JP2009536926A - 抗真菌剤を含む複合製剤の使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、外陰膣カンジダ症、口腔咽頭カンジダ症(口腔カンジダ症)、おむつ皮膚炎(おむつカンジダ症)、及び間擦性湿疹から選択されるカンジダ真菌症の局所的治療用の複合薬剤を製造するための、上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビターの使用に関する。
Description
本発明は、カンジダ真菌症の治療のための、抗真菌剤を含む複合製剤の使用に関する。酵母、主にカンジダ属の種(カンジダ・アルビカンス(Candida albicans ))は通常日和見感染症の病原菌であり、これは全身性又は局所性免疫防御能が障害された時にのみ病原性になる(例えば、HIV患者、白血病患者、化学療法中の患者、乳児、糖尿病の間擦性湿疹)。例外は、本来健康な女性の外陰膣カンジダ真菌症である。しかし膣カンジダ症にも、病原体の病原性を上昇させるいくつかの因子があり、各個人の素因によっては、無症候性定着から症候性疾患に変化することがある。
外陰膣真菌症は、最近増加しているよくある疾患である。最近の推計によると、4人の女性のうちの3人は一生に少なくとも1回膣真菌症にかかる。これらの症例の5%では疾患は慢性−再発性経過をとり、これがしばしば患者の自覚性障害を構成する。妊娠中は、患者側に特に促進性要因があり、他方では可能な治療法がかなり制限され、第3に、生まれてくる新生児が感染するため治療が絶対に必要であるため、膣真菌症の治療は特に困難である。
一方口腔咽頭カンジダ症は、免疫系が未成熟な新生児のみではく、免疫防御能が傷害されている患者、例えばHIV患者、化学療法を受けている患者、及び悪性血液腫瘍に罹患している患者でも問題である。すでに指摘されているように、感染性疾患は、衰弱した免疫抑制されたヒトを特に簡単に攻撃し、ここでカンジダ属の種により引き起こされる多くの疾患のように、無害の共生生物が病原体となる。
しかし、治療においてこの事実は機構が充分考慮されていない。これまで、真菌への直接的「攻撃」と組合せて患者の生理学的反応に影響を与えることにより、細胞レベルで病原体の感染性を公然と低下又は停止させた薬剤又は薬剤中の医薬物質の組合せの販売が認可された例は無い。
現在粘膜及び皮膚粘膜カンジダ症の治療はもっぱら抗真菌剤により行われ、これは各用量に応じて静真菌作用又は殺真菌作用を有し、かつ活性物質に応じて全身性又は局所性に適用される。
カンジダ真菌症、例えば口腔のカンジダ症又は膣真菌症の治療のために、多くの場合局所性治療のためにまた全身性治療のためにも、抗真菌作用を有する複数の薬剤が販売認可を得ている。使用されているほとんどすべての医薬物質の薬理活性機構は公知である。当然公知の機構のほとんどは感染性生物(細菌又は真菌)自体に向けられている。すなわちこれらの医薬物質の多くは、阻害によりエルゴステロール生合成(イソプレン生合成経路)を妨害する。医薬物質は、できるだけヒトの代謝と異なる生理学的プロセスを介して真菌を抑制又は死滅させるようとする。
WO00/56353A2では、アルファ−メラニン細胞刺激ホルモン由来のペプチドがカンジダ膣炎の治療に提唱されている。
EP1637132A1は、スポーツ選手の水虫の治療用組成物に関する。
EP0592348A1は、眼科疾患の治療用組成物に関する。
WO2005/117831は、真菌症の治療用注射剤のポサコナゾール含有製剤を記載する。
WO00/48633A1では、疎水性タンパク質に対する抗体がカンジダ真菌症を抑制するために提唱されている。
EP0592348A1は、眼科疾患の治療用組成物に関する。
WO2005/117831は、真菌症の治療用注射剤のポサコナゾール含有製剤を記載する。
WO00/48633A1では、疎水性タンパク質に対する抗体がカンジダ真菌症を抑制するために提唱されている。
US2003/181384A1は、おそらく感染症により引き起こされる上皮傷害を予防するための三葉型ポリペプチドの投与に関する。真菌塊の機械的除去のためのベンジダミンを含有する局所抗炎症性膣リンスが、Levyにより提唱されている(Rev. fr. Gynecol. Obstet. 84 (1989), 779-781)。
カンジダ膣炎(主にその慢性経過症例)について、利用できる範囲の活性薬剤は満足できる治療効果を与えない。これは、妊娠中の発症の場合に特に言える。
個人的素因の背後にある分子因子については詳細は不明であり、従って、真菌に対する同時の直接的「攻撃」と患者の生理学的反応への影響により、それぞれ細胞レベルで病原体の感染性を低下又は停止させる薬剤又は薬剤中の医薬物質の組合せはまだ無い。従って、従来の抗真菌剤の投与によっては充分に治療されていないカンジダ真菌症の治療法に対する緊急のニーズがある。特に、一方では粘膜の感染、主に外陰膣カンジダ症、口腔咽頭カンジダ症(口腔カンジダ症)、及び他方ではすでに傷害された(浸軟された)皮膚、例えばおむつ皮膚炎(おむつカンジダ症)、及び間擦性湿疹に関するカンジダ真菌症を治療すべきである。かかる治療法はまた、薬剤の特に注意深い使用を必要とする妊婦の外陰膣真菌症の治療を可能にするであろう。
従って本発明は、
− 抗真菌剤と、
− 外陰膣カンジダ症、口腔咽頭カンジダ症(口腔カンジダ症)、おむつ皮膚炎(おむつカンジダ症)、及び間擦性湿疹から選択されるカンジダ真菌症の局所的治療用の複合薬剤を製造するための、上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビターとの、使用に関する。
− 抗真菌剤と、
− 外陰膣カンジダ症、口腔咽頭カンジダ症(口腔カンジダ症)、おむつ皮膚炎(おむつカンジダ症)、及び間擦性湿疹から選択されるカンジダ真菌症の局所的治療用の複合薬剤を製造するための、上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビターとの、使用に関する。
好ましくは本発明で治療される真菌症は、病原体のみではなく(患者の)罹患された生体も疾患の発生と感染の維持に大きく寄与することを共有する。疾患に罹る傾向は免疫系が障害された患者で基本的に高いという事実は別にして、この関連で特に重要なことは感染性の機構である。近年になってから、抗感染物質に対する研究においてかかる考え方が研究されている。
