JP2017091821A - 非水電解質二次電池用正極活物質およびその製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い放電容量を確保しつつ、十分なサイクル特性を有する非水電解質二次電池用正極活物質の提供。【解決手段】[Li1.5][Li0.5(1−x)Mn1−xM1.5x]O3(xは0.1≦x≦0.8を満たし;MはNiαCoβMnγ;0≦α≦0.5;0≦β≦0;5;0≦γ≦1;α+β+γ=1)で表される組成を有する非水電解質二次電池用正極活物質。Li化合物、Mn化合物、Ni化合物、及び必要に応じてCo化合物を含む原料を含む前駆体を、昇温速度50〜100℃/時間、焼成温度600〜850℃、焼成時間6〜12時間の条件で熱処理して処理物を得る第1焼成工程;処理物を、昇温速度200〜400℃/時間、焼成温度900〜1100℃、焼成時間1〜75分間の条件で焼成して焼成物を得る第2焼成工程、によって製造する正極活物質。【選択図】図4

Description

本発明は、非水電解質二次電池用正極活物質およびその製造方法に関する。
近年、環境や燃費の観点から、ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)、さらには燃料電池自動車が製造・販売され、新たな開発が続けられている。これらのいわゆる電動車両においては、充電・放電ができる電源装置の活用が不可欠である。この電源装置としては、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等が利用される。特に、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池はそのエネルギー密度の高さや繰り返し充放電に対する耐久性の高さから、電動車両に好適と考えられ、各種の開発が鋭意進められている。
電動車両への適用を指向した非水電解質二次電池は、高出力および高容量であることが求められる。このような非水電解質二次電池の正極に使用される正極活物質として、リチウムおよびマンガン等の遷移金属を含む固溶体正極活物質が、高容量タイプの正極活物質として知られている。
このような固溶体正極活物質は、電池を繰り返し充放電するうちに、正極活物質中の遷移金属(例えば、Ni、Mn)が電解液に溶出することが知られている。遷移金属が溶出すると、正極活物質の結晶構造が変化して、十分なリチウムイオンを吸蔵できなくなるため、電池の容量が低下する、という問題が生じ得る。
遷移金属の溶出を防止するため、特許文献1では、組成式:xLiMO・(1−x)LiM’O(ここで、0<x<1、MはV、Mn、Fe、CoまたはNi、M’はMn、Ti、Zr、Ru、ReまたはPtである)で表される正極活物質が提案されている。さらに、当該文献の実施例には、溶融塩法および共沈法を用いて上記組成の正極活物質を製造することが記載されている。
米国特許出願公開第2004/0081888号明細書
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術を以てしても、正極活物質からの遷移金属の溶出は十分に防止されておらず、所望のサイクル特性を達成できなかった。
そこで、本発明は、非水電解質二次電池において、高い放電容量を確保しつつ、十分なサイクル特性を発揮しうる正極活物質を提供することを目的とする。
本発明者が鋭意研究を行った結果、以下の構成を有する正極活物質および製造方法により、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の非水電解質二次電池用正極活物質は、下記組成式:
[Li1.5][Li0.5(1−x)Mn1−x1.5x]O
(式中、xは0.1≦x≦0.8を満たし、MはNiαCoβMnγで表され、この際、0≦α≦0.5、0≦β≦0.5、0≦γ≦1であり、かつ、α+β+γ=1である。)
で表される組成を有し、かつ、活物質を構成する粒子の内部から最表面にわたって層状構造を有していることを特徴とする。
また、本発明の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、下記の工程を含むことを特徴とする:
Li化合物、Mn化合物、Ni化合物、および必要に応じてCo化合物を含む原料を含む前駆体を、昇温速度50〜100℃/時間、焼成温度600〜850℃、焼成時間6〜12時間の条件で熱処理して処理物を得る工程(第1焼成工程);および、
前記処理物を、昇温速度200〜400℃/時間、焼成温度900〜1100℃、焼成時間1〜75分間の条件で焼成して焼成物を得る工程(第2焼成工程)。
本発明に係る正極活物質によれば、表層の結晶成長が促進されていることにより、高い放電容量とサイクル耐久性との両立が実現されうる。また、本発明に係る製造方法によれば、活物質の結晶子径の成長を抑えつつ、活物質粒子の表層の結晶性の低下を抑制して内部の結晶構造と同等以上とすることができる。その結果、やはり高い放電容量とサイクル耐久性との両立が実現されうる。
本発明に係る電気デバイスの代表的な一実施形態である積層型の扁平な非双極型リチウムイオン二次電池の概要を模式的に表した断面概略図である。 本発明に係る電気デバイスの代表的な実施形態である積層型の扁平なリチウムイオン二次電池の外観を模式的に表した斜視図である。 実施例の結果に基づき、放電容量とサイクル耐久性との関係を図示したグラフである。 実施例2および比較例1で得られた正極活物質のTEM像および電子線ナノビームで得られた電子回折像を示す写真である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本明細書では、「非水電解質二次電池用正極活物質」を単に「正極活物質」と、「非水電解質二次電池用正極」を単に「正極」と、「非水電解質二次電池」を単に「二次電池」または「電池」とも称する。
本発明の一形態は、非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法に関する。当該製造方法は、Li化合物、Mn化合物、Ni化合物、および必要に応じてCo化合物を含む原料を含む前駆体を、昇温速度50〜100℃/時間、焼成温度600〜850℃、焼成時間6〜12時間の条件で熱処理して処理物を得る第1焼成工程と、前記処理物を、昇温速度200〜400℃/時間、焼成温度900〜1100℃、焼成時間1〜75分間の条件で焼成して焼成物を得る第2焼成工程とを含む。
以下、図面を参照しながら、本形態に係る非水電解質二次電池用正極活物質およびこれを用いてなる非水電解質二次電池の実施形態を説明する。但し、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
