JP2010027460A - ガラスペースト組成物、及び、プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

ガラスペースト組成物、及び、プラズマディスプレイパネルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐シートアタック性、ガラスリブとの密着性、及び、耐サンドブラスト性に優れ、効率よくプラズマディスプレイパネルを製造することができるガラスペースト組成物を提供する。また、該ガラスペースト組成物を用いてなるプラズマディスプレイパネルの製造方法、及び、該プラズマディスプレイパネルの製造方法により得られるプラズマディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】プラズマディスプレイパネルの製造に用いるガラスペースト組成物であって、ポリウレタン樹脂、熱反応性架橋剤、ガラス微粒子、及び、高沸点溶剤を含有し、前記ポリウレタン樹脂は、重量平均分子量が1万以上であり、かつ、ガラス転移温度が−10℃以下であるガラスペースト組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐シートアタック性、ガラスリブとの密着性、及び、耐サンドブラスト性に優れ、効率よくプラズマディスプレイパネルを製造することができるガラスペースト組成物に関する。また、本発明は、該ガラスペースト組成物を用いてなるプラズマディスプレイパネルの製造方法、及び、該プラズマディスプレイパネルの製造方法により得られるプラズマディスプレイパネルに関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPともいう)は、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に備えられた放電空間内で電極間にプラズマ放電させ、放電空間内に封入されているガスから発生した紫外線を放電空間内の蛍光体に当てることにより発光を得るものである。
背面ガラス基板にはプラズマから電極を保護する目的で電極上に誘電体層が形成され、更に誘電体層の表面に蛍光体層を塗工するガラスリブが形成されている。また、蛍光体層の表面積を大きくするため、ガラスリブは、サンドブラストを用いて凹型ストライプ状に成形されている。背面ガラス基板表面に誘電体層とガラスリブとが形成されたものを背面板という。
従来、PDPの生産プロセスでは、特許文献1に開示されているように、まず、背面ガラス基板の表面にエチルセルロース樹脂をバインダーとする誘電体層用ペーストを塗工、乾燥した後、加熱して脱脂、焼成を行うことで誘電体層を形成させる。更に、誘電体層の表面に、アクリル樹脂やエチルセルロース樹脂等のバインダー樹脂及び溶剤で低融点ガラスを分散させたペーストを塗工し、乾燥させる。その後、ドライフィルムレジスト(以下、DFRともいう)をラミネートし、露光させてアルカリ水で現像後、加熱乾燥させ、サンドブラストを用いて凹型ストライプ状に成形した後、ガラスリブ上部に残ったDFRをアルカリ水で洗い流し、加熱して脱脂、焼成を行うことでガラスリブを形成していた。
従来のPDPの生産プロセスでは、誘電体層を形成する段階とガラスリブ層を形成する段階のそれぞれで加熱、焼成工程を行う必要があり、製造工程の長期化を招いていた。
これに対して、従来より、誘電体層とガラスリブ層とを同時に焼成する方法が検討されている。しかしながら、一般的に使用されている誘電体層成分を用いて同時焼成を行った場合、ガラスリブ層用ペーストに含まれる溶剤によって、誘電体層が溶解するシートアタックと呼ばれる現象が生じ、誘電体層が破壊される。
そのため、特許文献2には、誘電体層のバインダー樹脂を架橋させ、シートアタック現象を防ぐことにより、誘電体層とガラスリブ層とを同時に焼成し、熱的なエネルギーコストを削減する方法が開示されている。
この方法では、ガラスリブ層用ペーストに含まれる溶剤によって、シートアタックが発生することを防止するため、誘電体層の成分として多価アクリル樹脂が用いられている。しかしながら、このような多価アクリル樹脂は、脆い性質を有する樹脂であることから、酸やアルカリによるエッチング工程を有する方法では使用可能であるが、サンドブラストによってリブを形成する工程を有する方法に使用した場合、サンドブラストによって誘電体層が削られ、誘電体層が破壊されるという問題があった。
特開平11−349348号公報 特開2001−26477号公報
本発明は、耐シートアタック性、ガラスリブとの密着性、及び、耐サンドブラスト性に優れ、効率よくプラズマディスプレイパネルを製造することができるガラスペースト組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該ガラスペースト組成物を用いてなるプラズマディスプレイパネルの製造方法、及び、該プラズマディスプレイパネルの製造方法により得られるプラズマディスプレイパネルを提供することを目的とする。
