以下、本発明の一実施形態について説明するが、本発明に係る移動体用の発音装置について説明する前に、前記移動体用の発音装置が適用される移動体としての車椅子10について説明する。
車椅子10は、図1に示すように、左右一対の大径の駆動輪11,11を備えるとともに、前輪としての左右一対のキャスタ(自在輪)12、12を備えている。両駆動輪11,11の間には、座部13が形成され、座部13の後側には背もたれ部14が立設されている。座部13及び背もたれ部14は布製とされていて、背もたれ部14の裏面には、荷物などを収納するための布製の袋15が設けられている。駆動輪11,11、キャスタ12,12、座部13及び背もたれ部14は、縦方向に延びる左右一対の縦パイプ16a,16a及び前後方向に延びる左右一対の水平パイプ16b,16bを一体形成したフレームパイプ16によって支持されている。水平パイプ16b,16bから斜め下方に延出パイプ16c,16cが延設されている。延出パイプ16c,16cの下端には、足を載せるためのフットプレート17,17が設けられている。延出パイプ16c、16c間には、ふくらはぎを支える布製のレッグガード18が架け渡されている。座部13の左右上方には、フレームパイプ16に支持された肘当部19,19が設けられている。
駆動輪11,11は、それぞれハンドリム21,21を同軸上に備える。乗員は、ハンドリム21,21を回転操作することにより、車椅子10を手動で移動させることができる。一方、縦パイプ16a,16aの上端部は、それぞれ後方へ向けて屈曲されて握り22,22を構成している。介助者が握り22,22を持って車椅子10を押して移動すれば、車椅子10は介助用ともなる。少なくとも一方の駆動輪11のタイヤ11aには、レバーブレーキ23が設けられている。また、左右の駆動輪11,11のハブ11b,11b内にそれぞれ駆動モータ(図示省略)を設ければ、車椅子10を電動で移動させることがきる。この場合、電動及び手動を選択的に切り換えることもできる。電動の場合には、座部13の前方の左右のいずれか(図1では座部13に座って見て右)から立ち上げられる支持棒24の上端部に操作ボックス25が設けられて、操作ボックス25のジョイスティック25aを操作することにより、左右の駆動モータを制御し、車椅子10を前進、後進、旋回及び停止させることできる。
座部13の下方において、フレームパイプを構成し前後方向に延びる左右各一対のパイプ16d,16d,16d,16d間には、2枚のプレート26,26が前後方向から見てX字型に交差されて架け渡されている。プレート26,26の交差部は、互いに回転可能に組みつけられ、車椅子10を左右方向に伸縮して折り畳むことができる。
次に、上記した車椅子10に適用される本発明に係る発音装置SUについて説明する。この発音装置SUは、図2に下方から見た斜視図で示すようにユニット化されて、詳しくは後述する音を発生するための各種電気回路装置を収容するケース30を備えている。ケース30は、樹脂により方形状に成形されている。なお、この場合、図示矢印方向をケース30の前後方向とし、この前後方向と水平平面内の直交する方向を横方向とする。
ケース30の下面には、ケース30を車椅子10に着脱可能に取り付けるための取り付け部31が一体形成されている。取り付け部31は、基部31a及び突出部31bを有する。基部31aは、ケース30下面の前後方向の略半分の後部において、横方向の幅をケース30の横方向の幅と同一にするとともに一定の厚さで厚肉に形成した方形状の部分である。この基部31aの底面が、ケース30の後側部分の底面を構成する。突出部31bは、基部31aの前端側であって基部31aの底面と垂直をなす端面31cの横方向中央部にて、基部31aの底面から連続して基部31aと同じ肉厚を有するとともに所定幅で前方に突出した部分である。なお、この所定幅は、ケース30の横方向の幅よりも小さい。突出部31bの横方向の両端面には、突出部31bと一体形成されて、ケース30の前側部分の底面31dとの間に上下方向に所定の隙間を隔てて、左右方向に所定幅だけ突出させた薄肉のガイド片31e、31eが設けられている。また、突出部31bの前部分であって左右方向中央部分には、方形状の有底の穴31fが形成されている。
次に、前記のようにユニット化された発音装置SU(すなわちケース30)を車椅子10に着脱可能に取り付けるために、車椅子10側に組み付けられる取付け装置40について説明する。この取付け装置40は、図3に上方から見た斜視図で示すように、座部13の左前方に位置する水平パイプ16bの前端部分に取り付けられるベース41を備えている。なお、この場合も、図示矢印方向をベース41の前後方向とし、この前後方向と水平平面内の直交する方向を横方向とする。なお、この図3に示す前後方向は、車椅子10の左右方向に対応する。
ベース41は、方形の板状に形成されている。ベース41の下面には、クランプ42が設けられている。クランプ42は、一端にてヒンジにより回転可能に連結された一対の円弧状のクランプ部材42a,42aを有する。クランプ部材42a,42aの一方は、その外面にてベース41の下面に固着されている。クランプ部材42a,42aの他端は開放され、それらの端部には半径方向外側へ折り曲げて突出させた突出部42b,42bが設けられている。このクランプ42は、クランプ部材42a,42aの他端を開放した状態で、水平パイプ16bの外周上に組み付けられ、その後に両突出部42b,42bを密着させてねじ43a及びナット43bにより締め付け固定する。
ベース41は、一体的に形成された支持部41a、一対のガイド部41b、41b及び突出片41cからなる。支持部41aは、ベース41の前後方向の後部に位置して、ケース30をベース41に取り付けた状態でケース30を支持する薄肉の部分である。支持部41aの前後方向の長さは、ケース30に設けた基部31aの前後方向の長さにほぼ等しい。支持部41aの横方向の幅は、ケース30すなわち基部31aの横方向の幅にほぼ等しい。ガイド部41b、41bは、支持部41aの前端面の左右両側位置にて、左右方向中央にケース30の突出部31bの横幅よりも少なくとも大きくかつほぼ等しい大きさの間隔をおいて、支持部41aから前方にそれぞれ突出するように形成されている。ガイド部41b,41bは、ケース30の端面31cの高さ分だけ、支持部41aよりも厚肉に形成されて支持部41aとの境に段差を有する。また、ガイド部41b、41bの各内側端面側には、前後方向に沿ったガイド溝41d,41dがそれぞれ設けられている。ガイド溝41d,41dの上下方向の溝幅は、ケース30のガイド片31e、31eの厚さよりも少なくとも大きくかつほぼ等しい。ガイド溝41d,41dの左右方向の溝深さは、ケース30のガイド片31d,31dの左右方向の長さよりも少なくとも大きくかつほぼ等しい。
突出片41cは、支持部41aの前端面における左右方向中央位置にて、ガイド部41b、41bとの間に若干の隙間を隔てて、支持部41aから前方に突出するように形成されている。突出片41cは、その上面を支持部41aの上面と同一にするとともに、その厚さも支持部41aと同じである。突出片41cの前後方向の長さは、ケース30の突出部31bの長さよりも長い。また、突出片41cは、上下方向に弾性変形可能である。突出片41cの上面には、ケース30の穴31fに侵入して、穴31fに係合する突起41eが設けられている。突起41eは、突起41eが穴31fに侵入し易くするために、前後方向の断面形状を三角形状とする三角柱に形成されている。支持部41aの前端面から突起41eまでの距離は、ケース30における基部31aの端面31cから穴31fまでの距離に等しい。
