JP2003331650A - 誘電体ペーストおよびプラズマディスプレイの製造方法 - Google Patents
誘電体ペーストおよびプラズマディスプレイの製造方法Info
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Abstract
電体ペースト塗布膜、隔壁パターンを同時焼成すること
ができるプラズマディスプレイの製造方法を提供する。 【解決手段】少なくともバインダー樹脂、架橋剤、熱重
合開始剤および無機粉末を含み、かつ、バインダー樹脂
および架橋剤100重量部に対して、熱重合開始剤の含
有量が3〜30重量部の範囲である誘電体ペーストであ
る。また、電極ペーストにより電極パターンを形成する
工程、誘電体ペーストにより誘電体ペースト塗布膜を形
成する工程、隔壁ペーストにより隔壁パターンを形成す
る工程、および、少なくとも電極パターン、誘電体ペー
スト塗布膜および隔壁パターンを同時に焼成する工程を
この順に含み、かつ、誘電体ペースト塗布膜を形成する
工程の後に、キュアを行う工程を含むプラズマディスプ
レイの製造方法である。
Description
よびプラズマディスプレイの製造方法に関する。
スプレイとして注目を集めており、高精細なプラズマデ
ィスプレイを低コストで安定して生産する技術が強く望
まれている。そのようなプラズマディスプレイを構成す
る部材において、大きなコストを占める部材として背面
板が挙げられる。
基板上に形成された電極1、誘電体層2、ストライプ状
の隔壁3およびRGBの蛍光体層4から構成される。ま
た、最近では図2のように、ストライプ状の主隔壁と垂
直方向に補助隔壁が設けられている場合も多い。いずれ
の形状の隔壁を有する背面板においても、電極パターン
および隔壁パターンの形成に感光性ペースト法を用いる
ことで、高精細な背面板が安定して生産できるようにな
ってきたが、さらなる低コスト化が依然として望まれて
いる。
ン、誘電体ペースト塗布膜、隔壁パターンおよび蛍光体
パターンの各層を形成する工程の度に、それぞれの材料
を焼成していた(図3)。すなわち、背面板の製造工程
では、最低でも4回の焼成工程が必要であり、生産性が
低く、高コストの原因となっていた。また、焼成工程が
多いことによって、ガラス基板の熱による寸法変化が大
きくなるという問題を生じていた。さらに、電極に銀を
使用した場合には、焼成工程が多いことによって銀のマ
イグレーションが進行し、パネルの信頼性が低下する要
因となっていた。
布膜、隔壁パターン、蛍光体パターンのうちのいくつか
を形成した後、同時に焼成するという同時焼成プロセス
が検討されてきた。例えば、無機粉末の作業点を電極、
誘電体、隔壁、蛍光体の順に高くすることにより、電極
パターン、誘電体ペースト塗布膜、隔壁パターン、蛍光
体パターンの4つを同時に焼成する方法が記載されてい
る(特許文献1参照)。しかし、これらの方法を用いて
も、大きな問題が2つあった。
光性ペースト法やサンドブラスト法により行う際に、形
成してある電極パターンのうち誘電体ペースト塗布膜に
覆われていない電極引き出し部分5が、隔壁現像液や研
磨粒子に浸食され、剥がれてしまうという問題である。
ースト塗布膜および隔壁パターンを同時に焼成すると、
電極パターンおよび隔壁パターンのそれぞれに誘電体層
を引き裂く方向に大きな焼成応力が発生し、電極パター
ンの断線や誘電体層の亀裂といった欠陥が発生するとい
う問題である。
ターンの2層同時焼成において、誘電体ペースト塗布膜
を熱により硬化して、同時焼成時に隔壁の焼成応力が発
生しても亀裂の発生しない製造方法が開示されている
(特許文献2参照)。しかし、電極パターン、誘電体ペ
ースト塗布膜および隔壁パターンの同時焼成では、さら
に大きな焼成応力が発生するため、この製造方法を用い
ても、誘電体層の亀裂が発生するという問題があった。
2頁)
や亀裂などの欠陥が生じることなく、電極パターン、誘
電体ペースト塗布膜および隔壁パターンを同時焼成する
ことができる誘電体ペーストおよびプラズマディスプレ
イの製造方法を提供することを目的とする。
技術の課題を解決するため、以下の構成を有する。すな
わち、少なくともバインダー樹脂、架橋剤、熱重合開始
剤および無機粉末を含み、かつ、バインダー樹脂および
架橋剤100重量部に対して、熱重合開始剤の含有量が
3〜30重量部の範囲である誘電体ペーストである。
形成する工程、誘電体ペーストにより誘電体ペースト塗
布膜を形成する工程、隔壁ペーストにより隔壁パターン
を形成する工程、および、少なくとも電極パターン、誘
電体ペースト塗布膜および隔壁パターンを同時に焼成す
る工程をこの順に含み、かつ、電極パターンを形成する
工程の後および/または誘電体ペースト塗布膜を形成す
る工程の後に、キュアを行う工程を含むプラズマディス
プレイの製造方法である。
レイの作製手順に従って説明する。
一例を示す。基板上に、電極ペーストを用いて、所望の
パターン形状の電極パターン1aを形成する。電極パタ
ーン1aを形成した基板上に、誘電体ペーストを用いて
誘電体ペースト塗布膜2aを形成する。誘電体ペースト
塗布膜2a上に隔壁ペーストを用いて、隔壁パターン3
aを形成する。そして、電極パターン1a、誘電体ペー
スト塗布膜2aおよび隔壁パターン3aを基板ごと一括
焼成して、電極1、誘電体層2および隔壁3を形成す
る。以下に、各工程について詳述する。
ては、通常、ソーダガラスや旭硝子社製の“PD−20
0”、日本電気化学社製の“PP−8”などの高歪み点
ガラスを用いたガラス基板が用いられる。
含む電極ペーストを用いて電極パターンを形成する。電
極パターン形成には、スクリーン印刷法や感光性ペース
ト法、プレス成型法等を用いることができる。パターン
の高精細化や工程の簡略化が可能である点から、感光性
ペースト法が特に好ましい。以下、感光性ペースト法の
手順について説明する。
もしくは部分的に塗布する。塗布方法としては、スクリ
ーン印刷法、バーコーター、ロールコーター、ダイコー
ター、ブレードコーターなどの方法を用いることができ
る。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、ペ