本発明は、プラズマディスプレイパネルの製造に用いるガラスペースト組成物であって、ポリウレタン樹脂、熱反応性架橋剤、ガラス微粒子、及び、高沸点溶剤を含有し、前記ポリウレタン樹脂は、重量平均分子量が1万以上であり、かつ、ガラス転移温度が−10℃以下であるガラスペースト組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、誘電体層の形成に用いるガラスペースト組成物に、水酸基含有量の高いアクリル樹脂を用いることで、高い耐シートアタック性が得られ、誘電体層とガラスリブ層を同時に焼成するプロセスに適合可能となることを見出した。しかしながら、近年は、プラズマディスプレイパネルの製造工程の効率化が求められているため、更に耐サンドブラスト性に優れるガラスペースト組成物が求められていた。そこで、本発明者らは、更に鋭意検討した結果、バインダー樹脂として、所定の重量平均分子量及びガラス転移温度を有するポリウレタン樹脂を用い、更に熱反応性架橋剤、ガラス微粒子、及び、高沸点溶剤を添加することで、誘電体層とガラスリブ層を同時に焼成するプロセスに適合可能で、かつ、極めて高い耐サンドブラスト性を有するガラスペースト組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のガラスペースト組成物は、重量平均分子量が1万以上、かつ、ガラス転移温度が−10℃以下であるポリウレタン樹脂を含有する。上記ポリウレタン樹脂を後述する熱反応性架橋剤によって架橋させることにより、本発明のガラスペースト組成物は、耐サンドブラスト性に優れるものとなり、誘電体層がサンドブラスト処理によって削られることを防止できる。
上記ポリウレタン樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算による重量平均分子量の下限が1万である。上記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が1万未満であると、本発明のガラスペースト組成物の粘度が低下する。上記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量の好ましい下限は2万である。また、上記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量の上限については特に限定されないが、20万であることが好ましい。
上記ポリウレタン樹脂のガラス転移温度(以下、Tgともいう)の上限は−10℃である。上記ポリウレタン樹脂のTgが−10℃を超えると、溶剤に対する溶解性が悪くなる。上記ポリウレタン樹脂のTgの好ましい上限は−20℃である。また、上記ポリウレタン樹脂のTgの下限は特に限定されないが、−60℃であることが好ましい。
上記ポリウレタン樹脂は、分子内に水酸基を有する化合物を、多官能イソシアネート官能基を有する鎖延長剤にて鎖延長することにより得られる。
上記分子内に水酸基を有する化合物は、末端に水酸基を有してもよく、側鎖に水酸基を有してもよい。
上記末端に水酸基を有する化合物は特に限定されず、例えば、アルキレングリコール、ポリアルキレンエーテル、芳香族ポリエーテル、又は、ポリエステル等が挙げられる。
上記アルキレングリコールは特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、3−メチル−1,5−ペンタングリコール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタングリコール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等が挙げられる。
上記ポリアルキレンエーテルは特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
上記芳香族ポリエーテルは特に限定されず、例えば、ビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル等の芳香族ポリエーテル等が挙げられる。
上記ポリエステルは特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等が挙げられる。
上記末端に水酸基を有する化合物のなかでも、焼結時に分解の基点となり分解温度を下げることができるため、ポリアルキレンエーテルが好適である。
上記芳香族ポリエーテルと、上記アルキレングリコールや上記ポリアルキレンエーテルとを組み合わせて用いることによって、より強靱なポリウレタン樹脂が得られる。
上記芳香族ポリエーテルと、上記アルキレングリコールや上記ポリアルキレンエーテルとを組み合わせて用いる場合は、ガラス転移温度を低く調整することができ、更に、優れた熱分解性が得られるため、上記アルキレングリコールや上記ポリアルキレンエーテルの組成比を高くすることが好ましい。
上記側鎖に水酸基を有する化合物としては特に限定されず、例えば、ポリヒドロキシアクリレートやポリヒドロキシメタクリレート等が挙げられる。
上記多官能イソシアネート官能基を有する鎖延長剤としては特に限定されず、例えば、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、TDI(トリレンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、XDI(m−キシレンジイソシアネート)等が挙げられる。
なかでも、上記アルキレングリコールや上記ポリアルキレンエーテル等を用いる場合には、分子内相分離構造を発現し、芳香族セグメントが疑似架橋構造を形成してゴム状の強靱な被膜が得られることから、芳香族系のMDIやXDIが好適である。
上記ポリウレタン樹脂の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は5重量%、好ましい上限は45重量%である。上記ポリウレタン樹脂の含有量が5重量%未満であると、本発明のガラスペースト組成物から得られる誘電体層が充分な強度を有しないことがある。上記ポリウレタン樹脂の含有量が45重量%を超えると、熱分解性に悪影響を及ぼし、焼結後のガラス内に分解残渣が封入され誘電体性能が悪化することがある。
