JP2009297756A - 継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法 - Google Patents

継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009297756A
JP2009297756A JP2008156201A JP2008156201A JP2009297756A JP 2009297756 A JP2009297756 A JP 2009297756A JP 2008156201 A JP2008156201 A JP 2008156201A JP 2008156201 A JP2008156201 A JP 2008156201A JP 2009297756 A JP2009297756 A JP 2009297756A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slab
round
reduction
continuous casting
round slab
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008156201A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5157664B2 (ja
Inventor
Masamichi Abe
正道 阿部
Koichi Tsutsumi
康一 堤
Tatsuro Katsumura
龍郎 勝村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2008156201A priority Critical patent/JP5157664B2/ja
Publication of JP2009297756A publication Critical patent/JP2009297756A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5157664B2 publication Critical patent/JP5157664B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)

Abstract

【課題】 熱間加工性の劣る鋼、特にCr含有鋼などの合金元素の多い鋼であっても、内部品質に優れていて、鋳造ままの丸鋳片をそのまま継目無鋼管用素材とすることのできる丸鋳片を、丸鋳片の断面形状を劣化させることなく且つ経済的に安定して製造するための、継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】 本発明に係る継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法は、円形鋳型1による連続鋳造中の丸鋳片8に、該丸鋳片の凝固完了点近傍に設置した一対の鞍型ロール5により圧下を加え、該圧下の直前及び/または後に、圧下鋳片冷却用スプレーノズル6,6’にて連続鋳造中の丸鋳片を強制冷却することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法に関し、詳しくは、連続鋳造ままの内部品質では継目無鋼管用素材として問題のある炭素濃度の高い炭素鋼や合金鋼などの丸鋳片、及び、鋳造ままの状態では熱間加工性が悪く、継目無鋼管用素材としては使用できなかったCr含有鋼の丸鋳片の内部品質を改善するための連続鋳造方法に関するものである。
継目無鋼管は、一般的に、継目無鋼管用素材として丸ビレットを使用し、この丸ビレットをマンネスマン穿孔法などを用いて中空の素管に穿孔し、その後、エロンゲータ、プラグミルまたはマンドレルミルなどの圧延機により延伸し、仕上げ工程としてサイザーやストレッチレデューサにより定径化する工程を経て製造されている。この継目無鋼管用の丸ビレットとしては、低炭素鋼のように比較的簡単に内質の優れた丸鋳片を連続鋳造により製造可能な鋼種の場合には、鋳造ままの丸鋳片が用いられる。しかし、ステンレス鋼などの熱間加工性に劣るCr含有鋼種の場合は、鋳造ままの丸鋳片を用いると、マンネスマン穿孔時に素管の内面に疵が発生する。
