JP2010019090A - ラッシュアジャスタ - Google Patents

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JP2010019090A JP2008178044A JP2008178044A JP2010019090A JP 2010019090 A JP2010019090 A JP 2010019090A JP 2008178044 A JP2008178044 A JP 2008178044A JP 2008178044 A JP2008178044 A JP 2008178044A JP 2010019090 A JP2010019090 A JP 2010019090A
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Makoto Yasui
誠 安井
Eiji Maeno
栄二 前野
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Abstract

【課題】アジャストスクリュを繰り返し初期セットすることができ、動弁装置に組み込んだ後に初期セットの解除操作が不要なラッシュアジャスタを提供する。
【解決手段】内周に雌ねじ15を有するナット部材14と、雌ねじ15にねじ係合する雄ねじ16を外周に有するアジャストスクリュ17と、そのアジャストスクリュ17をナット部材14から突出する方向に付勢するリターンスプリング18とを有し、雄ねじ16と雌ねじ15は、圧力側フランク19のフランク角θ1が遊び側フランク20のフランク角θ2よりも大きい鋸歯状に形成された動弁装置のラッシュアジャスタ1において、雄ねじ16と雌ねじ15のリード角αの大きさを、遊び側フランク20のフランク角θ2と、雄ねじ16と雌ねじ15の間の静摩擦係数μとに対してtanα<μ・secθ2を満たすように設定する。
【選択図】図2

Description

この発明は、エンジンの動弁装置に組み込まれるラッシュアジャスタに関する。
エンジンの吸気ポートまたは排気ポートに設けたバルブを動作させる動弁装置として、一端部を支点として揺動可能に支持されたアームの中央部をカムで押し下げ、そのアームの他端部でバルブステムを押し下げるようにしたもの(スイングアーム式動弁装置)や、中央部を支点として揺動可能に支持されたアームの一端部をカムで押し上げ、そのアームの他端部でバルブステムを押し下げるようにしたもの(ロッカアーム式動弁装置)や、上下にスライド可能に支持されたリフタボディをカムで押し下げ、そのリフタボディでバルブステムを押し下げるようにしたもの(ダイレクト式動弁装置)などが知られている。
これらの動弁装置は、エンジン作動中、動弁装置の構成部材間に生じる熱膨張差によって、動弁装置の構成部材間の隙間が変化し、その隙間の変化によって異音や圧縮漏れを生じるおそれがある。また、動弁装置の摺動部が摩耗しても、動弁装置の構成部材間の隙間が変化し、その隙間の変化によって異音を生じるおそれがある。
この異音や圧縮漏れを防止するため、動弁装置にはラッシュアジャスタが組み込まれ、そのラッシュアジャスタで動弁装置の構成部材間の隙間の変化を吸収することが多い。
このようなラッシュアジャスタとして、上記スイングアーム式動弁装置においては、シリンダヘッドの上面に開口した収容穴に挿入されるナット部材と、そのナット部材の内周に形成された雌ねじにねじ係合する雄ねじを外周に有するアジャストスクリュと、そのアジャストスクリュを前記ナット部材から上方に突出する方向に付勢するリターンスプリングとを有し、前記アジャストスクリュのナット部材からの突出端で動弁装置のアームを揺動可能に支持するものが知られている(特許文献1)。
また、上記ロッカアーム式動弁装置においては、カムの回転に応じて揺動するアームの下面に開口した収容穴に挿入されるナット部材と、そのナット部材の内周に形成された雌ねじにねじ係合する雄ねじを外周に有するアジャストスクリュと、そのアジャストスクリュを前記ナット部材から下方に突出する方向に付勢するリターンスプリングとを有し、前記アジャストスクリュのナット部材からの突出端で動弁装置のバルブステムを押圧するものが知られている(特許文献2)。
また、上記ダイレクト式動弁装置においては、シリンダヘッドに形成されたガイド孔に上下にスライド可能に挿入されるリフタボディと、そのリフタボディと一体に上下動するナット部材と、そのナット部材の内周に形成された雌ねじにねじ係合する雄ねじを外周に有するアジャストスクリュと、そのアジャストスクリュを前記ナット部材から下方に突出する方向に付勢するリターンスプリングとを有し、前記アジャストスクリュのナット部材からの突出端で動弁装置のバルブステムを押圧するものが知られている(特許文献3,4)。
これらのラッシュアジャスタにおいて、アジャストスクリュの雄ねじとナット部材の雌ねじは、アジャストスクリュをナット部材内に押し込む方向(以下、「押し込み方向」という)の荷重が負荷されたときに圧力を受ける圧力側フランクのフランク角θ1が、押し込み方向とは反対の方向(以下、「突出方向」という)の荷重が負荷されたときに圧力を受ける遊び側フランクのフランク角θ2よりも大きい鋸歯状に形成されている。
これらのラッシュアジャスタは、カムの回転により、アジャストスクリュに押し込み方向の荷重が負荷されたときは、雄ねじと雌ねじの圧力側フランク間の摩擦抵抗によってアジャストスクリュの回転が阻止され、アジャストスクリュの軸方向位置が固定される。厳密には、このとき、雄ねじと雌ねじの圧力側フランク間に僅かな滑りが生じ、その滑りによってアジャストスクリュは押し込み方向に移動するが、更にカムが回転して押し込み方向の荷重が解除されたときに、アジャストスクリュは、リターンスプリングから負荷される突出方向の荷重によって突出方向に移動し、元の位置に戻る。
