JP4982361B2 - 電解質組成物 - Google Patents

電解質組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP4982361B2
JP4982361B2 JP2007516354A JP2007516354A JP4982361B2 JP 4982361 B2 JP4982361 B2 JP 4982361B2 JP 2007516354 A JP2007516354 A JP 2007516354A JP 2007516354 A JP2007516354 A JP 2007516354A JP 4982361 B2 JP4982361 B2 JP 4982361B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrolyte
electrolyte composition
iodine
solar cell
cyclodextrin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007516354A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2006123785A1 (ja
Inventor
聡 内田
暁男 前田
滋 萩原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippoh Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Nippoh Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippoh Chemicals Co Ltd filed Critical Nippoh Chemicals Co Ltd
Priority to JP2007516354A priority Critical patent/JP4982361B2/ja
Publication of JPWO2006123785A1 publication Critical patent/JPWO2006123785A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4982361B2 publication Critical patent/JP4982361B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M14/00Electrochemical current or voltage generators not provided for in groups H01M6/00 - H01M12/00; Manufacture thereof
    • H01M14/005Photoelectrochemical storage cells
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/20Light-sensitive devices
    • H01G9/2004Light-sensitive devices characterised by the electrolyte, e.g. comprising an organic electrolyte
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Hybrid Cells (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

