JP5035221B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等に搭載される自動変速機の変速制御装置に係る。特に、本発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関の過回転を防止するトルク制限制御が行われる場合における変速制御の改良に関する。
従来より、例えば下記の特許文献1及び特許文献2に開示されているように、ディーゼルエンジン等の内燃機関にあっては、過回転防止のための制御が行われている。
例えば、ディーゼルエンジンの場合、アクセル開度等のパラメータに基づいて燃料噴射量(分割燃料噴射が行われる場合にはメイン噴射での噴射量)が制御され、その燃料噴射量によってエンジントルクが決定されることになる。このため、エンジン回転数が最高許容回転数に近付くと、アクセル開度に関わらず燃料噴射量の減量補正を行って、エンジントルクを強制的に低下させ、これによって、エンジン回転数が最高許容回転数を超えないようにしている。以下、この制御を「トルク制限制御」と呼ぶ。
このようなトルク制限制御を実行する際、アクセル開度が比較的小さい状況(例えばアクセル開度30%)でトルク制限制御が開始された場合には、トルク制限量(燃料噴射量の減量補正により減少するトルク)は比較的小さい。これに対し、アクセル開度が比較的大きい状況(例えばアクセル開度100%)でトルク制限制御が開始された場合には、上記トルク制限量は比較的大きいものとなる。
以下、図9を用いて具体的に説明する。この図9は、ディーゼルエンジンにおける各アクセル開度(アクセル開度30%、50%、100%)毎のエンジン回転数とエンジントルクとの関係を示している。この図9から判るように、ディーゼルエンジンにあっては、エンジン回転数の低回転域ではエンジン回転数の上昇に伴ってエンジントルクが次第に上昇していき、中回転域において最大トルクに達し、高回転域ではエンジン回転数の上昇に伴ってエンジントルクが次第に低下していく。
今、エンジン回転数が上昇していく場合を考える。エンジン回転数が中回転域から高回転域に達すると、その回転数の上昇に従ってエンジントルクは低下していくと共に、その回転数は最高許容回転数に近付いていく。このため、エンジン回転数が最高許容回転数に達しないように、予め、カットオフ回転数が設定されている。このカットオフ回転数は、上記トルク制限制御の開始時期を規定するためのものである。従って、何れのアクセル開度においても、エンジン回転数がカットオフ回転数に達すると、燃料噴射量の減量補正が行われ、エンジントルクが強制的に低下させられる。そして、図中に示すカットオフラインを超えないように燃料噴射量の減量補正が行われる。この図9に示すものでは、燃料噴射量が所定量まで減量補正されることで、アクセル開度に関わりなくエンジントルクは、図中のカットオフライン上の点Aに収束するようになっている。
特開2000−186601号公報 特開2006−83829号公報 特開2004−150115号公報 特開2005−273468号公報
ところで、一般に、自動変速機の変速時には、その変速制御に使用する入力トルク情報(イナーシャ相開始以降の変速制御に使用する入力トルク情報)を、変速開始時点での入力トルク情報として継続的にホールドしている。
その理由は、変速途中でのトルクダウンの実施により、入力トルク情報の精度が低下してしまうことを回避するためである。また、回転数変化に伴ってエンジントルクも変動することになり、入力トルクを基準に制御する油圧制御の安定性が悪化してしまうことを回避するためである。
上記図9を用いて説明した動作は、自動変速機の変速段(変速比)が変化しない場合である。
ところが、上述したトルク制限制御の実行中に自動変速機の変速比が小さくなるアップシフトが行われた場合、その変速比の変更(変速比が小さくなる)に伴ってエンジン回転数は低下することになる。そして、エンジン回転数がカットオフ回転数未満まで低下してトルク制限制御が解除されると、上記燃料噴射量は、元の噴射量、つまり、アクセル開度に従った噴射量に復帰することになる。
即ち、アップシフト前は、アクセル開度に関わらず、略一律の低いエンジントルクであったものが、アップシフト後には、アクセル開度に従ったエンジントルクに復帰することになる。このため、アクセル開度が比較的小さい場合には、トルク制限制御が解除された後のエンジントルク上昇量は比較的小さいのに対し、アクセル開度が比較的大きい場合には、トルク制限制御が解除された後のエンジントルク上昇量は非常に大きくなる。
具体的に、図9において、アクセル開度が30%であった場合のアップシフトに伴うトルク制限制御解除時のエンジントルク上昇量は図中のT1である。これに対し、アクセル開度が50%であった場合のアップシフトに伴うトルク制限制御解除時のエンジントルク上昇量は図中のT2である。更に、アクセル開度が100%であった場合のアップシフトに伴うトルク制限制御解除時のエンジントルク上昇量は図中のT3である。このように、アクセル開度が大きいほど、トルク制限制御が解除された後のエンジントルク上昇量は大きくなる。
本発明の発明者は、このように、トルク制限制御が解除されたことによるエンジントルク上昇が、上記自動変速機の変速動作に悪影響を及ぼすことについて着目した。
つまり、上述した如く自動変速機の変速時には入力トルク情報がホールドされる。即ち、トルク制限制御の実行中に変速要求がなされた場合には、トルク制限制御中の入力トルク情報がホールドされることになる。しかしながら、上記変速が開始された場合、上述した如くトルク制限制御の解除に伴ってエンジントルクが上昇するため、上記ホールドされた入力トルク情報と、実際のエンジントルクとの間に大きな乖離が生じることになる。
