JP2009505495A - アナログ・ディジタル変換器 - Google Patents

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Abstract

最下位ビットLSBを決定した時に、通常のSAR変換は終了する。これは第1試行を表わす。本発明においては、N個の追加ビットもまた決定する。各追加ビットは補正試行を表わす。通常(第1)ビット試行の最後のビット後の変換結果に各追加補正ビット試行を加えたものを、有効結果とみなす。最終結果は、(N+1)の結果を合わせて加えることにより達成される。(N+1)の結果は異なるインスタンスにおいて決定するため、比較器のノイズが低減される。この方法のさらなる利点は、高い分解能が得られることである。例えば、16ビット変換器とそれに続く3回の追加+/−0.5ビットの補正ビット試行は、4つの結果を合わせて加えた場合、18ビット変換結果をもたらす。

Description

発明の分野
本発明は、アナログ・ディジタル変換器に、およびさらに具体的には、スループットを比例して減少させることなく複数の変換結果を得ることにより信号対雑音比を増加させる回路を含む、アナログ・ディジタル変換器に関する。
対処する問題
理想的なノイズの無い世界では、アナログ・ディジタル変換器に入力されるアナログ信号は、該変換器の設計者が望むいかなる分解能での正確なディジタル化も可能であろう。しかし現実の世界では、アナログ・ディジタル変換器の性能は多くの要因によって制約される。これら制約要因の1つが、アナログ・ディジタル変換器内の自己発生ノイズである。多くのアナログ・ディジタル変換器は、サンプリングキャパシタとして動作すること、および逐次近似アナログ・ディジタル変換中にディジタル・アナログ変換器として動作することという二重の機能を、スイッチトキャパシタアレイを用いて実行する。
アナログ・ディジタル逐次近似(SAR)変換器の信号対雑音比SNRは、スイッチトキャパシタアレイおよび関連するスイッチが発生するkT/Cノイズ、およびキャパシタアレイに続く比較器前置増幅器におけるノイズにより、ほぼ決定される。kT/Cノイズは、より大きなキャパシタを用いれば低減することができる。しかしこれは常に適切な方法とは言えず、何故ならば、大きなキャパシタは集積回路内で広い面積をとり、またADCを駆動する回路において大きいグリッチをもたらすために、入力信号をサンプリングするのに長い時間を要し、したがってこれらの回路は整定する(settle)のに長い時間を要するからである。比較器前置増幅器のノイズを低減するには、より高い前置増幅器バイアス電流の使用と、多くの場合より大きい前置増幅器入力装置を必要とした。したがって、アナログ・ディジタル変換器の信号対雑音性能を、前置増幅器バイアス電流レベルを大幅に高めることなく改善する方法を見つけることが望ましい。
発明の概要
本発明の第1の側面により、アナログ・ディジタル変換器を操作する方法であって、第1モードの前記変換器を操作して第1変換結果を得ること、少なくとも1回の補正変換を行う補正モードの前記変換器を操作すること、および第1変換結果と前記補正変換を組み合わせること、およびここで各補正変換は先行結果を有効開始点とする、のステップを含む、前記方法を提供する。
したがって複数の変換結果を生成することができ、これにより、重大な時間の不利益なく、従ってスループットを損失することなく、変換器の信号対雑音比の改善が可能な、アナログ・ディジタル変換器を提供することができる。
有利には、アナログ・ディジタル変換器は逐次近似変換器である。種々の逐次近似変換器トポロジーが当業者に知られており、本発明はこれらのいずれとも一緒に用いることができる。
複数の補正変換は、各補正変換が先行変換結果を開始点としてなされるのが好ましい。
通常のSAR変換は、最下位ビットであるLSBを決定したときに終了する。これが第1の試行である。本発明においては、さらにN個のビットも決定する。各追加ビットは補正試行に相当する。例示の態様において、各追加ビットは+/−0.5の有効重みを有するが、異なる重み付けを用いることもできる。通常の(第1の)ビット試行の最終ビット後の変換結果に、各追加補正ビット試行後の結果を加えたものが、有効結果と考えられる。この例における連続した結果は、+/−0.5LSBだけ異なる。最終結果は、(N+1)個の結果を加えることにより得られる。(N+1)個の結果を異なるインスタンスで決定するため、比較器のノイズの効果が低減される。この方法のさらなる利点は、より高い分解能が得られることである。例えば、16ビット変換器の後に続く3回の追加+/−0.5ビットの補正ビット試行は、4つの結果を加算すると、18ビットの変換結果をもたらすことができる。