本発明は、電解質組成物に関する。詳細には、本発明は、色素増感型太陽電池等の耐久性およびデザイン性能を向上させうる電解質組成物に関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりを背景として、太陽光をエネルギ源とする発電システムである太陽電池の開発が盛んになされている。
従来、太陽電池を構成する素子の材料として、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン等のシリコン材料のほか、有機顔料や有機色素を用いる太陽電池が提案されている。これらの有機材料を採用する太陽電池によれば、光を吸収する色素分子を、電子輸送性の分子や物質種および正孔輸送性の分子や物質種と組み合わせることで、比較的高い変換効率が得られる。なかでも、スイスのグレッツェル博士らによって開発された色素増感型太陽電池は、特に高い変換効率を達成しうることから、近年注目を集めている。色素増感型太陽電池はまた、安価な半導体材料を用いて製造可能であり、発電に利用可能な光の波長領域が広いという利点をも有している。
ここで、色素増感型太陽電池の電解質には酸化還元対が用いられるが、かような酸化還元対としては、反応速度に優れる点で、ヨウ素(I )およびヨウ化物イオン(I)を含む有機電解液が一般的に用いられている。
従来、I /I酸化還元対を含む電解液中に、環状多糖類であるシクロデキストリンをさらに含有させる技術が開示されている(例えば、特開2004−235011号公報および特開2005−71895号公報を参照)。具体的には、特開2004−235011号公報には、ヨウ素−シクロデキストリン包接化物(以下、単に「CDI」とも称する)を含有する電解液およびこれを用いた光電変換素子(太陽電池)が開示されている。かような技術によれば、シクロデキストリンへのヨウ素の包接によりヨウ素の毒性が低減され、安全な光電変換素子(太陽電池)が提供されるとしている。また、特開2005−71895号公報には、環状多糖類であるシクロデキストリンと、有機溶融塩化合物(いわゆる、イオン性液体)と、ヨウ素と、を含む電解質組成物が開示されている。かような技術によれば、シクロデキストリンの添加によって、イオン性液体の添加に伴う電解質中のイオン伝導性の低下が抑制され、変換効率を向上させうるとしている。
ところで、太陽電池は、太陽光をエネルギ源とする発電システムである。このため、太陽電池を構成する部材(半導体電極や対極)は、実質的に透明である。しかしながら、電解液に含まれるヨウ素は特有の暗褐色を呈することから、太陽電池の電解質層もまた、暗褐色を呈してしまうという問題があった。従って、暗褐色のセルの配置により美観が損なわれる虞のある場所には太陽電池セルを配置することができないため、配置可能な場所が制限されていた。例えば、太陽電池セルをビルの外壁などに並べて配置しようとすると、ビルの外壁の全面が暗褐色を呈することとなってしまい、景観上好ましくない。また、このように配置場所が制限されることによって、太陽電池の用途も制限を受ける結果となり、太陽電池の普及を妨げる一因ともなっていた。
太陽電池の電解質に含まれるヨウ素に起因するかような色調の問題は、前記文献に記載のようなシクロデキストリンを添加する技術によっても解決されてはいない。なお、ヨウ素に起因する太陽電池セルの呈色を抑制する手段として、電解液中のヨウ素濃度を低くすることが考えられるが、かような手段によると光電変換効率が経時的に低下する虞があり、現実的ではない。
以上のように、経時的な光電変換効率の低下を引き起こすことなく、ヨウ素に起因する太陽電池セルの呈色を抑制しうる手段の開発が強く望まれているのが現状である。
そこで本発明は、かような手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、太陽電池の電解質層において、ヨウ素(具体的には、I )が電解質中に溶解していると、電解質層が暗褐色を呈することを見出した。そして、かような知見に基づき、媒体に溶けにくいCDIを微細化し、電解質層中に分散させることによって、従来と同等の変換効率を維持しつつ、ヨウ素に起因する呈色を著しく低減させうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一形態によれば、媒体と、前記媒体に対して難溶性で、平均粒子径が20μm以下のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物と、を含むことを特徴とする、電解質組成物が提供される。
また、本発明の他の形態によれば、電解質層が上記の電解質組成物を含む、色素増感型太陽電池(以下、単に「太陽電池」とも称する)が提供される。
本発明のさらに他の目的、特徴および特質は、以後の説明および添付図面に例示される好ましい実施の形態を参酌することによって、明らかになるであろう。
難溶性CDIの粒子径の定義に用いられる絶対最大長を説明するための解説図である。
本発明により提供される太陽電池の好ましい一実施形態を示す断面図である。
実施例における吸光度測定の結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための好ましい一実施形態について説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには制限されない。
本発明の一形態によれば、媒体と、前記媒体に対して難溶性で、平均粒子径が20μm以下のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物と、を含むことを特徴とする、電解質組成物が提供される。
まず、本形態の電解質組成物の構成について説明する。
本形態の電解質組成物は、第1に、媒体を含む。
媒体の具体的な形態については特に制限はない。一例を挙げると、色素増感型太陽電池の電解質の溶媒として従来公知の溶媒が適宜採用されうる。かような形態によれば、本形態の電解質組成物は、液状組成物である。溶媒の特性としては、電気化学的に不活性で、比誘電率が高く、粘度が低いことが好ましい。かような特性を有する溶媒の一例を挙げると、メトキシプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等のニトリル系溶媒、γ−ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール系溶媒、脂肪族第4級アンモニウム塩やイミダゾリウム塩等のイオン性液体などが挙げられる。なかでも、上述した特性に優れるという観点からは、ニトリル系溶媒、ラクトン系溶媒、カーボネート系溶媒、グリコール系溶媒、およびイオン性液体が好ましく用いられ、より好ましくは、ニトリル系溶媒が用いられる。なお、これらの溶媒は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
なお、媒体は液状のもの(すなわち、溶媒)に限定されず、固体状(例えば、ゲル状)のものであってもよい。固体状の媒体としては、例えば、ポリピロール、ヨウ化銅、チオシアン化銅などが例示される。
本形態の電解質組成物は、第2に、CDIを含む。
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物(CDI)は、ヨウ素がシクロデキストリンに包接された構造を有する。本形態の電解質組成物が色素増感型太陽電池の電解質層に用いられる場合には、包接されたヨウ素が、酸化体(I )および還元体(I)を行き来することで、電解質層における酸化還元対として機能する。
「シクロデキストリン」とは、D−グルコピラノースがα−1,4−結合により環状に結合した化合物である。シクロデキストリンは、自身を構成するD−グルコピラノースの数によって、α−シクロデキストリン(6個)、β−シクロデキストリン(7個)、およびγ−シクロデキストリン(8個)に大きく分類される。