このように構成したベース41を前述のようにして水平パイプ16bに組み付けた状態で、ケース30をベース41に取り付ける方法について説明する。ユーザは、ケース30の突出部31bの下面をベース41の支持部41aの上面に当接させる。そして、ケース30のガイド片31e,31eをベース41のガイド溝41d,41d内に侵入させながら、ケース30をベース41に対して前方へ移動させる。ケース30の突出部31bの底面がベース41の突起41e上に来ると、突出片41cは突起41eに押されて弾性的に下方へ撓む。さらに、ケース30を押し込んで、ケース30の穴31fがベース41の突起41eの位置まで来ると、突起41eが穴31f内に侵入して穴31fに係合し、突出片41cは元の位置に戻る。この状態では、ケース30の基部31aの端面31cは、ベース41のガイド部41b、41bの後端面に当接する。これにより、ケース30は、ベース41上に簡単に取り付けられるとともに、安定して固定される。
一方、ユーザがケース30をベース41から取外した場合には、ユーザは突出片41cを下方に押し下げて、突起41eと穴31fの係合を解除する。この係合解除状態で、ユーザはケース30を後方へ水平に引っ張れば、ケース30をベース41から簡単に取り外すこともできる。
次に、発音装置SUについて説明する。この発音装置SUは、図5のブロック図に示すような操作スイッチ、センサ、各種電気回路などがケース30内に収容され、外部に設けられた電源から電力が供給されるようになっている。電源として、リチウム電池等の電池を用いることができる。この場合、図1に示すように、電池ボックス50を、車椅子10の背もたれ部14の背面側の袋15内に収容することができる。電池ボックス50に接続された配線51は、車椅子10の適宜箇所を引き回されてケース30に導かれて、ケース30に設けた図示しない電源コネクタに接続される。なお、電池として小型の電池を用い、同電池をケース30自体に組み付けることもできる。
操作スイッチについて説明すると、後述する各種操作スイッチは、ケース30の上面を押圧することにより変形させて、その押圧操作を検出するシートスイッチ(又はメンブレンスイッチ)で構成されている。これらの操作スイッチの機能について、ケース30の表面に設けた表示と共に図4を用いて説明する。電源スイッチ61aは電源のオン・オフスイッチであり、電源のオン時にはケース30の上面に設けた発光ダイオード61bが点灯する。なお、電源スイッチ61a及び発光ダイオード61bの詳しい説明に関しては、後述の説明でも省略する。警報スイッチ61cは、その押圧操作ごとに後述する警報音を発生させる。これらの電源スイッチ61a及び警報スイッチ61cの他に、各操作又は組み合わせ操作により、発生音の音量、自動演奏の曲名、作動モードなどの各種要素を変更するための他の複数の操作スイッチ61dが設けられている。なお、発光ダイオード61bを、電源表示に限らず他の表示に用いることもできる。さらには、ケース30の上面に、操作スイッチ61dの操作により設定される各種要素を表示する液晶表示器を設けて、この液晶表示器の表示画面を見ながら操作スイッチ61dを操作することにより前記各種要素を設定できるようにしてもよい。これによれば、前記各種要素の設定を簡単に行うことができるようになる。
次に、ケース30内に設けた電気回路装置について説明する。電気回路装置は、図5のブロック図に示すように、前述した警報スイッチ61c及びその他の操作スイッチ61dの他に、加速度センサ62を備えている。加速度センサ62は、半導体素子によって構成されていて車椅子10の前後方向の加速度を検出する。したがって、この加速度センサ62は、車椅子10の前後方向すなわち図2ではケース30の左右方向の加速度を検出するように、ケース30内に組み込まれている。
これらの警報スイッチ61c、その他の操作スイッチ61d及び加速度センサ62は、音発生制御部63に接続されている。音発生制御部63は、CPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータにより構成されていて、図6の初期設定プログラム及び図7の発音制御プログラム(図8の自動演奏制御ルーチン及び図9の音階音発生制御ルーチンを含む)を実行する。これらのプログラムの実行により、音発生制御部63は、自動演奏、音階音、警報音などの発生される音の種類を選択するとともに、車椅子10の走行状態に応じて音の発生態様を制御する。この音発生制御部63には、自動演奏部64及び音階音発生部65、音源回路66及び警報音発生部67が接続されている。
自動演奏部64も、CPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータにより構成されていて、音発生制御部63により制御されるとともに図示しないプログラムの実行により、読出しカウンタ値をテンポTMPによって指定される速度で歩進させて、この歩進される読出しカウンタ値を用いて、ROM内に記憶された自動演奏データを楽曲の進行に従って読み出す。この自動演奏データの読出しに従って、音源回路66を制御することにより、楽曲の進行に従った楽音を音源回路66から発生させて自動演奏を実現する。自動演奏の作動、自動演奏曲の選択及び自動演奏のテンポに関しては、音発生制御部63の制御に従う。このような自動演奏を実現する自動演奏部64は周知であるので、これ以上の詳しい説明を省略する。
自動演奏部64のROM内又は別途設けたメモリ装置内には、複数曲(例えば、10曲程度)の自動演奏データが記憶されている。各楽曲の自動演奏データは、図14に示すように、曲番号MNO、複数のタイミングデータ及びイベントデータ、エンドデータなどからなる。曲番号MNOは、楽曲の順番を表し、例えば一番目の曲であれば、曲番号MNOが「1」とされている。タイミングデータは、イベントの出現タイミングを表すもので、曲の開始からの小節、拍及び拍内タイミング、すなわち曲開始からの時間を表す。イベントデータは、タイミングデータに対応して設けられ、タイミングデータによって指定されるタイミングにおける楽音の制御イベントを表す。この制御イベントには、キーオンイベントデータ及びキーオフイベントデータが含まれる。キーオンイベントデータは、楽音の発生開始を表すキーオンデータKONと、発生開始される楽音の音高を表すノートナンバ(音高データ)NTとからなる。キーオフイベントデータは、楽音の発生停止を表すキーオフデータKOFと、発生停止される楽音の音高を表すノートナンバ(音高データ)NTとからなる。なお、自動演奏データには、発生楽音の音色、効果(ビブラート、トレモロ等)等を制御するデータも含まれているが、本発明には直接関係しないので、それらの詳しい説明を省略する。
音階音発生部65も、CPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータにより構成されていて、音発生制御部63により制御されるとともに図10の音階音発生プログラムの実行により、音源回路66を制御して音階音信号を音源回路66から発生させる。この場合、音階音発生部65は、音階音の発生制御のために、前記自動演奏部64と同様なキーオンイベントデータ及びキーオフイベントデータを音源回路66に出力する。音階音の発生動作及び発生される音階音の音高ピッチ(ノートナンバNT)に関しては、音発生制御部63の制御に従う。なお、音発生制御部63、自動演奏部64及び音階音発生部65においては、マイクロコンピュータを独立に設けてもよいが、共通のマイクロコンピュータを利用するようにしてもよい。さらに、大容量の外部メモリ装置MEMを音発生制御部63に接続して、この発音装置SUで利用される各種データを、音発生制御部63、自動演奏部64及び音階音発生部65に供給できるようにしてもよい。特に、自動演奏部64内に記憶される自動演奏データの数は少ないので、多くの楽曲に関する自動演奏を行わせる場合には、この外部メモリ装置MEMから自動演奏データを自動演奏部64に供給するようにするとよい。