また、動弁装置の熱膨張などによって、動弁装置の構成部材間の隙間が大きくなったときは、カムにより押し込み方向の荷重が負荷されたときのアジャストスクリュの押し込み量よりも、更にカムが回転して押し込み方向の荷重が解除されたときのアジャストスクリュの突出量が大きくなる。その結果、カムが回転するごとに、アジャストスクリュは突出方向に徐々に移動して、動弁装置の構成部材間の隙間の変化を吸収する。
反対に、動弁装置の構成部材間の隙間が小さくなったときは、カムにより押し込み方向の荷重が負荷されたときのアジャストスクリュの押し込み量よりも、更にカムが回転して押し込み方向の荷重が解除されたときのアジャストスクリュの突出量が小さくなる。その結果、カムが回転するごとに、アジャストスクリュは押し込み方向に徐々に移動して、動弁装置の構成部材間の隙間の変化を吸収する。
ところで、上述した各ラッシュアジャスタは、カムによる押し込み方向の荷重が解除されたときのアジャストスクリュの突出量を確保するため、突出方向の静荷重がアジャストスクリュに負荷されたときに、遊び側フランク間の滑りによってアジャストスクリュが回転するように、リード角αの大きさを設定している。
ここで、突出方向の静荷重がアジャストスクリュに負荷されたときに、遊び側フランク間の滑りによってアジャストスクリュが回転するための条件は、その雄ねじと雌ねじの間の静摩擦係数μが、遊び側フランクのフランク角θ2と雄ねじと雌ねじのリード角αとによって決定される自立摩擦係数(=tanα・cosθ2)よりも小さいことであることが知られている(特許文献5)。
すなわち、上述した各ラッシュアジャスタにおいて、リード角αの大きさは、遊び側フランクのフランク角θ2と、雄ねじと雌ねじの間の静摩擦係数μとに対してtanα>μ・secθ2を満たすように設定されている。secθ2は、cosθ2の逆数である。
特開2005−248912号公報 特開2007−92668号公報 特開2000−110523号公報 特開平11−62519号公報 特開2007−154852号公報
これらのラッシュアジャスタは、動弁装置から取り外した状態では、アジャストスクリュがリターンスプリングの付勢力によってナット部材から突出し、その状態で動弁装置に組み込むと、バルブがバルブシートに着座せず、エンジンが完爆しない。そのため、これらのラッシュアジャスタは、動弁装置に組み込む際に、アジャストスクリュを手動でナット部材にねじ込み、そのアジャストスクリュをナット部材から突出しないように押さえておく必要があった。しかし、アジャストスクリュを押さえておくのは煩雑である。
そこで、アジャストスクリュをナット部材にねじ込んだ状態に保持(以下、「初期セット」という)するために、特許文献3に記載のラッシュアジャスタにおいては、ナット部材内に蝋を充填している。このようにすると、蝋でアジャストスクリュが回り止めされるので、動弁装置に組み込むときにアジャストスクリュを押さえておく必要がない。また、ラッシュアジャスタを動弁装置に組み込んだ後は、エンジン作動中の温度上昇によって蝋が融解し、アジャストスクリュの初期セットが解除される。
しかし、ナット部材内に充填された蝋は、いったん融解するとナット部材から流出してしまう。そのため、エンジンをオーバーホールするときに、再びアジャストスクリュを初期セットすることができず、不便であった。
また、アジャストスクリュを初期セットするために、特許文献4に記載のラッシュアジャスタにおいては、アジャストスクリュとナット部材とに小径の貫通孔を形成し、その貫通孔にセットピンを挿し通すことにより、アジャストスクリュを回り止めしている。
しかし、このラッシュアジャスタは、動弁装置に組み込んだときに、セットピンを抜き忘れるおそれがある。また、忘れずにセットピンを抜いた場合にも、貫通孔から抜いたセットピンをエンジン内に置き忘れるおそれがある。また、エンジンをオーバーホールするときに再びセットピンを使用するので、ラッシュアジャスタを動弁装置に組み込んだ後も、セットピンを保管しておく必要があり、その管理が面倒であった。
また、アジャストスクリュを初期セットするために、特許文献2に記載のラッシュアジャスタにおいては、アジャストスクリュのナット部材からの突出端に当接してアジャストスクリュの突出を阻止するコの字形の初期セット部材が着脱可能に設けられている。このラッシュアジャスタは、アジャストスクリュをナット部材にねじ込んだ状態で初期セット部材を装着することにより、アジャストスクリュを初期セットすることが可能であり、初期セットの解除は初期セット部材を取り外すことにより行なう。
しかし、このラッシュアジャスタも、動弁装置に組み込んだときに、初期セット部材を外し忘れるおそれがある。また、忘れずに初期セット部材を取り外した場合にも、エンジンをオーバーホールするときに再び初期セット部材を使用するので、ラッシュアジャスタを動弁装置に組み込んだ後も、初期セット部材を保管しておく必要があり、その管理が面倒であった。
この発明が解決しようとする課題は、アジャストスクリュを繰り返し初期セットすることができ、また、アジャストスクリュを初期セットする作業が簡単であり、さらに、動弁装置に組み込んだ後に初期セットの解除操作が不要なラッシュアジャスタを提供することである。
上記の課題を解決するため、この発明の発明者は、突出方向の静荷重がアジャストスクリュに負荷されたときに、遊び側フランク間の摩擦抵抗によってアジャストスクリュの回転が阻止されるようにリード角αの大きさを設定しても、カムによる押し込み方向の荷重が解除されたときのアジャストスクリュの突出量を確保することができることを見出し、その遊び側フランク間の摩擦抵抗によってアジャストスクリュを初期セットするようにした。すなわち、前記雄ねじと雌ねじのリード角αの大きさを、遊び側フランクのフランク角θ2と、雄ねじと雌ねじの間の静摩擦係数μとに対して、tanα<μ・secθ2を満たすように設定したのである。
