JP2009283228A - 色素増感型太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続的なプロセスで、フレキシブルな基板上に、高効率で耐久性が高く、大きな面積の色素増感型太陽電池を形成するための製造方法を提供する。
【解決手段】フレキシブルな第1電極の上に枠状の封止部を形成する工程と、封止部の内側に電荷移動層を形成する工程と、前記第1電極と別途形成したフレキシブルな第2電極とを、減圧下で対向させ貼り合わせる工程と、大気圧下に搬送して封止部を硬化する工程を有することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は色素増感型太陽電池の製造方法に関する。更に詳しくは、電荷移動層の形成方法を工夫することで、色素増感型太陽電池の連続生産を可能にする製造方法を提供する。
色素増感型太陽電池は構成が単純であり、安価な印刷プロセスで製造できるといった特徴から、素材・プロセス両面で大幅なコスト低減が期待され、シリコン系、GaAs系、CIS系などに続く次世代の低価格太陽電池として注目を集めている。
この色素増感型太陽電池は、半導体表面に吸着させた色素分子が太陽光を吸収し、色素のLUMO(最低空軌道)から半導体のCB(伝導帯)へ電子注入が起こることで所謂分光増感を行う。色素分子は半導体表面に吸着基を介して結合させるため、一般的には単分子層であるとされる。即ち、太陽電池セルに入射した光を高い効率で電子に変換させるためには、色素の光吸収能を向上させる技術が必要である。それに対し大きなブレイクスルーを果たしたのが、酸化チタンの超微粒子を適度な空孔を含む多孔質膜として形成させたことにある。
この多孔質膜中の粒子表面に色素分子を単分子吸着させることで、光吸収/電子注入サイトの比表面積を数千倍にまで高めることを可能にし、太陽電池セルに入射した太陽光を効率よく電子に変換することができる。色素から注入された電子は、酸化チタン多孔質膜中を高効率に拡散し透明電極に到達する。一方で、電子を失った色素は電解質中のヨウ素イオンから電子を受け取る。さらには電子を渡したヨウ素イオンが対極のPt基板上で電子を受け取る。色素増感型太陽電池は、この一連の光吸収・酸化還元過程を経て外部回路を駆動する。
色素増感型太陽電池を上述した印刷プロセスで製造する場合、基板をフレキシブルなフィルム基盤とし、連続的な塗布製造法によって製造することが好ましいが、大きな課題として、電荷移動層が液体であるため、アノード電極とカソード電極を張り合わせた後、予め開けた電解液注入穴から、電解液を注入する工程が必要であった。ロールで巻き取った太陽電池を、シート状に切断加工し、改めて電解液注入を行うため、工程数が多くなり、十分なコストダウンが出来なかった。それに対して、対極フィルムの上に枠状の封止部を形成する工程と、封止部の内側にゲル電解質膜を形成する工程と、作用極フィルムを対極フィルムに対向させて、封止部に付ける工程を有することを特徴とする電気化学セルの製造方法が開示されて(例えば、特許文献1参照)いる。この方法によって、一般的な電気化学セルでは、フレキシブルな基板を用い、一連のライン上で電解液の注入まで出来るため、大きなコスト削減が出来る技術として注目される。しかしながら、色素増感型太陽電池の製造プロセスとしては、貼り合わせ時に入り込む気泡によって光電変換効率の低下を招くだけでなく、発電層が多孔質膜である故、多孔質内部の空気が十分に抜けず、変換効率や耐久性に対して十分な性能が得られていなかった。
電解液注入に用いられる一般的な手法として、真空注入法を挙げることができる。これは、対極と作用極を予め封止材を用いて貼り合わせ、封止材の一部、もしくは別途設けた電解液注入穴を用い、真空チャンバー内で電解液槽に電解液注入穴を浸し、大気圧下に戻すときにセル内外圧差によって注入する方法である。この方法では、多孔質膜内部の気泡まで十分に除去し、且つ、電解液を均等に注入できることから、高い発電効率や耐久性に与える効果は大きい。しかしながら、色素増感型太陽電池のセルが大きくなるにつれて、内部まで注入するには高い減圧度が必要であったり、電解液槽に浸すための装置が煩雑になり生産性が低下する、更に真空中で溶媒等の蒸発によって電解液槽の組成が変化するため、電解液のロス量が多くなるなど、セルを大面積化する際には課題が多かった。
特開2007−294696号公報
本発明は上述したような従来の課題を解決するためのもので、その目的は、連続的なプロセスで、フレキシブルな基板上に、高効率で耐久性が高く、大きな面積の色素増感型太陽電池を形成するための製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.フレキシブルな第1電極の上に枠状の封止部を形成する工程と、封止部の内側に電荷移動層を形成する工程と、前記第1電極と別途形成したフレキシブルな第2電極とを、減圧下で対向させ貼り合わせる工程と、大気圧下に搬送して封止部を硬化する工程を有することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
2.フレキシブルな第1電極の上に枠状の第1の封止部を形成する工程と、第1の封止部の内側に電荷移動層を形成する工程と、別途形成したフレキシブルな第2電極の上に、前記第1の封止部と重なり合う様に枠状の第2の封止部を形成する工程と、前記第1電極と前記第2電極とを、減圧下で対向させ貼り合わせる工程と、大気圧下に搬送して封止部を硬化する工程を有することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
3.第1電極と第2電極の少なくとも一方の電極が、光透過性基材上に形成され、且つ、金属細線からなる集電グリッドを有する透光性導電性基板からなることを特徴とする前記1又は2記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
本発明の製造方法により、連続的なプロセスで、フレキシブルな基板上に、高効率で耐久性が高く、大きな面積の色素増感型太陽電池が提供できる。
本発明を更に詳しく説明する。まず、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について図1及び2を用いて説明する。
図1は、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法に関して説明した概略図である。図1Aは第1電極1に、白金層を有する対向基板から成るカソード電極を用い、枠状の封止部2を形成した工程を示し、図1Bは電荷移動層3として、電荷移動層3を塗布した工程を示し、図1Cは第2電極4として、光透過性基材の上に金属細線からなる集電グリッドを有し、金属細線上及び開口部全体を導電性被覆層で被覆した透光性導電性基板上に、色素を吸着させた、光吸収層と光反射層からなる半導体多孔質膜層5を形成させたアノード電極である第2電極を準備し、図1Dで第1電極1と第2電極4とを、減圧下で対向させて張り合わせる工程を示し、図1Eでは大気圧下に搬送して封止部を硬化する工程を示している。図1中では、カソード電極側に封止部を形成し、アノード電極を張り合わせる構成としているが、第1および第2の電極は逆構成でもよく、アノード電極側に封止部を形成し、カソード電極を張り合わせる構成としてもよい。
図2は、本発明で好ましく用いることができる色素増感型太陽電池の製造方法に関する概略図である。図2Aは第1電極21に、白金層を有する対向基板から成るカソード電極を用い、枠状の第1の封止部22−1を形成した工程を示し、図2Bは電荷移動層23として、電荷移動層23を塗布した工程を示し、図2Cは第2電極として、光透過性基材の上に金属細線からなる集電グリッドを有し、金属細線上及び開口部全体を導電性被覆層で被覆した透光性導電性基板上に、色素を吸着させた、光吸収層と光反射層からなる半導体多孔質膜層25を形成させた第2電極24を準備し、第2電極上に前記第1の封止部22−1と重なり合う様に枠状の第2の封止部22−2を形成する工程を示し、図2Dで第1電極21と第2電極24とを、減圧下で対向させて張り合わせる工程を示し、図2Eでは大気圧下に搬送して封止部を硬化する工程を示している。
以下、図1を例に用いて詳細に説明する。
<封止工程>
本発明の製造方法は、第1電極上に上述した封止部を枠状に形成し、第1電極と第2電極とを、減圧下で対向させ貼り合わせる工程を有することが特徴である。
本発明の製造方法で用いられる減圧度は、電荷移動層の溶媒組成によって異なるが、2〜30kPaの減圧度で十分内部の気泡が除去できる。更に好ましい減圧度は3〜25kPa、最も好ましい減圧度は5〜20kPaである。2kPa以上の減圧度であれば、本発明で用いられる電荷移動層の組成において、突沸の抑制や蒸発による電解液組成変化は最小限に抑えられ、また30kPa以下の減圧度であれば、多孔質内部の気泡も十分に除去でき好ましい。
図1においては、第1電極1としてカソード電極を用いているが、本発明においては、透光性導電性基板上に封止部2を形成してもよく、また、図2で示される様に、カソード電極と透光性導電性基板の両方に封止部2を形成して張り合わせる構成も本発明で用いることができる好ましい態様である。
第1電極1の上に枠状の封止部2を形成する工程は、減圧チャンバーに搬送する前でも、減圧チャンバー内でもよいが、減圧チャンバーが小さい方が排気に掛かる時間を短縮できるため、減圧チャンバーに搬送する前に封止部を形成する方がより好ましい。
<封止部>
本発明の封止部に好ましく用いることができる態様を以下に説明する。
本発明の封止部2は、第1電極1上に形成し、後述する電荷移動層3の塗布工程で、電荷移動層3の組成物が封止部2の枠外に漏れ拡がらない様に、第1電極1の周囲を枠状に囲む形で形成させることが好ましい。
封止部2を形成させる方法は本発明の要件を満たせばいかなる方法でもよいが、容易に所望のパターンを形成できる点で、一般的な印刷法を好ましく用いることができる。印刷法としては、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などを挙げることができるが、本発明の実施はこれに限定されない。更に、本発明で好ましく用いることができる方法として、高粘度の液体を精度良く吐出できるディスペンサを用いた形成法が更に好ましい。複数のディスペンサを用いることで、吐出を高速に精度良く行うことができ、本発明の製造方法として最も好ましい態様である。
封止部2は第2電極4上に形成した半導体多孔質膜層5よりも、一回り大きく枠状に形成されることが好ましい。第1電極1と第2電極4とを貼り合わせ硬化した後、半導体多孔質膜5の端部から、枠状に塗布した封止部2との距離は、好ましくは0.1mm以上10mm以下、更に好ましくは0.5mm以上5.0mm以下である。
封止部2に好ましく用いることができる封止材としては、一般的な封止材を用いることができ、中でもUV光または熱によって硬化する特性を有する封止材を好ましく用いることができる。更に好ましくは、減圧下においても安定したペースト状を維持し、大気圧下で、短時間の後処理によって硬化させられる点で、UV硬化性樹脂を用いることが好ましい。
UV硬化性樹脂は減圧下においても安定したペーストを維持し、また、枠状に系背下封止部2の内側に、電解液からなる電荷移動層を塗布しても、電解液がぬれ拡がることなく、また、貼り合わせ時にも確実に封止され、短時間でUV硬化する特性を有するUV硬化樹脂が好ましい。更に、色素増感型太陽電池では、電荷移動層3にヨウ素を含む電解質を用いるため、ヨウ素による腐食や汚染が懸念され、これらに耐えうる組成であることが好ましい。
封止部2を形成する封止材に関し、硬化させる前の粘度は50,000〜800,000mPa・s(25℃)であることが好ましく、80,000〜500,000mPa・sであることが更に好ましい。
第1電極1と第2電極4の間隙を任意に制御したい場合は、上述した封止材に、粒子径の揃ったフィラーを微量混合し、スペーサーの役割を担わせても良い。本発明に好ましく用いられるフィラーとしては、樹脂ビーズ、無機ビーズ等が挙げられ、どちらのビーズも好ましく用いることができる。
<封止部硬化工程>
封止部2を硬化する工程は、封止材の硬化を促進させるプロセスを示し、封止材にUV硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いた場合、UV硬化工程または熱硬化工程を行うものである。UV硬化工程または熱硬化工程では、前記の封止部のみに働き硬化させる製造方法が好ましい。具体的には、UV硬化工程の場合、枠状に形成した封止部2に重なり合う様にUV光を照射させることが好ましい。その場合、発電部にはフォトマスクを重ねたり、封止部と同形状の光源を用いたりすることで、発電部にUV照射されることによる発電部の劣化を防ぐことができる。同様にして、熱硬化工程の場合も、封止部2と同形状の熱線を用い接触させて処理することが好ましい。
更に、UV照射したのちに熱硬化工程が必要なUV硬化樹脂では、UV硬化工程に続いて熱効果工程を有する製造工程が好ましい。
<第1電極>
第1電極1(以下カソード電極とも言う)に好ましく用いる事ができる態様を以下に説明する。
本発明で使用できる第1電極1は、フレキシブル基材を用いることが特徴である。また、後述する導電性基材と同様に、それ自体が導電性を有する基材の単層構造、またはその表面に対極導電層を有する基材を利用することができる。後者の場合、対極導電層に用いる導電性材料、基材、更にその製造方法としては、公知の種々の材料及び方法を適用することができる。その中でも、I3−イオン等の酸化や他のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものを使用することが好ましく、具体的には白金電極、導電材料表面に白金メッキや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。また、前述と同様にコスト面や可撓性を考慮すると、プラスチックシートを基材として使用し、導電性材料としてポリマー系材料を塗布して使用することも好ましい態様の1つである。
対極導電層の厚さは特に制限されないが、1nm〜10μmが好ましい。対極導電層が金属である場合は、その厚さは好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは2nm〜3μmの範囲である。カソード電極の表面抵抗は低い程よく、具体的には表面抵抗の範囲としては50Ω/□以下であることが好ましく、20Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることが更に好ましい。
