JP2010024574A - 電気絶縁紙及び電気絶縁紙の製造方法 - Google Patents

電気絶縁紙及び電気絶縁紙の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】緻密で、安定して絶縁破壊強さに優れた電気絶縁紙の製造方法、および、電気絶縁紙を提供する。
【解決手段】非晶質ポリフェニレンサルファイド繊維を40〜100重量%含む湿式不織布であって、加熱・加圧処理前の湿式不織布の結晶化熱量が5J/g以上である湿式不織布に、ガラス転移温度以上融点以下の温度で加熱・加圧処理を施すことを特徴とする電気絶縁紙の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気絶縁紙及び電気絶縁紙の製造方法に関するものである。
耐熱性、耐薬品性に優れたポリフェニレンサルファイド(以下、PPSという)繊維を用いた不織布は様々な用途に使用されているが、中でも、未延伸PPS繊維(非晶質PPS繊維)をバインダーとしたPPS繊維からなる湿式不織布を用いた電気絶縁紙なるものが開示されている(特許文献1、2)。これら電気絶縁紙は電池セパレーターとして好適であることが記載されている。
一方、コンデンサーや変圧器、ケーブル等に用いられる電気絶縁紙には、高い絶縁破壊強さが要求される。しかし、特許文献1、2に記載の技術では高い絶縁破壊強さを達成することができなかった。
また、PPS繊維からなる乾式不織布からなる紙状材も特許文献3に開示されている。しかし、特許文献3の技術で得られる紙状材も、高い絶縁破壊強さを達成できるものではなかった。
特開2005−330643号公報 特開2004−285536号公報 特開平03−891号公報
本発明は、絶縁破壊強さの高い電気絶縁紙及びその電気絶縁紙の製造方法を提供することを目的とする。
かかる課題を解決すべく鋭意検討の結果、湿式不織布の絶縁破壊は、繊維間の空隙にて生じる部分放電を発端とすると考えられ、絶縁破壊強さを向上するには、空気層や電流が通じる貫通孔が少なく、緻密な湿式不織布を得ることが重要であることに着想し、本発明に至った。
すなわち本発明は、非晶質ポリフェニレンサルファイド繊維を40〜100重量%含み、加熱・加圧処理前の結晶化熱量が5J/g以上である湿式不織布に、ガラス転移温度以上融点以下の温度で加熱・加圧処理を施すことを特徴とする電気絶縁紙の製造方法、及び、当該電気絶縁紙の製造方法で得られた電気絶縁紙であって、絶縁破壊強さが30kV/mm以上であることを特徴とする電気絶縁紙である。
本発明により、緻密で、安定して絶縁破壊強さに優れた電気絶縁紙、および、その製造方法を提供することができる。
本発明の電気絶縁紙の製造方法は、非晶質PPS繊維を40〜100重量%含み、加熱・加圧処理前の結晶化熱量が5J/g以上である湿式不織布に、該非晶質PPSのガラス転移温度以上融点以下の温度で加熱・加圧処理を施すことを特徴とするものである。
非晶質PPS繊維が、加熱・加圧処理で容易に変形するので、湿式不織布の表面の空隙を潰して、貫通孔がほとんどなく、実質的に通気性がほとんどない緻密なものになり、絶縁破壊強さを向上することができる。
ここで、PPSは、繰り返し単位としてp−フェニレンサルファイド単位やm−フェニレンサルファイド単位などのフェニレンサルファイド単位を含有するポリマーである。PPSは、これらのいずれかの単位のホモポリマーでもよいし、両方の単位を有する共重合体でもよい。また、他の芳香族サルファイドとの共重合体であってもよい。
また、PPSの重量平均分子量としては、40,000〜60,000が好ましい。40,000以上とすることで、PPS繊維として良好な力学的特性を得ることができる。また、60,000以下とすることで、溶融紡糸の溶液の粘度を抑え、特殊な高耐圧仕様の紡糸設備を必要とせずに済む。