このようにすると、雄ねじと雌ねじの間の静摩擦係数μが自立摩擦係数(=tanα・cosθ2)よりも大きくなるので、突出方向の静荷重がアジャストスクリュに負荷されたときに、遊び側フランク間の摩擦抵抗によってアジャストスクリュの回転が阻止される。そのため、このラッシュアジャスタは、動弁装置から取り外した状態でアジャストスクリュを手動でナット部材にねじ込むと、そのアジャストスクリュを押さえておかなくても、アジャストスクリュがナット部材にねじ込んだ状態に保持される。
また、エンジン作動中、カムによる押し込み方向の荷重が解除されたときは、雄ねじと雌ねじの間の軸方向隙間に相当する分、アジャストスクリュが移動して、雄ねじと雌ねじの遊び側フランク同士が接触し、その接触時の動荷重によって遊び側フランク間に僅かな滑りが生じる。そのため、アジャストスクリュの突出量を確保することができる。
この発明は、例えば、次のラッシュアジャスタに適用することができる。
1)前記ナット部材は、シリンダヘッドの上面に開口した収容穴に挿入され、前記アジャストスクリュは、前記ナット部材からの突出端で動弁装置のアームを揺動可能に支持するスイングアーム式動弁装置のラッシュアジャスタ。
2)前記ナット部材は、シリンダヘッドの上面に開口した収容穴にスライド可能に挿入され、前記アジャストスクリュは、前記ナット部材からの突出端を前記収容穴の底に当接させ、前記ナット部材の前記収容穴からの突出端で動弁装置のアームを揺動可能に支持するスイングアーム式動弁装置のラッシュアジャスタ。
3)前記ナット部材は、シリンダヘッドに形成されたガイド孔に上下にスライド可能に挿入されるリフタボディに固定され、前記アジャストスクリュは、前記ナット部材からの突出端で動弁装置のバルブステムを押圧するダイレクト式動弁装置のラッシュアジャスタ。
4)前記ナット部材は、カムの回転に応じて揺動するアームの下面に開口した収容穴に挿入され、前記アジャストスクリュは、前記ナット部材からの突出端で動弁装置のバルブステムを押圧するロッカアーム式動弁装置のラッシュアジャスタ。
5)前記ナット部材は、カムの回転に応じて揺動するアームの下面に開口した収容穴にスライド可能に挿入され、前記アジャストスクリュは、前記ナット部材からの突出端を前記収容穴の底に支持させ、前記ナット部材の前記収容穴からの突出端で動弁装置のバルブステムを押圧するロッカアーム式動弁装置のラッシュアジャスタ。
前記雄ねじと雌ねじの間の軸方向隙間は、0.2〜0.4mmの範囲に設定すると、エンジンが高温の状態で停止し、その後、エンジンが冷却して動弁装置の構成部材間に収縮差が生じたときに、その収縮差を、雄ねじと雌ねじの軸方向隙間で吸収することができる。そのため、エンジンの再始動時に、動弁装置の構成部材間の収縮差による圧縮漏れが生じない。
この発明のラッシュアジャスタは、雄ねじと雌ねじの遊び側フランク間の摩擦抵抗によりアジャストスクリュを初期セットするので、その初期セットを繰り返し行なうことが可能である。
また、このラッシュアジャスタは、アジャストスクリュをナット部材にねじ込むだけで初期セットすることができるので、アジャストスクリュをねじ込んだ後に初期セット部材を装着するようにしたラッシュアジャスタよりも、初期セット作業が簡単である。
また、このラッシュアジャスタは、アジャストスクリュを初期セットした後、そのアジャストスクリュに動荷重を繰り返して負荷すると、アジャストスクリュが突出方向に徐々に移動する。そのため、このラッシュアジャスタは、エンジンのクランキング運転によって、アジャストスクリュの初期セットを解除することができ、初期セットの解除作業が不要である。
また、このラッシュアジャスタは、アジャストスクリュの初期セットを、セットピン等の別部材を使用せずに行なうので、初期セット解除後に、セットピン等の別部材をエンジン内に置き忘れる心配がない。また、ラッシュアジャスタを動弁装置に組み込んだ後に、オーバーホールに備えてセットピン等の別部材を保管する必要もなく、管理が容易である。
図1に、この発明の第1実施形態のラッシュアジャスタ1を組み込んだ動弁装置を示す。この動弁装置は、エンジンのシリンダヘッド2の吸気ポート3に設けられたバルブ4と、そのバルブ4に接続されたバルブステム5と、カム6の回転に応じて揺動するアーム7とを有する。
バルブステム5は、バルブ4から上方に延び、シリンダヘッド2を摺動可能に貫通している。バルブステム5の上部外周には、環状のスプリングリテーナ8が固定され、スプリングリテーナ8の下面とシリンダヘッド2の上面の間にバルブスプリング9が組み込まれている。バルブスプリング9は、スプリングリテーナ8を介してバルブステム5を上方に付勢し、その付勢力によってバルブ4をバルブシート10に着座させている。
アーム7は、一方の端部がラッシュアジャスタ1で支持され、他方の端部がバルブステム5の上端に接触している。また、アーム7の中央部にはローラ11が取り付けられ、ローラ11は、アーム7の上方に設けられたカム6に接触している。カム6は、エンジンのクランクシャフト(図示せず)に同調して回転するカムシャフト12に一体に形成されており、カムシャフト12が回転すると、ベースサークル6aに対して隆起したカム山部6bが、ローラ11を介してアーム7を押し下げるようになっている。
図1、図2に示すように、ラッシュアジャスタ1は、シリンダヘッド2の上面に開口した収容穴13に挿入される筒状のナット部材14と、ナット部材14の内周に形成された雌ねじ15にねじ係合する雄ねじ16を下部外周に有するアジャストスクリュ17と、ナット部材14内に組み込まれたリターンスプリング18とからなる。
図3に示すように、雄ねじ16と雌ねじ15は、アジャストスクリュ17をナット部材14に押し込む方向の荷重が負荷されたときに圧力を受ける圧力側フランク19のフランク角θ1が、遊び側フランク20のフランク角θ2よりも大きい鋸歯状に形成されている。