ーストの粘度および塗出量を選ぶことによって調整でき
る。塗布厚みは、所望の電極の高さと焼成による電極ペ
ーストの収縮率を考慮して決めることができる。通常好
ましい焼成後の電極の高さは1〜10μmの範囲であ
り、焼成収縮を考慮すると塗布する電極ペースト塗布膜
の厚さは1〜15μmの範囲であることが好ましい。
露光を行う。露光に使用される活性光線は、紫外線が最
も好ましく、その光源として、例えば、低圧水銀灯、高
圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプなどが使用さ
れる。超高圧水銀灯を光源とした平行光線を用いる露光
機が一般的である。
対する溶解度差を利用して、現像を行い、電極パターン
を形成する。現像には、浸漬法、スプレー法、ブラシ法
などが用いられる。現像液には、感光性の電極ペースト
中の有機成分、特にポリマーが溶解可能な溶液を用いる
とよい。
考慮して行うとよい。焼成後の電極のサイズとしては、
ピッチ100〜250μm、高さ1〜10μm、幅15
〜60μmの範囲が好ましい。
りキュアすることが好ましい。電極パターンをキュアす
る条件としては、140〜300℃の温度範囲で3〜3
0分の時間範囲が好ましい。より好ましくは、150〜
250℃の温度範囲で5〜30分の時間範囲である。こ
こでいうキュアとは、約120℃以下で行われる単なる
乾燥を含まない。キュアには熱風乾燥機やIR乾燥機を
用いることができる。
の密着性が低下するため、パターンサイドが基板から剥
離するエッジカールが発生する場合がある。エッジカー
ルが発生すると、誘電体ペースト塗布膜の厚みムラが生
じたり、また電極の焼成応力がより大きくなるという問
題がおこる。電極パターンを形成した後、140℃以上
でキュアすることで、ポリマーを一旦柔軟な状態にし、
エッジカールを緩和できる。さらに、電極引き出し部の
残留溶媒が完全に除去されることにより、後の隔壁形成
工程に感光性ペースト法やサンドブラスト法を用いた場
合でも、電極引きだし部が隔壁の現像液や研磨粒子に除
去されないような耐性を付与することができる。また、
300℃以下でキュアすることで、電極ペーストの熱収
縮を抑え、収縮によるエッジカールを抑制することがで
きる。電極パターンのキュアは、誘電体ペーストを塗布
する前に行うことが好ましい。エッジカールの少ない電
極の上に誘電体層を形成することにより、誘電体層の厚
みムラなどによる耐電圧低下などの問題を抑制できる。
誘電体ペーストを全面に、もしくは部分的に塗布する。
誘電体層は基板上に形成された電極を被覆して保護し絶
縁する作用を有すると共に、その上に形成される隔壁の
形成性を改良する効果を有するものである。
なくともバインダー樹脂、架橋剤、熱重合開始剤および
無機粉末を含む。バインダー樹脂の具体的な例として
は、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポ
リビニルアルコール、ポリエチレン、シリコンポリマー
(例えば、ポリメチルシロキサン、ポリメチルフェニル
シロキサン)、ポリスチレン、ブタジエン/スチレンコ
ポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、高分子
量ポリエーテル、エチレンオキシドとプロピレンオキシ
ドのコポリマー、ポリアクリルアミドおよび種々のアク
リルポリマーやセルロース化合物などが挙げられる。ア
クリルポリマーまたはセルロース化合物を用いることが
焼成時の焼成残渣低減の点で好ましい。
タ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸アルキル類を
単独または共重合させたものが好ましく、ペーストに好
ましい特性を与えるように適宜に選択することができ
る。具体的には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、
ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメ
タクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタ
クリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタ
クリル酸ヘキシルなどの単独重合体やこれらの重合体を
構成するモノマーの組合せで得られる共重合体などが好
ましい。セルロース化合物としては、メチルセルロー
ス、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、メチル
ヒドロキシセルロースなどを好ましく用いることができ
る。
重合開始剤から発生したラジカルを開始点として、架橋
剤が3次元網目構造を形成する。これにより、後の現像
工程における耐現像液性が向上し、また焼成時に焼成応
力による亀裂や断線が発生することを抑制することがで
きる。その際、3次元網目構造を形成できる点で、架橋
剤が3つ以上の官能基を有する化合物であることが好ま
しい。そのような官能基としては、活性な炭素−炭素二
重結合を有する化合物が好ましく、ビニル基、アリル
基、(メタ)アクリレート基、アクリルアミド基を有す
る化合物が応用される。(メタ)アクリレート化合物に
は多様な種類の化合物が開発されているので、それらか
ら反応性、屈折率などを考慮して選択し、場合によって
はそれらを組み合わせることが可能である。また、ポリ
マーに炭素−炭素2重結合を有する側鎖を導入するなど
の方法を用いることも好ましい。
学式(2)、(3)、(4)、(5)で示されるアルキ
ル基を有するアクリル化合物またはメタクリル化合物が
好ましく用いられる。化学式(5)で示される化合物
が、官能基を3つ以上有するので、特に好ましい。
4は炭素数1〜20のアルキル基、R5は炭素数3以上の
ヒドロキシアルキル基、R7は炭素数1〜20のアルキ
ル基、アリール基、アラルキル基、mは0〜30の整
数、nは3〜6の整数である。
は、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロ
キシペンタ(メタ)アクリレート、およびそれらのアル
キレンオキサイド変成物などが挙げられるが、これらに
限定されない。
剤の重量比が、60:40〜5:95の範囲であるよう
に調整することが好ましい。添加量をこの範囲にするこ
とによって、誘電体ペースト塗布膜の強度を保ち、かつ
焼成時の焼成残渣を低減することができる。両者の重量
比は、さらに好ましくは、20:80〜5:95の範囲
である。
ダー樹脂と架橋剤の合計100重量部に対して、熱重合
開始剤の含有量は3〜30重量部の範囲である。より好
ましい含有量は5〜30重量部の範囲、さらに好ましく
は10〜30重量部の範囲である。熱重合開始剤は、熱
により活性ラジカルを発生し、架橋剤の反応を開始する
ことができる。上記の熱重合開始剤の含有量は、一般的
な熱重合開始剤の含有量と比べると極めて大きい値であ
る。本発明の誘電体ペーストでは、熱重合開始剤の含有
量をこの範囲とすることで、ペースト塗布膜中という自
由度のない系中においても、十分に架橋剤を反応させ、
三次元網目構造を形成することができる。これにより誘
電体ペースト塗布膜の強度が向上し、後の焼成工程にお
いて収縮応力がかかっても、電極の断線や誘電体層の亀
裂などの欠陥が発生することを抑制できる。
にラジカルを生成し、下式(7)のように開始反応を起
こす。 式(6)
ら生成した1次ラジカル、kdは速度定数を示す。 (式7)
ジカルを示す。
の全てが式(7)の開始反応に入るとは限らない。生成
した一次ラジカル対は、お互いに十分に離れる前に、高
い確率でお互いに反応してしまう。お互いに反応せずに
十分に離れることができた一次ラジカルのみが、架橋剤
と反応することができる。
ルの割合を開始剤効率という。すなわち、開始剤効率は
下式(8)で表される。 (式8)
Riは式(7)の開始速度、[I]は開始剤濃度であ
る。
効率は、0.8〜1.0の範囲であることが好ましい。
ここで、開始剤効率の値は、ベンゼン中、60℃でスチ
レンへの開始反応における値である。本発明では、熱重
合開始剤はペースト塗布膜中という自由度のない系中で
開裂するため、開裂により発生した一次ラジカルがお互
いに反応しなくなるところまで拡散することが困難とな
る。従って、開始剤効率が低い熱重合開始剤では、一次
ラジカル同士の反応による失活が起こりやすくなるた
め、十分に架橋剤を架橋させることが難しい。熱重合開
始剤の開始剤効率が0.8以上であることで、熱重合開
始剤から発生する一次ラジカルの失活を防ぎ、十分に架
橋剤を反応させて、誘電体ペースト塗布膜の強度を上げ
ることができる。
ゾ化合物が挙げられる。具体例をあげると、有機過酸化
物としては、ジプロピルパーオキシジカーボネート、ジ
(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ
(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t
−ブチルパーオキシネオデカノエート、2,4−ジクロ
ロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチル
ヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサ
イド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキ
サイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエ
ート)、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオ
キシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブ
チルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−
3,3,5−トリメチルヘキサノエート、シクロヘキサ
ンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、
2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブ
チルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルジパーオ
キシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,
5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチル
クミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド
などが挙げられる。アゾ化合物としては、2,2−アゾ
ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−ア
ゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メ
チルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキ
サン−1−カルボニトリル)、1−((1−シアノ−1
−メチルエチル)アゾ)ホルムアミド(2−(カルバモ
イルアゾ)イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス
(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチ
ル)−2−ヒドロキシメチル)プロピオンアミド)、
2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−(1−ヒ
ドロキシブチル))プロピオンアミド)、2,2’−ア
ゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プ
ロピオンアミド)などが挙げられる。
は、有機過酸化物が、開始剤効率が高いので好ましい。