細胞が病原体により侵される場合、感染性を決定する第1の工程は、細胞の原形質膜への病原体の付着である。そのような付着について、一般に複数の異なる接着分子(すなわち細胞−細胞相互作用)が知られるようになった。上皮細胞及び内皮細胞に接着する病原体の一般的能力はまた、接着分子との相互作用を介して起きる。ある病原体、ある臓器、及び疾患のある臨床像では、接着分子の特殊な組合せの関与が予測される。しかし感染症一般、特に真菌感染症について、部分的にのみ関与している接着因子が公表されているが、これらは包括的概念において要約されることは無く、又は治療的概念において導入されてもいない。本発明は、血小板の接着中の血液凝固過程において決定的な役割を果たし、かつその発現がアラキドン酸代謝の誘導体(特に、フォンウィルブラント因子、ビトロネクチン、フィブロネクチン、インテグリン)により誘導される同じ接着分子が、付随する因子又は病原体自体により、病原体への変換中に誘導され、そして次に主に日和見感染症病原体による接着のために使用されるという知見に基づく。
プロスタグランジンの影響下ではカンジダ真菌は、その発芽型から菌糸型へ変換され、これは増殖促進を伴うことがかなり前から知られている。プロスタグランジンはアラキドン酸の誘導体である。主に炎症性疾患やリウマチ疾患の治療に使用されるNSAIDの医薬物質の活性成分は、主にプロスタグランジン生合成を阻害する。真菌の増殖に対するNSAIDの影響はインビトロの実験で証明されている(Scott et al., Antimicrob. Ag. Chemother. 39(12) (1995), 2610-2614; Tarig et al., Antimicrob. Ag. Chemothera. 39(12) (1995), 2615-2619; Yucesoy et al., J. Chemother. 12 (2000), 385-389)。抗真菌剤とのこの組合せにおいて抗真菌作用の上昇が観察されているが、インビトロではある濃度とある組合せで、阻害ではなく増殖が促進されるため、これに対して「パラドックス作用」という用語が確立されている(Arai et al., Mycoses 48 (2005), 38-41)。すなわち種々の抗真菌剤と組合せたイブプロフェンの作用は様々である(Tarig et al., 1995)。カンジダ・アルビカンス(C. albicans)のフルコナゾール感受性株は、インビトロ系でイブプロフェンとフルコナゾールの組合せに対する応答の改善を示さない(Arai et al., 2005)。要約するとインビトロ試験の結果は、真菌の増殖に基づいて、その作用が使用される真菌株に依存するが、これらから、真菌感染の部位での医薬的効力について、ある方向(陽性)でも他の方向(陰性)でも結論を導くことができないことを示している。
いくつかの物質又は物質の組合せの抗真菌活性に関する通常のインビトロの実験は宿主の生理学的応答を考慮しないため、これらのインビトロ計画のいずれにおいても、それぞれ感染一般で細胞−細胞接着が果たす役割又は宿主の上皮もしくは内皮で起きている変化は扱われていない。
さらに関連する文献中では、特に慢性−再発性カンジダ外陰部膣炎の治療で起きている治療抵抗性は、いくつかのカンジダの亜種の発生の増加が原因であるとしている(しかし、結論的包括的考え方は提示していない)。特にこれらの亜種についてはインビトロの結果は全く存在しない。
カンジダの場合、発芽型から菌糸型への増殖習性の変化は層型成長(layer-type outgrowth)に必須である。これは病原体の病原性を明らかに増強する。次にプロスタグランジンE2により菌糸の生成が促進され、プロスタグランジンE2はまた炎症過程中に患者の内皮細胞/上皮細胞により生成される。また炎症過程中に起きる粘膜の粘液生成の上昇は、この病理過程である役割を果たす。
微小環境中のある促進条件下(例えば免疫が障害された状態)では、適切なホルモン条件下で、又は患者の遺伝的素因の場合でも、又は他方では、菌体密度感知により、ある病原体(例えば特にカンジダ属の種も)は、閉じた層を形成することにより皮膚、粘膜、又は内皮の患部外で成長することができる。これは病理過程を悪化させるだけでなく、増殖習性の変化のために局所的治療法による病原体の感受性も変化する。この増殖習性では病原体は、通常の局所的に適用された抗真菌剤によりもう攻撃されなくなる。慢性化が起き、局所的治療法から全身的治療法へ変えることが必要である。しかし全身的抗真菌剤療法は多くの抗真菌剤の広範囲の副作用のためにしばしば大きな障害を引き起こし、妊娠女性の場合は催奇性のために全身的治療法は完全に不可能である。しかし全身的治療法でさえ、カンジダ属の種[カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)とカンジダ・ブラブラータ(Candida glabrata)が最も高頻度の病原体である]により引き起こされる慢性−再発性外陰部膣炎と腟炎はしばしば治療されず、多くの女性は毎年何回かの再発を経験する。
本発明は、これまで知られていないが、酵母真菌が上皮細胞(又は内皮細胞)に接着すると体自体のアラキドン酸ベースの機構を利用し、このためその生物は通常細胞傷害性の病毒に反応するため感染性について重要である、という知見に基づいている。
アラキドン酸は、シクロオキシゲナーゼ経路でプロスタグランジンだけでなく、トロンボキサンとプロスタサイクリンにも変換される。トロンボキサンの影響下では、血小板は凝集し、傷害された膜に接着してこれを封鎖する。接着を可能にするために、異なる接着分子が血小板により提示されるだけでなく、接着のために内皮細胞が自体を特異的に準備させる。分子レベルではこれらの作用は主に接着分子(例えばフォンウィルブラント因子)により仲介される。接着中に起きるプロセスは、血小板と血管内皮中で一時的に調整される。血液凝固過程で敵対者として決定的な役割を果たすのは主にアラキドン酸カスケードの2つの誘導体であり、血小板の凝集を引き起こすトロンボキサン以外に、その「敵対者」であるプロスタサイクリンは反応プロセスが過度に全身に広がるのを防ぐ。トロンボキサンとプロスタサイクリンの生合成は異なる酵素により仲介される。
トロンボキサンはシクロオキシゲナーゼ−1(COX1)を介して、プロスタサイクリンはシクロオキシゲナーゼ−2(COX2)を介して合成される。
真菌感染の基本的な要素は、真菌/宿主相互作用が血小板/内皮相互作用に対する一連の機構的類似を含むということである。これは主に、炎症プロセスが宿主細胞中で真菌感染[すなわち非病原性又はおそらく病原性から、病原性物質への変化(例えばFiller et al., Inf. Immun. 64 (1996), 2609-2617; Cannom et al., J. Inf. Dis. 186 (2002), 389-396)]の前又は同時に起き、これはアラキドン酸カスケードを介して制御されること、又は真菌の接着は、宿主細胞中の以前の炎症プロセスにより可能になることを意味する。真菌側では、真菌の宿主細胞への接着は菌糸を介して起き、宿主細胞側では、これらの条件下で宿主細胞中で発現される接着分子(例えば、フォンウィルブラント因子、ビトロネクチン、フィブロネクチン、又は種々のインテグリン)を利用して、実質的にアラキドン酸依存性機構を介して行われる。