雄ねじ16と雌ねじ15のリード角αの大きさは、圧力側フランク19のフランク角θ1と、雄ねじ16と雌ねじ15の間の静摩擦係数μとに対してtanα<μ・secθ1を満たすように設定されている。すなわち、雄ねじ16と雌ねじ15の間の静摩擦係数μは、圧力側フランク19のフランク角θ1と雄ねじ16と雌ねじ15のリード角αとによって決定される押込み側の自立摩擦係数(=tanα・cosθ1)よりも大きい。そのため、押し込み方向の静荷重がアジャストスクリュ17に負荷されると、雄ねじ16と雌ねじ15の圧力側フランク19,19間の摩擦抵抗によってアジャストスクリュ17の回転が阻止される。
また、雄ねじ16と雌ねじ15のリード角αの大きさは、遊び側フランク20のフランク角θ2と、雄ねじ16と雌ねじ15の間の静摩擦係数μとに対してtanα<μ・secθ2を満たすように設定されている。すなわち、雄ねじ16と雌ねじ15の間の静摩擦係数μは、遊び側フランク20のフランク角θ2と雄ねじ16と雌ねじ15のリード角αとによって決定される突出側の自立摩擦係数(=tanα・cosθ2)よりも大きい。そのため、突出方向の静荷重がアジャストスクリュ17に負荷されると、雄ねじ16と雌ねじ15の遊び側フランク20,20間の摩擦抵抗によってアジャストスクリュ17の回転が阻止される。
例えば、雄ねじ16と雌ねじ15の間の静摩擦係数μが0.12、圧力側フランク19のフランク角θ1が75°、遊び側フランク20のフランク角θ2が15°の場合、雄ねじ16と雌ねじ15のリード角αを7°に設定すると、
tanα(=0.122)<μ・secθ1(=0.463)
tanα(=0.122)<μ・secθ2(=0.124)
となり、上記関係が満たされる。
また、雄ねじ16と雌ねじ15の間には軸方向隙間tが設けられており、その軸方向隙間tは、0.2〜0.4mmの範囲に設定されている。
図2に示すように、リターンスプリング18は、下端がナット部材14の底部21で支持され、上端がスプリングシート22を介してアジャストスクリュ17のナット部材14への挿入端を押圧しており、その押圧によって、アジャストスクリュ17をナット部材14から上方に突出する方向に付勢している。
アジャストスクリュ17は、図1に示すように、ナット部材14からの突出端23が半球状に形成されており、その突出端23が、アーム7の端部下面に形成された凹部24に嵌合している。ここで、突出端23は、凹部24の内面に摺動可能に接触し、その摺動によりアーム7を揺動可能に支持する。
上述したラッシュアジャスタ1の動弁装置への組み込みは、例えば、次のようにして行なう。
まず、図2に示すように、手動でアジャストスクリュ17をナット部材14に最後までねじ込む。このとき、リターンスプリング18からアジャストスクリュ17に突出方向の静荷重が負荷された状態となるが、遊び側フランク20,20間の摩擦抵抗によってアジャストスクリュ17の回転が阻止され、アジャストスクリュ17は、ナット部材14にねじ込んだ状態に保持(すなわち、初期セット)される。
次に、図1に示すように、ラッシュアジャスタ1をシリンダヘッド2の収容穴13に挿入し、アーム7とカムシャフト12を取り付ける。その後、クランキングによってカム6を回転させると、カム6のカム山部6bがローラ11の位置を通過するごとに、雄ねじ16と雌ねじ15の間の軸方向隙間tに相当する分、アジャストスクリュ17が上下に移動する。そのため、雄ねじ16と雌ねじ15の遊び側フランク20,20同士が接触と離反を繰り返し、その接触時の動荷重により遊び側フランク20,20間に滑りが生じる。その結果、アジャストスクリュ17は、カム6が回転するごとに突出方向に移動し、図4に示すように、ローラ11がカム6のベースサークル6aに接触する位置までアーム7の端部を押し上げる。
その後、エンジンの作動によりカム6が回転して、カム6のカム山部6bがアーム7を押し下げると、バルブ4がバルブシート10から離れて、吸気ポート3を開く。このとき、アジャストスクリュ17に押し込み方向の荷重が負荷されるが、雄ねじ16と雌ねじ15の圧力側フランク19,19間の摩擦抵抗によって、アジャストスクリュ17の軸方向位置が固定される。
更にカム6が回転して、カム山部6bがローラ11の位置を過ぎると、バルブスプリング9の付勢力によってバルブステム5が上昇し、バルブ4がバルブシート10に着座して、吸気ポート3を閉じる。
厳密には、カム6のカム山部6bがアーム7を押し下げるときに、雄ねじ16と雌ねじ15の圧力側フランク19,19間に僅かな滑りが生じ、その滑りによってアジャストスクリュ17が押し込み方向に移動するが、カム山部6bがローラ11の位置を過ぎて、押し込み方向の荷重が解除されたときに、雄ねじ16と雌ねじ15の間の軸方向隙間tに相当する分、リターンスプリング18の力によってアジャストスクリュ17が突出方向に移動して、雄ねじ16と雌ねじ15の遊び側フランク20,20同士が接触し、その接触時の動荷重によって遊び側フランク20,20間に僅かな滑りが生じるので、アジャストスクリュ17は元の位置に戻る。
エンジン作動中に、シリンダヘッド2、バルブステム5、アーム7など、動弁装置の構成部材間に熱膨張差が生じ、カム6とアーム7の間の距離が大きくなったときは、カム6のカム山部6bがアーム7を押し下げるときのアジャストスクリュ17の押し込み量よりも、更にカム6が回転して押し込み方向の荷重が解除されたときのアジャストスクリュ17の突出量が大きくなる。その結果、カム6が回転するごとに、アジャストスクリュ17が突出方向に徐々に移動するので、カム6のベースサークル6aとローラ11の間に隙間が生じない。
反対に、バルブ4とバルブシート10の接触面が摩耗したときは、カム6のベースサークル6aがローラ11の位置にあるときにも、バルブスプリング9の付勢力がアジャストスクリュ17に作用するため、カム6のカム山部6bがアーム7を押し下げるときのアジャストスクリュ17の押し込み量よりも、更にカム6が回転して押し込み方向の荷重が解除されたときのアジャストスクリュ17の突出量が小さくなる。その結果、カム6が回転するごとに、アジャストスクリュ17が押し込み方向に徐々に移動し、バルブステム5が上昇するので、バルブ4とバルブシート10の接触面間に隙間が生じない。