以下、本発明の本形態に係る非水電解質二次電池用正極活物質が適用されうる本形態に係る非水電解質二次電池の基本的な構成を、図面を用いて説明する。本実施形態では、本形態に係る非水電解質二次電池としてリチウムイオン二次電池を例示して説明する。
まず、本発明に係る本形態に係る非水電解質二次電池用正極活物質を含む正極の代表的な一実施形態であるリチウムイオン二次電池用の正極およびこれを用いてなるリチウムイオン二次電池では、セル(単電池層)の電圧が大きく、高エネルギー密度、高出力密度が達成できる。そのため本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用の正極活物質を用いてなるリチウムイオン二次電池は、車両の駆動電源用や補助電源用として優れている。その結果、車両の駆動電源用等のリチウムイオン二次電池として好適に利用できる。このほかにも、携帯電話などの携帯機器向けのリチウムイオン二次電池にも十分に適用可能である。
すなわち、本実施形態の対象となるリチウムイオン二次電池は、以下に説明する本実施形態のリチウムイオン二次電池用の正極活物質を用いてなるものであればよく、他の構成要件に関しては、特に制限されるべきものではない。
例えば、上記リチウムイオン二次電池を形態・構造で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など、従来公知のいずれの形態・構造にも適用し得るものである。積層型(扁平型)電池構造を採用することで簡単な熱圧着などのシール技術により長期信頼性を確保でき、コスト面や作業性の点では有利である。
また、リチウムイオン二次電池内の電気的な接続形態(電極構造)で見た場合、非双極型(内部並列接続タイプ)電池および双極型(内部直列接続タイプ)電池のいずれにも適用し得るものである。
リチウムイオン二次電池内の電解質層の種類で区別した場合には、電解質層に非水系の電解液等の溶液電解質を用いた溶液電解質型電池、電解質層に高分子電解質を用いたポリマー電池など従来公知のいずれの電解質層のタイプにも適用し得るものである。該ポリマー電池は、さらに高分子ゲル電解質(単にゲル電解質ともいう)を用いたゲル電解質型電池、高分子固体電解質(単にポリマー電解質ともいう)を用いた固体高分子(全固体)型電池に分けられる。
したがって、以下の説明では、本実施形態のリチウムイオン二次電池用の正極活物質を用いてなる非双極型(内部並列接続タイプ)リチウムイオン二次電池につき図面を用いてごく簡単に説明する。但し、本実施形態のリチウムイオン二次電池の技術的範囲が、これらに制限されるべきものではない。
<電池の全体構造>
図1は、本発明の電気デバイスの代表的な一実施形態である、扁平型(積層型)のリチウムイオン二次電池(以下、単に「積層型電池」ともいう)の全体構造を模式的に表した断面概略図である。
図1に示すように、本実施形態の積層型電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、外装体であるラミネートシート29の内部に封止された構造を有する。ここで、発電要素21は、正極集電体12の両面に正極活物質層15が配置された正極と、電解質層17と、負極集電体11の両面に負極活物質層13が配置された負極とを積層した構成を有している。具体的には、1つの正極活物質層15とこれに隣接する負極活物質層13とが、電解質層17を介して対向するようにして、負極、電解質層および正極がこの順に積層されている。
これにより、隣接する正極、電解質層、および負極は、1つの単電池層19を構成する。したがって、図1に示す積層型電池10は、単電池層19が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。なお、発電要素21の両最外層に位置する最外層の正極集電体には、いずれも片面のみに正極活物質層15が配置されているが、両面に活物質層が設けられてもよい。すなわち、片面にのみ活物質層を設けた最外層専用の集電体とするのではなく、両面に活物質層がある集電体をそのまま最外層の集電体として用いてもよい。また、図1とは正極および負極の配置を逆にすることで、発電要素21の両最外層に最外層の負極集電体が位置するようにし、該最外層の負極集電体の片面または両面に負極活物質層が配置されているようにしてもよい。
正極集電体12および負極集電体11は、各電極(正極および負極)と導通される正極集電板27および負極集電板25がそれぞれ取り付けられ、ラミネートシート29の端部に挟まれるようにしてラミネートシート29の外部に導出される構造を有している。正極集電板27および負極集電板25は、それぞれ必要に応じて正極リードおよび負極リード(図示せず)を介して、各電極の正極集電体12および負極集電体11に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられていてもよい。
以下、本実施形態の電池を構成する部材について、詳細に説明する。
(リチウムイオン電池用正極活物質)
本実施形態では、前記正極(正極活物質層)の主要な活物質(正極材料)が、所定の製造方法によって得られたものである。すなわち、本発明の一形態によれば、Li化合物、Mn化合物、Ni化合物、および必要に応じてCo化合物を含む原料を含む前駆体を、昇温速度50〜100℃/時間、焼成温度600〜850℃、焼成時間6〜12時間の条件で熱処理して処理物を得る第1焼成工程と、前記処理物を、昇温速度200〜400℃/時間、焼成温度900〜1100℃、焼成時間1〜75分間の条件で焼成して焼成物を得る第2焼成工程とを含む正極活物質の製造方法が提供される。かような製造方法を用いることにより、結晶子径の成長を抑えつつ、活物質粒子の表層の結晶性の低下を抑制して内部の結晶構造と同等以上とすることができる。その結果、リチウムイオン二次電池における高い放電容量とサイクル耐久性との両立が実現されうる。以下、任意の工程も含めて工程順に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきである。
まず、出発物質として、正極活物質を構成する金属元素の化合物、すなわち、Li化合物、Mn化合物、Ni化合物、および必要に応じてCo化合物を含む原料を所定量秤量し、これらの混合物を調製する。これらの化合物の種類は特に制限されないが、例えば、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物などが挙げられる。
具体的には、Li化合物としては、LiCO、LiOH、LiNO、CHCOOLi、LiO等を用いることができ、好ましくはLiOHまたはLiCOを用いる。これらのLi化合物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらのLi化合物は水和物の形態で使用してもよい。
