JP2006137036A - 光重合生成物シートの製造方法及び製造装置 - Google Patents

光重合生成物シートの製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 厚みムラの発生の少ない光重合生成物シートの製造方法を提供すること。また、厚みムラの少ない光重合生成物シートを製造するのに有用な製造装置を提供すること。
【解決手段】 支持体の少なくとも一方の面に光重合性組成物よりなる光重合性組成物層を設け、該光重合性組成物層に光を照射して重合させることにより光重合生成物シートを製造する方法において、
(1)部分的に開口部を設けた遮蔽層で光重合性組成物層を被覆し、遮蔽層で被覆された部分の露光量を低下させて光を照射する部分光照射工程と、
(2)前記部分光照射工程を経た光重合性組成物層の全面に光を照射する工程、
を含むことを特徴とする光重合生成物シートの製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、厚みのばらつきの少ない光重合生成物シートの製造方法に関するものであり、又、厚みのばらつきの少ない光重合生成物シートを製造できる光重合生成物シートの製造装置に関するものである。
例えばアクリル系粘着シートのような、光重合生成物からなる光重合生成物層を有する光重合生成物シートの製造方法として、光重合性のモノマーと光重合開始剤とからなる液状の光重合性組成物を支持体上に塗布し、これに紫外線のようなエネルギー線を照射して上記モノマーを重合させることにより光重合生成物層を形成する方法が用いられている。このような光重合生成物シートの製造方法は、溶液重合により光重合性組成物を重合した後支持体上に塗布する場合に比べ、有機溶剤を使用しないので溶剤回収工程が不要である、安全保持が容易であるなどの利点があり、又エマルション重合により光重合性組成物を重合した後支持体上に塗布する場合に比べて、多量の水を使用しないので乾燥のための多大なエネルギーが不要である、モノマー種が水溶性モノマーに限定されず、幅広く選択できるという利点がある。
しかし、光重合性組成物を支持体上に塗布した後重合を行う方法では、重合中にモノマー等の移動が起こることにより厚みにばらつきが生じやすく、均一な厚みを有する光重合生成物層が得られにくい。特に光重合性組成物を支持体上に塗布する際の厚みが大きかったり、塗布幅が広くなると、厚みのばらつきは顕著となる。このような厚みが不均一であるシートを巻き重ねると、シート間にいわゆる巻き巣とよばれる空隙が生じ、品質不良となる。
厚みのばらつきを解決する試みとして、多段計量法により塗工の際の厚みを高精度に調整する方法が開示されている(特許文献1参照)。しかしながらこの方法は重合前に多段計量を行うため、重合時に発生する厚み変動に対してはほとんど効果が得られない。また、光重合の途中で厚みの調整を行う方法が開示されている(特許文献2及び3参照)。しかし、重合途中での高精度の厚み制御は難しく、得られる効果は不十分である。
特開平10−77450号公報 特開2001−89719号公報 特開2002−121211号公報
本発明は、上記問題に鑑み、支持体上に塗布した光重合性組成物を重合する際に発生する厚み変化を緩和し、光重合性組成物を厚く塗布した際でも、厚みムラの少ない光重合生成物シートが得られる光重合生成物シートの製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、厚みムラの少ない光重合生成物シートの製造に有用な、光重合生成物シートの製造装置を提供することを目的とする。
本発明者らは上記問題を解決するために鋭意検討した結果、重合時に厚みムラが発生する原因は重合により光重合性組成物が収縮することが原因であると考え、重合の過程で光重合性組成物層の中に、重合が進んだ部分と、進んでいない部分とを生じさせることにより、重合による収縮の応力を重合が進んでいない部分で緩和することができ、これにより厚みの変動を抑えることができることを見出して、本発明を完成した。
すなわち本発明は、支持体の少なくとも一方の面に光重合性組成物よりなる光重合性組成物層を設け、該光重合性組成物層に光を照射して重合させることにより光重合生成物シートを製造する方法において、
(1)部分的に開口部を設けた遮蔽層で光重合性組成物層を被覆し、遮蔽層で被覆された部分の露光量を低下させて光を照射する部分光照射工程と、
(2)前記部分光照射工程を経た光重合性組成物層の全面に光を照射する全面光照射工程、
を含むことを特徴とする光重合生成物シートの製造方法である。
上記遮蔽層の開口部以外の部分は、完全に遮光可能な層であることが望ましく、また、光重合性組成物層の遮蔽層に設けられた開口部によって光の照射を受ける面積が、光重合性組成物層の全面積に対して20〜80%であることが望ましい。
上記遮蔽層に設けられた開口部は、光重合性組成物層の一方向に対して略均一に分散しているのが好ましく、より好ましくは該開口部は、光重合性組成物層に対して略均一に分散しているのが望ましい。
上記部分光照射工程(1)において、光重合性組成物層の遮蔽層に設けられた開口部によって光の照射を受ける部分の光重合性組成物の重合率が30%以上となった時点で、全面光照射工程(2)へ移行するのが望ましい。
