JP2010012618A - フィードブロック及びシート又はフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】押出成形機21とダイ2との間を繋ぐフィードブロック1であって、内部には主流路5と副流路6,7が設けられ、その主流路5と副流路6,7が合流する合流部8において、主流路5が複数に分割され、フィードブロック1の樹脂の流れ方向下流側で、分割された主流路5が再び合流する構成とする。
【選択図】図2
Description
ここでネックイン現象とは、成形された樹脂フィルムの両側面に不良部分が生じる現象である。即ちネックイン現象とは、表面張力や引取比等の環境条件や成形条件によって発生する現象で、樹脂の収縮や座屈により所望の厚みや形状が得られない不良領域が生じる現象である。
そのため上記したネックイン領域、即ち成形された樹脂フィルムの両端側は、不良領域として切除しなければならない。
具体的には、フィードブロック内にバージン樹脂と再生樹脂等を導入し、中央部にバージン樹脂の領域があり、幅方向の両端部に再生樹脂の領域を作って、金型に導入し、押し出し成形する。
問題として、成形されたシートの厚みが不均衡となる問題がある(以下 厚み不良)。
また前記したフィードブロックを活用する方策に特有の問題としてバージン樹脂で成形された領域と再生樹脂で成形された領域が明確に区別されず、両者が入れ混じる問題(以下 混合不良)がある。
本発明者らは、上記した「厚み不良」と「混合不良」について研究し、その原因について、以下の考察を得た。
以下、それぞれの原因について説明する。
一般的に押出機は、スクリュウ回転に起因する押出変動を3%程度持っている。例えば,同じ2つの押出機を使用する事で単純統計的に4.2%の変動があると推定される。
押出機の押出変動が、4.2%となる理由は、次の数1による。
即ち異樹脂の合流に関してはそれぞれの樹脂の粘度,流速,層比の3つの条件により樹脂界面の乱れが発生する事が知られている。これは,一般流体におけるカルマン渦の現象と同様の現象と考えれば良い。
そしてこの乱れた領域が金型内で巾方向に広げられる事になる。例えば,金型巾2000mm程度のフィルム製品の場合、片側200mm程度がネックイン領域となる。
当然,成形条件によってこれ以上広くも成り得るが,効率やフィルムの平坦性を考えても多くて10%程度以下が一般的といえる。
そして上記事例からも概ねネックイン領域を別系統樹脂にしようとすると、単純に樹脂流路の巾方向の10%程度に別系統樹脂を流せば良い。
一方でフィードブロックの出口側、つまり樹脂がダイに流入する間際のところで、再び分割された主流路が合流しているが、合流前の流速及び粘性度と略同じである。
つまり、本発明においては、樹脂の合流部において分割された主流路の断面積と副流路の断面積との比を小さくでき、さらに合流部において流速及び粘性度の変化を生じさせないため、樹脂界面の乱れを軽減することができる。要するに、フィルム及びシートの厚みを均等に分布させることが可能で、さらにそれらの幅方向端部の不良部を少なくすることができる。即ち前記した「混合不良」を軽減することができる。
また本発明によると、前記した「厚み不良」についても緩和される。即ち、「厚み不良」は、前記した様に押出機由来の圧力変動に起因している。ここで本発明で採用するフィードブロックは、主流路が複数の流路に分割されているから、分割された部位で樹脂の流路が絞られ圧力損失が与えられる。
そのためフィードブロックの流路分割部分が緩衝部として作用し、押出機の圧力変動が吸収されて下流側(金型側)に伝わり難くなる。
その結果、「厚み不良」についても緩和される。これにより、生産コストを削減することができる。
シート及びフィルム製造装置は、樹脂が送り出される側から順番に、押出成形機21、フィードブロック1、T−ダイ2、ポリッシングロール22、引取機23、カッタ24等で構成されている。つまり、押出成形機21に供給された樹脂等は、フィードブロック1やT−ダイ2で成形され、ポリッシングロール22により冷却及び艶出しが行われる。そして、引取機23によって引っ張られて、カッタ24により不要な部分を切り落とされてシートやフィルム等の製品とされる。
ここで、シートあるいはフィルムの成形品について説明しておくと、一般的に樹脂の進行方向垂直側の両端部は製品として好ましくない状態となることが多い。つまり、本実施形態のように幅方向に領域を分けて押し出す構成としておくことで、回収樹脂等の劣化樹脂を前記した両端部に用いることができる。
そして本実施形態では、図2に示す様に、合流部8の主流路5がさらに2分割され、流路Aと流路Bが形成されている。
具体的には主流路5の中央に分割壁9が設けられ、合流部8における主流路5を2分割している。
なお主流路5の分割前の領域の断面積は、分割後の流路A,Bの合計に等しい。また合流部8以降の流路面積は、主流路5の分割前の領域の断面積と、副流路6及び7の断面積の合計と等しい。
即ち図2に示すように、本実施形態では、合流部8の主流路5において分割壁9が設けられ、樹脂の流れを2分割するように配されている。要するに、この分割壁9は、合流部8において、副流路6が接続する側と副流路7が接続する側とを完全に分離し、一定長さ樹脂の流れの方向に延びた構成である。このときの分割された主流路と副流路の断面積比(A:a,B:b)は、8:1以下とすることが望ましい。本実施形態においては、実質的に、主流路5の断面積と副流路6及び7の断面積の比を小さくすることができる。
本実施形態では副流路6,7に比較的安価な樹脂あるいは回収樹脂を使用することが推奨され、この樹脂を含む箇所を不良部としている。
(実施例1)
本発明の第一実施例として図2に示す構成のフィードブロックを試作した。試作したフィードブロックは、図2の様に主流路5の中央部に分割壁9があり、合流部8における主流路5がA,Bの2流路に分割されている。
飽和ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン株式会社製、商品名「ZEONOR」、Tg=138℃)
〔副流路を流れる樹脂〕
汎用オレフィンPP樹脂(商品名「PC630Aサンアロマー株式会社製」、Tg=170℃)
〔主流路に接続された押出成形機〕
内径90mm、L/D=32の単軸押出機、ストレートスクリュー
押出温度270度
〔副流路に接続された押出成形機〕
内径65mm、L/D=32の単軸押出機、バリアスクリュー
押出温度230度
本実施例では、樹脂の混合部が幅方向に2mm、副流路6,7を流れた樹脂が(副樹脂領域)幅方向に108mm生じており、不良部はその合計の120mmであった。
本発明の第二実施例として図4に示す構成のフィードブロックを試作した。試作したフィードブロックは、図4の様に主流路5の中央部に二つの分割壁10があり、合流部8における主流路5がC,D,Eの3流路に分割されている。
即ち図4に示すように、本実施例では、合流部8の主流路5において2つの分割壁10が設けられ、樹脂の流れを3分割するように配されている。この分割壁10は、合流部8において、実施例1と同様に、副流路6が接続する側と副流路7が接続する側とを完全に分離するものであるが、さらに分割した主流路5の個々の断面積を小さくしたものである。また、実施例1と同様に、樹脂の流れの方向に一定長さ延びた構成である。このときの分割された主流路と副流路の断面積比(C:c,E:e)は、8:1以下としている。つまり実質的に、主流路5の断面積と副流路6及び7の断面積の比を、実施例1よりも小さくすることができる。
具体的には、本実施例の主流路5の分割後の断面は、副流路6,7側がそれぞれ15mm×3mmで、それらに挟まれた断面は、15mm×44mm(高さ×幅)であり、副流路6,7の断面は、それぞれ15mm×3mm(高さ×幅)である。
即ち本実施例では、主流路5を単に3流路に分けるだけではなく、C,D,Eの大きさに差を設けている。より具体的には、両脇にあって、副流路6,7と合流する流路の断面積を小さくし、副流路6,7と合流する主流路5の断面積を副流路のそれに近づけている。本実施例では、副流路6,7と合流する主流路5の断面積を副流路6,7の断面積と同じにしている。
他の成形条件は、第一実施例と同一である。
そして前記した様に、副流路6,7を流れる樹脂と主流路5を流れる樹脂が入り交じる領域を混合部とし、主流路5を流れる樹脂だけが存在する領域を主樹脂領域とし、副流路6,7を流れる領域を副樹脂領域として成形されたフィルムを評価した。
本実施例では、この不良部は、副流路6,7を流れた樹脂(副樹脂領域)が幅方向に95mmのみで、樹脂の混合部は生じていない。このような構成とすることで、実施例1と同様、複数の異なる樹脂を用いた場合であっても、樹脂の厚みを均一にでき、幅方向端部の不良部を軽減することができた。
なお第二実施例のフィードブロックは、第一実施例のそれよりも、より経済的な成形品であると言える。
比較例1は、合流部8において分割壁9あるいは10を設けず、主流路5の幅を50mm、副流路6,7の幅をそれぞれ5mmとし、その断面積比を10:1とした。
流路の高さは実施例1,2と同様に15mmである。
そして比較例のフィードブロックの主流路5及び副流路6,7に次の樹脂を流し、図示しないT−ダイにフィードブロックから樹脂を導入してフィルムを成形した。
他の成形条件は、第一実施例と同一である。即ち樹脂の押し出し量は、先の実施例1,2と同一である。
そして実施例と同様の手法で、成形されたフィルムを評価した。
比較例1では、樹脂の混合部が幅方向に130mm、副流路6,7を流れた樹脂(副樹脂領域)が幅方向に100mm生じており、不良部はその合計の230mmであった。
比較例2は、比較例1と同様、分割壁9あるいは10を設けず、主流路5の幅を50mm、副流路6,7の幅をそれぞれ6.5mmとし、両者の断面積比を8:1とした。
流路の高さは実施例1,2と同様に15mmである。
そして比較例のフィードブロックの主流路5及び副流路6,7に次の樹脂を流し、図示しないT−ダイにフィードブロックから樹脂を導入してフィルムを成形した。
他の成形条件は、第一実施例と同一である。即ち樹脂の押し出し量は、先の実施例1,2と同一である。
そして実施例と同様の手法で、成形されたフィルムを評価した。
比較例1では、樹脂の混合部が幅方向に2mm、副流路6,7を流れた樹脂(副樹脂領域)が幅方向に208mm生じており、不良部はその合計の210mmであった。
上記した実施例1,2及び比較例1,2の実験結果を示した表を示す。
つまり、本実施例1,2のような分割壁9,10を設ける構成とすることで、樹脂には乱れが殆ど生じることなく、厚みが均一で、不良部幅の少ないシートあるいはフィルムを製造することができる。
例えば、分割壁は3つ以上であっても構わない。その場合も上記実施形態のように、分割後の主流路5の副流路6,7側の断面積を小さくし、副流路6,7との断面積比を8:1以下にすることが好ましい。
2 T−ダイ(ダイ)
5 主流路
6,7 副流路
8 合流部
9,10 分割壁
Claims (4)
- 押出成形機とダイとの間を繋ぐフィードブロックであって、
内部に主たる樹脂が通過する主流路と、
前記主流路の幅方向両脇に他の樹脂が通過する副流路を備えたフィードブロックであって、
前記主流路は、前記副流路との合流部分が複数の流路に分割され、フィードブロックの出口側で前記分割された複数の流路が合流していることを特徴とするフィードブロック。 - 前記主流路が少なくとも3つ以上に分割されていることを特徴とする請求項1に記載のフィードブロック。
- 前記主流路の合流部における分割した断面積が、前記副流路の断面積の8倍以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィードブロック。
- 複数の押出成形機から主たる樹脂と補助的樹脂を押し出し、
主たる樹脂の両脇に補助的樹脂を配した状態で前記両樹脂を金型に導入し、金型でシート状又はフィルム状に賦形し、さらに、成形物の両脇部を切除する工程を備えたシート又はフィルムの製造方法において、主たる樹脂を複数の小流路に分けて流し、当該小流路の途中で前記補助的樹脂を導入し、その後に前記複数の小流路に別れていた樹脂を合流させて賦形することを特徴とするシート又はフィルムの製造方法。
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