アゾ化合物は、アゾ基の両側の二つの結合が同時に切れ
て2個のラジカルが生成し、生成したラジカル対は生成
後10-9秒以内に窒素を放出して再結合や不均化を起こ
して安定な化合物となるため、開始剤効率が低くなるた
め好ましくない。例えば、アゾビスイソブチロニトリル
は、開始剤効率が0.6〜0.7である。また、一部の
過酸化物は、二酸化炭素を放出してしまい、アゾ化合物
と同様に開始剤効率が低くなる。
有するものがさらに好ましい。ベンゾイル骨格を有する
有機過酸化物が開裂してできるベンゾイルオキシラジカ
ルは、脱二酸化炭素がおこりにくく、再結合しても再開
始可能なため、高い開始剤効率を有するからである。例
えば過酸化ベンゾイルの開始剤効率は、ほぼ1.0であ
る。
化合物である。 式(1)
たは炭素数1〜5のアルキル基、アラルキル基を示す。
R1およびR2の両方が同時に水素ではないことが好まし
い。そのような非対称な化合物は、有機溶剤への溶解性
が非常に高いため、高濃度であっても用いることができ
る。また、長期間保存しても開始剤が析出したり、開始
剤が失活してしまうといった問題が発生しない。本発明
では、これら上記の熱重合開始剤から選ばれる1種また
は2種以上を使用することができる。
らにウレタン化合物を含有することが好ましい。ウレタ
ン化合物を含有することにより、誘電体ペースト塗布膜
の柔軟性が向上し、焼成時の応力を小さくでき、亀裂や
断線などの欠陥を効果的に抑制できるためである。ま
た、ウレタン化合物を含有することにより、熱分解性が
向上し、焼成工程において焼成残渣が発生しにくくな
る。本発明で好ましく使用するウレタン化合物として、
例えば、下記一般式(9)で示される化合物が挙げられ
る。 式(9) R8−(R11−R10)n−R11−R9 ここで、R8およびR9はエチレン性不飽和基を含む置換
基、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、
アラルキル基およびヒドロキシアラルキル基からなる群
から選ばれた基であり、それぞれ同じであっても異なっ
ていても良い。R 10はアルキレンオキサイド基またはア
ルキレンオキサイドオリゴマー、R11はウレタン結合を
含む有機基である。nは1〜10の自然数である。
レンオキサイド単位を含む化合物が好ましい。より好ま
しくは、式(9)中、R10がエチレンオキサイド単位
(以下、EOと示す)とプロピレンオキサイド単位(以
下、POと示す)を含むオリゴマーであり、かつ、該オ
リゴマー中のEO含有量が8〜70重量%の範囲内であ
る化合物である。EO含有量が70重量%以下であるこ
とにより、柔軟性がさらに向上し、焼成応力を小さくで
きるため、欠陥を効果的に抑制できる。さらに、熱分解
性が向上し、後の焼成工程において、焼成残渣が発生し
にくくなる。また、EO含有量が8%以上であることに
より、他の有機成分との相溶性が向上する。
合を有することも好ましい。ウレタン化合物の炭素−炭
素二重結合が他の架橋剤の炭素−炭素二重結合と反応し
て架橋体の中に含有されることにより、さらに重合収縮
を抑制することができる。
物の具体例としては、UA−2235PE(分子量18
000,EO含有率20%)、UA−3238PE(分
子量19000,EO含有率10%)、UA−3348
PE(分子量22000,EO含有率15%)、UA−
5348PE(分子量39000,EO含有率23%)
(以上、新中村化学(株)製)などが挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。また、これらの化合物
は混合して用いてもよい。
ト中の0.1〜20重量%であることが好ましい。含有
量を0.1重量%以上とすることで、誘電体ペースト塗
布膜の柔性を向上することができる。含有量が20重量
%を超えると、有機成分と無機粉末の分散性が低下し、
また相対的に架橋剤および熱重合開始剤の濃度が低下す
るので、欠陥が生じやすくなる。
て、軟化点450〜600℃の範囲であるガラス粉末
(以下、「低融点ガラス粉末」と称する)を含有するこ
とが好ましい。誘電体層を形成する低融点ガラス粉末の
軟化点を600℃以下とすることで、高温焼成を必要と
しないため、焼成の際にガラス基板に歪みを生じない。
また、軟化点を450℃以上とすることで、後の蛍光体
層形成工程や封着工程において誘電体層に歪みを生じる
ことがなく、膜厚精度を保つこともできる。低融点ガラ
ス粉末の軟化点は、より好ましくは、470〜550℃
の範囲である。
樹脂と架橋剤の合計100重量部に対して、150〜3
00重量部の範囲が好ましい。低融点ガラス粉末の添加
量を150重量部以上とすることで、緻密な誘電体層を
得ることができ、また、相対的に有機成分の含有量が低
下するので、焼成時の焼成残渣が低減される。低融点ガ
ラス粉末の添加量を300重量部以下とすることで、有
機成分の含有量が低くなりすぎることを防ぎ、架橋剤に
よる3次元網目構造を十分密にし、焼成時の誘電体層亀
裂を低減することができる。
低融点ガラス粉末は、酸化物換算表記で、 酸化ビスマス 10〜85重量% 酸化珪素 3〜50重量% 酸化ホウ素 5〜40重量% 酸化亜鉛 4〜40重量% の組成を含有するものが好ましい。この組成範囲である
と520〜580℃でガラス基板上に焼き付けることが
できる誘電体ペーストが得られる。
0〜85重量%の範囲で配合されることが好ましい。1
0重量%以上とすることで、焼き付け温度や軟化点を制
御する効果が現れ、85重量%以下にすることによっ
て、ガラスの耐熱温度が低くなりすぎることが防止され
るので、ガラス基板上への焼き付けが適正に行われる。
することが好ましい。3重量%以上とすることにより、
ガラス層の緻密性、強度や安定性を向上させ、また熱膨
張係数がガラス基板の値と近いものとなり、従ってガラ
ス基板とのミスマッチを防止することができる。50重
量%以下とすることによって、軟化点やガラス転移点が
低くなり、580℃以下でガラス基板上に緻密に焼き付
けることができる。
することによって、電気絶縁性、強度、熱膨張係数、緻
密性などの電気、機械および熱的特性を向上することが
できる。
れることが好ましい。4重量%以上にすることによって
緻密性向上の効果が現れ、40重量%以下にすることに
よって焼き付け温度が低くなり過ぎて制御できなくなる
ことを防ぎ、また絶縁抵抗を保持することができる。
を含まないことが好ましい。誘電体層は多くの場合、銀
電極やガラス基板に接触して形成されるため、銀電極の
銀イオンやガラス基板の成分とのイオン交換反応に帰因
する黄色化などの問題を防ぐためである。実質的に含ま
ないとは、具体的にはガラス成分中に、アルカリ金属の
合計含有量が0.5重量%以下であること、好ましく
は、0.1重量%以下であることを意味する。
点が650℃以上のフィラーを、バインダー樹脂と架橋
剤の合計100重量部に対して、50〜200重量部の
範囲で含有することが好ましい。軟化点が650℃以上
のフィラーをこの範囲で添加することにより、焼成時の
収縮率を小さくし、基板にかかる応力を低下させるなど
の効果があるためである。また、特定の物性を有するフ
ィラーを選択することで、誘電体層の反射率や導電性な
どの膜特性を制御することができる。
を50重量部以上とすることで、焼成収縮率を低くした
り、熱膨張係数を制御する効果が得られる。また、添加
量を200重量部以下とすることで、焼成後の誘電体層
の緻密性や強度を保つことが可能となり、同時に、クラ
ック発生などの欠陥を防止することができる。
は、軟化点が650〜850℃の範囲の高融点ガラス、
酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、チタン酸
バリウムおよび酸化ジルコニウムからなる群から選ばれ
た少なくとも一種が好ましく用いられる。
粉末を含有することが好ましい。AC型プラズマディス
プレイにおいて、表示電極とアドレス電極間でプラズマ
放電させると空間電荷が発生し、その大部分が表示電極
の上に形成されている誘電体層に蓄積される。この蓄積
された電荷による電圧で偶発的に放電が生じて画質を悪
くする。このような画質の劣化の原因となる電荷の蓄積
を解消するために、誘電体層に導電性粉末を配合し、蓄
積電荷をリークさせることが有効である。導電性粉末
は、具体的には、クロムまたはニッケルから選んだ金属
粉末や酸化インジュウム、酸化スズ、酸化チタンなどの
金属酸化物に不純物を混入した半導体を使用することが
できる。導電性粉末の添加量は、バインダー樹脂と架橋
剤の合計100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲
であることが好ましい。0.1重量部以上とすること
で、有効に電荷をリークすることができ、偶発放電を防
ぐことができる。5重量部以下とすることで、誘電体層
の緻密性を保持することができる。
分散した様態を有するものであり、無機粉末を有機成分
の中に均一に分散することが良好な塗布性のために好ま
しい。このようなペーストを得るため、無機粉末の平均
粒径、最大粒径およびタップ密度などが適正な範囲にあ
ることが好ましい。
mの範囲、最大粒径が10μm以下であり、かつ、タッ
プ密度が0.6g/cm3以上であることが好ましい。
このような範囲の粒径、タップ密度を有するものが、ペ
ーストへの充填性および分散性が良好であり、従って塗
布性の優れたペーストが調製できるので、緻密で均一な
塗布膜を得ることが可能になる。ここで、粒径は、レー
ザ散乱・回折法で測定した値であり、平均粒径は50%
体積粒径、最大粒径は粒径の最大値である。
均粒径を0.2μm以上とすることで凝集性を抑え、ペ
ースト中での分散性がよくなり、緻密かつ均一な塗布膜
が得られる。また、1.5μm以下とすることで形成さ
れた誘電体ペースト塗布膜の緻密性がよくなり、内部に
ボイドなどが発生しない。また、塗布膜表面に不要な凹
凸も生じない。最大粒径を10μm以下にすることも、
内部でのボイド発生や表面の不要な凹凸の発生を防止す
るために有用である。
以上、好ましくは0.7g/cm3以上とすると、粉末
の充填性および分散性が良くなり、気泡や凝集物を生じ
にくくなる。
の他にもさらに必要に応じて、分散剤、安定剤、消泡
剤、レベリング剤、シランカップリング剤、酸化防止
剤、重合禁止剤、有機溶媒などを添加することもでき
る。
の範囲、より好ましくは8〜15μmの範囲であること
が、均一で緻密な誘電体層を形成するために好ましい。
厚さを18μm以下とすることで、焼成の際の脱バイン
ダー性が良好となり、バインダーの残存に起因するクラ
ックが生じない。またガラス基板にかかる応力も小さく
なるので基板が反るなどの問題も生じない。また、4μ
m以上とすることで平坦性で均一かつ緻密な誘電体層を
形成することができ、電極部分の凹凸によって誘電体層
にクラックが入るなどの問題が生じない。
アを行う。焼成よりも前の工程でキュアして硬化させる
ことにより、後の焼成工程における電極パターンや隔壁
パターンの収縮による応力に誘電体ペースト塗布膜が耐
えることができるようになるためである。キュアは、焼
成よりも前に行えばよいが、隔壁ペーストを塗布する前
に行うことが好ましい。キュアによって、電極引き出し
部の残留溶媒が完全に除去されることにより、電極引き
出し部の耐性が向上し、後の隔壁パターン形成工程にお
いて、隔壁の現像液や研磨粒子に除去されにくくなる。
しては、140〜300℃の温度範囲で3〜30分の時
間範囲が好ましい。好ましくは、150〜250℃の温
度範囲で5〜30分の時間範囲である。ここでいうキュ
アとは、約120℃以下で行われる単なる乾燥を含まな
い。つまり、誘電体ペーストを塗布した後に上記の温
度、時間で塗布膜をキュアすることにより、塗布膜の硬
化が不充分であるためその後の焼成時に誘電体層に亀裂
が発生してしまうという問題がなくなる。キュアには熱
風乾燥機やIR乾燥機を用いることができる。
ターンの形成には、スクリーン印刷法、サンドブラスト
法、感光性ペースト法、プレス成型法等が用いられる。
パターンの高精細化や工程の簡略化が可能である点か
ら、感光性ペースト法が特に好ましい。以下に、感光性
ペースト法の手順について説明する。
ペーストを全面に、もしくは部分的に塗布する。感光性
ペーストの塗布は、スクリーン印刷法、バーコーター
法、ロールコータ法、ドクターブレード法などの一般的
な方法で行うことができる。塗布厚さは、所望の隔壁の
高さとペーストの焼成による収縮率を考慮して決めるこ
とができる。通常、焼成後の隔壁の好ましい高さは60
〜170μmの範囲であり、焼成収縮を考慮すると、塗
布する隔壁ペースト塗布膜の厚さは80〜220μmの
範囲内であることが好ましい。
れ、露光される。露光に使用される活性光線は、紫外線
が最も好ましく、その光源として、例えば、低圧水銀
灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプなどが
使用される。超高圧水銀灯を光源とした平行光線を用い
る露光機が一般的である。
対する溶解度差を利用して、現像を行い、隔壁パターン
を形成する。現像には、浸漬法、スプレー法、ブラシ法
などが用いられる。現像液には、感光性隔壁ペースト中
の有機成分、特にポリマーが溶解可能な溶液を用いると
よい。本発明では、アルカリ水溶液で現像することが好
ましい。隔壁のパターニングは、焼成による収縮を考慮
して行うとよい。焼成後の隔壁のサイズとしては、ピッ
チが100〜250μmの範囲、高さが60〜170μ
mの範囲、幅が15〜60μmの範囲内であることが好
ましい。隔壁パターンは、主としてストライプ状に形成
されるが、特に限定されず、格子状である場合もある。
本発明の誘電体ペーストを用いると、格子状の隔壁を形
成した場合でも、誘電体層に亀裂が生じることはない。
ン、誘電体ペースト塗布膜および隔壁パターンを同時に
焼成して、電極、誘電体層および隔壁を形成する。焼成
雰囲気や温度は、ペーストや基板の特性によって異なる
が、通常は空気中で焼成される。焼成炉としては、バッ
チ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることが
できる。バッチ式の焼成の場合、誘電体ペースト塗布膜
の上に隔壁パターンが形成されたガラス基板を、室温か
ら500℃程度まで数時間掛けてほぼ等速で昇温した
後、さらに焼成温度として設定された500〜580℃
に30〜40分間で上昇させて、15〜30分間保持し
て焼成を行うことが好ましい。
〜30分の範囲に設定することで、焼成残渣や隔壁のダ
レなどを抑制することができる。
ル内に、赤、緑および青に発光する蛍光体層を形成して
プラズマディスプレイ用パネルの背面板が構成される。
後、封着およびガス封入し、駆動用ドライバーICを実
装してプラズマディスプレイが作製される。
する。ただし、本発明はこれに限定されるものではな
い。なお、実施例中の濃度は、断りのない限り重量%で
ある。また、実施例表中のバインダー樹脂の添加量は、
溶媒を除いた樹脂のみの添加量を示す。
脂、重合開始剤、架橋剤、低融点ガラス粉末およびフィ
ラーは次のとおりである。 <バインダー樹脂> バインダー樹脂A:アクリル系ポリマー(スチレン/メ
チルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のカルボキ
シル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレート
を付加反応したもの。重量平均分子量43000、酸価
95)。40%γ−ブチロラクトン溶液として用いた。 バインダー樹脂B:エチルセルロース(数平均分子量8
0000)。5%テルピネオール溶液として用いた。 バインダー樹脂C:ポリメタクリル酸イソブチル(数平
均分子量10000)。5%3−メトキシ3−メチルブ
タノール溶液として用いた。 <架橋剤> 架橋剤A:トリメチロールプロパントリアクリレート
(日本化薬(株)製、“TPA330”、3官能) 架橋剤B:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(日本化薬(株)製、“DPHA”、6官能) 架橋剤C:テトラプロピレングリコールジメタクリレー
ト(日本油脂(株)製、“PDP400”、2官能) 架橋剤D:ビス(2−ヒドロキシ−3−メタクリロオキ
シプロピル)イソプロピルアミン(共栄社化学(株)
製、“IP−G”、2官能) <ウレタン化合物> ウレタン化合物A:UA−3348PE(分子量220
00,EO含有率15%) ウレタン化合物B:UA−5348PE(分子量390
00,EO含有率23%) <重合開始剤> 重合開始剤A:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1
−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(開始
剤効率1.0) 重合開始剤B:化合物6(開始剤効率1.0)
効率1.0) 重合開始剤D:アゾビスイソブチロニトリル(開始剤効
率0.7) <無機粉末> 低融点ガラス粉末A:酸化ビスマス38%、酸化ケイ素
6%、酸化ホウ素20% 、酸化亜鉛20%、酸化アルミニウム4%。ガラス転移
点475℃、軟化点515℃、熱膨張係数75×10-7
/℃、密度4.61g/cm3。 低融点ガラス粉末B:酸化亜鉛62%、酸化ケイ素14
%、酸化ホウ素14%、酸化亜鉛4%、酸化アルミニウ
ム2%。ガラス転移点435℃、軟化点465℃、熱膨
張係数75×10-7/℃、密度2.54g/cm3、平
均屈折率1.586、平均粒子径2.6μm。 低融点ガラス粉末C:酸化ビスマス43.3%、酸化ケ
イ素30.4%、酸化ホウ素7.6%、酸化リチウム
7.9%、酸化アルミニウム4.5%、酸化ナトリウム
3.4%、酸化ジルコニア3.1%。ガラス転移点42
3℃、軟化点448℃、熱膨張係数111×10-7/
℃、平均粒子径2.5μm。 低融点ガラス粉末D:酸化鉛42.5%、酸化ホウ素3
2.5%、酸化ケイ素9%、酸化アルミニウム4%、酸
化ストロンチウム12%。ガラス転移点560℃、軟化
点605℃、熱膨張係数75×10-7/℃、密度4.3
2g/cm3、平均粒子径1.8μm。 フィラーA:酸化ケイ素(日本アエロジル社製、“アエ
ロジル200”、軟化点1700℃) フィラーB:導電性酸化チタン(長軸4μm、短軸0.