Mn化合物としては、Mn、MnO、Mn等のマンガン酸化物、MnSO、MnCO、Mn(NO、(CHCOO)Mn等を用いることができ、好ましくは(CHCOO)MnまたはMnOを用いる。これらのMn化合物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらのMn化合物は水和物の形態で使用してもよい。
Ni化合物としては、NiSO、Ni(OH)、NiO、NiCO・2Ni(OH)、Ni(NO2、(CHCOO)Ni等を用いることができ、好ましくは(CHCOO)NiまたはNiSOを用いる。これらのNi化合物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらのNi化合物は水和物の形態で使用してもよい。
Co化合物としては、CoSO、Co(OH)、CoO、Co、Co、(CHCOO)Co、CoCl、Co(NO、CCo等を用いることができ、好ましくは(CHCOO)CoまたはCoSOを用いる。これらのCo化合物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらのCo化合物は水和物の形態で使用してもよい。
なお、Li、Mn、Ni、および必要に応じてCoに加えて、他の元素を含む場合には、当該元素の化合物(例えば、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物など)を上記の元素の化合物に添加して、共に混合すればよい。
これらの原料は、いずれも粉末状のものを用いればよい。混合の均一性、焼成時の反応性を高める観点から、原料の粒子径としては、平均粒子径で通常0.01〜200μmとすることが好ましい。
原料の混合は通常の粉体の混合に用いられている方法で行えばよく、乾式混合または湿式混合のいずれも選択できる。混合に用いる装置としては、ボールミル、Vブレンダー、乳鉢、ミキサー、混錬装置等の公知の手段を選択することができる。混合時間や混合温度も特に限定されないが、通常、室温(23℃)以上で1分以上である。混合が不十分であると、最終的に得られる正極活物質の性能(容量特性、サイクル性)が低下する場合があるため、原料が粒子レベルで均一な状態となるまで十分に混合することが好ましい。原料の配合量は、製造しようと正極材料の組成に応じて決定すればよい。原料の混合を行う際の雰囲気は、特に制限されず、不活性雰囲気下で行っても、大気中で行ってもよいが、製造コストを考慮すると大気中で行うとよい。
(1)仮焼成工程
続いて得られた混合物を本焼成する前に仮焼成することが好ましい。ただし、仮焼成工程は必須工程ではなく、上記で得た正極活物質の原料の混合物をそのまま本焼成してもよい。仮焼成を行うことにより正極活物質の偏析を防止し、均一な混合状態を得ることができる。仮焼成温度は350〜700℃の間が望ましい。350℃以上であれば反応が進行し、700℃以下であれば、焼成が進行して粉砕が困難となることが防止されうる。仮焼成時間は特に限定されないが、通常4〜10時間程度である。仮焼成の雰囲気は酸素を含んでいれば特に限定されないが、製造コストを考慮すると大気中で行うとよい。
その後、仮焼成された原料を、再度ボールミル、Vブレンダー、乳鉢、ミキサー、混錬装置等などを用いて粉砕し、原料粉末の混合物を得る。粉砕の程度は特に限定されないが、平均粒径が0.01〜200μmとなるように粉砕するとよい。
(2)第1焼成工程
本工程では、上記で得た原料の混合物または仮焼成後の原料粉末の混合物(本明細書中、これらの混合物を「前駆体」とも称する)を熱処理(焼成)して処理物を得る。ここで、第1焼成工程では、熱処理(焼成)の際の昇温速度、焼成温度、焼成時間を所定の範囲内の値に設定する。具体的には、昇温速度は50〜100℃/時間であり、好ましくは75〜100℃/時間であり、より好ましくは80〜100℃/時間である。また、焼成温度は600〜850℃であり、好ましくは700〜825℃であり、より好ましくは750〜800℃である。さらに、焼成時間は6〜12時間であり、好ましくは8〜12時間であり、より好ましくは10〜12時間である。なお、「焼成時間」とは、所定の温度に達してから熱処理が終了するまでの時間を意味する。ここで、第1焼成工程における焼成条件が上記所定の範囲を外れると、本発明の効果(固溶体正極活物質における高い放電容量と高いサイクル耐久性の向上)が十分に得られない。第1焼成工程の雰囲気は酸素を含んでいれば特に限定されないが、製造コストを考慮すると大気中で行うとよい。
(3)第2焼成工程
続いて、上記第1焼成工程で得られた処理物をより高温にて短時間、熱処理(焼成)して焼成物を得る。ここで、第2焼成工程においても、熱処理(焼成)の際の昇温速度、焼成温度、焼成時間を所定の範囲内の値に設定する。具体的には、昇温速度は200〜400℃/時間であり、好ましくは300〜400℃/時間であり、より好ましくは350〜400℃/時間である。また、焼成温度は900〜1100℃であり、好ましくは850〜1000℃であり、より好ましくは900〜950℃である。さらに、焼成時間は1〜75分間であり、好ましくは3〜45分間であり、より好ましくは5〜30分間である。ここで、第2焼成工程を行わずに上記第1焼成工程のみで活物質の製造を終了すると、活物質の表層における層状構造が乱れて岩塩型構造が生じる。これにより、十分なサイクル耐久性を実現することができなくなると考えられる。また、第2焼成工程を行ったとしても、第2焼成工程における焼成条件が上記所定の範囲を外れていれば、本発明の効果(固溶体正極活物質における高い放電容量と高いサイクル耐久性の向上)が十分に得られない。特に、昇温速度が低すぎると、焼成時間を短く、または長く制御しても十分な放電容量を確保することができず、固溶体正極活物質を用いる利点を享受することができない。これに対し、上述した条件を満たすように第2焼成工程を実施すると、表層の結晶成長を促進させることにより、活物質の表層における岩塩型構造の生成や層状構造の乱れが抑制される。その結果、高い放電容量を維持しつつ、サイクル耐久性も高めることが可能となるのである。第2焼成工程の雰囲気は酸素を含んでいれば特に限定されないが、製造コストを考慮すると大気中で行うとよい。
上述した製造方法によれば、下記組成式:
[Li1.5][Li0.5(1−x)Mn1−x1.5x]O
(式中、xは0.1≦x≦0.8を満たし、MはNiαCoβMnγで表され、この際、0≦α≦0.5、0≦β≦0.5、0≦γ≦1であり、かつ、α+β+γ=1である。)