音源回路66は、前記キーオンイベントデータ及びキーオフイベントデータを入力して、ノートナンバによって指定される音高の楽音信号の発生を開始させるとともに、発生楽音信号を減衰させて停止させる。この楽音信号の発生開始及び発生停止について図面を用いて簡単に説明しておく。音源回路66は、キーオンイベントデータを入力すると、ノートナンバNTにより表された音高ピッチの楽音信号を生成するととともに、図15に示すように、生成された楽音信号にキーオンデータ(キーオンイベントデータ)の到来タイミングからアタック、ディケイ及びサステインの順に変化するエンベロープ波形を付与して出力する。一方、キーオフイベントデータを入力すると、音源回路66は、現在発生中の楽音信号のうちでノートナンバNTにより表された音高ピッチに対応する楽音信号を探し、図15に示すように、生成中の楽音信号にキーオフデータ(キーオフイベントデータ)の到来タイミングから減衰するリリースのエンベロープ波形を付与して出力する。リリースのエンベロープ波形が減衰し終えた時点で、楽音信号の発生は終了する。また、音源回路66は、音発生制御部63から発生楽音信号の音量を表す音量VOLも入力するようになっており、前記発生楽音信号のトータルの音量レベルを前記入力した音量VOLに応じて制御して出力する。
警報音発生部67は、警報音をサンプリングした一連の波形データを記憶していて、音発生制御部63からの発生指示により、記憶しておいた波形データを読み出して出力する。波形データとしては、普通車両と同じような警報音でもよいが、楽器音であったり、人間の声(例えば、「すみません」の声)であってもよい。さらには、機関車音等のダミー音(擬似音)、風鈴等の効果音、虫の声及び流水音等の自然な音なども可能である。
音源回路66及び警報音発生部67には、D/A変換器71,72が接続されている。D/A変換器71,72は、音源回路66及び警報音発生部67からのディジタル形式の音信号をアナログ信号に変換して出力する。これらの出力されたアナログ形式の音信号は、ミキシング用の抵抗73,74によってミキシングされて増幅器75に供給される。増幅器75は、供給されたアナログ形式の音信号を増幅してスピーカ76に導く。スピーカ76は、供給された音信号に対応した音を放音する。放音された音は、ケース30のスピーカ76に対向する位置に設けた図示しない多数の穴から外部に出力される。
次に、上記のように構成した本実施形態の動作を説明する。まず、発音装置SU(ケース30)が車椅子10に取り付けられる。具体的には、図1に示すように、予め水平パイプ16bに組み付けられたベース41に、ケース30が取り付けられる。また、電池ボックス50が背もたれ部14の背面の袋15内に入れられ、電池ボックス50は配線51を介してケース30に接続される。そして、乗員が座部13に着座して、ケース30の上面の電源スイッチ61aを押圧操作すると、電池ボックス50から発音装置SU(ケース30)に電力が供給され始めて、発音装置SUが作動し始める。
この作動開始により、音発生制御部63は、図6の初期設定プログラムを実行し始める。初期設定プログラムの実行は、ステップS10で開始され、ステップS11にて、発音モードSMD、曲番号MNO、テンポパターンTPT、テンポTMP、音量パターンVPT、音量VOL、音高ピッチPIT、自動演奏フラグRUN及び音階音発生フラグTPGを初期値に設定する。
発音モードSMDは、自動演奏部64による自動演奏音及び音階音発生部65による音階音の発生を選択的に指定するもので、“0”により自動演奏音及び音階音の両方共発生しないモードを表し、“1”により自動演奏音のみを発生するモードを表し、“2”により音階音のみを発生するモードを表す。この初期設定においては、発音モードSMDは、例えば“1”に設定されるが、その他のモードを表す値に設定されるようにしてもよい。曲番号MNOは、自動演奏部64に記憶されている複数の楽曲の自動演奏データのうちのいずれ一つを指定するものである。この初期設定では、曲番号MNOは、例えば1番目の楽曲を表す「1」に設定される。
テンポパターンTPTは、車椅子10の走行速度Vと自動演奏のテンポTMPとの関係を記憶した複数のテンポパターンテーブルのうちの1つを指定するものである。複数のテンポパターンテーブルは、音発生制御部63のマイクロコンピュータ(ROM)内に予め記憶されている。本実施形態においては、図11(A)(B)に実線で示す特性を有する2つのテンポパターンテーブルが用意されている。図11(A)に実線で示す特性を有するテンポパターンテーブルには、所定の速度V1から車椅子10の走行速度Vが上昇するに従って、所定のテンポTMP1から線形的に増加するテンポTMPが記憶されている。図11(B)に実線で示す特性を有するテンポパターンテーブルには、車椅子10の走行速度Vが所定の速度V1以上において、前記テンポTMP1よりも大きな所定のテンポTMP2が記憶されている。なお、前記所定の速度V1は、車椅子10が走行開始したときに自動演奏音又は音階音の発生を開始させようとするための速度であり、例えば時速1km程度の値に設定されている。テンポパターンTPTは、“1”により図11(A)
に実線で示すテンポパターンを指定し、“2”により図11(B)に実線で示すテンポパターンを指定する。この初期設定においては、テンポパターンTPTは例えば“1”に設定され、テンポTMPは前記所定のテンポTMP1に設定される。なお、図11(A)に破線で示すような特性で変化するテンポTMP及び図11(B)に破線で示すような特性で変化するテンポTMPを表すテンポパターンテーブルを用意しておいて、さらに多くのテンポパターン特性が選択されるようにしてもよい。また、図11(A)のテンポパターンにおいて、走行速度Vに応じて非線形で増加するテンポTMPを表すテンポパターンを用意するようにしてもよい。
音量パターンVPTは、車椅子10の走行速度Vと発生楽音の音量VOLとの関係を記憶した複数の音量パターンテーブルのうちの1つを指定するものである。複数の音量パターンテーブルも、音発生制御部63のマイクロコンピュータ(ROM)内に予め記憶されている。本実施形態においては、図12(A)(B)に実線で示す特性を有する2つの音量パターンテーブルが用意されている。図12(A)に実線で示す特性を有する音量パターンテーブルには、所定の速度V1から車椅子10の走行速度Vが上昇するに従って、所定の音量VOL1から線形的に増加する音量VOLが記憶されている。図12(B)に実線で示す特性を有する音量パターンテーブルには、車椅子10の走行速度Vが所定の速度V1以上において、前記音量VOL1よりも大きな所定の音量VOL2が記憶されている。なお、前記所定の速度V1は、前記テンポTMPの場合と同じである。音量パターンVPTは、“1”により図12(A)
に実線で示す音量パターンを指定し、“2”により図12(B) に実線で示す音量パターンを指定する。前記初期設定においては、音量パターンVPTは例えば“1”に設定され、音量VOLは前記所定の音量VOL1に設定される。なお、音量パターンにおいても、前記テンポパターンの場合と同様に、図12(A)(B)に破線で示すような特性で変化する音量VOLを表す音量パターン、走行速度Vの増加に従って非線形で増加する音量VOLを表す音量パターンなどを用意するようにしてもよい。