本発明の第2の側面により、アナログ・ディジタル変換器であって、第1モードで動作して第1変換結果を得ること、および補正モードで動作して、少なくとも1回の補正変換を行うこと、および第1変換と前記または各補正変換を組み合わせること、およびここで各変換は先行変換を有効開始点とする、として構成された、前記変換器を提供する。
本発明の態様を、非限定的例のみを用い、添付の図を参照して説明する。
発明の態様の説明
図1は、スイッチトキャパシタアナログ・ディジタル変換器の入力ステージを図示する。一般に、入力ステージはm個のキャパシタC0〜Cmを含み、これらはそのプレートの1つ(図1に示す上部プレート)が、比較器14の反転入力12に接続されている共通の導体10に接続されている。比較器14の非反転入力16は、グラウンドに接続されている。キャパシタC0〜Cmの第2のプレート(図1に示す下部プレート)の各々は、それぞれの電気スイッチS0〜Smに接続されている。スイッチS0〜Smは個別に制御可能であり、それらの関連するキャパシタを入力ノード20に接続して、キャパシタを入力電圧Vinまで充電できるようになっている。キャパシタC0〜Cmはまた、正の基準電圧Vref+、または典型的にはグラウンド電圧である負の基準電圧Vref−のどちらかに切り換えることもできる。導体10はまた、電気的に制御可能なスイッチ22によってグラウンドに接続もでき、該スイッチ22は、入力電圧VinをキャパシタC0〜Cmでサンプリングする場合に閉じられる(すなわち、低インピーダンス状態に置かれる)。簡便化のために以下の仮定を置いてもよい:キャパシタC0〜Cmを2進的に重み付けして、キャパシタC0が2のキャパシタンス単位の値を有し、キャパシタC1が2のキャパシタンス単位の値を有する等々として、最後にCmが2のキャパシタンス単位の値を有する。
使用においては、スイッチ22を閉じ、スイッチS0〜Smはキャパシタを入力ノード20に接続する第1位置に切り換える。こうしてキャパシタC0〜Cmは、入力電圧Vinまで充電される。次にスイッチ22を開き、これによってキャパシタC0〜Cmの電荷を取り込む。次に逐次近似探索を開始することができる。スイッチS0〜Smの全てを切り換えて、キャパシタをVref−基準電圧に接続する。次に最上位キャパシタCmをテストし、そのスイッチSmを用いてこのキャパシタを電圧基準Vref+に接続する。実際は、これら2回の切り換え操作は1つのステップで行うことができる。キャパシタは効果的に動作して容量分圧器を形成し、その結果反転入力12に生じる電圧が変化する。比較器14は、電圧が反転入力で生じている電圧より大きいか小さいかをテストし、この比較結果に応じて、キャパシタCmに対応するビットを保存する(すなわちセットする)か、または廃棄する(リセットする)。アナログ値がアナログ・ディジタル変換範囲の上半分にある場合、ビットCmを保存する;その他の場合はこれを廃棄する。最初のビット試行の結果は、次の最上位ビットCm−1へと伝えられ、このビットを次に同様の方法でセットしテストする。
したがって先行技術のSAR変換器は、二分探索法を用いてアナログ入力電圧のディジタル的等価を決定する。図2は、従来の12ビット変換器の最終4ビット試行の例を示す。キャパシタC0〜Cmから選択した1つをVrefに接続することにより決定したDAC(ディジタル・アナログ)出力がアナログ入力より大きい場合は、ビットを棄却し、それ以外の場合はビットを保持する。両方の場合において、次の最上位ビットを次に試行する。図2に示す例では最小位ビットはB0であり、キャパシタC0に対応する。12ビット変換器に対し、ビットB0は12番目の試行であり、ビットB1は11番目の試行であり、等々となる。例において、ビットB3は、DAC出力Vdacが入力電圧Vinより大きいので棄却される。ビットB2は、VdacがVinより小さいので保持される。ビットB1は、VdacがVinより大きいので棄却され、最後に、ビットB0は、VdacがVinより小さいので保持される。こうして最終4ビットの2進値は0101[十進法で5]となる。