で表される組成を有する非水電解質二次電池用正極活物質であって、活物質を構成する粒子の内部から最表面にわたって層状構造を有している、非水電解質二次電池用正極活物質が得られる。本発明によれば、当該正極活物質もまた、新規かつ進歩性を有する発明として、提供される。なお、本明細書において「層状構造」とは、リチウム層−酸素層−遷移金属層が積層した層状構造を意味する。ここで、当該正極活物質は、活物質を構成する粒子の最表層(例えば、粒子の表面から10nmの深さの位置)の結晶構造が岩塩型構造を含まないものであることが好ましい。当該好ましい実施形態に係る正極活物質は、例えば、後述する実施例において図4を参照して説明するように、粒子の表面から10nm深さの位置および50nm深さの位置における結晶構造をナノビーム電子線回折により解析した場合に、双方の位置における回折パターンが同様のパターンを示すものであると表現することもできる。
上記で図1を参照して説明した本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極に特徴を有する。以下、当該正極を含めた電池の主要な構成部材について説明する。
<活物質層>
活物質層13または15は活物質を含み、必要に応じてその他の添加剤をさらに含む。
[正極活物質層]
正極活物質層15は、正極活物質を含む。
(正極活物質)
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、正極活物質層15が上述した正極活物質を含む点に特徴がある。ここで、当該正極活物質は、上述したように、所定の組成式[Li1.5][Li0.5(1−x)Mn1−x1.5x]O(式中、xは0.1≦x≦0.8を満たし、MはNiαCoβMnγで表され、この際、0≦α≦0.5、0≦β≦0.5、0≦γ≦1であり、かつ、α+β+γ=1である。)で表される。
上記複合酸化物を表す組成式においては、上記のように、式中のxが0.1〜0.8である。xが0.8を超えると、200mAh/g以上の放電容量が得られず、公知の層状正極活物質と較べて容量面における十分な優位性を発揮できなくなる。また、xが0.1未満では、組成がLiMnOに近くなり、充放電できなくなることがある。
NiαCoβMnγで表される組成式中のMについては、αを0〜0.5、βを0〜0.5、γを0〜1とし、α+β+γを1とする。
上記複合酸化物の組成式におけるx、α、β、γの値については、それぞれ0.3≦x≦0.7、0.125≦α≦0.25、0≦β≦0.25、0≦γ≦0.25の範囲であることが好ましい。
なお、上記組成式で表される固溶体の同定は、X線回折(XRD)、ラマン分光、誘導結合プラズマ(ICP)元素分析を用いて分析することができる。また、正極活物質を構成する粒子の内部から最表面にわたって層状構造を有しているものであるか否かは、後述する実施例の欄に記載のように、電子線ナノビームを用いて得られた電子回折像において、層状構造の乱れが観察されるか否かに基づき判定することができる。
なお、固体内の低いLi拡散能を改善しうるという観点から、上記正極活物質の結晶子径は小さいほど好ましい。ここで「結晶子」とは、単結晶とみなせる最大の集まりを意味し、粉末X線回折測定などにより得られた回折強度から、結晶の構造パラメータを精密化する方法により測定が可能である。本実施形態に係る上記正極活物質の結晶子径の具体的な値について特に制限はないが、好ましくは600nm以下であり、より好ましくは350nm以下であり、さらに好ましくは300nm以下である。なお、結晶子径の値の下限値について特に制限はないが、通常は20nm以上である。ここで、本明細書において、正極活物質の結晶子径の値は、後述する実施例の欄に記載の手法により測定した値を採用するものとする。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、正極活物質層15が本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、正極活物質層15が上述した製造方法によって製造された正極活物質を含む点に特徴がある点に特徴があるが、その他の正極活物質が正極活物質層15に含まれていてもよい。ただし、正極活物質層15は本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、正極活物質層15が上述した製造方法によって製造された正極活物質を主成分(正極活物質の全量に占める割合として50質量%以上)として含むことが好ましく、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。なお、他の正極活物質としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni−Mn−Co)Oおよびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。
正極活物質層15に含まれる正極活物質の平均粒子径は特に制限されないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜30μmであり、より好ましくは5〜20μmである。なお、本明細書において、「粒子径」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用いて観察される活物質粒子(観察面)の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離を意味する。また、本明細書において、「平均粒子径」の値は、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。他の構成成分の粒子径や平均粒子径も同様に定義することができる。
正極活物質層15は、バインダを含みうる。
(バインダ)
バインダは、活物質同士または活物質と集電体とを結着させて電極構造を維持する目的で添加される。正極活物質層に用いられるバインダとしては、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアミドイミドであることがより好ましい。これらの好適なバインダは、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり活物質層に使用が可能となる。これらのバインダは、1種単独で用いてもよいし、2種併用してもよい。
正極活物質層中に含まれるバインダ量は、活物質を結着することができる量であれば特に限定されるものではないが、好ましくは活物質層に対して、0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
正極(正極活物質層)は、通常のスラリーを塗布(コーティング)する方法のほか、混練法、スパッタ法、蒸着法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法および溶射法のいずれかの方法によって形成することができる。
[負極活物質層]
負極活物質層13は、負極活物質を含む。
(負極活物質)