音高ピッチPITは、音階音発生部65にて発生される楽音信号の音高を指定するものである。この音高ピッチPITは、後述する音階音発生制御ルーチンにて、車椅子10の走行速度Vに応じて発生させる音階音信号の音高を指定するもので、具体的には、ハ長調のド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ドからなる音階音の音高ピッチである。この音高ピッチPITを決定するために、音発生制御部63のマイクロコンピュータ(ROM)には速度−音高テーブルが記憶されている。速度−音高テーブルは、図13に示すように、車椅子10の走行速度Vが所定の速度V1以上において、所定速度ごとに音高を階段的に上昇させる音高ピッチPITを記憶している。なお、前記所定の速度V1は、前記テンポTMPの場合と同じである。前記初期設定においては、音高ピッチPITは、音階音を発生しないことを表す「0」に設定される。
自動演奏フラグRUNは、自動演奏部64による自動演奏動作の作動を制御するフラグであり、“0”により自動演奏の停止中を表し、“1”により自動演奏の作動中を表す。前記初期設定では、自動演奏フラグRUNは“0”に設定される。音階音発生フラグTPGは、音階音発生部65による音階音の発生動作を制御するフラグであり、“0”により音階音の発生停止中を表し、“1”により音階音の発生中を表す。前記初期設定では、音階音発生フラグTPGは“0”に設定される。
前記ステップS11の処理後、音発生制御部63は、ステップS12にて、前記初期設定された曲番号MNO(=1)、テンポTMP(=TMP1)及び自動演奏フラグRUN(=0)を自動演奏部64に出力する。自動演奏部64は、これらの出力された曲番号MNO(=1)、テンポTMP(=TMP1)及び自動演奏フラグRUNを記憶して、自動演奏音の発生を準備する。すなわち、曲番号MNOにより指定される楽曲の自動演奏データの読出しを準備し、読出しカウンタ値を初期化し、自動演奏のテンポをテンポTMPに設定する。ただし、自動演奏フラグRUNは“0”であるので、この状態では、自動演奏データの読み出しすなわち再生は行われない。
次に、音発生制御部63は、ステップS13にて、前記初期設定された音量VOL(=VOL1)を音源回路66に出力する。音源回路66は、この出力された音量VOLを記憶して、音源回路66からその後に供給される楽音信号の音量を音量VOLに応じて制御する。
次に、音発生制御部63は、ステップS14にて、前記初期設定された音高ピッチPIT(=0)及び音階音発生フラグTPG(=0)を音階音発生部65に出力する。音階音発生部65は、これらの出力された音高ピッチPIT及び音階音発生フラグTPGを記憶して、音階音の発生を準備する。ただし、音高ピッチPITは「0」であり、かつ音階音発生フラグTPGは“0”であるので、この状態では、音階音の発生は開始されない。前記ステップS14の処理後、音発生制御部63は、ステップS15にてこの初期設定プログラムの実行を終了する。
前記初期設定プログラムが終了すると、音発生制御部63は、図7の発音制御プログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行する。発音制御プログラムの実行はステップS20にて開始され、ステップS21にて、加速度センサ62から検出加速度を入力し、入力した加速度を積分演算して車椅子10の走行速度Vを計算する。このステップS21の積分演算処理は、発音制御プログラムの実行タイミングごと、すなわち所定の短時間ごとに実行されるので、車椅子10の走行速度Vが計算される。
前記ステップS21の処理後、音発生制御部63は、ステップS22にて、操作スイッチ61dのいずれかの操作に応じて、発音モードSMD、曲番号MNO、テンポパターンTPT及び音量パターンVPTを変更する。操作スイッチ61dが前記変更のために操作されなければ、発音モードSMD、曲番号MNO、テンポパターンTPT及び音量パターンVPTは変更されずに以前の状態に保たれる。なお、後述する処理のために、発音モードSMD、曲番号MNO、テンポパターンTPT及び音量パターンVPTの変更の有無を表すデータは、このステップS22の処理によって記憶保存される。次に、音発生制御部63は、ステップS23にて、前記ステップS22の処理によって曲番号MNOが変更されたか否を判定する。曲番号MNOが変更されなかった場合には、ステップS23にて「No」と判定し、プログラムをステップS25に進める。曲番号MNOが変更された場合には、ステップS23にて「Yes」と判定し、ステップS24にて、変更された曲番号MNOを自動演奏部64に出力する。自動演奏部64は、以前から記憶されている曲番号MNOを前記出力された曲番号MNOに更新し、この更新された曲番号MNOによって指定される楽曲の自動演奏データの再生を準備する。
次に、音発生制御部63は、ステップS25にて、前記ステップS22の処理によって発音モードSMDが変更されたか否かを判定する。発音モードSMDが変更されなかった場合には、ステップS25にて「No」と判定し、プログラムをステップS35以降に進める。発音モードSMDが変更された場合には、ステップS25にて「Yes」と判定し、ステップS26〜S28の判定処理を実行する。ステップS26においては、発音モードSMDが“0”(自動演奏音及び音階音を非発生)に変更されたか否かが判定される。ステップS27においては、発音モードSMDが“2”(音階音を発生)から“1”(自動演奏音を発生)に変更されたか否かが判定される。ステップS28においては、発音モードSMDが“1”(自動演奏音を発生)から“2”(音階音を発生)に変更されたか否かが判定される。
発音モードSMDが“0”(自動演奏音及び音階音を非発生)に変更された場合、ステップS26にて「Yes」と判定し、ステップS29にて、自動演奏フラグRUN及び音階音発生フラグTPGを作動停止中を表す“0”に設定する。そして、ステップS30にて、“0”に設定された自動演奏フラグRUNを自動演奏部64に出力するとともに、“0”に設定された音階音発生フラグTPGを音階音発生部65に出力する。これにより、自動演奏部64は、自動演奏音信号の発生動作中であれば、自動演奏音信号の発生を停止する。音階音発生部65は、音階音信号の発生動作中であれば、音階音信号の発生を停止する。
発音モードSMDが“2”(音階音を発生)から“1”(自動演奏音を発生)に変更された場合、ステップS27にて「Yes」と判定し、ステップS31にて、音階音発生フラグTPGを作動停止中を表す“0”に設定する。そして、ステップS32にて、“0”に設定された音階音発生フラグTPGを音階音発生部65に出力する。これにより、音階音発生部65は、音階音信号の発生動作中であれば、発生中の音階音信号の発生を停止する。
発音モードSMDが“1”(自動演奏音を発生)から“2”(音階音を発生)に変更された場合、ステップS28にて「Yes」と判定し、ステップS33にて、自動演奏フラグRUNを作動停止中を表す“0”に設定する。そして、ステップS34にて、“0”に設定された自動演奏フラグRUNを自動演奏部64に出力する。これにより、自動演奏部64は、自動演奏音信号の発生動作中であれば、発生中の自動演奏音信号の発生を停止する。
なお、発音モードSMDが“0”(自動演奏音及び音階音を非発生)から“1”(自動演奏音を発生)に変更された場合、及び発音モードSMDが“0”(自動演奏音及び音階音を非発生)から“2”(音階音を発生)に変更された場合には、ステップS26〜S28にてそれぞれ「No」と判定される。そして、この場合には、ステップS29〜S34の処理は実行されない。これは、ステップS29〜S34の処理は、発生中の自動演奏音信号及び音階音信号の発生を停止するもので、自動演奏音信号及び音階音信号の発生開始に関しては、後述の自動演奏制御ルーチン及び音階音発生制御ルーチンにより制御されるからである。