本発明の製造方法で使用する湿式不織布において、PPS繊維は非晶質のものを含むことが重要である。非晶質PPS繊維とは結晶化度の低いPPS繊維を指し、例えば、PPSポリマーをエクストルダー型紡糸機等で溶融紡糸し、延伸などでの熱処理を施す前のPPS繊維が該当する。本発明においては、非晶質PPS繊維とは示差熱分析計(DSC)で10℃/分の昇温速度で測定したときの結晶化ピークが実質的に認められるものを言う。なお、実質的とは、結晶化ピークにおける結晶化熱量が5J/g以上であることをいう。
本発明の製造方法で使用する湿式不織布は、上記非晶質PPS繊維を湿式不織布の40重量%〜100重量%含んでなることが必要であり、好ましくは60重量%〜95重量%である。40重量%未満では、非晶質PPS繊維の量が少なすぎて、空隙をつぶしきれず、絶縁破壊強さを向上することができない。
なお、湿式不織布を構成する残りの0重量%〜60重量%の成分は、特に限定されるものではないが、耐熱性、耐薬品性に優れることから、結晶化PPS繊維を好ましく用いることができる。ここで、結晶化PPS繊維は、例えば、PPSポリマーをエクストルダー型紡糸機等で溶融紡糸し、3.0倍以上、好ましくは5.5倍以下、さらに好ましくは3.5〜5.0倍の範囲で延伸することにより得ることができる。延伸の最高温度は120〜180℃である。なお、ここでの延伸熱処理は、一般に加熱ローラ上で行われるが、延伸ローラ間に熱媒体、例えば赤外線ヒーターなどを設けて非接触延伸熱処理を行ってもよい。また、延伸はせずに、延伸工程と同等の熱処理を施すのみでも得ることができる。ここで、結晶化PPS繊維とは、示差熱分析計(DSC)で10℃/分の昇温速度で測定したときの結晶化ピークが実質的に認められないものを言う。なお、実質的とは、結晶化ピークにおける結晶化熱量が5J/g未満であることをいう。
また、湿式不織布における非晶質PPS繊維と結晶化PPS繊維のいずれも、繊維長としては0.5〜15mmが好ましく、より好ましくは1〜6mmである。0.5mm以上とすることで、繊維同士の絡合により湿式不織布の強度を高くすることができる。また25mm以下とすることで、繊維同士が絡合してダマになるなどして目付けムラ等が生じるのを防ぐことができる。
非晶質PPS繊維と結晶化PPS繊維のいずれの繊維も、繊維の直径は抄紙原液中での繊維の分散性を向上し、地合いの良い紙を得る目的で30μm以下が好ましい。より好ましくは25μm以下、最も好ましくは20μ以下である。なお、通常の直接紡糸法によって得られる繊維直径の下限としては5μm程度である。
また、非晶質PPS繊維と結晶化PPS繊維のいずれについても捲縮の有無は限定されない。また、捲縮を有する繊維と有しない繊維を混合してもよい。捲縮の有無については、有するものと有しないものとのそれぞれに利点があるためである。捲縮を有するPPS繊維は、繊維同士の絡合性が向上して強度の優れた湿式不織布を得るのに適している。一方、捲縮を有しないPPS繊維は、ムラが小さい均一な湿式不織布を得るのに適している。したがって、用途に応じてPPS繊維に捲縮を施すか否か判断すればよい。
非晶質PPS繊維と結晶化PPS繊維のいずれについても、捲縮は一般的に用いられる押し込み式クリンパー等を用いて付与することができる。紙の強度向上と抄紙原液中での繊維同士の絡まりを抑制する目的で捲縮数としては4山/25mm以上、18山/25mm以下が好ましい。
次に、湿式不織布を製造する方法について説明する。
まず、上記のPPS繊維を、水中に分散させ、抄紙用分散液をつくる。
抄紙用分散液に対するPPS繊維の合計量としては、0.005〜5質量%が好ましい。合計量を0.005質量%未満にすると、抄紙工程で大量に水が必要で生産効率が悪くなる。また、5質量%よりも濃くすると繊維の分散状態が悪くなり均一な湿式不織布を得ることができなくなる。
