結果、試験例1〜5のいずれも、サイクル試験4では従来品(比較試験例1)に比べて優れた性能を示さなかったものの、充放電深度の中心領域(例えばSOC50−80%)で充放電を繰り返したサイクル試験5の結果をみると、試験例1〜4はいずれも従来品(比較試験例1)に比べて優れた性能を示し、試験例5についても従来品(比較試験例1)とほぼ同等の結果を得ることができた。また、低温容量確認試験6、すなわち、出力特性を調べるための試験をみると、試験例1〜5のいずれも、従来品(比較試験例1)に比べて格別に優れた性能を示した。
この結果すると、レーザー回折散乱式粒度分布測定法で求められる平均粒径(D50)に対する、Rietveld法によって求められる結晶子径の比率は0.03〜0.13であることが重要であることが分かった。
結晶子径/平均粒径(D50)の比率と、充放電深度の中心領域で使用した場合の電池特性(寿命特性及び出力特性)とがどのように関係しているかについては、各種試験等により確認できている訳ではないが、層構造を有するリチウム遷移金属酸化物において、結晶子径/平均粒径(D50)の比率を規定することにより、粒子内の活性点が少なく構造が安定化し、さらに充放電中のリチウムイオンの内部拡散が良好になり、また、2次粒子径が小さく比表面積も大きいため、電解液との反応面積が大きくなり、電解液との界面近傍の粒子表面の電流密度が緩和されていることが影響していると考えられる。また、充放電による体積変化が伝播され難いことなどによりリチウムイオンの吸蔵脱蔵による体積膨張・収縮に対する抵抗が少なく保たれることにより安定化することなども関係しているものと考えられる。
なお、上記試験例で対象としたリチウム遷移金属酸化物は、一般式Li1+x1-x-yM’y2-δ(式中、Mは、Mn、Co及びNiのいずれかの元素或いはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる元素。M’は、周期律表における3周期までの典型元素のいずれかの元素、或いはそれらのうちの2以上の組み合わせからなる元素。)で表されるリチウム遷移金属酸化物とは組成が異なるが、結晶子径とD50との関係については同様のことが言えるものと考えられる。
実施例及び比較例で得られたサンプルの電池評価のために作製した電気化学評価用セルの構成を示した図である。 試験例及び比較試験例で得られたサンプルの電池特性を評価するために作成した2032型コイン型電池の構成を示した図である。 試験例1で得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)の体積基準粒度分布のチャートである。 試験例1で得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)のSEM写真である。 比較試験例2で得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)の体積基準粒度分布のチャートである。 比較試験例2で得られたリチウム遷移金属酸化物粉体(サンプル)のSEM写真である。

Claims (9)

  1. 一般式Li1+x1-x-yM’y2-δ(式中、Mは、Mn、Co及びNiのいずれかの元素或いはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる元素。M’は、周期律表における3周期までの典型元素のいずれかの元素、或いはそれらのうちの2以上の組み合わせからなる元素。)で表されるリチウム遷移金属酸化物であって、
    結晶構造が空間群R−3mの三方晶(Trigonal)に帰属し、Rietveld法により求められる酸素席占有率が0.982<酸素席占有率≦0.997であり、3bサイト−6cサイト間距離が1.92Å≦3bサイト−6cサイト間距離<1.95Åであることを特徴とする、層構造を有するリチウム遷移金属酸化物。
  2. レーザー回折散乱式粒度分布測定法で求められる平均粒径(D50)に対する、Rietveld法により求められる結晶子径の比率(結晶子径/D50)が0.03〜0.13であることを特徴とする請求項1記載のリチウム遷移金属酸化物。
  3. Rietveld法により求められる結晶子径が0.01μm〜0.50μmである請求項1又は2に記載のリチウム遷移金属酸化物。
  4. レーザー回折散乱式粒度分布測定法で求められる平均粒径(D50)が1.0μm≦D50≦4.0μmである請求項1〜3の何れかに記載のリチウム遷移金属酸化物。
  5. レーザー回折散乱式粒度分布測定法で求められる平均粒径(D50)が2.0μm≦D50<3.0μmである請求項1〜3の何れかに記載のリチウム遷移金属酸化物。
  6. 一般式Li1+x1-x-yM’y2-δ(式中、Mは、Mn、Co及びNiのいずれかの元素或いはこれらのうちの2以上の組み合わせからなる元素。M’は、Al及びMgのいずれかの元素或いはこれら2種類の組み合わせからなる元素。)で表される請求項1〜5の何れかに記載のリチウム遷移金属酸化物。
  7. リチウム遷移金属酸化物重量当りの鉄量が0ppb<鉄量<75ppbである請求項1〜6の何れかに記載のリチウム遷移金属酸化物。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載のリチウム遷移金属酸化物を正極活物質として備えたリチウム電池。
  9. 請求項1〜7の何れかに記載のリチウム遷移金属酸化物を正極活物質として備えた電気自動車又はハイブリッド電気自動車用のリチウム電池。

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