JP2006100217A - 透明導電性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】高い透明性および導電性を有し、しかも塗膜強度に優れた塗布型の透明導電性シートを提供する。
【解決手段】透明基板上に設けられる透明導電性塗膜を、導電性酸化物粒子を含有する上層透明導電性塗膜層と、これよりも透明基板側に位置して無機粒子を含有する下層透明塗膜層との少なくとも2層を含んでなる構造とし、このうちの上層透明導電性塗膜層の平均空孔率を30%以下に設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明基板上に透明導電性塗膜を設けてなる透明導電性シートに関し、さらに詳しくは透明導電性塗膜が2以上の層から構成されている塗布型の透明導電性シートに関する。
従来、透明導電性塗膜として、酸化スズ粒子、アンチモン含有酸化スズ粒子、スズ含有酸化インジウム粒子などをバインダ中に分散させて基板上に塗布した塗膜が知られている。中でもスズ含有酸化インジウム粒子を用いた塗膜は、その可視光に対する高い透光性と、その高い導電性から、静電気防止や電磁波遮蔽が要求されるCRT画面、LCD画面などのデイスプレー用や、さらにはタッチパネル用など、広範囲での応用が期待されている。スズ含有酸化インジウムは、可視光に対して透明であると同時に、酸素欠損により導電性を示す半導体であり、酸化インジウム中のスズがSn4+となって電子供給源となり、高い導電性を示すと考えられている。
スズ含有酸化インジウム粒子をバインダ(結合剤)中に分散させて塗布して使用する場合、高い導電性を得るためには、通常、塗膜中に粒子を高充填するか、粒子サイズの大きい粒子を用いることが有効である。これは、バインダは通常絶縁性であるため、塗膜中のバインダの占有体積を少なくし、導電性物質であるスズ含有酸化インジウム粒子が占有する体積を多くすることにより、導電性を高くする、あるいは、スズ含有酸化インジウムの粒子サイズを大きくすることで粒子内電子伝導距離を増加させ、粒子間接触点を減らし、接触抵抗を減少させることにより、導電性を高くするものである。しかしながら、塗膜中にスズ含有酸化インジウム粒子を高充填するとバインダ量が減少し、スズ含有酸化インジウム粒子同士、およびスズ含有酸化インジウム粒子と基材との結合が弱くなり、塗膜の強度が低下し、ひび割れ、剥がれなどを引き起こす。また、本来、スズ含有酸化インジウム粒子などの無機粒子は不透明なものであり、粒子サイズを大きくしすぎると透明性に悪影響を及ぼすため、通常では可視光波長の下限値(約400nm)の1/2よりも小さな粒子サイズである約200nm以下の粒子が用いられる。
一方で高い透明性を得るためには、塗膜中の粒子の充填率を低くするか、粒子サイズの小さい粒子を用いることが有効である。なぜなら、スズ含有酸化インジウム粒子のような無機粒子それ自体は本質的には不透明で光を透過させないが、このような無機粒子を含ませた塗膜中においてその占有体積を小さくするか、光の波長以下まで粒子サイズを小さくすることで、塗膜の透明性を確保できるようになるからである。
このように、導電性を向上させるために無機粒子の充填率を上げたり粒子サイズを大きくしたりすると、透明性および塗膜強度の低下を招き、逆に高い透明性を得るために塗膜中の無機粒子の充填率を低くしたり粒子サイズを小さくすると、導電性が低下することになり、これらはお互いトレードオフの関係にある。
このような事情から、従来においては、高い透明性と優れた導電性と所要の塗膜強度とを併せ持った透明導電性シートはいまだ見当たらない。例えば特許文献1には、粒子径40nmのスズ含有酸化インジウム粒子を用いて、塗膜中の粒子の体積含有率を60〜80%とし、膜厚3μmの乾燥塗布膜を作製した後、スチールロールによって圧延処理を施したものが挙げられているが、表面抵抗率が100Ω/ □以下である場合には、全光透過率が70%以下となり、全光透過率が80%程度という高い透明性を保持するためには、表面抵抗率が犠牲になる結果となっている。
また、特許文献2には、特許文献1の塗膜強度を向上させたものとして、上記スチールロールによる圧延処理の後、電子線硬化処理を施すことにより作製した透明導電性シートが挙げられているが、いずれも全光透過率は80%前後であるのに対し、表面抵抗率は200Ω/ □以上となっている。
上記文献に記載された透明導電性シートは、いずれも透明導電性塗膜が単層構造のものであるが、少なくとも一層の導電膜と少なくとも一層の透明膜とを組み合わせて複数の機能を持つ重層塗布構造の透明導電性シートも知られている。例えば特許文献3では、スズ含有酸化インジウムを含有するスピンコートされた透明導電膜の上層に、黒色顔料微粒子を含有した膜をスピンコートにより形成し、低透過率透明導電性基材が得られている。たたじ、この特許文献3記載の技術は、帯電防止効果(その表面抵抗率は10kΩ/ □以上となっている)を確保する一方で、黒色顔料を用いて透過率を減少させることにより表面反射を抑制することが目的となっている。
特開平4−237908号公報 特開平5−36314号公報 特開2000−294041号公報