4μm径) <電極ペーストの調整方法>電極ペーストAおよびB
は、表1に示された各有機成分とジプロピレングリコー
ルモノメチルエーテル(20重量部)を50℃に加熱し
ながら溶解し、続いて、銀微粒子(平均粒子径1.5μ
m、比表面積0.80m2/g、150重量部)および
低融点ガラス粉末(ガラス転移点460℃、軟化点49
5℃、5重量部)を添加し、混練機を用いて混練して作
製した。
ストは、表3に示された各有機成分を50℃に加熱しな
がら溶解し、表3に示された各無機成分を添加して3本
ローラー混練機で混練して作製した。 <隔壁ペーストの調整方法>隔壁ペーストAおよびB
は、表2に示された各有機成分とジプロピレングリコー
ルモノメチルエーテル(20重量部)を50℃に加熱し
ながら溶解し、低融点ガラス粉末(ガラス転移点491
℃、軟化点528℃、24重量部)およびフィラー(平
均屈折率1.59、ガラス転移点652℃、平均粒子径
2.4μm、6重量部)を加熱しながら攪拌し、混練機
を用いて混練して作製した。
(旭硝子社製“PD200”)上に、電極ペーストAを
乾燥後厚みが5μmになるように、スクリーン印刷法
(印刷版:SUS#325)により塗布し、乾燥した。
乾燥後、ピッチ250μm、線幅50μmのストライプ
パターンを有するフォトマスクをセットして露光した。
露光後、0.5%のエタノールアミン水溶液中で現像し
て、ピッチ250μm、線幅60μmのストライプ状電
極パターンを得た。その後、熱風乾燥機を用いて200
℃、15分のキュアを行った。
3に示す誘電体ペーストを、乾燥後厚み15μmになる
ように、スクリーン印刷法(印刷版:SUS#325)
により塗布し、熱風乾燥機を用いて150℃、15分キ
ュアした。
mになるように塗布し、乾燥した。乾燥後、この塗布膜
の上に、ピッチ3000μm、線幅1000μmのスト
ライプパターンを有するフォトマスクをアドレス電極と
直交するような配置でセットして露光を行った。露光さ
れた塗布膜の上に、隔壁ペーストAをさらに塗布し、乾
燥して、乾燥厚さ90μmの塗布膜を形成した。この塗
布膜の上に、ピッチ250μm、線幅30μmのストラ
イプパターンを有するフォトマスクをアドレス電極と平
行になるような配置でセットして露光を行った。露光
後、0.5%のエタノールアミン水溶液中で現像し、ピ
ッチ250μm、線幅40μm、高さ180μmのスト
ライプ状主隔壁パターンとピッチ3000μm、線幅1
000μm、高さ90μmの補助隔壁パターンからなる
格子状隔壁パターンを得ることができた。
塗布層および隔壁パターンを形成した後に、これらを同
時に焼成した。焼成は、ローラーハース式焼成炉を用
い、焼成温度570℃で15分間行った。ピッチ250
μm、線幅50μm、厚み3μmのストライプ状電極、
厚み10μmの誘電体層、およびピッチ250μm、線
幅30μm、高さ120μmのストライプ状主隔壁とピ
ッチ3000μm、線幅800μm、高さ60μmの補
助隔壁からなる格子状隔壁が得られた。いずれも亀裂、
断線などの欠陥は発生しなかった。
面に存在する亀裂の数を数えた。また、誘電体層の気泡
の数と緻密性を評価するために、誘電体層の断面を走査
型電子顕微鏡で観察した。断面100μm2あたりに存
在する直径1μm以上の気泡の数を数えた。緻密性の評
価は、断面が均一であるものを「良好」、不均一なもの
を「劣る」とした。評価結果を表3に示す。
蛍光体層を形成し、前面板と合わせて封着し、ガス注入
を行ってプラズマディスプレイパネルを作製した。クロ
ストーク等の表示欠陥のない良好なディスプレイを得る
ことができた。 (実施例2〜6)誘電体ペースト組成およびキュアの条
件を表3に示すように変更した以外は、実施例1を繰り
返した。電極、誘電体層および隔壁のいずれにもほぼ欠
陥はなく、ディスプレイ用として好適な部材を得ること
ができた。 (実施例7)誘電体ペースト組成を表3に示すように変
更した以外は、実施例1を繰り返した。開始剤の添加量
が少なく誘電体ペースト塗布膜の架橋密度が十分ではな
かったので、誘電体層端部に3ヶ所亀裂が発生したが、
ディスプレイ用として使用可能な程度であった。 (実施例8)誘電体ペースト組成を表3に示すように変
更した以外は、実施例1を繰り返した。開始剤の添加量
が多く誘電体ペースト塗布膜の脱バインダー性が低下し
たので、誘電体層中の気泡が増加したが、ディスプレイ
用として使用可能な程度であった。 (実施例9)熱重合開始剤Bの代わりに熱重合開始剤C
を用いた他は、実施例1を繰り返したところ、ほぼ欠陥
はなく、ディスプレイ用として好適な部材を得ることが
できた。しかし、熱重合開始剤Cの溶解性が低かったた
め、誘電体ペーストを製造後1週間室温で保存したとこ
ろ、熱重合開始剤が一部析出した。この誘電体ペースト
を用いて実施例1を繰り返したところ、誘電体ペースト
塗布膜の架橋密度が低下し、誘電体層端部に8ヶ所亀裂
が発生した。 (実施例10)実施例1に用いた誘電体ペーストを、製
造後1週間室温で保存し、その誘電体ペーストを用いて
実施例1を繰り返した。電極、誘電体層および隔壁のい
ずれにも欠陥はなく、ディスプレイ用として好適な部材
を得ることができた。 (実施例11)熱重合開始剤Bの代わりに熱重合開始剤
Dを用いた他は、実施例1を繰り返した。熱重合開始剤
Dの開始剤効率が低かったため、誘電体ペースト塗布膜
の架橋密度が低下し、誘電体層端部に7ヶ所亀裂が発生
したが、ディスプレイ用として使用可能な程度であっ
た。 (実施例12)架橋剤Aの代わりに架橋剤Cを用いた他
は、実施例1を繰り返した。架橋剤Cが2官能であるた
めに、誘電体ペースト塗布膜の架橋密度が低下し、誘電
体層端部に6ヶ所亀裂が発生したが、ディスプレイ用と
して使用可能な程度であった。 (実施例13)電極パターン形成後のキュアを120℃
で行った他は、実施例1を繰り返した。焼成時に電極に
大きな応力が発生するため、誘電体層端部に5ヶ所亀裂
が発生したが、ディスプレイ用として使用可能な程度で
あった。 (実施例14)誘電体ペースト塗布膜形成後のキュアを
120℃で行った他は、実施例1を繰り返した。誘電体
ペースト塗布膜の硬化が十分でなかったため、誘電体層
端部に9ヶ所亀裂が発生したが、ディスプレイ用として
