JP2009160991A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 タイヤ温度、特に、ビード部近傍の温度の低減を図ることができ、タイヤの耐久性を向上させることができる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】 本発明は、タイヤ表面9の少なくとも一部に、乱流を発生させる乱流発生用突起11が設けられる空気入りタイヤ1であって、乱流発生用突起11が、タイヤ径方向へ向けて直線状又は曲線状で変位する複数の屈曲部11aを有するとともに、乱流発生用突起11の延在方向に対して略直交する幅である突起幅(w)が延在方向で同一であることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明は、タイヤ表面9の少なくとも一部に、乱流を発生させる乱流発生用突起11が設けられる空気入りタイヤ1であって、乱流発生用突起11が、タイヤ径方向へ向けて直線状又は曲線状で変位する複数の屈曲部11aを有するとともに、乱流発生用突起11の延在方向に対して略直交する幅である突起幅(w)が延在方向で同一であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、空気入りタイヤに関し、特に、タイヤ表面の少なくとも一部に、乱流を発生させる乱流発生用突起が設けられる空気入りタイヤに関する。
一般に、空気入りタイヤにおけるタイヤ温度の上昇は、材料物性の変化などの経時的変化を促進したり、高速走行時にはトレッド部の破損などの原因になり、耐久性の観点から好ましくないとされている。特に、重荷重での使用となるオフザロードラジアルタイヤ(ORR)や、トラック・バスラジアルタイヤ(TBR)、パンク走行時(内圧0kPa走行時)のランフラットタイヤにおいては、タイヤの耐久性を向上させるために、タイヤ温度を低減させることが大きな課題となっている。
例えば、ビード部がリムフランジと接する位置の近傍での厚さをトレッド幅方向外側へ厚くし、かつ、この厚くした補強部がリムフランジを包み込む形状(いわゆる、リムガード)で構成されていることにより、サイドウォール部におけるタイヤ表面(特に、ビード部)の撓みを抑制してタイヤ温度を低減させる空気入りタイヤが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−76431号公報(第2〜5頁)
しかしながら、上述した従来の空気入りタイヤでは、ビード部が厚いことによって、該ビード部での温度が上昇してしまうため、荷重時の倒れ込みにより補強部が破壊されることがあり、この破壊で生じたクラック等の進展によりビード部近傍が故障してしまうという問題があった。
特に、重荷重用タイヤでは、荷重時の倒れ込みが大きいため、補強部を設けることが懸念されている。しかし、この重荷重用タイヤでは、ビード部に補強部が設けられていなくても、他のサイドウォール部におけるタイヤ表面と比べてビード部は元々厚く形成されていることにより、該ビード部での温度が上昇してしまい、ビード部の耐久性のみならず、タイヤの耐久性が低下してしまう。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、タイヤ温度、特に、ビード部近傍の温度の低減を図ることができ、タイヤの耐久性を向上させることができる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した状況に基づいて、発明者らは、タイヤ温度を効率的に低減させることについて分析した。この結果、車両の走行に伴って車両前方から発生する風(走行風)の速度や、空気入りタイヤの回転に伴ってタイヤ回転方向前方から発生する回転風の速度を速くして、ビード部の温度上昇を抑制することが、タイヤ温度の放熱率を高めることが判明した。
そこで、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴に係る発明は、タイヤ表面の少なくとも一部に、乱流を発生させる乱流発生用突起が設けられる空気入りタイヤであって、乱流発生用突起が、タイヤ径方向へ向けて直線状又は曲線状で変位する複数の屈曲部を有するとともに、乱流発生用突起の延在方向に対して略直交する幅である突起幅(w)が延在方向で同一であることを要旨とする。
なお、タイヤ表面は、タイヤ外面(例えば、トレッド部やサイドウォール部の外表面)及びタイヤ内面(例えば、インナーライナーの内表面)を含むものとする。
かかる特徴によれば、乱流発生用突起が、タイヤ径方向へ向けて直線状又は曲線状で変位する複数の屈曲部を有するとともに、乱流発生用突起の延在方向に対して略直交する幅である突起幅(w)が延在方向で同一であることによって、車両の走行に伴って車両前方から発生する走行風、及び、空気入りタイヤの回転に伴ってタイヤ回転方向前方から発生する回転風が乱流発生用突起を乗り越える際に、乱流発生用突起の前側で圧力を上昇させることができ、この圧力上昇に伴い、乱流発生用突起を通過する走行風及び回転風の流れを加速させる(すなわち、タイヤ温度の放熱率を高める)ことができる。この加速した走行風及び回転風により、タイヤ温度、特に、ビード部近傍の温度の低減を図ることができ、タイヤの耐久性を向上させることができる。
また、乱流発生用突起が、タイヤ径方向へ向けて直線状又は曲線状で変位する複数の屈曲部を有することによって、荷重等により空気入りタイヤのサイド部が圧縮すると、屈曲部により乱流発生用突起がタイヤ径方向へ撓みやすくなっているため、乱流発生用突起自体の耐久性を向上させることができる。
その他の特徴に係る発明は、タイヤ表面から乱流発生用突起の最も突出する位置までの突起高さを“h”、突起幅を“w”としたときに、1.0≦h/w≦10の関係を満たすことを要旨とする。
かかる特徴によれば、突起高さ(h)に対する突起幅(w)の比の値が1.0≦h/w≦10の関係を満たすことによって、この乱流発生用突起を乗り越えて加速した走行風で、タイヤ温度、特に、ビード部近傍の温度の低減させる効果が高くなる。
その他の特徴に係る発明は、乱流発生用突起の最もタイヤ径方向内側である突起最内位置(P1)からビードトゥまでの距離である内側端部距離(D1)が、ビードトゥからトレッド最外位置までのタイヤ高さ(SH)に対して10%以上であることを要旨とする。
なお、内側端部距離(D1)は、正規リムに装着された状態で正規内圧が充填された際(正規荷重が負荷された際も含む)で計測された値であるものとする。この「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim" を意味する。また、上記「正規内圧」とは、上記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。また、上記「正規荷重」とは、上記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"である。
その他の特徴に係る発明は、乱流発生用突起の最もタイヤ径方向外側である突起最外位置(P2)が、タイヤ最大幅の位置よりもタイヤ径方向内側に位置することを要旨とする。
その他の特徴に係る発明は、タイヤ表面から乱流発生用突起の最も突出する位置までの突起高さ(h)が、3〜20mmであることを要旨とする。
その他の特徴に係る発明は、突起高さ(h)が、7.5〜15mmであることを要旨とする。
その他の特徴に係る発明は、突起幅(w)が、2〜10mmであることを要旨とする。
その他の特徴に係る発明は、トレッド幅方向断面において、乱流発生用突起の最もタイヤ径方向内側である突起最内位置(P1)から、リムフランジの最もタイヤ径方向外側であるリム最外位置(P4)までの距離である突起リム距離(d)が、30〜200mmであることを要旨とする。
その他の特徴に係る発明は、乱流発生用突部では、延在方向に略直交する断面形状が略四角形で形成されていることを要旨とする。
その他の特徴に係る発明は、乱流発生用突部では、延在方向に略直交する断面形状が略台形で形成されていることを要旨とする。
その他の特徴に係る発明は、乱流発生用突部では、延在方向に略直交する断面形状が略三角形で形成されていることを要旨とする。
その他の特徴に係る発明は、乱流発生用突部では、延在方向に略直交する断面形状が段差を有する段付き形状で形成されていることを要旨とする。
その他の特徴に係る発明は、乱流発生用突起には、延在方向に略直交する方向に貫通する貫通孔が形成されていることを要旨とする。
その他の特徴に係る発明は、タイヤ表面から乱流発生用突起の最も突出する位置までの突起高さを“h”、乱流発生用突起間のピッチを“p”、突起幅を“w”でとしたときに、1.0≦p/h≦20.0、かつ、1.0≦(p−w)/w≦100.0の関係を満たすことを要旨とする。
なお、「p/h」とは、乱流発生用突起の最もタイヤ径方向内側(突起最内位置(P1))から乱流発生用突起の最もタイヤ径方向外側(突起最外位置(P2))まで中間の位置で測定されるものとする。すなわち、図3に示すように、「p/h」は、乱流発生用突起の中間線(ML)上で測定されるものとする。
その他の特徴に係る発明は、タイヤ径方向から傾く乱流発生用突起の傾斜角度(θ)が、±70度であることを要旨とする。
その他の特徴に係る発明は、重荷重用タイヤであることを要旨とする。
本発明によれば、タイヤ温度、特に、ビード部近傍の温度の低減を図ることができ、タイヤの耐久性を向上させることができる空気入りタイヤを提供することができる。
次に、本発明に係る空気入りタイヤの一例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
[第1の実施の形態]
(空気入りタイヤの構成)
まず、第1の実施の形態に係る空気入りタイヤの構成について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、第1の実施の形態に係る空気入りタイヤを示す一部断面斜視図であり、図2は、第1の実施の形態に係る空気入りタイヤを示すトレッド幅方向断面図であり、図3は、第1の実施の形態に係る空気入りタイヤを示す一部側面図(図2のA矢視図)である。なお、第1の実施の形態に係る空気入りタイヤは、重荷重用タイヤであるものとする。
(空気入りタイヤの構成)
まず、第1の実施の形態に係る空気入りタイヤの構成について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、第1の実施の形態に係る空気入りタイヤを示す一部断面斜視図であり、図2は、第1の実施の形態に係る空気入りタイヤを示すトレッド幅方向断面図であり、図3は、第1の実施の形態に係る空気入りタイヤを示す一部側面図(図2のA矢視図)である。なお、第1の実施の形態に係る空気入りタイヤは、重荷重用タイヤであるものとする。
図1〜図3に示すように、空気入りタイヤ1は、ビードコア3a、ビードフィラー3b及びビードトゥ3cを少なくとも含む一対のビード部3と、該ビードコア3aで折り返すカーカス層5とを備えている。
このカーカス層5の内側には、チューブに相当する気密性の高いゴム層であるインナーライナー7が設けられている。また、カーカス層5のトレッド幅方向外側、すなわち、サイドウォール部におけるタイヤ表面9(タイヤサイド表面)には、乱流を発生させる乱流発生用突起11が設けられている。
カーカス層5のタイヤ径方向外側には、路面と接するトレッド部13が設けられている。また、カーカス層5とトレッド部13との間には、トレッド部13を補強する複数のベルト層15が設けられている。
(乱流発生用突起の構成)
次に、乱流発生用突起11の構成について、図1〜図5を参照しながら説明する。なお、図4は、第1の実施の形態に係る乱流発生用突起を示す斜視図であり、図5は、第1の実施の形態に係る乱流発生用突起を示す断面図である。
次に、乱流発生用突起11の構成について、図1〜図5を参照しながら説明する。なお、図4は、第1の実施の形態に係る乱流発生用突起を示す斜視図であり、図5は、第1の実施の形態に係る乱流発生用突起を示す断面図である。
図1〜図5に示すように、乱流発生用突起11は、延在方向(すなわち、略タイヤ周方向)に略直交する断面形状が略四角形で形成されている。この乱流発生用突起11は、タイヤ径方向へ向けて直線状で変位する複数の屈曲部11aを有している。すなわち、長手方向における乱流発生用突起11の側面である突起側面には、複数の面により複数の屈曲部11aが形成されている。なお、乱流発生用突起11は、複数の屈曲部11aによりタイヤ径方向に対して交互に傾いている。
乱流発生用突起11の最もタイヤ径方向内側である突起最内位置(P1)からビードトゥ3cまでの距離である内側端部距離(D1)は、ビードトゥ3cからトレッド最外位置13aまでのタイヤ高さ(SH)に対して10%以上である。この内側端部距離(D1)は、ビード部3に配置されてタイヤ最大幅(TW)の位置にかからなくするために、タイヤ高さ(SH)に対して35%以下がさらに好ましい。
なお、内側端部距離(D1)がタイヤ高さ(SH)に対して10%よりも短いと、リムフランジ17との接触により、乱流発生用突起11が削れてしまうことがあり、該乱流発生用突起11の耐久性が低下してしまう場合がある。
具体的には、突起最内位置(P1)からリムフランジ17の最もタイヤ径方向外側であるリム最外位置(P3)までの距離である突起リム距離(d)は、30〜200mmであることが好ましい。なお、突起リム距離(d)が30mmよりも小さいと、リムフランジ17との接触により、乱流発生用突起11が削れてしまうことがあり、該乱流発生用突起の耐久性が低下してしまうことがある。一方、突起リム距離(d)が200mmよりも大きいと、他のサイドウォール部におけるタイヤ表面9と比べて元々厚く形成されるビード部3近傍の温度を低減させるには不十分であり、タイヤ温度を効率的に低減させることができない場合がある。
また、乱流発生用突起11の最もタイヤ径方向外側である突起最外位置(P2)は、トレッドショルダー端部TS(いわゆる、ハンプ部)よりもタイヤ径方向内側に設けられている。この突起最外位置(P2)は、ビード部3全体に該乱流発生用突起11を配置させたいため、トレッド最外位置13aからタイヤ高さ(SH)に対して57%の位置よりもタイヤ径方向外側に設けられることが好ましい。すなわち、突起最外位置(P2)は、ビードトゥ3cからタイヤ高さ(SH)に対して43%の位置から、トレッドショルダー端部TSまでの範囲(R)に設けられることが好ましい。
突起最外位置(P2)がトレッドショルダー端部TSよりもタイヤ径方向外側に設けられると、乱流発生用突起11が路面と接して削れてしまうことがあり、該乱流発生用突起11の耐久性が低下してしまう場合がある。
具体的には、突起最外位置(P2)は、タイヤ温度、特に、ビード部3近傍の温度の低減を図るために、タイヤ最大幅(TW)の位置よりもタイヤ径方向内側に位置することが好ましいが、トレッドショルダー端部TS近傍の温度を低下させたい場合には、トレッドショルダー端部TS付近まで位置していてもよい。
ここで、乱流発生用突起11の延在方向に対して略直交する幅である突起幅(w)は、延在方向で同一である。具体的には、図4及び図5に示すように、乱流発生用突起11は、タイヤ表面9から乱流発生用突起11の最も突出する位置までの突起高さを“h”、突起幅を“w”でとしたときに、1.0≦h/w≦10の関係を満たす。
なお、突起高さ(h)に対する突起幅(w)の比の値(h/w)が1.0よりも小さいと、乱流発生用突起11を乗り越える走行風の流れを加速させるには不十分であり、タイヤ温度、特に、ビード部3近傍の温度を効率的に低減させることができない場合がある。一方、突起高さ(h)に対する突起幅(w)の比の値(h/w)が10よりも大きいと、乱流発生用突起11内の温度(蓄熱温度)を低減させるには不十分であり、タイヤ温度を効率的に低減させることができない場合がある。
より具体的には、突起高さ(h)は、3〜20mmであることが好ましい。特に、突起高さ(h)は、7.5〜15mmであることが好ましい。
なお、突起高さ(h)が3mmよりも小さいと、乱流発生用突起11を乗り越える走行風の流れを加速させるには不十分であり、タイヤ温度を効率的に低減させることができない場合がある。一方、突起高さ(h)が20mmよりも大きいと、乱流発生用突起11内の温度(蓄熱温度)を低減させるには不十分であるとともに、乱流発生用突起11の強度が弱くなりすぎてしまい、上述した問題が発生する場合がある。
また、突起幅(w)は、2〜10mmであることが好ましい。なお、突起幅(w)が2mmよりも小さいと、乱流発生用突起11の強度が弱くなりすぎてしまい、走行風により乱流発生用突起11が振動してしまい、乱流発生用突起11自体の耐久性が低下してしまう場合がある。一方、突起幅(w)が10mmよりも大きいと、乱流発生用突起11内の温度(蓄熱温度)を低減させるには不十分であり、タイヤ温度を効率的に低減させることができない場合がある。
図4及び図5に示すように、上述した突起高さを“h”、互いに隣接する乱流発生用突起11同士の間隔のピッチを“p”、突起幅を“w”としたときに、1.0≦p/h≦20.0、かつ、1.0≦(p−w)/w≦100.0の関係を満たすことが好ましい。
特に、2.0≦p/h≦15.0の関係に設定することが好ましく、4.0≦p/h≦10.0の関係に設定することがさらに好ましい。また、5.0≦(p−w)/w≦70.0の関係に設定することが好ましく、10.0≦(p−w)/w≦30.0の関係に設定することがさらに好ましい。なお、ピッチ(p)は、各乱流発生用突起11の延在方向の中央における幅を2等分した互いの点間の距離とする。
上記のように、p/hで規定される空気の流れ(乱流)は、ピッチ(p)を細かく刻み過ぎると、すなわちピッチ(p)を狭くすると、溝底部に空気の流れが入り込まず、ピッチ(p)を広げすぎると乱流発生用突起11の形状加工が無い場合と同等となってしまうため、上記した数値範囲に設定することが好ましい。
また、(p−w)/wは、ピッチ(p)に対する突部の幅の割合を示すものであり、これが小さすぎることは、放熱を向上させたい面の面積に対する乱流発生用突起11の表面積の割合が等しくなることと同様である。乱流発生用突起11は、ゴムでなり表面積増加による放熱向上効果が期待できないため、(p−w)/wの最小値を1.0に規定している。
前記タイヤ径方向から傾く乱流発生用突起11の傾斜角度(θ)は、±70°(−70°≦θ≦70°)で設定されることが好ましい(図3参照)。空気入りタイヤ1は、回転体であるため、サイドウォール部におけるタイヤ表面9の空気の流れは、遠心力により径方向外側に向かっている。つまり、乱流発生用突起11の空気の流入に対し背面側の澱み部分を低減し放熱を向上させるため、乱流発生用突起11の傾斜角度(θ)を上記角度範囲に設定することが好ましい。
なお、乱流発生用突起11の傾斜角度(θ)は、回転体である空気入りタイヤのタイヤ径方向位置により空気の流れの速度が若干異なるため、各乱流発生用突起11が異なる傾斜角度(θ)に設定してもよい。
加えて、乱流発生用突起11は、延在方向に沿って不連続に分割されている構成であってもよく、タイヤ周方向に沿って不均一に配置された構成であってもよい。サイドウォール部におけるタイヤ表面9に設けられる乱流発生用突起11の空気の流入に対して、タイヤ回転方向に対する後側(すなわち、背面側)では澱みが生じて、該乱流発生用突起11が設けられていない場合と比べて、放熱効果が悪化する部分が生じる。この放熱効果が悪化する部分を削減して平均的な熱伝達率を向上させるには、乱流発生用突起11が延在方向に不連続に分割されていることが有効となる。
(第1の実施の形態に係る変更例)
上述した第1の実施の形態に係る乱流発生用突起11は、複数の屈曲部11aによりタイヤ径方向に対して交互に傾いているものとして説明したが、以下のように変形してもよい。なお、上述した第1の実施の形態に係る空気入りタイヤ1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
上述した第1の実施の形態に係る乱流発生用突起11は、複数の屈曲部11aによりタイヤ径方向に対して交互に傾いているものとして説明したが、以下のように変形してもよい。なお、上述した第1の実施の形態に係る空気入りタイヤ1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
図6は、第1の実施の形態に係る空気入りタイヤの変更例を示す一部断面斜視図であり、図7は、第1の実施の形態例に係る空気入りタイヤの変更例を示す一部側面図である。
図6及び図7に示すように、乱流発生用突起11は、複数の屈曲部11aによりタイヤ径方向に対して傾く部分である傾斜部分11Aと、タイヤ径方向に対して平行な部分である平行部分11Bとによって構成されている。これらの傾斜部分11Aと平行部分11Bとは、一定の等間隔で設けられている。
(第1の実施の形態に係る作用・効果)
以上説明した第1の実施の形態に係る空気入りタイヤ1によれば、乱流発生用突起11が屈曲部11aを有するとともに、突起幅(w)が延在方向で同一であることによって、車両の走行に伴って車両前方から発生する走行風、及び、空気入りタイヤ1の回転に伴ってタイヤ回転方向前方から発生する回転風が乱流発生用突起11を乗り越える際に、乱流発生用突起11を乗り越える該乱流発生用突起11の前側で圧力を上昇させることができ、この圧力上昇に伴い、乱流発生用突起11を通過する走行風及び回転風の流れを加速させる(すなわち、タイヤ温度の放熱率を高める)ことができる。この加速した走行風及び回転風により、タイヤ温度、特に、ビード部近傍の温度の低減を図ることができ、タイヤの耐久性を向上させることができる。
以上説明した第1の実施の形態に係る空気入りタイヤ1によれば、乱流発生用突起11が屈曲部11aを有するとともに、突起幅(w)が延在方向で同一であることによって、車両の走行に伴って車両前方から発生する走行風、及び、空気入りタイヤ1の回転に伴ってタイヤ回転方向前方から発生する回転風が乱流発生用突起11を乗り越える際に、乱流発生用突起11を乗り越える該乱流発生用突起11の前側で圧力を上昇させることができ、この圧力上昇に伴い、乱流発生用突起11を通過する走行風及び回転風の流れを加速させる(すなわち、タイヤ温度の放熱率を高める)ことができる。この加速した走行風及び回転風により、タイヤ温度、特に、ビード部近傍の温度の低減を図ることができ、タイヤの耐久性を向上させることができる。
具体的には、図5に示すように、走行風及び回転風(以下、主流S1)は、乱流発生用突起11よりタイヤ表面9から剥離されて乱流発生用突起11の前方側のエッジ部Eを乗り越えて、乱流発生用突起の背面側(後側)へ向けて加速する。
そして、加速した主流S1は、乱流発生用突起11の背面側でタイヤ表面9に対して鉛直方向に流れる(いわゆる、下降流)。このとき、主流S1の流れが滞留する部分(領域)で流れる流体S2は、乱流発生用突起11の背面側で滞留する熱を奪って主流S1に再び流れ、この主流1は、次の乱流発生用突起11のエッジ部Eを乗り越えて加速する。
さらに、次の乱流発生用突起11のタイヤ回転方向に対する前側(前面側)では、主流S1が滞留する部分(領域)で流れる流体S3は、乱流発生用突起11の前面側で滞留する熱を奪って主流S1に再び流れる。
つまり、主流S1がエッジ部Eを乗り超えて加速し、かつ、流体S2,S3が熱を奪って主流S1に再び流れることによって、広範囲でタイヤ温度を低減させることができ、特に、乱流発生用突起11の根元部分や、主流S1が鉛直方向で接触する領域を低減させることができる。
また、乱流発生用突起11が、タイヤ径方向へ向けて直線状で等間隔に変位する複数の屈曲部11aを有することによって、荷重等により空気入りタイヤのサイド部が圧縮すると、屈曲部により乱流発生用突起がタイヤ径方向へ撓みやすくなっているため、乱流発生用突起11自体の耐久性を向上させることができる。
また、突起高さ(h)に対する突起幅(w)の比の値が1.0≦h/w≦10の関係を満たすことによって、この乱流発生用突起11を乗り越えて加速した走行風及び回転風で、タイヤ温度、特に、ビード部3近傍の温度の低減させる効果が高くなる。
また、乱流発生用突起11の傾斜角度(θ)が±70°(−70°≦θ≦70°)で設定されることによって、走行風を利用してタイヤ温度の低減を図ることは勿論、空気入りタイヤの回転に伴って発生する回転風をも利用してタイヤ温度の低減をさらに図ることが可能となる。
特に、建設車両(例えば、ダンプトラックやクレーダー、トラクター、トレーラー)等は、タイヤを覆うタイヤカバー(フェンダー等)が設けられていないため、該建設車両等に装着される重荷重タイヤに上記乱流発生用突起11を適用することによって、車両速度が遅い場合(例えば、10〜50km/h)であっても、乱流発生用突起11を乗り越える走行風及び回転風の流れを加速させることができ、タイヤ温度を低減させることができる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る空気入りタイヤ1に設けられる乱流発生用突起11の構成について、図8及び図9を参照しながら説明する。なお、上述した第1の実施の形態に係る空気入りタイヤ1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
次に、第2の実施の形態に係る空気入りタイヤ1に設けられる乱流発生用突起11の構成について、図8及び図9を参照しながら説明する。なお、上述した第1の実施の形態に係る空気入りタイヤ1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
図8は、第2の実施の形態に係る空気入りタイヤを示す一部断面斜視図であり、図9は、第2の実施の形態に係る空気入りタイヤを示す一部側面図である。
図8及び図9に示すように、乱流発生用突起11は、タイヤ径方向へ向けて曲線状で等間隔に変位する複数の屈曲部11bを有している。なお、乱流発生用突起11は、複数の屈曲部11bによりタイヤ径方向に対して交互に傾いている。
(第2の実施の形態に係る作用・効果)
以上説明した第2の実施の形態に係る空気入りタイヤ1によれば、第1の実施の形態と同様に、走行風及び回転風が乱流発生用突起11を乗り越える際に、乱流発生用突起11を乗り越える該乱流発生用突起11の前側で圧力を上昇させることができ、この圧力上昇に伴い、乱流発生用突起11を通過する走行風及び回転風の流れを加速させる(すなわち、タイヤ温度の放熱率を高める)ことができる。この加速した走行風及び回転風により、タイヤ温度、特に、ビード部近傍の温度の低減を図ることができ、タイヤの耐久性を向上させることができる。
以上説明した第2の実施の形態に係る空気入りタイヤ1によれば、第1の実施の形態と同様に、走行風及び回転風が乱流発生用突起11を乗り越える際に、乱流発生用突起11を乗り越える該乱流発生用突起11の前側で圧力を上昇させることができ、この圧力上昇に伴い、乱流発生用突起11を通過する走行風及び回転風の流れを加速させる(すなわち、タイヤ温度の放熱率を高める)ことができる。この加速した走行風及び回転風により、タイヤ温度、特に、ビード部近傍の温度の低減を図ることができ、タイヤの耐久性を向上させることができる。
また、乱流発生用突起11が、タイヤ径方向へ向けて曲線状で等間隔に変位する複数の屈曲部11bを有することによって、荷重等により空気入りタイヤのサイド部が圧縮すると、屈曲部により乱流発生用突起がタイヤ径方向へ撓みやすくなっているため、乱流発生用突起11自体の耐久性を向上させることができる。
[乱流発生用突起の変形例]
上述した第1の実施の形態及び第2の実施形態に係る乱流発生用突起11は、延在方向(すなわち、略タイヤ周方向)に略直交する断面形状が略四角形で形成されているものとして説明したが、以下のように変形してもよい。
上述した第1の実施の形態及び第2の実施形態に係る乱流発生用突起11は、延在方向(すなわち、略タイヤ周方向)に略直交する断面形状が略四角形で形成されているものとして説明したが、以下のように変形してもよい。
(変形例1)
まず、乱流発生用突起11の変形例1について、図10を参照しながら説明する。図10は、変形例1に係る乱流発生用突起を示す延在方向断面図である。
まず、乱流発生用突起11の変形例1について、図10を参照しながら説明する。図10は、変形例1に係る乱流発生用突起を示す延在方向断面図である。
図10(a)〜図10(c)に示すように、乱流発生用突起11は、延在方向(すなわち、略タイヤ周方向)に略直交する断面形状が略台形で形成されている。なお、この断面形状において、乱流発生用突起11の一方の側面とタイヤ表面9との傾斜角度(θ1)、及び、乱流発生用突起11の他方の側面とタイヤ表面9との傾斜角度(θ2)は、必ずしも同じ角度である必要はない。
(変形例2)
次に、乱流発生用突起11の変形例2について、図11を参照しながら説明する。図11は、変形例2に係る乱流発生用突起を示す延在方向断面図である。
次に、乱流発生用突起11の変形例2について、図11を参照しながら説明する。図11は、変形例2に係る乱流発生用突起を示す延在方向断面図である。
図11(a)及び図11(b)に示すように、乱流発生用突起11は、延在方向(すなわち、略タイヤ周方向)に略直交する断面形状が略三角形で形成されている。なお、この断面形状において、乱流発生用突起11の一方の側面とタイヤ表面9との傾斜角度(θ1)、及び、乱流発生用突起11の他方の側面とタイヤ表面9との傾斜角度(θ2)は、必ずしも同じ角度である必要はない。
(変形例3)
次に、乱流発生用突起11の変形例3について、図12を参照しながら説明する。図12は、変形例3に係る乱流発生用突起を示す延在方向断面図である。
次に、乱流発生用突起11の変形例3について、図12を参照しながら説明する。図12は、変形例3に係る乱流発生用突起を示す延在方向断面図である。
図12(a)及び図12(b)に示すように、乱流発生用突起11は、延在方向(すなわち、略タイヤ周方向)に略直交する断面形状が段差19を有する段付き形状で形成されている。この段差19は、図12(a)に示すように、乱流発生用突起11の両方の側面に設けられていてもよく、図12(b)に示すように、乱流発生用突起11の一方の側面に設けられていてもよい。なお、この断面形状において、乱流発生用突起11の一方の側面とタイヤ表面9との傾斜角度(θ1)、及び、乱流発生用突起11の他方の側面とタイヤ表面9との傾斜角度(θ2)は、必ずしも直角である必要はなく、かつ、同じ角度である必要はない。また、段差19の一方の面と他方の面とは、図12に示すように、交差角度(θ3)が略直角のみに限定されるものではなく、傾斜していても勿論よい。
(変形例4)
次に、乱流発生用突起11の変形例4について、図13を参照しながら説明する。図13は、変形例4に係る乱流発生用突起を示す延在方向断面図である。
次に、乱流発生用突起11の変形例4について、図13を参照しながら説明する。図13は、変形例4に係る乱流発生用突起を示す延在方向断面図である。
図13(a)及び図13(b)に示すように、乱流発生用突起11は、延在方向(すなわち、略タイヤ周方向)に略直交する断面形状が略四角形で形成されている。この乱流発生用突起11には、乱流発生用突起11自体の放熱率を高めるために、延在方向に略直交する方向(すなわち、略タイヤ径方向)に貫通する貫通孔21が形成されている。
なお、貫通孔21が形成される乱流発生用突起11では、必ずしも延在方向に略直交する断面形状が略四角形である必要はなく、例えば、図13(c)に示すように、略台形であってもよく、図13(d)に示すように、略三角形であってもよく、図13(e)に示すように、段差19を有する段付き形状であってもよい。
[その他の実施の形態]
上述したように、本発明の実施の形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。
上述したように、本発明の実施の形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。
具体的には、乱流発生用突起11は、タイヤ表面9と略平行な上面及びタイヤ表面9(底面)が平面である場合、この対向する面が必ずしも平行に形成されている必要はなく、例えば、タイヤ回転方向(車両走行方向)に向けて傾斜(上昇・下降)していてもよく、対向する面が非対称であってもよい。
また、空気入りタイヤ1は、重荷重用タイヤであるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、一般の乗用車用ラジアルタイヤ、バイアスタイヤ等であっても勿論よい。
この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、以下の従来例及び実施例に係る空気入りタイヤを用いて行った試験結果について説明する。なお、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
従来例及び実施例に係る空気入りタイヤの構成及びビード部の温度上昇試験について、表1を参照しながら説明する。なお、ビード部の温度上昇試験は、タイヤサイズ:53/80R63、正規内圧、正規荷重の条件下(建設車両用タイヤ)で行う。
表1に示すように、従来例に係る空気入りタイヤには、乱流発生用突起11が設けられていない。実施例に係る空気入りタイヤには、乱流発生用突起11が設けられている(図3参照)。
<ビード部の温度上昇試験>
各空気入りタイヤを正規リムに組んで上記条件下のもと、360トンのダンプの前輪に装着して、速度15km/hで24時間走行した後、リムフランジと接するビード部のタイヤ径方向外側の位置であるビード外側位置(P1)内の温度上昇を計測した。なお、このビード外側位置(P1)内の温度は、タイヤ周方向で6箇所均等に計測した平均値である。
各空気入りタイヤを正規リムに組んで上記条件下のもと、360トンのダンプの前輪に装着して、速度15km/hで24時間走行した後、リムフランジと接するビード部のタイヤ径方向外側の位置であるビード外側位置(P1)内の温度上昇を計測した。なお、このビード外側位置(P1)内の温度は、タイヤ周方向で6箇所均等に計測した平均値である。
この結果、実施例に係る空気入りタイヤは、従来例に係る空気入りタイヤと比べて、ビード部の温度上昇が少ないため、該ビード部近傍の温度の低減を図ることができると分かった。すなわち、実施例に係る空気入りタイヤは、乱流発生用突起が設けられているため、タイヤ温度、特に、ビード部近傍の温度の低減を図ることができると分かった。
<耐久性試験>
次に、乱流発生用突起のp/h、(p−w)/w、傾斜角度を変えたものを用いて、耐久性試験の結果を図14〜図16に示す。なお、図14〜図16のグラフの縦軸は、ヒータに定電圧を印加して一定の熱量を発生させ、それを送風機で送ったときのタイヤ表面の温度と風速を測定して求めた熱伝達率である。すなわち、この熱伝達率が大きいほど、冷却効果が高く、耐久性に優れている。ここでは、乱流発生用突起が設けられていない空気入りタイヤ(従来例)の熱伝達率を“100”に設定している。
次に、乱流発生用突起のp/h、(p−w)/w、傾斜角度を変えたものを用いて、耐久性試験の結果を図14〜図16に示す。なお、図14〜図16のグラフの縦軸は、ヒータに定電圧を印加して一定の熱量を発生させ、それを送風機で送ったときのタイヤ表面の温度と風速を測定して求めた熱伝達率である。すなわち、この熱伝達率が大きいほど、冷却効果が高く、耐久性に優れている。ここでは、乱流発生用突起が設けられていない空気入りタイヤ(従来例)の熱伝達率を“100”に設定している。
なお、この熱伝達率測定試験は、以下の条件下(建設車両用タイヤ)で行った。
・ タイヤサイズ : 53/80R63
・ ホイールサイズ : 36.00/5.0
・ 内圧条件 : 600kPa
・ 荷重条件 : 83.6t
・ 速度条件 : 20km/h
図14に示すように、乱流発生用突起の間隔(p)と高さ(h)の比の値(p/h)と、耐久性能との関係は、p/hが1.0以上で、かつ20.0以下の範囲内であることにより熱伝達率が高まっている。p/hは、2.0から15.0の範囲に設定することで、さらに熱伝達率が良く耐久性が高くなっている。このため、1.0≦p/h≦20.0の範囲に設定することがよく、特に、2.0≦p/h≦15.0の範囲に設定することが好ましく、4.0≦p/h≦10.0の範囲に設定することがさらに好ましいことが分かる。
・ ホイールサイズ : 36.00/5.0
・ 内圧条件 : 600kPa
・ 荷重条件 : 83.6t
・ 速度条件 : 20km/h
図14に示すように、乱流発生用突起の間隔(p)と高さ(h)の比の値(p/h)と、耐久性能との関係は、p/hが1.0以上で、かつ20.0以下の範囲内であることにより熱伝達率が高まっている。p/hは、2.0から15.0の範囲に設定することで、さらに熱伝達率が良く耐久性が高くなっている。このため、1.0≦p/h≦20.0の範囲に設定することがよく、特に、2.0≦p/h≦15.0の範囲に設定することが好ましく、4.0≦p/h≦10.0の範囲に設定することがさらに好ましいことが分かる。
図15に示すように、(p−w)/wと熱伝達率(上記熱伝達率と同様の方法で測定)との関係は、1.0≦(p−w)/w≦100.0の範囲内であることにより熱伝達率が高まっている。特に、5.0≦(p−w)/w≦70.0の範囲に設定することが好ましく、10.0≦(p−w)/w≦30.0の範囲に設定することがさらに好ましいことが分かる。
図16に示すように、タイヤ径方向から傾く乱流発生用突起の傾斜角度(θ)は、0〜70°の範囲内であることが好ましいことが分かる。また、タイヤ径方向から傾く乱流発生用突起の傾斜角度(θ)が0〜−70°の範囲に設定しても同様の熱伝達率を示すものと考えられる。
1…空気入りタイヤ、3…ビード部、3a…ビードコア、3b…ビードフィラー、3c…ビードトゥ、5…カーカス層、7…インナーライナー、9…タイヤ表面、11…乱流発生用突起、11A…傾斜部分、11B…平行部分、11a,11b…屈曲部、13…トレッド部、15…ベルト層、17…リムフランジ、19…段差、21…貫通孔
Claims (16)
- タイヤ表面の少なくとも一部に、乱流を発生させる乱流発生用突起が設けられる空気入りタイヤであって、
前記乱流発生用突起は、前記タイヤ径方向へ向けて直線状又は曲線状で変位する複数の屈曲部を有するとともに、前記乱流発生用突起の延在方向に対して略直交する幅である突起幅(w)が前記延在方向で同一であることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記タイヤ表面から前記乱流発生用突起の最も突出する位置までの突起高さを“h”、前記突起幅を“w”としたときに、1.0≦h/w≦10の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記乱流発生用突起の最もタイヤ径方向内側である突起最内位置(P1)からビードトゥまでの距離である内側端部距離(D1)は、前記ビードトゥからトレッド最外位置までのタイヤ高さ(SH)に対して10%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記乱流発生用突起の最もタイヤ径方向外側である突起最外位置(P2)は、タイヤ最大幅の位置よりもタイヤ径方向内側に位置することを特徴とする請求項3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記タイヤ表面から前記乱流発生用突起の最も突出する位置までの突起高さ(h)は、3〜20mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記突起高さ(h)は、7.5〜15mmであることを特徴とする請求項5に記載の空気入りタイヤ。
- 前記突起幅(w)は、2〜10mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- トレッド幅方向断面において、前記乱流発生用突起の最もタイヤ径方向内側である突起最内位置(P1)から、リムフランジの最もタイヤ径方向外側であるリム最外位置(P3)までの距離である突起リム距離(d)は、30〜200mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記乱流発生用突部は、延在方向に略直交する断面形状が略四角形で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記乱流発生用突部は、延在方向に略直交する断面形状が略台形で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記乱流発生用突部は、延在方向に略直交する断面形状が略三角形で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記乱流発生用突部は、延在方向に略直交する断面形状が段差を有する段付き形状で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記乱流発生用突起には、延在方向に略直交する方向に貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記タイヤ表面から前記乱流発生用突起の最も突出する位置までの突起高さを“h”、互いに隣接する前記乱流発生用突起同士の間隔のピッチを“p”、前記突起幅を“w”としたときに、1.0≦p/h≦20.0、かつ、1.0≦(p−w)/w≦100.0の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記タイヤ径方向から傾く前記乱流発生用突起の傾斜角度(θ)は、±70度であることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 重荷重用タイヤであることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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