負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、もしくはハードカーボンなどのカーボン、SiやSnなどの純金属や、Si−Sn−Ti合金等の合金系活物質、あるいはTiO、Ti、TiO、もしくはSiO、SiO、SnOなどの金属酸化物、Li4/3Ti5/3もしくはLiMnNなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物、Li−Pb系合金、Li−Al系合金、Liなどが挙げられる。
続いて、負極活物質層13は、バインダを含む。
(バインダ)
バインダは、活物質同士または活物質と集電体とを結着させて電極構造を維持する目的で添加される。負極活物質層に用いられるバインダの種類についても特に制限はなく、正極活物質層に用いられるバインダとして上述したものが同様に用いられうる。よって、ここでは詳細な説明は省略する。
なお、負極活物質層中に含まれるバインダ量は、活物質を結着することができる量であれば特に限定されるものではないが、好ましくは負極活物質層に対して、0.5〜20質量%であり、より好ましくは1〜15質量%である。
(正極および負極活物質層15、13に共通する要件)
以下に、正極および負極活物質層15、13に共通する要件につき、説明する。
正極活物質層15および負極活物質層13は、必要に応じて、導電助剤、電解質塩(リチウム塩)、イオン伝導性ポリマー等を含む。特に、負極活物質層13は、導電助剤をも必須に含む。
導電助剤
導電助剤とは、正極活物質層または負極活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、気相成長炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。活物質層が導電助剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量は、活物質層の総量に対して、1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上の範囲である。また、活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量は、活物質層の総量に対して、15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下の範囲である。活物質自体の電子導電性は低く導電助剤の量によって電極抵抗を低減できる活物質層での導電助剤の配合比(含有量)を上記範囲内に規定することで以下の効果が発現される。即ち、電極反応を阻害することなく、電子導電性を十分に担保することができ、電極密度の低下によるエネルギー密度の低下を抑制でき、ひいては電極密度の向上によるエネルギー密度の向上を図ることができる。
また、上記導電助剤とバインダの機能を併せ持つ導電性結着剤をこれら導電助剤とバインダに代えて用いてもよいし、あるいはこれら導電助剤とバインダの一方ないし双方と併用してもよい。導電性結着剤としては、既に市販のTAB−2(宝泉株式会社製)を用いることができる。
電解質塩(リチウム塩)
電解質塩(リチウム塩)としては、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。
イオン伝導性ポリマー
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。
正極活物質層および負極活物質層中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、非水溶媒二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
各活物質層(集電体片面の活物質層)の厚さについても特に制限はなく、電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、各活物質層の厚さは、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮し、通常1〜500μm程度、好ましくは2〜100μmである。
<集電体>
集電体11、12は導電性材料から構成される。集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。例えば、高エネルギー密度が要求される大型の電池に用いられるのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。
集電体の厚さについても特に制限はない。集電体の厚さは、通常は1〜100μm程度である。
集電体の形状についても特に制限されない。図1に示す積層型電池10では、集電箔のほか、網目形状(エキスパンドグリッド等)等を用いることができる。
なお、負極活物質をスパッタ法等により薄膜合金を負極集電体12上に直接形成する場合には、集電箔を用いるのが望ましい。
集電体を構成する材料に特に制限はない。例えば、金属や、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された樹脂が採用されうる。
具体的には、金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、またはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位、集電体へのスパッタリングによる負極活物質の密着性等の観点からは、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケルが好ましい。
また、導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、およびポリオキサジアゾールなどが挙げられる。かような導電性高分子材料は、導電性フィラーを添加しなくても十分な導電性を有するため、製造工程の容易化または集電体の軽量化の点において有利である。
非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)など)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。
上記の導電性高分子材料または非導電性高分子材料には、必要に応じて導電性フィラーが添加されうる。特に、集電体の基材となる樹脂が非導電性高分子のみからなる場合は、樹脂に導電性を付与するために必然的に導電性フィラーが必須となる。
導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限はないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Sb、およびKからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。また、導電性カーボンとしては、特に制限はない。好ましくは、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むものである。