比較器の熱雑音結果または他のサンプリングされない雑音源は、比較器14に誤った決定をさせることがある。比較器14は、実際にはDAC電圧の大きさをサンプリングした入力電圧と比較する機能を行う。主に比較器入力装置からの熱雑音のために、比較器は誤った決定をすることがある。この効果を図3で考慮する。比較器ノイズの効果は、図3に示すように、DACに加えられたノイズと等価である。縦の線は、比較器が決定を下す時点を示す。ビット試行11の間、DAC電圧(ノイズを重ね合わせたもの)は、比較の瞬間においてVinより小さく、ビットB11は誤って保持されることになる。ビットB0が次に正しく棄却されたとしても、DACはVinより大きな値で終了する。最終値の0110[十進法で6]は誤りである。ノイズ源がそれぞれの変換の間に異なる値を有するため、ADCは固定の入力に対して、異なるディジタル結果を生成しがちとなる。
いかにしてADCのノイズを低減するか
ノイズを低減する明らかな方法は、複数の結果を単に平均することである。しかしこれは、変換速度に重大な影響を及ぼす。例えば4つの結果を合わせて平均して1つの出力結果を生成すると、変換速度を係数4で低下させる。したがってこれは、ノイズを低減させる有効な方法ではない。
米国特許第6,894,627号には、逐次近似変換器に2進法重み付けビットの第2サブアレイを設けるという解決法が提唱されている。使用においては、変換器の第1アレイは通常の逐次近似変換を行う。したがって、本例と同様に、12ビット結果を作成するには12回の変換が必要である。変換の終りに、ディジタル変換結果をサンプリングされたアナログ値から差し引いてアナログ残差の値を計算し、この残差結果をサブアレイへとサンプリングする。サブアレイはより少数のキャパシタを有するに過ぎず、例えば第6,894,627号の図8において示唆されているように5つである。サブアレイは次に、従来の逐次近似探索を行い、さらなる変換結果を生成する。したがって2つの結果を得るのに、12+5=17のビット試行の時間が必要である。サブアレイを用いた複数変換を考える。したがって、合わせて平均するために全部で4つの結果を得るには、第6,894,627号に記載された変換器は、12ビット試行を要する第1の変換を行い、次にそれぞれが少なくとも5ビット試行を要する3回のサブ変換を行い、この結果、(3*5)+12=27ビット試行を要する4変換となる。これにより、4回の完全な12ビット変換を平均するのと比べて、スループットの約2倍の増加を与える。
これは大きな改善ではあるが、本発明者らは、より速いスループットが可能であるのは、次のような条件、すなわち適切に設計されたアナログ・ディジタル変換器において、自己誘発性の変換器ノイズが、最下位ビットより小さくないとしても、最悪でもより小さいビット値の1つに等しい程度である場合であることに気づいた。
本発明者らは、SNR性能の改善は、通常のLSBビット試行の後に、多数の追加の補正ビット試行を加えることで達成できることに気づいた。好ましい態様において、各補正ビットは、1の重みに加えて固定オフセット−1/2を有し、このためΔC=±1/2LSBの補正重みを与える。この改変アレイを図4に示す。図4の左側の部分は、一般に40と示され、図1に示すサンプリングキャパシタの配置に相当する。しかし、1LSBオフセットから0.5LSBをマイナスした値を有する多数の補正キャパシタもまた作製され、これらのユニットの1つを50で表わす。この複合補正キャパシタ50は、実際、2つの個別のキャパシタ60と70から形成される。これらのキャパシタは、この例においては電界効果トランジスタにより実装されている個別のスイッチと直列となっている。キャパシタ60は1LSBの値で作製され、一方キャパシタ70は、0.5LSBの値で作製される。これは、2つの1LSBキャパシタを直列に作製することによっても実現可能である。キャパシタ60の下のプレートは、電界効果トランジスタ61を介してVref+に接続でき、電界効果トランジスタ62を介してグラウンドに接続できる。