上記ポリウレタン樹脂の製造方法は特に限定されず、例えば、上記分子内に水酸基を有する化合物と上記多官能イソシアネート官能基を有する鎖延長剤とを、水酸基(OH)に対するイソシアネート基(NCO)の比率(NCO/OH)が当量比で1.2〜15、好ましくは3〜12となる割合で混合し、窒素気流中で80〜100℃程度の温度で3〜5時間程度反応させる方法が挙げられる。上記NCO/OHが当量比で1.2未満であると、得られるウレタン樹脂の粘度が高くなりすぎ、ガラスペースト組成物とした場合に糸曳き性や印刷性が悪化することがある。上記NCO/OHが当量比で15を超えるとガラス硬化膜を形成する際に発泡しやすくなり、均質な膜が得られないことがある。
本発明のガラスペースト組成物は、熱反応性架橋剤を含有する。上記ポリウレタン樹脂に、このような熱反応性架橋剤を添加することで、本発明のガラスペースト組成物を塗布した後、溶剤乾燥工程において加熱した場合に、架橋反応が起こり機械的強度の高い被膜を得ることができる。
上記熱反応性架橋剤は特に限定されないが、ポリ(メタ)アクリレート化合物、ブロック化イソシアネート化合物、及び、グリシジル化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
上記ポリ(メタ)アクリレート化合物は特に限定されず、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等、オリゴマーの両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられ、アクリルモノマーの重合体である(メタ)アクリル樹脂とは異なる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂の末端に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
上記エポキシ(メタ)アクリレートは特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビフェニル型エポキシ(メタ)アクリレート、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、脂肪族多価アルコールのエポキシ(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、又は、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートが好適である。上記エポキシ(メタ)アクリレートは通常は、多官能(メタ)アクリル酸エステルである。
上記エポキシ(メタ)アクリレートは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタン骨格を有し、末端に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、イソシアネート基を2個以上有する化合物と活性水素を有する(メタ)アクリルモノマーとの反応等により得られ、具体的には、2個以上のイソシアネート基を有する化合物1当量に対して活性水素を有する(メタ)アクリルモノマー2当量を触媒としてスズ系化合物存在下で反応させることによって得られる。
上記イソシアネート基を2個以上有する化合物としては特に限定されず、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
また、上記イソシアネート基を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、(ポリ)プロピレングリコール、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリオールと過剰のイソシアネートとの反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物を用いることもできる。
上記エポキシ(メタ)アクリレート又は上記ウレタン(メタ)アクリレートの反応触媒は特に限定されず、有機過酸化物等が挙げられる。
上記有機過酸化物は、ラジカル重合開始剤として作用する。
上記有機過酸化物は特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等のパーオキシエステル類、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
上記有機過酸化物の含有量の好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は0.3重量%である。上記有機過酸化物の含有量が0.01重量%未満であると、反応性が充分に得られないことがある。上記有機過酸化物の含有量が0.3重量%を超えると、過酸化物成分が相分離することがある。
上記ブロック化イソシアネート化合物は多官能性イソシアネート化合物又は末端イソシアネート基含有化合物とブロック化剤とを、従来公知の方法より適宜付加反応させて得られる。
上記多官能性イソシアネート化合物は特に限定されず、例えば、低分子又は高分子の芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートが挙げられる。