本形態の電解質組成物に含まれるCDIは、当該電解質組成物に含まれる媒体に対して難溶性のCDI(以下、単に「難溶性CDI」とも称する)である。難溶性CDIは、当然ながら電解質組成物においてほとんど溶解しないため、本形態の電解質組成物はヨウ素に起因する暗褐色の呈色が著しく低減されうる。従って、本形態の電解質組成物によれば、太陽電池のデザイン性能の向上が図られる。なお、「媒体に対して難溶性である」とは、媒体が液状である(すなわち、媒体が溶媒である)場合には、25℃の溶媒に対する溶解度が5.0mg/mL以下であることを意味する。溶解度の測定方法としては、実験化学講座1−基本操作I、第4版、(社)日本化学会編、151−159頁に記載の方法を用いるものとする。また、媒体が固体状である場合であっても、媒体を固化させる前の液状段階においてCDIが上記で定義された難溶性を呈すれば、CDIを懸濁状に分散させて固化させることが可能となり、本形態の電解質組成物としての作用効果が発揮されうる。
本形態の電解質組成物に含まれる難溶性CDIは、電解質組成物に含まれる媒体に対して難溶性であればよく、特に限定されない。すなわち、媒体が溶媒である場合には、25℃の溶媒に対する溶解度が5.0mg/mL以下であればよい。前記溶解度は、好ましくは1.0mg/mL以下であり、より好ましくは0.1mg/mL以下である。難溶性CDIを構成するシクロデキストリンとしては、例えば、β−シクロデキストリンなどが挙げられる。本形態においてβ−シクロデキストリンを用いると、優れた効果が得られるため特に好ましい。ただし、場合によっては、その他のシクロデキストリンが用いられてもよい。また、新たに開発された難溶性CDIが用いられてもよい。なお、本形態の電解質組成物に含まれる難溶性CDIを構成するシクロデキストリンは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本形態の電解質組成物に含まれる難溶性CDIは、粒子径が小さい値に制御されている。具体的には、本形態の電解質組成物に含まれる難溶性CDIの平均粒子径は、20μm以下であり、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは10μm以下である。平均粒子径がかような範囲内の値であると、電解質組成物における難溶性CDIの分散性が向上しうる。また、難溶性CDIの平均粒子径が20μmを超えると、電解質組成物が例えば色素増感型太陽電池に用いられた場合に、半導体電極を構成する酸化チタンなどの材料を損傷してしまう虞もある。なお、難溶性CDIの平均粒子径の下限値については特に制限されないが、製造の容易さなどを考慮すると、0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。また、難溶性CDIの粒子の形状は球状のみに制限されず、板状、針状、柱状、角状などの形態であってもよい。粒子の形状は、所望の特性を考慮して適宜選択されうる。粒子の形状が球状以外の場合には粒子の形状が一様ではないため、かような場合には粒子の絶対最大長を粒子の平均粒径とする。ここで「絶対最大長」とは、図1に示すように、粒子1の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lをいう。ここで、難溶性CDIの平均粒子径の測定方法としては、遠心沈降光透過法、レーザー回折/散乱法、電気的検知法、画像解析法などが挙げられる。ここで、測定手法により得られる平均粒子径の値が異なる場合には、後述する実施例に記載の手法により得られた値を平均粒子径として採用するものとする。
本形態の電解質組成物における難溶性CDIの含有量は特に制限されないが、媒体の全量に対して、好ましくは0.005〜0.4Mであり、より好ましくは0.01〜0.3Mであり、さらに好ましくは0.05〜0.2Mである。難溶性CDIの含有量が少なすぎると、充分な発電電流が得られない虞がある。一方、難溶性CDIの含有量が多すぎると、電解液の色が濃くなり、光の透過が妨げられる虞がある。
本形態の電解質組成物は、本発明の作用効果を損なわない限り、その他の成分を含んでもよい。
電解質組成物に含まれうるその他の成分としては、例えば、CDI以外の電解質、塩基、ヨウ素を包接しないシクロデキストリンなどが挙げられる。
CDI以外の電解質の添加により、本形態の電解質組成物を太陽電池の電解質層に用いた場合の発電特性が向上しうる。かような電解質としては、例えば、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム等の金属ヨウ化物塩;ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウム、ヨウ化イミダゾリウム等の第4級アンモニウムヨウ化物塩;臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化カルシウム等の金属臭化物塩;臭化テトラアルキルアンモニウム、臭化ピリジニウム等の第4級アンモニウム臭化物塩;フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体;ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等の硫黄化合物;ビオロゲン色素;ヒドロキノン−キノン;1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム−ヨウ素(DMPII)等の有機溶融塩などが挙げられる。
塩基の添加により、電解質層と半導体電極または対極との間での電子の授受効率が向上しうる。塩基としては、例えば、4−tert−ブチルピリジン(4−TBP)、N−メチルベンズイミダゾール、2−ピコリン、2,6−ルチジンなどが挙げられる。光電変換効率および耐久性を向上させる目的で、ピリミジン環含有塩基を添加してもよい。
ヨウ素を包接しないシクロデキストリンは、発電の進行に伴ってIから生成したI を包接し、CDIを生成しうる。このため、本形態の電解質組成物に、ヨウ素を包接しないシクロデキストリンが存在すると、ヨウ素の貯蔵や導電パスの形成という作用を発揮しうる。添加されるシクロデキストリンの具体的な形態は特に制限されず、従来公知のシクロデキストリンが添加されうる。ただし、ヨウ素を包接することにより溶媒に対して易溶解性のCDIを形成しうるシクロデキストリン(例えば、メチル−β−シクロデキストリン)の添加量が多すぎると、当初の電解質組成物において難溶性CDIを用いていた意味が減弱してしまい、ひいては本発明の作用効果が充分に得られなくなる虞がある。このため、ヨウ素を包接しないシクロデキストリンが本形態の電解質組成物に添加される場合、当該シクロデキストリンとしては、難溶性CDIを構成するシクロデキストリンとして上述したものが用いられることが好ましい。
なお、本形態の電解質組成物において、組成物中に存在するヨウ素原子(I)のうち、シクロデキストリンに包接されて包接化合物となっているものの割合は、特に制限されることはないが、好ましくは40〜99質量%であり、より好ましくは60〜97質量%以上であり、さらに好ましくは80〜95質量%である。この割合が小さすぎると、媒体に溶解しているヨウ素原子の割合が相対的に増加し、電解質の呈するヨウ素色が目立つようになってしまうという問題がある。一方、この割合が大きすぎると、レドックス系として機能するヨウ素の量が少なくなり、電池としての能力が低下する虞がある。
なお、本形態の電解質組成物における難溶性CDI以外の各成分の含有量は特に制限されず、必須成分である難溶性CDIの含有量や所望の特性を考慮して適宜調節されうる。