上記のように従来においては、所要の塗膜強度を確保した上で高い透明性と優れた導電性とを両立させた塗布型の透明導電性シートは未だ実現されていない。特に透明性と導電性について言えば、目的に応じて適当にバランスさせているにすぎず、両者ともに高い次元でバランスさせたものは見当たらない。そのため、従来における塗布型の透明導電性シートでは、蒸着やスパッタ法で作製したスズ含有酸化インジウム膜(ITO膜)に比べて特性において見劣りし、塗布媒体の簡便性と低コスト性を十分に活かしきれておらず、限られた用途にしか適用できないのが現状である。
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、従来は不可能と考えられてきた高い充填率で無機粒子を含有させ、かつ塗膜強度を保ち、優れた導電性と高い透明性とを両立させた透明導電性シートを実現することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、塗布型の透明導電性シートを構成する透明導電性塗膜を、従来の導電性粒子を含む単層の塗布膜ではなく、重層構成の塗布膜とすることで、透明性を損なうことなく導電性粒子を高充填でき、したがって所要の塗膜強度を保った上で高い透明性と優れた導電性が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、透明基板上に透明導電性塗膜を設けてなる透明導電性シートにおいて、前記透明導電性塗膜が、ITO粒子等の導電性酸化物粒子を含有する上層透明導電性塗膜層と、これよりも下層側つまり透明基板側に位置して無機粒子およびバインダを含有する下層透明塗膜層との少なくとも2層を含んでなり、かつ、このうちの上層透明導電性塗膜層の平均空孔率が30%以下である構成としたものである。
このような平均空孔率を有する上層透明導電性塗膜層は、透明基板上に、無機粒子を含有する下層透明塗膜層用の塗料を塗布し、さらにその上に他の中間層等を介して或いは中間層等を介することなく直接、導電性酸化物粒子を含有する上層透明導電性塗膜層用の塗料を塗布して乾燥させた後、得られた塗膜に対しカレンダ処理あるいはプレス処理を施すことによって作製することができる。
ここで、上記平均空孔率における「空孔」とは導電性酸化物や無機粒子等用いた粉体が存在しない空間のことを意味し、FIB(収束イオンビーム法)により加工された塗膜の断面SEM写真の黒色部分を指す。この平均空孔率を測定することにより、塗膜がプレス処理されて、膜中にある酸化物微粒子、無機微粒子が高充填化されていることがわかる。ここで、カンレンダーまたはプレス後の平均空孔率は30%以下とする必要があり、好ましくは25%以下である。平均空孔率が30%以上である場合には、カレンダ処理またはプレス処理されていないと考えられ、粒子が密に詰まっておらず、空孔が大きいため、導電性および透光性が向上しない。一方、平均空孔率の下限値については、上述したような本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、実際には現在一般に市販されているプレス装置(例えば康井精機社製スーパーカレンダLC−52)で8%未満の平均空孔率を達成しようとしても圧力の限界を超えてしまうため、現状では、実現できない。すなわち、平均空孔率の実用上の下限値は8%であり、好ましい上限値は25%である。
単層の透明導電性塗膜の場合には、導電性酸化物粒子を高い比率で含有させると、その分だけ逆にバイダーの含有量が少なくなるため、その塗膜強度が低下する。また、上記のようなカレンダ処理あるいはプレス処理を行っても、後述するように、その圧力効果はその表面の近傍部分に止まるため、深層部分(下層側部分)ではカレンダ処理等の前後で導電性酸化物粒子の充填率はあまり変化しないことが多い。
これに対して、本発明の透明導電性シートのように、その透明導電性塗膜が、導電性酸化物粒子を含む透明導電性塗膜層の下側に無機粒子およびバインダを含有した透明塗膜層を設けた重層構成とされていると、カレンダ処理あるいはプレス処理を行ったときに、透明導電性塗膜の表面側の部分を形成している上層透明導電性塗膜層にカレンダ等あるいはプレスによる圧力効果が十分に及ぶため、上層透明導電性塗膜層においては導電性酸化物粒子の充填率が単層の透明導電性塗膜の場合に比べて高くなる。
また、カレンダ処理あるいはプレス処理を行って上層透明導電性塗膜層を圧縮したときには、上層透明導電性塗膜層における下部側の導電性酸化物粒子がその直下に位置する下層透明塗膜層あるいは中間層に食い込んだ状態となり、その部分がアンカー効果を発揮することにより、上層透明導電性塗膜層がその直下の中間層あるいは下層透明塗膜層に対して強固に結合され、同時に表面平滑性も向上する。しかも、カレンダ処理あるいはプレス処理による圧縮時には、上層透明導電性塗膜層の導電性酸化物粒子間にも例えば下層透明塗膜層側からのバインダが浸透して、上層透明導電性塗膜層の導電性酸化物粒子同士の結合を強固なものとする。したがって、このようなバインダによる結合と前記アンカー効果による結合さらにはカレンダ処理あるいはプレス処理の圧力効果による粒子間の結合により、透明導電性塗膜について所要の塗膜強度を確保することが可能となる。
このように本発明の構成によれば、透明導電性塗膜層中の導電性酸化物粒子の高い充填率と塗膜強度の確保とを矛盾なく両立させることができ、導電性や塗膜強度を犠牲にすることなく高い透明性を持った透明導電性シートを実現することができる。