上記低分子又は高分子の芳香族のジイソシアネートは特に限定されず、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
上記低分子または高分子の脂肪族のジイソシアネートは特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
上記3価以上のポリイソシアネートは特に限定されず、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリデンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の3量体等が挙げられる。
上記末端イソシアネート基含有化合物は特に限定されず、例えば、上記多官能性イソシアネート化合物の過剰量と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子活性水素化合物、又は、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類等の高分子活性水素化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物等が挙げられる。
上記ブロック化剤は140〜200℃に加熱することで結合が切断され、イソシアネート基が活性化し、ウレタン樹脂との間に架橋構造を形成し、耐シートアタック性を発現するためのものである。
上記ブロック化剤は特に限定されず、例えば、フェノール類、チオフェノール類、オキシム類、アルコール類、ハロゲン置換アルコール類、第3級アルコール類、ラクタム類、芳香族アミン類、イミド類、活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類、重亜硫酸ソーダ等が挙げられる。
上記フェノール類は特に限定されず、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等が挙げられる。
上記チオフェノール類は特に限定されず、例えば、チオフェノール、メチルチオフェノール等が挙げられる。
上記オキシム類は特に限定されず、例えば、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。
上記アルコール類は特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。
上記ハロゲン置換アルコール類は特に限定されず、例えば、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール類等が挙げられる。
上記第3級アルコール類は特に限定されず、例えば、t−ブタノール、3−ペンタノール等が挙げられる。
上記第3級アルコール類は特に限定されず、例えば、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタム等が挙げられる。
上記活性メチレン化合物は特に限定されず、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステル等が挙げられる。
上記グリシジル化合物は特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールのジグリシジルエーテル、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル、フェノール類のジグリシジルエーテル、アルコール類のジグリシジルエーテル等が挙げられる。また、これらのアルキル置換体、ハロゲン化物又は水素添加物等を用いてもよい。
上記熱反応性架橋剤の含有量は特に限定されないが、上記ポリウレタン樹脂100重量部に対して好ましい下限は20重量部、好ましい上限は200重量部である。上記熱反応性架橋剤の含有量が20重量部未満であると、架橋反応が充分に起こらないため、耐シートアタック性が充分得られないことがある。上記熱反応性架橋剤の含有量が200重量部を超えると、焼結性が悪化し、誘電体層中に炭素分解残渣が多く残留することがある。
本発明のガラスペースト組成物は、ガラス微粒子を含有する。
上記ガラス粉末の組成としては特に限定されず、例えば、ケイ酸塩ガラス、鉛ガラス、CaO−Al−SiO系無機ガラス、MgO−Al−SiO系無機ガラス、LiO−Al−SiO系無機ガラス等の各種ガラスが挙げられる。特に、融点が600℃以下の低融点ガラスであることが好ましい。
また、上記ガラス微粒子に対して、ガラス以外の無機微粒子を併用してもよい。
上記無機微粒子としては特に限定されず、例えば、BaO、ZnO、TiO、ZrOおよびSnO等の金属酸化物、アルカリ金属化合物、BaMgAl1017:Eu、ZnSiO:Mn、(Y、Gd)BO:Eu等の蛍光体、カーボンブラック、染料や顔料等の着色用微粒子、金属錯体、銅、銀、ニッケル、パラジウム、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、チタン酸バリウム、窒化アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素等が挙げられる。
本発明のガラスペースト組成物における上記ガラス微粒子及び無機微粒子の含有量としては特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は80重量%である。上記ガラス微粒子及び無機微粒子の含有量が10重量%未満であると、本発明のガラスペースト組成物の粘度が充分に得られないことがあり、更に、ガラス微粒子等に対して樹脂が多いためにサンドブラスト時に悪影響があることがある。上記ガラス微粒子及び無機微粒子の含有量が80重量%を超えると、ガラス微粒子等を分散させることが困難になることがある。
本発明のガラスペースト組成物は、高沸点溶剤を含有する。
上記高沸点溶剤の沸点は特に限定されないが、好ましい下限は150℃、好ましい上限は300℃である。上記高沸点溶剤の沸点が150℃未満であると、本発明のガラスペースト組成物を塗工する際に溶剤が揮発してしまうため、粘度が変わり安定した塗工ができないことがある。上記高沸点溶剤の沸点が300℃を超えると、塗工後、ペースト中の溶剤を乾燥させる段階で多大な時間や熱エネルギーが必要となることがある。上記高沸点溶剤の沸点のより好ましい上限は280℃である。
上記高沸点溶剤としては特に限定されず、例えば、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテート、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、イソホロン、乳酸ブチル、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ベンジルアルコール、テキサノール、フェニルグリコール、フェニルプロピレングリコール、クレゾール等が挙げられる。なかでも、ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等が好適である。
これらの高沸点溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記高沸点溶剤の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は15重量%、好ましい上限は48重量%である。上記高沸点溶剤の含有量が15重量%未満であると、ペースト粘度が高く本発明のガラスペースト組成物の印刷性が悪化することがある。上記高沸点溶剤の含有量が48重量%を超えると、印刷に必要な粘度を確保できなくなることがある。
本発明のガラスペースト組成物は、更に、熱反応性架橋剤の架橋反応を補完する目的で水酸基やカルボニル基と架橋反応する架橋助剤、硬化速度の調整剤としてキノン系の重合禁止剤又はジメチルアニリン若しくはアセチルアセトン等、密着促進剤、塗工後のレベリングを促進させる目的でノニオン系界面活性剤、その他添加剤等を含有してもよい。
上記架橋助剤は特に限定されず、例えば、アミン化合物、チオール化合物、アジリジン化合物、バナジウム化合物、第4級アンモニウム塩、金属系架橋剤、ネフテン酸コバルト、β−ジケトン等が挙げられる。これらのなかでは、アミノ化合物、チオール化合物、及び、アジリジン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の架橋助剤を用いることが好ましい。
なお、上記アミン化合物及びチオール化合物は、上記グリシジル化合物と同時に用いた場合、上記グリシジル化合物を反応させる触媒としても用いることができる。
上記アミン化合物としては特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン等の鎖状脂肪族アミン及びその誘導体、メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の環状脂肪族アミン及びその誘導体、m−キシレンジアミン、α−(m/pアミノフェニル)エチルアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等の芳香族アミン及びその誘導体等が挙げられる。
上記チオール化合物としては特に限定されず、例えば、n−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、β−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸オクチル、β−メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、チオグリコール酸ブチル、プロパンチオール類、ブタンチオール類、チオホスファイト類等が挙げられる。
上記アジリジン化合物は特に限定されず、例えば、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフォンオキサイド、N,N’−ジフェニルエタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
上記金属系架橋剤は特に限定されず、例えば、アルミニウム、亜鉛、カルシウム等を含有する架橋助剤等が挙げられる。
上記架橋助剤の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は0.5重量%、好ましい上限は10重量%である、上記架橋助剤の含有量が0.5重量%未満であると、架橋反応が進行しないことがある。上記架橋助剤の含有量が10重量%を超えると、本発明のガラスペースト組成物の保存安定性が低下することがある。
上記密着促進剤は特に限定されず、例えば、アミノシラン系シランカップリング剤、グリシジルシラン系シランカップリング剤等が挙げられる。
上記アミノシラン系シランカップリング剤は特に限定されず、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記グリシジルシラン系シランカップリング剤は特に限定されず、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、その他の密着促進剤として、ジメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等が挙げられる。
これらの密着促進剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ノニオン系界面活性剤としては特に限定されないが、HLB値が10〜20のノニオン系界面活性剤であることが好ましい。ここで、HLB値とは、界面活性剤の親水性、親油性を表す指標として用いられるものであって、計算方法がいくつか提案されており、例えば、エステル系の界面活性剤について、鹸化価をS、界面活性剤を構成する脂肪酸の酸価をAとしたとき、HLB値は20(1−S/A)で表される。具体的には、脂肪鎖にアルキレンエーテルを付加させたものが好適であり、具体的には例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等が好適に用いられる。
なお、上記ノニオン系界面活性剤は、熱分解性がよいが、大量に添加するとガラスペースト組成物の熱分解性が低下することがあるため、含有量の好ましい上限は5重量%である。
本発明のガラスペースト組成物の製造方法は特に限定されず、従来公知の攪拌方法が挙げられ、具体的には例えば、上記ポリウレタン樹脂、熱反応性架橋剤、ガラス微粒子、高沸点溶剤及び必要に応じて加えた他の成分を3本ロールミル等で攪拌する方法等が挙げられる。
本発明のガラスペースト組成物の応用として、分散させるガラス微粒子の代わりに、セラミック粉末を用いたときのセラミックペースト組成物、蛍光体粉末を用いたときの蛍光体ペースト組成物、導電性粉末を用いたときの導電ペースト組成物、ガラス粉末又はセラミックス粉末を用いたときのグリーンシートとして用いることもできる。このような用途で用いることにより、エチルセルロースをバインダー樹脂として用いたグリーンシートと重ね合わせて同時に脱脂、焼成することができる。
すなわち、シートアタックを生じないという特徴を活かし、今まで個別に焼結プロセスが必要であったグリーンシート上に導電ペーストでパターンを描く工程、電極シート上に誘電体ペーストをカバーする工程、リブシート上に蛍光体ペーストをスクリーン印刷する工程等を簡略化することが可能である。
また、未焼結リブ上にインクジェットで蛍光体ペーストを印刷したり、オフセット印刷で電極を印刷した上に誘電体層をスクリーン印刷したりする等、異なる印刷法を組み合わせるときにも応用することができる。例えば、サンドブラストレジストパターンをフォトリソ工程で描く工程をスクリーン印刷に置き換える等が挙げられる。
また、本発明のガラスペースト組成物は、通常用いられる溶剤ではシートアタックを生じないため、誘電体層形成用ペーストを塗工した後、脱脂、焼成工程を行わず、ガラスリブ層形成工程を行った場合であっても、誘電体層形成用ペーストからなる層(誘電体前駆層)が、ガラスリブ形成用ペーストに含まれる溶剤のシートアタックによって破壊されることがない。
更に、極めて優れた耐サンドブラスト性を有することから、ガラスリブ層を乾燥させた後、焼成せずにサンドブラスト処理を行い、切削を行っても、誘電体層が破壊されることがない。これにより、脱脂、焼成工程を複数回行う必要がなく、製造工程を簡略化することができる。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、本発明のガラスペースト組成物を塗工し、乾燥させることにより、誘電体前駆体層を形成する工程、前記誘電体前駆体層上に凹型形状のガラスリブ前駆体を形成する工程、及び、上記誘電体前駆体層及びガラスリブ前駆体を加熱して脱脂、焼成する工程を有するプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法では、耐シートアタック性に優れる本発明のガラスペースト組成物を誘電体層の材料として用いることにより、従来は個別に焼結していた誘電体前駆体層とガラスリブ前駆体とを同時に焼結することができるため、プラズマディスプレイパネルの製造をより効率的に行うことができる。また、本発明のガラスペースト組成物は、耐サンドブラスト性が高く、誘電体層の破壊を防止することができる。なお、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法の各工程については、本発明のガラスペースト組成物を用いて印刷、乾燥を行うことと、誘電体前駆体層及びガラスリブ前駆体を同時に焼結すること以外は、従来のプラズマディスプレイパネルの製造方法と同様の操作を行うことができる。
本発明によれば、耐シートアタック性、ガラスリブとの密着性、及び、耐サンドブラスト性に優れ、効率よくプラズマディスプレイパネルを製造することができるガラスペースト組成物を提供することができる。また、本発明は、該ガラスペースト組成物を用いてなるプラズマディスプレイパネルの製造方法、及び、該プラズマディスプレイパネルの製造方法により得られるプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(合成例1)
(ポリウレタン樹脂Aの合成)
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに、表1に記載したジイソシアネートと、溶剤としてエチルメチルケトンを導入し、その後表1に記載したポリオールを導入した。30分間バブリングすることで窒素ガスを充填し、攪拌させながら液温85℃に保ち、イソシアネート基の残留量が一定濃度になるまで反応させた。イソシアネート基の残留量はFTIR(「Nicolet 6700」、Nicolet社製、KBr法)にて確認した。