このため、実際のエンジントルク(変速機の入力トルク)が大きいにも拘わらず、入力トルク情報としては小さなトルク(情報がホールドされたトルク)となっている。その結果、変速時におけるクラッチのトルク容量が不足し、変速に要する時間が長期化してしまうことになる。
一般に、変速開始後、所定時間を経過しても変速が完了しない場合には、クラッチの保護を図るためにクラッチに供給する係合油圧を強制的に上昇させて変速を完了させている。この場合、上述した如くクラッチのトルク容量が不足した状態から係合油圧が強制的に上昇することになり、変速機の出力トルクが急上昇し、大きな変速ショックを招いてしまって乗員に違和感を与えてしまうことになる。
また、上記各特許文献にあっても、上記トルク制限制御の解除に伴ってエンジントルクが上昇することで、上記ホールドされた入力トルク情報と、実際のエンジントルクとの間に大きな乖離が生じることに関しては何ら解決手段は開示されていない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内燃機関の過回転を防止するためのトルク制限制御が行われる場合に、ホールドされた入力トルク情報と、実際のエンジントルクとの間に大きな乖離が生じることによる不具合を解消可能な自動変速機の変速制御装置を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、内燃機関の回転数が、上記トルク制限制御が実行される比較的高回転にある場合に限り、上記入力トルク情報(変速動作時における摩擦係合要素のトルク容量を調整するための情報)をホールドすることなく、実際の入力トルクをリアルタイムに反映させていくようにしている。これにより、アップシフト動作に伴って入力トルクの急上昇が発生した場合でも、摩擦係合要素のトルク容量を入力トルクに適した値に調整できるようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、機関回転数が所定のトルク制限開始回転数に達した場合にトルク制限制御を実行すると共に機関回転数が所定のトルク制限終了回転数を下回った場合にトルク制限制御を解除する内燃機関に接続され、且つ変速動作時に、その変速開始時または変速開始初期時における入力トルク情報をホールドし、そのホールドした入力トルク情報に従って摩擦係合要素のトルク容量を調整しながら自動変速が可能とされた自動変速機の変速制御装置を前提とする。この自動変速機の変速制御装置に対し、上記機関回転数が上記トルク制限開始回転数に達した状態で変速比を小さくする変速動作が開始されて機関回転数が上記トルク制限終了回転数を下回る場合、上記入力トルク情報のホールドを行うことなく、入力トルクの変化に従って入力トルク情報を変更し、その入力トルク情報に基づいて摩擦係合要素のトルク容量を調整していく摩擦係合要素制御手段を備えさせている。
この場合、上記摩擦係合要素制御手段は、入力トルク情報における入力トルクの値が大きいほど摩擦係合要素のトルク容量を高く設定することになる。
ここで、上記「トルク制限開始回転数」と「トルク制限終了回転数」とは同一回転数であってもよいし、互いに異なる回転数であってもよい。
この特定事項により、上記機関回転数が上記トルク制限開始回転数よりも低い場合には、変速動作時に、変速開始時または変速開始初期時における入力トルク情報をホールドし、そのホールドした入力トルク情報に従って摩擦係合要素のトルク容量を調整しながら自動変速を行う。これにより、安定した入力トルク情報に従った自動変速が可能となる。
一方、上記機関回転数が上記トルク制限開始回転数に達した状態で変速比を小さくする変速動作が開始された場合には、入力トルクの変化に従って入力トルク情報を変更していきながら、その入力トルク情報に基づいて摩擦係合要素のトルク容量を調整していくといった自動変速が行われることになる。このため、仮にアクセル開度が大きい状態でトルク制限制御が解除され、内燃機関のトルクが急上昇するような状況となっても、そのトルク変化に応じた摩擦係合要素のトルク容量を得ることができ(内燃機関のトルクが大きいほど、摩擦係合要素のトルク容量を大きくする制御が可能となり)、変速に要する時間が長期化してしまうことが回避される。その結果、変速機の出力トルクの急上昇がなくなり、変速ショックを防止することが可能になる。
上記摩擦係合要素制御手段によるトルク容量の調整動作としては、アクセル開度が所定開度よりも大きい状況において、変速比を小さくする変速動作が開始され、機関回転数がトルク制限終了回転数を下回ってトルク制限制御が解除される場合に、上記入力トルク情報のホールドを行うことなく、入力トルクの変化に従って入力トルク情報を変更し、その入力トルク情報に基づいて摩擦係合要素のトルク容量を調整していくことが挙げられる。
つまり、アクセル開度が比較的小さい場合には、トルク制限制御が解除されたとしても入力トルクの変化量(入力トルクの上昇量)は僅かであるので、入力トルク情報をホールドした自動変速を行う。一方、アクセル開度が比較的大きい場合には、トルク制限制御が解除された場合の入力トルクの変化量(入力トルクの上昇量)は大きいため、この場合に限り、入力トルク情報のホールドを行うことなく、入力トルクの変化に従って入力トルク情報を変更し、その入力トルク情報に基づいた自動変速を行う。これにより、入力トルク情報のホールドを解除する変速動作を必要最小限に抑えることができ、入力トルク情報をホールドすることによる上記効果を十分に得ることができる。