本形態の電解質組成物の形態は特に制限されず、媒体の種類に応じて、液状組成物であってもよいし、固体状(例えば、ゲル状)組成物であってもよい。ただし、キャリアの拡散の観点からは、本形態の電解質組成物は液状組成物であることが好ましい。なお、ゲル状組成物の場合には、ゲル化剤や重合開始剤に加えて、ゲルのマトリックスを構成しうるポリマーまたは重合性モノマーを含みうるが、これらの成分の具体的な形態は特に制限されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。
本形態の電解質組成物は、特別な手法を用いずに製造可能である。例えば、所望の平均粒子径の難溶性CDIおよびその他必要な添加剤を準備し、これらを別途準備した媒体中に所望の濃度となるように添加し、撹拌して、均一な分散体とすることにより、本形態の電解質組成物が得られる。なお、難溶性CDIを添加して分散体を得た後、不溶の難溶性CDIを除去することにより、電解質組成物を得てもよい。すなわち、難溶性CDI添加後の分散体の上澄み液もまた、液状電解質組成物として用いられうるのである。なお、この形態において、難溶性CDIの除去手段、除去割合などは特に制限されず、電解質の所望の色調や、電解質が太陽電池等の素子に用いられた場合の所望の電池性能などを考慮して、適宜設定されうる。
難溶性CDIを準備する際には、自ら合成することにより準備してもよいし、商品が市販されている場合には、当該商品を購入することにより準備してもよい。難溶性CDIを自ら合成する手法について特に制限はなく、従来公知の合成手法が用いられうる。例えば、β−シクロデキストリン、ヨウ素、およびヨウ素溶解助剤(例えば、ヨウ化カリウムなど)を水中で反応させることにより、難溶性CDIであるヨウ素−β−シクロデキストリンが合成されうる。ただし、その他の手法もまた、採用されうる。
準備した難溶性CDIの粒子径が大きい場合には、粉砕処理を施すことにより、平均粒子径が所望の値に制御されうる。粉砕処理の具体的な手段は特に制限されないが、例えば、ボールミル、ジェットミル、対向衝突処理、ローラミル、ビーズミルなどが挙げられる。粉砕時間等の粉砕処理条件も特に制限されず、所望の平均粒子径の値を考慮して、適宜設定されうる。
本形態の電解質組成物が重合開始剤を含む場合には、重合処理を施すことにより、ゲル状の電解質組成物が製造されうる。重合処理の具体的な形態は特に制限されず、添加される重合開始剤の種類に応じて、適宜選択されうる。例えば、熱重合開始剤であるアゾ系開始剤が添加される場合には、重合処理として熱処理を施せばよい。
本形態の電解質組成物は、好ましくは、色素増感型太陽電池の電解質層を構成する電解質として用いられうる。すなわち、本発明の他の形態によれば、透明電極および半導体電極が積層されてなる光電極と、対極と、前記光電極の前記半導体電極と前記対極とによって挟持された、電解質層と、を有する色素増感型太陽電池であって、前記電解質層が、上述した電解質組成物を含むことを特徴とする、色素増感型太陽電池である。以下、図面を参照しながら、本形態の太陽電池の好ましい一実施形態を説明する。なお、本形態の太陽電池においては、電解質層が上述した電解質組成物を含むこと以外は、太陽電池について従来公知の形態が同様に採用されうる。従って、下記の形態および図示する形態のみに、本形態の太陽電池の技術的範囲が限定されるわけではない。
図2は、本形態の太陽電池の好ましい一実施形態を示す断面図である。なお、説明の都合上、図面の寸法比率は誇張されており、図示する形態が実際とは異なる場合がある。
図2に示す形態において、太陽電池10は、主として、光電極100と、対極200と、スペーサ300により光電極100と対極200との間に挟持された電解質層400と、から構成されている。また、光電極100は、主として、透明電極120と、半導体電極140と、からなる2層構造を有し、前記半導体電極140が、電解質層400側に配置されている。
太陽電池10は、太陽光などの光のエネルギを利用する発電システムである。太陽電池10において発電が起こる際には、まず、半導体電極140に吸着されている増感色素が、照射された光のエネルギにより励起され、励起した増感色素から半導体電極140へと電子が注入される。そして、半導体電極140に注入された電子は、透明電極120に集められて外部に取り出され、外部負荷に対して電気的仕事をなす。以下、太陽電池10を構成する各部材について詳細に説明する。
透明電極120は、太陽電池10のエネルギ源である照射光(例えば、太陽光)が入射する側に配置される電極であって、後述する半導体電極140とともに光電極100を構成する。図2に示す形態において、透明電極120は、透明基板122であるガラス基板の半導体電極140側に透明導電膜124が形成されてなる構成を有する。透明導電膜124の構成材料としては、例えば、液晶パネル等に用いられる透明電極が例示される。かような透明電極の形態としては、例えば、フッ素ドープ酸化錫コートガラス、インジウム錫オキシドコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、アンチモンドープ酸化錫コートガラスなどが挙げられる。
図2に示す形態においては、透明電極124を構成する透明基板122としてガラス基板が用いられているが、透明基板122はその他の材料により構成されてもよい。その他の材料としては、例えば、透明プラスチック基板、透明無機物結晶体などが挙げられる。なお、透明電極120の形状やサイズについては、特に制限されない。また、場合によっては、透明電極120の透明基板122側の面に、反射防止膜などからなる保護層(図示せず)がさらに配置されてもよい。
透明電極120としては、市販の商品を購入したものであってもよいし、自ら透明基板122の表面に透明導電膜124を形成したものであってもよい。透明基板122の表面に透明導電膜124を形成する手法としては、例えば、スプレーコーティング法、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、ゾルゲル法などの薄膜形成技術が挙げられる。
透明電極120の透明導電膜124側の面には、図2に示すように、半導体電極140が配置されている。半導体電極140は、後述する電解質層に含まれる電解質と接触し、同じく後述する増感色素から注入された電子を透明電極120へと伝達するための手段として機能する。半導体電極120を構成する材料は特に制限されないが、例えば、従来公知の酸化物半導体粒子が挙げられる。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ニオブ、酸化インジウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化タンタル、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムが挙げられる。なかでも、薬品に対する長期安定性が高いという観点からは、アナターゼ型二酸化チタンが好ましく用いられる。酸化物半導体粒子の平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは10〜30nm程度である。
透明電極120の透明導電膜124側の面に半導体電極140を形成する手法としては、例えば、酸化物半導体粒子を含む分散液を調製し、当該分散液を透明導電膜124の表面に塗布し、必要に応じて乾燥させ、その後に焼成するという手法が挙げられる。
