JP2010013053A - 車体後部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】後面衝突時にリヤフレームの折れ曲がりを防止し、ガセットやリヤフレームを衝突物の高さに係わらず安定的に座屈させて衝撃吸収を図ることを可能にする。
【解決手段】車体前後方向に延ばされた左右のリヤフレーム12,12と、これらの左右のリヤフレーム12,12の後端にエクステンション13,13を介して取付けられたリヤバンパビーム14を備えた車体後部構造において、左右のリヤフレーム12,12に、後部に前部よりも強度を低下させ後面衝突時に座屈を許容する低強度部29,29が形成され、これらの低強度部29,29の下方に後方へ向け階段状に断面を拡大する左右のガセット24,24が設けられ、エクステンション13,13の下方に左右のガセット24,24の後端同士を連結するクロスメンバ15が設けられた。
【選択図】図1

Description

本発明は、車体前後方向に延ばされたリヤフレームの後端廻りの車体後部構造に関するものである。
この種の車体後部構造は、車体に後面衝突を受けたときに、車室内を保護するとともに衝突荷重を吸収して車体にかかる衝撃を和らげるように、適宜設計がなされるものであった。
このような車体後部構造として、リヤフレームとエクステンションとの接合部分にガセットを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2007−69736公報
しかし、車体後部構造では、リヤフレームの下面と、リヤフレームの下面よりも下方に延ばされたエクステンションの延長部との間を補強する側面視略三角形のガセットを設けたので、側面視略三角形のガセットの強度が高すぎ、後面衝突時にリヤフレームの折れ曲がり現象が発生し、衝突荷重を十分に吸収することができないという課題があった。
また、車体後部構造では、例えば、衝突車両と自車とでバンパビームの高さが異なる場合には、衝突時に衝撃の吸収をすることができなかった。
本発明は、後面衝突時にリヤフレームの折れ曲がりを防止し、ガセットやリヤフレームを安定的に座屈させて衝撃吸収を図ることができるとともに、衝突物の高さに係わらず安定的に衝撃吸収をすることができる車体後部構造を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、車体前後方向に延ばされた左右のリヤフレームを備えた車体後部構造において、左右のリヤフレームに、後部に前部よりも強度を低下させ後面衝突時に座屈を許容する低強度部が形成され、これらの低強度部の上方又は下方に後方へ向け階段状に断面を拡大する左右のガセットが設けられたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1の内容に加えて、左右のガセットに、後端同士を連結するクロスメンバが設けられたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、左右のリヤフレームが、後端にエクステンションを介して取付けられるリヤバンパビームを備え、エクステンションの下方に、左右のガセットの後端同士を連結するクロスメンバが設けられたことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、ガセットが、階段状に断面を拡大する折れ線近傍に設けられるとともに、車両前後方向と直交する向きに設けられた成形しわ取り用のビードを備えたことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、ガセットの前記リヤフレームへの接合部に、リヤフレームから離間する空間凸部を形成したことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、クロスメンバが、背面から見たときに上方に向けて突出した弓状に形成されたことを特徴とする。
請求項1〜請求項3に係る発明では、車体後部構造が、車体前後方向に延ばされた左右のリヤフレームを備える。
左右のリヤフレームに、後部に前部よりも強度を低下させ後面衝突時に座屈を許容する低強度部が形成され、これらの低強度部の下方に後方へ向け階段状に断面を拡大する左右のガセットが設けられたので、後面衝突時に、衝突荷重が入力される高さに係わらずガセットを階段形状の凹部分を起点として座屈させるとともに、リヤフレームの低強度部の折れ曲がりを防止することができる。さらに、後面衝突時に、ガセットとともにリヤフレームの低強度部も合わせて座屈させることができる。すなわち、ガセット及び低強度部で構成されるフレーム全体が潰れモードとなる。従って、衝突荷重が入力される高さに係わらず安定的に衝突エネルギーを吸収することができる。
また、請求項2〜請求項3に係る発明では、左右のガセットに、後端同士を連結するクロスメンバが設けられたので、衝突物が自車のリヤフレーム及びバンパビームより低い場合でも、クロスメンバで受けることができる。
請求項4に係る発明では、階段状に断面を拡大する折れ線近傍に設けられるとともに、車体前後方向と直交する向きに設けられた成形しわ取り用のビードを備えたので、階段状部分の成形時のしわ取りをすることができるとともに、後面衝突時には成形しわ取り用のビードはガセットの潰れを促進することができる。この結果、衝突吸収作用の安定化を図ることができる。
請求項5に係る発明では、ガセットのリヤフレームへの接合部に、リヤフレームから離間する空間凸部を形成したので、ガセット及びリヤフレームをより座屈させやすくすることができる。この結果、衝撃吸収作用の安定化を図ることができる。
請求項6に係る発明では、クロスメンバが、背面から見たときに上方に向けて突出した弓状に形成されたので、衝突物が自車のリヤバンパビームより低い場合に、高さの違いの適合範囲を拡げることができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。また、図中Frは車体前方、Rrは車体後方、Lは車体左側、Rは車体右側を示す。
図1は本発明に係る車体後部構造の斜視図であり、図2は本発明に係る車体後部構造のリヤフレームの斜視図であり、図3は図2に示された車体後部構造のリヤフレームの側面図であり、図4は図3の4−4線断面図である。
図1に示されるように、車体後部構造は、車体前後方向に延ばされた左右のリヤフレーム12,12と、これらの左右のリヤフレーム12,12の後端にそれぞれ取付けられたエクステンション13,13と、これらのエクステンション13,13の後端に渡されたリヤバンパビーム14と、左右のリヤフレーム12,12の後端下部に渡されたクロスメンバ15とから構成される。
図2〜図4に示されたように、リヤフレーム(左のリヤフレーム)12は、車体前方に設けられる前部フレーム21及び後部フレーム22に分割構成されたフレーム本体23と、このフレーム本体23の後方下部に接合されたガセット(左のガセット)24とからなる。
前部フレーム21は、断面視略U字形のフレームであり、後部フレーム22は、断面視略U字形のフレームであり、略U字形深さが一定に形成されるとともに、前部フレーム21の後端と略同一の深さに形成され、後端にエクステンション13が取付けられる後端フランジ25,25(一方の25は不図示)を備える。
すなわち、フレーム本体23は、前部が高強度に形成される高強度部28が設けられ、後部が、前部よりも強度を低下させ後面衝突時に座屈を許容する低強度部29が形成される。
ガセット24は、低強度部29の下方に設けられる断面視略U字形の部材であって、後方へ向け階段状に略U字断面を拡大させた形状を有する部材であり、内外の側面部41,42(41は図4参照)と、これらの内外の側面部41,42を繋ぐ底面部43とからなる。
また、ガセット24は、リヤフレーム12の低強度部29を補強するとともに、後方から荷重が作用した(衝突が生じた)場合に、リヤフレーム12の低強度部29の折れ曲がりを防止し、ガセット24とともにリヤフレーム12の低強度部29も合わせて座屈を促進して衝撃を吸収する役目をなす。
外の側面部42は、略U字断面の開口44近傍にリヤフレーム12に接合する接合部45が形成され、後端に後部フレーム22の後端フランジ25,25に接続するとともに、クロスメンバ15を接続するガセット側フランジ47が形成される。
接合部45は、複数の溶接部48と、これらの溶接部48の間に外方に膨出させた(リヤフレーム12から離間する)空間凸部(膨出部)49が形成される。すなわち、空間凸部49は、後面衝突が発生した場合に、ガセット24及びリヤフレーム12をより座屈させやすくする役目をなす。
内の側面部41は、外の側面部42と同様に、複数の溶接部(不図示)及び複数の空間凸部を備えた接合部と、ガセット側フランジ46(図4参照)とを備える。
底面部43は、階段状に形成された面が連続する部分であり、凹状に曲げられた第1の凹折れ線部51と、この第1の凹折れ線部51の後方に凸状に曲げられた第1の凸折れ線部54と、この第1の凸折れ線部54の後方に凹状に曲げられた第2の凹折れ線部52と、この第2の凹折れ線部52から後方に凸状に曲げられた第2の凸折れ線部55と、この第2の凸折れ線部55の後方に凹状に曲げられた第3の凹折れ線部53と、第2の凹折れ線部(折れ線)52近傍に形成され、車両前後方向と直交する向きに設けられた成形時にしわ取りをする第1〜第4ビード61〜64と、クロスメンバ15が取付けられる下部フランジ66とが形成される。
なお、第1〜第3の凹折れ線部51〜53及び第1・第2の凸折れ線部54,55は、階段状を形成する折れ線である。
第1・第2ビード61,62は、第2の凹折れ線部(折れ線)52の前方に且つ内外の側面部41,42まで延長されて形成され、階段状部分の成形時のしわ取りをする成形しわ取り用のビードであり、後面衝突時にビード61,62は、ガセット24の潰れのトリガを与える(きっかけを与える)役目もなす。
第2・第3ビード63,64は、第2の凹折れ線部(折れ線)52の後方に形成され、第1・第2ビードと同様に、階段状部分の成形時のしわ取りをする成形しわ取り用のビードであり、後面衝突時にビード63,64はガセット24の潰れのトリガを与える(きっかけを与える)役目もなす。
クロスメンバ15は、背面から見たときに上方に向けて突出した弓状に形成されるとともに、平面視で後方に凸に形成される。
クロスメンバ15が、背面から見たときに上方に向けて突出した弓状に形成されることで、直線状に形成された場合に比べ、クロスメンバ15で車体を保護できる高さ範囲をより広くカバーすることができる。
また、クロスメンバ15が、平面視で後方に凸に形成されることで、直線状に形成された場合に比べ、衝突時のエネルギーを効率よくガセット24に伝達することができる。
図5(a)〜(c)は図1に示された車体後部構造に作用する荷重を示す説明図である。
(a)において、車体後部構造では、ガセット24の底面が階段状に形成されている。従って、リヤバンパビーム14に矢印a1の如く回転モーメントが加わった場合には、ガセット24の底面部43は伸び方向に作用して回転モーメントを吸収することができる。また、リヤバンパビーム14に矢印a2の如く回転モーメントが加わった場合には、ガセット24の底面部43は縮み方向に作用して回転モーメントを吸収することができる。
すなわち、リヤフレーム12が折れ曲がってエネルギーの吸収ができない折れモードになることはなく、リヤフレーム12が潰れモードになり、エネルギーの安定した吸収をすることができる。
(b)において、リヤバンパビーム14に車体後方から矢印a3の如く荷重が作用する場合には、エクステンション13を介してリヤフレーム12及びガセット24に荷重が作用する。ガセット24の底面部43が、階段状に形成されているので、リヤフレーム12が折れ曲がってエネルギーの吸収ができない折れモードになることはなく、リヤフレーム12が潰れてエネルギーの吸収ができる潰れモードに安定して移行させることができる。
(c)において、リヤバンパビーム14の下方に車体後方から矢印a4の如く荷重が作用する場合には、リヤバンパビーム14の下方にクロスメンバ15があるので、クロスメンバ15を介してガセット24で後方からの荷重を吸収することができる。この場合にも、リヤフレーム12が折れ曲がってエネルギーの吸収ができない折れモードになることはなく、リヤフレーム12が潰れてエネルギーの吸収ができる潰れモードに安定して移行させることができる。
図6(a)〜(c)は図1に示された車体後部構造に荷重が作用する場合のリヤフレームの変形の一例を示す説明図である。
(a)において、車体後方から荷重が矢印b1の如く作用する前の車体後部構造が示される。
(b)において、車体後方から荷重が矢印b2の如く作用すると、ガセット24の凹折れ線部51〜53及び凸折れ線部54,55で応力集中が起こり、これらの凹折れ線部51〜53及び凸折れ線部54,55に潰れが発生する。
(c)において、さらに、荷重が矢印b3の如く作用すると、凹折れ線部51〜53及び凸折れ線部54,55での潰れが促進される。
図1〜図3に示されたように、車体後部構造が、車体前後方向に延ばされた左右のリヤフレーム12,12と、これらの左右のリヤフレーム12,12の後端にエクステンション13,13を介して取付けられたリヤバンパビーム14を備える。
左右のリヤフレーム12,12に、後部に前部よりも強度を低下させ後面衝突時に座屈を許容する低強度部29,29が形成され、これらの低強度部29,29の下方に後方へ向け階段状に断面を拡大する左右のガセット24,24が設けられたので、後面衝突時に、衝突荷重が入力される高さに係わらず、ガセット24,24を階段形状の凹部分(凹折れ線部51〜53部分)を起点として座屈させるとともに、リヤフレーム12,12の低強度部29,29の折れ曲がりを防止することができる。さらに、後面衝突時に、ガセット24,24とともにリヤフレーム12,12の低強度部29,29も合わせて座屈させることができる。すなわち、ガセット24,24及び低強度部29,29で構成されるフレーム全体が潰れモードとなる。従って、衝突荷重が入力される高さに係わらず安定的に衝突エネルギーを吸収することができる。
また、エクステンション13,13の下方に左右のガセット24,24の後端同士を連結するクロスメンバ15が設けられたので、衝突物が車両のリヤバンパビームが自車のリヤバンパビーム14より低い場合でも、クロスメンバ15で受けることができる。
図2に示されたように、ガセット24は、階段状に断面を拡大する第2の凹折れ線部(折れ線)52近傍に設けられるとともに、衝突方向と直交する向きに設けられた成形しわ取り用のビード61〜64を備えたので、階段状部分の成形時のしわ取りをすることができるとともに、後面衝突時には成形しわ取り用のビード61〜64は、ガセット24の潰れのきっかけとすることができる。
ガセット24のリヤフレーム12への接合部45に、リヤフレーム12から離間する空間凸部49を形成したので、ガセット24及びリヤフレーム12をより座屈させやすくすることができる。この結果、衝撃吸収作用の安定化を図ることができる。
クロスメンバ15が、背面から見たときに上方に向けて突出した弓状に形成されたので、衝突物が自車のリヤバンパビーム14より低い場合に、高さの違いの適合範囲を拡げることができる。
また、クロスメンバ15が、平面視で後方に向けて凸に形成されたので、後突荷重に対して衝突時のエネルギーを効率よくガセット24に伝達することができる。
尚、本発明に係る車体後部構造は、図4に示すように、階段状に第1〜第3の凹折れ線部51〜53及び第1・第2の凸折れ線部54,55が設けられたが、階段状の段数は任意である。
本発明に係る車体後部構造は、図4に示すように、第2の凹折れ線部(折れ線)52の近傍に第1〜第4ビード61〜64が設けられたが、これに限るものではなく、他の折れ線の近傍に設けることを妨げるものではない。
本発明に係る車体後部構造は、図3に示すように、左右のリヤフレーム12,12の低強度部29,29の下方に後方へ向け階段状に断面を拡大する左右のガセット24,24が設けられたが、これに限るものではなく、左右のリヤフレームの低強度部の上方に後方へ向け階段状に断面を拡大する左右のガセットが設けられるものであってもよい。
本発明に係る車体後部構造は、セダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
本発明に係る車体後部構造の斜視図である。 本発明に係る車体後部構造のリヤフレームの斜視図である。 図2に示された車体後部構造のリヤフレームの側面図である。 図3の4−4線断面図である。 図1に示された車体後部構造に作用する荷重を示す説明図である。 図1に示された車体後部構造に荷重が作用する場合のリヤフレームの変形を示す説明図である。
符号の説明
12…リヤフレーム、13…エクステンション、14…リヤバンパビーム、15…クロスメンバ、24…ガセット、45…接合部、48…溶接部、49…空間凸部、51〜53…折れ線(第1〜第3の凹折れ線部)、54,55…折れ線(第1・第2の凸折れ線部)、61〜64…成形しわ取り用のビード(第1〜第4ビード)。

Claims (6)

  1. 車体前後方向に延ばされた左右のリヤフレームを備えた車体後部構造において、
    前記左右のリヤフレームに、後部に前部よりも強度を低下させ後面衝突時に座屈を許容する低強度部が形成され、これらの低強度部の上方又は下方に後方へ向け階段状に断面を拡大する左右のガセットが設けられたことを特徴とする車体後部構造。
  2. 前記左右のガセットは、後端同士を連結するクロスメンバが設けられたことを特徴とする請求項1記載の車体後部構造。
  3. 前記左右のリヤフレームは、後端にエクステンションを介して取付けられるリヤバンパビームを備え、
    前記エクステンションの下方に、前記左右のガセットの後端同士を連結するクロスメンバが設けられたことを特徴とする請求項1記載の車体後部構造。
  4. 前記ガセットは、階段状に断面を拡大する折れ線近傍に設けられるとともに、車両前後方向と直交する向きに設けられた成形しわ取り用のビードを備えたこと特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の車体後部構造。
  5. 前記ガセットの前記リヤフレームへの接合部に、前記リヤフレームから離間する空間凸部を形成したこと特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車体後部構造。
  6. 前記クロスメンバは、背面から見たときに上方に向けて突出した弓状に形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車体後部構造。
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