第1電極1と第2電極2のいずれか一方または両方から光を受光してもよく、第1電極1と第2電極4の少なくとも一方が実質的に透明であれば良い。発電効率の向上の観点からは、第2電極4を透明にして、光を第2電極4側から入射させるのが好ましい。この場合第1電極1は光を反射する性質を有するのが好ましい。このような第1電極1としては、金属または導電性の酸化物を蒸着したプラスチックフィルム、あるいは金属箔、金属箔とプラスチックフィルムを貼り合わせた基材等を使用できる。
第1電極は、導電層を有する基材の導電層側または導電性基材単層を貼り付ければよい。また、導電性基材の場合と同様に、特に第1電極が透明の場合には、金属細線から成る集電グリッドを併用することも好ましい態様のひとつである。
<電荷移動層>
電荷移動層3は色素の酸化体に電子を補充する機能を有する電荷輸送材料を含有する層である。本発明で用いることのできる代表的な電荷輸送材料の例としては、酸化還元対イオンが溶解した溶剤や酸化還元対イオンを含有する常温溶融塩などの電解液、酸化還元対イオンの溶液をポリマーマトリクスや低分子ゲル化剤等に含浸したゲル状の擬固体化電解質、更には高分子固体電解質等が挙げられる。また、イオンが関わる電荷輸送材料の他に、固体中のキャリア移動が電気伝導に関わる材料として、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料を挙げることもでき、これらは併用することも可能である。
本発明の電荷移動層3は、減圧下に曝されることから、突沸や減圧による蒸発がしにくい材料を用いることが好ましく、2〜30kPaの減圧度でも組成の変化が最小限に抑えられる材料が最も好ましい。この範囲の減圧度で安定な電荷移動層材料であれば、多孔質内部の気泡も十分に除去でき好ましい。
電荷移動層3に電解液を使用する場合、含有する酸化還元対イオンとしては、一般に公知の太陽電池などにおいて使用することができるものであれば特に限定されない。
具体的には、I/I3−系、Br2−/Br3−系等の酸化還元対イオンを含有させたもの、フェロシアン酸塩/フェリシアン酸塩やフェロセン/フェリシニウムイオン、コバルト錯体などの金属錯体等の金属酸化還元系、アルキルチオール−アルキルジスルフィド、ビオロゲン色素、ハイドロキノン/キノン等の有機酸化還元系、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール/アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物などを挙げることができる。ヨウ素系として更に具体的には、ヨウ素とLiI、NaI、KI、CsI、CaIなどの金属ヨウ化物との組み合わせ、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなどの4級アンモニウム化合物や4級イミダゾリウム化合物のヨウ素塩などとの組み合わせなどが挙げられる。臭素系として更に具体的には、臭素とLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBrなどの金属臭化物との組み合わせ、テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の臭素塩などとの組み合わせなどが挙げられる。
溶剤としては突沸や減圧による蒸発がしにくく、電気化学的に不活性で、粘度が低くイオン移動度を向上したり、もしくは誘電率が高く有効キャリア濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発現できる化合物であることが望ましい。具体的にはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、γ−ブチロラクトン、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、ベンゾニトリル、ペンタンニトリル、3−メチルブタンニトリル、2,2−ジメチルプロパンニトリル、グルタロジニトリルなどのニトリル化合物、更にジメチルスルホオキシド、ジメチルホルムアミド、スルフォランなど非プロトン極性物質などを用いることができる。
好ましい電解質濃度は0.1M/l以上15M/l以下であり、更に好ましくは0.2M/l以上10M/l以下である。また、ヨウ素系を使用する場合の好ましいヨウ素の添加濃度は0.01M/l以上0.5M/l以下である。
溶融塩電解質は、光電変換効率と耐久性の両立という観点から好ましい。溶融塩電解質としては、例えばWO95/18456号、特開平8−259543号、特開2001−357896号、電気化学,第65巻,11号,923頁(1997年)等に記載されているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩を含む電解質を挙げることができる。これらの溶融塩電解質は常温で溶融状態であるものが好ましく、溶媒を用いない方が好ましい。
オリゴマ−及びポリマー等のマトリックスに電解質あるいは電解質溶液を含有させたものや、ポリマー添加、低分子ゲル化剤やオイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手法によりゲル化(擬固体化)させて使用することもできる。ポリマー添加によりゲル化させる場合は、特にポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンを好ましく使用することができる。オイルゲル化剤添加によりゲル化させる場合は、好ましい化合物は分子構造中にアミド構造を有する化合物である。また、ポリマーの架橋反応により電解質をゲル化させる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマーおよび架橋剤を併用することが望ましい。この場合、好ましい架橋可能な反応性基は、含窒素複素環(例えば、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環など)であり、好ましい架橋剤は、窒素原子に対して求電子反応可能な2官能以上の試薬(例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イソシアネートなど)である。電解質の濃度は通常0.01〜99質量%で好ましくは0.1〜90質量%程度である。
また、ゲル状電解質としては、電解質と、金属酸化物粒子および/または導電性粒子とを含む電解質組成物を用いることもできる。金属酸化物粒子としては、TiO、SnO、WO、ZnO、ITO、BaTiO、Nb、In、ZrO、Ta、La、SrTiO、Y、Ho、Bi、CeO、Alからなる群から選択される1種または2種以上の混合物が挙げられる。これらは不純物がドープされたものや複合酸化物などであってもよい。導電性粒子としては、カーボンを主体とする物質からなるものが挙げられる。
次に、高分子電解質としては、酸化還元種を溶解あるいは酸化還元種を構成する少なくとも1つの物質と結合することができる固体状の物質であり、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンサクシネート、ポリ−β−プロピオラクトン、ポリエチレンイミン、ポリアルキレンスルフィドなどの高分子化合物またはそれらの架橋体、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアルキレンオキサイドなどの高分子官能基に、ポリエーテルセグメントまたはオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として付加したものまたはそれらの共重合体などが挙げられ、その中でも特にオリゴアルキレンオキサイド構造を側鎖として有するものやポリエーテルセグメントを側鎖として有するものが好ましい。
前記の固体中に酸化還元種を含有させるには、例えば、高分子化合物となるモノマーと酸化還元種との共存下で重合する方法、高分子化合物などの固体を必要に応じて溶媒に溶解し、次いで、前記の酸化還元種を加える方法等を用いることができる。酸化還元種の含有量は、必要とするイオン伝導性能に応じて、適宜選定することができる。
本発明では、溶融塩などのイオン伝導性電解質の代わりに、有機または無機あるいはこの両者を組み合わせた固体の正孔輸送材料を使用することができる。有機正孔輸送材料としては、芳香族アミン類やトリフェニレン誘導体類、更にポリアセチレンおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレン)およびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリトルイジンおよびその誘導体等の導電性高分子を好ましく用いることができる。正孔(ホール)輸送材料にはドーパントレベルをコントロールするためにトリス(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートのようなカチオンラジカルを含有する化合物を添加したり、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層の補償)を行うためにLi[(CFSON]のような塩を添加しても構わない。無機正孔輸送材料としては、p型無機化合物半導体を用いることができる。この目的のp型無機化合物半導体は、バンドギャップが2eV以上であることが好ましく、さらに2.5eV以上であることが好ましい。また、p型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルは色素の正孔を還元できる条件から、色素吸着電極のイオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。使用する色素によってp型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に4.5eV以上5.5eV以下であることが好ましく、さらに4.7eV以上5.3eV以下であることが好ましい。好ましいp型無機化合物半導体は一価の銅を含む化合物半導体であり、CuI及びCuSCNが好ましく、CuIが最も好ましい。p型無機化合物半導体を含有する電荷移動層の好ましいホール移動度は10−4cm/V・sec以上10cm/V・sec以下であり、更に好ましくは10−3cm/V・sec以上10cm/V・sec以下である。また、電荷輸送層の好ましい導電率は10−8S/cm以上10S/cm以下であり、更に好ましくは10−6S/cm以上10S/cm以下である。
電荷移動層の形成方法としては、マイクログラビアコーティング、ディップコーティング、スクリーンコーティング、インクジェット法等の印刷法、キャスト法やディスペンサを用いた滴下法等を用いることができる。ゲル電解質の場合には湿式で塗布して重合等の方法により固体化する方法があり、その場合には乾燥、固定化した後に対極を付与することもできる。
固体電解質や固体の正孔(ホール)輸送材料の場合には真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処理で電荷移動層を形成し、その後カソード電極を付与することもできる。具体的には、真空蒸着法、キャスト法、塗布法、浸漬法、電解重合法、光電解重合法等の手法により電極内部に導入することができ、必要に応じて基材を任意の温度に加熱して溶媒を蒸発させるなどにより形成する。
電荷移動層の厚さは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に10μm以下であることが好ましい。また、第1電極と第2電極との間隙の体積に対して、体積率で3〜10%少ない体積量の電荷移動層を滴下することが、封止強度が高くなり好ましい。また電荷移動層の導電率は1×10−10S/cm以上であることが好ましく、1×10−5S/cm以上であることが更に好ましい。
<第2電極>
次に図1を例に本発明の第2電極4について説明する。本発明の第2電極4は、フレキシブルな基板上に形成させることが特徴である。また、基材の上に金属細線からなる集電グリッドを有し、金属細線上及び開口部全体を導電性被覆層で被覆した導電性基板、色素を吸着させた、光吸収層と光反射層からなる半導体多孔質膜層5を有することが本発明の好ましい態様のひとつである。以下、これらについて具体的に説明する。
<第2電極用基板>
本発明の第2電極4に好ましく用いられるフレキシブル第2電極用基板の構成は、後述するフレキシブルな光透過性基材上に金属細線からなる集電グリッドを有し、金属細線上及び開口部全体を導電性被覆層で被覆した構成が好ましい。この金属細線は、予め銀細線をパターニング描画した後、電解または無電解メッキによって導電性の高い金属を銀細線上にメッキした構成とすることがより好ましい。銀細線はパターニングが容易であるが、銀細線上を導電性の高い金属でメッキすることで、集電グリッド電極の低抵抗化と高開口率による高透過率を両立することができ好ましい態様である。
集電グリッドを形成する金属細線の線幅は5μm〜20μmであることが好ましく、より好ましくは6μm〜15μm、最も好ましくは7μm〜10μm程度である。また、前記金属細線と前記銀細線との線幅比は1.2〜2.0の範囲であることが好ましい。ここで線幅比とは、メッキ前の銀細線に対して、メッキ後の金属細線の基板に対して垂直方向から観察した線幅比を表し、〔(線幅比)=(金属細線幅)/(銀細線幅)〕の関係である。線幅比率が1.2以上の場合には、メッキ金属が十分に形成されるため十分な低抵抗膜を得ることが出来き、本発明の効果が特に高く好ましい。また、線幅比率が2以下の場合には、元の銀細線パターンを維持し、線の交点同士がきれいな角を作り高い開口率を維持できるため好ましい。中でも、線幅比率が1.3〜1.7、更には1.3〜1.5となる態様が前述の効果が高く特に好ましい。メッキ前後のパターンの線幅の測定については、測距機能を有したマイクロスコープなどを用いて簡便に測定することが出来る。
本発明の金属細線からなる集電グリッドは、開口率が93〜98%であることが好ましい。更に好ましくは95〜98%であり、最も好ましくは96〜97%である。開口率とは、透光性導電性基板の光が照射される全体の面積に対して、メッキ後の集電グリッド線が締める面積を差し引いた面積との比を意味し、〔(開口率)={(全体の面積)−(メッキ後の集電グリッドが締める面積)}/(全体の面積)×100〕で表される。開口率はマイクロスコープなどで撮影した画像を解析し、開口部の面積を求めることで算出することが出来る。細線の線幅から開口率を求めることも出来るが、実際には金属細線の線幅から求めた開口率と、画像解析により求めた開口率とは若干の乖離がある。これは、メッキ処理によって集電グリッド線のエッジが荒れたり、更には線同士の交点できれいな角が形成されず、なめされた形状になったりすることに起因し、ほとんどの場合、画像解析により求めた開口率の方が小さい値になる。
銀細線からなるパターンを形成する方法としては、本発明の好ましい態様を達成できる手段であれば特に限定されず、例えば、印刷法、銀塩法、エッチング法などを挙げることができるが、精巧なパターンを作製できる方法として、特に印刷法、および銀塩法が好ましい。