分散液を調製するには、酸化物半導体粒子、および必要に応じてその他の添加剤(例えば、界面活性剤や粘度調節剤など)を、適当な溶媒に添加し、撹拌により均一に分散させればよい。溶媒は特に制限されないが、例えば、水、有機溶媒、およびこれらの混合溶媒などが広く用いられうる。得られた分散液の塗布手段、得られた塗膜の乾燥および焼成手段についても特に制限はなく、従来公知の手段が適宜選択されて用いられうる。
半導体電極140の構成材料(例えば、アナターゼ型二酸化チタン)の粒子表面には、増感色素(図示せず)が付着している。この増感色素は、太陽光のような照射光(好ましくは、可視光領域〜赤外光領域の波長、より好ましくは420〜800nmの波長を有する)の光エネルギにより励起され、基底状態に戻る際に、半導体電極140の構成材料の粒子に電子を伝達する機能を有する。なお、半導体電極140へ電子を渡した後の増感色素にはホール(h)が残るが、このホールは後述する電解質層400中の電解質に含まれる酸化還元対の還元体(例えば、I)を、酸化体(例えば、I )へと酸化することにより消滅する。
増感色素の具体的な形態は、上記の機能を有するのであれば特に制限されず、従来公知の形態が適宜採用されうる。増感色素の一例としては、例えば、金属錯体や有機色素が挙げられる。金属錯体としては、例えば、N3色素(ルテニウム(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)(NCS)・2HO)、N719色素(ルテニウム(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)(NCS)・2(テトラブチルアンモニウム))などが挙げられ、有機色素としては、例えば、NKX−2877クマリン色素(株式会社林原生物化学研究所製)、D−102メロシアニン色素(三菱製紙株式会社製)、D−149インドリン色素(三菱製紙株式会社製)などが挙げられる。その他の増感色素が用いられても、勿論よい。
半導体電極140の構成材料の粒子表面に増感色素を付着させる手法は特に制限されず、化学吸着法や物理吸着法などの従来公知の手法が用いられうる。物理吸着法の一例を挙げると、まず、増感色素を適当な溶媒に添加して色素溶液を調製する。溶媒は特に制限されないが、アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒;tert−ブタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;およびこれらの混合溶媒などが用いられうる。次いで、この色素溶液に、半導体電極140を浸漬させる。さらに必要に応じて乾燥処理を施すことにより、半導体電極140の構成材料の粒子表面に増感色素が付着しうる。なお、浸漬時に色素溶液を加熱還流させると、増感色素の吸着が促進されうる。
対極200は、光電極100に対向する側(すなわち、照射光が入射する側に対向する側)に配置される電極である。対極200は、後述する電解質層400中の電解質に含まれる酸化還元対の酸化体(例えば、I )に電子を渡す機能を有する。これにより、当該酸化体は、還元体(例えば、I)へと還元される。なお、還元により生成する還元体は、上述したように半導体電極140の表面にて増感色素の有するホールにより酸化され、酸化体へと戻る。これを繰り返すことにより、発電サイクルが進行するのである。
対極200を構成する材料としては、例えば、液晶パネルやシリコン太陽電池などに用いられているのと同様の材料が用いられうる。具体的には、上記の透明電極120について例示したのと同様の材料が用いられうる。例えば、透明基板と透明導電膜とが積層されてなる構成が例示される。かような形態の場合には、透明導電膜が電解質層400側に配置される。
対極200の電解質層400側の表面(対極200が透明基板と透明導電膜との積層構造を有する場合には、透明導電膜の表面)には、図2に示すように、金属薄膜電極220が配置されることが好ましい。かような金属薄膜電極220を配置することにより、対極200と電解質層400中の酸化還元対との間の電子の授受がスムーズに進行しうる。金属薄膜電極220を構成する材料は特に制限されないが、例えば、白金、金などの金属や、炭素、導電性高分子などの導電性材料が挙げられる。なかでも、白金を用いて金属薄膜電極220を構成すると、電子の授受がより一層スムーズに行われうる。
対極200としては、市販の商品を購入したものであってもよいし、透明電極120について上述した作製方法と同様の方法により、自ら作製したものであってもよい。
対極200の電解質層400側の表面に金属薄膜電極220を形成する手法は特に制限されず、透明基板122の表面に透明導電膜124を形成する手法として上述した手法(例えば、スパッタリング法)が同様に用いられうる。
スペーサ300は、後述する電解質層400を保持する空間を提供するための手段として機能する。スペーサ300を構成する材料は特に制限されないが、例えば、シリカビーズ、樹脂製ビーズなどが挙げられる。これらの材料は通常、電解質層400からの電解質の漏洩を防止する目的で、バインダにより封止される。スペーサの構成材料を封止するためのバインダは特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂などが挙げられる。
電解質層400は電解質を含む。本形態の太陽電池は、上述した電解質組成物を含む点に特徴を有する。この電解質組成物の具体的な形態については、上述した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
上述したように、本発明の一形態により提供される電解質組成物は所定の平均粒子径を有する難溶性CDIを含み、これらが媒体中に分散されてなる構成を有する。酸化還元対として作用するI およびIのうち、暗褐色を呈する成分であるI は、電解質中では主にCDIに包接された形態で存在すると考えられている。従って、CDIに包接されずに液中に溶解しているI の濃度は極めて低く、発電反応が進行するのに必要な最低限の濃度である。このため、当該電解質組成物は、従来の太陽電池用電解質組成物と比較して、ヨウ素に起因する暗褐色の呈色が著しく低減されている。従って、当該電解質組成物を含む本形態の太陽電池の電解質層400においてもまた、ヨウ素に起因する呈色が低減されうる。よって本形態の太陽電池は、従来そのヨウ素色のために配置することが困難であった場所にも配置されることが可能となる。すなわち、本形態によれば、デザイン性能に優れる太陽電池が提供されうる。
また、本形態の太陽電池は、耐久性にも優れる。これは以下の理由によるものと推定される。すなわち、従来の太陽電池においては、電解質中に存在するI の一部がI →I+Iの反応により分解し、生成したIが電解質層の外部に消化してしまうという問題があった。これに対し、本形態の太陽電池においては、上述したように、発電反応の進行に必要なI のみが電解質中に溶解しており、その他のI はCDIに包接された形態で存在しているために、従来問題となっていた上記のようなIの昇華が抑制されうる。その結果、太陽電池の耐久性が向上しうるのである。
以上、本発明により提供される電解質組成物の用途を、色素増感型太陽電池を例に挙げて詳細に説明したが、当該電解質組成物が適用可能な太陽電池は色素増感型太陽電池のみには限定されない。本発明により提供される電解質組成物は、ヨウ素レドックス媒体を用いるシステムに広く適用可能であり、例えば電池以外にも色素増感光触媒との組み合わせによる水分解システムなどにも適用されうる。また、本発明により提供される電池は、従来用いられている単結晶シリコン型太陽電池、多結晶シリコン型太陽電池、非晶質シリコン型太陽電池、化合物半導体太陽電池などと並列または直列に接続されてなる組電池として用いられてもよい。なお、これらの電池やシステムの具体的な形態は特に制限されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。
