JP2010000739A - ハードコート層付積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】膜硬度が高く、平滑性、折れ割れ耐性、密着性に優れた積層構造を有するハードコート層付積層体を提供する。
【解決手段】樹脂基材2の少なくとも一方の面に、ハードコート層3A及び金属酸化物層5をこの順で積層したハードコート層付積層体1において、該ハードコート層は、平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子4,6を同一層内に含有し、最も平均粒径の大きな無機粒子Aの平均粒径をr1とし、最も平均粒径の小さな無機粒子Bの平均粒径をr2としたとき、r1/r2が2.0以上である層を少なくとも1層有することを特徴とするハードコート層付積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、膜硬度が高く、平滑性、折れ割れ耐性、密着性に優れた積層構造を有するハードコート層付積層体に関する。本発明は、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、電界放出ディスプレイ(FED)等のディスプレイの表面や家電製品等のタッチパネル、各種窓、例えば、住宅用窓、ショーウインドウ、車両用窓、車両用風防、遊戯機械等のガラス保護フィルム、あるいはガラス代替樹脂製品として利用できる。
近年、プラスチック製品が、加工性、軽量化の観点でガラス製品と置き換わりつつあるが、これらプラスチック製品の表面は傷つきやすいため、耐擦傷性を付与する目的でハードコートフィルムを貼合して用いる。また、従来のガラス製品についても、飛散防止のためにプラスチックフィルムを貼合する場合が増えており、これらのフィルム表面の硬度強化のために、その表面にハードコート層を形成することが広く行われている。しかしながら、前記従来のハードコートフィルムは、そのハードコート層の硬度が不十分であったこと、また、その塗膜厚みが薄いことに起因して、十分に満足できるものではなかった。
そこでハードコート層に無機質の装填材料を含む技術が開示されている。例えば、特許文献1には、透明基材フィルムの少なくとも片面に活性エネルギー線重合性樹脂を主体とするハードコート層を塗設してなるハードコートフィルムであって、該ハードコート層にモース硬度6以上の無機微粒子と、モース硬度4以下の微粒子および/または弾性率Eが6GPa以下を有する微粒子を含有するハードコートフィルムが開示されている。
また、特許文献2には、透明ハードコート層が、合成樹脂と、該樹脂中に分散された表面被覆処理された金属酸化物微粒子とを含むことを特徴とするハードコートフィルムが開示されている。
一方、透明プラスチック成形体も、ガラスの代替品として、多岐にわたる分野において基材として使用されるようになってきている。例えば、各種窓ガラス代替品、眼鏡に代表されるレンズ類、ミラー、光学素子(例えば、プラスチックレンズ)、車窓、ゴーグル、フラットパネルディスプレイ部材などに使用されている。これらの光学部材においては、耐傷性、耐擦過性、耐破壊性、耐候性など特性で、高い品質が要求されている。
近年、これらの要求品質を満足する検討が盛んになされており、例えば、表面硬度を付与する観点から、放射線硬化型(メタ)アクリレートと微粒子とを均一に分散してハードコート層を形成する際に、微粒子を2種類以上用い、カール曲率半径が20cm以上であるハードコートフィルムが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この方法では、鉛筆硬度は4H程度であり、その使用範囲は自ずと限られるものとなっている。また、基材上に第1のハードコート層としてビッカース硬度が10から400の範囲を満たす硬化樹脂層と、第2のハードコート層としてビッカース硬度が8から300の範囲を満たす硬化樹脂層とをこの順に設けた2層構成の硬化樹脂被膜層からなるハードコートフィルムが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、この方法においても、鉛筆硬度はせいぜい4H程度であり、またフレキシビリティ性に関しては明確な記載が見られない。
特開2002−107503号公報 特開2006−159853号公報 特開2002−220487号公報 特開2000−127281号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、膜硬度が高く、平滑性、折れ割れ耐性、密着性に優れた積層構造を有するハードコート層付積層体を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.樹脂基材の少なくとも一方の面に、ハードコート層及び金属酸化物層をこの順で積層したハードコート層付積層体において、該ハードコート層は、平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子を同一層内に含有し、最も平均粒径の大きな無機粒子Aの平均粒径をr1とし、最も平均粒径の小さな無機粒子Bの平均粒径をr2としたとき、r1/r2が2.0以上である層を少なくとも1層有することを特徴とするハードコート層付積層体。
2.前記平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子を含有する層における前記最も平均粒径の大きな無機粒子Aと前記最も平均粒径の小さな無機粒子Bとの体積比が、7:3〜3:7の範囲であることを特徴とする前記1記載のハードコート層付積層体。
3.前記平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子を含有する層の該無機粒子の充填率(体積%)が、60質量%以上であることを特徴とする前記1または2に記載のハードコート層付積層体。
4.前記ハードコート層が2層以上の層から構成され、該層の少なくとも1層は、前記平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子を含有する層であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
5.前記最も平均粒径の小さな無機粒子Bの平均粒径が、5nm以上、20nm以下で、かつ前記最も平均粒径の大きな無機粒子Aの平均粒径が、10nm以上、200nm以下であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
6.前記平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子を含有する層が、前記金属酸化物層と接していることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
7.基材上に前記ハードコート層を形成した後、前記金属酸化物層を形成するまでにカレンダー処理を施すことを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
8.前記無機粒子A及び無機粒子Bのいずれもが、酸化珪素粒子であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
9.前記ハードコート層が、湿式塗布法により形成されたことを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
10.前記湿式塗布法が、複数の層を同時に塗布する多層同時塗布法であることを特徴とする前記9に記載のハードコート層付積層体。
11.前記金属酸化物層の主成分が、酸化珪素であることを特徴とする前記1〜10のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
12.前記金属酸化物層が、プラズマCVD法により形成されたことを特徴とする前記1〜11のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
13.前記金属酸化物層を形成するプラズマCVD処理法が、大気圧または大気圧近傍の圧力下でプラズマ処理する大気圧プラズマCVD法であることを特徴とする前記12に記載のハードコート層付積層体。
本発明により、膜硬度が高く、平滑性、折れ割れ耐性、密着性に優れた積層構造を有するハードコート層付積層体を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、樹脂基材の少なくとも一方の面に、ハードコート層及び金属酸化物層をこの順で積層したハードコート層付積層体において、該ハードコート層は、平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子を同一層内に含有し、最も平均粒径の大きな無機粒子Aの平均粒径をr1とし、最も平均粒径の小さな無機粒子Bの平均粒径をr2としたとき、r1/r2が2.0以上である層を少なくとも1層有することを特徴とするハードコート層付積層体により、膜硬度が高く、平滑性、折れ割れ耐性、密着性に優れた積層構造を有するハードコート層付積層体を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明のハードコート層付積層体の各構成要素の詳細について説明する。
〔樹脂基材〕
本発明のハードコート層付積層体を構成する樹脂基材としては、特に制限はないが、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体等のポリオレフィン(PO)樹脂、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系(PA)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリビニルブチラート(PVB)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル−共重合体(EPA)等のフッ素系樹脂等を用いることができる。
また、上記に挙げた樹脂以外にも、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物によりなる樹脂組成物や、上記アクリルレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解せしめた樹脂組成物等の光硬化性樹脂およびこれらの混合物等を用いることも可能である。
上記例示した樹脂基材は、市販品として入手することができ、例えば、ゼオネックスやゼオノア(日本ゼオン(株)製)、非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルムのARTON(ジェイエスアール(株)製)、ポリカーボネートフィルムのピュアエース(帝人(株)製)、セルローストリアセテートフィルムのコニカタックKC4UX、KC8UX(コニカミノルタオプト(株)製)などを挙げることができる。
さらに、これらの樹脂の1または2種以上をラミネート、コーティング等の手段によって積層させたものを樹脂フィルム基材として用いることも可能である。
また、本発明に係る樹脂基材は、シート状であってもフィルム状であっても、あるいはその他の形態であってもよく、特にその形態には制限はない。また、樹脂基材の膜厚は、使用する樹脂の種類や、目的用途等の各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常10μm〜10mm、好ましくは100μm〜5mmの範囲である。
〔ハードコート層〕
本発明のハードコート層付積層体においては、ハードコート層の少なくとも1層が、平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子を同一層内に含有し、最も平均粒径の大きな無機粒子Aの平均粒径をr1とし、最も平均粒径の小さな無機粒子Bの平均粒径をr2としたとき、r1/r2が2.0以上であることを特徴とする。
(ハードコート層の構成)
本発明者は、樹脂基材上にハードコート層及び金属酸化物層を設けたハードコート層付積層体の特性について検討を進めた結果、樹脂基材上に、均一組成から構成される所定の膜厚を有するハードコート層を設置し、その上に金属酸化物層を形成した場合、樹脂基材とハードコート層間、あるいはハードコート層と金属酸化物層間での各材料の剛性率や界面特性の違いにより、例えば、過酷な環境下で長期間にわたり保存した際に各界面で剥離を生じることにより密着性の低下、あるいは、ハードコート層付積層体が激しい衝撃を受けた際に、それぞれの界面で両者間の組成が大きく異なる場合には、積層された構成層間を破断振動がスムーズに伝播しないため、膜破断を生じることが判明した。
本発明者は、上記課題を解決する方法について鋭意検討を行った結果、樹脂基材上にハードコート層及び金属酸化物層を積層したハードコート層付積層体において、樹脂基材とハードコート層界面及びハードコート層と金属酸化物層界面の無機粒子濃度を最適化することにより、上記課題が達成できることを見出したものである。
本発明に係るハードコート層は、主には、後述する活性光線硬化樹脂、あるいは活性光線硬化樹脂と無微粒子とから構成されているが、本発明でいう平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子を同一層内に含有する層とは、活性光線硬化樹脂と共に平均粒径の異なる2種以上の無機粒子を同一領域に存在させ、2種以上の無機粒子の中で最も平均粒径の大きな無機粒子Aの平均粒径をr1とし、最も平均粒径の小さな無機粒子Bの平均粒径をr2としたとき、r1/r2が2.0以上とする構成を有するものである。
本発明で規定するハードコート層の構成とすることにより、樹脂基材とハードコート層との密着性、あるいはハードコート層と金属酸化物層との密着性を向上させることができる。特に、金属酸化物層と接する位置に本発明に係る構成からなる高い硬度を備えたハードコート層を配置することにより、その上部に設ける金属酸化物層と共に極めて高い硬度を実現することができる。更には、単一粒子で構成したハードコート層表面では、無機粒子が表面近傍、あるいは表面領域に存在した場合、表面がその無機粒子パターンにより、平滑な面を形成することが難しくなり、その上部に配置する金属酸化物層の平面性を損ねる、あるいは密着性を損ねることになる。これに対し、本発明においては、金属酸化物層と接する位置に本発明に係るハードコート層を配置することが好ましく、この様な構成とすることにより、高い平面性と密着性を実現することができた。
また、本発明に係る平均粒径の異なる2種以上の無機粒子を含有する層と、その他の層とを積層したハードコート層構成とすることにより、外圧に対する応力緩和をスムーズに行うことができることにより、ハードコート層付積層体を折り曲げた際の薄膜のひび割れ等の発生を防止することができる。
更に好ましい態様としては、本発明に係る平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子を含有する層における最も平均粒径の大きな無機粒子Aと最も平均粒径の小さな無機粒子Bとの体積比が、7:3〜3:7の範囲であることが好ましく、この様な構成とすることにより、高い硬度と優れた平面性を有するハードコート層を形成することができる。
また、平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子を含有する層の無機粒子充填率(体積%)を、60質量%以上とすることが好ましく、更に好ましくは75質量%以上、98質量%以下であり、特に好ましくは、85質量%以上、98質量%以下である。この様な高い充填率のハードコート層を適用することにより、高い硬度を有するハードコート層を形成することができる。
また、本発明においては、最も平均粒径の小さな無機粒子Bの平均粒径が、5nm以上、20nm以下で、かつ前記最も平均粒径の大きな無機粒子Aの平均粒径が、10nm以上、200nm以下であることが好ましい。この様な平均粒子構成をとることにより、高い充填率及び平滑性を達成することができ、高い硬度を有するハードコート層を形成することができる。
なお、本発明でいう平均粒径とは、一次粒子の平均粒径をいう。
また、本発明のハードコート層付積層体においては、基材上に本発明に係るハードコート層を形成した後、金属酸化物層を形成するまでに、カレンダーロール等を用いてカレンダー処理を施すことが好ましい。ハードコート層に対しカレンダー処理を施すことにより、無機粒子の充填率をより高めることができ、硬度の高いハードコート層が得られる観点から好ましい態様の1つである。
本発明において、ハードコート層の構成としては、本発明で規定する要件を満たす構成からなる層を1層設けた構成であっても、本発明で係るハードコート層を2層以上有する構成であっても、あるいは、本発明で係るハードコート層と共に、単一粒子で構成されているハードコート層を有する構成であってもよい。また、本発明に係る平均粒径の異なる無機粒子を含有するハードコート層を2層以上積層した構成とする場合には、金属酸化物層に近い位置に配置する層が、無機粒子の充填率が高い方が好ましい。
本発明に係るハードコート層において、硬度、平滑度、剛度を制御する手段としては、例えば、2種以上用いる無機粒子の平均粒径の組み合わせを最適化する方法、これらの無機粒子の混合比を最適化する方法、膜の充填率(無機粒子密度)を最適化する方法、ハードコート層を構成する樹脂バインダーの種類を選択する方法、カレンダー処理を施す方法等から適宜選択、あるいは組み合わせることにより行うことができる。
以下、本発明のハードコート層付積層体の代表的な層構成について、図を交えて説明するが、本発明はここで例示する層構成にのみ限定されるものではない。
図1は、比較例である従来型のハードコート層付積層体の一例を示す構成断面図である。
図1に示すハードコート層付積層体1は、樹脂基材2上に単一粒径の無機粒子を含むハードコート層3から構成されている。
図1のa)に記載のハードコート層付積層体1は、樹脂基材2上に、平均粒径が相対的に大きな無機粒子4及び樹脂バインダーから構成されるハードコート層3Aを設け、更にその上に、金属酸化物層5を設けた構成である。
また、図1のb)に記載のハードコート層付積層体1は、樹脂基材2上に、平均粒径が相対的に小さな無機粒子6及び樹脂バインダーから構成されるハードコート層3Bを設け、更にその上に、金属酸化物層5を設けた構成である。
上記に例示したような単一粒径の無機粒子により構成されたハードコート層では、無機粒子の充填率が低いため、十分な硬度や折り曲げ耐性を得ることができない。加えて、ハードコート層3A、3Bの表面S1、S2が、無機粒子の形状プロファイルにより表面に現れる面が凹凸形状を有することとなるため、その上に金属酸化物層を形成したときに、そのハードコート層表面のプロファイルがそのまま反映する結果となるため、平滑性の高い金属酸化物表面を得ることができなくなると共に、密着性も低下する。
また、図1のc)に記載のハードコート層付積層体1は、樹脂基材2上に、平均粒径が相対的に小さな無機粒子6及び樹脂バインダーから構成されるハードコート層3Bと、平均粒径が相対的に大きな無機粒子4及び樹脂バインダーから構成されるハードコート層3Aを積層し、更にその上に、金属酸化物層5を設けた構成である。
この様な構成とすることで、各ハードコート層間の硬度や剛度は多少緩和されるものの、上記と同様の理由により、高い硬度、密着性、折り曲げ耐性、平滑性を得ることができない。
図2は、本発明の平均粒径が異なる2種の無機粒子を含有するハードコート層を有するハードコート層付積層体の一例を示す構成断面図である。
図2のa)は、本発明に係るハードコート層を単層で形成した例を示してある。
図2のa)に記載のハードコート層付積層体1は、樹脂基材2上に、平均粒径が最も大きな無機粒子4(本発明でいう無機粒子A)と、平均粒径が最も小さな無機粒子7(本発明でいう無機粒子B)及び樹脂バインダーから構成されるハードコート層3Cを有し、更にその上に、金属酸化物層5を設けた構成である。
また、図2のb)に記載のハードコート層付積層体1は、ハードコート層を2層構成とし、下層部には図1のa)に記載したのと同様の単一の無機粒子4を含むハードコート層3Aを形成し、その上に図2のa)で説明した平均粒径の異なる2種の無機粒子4、7を含有するハードコート層3Cを有し、その上に金属酸化物層5を設けた構成である。
また、図2のc)に記載のハードコート層付積層体1は、ハードコート層を2層構成とし、下層部には図1のb)に記載したのと同様に、単一で、より小粒径の無機粒子6を含むハードコート層3Bを形成し、その上に図2のa)で説明した平均粒径の異なる2種の無機粒子4、7を含有するハードコート層3Cを有し、その上に金属酸化物層5を設けた構成である。
また、図2のd)に記載のハードコート層付積層体1は、樹脂基材2上に図1のa)に記載したのと同様の単一の無機粒子4を含むハードコート層3Aを形成し、第2層として平均粒径の異なる2種の無機粒子6、7を含有するハードコート層3Dを有し、第3層として、平均粒径の異なる2種の無機粒子4、7を含有するハードコート層3Cを有する構成例を示してある。この様な複数層から構成されるハードコート層においては、金属酸化物層5に向かって、順次無機粒子充填率が高くなる構成、すなわち硬度を高くする構成をとることが好ましい。
また、上記に示した構成例のように、平均粒径の異なる2種の無機粒子を含有するハードコート層と金属酸化物層とは、接する構成とすることが好ましい。
図2に一例として示したハードコート層構成とすることにより、樹脂基材及び金属酸化物層との密着性を高めることができると共に、金属酸化物層と接するハードコート層を本発明で規定する構成からなるハードコート層を配置することにより、大粒径の表面パターンが現れない領域は、より小粒径の無機粒子補填されることにより、更に高い無機粒子充填率とすることにより、極めて平滑な表面を形成することができる。その結果、上部に設ける金属酸化物層の高い平滑性、密着性及び硬度を実現できる。
(ハードコート層の構成材料)
本発明に係るハードコート層は、少なくとも平均粒径が2倍以上異なる2種類の無機粒子と樹脂バインダー、好ましくは、活性光線硬化樹脂とで構成されている。
〈活性光線硬化樹脂〉
本発明に適用可能な活性光線硬化樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂などが代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートと記載した場合、メタクリレートを包含するものとする)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151110号等を参照)。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151112号を参照)。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させたものを挙げることが出来る(例えば、特開平1−105738号)。この光反応開始剤としては、ベンゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等のうちから、1種もしくは2種以上を選択して使用することが出来る。
また、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
これらの樹脂は通常公知の光増感剤と共に使用される。また上記光反応開始剤も光増感剤としても使用出来る。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。また、エポキシアクリレート系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。塗布乾燥後に揮発する溶媒成分を除いた紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる光反応開始剤また光増感剤は該組成物の通常1〜10質量%添加することが出来、2.5〜6質量%であることが好ましい。
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、酢酸ビニル、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることが出来る。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることが出来る。
例えば、紫外線硬化樹脂としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業株式会社製)、あるいはコーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業株式会社製)、あるいはセイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業株式会社製)、あるいはKRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー株式会社)、あるいはRC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、あるいはオーレックスNo.340クリヤ(中国塗料株式会社製)、あるいはサンラッドH−601(三洋化成工業株式会社製)、あるいはSP−1509、SP−1507(昭和高分子株式会社製)、あるいはRCC−15C(グレース・ジャパン株式会社製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成株式会社製)あるいはこの他の市販のものから適宜選択して利用出来る。
〈無機粒子〉
本発明に係るハードコート層に適用できる2種類以上の無機粒子としては、例えば、Si、Ti、Mg、Ca、Zr、Sn、Sb、As、Zn、Nb、In、Alから選択される金属酸化物微粒子が好ましく、具体的には、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、本発明においては、無機粒子として、酸化珪素を用いることが好ましい。
本発明に好ましく適用することができる酸化珪素としては、例えば、好ましく用いられる酸化珪素粒子は、富士シリシア化学(株)製のサイリシア、日本シリカ(株)製のNipsil E、日本アエロジル(株)製のアエロジルシリーズ等を適用することができる。
本発明に係るハードコート層に適用する2種類以上の無機粒子においては、最も平均粒径の大きな無機粒子Aの平均粒径をr1とし、最も平均粒径の小さな無機粒子Bの平均粒径をr2としたとき、r1/r2が2.0以上であることを特徴とするが、最も平均粒径の小さな無機粒子Bの平均粒径としては5nm以上、20nm以下であることが好ましく、また最も平均粒径の大きな無機粒子Aの平均粒径としては、10nm以上、100nm以下であることが好ましい。
本発明でいう無機粒子の平均粒径は一次粒子の平均粒径値をいい、例えば、無機粒子を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の一次粒子の粒径を求め、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
本発明に係るハードコート層において、無機粒子の充填率(体積%)が60質量%以上であることが好ましく、更に好ましくは75質量%以上、98質量%以下であり、特に好ましくは、85%以上、98質量%以下である。
本発明において、ハードコート層における無機粒子の充填率(体積%)は、例えば、ハードコート層付積層体の断面を切り出し、その断面について電子顕微鏡を用いて無機粒子の分布状態を測定し、総膜厚に対する無機粒子の総体積比率を測定することにより求めることができる。
〈無機粒子含有層の形成方法〉
本発明においては、樹脂基材上に本発明に係るハードコート層の形成する方法としては、薄膜を形成する公知の方法を適用することができるが、特に、湿式塗布法により形成することが好ましい。
湿式塗布法とは、例えば、活性光線硬化樹脂を溶媒、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒に溶解した後、無機粒子を添加して無機粒子含有層塗布液を調製し、この塗布液を用いて、ウェット状態の薄膜を樹脂基材上等に形成する方法である。
この様な湿式塗布法に用いられる塗布方式としては、例えば、スピンコート塗布、ディップ塗布、エクストルージョン塗布、ロールコート塗布スプレー塗布、グラビア塗布、ワイヤーバー塗布、エアナイフ塗布、スライドポッパー塗布、カーテン塗布等の公知の溶液を用いた塗布方法(塗布装置)を適用することができる。
また、本発明に係る積層したハードコート層を形成する湿式塗布法として、例えば、図2のd)で示した構成では、計3層を同時に塗布する多層同時塗布法を適用することが、高い生産性が得られる観点で好ましい。
多層同時塗布法に適用可能な塗布装置としては、複数の塗布液を供給できる供給口あるいは供給スリットを備え、所望の乾燥膜厚となるように各供給口あるいは供給スリットへの塗布液の供給量を制御する手段を備えた装置であり、例えば、エクストルージョン塗布、スライドポッパー塗布、カーテン塗布等の塗布装置を適用することができる。
上記の塗布方式により樹脂基材上に形成したハードコート層(無機粒子含有層)は、膜を硬化する目的で、活性光線が照射される。活性光線硬化樹脂を光硬化反応により硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れでも使用することができ、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を挙げることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/cmである。近紫外線領域〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって使用出来る。
紫外線硬化性樹脂組成物は塗布乾燥された後、紫外線を光源より照射するが、照射時間は0.5秒〜5分がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率とから3秒〜2分がより好ましい。
〔カレンダー処理〕
本発明のハードコート層付積層体においては、より高い充填率を得る観点から、上記方法により樹脂基材上にハードコート層を形成した後、金属酸化物層を形成する前にカレンダー処理を施すことが好ましい。
本発明に係るカレンダー処理の好ましい条件は、カレンダー装置の金属ロールの表面温度が50〜250℃の状態でハードコート層と接触させて表面処理することによって、特に、高平滑性、高充填率が得ることができる。また、カレンダーによる表面処理が線圧100N〜1000N/cmの少なくとも1ニップにより、速度が20m/秒以上で行われると、高生産性を実現できる観点から好ましい。
本発明に適用可能な金属ロールを有するカレンダー装置としては、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、マシンカレンダー、ソフトカレンダー等が使用される。基材上にハードコート層を形成したハードコート層付基材を金属ロールと他のロールとの間のニップ(間隙)を通すことにより圧力、せん断力、及び熱により樹脂含有層表面の光沢を向上させるものである。金属ロールとしては、鋼鉄等のロール表面にニッケル、クロム、セラミック等を溶射して保護層としたものが通常使用され、表面は鏡面光沢を有するように研磨される。金属ロールと組み合わされる他のロールとしては、金属ロール、弾性ロール等が用いられるが、樹脂含有層表面の光沢の均一性からは弾性ロールが好ましい。弾性ロールは、コットン、ウール、パルプ等を鉄芯に巻いて高圧加工、研磨したロール、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の合成樹脂ロール、アラミド繊維ロール等が使用される。
本発明では、カレンダーは金属ロールを加熱しないで処理しても良いが、加熱することで更に平滑性、充填率がより向上し、高い硬度が得られる点で好ましい。カレンダー装置を連続で稼働させていれば金属ロールを強制的に加温しなくても表面温度は30℃程度にはなるので、一般的な金属ロールの表面温度は30〜300℃であり、50〜250℃が好ましい。
本発明に係るカレンダー処理時の金属ロールと他のロール間のニップの線圧は2000N/cm以下であり、好ましくは100〜1500N/cmである。処理速度により好ましいニップ線圧は変化するが、線圧100〜2000N/cmの少なくとも1ニップを処理速度が20m/分以上で処理するのが好ましい。より好ましくは金属ロールの表面温度を80〜200℃とし、線圧200〜1500N/cm、処理速度を50m/分以上で処理するのが望ましい。
〔金属酸化物層〕
上記方法に従って樹脂基材上のハードコート層を形成した後、金属酸化物層をその上に形成することで、本発明のハードコート層付積層体を得ることができる。
本発明に係る金属酸化物層は、その構成材料の主成分が金属酸化物により構成されていることが、高い硬度を備えた最表層を形成できる観点から好ましい。
本発明でいう主成分とは、金属酸化物層の80質量%以上が金属酸化物で構成されていることであり、好ましくは90質量%以上が金属酸化物で構成されていることであり、特に好ましくは95質量%以上が金属酸化物で構成されていることである。
本発明に係る金属酸化物層を構成する金属酸化物としては、特に制限はなく、例えば、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、酸化チタン、酸化窒化チタン、窒化チタン、酸化ホウ素又は酸化アルミニウム等の金属酸化物膜が挙げられるが、これらの中でも、高い硬度を備えた表面層が得られる観点から酸化珪素膜であることが、特に好ましい。
本発明に係る金属酸化物層は、例えば、原材料をスプレー法、スピンコート法、スパッタリング法、イオンアシスト法、プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下での大気圧プラズマCVD法等を適用して形成することができる。
しかしながら、スプレー法やスピンコート法等の湿式塗布方式では、分子レベル(nmレベル)の平滑性を得ることが難しく、また溶剤を使用するため、本発明に適用する樹脂基材が有機材料であることから、使用可能な樹脂基材または溶剤が限定されるという欠点がある。そこで、本発明のハードコート層付積層体においては、酸化物層の形成方法としては、プラズマCVD法を適用することが好ましく、特に、大気圧または大気圧近傍の圧力下での大気圧プラズマCVD法は、減圧チャンバー等が不要で、高速製膜ができ生産性の高い製膜方法である点から好ましい。本発明に係る金属酸化物層を大気圧プラズマCVD法で形成することにより、均一かつ表面の平滑性を有する膜を比較的容易に形成することが可能となるからである。尚、大気圧プラズマCVD法の層形成条件の詳細については、後述する。
プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法により得られる金属酸化物層は、原材料(原料ともいう)である有機金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選ぶことで、様々な特性を備えた各種金属酸化物を生成することができるため好ましい。例えば、珪素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、珪素酸化物が生成する。これは、プラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
このような無機物の原料としては、典型または遷移金属元素を有していれば、常温常圧下で気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。又、溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒は、メタノール,エタノール,n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解されるため、影響は殆ど無視することができる。
本発明においては、金属酸化物の形成に用いることのできる有機金属化合物としては、例えば、珪素化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物等が挙げられ、珪素化合物としては、例えば、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、等が挙げられ、チタン化合物としては、例えば、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトライソポロポキシド、チタンn−ブトキシド等が挙げられる。
また、これらの金属を含む原料ガスを分解して金属酸化物を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、などが挙げられる。
金属元素を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで、各種の金属酸化物を得ることができる。
これらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合し、プラズマ放電発生装置にガスを送りこむ。
このような放電ガスとしては、窒素ガスおよび/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素がコストも安く好ましい。
上記放電ガスと反応性ガスを混合し、混合ガスとしてプラズマ放電発生装置(プラズマ発生装置)に供給することで膜形成を行う。放電ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、放電ガスの割合を50%以上として反応性ガスを供給する。
以上のように、上記のような原料ガスを放電ガスと共に使用することにより様々な無機薄膜を形成することができる。
次いで、本発明のハードコート層付積層体の製造方法において、本発明に係る金属酸化物層の形成に好適に用いることのできるプラズマCVD法及び大気圧プラズマCVD法について、更に詳細に説明する。
本発明に係るプラズマCVD法について説明する。
プラズマCVD法(化学的気相成長法)は、揮発・昇華した有機金属化合物が高温の基材表面に付着し、熱により分解反応が起き、熱的に安定な無機物の薄膜が生成されるというものである。このような通常のCVD法(熱CVD法とも称する)では、通常500℃以上の基板温度が必要であるため、プラスチック基材への製膜には使用することが難しい。
一方、プラズマCVD法は、基材近傍の空間に電界を印加し、プラズマ状態となった気体が存在する空間(プラズマ空間)を発生させ、揮発・昇華した有機金属化合物がこのプラズマ空間に導入されて分解反応が起きた後に基材上に吹きつけられることにより、金属酸化物の薄膜を形成するというものである。プラズマ空間内では、数%の高い割合の気体がイオンと電子に電離しており、ガスの温度は低く保たれるものの、電子温度は非常な高温のため、この高温の電子、あるいは低温ではあるがイオン・ラジカルなどの励起状態のガスと接するために無機膜の原料である有機金属化合物は低温でも分解することができる。したがって、金属酸化物を製膜する樹脂基材についても低温化することができ、樹脂基材上へも十分製膜することが可能な製膜方法である。
しかしながら、プラズマCVD法においては、ガスに電界を印加して電離させ、プラズマ状態とする必要があるため、通常は、0.10kPa〜10kPa程度の減圧空間で製膜していたため、大面積のフィルムを製膜する際には設備が大きく操作が複雑であり、生産性の課題を抱えている方法である。
これに対し、大気圧近傍でのプラズマCVD法では、真空下のプラズマCVD法に比べ、減圧にする必要がなく生産性が高いだけでなく、プラズマ密度が高密度であるために製膜速度が速く、更にはCVD法の通常の条件に比較して、大気圧下という高圧力条件では、ガスの平均自由工程が非常に短いため、極めて平坦な膜が得られ、そのような平坦な膜は、光学特性が良好である。以上のことから、本発明においては、大気圧プラズマCVD法を適用することが、真空下のプラズマCVD法よりも好ましい。
また、この方法によれば、樹脂基材上、更に詳しくはハードコート層上に金属酸化物膜を形成させたときの膜密度が緻密であり、安定した性能を有する薄膜が得られる。また残留応力が圧縮応力で、0.01MPa以上,100MPa以下という範囲の金属酸化物膜が安定に得られることが特徴である。
以下、大気圧あるいは大気圧近傍での大気圧プラズマCVD法を用いた金属酸化物層の形成方法について述べる。
先ず、本発明に係る金属酸化物層の形成に使用されるプラズマ製膜装置の一例について、図3〜図6に基づいて説明する。図中、符号Fはハードコート層を有する基材樹脂の一例としての長尺フィルムである。
図3または図4等に述べるプラズマ放電処理装置においては、ガス供給手段から、前記金属を含む原料ガス、分解ガスを適宜選択して、またこれらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合してプラズマ放電発生装置にガスを送りこむことで前記セラミック膜を得ることができる。
放電ガスとしては、前記のように窒素ガスおよび/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素がコストも安く好ましい。
図3はジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置であり、プラズマ放電処理装置、二つの電源を有する電界印加手段の他に、図3では図示してない(後述の図4に図示してある)が、ガス供給手段、電極温度調節手段を有している装置である。
プラズマ放電処理装置10は、第1電極11と第2電極12から構成されている対向電極を有しており、該対向電極間に、第1電極11からは第1電源21からの周波数ω、電界強度V、電流Iの第1の高周波電界が印加され、また第2電極12からは第2電源22からの周波数ω、電界強度V、電流Iの第2の高周波電界が印加されるようになっている。第1電源21は第2電源22より高い高周波電界強度(V>V)を印加出来、また第1電源21の第1の周波数ωは第2電源22の第2の周波数ωより低い周波数を印加出来る。
第1電極11と第1電源21との間には、第1フィルタ23が設置されており、第1電源21から第1電極11への電流を通過しやすくし、第2電源22からの電流をアースして、第2電源22から第1電源21への電流が通過しにくくなるように設計されている。
また、第2電極12と第2電源22との間には、第2フィルタ24が設置されており、第2電源22から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源21からの電流をアースして、第1電源21から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
第1電極11と第2電極12との対向電極間(放電空間)13に、後述の図4に図示してあるようなガス供給手段からガスGを導入し、第1電極11と第2電極12から高周波電界を印加して放電を発生させ、ガスGをプラズマ状態にしながら対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、対向電極下面と基材Fとで作る処理空間をプラズマ状態のガスG°で満たし、図示してない基材の元巻き(アンワインダー)から巻きほぐされて搬送して来るか、あるいは前工程から搬送して来る基材Fの上に、処理位置14付近で薄膜を形成させる。薄膜形成中、後述の図4に図示してあるような電極温度調節手段から媒体が配管を通って電極を加熱または冷却する。プラズマ放電処理の際の基材樹脂の温度によっては、得られる金属酸化物膜の物性や組成等は変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材樹脂の温度ムラが出来るだけ生じないように電極の内部の温度を均等に調節することが望まれる。
図4は、本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
本発明に係る大気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置30、二つの電源を有する電界印加手段40、ガス供給手段50、電極温度調節手段60を有している装置である。
図4は、ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との対向電極間(放電空間)32で、基材Fをプラズマ放電処理して薄膜を形成するものである。
ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との間の放電空間(対向電極間)32に、ロール回転電極(第1電極)35には第1電源41から周波数ω、電界強度V、電流Iの第1の高周波電界を、また角筒型固定電極群(第2電極)36には第2電源42から周波数ω、電界強度V、電流Iの第2の高周波電界をかけるようになっている。
ロール回転電極(第1電極)35と第1電源41との間には、第1フィルタ43が設置されており、第1フィルタ43は第1電源41から第1電極への電流を通過しやすくし、第2電源42からの電流をアースして、第2電源42から第1電源への電流を通過しにくくするように設計されている。また、角筒型固定電極群(第2電極)36と第2電源42との間には、第2フィルタ44が設置されており、第2フィルタ44は、第2電源42から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源41からの電流をアースして、第1電源41から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
A1 神鋼電機 3kHz SPG3−4500
A2 神鋼電機 5kHz SPG5−4500
A3 春日電機 15kHz AGI−023
A4 神鋼電機 50kHz SPG50−4500
A5 ハイデン研究所 100kHz* PHF−6k
A6 パール工業 200kHz CF−2000−200k
A7 パール工業 400kHz CF−2000−400k
等の市販のものを挙げることが出来、何れも使用することが出来る。
また、第2電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
B1 パール工業 800kHz CF−2000−800k
B2 パール工業 2MHz CF−2000−2M
B3 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
B4 パール工業 27MHz CF−2000−27M
B5 パール工業 150MHz CF−2000−150M
等の市販のものを挙げることが出来、何れも好ましく使用出来る。
ここで高周波電界の波形としては、特に限定されない。連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モード等があり、そのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側(第2の高周波電界)は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
本発明に適用できる大気圧プラズマ放電処理装置としては、上記説明し以外に、例えば、特開2004−68143号公報、同2003−49272号公報、国際特許第02/48428号パンフレット等に記載されている大気圧プラズマ放電処理装置を挙げることができる。
以上の様な方法に従って、ハードコート層を有する樹脂基材に設けられる金属酸化物層の膜厚は、構成する金属酸化物の種類により異なるが、概ね、50〜2000nmの範囲であることが好ましい。
〔適用分野〕
以上の方法に従って作製されるハードコート層付積層体は、高い硬度と耐久性(密着性)に優れた特性を備えており、例えば、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、電界放出ディスプレイ(FED)等のディスプレイの表面材料や家電製品等のタッチパネル、各種の建築用の窓、例えば、住宅用窓、ショーウインドウ、車両用窓、車両用風防、遊戯機械等のガラス保護フィルム、あるいはガラス代替樹脂製品して、広い分野に適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《ハードコート層付積層体の作製》
〔樹脂基材〕
樹脂基材としては、厚さ100μmのポリカーボネート樹脂フィルム(帝人化成(株)製)を用いた。
〔試料1の作製〕
下記の方法に従って、ハードコート層付積層体である試料1を作製した。
(ハードコート層の形成)
下記のハードコート層塗布液1を調製し、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルタで濾過した後、これをエクストルージョン方式の塗布装置を用いて上記樹脂基材上に塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして塗布層を硬化させ、厚さ9μmのハードコート層1を形成した。
ハードコート層1における酸化珪素粒子の充填率(体積%)は、20%である。
〈ハードコート層用塗布液1〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 100質量部
光反応開始剤(イルガキュア184(チバ・ジャパン(株)製)) 5質量部
酢酸エチル 120質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 120質量部
シリコン化合物(BYK−307(ビックケミージャパン社製)) 0.4質量部
酸化珪素粒子(日本アエロジル(株)製、一次平均粒径30nm) 25質量部
(金属酸化物層の形成)
図4に示すロール電極型放電処理装置を用いてプラズマ放電処理を実施し、上記樹脂基材上のハードコート層1を形成した試料のハードコート層1上に、膜厚が150nmで,SiOのみで構成される金属酸化物層1を形成した。放電処理装置は、ロール電極に対向して棒状電極を複数個フィルムの搬送方向に対し平行に設置し、各電極部に原料(下記放電ガス、反応ガス1、2)及び電力を投入出来る構造を有する。
ここで各電極を被覆する誘電体は対向する電極共に、セラミック溶射加工のものに片肉で1mm被覆した。被覆後の電極間隙は、1mmに設定した。また誘電体を被覆した金属母材は、冷却水による冷却機能を有するステンレス製ジャケット仕様であり、放電中は冷却水による電極温度コントロールを行いながら実施した。ここで使用する電源は、応用電機製高周波電源(80kHz)、パール工業製高周波電源(13.56MHz)を使用した。その他処理条件は以下の通りである。
〈金属酸化物層1の形成条件〉
放電ガス:Nガス
反応ガス1:酸素ガスを全ガスに対し5%
反応ガス2:テトラエトキシシラン(TEOS)を全ガスに対し0.1%
低周波側電源電力:80kHz、10W/cm
高周波側電源電力:13.56MHz、10W/cm
〔試料2の作製〕
上記試料1の作製において、ハードコート層用塗布液1中の酸化珪素粒子(平均粒径:30nm)を、平均粒径が16nmの酸化珪素粒子に変更したハードコート層用塗布液1を用いた以外は同様にして、試料2を作製した。
〔試料3の作製〕
上記試料1の作製において、ハードコート層塗布液1の調製時に、樹脂バインダー(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)と酸化珪素粒子の添加量を調整して、充填率を75質量%に変更したハードコート層用塗布液3を用いた以外は同様にして、試料3を作製した。
〔試料4の作製〕
上記試料1、2の作製において、下記方法で第1層、第2層を順次積層して2層構成のハードコート層を塗設した以外は同様にして、試料4を作製した。
樹脂基材上に、試料2の作製に用いたハードコート層用塗布液2を、乾燥膜厚が4.5μmとなる条件で、エクストルージョン方式の塗布装置で塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第1層を形成した。次いで、その上に、試料1の作製に用いたハードコート層用塗布液1を用いて、乾燥膜厚が4.5μmとなる条件で、エクストルージョン方式の塗布装置で塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第2層を形成して、試料4を作製した。
〔試料5の作製〕
上記試料1の作製において、ハードコート層用塗布液1に代えて、下記ハードコート層用塗布液5を用いた以外は同様にして、試料5を作製した。