分散液は、非晶質PPS繊維と結晶化PPS繊維の分散液とを別々につくってから両者を抄紙機で混合してもよいし、直接、両方を含む分散液つくってもよい。それぞれの繊維の分散液を別々につくってから両者を混合するのは、それぞれの繊維の繊度、カット長等に合わせて攪拌時間を個別に制御できる点で好ましく、直接両方を含む分散液を作るのは工程簡略の点で好ましい。
抄紙用分散液には、水分散性を向上するためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系などの界面活性剤などからなる分散剤や油剤、また泡の発生を抑制する消泡剤等を添加してもよい。
上記のようにして抄紙用分散液を、丸網式、長網式、傾斜網式などの抄紙機または手漉き抄紙機を用いて抄紙し、これをヤンキードライヤーやロータリードライヤー、バンドドライヤー等で乾燥し、湿式不織布とすることができる。抄紙工程の乾燥とは、上記ヤンキードライヤーやロータリードライヤー、バンドドライヤー等での乾燥のことをいう。抄紙工程を経て得られた湿式不織布に加熱・加圧処理を施し、電気絶縁紙とする。
本発明においては、電気絶縁紙の絶縁破壊強さを大きくするために、加熱・加圧処理前の湿式不織布の結晶化熱量を5J/g以上とすることが必要である。結晶化熱量は、好ましくは10J/g以上、さらに好ましくは15J/g以上である。加熱・加圧処理前の湿式不織布の結晶化熱量を5J/g以上とするためには、抄紙工程において、非晶質PPS繊維を完全には結晶化させないことが重要である。具体的には、この結晶化熱量を達成するために抄紙工程における乾燥温度を(非晶質PPSの結晶化温度+10℃)以下にすることが好ましく、さらに好ましくは、結晶化温度未満にすることが好ましい。特に、結晶化温度〜結晶化温度+10℃では、非晶質PPSの結晶化が進みやすいので乾燥工程を通過する時間を短くすることが好ましい。湿式不織布の結晶化熱量は乾燥温度(すなわち、図2から、(非晶質PPSの結晶化温度+10℃)を境にして、それ以下で乾燥すると、乾燥後の湿式不織布の結晶化熱量を飛躍的に大きくできることがわかる。)や乾燥時間等によって調節することができる。ここで、乾燥温度とは、上記抄紙工程の乾燥時の処理温度(雰囲気温度)の最高温度のことをいう。
なお、(非晶質PPSの結晶化温度+10℃)より高い温度で乾燥処理をすると非晶質PPS繊維の結晶化が進行してしまい、抄紙し、乾燥した湿式不織布に加熱・加圧処理を施しても、非晶質PPS繊維が湿式不織布の空隙を充填することができず、高い絶縁破壊強さを達成することができない。なお、乾燥温度が低すぎると水分を蒸発させることができず、湿式不織布を乾燥できないので、乾燥温度は80℃以上、さらに好ましくは95℃以上であることがよい。
なお、結晶化温度は後述する実施例の欄の[測定・評価方法](1)項の結晶化熱量測定と同じ条件測定した主発熱ピークの頂点温度を言う。
乾燥温度をコントロールして、非晶質PPS繊維を完全には結晶化させない状態で、加熱・加圧処理することが絶縁破壊強さを向上するために重要である。なぜなら、結晶化したPPSは軟化しても塑性変形しにくいため、例え高い温度をかけたとしても、空隙を十分に埋めることができない。一方、非晶質PPSは軟化して塑性変形しやすいため、加熱・加圧処理で変形して空隙を埋め、貫通孔などを少なくし、湿式不織布を緻密にすることができ、絶縁破壊強さを向上することができる。
本発明の電気絶縁紙は、非晶質PPS繊維を含み、加熱・加圧処理前の結晶化熱量が5J/g以上である湿式不織布を(非晶質PPSの結晶化温度+10℃)以下で乾燥したものを、加熱・加圧処理することによって得ることができる。加熱・加圧処理の手段としては、平板等での熱プレス、カレンダーなどを採用することができる。なかでも、連続して加工することができるカレンダーが好ましい。カレンダーのロールは、金属−金属ロール、金属−紙ロール、金属−ゴムロール等を使用することができる。
