JP2009281578A - 車両の走行制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シフトバイワイヤ制御系の異常が検出されれば早期にフェールセーフ処理を実行する車両の走行制御装置を提供する。
【解決手段】駆動力変更手段148は、上記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す制御状態検出手段132の検出結果(SBW異常信号SFL)を第1経路136と第2経路138との何れか一方を介して受信した場合には、正常時に対して車両の駆動力を低下させる駆動力抑制制御を実行する。従って、第1経路136と第2経路138との何れを介してもSBW異常信号SFLが受信されることとなるのを待たずに、フェールセーフ処理としての上記駆動力抑制制御を早期に実行することができる。そして、その駆動力抑制制御の実行により安全な車両状態が確保される。
【選択図】図8

Description

本発明は、車両のシフトバイワイヤ制御系の異常が検出された場合に用いられるフェールセーフ技術に関するものである。
車両の変速制御等のための電気的な制御指令信号が伝達される所謂シフトバイワイヤ(SBW)を採用した車両の走行制御装置が従来から知られている。例えば、特許文献1に記載の車両の走行制御装置がそれである。その特許文献1に記載の車両の走行制御装置では、シフトバイワイヤ制御系を構成する制御回路とは別の制御回路から構成された上記シフトバイワイヤ制御系を監視するための監視制御手段が設けられている。
ところで、上記シフトバイワイヤ制御系においては、下記特許文献1には明確に記載されているわけでは無いが通常、上記シフトバイワイヤ制御系の通信経路の信頼性を高めるため、同じ情報を伝達する2本の通信経路が並列に設けられている。例えば、自動変速機の変速のために設けられたアクチュエータなどを作動させる制御回路と運転者によって操作されるシフト操作装置のシフト位置を検出する制御回路との間の通信経路は、上記並列な2本の通信経路となっている。このような並列な通信経路を有する構成においては、それぞれの通信経路を介して伝達された受信結果が互いに一致した場合にその受信結果は正しいものと判断され、その一致した受信結果に基づいて、自動変速機の変速のために設けられたアクチュエータなどが作動する。
特開2006−336691号公報 特開2003−97694号公報 特開2006−335157号公報
上記2本の通信経路には、上記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示すSBW異常信号が伝達されることがある。そして、そのSBW異常信号を受信する受信側の制御回路が、上記2本の通信経路を介して上記SBW異常信号を同時に受信することは稀であり、通常は、その2本の通信経路を介した上記SBW異常信号の受信時点は相互に異なるものである。しかし、上記シフトバイワイヤ制御系が異常状態である場合にはその異常状態に対応したフェールセーフ処理ができるだけ早く実行されるべきところ、上記2本の通信経路を介した上記SBW異常信号の受信時点が相互に異なる場合において、上記2本の通信経路を介して伝達された受信結果が互いに一致するか否かを判断するために、上記受信時の遅い側の通信経路を介して上記SBW異常信号が受信されるまで待った上で上記フェールセーフ処理が実行されるとすれば、そのフェールセーフ処理の開始が遅れてしまうという課題があった。なお、この課題は未公知である。
本発明は、以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、シフトバイワイヤ制御系の異常(フェール、故障)が検出されれば早期にフェールセーフ処理を実行する車両の走行制御装置を提供することにある。
かかる目的を達成するために、請求項1に係る発明は、(a)シフトレンジの変更指示に応じて変速されるシフトバイワイヤ制御系の正常状態および異常状態を検出する制御状態検出手段と、車両の駆動力を変更する駆動力変更手段と、前記制御状態検出手段の検出結果を前記駆動力変更手段に伝達する互いに異なる通信経路である第1経路および第2経路とを、有する車両の走行制御装置であって、(b)前記駆動力変更手段は、前記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す前記制御状態検出手段の検出結果を前記第1経路と第2経路との何れか一方を介して受信した場合には、何れの通信経路を介しても前記異常状態を示す検出結果を受信しない場合に対して前記車両の駆動力を低下させる駆動力抑制制御を実行することを特徴とする。
また、請求項2に係る発明では、前記駆動力変更手段は、前記第1経路と第2経路とのうち他方を介して、前記シフトバイワイヤ制御系の正常状態を示す前記制御状態検出手段の検出結果を受信した場合であっても、前記駆動力抑制制御を実行することを特徴とする。
また、請求項3に係る発明では、前記駆動力抑制制御は、走行用駆動力源から駆動輪への動力伝達経路を遮断することであることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明では、前記駆動力変更手段は、前記駆動力抑制制御の実行後において前記第1経路または第2経路を介して、前記正常状態を示す検出結果を所定時間継続して受信した場合には、前記駆動力抑制制御を中止することを特徴とする。
また、請求項5に係る発明では、前記駆動力変更手段は、前記駆動力抑制制御の実行開始から予め定められた復帰保留時間が経過した後に、前記駆動力抑制制御を中止することを特徴とする。
また、請求項6に係る発明では、前記駆動力変更手段は、予め定められた復帰許可条件が成立した場合に、前記駆動力抑制制御を中止することを特徴とする。
また、請求項7に係る発明では、前記駆動力変更手段は、前記駆動力抑制制御を中止した後に、その駆動力抑制制御を中止した原因である前記正常状態を示す検出結果を伝達した通信経路を介して、前記異常状態を示す検出結果を受信した場合には、前記駆動力抑制制御の実行を再開することを特徴とする。
また、請求項8に係る発明では、前記駆動力変更手段は、前記中止した駆動力抑制制御が、前記第1経路と第2経路との何れの通信経路を介して受信した前記異常状態を示す検出結果に基づいて実行されたものであったかが判る履歴を記憶していることを特徴とする。
また、請求項9に係る発明では、(a)前記動力伝達経路の一部を構成する自動変速機が備えられており、(b)前記駆動力変更手段は、前記駆動力抑制制御の実行後においてそれを中止した場合には、前記第1経路または第2経路を介して前記異常状態を示す検出結果を受信している限り、前記自動変速機の変速比を予め定められた異常検出時変速比以下にすることを特徴とする。
請求項1に係る発明の車両の走行制御装置によれば、前記駆動力変更手段は、前記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す前記制御状態検出手段の検出結果を前記第1経路と第2経路との何れか一方を介して受信した場合には、何れの通信経路を介しても前記異常状態を示す検出結果を受信しない場合に対して前記車両の駆動力を低下させる駆動力抑制制御を実行するので、上記第1経路と第2経路とのうちの他方を介して上記異常状態を示す検出結果が受信されるのを待たずに、フェールセーフ処理としての上記駆動力抑制制御を早期に実行することができる。そして、その駆動力抑制制御の実行により安全な車両状態が確保される。
請求項2に係る発明の車両の走行制御装置によれば、前記駆動力変更手段は、前記第1経路と第2経路とのうち上記一方ではない他方を介して、前記シフトバイワイヤ制御系の正常状態を示す前記制御状態検出手段の検出結果を受信した場合であっても、上記駆動力抑制制御を実行するので、上記シフトバイワイヤ制御系が異常状態であることを確定できなくてもその可能性があれば上記駆動力抑制制御が実行されることとなり、一層確実に安全確保を図り得る。
請求項3に係る発明の車両の走行制御装置によれば、上記駆動力抑制制御は、走行用駆動力源から駆動輪への動力伝達経路を遮断することであるので、上記シフトバイワイヤ制御系が異常状態である場合においてその異常状態であることに起因して、運転者の意図に反した車両走行がなされる可能性を排除できる。なお、上記走行用駆動力源とは通常エンジン等の内燃機関であるが、ハイブリッド車や電気自動車では電動機も上記走行用駆動力源である。
前記第1経路と第2経路との何れか一方を介して上記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す検出結果が受信されていたとしても、その他方を介して所定時間継続してその正常状態を示す検出結果が受信されたとすれば、それは、上記異常状態を示す検出結果を伝達する通信経路(第1経路又は第2経路)自体の異常であって前記制御状態検出手段はシフトバイワイヤ制御系の正常状態を検出しているものと判断できる。従って、その場合には、上記他方の通信経路のみを用いたシフトバイワイヤ制御は可能であって車両走行は可能である。この点、請求項4に係る発明の車両の走行制御装置によれば、前記駆動力変更手段は、前記駆動力抑制制御の実行後において前記第1経路または第2経路を介して、前記正常状態を示す検出結果を所定時間継続して受信した場合には、前記駆動力抑制制御を中止するので、上記正常状態を示す検出結果の信頼性を容易に確認することができ、更に、その信頼性が確認された上で、その正常状態を示す検出結果に基づき車両を走行可能にできる。
請求項5に係る発明の車両の走行制御装置によれば、上記駆動力変更手段は、上記駆動力抑制制御の実行開始から予め定められた復帰保留時間が経過した後に、上記駆動力抑制制御を中止するので、上記駆動力抑制制御の実行開始後、全く時間を空けずにその実行が中止されることが無いことから、制御ハンチングを防止できる。
請求項6に係る発明の車両の走行制御装置によれば、前記駆動力変更手段は、予め定められた復帰許可条件が成立した場合に前記駆動力抑制制御を中止する。ここで、請求項6に係る発明において上記駆動力抑制制御を中止するということは、車両状態が車両走行の不可能な状態から可能な状態に変更されることである。従って、上記駆動力抑制制御の中止に伴い車両走行が開始された場合にその時の安全性を向上させることが可能である。
請求項7に係る発明の車両の走行制御装置によれば、前記駆動力変更手段は、上記駆動力抑制制御を中止した後に、その駆動力抑制制御を中止した原因である前記正常状態を示す検出結果を伝達した通信経路を介して、前記異常状態を示す検出結果を受信した場合には、上記駆動力抑制制御の実行を再開するので、上記駆動力抑制制御の中止後にも安全上必要であれば上記駆動力抑制制御が実行され、安全な車両状態が確保される。
請求項8に係る発明の車両の走行制御装置によれば、前記駆動力変更手段は、前記中止した駆動力抑制制御が、前記第1経路と第2経路との何れの通信経路を介して受信した前記異常状態を示す検出結果に基づいて実行されたものであったかが判る履歴を記憶しているので、上記請求項7に係る発明において上記駆動力抑制制御の実行を再開するか否かを容易に決定することができる。
前記第1経路または第2経路を介して前記異常状態を示す検出結果を受信している場合には、前記制御状態検出手段がシフトバイワイヤ制御系の正常状態を検出しており車両走行可能であったとしても、何れの通信経路を介しても前記正常状態を示す検出結果を受信している場合と比較すれば、より高度に安全性確保が図られるべきであり、何らかのフェールセーフ処理がなされることが望ましい。この点、請求項9に係る発明の車両の走行制御装置によれば、前記駆動力変更手段は、前記駆動力抑制制御の実行後においてそれを中止した場合には、前記第1経路または第2経路を介して前記異常状態を示す検出結果を受信している限り、前記自動変速機の変速比を予め定められた異常検出時変速比以下にする。従って、その異常検出時変速比以下の変速比とすることにより、前記車両の駆動力が安全側に制限され、すなわち、上記異常状態を示す検出結果が全く受信されない場合と比較して上記駆動力の上限が低下させられ、充分な安全性を確保しつつ車両を走行可能とすることができる。
ここで好適には、前記請求項4における前記正常状態を示す検出結果についての前記所定時間は、その所定時間以上継続して上記正常状態を示す検出結果が受信されたとすれば、前記制御状態検出手段は上記正常状態を検出していると判断できる正常状態確定時間である。
また好適には、前記復帰保留時間は、前記駆動力抑制制御における制御ハンチングを防止するために設定された猶予時間である。
また好適には、前記復帰許可条件は、車両走行の安全性確保のために設定された上記駆動力抑制制御の中止を許可する条件であり、例えば、その復帰許可条件は、所定車速以下の低車速であって且つ所定トルク以下の低い走行用駆動力源の出力トルクである場合に成立する。
また好適には、前記異常検出時変速比は、車両走行の安全を確保するために設定された制限値であって、詳細には、運転者の意に反したシフトレンジになったとしても車両走行の安全を確保できるように、出力可能な車両の駆動力を低く制限するための前記自動変速機の変速比についての制限値である。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両などの横置き型の車両用動力伝達装置8の骨子図である。図1において、車両用動力伝達装置8は、流体継手であるトルクコンバータ12と、そのトルクコンバータ12に連結された自動変速機14とを備えており、上記トルクコンバータ12は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関によって構成された走行用駆動力源(原動機)としてのエンジン10に連結されている。このような構成により、エンジン10の出力は、トルクコンバータ12、自動変速機14を経て、図示しない差動歯車装置から駆動輪(前輪)へ伝達されるようになっている。
自動変速機14はエンジン10から駆動輪への動力伝達経路の一部を構成している。そして、自動変速機14は、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置20を主体として構成されている第1変速部22と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置26およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置28を主体として構成されている第2変速部30とを同軸線上に有し、入力軸32の回転を変速して出力歯車34から出力する。入力軸32は入力部材に相当するもので、本実施例ではトルクコンバータ12のタービン軸であり、出力歯車34は出力部材に相当するもので、差動歯車装置を介して左右の駆動輪を回転駆動する。なお、自動変速機14は中心線に対して略対称的に構成されており、図1では中心線の下半分が省略されている。
上記第1変速部22を構成している第1遊星歯車装置20は、サンギヤS1、キャリアCA1、およびリングギヤR1の3つの回転要素を備えており、サンギヤS1が入力軸32に連結されて回転駆動されるとともに、リングギヤR1が第3ブレーキB3を介して回転不能にケース36に固定されることにより、中間出力部材としてのキャリアCA1が入力軸32に対して減速回転させられる。また、第2変速部30を構成している第2遊星歯車装置26および第3遊星歯車装置28は、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1〜RM4が構成されており、具体的には、第3遊星歯車装置28のサンギヤS3によって第1回転要素RM1が構成され、第2遊星歯車装置26のリングギヤR2および第3遊星歯車装置28のリングギヤR3が互いに連結されて第2回転要素RM2が構成され、第2遊星歯車装置26のキャリアCA2および第3遊星歯車装置28のキャリアCA3が互いに連結されて第3回転要素RM3が構成され、第2遊星歯車装置26のサンギヤS2によって第4回転要素RM4が構成されている。上記第2遊星歯車装置26および第3遊星歯車装置28は、キャリアCA2およびCA3が共通の部材にて構成されているとともに、リングギヤR2およびR3が共通の部材にて構成されており、且つ第2遊星歯車装置26のピニオンギヤが第3遊星歯車装置28の第2ピニオンギヤを兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされている。
上記第1回転要素RM1(サンギヤS3)は第1ブレーキB1によって選択的にケース36に連結されて回転停止させられ、第2回転要素RM2(リングギヤR2、R3)は第2ブレーキB2によって選択的にケース36に連結されて回転停止させられ、第4回転要素RM4(サンギヤS2)は第1クラッチC1を介して選択的に前記入力軸32に連結され、第2回転要素RM2(リングギヤR2、R3)は第2クラッチC2を介して選択的に入力軸32に連結され、第1回転要素RM1(サンギヤS3)は前記第1遊星歯車装置20のキャリアCA1に一体的に連結され、第3回転要素RM3(キャリアCA2、CA3)は前記出力歯車34に一体的に連結されて回転を出力するようになっている。
上記クラッチC1、C2およびブレーキB1、B2、B3(以下、特に区別しない場合は単に「クラッチC」、「ブレーキB」という)は、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置(油圧式摩擦係合要素)であり、図3に示す油圧制御回路40によってそれぞれ係合解放制御されることにより、シフトレバー66(図3参照)のシフト操作位置に応じて図2に示すように前進6段、後進1段の各ギヤ段(各変速段)が成立させられる。図2の「1st」〜「6th」は前進の第1速ギヤ段〜第6速ギヤ段を意味しており、「Rev」は後進ギヤ段であり、各ギヤ段に対応する自動変速機14の変速比γ(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)は、前記第1遊星歯車装置20、第2遊星歯車装置26、および第3遊星歯車装置28の各ギヤ比ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。図2の「○」は係合、空欄は解放を意味している。上記入力軸回転速度Ninは入力軸32の回転速度であり、上記出力軸回転速度Noutは出力歯車34の回転速度である。
図3は、クラッチCおよびブレーキBの各油圧アクチュエータの作動を制御するリニアソレノイドバルブSL1〜SL4等に関する回路図であって、油圧制御回路40の要部を示す回路図である。
図3において、クラッチC1、C2、およびブレーキB1の各油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)42、44、46には、油圧供給装置52から出力されたDレンジ圧(前進レンジ圧、前進油圧)PDがそれぞれリニアソレノイドバルブSL1、SL2、SL3により調圧されて供給され、ブレーキB3の油圧アクチュエータ50には、油圧供給装置52から出力されたライン油圧PL1がリニアソレノイドバルブSL4により調圧されて供給されるようになっている。なお、ブレーキB2の油圧アクチュエータ48には、第2ブレーキコントロールバルブ54の出力油圧およびリバース圧(後進レンジ圧、後進油圧)PRのうち何れか供給された油圧がシャトル弁56を介して供給される。
油圧供給装置52は、エンジン10によって回転駆動される機械式のオイルポンプ58から発生する油圧を元圧としてライン油圧PL1(第1ライン油圧PL1)を調圧する例えばリリーフ型のプライマリレギュレータバルブ(第1調圧弁)60、第1調圧弁60によるライン油圧PL1の調圧のために第1調圧弁60から排出される油圧を元圧としてライン油圧PL2(第2ライン油圧PL2、セカンダリ圧PL2)を調圧するセカンダリレギュレータバルブ(第2調圧弁)62、アクセル開度Acc或いは電子スロットル弁の開度θTHで表されるエンジン負荷等に応じたライン油圧PL1、PL2に調圧されるために第1調圧弁60および第2調圧弁62へ信号圧PSLTを供給するリニアソレノイドバルブSLT、ライン油圧PL1を元圧としてモジュレータ油圧PMを一定値に調圧するモジュレータバルブ64、およびワイヤ(電線)を介して電気的に連結されるシフトレバー66の操作に伴いSBWアクチュエータ68(図7参照)が作動させられて油路が切り換えられることにより入力されたライン油圧PL1をシフトレバー66が「D」ポジション或いは「B」ポジションへ操作されたときにはDレンジ圧PDとして出力し或いは「R」ポジションへ操作されたときにはリバース圧PRとして出力するマニュアルバルブ70等を備えており、ライン油圧PL1、PL2、モジュレータ油圧PM、Dレンジ圧PD、およびリバース圧PRを供給する。
リニアソレノイドバルブSL1〜SL4、SLTは、基本的には何れも同じ構成であり、電子制御装置104により独立に励磁、非励磁され、各油圧アクチュエータ42、44、46、50の油圧が独立に調圧制御されてクラッチC1、C2、ブレーキB1、B3の係合圧が制御される。そして、自動変速機14は、例えば図2の係合作動表に示すように予め定められた係合装置が係合されることによって各変速段が成立させられる。また、自動変速機14の変速制御においては、例えば変速に関与するクラッチCやブレーキBの解放と係合とが同時に制御される所謂クラッチ・ツウ・クラッチ変速が実行される。例えば、図2の係合作動表に示すように2速→3速のアップシフトでは、ブレーキB1が解放されると共にブレーキB3が係合され、変速ショックを抑制するようにブレーキB1の解放過渡油圧とブレーキB3の係合過渡油圧とが適切に制御される。このように、自動変速機14の係合装置(クラッチC、ブレーキB)がリニアソレノイドバルブSL1〜SL4により各々制御されるので、係合装置の作動の応答性が向上される。或いはまた、その係合装置の係合/解放作動の為の油圧回路が簡素化される。
シフトレバー66は例えば運転席の近傍に配設され、図4に示すように、車両前後(縦)方向に配列された3つの「R」ポジション、「N」ポジション、「D」ポジションと、それに平行に配列された手動操作用の「+」ポジション、「B」ポジション、「−」ポジションとへH型パターンで操作されるようになっている。本実施例では、P位置へ操作してパーキングロックするためのP操作釦72が別スイッチとして設けられている。
上記「R」ポジションは自動変速機14の出力歯車34の回転方向を逆回転とするための後進走行ポジション(位置)であり、「N」ポジションは自動変速機14内の動力伝達が遮断されるニュートラル状態とするための中立ポジションであり、「D」ポジションは自動変速機14の変速を許容する変速範囲(Dレンジ)で第1ギヤ段「1st」〜第6ギヤ段「6th」の総ての前進ギヤ段を用いて自動変速制御を実行させる前進走行ポジションであり、「B」ポジションはギヤ段の変化範囲を制限する複数種類の変速レンジすなわち高車速側のギヤ段が異なる複数種類の変速レンジを切り換えることにより手動変速が可能な前進走行ポジションである。P操作釦72の操作により選択される「P」ポジションは自動変速機14内の動力伝達経路を解放しすなわち自動変速機14内の動力伝達が遮断されるニュートラル状態(中立状態)とし且つ図示しないパーキングロック機構によって機械的に出力歯車34の回転を阻止(パーキングロック)するための駐車ポジションである。
上記「B」ポジションにおいては、シフトレバー66の操作毎に変速範囲をアップ側にシフトさせるための「+」ポジション、シフトレバー66の操作毎に変速範囲をダウン側にシフトさせるための「−」ポジションが備えられている。例えば、「B」ポジションにおいては、「6」レンジ〜「L」レンジの何れかがシフトレバー66の「+」ポジション或いは「−」ポジションへの操作に応じて変更される。また、「B」ポジションにおける「L」レンジは第1ギヤ段「1st」にて第2ブレーキB2を係合させて一層エンジンブレーキ効果が得られるためのエンジンブレーキレンジでもある。
上記「D」ポジションは自動変速機14の変速可能な例えば図2に示すような第1速ギヤ段乃至第6速ギヤ段の範囲で自動変速制御が実行される制御様式である自動変速モードを選択するシフトポジションでもあり、「B」ポジションは自動変速機14の各変速レンジの最高速側ギヤ段を超えない範囲で自動変速制御が実行されると共にシフトレバー66の手動操作により変更された変速レンジ(すなわち最高速側ギヤ段)に基づいて手動変速制御が実行される制御様式である手動変速モードを選択するシフトポジションでもある。
図3に戻り、クラッチC1の油圧アクチュエータ42の手前、すなわちリニアソレノイドバルブSL1と油圧アクチュエータ42との間には、走行中の何らかの故障によって突然に自動変速機14の動力伝達経路が遮断される(トルク抜け)ことを防止するフェールセーフバルブ74が配設されている。フェールセーフバルブ74は、例えばリニアソレノイドバルブSL1の故障によって油圧アクチュエータ42へ油圧を供給することができなくなったとき、Dレンジ圧PDを油圧アクチュエータ42へ供給することにより、走行中の自動変速機14の動力伝達遮断(トルク抜け)を防止する。なお、走行中に自動変速機14の動力伝達経路が遮断されると、車両が不安定となり、車両操作性が低下する可能性があるため、フェールセーフバルブ74が配設される。
図5は、前記フェールセーフバルブ74の近傍を拡大して示す回路図である。フェールセーフバルブ74は、リニアソレノイドバルブSL1から係合油圧PC1が供給される入力ポート76と、Dレンジ圧PDが供給される入力ポート78と、クラッチC1の油圧アクチュエータ42に接続される出力ポート80と、図示しないスプールとを備えており、スプールには、リニアソレノイドバルブSL1から出力されるクラッチC1の係合油圧PC1、リニアソレノイドバルブSL2から出力されるクラッチC2の係合油圧PC2、およびスプリング82のスプリング力FS1がそれぞれ一方向へ作用させられると共に、リニアソレノイドバルブSL3から出力されるブレーキB1の係合油圧PB1、リニアソレノイドバルブSL4から出力されるブレーキB3の係合油圧PB3、およびリニアソレノイドバルブSLTから出力される信号圧PSLT或いはその関連圧が上記一方向とは反対の他方向へ作用させられるようになっている。
本実施例の自動変速機14では、前進走行時において、図2に示すようにクラッチC1の係合油圧PC1およびクラッチC2の係合油圧PC2の少なくとも一方が常に出力される。また、ブレーキB1およびブレーキB3は、クラッチC1およびクラッチC2と対になる摩擦係合要素であり、第1変速段および第4変速段を除いた変速段(ギヤ段)において、何れか一方が係合される。なお、第1変速段において係合されるブレーキB2は、エンジンブレーキを作用させる第1変速段を成立させる際に係合させられるだけであるので、使用頻度が少ないため、本実施例では省略されている。
そして、前進走行時において、係合油圧PC1および/または係合油圧PC2がフェールセーフバルブ74に入力された場合には、その係合油圧およびスプリング力FS1の付勢力によって、係合油圧PB1、係合油圧PB3、および信号油圧PSLTの関連圧による付勢力に抗って、スプールが一方向側へ移動させられる。これにより、入力ポート76と出力ポート80とが連通されて係合油圧PC1が油圧アクチュエータ42へ供給される。
一方、例えばリニアソレノイドバルブSL1の故障によって係合油圧PC1が供給されなくなると、第1変速段〜第3変速段では係合油圧PC1および係合油圧PC2がフェールセーフバルブ74に供給されなくなるため、係合油圧PB1、係合油圧PB3、および信号油圧PSLTの関連圧による付勢力によってスプールが前記一方向側とは逆の他方向側に移動させられる。これにより、入力ポート78と出力ポート80とが連通されてDレンジ圧PDがクラッチC1の油圧アクチュエータ42へ供給される。すなわち、リニアソレノイドバルブSL1が故障して、油圧アクチュエータ42に係合油圧PC1が供給されなくなっても油圧アクチュエータ42へDレンジ圧PDが供給されて、走行中の突然のトルク抜けが回避される。
図6は、第2ブレーキコントロールバルブ54の近傍を拡大して示す回路図である。第2ブレーキコントロールバルブ54は、Dレンジ圧PDが入力される入力ポート84と、ドレーンポート86と、シャトル弁56を通じてブレーキB2の油圧アクチュエータ48に接続される出力ポート88と、図示しないスプールとを備えており、スプールは、後述するコントロール圧PSLUによって一方向へ作用させられると共に、ブレーキB2の係合油圧PB2およびスプリング90のスプリング力FS2によって上記一方向とは反対の他方向へ作用させられるようになっている。
そして、通常はスプリング90のスプリング力FS2によってスプールが他方向側へ付勢させられることにより、ドレーンポート86と出力ポート88とが連通させられるので、出力ポート88からは油圧アクチュエータ48へ係合油圧が供給されない。ここで、前記コントロール圧PSLUが第2ブレーキコントロールバルブ54へ供給されると、スプリング90による付勢力に抗ってスプールが一方向側へ移動させられ、Dレンジ圧PDが供給される入力ポート84と出力ポート88とが連通させられ、シャトル弁56を介して油圧アクチュエータ48へ係合油圧PB2が供給される。
ここで、前記コントロール圧PSLUは、図示しないリニアソレノイドバルブSLUから出力されるものであり、第2ブレーキコントロールバルブ54の手前側に配設されたリレーバルブ92を通じて供給される。リレーバルブ92は、コントロール圧PSLUの供給先を前記第2ブレーキコントロールバルブ54またはトルクコンバータ12のロックアップクラッチL/Cを制御するためのロックアップコントロールバルブ98の何れかに選択的に切り換えるための切換弁であり、図示しない切換ソレノイドバルブSLから出力される切換圧PSLによってコントロール圧PSLUの供給先が切り換えられる。具体的には、リレーバルブ92は、コントロール圧PSLUが供給される入力ポート94と、第2ブレーキコントロールバルブ54に接続される出力ポート96と、ロックアップコントロールバルブ98に接続される出力ポート100と、図示しないスプールを備えており、スプールは、前記切換圧PSLによって一方向へ作用させられると共に、スプリング102のスプリング力FS3によって上記一方向とは反対の他方向へ作用させられるようになっている。
そして、スプリング102がスプールを他方向側へ付勢するため、入力ポート94と出力ポート96とが連通される。これにより、コントロール圧PSLUが第2ブレーキコントロールバルブ54へ供給され、コントロール圧PSLUによってDレンジ圧PDが調圧されて油圧アクチュエータ48へ供給される。一方、切換ソレノイドバルブSLから切換圧PSLが出力されると、リレーバルブ92のスプールがスプリング102のスプリング力FS3に抗って一方向側に移動させられ、コントロール圧PSLUの供給先がロックアップクラッチの係合圧を制御するロックアップコントロールバルブ98へ切り換えられる。
図7は、車両用動力伝達装置8において、運転者によるシフトレンジの変更指示に応じて、具体的には、運転者によるシフトレバー66の操作に応じて、マニュアルバルブ70のシフト位置が電気的に切り換えられ自動変速機14が変速されるシフトバイワイヤ制御系(シフトバイワイヤシステム)の制御系統を説明するブロック線図であって、そのシフトバイワイヤ制御系の構成の要部を示す図である。
図7において、運転者によってシフトレバー66のシフト位置が切り換えられると、シフトポジションセンサ67を介してそのシフト位置に応じた電気信号が電子制御装置104(SBW−ECU116)に入力される。そして、電子制御装置104(SBW−ECU116)によってSBWアクチュエータ68が制御され、切換シャフト106が軸心まわりに回転させられることにより、レバー108を介してマニュアルバルブ70のスプール110が機械的に一直線方向へ移動させられ、4箇所のシフト位置「P」、「R」、「N」、「D」に位置決めされて油路を切り換えるようになっている。
本発明の走行制御装置に対応する電子制御装置104は、エンジン10を制御する制御装置と自動変速機14を制御する制御装置とが一体式に構成されているECT−ECU112と、エンジン10の状態に応じて演算した基本噴射時間に各センサの信号による補正を加えて適正な燃料噴射となるよう制御する制御装置であるEFI−ECU114と、シフトレバー66のシフト位置を検出しそれに基づきSBWアクチュエータ68を作動させまた検出したシフト位置情報をECT−ECU112に出力する制御装置であるSBW−ECU116などを備えている。ECT−ECU112とSBW−ECU116とは、複数の独立したワイヤ(電線)で結ばれ、例えばSBWアクチュエータ68が故障したときなどに出力されるSBW異常信号SFL、シフトレバー66のシフト位置が「R」レンジに切り換えられたことを示すR信号、自動変速機14のシフトレンジを示すNSW信号、シフトレバー66のシフト位置が「D」レンジに切り換えられたことを示すD信号などがそれぞれ独立した電線を介して通信される。また、ECT−ECU112とSBW−ECU116とがEFI−ECU114を中継して情報通信可能となっている。ここで、SBW−ECU116とEFI−ECU114との間およびEFI−ECU114とECT−ECU112との間は、単一の通信線で複数の情報通信が可能な多重通信方式、所謂CAN通信が採用されている。このように、ECT−ECU112とSBW−ECU116との間では、2系統の並列に設けられた互いに異なる通信経路134を介して情報通信が行われることにより、その情報通信の信頼性向上が図られている。本実施例では図7に示すように、EFI−ECU114を介さずにECT−ECU112とSBW−ECU116との間を直接結ぶ通信経路を第1経路136と表し、その第1経路136とは異なる通信経路であってECT−ECU112とSBW−ECU116との間をEFI−ECU114を介して結ぶ通信経路を第2経路138と表すこととする。
図8は、電子制御装置(走行制御装置)104による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。前述したシフトバイワイヤ制御系が異常状態(フェール状態,故障状態)になる場合があり、そのような場合に備えて電子制御装置104の一部を構成するSBW−ECU116は、上記シフトバイワイヤ制御系の正常状態および異常状態を検出する制御状態検出手段132を備えている。上記シフトバイワイヤ制御系の異常状態とは、例えば、シフトレバー66のシフトポジションセンサ67から出力されるシフト位置に応じた電気信号(目標シフト位置信号)とSBWアクチュエータ68に設けられたシフトポジションセンサ118から出力されるシフト位置に応じた電気信号(実シフト位置信号)とに基づくシフト位置が互いに一致しない場合、すなわち、シフトレバー66を有するシフト操作装置及び/又はSBWアクチュエータ68が故障した場合である。また、別の例として、シフト位置の検出装置として機能するシフトポジションセンサ67、118の少なくとも1つが誤作動した場合や、SBW−ECU116が自己診断機能を備えていればSBW−ECU116自身が故障した場合も、制御状態検出手段132に検出される上記シフトバイワイヤ制御系の異常状態に含まれる。要するに、制御状態検出手段132に検出されるシフトバイワイヤ制御系の異常状態とは、シフトレンジを決定するための装置が故障した場合(状態)である。制御状態検出手段132は、このようなシフトバイワイヤ制御系の異常状態を検出した場合には、その異常状態を示す検出結果であるSBW異常信号SFLをECT−ECU112に向けて出力する。そのとき、そのSBW異常信号SFLは、ECT−ECU112とSBW−ECU116との間の通信経路134を構成する第1経路136と第2経路138とのそれぞれを介して、ECT−ECU112へ伝達される。なお、SBW異常信号SFLについてその通信経路134を特に区別したい場合には、第1経路136を介してECT−ECU112へ伝達されるSBW異常信号SFLを「SBW異常信号S1FL」と表し、第2経路138を介してECT−ECU112へ伝達されるSBW異常信号SFLを「SBW異常信号S2FL」と表す。
また、制御状態検出手段132は、上記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を検出しない場合には上記SBW異常信号SFLをECT−ECU112へ出力しない。すなわち、制御状態検出手段132は、シフトポジションセンサ67、118のそれぞれの信号が示すシフト位置が互いに一致しその他の異常をも検出しない場合、言い換えれば、上記シフトバイワイヤ制御系の正常状態を検出した場合には、上記SBW異常信号SFLを出力せず正常時に通信される通常のシフト位置等を示す信号を出力し、これをもって、前記シフトバイワイヤ制御系の正常状態を示す検出結果をECT−ECU112へ出力したことになる。上記ような制御状態検出手段132の検出結果は、並列に設けられた第1経路136と第2経路138とのぞれぞれによりECT−ECU112(駆動力変更手段148)に伝達される。
電子制御装置104の一部を構成するECT−ECU112は、第1受信判定手段142と第2受信判定手段144とを含む駆動力変更手段148を備えている。第1受信判定手段142は、SBW−ECU116からの信号を第1経路136を介して受信する。そして、第1受信判定手段142は、第1経路136を介してSBW異常信号S1FLを受信した場合には、前記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す検出結果を受信した旨の判定をする。一方、SBW異常信号S1FLを受信しない場合には、上記シフトバイワイヤ制御系の正常状態を示す検出結果を受信した旨の判定をする。
更に、第1受信判定手段142は、上記正常状態を示す検出結果を受信した旨の判定を所定の正常状態確定時間time_nf(所定時間time_nf)継続した場合、つまり、その正常状態を示す検出結果を上記正常状態確定時間time_nf継続してECT−ECU112が第1経路136を介して受信した場合、具体的には、第1経路136を介してSBW異常信号S1FLを上記正常状態確定時間time_nf継続して受信しなかった場合には、その旨を示す正常状態確定判定XNFを行う。望ましくは、第2経路138を介してSBW異常信号S2FLが受信された時以降もしくは後述の駆動力抑制制御の実行が開始された時以降で、ECT−ECU112が第1経路136を介してSBW異常信号S1FLを上記正常状態確定時間time_nf継続して受信しなかった場合に、第1受信判定手段142は上記正常状態確定判定XNFを行う。なお、上記正常状態確定時間time_nfとは、その時間time_nf以上継続してSBW異常信号SFLが受信されなければ制御状態検出手段132はSBW異常信号SFLをECT−ECU112に向けて出力していないと判断できる予め実験的に設定された時間である。
第2受信判定手段144は、SBW−ECU116からの信号を第2経路138を介して受信する。そして、第2受信判定手段144は、第2経路138を介してSBW異常信号S2FLを受信した場合には、上記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す検出結果を受信した旨の判定をする。一方、SBW異常信号S2FLを受信しない場合には、上記シフトバイワイヤ制御系の正常状態を示す検出結果を受信した旨の判定をする。
更に、第2受信判定手段144は、上記正常状態を示す検出結果を受信した旨の判定を所定の正常状態確定時間time_nf(所定時間time_nf)継続した場合、つまり、その正常状態を示す検出結果を上記正常状態確定時間time_nf継続してECT−ECU112が第2経路138を介して受信した場合、具体的には、第2経路138を介してSBW異常信号S2FLを上記正常状態確定時間time_nf継続して受信しなかった場合には、その旨を示す正常状態確定判定XNFを行う。望ましくは、第1経路136を介してSBW異常信号S1FLが受信された時以降もしくは後述の駆動力抑制制御の実行が開始された時以降で、ECT−ECU112が第2経路138を介してSBW異常信号S2FLを上記正常状態確定時間time_nf継続して受信しなかった場合に、第2受信判定手段144は上記正常状態確定判定XNFを行う。なお、上記正常状態確定判定XNFを第1受信判定手段142と第2受信判定手段144との何れのものか区別する場合には、第1受信判定手段142のものを「正常状態確定判定X1NF」と表し、第2受信判定手段144のものを「正常状態確定判定X2NF」と表す。また、それら何れのものか特に区別しない場合には、そのまま「正常状態確定判定XNF」と表す。
車両の駆動力を変更する駆動力変更手段148は、前記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す制御状態検出手段132の検出結果(SBW異常信号SFL)を第1経路136と第2経路138との何れか一方を介して受信した場合、言い換えれば、第1受信判定手段142又は第2受信判定手段144が上記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す検出結果を受信した旨の判定をした場合には、車両の駆動力を低下させる駆動力抑制制御を実行する。見方を変えれば、上記異常状態を示す検出結果(SBW異常信号SFL)が第1経路136と第2経路138との何れか一方を介して受信された場合において、駆動力変更手段148は、第1経路と第2経路138とのうち他方を介して上記シフトバイワイヤ制御系の正常状態を示す検出結果を受信した場合であっても、上記駆動力抑制制御を実行する。具体的には、駆動力変更手段148は、第1受信判定手段142及び第2受信判定手段144の一方が上記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す検出結果を受信した旨の判定をしたのであれば、他方がその正常状態を示す検出結果を受信した旨の判定をしていたとしても、更に言えば、上記他方が正常状態確定判定XNFを行っていたとしても、上記駆動力抑制制御を実行するということである。その駆動力抑制制御は、第1経路136及び第2経路138の何れを介してもSBW異常信号SFLを受信しない場合にアクセル開度Accや車速Vなどの基づいてECT−ECU112が発揮させる車両の駆動力、すなわち、正常時の車両の駆動力に対して、車両の駆動力を低下させる駆動力制御である。その駆動力抑制制御では、例えば、アクセル開度Accとスロットル弁開度θTHとの予め定められた関係がスロットル弁開度θTHの小さくなる方向に変更されてエンジン出力が抑制されてもよいが、本実施例の駆動力変更手段148は、エンジン10から駆動輪への動力伝達経路を遮断することにより、詳細には、自動変速機14内の動力伝達経路を遮断することにより上記駆動力抑制制御を実行する。つまり、駆動力抑制制御において車両の駆動力を低下させることは、車両の駆動力を零にすることを含むものである。なお、車両の駆動力とは、車両を前進もしくは後進させる推力であり、駆動輪を回転させる駆動輪トルクと一対一の対応関係にある。
自動変速機14内の動力伝達経路を遮断する動力遮断手段として機能する駆動力変更手段148は、上記駆動力抑制制御において、上述のように自動変速機14内の動力伝達経路を遮断するが、具体的には、何れの前進変速段も後進変速段も成立しないように、自動変速機14内の前進にかかる摩擦係合要素と後進にかかる摩擦係合要素との両方を解放する。すなわち、SBWアクチュエータ68によって制御されるマニュアルバルブ70のシフト位置(マニュアルバルブ位置)に拘わらず自動変速機14内の動力伝達経路が遮断されるように油圧制御回路40のソレノイドバルブが制御されるニュートラルパターン形成が行われる。なお、これより、自動変速機14の油圧制御回路40は、マニュアルバルブ70のシフト位置に拘わらず動力が遮断できるように構成されている。以下、自動変速機14の油圧制御回路40を一例に、マニュアルバルブ70のシフト位置に拘わらず自動変速機14内の動力伝達経路を遮断する駆動力変更手段148の制御作動について説明する。
先ず、自動変速機14の前進にかかる摩擦係合要素を解放して、前進への動力を遮断する制御について説明する。前進走行においては、図2に示すようにクラッチC1およびクラッチC2の少なくとも一方が係合されるに構成されている。すなわち、クラッチC1およびクラッチC2が自動変速機14の前進にかかる摩擦係合要素となる。図5に示すように、リニアソレノイドバルブSL1と油圧アクチュエータ42との間にフェールセーフバルブ74が設けられているため、例えばリニアソレノイドバルブSL1の故障によって係合油圧PC1が係合されない場合でも、フェールセーフバルブ74のスプールによって油路が切り換えられて入力ポート78からDレンジ圧PDが油圧アクチュエータ42に供給される。そこで、駆動力変更手段148は、以下の制御を組み合わせることで自動変速機14の前進への動力を確実に遮断する。
先ず、リニアソレノイドバルブSL1を制御することにより、クラッチC1の油圧アクチュエータ42に供給される係合油圧PC1を零に制御する。これにより、フェールセーフバルブ74のスプールが移動させられて入力ポート78と出力ポート80とが連通されてDレンジ圧PDが油圧アクチュエータ42へ供給される可能性があるので、リニアソレノイドバルブSL2によってクラッチC2の係合油圧PC2を例えば最大値に制御する。これにより、フェールセーフバルブ74が正常時の状態、すなわちリニアソレノイドバルブSL1に連結された入力ポート76と出力ポート80とが連通された状態とされ、クラッチC1の油圧アクチュエータ42へ油圧が供給されなくなり、クラッチC1が解放される。これにより、図2に示すように第1変速段〜第4変速段が成立されなくなる。
また、リニアソレノイドバルブSL3を制御することにより、ブレーキB1の油圧アクチュエータ46に供給される係合油圧PB1を零に制御すると共に、リニアソレノイドバルブSL4を制御することにより、ブレーキB3の油圧アクチュエータ50に供給される係合油圧PB3を零に制御する。ここで、クラッチC2の係合油圧PC2を最大値に制御することでクラッチC2は係合されることとなるが、ブレーキB1およびブレーキB3の油圧アクチュエータ46、50には油圧が供給されないので第5変速段および第6変速段は成立されなくなる。さらに、リニアソレノイドバルブSLT(もしくはその関連圧)を最小圧に制御することで、フェールセーフバルブ74において、入力ポート78と出力ポート80との連通を確実に防止する、すなわちDレンジ圧PDの油圧アクチュエータ42への供給を防止する。
これにより、マニュアルバルブ70のシフト位置に拘わらず自動変速機14の前進への動力が遮断される。具体的には、マニュアルバルブ70のシフト位置が「D」ポジションであれば上記制御によって前進への動力が遮断される。また、「R」ポジションであればDレンジ圧PDが供給されないため、リニアソレノイドバルブSL1およびリニアソレノイドバルブSL2へ元圧となるDレンジ圧PDが供給されないに伴い、クラッチC1およびクラッチC2へ係合油圧が供給されないので、自動変速機14の前進への動力が遮断される。また、「N」、「P」ポジションもDレンジ圧PDおよびレバース圧PRが供給されないので、前進への動力が遮断される。
次に、自動変速機14の後進にかかる摩擦係合要素を解放して、後進への動力を遮断する制御について説明する。後進走行においては、図2に示すようにブレーキB2およびブレーキB3が係合されることで、後進への動力が駆動輪へ伝達される。すなわち、ブレーキB2およびブレーキB3が後進にかかる摩擦係合要素に対応しており、ブレーキB2およびブレーキB3のいずれか一方が解放されると自動変速機14の後進への動力が遮断される。そこで、駆動力変更手段148は、切換ソレノイドバルブSLから切換圧PSLを出力(ON)すると共に、ソレノイドバルブSLUからコントロール圧PSLUを出力(ON)する。さらに、リニアソレノイドバルブSL4を制御することにより、ブレーキB3の油圧アクチュエータ50の係合油圧PB3を零に制御する。
このように制御されると、図6において、切換ソレノイドバルブSLの切換圧PSLによって、リレーバルブ92の入力ポート94と出力ポート100とが連通される、すなわちリニアソレノイドバルブSLUのコントロール圧PSLUがロックアップコントロールバルブ98に供給される。これより、第2ブレーキコントロールバルブ54には、コントロール圧PSLUが入力されない。そして、第2ブレーキコントロールバルブ54には、コントロール圧PSLUが入力されないため、スプリング90のスプリング力FS2によってスプールが移動させられ、ドレーンポート86と出力ポート88とが連通される、すなわちブレーキB2の油圧アクチュエータ48とドレーンポート86とが連通されて油圧アクチュエータ48に油圧が供給されない。これにより、自動変速機14の後進への動力が遮断される。
ところが、マニュアルバルブ70が「R」ポジションに位置された状態では、リバース圧PRが供給されるため、ブレーキB2の油圧アクチュエータ48に油圧が供給されることとなる。しかし、駆動力変更手段148は、ブレーキB3の油圧アクチュエータ50の係合油圧を零に制御することにより、第3ブレーキB3が解放されるので、自動変速機14の後進への動力が遮断される。これにより、マニュアルバルブ70のシフト位置に拘わらず自動変速機14の後進への動力が遮断される。具体的には、マニュアルバルブ70のシフト位置が「D」ポジションであれば、上記制御によって前進への動力が遮断され、「R」ポジションであれば、リバース圧PRがブレーキB2の油圧アクチュエータ48に供給されるものの、ブレーキB3が解放されるので後進への動力が遮断される。また、「N」、「P」ポジションもDレンジ圧PDおよびレバース圧PRが供給されないので、後進への動力が遮断される。
このように、駆動力変更手段148の上記の制御を実施することにより前記ニュートラルパターン形成を行い、それにより、マニュアルバルブ70のシフト位置(マニュアルバルブ位置)に拘わらず自動変速機14の前進および後進への動力が遮断される。
上述のように駆動力変更手段148は、第1受信判定手段142と第2受信判定手段144との判定に基づき、上記ニュートラルパターン形成すなわち前記駆動力抑制制御を実行するが、上記第1受信判定手段142と第2受信判定手段144との判定に加え車速Vを考慮して上記駆動力抑制制御を実行してもよい。そのようにした場合について説明すると、まず、図8に示すようにECT−ECU112は車速判定手段150を含んでおり、その車速判定手段150は、例えば自動変速機14の出力部材である出力歯車34の回転速度に基づいて車速Vを検出し、その車速Vが予め設定された所定車速V1以下か否かを判定する。その所定車速V1は、予め実験などによって求められ、低車速域に設定される。ここで、例えば中・高車速時において、自動変速機14内の動力伝達経路が遮断されると、駆動輪に伝達されるトルクが抜ける(トルク抜け)ため、車両が不安定となり、操作性が低下する可能性がある。また、本実施例では前述したように、SBW異常信号SFLが受信されると、上記駆動力抑制制御の実行により自動変速機14内の動力伝達経路が遮断される。そこで、車速Vが所定車速V1を超えていると上記駆動力抑制制御を禁止することで、トルク抜けによる車両の操作性低下を回避する。すなわち、所定車速V1は、走行中にエンジン10と駆動輪との間の動力伝達経路を遮断する動力遮断制御(駆動力抑制制御)を実行しても車両の操作性が低下しない程度の低車速域に設定される。
そして、車速Vが上記所定車速V1以下であると車速判定手段150により判定された場合において、駆動力変更手段148は、前述したように第1受信判定手段142と第2受信判定手段144との判定に基づき、前記駆動力抑制制御を実行する。逆に言えば、車速Vが上記所定車速V1を超えている場合においては、駆動力変更手段148は、第1受信判定手段142と第2受信判定手段144との判定に拘わらず、つまり、SBW異常信号SFLが受信されたか否かに拘わらず、前記駆動力抑制制御を実行しない。
このようにして駆動力変更手段148はフェールセーフ処理としての上記駆動力抑制制御を実行するが、その実行開始後に一定の条件のもとその駆動力抑制制御を中止(中断)することがある。なぜなら、制御状態検出手段132がSBW異常信号SFLをECT−ECU112に向けて出力していないにも拘わらず、第1経路136または第2経路138の異常(フェール)によりSBW異常信号SFLと同じ信号がECT−ECU112へ伝達されることがあり、そのような場合には上記駆動力抑制制御によって車両走行を不可にすることまでは必要ないと考えられるからである。そこで、上記駆動力抑制制御の実行後においてそれが中止される制御に関して、以下に説明する。
駆動力変更手段148は、上記駆動力抑制制御の実行後において、第1経路136または第2経路138を介して前記シフトバイワイヤ制御系の正常状態を示す検出結果を所定の正常状態確定時間time_nf(所定時間time_nf)継続してECT−ECU112が受信した場合には、上記駆動力抑制制御を中止する。ここで、第1経路136または第2経路138を介して上記シフトバイワイヤ制御系の正常状態を示す検出結果を正常状態確定時間time_nf継続してECT−ECU112が受信した場合とは、具体的には、第1受信判定手段142と第2受信判定手段144との一方は、上記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す検出結果(SBW異常信号SFL)を受信した旨の判定しているが、他方は上記正常状態を示す検出結果を受信した旨の判定を正常状態確定時間time_nf継続したとの旨を示す前記正常状態確定判定XNFを行った場合である。要するに、上記の場合とは、ECT−ECU112により、第1経路136と第2経路138との一方を介してSBW異常信号SFLは受信されたが、他方を介してSBW異常信号SFLは正常状態確定時間time_nf以上継続して受信されなかった場合である。
そして、駆動力変更手段148は、上記のように駆動力抑制制御の実行後においてそれを中止した場合においては、第1経路136または第2経路138を介して前記異常状態を示す検出結果(SBW異常信号SFL)をECT−ECU112(駆動力変更手段148)が受信している限り、すなわち、第1受信判定手段142または第2受信判定手段144が上記異常状態を示す検出結果を受信した旨の判定をしている限り、自動変速機14の変速比γを予め定められた異常検出時変速比γFL以下に制限する。具体的に、上記変速比γを異常検出時変速比γFL以下に制限することとは、自動変速機14の変速段がその異常検出時変速比γFL以下の変速比γを実現する高車速側の変速段とされることである。この異常検出時変速比γFLは、車両走行の安全を確保するために設定された制限値であって、詳細には、運転者の意に反したシフトレンジになったとしても車両走行の安全を確保できるように、車両の出力可能な駆動力を制限するための予め実験的に設定された変速比γについての制限値である。
更に、駆動力変更手段148は、第1経路136または第2経路138を介してSBW異常信号SFLをECT−ECU112が受信しているときに上記駆動力抑制制御(ニュートラルパターン形成)を中止した場合においては、その駆動力抑制制御を中止した後に、その駆動力抑制制御を中止した原因である前記正常状態を示す検出結果を伝達した通信経路134(第1経路136又は第2経路138)を介して、前記異常状態を示す検出結果(SBW異常信号SFL)をECT−ECU112が受信した場合には、上記駆動力抑制制御の実行を再開する。
また、駆動力変更手段148は、上記駆動力抑制制御の実行を再開するか否かを判断するために、その駆動力抑制制御を中止した原因である前記正常状態を示す検出結果が伝達されたのが何れの通信経路134であったのか、逆に言えば、何れの通信経路134を介してSBW異常信号SFLが受信されたことにより上記駆動力抑制制御を上記中止前に実行していたのかが判る必要がある。そこで、駆動力変更手段148は、上記駆動力抑制制御を実行した場合には、その実行した駆動力抑制制御がSBW異常信号S1FL及びS2FLの何れの受信に起因したものかが判る履歴を記憶する。駆動力変更手段148は、前述したように、一定の条件のもと、上記実行した駆動力抑制制御を中止することがあるが、駆動力変更手段148の記憶する上記履歴は、上記駆動力抑制制御を中止したとすればその中止した駆動力抑制制御が、第1経路136と第2経路138との何れの通信経路134を介して受信した前記異常状態を示す検出結果(SBW異常信号SFL)に基づいて実行されたものであったかが判る履歴である。具体的に説明すると、駆動力変更手段148は、第1受信判定手段142が前記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す検出結果(SBW異常信号S1FL)を受信した旨の判定をしたことに起因して前記駆動力抑制制御を実行した場合には、その駆動力抑制制御(前記ニュートラルパターン形成)がSBW異常信号S1FLに基づいて実行されたものであることを示す履歴を記憶している、すなわち、SBW異常信号S1FLによるニュートラルパターン形成履歴hst1_nを「ON」として記憶している。一方、駆動力変更手段148は、第2受信判定手段144が前記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す検出結果(SBW異常信号S2FL)を受信した旨の判定をしたことに起因して前記駆動力抑制制御を実行した場合には、その駆動力抑制制御(上記ニュートラルパターン形成)がSBW異常信号S2FLに基づいて実行されたものであることを示す履歴を記憶している、すなわち、SBW異常信号S2FLによるニュートラルパターン形成履歴hst2_nを「ON」として記憶している。なお、上記ニュートラルパターン形成履歴hst1_n,hst2_nの初期値は何れも「OFF」である。
また、駆動力変更手段148は、第1経路136と第2経路138との何れを介してもECT−ECU112がSBW異常信号SFLを前記正常状態確定時間time_nf継続して受信しなかった場合、すなわち、第1受信判定手段142と第2受信判定手段144との両方が前記正常状態確定判定XNFを行った場合には、前記駆動力抑制制御(ニュートラルパターン形成)を実行していればそれを中止し、自動変速機14の変速比γを異常検出時変速比γFL以下に制限していればそれを解消する。すなわち、フェールセーフ処理を止めて正常時の自動変速機14の変速制御を実行する。更に、その場合に、駆動力変更手段148は、ニュートラルパターン形成履歴hst1_n,hst2_nの両方を「OFF」とする。
ここで好適には、駆動力変更手段148は、上記駆動力抑制制御(ニュートラルパターン形成)を中止(中断)する場合においては、その中止後にフェールセーフ処理を止めて正常時の自動変速機14の変速制御を実行する場合であっても自動変速機14の変速比γを異常検出時変速比γFL以下に制限する場合であっても、上記駆動力抑制制御の実行開始から予め定められた復帰保留時間time_rvが経過した後に、その駆動力抑制制御を中止する。上記復帰保留時間time_rvとは、自動変速機14の摩擦係合要素の制御ハンチングを防止するために実験的に設定された猶予時間である。
また好適には、駆動力変更手段148は、上記駆動力抑制制御(ニュートラルパターン形成)を中止する場合においては、その中止後にフェールセーフ処理を止めて正常時の自動変速機14の変速制御を実行する場合であっても自動変速機14の変速比γを異常検出時変速比γFL以下に制限する場合であっても、予め定められた復帰許可条件が成立した場合に、上記駆動力抑制制御を中止する。上記復帰許可条件とは、車両走行の安全性確保のために実験的に設定された上記駆動力抑制制御の中止を許可する条件であり、具体的には、上記フェールセーフ処理において自動変速機14内の動力伝達経路を動力伝達が遮断された動力伝達遮断状態から動力伝達が可能な動力伝達可能状態へと変更することを許可する実験的に設定された条件である。例えば、その復帰許可条件は、上記駆動力抑制制御を中止しても車両の挙動が不安定にはならない程度の低エンジントルクで且つ低車速である場合に成立する。
図9乃至図11は、電子制御装置104の制御作動の要部、すなわち、SBW異常信号SFLに基づいてフェールセーフ処理としての前記ニュートラルパターン形成や自動変速機14の変速比γの制限を行う制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。
図9に示すように、先ず、駆動力変更手段148に対応するステップ(以下、「ステップ」を省略する)SA1においては、SBW異常信号S1FLによるニュートラルパターン形成履歴hst1_nが「ON」であるか否かが判定される。このSA1の判定が肯定的である場合、すなわち、上記ニュートラルパターン形成履歴hst1_nが「ON」である場合には、SA2に移る。一方、このSA1の判定が否定的である場合には、SA8に移る。なお、SBW異常信号S1FLが全く受信されていないときのニュートラルパターン形成履歴hst1_n、すなわち、ニュートラルパターン形成履歴hst1_nの初期値は「OFF」である。
第2受信判定手段144に対応するSA2においては、第2経路138を介してSBW異常信号S2FLが受信されたか否かに基づき、前記シフトバイワイヤ制御系の正常状態を示す検出結果が受信されたか否かが判定される。このSA2の判定が肯定的である場合、すなわち、SBW異常信号S2FLが受信されない場合には、SA3に移る。一方、このSA2の判定が否定的である場合には、図11のSA24に移る。
第2受信判定手段144に対応するSA3においては、上記SA2の判定が肯定された時から、上記正常状態を示す検出結果を前記正常状態確定時間time_nf(所定時間time_nf)継続してECT−ECU112が第2経路138を介して受信したか否かが判定される。上記SA2の判定が肯定された時から、ECT−ECU112が第2経路138を介してSBW異常信号S2FLを上記正常状態確定時間time_nf継続して受信しなかった場合、要するに、上記SA2の肯定的な判定が正常状態確定時間time_nf継続した場合には、SA3の判定は肯定される。このSA3の判定が肯定的である場合、すなわち、上記SA2の判定が肯定された時から上記正常状態確定時間time_nf(所定時間time_nf)継続して、ECT−ECU112が第2経路138を介して上記正常状態を示す検出結果を受信した場合には、前記正常状態確定判定X2NFが行われSA4に移る。一方、このSA3の判定が否定的である場合には、図11のSA24に移る。
第1受信判定手段142に対応するSA4においては、第1経路136を介してSBW異常信号S1FLが受信されたか否かに基づき、前記シフトバイワイヤ制御系の正常状態を示す検出結果が受信されたか否かが判定される。このSA4の判定が肯定的である場合、すなわち、SBW異常信号S1FLが受信されない場合には、SA5に移る。一方、このSA4の判定が否定的である場合には、図10のSA15に移る。
第1受信判定手段142に対応するSA5においては、上記SA4の判定が肯定された時から、上記正常状態を示す検出結果を前記正常状態確定時間time_nf(所定時間time_nf)継続してECT−ECU112が第1経路136を介して受信したか否かが判定される。上記SA4の判定が肯定された時から、ECT−ECU112が第1経路136を介してSBW異常信号S1FLを上記正常状態確定時間time_nf継続して受信しなかった場合、要するに、上記SA4の肯定的な判定が正常状態確定時間time_nf継続した場合には、SA5の判定は肯定される。このSA5の判定が肯定的である場合、すなわち、上記SA4の判定が肯定された時から上記正常状態確定時間time_nf(所定時間time_nf)継続して、ECT−ECU112が第1経路136を介して上記正常状態を示す検出結果を受信した場合には、前記正常状態確定判定X1NFが行われSA6に移る。一方、このSA5の判定が否定的である場合には、図10のSA15に移る。
駆動力変更手段148に対応するSA6においては、後述のSA21またはSA25で実行された前記駆動力抑制制御の実行開始時から、すなわち、前記ニュートラルパターン形成時から前記復帰保留時間time_rvが経過したか否かが判定される。このSA6の判定が肯定的である場合、すなわち、上記駆動力抑制制御の実行開始時から上記復帰保留時間time_rvが経過した場合には、SA7に移る。一方、このSA6の判定が否定的である場合には、図10のSA15に移る。
駆動力変更手段148に対応するSA7においては、前記復帰許可条件が成立したか否かが判定される。このSA7の判定が肯定的である場合、すなわち、上記復帰許可条件が成立した場合には、図10のSA16に移る。一方、このSA7の判定が否定的である場合には、図10のSA15に移る。
駆動力変更手段148に対応するSA8においては、SBW異常信号S2FLによるニュートラルパターン形成履歴hst2_nが「ON」であるか否かが判定される。このSA8の判定が肯定的である場合、すなわち、上記ニュートラルパターン形成履歴hst2_nが「ON」である場合には、SA9に移る。一方、このSA8の判定が否定的である場合には、図11のSA19に移る。なお、SBW異常信号S2FLが全く受信されていないときのニュートラルパターン形成履歴hst2_n、すなわち、ニュートラルパターン形成履歴hst2_nの初期値は「OFF」である。
第1受信判定手段142に対応するSA9においては、前記SA4と同じ判定が行われる。このSA9の判定が肯定的である場合、すなわち、SBW異常信号S1FLが受信されない場合には、SA10に移る。一方、このSA9の判定が否定的である場合には、図11のSA20に移る。
第1受信判定手段142に対応するSA10においては、上記SA9の判定が肯定された時から、上記正常状態を示す検出結果を前記正常状態確定時間time_nf(所定時間time_nf)継続してECT−ECU112が第1経路136を介して受信したか否かが判定される。上記SA9の判定が肯定された時から、ECT−ECU112が第1経路136を介してSBW異常信号S1FLを上記正常状態確定時間time_nf継続して受信しなかった場合、要するに、上記SA9の肯定的な判定が正常状態確定時間time_nf継続した場合には、SA10の判定は肯定される。このSA10の判定が肯定的である場合、すなわち、上記SA9の判定が肯定された時から上記正常状態確定時間time_nf(所定時間time_nf)継続して、ECT−ECU112が第1経路136を介して上記正常状態を示す検出結果を受信した場合には、前記正常状態確定判定X1NFが行われSA11に移る。一方、このSA10の判定が否定的である場合には、図11のSA20に移る。
第2受信判定手段144に対応するSA11においては、前記SA2と同じ判定が行われる。このSA11の判定が肯定的である場合、すなわち、SBW異常信号S2FLが受信されない場合には、SA12に移る。一方、このSA11の判定が否定的である場合には、図10のSA18に移る。
第2受信判定手段144に対応するSA12においては、上記SA11の判定が肯定された時から、上記正常状態を示す検出結果を前記正常状態確定時間time_nf(所定時間time_nf)継続してECT−ECU112が第2経路138を介して受信したか否かが判定される。上記SA11の判定が肯定された時から、ECT−ECU112が第2経路138を介してSBW異常信号S2FLを上記正常状態確定時間time_nf継続して受信しなかった場合、要するに、上記SA11の肯定的な判定が正常状態確定時間time_nf継続した場合には、SA12の判定は肯定される。このSA12の判定が肯定的である場合、すなわち、上記SA11の判定が肯定された時から上記正常状態確定時間time_nf(所定時間time_nf)継続して、ECT−ECU112が第2経路138を介して上記正常状態を示す検出結果を受信した場合には、前記正常状態確定判定X2NFが行われSA13に移る。一方、このSA12の判定が否定的である場合には、図10のSA18に移る。
駆動力変更手段148に対応するSA13においては、前記SA6と同じ判定が行われる。このSA13の判定が肯定的である場合、すなわち、前記駆動力抑制制御の実行開始時から前記復帰保留時間time_rvが経過した場合には、SA14に移る。一方、このSA13の判定が否定的である場合には、図10のSA18に移る。
駆動力変更手段148に対応するSA14においては、前記SA7と同じ判定が行われる。このSA14の判定が肯定的である場合、すなわち、前記復帰許可条件が成立した場合には、図10のSA16に移る。一方、このSA14の判定が否定的である場合には、図10のSA18に移る。
図10にて、駆動力変更手段148に対応するSA15及びSA18においては、前記駆動力抑制制御が実行されていればそれが中止され、自動変速機14の変速比γが前記異常検出時変速比γFL以下に制限される。また、既に自動変速機14の変速比γが異常検出時変速比γFL以下に制限されている場合には、その変速比γの制限が継続される。上記変速比γが異常検出時変速比γFL以下に制限されることは、例えば、異常検出時変速比γFL以下の変速比γを実現する所定の変速段(所定のギヤ段)に自動変速機14の変速段が固定されること、すなわち、その所定のギヤ段が自動変速機14に形成されることであってもよい。その所定のギヤ段は、SBW異常信号S1FL又はS2FLの受信時に形成される自動変速機14のギヤ段であると言える。また、上記変速比γが異常検出時変速比γFL以下に制限されることは、異常検出時変速比γFL以下の変速比γの変化範囲内で自動変速機14が変速されることであってもよい。