本発明では、内燃機関の回転数が、トルク制限制御が実行される比較的高回転にある場合に限り、トルク制限制御の解除時に、入力トルク情報をホールドすることなく、入力トルクをリアルタイムに反映させた変速動作を行うようにしている。これにより、アップシフト動作に伴って入力トルクの急上昇が発生した場合でも、その入力トルクに応じたトルク容量で摩擦係合要素を作動させることができる。その結果、変速に要する時間が長期化してしまうことが回避され、変速機の出力トルクの急上昇がなくなり変速ショックを防止できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、前進6速の変速が可能な自動変速機を搭載したFF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に本発明を適用した場合について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両に搭載された動力伝達装置8のスケルトン図である。また、図2は、この動力伝達装置8に備えられた車両用自動変速機(以下、単に自動変速機という)10において複数の変速段を成立させる際の摩擦係合要素(クラッチ及びブレーキ)の作動状態を示す作動表である。
この自動変速機10は、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置12を主体として構成されている第1変速部14と、ダブルピニオン型の第2遊星歯車装置16及びシングルピニオン型の第3遊星歯車装置18を主体としてラビニヨ型に構成されている第2変速部20とを同軸線上に有し、入力軸22の回転を変速して出力回転部材24から出力する。
上記入力軸22は、入力部材に相当するものであり、本実施形態では走行用の動力源であるエンジン28によって回転駆動されるトルクコンバータ30のタービン軸である。また、上記出力回転部材24は、自動変速機10の出力部材に相当するものであり、図4に示す差動歯車装置34に動力を伝達するためにデフドリブンギヤ(大径歯車)36と噛み合う出力歯車すなわちデフドライブギヤとして機能している。
上記エンジン28の出力は、トルクコンバータ30、自動変速機10、差動歯車装置34、及び1対の車軸38,38を介して1対の駆動輪(前輪)40,40へ伝達されるようになっている。なお、この自動変速機10は中心線に対して略対称的に構成されており、図1ではその中心線の下半分を省略している。
上記エンジン28は、気筒内噴射される燃料の燃焼によって駆動力を発生させるディーゼルエンジン等の内燃機関である。また、上記トルクコンバータ30は、上記エンジン28のクランク軸に連結されたポンプインペラ30aと、上記自動変速機10の入力軸22に連結されたタービンランナ30bと、一方向クラッチを介して上記自動変速機10のハウジング(変速機ケース)26に連結されたステータ30cとを備えており、上記エンジン28により発生した動力を上記自動変速機10へ流体を介して伝達する流体伝動装置である。また、上記ポンプインペラ30a及びタービンランナ30bの間には、直結クラッチであるロックアップクラッチ32が設けられており、油圧制御等により係合状態、スリップ状態、或いは解放状態とされるようになっている。このロックアップクラッチ32が完全係合状態とされた場合には、上記ポンプインペラ30a及びタービンランナ30bが一体回転することになる。
図2に示す作動表は、上記自動変速機10において成立する各変速段とクラッチC1,C2、ブレーキB1,B2,B3の作動状態との関係をまとめたものである。図中の「○」は係合、「◎」はエンジンブレーキ時に作動、「△」は駆動時にのみ作動、「空欄」は解放をそれぞれ表している。上記自動変速機10に備えられたクラッチC1,C2、及びブレーキB1,B2,B3(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBという)は、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合要素である。また、これらクラッチC及びブレーキBは、図3を用いて後述する油圧制御回路42のリニアソレノイドバルブSL1〜SL5の励磁、非励磁や電流制御により、係合、解放状態が切り換えられると共に、係合、解放時の過渡油圧などが制御されるようになっている。
上記自動変速機10では、上記第1変速部14及び第2変速部20の各回転要素(サンギヤS1〜S3、キャリアCA1〜CA3、リングギヤR1〜R3)の連結状態の組み合わせに応じて第1変速段「1st」〜第6変速段「6th」の6つの前進変速段が成立させられると共に、後進変速段「R」が成立させられる。
以下、自動変速機10のギヤレイアウトについて具体的に説明する。
第1変速部14を構成している第1遊星歯車装置12は、サンギヤS1、キャリアCA1、及び、リングギヤR1の3つの回転要素を備えており、サンギヤS1が入力軸22に連結されている。更に、サンギヤS1は、リングギヤR1が第3ブレーキB3を介してハウジング26に固定されることにより、キャリヤCA1を中間出力部材として回転するようになっている。
第2変速部20を構成している第2遊星歯車装置16及び第3遊星歯車装置18においては、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1〜RM4が構成されている。