導電性フィラーの添加量は、集電体に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、一般的には、5〜35質量%程度である。
<電解質層>
電解質層17を構成する電解質としては、液体電解質またはポリマー電解質が用いられうる。
液体電解質は、有機溶媒にリチウム塩(電解質塩)が溶解した形態を有する。有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)等のカーボネート類が例示される。
また、リチウム塩としては、Li(CFSON、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiAsF、LiTaF、LiClO、LiCFSO等の電極の活物質層に添加され得る化合物を採用することができる。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない真性ポリマー電解質とに分類される。
ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、上記の液体電解質(電解液)が注入されてなる構成を有する。電解質としてゲルポリマー電解質を用いることで電解質の流動性がなくなり、各層間のイオン伝導を遮断することが容易になる点で優れている。
マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系ポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
ゲル電解質中の上記液体電解質(電解液)の割合としては、特に制限されるべきものではないが、イオン伝導度などの観点から、数質量%〜98質量%程度とするのが望ましい。本実施形態では、電解液の割合が70質量%以上の、電解液が多いゲル電解質について、特に効果がある。
なお、電解質層が液体電解質やゲル電解質や真性ポリマー電解質から構成される場合には、電解質層にセパレータを用いてもよい。セパレータ(不織布を含む)の具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜や多孔質の平板、更には不織布が挙げられる。
真性ポリマー電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が真性ポリマー電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
ゲル電解質や真性ポリマー電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
<集電板およびリード>
電池外部に電流を取り出す目的で、集電板を用いてもよい。集電板は集電体やリードに電気的に接続され、電池外装材であるラミネートシートの外部に取り出される。
集電板を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましく、より好ましくは軽量、耐食性、高導電性の観点からアルミニウム、銅などが好ましい。なお、正極集電板と負極集電板とでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。
正極端子リードおよび負極端子リードに関しても、必要に応じて使用する。正極端子リードおよび負極端子リードの材料は、公知のリチウムイオン二次電池で用いられる端子リードを用いることができる。なお、電池外装材29から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
<電池外装材>
電池外装材29としては、公知の金属缶ケースを用いることができるほか、発電要素を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点から、ラミネートフィルムが望ましい。
なお、上記のリチウムイオン二次電池は、従来公知の製造方法により製造することができる。
<リチウムイオン二次電池の外観構成>
図2は、積層型の扁平なリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図2に示すように、積層型の扁平なリチウムイオン二次電池50では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極集電板59、負極集電板58が引き出されている。発電要素57は、リチウムイオン二次電池50の電池外装材52によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素57は、正極集電板59および負極集電板58を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素57は、図1に示すリチウムイオン二次電池(積層型電池)10の発電要素21に相当するものである。発電要素57は、正極(正極活物質層)13、電解質層17および負極(負極活物質層)15で構成される単電池層(単セル)19が複数積層されたものである。
なお、上記リチウムイオン二次電池は、積層型の扁平な形状のもの(ラミネートセル)に制限されるものではない。巻回型のリチウムイオン電池では、円筒型形状のもの(コインセル)や角柱型形状(角型セル)のもの、こうした円筒型形状のものを変形させて長方形状の扁平な形状にしたようなもの、更にシリンダー状セルであってもよいなど、特に制限されるものではない。上記円筒型や角柱型の形状のものでは、その外装材に、ラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。好ましくは、発電要素がアルミニウムラミネートフィルムで外装される。当該形態により、軽量化が達成されうる。
また、図2に示す正極集電板59、負極集電板58の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。正極集電板59と負極集電板58とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極集電板59と負極集電板58をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出すようにしてもよいなど、図2に示すものに制限されるものではない。また、巻回型のリチウムイオン電池では、集電板に変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
