JP2009279862A - 基材付き光重合体層及びその製造方法 - Google Patents

基材付き光重合体層及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光重合体層のいずれか一方の面の表層部または両面の中間層部に中空粒子が偏在化した構造を持つ基材付き光重合体層を効率的に製造する方法を提供すること。
【解決手段】離型処理した紫外線透過性の第一基材を準備する工程1;光重合性モノマー、光重合開始剤、一次粒子の平均粒径1〜500nmの無機微粒子、及び平均粒径1〜150μmの中空粒子を含有し、溶液粘度1,000〜400,000mPa・sの光重合性組成物を調製する工程2;第一基材の離型処理面上に光重合性組成物を塗布する工程3;光重合性モノマーの重合阻害を防止した状態とする工程4;いずれか一方の面若しくは両面から紫外線を照射して、いずれか一方の表層部または中間層部に中空粒子が偏在化した光重合体層を形成する工程5;を含む基材付き光重合体層の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材付き光重合体層とその製造方法に関し、さらに詳しくは、光重合体層の厚み方向の断面に沿って中空粒子(バルーンフィラー)の分布が特殊な傾斜組成構造を持つ基材付き光重合体層と、その効率的な製造方法に関する。本発明の光重合体層は、例えば、剪断接着力と感圧接着力とが高度にバランスした両面粘着テープの技術分野に利用することができる。
アクリル系粘着剤層中に中空粒子(「バルーンフィラー」または「バルーン」とも呼ばれている)を分散させた両面粘着テープは、剪断接着力と耐候性に優れており、電気産業、機械工業、自動車工業、航空機工業、印刷工業、建築産業などを含む広範な技術分野において、各種部材や部品、構造材などを一時的または恒久的に固定するのに用いられている。
特開昭53−141346号公報(特許文献1)には、ガラスのミクロバブル(「ガラスバルーン」ともいう)を均一に分散させたアクリル系粘着剤層を持つ感圧接着テープが開示されている。該アクリル系粘着剤層は、ガラスのミクロバブルを含有するアクリレート系モノマー組成物からなる塗布層の光重合により形成されたものである。特許文献1に開示されている感圧接着テープは、アクリル系粘着剤層の表層部にもガラスのミクロバブルが存在しているため、感圧接着力が不十分である。
特公平2−6790号公報(特許文献2)には、ミクロバブル(すなわち、バルーン)を分散した光重合性モノマー層と、ミクロバブルを含まない光重合性モノマー層とを2層以上重ね合わせ、次いで、重ね合わせた層に光照射して各層中の光重合性モノマーを同時に光重合させる感圧接着テープの製造方法が開示されている。特許文献2に開示されている感圧接着テープは、ミクロバブル含有層の表面上にミクロバブル不含層を配置すると、その感圧接着力を向上させることができる。しかし、特許文献2に開示されている方法は、工程が煩雑であることに加えて、製造工程における各層間の成分の相互拡散によって、ミクロバブル不含層の粘着特性を制御することが困難である。
特開平8−259908号公報(特許文献3)には、アクリル系モノマーを含む反応性モノマー混合物、光重合開始剤、及び微粒子充填剤を含有する光重合性組成物を、剥離シート上に塗布して光重合性組成物層を形成し、放置することによって、微粒子充填剤の比重に応じて、該微粒子充填剤を浮上または沈降させ、しかる後、光照射することによって、一方の面の表層部に微粒子充填剤が含有されていない構造の両面接着テープを製造する方法が開示されている。
特許文献3には、該両面接着テープを2枚以上重ね合わせることにより、両面に微粒子充填剤が含有されていない表層部を持つ積層された両面粘着テープの得られることが記載されている。特許文献3には、微粒子充填剤として、ガラスバルーンなどの中空粒子やガラスビーズなどの固体粒子が記載されている。特許文献3に開示された方法によれば、中空粒子を含有しない表層部を持ち、剪断接着力と感圧接着力が共に良好な積層両面粘着テープを得ることができる。
特許文献3に開示されている両面接着テープの製造方法は、反応性モノマー混合物と微粒子充填剤との比重差を利用して、剥離シート上に塗付した光重合性組成物層中での該微粒子充填剤の浮上または沈降現象を利用する点に特徴を有している。特許文献1に記載の製造方法は、剥離シート上への光重合性組成物の塗布後、微粒子充填剤を塗布層の一方の表層部に浮上または沈降させるのに、少なくとも5分間または10分間という長い放置時間を必要とする。例えば、反応性モノマー混合物の比重よりも小さな比重を持つガラスバルーンを用いた場合、塗布層の一方の表層部に該ガラスバルーンを浮上させるのに、通常、30分間程度の静置が必要となる。
塗布後の放置時間が長いと、生産効率が低くなることに加えて、両面粘着テープの連続的な生産が困難となる。しかも、特許文献3に記載されている製造方法では、剪断接着強度と感圧接着力とをバランスさせるために、いずれか一方の面の表層部に微粒子充填剤が偏在化した構造を持つ2枚以上の両面接着テープを貼り合わせて、両面の表層部に該微粒子充填剤が存在しない形状の積層両面粘着テープに貼り合わせる工程が必要である。
特開昭53−141346号公報 特公平2−6790号公報 特開平8−259908号公報
本発明の課題は、光重合体層のいずれか一方の面の表層部または両面の中間層部に中空粒子が偏在化した構造を持つ基材付き光重合体層を効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、基材上に単層の光重合体層が形成された基材付き光重合体層であって、該光重合体層の両面の中間層部に中空粒子が偏在化した構造を持つ基材付き光重合体層を提供することにある。
特に、本発明の課題は、基材付き光重合体層として、剪断接着力と感圧接着力とが高度にバランスした基材付き両面粘着テープを、光重合性組成物の塗布後の放置時間や積層工程を必要とすることなく、効率良く、かつ、連続的生産が可能な製造方法により提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った。その結果、片面に離型処理を施した紫外線透過性の第一基材の該離型処理面上に、光重合性モノマー、光重合開始剤、一次粒子の粒径がナノメーターの無機微粒子、及び中空粒子を特定割合で含有し、かつ、特定の溶液粘度を持つ光重合性組成物を塗布し、塗布後、直ちに塗布層の両面から紫外線を照射する方法により、両面の中間層部に該中空粒子が偏在化した構造を持つ光重合体層が形成されることを見出した。
該光重合体層は、単層であるにもかかわらず、両面の中間層部に中空粒子が高濃度で偏在化しているため、剪断接着力に優れる上、両面の表層部における感圧接着力が良好である。本発明の製造方法は、基材上への光重合性組成物の塗布後の放置時間を必要としないため、生産効率に優れる上、長尺の基材付き光重合体層を連続的に生産することができる。本発明の製造方法は、いずれか一方の面の表層部に中空粒子を高濃度で偏在化させ、他方の面の表層部には中空粒子が実質的に存在しない傾斜組織構造を持つ光重合体層を形成させることもできる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明によれば、基材上に光重合体層が形成された基材付き光重合体層の製造方法において、
(1)片面に離型処理を施した紫外線透過性の第一基材を準備する工程1;
(2)光重合性モノマー100重量部に対して、光重合開始剤0.01〜5重量部、一次粒子の平均粒径が1〜500nmの無機微粒子7〜50重量部、及び平均粒径が1〜150μmの中空粒子0.5〜30重量部を含有し、かつ、ブルックフィールド粘度計を用いて30℃で測定した溶液粘度が1,000〜400,000mPa・sの範囲内にある光重合性組成物を調製する工程2;
(3)該第一基材の離型処理面上に、該光重合性組成物を塗布して、塗布層を形成する工程3;
(4)該塗布層表面の雰囲気を不活性ガス雰囲気とするか、または該塗布層表面上に、片面に離型処理を施した紫外線透過性の第二基材を、該離型処理面が密着するように被覆することにより、酸素による該光重合性モノマーの重合阻害を防止した状態とする工程4;並びに、
(5)該塗布層のいずれか一方の面の表層部に該中空粒子が沈降若しくは浮上する前に、該塗布層のいずれか一方の面若しくは両面から紫外線を照射して該光重合性モノマーを光重合し、その際、いずれか一方の面の表層部または両面の中間層部に該中空粒子が偏在化した構造を有する光重合体層を形成するのに十分な照射強度と照射時間で紫外線を照射する工程5;
を含む基材付き光重合体層の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、片面に離型処理を施した紫外線透過性の第一基材の該離型処理面上に光重合体層が配置された基材付き光重合体層において、該光重合体層が、光重合体100重量部に対して、一次粒子の平均粒径が1〜500nmの無機微粒子7〜50重量部、及び平均粒径が1〜150μmの中空粒子0.5〜30重量部を含有する単層の光重合体層であり、かつ、該光重合体層の両面の中間層部に該中空粒子が偏在化した構造を有することを特徴とする基材付き光重合体層を提供することにある。
本発明によれば、光重合体層のいずれか一方の面の表層部または両面の中間層部に中空粒子が偏在化した構造を持つ基材付き光重合体層を効率的に製造する方法が提供される。本発明によれば、基材上に単層の光重合体層が形成された基材付き光重合体層であって、該光重合体層の両面の中間層部に中空粒子が偏在化した構造を持つ基材付き光重合体層が提供される。
本発明によれば、基材付き光重合体層として、剪断接着力と感圧接着力とが高度にバランスした基材付き両面粘着テープを、光重合性組成物の塗布後の放置時間や積層工程を必要とすることなく、効率良く、かつ、連続的生産が可能な製造方法により提供することができる。本発明の光重合体層は、単層であるにもかかわらず、両面の中間層部に中空粒子が高濃度で偏在化しているため、剪断接着力に優れる上、両面の表層部における感圧接着力が良好である。
本発明は、基材上に光重合体層が形成された基材付き光重合体層の製造方法に関する。本発明の製造方法は、第一基材の準備工程1、光重合性組成物の調製工程2、光重合性組成物の塗布層形成工程3、酸素による光重合性モノマーの重合阻害を防止する工程4、及び紫外線照射工程5を含んでいる。
第一基材の準備工程1では、片面に離型処理を施した紫外線透過性の第一基材を準備する。紫外線透過性の基材としては、一般に、波長400nm以下の紫外線を透過し得る合成樹脂フィルム(シートを含む)が用いられる。合成樹脂フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよい。
基材の形成に用いられる合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレンなどの芳香族ビニル樹脂;塩化ビニル樹脂;ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;セルローストリアセテートなどが挙げられる。これらの合成樹脂フィルムの中でも、紫外線透過性、フィルム強度、耐熱性などの観点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルムなどが好ましい。
合成樹脂フィルムの厚みは、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは20〜60μmである。合成樹脂フィルムの厚みが薄すぎると、フィルム強度が低下したり、剥離時の取扱いが困難になったりする。合成樹脂フィルムの厚みが厚すぎると、紫外線透過性が低下したり、コスト高になったりする。
紫外線透過性の第一基材の片面には、離型処理を施す。第一基材の離型処理面上に、光重合性組成物を塗布して、塗布層を形成する。該塗布層を光重合させると、生成した光重合体層を使用時に第一基材から容易に剥離することができる。離型処理を施すには、合成樹脂フィルムの片面に、常法に従って、シリコーン系剥離剤やフッ素系剥離剤、長鎖アルキル基含有ポリマーなどの離型剤により処理する方法が挙げられる。
光重合性組成物の調製工程2では、光重合性モノマー100重量部に対して、光重合開始剤0.01〜5重量部、一次粒子の平均粒径が1〜500nmの無機微粒子7〜50重量部、及び平均粒径が1〜150μmの中空粒子0.5〜30重量部を含有し、かつ、ブルックフィールド粘度計を用いて30℃で測定した溶液粘度が1,000〜400,000mPa・sの範囲内にある光重合性組成物を調製する。
光重合性モノマーとしては、分子内に少なくとも一つのアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するビニルモノマーを主成分として含有するものが好ましい。以下、アクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を、(メタ)アクリロイル基ということがある。同様に、アクリレート及び/またはメタクリレートを、(メタ)アクリレートということがある。アクリル酸及び/またはメタクリル酸についても、(メタ)アクリル酸ということがある。
(メタ)アクリロイル基を有するビニルモノマーの代表的なものとして、炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、及びイソノニル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合性モノマーは、アルキル基の炭素数が2〜14のアルキル(メタ)アクリレートと、該アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能なビニルモノマー(以下、「コモノマー」という)とを含有するモノマー混合物であることが好ましい。
コモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有ビニルモノマー;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニルモノマー;アクリルニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有ビニルモノマー;ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有ビニルモノマー;グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有ビニルモノマー;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリンなどの窒素含有環状モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル化合物;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレートなどのアルキル基の炭素数が1個の(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステル;などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素を有する(メタ)アクリル酸エステル;テトラフルフリル(メタ)アクリレート;などが挙げられる。これらのコモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の光重合体層は、両面粘着テープなどの粘着テープの用途に好適に用いることができる。アクリル系粘着剤を構成する観点から、光重合性モノマーとしては、アルキル基の炭素数が2〜14のアルキル(メタ)アクリレート50〜99重量%、及び該アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能なビニルモノマー(コモノマー)1〜50重量%を含有するモノマー混合物が好ましい。モノマー混合物中のアルキル基の炭素数が2〜14のアルキル(メタ)アクリレートの割合は、より好ましくは70〜98重量%、特に好ましくは80〜95重量%である。該アルキル(メタ)アクリレートとしては、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアルキルアクリレートが好ましい。
モノマー混合物中のコモノマーの割合は、より好ましくは2〜30重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。コモノマーの中でも、粘着力、凝集力、または架橋化基点の観点から、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有ビニルモノマー;ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどの水酸基含有ビニルモノマー;ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有ビニルモノマー;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどのアミド基含有ビニルモノマー;グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有ビニルモノマー;などの官能基含有ビニルモノマーが好ましい。凝集力や価格などの観点からは、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレートなどが好ましい。
本発明で使用する光重合性モノマーには、多官能(メタ)アクリレートを含有させることができる。多官能(メタ)アクリレートを含有させることによって、光重合と同時に同時に架橋させることができる。光重合体を架橋させることによって、凝集力などの粘着特性を向上させることができる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ウレタン(メタ)アクリレートエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの多官能(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。多官能(メタ)アクリレートを用いる場合には、光重合性モノマー混合物中の通常5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下の割合で使用する。
光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「DAROCURE 2959」〕、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「DAROCURE 1173」〕、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「IRGACURE 184」〕、メトキシアセトンフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトンフェノン〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「IRGACURE 651」〕などのアセトフェノン系開始剤;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系開始剤;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系開始剤;ハロゲン化ケトン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「IRGACURE 819」〕などのアシルホスフィンオキシド、アシルホスフィナートなどが挙げられる。
光重合開始剤は、光重合性モノマー(モノマー混合物を含む)100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜4重量部、より好ましくは0.1〜3重量部である。光重合開始剤の割合が少なすぎると、光重合性モノマーの光重合が不十分となり、残留モノマーの含有量が増加する。また、光重合開始剤の割合が少なすぎると、光重合時に塗布層中の中空粒子を両面の中間層部または一方の面の表層部に偏在化させることが困難となる。他方、光重合開始剤の割合が多すぎると、コスト高となる上、生成する光重合体の分子量が低下して、凝集力が不十分となりやすい。
本発明では、光重合性組成物に、一次粒子の平均粒径が1〜500nmの無機微粒子を含有させる。無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、好ましくは2〜100nm、より好ましくは3〜50nmである。無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、電子顕微鏡写真に基づいて観察した各無機微粒子の直径の平均値である。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ(酸化アルミニウム)などのナノメーター単位の粒径を持つ微粒子が挙げられる。好ましい無機微粒子の具体例としては、疎水性シリカ〔日本アエロジル社製、商品名「AEROSIL R976」;一次粒子の平均粒径17nm〕、親水性シリカ〔日本アエロジル社製、商品名「AEROSIL 300」;一次粒子の平均粒径7nm〕、酸化アルミニウム〔日本アエロジル社製、商品名「AEROXIDE Alu C」;一次粒子の平均粒径13nm〕などが挙げられる。無機微粒子は、二次粒子に凝集していることが多いため、光重合性モノマー中での一次粒子への分散性に優れることから、疎水化処理した無機微粒子が好ましい。
無機微粒子の含有割合は、光重合性モノマー(モノマー混合物を含む)100重量部に対して、7〜50重量部、好ましくは8〜40重量部、より好ましくは10〜30重量部である。
無機微粒子は、光重合性組成物の粘度調整剤として作用し、光重合後には、光重合体層中に均一に分散する。無機微粒子のその他の作用は、現段階では明確ではない。本発明者らの研究結果によれば、中空粒子とともに、ナノメーター単位の一次粒径を持つ無機微粒子を、比較的多量の割合で含有させて所定の範囲内の溶液粘度に調整した光重合性組成物を用いることにより、基材上への光重合性組成物の塗布後、直ちに、塗布層の両面から紫外線を照射して光重合性モノマーを光重合させると、両面の表層部には中空粒子が実質的に存在せずに、両面の中間部に中空粒子が偏在化した傾斜組成構造を持つ光重合体層の形成されることが見出された。基材上への光重合性組成物の塗布後、直ちに、塗布層のいずれか一方の面から紫外線を照射して光重合性モノマーを光重合すると、いずれか一方の面の表層部に中空粒子が偏在化した構造を有する光重合体層を形成することもできる。
中空粒子としては、平均粒径が1〜150μmの中空粒子(すなわち、バルーンフィラー)を使用する。中空粒子としては、シラス、バーライト、ガラス、シリカ、フラッシュアイなどのケイ酸系中空粒子;アルミナ、ジルコニア、カーボンなどの非ケイ酸系中空粒子;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂などの熱硬化性樹脂系中空粒子;ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリクリロニトリル、これらの共重合体などの熱可塑性樹脂系中空粒子;などが挙げられる。
中空粒子の具体例としては、例えば、ガラスバルーン〔東海工業社製、商品名「CEL−STAR Z−27」;平均粒径63μm;比重0.27g/cm〕、ガラスバルーン〔ポッターズ・バロティーニ社製、商品名「Sphericel HSC−110」;平均粒径13μm;比重1.10g/cm〕、シラスバルーン〔アクシーズケミカル社製、商品名「ウィンライト MSB−3011」;平均粒径35μm;比重0.28g/cm〕、シリカバルーン〔ポッターズ・バロティーニ社製、商品名「Q−CEL 5020」;平均粒径60μm;比重0.18g/cm〕、フライアッシュバルーン〔ポッターズ・バロティーニ社製、商品名「Extendospheres TG」;平均粒径95μm;比重0.70g/cm〕、セラミックバルーン〔太平洋セメント社製、商品名「E−spheres SL75」;平均粒径45μm;比重0.30g/cm〕などの無機中空粒子;塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体バルーン〔日本フィライト社製、商品名「エクスパンセル 551DE40d42」;平均粒径40μm;比重0.04g/cm〕などの有機中空粒子が挙げられる。これらの中空粒子は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
中空粒子の平均粒径は、1〜150μm、好ましくは3〜100μm、より好ましくは4〜80μm、特に好ましくは5〜70μmである。中空粒子の平均粒径は、電子顕微鏡写真により測定した値である。中空粒子の平均粒径が小さすぎると、光重合体層を両面粘着テープとして用いる場合、応力緩和性が低下して、十分な剥離強度と剪断強度を得ることが困難となる。中空粒子の平均粒径が大きすぎると、感圧接着性が低下する。中空粒子の平均粒径が大きすぎると、光重合体層の厚みが比較的薄い場合に、該中空粒子を偏在化させることが困難になる。
中空粒子の比重(密度)は、好ましくは0.01〜2.0g/cm、より好ましくは0.02〜1.5g/cmである。光重合性モノマー(モノマー混合物を含む)の比重は、一般に、0.92〜0.98g/cmである。中空粒子の比重が小さすぎると、基材上への光重合性組成物の塗布後、中空粒子が塗布層の上層部に移行しやすくなる。中空粒子の比重が大きすぎると、基材上への光重合性組成物の塗布後、中空粒子が塗布層の下層部に移行しやすくなる。いずれの場合も、所望の傾斜組成構造を持つ中空粒子の分布状態を形成することが困難となりやすい。光重合体層の両面の中間層部に中空粒子が偏在化した傾斜組成構造を持つ光重合体層を形成するには、比重が好ましくは0.01〜0.85g/cm、より好ましくは0.02〜0.60g/cm、特に好ましくは0.03〜0.50g/cmの中空粒子を使用することが望ましい。
中空粒子の含有割合は、光重合性モノマー100重量部に対して、0.5〜30重量部、好ましくは0.8〜25重量部、より好ましくは1〜20重量部である。中空粒子の含有割合が小さすぎると、光重合体層を両面粘着テープとして用いる場合、応力緩和性が低下して、十分な剪断強度を得ることが困難となる。中空粒子の含有割合が大きすぎると、光重合体層の全体に中空粒子が分散しやすくなり、中空粒子の分散状態が所望の傾斜組織構造を持つ光重合体層を形成することが困難となる。その結果、剪断接着力と感圧接着力とが高度にバランスした基材付き両面粘着テープを得ることが困難となる。
光重合性組成物には、所望により、粘着付与樹脂を添加することができる。粘着付与樹脂としては、例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、C5系水添石油樹脂、C9系水添石油樹脂、水添ロジン樹脂、水添ロジネステル樹脂、水添テルペン樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、水添クマロン・インデン樹脂などが挙げられる。これらの粘着付与樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合性組成物には、所望により、エポキシ樹脂を添加してもよい。エポキシ樹脂としては、例えば、商品名「エピコート828」(ジャパンエポキシレジン社製)、商品名「デナコールEX−145」(ナガセケムテック社製)などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合性組成物には、所望により、溶液粘度の調節などの様々な目的ので、エラストマー、熱可塑性樹脂などのポリマーを添加することができる。このようなポリマーとしては、例えば、アクリルゴム、ニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、スチレン‐イソプレン‐スチレン トリブロックコポリマー、メチルメタクリレート‐ブチルアクリレート‐メチルメタクリレート トリブロックコポリマーなどのエラストマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらのポリマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘着付与樹脂、エポキシ樹脂、エラストマー、熱可塑性樹脂などの添加剤成分を用いる場合には、光重合性モノマー100重量部に対して、通常100重量部以下、好ましくは80重量部以下、より好ましくは60重量部以下の割合で使用する。
本発明で使用する光重合性組成物の溶液粘度は、日本工業規格のJIS K 7117−1に従って、ブルックフィールド粘度計を用いて30℃で測定したとき、1,000〜400,000mPa・s、好ましくは1,500〜300,000Pa・s、より好ましくは1,700〜200,000Pa・s、特に好ましくは2,000〜15,000Pa・sの範囲内である。
光重合性組成物の溶液粘度が低すぎると、該光重合性組成物を基材上に塗布したとき、該光重合性組成物が流れて、塗布層を形成することが困難となる。光重合性組成物の溶液粘度が高すぎると、紫外線照射によって中空粒子を偏在化させることが困難となる。光重合性組成物の溶液粘度が前記範囲内にあることによって、他の条件と相俟って、基材上への該光重合性組成物の塗布後、放置する必要なく、紫外線の照射によって、いずれか一方の面の表層部または両面の中間層部に中空粒子が偏在化した構造を有する光重合体層を形成することができる。
本発明の製造方法における工程3では、第一基材の離型処理面上に光重合性組成物を塗布して、塗布層を形成する。塗布層の厚みは、通常200μmから2mm、好ましくは300μmから1.8mm、より好ましくは400μmから1.7mm、より好ましくは500μmから1.5mmの範囲内である。光重合性組成物の塗布層の厚みは、塗布後の光重合性モノマーの揮散を抑制することによって、光重合後(硬化後)の光重合体層の厚みとほぼ一致させることができる。
光重合性組成物の塗布層の厚みが薄すぎると、いずれか一方の面の表層部または両面の中間層部に中空粒子が偏在化した構造を有する光重合体層を形成することが困難となる。その結果、剪断接着力と感圧接着力とが高度にバランスした両面粘着テープを形成することが困難となる。他方、光重合性組成物の塗布層の厚みが厚すぎると、中空粒子が偏在する中間層部またはいずれか一方の表層部と、中空粒子が存在しない表層部との間で凝集破壊しやすくなる。光重合性組成物の塗布層の厚みは、中空粒子の平均粒径の3倍以上が好ましく、5倍以上がより好ましく、10倍以上が特に好ましい。
本発明の製造方法における工程4では、光重合性組成物の塗布層表面の雰囲気を不活性ガス雰囲気とするか、または該塗布層表面上に、片面に離型処理を施した紫外線透過性の第二基材を、該離型処理面が密着するように被覆することにより、酸素による該光重合性モノマーの重合阻害を防止した状態とする。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられる。片面に離型処理を施した紫外線透過性の第二基材としては、前記第一基材と同じものを使用することができる。ただし、第一基材と第二基材は、互いに同一でも異なっていてもよい。
本発明の製造方法おける工程5では、光重合性組成物の塗布層のいずれか一方の面の表層部に該中空粒子が沈降若しくは浮上する前に、該塗布層のいずれか一方の面若しくは両面から紫外線を照射して該光重合性モノマーを光重合し、その際、いずれか一方の面の表層部または両面の中間層部に該中空粒子が偏在化した構造を有する光重合体層を形成するのに十分な照射強度と照射時間で紫外線を照射する。
光重合性組成物の塗布層のいずれか一方の面の表層部に中空粒子が沈降若しくは浮上する前とは、塗布後、通常3分間以内、好ましくは2分間以内、より好ましくは1分間以内を意味する。第一基材上に光重合性組成物を塗布後、紫外線照射までの時間が長くなりすぎると、塗布層中で中空粒子が浮上または沈降しやすくなり、所望の傾斜組成構造を形成するのが困難となる。
長尺の基材付き光重合体層を連続的に製造するには、回転ロール群を用いて第一基材を走行させながら、該第一基材上に光重合性組成物を塗布し、直ちに紫外線照射ゾーンを通過させる方法を採用することが好ましい。塗布後、紫外線照射までの時間は、生産効率の観点のみならず、光重合体層中で中空粒子に所望の傾斜組成構造を形成させる上で、短い方が好ましい。そのため、連続工程により、第一基材上に光重合性組成物を塗布し、次いで、酸素による該光重合性モノマーの重合阻害を防止した状態とし、その後、直ちに紫外線照射を行うことが好ましい。多くの場合、塗布後、1〜30秒間の間に紫外線の照射工程を配置することが望ましい。
紫外線照射工程では、塗布層のいずれか一方の面または両面から紫外線を照射して光重合性モノマーを光重合させる。塗布層の両面から紫外線を照射すると、両面の中間層部に中空粒子が偏在化した構造を有する光重合体層が形成される。該光重合体層の両面の表層部には、中空粒子が実質的に存在しない。そのため、中間層部に中空粒子が偏在化した構造を有する光重合体層は、単層で両面粘着テープとして用いた場合であっても、両面での感圧接着力に優れるとともに、剪断接着力にも優れている。
塗布層のいずれか一方の面から紫外線を照射すると、いずれか一方の面の表層部に中空粒子が偏在化した傾斜組織構造を持つ光重合体層を形成することができる。本発明の製造方法は、中空粒子の比重によって制限を受けることがない。光重合性モノマー(モノマー混合物を含む)の比重より小さな比重を持つ中空粒子を使用する場合であっても、塗布後、直ちに塗布層の上方から紫外線を照射すると、該塗布層の下層部に中空粒子が偏在化した光重合体層を形成させることができる。他方、光重合性モノマーの比重より大きな比重を持つ中空粒子を使用する場合、塗布後、直ちに塗布層の下方から紫外線を照射すると、該塗布層の上層部に中空粒子が偏在化した光重合体層を形成させることができる。
本発明の製造方法は、光重合性モノマーと中空粒子との比重差を利用して、塗布層中で該中空粒子を浮上または沈降させてから紫外線を照射する従来法とは異なっている。このような従来法では、中空粒子の浮上または沈降に長時間を要することに加えて、例えば、光重合性モノマーの比重よりも小さな比重を持つ中空粒子を第一基材側(下層部)に偏在化させることはできない。
紫外線発生装置としては、例えば、超高圧水銀灯、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、ケミカルランプ、殺菌灯、健康線用蛍光ランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、エキシマレーザーなどを挙げることができる。紫外線発生装置は、一般に、波長400nm以下の紫外線領域に発光分布を有するランプ類を備えている。
紫外線照射工程では、塗布層の上方及び/または下方から、波長400nm以下の発光分布を示す紫外線を照射する。紫外線の照射強度は、好ましくは1〜200mW/cm、より好ましくは1.5〜100mW/cm、特に好ましくは1.7〜50mW/cmである。本発明の製造方法では、紫外線照射強度の上限値を、所望により、10mW/cm以下、さらには5mW/cm以下にまで低減させることができる。
紫外線の照射時間は、通常、30秒間から15分間の範囲内で選択することができる。生産効率を上げるとともに、中空粒子の所望の傾斜組成構造を形成する上で、紫外線の照射時間を60〜450秒間の短時間とすることが好ましい。光重合性組成物の塗布層の厚みにもよるが、多くの場合、紫外線照射時間を100〜300秒間、さらには150〜250秒間とすることができる。
本発明の製造方法によれば、片面に離型処理を施した紫外線透過性の第一基材の該離型処理面上に光重合体層が配置された基材付き光重合体層において、該光重合体層が、光重合体100重量部に対して、一次粒子の平均粒径が1〜500nmの無機微粒子7〜50重量部、及び平均粒径が1〜150μmの中空粒子0.5〜30重量部を含有する単層の光重合体層であり、かつ、該光重合体層の両面の中間層部に該中空粒子が偏在化した構造を有する基材付き光重合体層を効率的に製造することができる。また、本発明の製造方法によれば、光重合体層のいずれか一方の面の表層部に中空粒子が偏在化した構造の基材付き光重合体層を効率良く製造することができる。
本発明の製造方法によれば、該光重合体層の第一基材とは反対側の表面上に、片面に離型処理を施した紫外線透過性の第二基材が、その離型処理面で密着した状態でさらに配置されている基材付き光重合体層を形成することもできる。
基材付き光重合体層は、光重合性モノマーとして、分子内に少なくとも一つのアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するビニルモノマーを主成分として含有するモノマー混合物を用いると、アクリル系粘着剤からなる両面粘着テープとすることができる。該両面粘着テープは、アクリル系粘着剤層(光重合体層)中に中空粒子を含有することによって、剪断接着力に優れている。該両面粘着テープは、いずれか一方または両方の面の表層部に中空粒子が実質的に存在しないため、当該面での感圧接着力(剥離強度)に優れている。
図1〜6は、光重合性組成物の塗布層の上下両方向から紫外線を照射して得られた光重合体層の断面を示す走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)である。これらのSEM写真から明らかなように、本発明の製造方法により得られた光重合体層は、単層であって、かつ、該光重合体層の両面の中間層部に中空粒子が偏在化した傾斜組成構造を有している。そのため、該光重合体層は、両面粘着テープとして用いた場合、剪断接着力と感圧接着力が高度にバランスした粘着特性を示すことができる。
図7は、光重合性組成物の塗布層の上方向から紫外線を照射して得られた光重合体層の断面を示す走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)である。このSEM写真から明らかなように、本発明の製造方法により得られた光重合体層は、該光重合体層の下方面の表層部に中空粒子が偏在化している。該光重合体層の下方向から第一基材を通して紫外線を照射すると、上方面の表層部に中空粒子が偏在化した光重合体層を形成することができる。いずれか一方の面の表層部のみに中空粒子が偏在化し、その反対側の面に中空粒子が実質的に存在しない光重合体層は、例えば、中空粒子が偏在化している面同士で積層することにより、剪断接着力と感圧接着力が高度にバランスした粘着特性を示す積層両面粘着テープとすることができる。
図1〜7のSEM写真から明らかなように、中空粒子が実質的に存在しない表層部の厚みは、全層厚みの通常2%以上、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上であり、その上限値は、25%または30%程度である。「中空粒子が実質的に存在しない」とは、わずかな個数の中空粒子が表層部に存在することがあっても、該表層部での感圧接着力(剥離力)に影響がない状態であることを意味する。
本発明の基材付き光重合体層は、該光重合体層を両面粘着テープとして使用する場合、単層で剪断接着力と感圧接着力が高度にバランスした粘着特性を示すことから、光重合体層の両面の中間層部に中空粒子が偏在化した傾斜組成構造を有するものであることが好ましい。
本発明の光重合体層は、中空粒子が実質的に存在しない面での感圧接着力(剥離強度)が、中空粒子が均一に分散した組成構造の光重合体層に比べて、顕著に向上している。具体的には、本発明の光重合体層における中空粒子が実質的に存在しない面での感圧接着力(剥離強度)は、中空粒子が均一に分散した組成構造の光重合体層の感圧接着力に比べて、通常1.5倍以上、好ましくは2倍以上である。他方、本発明の光重合体層は、中空粒子を含んでいるため、中空粒子が均一に分散した組成構造の光重合体層と実質的に同等またはそれ以上の剪断接着力を示すことができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。物性及び特性の評価方法は、以下のとおりである。
(1)溶液粘度
光重合性組成物の溶液粘度は、JIS K 7117−1に従って、ブルックフィールド粘度計(BH型)を用いて、温度30℃で測定した。
(2)剥離力試験(感圧接着力)
第一基材に接触している光重合体層の面で、下記の方法により剥離力試験を行った。
JIS Z 1541に従って、上面及び下面のそれぞれの90度引きはがし粘着力試験を行った。被着体は、SUS304で表面仕上げBAの鋼板を用いた。圧着ローラーは、5kgであり、5mm/minの速度で1往復させ、23℃、50%RH(相対湿度)の雰囲気下で、72時間放置した後、引張試験機を用いて、300mm/minの速度で、90度引きはがし粘着力を測定した。
(3)剪断接着力試験
第一基材に接触している光重合体層の面で、下記の方法により剪断接着力試験を行った。
JIS Z 1541に従って、引張せん断接着力試験を行った。被着体は、SUS304で表面仕上げBAの鋼板を用た。圧着ローラーは、5kgであり、5mm/minの速度で1往復させ、23℃、50%RH雰囲気下で、72時間放置した後、引張試験機を用いて、300mm/minの速度で、試験体が破断するまでの最大荷重を測定した。
[実施例1]
表1の配合組成に従い、2−エチルヘキシルアクリレート(以下、「2EHA」と略記する)、アクリル酸(以下、「AA」と略記する)、ガラスバルーン(商品名「CEL‐STAR Z27」、東海工業社製;平均粒径63μm;比重0.27g/cm)、疎水性シリカ(商品名「AEROSIL R976」、日本アエロジル社製;一次粒子の平均粒径17nm)、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名「IRGACURE 819」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を混合した。その後、窒素ガスでパージしながら、ディゾルバー式撹拌機で2000rpmにて、1時間撹拌して光重合性組成物を調製した。得られた光重合性組成物を、遊星式撹拌脱泡装置を用いて脱泡した後、片面に離型処理を施した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(二軸延伸PETフィルム)の離型処理面に塗布した。さらに別のPETフィルムを、その離型処理面が塗布層の表面に密着するようにラミネートし、光重合後(硬化後)の厚みが1.0mmになるように調整した。その後、30℃の雰囲気下で、ケミカルランプを用いて、2mW/cmの照射強度の紫外線を、塗布層の両面から180秒間照射することにより、光重合体層を形成した。
[実施例2]
表1の配合組成に従い、2EHA、AA、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体バルーン(商品名「エクスパンセル 551DE40d42」、日本フィライト社製;平均粒径40μm;比重0.04g/cm)、疎水性シリカ(商品名「AEROSIL R976」、日本アエロジル社製)、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名「IRGACURE 819」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を混合した。その後、実施例1と同様な操作によって、光重合体層を形成した。
[実施例3]
表1の配合組成に従い、実施例2と同じ処方で混合した後、窒素ガスでパージしながら、ディゾルバー式撹拌機で2000rpmにて1時間撹拌して光重合性組成物を調製した。得られた光重合性組成物を、遊星式撹拌脱泡装置を用いて脱泡した後、片面に離型処理を施した厚さ38μmのPETフィルムの離型処理面に塗布し、光重合後の厚みが1.0mmになるように調整した。その後、30℃の不活性ガス雰囲気下で、ケミカルランプを用いて、2mW/cmの照射強度の紫外線を両面から180秒光照射することにより、光重合体層を形成した。
[実施例4]
表1の配合組成に従い、2EHA、AA、メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート・トリブロックコポリマー(商品名「LA Polymer 2140」、クラレ社製)、ガラスバルーン(商品名「CEL―STAR Z27」、東海工業社製)、疎水性シリカ(商品名「AEROSIL R976」、日本アエロジル社製)、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名「IRGACURE 819」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を混合した後、実施例1と同様な操作によって、光重合体層を形成した。
[実施例5]
表1の配合組成に従い、2EHA、AA、メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート・トリブロックコポリマー(商品名「LA Polymer 2140」クラレ社製)、ガラスバルーン(商品名「CEL―STAR Z27」、東海工業社製)、疎水性シリカ(商品名「AEROSIL R976」、日本アエロジル社製)、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名「IRGACURE 819」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を混合した。その後、実施例1と同様な操作によって、光重合体層を形成した。
[実施例6]
表1の配合組成に従い、2EHA、AA、ガラスバルーン(商品名「CEL−STAR Z27」、東海工業社製)、疎水性シリカ(商品名「AEROSIL R976」、日本アエロジル社製)、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名「IRGACURE 819」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を混合した。その後、実施例1と同様な操作によって、光重合体層を形成した。
[実施例7]
表1の配合組成に従い、2EHA、AA、ガラスバルーン(商品名「CEL−STAR Z27」、東海工業社製)、疎水性シリカ(商品名「AEROSIL R976」、日本アエロジル社製)、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名「IRGACURE 819」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を混合した。その後、得られた光重合性組成物を、遊星式撹拌脱泡装置を用いて脱泡した。次いで、光重合性組成物を片面に離型処理した厚み38μmのPETフィルムの離型処理面に塗布し、更に別のPETフィルムをその離型処理面が塗布層の表面に密着するようにラミネートし、光重合後の厚みが1.0mmになるように調整した。その後、30℃の雰囲気下で、ケミカルランプを用いて、2mW/cmの照射強度の紫外線を塗布層の上面から180秒間照射することにより、光重合体層を形成した。
[比較例1]
表1の配合組成に従い、撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管、及び紫外線照射装置を備えた装置に、2EHA92重量部、AA8重量部、ガラスバルーン(商品名「CEL−STAR Z27」、東海工業社製)10重量部、疎水性シリカ(商品名「AEROSIL R976」、日本アエロジル社製)10重量部、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名「IRGACURE 819」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.05重量部を仕込んだ。窒素ガスでパージしながら、ディゾルバー式撹拌機で2000rpmにて、1時間撹拌して得た光重合性組成物に、光源から最も近い重合系内における紫外線の照射強度を1mW/cmに設定して光照射を行った。30℃における溶液粘度が500,000mPaになったところで空気を吹き込み、光重合反応を停止させた。こうして得られた30℃における溶液粘度が500,000mPaの混合物に、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名「IRGACURE 819」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.95重量部を添加した。窒素ガスでパージしながら、ディゾルバー式撹拌機で2000rpmにて1時間撹拌して光重合性組成物を得た。得られた光重合性組成物を、遊星式撹拌脱泡装置を用いて脱泡した後、片面に離型処理した厚み38μmのPETの離型処理面に塗布し、さらに別のPETフィルムをその離型処理面が塗布層の表面に密着するようにラミネートし、光重合後の厚みが1.0mmになるように調整した。その後、30℃の雰囲気下で、ケミカルランプを用いて、2mW/cmの照射強度の紫外線を両面から180秒間照射することにより、光重合体層を形成した。
[比較例2]
表1の配合組成に従い、2EHA、AA、ガラスバルーン(商品名「CEL−STAR Z27」、東海工業社製)、疎水性シリカ(商品名「AEROSIL R976」、日本アエロジル社製)、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名「IRGACURE 819」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を混合した。その後、窒素ガスでパージしながら、ディゾルバー式撹拌機で2000rpmにて1時間撹拌して光重合性組成物を得た。得られた光重合性組成物を、遊星式撹拌脱泡装置を用いて脱泡した後、片面に離型処理した厚み38μmのPETフィルムの離型処理面に塗布し、さらに別のPETフィルムをその離型処理面が塗布層の表面に密着するようにラミネートし、光重合後の厚みが1.0mmになるように調整した。塗布層を30分間水平な状態で静置して、ガラスバルーンが浮上させた。その後、30℃の雰囲気下で、ケミカルランプを用いて2mW/cmの照射強度の紫外線を、塗布層上面から480秒間照射することにより、光重合体層を形成した。
(脚注)
(1)2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
(2)AA:アクリル酸
(3)熱可塑性樹脂:メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート・トリブロックコポリマー(商品名「LA Polymer 2140」クラレ社製)
(4)光重合開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名「IRGACURE 819」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
(5)無機微粒子:疎水性シリカ(商品名「AEROSIL R976」、日本アエロジル社製;一次粒子の平均粒径17nm)
(6)中空粒子−1:ガラスバルーン(商品名「CEL―STAR Z27」、東海工業社製;平均粒径63μm;比重0.27g/cm);
(7)中空粒子−2:塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体バルーン(商品名「エクスパンセル 551DE40d42」、日本フィライト社製;平均粒径40μm;比重0.04g/cm
(SEM観察)
走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−2300形)を用いて得られた光重合体層断面の表面観察を行った。SEM観察用の試料作製に当たって、イオンスパッタ(日立製作所製、イオンスパッター E−102)を用いて白金−パラジウム合金をコーティングした。
SEM観察の結果、図1〜6に示すように、実施例1〜6で得られた光重合体層は、厚み方向断面の中央に中空粒子が偏在化しており、中空粒子偏在層が観察された。実施例7の場合(図7)には、比較例2の場合(図9)とは反対側の下層部に中空粒子の偏在層が観察された。
一方、比較例1で得られた光重合体層(図8)は、厚み方向断面の全体に中空粒子が分散しており、中空粒子の偏在層は観察されず、傾斜組成構造を有していないことが確認された。
比較例2で得られた光重合体層(図9)は、厚み方向断面の上層部にしか中空粒子を偏在化させることしかできず、厚み方向断面の中央部に中空粒子を偏在化させることはできない。
本発明の製造方法により得られた基材付き光重合体層は、中空粒子が偏在化したフィルムまたはシートとしてはもとより、コーティング膜、塗装膜、片面粘着テープ、両面粘着テープなどの多種多様な用途に用いることができる。本発明の基材付き光重合体層は、両面の中間層部に中空粒子が偏在化しているものである場合、単層で剪断接着力と感圧接着力に優れるため、両面粘着テープとして特に好適に利用することができる。
実施例1で得られた光重合体層断面のSEM写真である。 実施例2で得られた光重合体層断面のSEM写真である。 実施例3で得られた光重合体層断面のSEM写真である。 実施例4で得られた光重合体層断面のSEM写真である。 実施例5で得られた光重合体層断面のSEM写真である。 実施例6で得られた光重合体層断面のSEM写真である。 実施例7で得られた光重合体層断面のSEM写真である。 比較例1で得られた光重合体層断面のSEM写真である。 比較例2で得られた光重合体層断面のSEM写真である。

Claims (12)

  1. 基材上に光重合体層が形成された基材付き光重合体層の製造方法において、
    (1)片面に離型処理を施した紫外線透過性の第一基材を準備する工程1;
    (2)光重合性モノマー100重量部に対して、光重合開始剤0.01〜5重量部、一次粒子の平均粒径が1〜500nmの無機微粒子7〜50重量部、及び平均粒径が1〜150μmの中空粒子0.5〜30重量部を含有し、かつ、ブルックフィールド粘度計を用いて30℃で測定した溶液粘度が1,000〜400,000mPa・sの範囲内にある光重合性組成物を調製する工程2;
    (3)該第一基材の離型処理面上に、該光重合性組成物を塗布して、塗布層を形成する工程3;
    (4)該塗布層表面の雰囲気を不活性ガス雰囲気とするか、または該塗布層表面上に、片面に離型処理を施した紫外線透過性の第二基材を、該離型処理面が密着するように被覆することにより、酸素による該光重合性モノマーの重合阻害を防止した状態とする工程4;並びに、
    (5)該塗布層のいずれか一方の面の表層部に該中空粒子が沈降若しくは浮上する前に、該塗布層のいずれか一方の面若しくは両面から紫外線を照射して該光重合性モノマーを光重合し、その際、いずれか一方の面の表層部または両面の中間層部に該中空粒子が偏在化した構造を有する光重合体層を形成するのに十分な照射強度と照射時間で紫外線を照射する工程5;
    を含む基材付き光重合体層の製造方法。
  2. 該中空粒子の比重が、0.01〜2.0g/cmの範囲内である請求項1記載の製造方法。
  3. 該塗布層の厚みが、200μmから2mmの範囲内である請求項1または2記載の製造方法。
  4. 該光重合性モノマーが、アルキル基の炭素数が2〜14のアルキル(メタ)アクリレート50〜99重量%、及び該アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能なビニルモノマー1〜50重量%を含有するモノマー混合物である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 該工程5において、波長400nm以下の発光分布を示す紫外線を、照射強度1〜200mW/cm、及び照射時間60〜450秒間の照射条件で照射する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 該光重合体層が、両面粘着テープである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 片面に離型処理を施した紫外線透過性の第一基材の該離型処理面上に光重合体層が配置された基材付き光重合体層において、該光重合体層が、光重合体100重量部に対して、一次粒子の平均粒径が1〜500nmの無機微粒子7〜50重量部、及び平均粒径が1〜150μmの中空粒子0.5〜30重量部を含有する単層の光重合体層であり、かつ、該光重合体層の両面の中間層部に該中空粒子が偏在化した構造を有することを特徴とする基材付き光重合体層。
  8. 該光重合体層の第一基材とは反対側の表面上に、片面に離型処理を施した紫外線透過性の第二基材が、その離型処理面で密着した状態でさらに配置されている請求項7記載の基材付き光重合体層。
  9. 該中空粒子の比重が、0.01〜2.0g/cmの範囲内である請求項7または8記載の基材付き光重合体層。
  10. 該光重合体層の厚みが、200μmから2mmの範囲内である請求項7乃至9のいずれか1項に記載の基材付き光重合体層。
  11. 該光重合体層が、重合体成分として、アルキル基の炭素数が2〜14のアルキル(メタ)アクリレート50〜99重量%、及び該アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能なビニルモノマー1〜50重量%を含有するモノマー混合物の光重合体を含有するものである請求項7乃至10のいずれか1項に記載の基材付き光重合体層。
  12. 該光重合体層が、両面粘着テープである請求項7乃至11のいずれか1項に記載の基材付き光重合体層。
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