加熱・加圧処理の圧力としては、98N/cm〜20kN/cmが好ましい。98N/cm以上とすることで繊維間の空隙を潰すことができる。一方、20kN/cm以下とすることで、加熱・加圧処理工程における湿式不織布の破れ等を防ぎ、安定して処理を施すことができる。
本発明においては、加熱・加圧処理の温度条件を非晶質PPSのガラス転移温度以上融点以下とすることが必要である。ガラス転移点未満では、非晶質PPS繊維が軟化しないので、加熱・加圧処理しても非晶質PPS繊維によって空隙を埋めることができず、絶縁破壊強さを向上することができない。融点より高温では、PPS繊維が溶融してロール等に貼りつくため安定して連続加工することができない。加熱・加圧処理の温度条件は、さらに好ましくは結晶化温度以上270℃以下、さらに好ましくは140℃以上250℃以下である。なお、ここでいう加熱・加圧処理の温度とは、加熱・加圧処理をする装置の湿式不織布との接触面の温度をいい、例えば平板熱プレス装置の場合は熱プレス用平板の湿式不織布との接触面の表面温度、カレンダー装置の場合はカレンダーロールの表面温度である。なお、温度は湿式不織布と接触する表裏面の両方を加熱してもよいし、片面のみでもよい。
なお、ガラス転移温度および融点は、後述の実施例の欄の[測定・評価方法](1)項の結晶化熱量測定と同じ条件で測定して求め値を言う。ガラス転移温度はガラス転移開始温度前のベースラインとガラス転移変曲点での接線との交点とし、融点は主吸熱ピークの頂点温度とする。
加熱・加圧処理としてカレンダー加工を採用した場合の工程通過速度としては、1〜50m/minが好ましく、より好ましくは1〜20m/minである。1m/min以上とすることで、良好な作業効率を得ることができる。一方、50m/min以下とすることで、湿式不織布の内部の繊維にも熱を伝導させ、繊維の熱融着の実効を得ることができる。
以上のようにして得られた電気絶縁紙は、不織布(紙)としての特性を残しながらも、実質的に通気度がなく、優れた絶縁破壊強さを有するもの、具体的には絶縁破壊強さが20kV/mm以上のものを得ることができる。さらには、高電圧下で使用されるモーターや変圧器などの電気絶縁紙の用途へも展開が可能となる絶縁破壊強さが30kV/mm以上の電気絶縁紙を得ることができる。
絶縁破壊強さが30kV/mm以上の電気絶縁紙は、具体的には非晶質PPS繊維を40〜100重量%含み、抄紙工程の乾燥温度を(非晶質PPSの結晶化温度+10℃)以下で乾燥し、加熱・加圧処理前の結晶化熱量が23J/g以上の湿式不織布を、前記非晶質PPS繊維のガラス転移温度以上融点以下の温度で加熱・加圧処理を施すことによって得ることができる。
なお、本発明において絶縁破壊強さは、後述の実施例の欄の[測定・評価方法](2)項に記載のJIS C 2111:2002(交流の場合のC法)に準拠して測定した値を言う。
湿式不織布及び電気絶縁紙の目付は、使用される場所によって選定されるものであり、紙の破断、損傷の防止、良好な生産性、絶縁破壊強さの維持、取り扱い性のよさなどから、30g/m〜850g/mのものを使用することができ、さらには、30g/m〜500g/mのものを好ましく使用することができる。
[測定・評価方法]
(1)結晶化熱量
PPS繊維サンプルもしくは乾燥後(加熱・加圧処理前)の湿式不織布サンプルを約2mg精秤し、示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−60)で窒素下、昇温速度10℃/分で昇温し、観察される主発熱ピークの発熱量を測定することにより行った。
(2)絶縁破壊強さ
JIS C 2111:2002(交流の場合のC法)に準拠し測定した。試料の異なる10か所から約10cm×10cmの試験片を採取し測定した。直径25mm、質量250gの円盤状の電極で試験片を挟み、試験媒体には空気を用いた。なお、電圧は1.0kV/秒で上昇させながら周波数60Hzの交流電圧をかけ、絶縁破壊したときの電圧を測定した。得られた絶縁破壊電圧をあらかじめ測定しておいた中央部の厚さで割り、絶縁破壊強さを算出した。
(3)目付け
JIS L 1906:2000(単位面積当たりの質量)に準じて、試料の異なる10cm×10cmの試験片を3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表した。
(4)厚み
JIS L 1906:2000で準用するJIS L 1096:(2000年改定)の試験法に準じて、試料の異なる10か所について、厚さ測定機(加圧子直径10mm)を用いて、10kPaの加圧下、1μmのオーダーまで測定した。10か所の平均の値を求め、0.1μmのオーダーを四捨五入した値を厚みとした。
[実施例1〜5、比較例1〜5]
(PPS繊維(1−1):非晶質PPS繊維)
PPS繊維(1−1)として、単繊維繊度3.0dtex、カット長6mm、捲縮数6山/25mm、の東レ(株)社製‘トルコン(登録商標)’、品番S111を用いた。なお、DSCで求めた結晶化温度は120℃、結晶化熱量は24J/gであった。また、ガラス転移温度は90℃、融点は286℃であった。
(PPS繊維(1−2):非晶質PPS繊維)
PPS繊維(1−2)として、の東レ(株)社製‘トルコン(登録商標)’、品番S111に捲縮を付与していないもの(単繊維繊度3.0dtex、カット長6mm、捲縮なし)を用いた。なお、DSCで求めた結晶化温度は120℃、結晶化熱量は24J/gであった。また、ガラス転移温度は90℃、融点は286℃であった。
(PPS繊維(1−1、2)の分散液)
上記PPS繊維(1−1,2)を、それぞれ表1記載の質量分の小数第1位を切り上げた数に概ね等分し、1等分ずつをとりおのおの水1Lとともに家庭用ジューサーミキサーに投入して攪拌することを繰り返し、分散液とした。攪拌時間としては、繊維同士が絡むのを防ぐために10秒とした。
(PPS繊維(2−1):結晶化PPS繊維)
PPS繊維(2−1)として、単繊維繊度1.0dtex、カット長6mm、捲縮数13山/25mmの東レ(株)社製‘トルコン(登録商標)’、品番S101を用いた。なお、DSC測定した結果、結晶化発熱ピークは観察されなかった。
(PPS繊維(2−2):結晶化PPS繊維)
PPS繊維(2−2)として、の東レ(株)社製‘トルコン(登録商標)’品番S101に捲縮を付与していないもの(単繊維繊度1.0dtex、カット長6mm、捲縮なし)を用いた。なお、DSC測定した結果、結晶化発熱ピークは観察されなかった。
(PPS繊維(2−1、2)の分散液)
上記PPS繊維(2−1、2)を、それぞれ表1記載の質量分の小数第1位を切り上げた数に概ね等分し、1等分ずつをとりおのおの水1Lとともに家庭用ジューサーミキサーに投入して攪拌することを繰り返し、分散液とした。攪拌時間としては、繊維同士が絡むのを防ぐために10秒とした。
(抄紙)
各実施例・比較例において使用した繊維の分散液を、底に120メッシュの手漉き抄紙網を設置した大きさ25cm×25cm、高さ50cmの手すき抄紙機(熊谷理機工業(株)社製)に投入し、さらに水を追加して抄紙分散液の総量を20Lとし、攪拌棒で十分に攪拌した。
手すき抄紙機の水を抜き、ろ紙2枚とステンレス板1枚を湿式不織布上にセットして、クーチングロールで水分を搾った後、抄紙網に残った湿紙をろ紙に転写した。
(乾燥)
上記湿紙をロータリー式乾燥機に投入し、処理時間約2.5min/回にて表裏が交互にドラム面に接するように未乾燥紙を乾燥する処理を、表1に記載の回数繰り返した。
ロータリー式乾燥機は、乾燥温度120℃以下の場合は熊谷理機工業(株)社製KRK回転型乾燥機(標準型)を用い、120℃より高い温度処理の場合はジャポー(株)社製オートドライヤータイプL−3を用いた。
(加熱加圧処理)
上記乾燥処理した湿式不織布をろ紙から剥離して、鉄ロールとペーパーロールとからなるカレンダー加工機に通した。カレンダー条件は、鉄ロールの表面温度は表1記載の温度、圧力14kN/cm、ロール回転速度3m/minとし、表裏の合計2回繰り返した。
得られた紙の乾燥後(加熱・加圧処理前)の湿式不織布の結晶化熱量、加熱・加圧処理後の目付け、厚み、絶縁破壊強さは表1に示すとおりであり、非晶質PPS繊維を40重量%以上含み、加熱・加圧処理前の結晶化熱量が5J/g以上での湿式不織布にガラス転移温度以上融点以下で加熱・加圧処理を施した実施例1〜5は高い絶縁破壊強さを達成することができた。すなわち、実施例1〜5では加熱・加圧処理後の湿式不織布(電気絶縁紙)の表面は空隙が潰されて貫通孔がほとんどなく、実質的に通気性がほとんどない緻密なものとなっており(図1:実施例1の写真参照)、一方、比較例1〜5では加熱・加圧処理後の湿式不織布(電気絶縁紙)の表面に空隙が残っているため(図1:比較例2の写真参照)、絶縁破壊強さに劣るものとなっている。なお、図示は省略するが、実施例・比較例のいずれも、内部は繊維の形態が残っていた。
実施例1、2と比較例1、2について、横軸に抄紙工程の乾燥温度、右縦軸に乾燥後(加熱・加圧処理前)の湿式不織布の結晶化熱量、左縦軸に加熱・加圧処理後(電気絶縁紙)の絶縁破壊強さの関係を示したグラフを図2に示す。乾燥温度120℃〜130℃において、乾燥後(加熱・加圧処理前)の結晶化熱量が小さくなり、それに伴い加熱・加圧処理後の絶縁破壊強さが小さくなる。結晶化熱量が5J/g以上で絶縁破壊強さの向上が見られる。
本発明の湿式不織布は、モーター、コンデンサー、変圧器、ケーブル等に用いられる電気絶縁紙として利用可能である。
実施例1及び比較例2によって得られた電気絶縁紙の表面の電子顕微鏡写真(倍率300倍)。 湿式不織布の乾燥温度と乾燥後(加熱・加圧処理前)の結晶化熱量、及び湿式不織布の乾燥温度と電気絶縁紙の絶縁破壊強さの関係を示すグラフ。

Claims (5)

  1. 非晶質ポリフェニレンサルファイド繊維を40〜100重量%含み、加熱・加圧処理前の結晶化熱量が5J/g以上である湿式不織布に、該非晶質ポリフェニレンサルファイドのガラス転移温度以上融点以下の温度で加熱・加圧処理を施すことを特徴とする電気絶縁紙の製造方法。
  2. 前記結晶化熱量が10J/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の電気絶縁紙の製造方法。
  3. 前記湿式不織布を製造するための抄紙工程の乾燥温度が(非晶質ポリフェニレンサルファイドの結晶化温度+10℃)以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気絶縁紙の製造方法。
  4. 前記湿式不織布が、非晶質ポリフェニレンサルファイド繊維を40〜100重量%、結晶質ポリフェニレンサルファイド繊維と60〜0重量%を含む湿式不織布であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気絶縁紙の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の電気絶縁紙の製造方法で得られた電気絶縁紙であって、絶縁破壊強さが30kV/mm以上であることを特徴とする電気絶縁紙。
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