前記ステップS25〜34の処理後、音発生制御部63は、ステップS35,S36にて、発音モードSMDが“1”(自動演奏音を発生)又は“2”(音階音を発生)であるかを判定する。発音モードSMDが“1”であれば、ステップS35にて「Yes」と判定して、ステップS37にて自動演奏制御ルーチンを実行して自動演奏音の発生を制御する。発音モードSMDが“2”であれば、ステップS36にて「Yes」と判定して、ステップS38にて音階音発生制御ルーチンを実行して音階音の発生を制御する。なお、これらの自動演奏音及び音階音の発生制御については、詳しく後述する。発音モードSMDが“1”でも“2”でもなければ、ステップS35,S36にてそれぞれ「No」と判定して、プログラムをステップS39に進める。
ステップS39においては、音発生制御部63は、警報スイッチ61cが押圧操作されたか否かを判定する。警報スイッチ61cの押圧操作が検出されなければ、ステップS39にて「No」と判定して、ステップS41にてこの発音制御プログラムの実行を一旦終了する。一方、警報スイッチ61cの押圧操作が検出されると、ステップS39にて「Yes」と判定して、ステップS40にて警報音の発生指示を警報音発生部67に出力して、ステップS41にてこの発音制御プログラムの実行を一旦終了する。この警報音の発生指示に応答して、警報音発生部67は、ディジタル形式の警報音信号を生成して、同生成したディジタル形式の警報音信号をD/A変換器72、ミキシング用の抵抗74及び増幅器75を介してスピーカ76に供給し、スピーカ76から前記警報音信号に対応した警報音を放音する。これにより、乗員が警報スイッチ61cを押圧操作すれば、車椅子10の走行状態とは無関係に、すなわち自動演奏音及び音階音とは無関係に、常に乗員の意志による警報音を発生させることができる。これにより、車椅子10の走行安全性が増す。なお、後述する自動演奏音又は音階音の発生中に、この警報音の発生が指示された場合には、前記自動演奏音又は音階音の発生を中断するようにしてもよい。
次に、発音モードSMDが“1”(自動演奏音を発生)に設定されている状態で実行される図7のステップS37の自動演奏制御ルーチンについて詳しく説明する。この自動演奏制御ルーチンは、図8に詳細に示されており、その実行がステップS50にて開始される。この実行開始後、音発生制御部63は、ステップS51にて、自動演奏フラグRUNが“0”であるか、すなわち自動演奏部64が非作動状態であるかを判定する。自動演奏フラグRUNが“0”であれば、ステップS51にて「Yes」と判定し、ステップS52にて前記計算した車椅子の走行速度Vが、前記所定の速度V1(図11及び図12参照)より微小な値ΔVだけ大きな値V1+ΔV以上であるかを判定する。走行速度Vが値V1+ΔV未満であれば、ステップS52にて「No」と判定して、ステップS62にてこの自動演奏制御ルーチンの実行を終了する。この状態では、自動演奏音は発生されない。
一方、走行速度Vが値V1+ΔV以上になると、音発生制御部63は、ステップS52にて「Yes」と判定し、ステップS53にて、自動演奏フラグRUNを“1”(自動演奏音を発生)に設定する。そして、ステップS54にて、“1”に設定した自動演奏フラグRUNを自動演奏部64に出力する。自動演奏部64は、この自動演奏フラグRUNを記憶し、自動演奏動作を開始する。この場合、自動演奏部64は、直前に設定された曲番号MNOにより指定される楽曲の自動演奏データを、読出しカウンタ値を用いて、直前に設定されたテンポTMPに応じた速さで読出す。そして、読出した自動演奏データすなわちキーオンイベントデータ及びキーオフイベントデータを音源回路66に供給して、楽音信号の発生開始及び終了を制御する。音源回路66は、キーオンイベントデータ及びキーオフイベントデータに応じて楽音信号を生成するとともに、生成した楽音信号の音量を音発生制御部63によって直前に設定された音量VOLに応じて制御する。音源回路66で生成された楽音信号は、D/A変換器71、ミキシング用の抵抗73及び増幅器75を介してスピーカ76に供給され、スピーカ76から前記生成された楽音信号に対応した音を放音する。したがって、スピーカ76から自動演奏による楽曲音が放音されることになる。
次に、音発生制御部63は、ステップS55にて、テンポパターンTPTにより指定されるテンポパターンテーブルを参照し、前記計算した走行速度Vに応じたテンポTMPを設定する。なお、テンポパターンTPTは、前記初期設定され、又は前記図7のステップS22の処理によって変更されたものである。そして、ステップS56にて、前記設定したテンポTMPを自動演奏部64に出力する。自動演奏部64は、この出力されたテンポTMPで直前に記憶したテンポTMPを更新する。したがって、自動演奏部64はこの更新したテンポTMPに応じた速さで自動演奏データを読出すようになる。その結果、車椅子10の走行速度Vが変化して、テンポTMPが変更されると、自動演奏データの読出し速度、すなわち自動演奏データの再生速度も変更される。この走行速度Vに応じたテンポTMPの変更は、テンポパターンTPTによって指定される図11(A)(B)の速度−テンポ特性に従う。
前記ステップS56の処理後、音発生制御部63は、ステップS57にて、音量パターンVPTにより指定される音量パターンテーブルを参照して、走行速度Vに応じた音量VOLを設定する。なお、音量パターンVPTも、前記初期設定され、又は前記図7のステップS22の処理によって変更されたものである。そして、ステップS58にて、前記設定した音量VOLを音源回路66に出力する。音源回路66は、この出力された音量VOLで直前に記憶した音量VOLを更新する。したがって、音源回路66は、自動演奏部64の制御による自動演奏音の音量を前記更新した音量VOLに応じて制御して出力するようになる。その結果、車椅子10の走行速度Vが変化して、音量VOLが変更されると、自動演奏音の音量も変更される。この走行速度Vに応じた音量VOLの変更は、音量パターンVPTによって指定される図12(A)(B)の速度−音量特性に従う。
一方、前記のように自動演奏フラグRUNが“1”である状態で、この自動演奏制御ルーチンが実行された場合には、音発生制御部63は、前記ステップS51にて「No」と判定して、プログラムをステップS59に進める。ステップS59においては、走行速度Vが前記所定の速度V1(図11及び図12参照)より微小な値ΔVだけ小さな値V1−ΔV以下であるかを判定する。走行速度Vが値V1−ΔV以下でなければ、ステップS59にて「No」と判定して、前述したステップS55〜S58の処理を実行する。したがって、この場合には、前記自動演奏動作が続行される。なお、ステップS52の比較値V1+ΔVとステップS59の比較値V1−ΔVとの間に差を設けたのは、所定の速度V1近辺で走行速度Vが変化した場合に、自動演奏フラグRUNが“0”と“1”の間で繰り返し変化することがないようにするためである。
また、走行速度Vが前記値V1−ΔV以下になると、音発生制御部63は、ステップS59にて「Yes」と判定して、ステップS60にて自動演奏フラグRUNを“0”に設定する。そして、ステップS61にて、“0”に設定した自動演奏フラグRUNを自動演奏部64に出力する。自動演奏部64は、この自動演奏フラグRUNを記憶し、自動演奏動作を停止する。したがって、車椅子10の走行速度Vがほぼ所定速度V1以下になると、自動演奏音の発生が停止する。