なお好適には、SA15及びSA18で上記駆動力抑制制御が中止されるのであれば、その駆動力抑制制御の実行開始から前記復帰保留時間time_rvが経過した後に、その駆動力抑制制御が中止される。また、好適には、SA15及びSA18で上記駆動力抑制制御が中止されるのであれば、前記復帰許可条件が成立した場合にその駆動力抑制制御が中止される。更に、好適には、上記駆動力抑制制御の実行開始から復帰保留時間time_rvが経過した後であって上記復帰許可条件が成立した場合に、その駆動力抑制制御が中止される。
駆動力変更手段148に対応するSA16においては、前記駆動力抑制制御(ニュートラルパターン形成)が実行されていればそれが中止され、自動変速機14の変速比γが異常検出時変速比γFL以下に制限されていればそれが解消される。すなわち、フェールセーフ処理から復帰し正常時(通常時)における自動変速機14の変速制御が実行され、正常時(通常時)の変速段(ギヤ段)が形成される。
駆動力変更手段148に対応するSA17においては、SBW異常信号S1FL,S2FLによるニュートラルパターン形成履歴hst1_n,hst2_nの両方が「OFF」とされる。
図11にて、第1受信判定手段142に対応するSA19においては、第1経路136を介してSBW異常信号S1FLが受信されたか否かに基づき、前記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す検出結果が受信されたか否かが判定される。上記SBW異常信号S1FLが受信された場合には、上記異常状態を示す検出結果が受信された旨を肯定する判定がなされる。このSA19の判定が肯定的である場合、すなわち、SBW異常信号S1FLが受信された場合には、SA20に移る。一方、このSA19の判定が否定的である場合には、SA23に移る。
車速判定手段150に対応するSA20においては、車速Vが前記所定車速V1以下であるか否かが判定される。このSA20の判定が肯定的である場合、すなわち、車速Vが所定車速V1以下である場合には、SA21に移る。一方、このSA20の判定が否定的である場合には、本フローチャートは終了する。
駆動力変更手段148に対応するSA21及びSA25においては、前記駆動力抑制制御が実行される。具体的には、前記ニュートラルパターン形成が行われる。また、既に上記駆動力抑制制御(ニュートラルパターン形成)が実行されている場合には、それが継続される。SA21の次はSA22へ移り、SA25の次はSA26へ移る。
駆動力変更手段148に対応するSA22においては、SBW異常信号S1FLによるニュートラルパターン形成履歴hst1_nが「ON」とされる。
第1受信判定手段142に対応するSA23においては、第2経路138を介してSBW異常信号S2FLが受信されたか否かに基づき、前記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す検出結果が受信されたか否かが判定される。上記SBW異常信号S2FLが受信された場合には、上記異常状態を示す検出結果が受信された旨を肯定する判定がなされる。このSA23の判定が肯定的である場合、すなわち、SBW異常信号S2FLが受信された場合には、SA24に移る。一方、このSA23の判定が否定的である場合には、本フローチャートは終了する。
車速判定手段150に対応するSA24においては、前記SA20と同様に、車速Vが前記所定車速V1以下であるか否かが判定される。このSA24の判定が肯定的である場合、すなわち、車速Vが所定車速V1以下である場合には、SA25に移る。一方、このSA24の判定が否定的である場合には、本フローチャートは終了する。
駆動力変更手段148に対応するSA26においては、SBW異常信号S2FLによるニュートラルパターン形成履歴hst2_nが「ON」とされる。
本実施例の電子制御装置104には次のような効果(A1)乃至(A13)がある。(A1)本実施例によれば、駆動力変更手段148は、前記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す制御状態検出手段132の検出結果(SBW異常信号SFL)を第1経路136と第2経路138との何れか一方を介して受信した場合には、前記駆動力抑制制御を実行する。また、その駆動力抑制制御は、第1経路136及び第2経路138の何れを介してもSBW異常信号SFLを受信しない場合にアクセル開度Accや車速Vなどの基づいてECT−ECU112が発揮させる車両の駆動力に対して、すなわち、正常時の車両の駆動力に対して、車両の駆動力を低下させる駆動力制御である。従って、第1経路136と第2経路138とのうちの他方を介して上記異常状態を示す検出結果(SBW異常信号SFL)が受信されるのを待たずに、要するに、第1経路136と第2経路138との何れを介してもSBW異常信号S1FL,S2FLが受信されることとなるのを待たずに、フェールセーフ処理としての上記駆動力抑制制御を早期に実行することができる。そして、その駆動力抑制制御の実行により安全な車両状態が確保される。
(A2)本実施例によれば、上記異常状態を示す検出結果(SBW異常信号SFL)が第1経路136と第2経路138との何れか一方を介して受信された場合において、駆動力変更手段148は、第1経路と第2経路138とのうち他方を介して上記シフトバイワイヤ制御系の正常状態を示す検出結果を受信した場合であっても、上記駆動力抑制制御を実行するので、上記シフトバイワイヤ制御系が異常状態であることを確定できなくてもその可能性があれば上記駆動力抑制制御が実行されることとなり、一層確実に安全確保を図り得る。
(A3)本実施例によれば、上記駆動力抑制制御の実行とは、エンジン10から駆動輪への動力伝達経路(自動変速機14内の動力伝達経路)を遮断するニュートラルパターン形成が行われることであるので、上記シフトバイワイヤ制御系の異常状態が制御状態検出手段132により検出された場合においてその異常状態であることに起因して、運転者の意図に反した車両走行がなされる可能性を排除できる。
(A4)第1経路136と第2経路138との何れか一方を介してSBW異常信号SFLがECT−ECU112に受信されていたとしても、その他方の通信経路134を介してSBW異常信号SFLがある程度の時間継続して受信されなかったとすれば、それは、SBW異常信号SFLを伝達する上記一方の通信経路134(第1経路136又は第2経路138)自体の異常であって、制御状態検出手段132はSBW異常信号SFLをECT−ECU112に向けて出力していないものと判断できる。従って、その場合には、上記他方の通信経路134のみを用いたシフトバイワイヤ制御は可能であって車両走行は可能である。この点、本実施例によれば、駆動力変更手段148は、前記駆動力抑制制御の実行後において、第1経路136または第2経路138を介して前記シフトバイワイヤ制御系の正常状態を示す検出結果を所定の正常状態確定時間time_nf(所定時間time_nf)継続してECT−ECU112が受信した場合には、上記駆動力抑制制御を中止するので、上記正常状態を示す検出結果の信頼性を容易に確認することができ、更に、その信頼性が確認された上で、その正常状態を示す検出結果に基づき車両を走行可能にできる。
(A5)本実施例によれば、好適には、駆動力変更手段148は、上記駆動力抑制制御(ニュートラルパターン形成)を中止する場合においては、その中止後にフェールセーフ処理を止めて正常時の自動変速機14の変速制御を実行する場合であっても自動変速機14の変速比γを異常検出時変速比γFL以下に制限する場合であっても、上記駆動力抑制制御の実行開始から前記復帰保留時間time_rvが経過した後に、その駆動力抑制制御を中止する。このようにした場合には、上記駆動力抑制制御の実行開始後、全く時間を空けずにその実行が中止されることが無いことから、制御ハンチングを防止できる。
(A6)本実施例によれば、好適には、駆動力変更手段148は、上記駆動力抑制制御(ニュートラルパターン形成)を中止する場合においては、その中止後にフェールセーフ処理を止めて正常時の自動変速機14の変速制御を実行する場合であっても自動変速機14の変速比γを異常検出時変速比γFL以下に制限する場合であっても、予め定められた復帰許可条件が成立した場合に、上記駆動力抑制制御を中止する。このようにした場合には、上記駆動力抑制制御の中止に伴って車両走行が開始された場合にその時の安全性を向上させることが可能である。
(A7)本実施例によれば、駆動力変更手段148は、第1経路136または第2経路138を介してSBW異常信号SFLをECT−ECU112が受信しているときに上記駆動力抑制制御(ニュートラルパターン形成)を中止した場合においては、その駆動力抑制制御を中止した後に、その駆動力抑制制御を中止した原因である前記正常状態を示す検出結果を伝達した通信経路134(第1経路136又は第2経路138)を介して、前記異常状態を示す検出結果(SBW異常信号SFL)をECT−ECU112が受信した場合には、上記駆動力抑制制御の実行を再開する。従って、上記駆動力抑制制御の中止後にも安全上必要であれば上記駆動力抑制制御が実行され、安全な車両状態が確保される。
(A8)本実施例によれば、駆動力変更手段148は、上記駆動力抑制制御を実行した場合には、その実行した駆動力抑制制御がSBW異常信号S1FL及びS2FLの何れの受信に起因したものかが判る履歴(ニュートラルパターン形成履歴hst1_n,hst2_n)を記憶しているので、第1経路136または第2経路138を介してSBW異常信号SFLをECT−ECU112が受信しているときに上記駆動力抑制制御を中止した場合において、上記駆動力抑制制御の実行を再開するか否かを容易に決定することができる。
(A9)第1経路136と第2経路138との何れか一方を介してECT−ECU112がSBW異常信号SFLを受信している場合には、制御状態検出手段132が前記シフトバイワイヤ制御系の正常状態を検出しており車両走行可能であったとしても、第1経路136と第2経路138との何れを介してもSBW異常信号SFLを受信していない場合と比較すれば、より高度に安全性確保が図られるべきであり、車両走行が不可にはされなくても何らかのフェールセーフ処理がなされることが望ましい。この点、本実施例によれば、駆動力変更手段148は、前記駆動力抑制制御の実行後においてそれを中止した場合においては、第1経路136または第2経路138を介して前記異常状態を示す検出結果(SBW異常信号SFL)をECT−ECU112が受信している限り、自動変速機14の変速比γを前記異常検出時変速比γFL以下に制限する。従って、その異常検出時変速比γFL以下の変速比γとすることにより、車両の駆動力が安全側に制限され、すなわち、SBW異常信号SFLが全く受信されない場合と比較して上記駆動力の上限が低下させられ、充分な安全性を確保しつつ車両を走行可能とすることができる。
(A10)本実施例によれば、フェールセーフ処理としての前記ニュートラルパターン形成が行われると、SBWアクチュエータ68によって制御されるマニュアルバルブ70のシフト位置(マニュアルバルブ位置)に拘わらず自動変速機14内の動力伝達経路が遮断されるので、シフトポジションセンサ67、118のそれぞれの信号が示すシフト位置が互いに不一致であることに起因して上記マニュアルバルブ位置が不明確である場合であっても、確実に自動変速機14内の動力伝達経路を遮断することができ、安全性を確保することができる。
(A11)本実施例によれば、上記ニュートラルパターン形成が行われた場合には、自動変速機14の前進にかかる摩擦係合要素(クラッチC1、クラッチC2)と後進にかかる摩擦係合要素(ブレーキB2、ブレーキB3)との両方を解放した状態となるので、上記マニュアルバルブ位置が前進位置および後進位置のどちらの位置にあっても、確実に自動変速機14内の動力伝達経路を遮断することができる。
(A12)本実施例によれば、自動変速機14は、上記マニュアルバルブ位置に拘わらず動力遮断できる変速機であるので、そのマニュアルバルブ位置が何れの位置にあっても、確実に自動変速機14内の動力伝達を遮断することができる。
(A13)本実施例によれば、車速Vが実験的に低車速域に設定された所定車速V1以下であると車速判定手段150により判定された場合において、駆動力変更手段148は、第1受信判定手段142と第2受信判定手段144との判定に基づき、前記駆動力抑制制御(ニュートラルパターン形成)を実行するので、中・高車速域での動力遮断による突然のトルク抜けが防止される。なお、中・高車速域で動力伝達経路が遮断されると、車両が不安定となり、操作性が低下する可能性がある。そこで、中・高車速域では上記駆動力抑制制御が実行されないことで、上記車両の操作性低下が回避される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、本実施例においては、ECT−ECU112とSBW−ECU116との間の通信経路134は第1経路136及び第2経路138の2系統であったが、3系統以上の通信経路134であってもよい。
また、本実施例においては、通信経路134の通信方式としては、所謂CAN通信などが一例として示されているが、その通信方式に限定は無い。また、第1経路136と第2経路138との通信方式が互いに同一であっても相違していても構わない。
また、本実施例においては、第1経路136および第2経路138を伝達される信号は電気信号であるが、その伝達される信号は光信号などであってもよく、信号形式に限定は無い。
また、本実施例においては、第1経路136と第2経路138との何れについても前記正常状態確定時間time_nfは同じ値であったが、各通信経路134ごとに異なる値とされてもよい。また、正常状態確定時間time_nfは、通信経路134の通信速度が速いほど短く設定されてもよい。
また、本実施例において、第1経路136及び第2経路138の通信速度は、互いに同一であっても相違していてもよい。
また、本実施例においては、制御状態検出手段132は、前記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を検出した場合にはSBW異常信号SFLを出力し、その正常状態を検出した場合にはSBW異常信号SFLを出力しないが、逆のパターンの信号出力、すなわち、上記正常状態を検出した場合にはその正常状態を示す信号を出力し、上記異常状態を検出した場合には上記正常状態を示す信号を出力しないものであってもよい。また、制御状態検出手段132は、上記異常状態および正常状態の何れを検出しても、それらの状態を示す信号を出力するものであってもよい。
また、本実施例の図9乃至図11に示されるフローチャートにおいて、SA6、SA7、SA13、SA14、SA20、SA24はそれぞれ必須のステップではなく、それらのステップの一部または全部が無いフローチャートであってもよい。
また、本実施例の図9乃至図11に示されるフローチャートにおいて、SA15及びSA18では、自動変速機14の変速比γが前記異常検出時変速比γFL以下に制限されるが、それがSA16と同じ実行内容に置き換えられていてもよい。また、本実施例のフローチャートは、SA15及びSA18が無いものであってもよい。
また、本実施例においては、駆動力変更手段148は、ニュートラルパターン形成履歴hst1_n,hst2_nを記憶するが、そのような履歴hst1_n,hst2_nを記憶しないものであってもよい。
また、本実施例においては、ニュートラルパターン形成は、油圧制御回路40を制御して前進および後進への変速段を成立させなくするものであったが、例えばトルクコンバータ12と自動変速機14との間の入力軸32に動力遮断用のクラッチを設けることにより、動力伝達経路を遮断する構成であってもよい。要するに、ニュートラルパターン形成は、エンジン10の回転を前進・後進に拘わらず遮断できるものであればよい。
また、本実施例では、燃料の燃焼によって動力を発生するエンジン駆動車両であったが、例えば電動モータによって走行する電気自動車、或いは複数の走行用駆動力源を備えているハイブリッド車両など、種々の車両用のシフトバイワイヤ方式のシフト制御装置(走行制御装置)に好適に適用される。すなわち本発明においては、走行用駆動力源や変速機の形式等は特に限定されない。例えば、有段式の変速機に限定されず、変速比γを連続的に変更可能なCVTなどの無段変速機であっても本発明を適用することができる。
また、本実施例においては、自動変速機14が動力伝達経路の一部を構成していたが、この自動変速機14がない車両用動力伝達装置8も考え得る。また、自動変速機14が手動の変速機に置き換わっていてもよい。
また、本実施例においては、車両用動力伝達装置8はFF車両用のものであったが、特に駆動方式に限定は無く、FR車両用や4輪駆動車両用であってもよい。
また、シフトレバー66の形式は、本実施例に限定されず、例えば押しボタン式のスイッチやスライド式スイッチ等の複数種類のシフトポジションを選択可能なスイッチ、或いは手動操作に因らず運転者の音声に反応して複数種類のシフトポジションを切り換えられる装置や足の操作により複数種類のシフトポジションが切り換えられる装置等であっても構わない。すなわち、シフト操作を電気信号に変換可能な構成であれば本発明を適用することができる。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
本発明が好適に適用される車両用動力伝達装置の骨子図である。 図1の自動変速機の複数のギヤ段と摩擦係合要素の係合解放状態との関係を説明する作動表を示す図である。 図1の車両用動力伝達装置が備えている油圧制御回路のうち油圧供給装置およびクラッチC1、C2、ブレーキB1〜B3に関連する部分を示す油圧回路図である。 図3のシフトレバーの操作位置を説明する図である。 図3の油圧回路図においてフェールセーフバルブの近傍を拡大して示す回路図である。 図3の油圧回路図において第2ブレーキコントロールバルブの近傍を拡大して示す回路図である。 図1の車両用動力伝達装置において、運転者によるシフトレバー66の操作に応じて、マニュアルバルブのシフト位置が電気的に切り換えられ自動変速機が変速されるシフトバイワイヤ制御系の制御系統を説明するブロック線図であって、そのシフトバイワイヤ制御系の構成の要部を示す図である。 図7の電子制御装置による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 図7の電子制御装置の制御作動の要部、すなわち、SBW異常信号に基づいてフェールセーフ処理としてのニュートラルパターン形成や自動変速機の変速比の制限を行う制御作動を説明するフローチャートであって、3つのセット図面のうちの第1図目である。 図7の電子制御装置の制御作動の要部、すなわち、SBW異常信号に基づいてフェールセーフ処理としてのニュートラルパターン形成や自動変速機の変速比の制限を行う制御作動を説明するフローチャートであって、3つのセット図面のうちの第2図目である。 図7の電子制御装置の制御作動の要部、すなわち、SBW異常信号に基づいてフェールセーフ処理としてのニュートラルパターン形成や自動変速機の変速比の制限を行う制御作動を説明するフローチャートであって、3つのセット図面のうちの第3図目である。
符号の説明
10:エンジン(走行用駆動力源)
14:自動変速機
104:電子制御装置(走行制御装置)
132:制御状態検出手段
134:通信経路
136:第1経路
138:第2経路
148:駆動力変更手段

Claims (9)

  1. シフトレンジの変更指示に応じて変速されるシフトバイワイヤ制御系の正常状態および異常状態を検出する制御状態検出手段と、車両の駆動力を変更する駆動力変更手段と、前記制御状態検出手段の検出結果を前記駆動力変更手段に伝達する互いに異なる通信経路である第1経路および第2経路とを、有する車両の走行制御装置であって、
    前記駆動力変更手段は、前記シフトバイワイヤ制御系の異常状態を示す前記制御状態検出手段の検出結果を前記第1経路と第2経路との何れか一方を介して受信した場合には、何れの通信経路を介しても前記異常状態を示す検出結果を受信しない場合に対して前記車両の駆動力を低下させる駆動力抑制制御を実行する
    ことを特徴とする車両の走行制御装置。
  2. 前記駆動力変更手段は、前記第1経路と第2経路とのうち他方を介して、前記シフトバイワイヤ制御系の正常状態を示す前記制御状態検出手段の検出結果を受信した場合であっても、前記駆動力抑制制御を実行する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両の走行制御装置。
  3. 前記駆動力抑制制御は、走行用駆動力源から駆動輪への動力伝達経路を遮断することである
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の走行制御装置。
  4. 前記駆動力変更手段は、前記駆動力抑制制御の実行後において前記第1経路または第2経路を介して、前記正常状態を示す検出結果を所定時間継続して受信した場合には、前記駆動力抑制制御を中止する
    ことを特徴とする請求項3に記載の車両の走行制御装置。
  5. 前記駆動力変更手段は、前記駆動力抑制制御の実行開始から予め定められた復帰保留時間が経過した後に、前記駆動力抑制制御を中止する
    ことを特徴とする請求項4に記載の車両の走行制御装置。
  6. 前記駆動力変更手段は、予め定められた復帰許可条件が成立した場合に、前記駆動力抑制制御を中止する
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の車両の走行制御装置。
  7. 前記駆動力変更手段は、前記駆動力抑制制御を中止した後に、該駆動力抑制制御を中止した原因である前記正常状態を示す検出結果を伝達した通信経路を介して、前記異常状態を示す検出結果を受信した場合には、前記駆動力抑制制御の実行を再開する
    ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の車両の走行制御装置。
  8. 前記駆動力変更手段は、前記中止した駆動力抑制制御が、前記第1経路と第2経路との何れの通信経路を介して受信した前記異常状態を示す検出結果に基づいて実行されたものであったかが判る履歴を記憶している
    ことを特徴とする請求項7に記載の車両の走行制御装置。
  9. 前記動力伝達経路の一部を構成する自動変速機が備えられており、
    前記駆動力変更手段は、前記駆動力抑制制御の実行後においてそれを中止した場合には、前記第1経路または第2経路を介して前記異常状態を示す検出結果を受信している限り、前記自動変速機の変速比を予め定められた異常検出時変速比以下にする
    ことを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1項に記載の車両の走行制御装置。
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