使用可能な程度であった。 (実施例15)125mm角のガラス基板(旭硝子社製
“PD200”)上に、電極ペーストBを乾燥後厚み1
0μmになるように、スクリーン印刷法により塗布、乾
燥した。スクリーン印刷にはピッチ360μm、線幅8
0μmのストライプパターンを有するスクリーン印刷板
を用い、ピッチ360μm、線幅85μmのストライプ
状電極パターンを得た。その後、IR乾燥機を用いて2
50℃、5分のキュアを行った。
の誘電体ペーストを乾燥後厚み20μmになるように、
スクリーン印刷法(印刷版:SUS#325ベタ面)に
より塗布し、IR乾燥機を用いて230℃、30分のキ
ュアを行った。
法により塗布した。スクリーン印刷板は、ピッチ360
μm、線幅60μmのストライプパターンを有するもの
を、電極パターンと平行になるようにセットして用い
た。塗布、乾燥を繰り返し、ピッチ360μm、線幅6
0μm、高さ200μmのストライプ状隔壁パターンを
得ることができた。
塗布層および隔壁パターンを形成した後に、これらを同
時に焼成した。焼成は、ローラーハース式焼成炉を用
い、焼成温度590℃で10分間行った。ピッチ360
μm、線幅80μm、厚み5μmのストライプ状電極、
厚み14μmの誘電体層、およびピッチ360μm、線
幅50μm、高さ130μmのストライプ状隔壁が得ら
れた。電極、誘電体層および隔壁のいずれにも欠陥はな
く、ディスプレイ用として好適な部材を得ることができ
た。 (実施例16)電極パターン形成後のキュアを行わなか
った他は、実施例15を繰り返した。電極パターンのエ
ッジカールが大きく、誘電体層端部に11ヶ所亀裂が発
生したが、ディスプレイ用として使用可能な程度であっ
た。 (比較例1)誘電体ペーストに重合開始剤を添加せず、
さらに電極パターン形成後および誘電体ペースト塗布後
のキュアの両方を行わなかった他は、実施例15を繰り
返した。電極パターンにおいて多数の断線が観察され、
さらに誘電体層全面に100ヶ所以上の亀裂が発生し
て、ディスプレイ用として好適な部材を得ることができ
なかった。 (比較例2)誘電体ペースト塗布後のキュアを行わなか
った他は、実施例15を繰り返した。誘電体ペースト塗
布膜の架橋密度が低下し、誘電体層全面に80ヶ所程度
の亀裂が発生して、ディスプレイ用として好適な部材を
得ることができなかった。 (比較例3)電極パターン形成後のキュアおよび誘電体
ペースト塗布後のキュアの両方を行わなかった他は、実
施例15を繰り返した。電極パターンにおいて多数の断
線が観察され、さらに誘電体層全面に100ヶ所以上の
亀裂が発生して、ディスプレイ用として好適な部材を得
ることができなかった。
ディスプレイの製造方法を用いれば、亀裂や断線などの
欠陥なく、電極パターン、誘電体ペースト塗布膜および
隔壁パターンの同時焼成を行うことができる。これによ
りプラズマディスプレイを低コストで製造できる。
レイ背面板の分解斜視図である。
面板の分解斜視図である。
Claims (14)
- 【請求項1】少なくともバインダー樹脂、架橋剤、熱重
合開始剤および無機粉末を含み、かつ、バインダー樹脂
および架橋剤100重量部に対して、熱重合開始剤の含
有量が3〜30重量部の範囲である誘電体ペースト。 - 【請求項2】熱重合開始剤の開始剤効率が0.8〜1.
0の範囲である請求項1記載の誘電体ペースト。 - 【請求項3】熱重合開始剤が過酸化ベンゾイル骨格を有
する化合物である請求項1または2記載の誘電体ペース
ト。 - 【請求項4】熱重合開始剤が式(1)で表される化合物
である請求項3記載の誘電体ペースト。 【化1】 (式中、R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜5のアル
キル基またはアラルキル基を示す) - 【請求項5】バインダー樹脂と架橋剤の重量比が、6
0:40〜5:95の範囲である請求項1記載の誘電体
ペースト。 - 【請求項6】架橋剤が3つ以上の官能基を有する化合物
である請求項1記載の誘電体ペースト。 - 【請求項7】無機粉末として軟化点450〜600℃の
ガラス粉末および軟化点650℃以上のフィラーを含
み、かつ、バインダー樹脂および架橋剤100重量部に
対して、該ガラス粉末の含有量が150〜300重量部
の範囲、該フィラーの含有量が50〜200重量部の範
囲である請求項1記載の誘電体ペースト。 - 【請求項8】電極ペーストにより電極パターンを形成す
る工程、誘電体ペーストにより誘電体ペースト塗布膜を
形成する工程、隔壁ペーストにより隔壁パターンを形成
する工程、および、少なくとも電極パターン、誘電体ペ
ースト塗布膜および隔壁パターンを同時に焼成する工程
をこの順に含み、かつ、誘電体ペースト塗布膜を形成す
る工程の後に、キュアを行う工程を含むプラズマディス
プレイの製造方法。 - 【請求項9】キュアを140〜300℃の温度範囲で行
う請求項8記載のプラズマディスプレイの製造方法。 - 【請求項10】誘電体ペースト塗布膜を形成する工程の
後、隔壁パターンを形成する工程の前にキュアを行う請
求項8記載のプラズマディスプレイの製造方法。 - 【請求項11】電極パターンを形成する工程の後、誘電
体ペースト塗布膜を形成する工程の前にもキュアを行う
請求項8記載のプラズマディスプレイの製造方法。 - 【請求項12】電極パターンのキュアを140〜300
℃の温度範囲で行う請求項11記載のプラズマディスプ
レイの製造方法。 - 【請求項13】電極ペーストおよび/または隔壁ペース
トが感光性である請求項8記載のプラズマディスプレイ
の製造方法。 - 【請求項14】電極ペーストにより電極パターンを形成
する工程、請求項1に記載の誘電体ペーストにより誘電
体ペースト塗布膜を形成する工程、隔壁ペーストにより
隔壁パターンを形成する工程、および、少なくとも電極
パターン、誘電体ペースト塗布膜および隔壁パターンを
同時に焼成する工程をこの順に含み、かつ、誘電体ペー
スト塗布膜を形成する工程の後に、キュアを行う工程を
含むプラズマディスプレイの製造方法。
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2002
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