JP2009501256A - ハイドロフォビンを含むモノマーの水乳濁液 - Google Patents

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Abstract

ピッカリング乳化剤として作用する無機粒子とハイドロフォビンとを含む疎水性モノマーの水乳濁液;及びその乳濁液の製造法及び用途について述べられる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ピッカリング乳化剤として作用する無機粒子とハイドロフォビンとを含む疎水性モノマーの水乳濁液、及びこのモノマーをハイドロフォビンとともに、ピッカリング乳化剤として作用する無機粒子の存在下で水に分散させることによるこれら乳濁液の製造方法に関する。
本発明はまた、疎水性モノマーの水乳濁液の製造におけるハイドロフォビンの利用、及び疎水性モノマーを、ピッカリング乳化剤として作用する無機粒子とハイドロフォビンとを使用して、水中で懸濁重合する方法に関する。
また、本発明は、懸濁重合における供給材料として乳濁液を利用することに関する。
最後に、本発明は、発泡剤を使用して、未発泡又は既発泡の熱可塑性ポリマー粒子を製造する方法(ただし、該ポリマー粒子は上記の特定懸濁重合方法を用いて製造される)、本方法により得られる未発泡又既発泡のポリマー粒子、及びこれらの未発泡又は既発泡のポリマー粒子の発泡体又は発泡成形体の製造への利用に関する。
疎水性モノマーの水乳濁液が、出発原料として特に重合において使用される。例えば、スチレンの水乳濁液を懸濁重合して、ポリスチレン粒子を得ることができる。発泡剤を併用する場合は、圧力や温度条件により未発泡又は既発泡の発泡剤含有ポリマー粒子が得られ、この粒子より特に発泡体や発泡成形体を製造することが可能である。
上記のモノマー水乳濁液は、多くの場合、他の水中油型の乳濁液と同様に、乳化剤により安定化され、乳化剤は、水相に分散されたモノマー液滴の融合を防止する。使用される乳化剤は通常有機化合物であり、特に界面活性剤(例えば、石鹸、アルキルスルホン酸塩、脂肪族アルコール化合物)である。しかし、これらは発泡性があり、発泡はこの乳濁液の取扱いを大幅に難しくし、例えばポンプ輸送を不可能とすることがある。
いわゆるピッカリング乳化剤は、特にモノマー水乳濁液の懸濁重合において有名であるが、他の用途においても使用される。このような乳化剤としては、例えばピロリン酸マグネシウムやリン酸カルシウムなどの水不溶性無機化合物があげられる。これらは、乳濁液中で微分散された状態で使用され、重合中に、重合中のモノマーの液滴の融合を防止する。これらは発泡性が低く、また重合終了後洗浄により除去可能である。しかしこれらのピッカリング乳化剤は常に有効ではなく、必ずしもこれで安定な乳濁液を作ることが可能であるということではない。例えば、ピッカリング乳化剤粒子は、ぬれ性が高く、界面活性であるわけではない。
DE4220225A1は、スチレンを発泡剤とともに水懸濁液中で重合するビーズ状発泡性ポリスチレンの製造を開示しているが、ここで使用される懸濁液安定剤は、ピロリン酸マグネシウムと、増量材としてのアルキルスルホン酸塩及びアルカリ(土類)金属の炭酸塩の混合物である。
ハイドロフォビン類は、約100〜150個のアミノ酸からなる小さなタンパク質であり、糸状菌、例えばシゾフィラム・コミューンに特徴的なものである。これらは、一般に8個のシステイン単位を有している。ハイドロフォビンは天然物より単離してもよい。しかし、非天然のハイドロフォビン類を、化学的及び/又はバイオ工学的に製造することも可能である。
ハイドロフォビン類は、界面に親和性を示すため、塗布表面に適している。例えば、テフロン(登録商標)(R)にハイドロフォビンを塗布して親水性表面を得ることができる。
ハイドロフォビンは、天然物から単離可能である。ドイツ特許出願DE102005007480.4(出願日2002年5月17日、本発明の優先日には未公表)は、ハイドロフォビンの製造方法を開示している。
過去の文献では、ハイドロフォビンのいろいろな用途での利用が提案されている。
WO01/57528には、30〜80℃の温度で、ハイドロフォビン含有溶液を、窓、コンタクトレンズ、バイオセンサー、医療器具、実験容器又は保管容器、船殻、固体粒子又はフレーム、又は車体に塗布することが開示されている。
WO01/57066は、ハイドロフォビンを用いる特定の塗布方法を記載している。
WO03/53383では、化粧品用途において角質材料の処理にハイドロフォビンを用いることを開示している。
WO03/10331には、ハイドロフォビンを塗布したセンサ、例えば、他の物質、例えば電気活性物質、抗体又は酵素が共有結合的に結合していない測定用電極が開示されている。
WO96/41882では、9〜10頁に、ハイドロフォビンの乳化剤、増粘剤、表面活性物質として利用、疎水性表面の親水化、親水性基板の耐水性の改良、水中油型乳濁液又は油中水型乳濁液の調整での利用を提案している。また、保存性の改良のための食品での利用や、医薬品用途、例えば軟膏やクリームの調整や、化粧品用途、例えば皮膚の保護又はヘアシャンプー又はヘアリンスでの利用が提案されている。
組成の異なる水中モノマー型乳濁液の提供も目的としている。乳濁液は、発泡性を示してはならず、数時間は安定で、相分離をおこしてはならない。理想的には、懸濁重合で重合できるべきである。
したがって、当初に示した乳濁液、製造方法、用途、及びポリマー粒子が、見出された。本発明の好ましい実施様態は、請求項に記載されている。上記のすべての問題点は、実際に存在する問題点である。
ハイドロフォビン
本発明の乳濁液はハイドロフォビンを含有する。本発明において、「ハイドロフォビン」とは、一般構造式(I)で表されるタンパク質を意味するものとする。

n−C1−X1-50−C2−X0-5−C3−X1-100−C4−X1-100−C5−X1-50−C6−X0-5−C7−X1-50−C8−Xm (I)

式中、Xは、20種の天然アミノ酸(Phe、Leu、Ser、Tyr、Cys、Trp、Pro、His、Gln、Arg、Ile、Met、Thr、Asn、Lys、Val、Ala、Asp、Glu、Gly)のいずれかである。ただし、Xは、いずれの場合も、同一であっても異なっていてもよい。Xの添字は、いずれの場合も、アミノ酸の数である。Cは、システイン、アラニン、セリン、グリシン、メチオニン又はトレオニンであり、C基のうち少なくとも4個はシステインであり、添字のnとmは、独立して、0〜500、好ましくは15〜300の自然数のである。
式(I)で表されるポリペプチド類は、特徴的に、ガラス表面に塗布すると、いずれの場合も、未塗布のガラス表面上の同寸法の水滴の接触角と比較して、室温では、水滴接触角の少なくとも20°の、好ましくは少なくとも25°の、特に好ましくは30°の増加をもたらすという性質を有している。
1〜C8のアミノ酸は、好ましくはシステインであるが、類似空間配置をもつ他のアミノ酸、好ましくはアラニン、セリン、トレオニン、メチオニン又はグリシンであってもよい。しかし、C1〜C8の位置のうち少なくとも4箇所、好ましくは少なくとも5箇所、特に好ましくは少なくとも6箇所、特に少なくとも7箇所が、システインである。本発明のタンパク質において、システインは、還元型であってもよく、また相互にジスルフィドブリッジを形成してもよい。特に好ましいのは、分子内のC−Cブリッジを形成したもので、特に、少なくとも1個の、好ましくは2個の、特に好ましくは3個の、特に好ましくは4個の分子内ジスルフィドブリッジをもつものである。上記のように、システインに類似の空間配置をもつアミノ酸で置換する場合、そのC位置は、相互に分子内ジスルフィドブリッジを形成可能な対で置換することが好ましい。
もしXで示される位置に、システイン、セリン、アラニン、グリシン、メチオニンあるいはトレオニンを使用する場合、一般式の各C位置の番号が変化する。
好ましくは、一般式(II)で表されるハイドロフォビン

n−C1−X3-25−C2−X0-2−C3−X5-50−C4−X2-35−C5−X2-15−C6−X0-2−C7−X3-35−C8−Xm (II)