上記したように、本実施形態のリチウムイオン二次電池用の正極活物質を用いてなる正極ならびにリチウムイオン二次電池は、電気自動車やハイブリッド電気自動車や燃料電池車やハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、好適に利用することができる。すなわち、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
以下、実施例を通して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
<正極活物質10(Li1.5[Ni0.281Co0.281Mn0.688[Li0.25]]O)の調製>
(前駆体の調製)
出発原料として、Liの水酸化物、Ni、Co、Mnのそれぞれの酢酸塩を準備した。これらの出発原料のうち、1段階目の合成としてNi、Co、Mnのそれぞれの酢酸塩を所定量、乳鉢および乳棒を用いて混合した。次いで、大気雰囲気下、500℃で5時間焼成することにより、前駆体を得た。
(第1焼成工程)
上記前駆体にLiの水酸化物を所定量加えて混合し、大気雰囲気下で第1焼成工程を実施した。具体的には、まず、昇温速度50℃/時間で750℃まで昇温した。その後、750℃に12時間保持することにより、第1焼成工程を行った。
(第2焼成工程)
上記第1焼成工程に連続して、大気雰囲気下で第2焼成工程を実施した。具体的には、まず、昇温速度400℃/時間で900℃まで昇温した。その後、900℃に7.5分間保持することにより、第2焼成工程を行った。これにより、正極活物質10(Li1.5[Ni0.281Co0.281Mn0.688[Li0.25]]O(組成式(1)において、x=0.5、α=0.1875、β=0.1875、γ=0.625、α+β+γ=1.0)を得た。
得られた正極活物質について、一次粒子の平均粒子径(D1)、二次粒子の平均粒子径(D2)および結晶子径を測定した。なお、D1およびD2の測定は、FIB(集束イオンビーム;Focused Ion Beam)を用いて、得られた正極活物質の断面を切り出し、走査型イオン顕微鏡(SIM)を用いてその断面の画像を撮影することによって測定した。なお、D1については200個以上の一次粒子を抽出してそれらの長軸方向の径の平均値として算出し、D2については50個以上の二次粒子を抽出してそれらの長軸方向の径の平均値として算出した。さらに、結晶子径については、粉末X線回折測定により得られる回折ピーク強度から結晶子径を算出する、リートベルト法により測定した。この際、結晶子径を算出するための粉末X線回折測定には、Cu−Kα線を用いたX線回折装置(理学製)を使用し、Fundamental Parameterを採用して解析を行った。回折角2θ=15〜120°の範囲より得られたX線回折パターンを用いて、解析用ソフトウエアTopas Version 3を用いて解析を行った。結果を下記の表4に示す。
<正極C11の作製>
(正極用スラリーの調製)
下記組成の正極用スラリーを調製した。
正極活物質10:Li1.5[Ni0.281Co0.281Mn0.688[Li0.25]]O 90質量部
導電助剤1:燐片状黒鉛 1.0質量部
導電助剤2:アセチレンブラック 4.0質量部
バインダー:ポリフッ化ビニリデン(PVDF) 5.0質量部
溶剤:N−メチルピロリドン(NMP) 74.0質量部。
まず、PVDF5.0質量部をNMP50.0質量部に溶解してバインダー溶液を調製した。次いで、鱗片状黒鉛およびアセチレンブラック(合計5.0質量部)および正極活物質10(粉末)90質量部の混合粉末に、上記バインダー溶液55.0質量部を添加し、プラネタリーミキサー(プライミクス社製、ハイビスミックス2P−03型)にて混練した。その後、混練物にNMP24.0質量部を加えて、正極用スラリー(固形分濃度57.5質量%)を調製した。
(正極用スラリーの塗布・乾燥)
20μm厚のアルミニウム箔集電体の片面に、上記正極用スラリーをバーコーターにより塗布した。続いて、この正極スラリーを塗布した集電体を、ホットプレート上にて乾燥させて(120℃〜130℃、乾燥時間10分)、正極用スラリーの塗膜に残留するNMP量を0.02質量%以下として、シート状電極を得た。
(電極のプレス)
上記で得られたシート状電極にローラープレスをかけて圧縮成形し、切断して、正極C1を作製した。なお、片面の活物質層の質量は約3.5mg/cmであり、厚さは約50μmであり、密度は2.70g/cmであった。
(電極の乾燥)
次に、この正極C1に対し、真空乾燥炉にて乾燥処理を施した。具体的には、まず、乾燥炉内部に正極C1を設置した後、室温(25℃)にて減圧(100mmHg(1.33×10Pa))し乾燥炉内の空気を除去した。続いて、窒素ガスを流通(100cm/分)しながら、10℃/分で120℃まで昇温し、120℃で再度減圧して炉内の窒素を排気したまま12時間保持した後、室温まで降温した。このようにして、正極C11を得た。
<コインセルの作製>
以下の手法により、2032タイプのコインセルを作製した。
すなわち、上記で作製した正極C11をφ15mmに打ち抜いた後、再度、電池作製前に真空乾燥機にて100℃で2時間乾燥して用いた。一方、負極には金属Li(φ16mm、厚さ100μm)を用いた。また、後述のセパレータおよびコインセル部材などは、予め、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内にて室温で24時間以上乾燥して用いた。
非水電解液としては、1M LiPF EC:DEC(1:2(体積比))(ここで、ECはエチレンカーボネート、DECはジエチルカーボネートである)150μLを用いた。
コインセルの作製手順は以下の通りである。アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内にて、上記正極C11と負極(金属Li)との間に、厚さ20μmのポリプロピレン多孔質膜2枚を介し、正負極を対向させ、コインセルの底部の上に重ね合わせた。次いで、正負極間の絶縁性を保つためにガスケットを装着後、シリンジを用いて電解液を注液して、スプリングおよびスペーサーを積層後、コインセルの上部を重ね合せかしめを行って電池とした。
[実施例2]
第2焼成工程における焼成条件を以下のように変更したこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、正極用スラリー、正極およびコインセルを作製した。
(第2焼成工程の焼成条件)
昇温速度:200℃/時間
焼成温度:900℃
焼成時間:15分間
[実施例3]
第2焼成工程における焼成条件を以下のように変更したこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、正極用スラリー、正極およびコインセルを作製した。