エンジンをオーバーホールするときに、動弁装置からカムシャフト12を取り外すと、リターンスプリング18からアジャストスクリュ17に突出方向の静荷重が負荷された状態となるが、遊び側フランク20,20間の摩擦抵抗によってアジャストスクリュ17の回転が阻止されるので、アジャストスクリュ17はナット部材14から突出しない。そのため、オーバーホールの際に、アジャストスクリュ17をナット部材14から突出しないように押さえておく必要がなく、アジャストスクリュ17がナット部材14から脱落してラッシュアジャスタ1がばらける心配もない。その後、カムシャフト12を再び動弁装置に組み付けるときに、アジャストスクリュ17を再び初期セットする必要があるが、その初期セットは、アジャストスクリュ17をナット部材14にねじ込むだけで行なうことができる。
このように、このラッシュアジャスタ1は、雄ねじ16と雌ねじ15の遊び側フランク20,20間の摩擦抵抗によりアジャストスクリュ17を初期セットするので、その初期セットを繰り返し行なうことが可能である。
また、ラッシュアジャスタ1は、アジャストスクリュ17をナット部材14にねじ込むだけで初期セットすることができるので、アジャストスクリュ17をねじ込んだ後に初期セット部材を装着するようにしたラッシュアジャスタよりも、初期セット作業が簡単である。
また、このラッシュアジャスタ1は、アジャストスクリュ17を初期セットした後、そのアジャストスクリュ17に動荷重を繰り返して負荷すると、アジャストスクリュ17が突出方向に徐々に移動する。そのため、このラッシュアジャスタ1は、エンジンのクランキング運転によって、アジャストスクリュ17の初期セットを解除することができ、初期セットの解除作業が不要である。
また、このラッシュアジャスタ1は、アジャストスクリュ17の初期セットを、セットピン等の別部材を使用せずに行なうので、初期セット解除後に、セットピン等の別部材をエンジン内に置き忘れる心配がない。また、ラッシュアジャスタ1を動弁装置に組み込んだ後に、オーバーホールに備えてセットピン等の別部材を保管する必要もなく、管理が容易である。また、セットピンの挿入孔をアジャストスクリュ17やナット部材14に形成する必要がないので、低コストである。
図5に、この発明の第2実施形態のラッシュアジャスタ31を組み込んだ動弁装置を示す。この動弁装置は、第1実施形態のラッシュアジャスタ1をラッシュアジャスタ31に置き換えたものである。第1実施形態に対応する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
図5、図6に示すように、ラッシュアジャスタ31は、シリンダヘッド2の上面に開口した収容穴13にスライド可能に挿入されるナット部材32と、ナット部材32の内周に形成された雌ねじ33にねじ係合する雄ねじ34を上部外周に有するアジャストスクリュ35と、ナット部材32内に組み込まれたリターンスプリング36とからなる。ナット部材32は、収容穴13への挿入端が開口する有底筒状に形成されている。
図6に示すように、雄ねじ34と雌ねじ33は、アジャストスクリュ35をナット部材32に押し込む方向の荷重が負荷されたときに圧力を受ける圧力側フランク37のフランク角が、遊び側フランク38のフランク角よりも大きい鋸歯状に形成されている。
雄ねじ34と雌ねじ33のリード角αの大きさは、圧力側フランク37のフランク角θ1と、雄ねじ34と雌ねじ33の間の静摩擦係数μとに対してtanα<μ・secθ1を満たすように設定され、また、遊び側フランク38のフランク角θ2と、雄ねじ34と雌ねじ33の間の静摩擦係数μとに対しても、tanα<μ・secθ2を満たすように設定されている。また、雄ねじ34と雌ねじ33の間には軸方向隙間が設けられており、その軸方向隙間は、0.2〜0.4mmの範囲に設定されている。
リターンスプリング36は、上端がナット部材32の閉塞端で支持され、下端がスプリングシート39を介してアジャストスクリュ35のナット部材32への挿入端を押圧しており、その押圧によって、アジャストスクリュ35をナット部材32から下方に突出する方向に付勢している。アジャストスクリュ35のナット部材32からの突出端にはフランジ部40が形成され、そのフランジ部40が収容穴13の底に当接している。
図5に示すように、ナット部材32は、収容穴13からの突出端41が半球状に形成されており、その突出端41が、アーム7の凹部24に嵌合している。ここで、突出端41は、アーム7の凹部24の内面に摺動可能に接触し、その摺動によりアーム7を揺動可能に支持する。
上述したラッシュアジャスタ31の動弁装置への組み込みは、例えば、次のようにして行なう。まず、図6に示すように、手動でアジャストスクリュ35をナット部材32に最後までねじ込む。このとき、リターンスプリング36からアジャストスクリュ35に突出方向の静荷重が負荷された状態となるが、遊び側フランク38,38間の摩擦抵抗によってアジャストスクリュ35の回転が阻止され、アジャストスクリュ35が初期セットされる。
次に、図5に示すように、ラッシュアジャスタ31を動弁装置に組み込み、クランキングによってカム6を回転させると、カム6のカム山部6bがローラ11の位置を通過するごとに、雄ねじ34と雌ねじ33の間の軸方向隙間に相当する分、ナット部材32が上下に移動する。そのため、雄ねじ34と雌ねじ33の遊び側フランク38,38同士が接触と離反を繰り返し、その接触時の動荷重により遊び側フランク38,38間に滑りが生じる。その結果、アジャストスクリュ35は、カム6が回転するごとに突出方向に移動してナット部材32を上昇させ、ローラ11がカム6のベースサークル6aに接触する位置までアーム7の端部を押し上げる。
