JP2010006141A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 タイヤサイド部の温度上昇を十分に抑制することを可能とする空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明に係る空気入りタイヤ1は、タイヤ表面においてタイヤ径方向(A)に沿って延在しており、タイヤ幅方向(B)外側に突出する形状を有する第1径方向突起8と、タイヤ表面においてタイヤ径方向(A)に沿って延在しており、タイヤ幅方向(B)外側に突出する形状を有する第2径方向突起9とを備え、第1径方向突起8は、第2径方向突起9よりもタイヤ径方向(A)内側に設けられており、タイヤ径方向(A)における第1径方向突起8の長さは、タイヤ径方向(A)における第2径方向突起9の長さよりも長いことを特徴とする。
【選択図】 図3
【解決手段】 本発明に係る空気入りタイヤ1は、タイヤ表面においてタイヤ径方向(A)に沿って延在しており、タイヤ幅方向(B)外側に突出する形状を有する第1径方向突起8と、タイヤ表面においてタイヤ径方向(A)に沿って延在しており、タイヤ幅方向(B)外側に突出する形状を有する第2径方向突起9とを備え、第1径方向突起8は、第2径方向突起9よりもタイヤ径方向(A)内側に設けられており、タイヤ径方向(A)における第1径方向突起8の長さは、タイヤ径方向(A)における第2径方向突起9の長さよりも長いことを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
本発明は、タイヤ表面においてタイヤ径方向に沿って延在する複数の径方向突起を備えた空気入りタイヤに関する。
一般に、空気入りタイヤの温度上昇は、空気入りタイヤを構成する材料の物性の変化などのように、空気入りタイヤを構成する材料の経時的変化を促進する。また、空気入りタイヤの温度上昇は、高速走行時においてトレッド部の破損の原因にもなる。従って、空気入りタイヤの温度上昇は、空気入りタイヤの耐久性の観点から好ましくない。
特に、重荷重が加わるオフザロードラジアルタイヤ(ORR)、トラック・バスラジアルタイヤ(TBR)、パンク走行時(タイヤ内圧0kPa走行時)のランフラットタイヤでは、耐久性の向上が重要である。従って、これらのタイヤでは、空気入りタイヤの温度上昇を軽減することが重要である。
例えば、ランフラットタイヤには、タイヤサイド部を補強するサイドウォール補強層が設けられる。サイドウォール補強層は、タイヤ幅方向に沿った断面において三日月状の形状を有する。パンク走行時では、タイヤ径方向の変形がサイドウォール補強層に集中する。これによって、サイドウォール補強層が高温になり、ランフラットタイヤの耐久性に大きく影響する。
これに対して、空気入りタイヤの歪みを抑制する補強部材をカーカス層やビード部に設ける技術(以下、第1技術)が提案されている(例えば、特許文献1)。第1技術では、特に、タイヤサイド部を構成するカーカス層やビード部に、タイヤサイド部の歪みを抑制する補強部材が設けられる。これによって、空気入りタイヤの温度上昇、特に、タイヤサイド部の温度上昇が抑制される。
また、リムと接するビード部のタイヤ幅方向外側に、多数のリッジを有するリムガードを設ける技術(以下、第2技術)が知られている。リムガードに設けられた多数のリッジによって空気入りタイヤの表面積が増大する。従って、空気入りタイヤに生じる熱の放熱性が向上する。
特開2006−76431号公報
上述した第1技術では、空気入りタイヤに加わる荷重に起因して、補強部材のセパレーションなどを生じる恐れがある。すなわち、補強部材が新たな故障の要因となる恐れがある。
また、タイヤサイド部に補強部材を設けることによって、タイヤサイド部の剛性が上がるため、空気入りタイヤが撓みにくくなる。従って、乗り心地性などが悪化する恐れがある。ランフラットタイヤでは、元々タイヤサイド部に補強ゴムを有しているため、タイヤサイド部の剛性が高く、空気入りタイヤがさらに撓みにくくなる。従って、上述した第1技術におけるランフラットタイヤでは、通常内圧走行時における通常走行性能の悪化が顕著である。
上述した第2技術では、上述したように、空気入りタイヤの表面積の増大によって放熱性の向上を意図している。一方で、空気入りタイヤの外面は、空気入りタイヤと路面との間で生じる摩擦熱の伝導を抑制するために、熱伝導性の低いゴム材によって構成されることが好ましい。従って、単に、空気入りタイヤの表面積を増大させても、タイヤサイド部の温度上昇を十分に抑制することができない。
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、タイヤサイド部の温度上昇を十分に抑制することを可能とする空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明の第1の特徴は、タイヤ表面(タイヤ表面3a)においてタイヤ径方向(A)に沿って延在しており、タイヤ幅方向(B)外側に突出する形状を有する第1径方向突起(第1径方向突起8)と、前記タイヤ表面において前記タイヤ径方向(A)に沿って延在しており、前記タイヤ幅方向(B)外側に突出する形状を有する第2径方向突起(第2径方向突起9)とを備え、前記第1径方向突起は、前記第2径方向突起よりも前記タイヤ径方向(A)内側に設けられており、前記タイヤ径方向(A)における前記第1径方向突起の長さ(l1)は、前記タイヤ径方向(A)における前記第2径方向突起の長さ(l2)よりも長いことを要旨とする。
係る特徴によれば、タイヤサイド部のタイヤ表面に接触していた空気流は、第1径方向突起及び第2径方向突起を乗り超えて、第1径方向突起及び第2径方向突起の背面側でタイヤ表面3に対して略鉛直方向に流れ、タイヤ表面に激しく突き当たる。そのため、タイヤ表面に突き当たった空気流が、第1径方向突起間及び第2径方向突起間におけるタイヤ表面に停留する空気流と積極的に熱交換を行うため、タイヤ表面の温度上昇が十分に抑制され、タイヤ耐久性が向上する。
また、空気入りタイヤの回転に伴って生じる遠心力により、タイヤ径方向(A)内側からタイヤ径方向(A)外側に向かう空気流を生じやすくすることができる。
ここで、タイヤ径方向(A)外側は、タイヤ径方向(A)内側に比べて円周が大きいため、タイヤ径方向(A)外側を流れる空気流の速度は、タイヤ径方向(A)内側を流れる空気流の速度よりも速い。
従って、タイヤ径方向(A)外側では、第2径方向突起を乗り超える空気流がタイヤ表面に突き当たることによって、タイヤ表面の温度上昇を抑制する効果とともに、第2径方向突起の周囲を加速して流れ込む空気流によって、第2径方向突起の周囲のタイヤ表面の温度上昇を抑制する効果が得られる。
また、タイヤサイド部のタイヤ表面に接触していた空気流は、タイヤ表面に沿って、第2径方向突起の周囲を流れ込むため、タイヤサイド部にタイヤ幅方向(B)に突出した突起を設けることによる空気抵抗を減少させ、転がり抵抗を抑制することができる。
以上より、上述した本発明の第1の特徴によれば、タイヤサイド部の温度上昇を十分に抑制するとともに、タイヤサイド部にタイヤ幅方向(B)に突出した突起を設けることによる空気抵抗を減少させ、転がり抵抗を抑制することができる。
本発明の第2の特徴は、タイヤ回転軸(S)を中心として放射状に設けられた複数の第1径方向突起をさらに備え、前記複数の第1径方向突起のそれぞれは、前記第1径方向突起であり、前記複数の第1径方向突起は、第1径方向突起Aと、前記第1径方向突起A(第1径方向突起8A)に隣り合った第1径方向突起B(第1径方向突起8B)とを含み、前記第1径方向突起Aの中点A(中点8A)及び前記第1径方向突起Bの中点B(中点8B)は、間隔p1を有しており、前記第1径方向突起A及び前記第1径方向突起Bは、前記タイヤ径方向(A)において長さl1を有しており、l1>2×tan(10°)×p1の関係が満たされること要旨とする。
本発明の第3の特徴は、前記タイヤ径方向(A)における前記第2径方向突起の長さは、前記タイヤ回転軸を中心とする円周の接線方向(D)における前記第2径方向突起の幅(w)と略等しいことを要旨とする。
本発明の第4の特徴は、前記第1径方向突起及び前記第2径方向突起は、前記タイヤ幅方向(B)において高さhを有しており、タイヤ半径をRとした場合に、0.03≦h/R1/2≦0.64の関係が満たされることを要旨とする。
本発明の第5の特徴は、前記第1径方向突起及び前記第2径方向突起は、前記タイヤ幅方向(B)において高さhを有しており、タイヤ半径をRとした場合に、0.05≦h/R1/2≦0.64の関係が満たされることを要旨とする。
本発明の第6の特徴は、前記第1径方向突起及び前記第2径方向突起によって構成される複数の径方向突起をさらに備え、前記複数の径方向突起は、タイヤ回転軸を中心として放射状に設けられており、前記複数の径方向突起は、径方向突起Aと、前記径方向突起Aに隣り合った径方向突起Bとを含み、前記径方向突起Aの中点A及び前記径方向突起Bの中点Bは、間隔p1を有しており、前記径方向突起A及び前記径方向突起Bは、前記タイヤ幅方向(B)において高さhを有しており、前記径方向突起A及び前記径方向突起Bは、タイヤ回転軸を中心とする円周の接線方向(D)において幅wを有しており、1.0≦p1/h≦50.0、かつ、1.0≦(p1−w)/w≦100.0の関係が満たされることを要旨とする。
本発明の第7の特徴は、前記タイヤ回転軸を中心として第1中心角(θ1)を有するように放射状に設けられた複数の第1径方向突起と、前記タイヤ回転軸を中心として第2中心角(θ2)を有するように放射状に設けられた複数の第2径方向突起とをさらに備え、前記第1中心角は、前記第2中心角と異なることを要旨とする。
本発明の第8の特徴は、タイヤサイド部を補強するサイドウォール補強層(サイドウォール補強層6)をさらに備え、前記サイドウォール補強層は、前記タイヤ幅方向(B)に沿った断面において三日月状の形状を有しており、前記第1径方向突起及び前記第2径方向突起は、前記サイドウォール補強層の前記タイヤ幅方向(B)外側に設けられることを要旨とする。
本発明の第9の特徴は、前記第1径方向突起及び前記第2径方向突起は、重荷重タイヤに設けられた前記タイヤ表面に設けられていることを要旨とする。
本発明の第10の特徴は、前記第1径方向突起及び前記第2径方向突起は、タイヤ内側面を構成する前記タイヤ表面に設けられていることを要旨とする。
本発明によれば、タイヤサイド部の温度上昇を十分に抑制することを可能とする空気入りタイヤを提供することができる。
以下において、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
[第1実施形態]
(空気入りタイヤの構成)
以下において、第1実施形態に係る空気入りタイヤの構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の一部分解斜視図である。図2は、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の要部断面を示す断面図である。
(空気入りタイヤの構成)
以下において、第1実施形態に係る空気入りタイヤの構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の一部分解斜視図である。図2は、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の要部断面を示す断面図である。
図1,2に示すように、空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、一対のタイヤサイド部3と、一対のビード部4と、カーカス層5と、一対のサイドウォール補強層6と、複数のベルト補強層7と、複数の第1径方向突起8と、複数の第2径方向突起9とを備えている。
トレッド部2は、タイヤ径方向(A)の最も外側に設けられ、路面と接触する部分である。
各タイヤサイド部3は、トレッド部2のタイヤ幅方向(B)端部から、リム(不図示)とを接するビード部4のタイヤ径方向(A)外側までの部分に設けられる。
各ビード部4は、空気入りタイヤ1の開口部の縁部に沿って周回するように設けられた、ビードコア4A及びビードフィラー4Bを備えている。このビードコア4Aには、例えば、スチールコードなどが用いられている。
カーカス層5は、空気入りタイヤ1の骨格をなす部分であり、トレッド部2、一対のタイヤサイド部3及び一対のビード部4の内側に設けられる。
各サイドウォール補強層6は、各タイヤサイド部3に位置するカーカス層5の内側(タイヤ幅方向(B)内側)に設けられており、各タイヤサイド部3を補強する役割を果たす。このサイドウォール補強層6は、タイヤ幅方向(B)に沿った断面において三日月状の形状を有している。
複数のベルト層7は、スチールベルト補強層7A,7B及び周方向補強層7Cを含み、トレッド部2とカーカス層5との間に設けられている。
複数の第1径方向突起8は、各タイヤサイド部3のタイヤ表面3aに設けられている。各第1径方向突起8は、タイヤ径方向(A)に沿って延在しており、タイヤ幅方向(B)外側に突出する形状を有する。
複数の第2径方向突起9は、各タイヤサイド部3のタイヤ表面3aに設けられている。各第2径方向突起9は、タイヤ径方向(A)に沿って延在しており、タイヤ幅方向(B)外側に突出する形状を有する。
ここで、各第1径方向突起8は、各第2径方向突起9よりもタイヤ径方向(A)内側に設けられている。
また、タイヤ径方向(A)における各第1径方向突起8の長さは、タイヤ径方向(A)における各第2径方向突起9の長さよりも長い。
なお、各第1径方向突起8及び各第2径方向突起9は、タイヤ径方向(A)において、一列に設けられている。
図3は、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の側面図である。図3に示すように、空気入りタイヤ1には、タイヤ径方向(A)内側に、タイヤ回転軸Sを中心として、複数の第1径方向突起8が放射状に設けられている。また、空気入りタイヤ1には、タイヤ径方向(A)外側に、タイヤ回転軸Sを中心として、複数の第2径方向突起9が放射状に設けられている。
複数の第1径方向突起8は、第1径方向突起8Aと、第1径方向突起8Aに隣り合った第1径方向突起8Bとを含む。また、複数の第2径方向突起9は、第2径方向突起9Aと、第2径方向突起9Aに隣り合った第2径方向突起9Bとを含む。
複数の第1径方向突起8は、タイヤ回転軸Sを中心として中心角θ1を有するように放射状に設けられている。
複数の第2径方向突起9は、タイヤ回転軸Sを中心として中心角θ1を有するように放射状に設けられている。
また、第1径方向突起8Aの中点8Aと第1径方向突起8Bの中点8Bとの間隔は、p1である。
(径方向突起の構成)
以下において、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の第1径方向突起8及び第2径方向突起9の構成について、図面を参照しながら説明する。図4は、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の第1径方向突起8及び第2径方向突起9の要部を示す斜視図である。
以下において、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の第1径方向突起8及び第2径方向突起9の構成について、図面を参照しながら説明する。図4は、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の第1径方向突起8及び第2径方向突起9の要部を示す斜視図である。
図4に示すように、第1径方向突起8(8A、8B)は、タイヤ幅方向(B)において高さhを有しており、タイヤ径方向(A)において長さl1を有しており、タイヤ回転軸Sを中心とする円周の接線方向(D)において幅wを有している。
また、第2径方向突起9(9A、9B)は、タイヤ幅方向(B)において高さhを有しており、タイヤ径方向(A)において長さl2を有しており、タイヤ回転軸Sを中心とする円周の接線方向(D)において幅wを有している。
なお、タイヤ径方向(A)における第2径方向突起9の長さl2と、タイヤ回転軸Sを中心とする円周の接線方向(D)における第2径方向突起9の幅wとは、略等しい長さである。
また、タイヤ径方向(A)における第1径方向突起8の長さl1と、第1径方向突起8Aの中点8Aと第1径方向突起8Bの中点8Bとの間隔p1とは、l1>2×tan(10°)×p1の関係を満たすことが好ましい。
なお、タイヤ径方向(A)における第1径方向突起8の長さl1と、第1径方向突起8Aの中点8Aと第1径方向突起8Bの中点8Bとの間隔p1とが、l1>2×tan(10°)×p1の関係を満たすことにより、空気入りタイヤ1の回転に伴って生じる遠心力により、タイヤ径方向(A)内側からタイヤ径方向(A)外側に向かう空気流を十分に生じさせることができ、タイヤサイド部3の温度上昇がさらに抑制される。
また、タイヤ半径をRとした場合に、タイヤ幅方向(B)における第1径方向突起8及び第2径方向突起9の高さhは、0.03≦h/R1/2≦0.64の関係を満たすことが好ましい。特に、タイヤ幅方向(B)における第1径方向突起8及び第2径方向突起9の高さhは、0.05≦h/R1/2≦0.64の関係を満たすことが好ましい。
なお、h/R1/2の値が、0.03よりも大きいことにより、第1径方向突起8及び第2径方向突起9は、タイヤ表面3aに沿って存在する暖かい空気流の層よりも突出するため、タイヤ幅方向(B)において、第1径方向突起8及び第2径方向突起9の上方を流れる冷たい空気流を十分に巻き込むことができ、十分な熱交換が期待できる。一方、h/R1/2の値が、0.64よりも小さいことにより、第1径方向突起8及び第2径方向突起9とタイヤ表面3aとの接触面における蓄熱を抑制することできる。
また、タイヤ幅方向(B)における第1径方向突起8の高さhと、第1径方向突起8Aの中点8Aと第1径方向突起8Bの中点8Bとの間隔p1と、タイヤ回転軸Sを中心とする円周の接線方向(D)における第1径方向突起8の幅wとは、1.0≦p1/h≦50.0、かつ、1.0≦(p1−w)/w≦100.0の関係を満たすことが好ましい。特に、p1/hの値は、10.0≦p1/h≦20.0の関係を満たすことが好ましい。また、(p1−w)/wの値は、4.0≦(p1−w)/w≦39.0の関係を満たすことが好ましい。
なお、p1/h値が1.0よりも大きいことにより、第1径方向突起8及び第2径方向突起9を乗り超えてタイヤ表面3aに対して略鉛直方向に流れる空気流が、第1径方向突起8間及び第2径方向突起9間のタイヤ表面3aに突き当たりやすくなり、タイヤサイド部3の温度上昇をさらに抑制することができる。一方、p1/hの値が50.0よりも小さいことにより、第1径方向突起8及び第2径方向突起9を乗り越えてタイヤ表面3aに対して略鉛直方向に流れる空気流が、第1径方向突起8間及び第2径方向突起9間におけるタイヤ表面3aの中間部に突き当たりやすくなる。そのため、第1径方向突起8間及び第2径方向突起9間において、空気流がタイヤ表面3aに突き当たる位置が適正化され、より効率的にタイヤサイド部3の温度上昇を抑制することが可能となる。
なお、(p1−w)/wの値が1.0よりも大きいことにより、第1径方向突起8及び第2径方向突起9を乗り超えてタイヤ表面3aに対して略鉛直方向に流れる空気流が、第1径方向突起8間及び第2径方向突起9間のタイヤ表面3aに突き当たりやすくなり、タイヤサイド部3の温度上昇をさらに抑制することができる。一方、(p1−w)/wの値が100.0よりも小さいことにより、第1径方向突起8及び第2径方向突起9を乗り越えてタイヤ表面3aに対して略鉛直方向に流れる空気流が、第1径方向突起8間及び第2径方向突起9間におけるタイヤ表面3aの中間部に突き当たりやすくなる。そのため、第1径方向突起8間及び第2径方向突起9間において、空気流がタイヤ表面3aに突き当たる位置が適正化され、より効率的にタイヤサイド部3の温度上昇を抑制することができる。
(空気の流れ)
以下において、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の回転に伴って生じる空気の流れについて図面を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の第1径方向突起8及び第2径方向突起9における上下乱流の流れを説明する側面図である。図6は、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の第1径方向突起8及び第2径方向突起9の左右乱流の流れを説明する平面図である。
以下において、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の回転に伴って生じる空気の流れについて図面を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の第1径方向突起8及び第2径方向突起9における上下乱流の流れを説明する側面図である。図6は、第1実施形態に係る空気入りタイヤ1の第1径方向突起8及び第2径方向突起9の左右乱流の流れを説明する平面図である。
まず、図5を参照して、第1径方向突起8及び第2径方向突起9における上下乱流の流れについて説明する。
図5に示すように、空気入りタイヤ1の回転に伴い、タイヤサイド部3のタイヤ表面3aに接触していた空気の流れ(以下、空気流S1)は、第1径方向突起8A,第2径方向突起9Aによりタイヤサイド部3のタイヤ表面3aから剥離されて第1径方向突起8A,第2径方向突起9Aの前方エッジEを乗り越えて加速する。
そして、加速した空気流S1は、第1径方向突起8A,第2径方向突起9Aの背面側でタイヤ表面3aに対して略鉛直方向に流れ、タイヤ表面3aの領域(F)に突き当たる。また、空気流S1は、タイヤ表面3aの領域(F)に突き当たる際に、第1径方向突起8A,第2径方向突起9Aの背面側で滞留する空気流S2の熱を奪って空気流S1に再び流れ、第1径方向突起8B,第2径方向突起9Bの前方エッジEを乗り越えて加速する。
ここで、空気流S1は、第1径方向突起8B,第2径方向突起9Bの前方エッジEを乗り越える際に、第1径方向突起8B、9Bの前面側において、第1径方向突起8B,第2径方向突起9Bの前面側で滞留する空気流S3の熱を奪って空気流S1に再び流れ、第1径方向突起8B,第2径方向突起9Bの前方エッジEを乗り越える。
つまり、空気流S1が前方エッジEを乗り超えて加速し、かつ、第1径方向突起8A,第2径方向突起9Aの背面側で滞留する空気流S2の熱及び第1径方向突起8B,第2径方向突起9Bの前面側で滞留する空気流S3の熱を奪って空気流S1に再び流れることによって、広範囲でタイヤサイド部3の温度上昇を抑制することができる。
次に、図6を参照して、第1径方向突起8及び第2径方向突起9における左右乱流の流れについて説明する。
図6に示すように、タイヤサイド部3のタイヤ表面3aに接触していた空気流S1の一部は、第2径方向突起9に接触すると、タイヤ表面3aに沿って、第2径方向突起9の周囲を流れ込む空気流S4となる。この空気流S4は、第2径方向突起9の周囲を通る際に、流路面積の急激な減少によって加速する。加速した空気流S4は、第2径方向突起9Aと第2径方向突起9Bとの間におけるタイヤ表面3aに停留する空気の熱を奪って空気流S1に再び流れる。
また、空気入りタイヤ1の回転に伴って生じる遠心力により、第1径方向突起8Aと第1径方向突起8Bとの間において、タイヤ径方向(A)内側からタイヤ径方向(A)外側に向かう空気流S5が生じる。これにより、第1径方向突起8Aと第1径方向突起8Bとの間において滞留する空気との十分な熱交換が期待できる。
ここで、タイヤ径方向(A)外側は、タイヤ径方向(A)内側に比べて円周が大きいため、タイヤ径方向(A)外側を流れる空気流の速度は、タイヤ径方向(A)内側を流れる空気流の速度よりも早い。そのため、タイヤ径方向(A)外側に設けられる第2径方向突起9では、前方エッジEを乗り超える空気流S1(図5参照)と、第2径方向突起9の周囲を加速して流れ込む空気流S4(図6参照)とによって、より効率的にタイヤサイド部3の温度上昇を抑制することができる。
また、タイヤサイド部3のタイヤ表面3aに接触していた空気流S1の一部は、タイヤ表面3aに沿って、第2径方向突起9の周囲を流れ込む空気流S4となるため、タイヤサイド部3にタイヤ幅方向(B)に突出した突起を設けることによる空気抵抗を減少させ、転がり抵抗を抑制することができる。
(作用・効果)
上述した本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤ1によれば、タイヤ表面3aにおいてタイヤ径方向に沿って延在しており、タイヤ幅方向外側に突出する形状を有する第1径方向突起8及び第2径方向突起9を備える。これによれば、空気流S1は、第1径方向突起8及び第2径方向突起9を乗り超えて、第1径方向突起8及び第2径方向突起9の背面側でタイヤ表面3aに対して略鉛直方向に流れ、タイヤ表面3aの領域(F)に激しく突き当たる。従って、空気流S1が、第1径方向突起8間及び第2径方向突起9間におけるタイヤ表面3aに停留する空気流(S2,S3)と積極的に熱交換を行うため、タイヤ表面3aの温度上昇が十分に抑制され、タイヤ耐久性が向上する。
上述した本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤ1によれば、タイヤ表面3aにおいてタイヤ径方向に沿って延在しており、タイヤ幅方向外側に突出する形状を有する第1径方向突起8及び第2径方向突起9を備える。これによれば、空気流S1は、第1径方向突起8及び第2径方向突起9を乗り超えて、第1径方向突起8及び第2径方向突起9の背面側でタイヤ表面3aに対して略鉛直方向に流れ、タイヤ表面3aの領域(F)に激しく突き当たる。従って、空気流S1が、第1径方向突起8間及び第2径方向突起9間におけるタイヤ表面3aに停留する空気流(S2,S3)と積極的に熱交換を行うため、タイヤ表面3aの温度上昇が十分に抑制され、タイヤ耐久性が向上する。
また、第1径方向突起8は、第2径方向突起9よりもタイヤ径方向(A)内側に設けられており、タイヤ径方向(A)における第1径方向突起8の長さl1は、タイヤ径方向(A)における第2径方向突起9の長さl2よりも長い。これによれば、空気入りタイヤ1の回転に伴って生じる遠心力により、タイヤ径方向(A)内側からタイヤ径方向(A)外側に向かう空気流S5を生じやすくすることができる。
ここで、タイヤ径方向(A)外側は、タイヤ径方向(A)内側に比べて円周が大きいため、タイヤ径方向(A)外側を流れる空気流の速度は、タイヤ径方向(A)内側を流れる空気流の速度よりも速い。
従って、本実施形態1に係る空気入りタイヤ1では、第1径方向突起8よりもタイヤ径方向(A)外側に、第1径方向突起8よりも短い第2径方向突起9を備えているため、第2径方向突起9を乗り超える空気流S1がタイヤ表面3aに突き当たることによって、タイヤ表面3aの温度上昇を抑制する効果とともに、第2径方向突起9の周囲を加速して流れ込む空気流S4によって、第2径方向突起9の周囲のタイヤ表面3aの温度上昇を抑制する効果が得られる。
また、空気流S1の一部は、タイヤ表面3aに沿って、第2径方向突起9の周囲を流れ込む空気流S4となるため、タイヤサイド部3にタイヤ幅方向(B)に突出した突起を設けることによる空気抵抗を減少させ、転がり抵抗を抑制することができる。
以上より、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤ1では、タイヤサイド部3の温度上昇を十分に抑制するとともに、タイヤサイド部3にタイヤ幅方向(B)に突出した突起を設けることによる空気抵抗を減少させ、転がり抵抗を抑制することができる。
また、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤ1によれば、第1径方向突起8Aの中点8A及び第1径方向突起Bの中点8Bの間隔p1と、第1径方向突起8の長さl1とは、l1>2×tan(10°)×p1の関係を満たす。これによれば、空気入りタイヤ1の回転に伴って生じる遠心力により、タイヤ径方向(A)内側からタイヤ径方向(A)外側に向かう空気流S5を十分に生じさせることができるため、タイヤサイド部3の温度上昇がさらに抑制される。
また、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤ1によれば、タイヤ径方向(A)における第2径方向突起9の長さl2が、タイヤ回転軸Sを中心とする円周の接線方向(D)における第2径方向突起9の幅wと略等しい。これによれば、第2径方向突起9の周囲に停留する空気との十分な熱交換が期待できる。
また、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤ1によれば、第1径方向突起8及び第2径方向突起9は、タイヤ幅方向において高さhを有しており、タイヤ半径をRとした場合に、0.03≦h/R1/2≦0.64(特に、0.05≦h/R1/2≦0.64)の関係を満たす。これにより、タイヤ幅方向(B)において、第1径方向突起8及び第2径方向突起9の上方を流れる冷たい空気流との十分な熱交換と、第1径方向突起8及び第2径方向突起9自体の強度が確保されるため、タイヤサイド部3の温度上昇を抑制し、タイヤ耐久性をさらに向上させることができる。
さらに、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤ1によれば、タイヤ幅方向(B)における第1径方向突起8及び第2径方向突起9の高さhと、第1径方向突起8Aの中点8Aと第1径方向突起8Bの中点8Bとの間隔p1と、タイヤ回転軸Sを中心とする円周の接線方向(D)における第1径方向突起8及び第2径方向突起9の幅wとは、1.0≦p1/h≦50.0、かつ、1.0≦(p1−w)/w≦100.0の関係を満たす。これにより、第1径方向突起8及び第2径方向突起9を乗り超えてタイヤ表面3aに対して略鉛直方向に流れる空気流について、第1径方向突起8間及び第2径方向突起9間においてタイヤ表面3aに突き当たる位置を適正化するとともに、第1径方向突起8間及び第2径方向突起9間のタイヤ表面3aに突き当たりやすくすることができるため、より効率的にタイヤサイド部3の温度上昇を抑制することが可能となる。
また、本発明の実施形態1に係る空気入りタイヤ1によれば、タイヤサイド部3を補強するサイドウォール補強層6を備え、第1径方向突起8及び第2径方向突起9は、サイドウォール補強層6のタイヤ幅方向(B)外側に設けられる。これにより、撓みなどにより温度の上昇が激しいとされる部分(例えば、パンク状態におけるサイドウォール補強層6)の温度上昇を抑制することができる。
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態に係る空気入りタイヤの構成について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態と第2実施形態との相違点についてのみ説明する。
以下において、第2実施形態に係る空気入りタイヤの構成について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態と第2実施形態との相違点についてのみ説明する。
図7は、第2実施形態に係る空気入りタイヤ1の側面図である。図7に示すように、空気入りタイヤ1は、タイヤ径方向(A)内側に、タイヤ回転軸Sを中心として第1中心角θ1を有する第1径方向突起8A及び第1径方向突起8Bを備える。また、空気入りタイヤ1は、タイヤ径方向(A)外側に、タイヤ回転軸Sを中心として第2中心角θ2を有する第2径方向突起9A及び第2径方向突起9Bを備える。ここで、第1中心角θ1と、第2中心角とは異なる角度を有する。
なお、第2径方向突起9のうち最もタイヤ径方向(A)内側に設けられている第2径方向突起9Aの中点9Aと第2径方向突起9Bの中点9Bとの間隔は、p2である。
また、第2径方向突起9のうち最もタイヤ径方向(A)内側に設けられている第2径方向突起9Aの中点9Aと最もタイヤ径方向(A)外側に設けられている第2径方向突起9Aの中点9Aとを結ぶ線分の中点と、第2径方向突起9のうち最もタイヤ径方向(A)内側に設けられている第2径方向突起9Bの中点9Bと最もタイヤ径方向(A)外側に設けられている第2径方向突起9Bの中点9Bとを結ぶ線分の中点との間隔を、p2としてもよい。
なお、タイヤ幅方向(B)における第2径方向突起9の高さhと、第2径方向突起9Aの中点9Aと第2径方向突起9Bの中点9Bとの間隔p2と、タイヤ回転軸Sを中心とする円周の接線方向(D)における第2径方向突起9の幅wとは、1.0≦p2/h≦50.0、かつ、1.0≦(p2−w)/w≦100.0の関係を満たすことが好ましい。特に、p2/hの値は、10.0≦p2/h≦20.0の関係を満たすことが好ましい。特に、(p2−w)/wの値は、4.0≦(p2−w)/w≦39.0の関係を満たすことが好ましい。
また、第2径方向突起9のうち最もタイヤ径方向(A)内側に設けられている第2径方向突起9Aの中点9Aと最もタイヤ径方向(A)外側に設けられている第2径方向突起9Aの中点9Aとを結ぶ線分の中点と、第2径方向突起9のうち最もタイヤ径方向(A)内側に設けられている第2径方向突起9Bの中点9Bと最もタイヤ径方向(A)外側に設けられている第2径方向突起9Bの中点9Bとを結ぶ線分の中点との間隔を、p2とした場合においても、p2/h及び(p2−w)/wは、上述の関係を満たすことが好ましい。
(作用・効果)
本発明の実施形態に係る空気入りタイヤ1によれば、タイヤ回転軸Sを中心として放射状に設けられた複数の第1径方向突起8のそれぞれは、第1中心角θ1を有し、タイヤ回転軸Sを中心として放射状に設けられた複数の第2径方向突起9のそれぞれは、第2中心角θ2を有する。また、第1中心角θ1は、第2中心角θ2とは異なる。
本発明の実施形態に係る空気入りタイヤ1によれば、タイヤ回転軸Sを中心として放射状に設けられた複数の第1径方向突起8のそれぞれは、第1中心角θ1を有し、タイヤ回転軸Sを中心として放射状に設けられた複数の第2径方向突起9のそれぞれは、第2中心角θ2を有する。また、第1中心角θ1は、第2中心角θ2とは異なる。
ここで、タイヤ径方向(A)内側とタイヤ径方向(A)外側とにおける空気流S1の速度が異なることにより、空気流S1が、第1径方向突起8を乗り越えて、タイヤ表面3aに突き当たる位置までの距離と、第2径方向突起9を乗り越えて、タイヤ表面3aに突き当たる位置までの距離とが異なる。そのため、第1中心角θ1と第2中心角θ2とが異なる角度を有するように、第1径方向突起8及び第2径方向突起9を設けることにより、タイヤサイド部3の温度上昇を抑制する効果を適正化することができる。
[第3実施形態]
以下において、第2実施形態に係る空気入りタイヤの構成について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態と第3実施形態との相違点についてのみ説明する。
以下において、第2実施形態に係る空気入りタイヤの構成について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態と第3実施形態との相違点についてのみ説明する。
図8は、第3実施形態に係る空気入りタイヤ1の一部分解斜視図である。図8に示すように、空気入りタイヤ1は、各タイヤサイド部3のタイヤ内側面を構成するタイヤ表面であるタイヤ表面3bに、第1径方向突起8と第2径方向突起9とを備える。
(作用・効果)
本発明の実施形態3に係る空気入りタイヤ1によれば、第1径方向突起8及び第2径方向突起9は、タイヤ内側面を構成するタイヤ表面3bに設けられる。これにより、タイヤ内側面に、撓みなどにより温度の上昇が激しいとされる部分が近い場合において、より効率的にタイヤサイド部3の温度上昇を抑制することができる。
本発明の実施形態3に係る空気入りタイヤ1によれば、第1径方向突起8及び第2径方向突起9は、タイヤ内側面を構成するタイヤ表面3bに設けられる。これにより、タイヤ内側面に、撓みなどにより温度の上昇が激しいとされる部分が近い場合において、より効率的にタイヤサイド部3の温度上昇を抑制することができる。
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、上述した本発明の実施形態では、第1径方向突起8及び第2径方向突起9は、矩形状であるが、第1径方向突起8及び第2径方向突起9の形状はこれに限られるものではなく、種々の形状が可能である。例えば、半球状など形状や、複数の形状の組み合わせでもよい。
また、第1径方向突起8及び第2径方向突起9は、タイヤサイド部3の全周に亘って設けられているものとして説明したが、これに限定られるものではなく、タイヤサイド部3の一部領域のみに設けられていもよい。
また、空気入りタイヤ1は、サイドウォール補強層6を有している(すなわち、ランフラットタイヤ)ものとして説明したが、これに限定されるものではなく、サイドウォール補強層6を有していなくても勿論よい。例えば、空気入りタイヤ1は、重荷重が加わるオフザロードラジアルタイヤ(ORR)、トラック・バスラジアルタイヤ(TBR)などの重荷重用タイヤであってもよい。
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によって定められるものである。
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、以下において、従来例及び上述した本発明の実施形態(実施例)に係る空気入りタイヤの比較評価の試験方法ならびにその結果について説明する。
なお、従来例、実施例1,2において、各空気入りタイヤに関するデータは、以下に示す条件において測定された。
・ タイヤサイズ : 285/50R20
・ ホイールサイズ : 8.0JJ×20
・ 内圧条件 : 230kpa
・ 荷重条件 : 7.84kN
・ 速度条件 : 80km/h
表1は、従来例、実施例1,2に係る各空気入りタイヤの諸元ならびに比較評価に係る試験の結果を示している。
・ ホイールサイズ : 8.0JJ×20
・ 内圧条件 : 230kpa
・ 荷重条件 : 7.84kN
・ 速度条件 : 80km/h
表1は、従来例、実施例1,2に係る各空気入りタイヤの諸元ならびに比較評価に係る試験の結果を示している。
表1に示すように、従来例に係る空気入りタイヤでは、タイヤ径方向(A)において、長さ100mm、高さ2mmの径方向突起を備えている。すなわち、従来例に係る空気入りタイヤでは、タイヤ径方向(A)内側からタイヤ径方向(A)外側までにおいて、一の径方向突起を備えている。
また、表1に示すように、実施例1に係る空気入りタイヤでは、タイヤ径方向(A)において、長さ8.5mm、高さ2mmの第1径方向突起と、長さ2mm、高さ2mmの第2径方向突起とを備えている。
また、表1に示すように、実施例2に係る空気入りタイヤでは、タイヤ径方向(A)において、長さ8mm、高さ0.3mmの第1径方向突起と、長さ2mm、高さ0.3mmの第2径方向突起とを備えている。
次に、従来例、実施例1,2に係る各空気入りタイヤの比較評価に係る評価結果について説明する。
〈熱伝達率測定試験〉
タイヤ表面の熱伝達率は、ヒータに定電圧を印加して一定の熱量を発生させ、それを送風機で送ったときのタイヤ表面の温度を測定して求められる。また、熱伝達率は、タイヤ表面における熱の放熱性を表している。なお、タイヤ熱伝達率測定試験においては、熱伝達率指数が大きいほど、タイヤ表面における放熱効果が高く、タイヤ耐久性に優れている。ここでは、従来例に係る空気入りタイヤの熱伝達率指数を“100”に設定している。
タイヤ表面の熱伝達率は、ヒータに定電圧を印加して一定の熱量を発生させ、それを送風機で送ったときのタイヤ表面の温度を測定して求められる。また、熱伝達率は、タイヤ表面における熱の放熱性を表している。なお、タイヤ熱伝達率測定試験においては、熱伝達率指数が大きいほど、タイヤ表面における放熱効果が高く、タイヤ耐久性に優れている。ここでは、従来例に係る空気入りタイヤの熱伝達率指数を“100”に設定している。
この結果、実施例1に係る空気入りタイヤによれば、タイヤ径方向(A)内側に設けられる第1径方向突起よりもタイヤ径方向(A)外側に設けられる第2径方向突起が短い場合であっても、従来例と同程度の放熱効果が得られることが分かった。
〈転がり抵抗測定試験〉
転がり抵抗測定試験においては、転がり抵抗指数が大きいほど、空気抵抗による転がり抵抗が大きい。ここでは、従来例に係る空気入りタイヤの転がり抵抗指数を“100”に設定している。
転がり抵抗測定試験においては、転がり抵抗指数が大きいほど、空気抵抗による転がり抵抗が大きい。ここでは、従来例に係る空気入りタイヤの転がり抵抗指数を“100”に設定している。
この結果、比較例及び実施例1,2に係る空気入りタイヤによれば、従来例に比べ、転がり抵抗指数が小さくなり、空気抵抗による転がり抵抗を抑制できることが分かった。
このように、実施例1に係る空気入りタイヤによれば、従来例と比較して、空気抵抗による転がり抵抗を抑制する効果が得られる。一方、実施例2に係る空気入りタイヤによれば、タイヤサイド部の温度上昇を十分に抑制しつつ、空気抵抗による転がり抵抗を抑制することが可能となる。
従って、実施例1は、熱伝達率測定試験及び転がり抵抗測定試験において、従来例、実施例2よりも優れていることが分かった。
次に、第1径方向突起のp1/h、(p1−w)/wを変化させたものを用いて行なわれた熱伝達率測定試験の結果を図9,図10に示す。図9,図10のグラフの縦軸は、タイヤ表面の熱伝達率を指数で表したものである。上述したように、従来例に係る空気入りタイヤの熱伝達率を“100”に設定している。すなわち、熱伝達率指数が大きいほど、タイヤ表面における放熱効果が高く、タイヤ耐久性に優れている。
図9に示すように、p1/hと熱伝達率との関係について、p1/hを、1.0≦p1/h≦50.0の範囲に設定することにより、熱伝達率指数が105以上となり、従来例よりも熱伝達率が向上する。また、p1/hを、10.0≦p1/h≦20.0の範囲に設定することにより、熱伝達率指数が120以上となり、さらに熱伝達率が向上する。このため、p1/hは、1.0≦p1/h≦50.0の範囲に設定することが好ましく、特に、10.0≦p1/h≦20.0の範囲に設定することが好ましいことが分かる。
図10に示すように、(p1−w)/wと熱伝達率との関係について、(p1−w)/wを、1.0≦(p1−w)/w≦100.0の範囲に設定することにより、熱伝達率指数が105以上となり、従来例よりも熱伝達率が向上する。また、(p1−w)/wを、4.0≦(p1−w)/w≦39.0の範囲に設定することにより、熱伝達率指数が115〜120以上となり、さらに熱伝達率が向上する。このため、(p1−w)/wは、1.0≦(p1−w)/w≦100.0の範囲に設定することが好ましく、特に、4.0≦(p1−w)/w≦39.0の範囲に設定することが好ましいことが分かる。
なお、図9及び図10においては、第1径方向突起間の間隔p1と、第1径方向突起及び第2径方向突起の高さhと、第1径方向突起及び第2径方向突起の幅wとの関係について記載しているが、第2径方向突起間の間隔p2と、第1径方向突起及び第2径方向突起の高さhと、第1径方向突起及び第2径方向突起の幅wとの関係についても、上述のような関係が満たされる。
1・・・空気入りタイヤ、2・・・トレッド部、3・・・タイヤサイド部、3a,b・・・タイヤ表面、4・・・ビード部、4A・・・ビードコア、4B・・・ビードフィラ、5・・・カーカス層、6・・・サイドウォール補強層、7A,B・・・スチールベルト補強層、7C・・・周方向補強層、8・・・第1径方向突起、9・・・第2径方向突起、R・・・タイヤ半径、S・・・タイヤ回転軸
Claims (10)
- タイヤ表面においてタイヤ径方向に沿って延在しており、タイヤ幅方向外側に突出する形状を有する第1径方向突起と、
前記タイヤ表面において前記タイヤ径方向に沿って延在しており、前記タイヤ幅方向外側に突出する形状を有する第2径方向突起とを備え、
前記第1径方向突起は、前記第2径方向突起よりも前記タイヤ径方向内側に設けられており、
前記タイヤ径方向における前記第1径方向突起の長さは、前記タイヤ径方向における前記第2径方向突起の長さよりも長いことを特徴とする空気入りタイヤ。 - タイヤ回転軸を中心として放射状に設けられた複数の第1径方向突起をさらに備え、
前記複数の第1径方向突起のそれぞれは、前記第1径方向突起であり、
前記複数の第1径方向突起は、第1径方向突起Aと、前記第1径方向突起Aに隣り合った第1径方向突起Bとを含み、
前記第1径方向突起Aの中点A及び前記第1径方向突起Bの中点Bは、間隔p1を有しており、
前記第1径方向突起A及び前記第1径方向突起Bは、前記タイヤ径方向において長さl1を有しており、
l1>2×tan(10°)×p1の関係が満たされることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - 前記タイヤ径方向における前記第2径方向突起の長さは、前記タイヤ回転軸を中心とする円周の接線方向における前記第2径方向突起の幅と略等しいことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第1径方向突起及び前記第2径方向突起は、前記タイヤ幅方向において高さhを有しており、
タイヤ半径をRとした場合に、0.03≦h/R1/2≦0.64の関係が満たされることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - 前記第1径方向突起及び前記第2径方向突起は、前記タイヤ幅方向において高さhを有しており、
タイヤ半径をRとした場合に、0.05≦h/R1/2≦0.64の関係が満たされることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - 前記第1径方向突起及び前記第2径方向突起によって構成される複数の径方向突起をさらに備え、
前記複数の径方向突起は、タイヤ回転軸を中心として放射状に設けられており、
前記複数の径方向突起は、径方向突起Aと、前記径方向突起Aに隣り合った径方向突起Bとを含み、
前記径方向突起Aの中点A及び前記径方向突起Bの中点Bは、間隔p1を有しており、
前記径方向突起A及び前記径方向突起Bは、前記タイヤ幅方向において高さhを有しており、
前記径方向突起A及び前記径方向突起Bは、タイヤ回転軸を中心とする円周の接線方向において幅wを有しており、
1.0≦p1/h≦50.0、かつ、1.0≦(p1−w)/w≦100.0の関係が満たされることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - タイヤ回転軸を中心として第1中心角を有するように放射状に設けられた複数の第1径方向突起と、
前記タイヤ回転軸を中心として第2中心角を有するように放射状に設けられた複数の第2径方向突起とをさらに備え、
前記第1中心角は、前記第2中心角と異なることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - タイヤサイド部を補強するサイドウォール補強層をさらに備え、
前記サイドウォール補強層は、前記タイヤ幅方向に沿った断面において三日月状の形状を有しており、
前記第1径方向突起及び前記第2径方向突起は、前記サイドウォール補強層の前記タイヤ幅方向外側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - 前記第1径方向突起及び前記第2径方向突起は、重荷重タイヤに設けられた前記タイヤ表面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第1径方向突起及び前記第2径方向突起は、タイヤ内側面を構成する前記タイヤ表面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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