同様に、キャパシタ70の下のプレートは、トランジスタ71を介してVref+に接続でき、トランジスタ72を介してグラウンドに接続できる。各トランジスタ61、62、71および72は、それぞれのゲート端子入力52、53、54および55を介して個別に制御可能である。複数の他の補正ビット56、57なども、ビット50と同様にして実装して提供される。簡単にするために、入力電圧がこれらの補正ビットキャパシタ上にサンプリングされないことが見て取れる。このことは、アナログ・ディジタル変換器の直線性に悪影響を与えない。ADCの動作の説明を簡単にするため、補正キャパシタ50、56、57および関連するスイッチ61、62、71および72は主要アレイの一部として考えられているが、実際は高分解能変換器はセグメント化された変換器として実装されることが多い。この結果、下位のビットおよび補正ビットまたは補正キャパシタは、サブアレイに属することが多い。セグメント化されたアーキテクチャの使用は当業者に周知であり、サブアレイへのサンプリングが不要であるとの事実も同様に周知である。
入力電圧Vinが補正キャパシタ上でサンプリングされないと仮定すると、サンプリング相の間、スイッチ22を閉じて制御ライン52を低く保つことにより、トランジスタ61は非導電性である。同時に制御ライン53は高/活性に保たれ、そのためトランジスタ62は導電性である。トランジスタはスイッチとして動作することがわかり、もしこれらをスイッチと呼ぶとすれば、スイッチ61は開状態で、スイッチ62は閉状態である。同時に制御ライン54と55の上の信号も、スイッチ71は閉でスイッチ72が開となるようにセットされる。したがってキャパシタ60は共通のレール10とグラウンドの間に接続され、一方キャパシタ70は共通のレール10とVref+の間に接続される。スイッチ22を開けると、これらのキャパシタはその電荷を保持する。アナログ・ディジタル変換器はすると正常に操作されて、図1および2を参照して記載したように、そのBm〜B0のビットについてPビットの逐次近似変換を実施する。Pは典型的には、12ビット変換器については12に等しく、ビットB11〜B0を用いる。逐次近似変換が完了すると、変換結果を、アナログ・ディジタル変換コア内の種々のスイッチの操作を制御するコントローラ72内にある結果レジスタ70へ渡す(図5)。第1試行の結果を決定すると、変換器は、個別の補正ビットをテストする補正モードに入る。したがって、第1ビット50を、スイッチ61を閉じ、スイッチ62を開け、スイッチ71を開け、スイッチ72を閉じることによりセットする。これにより、キャパシタ60をグラウンドからVref+へと切り換えて、キャパシタアレイ中に1LSBの重みを挿入し、一方、キャパシタ70をVrefからグラウンドへと切り換えて、これによりアレイ中に−1/2LSBの有効重みを挿入して、0.5LSBの重み変化を与える。結果を次に比較器14によりテストして、ビットを適切に保持するかまたは廃棄する。結果を保持する場合、すなわち+0.5LSBがディジタル結果に加えられると、次にスイッチは現在の状態を維持する、すなわちスイッチ61と72が閉で、一方スイッチ62と71は開である。
結果を廃棄する場合は、ディジタルワード(digital word)から0.5LSBを差し引きたい。このためには、スイッチ61と62は、スイッチ61が開でスイッチ62が閉となるように操作する。スイッチ71と72には変更はない。これの意味するところは、ビットがセットされると、DACは1/2だけ増加され、しかしこのビットが次に棄却されると、DACは1だけ減少され、−1/2の純変化をもたらす。各補正ビット試行の効果は、大きなノイズ事象(どちらの符号でも)が先のビット試行において誤った決定を引き起こした場合に、ADCにDAC誤差を減少させることである。図6は、3個の追加の補正ビットC1〜3を加えた例を示す。この場合、ビット試行9の間の大きなノイズ事象は、このビットを誤って保持させるという結果をもたらす。ビットB2、B1およびB0は全て続いて棄却されるが、誤差E1は通常の変換の終りにおいても残る。しかし、各余分な追加補正ビット試行の後に、誤差は減少する。
