JP2009097499A - ラッシュアジャスタ - Google Patents

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Abstract

【課題】アジャストスクリュを繰り返し初期セットすることができ、また、アジャストスクリュを初期セットする作業が簡単なラッシュアジャスタを提供する。
【解決手段】シリンダヘッド2の上面の収容穴13に挿入されるナット部材14と、そのナット部材14の内周の雌ねじ20にねじ係合する雄ねじ19を外周に有するアジャストスクリュ15と、そのアジャストスクリュ15を付勢するリターンスプリング17とを有するラッシュアジャスタ1において、アジャストスクリュ15のナット部材14からの突出部分の外周に円周溝26を形成し、その円周溝26にOリング18を装着し、アジャストスクリュ15をナット部材14にねじ込んだときに、Oリング18とナット部材14の上端面との間に生じる摩擦力によってアジャストスクリュ15が回り止めされるようにする。
【選択図】図2

Description

この発明は、エンジンの動弁装置に組み込まれるラッシュアジャスタに関する。
エンジンの吸気ポートまたは排気ポートに設けたバルブを動作させる動弁装置として、一端部を支点として揺動可能に支持されたアームの中央部をカムで押し下げ、そのアームの他端部でバルブステムを押し下げるようにしたもの(スイングアーム式動弁装置)や、中央部を支点として揺動可能に支持されたアームの一端部をカムで押し上げ、そのアームの他端部でバルブステムを押し下げるようにしたもの(ロッカアーム式動弁装置)や、上下にスライド可能に支持されたリフタボディをカムで押し下げ、そのリフタボディでバルブステムを押し下げるようにしたもの(ダイレクト式動弁装置)などが知られている。
これらの動弁装置は、エンジン作動中、動弁装置の構成部材間に生じる熱膨張差によって、動弁装置の構成部材間の隙間が変化し、その隙間の変化によって異音や圧縮漏れを生じる恐れがある。また、動弁装置の摺動部が摩耗しても、動弁装置の構成部材間の隙間が変化し、その隙間の変化によって異音を生じる恐れがある。
この異音や圧縮漏れを防止するため、動弁装置にはラッシュアジャスタが組み込まれ、そのラッシュアジャスタで動弁装置の構成部材間の隙間の変化を吸収することが多い。
このようなラッシュアジャスタとして、上記スイングアーム式動弁装置においては、シリンダヘッドの上面に開口した収容穴に挿入されるナット部材と、そのナット部材の内周に形成された雌ねじにねじ係合する雄ねじを外周に有するアジャストスクリュと、そのアジャストスクリュを前記ナット部材から上方に突出する方向に付勢するリターンスプリングとを有し、前記アジャストスクリュで動弁装置のアームを揺動可能に支持するものが知られている(特許文献1)。
また、上記ロッカアーム式動弁装置においては、カムの回転に応じて揺動するアームの下面に開口した収容穴に挿入されるナット部材と、そのナット部材の内周に形成された雌ねじにねじ係合する雄ねじを外周に有するアジャストスクリュと、そのアジャストスクリュを前記ナット部材から下方に突出する方向に付勢するリターンスプリングとを有し、前記アジャストスクリュで動弁装置のバルブステムを押圧するものが知られている(特許文献2)。
また、上記ダイレクト式動弁装置においては、シリンダヘッドに形成されたガイド孔に上下にスライド可能に挿入されるリフタボディと、そのリフタボディと一体に上下動するナット部材と、そのナット部材の内周に形成された雌ねじにねじ係合する雄ねじを外周に有するアジャストスクリュと、そのアジャストスクリュを前記ナット部材から下方に突出する方向に付勢するリターンスプリングとを有し、前記アジャストスクリュのナット部材からの突出端で動弁装置のバルブステムを押圧するものが知られている(特許文献3)。
これらのラッシュアジャスタは、動弁装置から取り外した状態では、リターンスプリングの付勢力によってアジャストスクリュがナット部材から突出するが、その状態で動弁装置に組み込むと、バルブがバルブシートに着座せず、エンジンが完爆しない。そのため、このラッシュアジャスタは、動弁装置に組み込む際に、アジャストスクリュをナット部材にねじ込み、そのアジャストスクリュをナット部材から突出しないように押さえておく必要があるが、アジャストスクリュを押さえておくのは煩雑である。
そこで、アジャストスクリュをナット部材にねじ込んだ状態に保持(以下、「初期セット」という)することが可能なラッシュアジャスタとして、上記ダイレクト式動弁装置においては、アジャストスクリュとナット部材の間に蝋を充填し、その蝋でアジャストスクリュを回り止めしたものが提案されている(特許文献3)。
このラッシュアジャスタは、アジャストスクリュが蝋で初期セットされているので、動弁装置に組み込むときにアジャストスクリュを押さえておく必要がない。また、ラッシュアジャスタを動弁装置に組み込んだ後は、エンジン作動中の温度上昇によって蝋が融解し、アジャストスクリュの初期セットが解除される。
しかし、アジャストスクリュとナット部材の間の蝋は、いったん融解するとアジャストスクリュとナット部材の間から流出するので、アジャストスクリュを再び初期セットすることができない。そのため、エンジンをオーバーホールするときに、再びアジャストスクリュを初期セットすることができず、不便であった。
そこで、アジャストスクリュを繰り返し初期セットすることができるラッシュアジャスタとして、上記ダイレクト式動弁装置において、アジャストスクリュとナット部材とに形成した小径の貫通孔にセットピンを挿し通すことにより、アジャストスクリュを回り止めするようにしたものが知られている(特許文献4)。
しかし、アジャストスクリュとナット部材とに小径の貫通孔を形成するのは、コスト高である。また、アジャストスクリュを初期セットするときに、アジャストスクリュの貫通孔をナット部材の貫通孔に一致させる必要があるが、小径の貫通孔の位置を一致させる作業は容易でない。
また、このラッシュアジャスタは、動弁装置に組み込んだときに、セットピンを抜き忘れるおそれがある。また、忘れずにセットピンを抜いた場合にも、貫通孔から抜いたセットピンをエンジン内に置き忘れるおそれがある。また、エンジンをオーバーホールするときに再びセットピンを使用するので、ラッシュアジャスタを動弁装置に組み込んだ後も、セットピンを保管しておく必要があり、その管理が面倒であった。
特開2005−248912号公報 特開2007−92668号公報 特開2000−110523号公報 特開平11−62519号公報
この発明が解決しようとする課題は、アジャストスクリュを繰り返し初期セットすることができ、また、アジャストスクリュを初期セットする作業が簡単であり、さらに、動弁装置に組み込んだときにアジャストスクリュの初期セットを解除し忘れる心配がなく、しかも、動弁装置に組み込んだ後の管理が容易なラッシュアジャスタを提供することである。
上記の課題を解決するため、スイングアーム式動弁装置においては、前記アジャストスクリュの前記ナット部材からの突出部分の外周に円周溝を形成し、その円周溝に、前記ナット部材の内径よりも大きい外径をもつ初期セット部材を装着し、前記アジャストスクリュをナット部材にねじ込んだときに、前記初期セット部材と前記ナット部材の上端面との間に生じる摩擦力によって前記アジャストスクリュが回り止めされるようにした。
このようにすると、アジャストスクリュをナット部材にねじ込んだときに、アジャストスクリュの円周溝に装着された初期セット部材が、ナット部材の上端面に押さえ付けられるので、その初期セット部材とナット部材との間に摩擦力が生じ、その摩擦力によってアジャストスクリュが回り止めされ、アジャストスクリュを初期セットすることができる。また、アジャストスクリュの初期セットは、例えば、アジャストスクリュに衝撃荷重を加えることによって解除することができる。
同様に、上記の課題を解決するため、ロッカアーム式動弁装置においては、前記アジャストスクリュの前記ナット部材からの突出部分の外周に円周溝を形成し、その円周溝に、前記ナット部材の内径よりも大きい外径をもつ初期セット部材を装着し、前記アジャストスクリュをナット部材にねじ込んだときに、前記初期セット部材と前記ナット部材の下端面との間に生じる摩擦力によって前記アジャストスクリュが回り止めされるようにした。
このようにすると、アジャストスクリュをナット部材にねじ込んだときに、アジャストスクリュの円周溝に装着された初期セット部材が、ナット部材の下端面に押さえ付けられるので、その初期セット部材とナット部材との間に摩擦力が生じ、その摩擦力によってアジャストスクリュが回り止めされ、アジャストスクリュを初期セットすることができる。また、アジャストスクリュの初期セットは、例えば、アジャストスクリュに衝撃荷重を加えることによって解除することができる。
これらのラッシュアジャスタは、前記初期セット部材として、軸方向に弾性をもつリング状の弾性部材を用いると好ましい。このようにすると、アジャストスクリュをナット部材にねじ込んだときに、初期セット部材(弾性部材)がナット部材に押さえ付けられて変形し、その変形量に応じた大きさの摩擦力が初期セット部材とナット部材の間に生じるので、その摩擦力の大きさをアジャストスクリュの軸方向変位で管理することが可能となる。また、初期セット部材とナット部材との間に隙間を空ける操作によって、アジャストスクリュの初期セットを解除することが可能となる。初期セットの解除は、アジャストスクリュに衝撃荷重を加えることによっても行なうことができるが、このように、初期セット部材とナット部材との間に隙間を空ける操作により行なうと確実である
前記弾性部材としては、例えば、ゴム製のOリングや、弾性樹脂からなるリングを用いることができる。ここで、弾性部材としてOリングを用いると、Oリングは広く一般に流通している部材なので、低コストである。
また、前記弾性部材として、円錐コイルばねを用いることができる。この場合、その円錐コイルばねの小径端を、前記円周溝に径方向の締め代をもって嵌合させると好ましい。このようにすると、円錐コイルばねとアジャストスクリュの間にガタが生じないので、円錐コイルばねの姿勢が安定し、その結果、アジャストスクリュを初期セットするときに、円錐コイルばねとナット部材の間に生じる摩擦力の大きさを、アジャストスクリュの軸方向変位で高精度に管理することが可能となる。
更に、前記円錐コイルばねは、その大径端から径方向外方に延びるセット解除摘みを設けることができる。この場合、そのセット解除摘みを持ち上げて、円錐コイルばねとナット部材との間に隙間を空けることにより、アジャストスクリュの初期セットを解除することができる。また、セット解除摘みを円周方向に移動させ、円錐コイルばねとナット部材との間に滑りを生じさせても、円錐コイルばねとナット部材との間の摩擦係数が、静摩擦係数から動摩擦係数(<静摩擦係数)に切り替わるので、アジャストスクリュの初期セットを解除することができる。初期セットの解除は、アジャストスクリュに衝撃荷重を加えることによっても行なうことができるが、このように、セット解除摘みの操作により行なうと確実である。
また、前記弾性部材として、巻き数が2巻きの円筒コイルばねを用いることができる。この場合、その円筒コイルばねを、径方向の締め代をもって前記円周溝に嵌合させると好ましい。このようにすると、円筒コイルばねとアジャストスクリュの間にガタが生じないので、円筒コイルばねの姿勢が安定し、その結果、アジャストスクリュを初期セットするときに、円筒コイルばねとナット部材の下端面との間に生じる摩擦力の大きさを、アジャストスクリュの軸方向変位で高精度に管理することが可能となる。
更に、前記円筒コイルばねは、その一端から径方向外方に延びるセット解除摘みを設けることができる。この場合、そのセット解除摘みを円周方向に移動させ、円筒コイルばねとナット部材との間に滑りを生じさせることにより、円筒コイルばねとナット部材との間の摩擦係数が、静摩擦係数から動摩擦係数に切り替わるので、アジャストスクリュの初期セットを解除することができる。
また、前記初期セット部材として、前記円周溝に径方向の締め代をもって嵌合するC形環状部と、そのC形環状部の両端から延びる一対のセット解除摘みとからなるセットクリップを用いることができる。このようにすると、アジャストスクリュをナット部材にねじ込んだときに、セットクリップのC形環状部が、ナット部材に押さえ付けられ、そのC形環状部とナット部材との間に生じる摩擦力によってアジャストスクリュが初期セットされる。また、セット解除摘みを操作してC形環状部を拡径させ、C形環状部とナット部材との間に滑りを生じさせることにより、C形環状部とナット部材の間の摩擦係数が、静摩擦係数から動摩擦係数に切り替わるので、アジャストスクリュの初期セットを解除することができる。
また、前記C形環状部には軸方向の波形を付すと好ましい。このようにすると、アジャストスクリュをナット部材にねじ込んだときに、C形環状部がナット部材に押さえ付けられて変形し、その変形量に応じた大きさの摩擦力がC形環状部とナット部材の間に生じるので、その摩擦力の大きさをアジャストスクリュの軸方向変位で管理することが可能となる。
また、前記C形環状部の両端から延びる一対のセット解除摘みは、C形環状部の一端から延びるセット解除摘みと、C形環状部の他端から延びるセット解除摘みとを交差させると好ましい。このようにすると、その一対のセット解除摘みを挟持し、その間隔を狭める操作によりC形環状部を拡径させることができるので、セット解除摘みの間隔を広げる操作でC形環状部を拡径させるラッシュアジャスタよりも、アジャストスクリュの初期セットを解除する操作がしやすい。
また、前記初期セット部材として、中心の異なる2つのC形環状部を連結した形状のまゆ形クリップを用い、そのまゆ形クリップの一方のC形環状部に軸方向の波形を付し、そのまゆ形クリップを、一方のC形環状部が前記円周溝に嵌合する位置と他方のC形環状部が前記円周溝に嵌合する位置との間でスライド可能とすることができる。このようにすると、波形を付したC形環状部を円周溝に嵌合させた状態で、アジャストスクリュをナット部材にねじ込んだときに、波形を付したC形環状部がナット部材に押さえ付けられ、そのC形環状部とナット部材との間に生じる摩擦力によってアジャストスクリュが初期セットされる。また、まゆ形クリップをスライドさせて、波形を付したC形環状部の嵌合を解除することにより、アジャストスクリュの初期セットを解除することができる。
前記C形環状部は、円弧状に形成してもよく、多角形状に形成してもよい。
この発明のラッシュアジャスタは、アジャストスクリュをナット部材にねじ込んだときに生じる摩擦力によりアジャストスクリュを初期セットするので、アジャストスクリュを繰り返し初期セットすることが可能である。
また、このラッシュアジャスタは、アジャストスクリュをナット部材にねじ込むだけで初期セットすることができるので、アジャストスクリュをねじ込んだ後に初期セット部材を装着するようにしたラッシュアジャスタよりも、初期セット作業が簡単である。
また、このラッシュアジャスタは、動弁装置に組み込んだ状態でカムシャフトを回転させると、アジャストスクリュに加わる衝撃荷重によってアジャストスクリュの初期セットが自動的に解除される。そのため、このラッシュアジャスタは、動弁装置に組み込んだときに、アジャストスクリュの初期セットを解除し忘れても安全である。
また、このラッシュアジャスタは、初期セットが解除された後に、アジャストスクリュの円周溝に弾性部材が保持されるので、セットピン等の別部材をエンジン内に置き忘れる心配がない。また、ラッシュアジャスタを動弁装置に組み込んだ後に、オーバーホールに備えてセットピン等の別部材を保管する必要もなく、管理が容易である。
また、このラッシュアジャスタは、セットピンの挿入孔をアジャストスクリュやナット部材に形成する必要がないので、低コストである。
図1に、この発明の第1実施形態のラッシュアジャスタ1を組み込んだ動弁装置を示す。この動弁装置は、エンジンのシリンダヘッド2の吸気ポート3に設けられたバルブ4と、そのバルブ4に接続されたバルブステム5と、ラッシュアジャスタ1で揺動可能に支持されたアーム6とを有する。
バルブステム5は、バルブ4から上方に延び、シリンダヘッド2を摺動可能に貫通している。バルブステム5の上部外周には、環状のスプリングリテーナ7が固定され、スプリングリテーナ7の下面とシリンダヘッド2の上面の間にバルブスプリング8が組み込まれている。バルブスプリング8は、スプリングリテーナ7を介してバルブステム5を上方に付勢し、その付勢力によってバルブ4をバルブシート9に着座させている。
アーム6は、一方の端部がラッシュアジャスタ1で支持され、他方の端部がバルブステム5の上端に接触している。また、アーム6の中央部には、アーム6の上方に設けたカム10に接触するローラ11が取り付けられている。カム10は、エンジンのクランクシャフト(図示せず)に同調して回転するカムシャフト12に一体に形成されており、カムシャフト12が回転すると、ベースサークル10aに対して隆起したカム山部10bが、ローラ11を介してアーム6を押し下げるようになっている。
ラッシュアジャスタ1は、シリンダヘッド2の上面に開口した収容穴13に収容されている。ラッシュアジャスタ1は、図2に示すように、上端が開放した筒状のナット部材14と、ナット部材14に挿入されたアジャストスクリュ15と、ナット部材14の下端を閉塞する底部材16と、底部材16とアジャストスクリュ15との間に組み込まれたリターンスプリング17と、Oリング18とを有する。
アジャストスクリュ15の下部外周には雄ねじ19が形成され、雄ねじ19は、ナット部材14の内周に形成された雌ねじ20にねじ係合している。雄ねじ19と雌ねじ20は、アジャストスクリュ15をナット部材14に押し込む方向の荷重が負荷されたときに圧力を受ける圧力側フランク21のフランク角が、遊び側フランク22のフランク角よりも大きい鋸歯状に形成されており、押し込み方向の静的荷重がアジャストスクリュ15に負荷されたときは、雄ねじ19と雌ねじ20の圧力側フランク21,21間の摩擦抵抗によってアジャストスクリュ15の回転が阻止され、一方、突出方向の静的荷重がアジャストスクリュ15に負荷されたときは、雄ねじ19と雌ねじ20の遊び側フランク22,22間の滑りによってアジャストスクリュ15の回転が許容されるようになっている。このような雄ねじ19と雌ねじ20は、例えば、圧力側フランク21のフランク角が75°、遊び側フランク22のフランク角が15°のものを採用することができる。
リターンスプリング17は、下端が底部材16で支持され、上端がスプリングシート23を介してアジャストスクリュ15を押圧しており、その押圧によって、アジャストスクリュ15をナット部材14から上方に突出する方向に付勢している。
アジャストスクリュ15は、ナット部材14からの突出端24が半球状に形成されている。突出端24は、図1に示すように、アーム6の下面に形成された凹部25に嵌合し、その凹部25を支点としてアーム6を揺動可能に支持する。
アジャストスクリュ15は、図2に示すように、ナット部材14からの突出部分の外周に円周溝26が形成されており、その円周溝26に、ゴム製のOリング18が装着されている。Oリング18は、ナット部材14の内径よりも大きい外径をもち、円周溝26から外径側にはみ出す部分が、ナット部材14の上端面を下方に臨むようになっている。Oリング18を形成する材料としては、例えば、フッ素ゴム、シリコンゴム、アクリルゴムなどを採用することができる。
上述したラッシュアジャスタ1は、図2に示すようにアジャストスクリュ15がナット部材14から突出した状態から、アジャストスクリュ15を回転操作してナット部材14にねじ込むと、図3に示すように、Oリング18がナット部材14の上端面に押さえ付けられて変形するので、そのOリング18の弾性復元力によってOリング18とナット部材14の上端面との間に摩擦力が生じ、その摩擦力によってアジャストスクリュ15が回り止めされ、その結果、アジャストスクリュ15は、ナット部材14にねじ込まれた状態に保持(初期セット)される。
次に、図1に示すように、ラッシュアジャスタ1をシリンダヘッド2の収容穴13に挿入し、その状態で、アーム6とカムシャフト12を取り付ける。その後、図1の鎖線に示すように、Oリング18とナット部材14の上端面との間に工具Tを差し込んで、Oリング18とナット部材14の上端面との間に隙間を空ける。これにより、アジャストスクリュ15の初期セットが解除され、アジャストスクリュ15は、リターンスプリング17の付勢力によって回転しながら突出方向に移動し、図4に示すように、ローラ11がカム10に接触する位置までアーム6の端部を押し上げる。
ここで、初期セットの解除は、クランキングによってカムシャフト12を回転させることによっても行なうことができる。この場合、カム10のカム山部10bがローラ11の位置を通過する毎に、アジャストスクリュ15に衝撃荷重が加わるので、その衝撃荷重によって、アジャストスクリュ15の初期セットが解除される。
その後、エンジンの作動によりカムシャフト12が回転して、カム10のカム山部10bがアーム6を押し下げると、バルブ4がバルブシート9から離れて、吸気ポート3を開く。このとき、アジャストスクリュ15に押し込み方向の荷重が負荷されるが、雄ねじ19の圧力側フランク21が雌ねじ20の圧力側フランク21で受け止められて、アジャストスクリュ15の軸方向位置が固定される。
さらに、カムシャフト12が回転して、カム山部10bがローラ11の位置を過ぎると、バルブスプリング8の付勢力によってバルブステム5が上昇し、バルブ4がバルブシート9に着座して、吸気ポート3を閉じる。
厳密には、カム10のカム山部10bがアーム6を押し下げるときに、雄ねじ19と雌ねじ20の圧力側フランク21,21間に僅かな滑りが生じ、その滑りによってアジャストスクリュ15は押し込み方向に移動するが、カム山部10bがローラ11の位置を過ぎて、押し込み方向の荷重が解除されたときに、アジャストスクリュ15は、リターンスプリング17から負荷される突出方向の荷重によって突出方向に移動し、元の位置に戻る。
エンジン作動中に、シリンダヘッド2、バルブステム5、アーム6など、動弁装置の構成部材間に熱膨張差が生じ、カム10とアーム6の間の距離が大きくなったときは、カム10のカム山部10bがアーム6を押し下げるときのアジャストスクリュ15の押し込み量よりも、更にカム10が回転して押し込み方向の荷重が解除されたときのアジャストスクリュ15の突出量が大きくなる。その結果、カム10が回転するごとに、アジャストスクリュ15が突出方向に徐々に移動するので、カム10のベースサークル10aとローラ11の間に隙間が生じない。
反対に、バルブ4とバルブシート9の接触面が摩耗したときは、カム10のベースサークル10aがローラ11の位置にあるときにも、バルブスプリング8の付勢力がアジャストスクリュ15に作用するため、カム10のカム山部10bがアーム6を押し下げるときのアジャストスクリュ15の押し込み量よりも、更にカム10が回転して押し込み方向の荷重が解除されたときのアジャストスクリュ15の突出量が小さくなる。その結果、カム10が回転するごとに、アジャストスクリュ15が押し込み方向に徐々に移動し、バルブステム5が上昇するので、バルブ4とバルブシート9の接触面間に隙間が生じない。
エンジンをオーバーホールするときに、動弁装置からカムシャフト12を取り外すと、リターンスプリング17の付勢力によって、アジャストスクリュ15がナット部材14から突出する。そのため、動弁装置から取り外したカムシャフト12を、再び動弁装置に組み付けるときは、アジャストスクリュ15をナット部材14にねじ込んで初期セットした後に、カムシャフト12の組み付けを行なう。
このように、ラッシュアジャスタ1は、アジャストスクリュ15をナット部材14にねじ込んだときに生じる摩擦力によりアジャストスクリュ15を初期セットするので、アジャストスクリュ15を繰り返し初期セットすることが可能である。
また、ラッシュアジャスタ1は、アジャストスクリュ15をナット部材14にねじ込むだけで初期セットすることができるので、アジャストスクリュ15をねじ込んだ後に初期セット部材を装着するようにしたラッシュアジャスタよりも、初期セット作業が簡単である。
また、このラッシュアジャスタ1は、動弁装置に組み込んだ状態でカムシャフト12を回転させると、アジャストスクリュ15に加わる衝撃荷重によってアジャストスクリュ15の初期セットが自動的に解除される。そのため、このラッシュアジャスタ1は、動弁装置に組み込んだときに、アジャストスクリュ15の初期セットを解除し忘れても安全である。
また、このラッシュアジャスタ1は、アジャストスクリュ15の初期セットが解除された後に、アジャストスクリュ15の円周溝26にOリング18が保持されるので、セットピン等の別部材をエンジン内に置き忘れる心配がない。また、ラッシュアジャスタ1を動弁装置に組み込んだ後に、オーバーホールに備えてセットピン等の別部材を保管する必要もなく、管理が容易である。
また、このラッシュアジャスタ1は、セットピンの挿入孔をアジャストスクリュ15やナット部材14に形成する必要がないので、低コストである。
また、ラッシュアジャスタ1は、アジャストスクリュ15をナット部材14にねじ込んだときに、Oリング18がナット部材14に押さえ付けられて変形し、その変形量に応じた大きさの摩擦力がOリング18とナット部材14の間に生じるので、その摩擦力の大きさをアジャストスクリュ15の軸方向変位で管理することが可能である。
また、ラッシュアジャスタ1は、円周溝26に装着する弾性部材としてOリング18を採用しており、このOリング18は広く一般に流通している部材なので、低コストである。
上記実施形態では、ラッシュアジャスタ1のコスト低減を図るために、円周溝26に装着する弾性部材としてOリング18を採用したが、Oリング18にかえて、断面方形の角リングなど他の形状のリング部材を採用してもよい。また、ゴム製のOリング18にかえて、熱可塑性エラストマ等の弾性樹脂からなるリング部材を採用してもよい。
図5に、この発明の第2実施形態のラッシュアジャスタ31を示す。以下、第1実施形態と対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
アジャストスクリュ15は、ナット部材14からの突出部分の外周に円周溝26が形成されており、その円周溝26に円錐コイルばね32が装着されている。円錐コイルばね32は、上方に縮径する円錐状に形成され、その上端が、径方向の締め代をもって円周溝26に嵌合している。また、円錐コイルばね32は、その下端が、ナット部材14の内径よりも大きい外径をもち、円周溝26から外径側にはみ出す部分が、ナット部材14の上端面を下方に臨むようになっている。円錐コイルばね32は、例えば、ばね鋼で形成することができる。
また、コイルばねには、その下端から径方向外方に延びるセット解除摘み33が一体に形成されている。
このラッシュアジャスタ31は、図5に示すようにアジャストスクリュ15がナット部材14から突出した状態から、アジャストスクリュ15を回転操作してナット部材14にねじ込むと、図6に示すように、円錐コイルばね32がナット部材14の上端面に押さえ付けられて変形するので、その円錐コイルばね32の弾性復元力によって円錐コイルばね32の下端とナット部材14の上端面との間に摩擦力が生じ、その摩擦力によってアジャストスクリュ15が回り止めされ、その結果、アジャストスクリュ15が初期セットされる。
その後、セット解除摘み33を持ち上げて、コイルばねの下端とナット部材14の上端面との間に隙間を空けると、アジャストスクリュ15の初期セットが解除され、アジャストスクリュ15が、リターンスプリング17の付勢力によって回転しながら突出方向に移動する。
ここで、セット解除摘み33を円周方向に移動させ、円錐コイルばね32とナット部材14との間に滑りを生じさせる操作によっても、円錐コイルばね32とナット部材14との間の摩擦係数が、静摩擦係数から動摩擦係数(<静摩擦係数)に切り替わるので、アジャストスクリュ15の初期セットを解除することができる。また、初期セットの解除は、クランキングによってカムシャフト12を回転させることによっても行なうことができる。
このラッシュアジャスタ31は、第1実施形態と同様、アジャストスクリュ15をナット部材14にねじ込んだときに生じる摩擦力によりアジャストスクリュ15を初期セットするので、アジャストスクリュ15を繰り返し初期セットすることが可能であり、また、その初期セット作業が簡単である。また、アジャストスクリュ15の初期セットが解除された後に、アジャストスクリュ15の円周溝26に円錐コイルばね32が保持されるので、セットピン等の別部材をエンジン内に置き忘れる心配がなく、また、セットピン等の別部材を保管する必要もない。
さらに、このラッシュアジャスタ31は、円錐コイルばね32の上端が、径方向の締め代をもって円周溝26に嵌合しているので、円錐コイルばね32とアジャストスクリュ15の間にガタが生じず、円錐コイルばね32の姿勢が安定している。そのため、ナット部材14の上端面に対する円錐コイルばね32の接触状態が安定し、アジャストスクリュ15を初期セットするときに、円錐コイルばね32とナット部材14の上端面との間に生じる摩擦力の大きさを、アジャストスクリュ15の軸方向変位で高精度に管理することが可能である。
図7〜図9に、この発明の第3実施形態のラッシュアジャスタ41を示す。第1実施形態と対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
アジャストスクリュ15は、ナット部材14からの突出部分の外周に円周溝26が形成されており、その円周溝26に円筒コイルばね42が装着されている。円筒コイルばね42は、コイルの巻き数が2巻きとなるように形成され、その各コイルが径方向の締め代をもって円周溝26に嵌合している。また、円筒コイルばね42は、ナット部材14の内径よりも大きい外径をもち、円周溝26から外径側にはみ出す部分が、ナット部材14の上端面を下方に臨むようになっている。円筒コイルばね42は、例えば、ばね鋼で形成することができる。
また、円筒コイルばね42には、図8に示すように、その一端から径方向外方に延びるセット解除摘み43が一体に形成されている。
このラッシュアジャスタ41は、図7に示すようにアジャストスクリュ15がナット部材14から突出した状態から、アジャストスクリュ15を回転操作してナット部材14にねじ込むと、図9に示すように、円筒コイルばね42がナット部材14の上端面に押さえ付けられて変形するので、その円筒コイルばね42の弾性復元力によって円筒コイルばね42の下端とナット部材14の上端面との間に摩擦力が生じ、その摩擦力によってアジャストスクリュ15が回り止めされ、その結果、アジャストスクリュ15が初期セットされる。
その後、セット解除摘み43を円周方向に移動させ、円筒コイルばね42とナット部材14との間に滑りを生じさせると、円筒コイルばね42とナット部材14との間の摩擦係数が、静摩擦係数から動摩擦係数に切り替わるので、アジャストスクリュ15の初期セットが解除される。初期セットの解除は、クランキングによってカムシャフト12を回転させることによっても行なうことができる。
このラッシュアジャスタ41は、第1実施形態と同様、アジャストスクリュ15をナット部材14にねじ込んだときに生じる摩擦力によりアジャストスクリュ15を初期セットするので、アジャストスクリュ15を繰り返し初期セットすることが可能であり、また、その初期セット作業が簡単である。また、アジャストスクリュ15の初期セットが解除された後に、アジャストスクリュ15の円周溝26に円筒コイルばね42が保持されるので、セットピン等の別部材をエンジン内に置き忘れる心配がなく、また、セットピン等の別部材を保管する必要もない。
さらに、このラッシュアジャスタ41は、円筒コイルばね42が、径方向の締め代をもって円周溝26に嵌合しているので、円筒コイルばね42とアジャストスクリュ15の間にガタが生じず、円筒コイルばね42の姿勢が安定している。そのため、ナット部材14の上端面に対する円筒コイルばね42の接触状態が安定し、アジャストスクリュ15を初期セットするときに、円筒コイルばね42とナット部材14の上端面との間に生じる摩擦力の大きさを、アジャストスクリュ15の軸方向変位で高精度に管理することが可能である。
図10〜図12に、この発明の第4実施形態のラッシュアジャスタ51を示す。第1実施形態と対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
アジャストスクリュ15は、ナット部材14からの突出部分の外周に円周溝26が形成されており、その円周溝26にセットクリップ52が装着されている。セットクリップ52は、金属製の線材を湾曲して形成されており、円周溝26に径方向の締め代をもって嵌合するC形環状部53と、そのC形環状部53の両端から径方向外方に延びる一対のセット解除摘み54,54とからなる。
このラッシュアジャスタ51は、図10に示すようにアジャストスクリュ15がナット部材14から突出した状態から、アジャストスクリュ15を回転操作してナット部材14にねじ込むと、図12に示すように、C形環状部53がナット部材14の上端面に押さえ付けられ、そのC形環状部53とナット部材14との間に生じる摩擦力によってアジャストスクリュ15が初期セットされる。
その後、セット解除摘み54,54を操作してC形環状部53を拡径させ、C形環状部53とナット部材14との間に滑りを生じさせると、C形環状部53とナット部材14の間の摩擦係数が、静摩擦係数から動摩擦係数に切り替わるので、アジャストスクリュ15の初期セットが解除される。初期セットの解除は、クランキングによってカムシャフト12を回転させることによっても行なうことができる。
このラッシュアジャスタ51は、第1実施形態と同様、アジャストスクリュ15をナット部材14にねじ込んだときに生じる摩擦力によりアジャストスクリュ15を初期セットするので、アジャストスクリュ15を繰り返し初期セットすることが可能であり、また、その初期セット作業が簡単である。また、アジャストスクリュ15の初期セットが解除された後に、アジャストスクリュ15の円周溝26にセットクリップ52が保持されるので、セットピン等の別部材をエンジン内に置き忘れる心配がなく、また、セットピン等の別部材を保管する必要もない。
C形環状部53は、図10〜図12に示すように、平坦に形成してもよいが、図13〜図15に示すように、軸方向の波形を付すと好ましい。このようにすると、図13に示す状態から、アジャストスクリュ15をナット部材14にねじ込んだときに、図15に示すように、C形環状部53がナット部材14に押さえ付けられて変形し、その変形量に応じた大きさの摩擦力がC形環状部53とナット部材14の間に生じるので、その摩擦力の大きさをアジャストスクリュ15の軸方向変位で管理することが可能となる。
また、この実施形態では、C形環状部53の両端から延びるセット解除摘み54,54を並行に設け、そのセット解除摘み54,54の間隔を広げる操作でC形環状部53が拡径するようにしたが、図16、図17に示すように、C形環状部53の一端から延びるセット解除摘み54と、C形環状部53の他端から延びるセット解除摘み54とを交差させるようにすることができる。このようにすると、その一対のセット解除摘み54,54を挟持し、その間隔を狭める操作によりC形環状部53を拡径させることができるので、アジャストスクリュ15の初期セットを解除する操作がしやすくなる。
図18〜図20に、この発明の第5実施形態のラッシュアジャスタ61を示す。第1実施形態と対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
アジャストスクリュ15は、ナット部材14からの突出部分の外周に円周溝26が形成されており、その円周溝26にまゆ形クリップ62が装着されている。まゆ形クリップ62は、金属製の線材を湾曲して形成され、中心の異なる2つのC形環状部63,64を連結した形状となっている。C形環状部63,64は、図18に示すように、一方のC形環状部63に軸方向の波形が付されている。また、まゆ形クリップ62は、C形環状部63が円周溝26に嵌合する位置と他方のC形環状部64が円周溝26に嵌合する位置との間でスライド可能となっている。
このラッシュアジャスタ61は、波形を付したC形環状部63を円周溝26に嵌合させた状態で、アジャストスクリュ15をナット部材14にねじ込むと、波形を付したC形環状部63がナット部材14に押さえ付けられて変形するので、そのC形環状部63の弾性復元力によってC形環状部63とナット部材14との間に摩擦力が生じ、その摩擦力によってアジャストスクリュ15が初期セットされる。
その後、図19の矢印に示すようにまゆ形クリップ62を押して、C形環状部63が円周溝26に嵌合する位置から、他方のC形環状部64が円周溝26に嵌合する位置にスライドさせることにより、アジャストスクリュ15の初期セットを解除することができる。初期セットの解除は、クランキングによってカムシャフト12を回転させることによっても行なうことができる。
このラッシュアジャスタ61は、第1実施形態と同様、アジャストスクリュ15をナット部材14にねじ込んだときに生じる摩擦力によりアジャストスクリュ15を初期セットするので、アジャストスクリュ15を繰り返し初期セットすることが可能であり、また、その初期セット作業が簡単である。また、アジャストスクリュ15の初期セットが解除された後に、アジャストスクリュ15の円周溝26にまゆ形クリップ62が保持されるので、セットピン等の別部材をエンジン内に置き忘れる心配がなく、また、セットピン等の別部材を保管する必要もない。
C形環状部64は、図18〜図20に示すように、円弧状に形成してもよいが、図21、図22に示すように、多角形状に形成してもよい。同様に、C形環状部63も多角形状に形成することができる。要は、円周溝26に嵌合可能であればよい。
図23に、この発明の第6実施形態のラッシュアジャスタ71を組み込んだ動弁装置を示す。この動弁装置は、エンジンのシリンダヘッド72の吸気ポート73に設けられたバルブ74と、そのバルブ74に接続されたバルブステム75と、カム76の回転に応じて揺動するアーム77とを有する。
バルブステム75は、バルブ74から上方に延びており、バルブステム75の上部にはスプリングリテーナ78が固定されている。スプリングリテーナ78は、バルブスプリング79によって上方に付勢され、その付勢力によってバルブ74をバルブシート80に着座させている。
アーム77は、中央部を支点軸81で揺動可能に支持されている。また、アーム77の一方の端部にはローラ82が取り付けられ、他方の端部にはラッシュアジャスタ71が組み込まれている。アーム77の下方に設けられたカム76は、エンジンのクランクシャフト(図示せず)に同調して回転するカムシャフト83に一体に形成されており、カムシャフト83が回転すると、ベースサークル76aに対して隆起したカム山部76bが、ローラ82を押圧してアーム77を揺動させるようになっている。
図23、図24に示すように、ラッシュアジャスタ71は、ナット部材84と、アジャストスクリュ85と、リターンスプリング86とを有する。ナット部材84は、アーム77を上下に貫通する収容穴87に挿入されており、ナット部材84の内周に形成された雌ねじ88が、アジャストスクリュ85の外周に形成された雄ねじ89とねじ係合している。
図24に示すように、ナット部材84の上端は、アーム77の上面から突出し、その突出部分に有底筒状のキャップ90が嵌め合わされ、そのキャップ90でナット部材84の上端が閉塞されている。また、キャップ90は、収容穴87の上縁に係止して、ナット部材84が収容穴87から下方に脱落するのを防止する。一方、ナット部材84の下端には、アーム77の下面に当接するフランジ91が形成されており、そのフランジ91で、ナット部材84に作用する上向きの力を受け止めるようになっている。
雄ねじ89と雌ねじ88は、アジャストスクリュ85をナット部材84に押し込む方向の荷重が負荷されたときに圧力を受ける圧力側フランク92のフランク角が、遊び側フランク93のフランク角よりも大きい鋸歯状に形成されており、押し込み方向の静的荷重がアジャストスクリュ85に負荷されたときは、雄ねじ89と雌ねじ88の圧力側フランク92,92間の摩擦抵抗によってアジャストスクリュ85の回転が阻止され、一方、突出方向の静的荷重がアジャストスクリュ85に負荷されたときは、雄ねじ89と雌ねじ88の遊び側フランク93,93間の滑りによってアジャストスクリュ85の回転が許容されるようになっている。
リターンスプリング86は、キャップ90とアジャストスクリュ85の間に組み込まれており、アジャストスクリュ85をナット部材84から下方に突出する方向に付勢している。アジャストスクリュ85は、ナット部材84からの突出端が、バルブステム75の上端を押圧する(図23参照)。
アジャストスクリュ85は、ナット部材84からの突出部分の外周に円周溝94が形成されており、その円周溝94に、ゴム製のOリング95が装着されている。Oリング95は、ナット部材84の内径よりも大きい外径をもち、円周溝94から外径側にはみ出す部分が、ナット部材84の下端面を上方に臨むようになっている。
上述したラッシュアジャスタ71は、第1実施形態と同様に、アジャストスクリュ85がナット部材84から突出した状態から、アジャストスクリュ85を回転操作してナット部材84にねじ込むと、図24に示すように、Oリング95がナット部材84の下端面に押さえ付けられて変形するので、そのOリング95の弾性復元力によってOリング95とナット部材84の下端面との間に摩擦力が生じ、その摩擦力によってアジャストスクリュ85が初期セットされる。
その後、図23に示すように、ラッシュアジャスタ71を動弁装置に組み込んだ状態で、クランキングによってカムシャフト83を回転させると、カム76のカム山部76bがローラ82の位置を通過する毎に、アジャストスクリュ85に衝撃荷重が加わり、その衝撃荷重によって、アジャストスクリュ85の初期セットが解除される。その結果、アジャストスクリュ85は、リターンスプリング86の付勢力によって回転しながら突出方向に移動し、ローラ82がカム76のベースサークル76aに接触する位置までアーム77を揺動させる。
ここで、初期セットの解除は、Oリング95とナット部材84の下端面との間に工具を差し込んで、Oリング95とナット部材84の下端面との間に隙間を空ける操作によっても行なうことができる。
このラッシュアジャスタ71は、第1実施形態と同様、アジャストスクリュ85をナット部材84にねじ込んだときに生じる摩擦力によりアジャストスクリュ85を初期セットするので、アジャストスクリュ85を繰り返し初期セットすることが可能であり、また、その初期セット作業が簡単である。また、アジャストスクリュ85の初期セットが解除された後に、アジャストスクリュ85の円周溝94にOリング95が保持されるので、セットピン等の別部材をエンジン内に置き忘れる心配がなく、また、セットピン等の別部材を保管する必要もない。
この実施形態では、円周溝94に装着する初期セット部材として、Oリング95を例に挙げて説明したが、Oリング95にかえて、第2実施形態〜第5実施形態で説明した他の初期セット部材を装着してもよい。
この発明の第1実施形態のラッシュアジャスタを組み込んだ動弁装置を示す正面図 図1に示すラッシュアジャスタのアジャストスクリュを初期セットする前の状態を示す拡大断面図 図2に示すアジャストスクリュを初期セットした状態を示す拡大断面図 図1に示すアジャストスクリュの初期セットを解除した状態を示す正面図 この発明の第2実施形態のラッシュアジャスタの拡大断面図 図5に示すアジャストスクリュを初期セットした状態を示す円錐コイルばね近傍の拡大断面図 この発明の第3実施形態のラッシュアジャスタを示す円筒コイルばね近傍の拡大断面図 図7のVIII−VIII線に沿った断面図 図7に示すアジャストスクリュを初期セットした状態を示す円筒コイルばね近傍の拡大断面図 この発明の第4実施形態のラッシュアジャスタを示すセットクリップ近傍の拡大断面図 図10のXI−XI線に沿った断面図 図10に示すアジャストスクリュを初期セットした状態を示すセットクリップ近傍の拡大断面図 図10に示すラッシュアジャスタの変形例を示すセットクリップ近傍の拡大断面図 図13のXIV−XIV線に沿った断面図 図13に示すアジャストスクリュを初期セットした状態を示すセットクリップ近傍の拡大断面図 図10に示すラッシュアジャスタの他の変形例を示すセットクリップ近傍の拡大断面図 図16のXVII−XVII線に沿った断面図 この発明の第5実施形態のラッシュアジャスタを示すまゆ形クリップ近傍の拡大断面図 図18のXIX−XIX線に沿った断面図 図19に示すまゆ形クリップをスライドさせてアジャストスクリュの初期セットを解除した状態を示す断面図 図19に示すまゆ形クリップの変形例を示す断面図 図21に示すまゆ形クリップをスライドさせてアジャストスクリュの初期セットを解除した状態を示す断面図 この発明の第6実施形態のラッシュアジャスタを組み込んだ動弁装置を示す正面図 図23のラッシュアジャスタ近傍の拡大断面図
符号の説明
1 ラッシュアジャスタ
2 シリンダヘッド
6 アーム
13 収容穴
14 ナット部材
15 アジャストスクリュ
17 リターンスプリング
18 Oリング
19 雄ねじ
20 雌ねじ
24 突出端
26 円周溝
31 ラッシュアジャスタ
32 円錐コイルばね
33 セット解除摘み
41 ラッシュアジャスタ
42 円筒コイルばね
43 セット解除摘み
51 ラッシュアジャスタ
52 セットクリップ
53 C形環状部
54 セット解除摘み
61 ラッシュアジャスタ
62 まゆ形クリップ
63,64 C形環状部
71 ラッシュアジャスタ
75 バルブステム
76 カム
77 アーム
84 ナット部材
85 アジャストスクリュ
86 リターンスプリング
87 収容穴
88 雌ねじ
89 雄ねじ
94 円周溝
95 Oリング

Claims (14)

  1. シリンダヘッド(2)の上面に開口した収容穴(13)に挿入されるナット部材(14)と、そのナット部材(14)の内周に形成された雌ねじ(20)にねじ係合する雄ねじ(19)を外周に有するアジャストスクリュ(15)と、そのアジャストスクリュ(15)を前記ナット部材(14)から上方に突出する方向に付勢するリターンスプリング(17)とを有し、前記アジャストスクリュ(15)のナット部材(14)からの突出端(24)で動弁装置のアーム(6)を揺動可能に支持するラッシュアジャスタ(1)において、
    前記アジャストスクリュ(15)の前記ナット部材(14)からの突出部分の外周に円周溝(26)を形成し、その円周溝(26)に、前記ナット部材(14)の内径よりも大きい外径をもつ初期セット部材(18)を装着し、前記アジャストスクリュ(15)をナット部材(14)にねじ込んだときに、前記初期セット部材(18)と前記ナット部材(14)の上端面との間に生じる摩擦力によって前記アジャストスクリュ(15)が回り止めされるようにしたことを特徴とするラッシュアジャスタ。
  2. カム(76)の回転に応じて揺動するアーム(77)の下面に開口した収容穴(87)に挿入されるナット部材(84)と、そのナット部材(84)の内周に形成された雌ねじ(88)にねじ係合する雄ねじ(89)を外周に有するアジャストスクリュ(85)と、そのアジャストスクリュ(85)を前記ナット部材(84)から下方に突出する方向に付勢するリターンスプリング(86)とを有し、前記アジャストスクリュ(85)のナット部材(84)からの突出端で動弁装置のバルブステム(75)を押圧するラッシュアジャスタ(71)において、
    前記アジャストスクリュ(85)の前記ナット部材(84)からの突出部分の外周に円周溝(94)を形成し、その円周溝(94)に、前記ナット部材(84)の内径よりも大きい外径をもつ初期セット部材(95)を装着し、前記アジャストスクリュ(85)をナット部材(84)にねじ込んだときに、前記初期セット部材(95)と前記ナット部材(84)の下端面との間に生じる摩擦力によって前記アジャストスクリュ(85)が回り止めされるようにしたことを特徴とするラッシュアジャスタ。
  3. 前記初期セット部材として、軸方向に弾性をもつリング状の弾性部材(18)を用いた請求項1または2に記載のラッシュアジャスタ。
  4. 前記弾性部材がゴム製のOリング(18)である請求項3に記載のラッシュアジャスタ。
  5. 前記弾性部材が、弾性樹脂からなるリングである請求項3に記載のラッシュアジャスタ。
  6. 前記初期セット部材が円錐コイルばね(32)であり、その円錐コイルばね(32)の小径端を前記円周溝(26)に径方向の締め代をもって嵌合させた請求項3に記載のラッシュアジャスタ。
  7. 前記円錐コイルばね(32)に、その大径端から径方向外方に延びるセット解除摘み(33)を設けた請求項6に記載のラッシュアジャスタ。
  8. 前記初期セット部材が、巻き数が2巻きの円筒コイルばね(42)であり、その円筒コイルばね(42)を前記円周溝(26)に径方向の締め代をもって嵌合させた請求項3に記載のラッシュアジャスタ。
  9. 前記円筒コイルばね(42)に、その一端から径方向外方に延びるセット解除摘み(43)を設けた請求項8に記載のラッシュアジャスタ。
  10. 前記初期セット部材として、前記円周溝(26)に径方向の締め代をもって嵌合するC形環状部(53)と、そのC形環状部(53)の両端から延びる一対のセット解除摘み(54,54)とからなるセットクリップ(52)を用いた請求項1または2に記載のラッシュアジャスタ。
  11. 前記C形環状部(53)に軸方向の波形を付した請求項10に記載のラッシュアジャスタ。
  12. 前記C形環状部(53)の一端から延びるセット解除摘み(54)と、前記C形環状部(53)の他端から延びるセット解除摘み(54)とを交差させた請求項10または11に記載のラッシュアジャスタ。
  13. 前記初期セット部材として、中心の異なる2つのC形環状部(63,64)を連結した形状のまゆ形クリップ(62)を用い、そのまゆ形クリップ(62)の一方のC形環状部(63)に軸方向の波形を付し、そのまゆ形クリップ(62)を、一方のC形環状部(63)が前記円周溝(26)に嵌合する位置と他方のC形環状部(64)が前記円周溝(26)に嵌合する位置との間でスライド可能とした請求項1または2に記載のラッシュアジャスタ。
  14. 前記C形環状部(63,64)が円弧状または多角形状である請求項13に記載のラッシュアジャスタ。
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