本発明は又、支持体の少なくとも一方の面に光重合性組成物よりなる光重合性組成物層を設け、該光重合性組成物に光を照射して重合させることにより光重合生成物シートを製造する装置であって、
(A)支持体の片面又は両面に光重合性組成物層を積層し、光重合性組成物シートとして繰り出す光重合性組成物シート供給手段、
(B)上記光重合性組成物シートを移送する光重合性組成物シート移送手段、
(C)光重合性組成物シートと等速で移動し光重合性組成物層を被覆する、部分的に開口部を設けた遮蔽層と、上記遮蔽層を介して光重合性組成物層に部分的に光を照射する光照射手段とを備えた部分光照射手段、
(D)遮蔽層を介さずに光重合性組成物層に光を照射する全面光照射手段、
とを備えた光重合生成物シートの製造装置に係わるものである。
上記光重合生成物シートの製造装置には、支持体の両面に光重合性組成物層を積層し、光重合性組成物シートとして繰り出すことができる(A)光重合性組成物シート供給手段を備えるとともに、(C)部分光照射手段と、(D)全面光照射手段とを(B)光重合性組成物シート移送手段によって移送される光重合性組成物シートの表側及び裏側の両面に備えた製造装置が含まれる。
上記光重合生成物シートの製造装置には又、(C)部分照射手段における遮蔽層の開口部が、光重合性組成物シートの表側と裏側とで、相対しない位置に設けられた製造装置も含まれる。
本発明の光重合生成物シートの製造方法によれば、光重合生成物本来の特性を損なうことなしに、厚みムラの少ない光重合生成物シートを製造することができる。例えば、本発明の製造方法により、アクリル系粘着シートなどを製造した場合、アクリル系粘着剤の良好な接着力を損なうことなしに、厚みムラの少ない粘着シートを製造することができる。
また、本発明の光重合生成物シートの製造装置によれば、支持体の片面又は両面に光重合生成物よりなる層を設けた光重合生成物シートの製造において、厚みムラの発生を防ぎ、巻き巣などの無い高品質の光重合生成物シートを生産効率よく製造することができる。
本発明の光重合生成物シートの製造方法は、例えば、アクリル系粘着剤を支持体上に設けてなるアクリル系粘着シートなどを製造するのに有用である。以下に、アクリル系粘着シートの製造を例に、本発明の光重合生成物シートの製造方法を説明する。
[光重合性組成物]
光重合性組成物は、少なくともビニル系モノマーなどの光重合可能なモノマー成分と
光重合開始剤とを含む。
〈モノマー成分〉
アクリル系粘着シートの製造においては、上記モノマーとして例えば、炭素数1〜20(好ましくは2〜14、さらに好ましくは2〜10)のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを好適に用いることができる。具体的には例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどが挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外のアクリル酸エステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニルなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどを用いるのも好ましい。
なお、上記(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル系粘着剤を構成する主モノマー成分として用いられるため、該粘着剤を構成する前モノマー成分に対して60重量%以上(好ましくは80重量%以上)用いられていることが重要である。
光重合性組成物を構成するモノマーとして、上記(メタ)アクリル酸エステルに加えて極性基含有単量体や多官能性単量体などの各種の共重合性単量体を用いることができる。これらの共重合性単量体を用いることにより、例えば、被着体への接着力を向上させたり、粘着剤の凝集力を高めたりすることができる。共重合性単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
前記極性基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどのヒドロキシル基含有単量体;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有単量体;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系単量体などが挙げられる。これらの中で、アクリル酸等のカルボキシル基含有単量体またはその無水物を用いるのが特に好ましい。
極性基含有単量体の使用量は全モノマー成分中30重量%以下(例えば1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%)とするのがよい。30重量%を超えると、例えばアクリル系粘着剤の凝集力が高くなりすぎ、接着力が低下するおそれがある。また、1重量%未満では、アクリル系粘着剤の凝集力が低下し、高いせん断力が得られなくなることがある。