銀細線を印刷方式で形成する場合には、印刷用インクに含まれる金属成分の種類、量、サイズ、形状などを調整することにより、銀細線部の形状や導電性を調整することが可能となる。本発明において、銀細線を印刷で行う場合、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷方式を用いることができる。中でも、グラビア印刷及びインクジェット印刷は、細かいパターンを連続的に形成しやすいという観点で特に好ましく用いることができる。
また、本発明において、銀細線を銀塩法によって形成する場合には、ハロゲン化銀乳剤を含んで成るハロゲン化銀感光材料に塗設されるハロゲン化銀、及びそれを保持するためのバインダーの種類や量を調整したり、あるいはパターン露光に続いて行われる現像処理に用いられる現像処理液の組成や、現像処理条件を適宜制御したりすることにより調整することができる。(例えば、特願2007−300107号に記載の技術を参照。)
本発明に係る透光性導電性基板を作製するための方法に特に制限はないが、パターンの形成が容易であり、しかも安価に大量に透光性導電性基板を作製できる特に有用な方法として、感光性ハロゲン化銀及びバインダーからなる層を有するハロゲン化銀感光材料に露光後、現像処理を行い作製する方法を例に取り、詳細に説明する。
本発明に係る、前記、銀細線を銀塩法によって形成する、ハロゲン化銀乳剤を含んで成るハロゲン化銀感光材料について説明する。
〔ハロゲン化銀乳剤含有層〕
本発明においては、後述する感光性ハロゲン化銀及びバインダーを含有するハロゲン化銀乳剤含有層が支持体上に設けられるが、ハロゲン化銀乳剤含有層はこの他に硬膜剤、硬調化剤、活性剤などを含有することができる。
本発明において、感光性ハロゲン化銀の含有量は銀換算で0.05g/m以上3g/m未満である態様が好ましく、特に好ましくは銀換算で0.15g/m以上1.5g/m未満、更に好ましくは0.3g/m以上1.0g/m未満である態様である。感光性ハロゲン化銀の含有量が0.05g/m以上であれば、集電グリッドによる低抵抗化を得ることができ好ましい。これは後述する物理現像または金属メッキ処理の触媒となる現像銀核が十分量供給されるため、有効な導電性グリッドパターンを形成しやすくなると推測される。
また、感光性ハロゲン化銀の含有量が3g/m以下であれば、ハロゲン化銀の量に対してバインダー量が最適になるため十分な塗膜の強度が得られ、精巧なエッジや細線を形成しやすくなる。
被膜物性を維持するためにバインダー量を増やした場合、感光性ハロゲン化銀粒子の粒子間距離が大きくなるため、現像銀ネットワークが形成されにくくなり、有効な導電性グリッドパターンを形成しにくくなるとともに、温度、湿度変化に対する耐久性が不十分となりやすい。本発明において、ハロゲン化銀感光材料のバインダー量は10mg/m以上0.3g/m以下、更に好ましくは50mg/m以上0.2g/m以下の場合が、導電性と被膜物性の両立という観点から特に好ましい態様である。バインダー量が10mg/m以上であれば、ハロゲン化銀の量に対してバインダー量が最適になるため十分な塗膜の強度が得られ、精巧なエッジや細線を形成しやすくなる。また、バインダー量が0.3g/m以下であれば、感光性ハロゲン化銀粒子の粒子間距離が十分小さくなるため現像銀ネットワークが形成されやすくなり、有効な導電性グリッドパターンを形成しやすくなるとともに、現像により生じた金属銀で形成されたパターン部にメッキ処理を施す場合のメッキ進行性が向上し好ましい態様である。
(ハロゲン化銀粒子)
本発明で用いられるハロゲン化銀粒子の組成は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀など任意のハロゲン組成を有するものであってもよいが、階調を硬くし、露光安定性を向上させるためには塩臭化銀粒子が好ましく用いられる。臭素を含有させることによりハロゲン化銀粒子の保存安定性が向上するが、臭素含有率が高くなりすぎると現像性が低下しやすく、またハロゲン化銀塗布量が1.5g/m未満と少ない場合は特に軟調化しやすいことから、臭素含有率は2から30モル%、更に好ましくは5から20モル%である。
ハロゲン化銀粒子が現像され金属銀粒子になった後の表面比抵抗を下げるためには、現像銀粒子同士の接触面積ができるだけ大きくなる必要がある。そのためには、表面積比を高めるためにハロゲン化銀粒子サイズが小さい程よいが、小さすぎる粒子は凝集して大きな塊状になりやすく、その場合接触面積は逆に少なくなってしまうので最適な粒子径が存在する。
本発明において、ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズは球相当径で0.01〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3μmである。なお、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径を表す。
ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズは、ハロゲン化銀粒子の調製時の温度、pAg、pH、銀イオン溶液とハロゲン溶液の添加速度、粒子径コントロール剤(例えば、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズトリアゾール、テトラザインデン化合物類、核酸誘導体類、チオエーテル化合物類など)を適宜組み合わせて制御することができる。
本発明においては、塗布銀量(g/m)を粒径(μm)で除した値が6以上25以下となる態様が好ましい。比較的粒径の小さい感光性ハロゲン化銀を多量に用いた場合に、この値が25より大きくなりやすく、この場合フィルム断裁時のエッジ部分において、被膜からハロゲン化銀粒子の滑落などが生じやすくなる傾向にある。
また、比較的粒径の大きい感光性ハロゲン化銀を少量用いた場合にこの値が6より小さくなりやすく、この場合単位面積中の感光性ハロゲン化銀の粒子個数が少なくなるため、導電性が低下しやすい傾向となるためである。
本発明においては、ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、3角形平板状、4角形平板状など)、8面体状、14面体状など、様々な形状であることができる。感度を高くするために、アスペクト比が2以上や4以上、更に8〜16であるような平板粒子も好ましく使用することができる。
粒子サイズの分布には特に限定はないが、露光によるパターン形成時にパターンの輪郭をシャープに再現させ、高い導電性を維持しながら透明性を高めるという観点からは、狭い分布が好ましい。本発明に係るハロゲン化銀感光材料に用いられるハロゲン化銀粒子の粒径分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子である。ここで変動係数は粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。変動係数=S/R(式中、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)。
また、ハロゲン化銀粒子には分光増感を施すことが好ましい。好ましい分光増感色素としては、シアニン、カルボシアニン、ジカルボシアニン、複合シアニン、ヘミシアニン、スチリル色素、メロシアニン、複合メロシアニン、ホロポーラー色素などを挙げることができ、当業界で用いられている分光増感色素を単用、あるいは併用して使用することができる。
特に有用な色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、及び複合メロシアニン色素である。これらの色素類には、その塩基性異節環核としてシアニン色素類に通常利用される核のいずれをも通用できる。即ち、ピロリン核、オキサゾリン核、チアゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核及びこれらの核に脂環式炭化水素環が融合した核、及びこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した核、即ちインドレニン核、ベンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキサゾール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンズイミダゾール核、キノリン核などである。これらの核は、炭素原子上で置換されてもよい。
(バインダー)
本発明に係るハロゲン化銀乳剤含有層において、ハロゲン化銀粒子を均一に分散させ、且つハロゲン化銀粒子を支持体上に担持し、ハロゲン化銀乳剤含有層と支持体の接着性を確保する目的でバインダーを用いる。本発明に用いることができるバインダーには特に制限がなく、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれも用いることができるが、現像性向上の観点からは水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
本発明に係るハロゲン化銀感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体の如き合成親水性高分子物質などの親水性コロイドも用いることができる。
(紫外線吸収剤)
本発明においては、透光性導電性基板の紫外線による劣化を避けるために紫外線吸収剤を使用することが好ましい。
紫外線吸収剤としては公知の紫外線吸収剤、例えば、サリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、S−トリアジン系化合物、環状イミノエステル系化合物などを好ましく使用することができる。これらの中、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、環状イミノエステル系化合物が好ましい。ポリエステルに配合するものとしては、特に環状イミノエステル系化合物が好ましい。
これら紫外線吸収剤の添加層については特に制限はないが、ハロゲン化銀乳剤含有層に用いられるバインダーの紫外線による劣化を防止するという観点から、ハロゲン化銀乳剤含有層への直接添加、あるいはハロゲン化銀乳剤含有層よりも外光に近い方に設けられる態様が好ましい。
ハロゲン化銀乳剤含有層、あるいはそれに隣接する層に添加する場合は、好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、例えば、特開平1−250944号公報記載の一般式[II−3]で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式[III]で示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式[I]で示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物などが好ましく用いられる。
(硬調化剤)
本発明においては、エッジが明瞭な銀細線パターンを描くためにハロゲン化銀感光材料は硬調である態様が好ましく、その方法として、塩化銀含有量を高くして粒径の分布を狭くする方法、あるいはヒドラジン化合物やテトラゾリウム化合物を硬調化剤として使用することが好ましい。ヒドラジン化合物は−NHNH−基を有する化合物であり、代表的なものを下記一般式(A)で示す。
一般式(A) T−NHNHCO−V、T−NHNHCOCO−V
式中、Tは各々置換されてもよいアリール基、ヘテロ環基を表す。Tで表されるアリール基はベンゼン環やナフタレン環を含むもので、この環は置換基を有してもよく、好ましい置換基として、直鎖、分岐のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20のメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ドデシル基など)、アルコキシ基(好ましくは炭素数2〜21のメトキシ基、エトキシ基など)、脂肪族アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜21のアルキル基を持つ、アセチルアミノ基、ヘプチルアミノ基など)、芳香族アシルアミノ基などが挙げられ、これらの他に、例えば、上記のような置換または未置換の芳香族環が−CONH−、−O−、−SONH−、−NHCONH−、−CHCH=N−などの連結基で結合しているものも含む。
Vは水素原子、置換されてもよいアルキル基(メチル基、エチル基、ブチル、トリフロロメチル基など)、アリール基(フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(ピリジル基、ピペリジル基、ピロリジル基、フラニル基、チオフェン基、ピロール基など)を表す。
上述のヒドラジン化合物は、米国特許第4,269,929号明細書の記載を参考にして合成することができる。ヒドラジン化合物はハロゲン化銀粒子含有層中、またはハロゲン化銀粒子含有層に隣接する親水性コロイド層中、更には他の親水性コロイド層中に含有せしめることができる。
特に好ましいヒドラジンの化合物を下記に挙げる。
(H−1):1−トリフロロメチルカルボニル−2−{〔4−(3−n−ブチルウレイド)フェニル〕}ヒドラジン
(H−2):1−トリフロロメチルカルボニル−2−{4−〔2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ブチルアミド〕フェニル}ヒドラジン
(H−3):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−{4−〔2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ブチルアミド〕フェニル}ヒドラジン
(H−4):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−{4−〔2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ブチルアミド〕フェニルスルホンアミド}ヒドラジン
(H−5):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−{4−〔3−(4−クロロフェニル−4−フェニル−3−チア)ブタンアミド〕ベンゼンスルホンアミド}ヒドラジン
(H−6):1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−4−アミノ−オキザリル)−2−(4−(3−チア−6,9,12,15−テトラオキサトリコサンアミド)ベンゼンスルホンアミド)フェニルヒドラジン
(H−7):1−(1−メチレンカルボニルピリジニウム)−2−(4−(3−チア−6,9,12,15−テトラオキサトリコサンアミド)ベンゼンスルホンアミド)フェニルヒドラジンクロライド。
ヒドラジン化合物、アミン化合物、ピリジニウム化合物及びテトラゾリウム化合物は、ハロゲン化銀1モル当たり1×10−6〜5×10−2モル含有するのが好ましく、特に1×10−4〜2×10−2モルが好ましい。
〔光透過性基材〕
本発明ではフレキシブルな基板を用いることが特徴であり、また、第1電極か第2電極のいずれか一方が光透過性基材を基材に用いることが実質的に望ましい。特に性能と作製手順の容易さから、前述した様に第2電極側をフレキシブルな光透過性基材とすることがより好ましい。
本発明で用いられる光透過性基材は実質的に透明であることが好ましく、光の透過率が50%以上であることを意味し、80%以上であることが好ましく、95%以上であることが特に好ましい。材質としては本発明の要件を満たせばいかなる材質でも好ましく用いることができ、公知の種々のプラスチックシート、金属箔、織布、不織布等を使用することが可能である。
具体的なプラスチックシートの例としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、シンジオタクチックポリステレン(SPS)、ポリカーボネート(PC),ポリアリレート(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、環状ポリオレフィン、フェノキシ樹脂、ブロム化フェノキシ等を挙げることができる。後述する半導体多孔質膜層の焼成処理の温度によって、基材の軟化点が決まってくるが、プラスチックシートを用いる場合はプラズマ照射によって半導体焼成することが好ましく、高温下にさらされるため、より軟化点の高いプラスチックシートを用いることが好ましく、軟化点は好ましくは100℃以上、更に好ましくは150℃以上である。軟化点はJIS−K7206のビカット軟化点を測定することで評価することができる。
本発明に用いる光透過性基材には、基材とハロゲン化銀乳剤層の接着性を向上させるために、ハロゲン化銀乳剤層の塗設に先立ち、予め下引層を塗設しておく態様が好ましい。
この下引層に好ましく用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、あるいは各種ラテックス類や水溶性ポリマーなどを好ましく用いることができる。
水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコールなどのビニルアルコール系ポリマー類、水溶性ポリエステル類などを挙げることができ、ラテックス類としては、アクリル−スチレン系ポリマーラテックス、スチレン−ジオレフィン系ポリマーラテックス、塩化ビニリデン系ポリマーラテックスまたはポリウレタン系ポリマーラテックスなどを挙げることができ、中でも、エチレン性不飽和モノマーを重合したラテックスが接着性向上機能を高めやすいという観点から好ましい。
エチレン性不飽和モノマーとしては、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、スチレン類、ジビニルベンゼン、アクリルニトリル、メタアクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン、塩化ビニリデン、フェニルビニルケトンなどを挙げることができる。これらのモノマーは単独で用いても、2種以上用いてもよい。
また、エチレン性不飽和モノマーの少なくとも1種が、エポキシ基を有するモノマーまたは活性メチレン基を有するモノマーであることが好ましく、更に好ましくはエポキシ基を有するモノマー及び活性メチレン基を有するモノマーを併用することである。エポキシ基を有するモノマーとしては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートなどを挙げることができ、活性メチレン基を有するエチレン性不飽和モノマーは、例えば、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシエチルアクリレート、2−アセトアセトアミドエチルメタクリレートなどを用いることができる。
重合時に使用する水溶性ポリマーとしては、分子構造中に水溶性のアニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基を有する水溶性天然ポリマーや水溶性合成ポリマーのほとんどのものが使用でき、アニオン性基としてはカルボン酸またはその塩、スルホン酸またはその塩、リン酸またはその塩、カチオン性基としては第3級アミンまたはアンモニウム塩、ノニオン性基としては、水酸基、アミド基、メトキシ基、アルキレンオキシド基としてはオキシエチレン基、ヘテロ原子環としてピロリドン基などの基が好ましい。
水溶性合成ポリマーの中では、アニオン性もしくはノニオン性のものが好ましく、アニオン性のポリマーが特に好ましい。更に好ましくはスルホン酸塩を有するポリマーが挙げられ、ポリスチレンスルホン酸共重合体、イソプレン−スチレン共重合体のスルホン化物、5−スルホイソフタル酸を共重合成分としたコポリエステルがより好ましい。また、水溶性ポリマーを2種以上組み合わせて使用してもよい。
下引層に用いるラテックスは乳化重合法で製造することができ、例えば、水を分散媒とし、水に対して10〜50質量%のモノマーとモノマーに対して0.05〜5質量%の重合開始剤、0.1〜20質量%の分散剤を用い、約30〜100℃、好ましくは60〜90℃で3〜8時間攪拌下重合させることによって製造することができる。モノマーの量、重合開始剤量、反応温度、反応時間などの条件は幅広く変更することができる。
重合開始剤としては、水溶性過酸化物(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)、水溶性アゾ化合物(例えば、2,2′−アゾビス(2−アミノジプロパン)ハイドロクロライドなど)またはこれらのFe2+塩や亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤などを用いることができる。
ラテックスの平均粒径は、0.02〜0.8μm程度と様々なものを用いることができるが、0.05〜2.0μmのものであればいずれも好ましく使用することができる。
また、下引層には金属酸化物を添加して屈折率を調整し、反射率低下機能を兼ねる態様が特に好ましい。金属酸化物の例としては、ZnO、TiO、SnO、Al、In、SiO、MgO、BaO、MoO、Vなどあるいはこれらの複合酸化物が好ましく、特にバインダーとの混和性、導電性、透明性などの点から、SnO(酸化スズ)が好ましい。異元素を含む例としては、SnOに対してはSb、Nb、ハロゲン元素などを添加することができる。これらの異元素の添加量は0.01〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特に好ましい。
本発明においては、特にコロイド状酸化スズゾルを用いる態様が透明性向上の観点から好ましい。本発明においては、10−7〜10−5cmの直径の粒子について、分散状態が安定であることからこの大きさをコロイド次元と言い、コロイド次元の大きさの粒子をコロイド粒子として用いる態様が好ましい。
酸化スズは非晶性ゾルまたは結晶性粒子の形態が好ましい。水系塗布の場合は非晶性ゾルが好ましく、溶剤系塗布の場合は結晶性粒子の形態が好ましい。特に環境上、作業の取り扱い性の点で水系塗布の非晶性ゾルの形態が好ましい。
本発明に好ましく用いることのできる非晶性SnOゾルの製造方法に関しては、SnO微粒子を適当な溶媒に分散して製造する方法、もしくは溶媒に可溶なSn化合物の溶媒中における分解反応から製造する方法など、いずれの方法でもよい。溶媒に可溶なSn化合物の溶媒中における分解反応から製造する方法に関して以下に述べる。
溶媒に可溶なSn化合物とは、KSnO・3HOのようなオキソ陰イオンを含む化合物、SnClのような水溶性ハロゲン化物、R′SnR、RSnX、RSnXの構造を有する、例えば、(CHSnCl・(ピリジン)、(CSn(OCCなど有機金属化合物、Sn(SO・2HOなどのオキソ塩を挙げることができる。これらの溶媒に可溶なSn化合物を溶媒に溶解後、加熱、加圧などの物理的方法、酸化、還元、加水分解などの化学的方法などにより、SnOゾルを製造するか、もしくは中間体を経由後、SnOゾルを製造する方法などである。
これらの下引き層をガラスやプラスチックシート状に塗設する場合、予め基材自体を親水化処理することが好ましい。親水化処理の方法は特に限定されないが、例えばコロナ放電処理などを行うことが好ましい。
〔露光〕
本発明に係るハロゲン化銀感光材料においては、後述する現像、物理現像、メッキ処理により、導電性金属パターンを形成するためにハロゲン化銀感光材料の露光を行う。露光に用いられる光源としては、例えば、可視光線、紫外線などの光、電子線、X線などの放射線などが挙げられるが、紫外線または近赤外線を用いることが好ましい。更に露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、波長分布の狭い光源を用いてもよい。
可視光線は必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種または2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は上記の赤色、緑色及び青色に限定されず、黄色、橙色、紫色あるいは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線なども利用される。
また、本発明では露光は種々のレーザービームを用いて行うことができる。例えば、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザー、または半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発光光源(SHG)などの単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、更にKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fレーザーなども用いることができる。
システムをコンパクトで迅速なものにするために、露光は半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発生光源(SHG)を用いて行うことが好ましい。特にコンパクトで迅速、更に寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザーを用いて行うことが好ましい。
レーザー光源としては、具体的には、紫外半導体、青色半導体レーザー、緑色半導体レーザー、赤色半導体レーザー、近赤外レーザーなどが好ましく用いられる。
ハロゲン化銀乳剤含有層を画像状に露光する方法は、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた集光式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、面々接触露光、近接場露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。露光に用いられるレーザーの出力は、ハロゲン化銀粒子の感度、露光スピード、装置の光学系により異なるが、概ね数十μW〜5W程度である態様が好ましい。
〔現像処理〕
本発明では、ハロゲン化銀感光材料を露光した後、現像処理が行われる。現像処理は発色現像主薬を含有しない、いわゆる黒白現像処理であることが好ましい。
現像処理液としては、現像主薬としてハイドロキノン、ハイドロキノンスルホン酸ナトリウム、クロルハイドロキノンなどのハイドロキノン類の他に、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドンなどのピラゾリドン類及びN−メチルパラアミノフェノール硫酸塩などの超加成性現像主薬と併用することができる。また、ハイドロキノンを使用しないでアスコルビン酸や、イソアスコルビン酸などレダクトン類化合物を上記超加成性現像主薬と併用することが好ましい。
また、現像処理液には、保恒剤として亜硫酸ナトリウム塩や亜硫酸カリウム塩、緩衝剤として炭酸ナトリウム塩や炭酸カリウム塩、現像促進剤としてジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノプロパンジオールなどを適宜使用できる。
現像処理で用いられる現像処理液は、画質を向上させる目的で画質向上剤を含有することができる。画質向上剤としては、例えば、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、5−メチルベンゾトリアゾールなどの含窒素へテロ環化合物を挙げることができる。
本発明においては、露光後に行われる現像処理が定着前物理現像を含んでいることが好ましい。ここで言う定着前物理現像とは、後述の定着処理を行う前に露光により潜像を有するハロゲン化銀粒子の内部以外から銀イオンを供給し、現像銀を補強するプロセスのことを示す。
現像処理液から銀イオンを供給するための具体的な方法としては、例えば、予め現像処理液中に硝酸銀などを溶解しておき、銀イオンを溶かしておく方法、あるいは現像液中に、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのようなハロゲン化銀溶剤を溶解しておき、現像時に未露光部のハロゲン化銀を溶解させ、潜像を有するハロゲン化銀粒子の現像を補力する方法などが挙げられる。
本発明においては、現像液中に予めハロゲン化銀溶剤を溶解しておく処方を用いた方が、未露光部でのカブリ発生によるフィルムの透過率低下を抑制できるため好ましい。
本発明における現像処理においては、露光されたハロゲン化銀粒子の現像終了後に、未露光部分のハロゲン化銀粒子を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を行う。本発明における定着処理は、ハロゲン化銀粒子を用いた写真フィルムや印画紙などで用いられる定着液処方を用いることができる。
定着処理で使用する定着液は、定着剤としてチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウムなどを使用することができる。定着時の硬膜剤として硫酸アルミウム、硫酸クロミウムなどを使用することができる。定着剤の保恒剤としては、現像処理液で述べた亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸などを使用することができ、その他にクエン酸、蓚酸などを使用することができる。
本発明に使用する水洗水には、防黴剤としてN−メチル−イソチアゾール−3−オン、N−メチル−イソチアゾール−5−クロロ−3−オン、N−メチル−イソチアゾール−4,5−ジクロロ−3−オン、2−ニトロ−2−ブロム−3−ヒドロキシプロパノール,2−メチル−4−クロロフェノール、過酸化水素などを使用することができる。
〔物理現像処理〕
本発明では、後に説明する電解メッキ処理を効率よく行うため、物理現像処理によって現像銀同士の接触を促し、導電性を高めることが好ましい。物理現像処理とは現像処理中、あるいは処理後に予めハロゲン化銀感光材料中に含有されていない銀源を外部から供給し、導電性を高める処理のことを指す。物理現像は、潜像を有するハロゲン化銀乳剤を含有するハロゲン化銀感光材料を銀イオンあるいは銀錯イオンと還元剤を含有する処理液に浸漬することで、これを施すことができる。本発明においては、物理現像の現像開始点が潜像核だけでなく、現像銀が物理現像開始点となった場合についても物理現像と定義し、これを好ましく用いることができる。
本発明において物理現像を行う場合には、物理現像液のpHを2〜6の範囲で用いることが、本発明の効果を安定に引き出しやすく好ましい。また、物理現像液には緩衝能を持たせることが、本発明の効果を安定に引き出しやすく、本発明の好ましい態様である。
なお、物理現像処理は現像中、現像後定着前、定着処理後のいずれのタイミングにおいても実施可能であるが、透明性を高く維持するという観点から、定着処理後に実施することが好ましい。
〔メッキ処理〕
本発明においては、パターニングした銀細線上を導電性の金属でメッキし、高い導電性と高開口率を両立させる構成が好ましい。このメッキ処理は従来公知の種々のメッキ方法を用いることができ、例えば、電解メッキ及び無電解メッキを単独、あるいは組み合わせて実施することができる。
中でも、メッキ効率が高く、不要な部分へのメッキ付着による透過率の低下が発生しにくい電解メッキを好ましく用いることができる。電解メッキに用いることができる金属としては、例えば、銅、ニッケル、コバルト、錫、銀、金、白金、その他各種合金を用いることができるが、メッキ処理が比較的容易であり、且つ高い導電性を得やすいという観点から、電解銅メッキを用いることが特に好ましい。
なお、メッキ処理は現像中、現像後定着前、定着処理後のいずれのタイミングにおいても実施可能であるが、透明性を高く維持するという観点から、定着処理後に実施することが好ましい。
本発明においては、電解メッキにおける初期電流密度が平均電流密度の1.2〜3.0倍である態様が好ましい。ここで言う電流密度とは、電解メッキにおいて電極の単位面積当たりの電流の大きさを指し、初期電流密度とは電解メッキ全工程所要時間に対して最初の10%相当時間における電流密度の平均値を指し、平均電流密度とは電解メッキ全工程における電流密度の平均値を指す。初期電流密度が平均電流密度の1.2倍以上の場合、面内でのメッキ均一性が特に向上しやすくなる傾向にあり、また初期電流密度が平均電流密度の3.0倍以下の場合、メッキ金属の密着性が特に向上しやすくなる傾向にある。
本発明において、物理現像または金属メッキにより付与された金属量がハロゲン化銀感光材料を露光、現像処理することにより得られた現像銀に対して、質量換算で10倍以上100倍以下である態様が好ましい。この値は、物理現像または金属メッキを施す前後において、ハロゲン化銀感光材料中に含有される金属を、例えば、蛍光X線分析などで定量することによって求めることができる。
物理現像または金属メッキにより付与された金属量が、ハロゲン化銀感光材料を露光、現像処理することにより得られた現像銀に対して、質量換算で10倍未満である場合、導電性がやや低下する傾向となりやすく、また100倍より大きい場合には、導電性金属パターン部以外の不要な部分への金属析出による透過率の低下が生じやすい傾向となる。
なお、本発明においては、物理現像または金属メッキという記載は、物理現像またはメッキ処理の少なくとも一方の処理を施すことを意味し、物理現像及び金属メッキの両方を含んでもよいことを意味し、本発明においては、物理現像及び金属メッキの両方の処理を施すことが好ましい。
〔酸化処理〕
本発明においては、現像処理あるいは物理現像またはメッキ処理後に酸化処理を行うことが好ましい。酸化処理により、不要な金属成分をイオン化して溶解除去することが可能となり、透過率をより高めることが可能となる。
酸化処理に用いる処理液としては、例えば、Fe(III)イオンを含む水溶液を用いて処理する方法、あるいは過酸化水素、過硫酸塩、過硼酸塩、過リン酸塩、過炭酸塩、過ハロゲン酸塩、次亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、有機過酸化物などの過酸化物を含む水溶液を用いて処理する方法など、従来公知の酸化剤を含有する処理液を用いることができる。
酸化処理は現像処理終了後から、メッキ処理前の間に行われる態様が短時間処理で効率的に透過率向上を行うことができるため好ましい態様であり、特に好ましくは物理現像終了後に行う態様である。
〔集電グリッドパターン〕
本発明においては、低抵抗化と高い開口率を付与するために格子状、あるいはアンテナ形状の細線パターンを露光により描画し、次いで現像処理などを行うことで、導電性金属パターンを形成することが好ましい。
上記導電性金属パターンとしては、メッシュ状、アンテナ状、格子状などが好ましく、直交するメッシュパターンである態様が更に好ましい。また、金属細線同士の交点が露光から現像、メッキの工程で太りやすく開口率を下げるため、辺同士の交点において接合する手が少ないほうが好ましい。例えば、四角形のメッシュでは4本の線が交わるのに対し、六角形同士が辺で接合した所謂ハニカム構造を取ることで、3本の線が交わるパターンになるため更に好ましい。
本発明においては、メッキされた金属細線の線幅が5μm〜20μmであることが特徴である。この金属細線の線幅は、好ましくは6μm〜15μm、最も好ましくは7μm〜10μm程度である。更に本発明の金属細線からなる集電グリッドは、開口率が93〜98%であることが好ましく、更に好ましくは95〜98%であり、最も好ましくは96〜97%である。
〔導電性被覆層〕
前述した金属細線からなる集電グリッド上及び開口部を、透明な導電性被覆層で被覆することが低抵抗化と高開口率の両立、耐腐食性向上の観点から好ましい。この導電性被覆層に使用する導電性材料としては、公知種々の金属や金属酸化物等からなる無機系導電性材料、ポリマー系導電性材料、無機有機複合型の導電性材料、カーボン系材料、またはこれらを任意に混合した導電性材料など、あらゆるものを使用することができる。本発明の導電性被覆層は、半導体多孔質膜から電子注入される目的だけでなく、電解質層に含まれるヨウ素レドックスによる集電グリッドの腐食を防止する保護層の効果も併せ持つことが好ましい。
無機系導電性材料として具体的には、白金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属、導電性カーボン、更にスズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛(ZnO)、ニオブドープ酸化チタン(Nb−TiO)等の金属酸化物を挙げることができる。これら無機系の導電性材料の中でも、色素増感型太陽電池の構成上、電解質層にヨウ素を用いるため、耐腐食性といった観点から金属酸化物系の被覆が好ましい。
ポリマー系導電性材料として具体的には、各種置換されていてもされていなくても良いチオフェン、ピロール、フラン、アニリンなどを重合させてなる導電性ポリマーやポリアセチレン等を挙げることができるが、導電性が高い観点からポリチオフェンが好ましく、特にポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)が好ましい。
上述の導電性被覆層を形成する方法としては、導電性材料に応じた公知の適切な方法を用いることが可能で、例えば、ITOなどの金属酸化物からなる導電層を形成する場合、スパッタ法、CVD法、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法などの薄膜形成法が挙げられる。また、ポリマー系導電性材料からなる導電性被覆層を形成する場合は、公知の様々な塗布法により形成することが好ましい。
導電性被覆層の膜厚は0.01μm〜5μm程度が好ましく、0.05μm〜2.0μm程度が更に好ましい。
本発明の透光性導電性基板における表面抵抗値としては、10Ω/□以下であることが好ましく、1Ω/□以下であることがより好ましく、0.5Ω/□以下であることが特に好ましい。表面抵抗率は、例えば、JIS K6911、ASTM D257、などに準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
色素増感型太陽電池においては、前記光透過性基材上に設けた導電層とセル中に封止された電解質との短絡による開放電圧の低下を抑制するため、前記の導電性被覆層の上に、更に特定の金属酸化物などを数nm〜数十nm程度形成させておくことが好ましい。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウムなどを上げることが出来、これらを単体もしくは混合した膜を、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、ディップコート法などを用いて形成させておくことが望ましい。
<半導体多孔質膜層>
本発明に係る半導体多孔質膜層を形成する多孔質体は、金属酸化物に代表されるセラミック半導体微粒子から成ることが好ましい。半導体微粒子の組成は価電子帯(VB)と伝導帯(CB)のバンドギャップが3eV程度あれば特に限定しないが、ナノポーラス膜の形成し易さから金属酸化物であることが好ましい。代表的な金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウムなどを上げることが出来、中でも酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ニオブ、チタン酸ストロンチウムが伝導帯のエネルギーレベルや色素の吸着性を考慮すると好ましく、さらには酸化チタン、酸化亜鉛が好ましく、酸化チタンが最も好ましい。また、本発明においては、色素増感型太陽電池の性能向上を目的に、前記半導体微粒子を混合して成る構成でもよく、さらには半導体Aの表面に半導体Bを被覆して成るコアシェル微粒子ないしコンポジット微粒子を用いてもよい。
本発明の効果を得るために、金属酸化物半導体に金属元素をドープすることが好ましい。金属元素種としては、1価〜5価の金属イオンドーパントを選択でき、例えば、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を上げることが出来る。金属イオンドーパントのドープ量は、金属酸化物半導体の金属原子数に対し0.01〜10mol%が好ましく、0.1〜5.0mol%が更に好ましく、0.1〜1.0mol%が最も好ましい。十分な効果を得るためには0.01%以上のドープ量が好ましく、また、半導体微粒子に固溶化するドープ量として10mol%以下が好ましい。
本発明に用いることができる半導体微粒子の製法としては、一般公知の技術を用いて行うことができる。微粒子形成方法は大きく分けて気相法と液相法に分類される。気相法とは気体状の原料物質から結晶形成させる手法であり、連続的なプロセスを構築しやすく低コストで高純度な粒子を大量生産することに向く。一方で液相法は原料物質1種、あるいは2種以上を溶液中で混合し、原料物質と生成物の溶解度変化を利用して粒子形成する方法であり、シングルジェット法、ダブルジェット法、ゾル−ゲル法などが挙げられ、極端な大量生産には不向きなものの粒子形状の揃った高品質な微粒子を合成できる手法として広く用いられている。また液相法の一種であるが、原料物質を溶融し冷却時の溶解度変化を利用して粒子形成させるメルト法や、メルト法と同様にして高温溶融したフラックス塩中で形成させる手法などが挙げられる。
本発明の光吸収層に用いられる半導体微粒子は、粒子サイズが制御して形成できる方法であれば、上記いかなる手法にて粒子形成されてもよいが、半導体組成をコントロールしやすく、また粒子径が揃った高品質な微粒子を合成できるなどの理由からゾル−ゲル法を用いることが好ましい。ゾル−ゲル法を用いた粒子形成法は、有機金属化合物を酸などを触媒に加水分解し、連続的な縮合反応によって液相中で核形成〜粒子成長させることで所望の金属酸化物微粒子を得る手法である。
有機金属化合物とは金属と有機物が共有結合、配位結合またはイオン結合した化合物であり、例えば、金属アルコキシド、金属アシレート、金属キレート、有機金属塩、ハロゲン金属化合物などを挙げることができ、本発明においては反応性、安定性の観点から金属アルコキシド類を用いることが好ましい。
本発明に有用な有機金属化合物は、下記の一般式で表される化合物が好ましいが、これらに限定されるものではない。
〔一般式〕 M(R(R(R
上記一般式において、Mは金属(例えば、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等)を表し、Rはアルキル基、Rはアルコキシ基、Rはβ−ジケトン配位基、β−ケトカルボン酸エステル配位基、β−ケトカルボン酸配位基及びケトオキシ基(ケトオキシ配位基)から選ばれる基であり、金属Mの価数をmとした場合、x+y+z=mであり、x=0〜m、またはx=0〜m−1であり、y=0〜m、z=0〜mで、何れも0または正の整数である。
で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。Rで表されるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基等を挙げることができる。またアルキル基の水素原子をフッ素原子に置換したものでもよい。Rで表されるβ−ジケトン配位基、β−ケトカルボン酸エステル配位基、β−ケトカルボン酸配位基及びケトオキシ基(ケトオキシ配位基)から選ばれる基としては、β−ジケトン配位基として、例えば、2,4−ペンタンジオン(アセチルアセトンあるいはアセトアセトンともいう)、1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン等を挙げることができ、β−ケトカルボン酸エステル配位基として、例えば、アセト酢酸メチルエステル、アセト酢酸エチルエステル、アセト酢酸プロピルエステル、トリメチルアセト酢酸エチル、トリフルオロアセト酢酸メチル等を挙げることができ、β−ケトカルボン酸配位基として、例えば、アセト酢酸、トリメチルアセト酢酸等を挙げることができ、またケトオキシ配位基として、例えば、アセトオキシ基(またはアセトキシ基)、プロピオニルオキシ基、ブチリロキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等を挙げることができる。これらの基の炭素原子数は、上記の有機金属示化合物を含んで、18以下が好ましい。また例示にもあるように直鎖または分岐のもの、また水素原子をフッ素原子に置換したものでもよい。
本発明においては、取り扱いの観点から、爆発の危険性の少ない有機金属化合物が好ましく、分子内に少なくとも一つ以上の酸素を有する有機金属化合物が好ましい。このようなものとしてR2のアルコキシ基を少なくとも一つを含有する有機金属化合物、またはRのβ−ジケトン配位基、β−ケトカルボン酸エステル配位基、β−ケトカルボン酸配位基及びケトオキシ基(ケトオキシ配位基)から選ばれる基を少なくとも一つ有する金属化合物が好ましい。
具体的な有機金属化合物について以下に示す。
有機チタン化合物としては、有機チタン化合物、チタン水素化合物、ハロゲン化チタン等があり、有機チタン化合物としては、例えば、トリエトキシチタン、トリメトキシチタン、トリイソプロポキシチタン、トリブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、メチルジメトキシチタン、エチルトリエトキシチタン、メチルトリイソプロポキシチタン、トリエチルチタン、トリイソプロピルチタン、トリブチルチタン、テトラエチルチタン、テトライソプロピルチタン、テトラブチルチタン、テトラジメチルアミノチタン、ジメチルチタンジ(2,4−ペンタンジオナート)、エチルチタントリ(2,4−ペンタンジオナート)、チタントリス(2,4−ペンタンジオナート)、チタントリス(アセトメチルアセタート)、トリアセトキシチタン、ジプロポキシプロピオニルオキシチタン等、ジブチリロキシチタン、チタン水素化合物としてはモノチタン水素化合物、ジチタン水素化合物等、ハロゲン化チタンとしては、トリクロロチタン、テトラクロロチタン等を挙げることが出来、何れも本発明において好ましく用いることができる。またこれらを2種以上同時に混合して使用することもできる。
錫化合物としては、有機錫化合物、錫水素化合物、ハロゲン化錫等であり、有機錫化合物としては、例えば、テトラエチル錫、テトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、テトラエトキシ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、トリイソプロピルエトキシ錫、ジエチル錫、ジメチル錫、ジイソプロピル錫、ジブチル錫、ジエトキシ錫、ジメトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、錫ジブチラート、錫ジアセトアセトナート、エチル錫アセトアセトナート、エトキシ錫アセトアセトナート、ジメチル錫ジアセトアセトナート等、錫水素化合物等、ハロゲン化錫としては、二塩化錫、四塩化錫等を挙げることができる。
有機珪素化合物としては、例えば、テトラエチルシラン、テトラメチルシラン、テトライソプロピルシラン、テトラブチルシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルシランジ(2,4−ペンタンジオナート)、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等、珪素水素化合物としては、テトラ水素化シラン、ヘキサ水素化ジシラン等、ハロゲン化珪素化合物としては、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジエチルジクロロシラン等を挙げることが出来、何れも本発明において好ましく用いることができる。
有機ジルコニウム化合物の例としては、ジルコニウムエトキサイド、ジルコニウムイソプロポキサイド、ジルコニウムn−プロポキサイド、ジルコニウムn−ブトキサイド、ジルコニウムt−ブトキサイド、ジルコニウム2−エチルヘキシルオキサイド、ジルコニウム2−メチル−2−ブトキサイド、テトラキス(トリメチルシロキシ)ジルコニウム、ジルコニウムジn−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムジイソプロポキサイドビス(2,2,6,6,−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、ジルコニウムジメタクリレートジブトキサイド、ジルコニウムヘキサフルオロペンタンジオネート、ジルコニウムメタクリルオキシエチルアセトアセテートトリn−プロポキサイド、ジルコニウム2,4−ペンタンジオネート、ジルコニウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、ジルコニウムトリフルオロペンタンジオネート等が挙げられる。
また、アルミニウムアルコキシドの例としては、アルミニウム(III)n−ブトキサイド、アルミニウム(III)s−ブトキサイド、アルミニウム(III)t−ブトキサイド、アルミニウム(III)エトキサイド、アルミニウム(III)イソプロポキサイド、アルミニウム(III)s−ブトキサイドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム(III)ジ−s−ブトキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)ジイソプポキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)エトキシエトキシエトキサイド、アルミニウムヘキサフルオロペンタジオネート、アルミニウム(III)3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロネート、アルミニウム(III)9−オクタデセニルアセトアセテートジイソプロポキサイド、アルミニウム(III)2,4−ペンタンジオネート、アルミニウム(III)フェノキサイド、アルミニウム(III)2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートを挙げることができる。
また、その他の有機金属化合物としては、例えば、ニオブイソプロポキシド、アンチモンエトキシド、ヒ素トリエトキシド、バリウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、ベリリウムアセチルアセトナート、ビスマスヘキサフルオロペンタンジオネート、ジメチルカドミウム、カルシウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、クロムトリフルオロペンタンジオネート、コバルトアセチルアセトナート、銅ヘキサフルオロペンタンジオネート、マグネシウムヘキサフルオロペンタンジオネート−ジメチルエーテル錯体、ガリウムエトキシド、テトラエトキシゲルマン、テトラメトキシゲルマン、ハフニウムt−ブドキシド、ハフニウムエトキシド、インジウムアセチルアセトナート、インジウム2,6−ジメチルアミノヘプタンジオネート、フェロセン、ランタンイソプロポキシド、酢酸鉛、テトラエチル鉛、ネオジウムアセチルアセトナート、白金ヘキサフルオロペンタンジオネート、トリメチルシクロペンタジエニル白金、ロジウムジカルボニルアセチルアセトナート、ストロンチウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、タンタルメトキシド、タンタルトリフルオロエトキシド、テルルエトキシド、タングステンエトキシド、バナジウムトリイソプロポキシドオキシド、マグネシウムヘキサフルオロアセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、ジエチル亜鉛、などが挙げられる。
次に、ゾル−ゲル反応に用いられる溶媒について述べる。溶媒はゾル液中の各成分を均一に混合させ、本発明の組成物の固形分調製をすると同時に、種々の塗布方法に適用できるようにし、組成物の分散安定性及び保存安定性を向上させるものである。これらの溶媒は上記目的の果たせるものであれば特に限定されない。これらの溶媒の好ましい例として、例えば水、及び水と混和性の高い有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、蟻酸、酢酸、酢酸メチル、アルコール類(メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、tert−ブチルアルコール)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、アセトン、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。
ゾル−ゲル反応時には、水、及び有機溶媒中で前記金属アルコキシドを加水分解、及び縮重合させるが、この時、反応を促進させるために触媒を用いることが好ましい。加水分解の触媒としては、一般に酸が用いられる。酸は、無機酸又は有機酸が用いられる。無機酸としては、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、亜硫酸、硝酸、燐酸など、有機酸化合物としてはカルボン酸類(蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、トリフルオロ酢酸、パーフルオロオクタン酸、安息香酸、フタル酸など)、スルホン酸類(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸)、p−トルエンスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸など)、燐酸・ホスホン酸類(燐酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸など)、ルイス酸類(三フッ化ホウ素エーテラート、スカンジウムトリフレート、アルキルチタン酸、アルミン酸など)、ヘテロポリ酸(燐モリブデン酸、燐タングステン酸など)などを挙げることができる。
本発明の半導体多孔質膜層は光透過性基材側から順に、光吸収層と光反射層とを積層した構成が好ましく、該光反射層はアスペクト比(以下、ARと略すこともある)が3以上の形状異方性微粒子であることが更に好ましい。形状異方性微粒子は、平板状、燐片状、板状、針状、柱状、繊維状、ラグビーボール状、紡錘状、など形状異方性を有する粒子を挙げることができ、好ましくは平板状、燐片状、板状であり、光反射能から平板状が最も好ましい。好ましいアスペクト比は3以上〜200以下であり、さらに好ましくは10以上〜100以下である。本発明の光吸収層は、実質的に太陽光を散乱しない5nm〜100nmの平均粒径が好ましく、さらには8nm〜80nm、比表面積と空隙サイズから10nm〜30nmが最も好ましい。また、反射層は太陽光を反射する100nm〜10μmの平均粒径が好ましく、さらに好ましくは200nm〜3μm程度であり、最も好ましくは250nm〜2μm程度が、反射効率と変換効率の観点から好ましい。
本発明の平均粒径とは、透過型電子顕微鏡(例えば日本電子製JEM−2010F型)で観察した粒子の投影面積を真円に換算したときの円相当径を計算し、観測粒子数500個以上での平均円相当径を示す。また、本発明でアスペクト比とは、前記平均粒径を、500個以上の粒子を横方向から観察した平均厚みで除した値を示す。
ここで実質的に太陽光を散乱しないとは、太陽光に含まれる可視光線(主には400nm〜780nm域の光)と、UVAと呼ばれる紫外線(315nm〜400nm域の光)、近赤外線〜遠赤外線(780nm以上の光)を含むスペクトル光を散乱しないことを言う。この波長領域はミー散乱で分類することができ、光の波長、粒子径、粒子の屈折率により散乱特性が影響される。無機微粒子の場合、一般的には波長と同程度の粒径が存在すると散乱が発生すると言われている。実験的には温帯地域で観測される太陽光の平均輻射エネルギーを模して、エアマス1.5(AM1.5)と呼ばれるスペクトル光で、半導体多孔質膜のヘイズ値を評価することで確認できる。
本発明の半導体多孔質膜層に関し、特に光吸収層の膜厚は5μm以上〜20μm以下であることが好ましく、8μm以上〜18μm程度がさらに好ましく、11μm以上〜15μm程度が最も変換効率が高く好ましい。また、光反射層は0.5μm以上〜10μm程度で設計することができ、好ましくは1μm以上〜5μm以下、更に好ましくは1μm以上〜3μm以下である。光反射層の膜厚が薄すぎると十分な光反射能が得られず、逆に厚すぎると半導体多孔質膜層自体の膜厚が厚くなり電解質の拡散を阻害してしまうだけでなく、半導体に注入された電子と色素ホールとの再結合チャンスが増えVocの低下を招く恐れがある。更に、上記の光吸収層と光反射層をトータルした半導体多孔質膜層の膜厚は、10μm〜20μm程度が好ましく、13μm〜17μm程度がさらに好ましく、14μm〜16μmが最も好ましい。
次に、本発明の半導体多孔質膜の作製方法について説明する。
半導体多孔質膜を作製する方法としては公知の方法を適用することが可能であり、
(1)半導体微粒子を含有する懸濁液を導電性基材上に塗布し、乾燥及び焼成を行って半導体層を形成する方法、
(2)コロイド溶液中に導電性基材を浸漬して電気泳動により半導体微粒子を導電性基材上に付着させる泳動電着法、
(3)コロイド溶液や分散液に発泡剤を混合して塗布した後、焼結して多孔質化する方法、
(4)ポリマーマイクロビーズを混合して塗布した後、このポリマーマイクロビーズを加熱処理や化学処理により除去して空隙を形成させ多孔質化する方法などを適用することができる。
上記の作製方法の中で、特に塗布方法としては公知の方法を適用することが可能で、スクリーン印刷法、インクジェット法、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法などを挙げることができる。
特に上記(1)の方法の場合、懸濁液中の半導体微粒子の粒子径は微細である方が好ましく、1次粒子として存在していることが好ましい。
半導体微粒子を含有する懸濁液は、半導体微粒子を溶媒中に分散させることによって調製することができる。
溶媒としては、半導体微粒子を分散し得るものであれば特に制限は無く、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。
有機溶媒としては、メタノールやエタノール、n−ブタノール、t−ブタノール、テルピネオール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。懸濁液中には、必要に応じて界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)、分散剤等を加えることができる。また、粒子間の結着性を高めるため、半導体ナノ粒子を混入して粘度調整を行うことも本発明の好ましい態様である。溶媒中の半導体微粒子の濃度の範囲は、0.1質量%〜70質量%が好ましく、0.1質量%〜30質量%が更に好ましい。
上記のペーストは公知の分散機を用いて十分に1次粒子化させることが好ましい。本発明で用いることができる分散機としては、超音波分散機、ビーズミル分散機、ロールミル分散機などを挙げることができ、分散工程やペーストの粘度によって適宜選択することができる。また、希釈状態の分散液を分散し、蒸留塔などを用いて濃縮しペースト状としてもよい。
上記のようにして得られた半導体微粒子を含有する懸濁液を導電性基材上に塗布し、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で熱処理して、導電性基材上に金属酸化物半導体層が形成される。
導電性基材上に懸濁液を塗布、乾燥して得られる半導体多孔質膜層は、半導体微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒子径は使用した半導体微粒子の1次粒子径に依存するものである。導電性基材上に形成された半導体多孔質膜層は、導電性基材との結合力や、微粒子間の結合力が弱く、機械的に脆い膜であるため、この半導体微粒子集合体膜を熱処理して機械的強度を高め、基板に強く固着した無機膜とすることが好ましい。
同時に熱処理をすることで、粒子間が密着することで所謂ネッキングを形成し、半導体多孔質膜中の電子伝導性が向上する効果が得られる。
本発明においては、この無機膜はどのような構造を有していても良いが、多孔質構造(空隙を有する、ポーラスな層ともいう)であることが好ましい。
ここで、半導体多孔質膜層の空隙率は、50体積%以下が好ましく、更に好ましくは、20体積%以下であり、特に好ましくは、5体積%〜15体積%以下である。
尚、半導体多孔質膜層の空隙率は、誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーター(例えば、島津ポアライザー9220型)等の市販の装置を用いて測定することが出来る。
本発明の熱処理は、樹脂などのフレキシブル基材を用いる場合、樹脂の軟化点以下で処理されることが好ましい。具体的には60℃〜180℃が好ましく、80℃〜150℃がより好ましい。また、耐熱性の金属箔や、フレキシブルな耐熱性不織布を基材に用いる場合は、300℃〜600℃、より好ましくは400℃〜550℃で熱処理することが好ましい。
本発明の半導体多孔質膜層は、前記熱処理後、半導体微粒子の表面積を増大させる目的、また半導体微粒子と基材電極間、また半導体微粒子間の電子伝導性を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた多孔質内部の表面コーティングや、三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的コーティング処理を行ってもよい。
<色素>
本発明において、半導体多孔質膜層の表面に吸着させる色素としては、種々の可視光領域および/または赤外光領域に吸収を有し、金属酸化物半導体の伝導帯より高い最低空準位を有する色素が好ましく、公知の様々な色素を使用することができる。例えば、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、シアニジン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ローダミン系色素などが挙げられる。なお、金属錯体色素も好ましく使用され、その場合においては、Cu、Ni、Fe、Co、V、Sn、Si、Ti、Ge、Cr、Zn、Ru、Mg、Al、Pb、Mn、In、Mo、Y、Zr、Nb、Sb、La、W、Pt、Ta、Ir、Pd、Os、Ga、Tb、Eu、Rb、Bi、Se、As、Sc、Ag、Cd、Hf、Re、Au、Ac、Tc、Te、Rhなどの種々の金属を用いることができる。
上記の中で、シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素などのポリメチン色素は好ましい態様の1つであり、具体的には特開平11−35836号、特開平11−67285号、特開平11−86916号、特開平11−97725号、特開平11−158395号、特開平11−163378号、特開平11−214730号、特開平11−214731号、特開平11−238905号、特開2004−207224号公報、特開2004−319202号公報、欧州特許892411号および同911841号などの各明細書に記載の色素を挙げることができる。更に金属錯体色素も好ましい態様の1つであり、金属フタロシアニン色素、金属ポルフィリン色素またはルテニウム錯体色素が好ましく、ルテニウム錯体色素が特に好ましい。ルテニウム錯体色素としては、例えば米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号、特開平7−249790号、特表平10−504512号、WO98/50393号、特開2000−26487号、特開2001−223037号、特開2001−226607号、特許第3430254号公報、などの各明細書に記載の錯体色素を挙げることができる。
これらの色素は、吸光係数が大きくかつ繰り返しの酸化還元に対して安定であることが好ましい。また、上記色素は金属酸化物半導体上に化学的に吸着することが好ましく、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミド基、アミノ基、カルボニル基、ホスフィン基などの官能基を有することが好ましい。
上記色素は金属酸化物半導体上に化学的に吸着することが好ましく、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミド基、アミノ基、カルボニル基、ホスフィン基などの官能基を有することが好ましい。
本発明において、半導体多孔質膜層に色素を吸着させる方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、色素を有機溶剤に溶解して色素溶液を調製し、得られた色素溶液に透明導電膜上の半導体層を浸漬する方法、または得られた色素溶液を半導体層表面に塗布する方法などが挙げられる。前者においてはデイプ法、ローラ法、エヤーナイフ法などが適用でき、後者においてはワイヤーバー法、アプリケーション法、スピン法、スプレー法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などが適用できる。なお、色素の吸着に先立って、半導体層の表面を予め減圧処理や加熱処理など処理を施し、表面を活性化し膜中の水分を除去する工程を有しても良い。
半導体層への増感効果を好ましく得る観点から、半導体膜を色素の溶液に浸漬する時間は、3時間〜48時間が好ましく、更に好ましくは、4時間〜24時間である。
また、浸漬にあたり色素溶液は、色素が分解しないかぎりにおいて、沸騰しない温度にまで加熱して用いてもよい。好ましい温度範囲は10℃〜50℃、とくに好ましくは15℃〜35℃であるが、前記のとおり溶媒が前記温度範囲で沸騰する場合はこの限りでない。また、沸騰する上限で吸着させる場合は、還流装置などを用いて溶媒が枯渇しない条件で吸着処理を行うことが好ましい。
また、半導体膜を浸漬した色素溶液に超音波照射を行うこともできる。超音波照射は市販の装置を用いることができ、また、照射時間としては、好ましくは30分〜4時間であり、更に好ましくは1時間〜3時間である。
色素溶液に用いる溶媒は、色素を溶解するものであればよく、従来公知の溶媒を用いることができる。また、当該溶媒は、常法に従って精製された溶媒、また溶媒の使用に先立って、必要に応じて蒸留および/または乾燥を行ない、より純度の高い溶媒であることが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、1種又はそれ以上の疎水性溶媒、非プロトン性溶媒、疎水性かつ非プロトン性の溶媒またはそれらの混合物が挙げられる。ここで、疎水性溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素;ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エチル等のエステル類等、並びにそれらの組合せた混合溶媒等が挙げられる。非プロトン性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル類;アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の窒素化合物類;二硫化炭素、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物類;ヘキサメチルホスホルアミド等のリン化合物類、並びにそれらの組み合せが挙げられる。好ましく用いられる溶媒はメタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素溶媒、窒素化合物類であるアセトニトリルであり、特に好ましくはメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、アセトニトリルである。
色素溶液中の色素の濃度は、使用する色素、溶媒の種類、色素吸着工程により適宜調整することができ、例えば、1×10−5モル/リットル以上、好ましくは5×10−5〜1×10−2モル/リットル程度が挙げられる。
尚、色素の吸着量が少ないと増感効果が不十分になり、逆に吸着量が多いと酸化物半導体に吸着していない色素が浮遊して、これが増感効果を減じ、光電変換効率の低下をもたらす原因となるので好ましくない。上記のことから、未吸着の色素を洗浄により速やかに除去するのが好ましい。洗浄溶剤としては、色素の溶解性が比較的低く、かつ乾燥しやすい溶剤が好ましい。また、洗浄は加熱状態で行うのが好ましい。また、洗浄により余分な色素を除去した後、色素の吸着状態をより安定にするために、酸化物半導体微粒子の表面を有機塩基性化合物で処理して、未反応色素の除去を促進させてもよい。有機塩基性化合物としては、ピリジン、キノリンなどの誘導体が挙げられる。これら化合物が液体の場合にはそのまま用いてもよいが、固体の場合には溶剤、好ましくは色素溶液と同一の溶剤に溶解して用いてもよい。
本発明の色素を2種以上用いる場合は、混合する色素の比率は特に限定は無く、それぞれの色素より最適化し選択されるが、一般的に等モルずつの混合から、1つの色素につき10%モル程度以上使用するのが好ましい。色素を2種以上併用する場合の具体的方法としては、混合溶解して吸着させても、色素を半導体層に順次吸着させても良い。また、予め色素を吸着させた半導体を後工程で積層する構成でも良い。併用する色素を混合し溶解した溶液を用いて酸化物半導体層に色素を吸着する場合、溶液中の色素合計の濃度は1種類のみ担持する場合と同様でよい。色素を混合して使用する場合の溶媒としては前記したような溶媒が使用可能である。併用する色素それぞれについて溶液を調製し半導体層に吸着させる場合も、溶媒としては前記したような溶媒が使用可能であり、使用する各色素用の溶媒は同一でも異なっていてもよい。各色素について別々の溶液を調製し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、第1の色素を浸漬吸着させた半導体層をその色素の良溶媒で表層を軽く洗浄し、続く工程で第2の色素を浸漬吸着させることで多層吸着とすることができる。または、精度良く半導体多孔質膜層の上層にのみ第1の色素液に浸漬し、吸着したところで全体を第2の色素液に浸漬することで多層吸着とすることもできる。
酸化物半導体微粒子の薄膜に色素を担持する際、色素同士の会合を防ぐために包摂化合物の共存下、色素を担持することが効果的である。ここで包摂化合物としてはコール酸等のステロイド系化合物、クラウンエーテル、シクロデキストリン、カリックスアレン、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられるが、好ましいものとしてはデオキシコール酸、デヒドロデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、コール酸メチルエステル、コール酸ナトリウム等のコール酸類、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。また、色素を担持させた後、4−t−ブチルピリジン等のアミン化合物で半導体層表面を処理しても良い。処理の方法は例えばアミンのエタノール溶液に色素を担持した半導体微粒子薄膜の設けられた基板を浸す方法等が採られる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《透光性導電性基材の作製》
〔下引層形成〕
200μm厚の二軸延伸PEN支持体の片面に12W・min/mのコロナ放電処理を施し、下引塗布液B−1を乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、その上に12W・min/mのコロナ放電処理を施し、下引塗布液B−2を乾燥膜厚0.06μmになるように塗布した。その後、120℃で1.5分の熱処理を実施し、下引済みPENフィルム支持体(Base1)を得た。
〈下引塗布液B−1〉
スチレン20質量部、グリシジルメタクリレート40質量部、ブチルアクリレート40質量部の共重合体ラテックス液(固形分質量30%) 50g
SnOゾル(A) 440g
化合物(UL−1) 0.2g
水で仕上げる 1000ml
〈下引塗布液B−2〉
ゼラチン 10g
化合物(UL−1) 0.2g
化合物(UL−2) 0.2g
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
硬膜剤(UL−3) 1g
水で仕上げる 1000ml
SnOゾル(A)の調製
65gのSnCl・5HOを蒸留水2000mlに溶解して均一溶液とし、次いでこれを煮沸し、沈澱物を得た。生成した沈澱物をデカンテーションにより取り出し、蒸留水にて何度も水洗する。沈澱を水洗した蒸留水中に硝酸銀を滴下し、塩素イオンの反応がないことを確認後、洗浄した沈澱物に蒸留水を添加し全量を2000mlとする。これに30%アンモニア水40mlを加え加温することにより、均一なゾルを得た。更にアンモニア水を添加しながら、SnOの固形分濃度が8.3質量%になるまで加熱濃縮し、SnOゾル(A)を得た。
Figure 2009283228
〔ハロゲン化銀微粒子乳剤EMP−1の調製〕
反応容器内で下記溶液−Aを34℃に保ち、特開昭62−160128号公報記載の混合撹拌装置を用いて高速に撹拌しながら、硝酸(濃度6%)を用いてpHを2.95に調整した。引き続き、ダブルジェット法を用いて下記(溶液−B)と下記(溶液−C)を一定の流量で8分6秒間かけて添加した。添加終了後に、炭酸ナトリウム(濃度5%)を用いてpHを5.90に調整し、続いて下記(溶液−D)と(溶液−E)を添加した。
(溶液−A)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 18.7g
塩化ナトリウム 0.31g
下記(溶液−I) 1.59ml
純水 1246ml
(溶液−B)
硝酸銀 169.9g
硝酸(濃度6%) 5.89ml
純水にて317.1mlに仕上げる。
(溶液−C)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 5.66g
塩化ナトリウム 58.8g
臭化カリウム 13.3g
下記(溶液−I) 0.85ml
下記(溶液−II) 2.72ml
純水にて317.1mlに仕上げる。
(溶液−D)
2−メチル−4ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラアザインデン 0.56g
純水 112.1ml
(溶液−E)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 3.96g
下記(溶液−I) 0.40ml
純水 128.5ml
(溶液−I)
界面活性剤:ポリイソプロピレンポリエチレンオキシジコハク酸エステルナトリウム塩の10質量%メタノール溶液
(溶液−II)
六塩化ロジウム錯体の10質量%水溶液。
上記操作終了後に、常法に従い40℃にてフロキュレーション法を用いて脱塩及び水洗処理を施し、下記(溶液−F)と防バイ剤を加えて60℃で良く分散し、40℃にてpHを5.90に調整して、最終的に臭化銀を10モル%含む平均粒子径0.09μm、変動係数10%の塩臭化銀立方体粒子乳剤(EMP−1)を得た。
(溶液−F)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 16.5g
純水 139.8ml。
〔ハロゲン化銀感光材料101の作製〕
上述のように下引層を施した支持体Base1上に、前述のように調製したハロゲン化銀微粒子乳剤EMP−1を、塗布銀量が銀換算で0.8g/mとなるように塗布を行った後、乾燥して、ハロゲン化銀感光材料101を作製した。
なお、ハロゲン化銀感光材料101の作製においては、硬膜剤(テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン)をゼラチン1g当たり50mgの比率となるようにして添加した。また、塗布助剤として界面活性剤(スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム)を添加し、表面張力を調整した。また、銀とゼラチンの体積比が0.5となるようにゼラチン量を調整した。ここで言う銀とゼラチンの体積比とは、塗工されているハロゲン化銀微粒子の体積を塗工されているゼラチンの体積で除した値を指す。
〔透光性導電性基板S101の作製〕
上述のようにして製造したハロゲン化銀感光材料101に対して、ライン幅が8μm、ライン同士の間隔が500μmの格子状のフォトマスクを介して、紫外線ランプを用いて露光を行った。次いで、下記現像液(DEV−1)を用いて35℃で30秒間現像処理を行った後、下記定着液(FIX−1)を用いて35℃で60秒間の定着処理を行い、それに続けて水洗処理を行った。更に下記物理現像液(PD−1)を用いて、30℃5分間の物理現像を行い、次いで水洗処理を行った。その後、試料を300mm×300mmサイズに切り揃えた後、メッキ液(EPL−1)を用いて25℃で電解銅メッキ処理を行った。電界銅メッキは印加電流および処理時間を調整し、線幅が13.5μmになるまで処理し、水洗および乾燥を行いメッキ被覆された集電線基板を得た。
スズドープ酸化インジウム(ITO)材をターゲットに、高周波マグネトロンスパッタリング装置を用い、前記集電グリッド上および開口部に膜厚が150nmになるように導電性被覆層を形成させ、透光性導電性基板S101を作製した。
(DEV−1:現像液)
純水 500ml
メトール 2g
無水亜硫酸ナトリウム 80g
ハイドロキノン 4g
ホウ砂 4g
チオ硫酸ナトリウム 10g
臭化カリウム 0.5g
水を加えて全量を1Lとする。
(FIX−1:定着液)
純水 750ml
チオ硫酸ナトリウム 250g
無水亜硫酸ナトリウム 15g
氷酢酸 15ml
カリミョウバン 15g
水を加えて全量を1Lとする。
(PD−1:物理現像液)
純水 800ml
クエン酸 31g
ハイドロキノン 7.8g
リン酸水素二ナトリウム 1.1g
アンモニア水(28%) 2.2ml
硝酸銀 1.5g
水を加えて全量を1Lとする。
(EPL−1:電解メッキ液)
硫酸銅(五水和物) 200g
硫酸 50g
塩化ナトリウム 0.1g
水を加えて全量を1Lとする。
《色素増感型太陽電池の作製》
〔SC101−1の作製〕
前記、透光性導電性基板S101上に、高周波マグネトロンスパッタリング装置を用い、短絡防止層として酸化チタンをターゲット材に膜厚が10nmの半導体膜を形成させた。その上から、光吸収層用の酸化チタンペースト(SOLARONIX社製Ti−Nanoxide−DL)をスクリーン印刷法にて塗布し、自然乾燥させた後、120℃の乾燥ゾーンに30分かけて通した。半導体多孔質膜の膜厚は約12μmとなるように、スクリーン印刷法で重ね印刷することで調製した。
形成した半導体多孔質膜を、それぞれのサイズが3.2cm×3.2cm(有効面積9cm)になるように削りパターニングした。
乾燥処理後、80℃程度まで冷却したところで、色素増感型太陽電池用のルテニウム錯体色素化合物A(N719)の5.0×10−4mol/L、アセトニトリル:t−ブタノール=1:1(vol)の溶液に6時間浸漬し、色素吸着後、前記のアセトニトリル:t−ブタノール溶液で過剰な色素を十分に洗い落とし、真空乾燥して色素を吸着させたアノード電極A101を作製した。
厚み200μmのフレキシブルなチタン基板に、マグネトロンスパッタ装置で厚さ2nmの白金層を被覆しカソード対向電極C101とした。
このC101の白金層面側に、内側が3.5cm×3.5cmとなるように、ディスペンサを用いて、UV硬化樹脂(スリーボンド社製)を枠状に塗布し封止部を形成した。この枠内に、脱水メトキシプロピオニトリル(MPN)を溶媒として、ヨウ化リチウム、ヨウ素、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、t−ブチルピリジンとを、それぞれの濃度が0.1モル/l、0.05モル/l、0.6モル/l、0.5モル/lとなるように溶解したレドックス電解質を入れた電解液(電荷移動層)を滴下し、前記アノード電極A101と重ねて貼り合わせ、発電部をマスクし、枠形状のLED−UV光源を用い封止部を硬化させた。更に、80℃で1時間熱処理し、SC101−1を作製した。
〔SC101−2の作製〕
SC101−1の作製において、半導体多孔質膜のサイズを25.2cm×25.2cm(有効面積625cm)とし、封止部の内側を25.5cm×25.5cmとなるように形成させた以外は、SC101−1と同様にしてSC101−2を作製した。
〔SC102−1の作製〕
SC101−1の作製において、C101の白金層面側に一部切り欠きを有する枠状の封止部を形成した後、アノード電極A101を貼り合わせ、発電部をマスクしながら枠形状のLED−UV光源を用い封止部を硬化させた。更に、80℃で1時間熱処理した後、真空チャンバーにセットし、5kPaまで脱気してからSC101−1と同組成の電解液に、前記の切り欠き部を浸し、その状態で大気圧に戻すことで電解液の注入を行った。続けて、切り欠き部を上述したUV硬化樹脂で塞ぎ、UV光を照射して硬化させた以外は、SC101−1と同様にしてSC102−1を作製した。
〔SC102−2の作製〕
SC102−1の作製において、半導体多孔質膜のサイズを25.2cm×25.2cm(有効面積625cm)とし、封止部の内側を25.5cm×25.5cmとなるように形成させた以外は、SC102−1と同様にしてSC102−2を作製した。
〔SC103−1の作製〕
SC101−1の作製において、C101の白金層面側に枠状の封止部を形成した後、この枠内に電解液を滴下し、真空チャンバーに搬送してから10kPaまで脱気し、アノード電極A101と重ねて貼り合わせ、発電部をマスクしながら枠形状のLED−UV光源を用い封止部を硬化させた以外は、SC101−1と同様にしてSC103−1を作製した。
〔SC103−2の作製〕
SC103−1の作製において、半導体多孔質膜のサイズを25.2cm×25.2cm(有効面積625cm)とし、封止部の内側を25.5cm×25.5cmとなるように形成させた以外は、SC103−1と同様にしてSC103−2を作製した。
〔SC104−1の作製〕
SC101−1の作製において、C101の白金層面側に枠状の第1の封止部を形成し、それと対向するアノード電極A101側にも、第1の封止部と重なり合う様に枠状の第2の封止部を形成し、カソード電極C101に形成した第1の封止部の枠内に電解液を滴下し、真空チャンバーに搬送してから10kPaまで脱気し、第2の封止部を形成したアノード電極A101とを重ねて貼り合わせ、発電部をマスクしながら枠形状のLED−UV光源を用い封止部を硬化させた以外は、SC101−1と同様にしてSC104−1を作製した。
〔SC104−2の作製〕
SC104−1の作製において、半導体多孔質膜のサイズを25.2cm×25.2cm(有効面積625cm)とし、封止部の内側を25.5cm×25.5cmとなるように形成させた以外は、SC104−1と同様にしてSC104−2を作製した。
《注入性の評価》
電解液を注入したセルを目視で確認し、気泡有無を以下の指標に基づいて評価し表1に示した。
○:注入時に気泡は入り込まず、またその後も気泡は確認されなかった
△:注入時に気泡は入り込まないが、注入後に気泡が確認された
×:注入時に気泡が入り込んだ
※気泡の発生確認は貼り併せ後24時間経ったところで評価した。
《太陽電池の光電変換特性評価》
上記方法で作製した太陽電池セルについて、ソーラーシミュレーターにより、AM1.5フィルタ、100mW/mの強度の光を照射し、それぞれの有効面積に対応したマスクを受光面に重ね、短絡電流Jsc(mA/cm)および開放電圧値Voc(V)、フィルファクターFF(%)を、同構成及び同作製方法の太陽電池を3つずつ作製して評価し平均値を表1に示した。またJsc、Voc、FFそれぞれの平均値から式1に従って光電変換効率η(%)を求め同じく表1に示した。
〔式1〕Jsc(mA/cm)×Voc(V)×FF(%)=η(%)
《太陽電池の耐久性評価》
上記で得られた太陽電池の各々に、JIS規格C8938の温湿度サイクル試験A−2に対応する温湿度変化(−40℃〜90℃、相対湿度85%)を5サイクル実施し、その前後で上述の測定方法により光電変換効率η(%)を求めた。温湿度サイクル実施前の光電変換効率に対する温湿度サイクル実施後の光電変換効率をそれぞれの太陽電池について算出し、表1に示した。同じ構成及び作製方法の太陽電池3つずつ作製して評価し平均値を求めた。
Figure 2009283228
表1中のSC101−1は従来の形成法であり、フレキシブルな両極を貼り合わせて形成させた。この製造方法では、慎重に貼り併せることで気泡の混入は防げるが、形成後24時間程度経つと気泡の発生が見られた。この気泡の影響により光電変換効率が低く、温湿度サイクルテスト後の変換効率も大きく劣化したものと推察される。同様にSC101−2では、更に大面積な25cm×25cm角のセルを作製したが、慎重に貼り合わせても気泡が混入してしまい、結果として光電変換効率と耐久性に難がある結果となった。
SC102−1は従来一般的に行われる真空注入法であるが、この方法では、セルの内部を真空にしてから電解液を注入させるため、気泡の混入および発生はみられず、光電変換効率および耐久性に対しても問題のないレベルであることが分かった。しかしながら、SC102−2で見られる様に、25cm×25cm程度の大面積にすると、均一に電解液を注入させるために更にチャンバーを減圧する必要があり、電解液の突沸が問題と成り困難であった。また、セルが大面積であるため、セル自体を丸めて真空チャンバー内にセットしたこともあり、電解液がすみずみまで綺麗に注入させることは難しく、光電変換効率が低かった。
これらに対して、本発明の製造方法を用いて作製したSC103−1では、SC102よりも減圧度が緩いにも関わらず、気泡混入や作製後の気泡発生は確認されなかった。実際に光電変換効率も高く、また温湿度サイクルテスト後も高い効率を維持する挙動を示した。また、SC103−2の様な大面積セルにおいてもSC103−1と同様な特性が得られることが分かった。
更に、SC104−1およびSC104−2では、カソード電極、アノード電極の両方に予め封止部を形成し、減圧下で張り合わせることで、前記のSC103よりも優れた耐久性を示すことが明らかになった。
本発明の実施によって、連続的なプロセスで、フレキシブルな基板上に、高効率で耐久性が高く、大きな面積の色素増感型太陽電池を形成するための製造方法を提供することができた。
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法に関して説明した概略図である。 本発明の色素増感型太陽電池の別の製造方法に関して説明した概略図である。
符号の説明
1 第1電極
2 封止部
3 電荷移動層
4 第2電極
5 半導体多孔質膜層
21 第1電極
22−1 第1の封止部
22−2 第2の封止部
23 電荷移動層
24 第2電極
25 半導体多孔質膜層

Claims (3)

  1. フレキシブルな第1電極の上に枠状の封止部を形成する工程と、封止部の内側に電荷移動層を形成する工程と、前記第1電極と別途形成したフレキシブルな第2電極とを、減圧下で対向させ貼り合わせる工程と、大気圧下に搬送して封止部を硬化する工程を有することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
  2. フレキシブルな第1電極の上に枠状の第1の封止部を形成する工程と、第1の封止部の内側に電荷移動層を形成する工程と、別途形成したフレキシブルな第2電極の上に、前記第1の封止部と重なり合う様に枠状の第2の封止部を形成する工程と、前記第1電極と前記第2電極とを、減圧下で対向させ貼り合わせる工程と、大気圧下に搬送して封止部を硬化する工程を有することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
  3. 第1電極と第2電極の少なくとも一方の電極が、光透過性基材上に形成され、且つ、金属細線からなる集電グリッドを有する透光性導電性基板からなることを特徴とする請求項1又は2記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
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