本発明によれば、所要の塗膜強度と高い透明性と優れた導電性とを併せ持った透明導電性シートを実現できる。具体的には例えば透明導電性塗膜の厚さが1.0〜10μmの範囲にあり、全光透過率が70〜95%で、かつ表面抵抗率が10〜1000Ω/ □である透明導電性シートを実現できる。
従来の導電性粒子を含む単層の塗布膜では、導電性を向上させるために導電性粒子の含有率を上げると、導電性粒子同士および導電性粒子と基材との結合が弱くなり塗膜強度が著しく低下し、さらに、導電性粒子そのものによる透過光の遮蔽のみならず、バインダ成分の減少により表面に直接導電性粒子が現れることにより表面平滑性が低下し散乱光が増え、透明性が低下するため、ある程度の妥協点を見出して含有率が決定されていた。これに対して、本発明の透明導電性シートのように、無機粒子を含有する塗膜層(透明塗膜層)を別に形成し、例えばこの層を下層に用いて導電性粒子を含有する塗膜層(透明導電性塗膜層)を上層に重層塗布し、プレス処理あるいはカレンダ処理を施すことにより、上層の導電性粒子が均一に下層中に埋め込まれるため、表面平滑性が向上し、導電性粒子間の隙間に下層のバインダ成分が浸透し、その結果、導電性粒子の含有率を増加させても塗膜強度および透明性が低下せず、導電性を飛躍的に向上させることができる。
通常塗布膜をプレス処理あるいはカレンダ処理する場合には、その圧力効果は塗膜の表面に近い部分にしか及ばないため、実際には、塗布した導電性粒子のうちの一部のみが高密度となり、表面部分を主として導電パスが形成される結果となる。
一方、導電性粒子を高充填した単層塗布膜にプレス処理あるいはカレンダ処理を施した場合には、導電性は向上するが、バインダ成分が不十分なため、塗膜強度を維持することが困難になる。したがって導電性粒子の充填率が高くなると、導電性は向上する反面、塗膜強度が低下する。
これに対して、本発明の透明導電性シートのように、無機粒子を含有する塗膜層を下層に用い、上層に導電性粒子を含有する塗膜層を形成した場合には、プレス処理あるいはカレンダ処理の効果が現れやすい上層部分に導電性層が存在するため、導電性層は効率的に圧力の効果を受け、導電性粒子が高密度となることによる導電性の向上と、塗膜中の平均空孔率が減少し膜表面の散乱光の減少による透明性の向上とを図ることができる。
また、プレス処理あるいはカレンダ処理により、上層の導電性粒子の隙間に、下層に含まれるバインダ成分が浸透するため、導電性粒子を高充填させても、十分な塗膜強度を保つことができる。さらには、高充填される上層に導電性粒子が存在するため、少ない導電性粒子に対して効果的に導電性を発現させることができる。
このように、本発明の透明導電性シートは、好ましい構成として、無機粒子を含有する塗膜層を下層に、導電性粒子を含有する塗膜層を上層に設けてプレス処理あるいはカレンダ処理することにより、上層の導電性粒子が効率的に高密度化され導電性が向上し、表面における散乱光が減少し、かつ、最上層の導電性粒子間の隙間に下層中のバインダ成分が浸透するため、十分な塗膜強度を保持することができる。
導電性粒子を含む上層透明導電性塗膜層中の導電性粒子の含有量が86〜99重量%であり、無機粒子を含有する下層透明塗膜層中の無機粒子の含有量が50〜80重量%の範囲のときに導電性と透明性のバランスの最も良好な透明導電性シートとなる。導電性と透明性のバランスさらには塗膜強度の確保を考慮すると、上層透明導電性塗膜層および下層透明塗膜層を含んでなる透明導電性塗膜の厚さは、1.0〜10μmの範囲が好ましい。このような構成によれば、シートの全光透過率が70〜95%の範囲にあり、かつ表面抵抗率が10〜1000Ω/□の範囲にある透明導電性シートを実現できる。
本発明は、塗布型の透明導電性シートにおいて、これまで不可能と考えられてきた、透明性と導電性の両立を実現し、同時に所要の塗膜強度を確保したものであり、その特性はスパッタ膜などの、薄膜の透明導電性膜の特性に匹敵する。
次に、本発明の透明導電性シートの製造方法について説明する。
(下層透明塗膜層用塗料の作製)
亜鉛、アルミニウム、アンチモン、インジウム、ガドリニウム、ガリウム、カルシウム、クロム、ケイ素、ゲルマニウム、コバルト、ジルコニウム、スズ、セリウム、タングステン、チタン、鉄、銅、鉛、ニッケル、バリウム、ビスマス、マグネシウム、マンガン、モリブデン、の酸化物または水酸化物から選ばれる一種あるいは二種以上の粒子、あるいは、上記元素から選ばれる一種あるいは二種以上の元素を含有する、複合酸化物粒子または複合水酸化物粒子を、下層透明塗膜層中の含有量が50〜80重量%の範囲になるようにバインダ溶液中に添加して、分散させる。上記無機粒子のうち、酸化亜鉛、アルミニウム置換酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化スズ、スズ含有酸化インジウム、または、これらに元素置換を施した無機粒子が、透明膜を形成する上でより好ましい。ここで言う含有量とは、上記無機粒子とバインダ、および他の各種の添加剤など、最終的な下層透明塗膜層中に占める無機粒子の重量割合を示す。含有量が50重量%より少ない場合には、透明性は良好であるが、バインダ成分が過多となり塗膜の硬度が上がり、プレス処理等を施した際に、導電性粒子が効率的に埋め込まれにくくなる。含有量が80重量%より多くても、透明性が損なわれなければ問題はないが、一般的に無機粒子の含有率を高くすると、透明性の高い塗膜を作製することの難易度が上がるため、好ましくない。したがって上記無機粒子の含有率は、50〜80重量%が好ましく、より好ましくは60〜75重量%の範囲である。
(上層透明導電性塗膜層用塗料の作製)
アルミニウム、スズ、インジウム、亜鉛、フッ素、ガリウム、アンチモン、珪素などから選ばれる、一種あるいは二種以上の元素を含む導電性酸化物粒子を、上層透明導電性塗膜層中の含有量が86〜99重量%の範囲になるようにバインダ溶液中に添加して、分散させる。上記導電性酸化物粒子のうち、酸化亜鉛、アルミニウム置換酸化亜鉛、ガリウム置換酸化亜鉛、フッ素置換酸化スズ、アンチモン置換酸化スズ、スズ含有酸化インジウム、アルミニウム置換スズ含有酸化インジウム、亜鉛含有酸化インジウム、スズ亜鉛含有酸化インジウム、および、これらに元素置換あるいは、酸化珪素や酸化アルミニウム等による表面処理を施した導電性酸化物粒子がより好ましい。中でもアルミニウム置換スズ含有酸化インジウムは、高い導電性と透明性が得られやすいため特に好ましい。
上記含有量が86重量%より小さい場合には、透明性は良好であるが導電性粒子の充填率が低く、プレス処理等を施した際に、バインダ成分の割合が大きいために導電性粒子が高密度になりにくく、高い導電性を得にくい。また含有量が99重量%より多い場合には、バインダが少ないため、導電性粒子を均一に分散することが困難になるため好ましくない。したがって上記無機粒子の含有率は、86〜99重量%が好ましく、より好ましくは90〜98重量%の範囲である。
上記無機粒子および導電性酸化物粒子を分散させるバインダとしては、特に限定されるものではないが、例えば、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体、ニトロセルロース、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などがあり、これらの中から、1種または2種以上が組み合わせて用いられる。とくに、アクリル樹脂は、光学特性と分散性の良好な樹脂として好ましく使用される。ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタンなどが挙げられる。
また、無機粒子および導電性酸化物粒子の分散性を向上するための分散剤を添加することもできる。このような分散剤としては、従来から公知のものをいずれも使用することができる。
本発明において、透明導電性塗膜を形成するための透明基板としては、特に限定されるものではなく、従来から使用されている基板あるいは基材をすべて使用できる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフオン、アラミド、芳香族ポリアミドなどからなる、厚さが通常3〜300μmのフィルムまたはシートが用いられる。また基板は、特にフレキシブルである必要はなく、ガラス板のような硬質の基板も使用できる。
なお、これらの基板には、酸化防止剤、難燃剤、耐熱防止剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤等の添加剤が添加されていてもよい。さらに、膜の密着性を向上させるために、基板表面に易接着層(プライマー)を設けたり、またはコロナ処理、プラズマ処理などの公知の表面処理を行っても良い。
下層透明塗膜層用塗料(無機粒子分散塗料)および上層透明導電性塗膜層用塗料(導電性酸化物粒子分散塗料)の調製に用いる有機溶剤には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの炭酸エステル系溶剤、エタノール、イソプロパノールなどのアルコ―ル系溶剤のほか、ヘキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
(下層透明塗膜層の作製)
まず第一に、上記の方法により作製した下層透明塗膜層用塗料を、基板上に塗布する。塗布方法は、特に限定されるものではないが、例えばダイコーター、バーコーター、アプリケータ、スクリーン塗布、グラビア塗布、マイクログラビア塗布、スライド塗布、カーテン塗布などにより塗布される。
塗布により形成される下層透明塗膜層の厚さは、特に限定されるものではないが、なるべく高い透明性を示し、かつ上層に塗布される透明導電性塗膜層の粒子が効率的に埋め込まれるようにするために、カレンダ処理あるいはプレス処理(以下、「プレス処理等」あるいは単に「プレス処理」ともいう)前の乾燥後の厚さが0.5〜10μmになるように設定する。塗膜層の厚さが0.5μm以下では、透明性の面では問題ないが、上層透明導電性塗膜層の導電性粒子が均一に高密度化されにくくなる。塗膜厚さが10μm以上でも特に問題はないが、さらに上層塗膜を塗布することなどから、高い透明性を示すことが難しくなり、また、塗料を多量に使用することとなり、メリットがない。したがって無機粒子を含む下層透明塗膜層は、プレス処理等を施す前の段階において、0.5〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。プレス処理等を施した後の下層透明塗膜層の厚さは0.5〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。
下層透明塗膜層は二層以上の多層膜であっても良い。例えば、屈折率や紫外線透過率、赤外線透過率等において、異なる光学特性を持つ層を何層かに塗り分け、最上層に透明導電性塗膜層を形成しても良い。この場合でも、下層透明塗膜層および上層透明導電性塗膜層を含む透明導電性塗膜のプレス後の総膜厚が0.5〜10μmになるように設定することが好ましいが、特に透明性が損なわれなければ、光学特性等の効果を高めるために、10μm以上であってもかまわない。
(上層透明導電性塗膜層の作製)
上記の上層透明導電性塗膜層用塗料を、上述した下層透明塗膜層上に塗布する。塗布方法は、特に限定されるものではないが、例えばダイコーター、バーコーター、アプリケータ、スクリーン塗布、グラビア塗布、マイクログラビア塗布、スライド塗布、カーテン塗布などにより塗布される。
このような塗布により形成される上層透明導電性塗膜層の厚さは、プレス処理等の効果が現れる範囲とし、かつ高い導電性を得るために、プレス処理前の乾燥後の厚さが0.5〜6μmになるように設定する。塗膜の厚さが0.5μm以下でも、プレス処理等の効果は透明導電性塗膜層全体に及び、かつ透明性の面でも問題はないが、高い導電性が得られにくくなる。また塗膜厚さが6μmを超えると、塗膜全体にプレス処理等の効果が現われにくく、含有されている導電性酸化物粒子全てが高密度化されにくく、かつ高い透明性が得られにくくなるため好ましくない。したがって導電性酸化物粒子を含む上層透明導電性塗膜層は、プレス処理等を施す前の段階において、0.5〜12μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。プレス処理等を施した後の上層透明導電性塗膜層の厚さは0.5〜6μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。
作製した透明導電性塗膜に対してプレス加工処理やカレンダ処理をすることにより、導電性酸化物粒子が高充填化され、その結果、上層透明導電性塗膜層中の平均空孔率が減少し、膜の導電性、光学特性が向上する。光学特性においては、特に粒子間空隙による散乱光が減少することにより、光散乱強度を表す値であるヘイズ値が著しく減少し、透明性の高いものとなる。
カレンダ処理する場合は、処理速度1〜30m/分、熱処理温度は、上記バインダを構成している樹脂のガラス転移温度(Tg)に対し、Tg±50℃の範囲内、加圧条件は面圧力9.8×104 〜9.8×106 Pa(1〜100kg/cm2 )の範囲内が有効である。また、プレス処理する場合は、熱処理温度は、上記バインダを構成している樹脂のガラス転移温度(Tg)に対し、Tg±50℃の範囲内、加圧条件は面圧力9.8×104 〜9.8×106 Pa(1〜100kg/cm2 )の範囲内が有効である。
[実施例]
以下、本発明の実施例について説明する。なお、以下の例では、塗膜層、塗膜および導電性シートの名称に「透明」や「導電性」の語を付したが、これは実施例・比較例間で対応する各部を比較しやすくするためである。したがって、必ずしも高い透明性や導電性を有していることを意味するものではない。得られた透明導電性シートの透明性および導電性のレベルは、後述する全光透過率および表面抵抗率によってそれぞれ定量的に示される(表1等参照)。
〈下層透明塗膜層〉
水熱合成法で作製した平均粒子径50nmの板状の水酸化酸化アルミニウム(ベーマイト)微粒子を用いて、下記塗料成分を攪拌、混合した後、直径0.3mmのジルコニアビーズを加え、ペイントシェイカー(東洋精機社製)を用いて20分間分散させて下層透明塗膜層用塗料を調整した。この塗料は、固形分濃度が40重量%であり、固形分中の水酸化酸化アルミニウム粒子濃度が80重量%である。この塗料を、透明基板としての厚さが100μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフイルム)上に、マイクログラビアコーター(康井精機社製)を用いて塗布し、下層透明塗膜層を作製した。この層の乾燥後の厚さは、3.2μmであった。
・水酸化酸化アルミニウム粒子 80部
・アクリル樹脂(三菱レーヨン社製BR113) 20部
・メチルエチルケトン 75部
・トルエン 75部
〈上層透明導電性塗膜層〉
次に、水熱合成法で作製した平均粒子径が約50nmのアルミニウム置換スズ含有酸化インジウム粒子(Al置換ITO粒子)を用いて、下記塗料成分を攪拌、混合した後、直径0.3mmのジルコニアビーズを加え、ペイントシェイカーを用いて25分間分散させて上層透明導電性塗膜層用塗料を調整した。この塗料は、固形分濃度が40重量%であり、固形分中の水酸化酸化アルミニウム粒子濃度が95重量%である。この塗料を上記の下層透明塗膜層上に、上記と同様のマイクログラビアコーターを用いて塗布し、上層透明導電性塗膜層を作製した。この層と先の下層透明塗膜層とを合わせた透明導電性塗膜の乾燥後の総膜厚は、7.3μmであり、このうち上層透明導電性塗膜層の厚さは4.1μmであった。
・アルミニウム置換スズ含有酸化インジウム粒子 95部
・アクリル樹脂(三菱レーヨン社製BR113) 5部
・メチルエチルケトン 75部
・トルエン 75部
〈カレンダ処理〉
以上の塗膜について、5段メタルカレンダ機(康井精機社製)を用いてカレンダ処理を行うことにより、表面に透明導電性塗膜を有する導電性シートを作製した。カレンダ処理の条件は、温度100℃、面圧力100×9.8×104 Pa(100kg/cm2 )、処理時間10分とした。カレンダ処理後の透明導電性塗膜の厚さは、4.4μmであった。