Cr含有鋼の熱間加工性が劣る主な原因は、Cr量の増加に起因して連続鋳造時に偏析やポロシティが鋳片軸芯部に発生しやすく、内質の劣った丸鋳片になるためである。熱間加工性に特に大きな悪影響を与えるポロシティは、凝固収縮により丸鋳片の最終凝固部に発生する空隙に、粘度が高いなどの理由により、溶鋼が供給され難いことによって発生する。
図7は、溶鋼中のCr濃度と溶鋼の粘度との関係を示したものであり、溶鋼中のCr濃度の増加に伴って溶鋼の粘度が増すこと、及び、13質量%前後のCr濃度で粘度はピークを示すことが分かる。また、図8は、Cr濃度の少ない領域における、溶鋼中のCr濃度と溶鋼の粘度との関係を示したものであり、Cr濃度が0.5質量%を越えると粘度の上昇が顕著になることが分かる。
上記のような内部欠陥を有する丸鋳片に対して、過酷な加工方法であるマンネスマン穿孔を行うと、素管の内面には、ポロシティや偏析に起因した疵が発生する。このため、Crを含有する鋼種においては、内部品質を向上させるための圧延工程を経て製造された丸鋼片を継目無鋼管用素材として用いることが必須とされてきた。つまり、連続鋳造ままの丸鋳片を用いて製管すると、内面疵の発生が懸念される場合には、鋼塊(インゴット)或いは連続鋳造鋳片を分塊圧延してポロシティを機械的に圧着させ、内部品質の優れた丸鋼片を得ることで、この問題を回避していた。尚、本発明における丸ビレットとは、横断面が円形の鋼片及び鋳片の両者を差し、鋼片とは分塊圧延などの圧延工程を経て得られるもの、鋳片とは連続鋳造したままのものである。
例えば、特許文献1には、Cr含有鋼の大断面の連続鋳造スラブから方形断面のブルームを熱間圧延して製造する中間段階を経て、このブルームに再度熱間圧延を施して継目無ステンレス鋼管用丸ビレットを製造する技術が開示されている。
しかしながら、連続鋳造鋳片に熱間圧延を施すと、圧延後の鋼片の端面が凹凸のある形状となることから、継目無鋼管用素材の丸ビレットにするためには、端面の形状を整えるための切断工程が必須となる。即ち、端部の切断によりクロップが必然的に発生し、製品歩留が低下する。また、当然ながら、熱間圧延を行うための再加熱も、製品コストを増大させる。従って、特許文献1に提案される方法は、経済性から見ると優れた解決策とはいえない。
そこで、圧延工程を経ずに丸鋳片をそのまま継目無鋼管用素材とするべく、丸鋳片の内質を向上させる技術が提案されている。丸鋳片の内質を向上させる手段としては、先ず、鋳造中の電磁攪拌処理技術がある(例えば、特許文献2を参照)。但し、この技術は広く実施されているものの、その効果はポロシティの発生を防止するほどは大きくない。
連続鋳造鋳片の内質を向上させる他の手段として、鋳造中のインライン軽圧下法或いは大圧下法が広く採用されている。特許文献3や特許文献4に開示されている技術がこれにあたる。これらの技術は、スラブやブルームの内質改善方法として良く知られており、ポロシティの消滅や偏析の低減化が可能である。鋳造中或いは鋳造直後に加工を加えるため再加熱が不要であり、結果的に製造コストも低減できる技術である。
しかしながら、丸鋳片に対して、例えば、スラブ鋳片などの板状鋳片を圧下するために用いるような、鋳片の移送方向に対しての垂直断面が矩形である、平型のロールにより圧下を加えると、ロールに接触した部分は平面化し、他方、ロールに接触していない部分は膨らみ、丸鋳片の断面形状は偏平化し、更には角形に近づく。断面形状が角形に近づくと、丸鋳片の回転を利用するマンネスマン穿孔時の噛み込みが不安定になるなどの操業上の問題が発生するのみならず、マンネスマン穿孔後の素管及び最終製品である継目無鋼管の管軸方向に対しての垂直断面(以下、「C断面」と記す)での肉厚変動(偏肉)が大きくなる。
この問題に対し、特許文献5には、楕円形鋳型により断面形状が楕円形の鋳片を得て、それを、ラウンド孔型ロールにより長径方向に圧下し、真円断面の鋳片を得る技術が開示されている。この方法は圧下後の鋳片形状の問題は解決しているが、鋳造時の湯流れが真円断面の鋳型(円形鋳型)を用いた場合に比較して不均一になり、それに起因する湯面変動やモールドパウダーの巻き込みが、新たな欠陥の原因になる。また、必要な圧下量に対応して鋳型を数多く準備する必要があること、及び、内部品質に問題の無い鋼種の場合も圧下をかけることになり、コストが上昇することなどの問題もあり、やはり有効な解決策ではない。
また、特許文献6には、圧下ロールとして、カリバー底の開き角度δが70°以上115°以下である鞍型ロールを用い、円形鋳型により鋳造された連続鋳造中の丸鋳片に圧下を加える技術が開示されている。この技術は、圧下後鋳片の断面形状の確保及び内部品質の向上を或る程度両立させているが、更なる内部品質の向上のためには、圧下量を増大させることが必要で、圧下量の増大に伴って丸鋳片の偏平率が増大し、丸鋳片の断面形状の確保が困難となる。
特開昭61−140301号公報 特開昭60−54251号公報 特開昭49−121738号公報 特開昭63−183765号公報 特開平7−108358号公報 特開平10−34304号公報
上記説明のように、熱間加工性に劣る鋼、特にCr含有鋼などの合金元素の多い鋼において、鋳造ままの丸鋳片をそのまま継目無鋼管用素材とするべく、内部品質の優れた丸鋳片を、丸鋳片の形状を大きく劣化させることなく且つ経済性に優れた方法で製造する手段が切望されていたにも拘わらず、従来、有効な手段はなく、鋼塊或いは連続鋳造鋳片を分塊圧延して継目無鋼管用素材とすることによるコスト上昇や、鋳造ままの丸鋳片を継目無鋼管用素材とすることによる継目無鋼管での内面疵の発生を余儀なくされていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、熱間加工性の劣る鋼、特にCr含有鋼などの合金元素の多い鋼であっても、内部品質に優れていて、鋳造ままの丸鋳片をそのまま継目無鋼管用素材とすることのできる丸鋳片を、丸鋳片の断面形状を劣化させることなく且つ経済的に安定して製造するための、継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係る継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法は、円形鋳型による連続鋳造中の丸鋳片に、該丸鋳片の凝固完了点近傍に設置した一対の鞍型ロールにより圧下を加え、該圧下の直前及び/または後に、連続鋳造中の丸鋳片を強制冷却することを特徴とするものである。
本発明によれば、従来は困難であった、Cr含有鋼などの難加工性鋼種の連続鋳造による継目無鋼管用丸鋳片の製造が、連続鋳造設備に大きな変更を加えることなく可能となる。丸鋳片の断面形状を損ねることなく、また、寸法精度も従来と変わらない状態で、内部品質の大幅に改善された丸鋳片が製造可能になることにより、付加価値の高いCr含有鋼の継目無鋼管の製造コストの低減が可能になることの意義は極めて大きい。
また、通常の炭素鋼などの連続鋳造ままの継目無鋼管用丸鋳片の製造においても、低コストで内部品質の大幅な改善が得られ、それにより、製品歩留りの向上及び生産能率の向上などの大きな効果がもたらされる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態の1例を示す図であり、内部品質が良好で、熱間加工性に優れた継目無鋼管用丸鋳片を連続鋳造により製造する状況を示す概略図である。
図1において、符号1は内部空間横断面が真円である円形鋳型、2は円形鋳型の下方に配置されるガイドロール、3は丸鋳片を引抜くためのピンチロール、4は未凝固溶鋼層を攪拌するための電磁攪拌装置、5は丸鋳片に圧下力を付与するための圧下ロール、6は圧下された丸鋳片を強制冷却するためのスプレーノズル、6’は圧下の直前の丸鋳片を強制冷却するためのスプレーノズル、7は丸鋳片を所定の長さに切断するための鋳片切断機である。また、ガイドロール2の設置される範囲には、鋳造中の丸鋳片を強制冷却するためのスプレーノズル(図示せず)が配置されて、二次冷却帯を構成している。尚、圧下された丸鋳片を強制冷却するためのスプレーノズル6を、二次冷却帯のスプレーノズルと区別するために、「圧下鋳片冷却用スプレーノズル6」と称す。また、圧下の直前の丸鋳片を強制冷却するためのスプレーノズル6’を、二次冷却帯のスプレーノズルと区別するために、「圧下直前鋳片冷却用スプレーノズル6’」と称す。
円形鋳型1の上方に配置されたタンディッシュ(図示せず)から円形鋳型1に注入された溶鋼は、円形鋳型1の内壁に接触して冷却され、円形鋳型1との接触部に外形が円形の凝固シェル10を形成する。そして、外殻を凝固シェル10とし、内部を未凝固溶鋼層9とする丸鋳片8は、ピンチロール3によって円形鋳型1から引抜かれ、次いで、ガイドロール2で支持されながら二次冷却帯で冷却されて凝固シェル10の厚みを増大させ、やがて軸芯部までの凝固を完了する。二次冷却帯に設置された電磁攪拌装置4により、未凝固溶鋼層9は攪拌され、丸鋳片8の軸芯部に等軸晶が形成される。丸鋳片8の軸芯部に等軸晶が形成されることにより、丸鋳片8の軸芯部の偏析及びポロシティは改善されるが、本発明において、電磁攪拌装置4の設置は必須ではなく、本発明を適用することにより、電磁攪拌装置4を設置しなくても、軸芯部の偏析及びポロシティの改善された丸鋳片8を得ることができる。軸芯部までの凝固を完了した丸鋳片8は鋳片切断機7によって所定の長さに切断され、継目無鋼管用丸鋳片が製造される。
本発明においては、丸鋳片8の内部品質を向上させるために、つまり、軸芯部の偏析、ポロシティ及び放射状の軸芯割れを改善するために、ピンチロール3の下流側に設置した圧下ロール5を用いて鋳造中の丸鋳片8を圧下するとともに、圧下ロール5の直前の位置に設置した圧下直前鋳片冷却用スプレーノズル6’及び/または圧下後に圧下ロール5の下流側に設置した圧下鋳片冷却用スプレーノズル6を用いて鋳造中の丸鋳片8を強制冷却する。尚、図1では、丸鋳片8を水平方向に移送しつつ圧下しているが、勿論、丸鋳片8を垂直または斜め方向に移送中に圧下を加えることも可能である。
図2に、図1に示す圧下ロール5を用いて鋳造中の丸鋳片8を圧下している状態を斜視図により示す。圧下ロール5としては、図2に示すように、一対の鞍型ロール11,11を用いる。一対の鞍型ロール11,11を用いて圧下することにより、垂直断面が矩形である平型ロールを用いた圧下に比較して、圧下後の丸鋳片8の偏平率εを大きくすることなく、効果的な圧下を加えることができる。ここで、偏平率εは、「偏平率ε(%)={1−(丸鋳片の或る断面中での最短径部長さ)/(同一断面中の最長径部長さ)}×100」で定義される。
これは、一対の鞍型ロール11,11を使用することより、ロールと丸鋳片8との接触点が4点となり、ロールが丸鋳片8を拘束しやすくなるため、圧下量を大きくしても偏平率εは大きくならないからである。また、その結果として、偏平化に起因するマンネスマン穿孔時の噛み込み不良などの問題や、穿孔後の素管の偏肉の問題も大幅に小さくなる。
一対の鞍型ロール11,11で圧下する場合に、鞍型ロール11のカリバー底の開き角度δは、圧下を均一にかける観点からは90°が最適である。但し、90°の前後の一定の範囲内の場合は、偏平率εを大きくせずに有効な圧下をかけることができる。その好ましい範囲は、開き角度δが70°以上115°以下の範囲である。開き角度δが70°未満、または、115°を越える場合は、偏平率εが大きくなる。
圧下ロール5による圧下は、丸鋳片8の凝固の完了直後または丸鋳片8の凝固が完了する以前に行う必要がある。一方、凝固が余り進んでいない状態で行うと、その後の凝固過程で、ポロシティや偏析が発生するため好ましくない。効果が大きく現れる丸鋳片8の軸芯部の固相率fsの下限は0.3である。即ち、丸鋳片8の軸芯部の30%以上が固相の状態で、圧下を行うことが好ましい。固相率fsが0.3未満の場合は、圧下後に若干のポロシティが発生し、また偏析も大きくなる。
圧下時の固相率fsの上限値は1.0である。即ち、完全に凝固した後も、凝固直後であれば圧下は有効である。従って、固相率fsが0.3以上1.0以下の状態で圧下を行うことが好ましい。固相率は、伝熱計算によって求めることができる。
圧下量は、丸鋳片8の体積減少率で判断する。ここで、丸鋳片8の体積減少率は、「体積減少率=(丸鋳片C断面の面積減少率)×(鋳造速度)」の式で定義する。
一対の鞍型ロール11,11で圧下する場合には、体積減少率が最大7%までは、偏平率εを過剰に大きくせずに圧下を行うことが可能である。一方、圧下による内面品質の向上効果、即ち、マンネスマン穿孔後の素管の内面疵の発生率は、体積減少率が0.1%以上で発現され、体積減少率の増加とともに内面疵の発生は減少する。従って、一対の鞍型ロール11,11による圧下時の体積減少率の範囲は0.1〜7%となる。
即ち、上記の範囲内の体積減少率の圧下を、丸鋳片8が上記の固相率fsの状態において、一対の鞍型ロール11,11により加えることにより、圧下の効果が発現される。
そして、この圧下の直前に、圧下直前鋳片冷却用スプレーノズル6’によって丸鋳片8を強制冷却する、及び/または、圧下の後に、丸鋳片8を圧下鋳片冷却用スプレーノズル6で強制冷却することにより、丸鋳片8の内部品質が更に向上する。