〈ハードコート層用塗布液5〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 37.5質量部
光反応開始剤(イルガキュア184(チバ・ジャパン(株)製)) 1.9質量部
酢酸エチル 45質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 45質量部
シリコン化合物(BYK−307(ビックケミージャパン社製)) 0.2質量部
無機粒子A:酸化珪素粒子(一次平均粒径:30nm) 15質量部
無機粒子B:酸化珪素粒子(一次平均粒径:16nm) 10質量部
上記各添加剤を混合、溶解した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルタで濾過して、ハードコート層用塗布液5を調製した。ハードコート層における酸化珪素粒子の充填率(体積%)は、40%で、無機粒子Aと無機粒子Bの体積比は6:4である。
〔試料6の作製〕
上記試料1の作製において、ハードコート層用塗布液1に代えて、下記ハードコート層用塗布液6を用いた以外は同様にして、試料6を作製した。
〈ハードコート層用塗布液6〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 8.3質量部
光反応開始剤(イルガキュア184(チバ・ジャパン(株)製)) 0.4質量部
酢酸エチル 10質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
シリコン化合物(BYK−307(ビックケミージャパン社製)) 0.1質量部
無機粒子A:酸化珪素粒子(一次平均粒径:30nm) 15質量部
無機粒子B:酸化珪素粒子(一次平均粒径: 7nm) 10質量部
上記各添加剤を混合、溶解した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルタで濾過して、ハードコート層用塗布液6を調製した。ハードコート層における酸化珪素粒子の充填率(体積%)は、75%で、無機粒子Aと無機粒子Bの体積比は6:4である。
〔試料7の作製〕
上記試料6の作製において、ハードコート層用塗布液6中の無機粒子A(平均粒径:30nm)を平均粒径が55nmの酸化珪素粒子に変更し、無機粒子B(平均粒径:7nm)を平均粒径が16nmの酸化珪素粒子に変更したハードコート層用塗布液7を用いた以外は同様にして、試料7を作製した。
〔試料8の作製〕
上記試料7の作製において、ハードコート層用塗布液6中の無機粒子A(平均粒径:55nm)を、平均粒径が80nmの酸化珪素粒子に変更したハードコート層用塗布液8を用いた以外は同様にして、試料8を作製した。
〔試料9の作製〕
上記試料1、6の作製において、下記方法で第1層、第2層を順次積層して2層構成のハードコート層を塗設した以外は同様にして、試料9を作製した。
樹脂基材上に、試料1の作製に用いたハードコート層用塗布液1を、乾燥膜厚が4.5μmとなる条件で、エクストルージョン方式の塗布装置で塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第1層を形成した。次いで、その上に、試料6の作製に用いたハードコート層用塗布液6を用いて、乾燥膜厚が4.5μmとなる条件で、エクストルージョン方式の塗布装置で塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第2層を形成して、試料9を作製した。
〔試料10の作製〕
上記試料9の作製において、第1層形成用塗布液を、ハードコート層用塗布液1に代えて、試料2の作製に用いたハードコート層用塗布液2を用いて順次積層して2層構成のハードコート層を塗設した以外は同様にして、試料10を作製した。
〔試料11の作製〕
下記方法で第1層〜第3層を順次積層して、3層構成のハードコート層を塗設した以外は試料1と同様にして、試料11を作製した。
樹脂基材上に、試料1の作製に用いたハードコート層用塗布液1を、乾燥膜厚が3.0μmとなる条件で、エクストルージョン方式の塗布装置で塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第1層を形成した。次いで、その上に、下記ハードコート層用塗布液11を用いて、乾燥膜厚が3.0μmとなる条件で、エクストルージョン方式の塗布装置で塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第2層を形成した。次いで、その上に、試料6の作製に用いたハードコート層用塗布液6を用いて、乾燥膜厚が3.0μmとなる条件で、エクストルージョン方式の塗布装置で塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第3層を形成して、試料11を作製した。
〈ハードコート層用塗布液11〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 25質量部
光反応開始剤(イルガキュア184(チバ・ジャパン(株)製)) 1.2質量部
酢酸エチル 30質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 30質量部
シリコン化合物(BYK−307(ビックケミージャパン社製)) 0.1質量部
無機粒子A:酸化珪素粒子(一次平均粒径:16nm) 15質量部
無機粒子B:酸化珪素粒子(一次平均粒径:7nm) 10質量部
上記各添加剤を混合、溶解した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルタで濾過して、ハードコート層用塗布液11を調製した。ハードコート層(第2層)における酸化珪素粒子の充填率(体積%)は50%で、無機粒子Aと無機粒子Bの体積比は6:4である。
〔試料12の作製〕
試料11の作製において、第1層目の塗布液を、ハードコート層用塗布液1に代えて、試料2の作製に用いたハードコート層用塗布液2を用いた以外は同様にして、試料12を作製した。
〔試料13の作製〕
試料11の作製において、第3層目の樹脂バインダー(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)と無機粒子の添加量を調整して、充填率を85質量%に変更したハードコート層用塗布液13を用いた以外は同様にして、試料13を作製した。
〔試料14の作製〕
試料11の作製において、第3層目の樹脂バインダー(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)と無機粒子の添加量を調整して、充填率を95質量%に変更したハードコート層用塗布液14を用いた以外は同様にして、試料14を作製した。
〔試料15〜17の作製〕
試料11の作製において、第3層目の無機粒子Aと無機粒子Bの体積比を6:4から、7:3、5:5、3:7にそれぞれ変更した以外は同様にして、試料15〜17を作製した。
〔試料18の作製〕
試料11の作製において、第3層目の無機粒子Aと無機粒子Bを酸化珪素粒子に代えて、それぞれ酸化チタン粒子を用いた以外は同様にして、試料18を作製した。
〔試料19の作製〕
試料11の作製において、第3層目の無機粒子Aと無機粒子Bを酸化珪素粒子に代えて、それぞれ酸化ジルコニウム粒子を用いた以外は同様にして、試料19を作製した。
〔試料20の作製〕
試料11の作製において、第1層〜第3層の各塗布液を、3層同時重層塗布可能なエクストルージョン方式の塗布装置を用いて、樹脂基材上に塗布し、10秒間その状態を維持した後、試料1に記載の方法と同様にして乾燥及び硬化を行って、ハードコート層を形成した以外は同様にして、試料20を作製した。
〔試料21の作製〕
試料11の作製において、金属酸化物層の形成を、大気圧プラズマCVD法に代えて、下記のプラズマCVD法を用いた以外は同様にして、試料21を作製した。
薄膜形成装置として、サムコ社製プラズマCVD装置Model PD−270STPを用いて製膜を行った。
製膜条件は以下の通りである。
酸素圧力:40Pa
反応ガス:テトラエトキシシラン(TEOS)5sccm(standard cubic centimeter per minute)
電力:13.56MHzで100W
基材保持温度:120℃
〔試料22の作製〕
試料11の作製において、ハードコート層を形成した後、ハードコート層面に対し、金属ロールを備えたカレンダー装置を用いて、金属ロールの表面温度60℃、線圧3.0kN/cm、速度20m/秒でカレンダー処理を施した。次いで、金属酸化物層を同様にして形成し、試料22を作製した。
以上のようにして作製した各ハードコート層付積層体におけるハードコート層の構成を、表1に示す。
Figure 2010000739
なお、表1にて略称で記載した項目の詳細は、以下の通りである。
*1:無機粒子Aの平均粒径r1/無機粒子Bの平均粒径r2
*2:無機粒子Aの体積(%):無機粒子Bの体積(%)
*3:カレンダー処理の有無
*A:単層塗布
*B:各層逐次塗布
*C:3層同時重層塗布
《ハードコート層付積層体の評価》
上記作製したハードコート層付積層体(試料1〜22)について、下記の各評価を行った。
〔密着性の評価〕
上記作製した各ハードコート層付積層体を、JIS K 5400に準拠した碁盤目試験により、密着性の評価を行った。
各ハードコート層付積層体の各層を形成した面に、片刃のカミソリの刃で表面に対して90度の切り込みを1mm間隔で縦横に11本ずつ入れ、1mm角の碁盤目を100個作成した。この碁盤目上に市販のセロファンテープを貼り付け、その一端を手でもって垂直にはがし、切り込み線からの貼られたテープ面積に対するガスバリア層が剥がされた面積の割合を測定し、下記の評価基準に従って密着性を評価した。また、剥離を起こした試料については、剥離した層の確認も同時に行った。
5:全く剥離が認められない
4:剥がれた層の面積が1%以上、5%未満であった
3:剥がれた層の面積が5%以上、10%未満であった
2:剥がれた層の面積が、10%以上、20%未満であった
1:剥がれた層の面積が、20%以上である
〈剥離位置〉
a:樹脂基材とハードコート層の第1層間で剥離を生じた
b:ハードコート層の最表層と金属酸化物層間で剥離を生じた
−:剥離を全く起こさなかった
〔硬度の評価〕
(評価1:鉛筆硬度試験)
JIS S 6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K 5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い測定した。試験には、鉛筆硬度試験機(HA−301 クレメンス型引掻硬度試験機)を使用した。硬度のランクは(軟)6B〜B、HB、F、H〜9H(硬)の順に6Bが最も柔らかく、9Hが最も硬い。
(評価2:耐擦過性の評価〕
上記作製した各ハードコート層付積層体表面(金属酸化物層形成面側)を、摩擦試験機HEIDON−14DRで、スチールウール(ボンスター #0000)を用い、荷重:65kPa、移動速度:15mm/分の条件で、20回の擦過処理を行った後、1cm×1cmの範囲をルーペで観察し、下記の基準に従って、耐擦過性の評価を行った。
◎:全く擦り傷の発生が認められない
○:擦り傷の発生が1本以上、5本以下である
△:擦り傷の発生が6本以上、15本以下である
×:擦り傷の発生が16本以上、25本以下である
××:擦り傷の発生が26本以上である
〔平滑性の評価〕
上記作製した各ハードコート層付積層体表面(金属酸化物層形成面側)の表面状態を目視観察し、下記の基準に則り平滑性の評価を行った。
◎:極めて平滑な表面である
○:ほぼ良好な平面性である
△:僅かに凹凸形状が確認されるが、実用上許容される品質である
×:表面に凹凸形状が確認され、平滑性に劣る品質である
××:表面に明確な凹凸形状が確認され、極めて平滑性に劣る品質である
〔折り曲げ耐性の評価〕
上記作製した各ハードコート層付積層体を3cm×10cmの大きさに裁断し、10℃、15%RHの環境下で24時間調湿した。調湿した各試料を、ハードコート層側を外側にして直径20mmの棒に巻き付けて巻き戻した後、全面積での表面のひび割れの発生度合いを目視観察し、下記の基準に従ってひび割れ耐性を評価した。
◎:ひび割れの発生がまったく認められない
○:ほぼひび割れが発生は認められない
△:ひび割れが若干発生するが、実用上許容される膜面品質である
×:ひび割れが発生し、実用上問題となる品質である
××:ひび割れが多数発生し、実用に耐えない品質である
以上により得られた結果を、表2に示す。
Figure 2010000739
表2に記載の結果より明らかな様に、本発明で規定する構成からなるハードコート層を有する本発明の試料は、比較例に対し、樹脂基材とハードコート層、あるいはハードコート層と金属酸化物層間での密着性に優れ、かつ最表面の鉛筆硬度試験及び耐擦過性に優れ、高い硬度と優れた折り曲げ耐性及び平滑性を備えていることが分かる。
比較例である従来型のハードコート層付積層体の一例を示す構成断面図である。 本発明の平均粒径が異なる2種の無機粒子を含有するハードコート層を有するハードコート層付積層体の一例を示す構成断面図である。 本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。 本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 ハードコート層付積層体
2 樹脂基材
3、3A、3B、3C、3D、 ハードコート層
4、6、7 無機粒子
5 金属酸化物層
S1、S2、S3 ハードコート層と金属酸化物層との界面
10、30 プラズマ放電処理装置
11 第1電極
12 第2電極
14 処理位置
21、41 第1電源
22、42 第2電源
32 放電空間(対向電極間)
40 電界印加手段
50 ガス供給手段
52 給気口
53 排気口
F 基材
G ガス
G° プラズマ状態のガス

Claims (13)

  1. 樹脂基材の少なくとも一方の面に、ハードコート層及び金属酸化物層をこの順で積層したハードコート層付積層体において、該ハードコート層は、平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子を同一層内に含有し、最も平均粒径の大きな無機粒子Aの平均粒径をr1とし、最も平均粒径の小さな無機粒子Bの平均粒径をr2としたとき、r1/r2が2.0以上である層を少なくとも1層有することを特徴とするハードコート層付積層体。
  2. 前記平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子を含有する層における前記最も平均粒径の大きな無機粒子Aと前記最も平均粒径の小さな無機粒子Bとの体積比が、7:3〜3:7の範囲であることを特徴とする請求項1記載のハードコート層付積層体。
  3. 前記平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子を含有する層の該無機粒子の充填率(体積%)が、60質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のハードコート層付積層体。
  4. 前記ハードコート層が2層以上の層から構成され、該層の少なくとも1層は、前記平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子を含有する層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
  5. 前記最も平均粒径の小さな無機粒子Bの平均粒径が、5nm以上、20nm以下で、かつ前記最も平均粒径の大きな無機粒子Aの平均粒径が、10nm以上、200nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
  6. 前記平均粒径が異なる少なくとも2種類の無機粒子を含有する層が、前記金属酸化物層と接していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
  7. 基材上に前記ハードコート層を形成した後、前記金属酸化物層を形成するまでにカレンダー処理を施すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
  8. 前記無機粒子A及び無機粒子Bのいずれもが、酸化珪素粒子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
  9. 前記ハードコート層が、湿式塗布法により形成されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
  10. 前記湿式塗布法が、複数の層を同時に塗布する多層同時塗布法であることを特徴とする請求項9に記載のハードコート層付積層体。
  11. 前記金属酸化物層の主成分が、酸化珪素であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
  12. 前記金属酸化物層が、プラズマCVD法により形成されたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
  13. 前記金属酸化物層を形成するプラズマCVD処理法が、大気圧または大気圧近傍の圧力下でプラズマ処理する大気圧プラズマCVD法であることを特徴とする請求項12に記載のハードコート層付積層体。
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