類似の、しかし代替的な切り換えスキームを提供することが可能である。図4に戻ると、キャパシタ60および70は両方とも1/2Cの大きさで製造することができ、これらを、キャパシタ60は+0.5LSBの重みを有し、キャパシタ70は−0.5LSBの重みを有するようにして用いる。
したがってサンプリングの間、スイッチ61は開、スイッチ62は閉、スイッチ71は閉でスイッチ72は開とする。
補正ビットをテストするには、スイッチ61を閉じ、スイッチ62を開ける。スイッチ71は閉のままで、スイッチ72は開のままである。
比較結果がビットを保持することであれば、スイッチはこの構成のままで保つ。ビットを棄却すべきであれば、スイッチ61を開け、スイッチ62を閉じ、スイッチ71を開け、スイッチ72を閉じる。
いかにしてこれらの追加補正ビットを最大限に活用するか
ADC結果は、図6の例においてセットされた重みを全て加えることにより得ることができる。(棄却された補正ビットは、それぞれ−1/2LSBに値するとして処理しなければならない)。こうして最終補正結果は、8−1/2−1/2−1/2=6.5となる。これは明らかに、通常のLSBビットB0で終了した場合の未補正値8より、正しい値5により近い。
しかし、この場合補正ビットは、前の非常に大きなノイズ事象からのいく分かの回復を許容したが、これらの補正ビットそれ自体は、ノイズに影響されやすい。そのため、ビット重みを加算するだけでは、ノイズに対する小さい利点のみしか伝えないことがわかる。
代わりに、我々はLSB後の結果および各追加の補正結果を、有効結果として処理する。次に最終結果を、4つの中間結果を合わせて加えることにより得る。
これは、各中間結果が最終の答えの1/4を提供するのみであるため、有効である。最終4ビット試行の任意の1つの間に生じるいかなるノイズピークの効果も、こうして低減される。
いかにして数値演算を行うか
さらに以下の例は、3個の補正ビットを有する12ビット変換器のケースであって、加えるべき4つの結果を提供するものを示す:
Figure 2009505495
末尾の−6/2の値は、次の事実によるものである:最終結果における3個の補正ビットの各々を、1の重みと−1/2のオフセットを有するとして処理しているが、しかし幾つかの補正ビットは他よりもより頻回に寄与しており、C1は3回、C2は2回、そしてC1は1回寄与し、そして3+2+1=6である。
それぞれの結果は、独立した12ビット変換として処理できる。したがって、独立した4回の12ビット変換を、15ビット試行において効果的に得た。4回の12ビット結果を合わせて加えることができて、1つの有効14ビット結果を生成する。その結果、ここで提唱されたスキームは、ノイズの効果を低減しただけでなく、変換器の分解能も高めた。もしスキームが、ノイズを平均化しても分解能が同じであったら、変換器のノイズ閾値はその量子化雑音により制限されることになるであろうから、このことは有利である。本明細書に記載の構成において、量子化雑音および熱雑音は共に低減される。
注目すべきことは、14ビット結果を実現するためには、前の段落に記載したように、ある量のノイズを実際に必要とすることである。これは、いかなるノイズも不在の場合、比較器は補正ビットの間に1と0の間でまたは0と1の間で切り替わるからである。これは、もとの12ビット結果を13ビット結果へと変えるのに十分な追加情報を与えるだけである。幾つかの場合においては、存在する熱雑音はこの切り換え振舞い(toggling behavior)を回避するのに十分であり、したがって14ビット結果がもたらされる。記載のスキームへの小さな改変において、固定オフセットを補正ビットの間に加えることができて、これによりノイズ不在の場合であっても、14ビット結果を生成する。例えば、3個の余分な補正ビットを用いて、14ビットレベルにおける+1LSBまたは−1LSBに等しいオフセットを、第2番目の補正ビットと第3番目の補正ビットの間に導入する。オフセットにおけるこのシフトは次にトグルパターンを破り、これにより補正ビットは、いかなるノイズも不在の場合にも14ビット結果を生み出すのに十分な余分の情報を提供する。このオフセットは、多くの場合スイッチトキャパシタ手段を用いて導入される。
変換の分解能を高めるためにオフセットを導入することについて、3個の補正ビットを有する12ビット変換器の特定のケースを念頭において説明した。しかし、同一または異なる数の補正ビットの、異なる分解能の変換器についても、同じ概念が働く。変換の補正部分の間に、1回より多く固定オフセットを加えることが望ましい場合もあるであろう。