本発明は、直径が340mm以下の丸鋳片8に適用した場合に、その効果が特に顕著に認められる。丸鋳片8の直径が340mmを越える場合は、鋳造時の軸芯部の冷却速度が遅く、ポロシティが生成しにくく、また、熱応力による軸芯割れも起こりにくいためである。また、本発明は鋼種を問わず、丸鋳片8の内質の向上に有効であるが、溶鋼の粘度が高く、鋳造中にポロシティや偏析が発生しやすい鋼種、即ち、0.5質量%を越える量のCrを含有する鋼に適用する場合に、特にその効果が著しい。
以上説明したように、本発明によれば、従来は困難であった、Cr含有鋼などの難加工性鋼種の連続鋳造による継目無鋼管用丸鋳片の製造が、連続鋳造設備に大きな変更を加えることなく達成される。そして、丸鋳片8の断面形状を損ねることなく、また、寸法精度も従来と変わらない状態で、内部品質の大幅に改善された丸鋳片8が製造可能になることにより、Cr含有鋼などの継目無鋼管の製造コストが低減可能となる。
本発明を実施例により更に詳細に説明する。
図1に示す連続鋳造機を用い、転炉及びRH真空脱ガス装置にて溶製した、Crを13質量%含有する含Cr溶鋼を170mm直径の丸鋳片に鋳造した。そして、開き角度δが90°である、一対の鞍型ロールからなる圧下ロールの配置された位置での丸鋳片軸芯部の固相率が約0.5となるように鋳造速度を調整し、その状態で、一対の鞍型ロールにより丸鋳片を圧下し、その後、圧下鋳片冷却用スプレーノズルから噴霧される冷却水によって、水量密度100リットル/min・m2及び冷却帯長さ3.0mの条件で強制冷却して、継目無鋼管用のCr含有丸鋳片を製造した(本発明例)。
また、比較のために、圧下ロールでの圧下を行わず、且つ、圧下鋳片冷却用スプレーノズルでの強制冷却も行わない鋳造試験(比較例1)、一対の鞍型ロールで圧下するものの、圧下後に丸鋳片を圧下鋳片冷却用スプレーノズルで強制冷却せずに空気中で放冷する鋳造試験(比較例2)、圧下ロールで圧下せずに圧下鋳片冷却用スプレーノズルで、水量密度100リットル/min・m2及び冷却帯長さ3.0mの条件で強制冷却のみを実施した鋳造試験(比較例3)、及び、一対の鞍型ロールの代わりに一対の平型ロールで丸鋳片を圧下し、その後、圧下鋳片冷却用スプレーノズルで、水量密度100リットル/min・m2及び冷却帯長さ3.0mの条件で強制冷却する鋳造試験(比較例4)も実施した。比較例1〜4では、これら以外のその他の鋳造条件はそれぞれ本発明例と同一とした。
図3に、圧下後の丸鋳片における体積減少率と偏平率εとの関係を、一対の鞍型ロール(以下、「VVロール」と記す)で圧下した場合、つまり本発明例と、一対の平型ロール(以下、「FFロール」と記す)で圧下した場合、つまり比較例4とで比較して示す。図3には、比較例1及び比較例3(「体積減少率=0%」のデータ)の結果も併せて示す。図3からも明らかなように、FFロールで圧下した比較例4に対して、VVロールで圧下した本発明例では、偏平率εの増加が少なく、VVロールで圧下することによりFFロールで圧下した場合に比べて偏平率εは1/3程度となることが分かった。
本発明例及び比較例1〜3のなかから、体積減少率が異なる複数本の丸鋳片を選択し、これらの丸鋳片を用いてマンネスマン穿孔試験を行い、マンネスマン穿孔後の素管の内面を調査して、疵の発生状態を調査した。
図4に、比較例1及び比較例2の丸鋳片から製造された素管の内面疵の調査結果を示す。図4において、比較例1は体積減少率=0%のデータである。圧下を行っていない比較例1の疵の発生率は100%であった。これに対して、比較例2においては、0.1%以上3%未満の体積減少率の圧下により、内面疵の発生率は10〜40%程度に低下し、また、体積減少率が3%以上5%未満の圧下により、内面疵の発生率は0〜10%程度に低下した。比較例2において、体積減少率が5%以上の圧下を加えた場合は、疵の発生は認められなかった。従って、比較例2においては、内面疵の発生防止の観点からは、最適範囲は体積減少率が5%以上となるように圧下することであることが分かった。