次に、発音モードSMDが“2”(音階音を発生)に設定されている状態で実行される図7のステップS38の音階音発生制御ルーチンについて詳しく説明する。この音階音発生制御ルーチンは、図9に詳細に示されており、その実行がステップS70にて開始される。この実行開始後、音発生制御部63は、前述した図8のステップS51,S52,S59と同様なステップS71,S72,S79の判定処理を実行する。ただし、ステップS71においては、前記自動演奏フラグRUNに代えて、音階音発生フラグTPGが“0”か否かが判定される。これらのステップS71,S72,S79の判定処理により、車椅子10の走行速度Vが前記と同じ所定速度V1+ΔV以上になると、ステップS72にて「Yes」と判定して、ステップS73〜S78の処理を実行する。そして、走行速度Vが所定速度V1−ΔV以下になるまで、ステップS79の「No」との判定処理により、ステップS75〜S78の処理が実行され続ける。一方、車椅子10の走行速度Vが前記と同じ所定速度V1−ΔV以下になると、ステップS79にて「Yes」と判定して、ステップS80,S81の処理を実行する。そして、走行速度Vが所定速度V1+ΔV以上になるまで、ステップS72の「No」との判定処理により、ステップS73〜S78,S80,S81の処理は実行されない。
ステップS73においては、音発生制御部63は、音階音発生フラグTPGを“1”(音階音を発生)に設定する。そして、ステップS74にて、“1”に設定した音階音発生フラグTPGを音階音発生部65に出力する。音階音発生部65は、この音階音発生フラグTPGを記憶し、音階音の発生動作を開始する。この音階音の発生動作に関しては、詳しく後述する。
次に、音発生制御部63は、ステップS75にて、音高パターンテーブルを参照し、前記計算した走行速度Vに応じた音高ピッチPITを設定する。そして、ステップS76にて、前記設定した音高ピッチPITを音階音発生部65に出力する。音階音発生部65は、この出力された音高ピッチPITで直前に記憶した音高ピッチPITを更新する。そして、音階音発生部65は、この音高ピッチPITを用いて、後述する処理により音階音信号を生成する。その結果、車椅子10の走行速度Vが変化して、音高ピッチPITが変更されると、音階音発生部65にて音階音の発生に利用される音高ピッチPITが変更される。次に、音発生制御部63は、前記図8のステップS57,S58と同じステップS77,S78の処理により、音源回路66によって生成される音階音信号の音量を、走行速度Vに応じた音量VOLに応じて制御する。
また、音階音発生フラグTPGが“1”である状態で、走行速度Vが所定速度V1−ΔV以下になった場合に実行されるステップS80,S81においては、音階音発生フラグTPGが“0”に設定されるとともに、音階音発生部65に出力される。したがって、この場合には、発生中の音階音の発生が停止制御される。
次に、音階音発生部65の音階音信号の発生動作について説明する。音階音発生部65は、電源スイッチ61aの投入による電力の供給による作動開始以来、図10の音階音発生プログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行している。この音階音発生プログラムの実行はステップS100にて開始され、音階音発生部65は、ステップS101にて、音発生制御部63から供給される音階音発生フラグTPGが“1”(音階音を発生)であるか否かを判定する。音階音発生フラグTPGが“0”であれば、ステップS101にて「No」と判定して、ステップS102にてタイミングカウント値TCNTを「0」に設定して、ステップS111にてこの音階音発生プログラムの実行を一旦終了する。このタイミングカウント値TCNTは、音階音の発生周期を決定するもので、後述するステップS105の処理により、カウントアップされる。なお、前記のように音階音発生フラグTPGが“0”であれば、タイミングカウント値TCNTは「0」に保たれる。
一方、音階音発生フラグTPGが“1”(音階音を発生)であると、音階音発生部65は、ステップS101にて「Yes」と判定して、ステップS103にて直前の音階音発生フラグTPGが“0”あったか否かを判定する。この直前の音階音発生フラグTPGとは、今回よりも1回前の音階音発生プログラムの実行時の音階音発生フラグTPGであり、この直前の音階音発生フラグTPGは図示しない処理により記憶されている。直前の音階音発生フラグTPGが“0”であることは、以前に音階音の発生制御は行われていなかったことを意味する。したがって、今回の音階音発生フラグTPGが“1”であり、かつ直前の音階音発生フラグTPGが“0”であることは、音階音の非発生状態から音階音の発生状態へ切り換えられたことを示す。
したがって、この場合には、ステップS103にて「Yes」と判定して、前記状態の切換えから即座に音階音を発生させるために、ステップS104にて、音階音発生部65に現在記憶されている音高ピッチPITに対応したノートナンバNTと、キーオンデータとを音源回路66に出力する。この音高ピッチPITは、前記音発生制御部63の図9のステップS76の処理によって入力されるごとに、音階音発生部65に更新記憶されているものである。音源回路66は、このキーオンデータの到来に応答して、ノートナンバNTに対応した音高周波数の楽音信号を生成し始めて、生成した楽音信号の音量を音発生制御部63によって直前に設定された音量VOLに応じて制御する。音源回路66で生成された楽音信号は、D/A変換器71、ミキシング用の抵抗73及び増幅器75を介してスピーカ76に供給され、スピーカ76から前記生成された楽音信号に対応した音を放音する。したがって、スピーカ76から車椅子10の走行速度Vに応じた音高周波数を有する楽音が発音され始める。なお、このステップS104の処理は、音階音発生フラグTPGが“1”(音階音を発生)に切換えられたときに、前記切換えに同期して楽音を発生するための処理で、その後はステップS103における「No」との判定処理のために実行されない。
前記ステップS103,S104の処理後、音階音発生部65は、ステップS105にて、タイミングカウント値TCNTに「1」を加算する。そして、ステップS106にて、タイミングカウント値TCNTがオフタイミングToffに達したかを判定する。このオフタイミングToffは、図15に示すように、楽音の発生開始タイミングからの時間を表している。このタイミングカウント値は、前記ステップS104の処理による楽音信号の発生開始前には、前記ステップS102の処理によって「0」に保たれていた。したがって、この場合、タイミングカウント値TCNTがオフタイミングToffに達しておらず、ステップS106にて「No」と判定して、プログラムをステップS108に進める。ステップS108においては、タイミングカウント値TCNTがオンタイミングTonに達したかを判定する。このオンタイミングTonは、図15に示すように、前回の楽音の発生開始タイミングから新たに発生される楽音信号の発生開始タイミングまでの時間を表している。この場合も、タイミングカウント値TCNTはオンタイミングTonに達していないので、ステップS108にて「No」と判定して、ステップS111にてこの音階音発生プログラムの実行を一旦終了する。
そして、ふたたび音階音発生プログラムが実行された時点で、音階音発生フラグTPGは“1”であれば、ステップS103の直前の音階音発生フラグTPGが“0”であるかが判定される。この場合、直前の音階音発生フラグTPGは“1”に変更されているので、音階音発生部65は、ステップS103にて「No」と判定して、ステップS105にてタイミングカウント値TCNTに「1」を加算する。しかし、初期のうちは、タイミングカウント値TCNTはオフタイミングToff及びオンタイミングTonに達しないので、ステップS106,S108にてそれぞれ「No」と判定して、ステップS111にてこの音階音発生プログラムを一旦終了する。このような音階音発生プログラムを繰り返し実行する結果、タイミングカウント値TCNTがステップS105の処理により大きくなって、オフタイミングToffに達すると、ステップS106にて「Yes」と判定して、ステップS107の処理を実行する。
ステップS107においては、前回出力したノートナンバNTとキーオフデータを音源回路66に出力する。音源回路66は、前記ノートナンバNTに対応した音高ピッチで発生中の楽音信号を減衰させ、その後に発生を停止する(図15参照)。前記ステップS107の処理後、音階音発生部65は、前述したステップS108の判定処理を実行する。この場合、タイミングカウント値TCNTは未だオンタイミングTonに達していないので、音階音発生部65は、ステップS108にて「No」と判定して、ステップS111にてこの音階音発生プログラムを一旦終了する。そして、前述した場合と同様に、タイミングカウント値TCNTがオンタイミングTonに達するまで、音階音発生プログラムは所定の短時間おきに繰り返し実行され続ける。そして、タイミングカウント値TCNTがオンタイミングTonに達すると、音階音発生部65は、ステップS108にて「Yes」と判定して、ステップS109の処理を実行する。
ステップS109においては、前記ステップS104の処理と同様に、音発生制御部63から入力されて音階音発生部65に更新記憶されている音高ピッチPITに対応したノートナンバNTと、キーオンデータとを音源回路66に出力する。これにより、前記音高ピッチの楽音が新たに発生され始める。前記ステップS109の処理後、音階音発生部65は、ステップS110にてタイミングカウント値TCNTを「0」にクリアし、ステップS111にてこの音階音発生プログラムを一旦終了する。その後も、音階音発生部65は、この音階音発生プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行し、前述したように、音階音発生プログラムの実行ごとにタイミングカウント値TCNTを「1」ずつカウントアップする。そして、タイミングカウント値TCNTがオフタイミングToffに達すると、ステップS107の処理により発生中の楽音を減衰させた後に、その発生を停止する。さらに時間が経過して、タイミングカウント値TCNTがオンタイミングTonに達すると、新たな楽音がふたたび発生される。以降、図15のオンタイミングTonごとにステップS108,S109の処理により楽音の発生が開始され、前記発生開始からオフタイミングToffごとにステップS106,S107の処理により楽音の発生が停止されて、所定周期(オンタイミングTon)ごとに楽音が順次発生される。
このような楽音の発生中、走行速度Vが所定速度V1−ΔVになったり、発音モードSMDが切換えられて、音発生制御部63から供給される音階音発生フラグTPGが“0”に変更されると、音階音発生部65は、ステップS101にて「No」と判定し続けるようになる。そして、ステップS102の処理により、タイミングカウント値TCNTは常に「0」に保たれる。なお、この状態では、音階音の発生は停止制御される。
このように、音階音発生部65は、走行速度Vが所定速度V1+ΔV以上になって、音階音発生フラグTPGが“0”から“1”に切換えられると、直ちに、そのときの走行速度Vに応じた音高ピッチの楽音を発生させ始める。そして、その後も、所定の時間間隔ごとに、走行速度Vに対応した音高ピッチの楽音を発生する。したがって、車椅子10の走行速度Vが上昇すれば、走行速度Vの上昇に従って、音階音(例えば、ハ長調の音階音)がド、ド、…、レ、レ、…のように発生する。また、発生される楽音の音量は、音源回路66に供給される走行速度Vに応じて変化する音量VOL(図12の速度−音量特性参照)に従って変化する。
なお、前記実施形態では、音階音発生部65は、予め決められた所定周期(例えば、4分音符長)ごとに音階音を発生するようにした。しかし、この所定周期を乗員が操作スイッチ61dを操作して、他の周期(例えば、8分音符長)を選択して、選択された他の周期ごとに音階音を発生するようにしてもよい。また、走行速度Vが同一の速度領域にある間は、同一音高の音階音を周期的に発生するのではなく、同一の音階音を連続的に発生するようにしてもよい。すなわち、走行速度Vが同一の速度領域にある間は同一音高の音階音を連続的に発生し、走行速度Vが変化して異なる速度領域に入った時点で異なる音階音を発生し始めるようにしてもよい。例えば、走行速度Vが第1の速度領域から第2の速度領域に変化し、その後に再び第1の速度領域に入った場合には、「ドー、レー、ドー」のように速度領域が変化するまで同一音高の音階音を連続的に発生させる。また、一定の周期でなくても、予め用意されたリズムに合わせて音階音を発生させてもよい。さらに、前記所定周期又は前記リズムのテンポを車椅子10の走行速度Vに応じて変化、例えば走行速度Vが速くなるに従って前記所定周期又は前記リズムのテンポを速くするようにしてもよい。また、走行速度Vに応じて音階音の音色を変化させるようにしてもよい。
上記説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、発音装置SUによる音の発生態様が車椅子10の移動状態に応じて制御されるので、車椅子10の移動に伴って発生される音が変化する。具体的には、発生される楽音の音量、自動演奏のテンポ及び音階音の音高が車椅子10の走行速度Vに応じて変化する。したがって、路上の他の人に車椅子10の移動を優しく伝えることができるとともに、発生される音が単調とならず、乗員を含む車椅子10の周囲の人を楽しませることができる。また、車椅子10の走行速度Vが所定速度V1+ΔV以上になったときに、発音装置SUから音を発生させ始めるので、乗員の楽しさが増すとともに、車椅子10の移動状態の変化を路上の他の人に伝え易くなる。さらに、上記実施形態によれば、車椅子10のフレームパイプの一つである水平パイプ16bに取付け装置40を組み付け、発音装置SU(ケース30)を取付け装置40に着脱可能に取り付けるようにしたので、発音装置SUを車椅子10に簡易に適用できて便利となる。
さらに、上記実施形態においては、ケース30に設けた複数の操作スイッチ61dを操作することにより、自動演奏による楽曲音及び音階音のいずれか一方を発生させることができる。したがって、車椅子10の乗員は、自動演奏による楽曲音及び音階音のいずれか一方を選択的に聴くことができ、さらに面白みが増す。また、ケース30に設けた警報スイッチ61cを操作することにより、前記自動演奏音及び音階音とは独立して、警報音を鳴らすことができ、発音装置SUの使い勝手が良好となる。
特に、車椅子10は、社会生活上、歩行者と密接な関係にあり、歩道等の公道だけでなく、病院等の施設内でも、歩行者と接する機会も少なくない。例えば、施設内では、車椅子10が、速度に応じて変化する特定の音を発生させながら近づいてくれば、誰がどの程度の速度で接近してくるかを音だけで判断することも可能であり、通路のコーナなどでは効果的である。「すみません」と声を発したり、警報音を鳴らしたりすることなどを必要とせず、車椅子10又は乗員自身の存在を歩行者に伝えることができる。さらに、単調な音楽が鳴り続けるだけでなく、車椅子の動きに合わせて発生される楽音が変化するので、乗ること自体の楽しみが増し、リハビリ、訓練などに励むことができる。