第6,894,627号では、より大きいスパイク雑音が第1変換でかなり大きな誤差をもたらした場合でも、第2のサブアレイを用いたその後の繰り返し変換により、多くの場合、かかる誤差から完全に回復することができる。しかしこれには、追加の変換毎に多数のビット試行を費やさねばならないという代償が伴う。新しいスキームにおいて記載したように、もとの変換にノイズ事象による重大な誤差があると、図6に示したように、この誤差からの回復には多数の追加の平均化ビット試行が必要となる可能性がある。しかし、新しいスキームの利点は、各追加の変換が、ただ1回の余分なビット試行を費やすだけで得られることである。発明者らは、特に合理的に低いノイズレベルにおいて、この新しいスキームが、与えられたビット試行数に対し第6,894,627号に記載の発明よりも高いSNRを実現することを示した。
主要な変換器アレイの本体内に冗長ビットを含むことによって、変換器が間違った決定からより容易に回復できるように、また変換器が完全に整定する前に決定がなされるようにすることが知られている。かかるアレイは、本発明と共に用いることができる。同様に、複数の逐次近似変換エンジンを配置して協同的に作動させることにより、各ビット試行で2個のビットを決定できるようにすることも知られている。本スキームは、次の両方の場合のアナログ・ディジタル変換器に拡張可能である:複数エンジンを有し、これらが最後の数回の試行で独立して作動し、かつそれぞれの補正ビットをそれらの中に有する場合、または代替的に、独立した複数変換エンジンの複数キャパシタアレイを試行の終り近くに同時に切り換えることができて、それ自体熱雑音の減少を示すより大きな1つのアレイを実現する場合。
図7は本発明のさらなる態様を図示する。この態様において、キャパシタディジタル・アナログ変換器100は、アナログ・ディジタル変換器のキャパシタアレイに取り付けられている。DAC100は、上方および下方にカウントできることが必要であり、したがってリセット条件はその中央範囲付近にとる必要がある。DACの出力は共通ライン10に接続され、これは図7において、比較器14に接続して示されている。実際には、DAC100は多くの場合、セグメント化されたアナログ・ディジタル変換器のサブアレイ内に形成され、したがって比較器14にさらなるキャパシタ(図に示されず)を介して接続される。理想的には、DAC100はアナログ・ディジタル変換器の1最下位ビット未満の分解能を有し、前記のように、1最下位ビットの1/2の分解能が適当である。ディジタル・アナログ変換器100はアップダウンカウンター102により駆動され、該カウンターは比較器14の出力に応答する。クロックまたはストロボ信号を用いて、比較器、アップダウンカウンター102およびディジタル・アナログ変換器100の同期操作を行い、これら部品のレーシングを回避する。したがって、前に記載の態様のように、各補正変換において比較器は、現在のディジタルコードをアナログ入力値と比較することができ、その結果コードを、ディジタル・アナログ変換器のステップサイズだけ増加または減少させる。
この図はまた、オフセットキャパシタCoffを含み、これは典型的には0.25LSBのサイズであり、グラウンドとVrefの間で切り換えることができてサンプリングアレイに小さなオフセットを適用し、これによりビットトグルパターンを壊して、強化された分解能を提供するために十分な情報を、補正ビットが提供するようにする。
このように、変換のスループットを実質的に維持しつつ、改善された信号対雑音比を有する、改善されたアナログ・ディジタル変換器を提供することが可能である。
スイッチトキャパシタベースのアナログ・ディジタル変換器の入力ステージの一部を示す図である。 従来の12ビット逐次近似変換器内で実行される最終4ビット試行を示す図である。 従来の逐次近似アナログ・ディジタル変換器の最終4ビット試行を、この中のディジタル・アナログ変換器に重ねられたノイズと共に示す図である。 本発明の態様を構成する、スイッチトキャパシタアナログ・ディジタル変換器入力アレイを示す図である。 複数の変換結果を格納するためにその中に結果レジスタを有するコントローラを有する、SAR変換器を示す図である。 本発明の態様を構成するアナログ・ディジタル変換器内の、ビット試行の最終4ビットに3個の補正ビットの変換を加えたものを示す図である。 本発明のさらなる態様を示す図である。