このラッシュアジャスタ31は、第1実施形態と同様、雄ねじ34と雌ねじ33の遊び側フランク38,38間の摩擦抵抗によりアジャストスクリュ35を初期セットするので、その初期セットを繰り返し行なうことが可能である。
また、ラッシュアジャスタ31は、アジャストスクリュ35をナット部材32にねじ込むだけで初期セットすることができるので、アジャストスクリュ35をねじ込んだ後に初期セット部材を装着するようにしたラッシュアジャスタよりも、初期セット作業が簡単である。
また、このラッシュアジャスタ31は、アジャストスクリュ35を初期セットした後、そのアジャストスクリュ35に動荷重を繰り返して負荷すると、アジャストスクリュ35が突出方向に徐々に移動する。そのため、このラッシュアジャスタ31は、エンジンのクランキング運転によって、アジャストスクリュ35の初期セットを解除することができ、初期セットの解除作業が不要である。
また、このラッシュアジャスタ31は、アジャストスクリュ35の初期セットを、セットピン等の別部材を使用せずに行なうので、初期セット解除後に、セットピン等の別部材をエンジン内に置き忘れる心配がない。また、ラッシュアジャスタ31を動弁装置に組み込んだ後に、オーバーホールに備えてセットピン等の別部材を保管する必要もなく、管理が容易である。また、セットピンの挿入孔をアジャストスクリュ35やナット部材32に形成する必要がないので、低コストである。
図7に、この発明の第3実施形態のラッシュアジャスタ51を組み込んだ動弁装置を示す。この動弁装置は、第1実施形態と同様、シリンダヘッド52の吸気ポート53に設けられたバルブ54と、そのバルブ54に接続されたバルブステム55とを有する。バルブステム55は、バルブ54から上方に延びており、バルブステム55の上部にはスプリングリテーナ56が固定されている。スプリングリテーナ56は、バルブスプリング57によって上方に付勢され、その付勢力によってバルブ54をバルブシート58に着座させている。
図7、図8に示すように、ラッシュアジャスタ51は、シリンダヘッド52に形成されたガイド孔59に上下にスライド可能に挿入されるリフタボディ60と、リフタボディ60と一体に上下動するナット部材61と、そのナット部材61の内周に形成された雌ねじ62にねじ係合する雄ねじ63を外周に有するアジャストスクリュ64と、ナット部材61内に組み込まれたリターンスプリング65とからなる。
図7に示すように、リフタボディ60は、筒部66と、筒部66の上端に設けられた端板67とからなり、端板67の上面にカム68が接触している。カム68は、エンジンのクランクシャフト(図示せず)に同調して回転するカムシャフト69に一体に形成され、カムシャフト69が回転すると、ベースサークル68aに対して隆起したカム山部68bがリフタボディ60を押し下げるようになっている。ナット部材61は、止め輪70でリフタボディ60に固定されている。
図8に示すように、雄ねじ63と雌ねじ62は、アジャストスクリュ64をナット部材61に押し込む方向の荷重が負荷されたときに圧力を受ける圧力側フランク71のフランク角が、遊び側フランク72のフランク角よりも大きい鋸歯状に形成されている。
雄ねじ63と雌ねじ62のリード角αの大きさは、圧力側フランク71のフランク角θ1と、雄ねじ63と雌ねじ62の間の静摩擦係数μとに対してtanα<μ・secθ1を満たすように設定され、また、遊び側フランク72のフランク角θ2と、雄ねじ63と雌ねじ62の間の静摩擦係数μとに対しても、tanα<μ・secθ2を満たすように設定されている。また、雄ねじ63と雌ねじ62の間には軸方向隙間が設けられており、その軸方向隙間は、0.2〜0.4mmの範囲に設定されている。
リターンスプリング65は、その上端がスプリングシート73を介して端板67で支持され、下端がアジャストスクリュ64のナット部材61への挿入端を押圧しており、その押圧によって、アジャストスクリュ64をナット部材61から下方に突出する方向に付勢している。図7に示すように、アジャストスクリュ64のナット部材61からの突出端は、バルブステム55の上端を押圧する。
上述したラッシュアジャスタ51の動弁装置への組み込みは、例えば、次のようにして行なう。まず、図8に示すように、アジャストスクリュ64をナット部材61に手動でねじ込む。このとき、リターンスプリング65からアジャストスクリュ64に突出方向の静荷重が負荷された状態となるが、遊び側フランク72,72間の摩擦抵抗によってアジャストスクリュ64の回転が阻止され、アジャストスクリュ64が初期セットされる。
次に、図7に示すように、ラッシュアジャスタ51を動弁装置に組み込み、クランキングによってカム68を回転させると、カム68のカム山部68bがローラの位置を通過するごとに、雄ねじ63と雌ねじ62の間の軸方向隙間に相当する分、アジャストスクリュ64が上下に移動する。そのため、雄ねじ63と雌ねじ62の遊び側フランク72,72同士が接触と離反を繰り返し、その接触時の動荷重により遊び側フランク72,72間に滑りが生じる。その結果、図9に示すように、アジャストスクリュ64は、カム68が回転するごとに突出方向に移動し、端板67がカム68のベースサークル68aに接触する位置までリフタボディ60を上昇させる。
このラッシュアジャスタ51は、第1実施形態と同様、雄ねじ63と雌ねじ62の遊び側フランク72,72間の摩擦抵抗によりアジャストスクリュ64を初期セットするので、その初期セットを繰り返し行なうことが可能である。
また、ラッシュアジャスタ51は、アジャストスクリュ64をナット部材61にねじ込むだけで初期セットすることができるので、アジャストスクリュ64をねじ込んだ後に初期セット部材を装着するようにしたラッシュアジャスタよりも、初期セット作業が簡単である。