実施例1の導電性シートの作製法において、乾燥後の上層透明導電性塗膜層の膜厚を2.9μmとし、透明導電性塗膜の総膜厚を4.4μmとした以外は、実施例1と同様にしてカレンダ処理を施し、透明導電性シートを作製した。カレンダ後の透明導電性塗膜の厚さは、3.4μmであった。図2に、作製した透明導電性塗膜のカレンダ処理前の断面SEM写真を示し、図3に、透明導電性塗膜のカレンダ処理後の断面SEM写真を示す。
実施例1の導電性シートの作製法において、乾燥後の下層透明塗膜層の膜厚を6.4μm、上層透明導電性塗膜層の膜厚を2.3μm、透明導電性塗膜の総膜厚を8.7μmとした以外は、実施例1と同様にしてカレンダ処理を施し、透明導電性シートを作製した。カレンダ後の透明導電性塗膜の厚さは、5.5μmであった。
実施例1の導電性シートの作製法において、乾燥後の下層透明塗膜層の膜厚を6.4μm、上層透明導電性塗膜層の膜厚を1.1μm、透明導電性塗膜の総膜厚を7.5μmとした以外は、実施例1と同様にしてカレンダ処理を施し、透明導電性シートを作製した。カレンダ後の透明導電性塗膜の厚さは、3.8μmであった。
実施例1において、アルミニウム置換スズ含有酸化インジウム粒子、アクリル樹脂の添加量を、それぞれ97部、3部に変更した以外は、実施例1と同様にして上層透明導電性塗膜層用塗料を作製し、乾燥後の厚さ3.2μmの下層透明塗膜層上に上層透明導電性塗膜層を作製した。上層透明導電性塗膜層の乾燥後の厚さは2.1μmであり、透明導電性塗膜の総膜厚は5.3μmであった。この透明導電性塗膜について、実施例1と同様にカレンダ処理を施し、透明導電性シートを作製した。カレンダ後の透明導電性塗膜の厚さは、3.5μmであった。
実施例1において、アルミニウム置換スズ含有酸化インジウム粒子、アクリル樹脂の添加量を、それぞれ90部、10部とした以外は、実施例1と同様にして上層透明導電性塗膜層用塗料を作製し、乾燥後の厚さ3.2μmの下層透明塗膜層上に上層透明導電性塗膜層を作製した。乾燥後の上層透明導電性塗膜層の厚さは2.4μmであり、透明導電性塗膜の総膜厚は5.6μmであった。この透明導電性塗膜について、実施例1と同様にカレンダ処理を施し、透明導電性シートを作製した。カレンダ後の透明導電性塗膜の厚さは、3.7μmであった。
実施例1において、下層透明塗膜層に用いる水酸化酸化アルミニウム粒子を、水熱合成法で作製した平均粒子径30nmの板状の酸化珪素に変更した以外は、実施例1と同様にして下層透明塗膜層用塗料を作製し、乾燥後の厚さ3.1μmの下層透明塗膜層上に透明導電性塗膜層を作製した。乾燥後の透明導電性塗膜層の厚さは4.1μmであり、透明導電性塗膜の総膜厚は7.2μmであった。この透明導電性塗膜について、実施例1と同様にカレンダ処理を施し、透明導電性シートを作製した。カレンダ後の透明導電性塗膜の厚さは、4.2μmであった。
実施例1において、下層透明塗膜層に用いる水酸化酸化アルミニウム粒子を、水熱合成法で作製した、平均粒子径60nmの四角板状形状を有するスズ含有酸化インジウム粒子に変更した以外は、実施例1と同様にして下層透明塗膜層用塗料を作製し、乾燥後の厚さ2.2μmの下層透明塗膜層を作製した。この下層透明塗膜層上に実施例1と同様にして上層透明導電性塗膜層を作製した。乾燥後の上層透明導電性塗膜層の厚さは2.1μmであり、透明導電性塗膜の総膜厚は4.3μmであった。この透明導電性塗膜について、実施例1と同様にカレンダ処理を施し、透明導電性シートを作製した。カレンダ後の透明導電性塗膜の厚さは、3.1μmであった。
実施例1において、下層透明塗膜層に用いる水酸化酸化アルミニウム粒子を、粒子径10〜30nmの球状のコロイダルシリカ(日産化学工業(株) 製 MIBK−ST)に変更した以外は、実施例1と同様にして下層透明塗膜層用塗料を作製し、乾燥後の厚さ2.1μmの下層透明塗膜層を作製し、さらにその上に上層透明導電性塗膜層を作製した。乾燥後の上層透明導電性塗膜の厚さは2.1μmであり、透明導電性塗膜の総膜厚は、4.2μmであった。この透明導電性塗膜について、実施例1と同様にカレンダ処理を施し、透明導電性シートを作製した。カレンダ後の透明導電性塗膜の厚さは、3.1μmであった。
実施例9において、下層透明塗膜層と上層透明導電性塗膜層とをスライド塗布(同時重層塗布)により作製した後、乾燥することにより、透明導電性塗膜を作製した。乾燥後の上層透明導電性塗膜層の厚さは2.9μmであり、透明導電性塗膜の総膜厚は、5.6μmであった。この透明導電性塗膜について、実施例1と同様にカレンダ処理を施し、透明導電性シートを作製した。カレンダ後の透明導電性塗膜の厚さは、4.2μmであった。同時重層塗布により作製した上層透明導電性塗膜層および下層透明塗膜層のそれぞれの厚さは、断面SEM写真より、任意の10視野の厚みを測定し、それらの平均とした。
実施例1おいて、上層透明導電性塗膜層に用いる導電性微粒子を一次粒子径が50nmのAlドープZnO(AZO)に変更した以外は、実施例1と同様にして上層透明導電性塗膜層用塗料を作製し、乾燥後の厚さ4.1μmの下層透明塗膜層上に上層透明導電性塗膜層を作製した。カレンダ処理前の透明導電性塗膜の総膜厚は、7.3μmであった。この透明導電性塗膜について、実施例1と同様にカレンダ処理を施し、透明導電性シートを作製した。カレンダ後の透明導電性塗膜の厚さは、4.4μmであった。