図5に、比較例3及び本発明例の丸鋳片から製造された素管の内面疵の調査結果を示す。図5において、比較例3は体積減少率=0%のデータである。圧下を行っていない比較例3での疵発生率は10〜20%であり、同様に圧下を行っていない比較例1に比べて疵発生率は大幅に減少した。これは、圧下鋳片冷却用スプレーノズルによる強制冷却の効果によるものである。そして、本発明例では、圧下鋳片冷却用スプレーノズルによる強制冷却の効果により、圧下のみを行った比較例2に比べて疵発生率が減少し、体積減少率が2.5%以上となる圧下を加えた場合には、疵発生率は認められなかった。従って、本発明例においては、内面疵の発生防止の観点からは、最適範囲は体積減少率が2.5%以上となるように圧下することであることが分かった。つまり、本発明例を適用することで、比較例2に比べて少ない圧下量で内質に優れた丸鋳片を製造できること、換言すれば、偏平率εを低く抑えたまま内質に優れた丸鋳片を製造できることが分かった。
図6は、本発明例の丸鋳片において、丸鋳片の偏平率εと、マンネスマン穿孔時の穿孔性及び素管の偏肉率との関係を示したものである。
ここで、図6の縦軸に示した穿孔性を示す評点は、穿孔が通常の真円断面の丸鋳片と同じ状態で行えた場合を評点1とし、穿孔中に異音が発生した場合を評点2、更に穿孔中に噛み込み不良が発生した場合を評点3とした。尚、噛み込み不良の状態とは、マンネスマン穿孔が不可能なことではなく、素管の先端部近傍の形状が不良になる部分が著しく長くなる(3m以上)ことに対応している。また、異音が発生する状態とは、形状が不良になる部分が長くなる(1m以上、3m未満)ことに、ほぼ対応する。真円断面の丸鋳片の場合は、形状が不良になる部分の長さは1m未満である。
また、偏肉率は穿孔後の形状不良部分を除いた断面の測定値で評価した。具体的には、真円丸鋳片を用いた場合に発生する偏肉率の3〜4%を基準値とし、これに対して偏肉率の増加が5%未満の場合を評点1、5%以上10%未満を評点2、更に10%以上15%未満を評点3、15%以上を評点4とした。
図6に示すように、偏平率εの増加に伴って穿孔性評点及び偏肉率評点は大きくなるが、丸鋳片の偏平率εが3.5%以下の場合には、穿孔性評点及び偏肉率評点ともに真円丸鋳片と同等になることが分かった。
このように、本発明を適用して丸鋳片の体積減少率が2.5%以上で3.5%以下の範囲内で圧下を加えることにより、マンネスマン穿孔による素管に内面疵を発生させることなく、マンネスマン穿孔時の穿孔性及び素管の偏肉率を真円丸鋳片と同等にすることが実現される。これに対して、圧下のみを加えた比較例2では、素管の内面疵を防止するためには、体積減少率が5%以上となる圧下を加える必要があり、そのときの偏平率εは5%程度になり(図3を参照)、マンネスマン穿孔時の穿孔性及び素管の偏肉率は真円丸鋳片の場合に比較して劣化する。
以上に示したように、本発明方法を適用することにより、丸鋳片の内質が向上し、従って、マンネスマン穿孔時の内面疵発生率は大幅に低下し、しかも、偏平率εは大きくならないため、マンネスマン穿孔性の劣化も小さく、また得られた素管の偏肉も低く抑制できることが明らかとなった。
上述の実施例においては、圧下鋳片冷却用スプレーによる丸鋳片の強制冷却条件は、水量密度100リットル/min・m2及び冷却帯長さ3.0mの条件としたが、これに限るものではなく、鋳片表面温度が低下する程度(水量密度10リットル/min・m2以上及び冷却帯長さ1.0m以上)であれば良い。また、上述の実施例では、丸鋳片を圧下した後に圧下鋳片冷却用スプレーにより丸鋳片を強制冷却したが、圧下の直前に丸鋳片を強制冷却しても同様の効果が得られ、また両者を併用しても良い。
本発明の実施形態の1例を示す図であり、継目無鋼管用丸鋳片を連続鋳造により製造する状況を示す概略図である。 図1に示す圧下ロールを用いて鋳造中の丸鋳片を圧下している状態を示す斜視図である。 圧下後の丸鋳片における体積減少率と偏平率εとの関係を示す図である。 比較例1及び比較例2の丸鋳片から製造された素管の内面疵の調査結果を示す図である。 比較例3及び本発明例の丸鋳片から製造された素管の内面疵の調査結果を示す図である。 本発明例の丸鋳片において、丸鋳片の偏平率εと、マンネスマン穿孔時の穿孔性及び素管の偏肉率との関係を示した図である。 溶鋼中のCr濃度と溶鋼の粘度との関係を示した図である。 溶鋼中のCr濃度と溶鋼の粘度との関係を示した図である。
符号の説明
1 円形鋳型
2 ガイドロール
3 ピンチロール
4 電磁攪拌装置
5 圧下ロール
6 圧下鋳片冷却用スプレーノズル
6’ 圧下直前鋳片冷却用スプレーノズル
7 鋳片切断機
8 丸鋳片
9 未凝固溶鋼層
10 凝固シェル
11 鞍型ロール