具体的には、第2遊星歯車装置16のサンギヤS2によって第1回転要素RM1が構成されており、第2遊星歯車装置16のリングギヤR2及び第3遊星歯車装置18のリングギヤR3が互いに連結されて第2回転要素RM2が構成されている。更に、第2遊星歯車装置16のキャリアCA2及び第3遊星歯車装置18のキャリアCA3が互いに連結されて第3回転要素RM3が構成されている。また、第3遊星歯車装置18のサンギヤS3によって第4回転要素RM4が構成されている。
上記第2遊星歯車装置16及び第3遊星歯車装置18は、キャリアCA2及びCA3が共通の部材にて構成されているとともに、リングギヤR2及びR3が共通の部材にて構成されている。更に、第3遊星歯車装置18のピニオンギヤが第2遊星歯車装置16の第2ピニオンギヤを兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされている。
第1回転要素RM1(サンギヤS2)は、中間出力部材である第1遊星歯車装置12のキャリアCA1に一体的に連結されており、第1ブレーキB1によってハウジング26に選択的に連結されて回転停止される。第2回転要素RM2(リングギヤR2及びR3)は、第2クラッチC2を介して入力軸22に選択的に連結される一方、ワンウェイクラッチF1及び第2ブレーキB2を介してハウジング26に選択的に連結されて回転停止される。
第3回転要素RM3(キャリアCA2及びCA3)は出力回転部材24に一体的に連結されている。第4回転要素RM4(サンギヤS3)は、第1クラッチC1(発進用摩擦係合要素)を介して入力軸22に選択的に連結される。
以上の自動変速機10では、摩擦係合要素である第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第3ブレーキB3、及び、ワンウエイクラッチF1などが、所定の状態に係合または解放されることによって変速段(ギヤ段)が設定される。
図2の作動表に示すように、例えば前進変速段では、クラッチC1及びブレーキB2の係合により第1変速段「1st」が、クラッチC1及びブレーキB1の係合により第2変速段「2nd」が、クラッチC1及びブレーキB3の係合により第3変速段「3rd」が、クラッチC1及びクラッチC2の係合により第4変速段「4th」が、クラッチC2及びブレーキB3の係合により第5変速段「5th」が、クラッチC2及びブレーキB1の係合により第6変速段「6th」が、それぞれ成立させられるようになっている。
また、ブレーキB2及びブレーキB3の係合により後進変速段「Rev」が成立させられ、クラッチC、ブレーキBのいずれもが解放されることによりニュートラル状態となるように構成されている。
このようなクラッチC1,C2及びブレーキB1,B2,B3の切り換え動作により各変速段が成立するようになっており、特に、第2変速段「2nd」と第3変速段「3rd」との間での切り換え動作、第3変速段「3rd」と第4変速段「4th」との間での切り換え動作、第4変速段「4th」と第5変速段「5th」との間での切り換え動作、第5速変速段「5th」と第6変速段「6th」との間での切り換え動作それぞれにあっては、ある1つの摩擦係合要素(クラッチ或いはブレーキ)を解放すると共に他の1つの摩擦係合要素(クラッチ或いはブレーキ)を係合させるクラッチツークラッチ変速となっている。
本実施例の自動変速機10では、第1変速段「1st」を成立させるブレーキB2には並列に一方向クラッチF1が設けられているため、発進時(加速時)には必ずしもブレーキB2を係合させる必要は無いものとなっている。また、各変速段の変速比は、第1遊星歯車装置12、第2遊星歯車装置16、及び第3遊星歯車装置18の各ギヤ比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。
また、自動変速機10の入力軸22の回転数(タービン回転数)はタービン回転数センサ70によって検出される。自動変速機10の出力回転部材24の回転数は車速センサ(出力軸回転数センサ)58によって検出される。これらタービン回転数センサ70及び車速センサ58の出力信号から得られる回転数の比(出力回転数/入力回転数)に基づいて、自動変速機10の現在の変速段を判定することができる。
図3は、上記動力伝達装置8に備えられた油圧制御回路42のうちリニアソレノイドバルブSL1,SL2,SL3,SL4,SL5に関する部分を示す回路図である。この図3に示すように、上記油圧制御回路42では、ライン油圧PLを元圧としてリニアソレノイドバルブSL1〜SL5により電子制御装置44からの指令信号に応じた油圧が調圧され、上記自動変速機10に備えられたクラッチC1,C2、ブレーキB1,B2,B3の各油圧アクチュエータ(油圧シリンダ等)AC1,AC2,AB1,AB2,AB3にそれぞれ係合圧が供給されるようになっている。このライン油圧PLは、上記エンジン28によって回転駆動される機械式のオイルポンプや電動オイルポンプからの出力圧から図示しないリリーフ型調圧弁等により、アクセル操作量(以下、アクセル開度という場合もある)ACCで表されるエンジン負荷等に応じた値に調圧されるようになっている。また、上記リニアソレノイドバルブSL1〜SL5は、基本的には何れも同じ構成とされたものであり、各リニアソレノイドバルブSL1〜SL5からの出力圧(係合圧) は、ソレノイドの電磁力に従って入力ポートと出力ポート又はドレーンポートとの間の連通状態が変化させられることにより出力圧が調圧制御され、上記油圧アクチュエータAC1,AC2,AB1,AB2,AB3に供給される。このようにして、各リニアソレノイドバルブSL1〜SL5にそれぞれ備えられたソレノイドは、電子制御装置44により独立に励磁され、各油圧アクチュエータAC1,AC2,AB1,AB2,AB3の油圧(係合圧)が独立に調圧制御されるようになっている。
図4は、上記動力伝達装置8等を制御するために車両に設けられた電気的な制御系統を説明するブロック図である。この図4に示す電子制御装置44は、例えばROM、RAM、CPU、入出力インターフェースなどを含む所謂マイクロコンピュータである。CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って入力信号を処理することで、上記動力伝達装置8に関する種々の制御等を実行する。
また、所謂アクセル開度として知られるアクセルペダル46の操作量ACCがアクセル操作量センサ48により検出されると共に、そのアクセル操作量ACCを表す信号が電子制御装置44に供給されるようになっている。このアクセルペダル46は、運転者の出力要求量に応じて踏み込み操作されるものであり、アクセル操作部材に相当し、アクセル操作量ACCは出力要求量に相当する。また、上記エンジン28の吸気配管には電子スロットル弁(ディーゼルスロットル)74が設けられており、上記電子制御装置44により制御されるスロットルアクチュエータ76によってスロットル開度θTHが変化させられるようになっている。また、上記エンジン28には、燃料噴射量制御のための燃料噴射弁(インジェクタ)78が設けられており、上記電子制御装置44により燃料噴射弁78による燃料噴射量の制御が行われるようになっている。
また、上記動力伝達装置8には、上記エンジン28の回転速度(エンジン回転数)NEを検出するためのエンジン回転速度センサ50、エンジン28の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量センサ(エアフローメータ)52、吸入空気の温度TAを検出するための吸入空気温度センサ54、電子スロットル弁74の開度θTHを検出するためのスロットルセンサ56、車速V(出力回転部材24の回転速度(回転数)NOUTに対応)を検出するための車速センサ58、エンジン28の冷却水温TWを検出するための冷却水温センサ60、常用ブレーキであるフットブレーキペダル62の操作の有無を検出するためのブレーキスイッチ64、シフトレバー66のレバーポジション(操作位置)PSHを検出するためのレバーポジションセンサ68、タービン回転速度(タービン回転数、自動変速機10の入力軸回転数)NTを検出するためのタービン回転数センサ70、油圧制御回路42内の作動油の温度であるAT油温TOILを検出するためのAT油温センサ72等が設けられている。
それらのセンサやスイッチから、エンジン回転速度NE、吸入空気量Q、吸入空気温度TA、スロットル開度θTH、車速V、エンジン冷却水温TW、ブレーキ操作の有無、シフトレバー66のレバーポジションPSH、タービン回転速度NT、AT油温TOILなどを表す信号が電子制御装置44に供給されるようになっている。なお、上記タービン回転速度NTは、上記自動変速機10の入力軸22の回転速度(入力軸回転速度NIN)に等しい。
上記電子制御装置44は、基本的な制御として、アクセル操作量ACC(%)等の各種パラメータに基づいて燃料噴射タイミング(パイロット噴射やメイン噴射やアフター噴射等の噴射タイミング)や燃料噴射量の制御を行う。また、図5に示すような予め記憶された関係から実際のアクセル操作量ACC(%)と車速V(km/h)等とに基づいて上記自動変速機10のギヤ段を自動的に切り換える変速制御を行う。更に、予め記憶された関係から車速V及びアクセル操作量ACC等に基づいて上記トルクコンバータ30に備えられたロックアップクラッチ32の係合、解放、或いはスリップを実行する制御を行う。
図6は、上記シフトレバー66を備えたシフト操作装置82を説明する図である。このシフト操作装置82は例えば運転席の横に配設されており、そのシフト操作装置82に備えられたシフトレバー66は、5つのレバーポジション「P」、「R」、「N」、「D」、又は「S」へ手動操作されるようになっている。「P」ポジションは上記自動変速機10内の動力伝達経路を解放し且つメカニカルパーキング機構によって機械的に出力回転部材24の回転を阻止(ロック)するための駐車位置である。「R」ポジションは上記自動変速機10の出力回転部材24の回転方向を逆回転とするための後進走行位置である。「N」ポジションは上記自動変速機10内の動力伝達経路を解放するための動力伝達遮断位置である。「D」ポジションは上記自動変速機10の第1変速段〜第6変速段の変速を許容する変速範囲(Dレンジ)で自動変速制御を実行させる前進走行位置である。「S」ポジションはシフトレバー66の手動操作によって変速段を切り換え可能な前進走行位置である。この「S」ポジションにおいては、上記シフトレバー66の操作毎に変速段をアップ側にシフトさせるための「+」ポジション、シフトレバー66の操作毎に変速段をダウン側にシフトさせるための「−」ポジションが備えられている。
図5は、自動変速機10による変速動作を制御するために、上記ROMに予め記憶された変速線図(変速マップ)である。この変速線図から実際のアクセル操作量ACC(%)又はスロットル開度θTH(%)と車速V(km/h)とに基づいて上記自動変速機10の変速を判断し、この判断された変速段及び係合状態が得られるように上記油圧制御回路42に備えられたリニアソレノイドバルブSL1〜SL5を制御する。
具体的には、上記電子制御装置44は、車速センサ58の出力信号から車速Vを算出するとともに、アクセル操作量センサ48の出力信号からアクセルペダル46の操作量ACCを算出し、それら車速V及びアクセル操作量ACCに基づいて、図5の変速線図を参照して目標ギヤ段を算出する。更に、タービン回転数センサ70及び車速センサ58の出力信号から得られる回転数の比(出力回転数/入力回転数)を求めて現在ギヤ段を判定し、その現在ギヤ段と目標ギヤ段とを比較して変速操作が必要であるか否かを判定する。