(第2焼成工程の焼成条件)
昇温速度:200℃/時間
焼成温度:900℃
焼成時間:45分間
[実施例4]
第2焼成工程における焼成条件を以下のように変更したこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、正極用スラリー、正極およびコインセルを作製した。
(第2焼成工程の焼成条件)
昇温速度:200℃/時間
焼成温度:900℃
焼成時間:75分間
[比較例1]
第2焼成工程を実施しなかったこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、正極用スラリー、正極およびコインセルを作製した。
[比較例2]
第1焼成工程および第2焼成工程における焼成条件を以下のように変更したこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、正極用スラリー、正極およびコインセルを作製した。
(第1焼成工程の焼成条件)
昇温速度:100℃/時間
焼成温度:600℃
焼成時間:12時間
(第2焼成工程の焼成条件)
昇温速度:100℃/時間
焼成温度:900℃
焼成時間:540分間
[比較例3]
第2焼成工程を実施しなかったこと以外は、上述した比較例2と同様の手法により、正極用スラリー、正極およびコインセルを作製した。
[比較例4]
第2焼成工程における焼成条件を以下のように変更したこと以外は、上述した比較例2と同様の手法により、正極用スラリー、正極およびコインセルを作製した。
(第2焼成工程の焼成条件)
昇温速度:100℃/時間
焼成温度:900℃
焼成時間:15分間
<電池特性の評価>
上記で作製したコインセルを、評価セル取り付け冶具にセットし、正極リードおよび負極リードを電池の各タブ端部に取り付けて、以下の試験を行った。
(活性化処理)
充電は、0.1Cレートにて最高電圧が4.8Vとなるまで充電し、その後、放電は、電池の最低電圧が2.0Vとなるまで0.1Cレートで放電する定電流放電法で行い、この活性化処理は室温下で行った(表1)。
(初期特性評価)
0.1Cレートにて最高電圧が4.6Vとなるまで充電した後、0.1Cレートで放電する定電流充放電サイクルを5回、室温において定電流放電法で行った(表2)。結果を下記の表4に示す。
(サイクル耐久性評価)
電池の評価は、1.0Cレートにて最高電圧が4.6Vとなるまで充電した後、1.0Cレートで2.0Vまで放電する定電流充放電サイクルを100回、室温において行った(表3)。結果を下記の表4に示す。
表4に示す結果に基づき、放電容量とサイクル耐久性との関係を図示したものを図3に示す。これらの結果から、比較例1および比較例2からなる性能のトレンドよりも、本願所定の2段階熱処理を行うことで、各実施例は高い初期容量と高いサイクル耐久性の両立を実現していることがわかる。
この改善の要因を示す分析結果を図4に示す。図4は、実施例2および比較例1で得られた正極活物質のTEM像および電子線ナノビームを用いて得られた電子回折像を示す写真である。両図の1で示される電子線回折像は表層約10nmの情報を示す。また、両図の3で示される電子線回折像は表層から約50nmの情報を示す。両サンプルの表層から約50nmの位置の電子回折像に変化は見られず、綺麗な層状構造に起因する回折パターンが確認された。一方、表層から約10nmの位置の回折パターンを比較すると、比較例1の正極活物質では回折パターンが乱れ、解析の結果から岩塩型構造を含むことが判明した。これに対し、実施例2の正極活物質では回折パターンに乱れはなく、活物質粒子の内部から最表面にわたって層状構造を維持していることが確認された。その他の実施例・比較例についても同様の分析を行った結果を表4に示す(「表層構造状態」の「○」は、活物質粒子の内部から最表面にわたって層状構造を維持しているとともに最表層に岩塩型構造が観察されなかったことを意味し、「×」は最表層に岩塩型構造が観察されたことを意味する)。
この結果から、本願所定の2段階焼成処理を加えることで表層の結晶性が向上し、表層において生じる電解液との副反応および金属溶出といった劣化反応を抑制することにより、電池性能の改善に繋がったものと考えられた。以上のことより、本願所定の2段階熱処理により、結晶成長を抑えた上で、表層の結晶状態を改善することにより、高容量と高いサイクル耐久性とを両立させることができることが確認された。
10、50 リチウムイオン二次電池(積層型電池)、
11 負極集電体、
12 正極集電体、
13 負極活物質層、
15 正極活物質層、
17 電解質層、
19 単電池層、
21、57 発電要素、
25、58 負極集電板、
27、59 正極集電板、
29、52 電池外装材(ラミネートフィルム)。

Claims (8)

  1. 下記組成式:
    [Li1.5][Li0.5(1−x)Mn1−x1.5x]O
    (式中、xは0.1≦x≦0.8を満たし、MはNiαCoβMnγで表され、この際、0≦α≦0.5、0≦β≦0.5、0≦γ≦1であり、かつ、α+β+γ=1である。)
    で表される組成を有する非水電解質二次電池用正極活物質であって、
    活物質を構成する粒子の内部から最表面にわたって層状構造を有している、非水電解質二次電池用正極活物質。
  2. 前記正極活物質の結晶子径が600nm以下である、請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  3. 前記正極活物質の結晶子径が350nm以下である、請求項2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  4. 前記正極活物質の結晶子径が300nm以下である、請求項3に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の正極活物質を含む、非水電解質二次電池用正極。
  6. 請求項5に記載の正極を含む、非水電解質二次電池。
  7. Li化合物、Mn化合物、Ni化合物、および必要に応じてCo化合物を含む原料を含む前駆体を、昇温速度50〜100℃/時間、焼成温度600〜850℃、焼成時間6〜12時間の条件で熱処理して処理物を得る第1焼成工程と、
    前記処理物を、昇温速度200〜400℃/時間、焼成温度900〜1100℃、焼成時間1〜75分間の条件で焼成して焼成物を得る第2焼成工程と、
    を含む、非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法により正極活物質を製造した後、前記正極活物質を用いて非水電解質二次電池を製造する工程を含む、非水電解質二次電池の製造方法。
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