以上、本発明に係る発音装置SUの一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限るものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、車椅子10の走行速度Vを、加速度センサ62によって検出される加速度を積分演算することによって計算するようにした。しかし、この計算された走行速度Vには誤差が含まれる場合がある。この場合、駆動輪11の回転速度(回転周期)を検出し、この検出した回転速度を用いて車椅子10の補正用の走行速度V’を計算し、この計算した走行速度V’を用いて加速度による走行速度Vを補正するようにするとよい。
この場合、図1に示すように、磁石81を駆動輪11の1つのスポーク11cに組み付けるとともに、磁気センサ82をパイプ16dの1つに組み付ける。具体的には、図16に詳細に示すように、磁石81を固定した取付け装置としてのU字型のホルダ83にスポーク11cを挟んで、ホルダ83のU字型部分をねじ84で締め付けてホルダ83をスポーク11cに固定する。磁気センサ82に関しては、図17に詳細に示すように、磁気センサ82を挟持して固定した環状のクランプ85をパイプ16dの外周上に組み付け、ねじ86a,86a及びナット86b,86bを用いてクランプ85をパイプ16dの外周上に締付け固定する。これにより、磁気センサ82は、駆動輪11が1回転するごとに磁石81の通過を検出してパルス状の検出信号を出力する。この検出出力は、ケース30と磁気センサ82を接続する配線87を介してケース30内に導かれる。
この場合、さらに、発音装置SUは、図5に破線で示すように、磁気センサ82に接続された回転数検出回路88を備える。回転数検出回路88は、磁気センサ82から供給される検出パルス信号の発生間隔(周期)を計算し、この発生間隔を用いて駆動輪11の単位時間当たりの回転数を計算して、前記計算した回転数を音発生制御部63にする。
音発生制御部63は、図7の発音制御プログラムに代えて、その一部を変形した発音制御プログラムを実行することにより、加速度を用いて計算した車椅子10の走行速度Vを補正する。変形した発音制御プログラムは、図18に示すように、図7のステップS21,S22間に、ステップS45,S46の処理を有する。ステップS45においては、回転数検出回路88から、単位時間当たりの駆動輪11の回転数を入力し、この入力した回転数に駆動輪11の半径を考慮して、車椅子10の補正用の走行速度V’を計算する。ステップS46においては、補正用の走行速度V’が安定し始めた時点から所定の時間間隔で(例えば、補正用の走行速度V’が計算されるごとに)、加速度を用いて計算された走行速度Vを補正用の走行速度V’に設定することにより、前記走行速度Vを補正する。他の処理に関しては、上記実施形態と同じである。これによれば、車椅子10の走行速度Vがより精度よく検出されて、走行速度Vに応じた楽音の発生制御がより良好に行われるようになる。
また、前記変形例では、1つのスポーク11cのみに磁石81を組み付けるようにしたが、複数の磁石81を用意して、所定角度間隔で複数のスポーク11cに磁石81をそれぞれ組み付けるようにしてもよい。これによれば、駆動輪11が1回転する間に、磁気センサ82は複数の磁石81の通過を検出するので、補正用の走行速度V’が精度よく検出されるようになる。さらに、磁石81の個数を増やして、駆動輪11の1回転当たりの磁気センサ82による磁石81の通過検出回数を増やせば、加速度センサ62によって検出された加速度を用いて計算した走行速度Vに代えて、磁気センサ82による補正用の走行速度V’を走行速度Vとして用いることもできる。さらに、スポーク11cが鉄等の金属材料で構成されていることを前提に、前記磁気センサ82に代えて、スポーク11cの通過による磁束変化を検出するセンサを用いることもできる。これによれば、磁石81は不要となる。また、駆動輪11のハブ11bにエンコーダを組み付けて、駆動輪11の単位時間当たりの回転数を検出するようにしてもよい。
上記実施形態においては、車椅子10の走行速度Vに応じて楽音の発生態様を変化させるようにしたが、車椅子10の走行状態(移動状態)として、走行速度Vに代え又は加えて、車椅子10の旋回角度又は旋回角速度を採用することもできる。すなわち、車椅子10の旋回角度又は旋回角速度に応じて上記実施形態のように楽音の発生態様を変化させたり、車椅子10の旋回角度又は旋回角速度が予め決められた旋回角度又は旋回角速度を超えたときに楽音の発生を開始するようにしてもよい。この場合、両駆動輪11,11に車輪速センサをそれぞれ設けて、両車輪速センサによって検出される車輪速の差から車椅子10の旋回角度又は旋回角速度を検出するようにしてもよい。また、角速度センサを用いて車椅子10の縦軸線周りの路面に対する回転角速度を検出して、この検出回転角速度から車椅子10の旋回角度又は旋回角速度を検出するようにしてもよい。また、走行速度V、旋回角度及び旋回角速度に代え又は加えて、車椅子10の加速度、前後左右への傾斜角(姿勢)、揺れ(振動)などの走行状態(移動状態)に応じて、楽音の発生態様を変更するようにしてもよい。この場合の走行状態の検出手段としては、ジャイロ、加速度センサ、振動センサなどが用いられる。
また、前記自動演奏音及び音階音に代え又は加えて、機関車音等のダミー音(擬似音)、風鈴等の効果音、ホーン音、チャイム音、人間の言葉、虫の音及び流水音等の自然な音などを、上記音階音のように所定の時間間隔又はリズムに応じたタイミングで繰り返し発生させる音発生部を有するように構成してもよい。この場合も、発生される音の音量、発生間隔などを車椅子10の走行状態に応じて変化させるとよい。
また、上記実施形態では、警報音信号を発生する警報音発生部67を音源回路66とは独立に設けるようにした。しかし、これに代え、警報音信号を発生する機能を音源回路66にもたせておき、音発生制御部63から警報音信号の発生を指示する制御信号を音源回路66に供給して、音源回路66から警報音信号を発生させるようにしてもよい。さらに、警報音発生部67を設けた場合でも、D/A変換器62を省略して、警報音発生部67からの警報音信号をD/A変換器71に供給して、D/A変換器71にて警報音信号をD/A変換するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、移動体として車椅子10を採用したが、本発明に関する移動体としては、エンジン等の大きな騒音を発生する駆動装置を有する乗り物を除いて、走行音が静かで人が乗って移動する移動体であれば何でもよい。例えば、自転車、ベビーカー、介護車などでもよい。この場合も、電動及び手動のいずれでもよく、電動補助(パワーアシスト)でもよい。これら移動体も、車椅子10と同様に、走行速度、移動路などが歩行者とほぼ同じであり、またハードな屋根等もなく開放型で周囲へ及ぼす影響も小さくない。したがって、本発明による発音装置SUをこれらの移動体に適用することは、車椅子10と同様に有効である。
10…車椅子、11…駆動輪、13…座部、14…背もたれ部、15…袋、16…フレームパイプ、15…袋、30…ケース、40…取付け装置、50…電池ボックス、60…自動演奏部、62…加速度センサ、63…音発生制御部、64…自動演奏部、65…音階音発生部、66…音源回路、67…警報音発生部、81…磁石、82…磁気センサ、88…回転数検出回路、SU…発音装置。