その判定結果により、変速の必要がない場合(現在ギヤ段と目標ギヤ段とが同じで、ギア段が適切に設定されている場合)には、現在ギヤ段を維持するソレノイド制御信号(油圧指令信号)を自動変速機10の油圧制御回路42に出力する。
一方、現在ギヤ段と目標ギヤ段とが異なる場合には変速制御を行う。例えば、自動変速機10のギヤ段が「2速」の状態で走行している状況から、車両の走行状態が変化して、例えば図5に示す点Aから点Bに変化した場合、アップシフト変速線[2→3]を跨ぐ変化となるので、変速線図から算出される目標ギヤ段が「3速」となり、その3速のギヤ段を設定するソレノイド制御信号(油圧指令信号)を自動変速機10の油圧制御回路42に出力して、2速のギヤ段から3速のギヤ段への変速(2→3アップ変速)を行う。
−トルク制限制御−
次に、上記エンジン28において実施されるトルク制限制御について説明する。このトルク制限制御は、上記エンジン回転速度センサ50によって検出されているエンジン28の回転数NEが最高許容回転数に近付くと、アクセル操作量(アクセル開度)ACCに関わらず、つまり、運転者のトルク要求に関わらず、燃料噴射弁78からの燃料噴射量の減量補正を行って、エンジントルクを強制的に低下させ、これによって、エンジン回転数が最高許容回転数を超えないようにするための制御である。
具体的には、エンジン28の保護を図るべくエンジン回転数が最高許容回転数に達しないように、予め、カットオフ回転数(本発明でいうトルク制限開始回転数及びトルク制限終了回転数)が設定されている。このカットオフ回転数は、図9を用いて既に説明したように、上記トルク制限制御の開始時期を規定するためのものであり、何れのアクセル開度においても、エンジン回転数がカットオフ回転数に達すると、燃料噴射量の減量補正が行われ、エンジントルクが強制的に低下させられる。そして、図9中に示すカットオフラインを超えないように燃料噴射量の減量補正が行われる。このトルク制限制御が継続された場合、例えば、アップシフトが行われることなくトルク制限制御が継続した場合、燃料噴射量が所定量まで減量補正されることで、アクセル開度に関わりなくエンジントルクは、図9中のカットオフライン上の点Aに収束するようになっている。
−アップシフト変速制御−
次に、本実施形態の特徴とする動作であるアップシフト変速制御について説明する。
上記自動変速機10において、上記トルク制限制御の実行中に自動変速機10の変速比が小さくなるアップシフトが行われた場合(例えば、上記シフトレバー66の手動操作によってアップシフトされた場合)、その変速比の変更(変速比が小さくなる)に伴ってエンジン回転数NEは低下することになる。このエンジン回転数NEの低下により、そのエンジン回転数NEがカットオフ回転数を下回ってトルク制限制御が解除されると、上記燃料噴射量は、元の噴射量、つまり、アクセル開度に従った噴射量に復帰することになる。
即ち、アップシフト前は、アクセル開度に関わらず、略一律の低いエンジントルクであったものが(例えば図9におけるカットオフライン上の点Aにあったものが)、アップシフト後には、アクセル開度に比例したエンジントルクに復帰することになる。このため、アクセル開度が比較的小さい場合には、トルク制限制御が解除された後のエンジントルク上昇量は比較的小さいのに対し(図9におけるトルク上昇量T1を参照)、アクセル開度が比較的大きい場合には、トルク制限制御が解除された後のエンジントルク上昇量は非常に大きくなる(図9におけるトルク上昇量T3を参照)。このため、従来の如く変速時に入力トルク情報をホールドするものにあっては、変速が開始された場合、上述した如くトルク制限制御の解除に伴ってエンジントルクが上昇するため、上記ホールドされた入力トルク情報と、実際のエンジントルクとの間に大きな乖離が生じることになる。そして、所定時間内に変速を完了させるべく、変速途中でクラッチCやブレーキBに供給する係合油圧を強制的に上昇させることになるため、変速機の出力トルクが急上昇し、大きな変速ショックを招いてしまっていた。
本実施形態のアップシフト変速制御は、この変速ショックを防止するべく、トルク制限制御の実行中にアップシフト動作が開始された場合、上記入力トルク情報のホールドを行うことなく、入力トルクの変化に従って入力トルク情報を変更していき、その入力トルク情報に基づいてクラッチCやブレーキBのトルク容量を調整していくようにしている(摩擦係合要素制御手段によるトルク容量調整制御)。
以下、本実施形態に係るパワーオンアップシフト変速制御の手順を図7のフローチャートに沿って説明する。この図7に示した制御ルーチンは、エンジン28の起動後、所定時間毎に繰り返して実行される。
先ず、ステップST1において、パワーオンアップシフト制御の実行中であるか否かを判定する。ここでは、例えば、アクセル操作量センサ48の出力信号からアクセルペダル46の操作量ACCを算出し、その操作量ACCが所定量(例えばアクセル開度20%)以上であって、エンジントルクが発生している(エンジンが被駆動状態ではない)こと、及び、上記図5の変速線図に従って行われる変速動作が、現在、アップシフト側への変速動作中であることが共に認識された場合や、シフトレバー66の手動操作によってアップシフトされた場合に、このステップST1でYES判定される。尚、上記アクセル操作量ACCの所定量としては上記値に限定されるものではない。
パワーオンアップシフト制御の実行中でない場合には、ステップST1でNO判定され、本制御ルーチンを一旦終了する。