次に実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、下記の実施例は本発明の技術的範囲に何ら影響を及ぼすことはない。
<実施例1>
まず、溶媒として、3−メトキシプロピオニトリル(3−MPN)を準備した。
一方、難溶性CDIとして、ヨウ素−β−シクロデキストリン包接化合物(日宝化学株式会社製、「BCDI−20」)を準備した。25℃の3−MPNに対する当該CDIの溶解度は、0.1mg/mL以下である。
次いで、準備した難溶性CDIを、ボールミルを用いて粉砕し、微粉末とした。得られた微粉末の平均粒子径を、レーザー回折/散乱法により測定したところ、10μmであった。
上記で準備した溶媒である3−MPNに、上記で得た難溶性CDI(BCDI−20)の微粉末(0.05M)、ヨウ化物塩であるヨウ化リチウム(LiI)(0.1M)、塩基である4−tert−ブチルピリジン(4−TBP)(0.5M)、および有機溶融塩化合物である1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム−ヨウ素(DMPII)(0.6M)を添加し、撹拌により均一な分散液を得て、これを本実施例の電解質組成物(電解液)とした。
<実施例2および3>
電解液を調製する際のヨウ素−β−シクロデキストリン包接化合物の濃度を、0.1M(実施例2)、および0.2M(実施例3)としたこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、均一な分散液を得て、これらを各実施例の電解液とした。
<比較例1>
ヨウ素−β−シクロデキストリン包接化合物に代えて、ヨウ素単体(I)を0.05Mの濃度で添加したこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、暗褐色を示す均一な分散液を得て、これを比較例1の電解液とした。
<比較例2>
ヨウ素−β−シクロデキストリン包接化合物に代えて、ヨウ素−メチル−β−シクロデキストリン包接化合物(日宝化学株式会社製、「MCDI」)を77mg/mL(約0.05M)の濃度で添加したこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、暗褐色を示す均一な溶液を得て、これを比較例2の電解液とした。本比較例で得られた電解液について吸光度測定を行ったところ、上記の実施例1で得られた電解液と同一の挙動を示した。ただし、吸光度そのものの値は、全波長領域に亘って実施例1の場合の2.6倍であった。
<比較例3>
上記の比較例1で得られた電解液に、β−シクロデキストリンを57mg/mL(0.05M)の濃度で添加し、暗褐色を示す均一な分散液を得て、これを比較例3の電解液とした。なお、本比較例で得られた電解液については、後述する吸光度の測定を行わなかったが、目視により経時的な色調の変化は確認されず、β−シクロデキストリンの添加にもかかわらず暗褐色が維持された。このことから、ヨウ素単体を含む電解液にシクロデキストリンを別途添加しても、電解液の色調を改善させるほどの効果は期待できないことが示される。
<可視光に対する吸光度の測定>
上記の実施例1〜3並びに比較例1および2で得られた電解液について、可視光に対する吸光度を測定した。
吸光度の測定には、UV−VIS吸光光度検出器(UV−2450;株式会社島津製作所製)を用い、照射光の波長を400〜800nmの範囲で走査した。検出器にセットした試料セルの光照射方向の長さは10mmであった。なお、ヨウ素化合物であるヨウ素−β−シクロデキストリンおよびヨウ化リチウムを含まないこと以外は上記の実施例1と同様の手法により得た溶液を、コントロールサンプルとして用いた。吸光度測定により得られた結果を図3に示す。
図3に示す結果について、増感色素の最適波長である550nmにおける吸光度を比較すると、比較例の電解液に比べて、実施例の電解液の吸光度は著しく低減していることがわかる。また、当然ではあるが、添加するCDIの濃度が低いほど、吸光度はより小さくなることがわかる。従って、本発明により提供される電解質組成物によれば、太陽電池セルにおいて、ヨウ素に起因する呈色が著しく低減されうることが示唆される。
<光電変換効率の測定>
上記で得た実施例1および比較例1の電解液を用い、以下の手法により色素増感型太陽電池を作製し、光電変換効率を測定した。
まず、透明電極として、導電性ガラス基板(日本板硝子株式会社製、厚さ:1mm)を準備した。当該ガラス基板は、図2に示すように、透明基板および透明導電膜(厚さ:750Å)の2層から構成される。次いで、準備したガラス基板の片面に、アナターゼ型二酸化チタン粒子(平均粒子径:21nm)を溶媒である硝酸水溶液(pH7.0)に分散させた分散液(粒子濃度:30質量%)を塗布し、500℃にて30分間焼成することにより、ガラス基板の表面に二酸化チタンからなる半導体電極(厚さ:10μm)を形成した。その後、0.03質量%のN3色素を含有するアセトニトリル/t−ブタノール混合溶液(体積比で1:1)中に、半導体電極形成後のガラス基板を浸漬させ、30℃にて12時間放置し、半導体電極表面にN3色素を吸着させて、光電極を作製した。
一方、上記で準備したのと同様の導電性ガラス基板をもう1枚準備し、当該基板の片面に、スパッタリング法により白金微粒子を担持させて金属薄膜電極を形成し、対極を作製した。
上記で作製した光電極および対極を、半導体電極および白金担持層が向かい合うように、スペーサ(厚さ:30μm)を介して積層した。次いで、実施例1または比較例1で得た電解液を、アイオノマー樹脂フィルムからなるスペーサにより提供された間隙に注入し、色素増感型太陽電池を完成させた。
上記で作製した2個の色素増感型太陽電池について、光電変換効率を測定した。具体的には、ソーラシミュレータ(YSS−80;山下電装株式会社製)を用いて、キセノンランプ光源からの擬似太陽光をAMフィルタ(AM1.5)を通して照射し、電流−電圧特性を測定した。この際、照射光の強度は、100mW/cmであった。なお、光電変換効率ηは、下記数式1により算出した。
Figure 0004982361
式中、VOCは開放電圧(V)であり、JSCは短絡電流密度(mA/cm)であり、F.F.は曲線因子(Filling Factor)であり、Pは照射光強度(mW/cm)である。
その結果、比較例1の電解液を用いた太陽電池の変換効率は5.78%であったのに対し、実施例1の電解液を用いた太陽電池の変換効率は5.55%と、ほぼ同程度の変換効率を示した。
よって、ヨウ素に起因する呈色を低減させるべく、電解質の組成を本発明のような組成とした場合であっても、これに伴って変換効率が低下する虞はほとんどないことが示唆される。
<比較例4>
平均粒子径が30μmのBCDI−20を用いたこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、均一な分散液を得て、これを比較例4の電解液とした。
上記で得た比較例4の電解液を用いたこと以外は、上記の「光電変換効率の測定」の欄に記載したのと同様の手法により、色素増感型太陽電池の作製を試みた。
その結果、アイオノマー樹脂フィルムからなるスペーサにより提供された間隙から電解液を注入しようとしても、BCDI−20は全て均一には注入されず、しかも、半導体電極を構成する二酸化チタン表面の損傷が認められた。これは、電解液中のBCDI−20の粒子径と、スペーサにより提供された間隙の厚さとが略同一であることに起因するものと推測される。
なお、本出願は、2005年5月19日に出願された日本特許出願第2005−147005号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。

Claims (6)

  1. 媒体と、前記媒体に対して難溶性で、平均粒子径が20μm以下のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物と、を含むことを特徴とする、電解質組成物。
  2. 前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を構成するシクロデキストリンが、β−シクロデキストリンである、請求項1に記載の電解質組成物。
  3. 前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物の濃度が、媒体の全量に対して1〜30質量%である、請求項1または2に記載の電解質組成物。
  4. 液状組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解質組成物。
  5. 前記液状組成物を構成する溶媒が、ニトリル系溶媒、ラクトン系溶媒、カーボネート系溶媒、グリコール系溶媒、およびイオン性液体からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項4に記載の電解質組成物。
  6. 透明電極および半導体電極が積層されてなる光電極と、
    対極と、
    前記光電極の前記半導体電極と前記対極とによって挟持された、電解質層と、
    を有する色素増感型太陽電池であって、
    前記電解質層が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解質組成物を含むことを特徴とする、色素増感型太陽電池。
JP2007516354A 2005-05-19 2006-05-19 電解質組成物 Expired - Fee Related JP4982361B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007516354A JP4982361B2 (ja) 2005-05-19 2006-05-19 電解質組成物

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005147005 2005-05-19
JP2005147005 2005-05-19
JP2007516354A JP4982361B2 (ja) 2005-05-19 2006-05-19 電解質組成物
PCT/JP2006/310049 WO2006123785A1 (ja) 2005-05-19 2006-05-19 電解質組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2006123785A1 JPWO2006123785A1 (ja) 2008-12-25
JP4982361B2 true JP4982361B2 (ja) 2012-07-25

Family

ID=37431354

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007516354A Expired - Fee Related JP4982361B2 (ja) 2005-05-19 2006-05-19 電解質組成物

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP4982361B2 (ja)
TW (1) TWI389966B (ja)
WO (1) WO2006123785A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5275346B2 (ja) * 2008-06-24 2013-08-28 パナソニック株式会社 色素増感太陽電池
TWI448504B (zh) * 2009-04-17 2014-08-11 Univ Nat Cheng Kung 電解質膠化劑及利用其製備之膠態電解質
TWI460426B (zh) * 2011-06-21 2014-11-11 Univ Nat Central 應用於毒品偵測的酸性氣體偵測方法及裝置
JP2013161751A (ja) * 2012-02-08 2013-08-19 Fujifilm Corp 光電変換素子およびその製造方法、これを用いた色素増感太陽電池
JP6511708B2 (ja) * 2016-03-09 2019-05-15 国立研究開発法人科学技術振興機構 熱電変換材料とそれを有する熱電変換装置、熱化学電池及び熱電センサー
JP7002313B2 (ja) 2017-12-13 2022-01-20 株式会社ダイセル 電解質組成物及びその用途

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004235011A (ja) * 2003-01-30 2004-08-19 Mitsubishi Paper Mills Ltd ヨウ素−シクロデキストリン包接化物用いた電解液、並びにそれを用いた光電変換素子
JP2004327271A (ja) * 2003-04-25 2004-11-18 Toyo Ink Mfg Co Ltd 高分子ゲル電解質、およびそれを用いた光電変換素子
JP2005071895A (ja) * 2003-08-27 2005-03-17 Toyo Ink Mfg Co Ltd 色素増感型光電変換素子用電解質組成物、それを用いた光電変換素子。
JP2005093313A (ja) * 2003-09-19 2005-04-07 Toyo Ink Mfg Co Ltd 色素増感型光電変換素子用電解質組成物、それを用いた光電変換素子。

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004235011A (ja) * 2003-01-30 2004-08-19 Mitsubishi Paper Mills Ltd ヨウ素−シクロデキストリン包接化物用いた電解液、並びにそれを用いた光電変換素子
JP2004327271A (ja) * 2003-04-25 2004-11-18 Toyo Ink Mfg Co Ltd 高分子ゲル電解質、およびそれを用いた光電変換素子
JP2005071895A (ja) * 2003-08-27 2005-03-17 Toyo Ink Mfg Co Ltd 色素増感型光電変換素子用電解質組成物、それを用いた光電変換素子。
JP2005093313A (ja) * 2003-09-19 2005-04-07 Toyo Ink Mfg Co Ltd 色素増感型光電変換素子用電解質組成物、それを用いた光電変換素子。

Also Published As

Publication number Publication date
TW200643092A (en) 2006-12-16
TWI389966B (zh) 2013-03-21
JPWO2006123785A1 (ja) 2008-12-25
WO2006123785A1 (ja) 2006-11-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5572029B2 (ja) 金属錯体色素、光電変換素子及び光電気化学電池
Yum et al. Blue-coloured highly efficient dye-sensitized solar cells by implementing the diketopyrrolopyrrole chromophore
JP5143476B2 (ja) 光電変換素子
JP4788761B2 (ja) 機能性デバイス及びその製造方法
JP5620314B2 (ja) 光電変換素子、光電気化学電池、光電変換素子用色素及び光電変換素子用色素溶液
JP3717506B2 (ja) 色素増感型太陽電池モジュール
JP2009527074A (ja) イオン性液体電解質
JP5782349B2 (ja) 光電変換素子及び光電気化学電池、これらに用いられる色素
JP5681716B2 (ja) 金属錯体色素、光電変換素子及び光電気化学電池
JP4982361B2 (ja) 電解質組成物
JP5475145B2 (ja) 光電変換素子
JP2010009786A (ja) 色素増感型太陽電池および色素増感型太陽電池モジュール
JP4627427B2 (ja) 色素増感太陽電池および色素増感太陽電池モジュール
EP2833471B1 (en) Dye-sensitized solar cell and method of manufacturing same
JP5678801B2 (ja) 光電変換素子
Mohan et al. Efficient way of enhancing the efficiency of a quasi-solid-state dye-sensitized solar cell by harvesting the unused higher energy visible light using carbon dots
JP2004010403A (ja) 多重構造酸化チタン微粒子、及びその作製方法、及びそれを含有する光電変換素子並びに光電池
WO2012017874A1 (ja) 金属錯体色素、光電変換素子及び光電気化学電池
JP2003298082A (ja) 複合半導体
JP2012051952A (ja) 色素、光電変換素子及び光電気化学電池
JP2015141955A (ja) 光電変換素子
JP2007188809A (ja) ゲル電解質、光電変換素子及び太陽電池
JP4772311B2 (ja) 電解質組成物、これを用いた光電変換素子及び色素増感太陽電池、並びにイオン性液体の評価方法
JP2012156008A (ja) 光電変換素子
JP5589770B2 (ja) 光電変換素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091023

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120417

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120423

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150427

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees