JP2004126073A - サンドブラスト用感光性樹脂組成物およびそれを用いたサンドブラスト用感光性フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のサンドブラスト用感光性樹脂組成物は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する光重合可能なウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、酸価が30〜300mgKOH/gであるバインダーポリマー、および、光重合開始剤を含むサンドブラスト用の感光性樹脂組成物において、前記バインダーポリマーが星型構造由来の分岐構造を有する重合体であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なサンドブラスト用感光性樹脂組成物、および、該感光性樹脂組成物を感光性樹脂層として用いた新規なサンドブラスト用感光性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ガラス、石材、プラスチック、セラミックス、皮革、木質材等の基板の表面に図柄を形成する加工方法の1つとしてサンドブラスト加工法が知られている。このサンドブラスト加工法においては、基板の表面に、ゴム板、紙等を貼り付け、カッター等で切り抜き、パターニングしたのち研磨材等を吹き付けて選択的に研磨するサンドブラストする方法や、基板の表面にサンドブラスト用感光性樹脂組成物層を設け、フォトリソグラフィーによりマスクパターンを形成させたのち、研磨材等を吹き付けて選択的に研磨するサンドブラスト方法等がよく知られ用いられているが、前者の方法では、作業が煩雑で作業能率が上がらない欠点があるのに対し、後者の方法では、作業効率が高い上に微細加工ができるため、例えば金属パターンと絶縁パターンが混在する回路基板、特にプラズマディスプレイの隔壁ならびにセラミック、蛍光体等の絶縁パターンの形成に有効である。よって、後者の方法が好適に用いられている。
【0003】
これまで、後者のサンドブラスト方法に用いる感光性樹脂組成物としては、例えば、末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンオリゴマーと単官能エチレン不飽和化合物および重合開始剤を含有するスクリーン印刷可能なサンドブラスト用感光性樹脂組成物(特開昭60−10242号公報)、不飽和ポリエステル、不飽和モノマーおよび光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物(特開昭55−103554号公報)、ポリビニルアルコールとジアゾ樹脂からなる感光性樹脂組成物(特開平2−69754号公報)などが提案されている。
しかしながら、これら感光性樹脂組成物は、液状で取扱が難しい上に膜厚制御が困難であるなどの欠点があった。こうした欠点のないサンドブラスト用感光性樹脂組成物として、末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンオリゴマーを主成分とし、これに光重合開始剤と、バインダーポリマーとしてのアクリルポリマーとを含有するサンドブラスト用感光性樹脂組成物がすでに知られている。該サンドブラスト用感光性樹脂組成物は、弾性、柔軟性が高く、アルカリ現像性が良好である上、感度、基板との密着性および耐サンドブラスト性などにおいても従来のものより優れてはいるものの、近年の技術進歩に伴い求められる技術水準や生産性を考慮した場合、アルカリ現像性およびアルカリ剥離性についてはまだ十分なレベルとは言えないものであった。特に、従来と同様もしくはそれ以上の耐サンドブラスト性を保持した上で、今まで以上に優れたアルカリ現像性およびアルカリ剥離性を発揮し得るものは無かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、光硬化させた場合に従来と同様もしくはそれ以上の優れた耐サンドブラスト性を有するとともに、優れたアルカリ現像性およびアルカリ剥離性を発揮し得る、新規なサンドブラスト用感光性樹脂組成物、および、該感光性樹脂組成物を感光性樹脂層として用いた新規なサンドブラスト用感光性フィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、上記従来のサンドブラスト用感光性樹脂組成物においてバインダーポリマーとして用いていたアクリルポリマーに、単に何らかのその他成分を加えて改質を図っただけでは、前述した課題を一挙に解決するには至らないということが判った。
そこで、新規なバインダーポリマーとして、本発明者は、星型構造由来の分岐構造を有する重合体に着目した。この重合体は、直鎖ポリマーと比較し、同分子量の場合に同等もしくはそれ以上の強度(強靭性など)を維持しながら低粘度であるという特徴を有する。優れた強度(強靭性など)は備えていることで、従来と同様もしくはそれ以上の耐サンドブラスト性を発揮することができ、さらに、より低粘度であることが、アルカリ現像性およびアルカリ剥離性のさらなる向上につながると考えたのである。つまり、この重合体が有する特異かつ特徴的なポリマー構造そのものが、前述した課題を一挙に解決し得る直接的な要因になるのではないかと考えたのである。そこで、この星型構造由来の分岐構造を有する重合体を、実際にバインダーポリマーとして用いたところ、得られたサンドブラスト用感光性樹脂組成物、および、該感光性樹脂組成物を感光性樹脂層として用いたサンドブラスト用感光性フィルムは、前述した課題を一挙に解決し得ることを確認された。本発明はこのようにして完成された。
【0006】
すなわち、本発明にかかるサンドブラスト用感光性樹脂組成物は、
少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する光重合可能なウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、酸価が30〜300mgKOH/gであるバインダーポリマー、および、光重合開始剤を含むサンドブラスト用の感光性樹脂組成物において、前記バインダーポリマーが星型構造由来の分岐構造を有する重合体であることを特徴とする。
また、本発明にかかるサンドブラスト用感光性フィルムは、
可とう性フィルム上に上記本発明にかかるサンドブラスト用感光性樹脂組成物の層を設け、さらにその上に離型フィルムを積層してなることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるサンドブラスト用感光性樹脂組成物およびサンドブラスト用感光性フィルムについて詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜実施し得る。
〔サンドブラスト用感光性樹脂組成物〕
本発明にかかるサンドブラスト用感光性樹脂組成物(以下、本発明のサンドブラスト用感光性樹脂組成物、または、本発明の感光性樹脂組成物と称することがある。)は、少なくとも2つのアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する光重合可能なウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、酸価が30〜300mgKOH/gであるバインダーポリマー、および、光重合開始剤を含むサンドブラスト用の感光性樹脂組成物である。そして、該バインダーポリマーが特定の重合体、すなわち、星型構造由来の分岐構造を有する重合体であることを特徴とするものである。この特定の重合体については後に詳述する。
【0008】
本発明のサンドブラスト用感光性樹脂組成物でいう、上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ジオール化合物とジイソシアネート化合物とが反応した末端イソシアネート基(−NCO基)を有する化合物と、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物と、の反応生成物(以下、ウレタン(メタ)アクリレート化合物と称することがある。)であることが好ましい。上記ジオール化合物としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、末端に水酸基を有するポリエステル類やポリエーテル類等が挙げられる。上記ポリエステル類としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ラクトン類が開環重合したポリエステル類、ポリカーボネート類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコールと、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸等のジカルボン酸との縮合反応で得られたポリエステル類等が挙げられる。ラクトン類としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、α−メチル−βプロピオラクトン、β−メチル−βプロピオラクトン、α−メチル−βプロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、α,α−ジメチル−β−プロピオラクトン、β,β−ジメチル−β−プロピオラクトン等が挙げられる。ポリカーボネート類としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ビスフェノールA、ヒドロキノン、ジヒドロキシシクロヘキサン等のジオールと、ジフェニルカーボネート、ホスゲン、無水コハク酸等のカルボニル化合物との反応生成物が挙げられる。上記ポリエーテル類としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール等を挙げることができる。これらポリエステルやポリエーテル中に、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸の残基、特に2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸の残基を有するとアルカリ溶液に対する溶解性に優れたウレタン化合物が合成できるので好ましい。上記ポリエステル類およびポリエーテル類は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0009】
上記ジオール化合物と反応するジイソシアネート化合物としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,5−ジメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式のジイソシアネート化合物を挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0010】
さらに、末端イソシアネート基と反応するヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、具体的にヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、エチレングリコールモノメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、ジペンタエリトリトールモノアクリレート、ジペンタエリトリトールモノメタクリレート等を挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0011】
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、その数平均分子量は、特に限定はされないが、具体的には、500〜30000の範囲が好ましく、より好ましくは1000〜25000、さらに好ましくは2000〜20000である。数平均分子量が500未満では硬化後の被膜の結合力が大きくなり硬度が増し、耐サンドブラスト性が低下するおそれがあり、30000を超えると粘度が上昇し塗膜性が悪くなり、作業性が悪化する上に、電気絶縁抵抗値も上昇してしまうおそれがある。
本発明のサンドブラスト用感光性樹脂組成物でいうバインダーポリマーである星型構造由来の分岐構造を有する重合体は、重合体構造中に少なくとも1つの星型構造由来の分岐構造部分を有するものであればよく、すなわち該分岐構造部分を1つのみ有する重合体であっても、2つ以上有する重合体であってもよい。本発明において、上記「星型構造由来の分岐構造」とは、一点あるいは一部分を中心として該中心から放射状に延びた鎖状重合体部分を少なくとも3つ備えた構造である。バインダーポリマーが星型構造由来の分岐構造を有する重合体であることによって、直鎖状ポリマーなどと比較して、同じ分子量であっても強度を保持しながら低粘度であるという特徴があることから、高分子量体(高強度重合体)の使用が可能である、そして、前述の課題を一挙に解決するサンドブラスト用感光性樹脂組成物を得ることができる、等の効果を得ることができる。さらに、バインダーポリマーとして上記分岐構造部分を2つ以上有する重合体を用いた場合、1つのみ有するものを用いた場合に比べ、分岐構造が多くなることにより、より一層アルカリ現像性およびアルカリ剥離性に優れたサンドブラスト用感光性樹脂組成物を得ることができる。また、該分岐構造部分以外の部分の構造などは特に限定はされない。以下では、上記「星型構造由来の分岐構造を有する重合体」について、星型構造由来の分岐構造部分を1つ有する重合体(以下、重合体(1)と称することがある。)と、該分岐構造部分を2つ以上有する重合体(以下、重合体(2)と称することがある。)とに分けて順に説明する。
【0012】
重合体(1)としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、従来公知の星型重合体、すなわち、縮合重合体からなる交さ結合型コアと該コアに結合した鎖の末端に官能基を有するアクリル系ブロック重合体連鎖とからなりコアに結合した少なくとも5つのアームからなるハイブリッド星形重合体(特開昭63−132914号公報参照)、ジフェニルエチレン誘導体を中心として重合により生成した3つの重合体部分が放射状に伸びた構造を有する星型共重合体(特開平3−190911号公報参照)、ジチオカルバメート基を利用した光開始ラジカル重合により生成した星型ブロック重合体(Poly. J., 16, 511(1984) 参照)、重合体末端に導入したトリフェニルメチル基を利用した熱開裂ラジカル重合により生成した星型ブロック重合体(Poly. Bull., 16, 277(1985) 参照)、多価メルカプタン部分を中心として2以上の異なる組成を有する複数の重合体部分が放射状に延びた構造を備える星型ブロック重合体(特開平7−179538号公報)、3官能以上の多価メルカプタンおよび/または3官能以上の多官能開始剤を中心として、少なくとも3つの鎖状重合体部分が、上記多価メルカプタンのメルカプト基および/または多官能開始剤の官能基から放射状に延びている構造を有する星型重合体などを好ましく挙げることができる。
【0013】
また、重合体(1)としては、3官能以上の多価メルカプタンおよび/または3官能以上の多官能開始剤の存在下に重合性単量体成分を重合して得られる重合体を好ましく挙げることができる。このようにして得られる重合体は、特に限定はされないが、上記星型重合体の構造的特長、すなわち「3官能以上の多価メルカプタンおよび/または3官能以上の多官能開始剤を中心として、少なくとも3つの鎖状重合体部分が、上記多価メルカプタンのメルカプト基および/または多官能開始剤の官能基から放射状に延びている構造」を有する重合体であることが好ましい。また、上記星型重合体についての以下の説明は、上記「3官能以上の多価メルカプタンおよび/または3官能以上の多官能開始剤の存在下に重合性単量体成分を重合して得られる重合体」に関しても適用できるものとする。
【0014】
上記星型重合体が、多価メルカプタンを中心とする星型重合体であれば、その特性として、鎖状重合体部分の組み合わせが限定されたり、鎖状重合体部分が単独重合体(ホモポリマー)に由来するものに限られたり、鎖状重合体部分を構成するモノマーの種類が限られたりする、あるいは、光(紫外線)を照射する必要がありモノマーの深さ方向への浸透力が弱く工業的に多量生産するには好ましくない、というような不利な点がないため、工業的に利用可能な分野が非常に広くかつ安価に得ることができる。
また、上記星型重合体が、多官能開始剤を中心とする星型重合体であれば、その特性として、ラジカル反応が多官能開始剤末端から開始され、確実に星型重合体が得られるため、工業的に利用可能な分野が非常に広くかつ安価に得ることができる。
【0015】
上記多価メルカプタンは、1分子あたり3個以上のメルカプト基を有する化合物であり、この個数が3、4、5、・・・であるメルカプタンを、それぞれ、3価のメルカプタン、4価のメルカプタン、5価のメルカプタン・・・と称する。多価メルカプタンとしては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、エチレングリコールジチオグリコレート、エチレングリコールジチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールジチオグリコレート、1,4−ブタンジオールジチオプロピオネートなどエチレングリコールや1,4−ブタンジオールのようなジオールとカルボキシル基含有メルカプタン類のジエステル;トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオネートなどトリメチロールプロパンのようなトリオールとカルボキシル基含有メルカプタン類のトリエステル;ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートなどペンタエリスリトールのような水酸基を4個有する化合物とカルボキシル基含有メルカプタン類のポリエステル;ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオプロピオネートなどジペンタエリスリトールのような水酸基を6個有する化合物とカルボキシル基含有メルカプタン類のポリエステル化合物;その他水酸基を3個以上有する化合物とカルボキシル基含有メルカプタン類のポリエステル化合物;トリチオグリセリンなどのメルカプト基を3個以上有する化合物;2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジンなどのトリアジン多価チオール類;多価エポキシ化合物の複数のエポキシ基に硫化水素を付加させて複数のメルカプト基を導入してなる化合物;多価カルボン酸の複数のカルボキシル基とメルカプトエタノールをエステル化してなるエステル化合物を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、カルボキシル基含有メルカプタン類とは、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸など、1個のメルカプト基と1個のカルボキシル基を有する化合物のことをいう。
【0016】
多価メルカプタンは、効率良く星型重合体を得るという観点から、また、同一中心から鎖状重合体部分が放射状に延びた構造にし高性能にするという観点から、3〜10価のメルカプタンであることが好ましく、より好ましくは3〜6価のメルカプタンである。メルカプト基を1個だけ有するメルカプタンは鎖状重合体部分が放射状に延びた構造を与えない。また、メルカプト基を2個有するメルカプタンでは、星型構造由来の物性を発揮させることができないおそれがある。10価を超えるメルカプタンであると、同一中心から鎖状重合体が放射状に延びた構造とはならず、所望の物性が発現しないおそれがある。
【0017】
3〜6価の多価メルカプタンとしては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオプロピオネートなどを挙げることができる。このような多価メルカプタンであれば、得られる星型重合体が同一中心から鎖状重合体が放射状に延びた星型の構造をとり易く、鎖状重合体間のからみによる効果(たとえば、高凝集力)や相分離構造の形態変化が期待できるという利点がある。
【0018】
上記多官能開始剤は、1分子あたり3個以上の官能基を有する開始剤化合物であり、この個数が3、4、5、・・・である多官能開始剤を、それぞれ、3価の多官能開始剤、4価の多官能開始剤、5価の多官能開始剤・・・と称する。多官能開始剤としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、パーカドックス12−EB20(化薬アクゾ株式会社製の4官能パーオキサイド)などを挙げることができる。
上記星型重合体の鎖状重合体部分を構成し得る重合性単量体(あるいは、上記星型重合体を重合反応により得る場合に用いる重合性単量体成分)としては、単独重合体あるいは共重合体を生成し得るものであればどのような重合性単量体であってもよく、特に限定はされない。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸;炭素原子数1〜30のアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、などに代表される(メタ)アクリレート類;α−メチルスチレン、ビニルトルエン、スチレンなどに代表されるスチレン系単量体;フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどに代表されるマレイミド系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどに代表されるビニルエーテル系単量体;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル、フマル酸のジアルキルエステル;マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル、マレイン酸のジアルキルエステル;イタコン酸、イタコン酸のモノアルキルエステル、イタコン酸のジアルキルエステル;(メタ)アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルケトン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾールなどを好ましく挙げることができる。これらは単独で用いられても、2種以上を併用されてもよい。
【0019】
上記星型重合体を得る場合に適用できる重合方法としては、従来公知の重合方法、例えば通常公知の熱、紫外線、放射線、電子線、ラジカル重合開始剤等を用いたラジカル重合や、アニオン重合、カチオン重合などの重合方法を挙げることができる。なかでも、ラジカル重合またはアニオン重合が好ましい。
ラジカル重合法で使用するラジカル重合開始剤としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、イソブチルパーオキシド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルオキシジカーボネート、ジn−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、デカノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クミルパーオキシオクテート、コハク酸パーオキシド、アセチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサネート)、m−トルオイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシラウレート、シクロヘキサノンパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシヘキサン)、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキシド、ジイソブチルベンゼンヒドロパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、p−メンタンヒドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシドなどの有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物;2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)ジヒドレート、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−シアノプロパノール)などのアゾ化合物;過酸化水素−Fe(II)塩、過硫酸塩−亜硫酸水素ナトリウム、クメンヒドロパーオキシド−Fe(II)塩、過酸化ベンゾイル−ジメチルアニリンなどのレドックス系開始剤;その他に、ジアセチル、ジベンジル、アセトフェノンなどの光増感剤を挙げることができる。これらラジカル重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0020】
また、重合反応の際、重合促進剤として、例えば、種々の遷移金属イオン、具体的には、硫酸第二鉄、硫酸第二銅、塩化第二鉄、塩化第二銅等を好ましく用いることもできる。
ラジカル重合開始剤や重合促進剤の使用量は、特に限定はなく、所望の構造を有する重合体が得られるよう、好ましい生産効率となるよう、適宜設定すればよいが、例えば、多価メルカプタンを用いてラジカル重合により星型重合体を得る場合においては、ラジカル重合開始剤の使用量は、特に限定はされないが、例えば、重量比で、通常、多価メルカプタンの3倍以下であることが好ましく、より好ましくは2倍以下、さらに好ましくは使用しないことである。上記比率よりも多量に使用すると、星型重合体を与える多価メルカプタンから伸びた鎖状重合体部分以外に、ラジカル重合開始剤から伸びた重合体が多量に生成し、目的とする星型重合体の生成効率が低下してしまうおそれがある、また、工業的に安価な製造方法である塊状重合の重合安定性が悪くなり、暴走反応が起こり、最悪の場合は爆発の危険性が伴うおそれがある。
【0021】
重合様式としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合および固相重合を挙げることができる。安価な重合体を得るためには、余分な揮発成分を含まない塊状重合方法がより好ましい。また、原料単量体およびラジカル重合開始剤を一括で仕込んでも、各成分を随時重合容器に供給しながら(逐次供給しながら)重合を行ってもよい。逐次供給は、連続的な供給でも間欠的な供給でもよく、特に限定はされない。さらに、重合容器に溶媒の一部を予め仕込んだ後、原料単量体およびラジカル重合開始剤を重合容器に供給する方法で重合してもよい。
【0022】
上記鎖状重合体部分の数平均分子量は、特に限定はされないが、通常は、例えば、1000〜200000であることが好ましく、より好ましくは1000〜150000、さらに好ましくは1000〜100000である。数平均分子量が上記範囲を下回ると、鎖状重合体部分に基づく各種優れた特性を導入することができないおそれがあり、上記範囲を上回ると、製造時の粘度が高くなり、生産性の点で好ましくないおそれがある。
上記星型重合体は、少なくとも3つの鎖状重合体部分のうちの少なくとも1つが他の鎖状重合体部分と異なる組成を有するものであることが好ましい。つまり、上記星型重合体は、少なくとも3つの鎖状重合体部分がすべて同じ組成のものであってもそうでなくてもよく特に限定はされないが、少なくとも1つが他の鎖状重合体部分と異なる組成を有するいわゆる星型ブロック重合体が、例えば耐熱性やゴム弾性等の物性の向上を容易に図ることができるという理由から好ましい。このような、鎖状重合体部分の組成の相違としては、特に限定はされないが、具体的には、単独重合体に由来する場合は、重合体を構成する単量体単位の違いや、重合体の数平均分子量の違いなどがあり、また、共重合体に由来する場合は、単量体単位の違いや、重合体の数平均分子量の違いや、各単量体単位の含有割合の違いなどがある。
【0023】
このような星型ブロック重合体は、特に限定はされないが、具体的には、3官能以上の多価メルカプタンおよび/または3官能以上の多官能開始剤の存在下で、各段階で種類の異なる重合性単量体成分を使用する重合を複数段行うことにより得られる。具体的には、例えば、多価メルカプタンの存在下ラジカル重合により2段階で重合を行う場合、第1段階の重合性単量体成分のラジカル重合を行い、重合率(詳しくは、重合性単量体成分の重合体への転化率)が50%以上、好ましくは70%以上になってから、第2段階の重合性単量体成分を加えて重合することによって得ることができる。なお、先に行う重合の重合率を50%以上とするのは、重合後残存している重合性単量体成分を除去せずに次の重合を行ったとしても、ブロックを形成する重合体の性質をできるだけ異なるようにするためである。そのためには第1段階の重合後、重合性単量体成分を揮発除去することも可能である。また、各段階の重合は、重合禁止剤の添加により終了させるようにすれば、生成した鎖状重合体部分の先端に、後の重合により別の組成の重合体部分が繋がることを防ぐことができる。
【0024】
さらに具体的に説明すると、例えば、多価メルカプタンの存在下で第1段階の重合性単量体成分のラジカル重合を行う場合、多価メルカプタンのメルカプト基を重合開始点として第1段階の重合性単量体成分がラジカル重合し、星型重合体の鎖状重合体部分が構成され得る。その際、多価メルカプタンの一部のメルカプト基はこのラジカル重合の重合開始点とならずに残り得るため、そこで、次に第2段階の重合性単量体成分を加えて第2段階のラジカル重合を行うと、残ったメルカプト基を重合開始点として第2段階の重合性単量体成分がラジカル重合し、第1段階で得られた鎖状重合体部分と異なる組成の鎖状重合体部分が星形ブロック状に形成され得ることとなるのである。また、重合をさらに3段階以上の多段で行えば、星型重合体が3種以上の鎖状重合体部分の組み合わせて有する星型ブロック重合体を得ることもできる。
【0025】
上記星型重合体を得る場合においては、従来公知の星型重合体の製造における各種重合条件および手順等を適宜必要に応じて適用することができる。
重合体(1)の数平均分子量(Mn)は、3,500〜2,000,000であることが好ましく、より好ましくは4,000〜1,000,000、さらに好ましくは5,000〜500,000、最も好ましくは6,000〜500,000である。数平均分子量が上記範囲を下回ると、鎖状重合体部分に由来する各種所望の物性が十分に発揮されないおそれがあり、上記範囲を上回ると、粘度が高くなり取り扱い性が悪くなるおそれがある上、製造時においても同様であり生産性が低下するおそれがある。
【0026】
重合体(2)は、前述したように「星型構造由来の分岐構造部分を少なくとも2つ有する重合体」であればよく、該分岐構造部分以外の部分の構造については特に限定されるものではないが、重合体(2)の具体的な構造としては、例えば、「星型構造由来の分岐構造を有する少なくとも2つの重合体が、互いの鎖状重合体部分で繋がっている重合体」が好ましい。この例示における「星型構造由来の分岐構造を有する重合体」は、上記重合体(1)と同様の重合体であることが好ましい。また、互いの鎖状重合体部分で繋がっている形態としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、互いの鎖状重合体部分の少なくとも一部において架橋されている(架橋剤由来の構造を介して繋がっている)形態を好ましく挙げることができる。上記架橋剤としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、多官能性モノマーやウレタンオリゴマーであることがより好ましい。なかでも、ウレタンオリゴマーを用いた場合は、さらにサンドブラスト耐性に優れたサンドブラスト用感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0027】
なお、互いの鎖状重合体部分が繋がっている形態としては、上述したほかにも、互いの鎖状重合体部分が実質的に1つの連続した鎖状重合体となっている形態なども挙げることができる。
上記多官能性モノマーとは、1分子当たり2個以上の重合性不飽和基を有する化合物である。1分子当たりの重合性不飽和基の個数が2であるモノマーを2官能性モノマーと言い、3であるモノマーを3官能性モノマーという。多官能性モノマーは、互いの鎖状重合体部分を繋げるという観点や、その繋げる部分をより多くするという観点からは、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物(すなわち、2官能性以上のモノマー)であることが必要とされるが、なかでも、2官能性モノマーか3官能性モノマーがより好ましい。重合性不飽和基を4個以上有する化合物は、繋げる部分をより多くするという観点からはより好ましいと考えられるが、実際のところ、重合体が過剰な網目状の構造を形成して重合中にゲル化が起き易くなるおそれがある。
【0028】
多官能性モノマーとしては、具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1,3ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパンなどのジオールと(メタ)アクリル酸のジエステル化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサキス(メタ)アクリレートなどの1分子当たり3個以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸のポリエステル化合物;アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。これら多官能性モノマーは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0029】
上記ウレタンオリゴマーとしては、▲1▼ジオール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させてなる末端イソシアネート基を有する化合物と、該末端イソシアネート基と反応し得るカルボキシル基またはヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物と、の反応生成物、または、▲2▼トリオール化合物またはトリイソシアネート化合物を基点としてジオール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させてなる末端イソシアネート基を有する化合物と、該末端イソシアネート基と反応し得るカルボキシル基またはヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物と、の反応生成物(すなわち、星型構造を有するウレタンプレポリマー)であるものとする。
【0030】
上記ジオール化合物としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、末端に水酸基を有するポリエステル類およびポリエーテル類等が挙げられるが、ポリエステル類としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ラクトン類が開環重合したポリエステル類、ポリカーボネート類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコールと、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸等のジカルボン酸との縮合反応で得られたポリエステル類等が挙げられる。上記ラクトン類としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、α−メチル−βプロピオラクトン、β−メチル−βプロピオラクトン、α−メチル−βプロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン等が挙げられる。また、ポリカーボネート類としては、具体例的にビスフェノールA、ヒドロキノン、ジヒドロキシシクロヘキサン等のジオールと、ジフェニルカーボネート、ホスゲン、無水コハク酸等のカルボニル化合物との反応生成物が挙げられる。また、ポリエーテル類としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール等を挙げることができる。また、使用する用途によっては、前記ポリエステルおよびポリエーテル中に、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸等を反応させ、ウレタンオリゴマー中にカルボキシル基を導入してもよい。これらポリエステル類およびポリエーテル類は1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。またこれらジオール化合物は1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0031】
上記ジイソシアネート化合物としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,5−ジメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式のジイソシアネート化合物等を挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0032】
上記トリオール化合物としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、1,2,6−ヘキサントリオール等を挙げることができる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
上記トリイソシアネート化合物としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ビウレット型である24A−100、22A−75PX、21S−75E、18H−70B(以上、旭化成株式会社製の製品名)およびデスモジュールR等;イソシアヌレート型であるTPA−100、THA−100、MFA−90X、TSA−100、TSS−100、TSE−100(以上、旭化成株式会社製の製品名)およびデスモジュールIL等;アダクト型であるP−301−75E、E−402−90T、E−405−80T(以上、旭化成株式会社製の製品名)およびデスモジュールL等;などを挙げることができる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0033】
また、上記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトンを少なくとも1個付加させたものと無水コハク酸または無水フタル酸等とを反応させて得られる化合物、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートまたはポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートと酸無水物とを反応させて得られる化合物などを挙げることができる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0034】
上記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、エチレングリコールモノメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、ジペンタエリトリトールモノアクリレート、ジペンタエリトリトールモノメタクリレート等を挙げることができる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0035】
ウレタンオリゴマーの具体例としては、特に限定はされないが、例えば、Actilane120TP25、Actilane167、Actilane170、Actilane180GP20、Actilane180HD20、Actilane180TP20、Actilane200、Actilane200TP20、Actilane210TP30、Actilane230HD30、Actilane250HD25、Actilane250TP25、Actilane251、Actilane260GP25、Actilane270、Actilane280、Actilane290およびActilane293(以上、アクロスケミカルズ社製の製品名);EB210、EB4827、EB6700、EB230、EB270、EB2000、EB4858、EB8402、EB8804、EB1290KおよびEB5129(以上、ダイセル・ユーシービー株式会社製の製品名);KAYARAD UX−2201、KAYARAD UX−2301、KAYARAD UX−3204、KAYARAD UX−3301、KAYARAD UX−4101、KAYARAD UX−6101およびKAYARAD UX−7101、KAYARAD UX−8101(以上、日本化薬株式会社製の製品名);AH−600、AT−600、UA−306H、AI−600、UA−101T、UA−101I、UA−306T、UA−306I、UF−8001およびUF−8003(以上、共栄社化学株式会社製の製品名);UV−1700B、UV−3000B、UV−3200B、UV−3300B、UV−3510TL、UV−3520TL、UV−6100B、UV−6300B、UV−7000B、UV−7210B、UV−7500B、UV−7550B、UV−10、UV−2000B、UV−2250TL、UV−2010B、UV−2580B、UV−2700BおよびUV−2750B(以上、日本合成化学株式会社製の製品名);NKオリゴU−2PPA、NKオリゴU−108A、NKオリゴU−200AX、NKオリゴUA−511、NKオリゴU−412A、NKオリゴUA−4100、NKオリゴUA−4200、NKオリゴUA−4400、NKオリゴUA−340P、NKオリゴUA−2235PE、NKオリゴUA−3458P、NKオリゴUA−160TM、NKオリゴUA−6100、NKオリゴUA−6200、NKオリゴU−108、NKオリゴUA−4000、NKオリゴUA−122P、NKオリゴUA−5201、NKオリゴUA−512、NKオリゴUA−W2、NKオリゴUA−W2A、NKオリゴUA−7000およびNKオリゴUA−7100(以上、新中村化学株式会社製の製品名)などを挙げることができる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0036】
ウレタンオリゴマーの分子量は、特に限定はされないが、具体的には、500〜100,000であることが好ましく、より好ましくは700〜80,000、さらに好ましくは1,000〜50,000である。500未満の場合は、靭性を十分付与することができないおそれがあり、100,000を超える場合は、粘性が高くなり作業性が低下するほか、重量に対する官能基濃度が低下するため反応性に劣ることとなるおそれがある。
ウレタンオリゴマーは、互いの鎖状重合体部分を繋げるという観点や、その繋げる部分をより多くするという観点から、2個以上の重合性不飽和基を有するウレタンオリゴマー(すなわち、2官能性以上のウレタンオリゴマー)であることが必要とされるが、なかでも、2官能性ウレタンオリゴマーか3官能性ウレタンオリゴマーを用いることが好ましい。4官能性以上のウレタンオリゴマーは、繋げる部分をより多くするという観点からはより好ましいと考えられるが、実際のところ、重合体が過剰な網目状の構造を形成して重合中にゲル化が起き易くなるおそれがある。
【0037】
上記架橋剤としてウレタンオリゴマーを用いる場合、ウレタンオリゴマー由来の構造部分と鎖状重合体部分との合計に対するウレタンオリゴマー由来の構造部分が、例えば、2〜95重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜90重量%である。ウレタンオリゴマー由来の構造部分が、2重量%未満の場合は、ウレタンオリゴマー由来の物性が十分発揮できないおそれがあり、95重量%を超える場合は、星型重合体由来の物性が十分発揮できないおそれがある。
重合体(2)において、互いの鎖状重合体部分が多官能性モノマーやウレタンオリゴマーなどの架橋剤由来の構造を介して繋がっている場合、架橋剤由来の構造部分と「星型構造由来の分岐構造を有する重合体」由来の構造部分とのモル比(架橋剤由来の構造部分/「星型構造由来の分岐構造を有する重合体」由来の構造部分)は、特に限定はされないが、例えば、0.7未満が好ましく、0.001以上かつ0.5未満がより好ましい。上記モル比が0.7以上であると、バインダーポリマーである重合体(2)の1分子当たりに含まれる架橋剤由来の構造部分の数が多過ぎるために、重合体(2)が過剰な網目状構造を形成し、ゲル化したものとなるおそれがある。
【0038】
重合体(2)の数平均分子量(Mn)は、3,500〜2,000,000であることが好ましく、より好ましくは4,000〜1,000,000、さらに好ましくは5,000〜500,000、最も好ましくは6,000〜500,000である。数平均分子量が上記範囲を下回ると、鎖状重合体部分に由来する各種所望の物性が十分に発揮されないおそれがあり、上記範囲を上回ると、粘度が高くなり取り扱い性が悪くなるおそれがある上、製造時においても同様であり生産性が低下するおそれがある。
重合体(2)を製造する方法としては、特に限定はされないが、例えば、星型構造由来の分岐構造を有する重合体(好ましくは上記重合体(1))を得る過程において、重合反応の際に、重合性単量体成分とともに多官能性モノマーやウレタンオリゴマーなどの架橋剤を使用することが好ましい。
【0039】
重合体(2)の製造において、架橋剤として多官能性モノマーを使用する場合は、多官能性モノマーの使用量は、特に限定はされないが、多官能性モノマーと、多価メルカプタンおよび/または多官能開始剤とのモル比〔(多官能性モノマー)/(多価メルカプタンおよび/または多官能開始剤)〕が、0.7未満となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5である。上記モル比が、0.7以上である場合は、重合反応時にゲル化するおそれがある。また、上記モル比が、0.01未満の場合は、多官能性モノマーを用いることによる前述した物性向上の効果が十分に得られないおそれがある。なお、上記モル比を算出する際に必要な、多官能性モノマーや多価メルカプタンおよび/または多官能開始剤のモル数は、製造工程を通して用いる全モル数であるとし、例えば複数段階のラジカル重合を行う場合は各段階で用いるモル数の合計であるとする。
【0040】
また、同様に、架橋剤としてウレタンオリゴマーを使用する場合は、ウレタンオリゴマーの使用量は、特に限定はされないが、ウレタンオリゴマーと、多価メルカプタンおよび/または多官能開始剤とのモル比〔(ウレタンオリゴマー)/(多価メルカプタンおよび/または多官能開始剤)〕が、0.7未満となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5である。上記モル比が、0.7以上である場合は、重合反応時にゲル化するおそれがある。また、上記モル比が、0.01未満の場合は、ウレタンオリゴマーを用いることによる前述した物性向上の効果が十分に得られないおそれがある。なお、上記モル比を算出する際に必要な、ウレタンオリゴマーや多価メルカプタンおよび/または多官能開始剤のモル数は、製造工程を通して用いる全モル数であるとし、例えば複数段階のラジカル重合を行う場合は各段階で用いるモル数の合計であるとする。
【0041】
重合体(2)の製造においては、重合反応の温度は、特に限定はされないが、具体的には、例えば、30〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜150℃である。
重合体(2)の製造方法としては、さらに詳しくは、例えば、多価メルカプタンや多官能開始剤の存在下で重合性単量体成分を例えばラジカル重合するにあたり、重合性単量体成分とともに多官能性モノマーやウレタンオリゴマーなどの架橋剤を使用する製造方法(製造方法A)が好ましい。この製造方法により、少なくとも3つの鎖状重合体部分の組成がすべて同じである星型重合体を構成要素とし、これら星型重合体が互いの鎖状重合体部分で上記架橋剤由来の構造を介して繋がっている重合体(2)を得ることができる。製造方法Aの手順としては、多価メルカプタン存在下で、使用する重合性単量体成分に予め上記架橋剤を含めておいた状態で、ラジカル重合を行えばよい。ラジカル重合は、重合禁止剤の添加等により適宜所望のタイミングで終了させることができる。
【0042】
また、例えば、多価メルカプタンや多官能開始剤の存在下で、各段階で種類の異なる重合性単量体成分を使用するラジカル重合を複数段階行うにあたり、前記複数段階のうちの少なくとも1つの段階で前記重合性単量体成分とともに多官能性モノマーやウレタンオリゴマーなどの架橋剤を使用する製造方法(製造方法B)が好ましい。この製造方法により、少なくとも3つの鎖状重合体部分のうちの少なくとも1つが他と異なる組成を有する星型重合体を構成要素とし、このような星型重合体が互いの鎖状重合体部分で上記架橋剤由来の構造を介して繋がっている重合体(2)を得ることができる。製造方法Bの手順としては、例えばラジカル重合を2段階で行う場合は、多価メルカプタン存在下、上記架橋剤を予め適宜含めておいた条件下で、第1段階の重合性単量体成分のラジカル重合を行い、重合率(詳しくは、重合性単量体成分が重合体の構成成分に転化した率)が50%以上、好ましくは70%以上になってから、第2段階の重合性単量体成分を加えて重合することにより、重合体(2)を得ることができる。先に行うラジカル重合の重合率を50%以上とするのは、重合後残存している重合性単量体成分を除去せずに次の重合を行ったとしても、ブロックを形成する重合体の性質をできるだけ異なるようにするためである。そのためには第1段階の重合後、重合性単量体成分を揮発除去することも可能である。また、各段階のラジカル重合は、重合禁止剤の添加により終了させるようにすれば、生成した鎖状重合体部分の先端に、後のラジカル重合により別の組成の重合体部分が繋がることを防ぐことができる。
【0043】
上記製造方法Bでは、多価メルカプタンの存在下で、第1段階の重合性単量体成分のラジカル重合を行うと、多価メルカプタンのメルカプト基を重合開始点として第1段階の重合性単量体成分がラジカル重合し、星型重合体の鎖状重合体部分が構成される。その際、多価メルカプタンの一部のメルカプト基はこのラジカル重合の重合開始点とならずに残る。そこで、次に第2段階の重合性単量体成分を加えて第2段階のラジカル重合を行うと、多価メルカプタンの残ったメルカプト基を発端として第2段階の重合性単量体成分がラジカル重合し、第1段階で得られた鎖状重合体部分と異なる組成の鎖状重合体部分が星形ブロック状に形成される。これら段階において重合性単量体成分とともに上記架橋剤を併用するので、上述のようにして得られる星形重合体どうしを上記重合体を介して結合させることができる。
【0044】
製造方法Bにおいては、ラジカル重合をさらに3段階以上の多段で行えば、星型重合体が3種以上の鎖状重合体部分の組み合わせて有する星型ブロック重合体である、重合体(2)を得ることもできる。
製造方法Bにおいては、上記架橋剤は、複数段階で行われるラジカル重合の不特定の1段階または複数段階で、重合性単量体成分に含めて用いればよく、特に限定はされないが、第1段階のラジカル重合のみで用いるのが好ましい。第2段階以降でも用いる場合は、ゲル化を避けて重合体(2)を得るためには、上記架橋剤の合計使用モル数を第1段階のみで加える場合の合計使用モル数よりも少なくしなければならない可能性があり、また、使用モル数を段階ごとに増加していく場合は第1段階のみで加える場合よりも分子量の増加が激しくなって分子量の制御が困難となるおそれがある。
【0045】
なお、上記製造方法Aおよび製造方法Bにおいては、重合反応時に副成し得る重合性単量体成分のホモポリマー(メルカプト基や多官能開始剤を重合開始点として生成していない鎖状重合体)も、上記架橋剤を介して星形重合体の鎖状重合体部分に繋がっている場合がある。
製造方法Aおよび製造方法Bでは、架橋剤として多官能性モノマーを用いる場合は、多官能性モノマーと重合性単量体成分との合計使用量中、多官能性モノマーの使用量は、特に限定はされないが、具体的には、2〜95重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜90重量%である。多官能性モノマーの使用量が2重量%未満の場合は、多官能性モノマー由来の物性が発揮できないおそれがあり、95重量%を超える場合は、星型重合体由来の物性が発揮できないおそれがある。なお、ここでいう多官能性モノマーおよび重合性単量体成分の使用量は、上述と同様、製造工程を通して用いる全量であるとし、例えば複数段階のラジカル重合を行う場合は各段階で用いる量の合計であるとする。
【0046】
製造方法Aおよび製造方法Bでは、架橋剤としてウレタンオリゴマーを用いる場合は、ウレタンオリゴマーと重合性単量体成分との合計使用量中、ウレタンオリゴマーの使用量は、特に限定はされないが、具体的には、2〜95重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜90重量%である。ウレタンオリゴマーの使用量が2重量%未満の場合は、ウレタンオリゴマー由来の物性が発揮できないおそれがあり、95重量%を超える場合は、星型重合体由来の物性が発揮できないおそれがある。なお、ここでいうウレタンオリゴマーおよび重合性単量体成分の使用量は、上述と同様、製造工程を通して用いる全量であるとし、例えば複数段階のラジカル重合を行う場合は各段階で用いる量の合計であるとする。
【0047】
本発明でいうバインダーポリマーである「星型構造由来の分岐構造を有する重合体」(具体的には、上記重合体(1)や重合体(2))は、(メタ)アクリル系重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル系重合体であれば、バインダーポリマーのTg、酸価および極性などの変更・調整が容易であり、バインダーポリマーの設計の自由度が大きくなる。(メタ)アクリル系重合体とするためには、前述した重合体単量体成分のうち、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系モノマーを適宜使用すればよい。
本発明でいうバインダーポリマーである「星型構造由来の分岐構造を有する重合体」(具体的には、上記重合体(1)や重合体(2))の酸価は、30〜300mgKOH/gであるが、好ましくは50〜280mgKOH/gであり、より好ましくは70〜260mgKOH/g、さらに好ましくは90〜250mgKOH/gである。上記酸価が、30mgKOH/g未満の場合、アルカリ現像性が低下するおそれがあり、300mgKOH/gを超える場合は、耐水性が低下し、レジストパターンの再現性が低下するおそれがある。また、該バインダーポリマーの酸価を上記範囲内とすることによって、良好なレジストパターンの再現性を得ることができる、などといった優れた効果を得ることができる。バインダーポリマーの酸価を容易に上記範囲内にするには、前述した重合性単量体成分以外に、酸性官能基を有する各種酸性単量体を、適宜必要に応じて使用することができる。このような酸性単量体としては、特に限定はされないが、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸2−スルホエチル、アクリル酸2−スルホエチル、ビニルスルホン酸、アクリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸などが挙げられる。これら酸性単量体は、1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0048】
本発明でいうバインダーポリマーである「星型構造由来の分岐構造を有する重合体」(具体的には、上記重合体(1)や重合体(2))は、本発明の感光性樹脂組成物全体中、10〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%である。上記含有割合が、10重量%未満の場合は、サンドブラスト耐性とその他の物性とのバランスが悪くなるおそれがあり、90重量%を超える場合は、架橋密度が低下し、レジストパターンの再現性が低下するおそれがある。
本発明のサンドブラスト用感光性樹脂組成物において、光重合開始剤としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、4−ジメチルアミノ安息香酸−2−イソアミル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート等を挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0049】
上記光重合開始剤の含有量は、本発明の感光性樹脂組成物における固形分100重量部対して、0.1〜30重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.2〜20重量部、さらに好ましくは0.3〜15重量部である。上記含有量が0.1重量部未満であると、架橋の進行が完全でなく、レジストパターンが十分に形成できないおそれがあり、30重量部を超える場合は、サンドブラスト耐性などの諸物性に悪影響を与えるおそれがある。
本発明のサンドブラスト用感光性樹脂組成物においては、より感度を向上させ、現像時の膜減りや膨潤を防ぐため、必要に応じて、さらに光重合性単量体を含有してもよい。この光重合性単量体としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート等の単官能性モノマー、テトラエチレンジアクリレート、テトラエチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート等の多官能性モノマーなどを挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0050】
上記光重合性単量体を含有する場合、その含有量は、特に限定はされないが、具体的には、本発明でいうバインダーポリマー100重量部に対して、200重量部以下であることが好ましく、より好ましくは150重量部以下、さらに好ましくは100重量部以下である。上記配合量が200重量部を超える場合、ドライフィルム状としたときにコールドフローが起こり易くなるおそれがある。
本発明のサンドブラスト用感光性樹脂組成物においては、感度、密着性および耐サンドブラスト性を一段と向上させ、より好適なサンドブラスト加工を実施できるようにするため、必要に応じて、セルロース誘導体を含有してもよい。上記セルロース誘導体としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレートなどを挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、これらセルロース誘導体については、その酸価は、特に限定はされないが、具体的には、50〜250mg/KOHであることが好ましく、より好ましくは80〜200mg/KOHである。酸価が50mg/KOH未満では、現像不良をおこすおそれがあり、250mg/KOHを超えると、柔軟性がなくなるとともに耐水性に劣ることになるおそれがある。
【0051】
上記セルロース誘導体を含有する場合、その含有量は、特に限定はされないが、具体的には、本発明でいうバインダーポリマー100重量部に対して、200重量部以下であることが好ましく、より好ましくは150重量部以下、さらに好ましくは100重量部以下である。上記含有量が、200重量部を超える場合、低感度化する上、架橋密度が低下しサンドブラスト耐性等が低下するおそれがある。
本発明のサンドブラスト用感光性樹脂組成物は、さらに溶剤を含むものであってもよく、その場合、該感光性樹脂組成物の使用にあたっては、溶剤に溶解させた状態で取り扱うことができる。上記溶剤としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、2−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテートや、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤や、酢酸メチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤などを挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0052】
本発明のサンドブラスト用感光性樹脂組成物においては、必要に応じて、さらに、染料、重合禁止剤、電気絶縁抵抗値調整のためのカーボンや金属粒子などの導電性物質、および、カチオン性、アニオン性または両性の界面活性剤等を任意に含んでいてもよい。
本発明のサンドブラスト用感光性樹脂組成物の用途(適用できる技術分野)としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、金属パターンと絶縁パターンとが混在する回路基板の形成、特にプラズマディスプレイの隔壁ならびにセラミックや蛍光体等の絶縁パターンの形成、などを挙げることができる。
【0053】
本発明のサンドブラスト用感光性樹脂組成物は用途に応じて、例えば、上記溶剤を使用して液状のまま基板の上に塗布したり、基板の上にスクリーン印刷するなどして適宜用いることができる。例えば、電子部品の製造などにおける精密加工を必要とする技術分野では、本発明のサンドブラスト用感光性樹脂組成物を可とう性フィルム上に塗布して乾燥させて感光性樹脂層とすることによって、感光性フィルムを得、これを用いるのがよい。このように、感光性樹脂層として感光性フィルムに使用することにより、精密な位置合わせが容易となり精度の高い切削が実現できる。
〔サンドブラスト用感光性フィルム〕
本発明にかかるサンドブラスト用感光性フィルム(以下、本発明のサンドブラスト用感光性フィルム、本発明の感光性フィルムと称することがある。)は、可とう性フィルム上に、上記本発明にかかるサンドブラスト用感光性樹脂組成物を感光性樹脂層として設け、さらにその上に、離型フィルムを積層してなるものである。
【0054】
本発明の感光性フィルムの一実施例を図1に示す。図1においては、1は可とう性フィルムであり、2は上記本発明のサンドブラスト用感光性樹脂組成物からなる層(以下、サンドブラスト用感光性樹脂組成物層と称する。)、3は離型フィルムである。
可とう性フィルム1は、サンドブラスト用感光性樹脂組成物層2を支持する層であり、その厚みは15〜125μmが好ましく、より好ましくは15〜110μm、さらに好ましくは15〜100μmである。可とう性フィルム1としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂フィルムを挙げることができる。なかでも、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが、可とう性、こしの点から好ましい。また、サンドブラスト用感光性樹脂組成物層2は、溶剤に溶解したサンドブラスト用感光性樹脂組成物溶液を、アプリケーター、バーコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター等を用い、乾燥膜厚を、好ましくは10〜100μm、より好ましくは10〜90μm、さらに好ましくは10〜80μmとなるように塗布して形成するのがよい。また、離型フィルム3は、未使用時にサンドブラスト用感光性樹脂組成物層2を安定に保護する層であり、使用時には容易に剥ぎ取れるが、未使用時には剥がれない適度の離型性を有するフィルムであることが好ましい。離型フィルム3としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、シリコーンをコーティングまたは焼き付けしたPETフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等が好適であり、その厚さは15〜125μmであることが好ましく、より好ましくは15〜110μm、さらに好ましくは15〜100μmである。
【0055】
本発明の感光性フィルムにおいては、酸素減感作用を防ぐとともに、露光時に密着されるマスクパターンの粘着防止のため、必要に応じて、可とう性フィルム1とサンドブラスト用感光性樹脂組成物層2との間に、水溶性樹脂層を設けることができる。上記水溶性樹脂層としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ポリビニルアルコールまたは部分けん化ポリ酢酸ビニルの水溶性ポリマーの5〜20重量%水溶液を塗布乾燥した層を好ましく挙げることができ、該水溶性樹脂層の乾燥膜厚は1〜10μmであることが好ましい。この水溶性樹脂層を形成する水溶性ポリマー溶液に、さらにエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等を添加すると、水溶性樹脂層の可とう性が増すとともに、離型性が向上するので好適である。また、上記水溶性ポリマー溶液の調製において、メタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、アセトンおよび水性消泡剤等を添加すれば、溶液の粘度、消泡性等を容易に所望の程度に改善することもできる。
【0056】
次に、本発明のサンドブラスト用感光性フィルムの好適な使用例を、図2の(a)〜(e)に示す。図1の離型フィルム3を図2(a)に示すように剥し、露出したサンドブラスト用感光性組樹脂成物層2を、基板4上に密着する。密着に際しては基板4を予め加熱しておき、この上にドライフィルムを置いて押圧する、いわゆる熱圧着方式を採るのがよい。押圧した後可とう性フィルム1を剥し、図2(b)に示すように露出したサンドブラスト用感光性樹脂組成物層2の上に所定のマスクパターンを備えたマスク7を密着させ、そのマスクパターンの上から低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、アーク灯、キセノンランプ等を用いて露光する。前記露光光線としては紫外線の他にエキシマレーザ、X線、電子線等も使用できる。露光後、マスクパターン7を取り去り、現像を行う。現像を行うための現像液としては、特に限定されることはなく、汎用のアルカリ現像液を用いることができるが、該現像液に用いるアルカリ成分としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、ベンジルアミン、ブチルアミン等の第1級アミン、ジメチルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の第3級アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピリジン等の環状アミン、エチレンジアミン、ヘキサンメチルジアミン等のポリアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、ジエチルメチルスルホニウムヒドロキシド、ジメチルベンジルスルホニウムヒドロキシド等のスルホニウムヒドロキシド類、その他コリン、ケイ酸塩含有緩衝液等が挙げられる。上記現像によって、図2(c)に示すようにサンドブラスト用感光性樹脂組成物層2における未露光の未硬化部分は除去され、露光した硬化部分のみが残留する。現像処理した基板をサンドブラスト加工で図2(d)に示すように研磨しパターンに忠実な図柄を形成する。このサンドブラスト加工で使用するブラスト材としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、2〜500μmのガラスビーズ、SiC、SiO2、Al2O3、ZrO等の無機微粒子等が好適に用いられる。
【0057】
上記サンドブラスト加工された基板から、サンドブラスト用感光性樹脂組成物層2の硬化部分を、アルカリ水溶液で溶解して取り除き、図2(e)に示すように基板表面に図柄を形成する。
【0058】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と記すことがある。
−合成例1−
窒素導入管、滴下ロート、温度計、冷却管、攪拌機を装備した4つ口フラスコに、メチルメタクリレート9.7部、ブチルメタクリレート81.1部、メタクリル酸9.2部からなるモノマー混合液のうちの30部とメチルエチルケトン100部とを投入し、窒素雰囲気下、80℃に昇温した。この昇温した状態のところに、触媒としてペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート(PETG)2部およびアゾビスイソブチロニトリル1.5部をメチルエチルケトン10部に溶解させた均一溶液の30重量%を添加して反応を開始した。反応温度はメチルエチルケトンの還流温度に保った。反応開始10分後に残りのモノマー混合液70部および残りの触媒溶液を1時間かけて均一に滴下した。滴下し終わった後、温度をメチルエチルケトンの還流温度に維持したまま、2時間の熟成を行った。熟成後、冷却して重合反応を終了し、重合体(A)を得た。
【0059】
得られた重合体(A)は、不揮発分濃度48.4wt%、酸価58mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」と称する。)による重量平均分子量(MwGPC)は約30,000であった。
樹脂の光散乱光法による絶対重量平均分子量(MwLALLS)が約45,000であることから、MwLALLS/MwGPC≒1.5となり、得られた重合体(A)は分岐構造を有していることが確認された。下記式:
g=f2/(3f−2)
(式中、gは、平均自乗回転半径の比であり、MwLALLS/MwGPCの値に比例する。fは、分岐の数である。)
で示される経験式より、MwLALLS/MwGPC>1の場合、分岐構造を有しているといえるからである。よって、g=1.5の場合、約4本の分岐があるということになる。
【0060】
また、PETGのような星型の分岐を有する多価メルカプタン化合物を原料として使用していることから、重合体(A)は、メルカプト基を起点(反応開始点)として鎖状重合体が延びている星型構造を有したものであることが確認された。
−合成例2−
窒素導入管、滴下ロート、温度計、冷却管、攪拌機を装備した4つ口フラスコに、メチルメタクリレート30部、メタクリル酸10部、メチルエチルケトン100部を投入し、窒素雰囲気下、80℃に昇温した。この昇温した状態のところに、触媒としてペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート(PETG)2部およびアゾビスイソブチロニトリル1部をメチルエチルケトン10部に溶解させた均一溶液の1/2(6.5部)を添加して反応を開始した。反応温度はメチルエチルケトンの還流温度に保った。反応開始1時間後と1時間30分後にそれぞれ残りの触媒溶液の1/4(3.25部)を添加した。反応開始2時間後、釜内のモノマーの転化率が70%以上であることを確認して、ブチルメタクリレート48部およびメタクリル酸12部の混合溶液を1時間かけて均一に滴下した。滴下し終わった後、温度をメチルエチルケトンの還流温度に維持したまま、2時間の熟成を行った。熟成後、冷却して重合反応を終了し、重合体(B)を得た。
【0061】
得られた重合体(B)は、不揮発分濃度48.3wt%、酸価144mgKOH/g、GPCによる重量平均分子量(MwGPC)は約40,000であった。樹脂の光散乱光法による絶対重量平均分子量(MwLALLS)が約60,000であることから、MwLALLS/MwGPC≒1.58となり、得られた重合体(B)は分岐構造を有していることが確認された。下記式:
g=f2/(3f−2)
(式中、gは、平均自乗回転半径の比であり、MwLALLS/MwGPCの値に比例する。fは、分岐の数である。)
で示される経験式より、MwLALLS/MwGPC>1の場合、分岐構造を有しているといえるからである。よって、g=1.58の場合、約4本の分岐があるということになる。
【0062】
また、PETGのような星型の分岐を有する多価メルカプタン化合物を原料として使用していることから、重合体(B)は、メルカプト基を起点(反応開始点)として鎖状重合体が延びている星型構造を有したものであることが確認された。
−合成例3−
窒素導入管、滴下ロート、温度計、冷却管、攪拌機を装備した4つ口フラスコに、メチルメタクリレート15.5部、ブチルメタクリレート54.1部、メタクリル酸30.1部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製、製品名:NKエステルA−600、数平均分子量約708)0.3部からなるモノマー混合液のうちの30部とメチルエチルケトン100部とを投入し、窒素雰囲気下、80℃に昇温した。この昇温した状態のところに、触媒としてペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート(PETG)3部およびアゾビスイソブチロニトリル1.5部をメチルエチルケトン10部に溶解させた均一溶液の30重量%を添加して反応を開始した。反応温度はメチルエチルケトンの還流温度に保った。反応開始10分後に残りのモノマー混合液90部および残りの触媒溶液を1時間かけて均一に滴下した。滴下し終わった後、温度をメチルエチルケトンの還流温度に維持したまま、2時間の熟成を行った。熟成後、冷却して重合反応を終了し、重合体(C)を得た。
【0063】
得られた重合体(C)は、不揮発分濃度48.5wt%、酸価197mgKOH/g、GPCによる重量平均分子量(MwGPC)は約85,000であった。樹脂の光散乱光法による絶対重量平均分子量(MwLALLS)が約211,000であることから、MwLALLS/MwGPC≒2.48となり、得られた重合体(C)は分岐構造を有していることが確認された。下記式:
g=f2/(3f−2)
(式中、gは、平均自乗回転半径の比であり、MwLALLS/MwGPCの値に比例する。fは、分岐の数である。)
で示される経験式より、MwLALLS/MwGPC>1の場合、分岐構造を有しているといえるからである。よって、g=2.48の場合、約7本の分岐があるということになる。
【0064】
また、PETGのような星型の分岐を有する多価メルカプタン化合物を原料として使用していることから、重合体(C)は、メルカプト基を起点(反応開始点)として鎖状重合体が延びている星型構造を有したものであることが確認された。
−合成例4−
窒素導入管、滴下ロート、温度計、冷却管、攪拌機を装備した4つ口フラスコに、メチルメタクリレート29.8部、メタクリル酸10部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製、製品名:NKエステルA−600、数平均分子量約708)0.2部、メチルエチルケトン100部を投入し、窒素雰囲気下、80℃に昇温した。この昇温した状態のところに、触媒としてペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート(PETG)4部およびアゾビスイソブチロニトリル1部をメチルエチルケトン10部に溶解させた均一溶液の1/2(7.5部)を添加して反応を開始した。反応温度はメチルエチルケトンの還流温度に保った。反応開始1時間後と1時間30分後にそれぞれ残りの触媒溶液の1/4(3.75部)を添加した。反応開始2時間後、釜内のモノマーの転化率が70%以上であることを確認して、ブチルメタクリレート42部、ブチルアクリレート6部およびメタクリル酸12部の混合溶液を1時間かけて均一に滴下した。滴下し終わった後、温度をメチルエチルケトンの還流温度に維持したまま、2時間の熟成を行った。熟成後、冷却して重合反応を終了し、重合体(D)を得た。
【0065】
得られた重合体(D)は、不揮発分濃度48.7wt%、酸価141mgKOH/g、GPCによる重量平均分子量(MwGPC)は約110,000であった。
樹脂の光散乱光法による絶対重量平均分子量(MwLALLS)が約318,000であることから、MwLALLS/MwGPC≒2.89となり、得られた重合体(D)は分岐構造を有していることが確認された。下記式:
g=f2/(3f−2)
(式中、gは、平均自乗回転半径の比であり、MwLALLS/MwGPCの値に比例する。fは、分岐の数である。)
で示される経験式より、MwLALLS/MwGPC>1の場合、分岐構造を有しているといえるからである。よって、g=2.89の場合、約8本の分岐があるということになる。
【0066】
また、PETGのような星型の分岐を有する多価メルカプタン化合物を原料として使用していることから、重合体(D)は、メルカプト基を起点(反応開始点)として鎖状重合体が延びている星型構造を有したものであることが確認された。
−合成例5−
窒素導入管、滴下ロート、温度計、冷却管、攪拌機を装備した4つ口フラスコに、メチルメタクリレート16.5部、ブチルメタクリレート49部、メタクリル酸24.5部、ウレタンオリゴマー(新中村化学(株)製、製品名:NKオリゴU−340A、数平均分子量約12,000)10部からなるモノマー混合液のうちの30部とメチルエチルケトン100部とを投入し、窒素雰囲気下、80℃に昇温した。この昇温した状態のところに、触媒としてペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート(PETG)6部およびアゾビスイソブチロニトリル1.5部をメチルエチルケトン10部に溶解させた均一溶液の30重量%を添加して反応を開始した。反応温度はメチルエチルケトンの還流温度に保った。反応開始10分後に残りのモノマー混合液70部および残りの触媒溶液を1時間かけて均一に滴下した。滴下し終わった後、温度をメチルエチルケトンの還流温度に維持したまま、2時間の熟成を行った。熟成後、冷却して重合反応を終了し、重合体(E)を得た。
【0067】
得られた重合体(E)は、不揮発分濃度46.9wt%、酸価160mgKOH/g、GPCによる重量平均分子量(MwGPC)は約160,000であった。
樹脂の光散乱光法による絶対重量平均分子量(MwLALLS)が約361,000であることから、MwLALLS/MwGPC≒2.26となり、得られた重合体(E)は分岐構造を有していることが確認された。下記式:
g=f2/(3f−2)
(式中、gは、平均自乗回転半径の比であり、MwLALLS/MwGPCの値に比例する。fは、分岐の数である。)
で示される経験式より、MwLALLS/MwGPC>1の場合、分岐構造を有しているといえるからである。よって、g=2.26の場合、約6本の分岐があるということになる。
【0068】
また、PETGのような星型の分岐を有する多価メルカプタン化合物を原料として使用していることから、重合体(E)は、メルカプト基を起点(反応開始点)として鎖状重合体が延びている星型構造を有したものであることが確認された。
−合成例6−
窒素導入管、滴下ロート、温度計、冷却管、攪拌機を装備した4つ口フラスコに、メチルメタクリレート25部、メタクリル酸12.5部、ウレタンオリゴマー(新中村化学(株)製、製品名:NKオリゴU−340A、数平均分子量約12,000)12.5部、メチルエチルケトン100部を投入し、窒素雰囲気下、80℃に昇温した。この昇温した状態のところに、触媒としてペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート(PETG)8部およびアゾビスイソブチロニトリル1.5部をメチルエチルケトン10部に溶解させた均一溶液の1/2(9.75部)を添加して反応を開始した。反応温度はメチルエチルケトンの還流温度に保った。反応開始1時間後と1時間30分後にそれぞれ残りの触媒溶液の1/4(4.875部)を添加した。反応開始2時間後、釜内のモノマーの転化率が70%以上であることを確認して、ブチルメタクリレート30部、エチルアクリレート5部およびメタクリル酸15部の混合溶液を1時間かけて均一に滴下した。滴下し終わった後、温度をメチルエチルケトンの還流温度に維持したまま、2時間の熟成を行った。熟成後、冷却して重合反応を終了し、重合体(F)を得た。
【0069】
得られた重合体(F)は、不揮発分濃度46.8wt%、酸価178mgKOH/g、GPCによる重量平均分子量(MwGPC)は約194,000であった。
樹脂の光散乱光法による絶対重量平均分子量(MwLALLS)が約516,000であることから、MwLALLS/MwGPC≒2.66となり、得られた重合体(F)は分岐構造を有していることが確認された。下記式:
g=f2/(3f−2)
(式中、gは、平均自乗回転半径の比であり、MwLALLS/MwGPCの値に比例する。fは、分岐の数である。)
で示される経験式より、MwLALLS/MwGPC>1の場合、分岐構造を有しているといえるからである。よって、g=2.66の場合、約7本の分岐があるということになる。
【0070】
また、PETGのような星型の分岐を有する多価メルカプタン化合物を原料として使用していることから、重合体(F)は、メルカプト基を起点(反応開始点)として鎖状重合体が延びている星型構造を有したものであることが確認された。
−比較合成例1−
窒素導入管、滴下ロート、温度計、冷却管、攪拌機を装備した4つ口フラスコに、メチルメタクリレート12部、ブチルメタクリレート66部、メタクリル酸22部からなるモノマー混合液のうちの30部とメチルエチルケトン100部とを投入し、窒素雰囲気下、80℃に昇温した。この昇温した状態のところに、触媒としてアゾビスイソブチロニトリル1部をメチルエチルケトン10部に溶解させた均一溶液の30重量%を添加して反応を開始した。反応温度はメチルエチルケトンの還流温度に保った。反応開始10分後に残りのモノマー混合液70部および残りの触媒溶液を1時間かけて均一に滴下した。滴下し終わった後、温度をメチルエチルケトンの還流温度に維持したまま、2時間の熟成を行った。熟成後、冷却して重合反応を終了し、重合体(G)を得た。
【0071】
得られた重合体(G)は、不揮発分濃度47.8wt%、酸価142mgKOH/g、GPCによる重量平均分子量(MwGPC)は約56,000であった。
−比較合成例2−
窒素導入管、滴下ロート、温度計、冷却管、攪拌機を装備した4つ口フラスコに、メチルメタクリレート19.7部、ブチルメタクリレート75.3部、メタクリル酸5部からなるモノマー混合液のうちの30部とメチルエチルケトン100部とを投入し、窒素雰囲気下、80℃に昇温した。この昇温した状態のところに、触媒としてペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート(PETG)2部およびアゾビスイソブチロニトリル1部をメチルエチルケトン10部に溶解させた均一溶液の30重量%を添加して反応を開始した。反応温度はメチルエチルケトンの還流温度に保った。反応開始10分後に残りのモノマー混合液70部および残りの触媒溶液を1時間かけて均一に滴下した。滴下し終わった後、温度をメチルエチルケトンの還流温度に維持したまま、2時間の熟成を行った。熟成後、冷却して重合反応を終了し、重合体(H)を得た。
【0072】
得られた重合体(H)は、不揮発分濃度48.3wt%、酸価32mgKOH/g、GPCによる重量平均分子量(MwGPC)は約32,000であった。
樹脂の光散乱光法による絶対重量平均分子量(MwLALLS)が約50,000であることから、MwLALLS/MwGPC≒1.56となり、得られた重合体(H)は分岐構造を有していることが確認された。下記式:
g=f2/(3f−2)
(式中、gは、平均自乗回転半径の比であり、MwLALLS/MwGPCの値に比例する。fは、分岐の数である。)
で示される経験式より、MwLALLS/MwGPC>1の場合、分岐構造を有しているといえるからである。よって、g=1.56の場合、約4本の分岐があるということになる。
【0073】
また、PETGのような星型の分岐を有する多価メルカプタン化合物を原料として使用していることから、重合体(H)は、メルカプト基を起点(反応開始点)として鎖状重合体が延びている星型構造を有したものであることが確認された。
−実施例1−
末端にアクリル基を有するカルボキシル基含有ウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製、製品名:UV−9532EA;重量平均分子量24,000、酸価27mgKOH/g、溶剤として酢酸エチル30%含有)20部、および、カルボキシル基含有ウレタンアクリレート(共栄社化学株式会社製、製品名:SSUA−8−ALMH;重量平均分子量15,000、酸価5mgKOH/g、溶剤として酢酸エチル20%含有)30部に、合成例1で得た重合体(A)50部を混合し、次いで2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン1部、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩0.005部、マラカイトグリーン(保土谷化学社製)0.1部およびメチルエチルケトン20部を投入し、撹拌混合することで、感光性樹脂組成物(以下、感光性樹脂組成物(1)と称する。)溶液とした。
【0074】
次いで、感光性樹脂組成物(1)を乾燥後の膜厚が30μmとなるように、20μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(可とう性フィルム)上にアプリケーターを用いて塗布、乾燥させて感光性樹脂組成物層を形成した。この感光性樹脂組成物層の上に、20μmのポリエチレンフィルム(離型フィルム)を、気泡が残らないようにゴムローラーで被着して、サンドブラスト用感光性フィルム(1)を作成した。
−実施例2〜6−
実施例1において、重合体(A)の代わりに重合体(B)〜(F)を用いた以外は、実施例1と同様の操作により、感光性樹脂組成物(2)〜(6)を得、サンドブラスト用感光性フィルム(2)〜(6)を作成した。
【0075】
−比較例1〜2−
実施例1において、重合体(A)の代わりに重合体(G)〜(H)を用いた以外は、実施例1と同様の操作により、感光性樹脂組成物(c1)〜(c2)を得、サンドブラスト用感光性フィルム(c1)〜(c2)を作成した。
上記実施例・比較例で得られたサンドブラスト用感光性フィルム(1)〜(6)およびサンドブラスト用感光性フィルム(c1)〜(c2)を用いて、以下のような操作および評価を行った。
【0076】
すなわち、得られたサンドブラスト用感光性フィルムのポリエチレンフィルムを剥がし、表出した感光性樹脂組成物層を80℃に暖めたガラス面にゴムローラーを用いてラミネートしたのちPETフィルムを剥がして感光性組成物層を露出させた後、超高圧水銀灯により全面を200mJ/cm2の照射量で紫外線露光して感光し、現像して、サンドブラスト用レジストパターンを得、各種物性を調べた。具体的には、現像時間、アルカリ現像性、アルカリ剥離性、サンドブラスト耐性および総合評価について、以下の方法および評価基準により評価を行った。
(現像時間)
現像時間とは、未硬化の樹脂をアルカリ水で洗い流す時間のことであるが、一般的に、この時間が長いと生産効率が低下する。現像時間は、具体的には、感光性樹脂組成物層が現像液(1%炭酸ナトリウム水溶液、30℃)に接した時点から、未露光の40μm厚の感光性樹脂組成物が溶解し、基板表面が露出するまでの時間を計測し、以下の基準で評価した。
【0077】
◎:20秒未満
○:20秒以上かつ40秒未満
△:40秒以上かつ60秒未満
×:60秒以上
(アルカリ現像性)
現像後のレジストパターンをSEMで観察し、その形状を以下の基準で評価した。
◎:基板に対してレジスト端面が垂直
○:レジスト足引きが少ない
△:レジスト足引きが大きい
×:現像不可
(アルカリ剥離性)
感光性樹脂層に、フォトマスク無しで300mJ/cm2の露光量で全面露光したものをサンプルとした。このサンプルを、KOH5%水溶液(25℃)に浸漬させ、感光性樹脂層が完全に除去されるまでの時間計測し、以下の基準で評価した。
【0078】
◎:60秒未満
○:60秒以上かつ120秒未満
△:120秒以上かつ180秒未満
×:180秒以上
(サンドブラスト耐性)
研磨剤としてガラスビーズ#800を使用し、ノズル距離80mm、ブラスト圧2kg/cm2でサンドブラストして感光性樹脂組成物層が摩耗して消失するまでの時間を測定し、以下の基準で評価した。
【0079】
◎:90秒以上
○:60秒以上かつ90秒未満
△:30秒以上かつ60秒未満
×:30秒未満
(総合評価)
現像時間、アルカリ剥離性およびサンドブラスト耐性の3評価項目における評価結果を点数化し、以下の基準で評価した。詳しくは、「◎」を4点、「○」を3点、「△」を2点、「×」を1点とし、上記3評価項目の合計点数により判断した。
【0080】
◎:10点以上
○:7〜9点
△:4〜6点
×:4点未満
【0081】
【表1】
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、光硬化させた場合に従来と同様もしくはそれ以上の優れた耐サンドブラスト性を有するとともに、優れたアルカリ現像性およびアルカリ剥離性を発揮し得る、新規なサンドブラスト用感光性樹脂組成物、および、該感光性樹脂組成物を感光性樹脂層として用いた新規なサンドブラスト用感光性フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるサンドブラスト用感光性フィルムの断面拡大図である。
【図2】本発明にかかるサンドブラスト用感光性フィルムを用いたプラズマディスプレイパネルの表面食刻方法の手順を示す図である。
【符号の説明】
1 可とう性フィルム
2 サンドブラスト用感光性樹脂(組成物)層
3 離型フィルム
4 絶縁層
5 導体パターン
6 基板
7 マスクパターン
8 露光光線
Claims (8)
- 少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する光重合可能なウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、酸価が30〜300mgKOH/gであるバインダーポリマー、および、光重合開始剤を含むサンドブラスト用の感光性樹脂組成物において、
前記バインダーポリマーが星型構造由来の分岐構造を有する重合体である、
ことを特徴とする、サンドブラスト用感光性樹脂組成物。 - 前記バインダーポリマーは、星型構造由来の分岐構造を有する少なくとも2つの重合体が互いの鎖状重合体部分で繋がっている重合体である、請求項1に記載のサンドブラスト用感光性樹脂組成物。
- 前記少なくとも2つの重合体が互いの鎖状重合体部分でウレタンオリゴマー由来の構造を介して繋がっている、請求項2に記載のサンドブラスト用感光性樹脂組成物。
- 前記重合体が3官能以上の多価メルカプタンおよび/または3官能以上の多官能開始剤の存在下に重合性単量体成分を重合して得られる重合体である、請求項1から3までのいずれかに記載のサンドブラスト用感光性樹脂組成物。
- 前記重合体は、多価メルカプタンおよび/または多官能開始剤を中心として少なくとも3つの鎖状重合体部分が前記多価メルカプタンのメルカプト基から放射状に延びている構造を有する重合体である、請求項1から4までのいずれかに記載のサンドブラスト用感光性樹脂組成物。
- 前記少なくとも3つの鎖状重合体部分のうちの少なくとも1つが他の鎖状重合体部分と異なる組成を有する、請求項5に記載のサンドブラスト用感光性樹脂組成物。
- 前記重合体が(メタ)アクリル系重合体である、請求項1から6までのいずれかに記載のサンドブラスト用感光性樹脂組成物。
- 可とう性フィルム上に請求項1から7までのいずれかに記載のサンドブラスト用感光性樹脂組成物の層を設け、さらにその上に離型フィルムを積層してなる、サンドブラスト用感光性フィルム。
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