実施例1に示す下層膜の作製方法のうち、水酸化酸化アルミニウム粒子を平均粒子径70nmの酸化亜鉛粒子に変更した以外は、実施例1と同様にして、下層塗膜を作製した。この膜厚は4.4μmだった。さらに、この下層塗膜の上に、実施例1に示す水酸化酸化アルミニウムの塗料を用い、厚さ4.5μmの中間層を作製した。その後、最上層に実施例1と同様に作製した導電性塗料を塗布した。最上層の導電性膜の厚さは3.3μmであり、総膜厚は、12.2μmであった。この塗布膜について、実施例1と同様にカレンダ処理を施し、透明導電性シートを作製した。カレンダ後の塗膜の厚さは、9.8μmであった。
実施例1において、水酸化アルミニウム、アクリル樹脂の添加量を、それぞれ45部、55部とした以外は、実施例1と同様にして、下層透明塗膜層を作製した後、アルミニウム置換スズ含有酸化インジウム粒子、アクリル樹脂の添加量を、それぞれ87部、16部とした上層透明導電性塗膜層用塗料を調整し、これを用いて下層透明塗膜層上に上層透明導電性塗膜層を作製した。乾燥後の上層透明導電性塗膜層の厚さは、2.4μmであり、透明導電性塗膜の総膜厚は5.6μmであった。この透明導電性塗膜について、実施例1と同様にカレンダ処理を施し、透明導電性シートを作製した。カレンダ後の透明導電性塗膜の厚さは、3.7μmであった。
実施例1において、アルミニウム置換スズ含有酸化インジウム粒子、アクリル樹脂の添加量を、それぞれ84部、16部とした上層透明導電性塗膜層用塗料を調整し、これを用いて実施例1と同様に下層透明塗膜層上に上層透明導電性塗膜層を作製した。乾燥後の上層透明導電性塗膜層の厚さは、2.4μmであり、透明導電性塗膜の総膜厚は5.6μmであった。この透明導電性塗膜について、実施例1と同様にカレンダ処理を施し、透明導電性シートを作製した。カレンダ後の透明導電性塗膜の厚さは、3.7μmであった。
実施例1において、水酸化酸化アルミニウム、アクリル樹脂の添加量を、それぞれ82部、18部とした以外は、実施例1と同様にして、下層透明塗膜層を作製した後、アルミニウム置換スズ含有酸化インジウム粒子、アクリル樹脂の添加量を、それぞれ95部、5部とした上層透明導電性塗膜層用塗料を調整し、これを用いて下層透明塗膜層上に上層透明導電性塗膜層を作製した。乾燥後の上層透明導電性塗膜層の厚さは、2.5μmであり、透明導電性塗膜の総膜厚は5.8μmであった。この透明導電性塗膜について、実施例1と同様にカレンダ処理を施し、透明導電シートを作製した。カレンダ後の透明導電性塗膜の厚さは、4.1μmであった。
[比較例1]
実施例1において、下層透明塗膜層を作製しなかったことと、アルミニウム置換スズ含有酸化インジウム粒子を用いて透明導電性塗膜層用塗料を調整し、これを用いてPETフィルムからなる透明基板上に透明導電性塗膜層を作製したこと以外は、実施例1と同様にして透明導電性塗膜を作製した。乾燥後の透明導電性塗膜層つまり透明導電性塗膜の膜厚は、4.3μmであった。この透明導電性塗膜について、実施例1と同様にしてカレンダ処理を行うことにより、透明導電性シートを作製した。カレンダ処理後の透明導電性塗膜の厚さは、3.4μmであった。
[比較例2]
実施例1において、下層に用いる塗料の、水酸化酸化アルミニウム粒子、アクリル樹脂の添加量を、それぞれ35部、65部に変更した以外は、実施例1と同様にして透明導電性塗膜層を作製し、乾燥後の厚さ3.1μmの下層透明塗膜層上に上層透明導電性塗膜層を作製した。乾燥後の上層透明導電性塗膜層の厚さは2.2μmであり、透明導電性塗膜の総膜厚は5.3μmであった。この透明導電性塗膜について、実施例1と同様にカレンダ処理を施し、透明導電性シートを作製したが、作製直後に、光学顕微鏡で観察できる大きさの多数のひび割れを生じた。カレンダ後の透明導電性塗膜の厚さは、3.4μmであった。
[比較例3]
実施例1と同様にして透明導電性塗膜を作製した後、カレンダ処理を行なうことなく、透明導電性シートを作製した。透明導電性塗膜の総厚みは、7.3μmであった。
[比較例4]
実施例1において、水酸化酸化アルミニウム粒子の固形分中の含率を45%に調整した下層透明塗膜層用塗料を用い、実施例1と同様にして透明導電性塗膜を作製した。その後、カレンダ処理を施さず、透明導電シートを作製した。
《平均空孔率》
実施例1〜15、比較例1〜4でそれぞれ得られた透明導電性シートについて、平均空孔率を調べた。平均空孔率は、FIB(収束イオンビーム法)により加工された塗膜の断面SEM 写真の塗膜部分に1.5ミクロンを4等分するように厚み方向に線を引き、それぞれの線で通った空孔の割合を測定し、その平均値を平均空孔率とする。平均空孔率が小さいほど、塗膜の空孔が少なく、空孔による散乱光が減少することを示し、透明導電シートとして優れていることを示している。
《全光透過率測定》
実施例1〜15、比較例1〜4でそれぞれ得られた透明導電性シートについて、全光透過率を調べた。全光透過率は、日本分光製の紫外可視分光光度計を用いて、入射光強度に対する透過光強度の割合を測定した。これらの評価結果を、表1にまとめて示す。表1では、全光透過率の値が大きいほど、透明性が高いことを示しており、透明導電性シートとして優れていることを示している。また、同様の装置を用いて、全光透過率とは別に光の波長による透過率変化を測定した。実施例1および実施例12の透明導電性シートについて測定した、この可視光域(350〜780nm)の透過率スペクトルを図1および図4にそれぞれ示す。
《ヘイズ値測定》