従って本発明の複合製剤中に上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビターを提供することは、抗真菌剤が本発明で治療されるカンジダ真菌症の感染部位で有効になるための基本的な要素である。上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビターの性質自体は決定的に重要ではなく、その選択は一般に抗真菌剤の最適活性(を促進するため)の製剤的態様により支配される。従って抗真菌剤と上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビターはまた、複合製剤中でその物理化学的性質に基づいて最適化される。本発明のこの接着インヒビターはアラキドン酸代謝に影響を与え、従って本発明の組合せは、感染部位での真菌感染に作用し、患者の内因性アラキドン酸機構を利用することにより、相乗作用をすることができる。
従って好ましくは、上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビターは、以下から選択される:
− 一方では内因性活性に帰因し、他方では治療条件下でCOX2と比較してCOX1の阻害の選択性の程度に帰因する、充分なCOX1阻害を有する非ステロイド抗炎症剤。これは、例えばメロキシカム又はジクロフェナックより選択的なCOX2阻害を示すすべての物質が、本発明では適切ではないことを意味する(例えば、もちろんアラキドン酸代謝に対する活性又は作用を示さないすべての物質も)。例えばIC50値のCOX2/COX2比を示して数による選択が行われるが、これは使用される方法により異なるであろう。適切な化合物は、K. Bruneら(Deutsches Arzteblatt 97, (26) 2000, A-1818/B-1538/C-1434)により提供されたデータに従って、例えばCOX2/COX2比(IC50)が≦20により規定される。
− 一方では内因性活性に帰因し、他方では治療条件下でCOX2と比較してCOX1の阻害の選択性の程度に帰因する、充分なCOX1阻害を有する非ステロイド抗炎症剤。これは、例えばメロキシカム又はジクロフェナックより選択的なCOX2阻害を示すすべての物質が、本発明では適切ではないことを意味する(例えば、もちろんアラキドン酸代謝に対する活性又は作用を示さないすべての物質も)。例えばIC50値のCOX2/COX2比を示して数による選択が行われるが、これは使用される方法により異なるであろう。適切な化合物は、K. Bruneら(Deutsches Arzteblatt 97, (26) 2000, A-1818/B-1538/C-1434)により提供されたデータに従って、例えばCOX2/COX2比(IC50)が≦20により規定される。
− プロスタサイクリン又はプロスタサイクリン類似体、好ましくはイラプロスト又はシカプロスト;又は
− 上皮及び内皮接着分子の発現のインヒビター、好ましくはチクロピジン又はクロピドグレル。
− 上皮及び内皮接着分子の発現のインヒビター、好ましくはチクロピジン又はクロピドグレル。
これらの3つの範疇は、上皮細胞又は内皮細胞接着の主要なインヒビターを構成する。すべての3つの群について、現在すでに市販の認可が得られているか又は実用化に近い段階の物質がある。
従って本発明の複合製剤には、それぞれ同様の方法で、血小板凝集を阻害する薬剤(例えば主にCOX1阻害を有するNSAID)、又はこのプロセスに関連する内皮細胞中の接着分子の発現もしくは機能を妨害する薬剤が含有される(これは、内皮又は上皮への病原体の接着を悪化させるか又は妨害する)。これは、適切な接着分子の発現の抑制により行われるだけでなく、主にこれらの表面分子の脱落を誘導/増強することにより行われる。同様にプロスタサイクリン自体及びプロスタサイクリン誘導体は、接着を低下又は停止させることができる。抗真菌剤と組合せた本発明のかかる化合物の使用は、感染を予防し、また感染経過中に起きる炎症性プロセスにより引き起こされる感染の「増強」を予防する。宿主の内皮細胞への真菌の接着のような複雑なプロセスが、公知のクラスの活性物質により影響を受けるという知見はこれまで知られておらず、本発明の複合製剤の基礎を構成し、これにより、特にこれまで治療できなかったか又は治療が困難であった好適なカンジダ真菌症の症例について本発明の驚くべき臨床的結果が達成される。
医薬物質の本発明の組合せは、真菌症[外陰部膣炎、口腔咽頭カンジダ症(口腔カンジダ症)、おむつ皮膚炎、間擦性湿疹]を治療するための局所適用(粘膜又は極度に腫脹した皮膚領域、例えばおむつカンジダ症、及び間擦性湿疹症例)を目的としており、上記したように、抗真菌剤と上皮細胞もしくは内皮細胞の接着インヒビターとからなり、このインヒビターは、上記機構を抑制することにより、上皮細胞及び/又は内皮細胞への病原体の接着と、影響を受けた上皮細胞もしくは内皮細胞セクターの層型の定着とを増悪させるか又は妨害する。
上記したように、NSAID化合物を使用することが特に好ましい。しかしNSAIDはそのプロフィール(COX1インヒビターCOX2インヒビター)に依存して、一般に接着に対する促進作用(COX2)もしくは阻害作用(COX1)を有するため、必ずしもすべてのNSAIDが本発明の複合製剤に適した化合物ではない。このため選択的COX2インヒビター(例えば、US2005/0014729Aに記載されているもの)を含有する組合せによる皮膚疾患の治療は、本発明の治療目的について間違いであり、すなわち患者の内皮細胞又は上皮細胞の接着低下を引き起こす。アラキドン酸機構に対する活性の無い高度に選択的なCOX2インヒビター又は抗炎症剤[例えばベンジルアミン(Riboldi et al., Br. J. Pharmacol. 140 (2003), 377-383)]は、本発明により規定される化合物とは無関係の化合物である。
NSAIDの選択性は、例えばIC50(マイクロM)COX1/COX2の比で表されるが、この値は一般に使用される薬理学的試験系に依存して大きく異なり、従って本発明ではこの値は、K. Bruneら(Deutsches Arzteblatt 97, (26) 2000, A-1818/B-1538/C-1434)により提供されたデータに従う数で決定される。