一方、パワーオンアップシフト制御の実行中である場合には、ステップST1でYES判定され、ステップST2に移る。このステップST2では、上記エンジン回転速度センサ50によって検出されているエンジン回転数NEが所定のカットオフ回転数を超えているか否かを判定する。このカットオフ回転数は、エンジン28の最高許容回転数よりも僅かに低い回転数(例えば500rpm程度低い回転数)として設定されている。例えば、エンジン28の最高許容回転数が8000rpmである場合、カットオフ回転数は7500rpmに設定される。これら値はこれに限定されるものではない。
上記エンジン回転数NEがカットオフ回転数を超えていない場合には、ステップST2でNO判定され、ステップST3に移る。
ステップST3では、従来と同様に、入力トルク情報がホールド(変速開始時または変速開始初期時における自動変速機10の入力トルクが変速制御用の入力トルク情報としてホールド)され、このホールドされた入力トルク情報に従って自動変速機10のクラッチへの供給油圧が調整されることになる。この入力トルク情報のホールドは、変速途中でのトルクダウンの実施により、入力トルク情報の精度が低下してしまうことを回避するためである。また、回転変化に伴ってエンジントルクも変動することになり、入力トルクを基準に制御する油圧制御の安定性が低下してしまうことを回避するためでもある。この入力トルク情報のホールドによって、エンジン回転数NEがカットオフ回転数を超えていない運転領域にあっては、安定した入力トルク情報に従った自動変速が可能となる。
そして、この入力トルク情報をホールドした状態で変速制御が終了した場合にはステップST5においてYES判定され、本パワーオンアップシフト変速制御を終了する。
一方、上記ステップST2の判定において、エンジン回転数NEがカットオフ回転数を超えている場合には、ステップST2でYES判定され、ステップST4に移る。
このステップST4では、入力トルク情報のホールドを解除し、入力トルクの変化に従って入力トルク情報を変更していきながら、その入力トルク情報に基づいてクラッチCやブレーキBのトルク容量を調整していくといった自動変速が行われることになる。つまり、上述した如く、アクセル開度が比較的大きい状況で、トルク制限制御が解除された場合、その解除後のエンジントルク上昇量は非常に大きくなるので、この上昇するエンジントルク(自動変速機10の入力トルク)に応じてクラッチCやブレーキBのトルク容量も大きくなるように供給油圧を高く設定するような油圧調整動作が行われる。このため、仮にアクセル開度が大きい状態でアップシフトが行われてトルク制限制御が解除され、エンジン28のトルクが急上昇するような状況となっても、そのトルクに応じたクラッチCやブレーキBのトルク容量(入力トルクに応じた大きなトルク容量)を得ることができ、変速に要する時間が長期化してしまうことが回避される。その結果、自動変速機10の出力トルクの急上昇がなくなり、変速ショックを防止することが可能になる。
そして、このようにして入力トルクの変化に従って入力トルク情報を変更していきながら、その入力トルク情報に基づいてクラッチCやブレーキBのトルク容量を調整していくといった自動変速が終了した場合にはステップST5においてYES判定され、本パワーオンアップシフト変速制御を終了する。
図8は、トルク制限制御の実行中にアップシフト動作が開始された場合(例えば「2速」から「3速」へのクラッチツークラッチ変速が行われた場合)におけるタービン回転数、自動変速機10の出力トルク、変速制御用の入力トルク情報、油圧指令値の変化を示すタイミングチャートである。この図8では、従来の変化、つまり入力トルク情報をホールドする場合の変化を破線で示し、本実施形態の変化、つまり入力トルク情報のホールドを解除した場合の変化を実線で示している。
図8の破線で示すように、従来では、トルク制限制御の実行中にアップシフト動作が開始されたことで、エンジントルクが急上昇しているにも拘わらず、入力トルク情報がホールドされていたために油圧指令値が低い状態が維持され、クラッチのトルク容量不足に起因して所定時間を経過しても変速が完了しない状況を招いていた。そして、クラッチCやブレーキBの保護を図るために、変速開始から所定時間経過後(図中のタイミングT0)にクラッチCやブレーキBに供給する係合油圧を強制的に上昇させていた。このため、自動変速機10の出力トルクが急上昇し、大きな変速ショックを招いてしまって乗員に違和感を与えてしまっていた(図中に一点鎖線で囲んだX部分を参照)。
これに対し、本実施形態では、入力トルク情報をホールドすることなく、トルク制限制御の実行中にアップシフト動作が開始されたことで、エンジントルクが急上昇している場合には、自動変速機10の入力トルクの上昇分に応じた油圧指令値を出力し、クラッチのトルク容量を高く設定するような係合油圧が得られることになる。このため、変速動作を短期間で完了(図8におけるタイミングT1)することができ、大きな変速ショックを招くといったこともなくなる。
(変形例)
次に、本発明の変形例について説明する。上記実施形態では、アクセル開度に関わりなく、エンジン回転数NEがカットオフ回転数を超えている状態でアップシフトされてトルク制限制御が解除された場合には、入力トルク情報のホールドを解除し、入力トルクの変化に従って入力トルク情報を変更していきながら自動変速を行うようにしていた。
本変形例は、それに代えて、アクセル開度が所定量以上(例えば40%以上)である場合に限り、エンジン回転数NEがカットオフ回転数を超えている状態でアップシフトされてトルク制限制御が解除された場合に、入力トルク情報のホールドを解除し、入力トルクの変化に従って入力トルク情報を変更していきながら自動変速を行うようにするものである。上記アクセル開度の所定量は上記値に限定されるものではない。
このように、アクセル開度が所定量以上である場合に限り、本発明の制御(入力トルク情報のホールドを解除して自動変速を行う制御)を実施することにより、以下の作用効果を得ることができる。
つまり、アクセル開度が比較的小さい場合には、トルク制限制御が解除されたとしても入力トルクの変化量(入力トルクの上昇量)は僅かである(図9におけるエンジントルク上昇量T1を参照)。このため、この場合には、入力トルク情報をホールドする従来の制御を実行しても大きな変速ショックを招くことはない。
これに対し、アクセル開度が比較的大きい場合には、トルク制限制御が解除された場合の入力トルクの変化量(入力トルクの上昇量)は大きい(図9におけるエンジントルク上昇量T3を参照)。このため、この場合に限り、入力トルク情報のホールドを行うことなく、自動変速機10の入力トルクの変化に従って入力トルク情報を変更し、その入力トルク情報に基づいた自動変速を行うようにする。
本変形によれば、入力トルク情報のホールドを解除する変速動作を必要最小限に抑えることができる。つまり、アクセル開度が比較的小さく、トルク制限制御が解除されても大きな変速ショックを招くことがないにも拘わらず入力トルク情報のホールドを解除するといった状況が回避される。このため、入力トルク情報をホールドすることによる上記効果を十分に得ることが可能である。
−他の実施形態−
以上説明した実施形態及び変形例は、前進6速の変速が可能な自動変速機10を搭載したFF型車両に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、前進5速や前進8速等の変速が可能な自動変速機を搭載した車両や、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両や4輪駆動車に適用することも可能である。
また、上述した実施形態及び変形例では、ディーゼルエンジンを搭載した車両に本発明を適用した場合について説明したが、ガソリンエンジン等の他のエンジンを搭載した車両に対しても本発明は適用可能である。また、車両の動力源については、エンジン(内燃機関)のほか、電動モータ、あるいはエンジンと電動モータの両方を備えているハイブリッド形動力源であってもよい。
実施形態に係る車両に搭載された動力伝達装置のスケルトン図である。 自動変速機の作動表を示す図である。 油圧制御回路のうちリニアソレノイドバルブに関する部分を示す油圧回路図である。 動力伝達装置及びエンジンを制御するために車両に設けられた電気的な制御系統を示すブロック図である。 自動変速機の変速線図である。 シフト操作装置を示す図である。 実施形態に係る変速制御の手順を示すフローチャート図である。 トルク制限制御の実行中にアップシフト動作が開始された場合におけるタービン回転数、自動変速機の出力トルク、変速制御用入力トルク情報、油圧指令値それぞれの変化を示すタイミングチャート図である。 ディーゼルエンジンにおける各アクセル開度毎のエンジン回転数とエンジントルクとの関係を示す図である。
符号の説明
10 自動変速機
28 エンジン(内燃機関)
46 アクセルペダル
48 アクセル操作量センサ
C1,C2 クラッチ(摩擦係合要素)
B1〜C3 ブレーキ(摩擦係合要素)

Claims (3)

  1. 機関回転数が所定のトルク制限開始回転数に達した場合にトルク制限制御を実行すると共に機関回転数が所定のトルク制限終了回転数を下回った場合にトルク制限制御を解除する内燃機関に接続され、且つ変速動作時に、その変速開始時または変速開始初期時における入力トルク情報をホールドし、そのホールドした入力トルク情報に従って摩擦係合要素のトルク容量を調整しながら自動変速が可能とされた自動変速機の変速制御装置において、
    上記機関回転数が上記トルク制限開始回転数に達した状態で変速比を小さくする変速動作が開始されて機関回転数が上記トルク制限終了回転数を下回る場合、上記入力トルク情報のホールドを行うことなく、入力トルクの変化に従って入力トルク情報を変更し、その入力トルク情報に基づいて摩擦係合要素のトルク容量を調整していく摩擦係合要素制御手段を備えていることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  2. 上記請求項1記載の自動変速機の変速制御装置において、
    上記摩擦係合要素制御手段は、入力トルク情報における入力トルクの値が大きいほど摩擦係合要素のトルク容量を高く設定するよう構成されていることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  3. 上記請求項1または2記載の自動変速機の変速制御装置において、
    上記摩擦係合要素制御手段は、アクセル開度が所定開度よりも大きい状況において、変速比を小さくする変速動作が開始され、機関回転数がトルク制限終了回転数を下回ってトルク制限制御が解除される場合に、上記入力トルク情報のホールドを行うことなく、入力トルクの変化に従って入力トルク情報を変更し、その入力トルク情報に基づいて摩擦係合要素のトルク容量を調整していくよう構成されていることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
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