得られた反応液を冷却しながら、イソプロピルアルコール300重量部とモノエタノールアミン5重量部とを徐々に投入し、最終的に40℃でイソシアネートに起因するピークが消失するまで反応させ、ポリウレタン樹脂Aのエチルメチルケトン−アルコール溶液を得た。ポリウレタン樹脂Aの固形分は30%、カラムとしてSHOKO社製、カラムLF−804を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したポリスチレン換算による重量平均分子量は15000、Tgは−10℃であった。
(合成例2〜5)
(ポリウレタン樹脂B〜Eの合成)
表1に記載のポリオール、ジイソシアネート、エチルメチルケトン、イソプロピルアルコール及びモノエタノールアミンを表1に記載の割合で用いた以外は、合成例1と同様の操作でポリウレタン樹脂B〜Eの合成を行った。また、重量平均分子量及びTgを表1に記載した。
(合成例6)
(熱架橋性材料(エポキシ(メタ)アクリレート)の合成)
撹拌機、温度計、還流冷却器、ガス導入管を備えた5つ口フラスコに、エポキシ樹脂(油化シェル社製、エピコート1007)1000重量部、メタクリル酸460重量部、ハイドロキノン0.3重量部、触媒としてイミダゾール2.9重量部を添加し、窒素ガスを導入しながら、150℃で1時間反応させ、エポキシ(メタ)アクリレートを得た。
(合成例7)
(熱架橋性材料(ウレタン(メタ)アクリレート)の合成)
攪拌機、温度計、冷却器、滴下漏斗及びガス導入管を備えた5つ口フラスコに、予め乾燥空気を流入させて系内を乾燥させた後、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン447重量部を添加した。次いで、ジブチル錫ジラウレート1重量部、ハイドロキノン2重量部を添加し、乾燥空気気流下で、発熱に注意しながら、ヒドロキシエチルアクリレート550重量部を40〜70℃で1時間かけて徐々に滴下し、ウレタン化反応を行った。その後、90℃で3時間の熟成を行い、ウレタン(メタ)アクリレートを得た。
(合成例8)
(熱架橋性材料(ブロック化イソシアネート)の合成)
滴下ロート、攪拌機、還流冷却器を装置した4つ口フラスコに、ε−カプロラクタム(東京化成社製)20g、脱水トルエン(関東化学社製、水分量分析値0.001%以下)35ccを入れ、反応混合物の温度を60℃にして溶解させ均一溶液とする。滴下ロートにヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)17gと脱水トルエン35ccを混合した溶液を入れ、4つ口フラスコ内の反応液温度を60℃に保ち30分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間反応液温度60℃で反応させた。その後、反応液を氷浴下10℃以下に冷却し、この粉末を蒸留水(150cc×5回)で洗浄して過剰のε−カプロラクタムを除去した。粉末を通気乾燥して、ε−カプロラクタムブロック化HDIを得た。
ε−カプロラクタムブロック化HDIを脱水トルエン200gに50℃で加えた後、メタノール30gを加えて65℃、メタノール還流下加熱し、無色透明の均一溶液としたのち、1時間撹拌した。その後、容器を氷冷して反応液温度を10℃以下に冷却したのち、溶媒を半分量減圧下除去し有機固形分比を高めた。得られた物質を赤外分光分析KBr法により測定したところ、2280cm−1にみられる芳香族イソシアナート基による吸収バンドは検出されなかった。
(実施例1)
このようにして得られたポリウレタン樹脂AのMEKアルコール溶液について、高沸点溶剤であるブチルカルビトールにて溶剤置換を行った後、表2の組成比となるように、熱反応性架橋剤、架橋助剤を配合し、高速分散機で分散させてビヒクル組成物を作製した。なお、ビスフェノールFエポキシとしては、エポコート4004P(ジャパンエポキシレジン社製)を用いた。
得られたビヒクル組成物に対して、ノニオン系界面活性剤としてBL−25(日光ケミカル社製)、平均粒子径2.0μmのガラス微粒子(SiOを32.5%、Bを20.5%、ZnOを18%、Alを10%、BaOを3.5%、LiOを9%、NaOを6%、SnOを0.5%含有)を表2に記載した組成比となるように添加し、ガラス微粒子分散ペーストを得た。次いで、高速撹拌装置を用いて充分混練し、3本ロールミルにて滑らかになるまで処理を行い、ガラスペースト組成物を作製した。
(実施例2〜16、比較例1、2)
各成分の混合比を表2のように変更したこと以外は実施例1と同じ方法にてビヒクル組成物及びガラスペースト組成物を作製した。
<評価>
実施例及び比較例で得られたガラスペースト組成物について以下の評価を行った。結果を表3に示した。
(1)耐シートアタック性
(評価用基板の作製)
エチルセルロース(シグマアルドリッチ社製、STD100)をテルピネオール溶液中に溶解させ、樹脂固形分が16%のエチルセルロース含有ビヒクル組成物を作製した。次いで、軟化点が約550℃のガラスフリットとエチルセルロース含有ビヒクル組成物とをガラスフリットが50重量%、エチルセルロース含有ビヒクル組成物が50重量%となるよう混合した後、高速攪拌機で混練し、3本ロールミルを用いて滑らかになるまで処理することで、エチルセルロース含有ガラスペーストを作製した。
次いで、実施例及び比較例で得られたガラスペースト組成物をスクリーン印刷機を用いて10cm×10cmの像を15cm×15cmのソーダガラス基板に塗工し、150℃オーブンにて30分乾燥させた。
その後、エチルセルロース含有ガラスペーストをその上からアプリケータを用い5ミルの設定で塗工し、120℃オーブンにて30分間乾燥させ、ガラス誘電体層が形成された評価用基板を作製した。
得られた評価用基板のガラス誘電体層、及び、評価基板ガラスの裏側及び断面の状態を顕微鏡を用いて観察し、以下の基準で評価した。
○ ガラス誘電体層の亀裂が無く、周辺の緻密な乾燥膜に変化がなかった
× エチルセルロース含有ガラスペーストからの溶剤の溶出により、ガラス誘電体層が破壊されていたり、断面観察にて樹脂の相互拡散が見られたりしていた
(2−1)耐サンドブラスト性(評価1)
「(1)耐シートアタック性」で得られた評価用基板のガラス誘電体層上に、サンドブラスト用ドライフィルム(「オーディルBF603」、東京応化社製)を、ラミネート機(「VA−700」、大成ラミネーター株式会社製)を用いてラミネートした。次いで、該ガラス誘電体層上を遮光フィルム(マスク)で被覆し、該遮光フィルムを介して露光、現像した。その後、得られたドライフィルムの開口部を、サンドブラスト機(「ニューマブラスターSMC−1ADE−401」、不二製作所株式会社製)を用いて、圧力:0.04Mpa、噴射量:200g/minにてサンドブラスト処理し、リブ隔壁を形成した。なお、研磨剤としては、PDP用サンドブラストメディア(「S9#1200」、不二製作所社製)を用いた。
得られたガラス誘電体表面を顕微鏡を用いて観察し、以下の基準で評価した。
○ 傷が生じなかった
× 傷が生じた
(2−2)耐サンドブラスト性(評価2)
サンドブラストに対するガラス誘電体層の強靱性を評価するため、以下の方法によって数値化を行った。
スライドグラス上の中央に直径300μmの真鍮線を設置し、セロハンテープにて浮きの無いように両端を固定した。その後、実施例及び比較例で得られたガラスペースト組成物を、6ミルの設定で塗工し、オーブンにて150℃、60分間乾燥させ溶剤を除去、加熱することで、乾燥させ、真鍮線を埋め込んだ硬化ガラス積層体を得た。
その後、引張試験機にて真鍮の剥離角度を90°になるスライドジグを用いて真鍮線を引張速度200mm/分で剥離する試験を行い、溝を形成する際に必要な抵抗値を定量し以下の基準で評価した。
○ 剥離抵抗値が0.9N以上
× 剥離抵抗値が0.9N未満
(3)焼結性
実施例及び比較例で得られたガラスペースト組成物をガラス基板に、アプリケータを用いて5ミルの設定にて塗工し、150℃設定の送風オーブンで30分間乾燥させ、積層ガラス基板を作製した。得られた積層ガラス基板を600℃設定の電気炉にて30分間焼成し、焼き色を目視することにより有機物残渣状態を確認し、以下の基準で評価した。
○ 無色であった
△ 淡黄色の色が付いた
× 茶色く焼き色が付いた
Figure 2010027460
Figure 2010027460
Figure 2010027460
本発明によれば、耐シートアタック性、ガラスリブとの密着性、及び、耐サンドブラスト性に優れ、効率よくプラズマディスプレイパネルを製造することができるガラスペースト組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該ガラスペースト組成物を用いてなるプラズマディスプレイパネルの製造方法、及び、該プラズマディスプレイパネルの製造方法により得られるプラズマディスプレイパネルを提供することができる。

Claims (6)

  1. プラズマディスプレイパネルの製造に用いるガラスペースト組成物であって、
    ポリウレタン樹脂、熱反応性架橋剤、ガラス微粒子、及び、高沸点溶剤を含有し、
    前記ポリウレタン樹脂は、重量平均分子量が1万以上であり、かつ、ガラス転移温度が−10℃以下である
    ことを特徴とするガラスペースト組成物。
  2. 熱反応性架橋剤は、ポリ(メタ)アクリレート化合物、ブロック化イソシアネート化合物、及び、グリシジル化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のガラスペースト組成物。
  3. ポリウレタン樹脂100重量部に対し、熱反応性架橋剤を20〜200重量部含有することを特徴とする請求項1又は2記載のガラスペースト組成物。
  4. 更に、アミノ化合物、チオール化合物、及び、アジリジン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の架橋助剤を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載のガラスペースト組成物。
  5. 請求項1、2、3又は4記載のガラスペースト組成物を塗工し、乾燥させることにより、誘電体前駆体層を形成する工程、
    前記誘電体前駆体層上に凹型形状のガラスリブ前駆体を形成する工程、及び、
    前記誘電体前駆体層及びガラスリブ前駆体を加熱して脱脂、焼成する工程を有する
    ことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  6. 請求項5記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法を用いて得られることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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