Claims (1)

  1. 円形鋳型による連続鋳造中の丸鋳片に、該丸鋳片の凝固完了点近傍に設置した一対の鞍型ロールにより圧下を加え、該圧下の直前及び/または後に、連続鋳造中の丸鋳片を強制冷却することを特徴とする、継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法。
JP2008156201A 2008-06-16 2008-06-16 継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法 Expired - Fee Related JP5157664B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008156201A JP5157664B2 (ja) 2008-06-16 2008-06-16 継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008156201A JP5157664B2 (ja) 2008-06-16 2008-06-16 継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009297756A true JP2009297756A (ja) 2009-12-24
JP5157664B2 JP5157664B2 (ja) 2013-03-06

Family

ID=41545198

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008156201A Expired - Fee Related JP5157664B2 (ja) 2008-06-16 2008-06-16 継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5157664B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2369567A2 (en) 2009-12-28 2011-09-28 Nikon Corporation Information processing apparatus and information processing program
JP2013010111A (ja) * 2011-06-28 2013-01-17 Jfe Steel Corp 13Cr継目無鋼管製管用丸鋳片の連続鋳造方法
JP2013075325A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Jfe Steel Corp 13Cr継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法
WO2020203715A1 (ja) * 2019-04-02 2020-10-08 Jfeスチール株式会社 鋼の連続鋳造方法
RU2779384C1 (ru) * 2019-04-02 2022-09-06 ДжФЕ СТИЛ КОРПОРЕЙШН Способ непрерывной разливки стали

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1034304A (ja) * 1996-07-30 1998-02-10 Nkk Corp 継目無鋼管製造用連続鋳造鋳片の製造方法
JPH1177262A (ja) * 1997-09-11 1999-03-23 Nkk Corp ビームブランクの製造方法および装置
JP2001138021A (ja) * 1999-11-09 2001-05-22 Nkk Corp 連続鋳造鋳片の中心偏析低減方法
JP2001259810A (ja) * 2000-03-23 2001-09-25 Nkk Corp 連続鋳造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1034304A (ja) * 1996-07-30 1998-02-10 Nkk Corp 継目無鋼管製造用連続鋳造鋳片の製造方法
JPH1177262A (ja) * 1997-09-11 1999-03-23 Nkk Corp ビームブランクの製造方法および装置
JP2001138021A (ja) * 1999-11-09 2001-05-22 Nkk Corp 連続鋳造鋳片の中心偏析低減方法
JP2001259810A (ja) * 2000-03-23 2001-09-25 Nkk Corp 連続鋳造方法

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2369567A2 (en) 2009-12-28 2011-09-28 Nikon Corporation Information processing apparatus and information processing program
JP2013010111A (ja) * 2011-06-28 2013-01-17 Jfe Steel Corp 13Cr継目無鋼管製管用丸鋳片の連続鋳造方法
JP2013075325A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Jfe Steel Corp 13Cr継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法
WO2020203715A1 (ja) * 2019-04-02 2020-10-08 Jfeスチール株式会社 鋼の連続鋳造方法
JPWO2020203715A1 (ja) * 2019-04-02 2021-04-30 Jfeスチール株式会社 鋼の連続鋳造方法
CN113677455A (zh) * 2019-04-02 2021-11-19 杰富意钢铁株式会社 钢的连续铸造方法
JP7004086B2 (ja) 2019-04-02 2022-01-21 Jfeスチール株式会社 鋼の連続鋳造方法
EP3932586A4 (en) * 2019-04-02 2022-05-04 JFE Steel Corporation PROCESSES FOR CONTINUOUS STEEL CASTING
RU2779384C1 (ru) * 2019-04-02 2022-09-06 ДжФЕ СТИЛ КОРПОРЕЙШН Способ непрерывной разливки стали
TWI787597B (zh) * 2019-04-02 2022-12-21 日商Jfe鋼鐵股份有限公司 鋼之連續鑄造方法
CN113677455B (zh) * 2019-04-02 2023-09-05 杰富意钢铁株式会社 钢的连续铸造方法
US11759851B2 (en) 2019-04-02 2023-09-19 Jfe Steel Corporation Method for continuously casting steel

Also Published As

Publication number Publication date
JP5157664B2 (ja) 2013-03-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN109622904B (zh) 一种实现连铸圆坯凝固过程芯部压下工艺的装置及方法
JP5157664B2 (ja) 継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法
JP4045813B2 (ja) 継目無鋼管の製造方法
JP2012218035A (ja) 高Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋼片の製造方法
JPH09295113A (ja) 連続鋳造による丸鋳片の製造方法
JP2012110898A (ja) 13Cr継目無鋼管製管用丸鋳片の連続鋳造方法
JP3214377B2 (ja) 継目無鋼管用連続鋳造鋳片の製造方法
JP5343746B2 (ja) 継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法
WO2009119245A1 (ja) 継目無管の製造方法
JP5962206B2 (ja) 高Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋳片の製造方法
JP3646417B2 (ja) 継目無鋼管製造用連続鋳造鋳片の製造方法
US10092949B2 (en) Method of manufacturing round steel billet
JP2004237291A (ja) 連続鋳造鋳片の製造方法及びその鋳片を加工した鋼材
JP2019076931A (ja) 継目無鋼管用鋳片の連続鋳造方法
JP4285288B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP3214379B2 (ja) 継目無鋼管用連続鋳造鋳片の製造方法
JP3104627B2 (ja) 丸ビレットの未凝固圧下製造方法
JP5387205B2 (ja) 丸鋳片の連続鋳造方法および連続鋳造設備
JP5790385B2 (ja) 13Cr継目無鋼管用丸鋳片の連続鋳造方法
JPH10156495A (ja) 丸断面ビレット鋳片の連続鋳造方法
JPH09201601A (ja) 加工性の良い継目無鋼管製造用連続鋳造丸鋳片の製造方 法
JP3228212B2 (ja) 連続鋳造による丸ビレット鋳片の製造方法と装置
JP2013000785A (ja) 管用中空鋼片の製造方法
JPH08150451A (ja) 継目無鋼管素材用連続鋳造鋳片の製造方法
JP5973703B2 (ja) 継目無パイプの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110421

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20120321

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20120327

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120813

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120821

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121016

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121113

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121126

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5157664

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151221

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees