JP2010001420A - オレフィン類重合用固体触媒成分、その製造方法、触媒及びこれを用いたオレフィン類重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン類重合用固体触媒成分、その製造方法、触媒及びこれを用いたオレフィン類重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 オレフィン類重合体を高い収率で得ることができ、特にはプロピレン重合体を高い体水素レスポンス性を有しながら高い立体規則性かつ粗粉が少なく粒度分布のシャープなオレフィン類重合体を高収率で得ることができるオレフィン類重合用固体触媒成分および触媒を提供すること。
【解決手段】 マグネシウム化合物(a)と4価のチタンハロゲン化合物(b)を接触させ、固体生成物を形成し、該固体生成物の形成の前後またはその途中に、1‐シクロヘキセンジカルボン酸ジエステル(c)を、マグネシウム化合物(a)1モルあたり0.03〜0.12molの範囲で接触させ、さらに該固体生成物に、4価のチタンハロゲン化合物(b)および1‐シクロヘキセンジカルボン酸ジエステル(c)を接触させ得られることを特徴とするオレフィン重合用固体触媒成分およびこれを用いた触媒。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリマーの立体規則性及び収率を高度に維持できるオレフィン類重合用固体触媒成分、その製造方法、触媒及びこれを使用するオレフィン類重合体の製造方法に関するものである。
従来、オレフィン類の重合においては、マグネシウム、チタン、電子供与性化合物及びハロゲンを必須成分として含有する固体触媒成分が知られている。また該固体触媒成分、有機アルミニウム化合物及び有機ケイ素化合物から成るオレフィン類重合用触媒の存在下に、プロピレンを重合もしくは共重合させるオレフィン類の重合方法が数多く提案されている。例えば、特開昭57−63310号公報および特開昭57−63311号公報、特開平1−6006号公報には、マグネシウム化合物、チタン化合物およびフタル酸ジエステルをはじめとするジエステル化合物の電子供与体を含有する固体触媒成分と有機アルミニウム化合物およびSi−O−C結合を有する有機ケイ素化合物との組み合わせから成る触媒を用いて、炭素数3以上のオレフィンを重合させる方法が開示されている。
ところで上記のような触媒を用いて得られるポリマーは、自動車あるいは家電製品等の成型品の他、容器やフィルム等種々の用途に利用されている。これらは、重合により生成したポリマーパウダーを溶融し、各種の成型機により成型されるが、特に射出成型等でかつ大型の成型品を製造する際に、溶融ポリマーの流動性(メルトフローレイト)が高いことが要求される場合があり、そのためポリマーのメルトフローレイトを上げるべく多くの研究が為されている。メルトフローレイトはポリマーの分子量に大きく依存する。当業界においてはオレフィン類の重合に際し、生成ポリマーの分子量調節剤として水素を添加することが一般的に行われている。このとき低分子量のポリマーを製造する場合、すなわち高メルトフローレイトのポリマーを製造するためには通常多くの水素を添加するが、リアクターの耐圧にはその安全性から限度があり、添加し得る水素量にも制限がある。より多くの水素を添加するためには重合するモノマーの分圧を下げざるを得ず、この場合生産性が低下することになる。また、水素を多量に用いることからコストの面の問題も生じる。従って、より少ない水素量で高メルトフローレイトのポリマーが製造できるような、いわゆる対水素活性あるいは対水素レスポンスが高くかつ高立体規則性ポリマーを高収率で得られる触媒の開発が望まれていたが、上記従来技術では係る課題を解決するには充分ではなかった。
上記問題を解決するため、特開2003−40918号公報には、マグネシウム化合物、チタン化合物、1−シクロヘキセン1,2−カルボン酸ジエステルを接触させ、対水素レスポンスが高く、且つ高立体規則性ポリマーを高収率で得られる方法が開示されており、対水素レスポンスが高くかつ高立体規則性ポリマーを高収率で得られる固体触媒成分が得られている。
特開昭57−63310号公報(特許請求の範囲) 特開昭57−63311号公報(特許請求の範囲) 特開平1−6006号公報(特許請求の範囲) 特開2003−40918号公報
しかしながら、最近、高剛性など高付加価値を持つポリマーの製造に対応するために、対水素レスポンスを向上させると同時に、より高いポリマーの立体規則性が要求されている。また、特開2003−40918号公報に開示されている固体触媒成分は、固体触媒性分粒子の形成段階において触媒粒子の凝集が起こり易く、結果として、得られるポリマーの粒度分布がブロードであり、特に粗粉が多くなるという問題があった。
従って、本発明の目的は、対水素レスポンスが高く、高立体規則性、高活性を示し、かつ粗粉が少なく粒度分布のシャープなポリマーが得られるオレフィン類重合用固体触媒成分、その製造方法、触媒及びこれを用いたオレフィン類重合体の製造方法を提供することにある。
かかる実情において、本発明者等は、上記従来技術に残された課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、1‐シクロヘキセンジカルボン酸ジエステルを固体触媒成分の内部電子供与性化合物として用いた際、特定の接触条件にすることにより、対水素レスポンスが高く、高立体規則性、高活性を示すポリオレフィン、特にプロピレン重合によって高立体規則性を示すプロピレン重合体を得られ、かつ粗粉が少なく粒度分布のシャープなポリマーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、マグネシウム化合物(a)と4価のチタンハロゲン化合物(b)を接触させ、固体生成物を形成し、該固体生成物の形成の前後またはその途中に、1‐シクロヘキセンジカルボン酸ジエステル(c)を、マグネシウム化合物(a)1モルあたり0.03〜0.12molの範囲で接触させ、さらに該固体生成物に、4価のチタンハロゲン化合物(b)および1‐シクロヘキセンジカルボン酸ジエステル(c)を接触させ得られることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分を提供するものである。
また、本発明は、マグネシウム化合物(a)と4価のチタンハロゲン化合物(b)を接触させ、固体生成物を形成し、該固体生成物の形成の前後またはその途中に、1‐シクロヘキセンジカルボン酸ジエステル(c)を、マグネシウム化合物(a)1モルあたり0.03〜0.12molの範囲で接触させ、さらに該固体生成物に、4価のチタンハロゲン化合物(b)および1‐シクロヘキセンジカルボン酸ジエステル(c)を接触させることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、(A)前記のオレフィン類重合用触媒成分、(B)下記一般式(1);
AlQ3−p(1)
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の整数である。)で表される有機アルミニウム化合物、および(C)外部電子供与性化合物から形成されることを特徴とするオレフィン類重合用触媒を提供するものである。
また、本発明は、前記オレフィン類重合用触媒の存在下に、オレフィン類の重合を行うことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法を提供するものである。
本発明のオレフィン類重合用触媒は、高い体水素レスポンス性を有しながら高い立体規則性かつ粗粉が少なく粒度分布のシャープなオレフィン類重合体を高収率で得ることができる。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分(A)の調製に用いられるマグネシウム化合物(以下単に「成分(a)」ということがある。)としては、ジハロゲン化マグネシウム、ジアルキルマグネシウム、ハロゲン化アルキルマグネシウム、ジアルコキシマグネシウム、ジアリールオキシマグネシウム、ハロゲン化アルコキシマグネシウムあるいは脂肪酸マグネシウム等が挙げられる。
ジハロゲン化マグネシウムの具体例としては、二塩化マグネシウム、二臭化マグネシウム、二沃化マグネシウム、二フッ化マグネシウム等が挙げられる。
ジアルキルマグネシウムとしては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチルエチルマグネシウム、ジ−n−プロピルマグネシウム、メチル−n−プロピルマグネシウム、エチル−n−プロピルマグネシウム、ジ−n−ブチルマグネシウム、メチル−n−ブチルマグネシウム、エチル−n−ブチルマグネシウム等が挙げられる。これらのジアルキルマグネシウムは、金属マグネシウムをハロゲン化炭化水素化合物あるいはアルコールと反応させて得ることができる。
ハロゲン化アルキルマグネシウムとしては、エチル塩化マグネシウム、n−プロピル塩化マグネシウム、n−ブチル塩化マグネシウム等が挙げられる。これらのハロゲン化マグネシウムは、金属マグネシウムをハロゲン化炭化水素化合物あるいはアルコールと反応させて得ることができる。
ジアルコキシマグネシウムまたはジアリールオキシマグネシウムとしては、ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジ−n−プロポキシマグネシウム、ジ−n−ブトキシマグネシウム、ジフェノキシマグネシウム、エトキシメトキシマグネシウム、エトキシ−n−プロポキシマグネシウム、ブ−n−トキシエトキシマグネシウム等が挙げられる。これらのジアルコキシマグネシウムまたはジアリールオキシマグネシウムは、金属マグネシウムをハロゲンあるいはハロゲン含有金属化合物等の存在下にアルコールと反応させて得ることができる。
ハロゲン化アルコキシマグネシウムとしては、メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、n−プロポキシ塩化マグネシウム、n−ブトキシ塩化マグネシウム等が挙げられる。
脂肪酸マグネシウムとしては、ラウリル酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、オクタン酸マグネシウム及びデカン酸マグネシウム等が挙げられる。
本発明におけるこれらマグネシウム化合物の中で、ジアルコキシマグネシウムが好ましく、その中でも特にジエトキシマグネシウム、ジ−n−プロポキシマグネシウムが好ましく用いられる。また、上記のマグネシウム化合物は、単独あるいは2種以上併用することもできる。
本発明においてオレフィン類重合用固体触媒成分(A)としてジアルコキシマグネシウムを用いる場合、ジアルコキシマグネシウムは顆粒状又は粉末状であり、その形状は不定形あるいは球状のものが使用し得る。例えば球状のジアルコキシマグネシウムを使用した場合、より良好な粒子形状と狭い粒度分布を有する重合体粉末が得られ、重合操作時の生成重合体粉末の取扱い操作性が向上し、生成重合体粉末に含まれる微粉に起因する閉塞等の問題が解消される。
上記の球状ジアルコキシマグネシウムは、必ずしも真球状である必要はなく、楕円形状あるいは馬鈴薯形状のものが用いられる。具体的にその粒子の形状は、長軸径lと短軸径wとの比(l/w)が通常3以下であり、好ましくは1から2であり、より好ましくは1から1.5である。このような球状ジアルコキシマグネシウムの製造方法は、例えば特開昭58−41832号公報、同62−51633号公報、特開平3−74341号公報、同4−368391号公報、同8−73388号公報などに例示されている。
また、上記ジアルコキシマグネシウムの平均粒径は、通常1から200μm、好ましくは5から150μmである。球状のジアルコキシマグネシウムの場合、その平均粒径は通常1から100μm、好ましくは5から50μmであり、更に好ましくは10から40μmである。また、その粒度については、微粉及び粗粉の少ない、粒度分布の狭いものを使用することが望ましい。具体的には、5μm以下の粒子が20%以下であり、好ましくは10%以下である。一方、100μm以上の粒子が10%以下であり、好ましくは5%以下である。更にその粒度分布をln(D90/D10)(ここで、D90は積算粒度で90%における粒径、D10は積算粒度で10%における粒径である。)で表すと3以下であり、好ましくは2以下である。
本発明における成分(A)の調製に用いられる4価のチタンハロゲン化合物(b)(以下「成分(b)」ということがある。)は、チタンハライドもしくはアルコキシチタンハライド群から選択される化合物の1種あるいは2種以上である。
チタンハライドとしては、チタンテトラハライド及びアルコキシチタンハライドが挙げられる。具体的にはチタンテトラハライドとして、チタンテトラクロライド、チタンテトラブロマイド、チタンテトラアイオダイドが例示され、アルコキシチタンハライドとしては、チタンテトラハライド、アルコキシチタンハライドとしてメトキシチタントリクロライド、エトキシチタントリクロライド、プロポキシチタントリクロライド、n−ブトキシチタントリクロライド、ジメトキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジクロライド、ジプロポキシチタンジクロライド、ジ−n−ブトキシチタンジクロライド、トリメトキシチタンクロライド、トリエトキシチタンクロライド、トリプロポキシチタンクロライド、トリ−n−ブトキシチタンクロライド等が例示される。このうち、チタンテトラハライドが好ましく、特に好ましくはチタンテトラクロライドである。これら4価のチタンハロゲン化合物は単独あるいは2種以上併用することもできる。
本発明におけるオレフィン類重合用固体触媒成分(A)の調製に用いられる1−シクロヘキセンジカルボン酸ジエステル(以下、単に、「成分(c)」ということがある。)としては、1−シクロヘキセンのシクロヘキセン環の1位及び2位にアルコキシカルボニル基が結合した置換又は非置換の1−シクロヘキセンジカルボン酸ジエステルが好ましく、該1−シクロヘキセンジカルボン酸ジエステルのシクロヘキセン環の1位及び2位にアルコキシカルボニル基が結合し、3位〜6位にそれぞれ2つの水素原子が結合する1−シクロヘキセンジカルボン酸ジエステルがさらに好ましい。また、該1−シクロヘキセンジカルボン酸ジエステルにおいて、アルコキシカルボニル基のアルキル基の炭素数が1〜8であると好ましい。
1−シクロヘキセンのシクロヘキセン環の1位及び2位にアルコキシカルボニル基が結合した1−シクロヘキセンジカルボン酸ジエステルの具体例としては、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジメチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−iso−プロピル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−tert−ブチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−ペンチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−iso−ペンチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジネオペンチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジヘキシル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−ヘプチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−オクチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(2,2−ジメチルヘキシル)、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(2−エチルヘキシル)、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−ノニル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−iso−デシル、もしくは1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(2,2−ジメチルヘプチル)である。
上記の内でも特に1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジネオペンチル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(2,2−ジメチルヘキシル)が好ましく用いられ、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル及び1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジネオペンチルが特に好ましい。また上記成分(c)は単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
上記のシクロヘキセンジカルボン酸ジエステルと併用して、他の電子供与性化合物を用いて固体触媒成分(A)を調製することもできる。このような電子供与性化合物としては酸素原子あるいは窒素原子を含有する有機化合物であり、例えばアルコール類、フェノール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、酸ハライド類、アルデヒド類、アミン類、アミド類、ニトリル類、イソシアネート類、Si−O−C結合を含む有機ケイ素化合物等が挙げられる。
具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール類、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、ジフェニルエーテル、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3―ジメトキシプロパン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、p−トルイル酸メチル、p−トルイル酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル等のモノカルボン酸エステル類、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジデシル等のジカルボン酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等のケトン類、フタル酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド等の酸ハライド類、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、メチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、アニリン、ピリジン等のアミン類、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等のアミド類、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリル等のニトリル類、イソシアン酸メチル、イソシアン酸エチル等のイソシアネート類等を挙げることができる。
また、Si−O−C結合を含む有機ケイ素化合物としては、フェニルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、フェニルアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルキルアルコキシシラン等を挙げることができる。
上記の電子供与性化合物のうち、エステル類、とりわけ芳香族ジカルボン酸ジエステルが好ましく用いられ、特に、フタル酸ジエステルが好適である。これらのフタル酸ジエステルの具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−プロピル、フタル酸ジ−iso−プロピル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−iso−ブチル、フタル酸エチルメチル、フタル酸メチル(iso−プロピル)、フタル酸エチル(n−プロピル)、フタル酸エチル(n−ブチル)、フタル酸エチル(iso−ブチル)、フタル酸ジ−n−ペンチル、フタル酸ジ−iso−ペンチル、フタル酸ジ−neo−ペンチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ−n−ヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ビス(2,2−ジメチルヘキシル)、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ−n−ノニル、フタル酸ジ−iso−デシル、フタル酸ビス(2,2−ジメチルヘプチル)、フタル酸n−ブチル(iso−ヘキシル)、フタル酸n−ブチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ペンチルヘキシル、フタル酸n−ペンチル(iso−ヘキシル)、フタル酸iso−ペンチル(ヘプチル)、フタル酸n−ペンチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ペンチル(iso−ノニル)、フタル酸iso−ペンチル(n−デシル)、フタル酸n−ペンチルウンデシル、フタル酸iso−ペンチル(iso−ヘキシル)、フタル酸n−ヘキシル(2,2−ジメチルヘキシル)、フタル酸n−ヘキシル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ヘキシル(iso−ノニル)、フタル酸n−ヘキシル(n−デシル)、フタル酸n−ヘプチル(2−エチルヘキシル)、フタル酸n−ヘプチル(iso−ノニル)、フタル酸n−ヘプチル(neo−デシル)、フタル酸2−エチルヘキシル(iso−ノニル)が例示される。これらの1種あるいは2種以上が使用される。なお、上記のエステル類は、2種以上組み合わせて用いることも好ましく、その際用いられるエステルのアルキル基の炭素数合計が他のエステルのそれと比べ、その差が4以上になるように該エステル類を組み合わせることが望ましい。
更に、これらのフタル酸ジエステルの芳香環に1または2個の炭素数1〜5のアルキル基または塩素、臭素及びフッ素などのハロゲン原子が置換したものも好ましく用いられる。具体的には、4−メチルフタル酸ジネオペンチル、4−エチルフタル酸ジネオペンチル、4,5−ジメチルフタル酸ジネオペンチル、4,5−ジエチルフタル酸ジネオペンチル、4−クロロフタル酸ジエチル、4−クロロフタル酸ジ−n−ブチル、4−クロロフタル酸ジイソブチル、4−クロロフタル酸ジイソヘキシル、4−クロロフタル酸ジイソオクチル、4−ブロモフタル酸ジエチル、4−ブロモフタル酸ジ−n−ブチル、4−ブロモフタル酸ジイソブチル、4−ブロモフタル酸ジイソヘキシル、4−ブロモフタル酸ジイソオクチル、4,5−ジクロロフタル酸ジエチル、4,5−ジクロロフタル酸ジ−n−ブチル、4,5−ジクロロフタル酸ジイソヘキシル、4,5−ジクロロフタル酸ジイソオクチルが挙げられる。
本発明におけるオレフィン類重合用固体触媒成分(A)の調製においては、上記必須の成分の他、更に、アルミニウムトリクロライド、ジエトキシアルミニウムクロライド、ジ−iso−プロポキシアルミニウムクロライド、エトキシアルミニウムジクロライド、iso−プロポキシアルミニウムジクロライド、ブトキシアルミニウムジクロライド、トリエトキシアルミニウム等のアルミニウム化合物またはステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム等の有機酸の金属塩または常温で液状あるいは粘稠状の鎖状、部分水素化、環状あるいは変性ポリシロキサン等のポリシロキサンを使用することができる。鎖状ポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが、部分水素化ポリシロキサンとしては、水素化率10〜80%のメチルハイドロジェンポリシロキサンが、環状ポリシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロペンタンシロキサン、2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラメチルシクロトリシロキサンが、また、変性ポリシロキサンとしては、高級脂肪酸基置換ジメチルシロキサン、エポキシ基置換ジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン基置換ジメチルシロキサンが例示される。
前記オレフィン類重合用固体触媒成分(A)は、上述したような成分(a)と成分(b)を接触させ、固体生成物を形成し、該固体生成物の形成の前後またはその途中に、特定量の成分(c)を接触させ、さらに該固体生成物に、成分(b)と成分(c)を接触させることにより調製することができ、この接触は、不活性有機溶媒の不存在下で処理することも可能であるが、操作の容易性を考慮すると、該溶媒の存在下で処理することが好ましい。
用いられる不活性有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,2‐ジエチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、デカリン等の飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物、オルトジクロルベンゼン、塩化メチレン、四塩化炭素、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素化合物等が挙げられるが、このうち、沸点が90〜150℃程度の、常温で液状の芳香族炭化水素化合物、具体的にはヘプタン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンが好ましく用いられる。特にヘプタン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンを各成分の接触の際、又は接触後の洗浄に用いることによって得られる固体触媒成分の活性および立体特異性をより向上することができる。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分(A)の調製においては、成分(a)と4価の成分(b)を接触させ、固体生成物を形成し、該固体生成物の形成の前後またはその途中に、成分(c)を、成分(a)1モルあたり0.03〜0.12molの範囲で接触させる。成分(c)は固体生成物の生成過程において、固体生成物の主に内部に取り込まれるが、成分(c)の接触量が、成分(a)1mol当たり0.12molを超える場合、成分(a)と成分(b)との固体生成物粒子の表面に吸着する成分(c)の量が過剰になり、固体生成物の粒子間の付着力が大きくなり、結果として固体生成物粒子の凝集が激しくなる。その結果得られた固体触媒成分粒子も凝集し、得られるポリマー粒子の粗粉も多く粒度分布もブロードになる。成分(c)の接触量が、成分(a)1mol当たり0.03molより少ない場合、固体生成物の凝集は少なくなるが、固体生成物粒子内部に取り込まれる成分(c)の量が極端に少なくなり、最終的に固体触媒成分中の成分(c)の含有量が少なくなり、触媒活性と得られるポリマーの立体規則性が低下する。
オレフィン類重合用固体触媒成分(A)を調製する方法としては、上記の成分(a)のマグネシウム化合物を、アルコール、チタン化合物又は炭酸等に溶解させ、成分(b)および特定量の成分(c)との接触あるいは加熱処理などにより固体生成物を析出させ、この固体生成物に再度、成分(b)及び成分(c)を接触させる方法、あるいは、成分(a)を成分(b)又は不活性炭化水素溶媒等に懸濁させ、更に特定量の成分(c)あるいは特定量の成分(c)と成分(b)を接触し固体生成物を得、この固体生成物に再度、成分(b)及び成分(c)と接触させオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を得る方法等が挙げられる。これらの調製において、上記で生成した固体生成物に、さらに成分(b)、成分(c)をそれぞれ1回以上繰り返し接触させることにより触媒活性と得られるポリマーの立体規則性をさらに向上することができる。
このうち、前者の方法で得られた固体触媒成分の粒子はほぼ球状に近く、粒度分布もシャープである。また、後者の方法においても、球状のマグネシウム化合物を用いることにより、球状でかつ粒度分布のシャープな固体触媒成分を得ることができ、また球状のマグネシウム化合物を用いなくとも、例えば噴霧装置を用いて溶液あるいは懸濁液を噴霧・乾燥させる、いわゆるスプレードライ法により粒子を形成させることにより、同様に球状でかつ粒度分布のシャープな固体触媒成分を得ることもできる。
各成分の接触は、不活性ガス雰囲気下、水分等を除去した状況下で、撹拌機を具備した容器中で、撹拌しながら行われる。接触温度は、単に接触させて撹拌混合する場合や、分散あるいは懸濁させて変性処理する場合には、室温付近の比較的低温域であっても差し支えないが、接触後に反応させて生成物を得る場合には、40〜130℃の温度域が好ましい。反応時の温度が40℃未満の場合は充分に反応が進行せず、結果として調製された固体触媒成分の性能が不充分となり、130℃を超えると使用した溶媒の蒸発が顕著になるなどして、反応の制御が困難になる。なお、反応時間は1分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上である。
以下に、オレフィン類重合用固体触媒成分(A)の調製方法を例示する。
(1)塩化マグネシウム(a)をテトラアルコキシチタンに溶解させた後、ポリシロキサンを接触させて固体生成物を得、固体生成物と(b)と特定量の成分(c)を接触させて第2固体生成物を得、さらに第2固体生成物に(b)と(c)を接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を調製する方法。なお、第2固体生成物に(b)と(c)を接触させる回数はそれぞれ合計1回以上、10回以下とすることが好ましい。
(2)無水塩化マグネシウム(a)及び2−エチルヘキシルアルコールを反応させて均一溶液とした後、該均一溶液に無水フタル酸を接触させ、次いでこの溶液に、四塩化チタン(b)及び特定量の成分(c)を接触反応させて固体生成物を得、該固体生成物に更に四塩化チタン(b)を1回以上、成分(c)を1回以上接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を調製する方法。
(3)金属マグネシウム、ブチルクロライド及びジブチルエーテルを反応させることによって有機マグネシウム化合物(a)を合成し、該有機マグネシウム化合物に、テトラブトキシチタン及びテトラエトキシチタンを接触反応させて固体生成物を得、該固体生成物と(b)と特定量の成分(c)を接触させて第2固体生成物を得、さらに第2固体生成物に(b)と(c)を接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を調製する方法。なお、第2固体生成物に(b)と(c)を接触させる回数はそれぞれ合計1回以上、10回以下とすることが好ましい。なおこの際、該固体成分に対し、有機アルミニウム化合物、有機ケイ素化合物及びオレフィンで予備的に重合処理することによって、オレフィン類重合用固体触媒成分(A)を調製することもできる。
(4)ジブチルマグネシウム等の有機マグネシウム化合物(a)と、有機アルミニウム化合物を、炭化水素溶媒の存在下、例えばブタノール、2−エチルヘキシルアルコール等のアルコールと接触反応させて均一溶液とし、この溶液に、例えば SiCl、HSiCl、ポリシロキサン等のケイ素化合物を接触させて固体生成物を得、次いで芳香族炭化水素溶媒の存在下で該固体生成物に、(b)と特定量の成分(c)を接触させて第2固体生成物を得、さらに第2固体生成物に(b)と(c)を接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を調製する方法。なお、第2固体生成物に(b)を接触させる回数は2回以上、11回以下、第2固体生成物に成分(c)を接触させる回数は合計2回以上、11回以下とすることが好ましい。
(5)塩化マグネシウム(a)、テトラアルコキシチタン及び脂肪族アルコールを、脂肪族炭化水素化合物の存在下で接触反応させて均質溶液とし、その溶液に四塩化チタン(b)を加えた後昇温して固体生成物を析出させ、該固体生成物に特定量の成分(c)を接触させ、更に四塩化チタン(b)と1回以上、10回以下、成分(c)と1回以上、10回以下で接触させオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を得る方法。
(6)金属マグネシウム粉末、アルキルモノハロゲン化合物及びヨウ素を接触反応させ、その後テトラアルコキシチタン、酸ハロゲン化物、及び脂肪族アルコールを、脂肪族炭化水素の存在下で接触反応させて均質溶液(a)とし、その溶液に四塩化チタン(b)を加えた後昇温し、固体生成物を析出させ、該固体生成物に特定量の成分(c)を接触させ、更に四塩化チタン(b)と1回以上、10回以下、成分(c)と1回以上10回以下で接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を調製する方法。
(7)ジエトキシマグネシウム(a)をアルキルベンゼンまたはハロゲン化炭化水素溶媒中に懸濁させた後、四塩化チタン(b)と接触させ、その後昇温して特定量の成分(c)と接触させて固体生成物を得、該固体生成物をアルキルベンゼンで洗浄した後、アルキルベンゼンの存在下、再度四塩化チタン(b)と1回以上、10回以下、成分(c)と1回以上、10回以下で接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を調製する方法。なおこの際、該固体成分を、炭化水素溶媒の存在下又は不存在下で加熱処理してオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を得ることもできる。
(8)ジエトキシマグネシウム(a)をアルキルベンゼン中に懸濁させた後、四塩化チタン(b)及び特定量の成分(c)と接触反応させて固体生成物を得、該固体生成物をアルキルベンゼンで洗浄した後、アルキルベンゼンの存在下、再度四塩化チタン(b)と1回以上、10回以下、成分(c)と1回以上、10回以下で接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を得る方法。
(9)ジエトキシマグネシウム(a)、塩化カルシウム及びSi(OR(式中、Rはアルキル基又はアリール基を示す。)で表されるケイ素化合物を共粉砕し、得られた粉砕固体物を芳香族炭化水素に懸濁させた後、四塩化チタン(b)及び特定量の成分(c)と接触反応させ、次いで更に四塩化チタン(b)と1回以上、10回以下、成分(c)と1回以上、10回以下で接触させることによりオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を調製する方法。
(10)ジエトキシマグネシウム(a)及び特定量の成分(c)をアルキルベンゼン中に懸濁させ、その懸濁液を四塩化チタン(b)中に添加し、反応させて固体生成物を得、該固体生成物をアルキルベンゼンで洗浄した後、アルキルベンゼンの存在下、再度四塩化チタン(b)と1回以上、10回以下、成分(c)と1回以上、10回以下で接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を得る方法。
(11)ハロゲン化カルシウム及びステアリン酸マグネシウムのような脂肪族マグネシウム(a)を、四塩化チタン(b)及び特定量の成分(c)と接触反応させ、その後更に四塩化チタン(b)と1回以上、10回以下、成分(c)と1回以上、10回以下で接触させることによりオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を調製する方法。
(12)ジエトキシマグネシウム(a)をアルキルベンゼンまたはハロゲン化炭化水素溶媒中に懸濁させた後、四塩化チタン(b)と接触させ、その後昇温して特定量の成分(c)と接触反応させて固体生成物を得、該固体生成物をアルキルベンゼンで洗浄した後、アルキルベンゼンの存在下、再度四塩化チタン(b)と1回以上、10回以下、成分(c)と1回以上、10回以下で接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を調製する方法であって、上記懸濁・接触並びに接触反応のいずれかの段階において、塩化アルミニウムを接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を調製する方法。
(13)ジエトキシマグネシウム(a)、2−エチルヘキシルアルコール及び二酸化炭素を、トルエンの存在下で接触反応させて均一溶液とし、この溶液に四塩化チタン(b)及び特定量の成分(c)を接触反応させて固体生成物を得、更にこの固体生成物をテトラヒドロフランに溶解させ、その後更に固体生成物を析出させ、この固体生成物に四塩化チタン(b)と1回以上、10回以下、成分(c)と1回以上、10回以下で接触させ、オレフィン類重合用固体触媒成分(A)を調製する方法。なおこの際、上記接触・接触反応・溶解のいずれかの段階において、例えばテトラブトキシシラン等のケイ素化合物を使用することもできる。
(14)塩化マグネシウム(a)、有機エポキシ化合物及びリン酸化合物をトルエンの如き炭化水素溶媒中に懸濁させた後、加熱して均一溶液とし、この溶液に、無水フタル酸及び四塩化チタン(b)を接触反応させて固体生成物を得、該固体生成物に特定量の成分(c)を接触させて反応させ、得られた反応生成物をアルキルベンゼンで洗浄した後、アルキルベンゼンの存在下、再度四塩化チタン(b)と1回以上、10回以下、成分(c)と1回以上、10回以下で接触させることによりオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を得る方法。
(15)ジアルコキシマグネシウム(a)、四塩化チタン(b)及び特定量の成分(c)をトルエンの存在下に接触反応させ、得られた反応生成物にポリシロキサン等のケイ素化合物を接触反応させ、更に四塩化チタン(b)、及び成分(c)を接触させ、次いで有機酸の金属塩を接触反応させた後、再度四塩化チタン(b)を1回以上、9回以下で接触させることによりオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を得る方法。
また、本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分(A)の好ましい調製方法としては、成分(a)をトルエン等の常温で液体の芳香族炭化水素化合物に懸濁させ、次いで、成分(b)を接触させた後、特定量の成分(c)を接触させ、更に成分(b)と1回以上、10回以下、成分(c)と1回以上、10回以下で接触させるか、あるいは、成分(a)をトルエン等の常温で液体の芳香族炭化水素化合物に懸濁させ、次いで、特定量の成分(c)を接触させた後、成分(b)と2回以上、11回以下、成分(c)を1回以上、10回以下で接触させて、オレフィン類重合用固体触媒成分(A)を調製する方法を挙げることができる。
さらに、本発明で用いられるオレフィン類重合用固体触媒成分(A)のより好ましい調製方法としては、以下のような方法が挙げられる:例えば、ジアルコキシマグネシウムを常温で液体の芳香族炭化水素化合物に懸濁させることによって懸濁液を形成し、次いでこの懸濁液に四塩化チタンを−20〜100℃、好ましくは−10〜70℃、より好ましくは−10〜30℃で接触し、40〜130℃、より好ましくは70〜130℃で反応させる。この際、上記の懸濁液に四塩化チタンを接触させる前又は接触した後に、特定量の成分(c)を、−20〜130℃で接触させ、固体反応生成物を得る。この固体反応生成物を常温で液体の芳香族炭化水素化合物で洗浄した後、四塩化チタンと1回以上、10回以下、成分(c)と1回以上、10回以下、芳香族炭化水素化合物の存在下に、40〜130℃、より好ましくは70〜130℃で接触反応させ、更に常温で液体の炭化水素化合物で洗浄しオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を得る。
なお、いずれの場合も、オレフィン類重合用固体触媒成分(A)に対し、有機アルミニウム化合物および有機ケイ素化合物、またはオレフィンで予備的に接触処理することもできる。
固体触媒成分(A)に調製方法において、各化合物の使用量比は、調製法により異なるため一概には規定できないが、例えば成分(a)1モル当たり、成分(b)が0.5〜100モル、好ましくは0.5〜50モル、より好ましくは1〜10モルであり、成分(c)の合計添加量は、0.1〜10モル、好ましくは0.1〜1モル、より好ましくは0.1〜0.3モルである。
上記のように調製したオレフィン類重合用固体触媒成分(A)は、マグネシウム、チタン、成分(c)、ハロゲン原子を含有する。各成分の含有量は特に規定されないが、好ましくはマグネシウムが10〜30重量%、チタンが1〜5重量%、成分(c)が1〜20重量%、ハロゲン原子が45〜70重量%である。
本発明のオレフィン類重合用触媒を形成する際に用いられる有機アルミニウム化合物(B)としては、上記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。このような有機アルミニウム化合物(B)の具体例としては、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、トリ−iso−ブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムハイドライドが挙げられ、1種あるいは2種以上が使用できる。好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリ−iso−ブチルアルミニウムである。
本発明のオレフィン類重合用触媒を形成する際に用いられる外部電子供与性化合物(C)(以下、「成分(C)」ということがある。)としては前記した固体触媒成分の調製に用いることのできる電子供与性化合物と同じものが用いられるが、その中でもエーテル類、エステル類又は有機ケイ素化合物が好ましい。エーテル類の中、1,3ジエーテルが好ましく、特に9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3―ジメトキシプロパンが好ましい。また、エステル類の中、安息香酸メチル、安息香酸エチルが好ましい。
上記の有機ケイ素化合物としては、下記一般式(2)
Si(NR(OR4−(q+r) (2)
(式中、qは0、1〜4の整数、rは0、1〜4の整数、但し、q+rは0〜4の整数、R、R又はRは水素原子、炭素数1〜12の直鎖または分岐状アルキル基、置換又は未置換のシクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基のいずれかで、ヘテロ原子を含有してもよく、同一または異なっていてもよい。Rは炭素数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基を示し、ヘテロ原子を含有してもよく、同一または異なってもよく、RとRは結合して環状を形成してもよい。)で表される化合物が挙げられる。
一般式(2)中、Rは炭素数1〜10の直鎖又は分岐状のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましく、特に炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましい。また、R又はRは炭素数1〜10の直鎖又は分岐状のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましく、特に炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましい。また、RとRが結合して環状を形成する(NR)はパーヒドロキノリノ基、パーヒドロイソキノリノ基が好ましい。また、Rは炭素数1〜6の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましく、特に炭素数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましい。
このような有機ケイ素化合物としては、フェニルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、フェニルアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルキルアルコキシシラン、(アルキルアミノ)アルコキシシラン、アルキル(アルキルアミノ)アルコキシシラン、アルキル(アルキルアミノ)シラン、アルキルアミノシラン等を挙げることができる。
式中、rが0の有機ケイ素化合物を具体的に例示すると、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリ−n−プロピルエトキシシラン、トリ−n−ブチルメトキシシラン、トリ−iso−ブチルメトキシシラン、トリ−t−ブチルメトキシシラン、トリ−n−ブチルエトキシシラン、トリシクロヘキシルメトキシシラン、トリシクロヘキシルエトキシシラン、シクロヘキシルジメチルメトキシシラン、シクロヘキシルジエチルメトキシシラン、シクロヘキシルジエチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−iso−ブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、ビス(2 −エチルヘキシル)ジメトキシシラン、ビス(2 −エチルヘキシル)ジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ビス(3 −メチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、ビス(4 −メチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、ビス(3,5 −ジメチルシクロヘキシル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジエトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジプロポキシシラン、3 −メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、4 −メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、3,5 −ジメチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、3 −メチルシクロヘキシルシクロヘキシルジメトキシシラン、4 −メチルシクロヘキシルシクロヘキシルジメトキシシラン、3,5 −ジメチルシクロヘキシルシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジエトキシシラン、シクロペンチルエチルジエトキシシラン、シクロペンチル(iso−プロピル)ジメトキシシラン、シクロペンチル(iso−ブチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、シクロヘキシル(n−プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(iso−プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−プロピル)ジエトキシシラン、シクロヘキシル(iso−ブチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−ブチル)ジエトキシシラン、シクロヘキシル(n−ペンチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(n−ペンチル)ジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルエチルジメトキシシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、2-エチルヘキシルトリメトキシシラン、2-エチルヘキシルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランが挙げられる。
上記の中でも、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−iso−ブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジエトキシシラン、シクロペンチルエチルジエトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジエトキシシラン、3−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、4−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、3,5−ジメチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシランが好ましい。
式中、rが1〜4の有機ケイ素化合物としては、(アルキルアミノ)トリアルキルシラン、(アルキルアミノ)ジアルキルシクロアルキルシラン、(アルキルアミノ)アルキルジシクロアルキルシラン、(アルキルアミノ)トリシクロアルキルシラン、(アルキルアミノ)(ジアルキルアミノ)ジアルキルシラン、(アルキルアミノ)(ジアルキルアミノ)ジシクロアルキルシラン、ビス(アルキルアミノ)ジアルキルシラン、ビス(アルキルアミノ)アルキルシクロアルキルシラン、ビス(アルキルアミノ)ジシクロアルキルシラン、ビス(アルキルアミノ)(ジアルキルアミノ)アルキルシラン、ビス(アルキルアミノ)(ジアルキルアミノ)シクロアルキルシラン、ジ(アルキルアミノ)ジアルキルシラン、ジ(アルキルアミノ)アルキルシクロアルキルシラン、ジ(アルキルアミノ)ジシクロアルキルシラン、ジ(シクロアルキルアミノ)ジアルキルシラン、ジ(シクロアルキルアミノ)アルキルシクロアルキルシラン、ジ(シクロアルキルアミノ)ジシクロアルキルシラン、トリス(アルキルアミノ)アルキルシラン、トリス(アルキルアミノ)シクロアルキルシラン、トリ(アルキルアミノ)アルキルシラン、トリ(アルキルアミノ)シクロアルキルシラン、トリ(シクロアルキルアミノ)アルキルシラン、トリ(シクロアルキルアミノ)シクロアルキルシラン、テトラキス(アルキルアミノ)シラン、トリス(アルキルアミノ)ジアルキルアミノシラン、トリス(シクロアルキルアミノ)ジアルキルアミノシラン、ビス(ジアルキルアミノ)ビス(アルキルアミノ)シラン、ジアルキルアミノトリス(アルキルアミノ)シラン、ビス(パ−ヒドロイソキノリノ)ビス(アルキルアミノ)シラン、ビス(パーヒドロキノリノ)ビス(アルキルアミノ)シラン、ビス(シクロアルキルアミノ)ビス(アルキルアミノ)シラン、テトラ(アルキルアミノ)シラン、トリ(アルキルアミノ)ジアルキルアミノシラン、トリ(シクロアルキルアミノ)ジアルキルアミノシラン、ジ(ジアルキルアミノ)ジ(アルキルアミノ)シラン、ジアルキルアミノトリ(アルキルアミノ)シラン、ジ(アルキル置換パ−ヒドロイソキノリノ)ジ(アルキルアミノ)シラン、ジ(アルキル置換パーヒドロキノリノ)ジ(アルキルアミノ)シラン、ジ(シクロアルキルアミノ)ジ(アルキルアミノ)シラン、アルキル(ジアルキルアミノ)(アルキルアミノ)アルコキシシラン、シクロアルキル(ジアルキルアミノ)(アルキルアミノ)アルコキシシラン、ビニル(ジアルキルアミノ)(アルキルアミノ)アルコキシシラン、アリル(ジアルキルアミノ)(アルキルアミノ)アルコキシシラン、アラルキル(ジアルキルアミノ)(アルキルアミノ)アルコキシシラン、ジアルキル(アルキルアミノ)アルコキシシラン等を挙げることができる。
該有機ケイ素化合物(C)は1種あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。また、これらの外部電子供与性化合物は、1種あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
次に本発明のオレフィン類重合用触媒は、前記したオレフィン類重合用固体触媒成分(A)、成分(B)、および成分(C)を含有し、該触媒の存在下にオレフィン類の重合もしくは共重合を行う。オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等であり、これらのオレフィン類は1種あるいは2種以上併用することができる。とりわけ、エチレン、プロピレンおよび1−ブテンが好適に用いられる。特に好ましくはプロピレンである。プロピレンの重合の場合、他のオレフィン類との共重合を行うこともできる。共重合されるオレフィン類としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等であり、これらのオレフィン類は1種あるいは2種以上併用することができる。とりわけ、エチレンおよび1−ブテンが好適に用いられる。
各成分の使用量比は、本発明の効果に影響を及ぼすことのない限り任意であり、特に限定されるものではないが、通常有機アルミニウム化合物(B)は固体触媒成分(A)中のチタン原子1モル当たり、1〜2000モル、好ましくは50〜1000モルの範囲で用いられる。有機ケイ素化合物(C)は、(B)成分1モル当たり、0.002〜10モル、好ましくは0.01〜2モル、特に好ましくは0.01〜0.5モルの範囲で用いられる。
各成分の接触順序は任意であるが、重合系内にまず有機アルミニウム化合物(B)を装入し、次いで有機ケイ素化合物(C)を接触させ、更にオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を接触させることが望ましい。
本発明における重合方法は、有機溶媒の存在下でも不存在下でも行うことができ、またプロピレン等のオレフィン単量体は、気体および液体のいずれの状態でも用いることができる。重合温度は200℃以下、好ましくは100℃以下であり、重合圧力は10MPa以下、好ましくは5MPa以下である。また、連続重合法、バッチ式重合法のいずれでも可能である。更に重合反応を1段で行ってもよいし、2段以上で行ってもよい。
更に、本発明においてオレフィン類重合用固体触媒成分(A)、成分(B)、および成分(C)を含有する触媒を用いてオレフィンを重合するにあたり(本重合ともいう。)、触媒活性、立体規則性および生成する重合体の粒子性状等を一層改善させるために、本重合に先立ち予備重合を行うことが望ましい。予備重合の際には、本重合と同様のオレフィン類あるいはスチレン等のモノマーを用いることができる。
予備重合を行うに際して、各成分およびモノマーの接触順序は任意であるが、好ましくは、不活性ガス雰囲気あるいはオレフィンガス雰囲気に設定した予備重合系内にまず成分(B)を装入し、次いでオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を接触させた後、プロピレン等のオレフィンおよび/または1種あるいは2種以上の他のオレフィン類を接触させる。成分(C)を組み合わせて予備重合を行う場合は、不活性ガス雰囲気あるいはオレフィンガス雰囲気に設定した予備重合系内にまず成分(B)を装入し、次いで成分(C)を接触させ、更にオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を接触させた後、プロピレン等のオレフィンおよび/または1種あるいはその他の2種以上のオレフィン類を接触させる方法が望ましい。
本発明によって形成されるオレフィン類重合用触媒の存在下で、オレフィン類の重合を行った場合、対水素レスポンスが高く、従来の触媒を使用した場合に比べ、得られるポリマーは粗粉が少なく、また粒径の大きさが揃ったシャープな粒度分布を有し、かつポリマーの立体規則性および収率を高度に維持することができる。
(実施例)
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
〔固体触媒成分(A)の調製〕
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコに四塩化チタン40ml及びトルエン60mlを装入して、混合溶液を形成した。次いでジエトキシマグネシウム20g(0.175モル) 、トルエン100mlおよび1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル18.1mmolを用いて形成された懸濁液を、−5℃の液温に保持した前記混合溶液中に添加した。その後、液温を−5℃から15℃まで20分かけて昇温し、15℃において1時間保持、更に105℃まで90分かけて昇温し、105℃において2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を90℃のトルエン170mlで4回洗浄し、新たに常温のトルエン100ml、四塩化チタン40ml、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル20.9mmolを添加し、108℃まで昇温し、1時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、上澄を除去し、トルエン160ml、四塩化チタン40mlを加え、100℃において2時間攪拌した。次いで、40℃のn−ヘプタン180mlで8回洗浄し、固体触媒成分を得た。なお、この固体触媒成分中のチタン含有率を測定したところ、2.4重量%であった。1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチルの含有率は、9.7重量%であった。
〔重合触媒の形成および重合〕
窒素ガスで完全に置換された内容積2.0リットルの攪拌機付オートクレーブに、トリエチルアルミニウム1.32mmol、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.13mmolおよび前記固体触媒成分をチタン原子として0.0026mmol装入し、重合触媒を形成した。その後、水素ガス2リットル、液化プロピレン1.4リットルを装入し、20℃で5分間予備重合を行った後に昇温し、70℃で1時間重合反応を行った。得られた重合体について、触媒活性、23℃でのキシレン溶解成分量(XS、重量%)及びメルトフローレート(MI、g−PP/10分)、平均粒径および粒度分布〔(D90−D10)/D50〕(ここで、D90は累積粒度分布の90%の粒径、D50は累積粒度分布の50%の粒径であり平均粒径、D10は累積粒度分布の10%の粒径である)およびD90を表1に併載する。
固体触媒成分1g当たり、重合時間の1時間当たりの生成重合体量(F)gを示す触媒活性は下式により算出した。
触媒活性=生成重合体(F)g/固体触媒成分g/1時間
重合体のキシレン溶解成分(XS:重量%)は以下の方法で測定した。
キシレン溶解成分の測定方法;4.0gの重合体を200mlのパラキシレン中に装入し、トルエンの沸点下(138℃)で2時間かけて重合体を溶解した。その後23℃まで冷却し、不溶解成分と溶解成分とを濾過分別した。その溶解成分の溶媒を留去、加熱乾燥し、得られた重合体をキシレン可溶成分とし、生成重合体(F)に対する相対値(XS、重量%)で示した。
重合体のメルトフローレートを示すメルトインデックス(MI)の値はASTM D1238、JIS K 7210に準じて測定した。
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコに四塩化チタン40ml及びトルエン60mlを装入して、混合溶液を形成した。次いでジエトキシマグネシウム20g 、トルエン100mlおよび1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル18.1mmolを用いて形成された懸濁液を、−5℃の液温に保持した前記混合溶液中に添加した。その後、液温を−5℃から15℃まで20分かけて昇温し、15℃において1時間保持、更に105℃まで90分かけて昇温し、105℃において再び1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル13.4mmolを添加し、同温度において2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を90℃のトルエン170mlで4回洗浄し、新たに常温のトルエン100mlを添加した。60℃まで昇温し、再び1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル8.4mmolを添加し、65℃において四塩化チタン40mlを加えた後108℃まで昇温し、1時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、上澄を除去し、トルエン160ml、四塩化チタン40mlを加え、100℃において2時間反応させた。次いで、40℃のn−ヘプタン180mlで8回洗浄し、固体触媒成分を得た。なお、この固体触媒成分中のチタン含有率を測定したところ、1.9重量%であった。1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチルの含有率は、9.4重量%であった。重合触媒の形成および重合は実施例1と同様に実施し、重合結果を表1に示した。
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコに四塩化チタン40mlおよびトルエン60mlを装入して、混合溶液を形成した。次いでジエトキシマグネシウム20g 、トルエン100mlおよび1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル18.1mmolを用いて形成された懸濁液を、−5℃の液温に保持した前記混合溶液中に添加した。その後、液温を−5℃から15℃まで20分かけて昇温し、15℃において1時間保持、更に105℃まで90分かけて昇温し、105℃において再び1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル13.4mmolを添加し、同温度において2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を90℃のトルエン170mlで4回洗浄し、新たに常温のトルエン100mlを添加した。60℃まで昇温し、再び1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル8.4mmolを添加し、65℃において四塩化チタン40mlを加えた後108℃まで昇温し、1時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、上澄を除去し、トルエン80ml、四塩化チタン20mlを加え、90℃において15分間攪拌する操作を2回行った。次いで、40℃のn−ヘプタン125mlで8回洗浄し、固体触媒成分を得た。なお、この固体触媒成分中のチタン含有率を測定したところ、2.1重量%であった。1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチルの含有率は、11.4重量%であった。重合触媒の形成および重合は実施例1と同様に実施し、重合結果を表1に示した。
1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチルの代わりに、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピルを同モル数用いた以外は実施例1と同様に重合触媒の合成および重合を行った。得られた固体触媒成分中のチタン含有量は2.2重量%であった。1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピルの含有率は、12.7重量%であった。重合触媒の形成および重合は実施例1と同様に実施し、重合結果を表1に示した。
1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチルの代わりに、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピルを同モル数用いた以外は実施例3と同様に重合触媒の合成および重合を行った。その結果、得られた固体触媒成分中のチタン含有量は2.1重量%であった。1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−プロピルの含有率は、12.6重量%であった。重合触媒の形成および重合は実施例1と同様に実施し、重合結果を表1に示した。
1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチルの代わりに、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−iso−プロピルを同モル数用いた以外は実施例3と同様に重合触媒の合成および重合を行った。その結果、得られた固体触媒成分中のチタン含有量は2.0重量%であった。1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−iso−プロピルの含有率は、12.8重量%であった。重合触媒の形成および重合は実施例1と同様に実施し、重合結果を表1に示した。
1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチルの代わりに、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチルを同モル数用いた以外は実施例1と同様に重合触媒の合成および重合を行った。その結果、得られた固体触媒成分中のチタン含有量は2.4重量%であった。1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチルの含有率は、14.8重量%であった。重合触媒の形成および重合は実施例1と同様に実施し、重合結果を表1に示した。
1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチルの代わりに、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチルを同モル数用いた以外は実施例3と同様に重合触媒の合成および重合を行った。その結果、得られた固体触媒成分中のチタン含有量は2.3重量%であった。1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−iso−ブチルの含有率は、13.6重量%であった。重合触媒の形成および重合は実施例1と同様に実施し、重合結果を表1に示した。
1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチルの代わりに、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチルを同モル数用いた以外は実施例3と同様に重合触媒の合成および重合を行った。その結果、得られた固体触媒成分中のチタン含有量は2.3重量%であった。1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチルの含有率は、13.2重量%であった。重合触媒の形成および重合は実施例1と同様に実施し、重合結果を表1に示した。
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコに四塩化チタン40ml及びトルエン60mlを装入して、混合溶液を形成した。次いでジエトキシマグネシウム20g 、トルエン100mlおよび1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル8.4mmolを用いて形成された懸濁液を、−5℃の液温に保持した前記混合溶液中に添加した。その後、液温を−5℃から15℃まで20分かけて昇温し、15℃において1時間保持、更に105℃まで90分かけて昇温し、105℃において再び1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル13.4mmolを添加し、同温度において2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を90℃のトルエン170mlで4回洗浄し、新たに常温のトルエン100mlを添加した。60℃まで昇温し、再び1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル18.1mmolを添加し、65℃において四塩化チタン40mlを加えた後108℃まで昇温し、1時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、上澄を除去し、トルエン80ml、四塩化チタン20mlを加え、90℃において15分間攪拌する操作を2回行った。次いで、40℃のn−ヘプタン125mlで8回洗浄し、固体触媒成分を得た。なお、この固体触媒成分中のチタン含有率を測定したところ、2.3重量%であった。1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチルの含有率は、14.2重量%であった。重合触媒の形成および重合は実施例1と同様に実施し、重合結果を表1に示した。
〔固体触媒成分(A)の調製〕
撹拌機を具備し、窒素ガスで充分に置換された、容量500mlの丸底フラスコに、無水塩化マグネシウム4.76g(0.05mol)、デカン25ml及び2−エチルヘキシルアルコール23.4mlを装入し、130℃で2時間反応させ、均一溶液とした。次いで、該均一溶液に無水フタル酸1.11gを添加し、130℃で1時間反応させた。次いで該溶液を、攪拌機を具備し、窒素ガスで充分に置換された、容量500mlの丸底フラスコに装入され、−20℃に保持された四塩化チタン200ml中へ、1時間かけて全量滴下した。次いで、該混合溶液を4時間かけて110℃まで昇温した後、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル5.1mmolを添加し、2時間反応させた。さらに、上澄を除去し、トルエン100ml、四塩化チタン40ml、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル3.8mmolを添加し、108℃まで昇温し、1時間攪拌しながら反応させた。さらに、上澄を除去し、トルエン100ml、四塩化チタン40ml、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル2.4mmolを添加し、108℃まで昇温し、1時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、濾過により液体部分を除去し、残った固体成分を110℃でデカン及びヘキサンで遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで洗浄し、濾過、乾燥して、粉末状の固体触媒成分を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ、3.1重量%であった。
〔重合触媒の形成および重合〕
重合触媒の形成および重合は実施例1と同様に実施し、重合結果を表1に示した。
〔固体触媒成分(A)の調製〕
攪拌機を具備し、窒素ガスで充分に置換された、容量500mlの丸底フラスコに、ヘキサン240ml、テトラブトキシチタン5.4g及びテトラエトキシシラン61.4gを装入し均一溶液としたところへ、ブチルマグネシウムクロライド395mmol溶解させたジブチルエーテル150mlを、5℃で4時間かけて滴下し反応させ、その後室温で1時間撹拌した。次いで、該反応溶液を室温で濾過し、液状部分を除去した後、残った固体分をヘキサン240mlで8回洗浄し、減圧乾燥させて、固体生成物を得た。次いで、攪拌機を具備し、窒素ガスで充分に置換された、容量1000mlの丸底フラスコに、該固体生成物を装入し、更にトルエン240ml、四塩化チタン64ml及び1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル40.7mmolを加え、95℃で1時間反応させた。その後、濾過により液状部分を除去した後、残った固体分をトルエン425mlで8回洗浄した。洗浄終了後、フラスコにトルエン100ml、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル30.1mmol及び四塩化チタン64mlを加え、95℃で8時間反応させた。反応終了後、95℃で固液分離し、固形分をトルエン240mlで2回洗浄し、次いで上記1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル18.9mmol及び四塩化チタン64mlの混合物による処理を同一条件で再度行い、その後、ヘキサン240mlで8回洗浄し、濾過、乾燥して、粉末状の固体触媒成分を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ、2.1重量%であった。なお、ブチルマグネシウムクロライドは、グリニャール用削状マグネシウムとブチルクロライドをジブチルエーテル中で公知の反応条件で反応させて得られたものである。
〔重合触媒の形成および重合〕
重合触媒の形成および重合は実施例1と同様に実施し、重合結果を表1に示した。
比較例1
〔固体触媒成分(A)の調製〕
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコに四塩化チタン40ml及びトルエン60mlを装入して、混合溶液を形成した。次いでジエトキシマグネシウム20g 、トルエン100mlおよび1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル39.9mmolを用いて形成された懸濁液を、−5℃の液温に保持した前記混合溶液中に添加したが、大きな凝集体となり、触媒合成を続行することができなかった。
比較例2
〔固体触媒成分(A)の調製〕
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコに四塩化チタン40ml及びトルエン60mlを装入して、混合溶液を形成した。次いでジエトキシマグネシウム20g、トルエン100mlおよび1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチル31.6mmolを用いて形成された懸濁液を、−5℃の液温に保持した前記混合溶液中に添加した。その後、液温を−5℃から5℃まで10分かけて昇温し、5℃において1時間保持、更に105℃まで100分かけて昇温し、同温度において2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を90℃のトルエン170mlで4回洗浄した。新たに常温のトルエン100ml、四塩化チタン40ml添加後108℃まで昇温し、1時間攪拌しながら反応させた。次いで、40℃のn−ヘプタン125mlで8回洗浄し、固体触媒成分を得た。なお、この固体触媒成分中のチタン含有率を測定したところ、2.6重量%であった。1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジエチルの含有率は、7.9重量%であった。
〔重合触媒の形成および重合〕
重合触媒の形成および重合は実施例1と同様に実施し、重合結果を表1に示した。
比較例3
〔固体触媒成分(A)の調製〕
窒素ガスで十分に置換され、撹拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコにジエトキシマグネシウム10gおよびトルエン80mlを装入して、懸濁状態とした。次いで該懸濁溶液に四塩化チタン20mlを加えて、昇温し、80℃に達した時点で1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジネオペンチル3.4gを加え、さらに昇温して110℃とした。その後110℃の温度を保持した状態で、1時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、90℃のトルエン100mlで3回洗浄し、新たに四塩化チタン20ml及びトルエン80mlを加え、110℃に昇温し、1時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、40℃のn−ヘプタン100mlで7回洗浄して、固体触媒成分を得た。なお、この固体触媒成分中の固液を分離して、固体分中のチタン含有率を測定したところ、3.2重量%であった。
〔重合触媒の形成および重合〕
重合触媒の形成および重合は実施例1と同様に実施し、重合結果を表1に示した。
比較例4
1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジネオペンチル3.4gの代わりに、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ−n−ブチル3.1gを用いた以外は比較例3と同様に固体成分を調製した。その結果、得られた固体触媒成分中のチタン含有量は2.9重量%であった。重合触媒の形成および重合は実施例1と同様に実施し、重合結果を表1に示した。
比較例5
〔固体触媒成分(A)の調製〕
内容積1リットルのステンレス鋼(SUS‐304)製粉砕用ポットに、直径25.4mmのステンレス鋼製ボールを容積で429ml充填し、無水塩化マグネシウム20g、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ-n−ブチル30mmol、四塩化チタン3.3mlおよび粉砕助剤としてシリコンオイル(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、20cs)3.0mlを窒素雰囲気下に加え、振幅3mm、回転数1400rpmの条件で24時間共粉砕した。得られた共粉砕物15gを1,2−ジクロロエタン150ml中に懸濁させ、攪拌下で80℃、2時間、接触させた後、へキサンで置換し、そのヘキサン中に1,2ジクロロエタンが検出されなくなるまで、へキサンで洗浄し、固体生成物を乾燥し固体触媒を得た。なお、この固体触媒成分中の固液を分離して、固体分中のチタン含有率を測定したところ、1.9重量%であった。
〔重合触媒の形成および重合〕
重合触媒の形成および重合は実施例1と同様に実施し、重合結果を表1に示した。
Figure 2010001420
表1の結果から、本発明の固体触媒成分および触媒を用いてオレフィン類の重合を行うことにより、高い体水素レスポンス性を有しながら高い立体規則性かつ粗粉が少なく粒度分布のシャープなオレフィン類重合体を高収率で得られることがわかる。
本発明の重合触媒を調製する工程を示すフローチャート図である。

Claims (4)

  1. マグネシウム化合物(a)と4価のチタンハロゲン化合物(b)を接触させ、固体生成物を形成し、該固体生成物の形成の前後またはその途中に、1‐シクロヘキセンジカルボン酸ジエステル(c)を、マグネシウム化合物(a)1モルあたり0.03〜0.12molの範囲で接触させ、さらに該固体生成物に、4価のチタンハロゲン化合物(b)および1‐シクロヘキセンジカルボン酸ジエステル(c)を接触させ得られることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分。
  2. マグネシウム化合物(a)と4価のチタンハロゲン化合物(b)を接触させ、固体生成物を形成し、該固体生成物の形成の前後またはその途中に、1‐シクロヘキセンジカルボン酸ジエステル(c)を、マグネシウム化合物(a)1モルあたり0.03〜0.12molの範囲で接触させ、更に該固体生成物に、4価のチタンハロゲン化合物(b)および1‐シクロヘキセンジカルボン酸ジエステル(c)を接触させることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
  3. (A)請求項1に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分、
    (B)下記一般式(1);R AlQ3−p(1)
    (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の整数である。)で表される有機アルミニウム化合物および(C)外部電子供与性化合物から形成されることを特徴とするオレフィン類重合用触媒。
  4. 請求項3記載のオレフィン類重合用触媒の存在下に、オレフィン類の重合を行うことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法。
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