Claims (23)

  1. アナログ・ディジタル変換器を操作する方法であって、
    a)第1モードの前記変換器を操作して第1変換結果を得ること、
    b)少なくとも1回の補正変換を行う補正モードの前記変換器を操作すること、および第1変換結果と前記または各補正変換を組み合わせること、およびここで各補正変換は先行結果の結果を有効開始点とする、
    のステップを含む、前記方法。
  2. 各補正変換が、直前の先行変換の結果を有効開始点とする、請求項1に記載の方法。
  3. 各補正変換が、直前の先行結果を所定のステップサイズだけ修正することのみ可能である、請求項1に記載の方法。
  4. 直前の先行結果を、第1変換結果の0.5LSBのステップサイズであるΔCだけ増加させるか、またはΔCだけ減少させる、請求項3に記載の方法。
  5. 変換器が第1モードで動作して第1変換結果を得、第2モードでN回の補正変換を行い、ここで各補正変換によって新しいビットを試行し、全ての先に試行したビットは無修正のままで残す、請求項1に記載の方法。
  6. 各補正試行を有効結果として処理し、前記有効結果を合計する、請求項1に記載の方法。
  7. 各補正試行を有効結果として処理し、前記有効結果を平均する、請求項1に記載の方法。
  8. 各補正試行が1ビット試行である、請求項1に記載の方法。
  9. 第1モードにおいて変換器がPビットの逐次近似変換を行う、請求項1に記載の方法。
  10. 複数の補正変換を行なう、請求項1に記載の方法。
  11. 補正変換からの結果を合計する、請求項10に記載の方法。
  12. 補正変換の少なくとも1つを実行中にオフセットを加えることをさらに含む、請求項1に記載のアナログ・ディジタル変換器を操作する方法。
  13. オフセットが、物理的なアナログ・ディジタル変換器の1LSBサイズ未満に相当する、請求項12に記載の方法。
  14. オフセットが、アナログ・ディジタル変換器のLSBサイズの2分の1または4分の1に相当することにより、有効分解能の増加を提供する、請求項13に記載の方法。
  15. アナログ・ディジタル変換器を操作する方法であって、前記変換器が第1モードで動作してPビットの変換結果を得、第2モードでN回の補正変換を行い、ここで各補正変換によってN番目のビットを試行し、全ての先に試行したビットは無修正のままで残す、前記方法。
  16. アナログ・ディジタル変換器であって、
    a)第1モードで動作して第1変換結果を得ること、および
    b)補正モードで動作して、少なくとも1回の補正変換を行うこと、および第1変換結果と前記または各補正変換を組み合わせること、およびここで各変換は先行変換を有効開始点とする、
    として構成された、前記変換器。
  17. 各補正変換が、直前の先行変換を有効開始点とする、請求項16に記載のアナログ・ディジタル変換器。
  18. 各補正変換が、直前の先行結果を所定のステップサイズだけ修正するのみである、請求項16に記載のアナログ・ディジタル変換器。
  19. 補正ビットをサブアレイに形成する、請求項16に記載のアナログ・ディジタル変換器。
  20. 補正ビットを2つのキャパシタとして実装し、第1番目は正の値を提供し、第2番目は負の値を提供する、請求項16に記載のアナログ・ディジタル変換器。
  21. 補正結果を提供するためのキャパシタDACをさらに含む、請求項16に記載のアナログ・ディジタル変換器。
  22. キャパシタDACが、アナログサンプルと該アナログサンプルを表わすADCからのディジタルコードとを比較する比較器の出力に応じて、増加および減少されるものである、請求項21に記載のアナログ・ディジタル変換器。
  23. 補正変換の実行中にオフセットを加えるためのオフセット発生器をさらに含む、請求項16に記載のアナログ・ディジタル変換器。
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