実施例1〜15、比較例1〜4でそれぞれ得られた透明導電性シートについて、ヘイズ値を求めた。ヘイズ値は、日本分光製の紫外可視分光光度計を用いて、JIS K7105に規定された方法により測定、算出した。これらの評価結果を、表1にまとめて示す。
《表面抵抗率測定》
実施例1〜15、比較例1〜4でそれぞれ得られた透明導電性シートについて、表面抵抗率を測定した。表面抵抗率は、三菱化学製の抵抗率計ロレスターGPを用いて、四端子法により測定した。なお、電圧端子間距離は5mmである。これらの評価結果を、表1にまとめて示す。表1では、表面抵抗率の値が小さいほど、導電性が高いことを示しており、透明導電性シートとして優れていることを示している
《剥離試験》
実施例1〜15、比較例1〜4でそれぞれ得られた透明導電性シートについて、セロテープ(登録商標)剥離試験を行った。この評価結果を表1にまとめて示す。剥離試験は各10回づつ行い、評価は以下のように定義した。
・10回中0〜1回剥離:○
・10回中2〜4回剥離:△
・10回中5回以上剥離:×
Figure 2006100217
表1から明らかなように、各実施例で得られた重層塗布した透明導電性シートは、各比較例で得られたものに比べて、全光透過性、導電性ともに優れている。
各実施例では、下層透明塗膜層に上層透明導電性塗膜層の導電性粒子が埋め込まれ、バインダ成分が上層透明導電性塗膜層中に浸透することにより、塗膜強度を保つことができている。一方、比較例1では、充填率の高い透明導電性塗膜を一層で塗布したため、バインダ量が足りず、導電性粒子同士および、粒子と透明基板(基材)であるPETフィルムとの結合が弱く、簡単に剥離してしまい塗膜強度が弱い。同じ理由で、粒子間空隙による光散乱のため光学特性の低下も見られる。比較例3では、実施例1に示されているカレンダ処理を行わなかったため、比較例1と同様の理由で光学特性が全光透過率60%と低く、ヘイズ値が50%と非常に高い値となり、光学フィルムには適さないことがわかる。
次に、各実施例では、透明導電性塗膜層中の導電性粒子の充填率が高められていることにより、カレンダ処理の効果が最大限に引き出されており、1000Ω/ □以下、中でも優れたものでは100Ω/ □以下の高い導電性が現れている。これに対し比較例3では、上層の導電性粒子の充填率が低いため、透明性および塗膜強度の面では問題ないが、カレンダ処理の効果が現れにくく、十分な導電性を実現することができない。
また各実施例では、下層に用いる透明塗膜層における無機粒子濃度を適切な範囲に設定したことにより、透明性、導電性に影響を与えず、高い塗膜強度を保つことができているが、比較例2,3は、下層に用いる透明塗膜層における無機粒子濃度が高すぎても低すぎても、優れた特性が現れないことがわかる。比較例3では、無機粒子濃度が高すぎるために透明性が低下し、さらに、塗膜全体としてのバインダ量が減少したために塗膜強度も低下している。次に比較例2では、無機粒子濃度が低すぎるために下層の硬度が増し、上層の透明導電塗膜層が効率的に下層に埋め込まれず、結果、塗膜にひび割れが生じている。このひび割れにより、塗膜強度はもちろん、導電性、透明性も著しく劣化している。
またさらに実施例12では、下層に紫外線吸収能を持つ酸化亜鉛粒子を用い、中間層にベーマイト粒子を用いることにより、上層の導電性粒子による高い導電性を損なうことなく、紫外線遮蔽機能を持たせることができる。このように、下層あるいは中間層に光学的な特徴を持つ粒子を用いることにより、高い導電性と同時に光学的な特徴を持った膜を作製することができる。
実施例1で得られた透明導電性シートの、可視光域(380〜780nm)の透過率スペクトルを示した図である。 実施例2で得られた透明導電性シートの、カレンダ前の断面SEM写真である。 実施例2で得られた透明導電性シートの、カレンダ後の断面SEM写真である。 実施例12で得られた透明導電性シートの、可視光域(350〜780nm)の透過率スペクトルを示した図である。

Claims (6)

  1. 透明基板上に透明導電性塗膜を設けてなる透明導電性シートであって、
    前記透明導電性塗膜が、導電性酸化物粒子を含有する上層透明導電性塗膜層と、これよりも透明基板側に位置して無機粒子およびバインダを含有する下層透明塗膜層との少なくとも2層を含んでなり、
    このうちの上層透明導電性塗膜層の平均空孔率が30%以下であることを特徴とする透明導電性シート。
  2. 導電性酸化物粒子は、スズ含有酸化インジウム、またはスズ含有酸化インジウムをアルミニウム置換したものからなる、請求項1記載の透明導電性シート。
  3. 透明導電性塗膜の厚さが1.0〜10μmの範囲にある、請求項1または2記載の透明導電性シート。
  4. 導電性酸化物粒子は、アルミニウム、スズ、インジウム、亜鉛、フッ素、ガリウム、アンチモンまたは珪素から選ばれる一種または二種以上の元素を含有してなる、請求項1ないし3のいずれかに記載の透明導電性シート。
  5. 上層透明導電性塗膜層中の導電性酸化物粒子の含有率が86〜99重量%である、請求項1ないし4のいずれかに記載の透明導電性シート。
  6. 下層透明塗膜層中の無機粒子の含有率が50〜80重量%である、請求項1ないし5のいずれかに記載の透明導電性シート。
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