治療有効性に必須なのは、投与される各治療用量での充分なCOX1阻害(IC50の絶対値)である。NSAIDのほとんどは混合COX1/COX2インヒビターである。COX1阻害がある限りは、COX2阻害が非常に好ましい(疼痛の抑制のため)。従ってCOX2に対する親和性が無いか又はわずかしか無いNSAIDは、本発明で使用される物質である。しかし上記したように、治療条件下(用量)でCOX1作用が無いか又はCOX1作用が不充分な(極めて)選択的なCOX2インヒビターは適していない。逆に選択的COX2インヒビターは臨床像に負の影響を与え、従って本発明の治療範囲において避けるべきである。従って本発明においてCOX1/COX2比(上記文献に基づく)が>20の値を有するNSAIDは除外すべきである(販売認可が得られている高度に選択的なCOX2インヒビターについては100より大きい値が得られる、例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、エトリコキシブ)。
従って本発明の複合製剤中のNSAIDは、ジクロフェナック、フェンクロフェナック、アルクロフェナック、ロナゾラック、クリダナック、オキシピナック、クロピナック、トルメチン、インドメタシン、メフェナミン酸、フルフェナミン酸、メクロフェナミン酸、トルフェナミン酸、ニフルミン酸、フロクタフェニン、ブクロキシン酸、イブプロフェン、デキストロプロフェン、プラポプロフェン、ミロプロフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、アルミノプロフェン、チオキサプロフェン、チアプロフェン酸、イソキセパック、ニメスリド、メロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカム、ピロキシカム、ドロキシカム、スドキシカム、ナプロキセン、ブフェキサマック、エトフェナメート、フェルビナック、ナブメトン、ケトロラック、エトドラック、オキサプロシン、サリチル酸、アセチルサリチル酸、フルフェニサル、ジフルニサル、ベノリラート、フェンチアザック、アザプロパゾン、フェニルブタゾン、ケブゾン、これらの物質の薬学的に活性な塩もしくはエステル、又はこれらの物質の混合物、特にジクロフェナック、ニメスリド、フェンクロフェナック、アルクロフェナック、ロナゾラック、トルメチン、インドメタシン、メフェナミン酸、フルフェナミン酸、メクロフェナミン酸、フロクタフェニン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、アルミノプロフェン、メロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカム、ナプロキセン、エトフェナメート、フェルビナック、ナブメトン、ケトロラック、又はエトドラックから選択される。
抗真菌剤と上皮細胞又は内皮細胞との本発明の組合せの具体的な意義は、患者の内皮細胞及び/又は上皮細胞に対する接着抑制作用による治療効果に主に寄与する第2の成分の作用の程度に依存するであろう。従って用語「皮膚疾患」が、完全に異なる構造の広範囲の皮膚組織(成人の爪から乳児の粘膜まで)をカバーすることを考慮することが重要である。
本発明の複合製剤の好適な適応症として言及されているすべての疾患[外陰部膣炎、口腔咽頭カンジダ症(口腔カンジダ症)、おむつ皮膚炎(おむつカンジダ症)、及び間擦性湿疹]に共通なのは、これが、対応する接着分子の発現のために真菌コロニーの接着を可能にする患部組織部分の表面であることである。本発明の複合製剤は、真菌症の治療、好ましくはカンジダ真菌症の治療、典型的には上記のタイプの皮膚、すなわち尿生殖器及び口腔咽頭領域の粘膜、ならびにすでに障害された(浸軟、傷害、炎症性に変化)外皮に存在するカンジダ真菌症の治療に役立つ。
従って、上記の複合製剤を用いて、しばしば表皮のケラチン層に定着する皮膚糸状菌疾患の治療(EP−1390031−B1)を行うことは本発明の主題ではなく、これは、宿主の上皮への真菌の接着を妨害することにより提供される治療の成功への寄与は著しく低く、従って本発明の作用が発生しないためである。これは爪の真菌症(WO2000/028821A1)についても言えるが、これはここでもまた、本発明の複合製剤の使用は目的のあるものではないため、本発明の製剤中の2つの成分の驚くべき相乗作用は(本発明の程度までは)起きないため、特にこの場合上皮の状態は、これらの疾患の治療の詳細と比較してあまり重要ではないため、特に治療用薬物の「アクセス可能性」の低さのためである。
粘膜又は既に記載した外皮に対する本発明の複合薬剤による本発明の局所的治療法のために、有意に低濃度の活性物質が、正常な又はよりケラチン化した外皮及びその付属器の疾患と比較して、基本的に充分であるだけでなく、主観的及び客観的疾患症状の有意な改善が実質的に短時間(現在一般的な治療法を適用する場合の数日〜数週に対して数分〜数時間)に起きるであろう。すなわち特に低い用量の接着阻害活性物質は、本発明の実質的な利点である。有効性のこの迅速な開始は、もっぱら炎症のために変化した皮膚又は粘膜表面への操作により引き起こされ、従ってインビトロ試験でも非炎症性の外皮の観察によっても原則的に予測も決定もできない。大幅に増強された作用は、それぞれ罹患臓器の露出表面で起きる機構(接着部位の発現と拒絶)にのみ基づいて起きるため、特にこの作用はインビトロ実験により測定できず、実際インビトロ実験では使用される真菌株に依存して、使用される医薬物質の用量と組合せが最も矛盾する結果を与えた。この点で、フルコナゾール感受性株でのフルコナゾールとイブプロフェンとの組合せはインビトロ実験で相乗作用を示していない(Arai et al., 2005)。従って本発明の複合製剤で得られる作用はまた、この方法(インビトロ実験を介して)では得られない。また本発明の組合せ調製物の全身性投与の場合、特に上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビター(すなわち、例えば本発明で選択されるNSAID)の場合、薬物動態的理由により、各作用は一般的用量でも予測できず、まして本発明で可能となる低用量では予測できない。
必要な低用量はまた、上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビターが真菌と患者の上皮の両方にその作用を及ぼすという事実による。
すなわち母乳養育乳児と妊婦の治療も可能である。
すなわち医薬物質の本発明の組合せの作用は、
1.病原体の増殖を抑制する、
2.宿主細胞への病原体の接着を抑制する、
3.罹患生体におけるプロスタグランジン合成を阻害することにより急性炎症と疼痛症状を抑制する、
4.局所的環境における促進因子の生成、すなわち病原体の変換時の宿主細胞への接着を防ぎ、従って臨床像の悪化を防ぐ、及び
5.悪化/慢性化が起きた時のために病理遺伝的機構を妨害する、ことに基づき、
ここで2.〜5.は、上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビター(これはアラキドン酸カスケードを妨害する)により仲介され、1.は、使用される抗真菌剤の活性の機構に従って仲介される。
1.病原体の増殖を抑制する、
2.宿主細胞への病原体の接着を抑制する、
3.罹患生体におけるプロスタグランジン合成を阻害することにより急性炎症と疼痛症状を抑制する、
4.局所的環境における促進因子の生成、すなわち病原体の変換時の宿主細胞への接着を防ぎ、従って臨床像の悪化を防ぐ、及び
5.悪化/慢性化が起きた時のために病理遺伝的機構を妨害する、ことに基づき、
ここで2.〜5.は、上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビター(これはアラキドン酸カスケードを妨害する)により仲介され、1.は、使用される抗真菌剤の活性の機構に従って仲介される。
これは、先行技術と比較して完全に新しい治療概念を可能にし、これは、それ自体がすでに(慢性−再発性)外陰部膣炎カンジダ症、口腔咽頭カンジダ症(口腔カンジダ症)、おむつ皮膚炎(おむつカンジダ症)、及び間擦性湿疹における驚くべきことである有効性とは別に、さらに、先行技術と比較して以下の利点と作用を特徴とする:
1.局所的治療法の可能性、
2.慢性化の場合、再発する傾向の顕著な低下、
3.極めて加速された作用の開始、
4.抗真菌剤の有意に低下した用量、及び
5.即時の疼痛寛解。
1.局所的治療法の可能性、
2.慢性化の場合、再発する傾向の顕著な低下、
3.極めて加速された作用の開始、
4.抗真菌剤の有意に低下した用量、及び
5.即時の疼痛寛解。
利点1.促進因子の場合、特に悪化/慢性化、例えば免疫抑制、ホルモン及び遺伝因子について、本発明では疾患素因が基づく病原性機構が阻害される。疾患は、全身的治療法無しで制御及び治療することができる。全身的治療法(これはしばしば、より大きな負担である医薬物質を使用して行われる)への転換を避けることは、妊娠が存在する場合、及びHIV、白血病に罹っているか、又は化学療法中の患者において重要であり、かつ主観的(コンプライアンス)及び客観的基準(代謝への負担)に従って、患者への負担を顕著に低下させる。妊娠における慢性−再発性外陰部膣炎は、経口投与抗真菌剤(フルコナゾール)の全身性投与が妊娠では完全に禁忌であるため、従来の治療法ではあまり制御できない。
利点2.また疾患の慢性−再発経過の場合(特にカンジダ感染による外陰部膣炎の場合)、原因の病原体機構が妨害され、長期の全身的治療法の代わりに局所的治療法が可能になる。
利点3.従来の通常の治療法と比較して、作用の開始は大幅に加速され、すなわちこれが、従来の治療法の数日〜数週間(又は全く加速されない)と比較して数分(外陰部膣炎)〜数時間(おむつカンジダ症)以内に起きる。
基本的にこの差は、主に治療の持続期間にあるが、治療処方自体はまず使用される医薬物質の半減期に依存する。この差は、例えば慢性−再発性外陰部膣炎により解明される。
本発明の使用:
初期治療:軟膏剤として薬剤組合せ又は別々の局所適用可能な薬剤の1日3〜5回の局所適用を3〜5日間;
再発性疾患の場合:1日2〜3回の局所適用を1日で充分である(適用を継続することにより再発の無い間隔が長くなる)。
初期治療:軟膏剤として薬剤組合せ又は別々の局所適用可能な薬剤の1日3〜5回の局所適用を3〜5日間;
再発性疾患の場合:1日2〜3回の局所適用を1日で充分である(適用を継続することにより再発の無い間隔が長くなる)。
これに対して本治療処方(情報源:Leitlinien der deutschen Gesellschaft fur Gynakologie und Geburtshilfe):
初期治療:
フルコナゾール150mgを経口で、1又は2回/週を4〜6週間、次に
フルコナゾール150mgを経口で、1回/2週を2〜3ヶ月間、次に
フルコナゾール150mgを経口で、1回/4週を4〜6週間。
中止後、約50%の症例は治療前のように再発する。
初期治療:
フルコナゾール150mgを経口で、1又は2回/週を4〜6週間、次に
フルコナゾール150mgを経口で、1回/2週を2〜3ヶ月間、次に
フルコナゾール150mgを経口で、1回/4週を4〜6週間。
中止後、約50%の症例は治療前のように再発する。
利点4:強化作用のために、抗真菌剤の総用量は顕著に低下させることができ、合併症のない外陰部膣炎真菌症の場合、治療期間が短縮されるため総用量を少なくとも50%低下させることができ、口腔咽頭真菌症の場合、低下は最大66%にもなる。
利点5:しばしば痛みの激しい急性の臨床像では、NSAIDと抗真菌剤の同時局所適用により、即時的疼痛寛解と生体に対する全身負担が無いか又は最小である腫脹減退が、NSAID(非ステロイド抗炎症剤)により達成され、これは全身性に適用されると、副作用が無いわけではない。既に記載されているように本発明の治療は、疾患生体又は臓器の組織表面のある接着分子の発現が、酵母による定着の必須条件であるという知見に基づく。従って従来の抗真菌剤と上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビターとの組合せは、病理プロセスを直接妨害する。既に記載されているように上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビターは、上皮細胞及び/又は内皮細胞への病原体の接着と、患部上皮細胞又は内皮細胞部分の層型定着を悪化させるか又は妨害する物質である。関与する接着分子の性質により、その発現は何らかの方法でプロスタグランジン代謝を妨害する活性物質により妨害される。抗真菌的に有効な物質と上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビターとの本発明の組合せ適用から、治療効果が強化される。治療の持続期間は大幅に短縮され、これまで全身的治療法しか成功の見込みの無かった症例でも局所的治療が可能になる。さらに医薬物質のこのタイプの組合せはまた、現在利用可能な薬剤に対して完全に治療抵抗性である症例でも有効である。
従って本発明の主題は、真菌症、好ましくはカンジダ属の種により引き起こされるもの(外陰部膣炎、口腔咽頭カンジダ症(口腔カンジダ症)、おむつ皮膚炎(おむつカンジダ症)、間擦性湿疹)の治療のために、粘膜へ、及び大きく腫脹及び/又は浸軟した皮膚領域へ局所適用するための医薬物質の本発明の組合せの使用である。
本発明の複合製剤の適用は、もっぱら皮膚及び粘膜に局所的に行われる(軟膏剤、膣錠剤、膣坐剤など)。抗真菌剤(好ましくはクロトリマゾール)の用量は、これまで一般的であるとされてきた濃度で行われるが、1日の総用量は半分にすることができ、総治療時間は顕著に短縮される(7日間から2〜3日間へ)。上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビターは、軟膏剤/膣錠剤などへの混合物として1日最大用量の1/5〜1/100で投与される。
上記したように本発明の医薬物質の組合せで局所的治療の間、活性物質の総量は、抗真菌剤単独療法で従来これまで使用されたもの実質的に少ない量で充分であり、またNSAID成分は、かかる物質の薬剤が使用されてきたすべての他の適応症での濃度より有意に低い濃度で使用される。すなわち母乳養育乳児と妊婦の治療も可能である。
実質的に短い期間内(現在一般的な治療法を使用する場合の数日〜数週に対して数分〜数時間)に、主観的及び客観的疾患症状の大幅な改善が起きるであろう。この迅速な作用の開始は、もっぱら粘膜の表面でのプロセスにより引き起こされ、患部臓器表面で開始されるアラキドン酸誘導体の作用に戻り、従ってインビトロ試験でも正常な外皮の観察によっても原則的に検出できない。
本発明の複合製剤で使用される抗真菌活性物質の性質は、原則的に決定的に重要ではなく、一般にいつも最適化された組合せ対が使用され、ここで最適化は主に、抗真菌剤の抗菌スペクトル、製剤学、及び抗真菌剤と上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビターとの物理化学的相互作用に基づく。
もちろん好適なのは、すでに販売認可のある抗真菌剤である。
従って本発明の複合製剤中の抗真菌剤は、好ましくはアゾール又はコナゾール、好ましくはクロトリマゾール、ビフォナゾール、クロコナゾール、ミコナゾール、エコナゾール、イソコナゾール、イトラコナゾール、フェンチコナゾール、チオコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、又はキトコナゾール、特にクロトリマゾールとミコナゾール、スクアレンエポキシダーゼインヒビター、好ましくはナフチフィン又はテルビナフィン、又は抗生物質、好ましくはナイスタチン、アンホテリシンB、カプソフンジン、又はナタマイシン、又はトルシクレート、トルナフテート、シクロピロックス、ハロプロジン、ブテナフィン、フルシトシンである。
好ましくは本発明の複合薬剤は、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、チンキ剤、液剤、膣坐剤、膣剤、バッカル錠もしくは舌下錠、シロップ剤、懸濁剤、散剤、噴霧剤、又はアエロゾル剤として製造される。
本発明の好適な実施態様において複合薬剤は、不活性担体上で、特に膣リング、ペッサリー、又はタンポン上で提供される。
本発明は、特に限定されない以下の例により詳細に記載される。
ヒトでの試験と結果−症例研究
これまでのところ本発明の治療概念は、医師の自由処方枠内で志願者に対して行われてきた。併用療法の前にすべての患者は、抗真菌剤単独治療法が失敗していた。
これまでのところ本発明の治療概念は、医師の自由処方枠内で志願者に対して行われてきた。併用療法の前にすべての患者は、抗真菌剤単独治療法が失敗していた。
以下では、6つの例が記載される:
外陰部膣炎:3症例
おむつカンジダ症:2症例
口腔カンジダ症:1症例
治療は、皮膚、尿生殖器と口腔咽頭の粘膜への適当な医薬物質組合せの局所投与により行った。
外陰部膣炎:3症例
おむつカンジダ症:2症例
口腔カンジダ症:1症例
治療は、皮膚、尿生殖器と口腔咽頭の粘膜への適当な医薬物質組合せの局所投与により行った。
以下の組合せを使用した:
外陰部膣炎:
症例1:
慢性−再発性カンジダ外陰部膣炎を何年も(>10回の再発/年)患っている41才の女性患者、その他は健康、妊娠している、以前の治療(妊娠前)局所的(クロトリマゾール、ナイアスタチン)と全身的(フルコナゾール、数回、長期治療とパートナーの治療も有り)。妊娠中のクロトリマゾールによる局所的治療に対する完全な治療抵抗性による顕著な悪化、数週間の極度の主観的愁訴。
婦人科所見:外陰部激しく発赤、明らかに腫脹、出血性擦創。膣粘膜と膣上部発赤。多量の膣分泌物、スメア所見:PAP 2、微生物スワブ、そのままの所見:多様の白血球、大量の真菌菌糸が検出される、RG 3。
クロトリマゾール/ジクロフェナック−Naの軟膏剤組合せによる治療
単回投与:5mgのジクロフェナック−Na/20mgのクロトリマゾール
投与処方:まず2.5cmの軟膏剤ストリップを外陰部と膣に局所適用(3日間)3回/日、次に1日1回で4日間。
ジクロフェナック−Naの適用用量(総用量)は、全身性適用で最大1日用量の約1/30である。クロトリマゾール用量は通常の1日用量の半分である。
1週間の治療後の所見(治療の終了後3日間):
患者の主観的な愁訴がなくなる(治療の開始から)。婦人科所見:外陰部:結果陰性;膣と膣上部の粘膜:結果陰性。低度の膣分泌物。微生物スワブ、そのままの所見:真菌菌糸検出されず、胞子の単離無し。正常な膣細菌叢(乳酸菌)、RG 1。
追跡:6ヶ月
次の3ヶ月間、約2回の再発/月、各症例で上記の1日治療により、直ちに愁訴が無くなった。
以後の月:愁訴が全く無くなり、新たな再発は無い。
外陰部膣炎:
症例1:
慢性−再発性カンジダ外陰部膣炎を何年も(>10回の再発/年)患っている41才の女性患者、その他は健康、妊娠している、以前の治療(妊娠前)局所的(クロトリマゾール、ナイアスタチン)と全身的(フルコナゾール、数回、長期治療とパートナーの治療も有り)。妊娠中のクロトリマゾールによる局所的治療に対する完全な治療抵抗性による顕著な悪化、数週間の極度の主観的愁訴。
婦人科所見:外陰部激しく発赤、明らかに腫脹、出血性擦創。膣粘膜と膣上部発赤。多量の膣分泌物、スメア所見:PAP 2、微生物スワブ、そのままの所見:多様の白血球、大量の真菌菌糸が検出される、RG 3。
クロトリマゾール/ジクロフェナック−Naの軟膏剤組合せによる治療
単回投与:5mgのジクロフェナック−Na/20mgのクロトリマゾール
投与処方:まず2.5cmの軟膏剤ストリップを外陰部と膣に局所適用(3日間)3回/日、次に1日1回で4日間。
ジクロフェナック−Naの適用用量(総用量)は、全身性適用で最大1日用量の約1/30である。クロトリマゾール用量は通常の1日用量の半分である。
1週間の治療後の所見(治療の終了後3日間):
患者の主観的な愁訴がなくなる(治療の開始から)。婦人科所見:外陰部:結果陰性;膣と膣上部の粘膜:結果陰性。低度の膣分泌物。微生物スワブ、そのままの所見:真菌菌糸検出されず、胞子の単離無し。正常な膣細菌叢(乳酸菌)、RG 1。
追跡:6ヶ月
次の3ヶ月間、約2回の再発/月、各症例で上記の1日治療により、直ちに愁訴が無くなった。
以後の月:愁訴が全く無くなり、新たな再発は無い。
症例2:
慢性−再発性カンジダ外陰部膣炎を何年も(>10回の再発/年)患っている43才の女性患者、その他は健康、以前の治療は局所的(クロトリマゾール、ミコナゾール)と全身的(フルコナゾール、数回、長期治療とパートナーの治療も有り)。急性悪化、クロトリマゾールによる治療(8日間)により低度の改善、部分的に極度の主観的愁訴を2週間。
婦人科所見:外陰部発赤、明らかに腫脹。膣粘膜と膣上部発赤。多量の膣分泌物、
初期治療:クロトリマゾール/ジクロフェナック(25/25mg)坐剤を2日間、次に
クロトリマゾール/ジクロフェナックを症例1のように軟膏剤として、3日間。
1週間後の所見:患者の主観的な愁訴がなくなる(治療開始の2日目から)。婦人科所見:外陰部:結果陰性;膣と膣上部の粘膜:結果陰性。低度の膣分泌物。
慢性−再発性カンジダ外陰部膣炎を何年も(>10回の再発/年)患っている43才の女性患者、その他は健康、以前の治療は局所的(クロトリマゾール、ミコナゾール)と全身的(フルコナゾール、数回、長期治療とパートナーの治療も有り)。急性悪化、クロトリマゾールによる治療(8日間)により低度の改善、部分的に極度の主観的愁訴を2週間。
婦人科所見:外陰部発赤、明らかに腫脹。膣粘膜と膣上部発赤。多量の膣分泌物、
初期治療:クロトリマゾール/ジクロフェナック(25/25mg)坐剤を2日間、次に
クロトリマゾール/ジクロフェナックを症例1のように軟膏剤として、3日間。
1週間後の所見:患者の主観的な愁訴がなくなる(治療開始の2日目から)。婦人科所見:外陰部:結果陰性;膣と膣上部の粘膜:結果陰性。低度の膣分泌物。
症例3:
慢性−再発性カンジダ外陰部膣炎を何年も(>10回の再発/年)患っている42才の女性患者、その他は健康、以前の治療は局所的(クロトリマゾール、ナイスタチン)と全身的(フルコナゾール、数回、長期治療とパートナーの治療も有り)。急性悪化、この再発中前治療無し、軽度の主観的愁訴を2日間。
婦人科所見:外陰部発赤、明らかに腫脹。膣と膣上部の粘膜は発赤。多量の膣分泌物、
治療:クロトリマゾール/ジクロフェナックを症例1のように軟膏剤として、最初の日に5回/日、2日目から3回/日で全部で3日間。
1週間後の所見:患者の主観的な愁訴がなくなる(治療開始の18時間後から)。婦人科所見:外陰部結果陰性;膣と膣上部の粘膜:結果陰性。低度の膣分泌物。
慢性−再発性カンジダ外陰部膣炎を何年も(>10回の再発/年)患っている42才の女性患者、その他は健康、以前の治療は局所的(クロトリマゾール、ナイスタチン)と全身的(フルコナゾール、数回、長期治療とパートナーの治療も有り)。急性悪化、この再発中前治療無し、軽度の主観的愁訴を2日間。
婦人科所見:外陰部発赤、明らかに腫脹。膣と膣上部の粘膜は発赤。多量の膣分泌物、
治療:クロトリマゾール/ジクロフェナックを症例1のように軟膏剤として、最初の日に5回/日、2日目から3回/日で全部で3日間。
1週間後の所見:患者の主観的な愁訴がなくなる(治療開始の18時間後から)。婦人科所見:外陰部結果陰性;膣と膣上部の粘膜:結果陰性。低度の膣分泌物。
症例4:
おむつカンジダ症:
母乳養育中の女の乳児、年齢12ヶ月、5週間以上大陰唇に治療抵抗性の湿疹(小児科医の前治療と、皮膚科医による酸化亜鉛含有ベビークリーム、ナイスタチン含有クリーム、抗生物質(抗細菌)クリームとパウダー、クロトリマゾール含有クリーム、コルチコステロイドを用いる治療)。これらの治療で、臨床像の連続的悪化。
検査:大陰唇と肛門周辺に顕著な発赤と腫脹。
クロトリマゾール/ジクロフェナック−Naの軟膏剤組合せを用いる治療。
単回投与:夕方、約5cmの軟膏剤ストリップ(10mgのジクロフェナック−Na/40mgのクロトリマゾールに対応する)、夜にかけて完全に治癒。次に、ナイスタチン(経口懸濁物)による小腸消毒。
追跡(6ヶ月):さらなる愁訴無し。
おむつカンジダ症:
母乳養育中の女の乳児、年齢12ヶ月、5週間以上大陰唇に治療抵抗性の湿疹(小児科医の前治療と、皮膚科医による酸化亜鉛含有ベビークリーム、ナイスタチン含有クリーム、抗生物質(抗細菌)クリームとパウダー、クロトリマゾール含有クリーム、コルチコステロイドを用いる治療)。これらの治療で、臨床像の連続的悪化。
検査:大陰唇と肛門周辺に顕著な発赤と腫脹。
クロトリマゾール/ジクロフェナック−Naの軟膏剤組合せを用いる治療。
単回投与:夕方、約5cmの軟膏剤ストリップ(10mgのジクロフェナック−Na/40mgのクロトリマゾールに対応する)、夜にかけて完全に治癒。次に、ナイスタチン(経口懸濁物)による小腸消毒。
追跡(6ヶ月):さらなる愁訴無し。
症例5:
おむつカンジダ症:
母乳養育中の女の乳児、年齢2ヶ月、繰り返すおむつカンジダ症(発赤丘疹)。
検査:大陰唇と肛門周辺の皮膚に小さな丘疹。
試験した治療法:種々のエピソード中、クロトリマゾールクリームでジクロフェナック−Na有り及び無しを比較。
単独療法:クロトリマゾールクリーム(Canesten)、単回投与:約25mgのクロトリマゾール
併用:クロトリマゾール/ジクロフェナック−Na、単回投与:約5mgのジクロフェナック−Na/20mgのクロトリマゾール。
両方の場合に、局所適用、投与:4〜5回/日。
結果:
単独療法:病変の完全な消失まで治療を継続:3日間。
併用療法:病変の完全な消失まで治療を継続:24時間。
おむつカンジダ症:
母乳養育中の女の乳児、年齢2ヶ月、繰り返すおむつカンジダ症(発赤丘疹)。
検査:大陰唇と肛門周辺の皮膚に小さな丘疹。
試験した治療法:種々のエピソード中、クロトリマゾールクリームでジクロフェナック−Na有り及び無しを比較。
単独療法:クロトリマゾールクリーム(Canesten)、単回投与:約25mgのクロトリマゾール
併用:クロトリマゾール/ジクロフェナック−Na、単回投与:約5mgのジクロフェナック−Na/20mgのクロトリマゾール。
両方の場合に、局所適用、投与:4〜5回/日。
結果:
単独療法:病変の完全な消失まで治療を継続:3日間。
併用療法:病変の完全な消失まで治療を継続:24時間。
症例6:
口腔カンジダ症:
母乳養育中の女の乳児、年齢2ヶ月、繰り返す口腔カンジダ症(白色病変)。
検査:上唇と下唇の内側面に典型的な白い白苔、直径4〜5mm。
試験した治療法:種々のエピソード中、ミコナゾールゲルでメフェナミン酸有り及び無しを比較。
単独療法:ミコナゾール(Daktarinゲル)、単回投与:30mg
併用:ミコナゾール/メフェナミン酸(ゲル)。
両方の場合に、局所適用、投与:2〜3回/日。
単回投与:約25mgのメフェナミン酸/30mgのミコナゾール。
結果:
単独療法:病変の完全な消失まで治療を継続:5日間。
併用療法:12時間後、病変の有意な低下、病変の完全な消失まで治療を継続:24時間。
口腔カンジダ症:
母乳養育中の女の乳児、年齢2ヶ月、繰り返す口腔カンジダ症(白色病変)。
検査:上唇と下唇の内側面に典型的な白い白苔、直径4〜5mm。
試験した治療法:種々のエピソード中、ミコナゾールゲルでメフェナミン酸有り及び無しを比較。
単独療法:ミコナゾール(Daktarinゲル)、単回投与:30mg
併用:ミコナゾール/メフェナミン酸(ゲル)。
両方の場合に、局所適用、投与:2〜3回/日。
単回投与:約25mgのメフェナミン酸/30mgのミコナゾール。
結果:
単独療法:病変の完全な消失まで治療を継続:5日間。
併用療法:12時間後、病変の有意な低下、病変の完全な消失まで治療を継続:24時間。
1つの症例研究の結果の要約:
外陰部膣炎:記載した症例は、特に重症の慢性−再発性カンジダ膣炎症例である。クロトリマゾールによる単独療法では、治療の経過は第2の症例で特に遅延(8日間の集中治療、次に改善、しかし愁訴が無くなることはなかった)しており、第1と第3の症例では、クロトリマゾールを用いる従来の局所的治療法では改善はなかった。医薬物質組合せを使用すると、主観的及び客観的症状の即時的な顕著な改善があり、すでに治療の2日目にすべての症例で愁訴は完全に消失した。
おむつカンジダ症:クロトリマゾール単独療法では、第1の症例で臨床像の顕著な悪化、第2の(軽度)症例では3日後以降に治癒した。医薬物質の組合せの使用後12時間及び24時間以内に、それぞれ完全に治癒した。
口腔カンジダ症:4〜5日後ミコナゾール単独療法で治癒(診断基準:口腔にプラークが見えなくなる)。第2のエピソード中、医薬物質の組合せによる治療で2時間後にプラークは見えなくなる。
これらの結果は、治療が特に困難なカンジダ真菌症の症例では、本発明の複合製剤は、単独療法(抗真菌剤のみ)では達成されない驚くほど迅速で包括的な治癒をもたらすことを示す。
初期の所見が顕著なほど、治療の成功はより明らかであった。
外陰部膣炎:記載した症例は、特に重症の慢性−再発性カンジダ膣炎症例である。クロトリマゾールによる単独療法では、治療の経過は第2の症例で特に遅延(8日間の集中治療、次に改善、しかし愁訴が無くなることはなかった)しており、第1と第3の症例では、クロトリマゾールを用いる従来の局所的治療法では改善はなかった。医薬物質組合せを使用すると、主観的及び客観的症状の即時的な顕著な改善があり、すでに治療の2日目にすべての症例で愁訴は完全に消失した。
おむつカンジダ症:クロトリマゾール単独療法では、第1の症例で臨床像の顕著な悪化、第2の(軽度)症例では3日後以降に治癒した。医薬物質の組合せの使用後12時間及び24時間以内に、それぞれ完全に治癒した。
口腔カンジダ症:4〜5日後ミコナゾール単独療法で治癒(診断基準:口腔にプラークが見えなくなる)。第2のエピソード中、医薬物質の組合せによる治療で2時間後にプラークは見えなくなる。
これらの結果は、治療が特に困難なカンジダ真菌症の症例では、本発明の複合製剤は、単独療法(抗真菌剤のみ)では達成されない驚くほど迅速で包括的な治癒をもたらすことを示す。
初期の所見が顕著なほど、治療の成功はより明らかであった。
Claims (6)
- − 抗真菌剤と、
− 外陰膣カンジダ症、口腔咽頭カンジダ症(口腔カンジダ症)、おむつ皮膚炎(おむつカンジダ症)、及び間擦性湿疹から選択されるカンジダ真菌症の局所的治療用の複合薬剤を製造するための、上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビターとの、使用。 - 前記抗真菌剤が、アゾール又はコナゾール、好ましくはクロトリマゾール、ビフォナゾール、ミコナゾール、エコナゾール、イソコナゾール、イトラコナゾール、フェンチコナゾール、チオコナゾール、セルチコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾール、フルコナゾール、特にクロトリマゾール、スクアレンエポキシダーゼインヒビター、好ましくはナフチフィン又はテルビナフィン、又はポリエン抗真菌剤、好ましくはナイスタチン、アンホテリシンB、カプソフンジン、又はナタマイシン、又はシクロピロックス、ブテナフィン、フルシトシンであることを特徴とする、請求項1記載の使用。
- 前記上皮細胞又は内皮細胞接着インヒビターが、以下:
− COX1/COX2比(IC50、マイクロM)が>20を有する化合物の除外により規定される、充分なCOX1阻害を有する非ステロイド抗炎症剤(NSAID);
− プロスタサイクリン又はプロスタサイクリン類似体、好ましくはイラプロスト又はシカプロスト;又は
− 上皮及び内皮接着分子の発現のインヒビター、好ましくはチクロピジン又はクロピドグレルから選択されることを特徴とする請求項1又は2記載の使用。 - 前記NSAIDが、インドメタシン、メフェナミン酸、ケトプロフェン、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ロルノキシカム、フルフェナミン酸、ジクロフェナック、ピロキシカム、ブフェキサマック、エトフェナメート、フェルビナック、テノキシカム、これらの物質の薬学的に活性な塩もしくはエステル、又はこれらの物質の混合物、特にジクロフェナック、イブプロフェン、又はロルノキシカムから選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の使用。
- 前記複合薬剤が、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、チンキ剤、液剤、膣坐剤、膣剤、バッカル錠もしくは舌下錠、シロップ剤、懸濁剤、散剤、噴霧剤、又はエアゾル剤として製造されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の使用。
- 前記複合薬剤が、不活性担体上で、特に膣リング、ペッサリー、又はタンポン上で提供されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の使用。
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