が、本発明を実施するのに使用される。なお、式中、XとC及びXとCの添字は、上記と同じであるが、添字のnとmは、相互に独立して、0〜300の自然数である。好ましくは、このタンパク質はさらに上記の接触角変化により規定される。
一般式(III)で表されるハイドロフォビンの使用が特に好ましい。

n−C1−X5-9−C2−C3−X11-39−C4−X2-23−C5−X5-9−C6−C7−X6-18−C8−Xm (III)

式中、XとC及びXとCの添字は、上記と同じであるが、添字のnとmは、相互に独立して、0〜200の自然数である。好ましくは、このタンパク質は、さらに上記の接触角変化により規定される。したがって、Cの基のうち少なくとも6個がシステインであることが好ましい。特に、すべてのC基がシステインであることが好ましい。
n基とXm基は、ハイドロフォビンにもともと結合しているペプチド配列である。しかし、一方の基又は両方の基が、ハイドロフォビンにもともと結合していなかったペプチド配列であってもよい。このことは、これらのXn基及び/又はXm基が、ハイドロフォビンにもとよりあるペプチド配列がハイドロフォビンにもとよりなかったペプチド配列で延長させられたものであってもよいことを意味する。
n基及び/又はXm基が、ハイドロフォビンにもとより結合していなかったペプチド配列である場合、その配列は、一般にそのアミノ酸数が、少なくとも20個、好ましくは少なくとも35個、特に好ましくは少なくとも50個、特に好ましくは少なくとも100個である。ハイドロフォビンにもとより結合していなかったこのような基を、以降、 融合パートナーと称する。このことは、このタンパク質が、少なくとも1個のハイドロフォビン単位と一個の自然には決してとりえない形態の融合パートナーからなることを意味する。
この融合パートナーは、数多くのタンパク質の中より選択される。複数の融合パートナーが、ハイドロフォビン単位に結合することも可能であり、例えば、ハイドロフォビン単位のアミノ末端基(Xn)及びカルボキシ末端基(Xm)に結合可能である。しかし、例えば二種の融合パートナー単位が、本発明のタンパク質の一箇所(Xn又はXm)に結合することも可能である。
特に好適な融合パートナー単位は、微生物中で、特に大腸菌又は枯草菌で自然に発生するタンパク質である。このような融合パートナー単位の例としては、配列yaad(配列番号15及び16)、yaae(配列番号17及び18)、及びチオレドキシンがあげられる。これらの特定配列のフラグメントや誘導体もまたたいへん好適であり、これらは、上記配列の一部、好ましくは70〜99%、特に好ましくは80〜98%を含んでいるか、特定配列と較べるといくつかのアミノ酸又はヌクレオチドが変化している。なお、%値はいずれの場合もアミノ酸数の値である。
本発明で使用されるタンパク質のポリペプチド配列を、例えばグリコシル化あるいはアセチル化によりあるいはグルタルジアルデヒドによる化学架橋で、改変することもできる。本発明で使用されるタンパク質で表面と覆うと、表面の性質が変化する。表面の性質の変化は、タンパク質で表面を覆う前後の水滴接触角を実験的に測定し、両測定の差を計算することにより決めることができる。
接触角の測定方法は、原則として当業界の熟練者に公知である。この測定は、室温で5μlの水滴を用いて行う。接触角を測定するのに好適な方法の例での詳細な実験条件は、実験欄に記載されている。その条件下では、本発明で使用されるタンパク質は、少なくとも20°の、好ましくは少なくとも25°の、特に好ましくは少なくとも30°の接触角を増加させる性質を有している。なお、いずれの場合も、接触角は、非被覆ガラス表面上での同じ大きさの水滴の接触角に対する値である。
既知のハイドロフォビン類のハイドロフォビン単位では、極性及び非極性アミノ酸の位置が保存されており、そのことは、特徴的な疎水性グラフにより明らかである。生物理学的性質や疎水性の差により、既知のハイドロフォビン類は、二つのクラス、クラスIとクラスIIに分類されている(Wessels et al., 1994, Ann. Rev. Phytopathol., 32、413-437)。
クラスIハイドロフォビンにより形成される膜は、多くの場合不溶であり(高温の1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)に対してでも)、濃いトリフルオロ酢酸(TFA)又はギ酸を用いてのみ溶解可能である。これとは対照的に、クラスIIハイドロフォビンでできたものはやや不安定である。これらは60%程度の濃度のエタノールや1%SDSに可溶である(室温)。
アミノ酸配列を比較すると、クラスIIハイドロフォビンでは、C3システインとC4システイン間の領域の長さが、クラスIハイドロフォビン類より大幅に短くなっているがわかる。クラスIIハイドロフォビンは、また荷電アミノ酸を、クラスIハイドロフォビンより多く含んでいる。
本発明の実施に当たり特に好ましいハイドロフォビンは、dewA型、rodA型、hypA型、hypB型、sc3型、basf1型、及びbasf2型のハイドロフォビン類である。なお、これらは、構造的には下記の配列様式を特徴としている。これらの一部あるいは誘導体であってもよい。二個以上の、好ましくは2個又は3個の構造が同一であるか異なるハイドロフォビン単位が相互に連結したものや、これらが通常ハイドロフォビンには結合しない相当する適当なポリペプチド配列と連結したものであってもよい。
本発明の実施に当たり特に好適なのは、配列番号20、22、24で表されるポリペプチド配列をもつ融合タンパク質、及びこれらをコードする核酸配列、特に、配列番号19、21、23で表される配列である。配列番号22、22又は24で表されるポリペプチド配列から出発して、全アミノ酸の少なくとも1%で、多くても10%、好ましくは5%で、特に好ましくは5%のアミノ酸の置換、挿入又は欠失の結果できるタンパク質で、出発タンパク質の生物学的な性質の少なくとも50%を保持するものもまた、特に好ましい例である。上述のように、タンパク質の生物学的な性質とは、接触角の少なくとも20°の増加を意味する。
ハイドロフォビンの好ましい使用量は、乳濁液の総量に対して、20〜150ppmw、特に30〜100ppmw、特に好ましくは40〜90ppmw(重量ppm)である。スチレンをモノマーとして使用する場合、ハイドロフォビンの使用量は、乳濁液に対して、例えば20〜100ppmw、特に40〜90ppmwである。
ハイドロフォビンは、そのまま乳濁液に添加してもよく、溶剤や分散剤に溶解又は分散して添加してもよい。適当な溶剤又は分散剤は水である。このような溶液又は分散液中のハイドロフォビンの含量は、一般的に0.3〜1.2重量%、好ましくは0.35〜0.5重量%である。好ましくは、ハイドロフォビンを水溶液の形で添加する。
ハイドロフォビンの製造
本発明において使用されるハイドロフォビン類は、既知のペプチド合成法、例えばメリフィールドの固相合成法により化学的に製造可能である。
天然のハイドロフォビン類は、天然物より適当な方法を用いて単離できる。例えば、Wosten et al., Eur. J. Cell Bio. 63, 122-129 (1994)又はWO96/41882を参照。
上述のように、融合タンパク質は、好ましくは遺伝子組み換え法により生産される。その際、融合パートナーをコードする核酸配列とハイドロフォビン単位をコードする核酸配列、特にDNA配列とを混合し、混合した核酸配列の遺伝子の発現により所望のタンパク質が宿主生物内で産生されるようにする。このような製造方法は、当初に記載した前出願DE102005007480.4に開示してある。
この方法に好適な宿主生物(特定生物)としては、原核生物(古細菌を含む)又は真核生物があげられ、特に、ハロバクテリアやメタノコッカスなどのバクテリア、真菌類、昆虫細胞及び哺乳類細胞があげられ、特に好ましくは大腸菌、枯草菌、巨大菌、黄麹菌、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・ニガー、ピチア・パストリス、シュードモナス種、ラクトバチルス、ハンセニュラ・ポリモルファ、トリコデルマ・リーゼイ、SF9(又は、関連細胞)等があげられる。
また、遺伝子制御下の調節核酸配列と、本発明に用いられるポリペプチドをコードする核酸配列と、発現コンストラクトの少なくとも一つを含むベクターとを含む発現コンストラクトを用いてもよい。
好ましくは、使用するコンストラクトは、特定のコード配列の5’側上流にプロモーターと、3’側下流にターミネーター配列とを有し、適当なら、更に既知の調整配列をいずれの場合もコード配列に作動可能な状態で連結された状態で有していてもよい。
「作動可能な状態で連結」とは、プロモーター配列、コード配列、ターミネーター配列、また適当なら他の調整配列が、コード配列の発現の際に、各調整配列が目的とする機能を発揮するように配列していることを意味する。
作動可能な状態で連結した配列の例としては、標的配列及びエンハンサー、ポリアデニル化シグナル等があげられる。また、調整配列は、選択可能なマーカー、増幅信号、複製開始点等を含んでいる。好適な調節配列が、例えば、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。
これらの調節配列に加えて、実際の構造遺伝子の上流にこれらの配列を調整する自然調節がある場合もあるが、適当なら、上記の自然調節が起こらないように、遺伝子の発現を増加させるように遺伝子を組み替えてもよい。
好ましい核酸コンストラクトは、好ましくは、プロモーターに機能的に連結した、一個以上の上記「エンハンサー」配列を有し、この結果、核酸配列の発現が増加している。他の有利な配列、例えば他の調節配列やターミネーターを、DNA配列の3’末端に挿入してもよい。
これらの核酸は、コンストラクト中に複数コピーで存在してもよい。このコンストラクトは、他のマーカー、例えば抗生物質耐性を与える遺伝子や栄養素要求遺伝子、適当ならコンストラクト選択用マーカーを有していてもよい。
本方法に好ましい調節配列は、例えば、グラム陰性のバクテリアで好ましく使用されている、cos、tac、trp、tet、trp、tet、lpp、lac、lpp、lac、laclq−T7、T5、T3、gal、trc、ara、rhaP(rhaPBAD) SP6、lambda−PR、又はimlambda−Pプロモーターなどのプロモーター中に存在する。他の好ましい調節配列は、例えばグラム陽性のプロモーターのamy及びSP02中に、酵母又は真菌類プロモーターのADC1、MFalpha、AC、P−60、CYC1、GAPDH、TEF、rp28、ADHの中に存在する。
合成プロモーターを調節に用いることも可能である。
宿主生物で発現させるために、この核酸コンストラクトを、好ましくは、プラスミド又はファージ等のベクターに挿入して、宿主中で遺伝子を好適に発現させる。ベクターとは、プラスミドやファージ以外にも、例えば、SV40、CMV、バキュロウイルスやアデノウイルスなどのウイルス、トランスポソン、IS成分、プラスミド、コスミド、直線状又は環状DNA、及びアグロバクテリウムシステムなどの当業界の熟練者には公知のすべてのベクターを含む。
これらのベクターは、宿主生物中で自発的に複製されることもあり、また染色体を経由して複製されることもある。これらのベクターも、本発明の実施様態に含まれる。好適なプラスミドとしては、例えば、大腸菌のpLG338、pACYC184、pBR322、pUC18、pUC19、pKC30、pRep4、pHS1、pKK223−3、pDHE19.2、pHS2、pPLc236、pMBL24、pLG200、pUR290、plN−lll’3−B1、tgtll、又はpBdCI;ストレプトミセス属のplJ101、plJ364、plJ702、又はplJ361;バシルス属のpUB110、pC194又はpBD214;コリネバクテリウム属のpSA77又はpAJ667;真菌類のpALS1、plL2、又はpBB116;酵母の2alpha、PAG−1、YEp6、YEp13又はpEMBLYe23;又は植物のpLGV23、pGHIac+、pBIN19、pAK2004又はpDH51があげられる。なお、これらの特定プラスミドは、可能なプラスミドのほんの一部にすぎない。他のプラスミドは、当業界の熟練者に公知であり、例えば、Cloning Vectors (Eds. Pouwels P. H. et al. Elsevier, Amsterdam-New York-Oxford, 1985, ISBN 0444904018)に記載されている。
更に存在する他の遺伝子を発現する核酸コンストラクトは、好ましくは、宿主生物に応じまた使用する一種以上の遺伝子に応じて好適に発現できるように選ばれた発現を増加するための3’末端及び/又は5’末端調節配列を含んでいる。
これらの調節配列は目的の遺伝子及びタンパク質を選択的に発現させる必要がある。つまりこのことは、宿主生物によって、これら遺伝が誘導後に発現又は過発現されたり、直ちに発現及び/又は過発現されることを意味している。
これらの調節配列や調整因子は、正の影響を有し挿入された遺伝子の発現を増加させることが好ましい。したがって、調節成分の増加は、プロモーター及び/又は「エンハンサー」などの強い転写シグナルを用いて、転写レベルで起こることが好ましい。しかし、例えばmRNAの安定性を増加させることで、翻訳を増加させることもできる。
ベクターの他の実施様態においては、核酸コンストラクト又は核酸を含むベクターを、直線状DNAの形で微生物に挿入して、宿主生物のゲノム中に異形的組換え又は相同的組換えにより導入することができる。この直線状DNAは、プラスミドなどの直線状ベクターであっても核酸コンストラクト又は核酸のみの直線状ベクターであってもよい。
生物中で異形遺伝子を好適に発現させるためには、その生物で用いられている特定の「コドン使用法」に対応して核酸配列を変化させることが好ましい。この「コドン使用法」は、その生物の他の既知の遺伝子をコンピューターで解析することにより容易に決定することができる。
発現カセットは、適当なプロモーターと適当なコード核酸配列及びターミネーター又はポリアデニル化シグナルとを融合することにより得られる。この目的のためには、従来の組換え法やクローニング法が用いられる。例えば、以下を参照。T. Maniatis, E. F. Fritsch and J. Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989), and in T. J. Silhavy, M. L. Berman and L. W. Enquist, Experiments with Gene Fusions, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1984) and in Ausubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience (1987).
適当な宿主生物で発現させるには、組換え核酸コンストラクト又は遺伝子コンストラクトを、宿主において遺伝子を好適に発現させる宿主特異的なベクターに挿入させることが好ましい。ベクターは、当業界の熟練者には公知であり、例えば、“Cloning Vectors” (Pouwels P. H. et al., Ed. Elsevier, Amsterdam-New York-Oxford, 1985)に記載されている。
ベクターを用いることで、例えば少なくとも一種のベクターで形質転換された、本発明で使用されるタンパク質の製造に使用可能な組換え微生物を作ることが可能となる。上記の組換えコンストラクトは、適当な宿主システムに挿入されて、発現されることが好ましい。この関係で、特定の核酸が特定の発現システムで発現されるようにするため、共沈、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、レトロウイルストランスフェクション等の当業界の熟練者には公知の汎用のクローニング法及びトランスフェクション法を用いることが好ましい。適当なシステムは、例えば、以下に記載されている。Current Protocols in Molecular Biology, F. Ausubel et al., Ed. Wiley Interscience, New York 1997, or Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989.
また、相同の組換え微生物を作ることも可能である。この目的のために、少なくとも本発明で使用される遺伝子の一部を含むベクター、又は適当ならその配列を変化させ即ち機能的に混乱させるために、少なくとも一個のアミノ酸の欠失、挿入又は置換を起こさせているコード配列(「ノックアウト」ベクター)の一部を含むベクターが作られる。挿入された配列は、例えば関連する微生物の同属体であってもよく、哺乳類、酵母又は昆虫由来の誘導体であってもよい。相同組換えの間に内因性遺伝子が変異又は変化することもあるが、(即ち、もし上流の調整領域が変化し、結果として内因性タンパク質の発現に変化が起こる場合)継続して機能性タンパク質をコードするように相同組換えに用いるベクターを、デザインしてもよい。本発明の遺伝子の変化する領域が、相同組換えベクター中に含まれる。相同組換え用に適当なベクターを作成する方法が、例えば、Thomas, K. R. and Capecchi, M. R. (1987) Cell 51: 503に記載されている。
本発明で用いられる核酸又は核酸コンストラクト用に適当な組換え宿主生物としては、原則としてすべての原核生物及び真核生物があげられる。使用する宿主生物は、好ましくはバクテリア、真菌類、酵母などの微生物である。グラム陽性又はグラム陰性バクテリアの使用が好ましく、好ましいバクテリアとしては、腸内細菌、シュードモナス科、リゾビウム科、ストレプトマイセス科又はノカルディア科の細菌があげられ、特に好ましくは、大腸菌、シュードモナス、ストレプトミセス、ノカルディア、ブルコルデリア、サルモネラ、アグロバクテリウム又はロドコッカスなどのバクテリアがあげられる。
融合タンパク質の調整の用いられる生物は、当業界の熟練者には公知の方法により、宿主生物に応じて生育又は培養させられる。微生物は、一般に液体培地で培養され、培地は、主として糖類の炭素源、主として酵母抽出物などの有機窒素源または硫酸アンモニウムなどの塩からなる窒素源、鉄塩、マンガン塩やマグネシウム塩などの微量成分、及び適当ならビタミン類を含み、その温度は0〜100℃、好ましくは10〜60℃で、培養は酸素下で行われる。なお、培養中の栄養液のpHは一定であってもよい、つまり調整しても調整しなくてもよい。培養は、バッチ式、半バッチ式でも、連続式のいずれでもよい。培養開始時に栄養物質を添加してもよいし、後から半連続的にあるいは連続的に供給してもよい。酵素は、これらの生物から実施例に記載の方法で単離してもよいし、粗抽出物として反応に用いてもよい。
もしタンパク質が適当に発現され、これらのタンパク質を培地から単離することができるのなら、本発明で使用されるタンパク質、又はその機能性で生物的に活性なフラグメントを、タンパク質産生微生物を培養する組換え法により生産することができる。必要ならこれらのタンパク質を工業規模で生産することも可能である。組換え微生物は、既知の方法により培養、醗酵される。バクテリアは、例えばTB培地又はLB培地で、20〜40℃の温度で6〜9のpHで培養される。具体的には、適当な培養条件が、例えば、T. Maniatis, E. F. Fritsch and J. Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989)に記載されている。
本発明で使用されるタンパク質が培養培地中に分泌されない場合は、細胞を破砕し、既知のタンパク質単離方法により溶解物から産生品が単離される。細胞破砕には、高周波数の超音波処理、高圧、例えばフレンチ高圧セル処理、浸透圧処理、洗剤、加水分解酵素又は有機溶剤などの薬剤処理、ホモジナイザー処理、あるいは、これらの方法の二種以上の組み合わせのいずれを用いてもよい。
本発明で使用されるタンパク質の精製は、既知のクロマトグラフィー法、例えばモレキュラーシーブクロマトグラフィー(ゲル濾過)、Q−セファローズクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーや疎水性クロマトグラフィーを用いて行うことができ、また、限外濾過、晶出、塩析、透析、及びゲル電気泳動などの他の既知の方法と組合わせてもよい。好適な方法が例えば以下に記載されている。Cooper, F. G., Biochemische Arbeitsmethoden [Biochemical working methods], Verlag Water de Gruyter, Berlin, New York or in Scopes, R., Protein Purification, Springer Verlag, New York, Heidelberg, Berlin.
組換えタンパク質を単離するのに、特定の核酸配列によりcDNAを延長させるベクターシステム又はオリゴヌクレオチド、また修飾タンパク質又は融合タンパク質をコードするベクターシステム又はオリゴヌクレオチドを利用することが好ましい。こうすることで、精製が容易となる。このような適当な修飾とは、アンカーとして作用するいわゆる「タグ」 例えば、ヘキサヒスチジンアンカーのような修飾や、抗体により抗原として認められるエピトープがあげられる(例えば、Harlow, E. and Lane, D., 1988, Antibodies: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor (N.Y.) Press参照)。他の適当なタグとしては、例えば、HA、カルモジュリンBD、GST、MBD;キチンBD、ストレプトアビジンBD、Aviタグ、Flagタグ、T7などがあげられる。これらのアンカーにより、固定されたサポートに、例えばクロマトグラフィーカラムに充填可能なポリマーマトリックスやマイクロタイター板などのキャリア上で使用可能なポリマーマトリックスに、これらのタンパク質を付着させることができる。相当する精製方法は、市販アフィニティータグの供給会社から入手可能である。
このように製造されたタンパク質は、融合タンパク質として直接用いてもよいし、融合パートナーを切断分離後、「純粋な」ハイドロフォビンとして用いてもよい。
融合パートナーを分離したい場合、融合タンパク質のハイドロフォビン単位と融合パートナー単位の間に切断可能部位(特定のプロテアーゼ認識部位)を導入することが好ましい。適当な切断部位、特にハイドロフォビン単位中あるいは融合パートナー単位中に通常存在しないペプチド配列は、バイオインフォマチックの手段により、容易に発見することができる。特に好適なのは、メチオニン上でのBrCN切断、又はXa因子を用いるプロテアーゼによる切断、エンテロキナーゼ、トロンビン、TEV切断(タバコエッチウイルスプロテアーゼ)である。
モノマー
本発明の乳濁液用の適当なモノマーには、原則としてすべて疎水性モノマーが含まれる。ここで、疎水性とは、モノマーを水と混合した場合二層を形成する、つまりそのモノマーが水に混和不能又はほんの少量しか溶解しないことを意味する。
好ましくは、このモノマーはスチレンであり、適当なら、モノマーの総量に対して最大50重量%までコモノマーを併用してもよい。このようなコモノマーとしては、例えば、α−メチルスチレン、環ハロゲン化スチレン、環アルキル化スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素原子数が1〜8のアルコールとのエステル類、ビニルカルバゾールなどのN−ビニル化合物、及び少量の二個の重合性二重結合を有する化合物(例えば、ブタジエン、ジビニルベンゼン又はブタンジオールジアクリレート)があげられる。スチレンのみを使用することが特に特に好ましい。
したがって、好ましい本発明の乳濁液においては、モノマーがスチレンであって、α−メチルスチレン、環ハロゲン化スチレン、環アルキル化スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸又はメタクリル酸とC1-8−アルコールとのエステル類、N−ビニル化合物、ブタジエン、ジビニルベンゼン、及びブタンジオールジアクリレートから選択されるコモノマーが使用される。
本発明の乳濁液におけるモノマーと水の体積比(相体積比)は、特に使用するモノマーにより変動するが、一般的には0.75:1〜1.5:1、特に0.9:1〜1.4:1、特に好ましくは1:1〜1.4:1である。スチレンがモノマーである場合、スチレンと水の体積比は、例えば、1:1〜1.5:1、好ましくは1.1:1〜1.4:1、特に好ましくは1.2:1〜1.3:1である。
無機粒子
本発明によれば、本乳濁液はピッカリング乳化剤として作用する無機粒子を含有する。このような粒子は、例えば、Aveyard et al., Adv. Coll. Interf. Sci., 100-102 (2003), 503-546に記載されている。
この無機粒子は、好ましくは、ピロリン酸マグネシウム(MPP)、硫酸バリウム、酸化亜鉛及びリン酸カルシウムからなる粒子から選択される。これらのうち、ピロリン酸マグネシウム粒子が好ましく、特にスチレンをモノマーとして使用する場合に好ましい。
これらの粒子(ピッカリング乳化剤)は、無機化学の普通の反応で、例えば溶液からの結晶化により、又は固相反応により製造される。好ましくは、この粒子は、適当な水溶液を混合してあるいは固体にある水溶液を添加して使用直前に合成される。この場合、粒子は難溶性化合物として析出する。
例えば、MPP粒子は、ピロリン酸アルカリ金属の水溶液と少なくとも化学量論的に必要な量のマグネシウム塩とを混合して合成されるが、その際、マグネシウム塩は固体であっても水溶液であってもよい。MPPは、特に好ましくは、ピロリン酸ナトリウム(Na427)の水溶液と、硫酸マグネシウム(MgSO4・7H2O)とを混合して製造される。好ましくは、初めにピロリン酸ナトリウム溶液を入れ、そこに硫酸マグネシウム溶液を加える。マグネシウム塩は、少なくとも化学量論的に必要な量、好ましくは正確に化学量論的量を添加する。特に過剰のピロリン酸アルカリ金属を存在させてはならない。
特に好ましくは、乳濁液の水相全量が存在するときには、MPPを製造しない。乳濁液の製造に用いられる水の総量の半分以下を用いることが有利である。例えば、約20重量%濃度の硫酸マグネシウム溶液を、約3重量%濃度のピロリン酸ナトリウム溶液に添加してもよい。詳細は、DE4220225A1に記載されている。
無機粒子(ピッカリング乳化剤)の粒度は、沈澱条件によりコントロールされるが、通常、数平均粒子直径d50(いずれの場合も、50%の粒子がd50直径より少ないか多い)として、10nm〜10μm、好ましくは10nm〜1μm、特に好ましくは20〜100nmである。粒子が球形のナノ粒子であることが好ましい。
この無機粒子の使用量は、一般的に、乳濁液に対して、500〜1000ppmw、好ましくは600〜900ppmw、特に700〜800ppmwである。スチレンをモノマーとして使用する場合、その量は、乳濁液に対して、例えば、通常600〜900ppmw、好ましくは700〜800ppmwである。
この無機粒子はそのまま乳濁液に添加してもよいし、懸濁剤中に懸濁して添加してもよい。適当な懸濁剤は水である。粒子の調製の際に得られる水懸濁液を直接使用することが好ましい。このような懸濁液は、例えば1〜2重量%、好ましくは1.7〜1.9重量%の無機粒子を含有している。新たに作成した懸濁液の使用が特に好ましい。
乳濁液の他の成分
本発明の乳濁液は、水、モノマー、無機粒子(ピッカリング乳化剤)及びハイドロフォビン以外に、他の成分を含んでいる。
本発明の乳濁液を重合に供して、発泡剤を含有する未発泡又は既発泡のポリマー粒子を製造する場合、例えば発泡剤を添加してもよい。好適な発泡剤としては、特に、二酸化炭素、炭素原子数が2〜7の脂肪族炭化水素、アルコール、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、水、又はこれらの混合物など物理発泡剤があげられる。もし、例えば水中スチレン型乳濁液を重合して発泡剤含有ポリスチレン粒子を製造する場合、プロパン、イソブタン、n−ブタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−ペンタン、ヘキサン、二酸化炭素、あるいはこれらの混合物を使用することが好ましい。
発泡剤を添加する場合、その量は通常、モノマー量に対して1〜10重量%、好ましくは3〜8重量%である。
しかし、発泡剤の添加が絶対に必要というわけではない。発泡剤含有ポリマー粒子は他の方法でも、例えばできあがったポリマー粒子を発泡剤とともに高圧・高温で処理して発泡剤を軟化した粒子内に浸透させたり、いわゆる押し出し法で押出機中で発泡剤を溶融ポリマー中に混合し排出した溶融物を顆粒化させたりして製造可能できるからである。
また、他のよく使用される添加物、例えば核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤、すすや黒鉛などのIR吸収剤、アルミニウム粉末、可溶性及び不溶性の染料や顔料を乳濁液に添加することができる。これらの添加物は、この目的に通常使用される量で用いられる。スチレンをモノマーとして使用する場合に、あるいはポリスチレンをポリマー粒子として使用する場合の好適な核剤としては、例えば、タルク及び/又はワックスや、すす、黒鉛及びヒュームドシリカがあげられ、その使用量は、モノマー量に対して、合計で0.05〜30重量%である。好ましい可塑剤は、モノマー量に対して合計で0.05〜10重量%のミネラルオイル、オリゴマー状のスチレンポリマー、またはフタール酸エステルである。
しかし、これらの添加物を、乳濁液に加えずに、後ほど例えば得られたポリマー粒子に添加してもよい。
また、この乳濁液は、他の有機乳化剤(界面活性剤)、例えばアルキルスルホン酸塩を含んでいてもよい。その例としては、デシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩、又はC12-17−アルキルスルホン酸混合物のアルカリ金属塩、即ち主に平均鎖長がC15で、0.2重量%の有機的に結合した塩素を含むアルキルスルホン酸塩の第二級ナトリウム塩の混合物(市販製品メルソラート(R)K30、バイエル)があげられる。しかし、乳濁液の思わぬ発泡を防止するため、このような他の有機乳化剤は併用しないことが好ましい。
したがって、本発明の乳濁液は有機乳化剤又は界面活性剤を含まないことが好ましい。
乳濁液の調整
本乳濁液は、水とモノマー、ピッカリング乳化剤、ハイドロフォビン及び、適当なら他の成分とをバッチ的に又は連続的に混合(分散)して製造される。本方法において、供給材料は、一緒又は別途に、同時又は異なる時期に、一挙にバッチ式で、又はいくつかに分けて、又は、例えば直線的、漸増、漸減、指数、累進なとの数学関数的に連続式で添加することができる。
好ましくは、ハイドロフォビンをまず溶液として、またピッカリング乳化剤を好ましくは新たに作成した水懸濁液として添加する。次いで、必要なら、モノマー/水比を得るために水を加え、最後にモノマーを添加する。得られる混合物を混合する。
この混合は、公知の方法、例えば攪拌、振盪又は乱混合により実施される。使用する供給材料の種類と量のよっては、また乳濁液のモノマー液滴の所望径によっては、単純な攪拌機(例えば、マグネチックスターラー、パドル攪拌機など)で十分であり、攪拌は500〜1000rpm、好ましくは600〜800rpmで行われる。しかし、通常6000〜10000rpm、特に9000〜10000rpmで作動する高速攪拌機、例えばIKA社のウルトラタラックス(R)を用いてもよい。
あるいは、他の混合操作を実施してもよい。例えば、モノマーを水中に吹き込んだり、その逆を行ったり、混合物を振動させたりキャビテーションを起こさせたり(例えば、超音波)、乳化遠心器、コロイドミル又はホモジナイザーを使用したりすることができる。
混合は、この目的に適当であれば、どのような容器で行ってもよく、最も単純な場合は攪拌槽又は丸底フラスコで行ってよい。攪拌槽カスケード、チューブ型反応機、スタチックミキサー、又はダイナミックミキサーを用いてもよい。必要なら、混合を改善するために乱流装置を取り付けてもよい。
低エネルギーでは混合時間は、多くの場合1〜20時間、好ましくは5〜15時間である。高エネルギーでは、混合時間は、一般に60〜300秒、好ましくは60〜120秒である。乳濁液調製中の温度は、通常20〜80℃、好ましくは20〜25℃であり、その圧力は、通常1〜3bar、好ましくは1〜2barである。特に低沸点又は高蒸気圧モノマーを使用する場合、低温及び/又は高圧で作業することが好ましい。
混合時間、圧力及び温度は、使用する供給材料の種類と量と所望のモノマー液滴径により決まる。
乳濁液の性質、その他
本発明の乳濁液は、連続相としての水と分散相としてのモノマー液滴とからなる。モノマー液滴の直径は、供給材料の種類や量及び混合条件により広い範囲内で変動するが、
数平均液滴径d50(いずれの場合も、50%の粒子がd50直径より少ないか多い)として、通常100〜2000μm、好ましくは800〜1200μm、特に好ましくは900〜1000μmである。
この乳濁液は、長期にわたって、例えば数時間安定であり、発泡の兆候を示さない。
ある好ましい実施様態においては、本発明の乳濁液は、モノマーがスチレンであり、無機粒子がピロリン酸マグネシウムであり、ハイドロフォビンが本明細書で配列番号19で示されるものである。
本発明はまた、上記の本発明の乳濁液の製造方法であって、ピッカリング乳化剤として作用する無機粒子の存在下に、ハイドロフォビンを併用して、該モノマーを水に分散する方法を提供する。
好ましくは、本方法においては、この乳濁液が、クレーム1〜8の特徴の少なくとも一つを有している。
本発明はまた、疎水性モノマーの水乳濁液の製造におけるハイドロフォビンの利用を提供する。この利用においては、好ましくは、この乳濁液が、クレーム1〜8の特徴の少なくとも一つを有している。
ポリマー粒子の懸濁重合
当初に記載したように、本発明の乳濁液は、懸濁重合の供給材料に利用される。この利用も、本発明により提供されるものである。
本発明はまた、ピッカリング乳化剤として作用する無機粒子とハイドロフォビンとを使用して、疎水性モノマーを水中で懸濁重合する方法を提供する。この方法においては、使用する供給材料がクレーム1〜8に記載の本発明の乳濁液であることが好ましい。
懸濁重合方法は、当業界の熟練者には公知であり、例えば、Kunststoff-Handbuch [Plastics handbook], volume V Polystyrene, Hanser- Verlag Munichに記載されている。一般に、モノマーに可溶の汎用重合開始剤が使用される。このような開始剤としては、例えば、過安息香酸tert−ブチルやジベンゾイルパーオキシドなどのスチレン可溶性化合物があげられる。これらは、通常、モノマー量に対して0.001〜10重量%の量で使用される。
また、tert−ドデシルメルカプタン又はα−メチルスチレン二量体などの分子量調整剤を、通常モノマーに対して0.001〜0.01重量%の量で併用してもよい。既存の保護コロイドの使用も可能で、例えば、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド又はポリビニルピロリドンがあげられる。これらは、通常の量で使用される。しかし、保護コロイドは併用しないことが好ましい。
懸濁重合中の温度は、通常0〜200℃、好ましくは50〜150℃である。圧力は、一般的に0.1mbar〜50bar、好ましくは0.8bar〜20barである。
懸濁重合中に、(主に液状の)モノマー液滴が重合して、(通常固体の)モノマー粒子、及びポリマー粒子の水懸濁液を与える。ポリマー粒子の粒度は、特にモノマー液滴の大きさに依存するが、数平均粒子径d50(いずれの場合も、50%の粒子がd50直径より少ないか多い)として、通常800〜2000pm、好ましくは900〜1100μmである。
懸濁重合中に、発泡剤を併用して、発泡剤含有ポリマー粒子を形成してもよい。種類及び量に関しては、上記を参照。その際、重合は高圧、例えば1bar〜50barで、温度が、例えば50〜150℃で実施される。あるいは、発泡剤なしでまず重合を行い、ついで第二の工程で、生成するポリマー粒子の懸濁液を、高圧・高温処理してもよい。
特定の圧力と温度条件下では、加えられた発泡剤がポリマー粒子中に浸透する。もし圧力下で、発泡剤が粒子内で膨張できない状態でこの懸濁液が冷却されると、未発泡ポリマー粒子が得られる。加熱した粒子懸濁液を一挙に減圧すると、発泡剤が軟化して粒子中で膨張し、既発泡の粒子が得られる。したがって、このポリマー粒子は、製造方法により未発泡となったり既発泡となったりする。
したがって、本発明は、発泡剤を併用する未発泡又は既発泡の熱可塑性ポリマー粒子の製造方法であって、ポリマー粒子が懸濁重合用の特定の方法を用いて製造されたものである方法を提供する。
本方法により得られる未発泡又は既発泡のポリマー粒子も同様に、本発明により提供される。これらから、例えば、発泡体(いわゆる粒子状発泡体)又は発泡成形体を製造することができる。この手順は公知である。発泡ポリスチレン(スチロポール(R))を製造するには、まず、いわゆる前発泡により、例えば、本発明の発泡性の発泡剤含有ポリスチレン粒子を加熱して部分的に発泡させる。続くいわゆる完全発泡成形において、上記の部分発泡したポリスチレン粒子小さな内径の金型の投入し、金型を閉じ、例えばスチームを投入して粒子を発泡させる。この間に、粒子が互いに溶接して最終の発泡成形体を与える。
いたがって、本発明はまた、本発明の未発泡又は既発泡のポリマー粒子の発泡体又は発泡成形体の製造への利用を提供する。特に、本発明の未発泡又は既発泡のポリスチレン粒子の発泡ポリスチレンの発泡体又は発泡成形体の製造への利用、即ち、ポリマー粒子がポリスチレン粒子であり、発泡体又は発泡成形体が発泡ポリスチレンである用途での利用が好ましい。
実施例
A:本発明で使用されるハイドロフォビン類の調整と試験
実施例1: yaad−His6 /yaaE−His6 のクローニングのための前処理
オリゴヌクレオチドHal570とオリゴヌクレオチドHal571(Hal572/Hal573)とを用いてポリメラーゼ連鎖反応を行った。枯草菌からのゲノムDNAをテンプレートDNAとして使用した。得られたPCRフラグメントは、枯草菌の遺伝子yaaD/yaaEのコード配列を含み、いずれの場合も、末端にNcol又はBgIII制限酵素認識部位を有していた。このPCRフラグメントを精製し、制限酵素のNcolとBgIIIで切断した。このDNAフラグメントをインサートとして用い、前もって制限酵素のNcolとBgIIIとで線状化したキアゲンのベクターpQE60に導入した。このようにして得られたこれらのベクターpQE60YAAD#2とpQE60YaaE#5は、YAAD::HIS6又はYAAE::HIS6からなるタンパク質の発現に用いることができる。
Hal570:gcgcgcccatggctcaaacaggtactga
Hal571:gcagatctccagccgcgttcttgcatac
Hal572:ggccatgggattaacaataggtgtactagg
Hal573:gcagatcttacaagtgccttttgcttatattcc
実施例2: yaad−ハイドロフォビンDewA−His6 のクローニング
オリゴヌクレオチドKaM416とオリゴヌクレオチドKaM417とを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応を行った。カビのアスペルギルス・ニジュイアンスのゲノムDNAをテンプレートDNAとして用いた。得られたPCRフラグメントは、ハイドロフォビン遺伝子dewAのコード配列と、N−端末のXa因子プロテイナーゼ切断部位とを有していた。このPCRフラグメントを精製し、制限酵素BamHIで切断した。このDNAフラグメントをインサートとして用い、制限酵素BgIIIで前もって直線状にしたベクターpQE60YAAD#2に導入した。
このようにして得られたベクター#508は、YAAD::Xa::dewA::His6からなる融合タンパク質の発現に用いることができる。
KaM416:GCAGCCCATCAGGGATCCCTCAGCCTTGGTACCAGCGC
KaM417:CCCGTAGCTAGTGGATCCATTGAAGGCCGCATGAAGTTCTCCGTCTCCGC
実施例3:yaad−ハイドロフォビンRodA−His6 のクローニング
プラスミド#508と同様に、オリゴヌクレオチドKaM434とオリゴヌクレオチドKaM435を用いて、プラスミド#513をクローニングした。

KaM434:GCTAAGCGGATCCATTGAAGGCCGCATGAAGTTCTCCATTGCTGC
KaM435:CCAATGGGGATCCGAGGATGGAGCCAAGGG
実施例4:yaad−ハイドロフォビンBASF1−His6のクローニング
プラスミド#508と同様に、オリゴヌクレオチドKaM417とオリゴヌクレオチドKaM418とを用いて、プラスミド#507をクローニングした。
合成のDNA配列のハイドロフォビンBASF1を、テンプレートDNAとして用いた(附表参照)。
KaM417:CCCGTAGCTAGTGGATCCATTGAAGGCCGCATGAAGTTCTCCGTCTCCGC
KaM418:CTGCCATTCAGGGGATCCCATATGGAGGAGGGAGACAG
実施例5:yaad−ハイドロフォビンBASF2−His6のクローニング
プラスミド#508と同様に、オリゴヌクレオチドKaM417とオリゴヌクレオチドKaM418とを用いて、プラスミド#506をクローニングした。
合成DNA配列のハイドロフォビンBASF2を、テンプレートDNAとして用いた(附表参照).
KaM417:CCCGTAGCTAGTGGATCCATTGAAG GCCGCATGAAGTTCTCCGTCTCCGC
KaM418:CTGCCATTCAGGGGATCCCATATGGAGGAGGGAGACAG
実施例6:yaad−ハイドロフォビンSC3−His6のクローニング
プラスミド#508と同様に、オリゴヌクレオチドKaM464とオリゴヌクレオチドKaM465とを用いてプラスミド#526をクローニングした。
シゾフィラム・コミューンのcDNAを、テンプレートDNAとして用いた(附表参照)。
KaM464:CGTTAAGGATCCGAGGATGTTGATGGGGGTGC
KaM465:GCTAACAGATCTATGTTCGCCCGTCTCCCCGTCGT
実施例7:組換え大腸菌菌株yaad−ハイドロフォビンDewA−His6 の培養
yaad−ハイドロフォビンDewA−His6 を発現する大腸菌菌株を含む3mlのLB液体培地を15mlのグラナーチューブで培養する。200rpmのシェーカー上で、37℃で8時間培養する。250mlのLB培地(+100μg/mlのアンピシリン)を入れた2個の1lのじゃま板付エルレンマイアーフラスコに、1mlの前培養物を入れ、180rpmのシェーカー上で、37℃で9時間培養する。
13.5lのLB培地(+100μg/mlのアンピシリン)の入った20lの培養槽に、0.5lの前培養物(OD600nm 1:10水希釈)を接種する。OD600nmが−3.5となったとき、140mlの100mM−IPTGを添加する。3時間後、培養槽を10℃に冷却し、発酵ブロスを遠心分離で分離する。さらに精製するには、セルペレットを使用する。
実施例8:組換えハイドロフォビン融合タンパク質の精製(C−端末にHis6タグを持つハイドロフォビン融合タンパク質の精製)
100gのセルペレット(100〜500mgのハイドロフォビン)を、50mMのリン酸ナトリウム緩衝剤、pH 7.5で希釈して総体積を200mlとし、再懸濁させる。この懸濁液をウルトラタラックスT25型(ヤンケアンドクンケル; IKAラボテクニック)で10分間処理し、次いで500ユニットのベンゾナーゼ(メルク、独国;注文番号:1.01697.0001)とともに室温で1時間培養して、核酸を分解させる。細胞破砕の先立ち、ガラスカートリッジ(P1)で濾過する。細胞破砕と残存するゲノムDNAのせん断のために、1.500barで二回、ホモジナイズ処理する(マイクロフルイダイザーM−110EH;マイクロフルイディックス社)。ホモジネートを遠心分離(ソルバールRC−5B、GSA回転子、250mlの遠心ビーカー、60分、4℃、12000rpm、23000g)して上澄液を氷上で冷却し、ペレットは、100mlのリン酸ナトリウム緩衝液、pH 7.5で再懸濁させる。遠心分離と再懸濁を三回繰返し、三回目には1%のSDSを含むリン酸ナトリウム緩衝液を用いる。再懸濁の後、混合物を一時間攪拌し、最後の遠心分離を行う(ソルバールRC−5B、GSA回転子、250mlの遠心ビーカー、60分、4℃、12000 rpm、23000g)。SDS−PAGE分析の結果、最後の遠心分離の後の上澄液に、ハイドロフォビンが存在していることがわかる(図1)。実験の結果、ハイドロフォビンが、大腸菌細胞中に封入体の形で存在しているようにみえる。ハイドロフォビンを含む50mlの上澄液を、前もって50mMのTris−Cl、pH8.0の緩衝液で平衡化させた50mlのニッケル−セファローズ高性能17−5268−02カラム(Amersham)にかける。このカラムを、50mMのTris−Cl、pH8.0緩衝液で洗い、上記のハイドロフォビンを、200mMのイミダゾールを含む50mMのTris−Cl、pH8.0緩衝液で溶離させる。イミダゾールを除くため、溶液を、50mMのTris−Cl、pH8.0緩衝液に対して透析させる。
図1に、得られたハイドロフォビンの精製を示す。
レーン1:ニッケル−セファローズカラムにかけた混合物(1:10希釈)
レーン2:初期溶離液:洗浄時の溶出物
レーン3〜5:溶離フラクションのOD280ピーク
図1のハイドロフォビンは、分子量が約53kDである。小さなバンドのいくつかは、ハイドロフォビンの分解物である。
実施例9:性能試験;ガラス上の水滴の接触角変化によるハイドロフォビンの特定
−基板:ガラス(窓ガラス、スードドイチェガラス、独国)
−ハイドロフォビン濃度: 100 ug/mL
−ガラス板を、50mMの酢酸ナトリウム、pH4、+0.1 %ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(ツイーン(R)20)中で一夜培養(温度:80℃)−塗布後、蒸留水で洗浄
−次いで、蒸留水中で培養、10分/80℃/1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液
−蒸留水で洗浄
サンプルを20℃で風乾し、5μlの水滴の接触角(度)を室温で測定する。
接触角の測定は、データフィジックス接触角システムOCA15+、ソフトウェアSCA20.2.0.(2002年9月)を用いて行った。測定はメーカーのマニュアルに応じて行った。
未処理ガラスの接触角は30±5°であった。実施例8の機能性ハイドロフォビンを塗布したもの(yaad−dewA−his6)の接触角は、75±5°であった。
B:ハイドロフォビンを含む乳濁液
実施例10:水中スチレン型乳濁液の調製と試験
脱イオン水を用いた。本発明の乳濁液の調製にあたり、実施例8で得たハイドロフォビン(融合タンパク質)yaad−Xa−dewA−his(配列番号19)の水溶液を用いた。その溶液中のハイドロフォビン濃度は、100mg/l(0.02重量%)であった。
用いたピッカリング乳化剤は、ピロリン酸マグネシウム(MPP)の水懸濁液であり、これは、20℃で、93.18gのピロリン酸ナトリウム(Na427)を3200mlの水に溶解して調整した。撹拌下に、172.8gの硫酸マグネシウム(MgSO4*−7H2O)を800mlの水に溶かした溶液を、この溶液に添加し、混合物を更に5分間攪拌した。
マグネチックスターラーとテフロン(登録商標)(R)コートの攪拌棒を備えた50mlの広口ボトルを用いた。20℃で、攪拌せずに、0.3〜1.2gのハイドロフォビン溶液を最初に投入し、1.5〜2.5gの新たに調整したMPP懸濁液、及び15〜20gの水を添加した。この混合物を、700rpmで30秒間攪拌した。ついで、30gのスチレンを添加した。ハイドロフォビン溶液、MPP懸濁液、及び水の正確な量は、できる混合物中のスチレン相:水相の体積比が1.3となるように、またMPP含量が780ppmwとなるように選択した。この混合物中のハイドロフォビン含量を下記の表に示す。
得られる混合物を20℃及び700rpmで17時間攪拌した。この混合物を2時間静置し、その混合物の写真を撮影した。
この混合物及び乳濁液の安定性を、スチレン又は水で希釈して調べた。このため、0.1mlのスチレン又は0.1mlの水を、0.1mlの混合物サンプルに20℃で入れ、混合が可能か検討した。また、写真よりスチレン液滴の概径を求めた。
この表に、結果をまとめる。
Figure 2009501256
Figure 2009501256
図1に、得られたハイドロフォビンの精製を示す。

Claims (19)

  1. ピッカリング乳化剤として作用する無機粒子とハイドロフォビンとを含むことを特徴とする疎水性モノマーの水乳濁液。
  2. 前記モノマーがスチレンであり、α−メチルスチレン、環ハロゲン化スチレン、環アルキル化スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸又はメタクリル酸とC1-8−アルコールとのエステル類、N−ビニル化合物、ブタジエン、ジビニルベンゼン及びブタンジオールジアクリレートから選択されるコモノマーを併用してもよい請求項1に記載の乳濁液。
  3. 前記無機粒子が、ピロリン酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛及びリン酸カルシウムから選択される粒子である請求項1又は2に記載の乳濁液。
  4. 前記ハイドロフォビンが、一般式(I)で表される:

    n−C1−X1-50−C2−X0-5−C3−X1-100−C4−X1-100−C5−X1-50−C6−X0-5−C7−X1-50−C8−Xm (I)

    (式中、Xは、20種の天然アミノ酸(Phe、Leu、Ser、Tyr、Cys、Trp、Pro、His、Gln、Arg、Ile、Met、Thr、Asn、Lys、Val、Ala、Asp、Glu、Gly)のいずれかであり、Xは、いずれの場合も、同一であっても異なっていてもよく;Xの添字はアミノ酸の数を表し;Cはシステイン、アラニン、セリン、グリシン、メチオニン又はトレオニン、を表し、少なくとも4個のC基がシステインであり;添字nとmが、相互に独立して、0〜500の自然数である)請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳濁液。
  5. 前記ハイドロフォビンが一般式(II)で表される:

    n−C1−X3-25−C2−X0-2−C3−X5-50−C4−X2-35−C5−X2-15−C6−X0-2−C7−X3-35−C8−Xm (II)

    (式中、X、C及びXの添字は、請求項4で規定した意味を有し;添字nとmが、相互に独立して、0〜300の自然数である)請求項1〜4のいずれか1項に記載の乳濁液。
  6. 前記ハイドロフォビンが、dewA型、rodA型、hypA型、hypB型、sc3型、basf1型、及びbasf2型から選択される請求項1〜5のいずれか1項に記載の乳濁液。
  7. 前記モノマーがスチレンであり、前記無機粒子がピロリン酸マグネシウムを含み、前記ハイドロフォビンが明細書中の配列番号19(SEQ ID NO:19)で表されるものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の乳濁液。
  8. 有機乳化剤又は界面活性剤を含んでいない請求項1〜7のいずれか1項に記載の乳濁液。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の乳濁液の製造方法であって、前記モノマーを、ハイドロフォビンを併用して、ピッカリング乳化剤として作用する無機粒子の存在下で、水に分散することを特徴とする方法。
  10. 前記乳濁液が、請求項1〜8に記載の特徴の少なくとも一つを有している請求項9に記載の方法。
  11. 疎水性モノマーの水乳濁液の製造においてハイドロフォビンを使用する方法。
  12. 前記乳濁液が、請求項1〜8に記載の特徴の少なくとも一つを有している請求項11に記載の方法。
  13. 疎水性モノマーを、ピッカリング乳化剤として作用する無機粒子とハイドロフォビンとを使用して、水中で懸濁重合することを特徴とする方法。
  14. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の乳濁液を供給材料として使用する請求項13に記載の方法。
  15. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の乳濁液を懸濁重合における供給材料としての使用する方法。
  16. 発泡剤を併用して未発泡又は既発泡の熱可塑性ポリマー粒子の製造方法であって、ポリマー粒子を請求項13に記載の方法により製造することを特徴とする方法。
  17. 請求項16に記載の方法により得られる未発泡又は既発泡のポリマー粒子。
  18. 請求項17に記載の未発泡又は既発泡のポリマー粒子を発泡体又は発泡成形体の製造に使用する方法。
  19. 前記ポリマー粒子がポリスチレン粒子であり、前記発泡体又は発泡成形体が発泡ポリスチレンである請求項18に記載の方法。
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