また、このラッシュアジャスタ51は、アジャストスクリュ64を初期セットした後、そのアジャストスクリュ64に動荷重を繰り返して負荷すると、アジャストスクリュ64が突出方向に徐々に移動する。そのため、このラッシュアジャスタ51は、エンジンのクランキング運転によって、アジャストスクリュ64の初期セットを解除することができ、初期セットの解除作業が不要である。
また、このラッシュアジャスタ51は、アジャストスクリュ64の初期セットを、セットピン等の別部材を使用せずに行なうので、初期セット解除後に、セットピン等の別部材をエンジン内に置き忘れる心配がない。また、ラッシュアジャスタ51を動弁装置に組み込んだ後に、オーバーホールに備えてセットピン等の別部材を保管する必要もなく、管理が容易である。また、セットピンの挿入孔をアジャストスクリュ64やナット部材61に形成する必要がないので、低コストである。
図10に、この発明の第4実施形態のラッシュアジャスタ81を組み込んだ動弁装置を示す。この動弁装置は、エンジンのシリンダヘッド82の吸気ポート83に設けられたバルブ84と、そのバルブ84に接続されたバルブステム85と、カム86の回転に応じて揺動するアーム87とを有する。
バルブステム85は、バルブ84から上方に延びており、バルブステム85の上部にはスプリングリテーナ88が固定されている。スプリングリテーナ88は、バルブスプリング89によって上方に付勢され、その付勢力によってバルブ84をバルブシート90に着座させている。
アーム87は、中央部を支点軸91で揺動可能に支持されている。アーム87の一方の端部には、カム86に接触するローラ92が取り付けられ、アーム87の他方の端部には、ラッシュアジャスタ81が組み込まれている。アーム87の下方に設けられたカム86は、エンジンのクランクシャフト(図示せず)に同調して回転するカムシャフト93に一体に形成されており、カムシャフト93が回転すると、ベースサークル86aに対して隆起したカム山部86bが、ローラ92を押圧してアーム87を揺動させるようになっている。
図11に示すように、ラッシュアジャスタ81は、アーム87の下面に開口した収容穴94に挿入されるナット部材95と、ナット部材95の内周に形成された雌ねじ96にねじ係合する雄ねじ97を外周に有するアジャストスクリュ98と、ナット部材95内に組み込まれたリターンスプリング99とを有する。ナット部材95は、収容穴94の縁をかしめることによってアーム87に固定されている。
雄ねじ97と雌ねじ96は、アジャストスクリュ98をナット部材95に押し込む方向の荷重が負荷されたときに圧力を受ける圧力側フランク100のフランク角が、遊び側フランク101のフランク角よりも大きい鋸歯状に形成されている。
雄ねじ97と雌ねじ96のリード角αの大きさは、圧力側フランク100のフランク角θ1と、雄ねじ97と雌ねじ96の間の静摩擦係数μとに対してtanα<μ・secθ1を満たすように設定され、また、遊び側フランク101のフランク角θ2と、雄ねじ97と雌ねじ96の間の静摩擦係数μとに対しても、tanα<μ・secθ2を満たすように設定されている。また、雄ねじ97と雌ねじ96の間には軸方向隙間が設けられており、その軸方向隙間は、0.2〜0.4mmの範囲に設定されている。
リターンスプリング99は、上端が収容穴94の内底面で支持され、下端がスプリングシート102を介してアジャストスクリュ98のナット部材95への挿入端を押圧しており、その押圧によって、アジャストスクリュ98をナット部材95から下方に突出する方向に付勢している。アジャストスクリュ98のナット部材95からの突出端は、バルブステム85の上端を押圧する。
上述したラッシュアジャスタ81の動弁装置への組み込みは、例えば、次のようにして行なう。まず、図11に示すように、アーム87に固定されたナット部材95に、アジャストスクリュ98を手動でねじ込む。このとき、リターンスプリング99からアジャストスクリュ98に突出方向の静荷重が負荷された状態となるが、遊び側フランク101,101間の摩擦抵抗によってアジャストスクリュ98の回転が阻止され、アジャストスクリュ98が初期セットされる。
このようにしてラッシュアジャスタ81を組み込んだアーム87を動弁装置に組み付け、更に、カムシャフト93を組み付ける。その後、クランキングによってカム86を回転させると、カム86のカム山部86bがローラ92の位置を通過するごとに、雄ねじ97と雌ねじ96の間の軸方向隙間に相当する分、アジャストスクリュ98が上下に移動する。そのため、雄ねじ97と雌ねじ96の遊び側フランク101,101同士が接触と離反を繰り返し、その接触時の動荷重により遊び側フランク101,101間に滑りが生じる。その結果、アジャストスクリュ98は、カム86が回転するごとに突出方向に移動し、ローラ92がカム86のベースサークル86aに接触する位置までアーム87を揺動させる。
このラッシュアジャスタ81は、第1実施形態と同様、雄ねじ97と雌ねじ96の遊び側フランク101,101間の摩擦抵抗によりアジャストスクリュ98を初期セットするので、その初期セットを繰り返し行なうことが可能である。
また、ラッシュアジャスタ81は、アジャストスクリュ98をナット部材95にねじ込むだけで初期セットすることができるので、アジャストスクリュ98をねじ込んだ後に初期セット部材を装着するようにしたラッシュアジャスタよりも、初期セット作業が簡単である。
また、このラッシュアジャスタ81は、アジャストスクリュ98を初期セットした後、そのアジャストスクリュ98に動荷重を繰り返して負荷すると、アジャストスクリュ98が突出方向に徐々に移動する。そのため、このラッシュアジャスタ81は、エンジンのクランキング運転によって、アジャストスクリュ98の初期セットを解除することができ、初期セットの解除作業が不要である。
また、このラッシュアジャスタ81は、アジャストスクリュ98の初期セットを、セットピン等の別部材を使用せずに行なうので、初期セット解除後に、セットピン等の別部材をエンジン内に置き忘れる心配がない。また、ラッシュアジャスタ81を動弁装置に組み込んだ後に、オーバーホールに備えてセットピン等の別部材を保管する必要もなく、管理が容易である。また、セットピンの挿入孔をアジャストスクリュ98やナット部材95に形成する必要がないので、低コストである。
この発明は、第2実施形態と同様に、アーム87の下面に開口した有底の収容穴94にスライド可能に挿入されるナット部材(図示せず)と、ナット部材の内周に形成された雌ねじにねじ係合する雄ねじを下部外周に有するアジャストスクリュ(図示せず)と、ナット部材内に組み込まれたリターンスプリング(図示せず)とからなるラッシュアジャスタにも適用することができる。この場合、ナット部材は、収容穴94への挿入端が開口する有底筒状に形成し、収容穴94からの突出端でバルブステム85の上端を押圧するようにすればよい。
また、この発明は、雄ねじと雌ねじが1条ねじ、2条ねじ、3条ねじのいずれのラッシュアジャスタにも適用可能である。
この発明の第1実施形態のラッシュアジャスタを組み込んだ動弁装置を示す正面図 図1に示すラッシュアジャスタの拡大断面図 図2に示すラッシュアジャスタの雄ねじと雌ねじの拡大断面図 図1に示すラッシュアジャスタの初期セットが解除された状態を示す正面図 この発明の第2実施形態のラッシュアジャスタを組み込んだ動弁装置を示す正面図 図5に示すラッシュアジャスタの拡大断面図 この発明の第3実施形態のラッシュアジャスタを組み込んだ動弁装置を示す正面図 図7のアジャストスクリュ近傍の拡大断面図 図8に示すラッシュアジャスタの初期セットが解除された状態を示す拡大断面図 この発明の第4実施形態のラッシュアジャスタを組み込んだ動弁装置を示す正面図 図10のラッシュアジャスタ近傍の拡大断面図
符号の説明
1 ラッシュアジャスタ
2 シリンダヘッド
7 アーム
13 収容穴
14 ナット部材
15 雌ねじ
16 雄ねじ
17 アジャストスクリュ
18 リターンスプリング
19 圧力側フランク
20 遊び側フランク
23 突出端
31 ラッシュアジャスタ
32 ナット部材
33 雌ねじ
34 雄ねじ
35 アジャストスクリュ
36 リターンスプリング
37 圧力側フランク
38 遊び側フランク
40 フランジ部
41 突出端
51 ラッシュアジャスタ
52 シリンダヘッド
55 バルブステム
59 ガイド孔
60 リフタボディ
61 ナット部材
62 雌ねじ
63 雄ねじ
64 アジャストスクリュ
65 リターンスプリング
71 圧力側フランク
72 遊び側フランク
81 ラッシュアジャスタ
85 バルブステム
86 カム
87 アーム
94 収容穴
95 ナット部材
96 雌ねじ
97 雄ねじ
98 アジャストスクリュ
99 リターンスプリング
100 圧力側フランク
101 遊び側フランク
θ1,θ2 フランク角
α リード角

Claims (7)

  1. 内周に雌ねじ(15)を有するナット部材(14)と、前記雌ねじ(15)にねじ係合する雄ねじ(16)を外周に有するアジャストスクリュ(17)と、そのアジャストスクリュ(17)をナット部材(14)から突出する方向に付勢するリターンスプリング(18)とを有し、前記雄ねじ(16)と雌ねじ(15)は、アジャストスクリュ(17)をナット部材(14)内に押し込む方向の荷重が負荷されたときに圧力を受ける圧力側フランク(19)のフランク角θ1が、遊び側フランク(20)のフランク角θ2よりも大きい鋸歯状に形成された動弁装置のラッシュアジャスタ(1)において、
    前記雄ねじ(16)と雌ねじ(15)のリード角αの大きさを、遊び側フランク(20)のフランク角θ2と、雄ねじ(16)と雌ねじ(15)の間の静摩擦係数μとに対して次式
    tanα<μ・secθ2
    を満たすように設定したことを特徴とするラッシュアジャスタ。
  2. 前記ナット部材(14)は、シリンダヘッド(2)の上面に開口した収容穴(13)に挿入され、前記アジャストスクリュ(17)は、前記ナット部材(14)からの突出端(23)で動弁装置のアーム(7)を揺動可能に支持する請求項1に記載のラッシュアジャスタ。
  3. 前記ナット部材(32)は、シリンダヘッド(2)の上面に開口した収容穴(13)にスライド可能に挿入され、前記アジャストスクリュ(35)は、前記ナット部材(32)からの突出端(40)を前記収容穴(13)の底に当接させ、前記ナット部材(32)の前記収容穴(13)からの突出端(41)で動弁装置のアーム(7)を揺動可能に支持する請求項1に記載のラッシュアジャスタ。
  4. 前記ナット部材(61)は、シリンダヘッド(52)に形成されたガイド孔(59)に上下にスライド可能に挿入されるリフタボディ(60)に固定され、前記アジャストスクリュ(64)は、前記ナット部材(61)からの突出端で動弁装置のバルブステム(55)を押圧する請求項1に記載のラッシュアジャスタ。
  5. 前記ナット部材(95)は、カム(86)の回転に応じて揺動するアーム(87)の下面に開口した収容穴(94)に挿入され、前記アジャストスクリュ(98)は、前記ナット部材(95)からの突出端で動弁装置のバルブステム(85)を押圧する請求項1に記載のラッシュアジャスタ。
  6. 前記ナット部材は、カム(86)の回転に応じて揺動するアーム(87)の下面に開口した収容穴(94)にスライド可能に挿入され、前記アジャストスクリュは、前記ナット部材からの突出端を前記収容穴(94)の底に当接させ、前記ナット部材の前記収容穴(94)からの突出端で動弁装置のバルブステム(85)を押圧する請求項1に記載のラッシュアジャスタ。
  7. 前記雄ねじ(16)と雌ねじ(15)の間の軸方向隙間を0.2〜0.4mmの範囲に設定した請求項1から6のいずれかに記載のラッシュアジャスタ。
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