上記多官能性単量体としては、例えば、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングレコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジブチル(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能性単量体の使用量は全モノマー成分の2重量%以下(例えば、0.01〜2重量%、好ましくは0.02〜1重量%)とするのがよい。2重量%を超えると、例えばアクリル系粘着剤の凝集力が高くなりすぎ、接着力が低下することがある。また、0.01重量%未満であると、例えば、アクリル系粘着剤の凝集力が低下することがある。
また、上記極性基含有単量体や多官能性単量体以外の共重合性単量体としては例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体
;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体;フッ素原子含有(メタ)アクリレート;ケイ素原子含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
〈光重合開始剤〉
光重合開始剤としては、特に制限されず、通常用いられる光重合開始剤をいずれも好適に用いることができるが、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などを用いることができる。
具体的には、ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチルジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。α−ケトール系光重合開始剤としては例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤としては例えば、ベンゾインなどが挙げられる。ベンジル系光重合開始剤としては、例えばベンジルなどが含まれる。ベンゾフェノン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが含まれる。ケタール系光重合開始剤には、ベンジルジメチルケタールなどが含まれる。チオキサントン系光重合開始剤には、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが含まれる。
光重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、例えば全モノマー成分100重量部に対して0.01〜5重量部(好ましくは0.05〜3重量部)の範囲から選択することができる。
上記光重合開始剤に加えて、熱重合開始剤を併用することもできる。熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤[2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド等]、過酸化物系重合開始剤(ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルマレエート等)、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。熱重合開始剤の使用量は特に制限されず、通常熱重合開始剤として利用可能な範囲から適宜選択して使用できる。
〈他の成分〉
光重合性組成物中には、モノマー成分及び光重合開始剤の他に、用途に応じて、適宜な添加剤が含まれていてもよい。例えば、光重合性組成物がアクリル系粘着剤組成物である場合には、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤など);粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常温で固体、半固体、あるいは液状のもの);中空ガラスバルーン等の充填剤;可塑剤;老化防止剤;酸化防止剤などが挙げられる。また、光重合を阻害しない範囲内で着色剤(顔料や染料など)が含まれていてもよい。
〈粘度〉
本発明において光重合性組成物は、上記各成分を均一に混合・分散させることにより調製することができる。この光重合性組成物は、支持体上に塗布するのに適した粘度に調整しておくのがよい。望ましい粘度は、BH粘度計を用いて、ローター:No.5ローター、回転数10rpm、測定温度:30℃の条件で設定された粘度として、5〜50Pa・s、より好ましくは10〜40Pa.sである。粘度が5Pa.s未満であると、支持体に塗布したときに液が流れてしまい、50Pa・sを超えていると、粘度が高すぎて塗布が困難となる。
光重合性組成物の粘度は、例えば、アクリルゴム、増粘性添加剤などの各種ポリマーを配合することや、光重合性組成物中のモノマーを、光の照射などにより一部重合させることにより調整することができる。
[光重性組成物シート]
上述のようにして得られた光重合性組成物は、支持体上に公知適宜の方法により塗布し、光重合性組成物層を形成する。
〈支持体〉
支持体としては、粘着シート等の支持体として通常用いられる適宜な薄葉体をいずれも使用でき、特に制限されない。例えば、紙などの紙系基材;布、不職布、ネットなどの繊維系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体やこれらの積層体(特に、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など)等が挙げられる。このようなプラスチックのフィルムやシートにおける素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。これらの素材は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、支持体として、プラスチック系基材が用いられる場合は、延伸処理等により伸び率などの変形性を制御してもよい。また、支持体としては、光の透過を阻害しないものを使用することが好ましい。
支持体の厚さは、強度や柔軟性、使用目的などに応じて適宜に選択でき、例えば、一般的には1000μm以下(例えば1〜1000μm)、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは3〜300μm程度であるが、これらに限定されない。なお、支持体は単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。
基材の表面は、気泡含有感圧性接着剤層等との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、コロナ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤や剥離剤等によるコーティング処理等が施されていてもよい。
〈塗布方法〉
光重合性組成物を支持体上に塗布する方法は特に制限されず、公知適宜の方法を用いて塗布すればよい。塗布方法としては、例えば、ロールコーター、バーコーター、ダイコーターなどが挙げられる。なお、光重合性組成物層の塗布厚みは特に制限されず、例えば0.03〜5mm程度である。
〈カバーフィルム〉
上述のようにして得られた光重合性組成物層は、後に詳しく述べる方法により光重合に付すが、光重合は空気中の酸素等により反応が阻害される。このため、光重合は酸素のほとんど存在しない条件下で行われる。具体的には、例えば、剥離性を有するポリエステルフィルムなどのカバーフィルムで光重合性組成物層の表面を被覆し、酸素との接触を防止して光重合に付すなどするのがよい。
このようなカバーフィルムとしては、例えば、慣用の剥離紙であり、光の照射を阻害しないものを利用できる。具体的には、例えば、剥離処理剤による剥離処理層を少なくとも一方の表面に有する基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などを用いることができる。
剥離処理層を構成する剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、カバーフィルムの厚さや、形成方法などは、特に制限されない。
[遮光層]
光重合性組成物層に光を照射して重合する際には、まず、部分的に開口部を設けた遮蔽層で光重合性組成物層を被覆し、遮蔽層で被覆された部分の露光量を低下させて光を照射し、部分的な重合を行う部分光照射工程(1)を設ける。
遮光層は、例えば、後述のような遮光性を有する板やシートに、打ち抜き加工などにより開口部を設けることにより形成することができる。開口部は、光重合性組成物層の該開口部によって光の照射を受ける部分の面積が、光重合性組成物層の全面積の20〜80%、好ましくは25〜75%となるように設けるのがよい。80%より大きいと部分的な重合を目的とした部分光照射工程(1)において大部分が重合することとなり、20%より小さいと、遮蔽層を取り除いた後の光の重合で大部分が重合することとなり、いずれの場合も厚みムラを生じることとなり好ましくない。
遮蔽層に設ける開口部の形状は特に制限されず、例えば、円形、四角形や三角形、その他の多角形などが挙げられ、また、不定形でもかまわない。各々の開口部の面積は、例えば、0.5mm2〜1000mm2の範囲から選択することができる。開口部1個あたりの面積が小さすぎると、開口部を形成するのが容易ではなくなり、また、大きすぎると収縮が生じる面積が大きすぎることから、良好に応力を分散させることができなくなり、厚みムラを生じさせることとなり、好ましくない。
遮蔽層の開口部は、使用時に光重合性組成物層の一方方向に対して略均一に分散するように設けられているのが好ましく、使用時に光重合性組成物層に対して略均一に分散するように設けられているのがさらに好ましい。図1(a)〜(e)に遮蔽層の開口部の好ましい形状と分散の様子を示す。開口部の形状等は、これらの例示により何ら制限されるものではない。なお、図中21aは遮蔽層に設けられた開口部であり、21bは遮蔽層の開口部が設けられていない部分である。
上記遮蔽層としては、照射する光の透過を阻害する、板状やシート状のものをいずれも使用でき、特に制限されない。例えば、各種金属や、遮光性樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂に適宜な顔料や染料などを含ませて着色したものや、光吸収剤によって処理された樹脂シート等)などの板やシートが挙げられる。開口部の作りやすさや耐久性の点から、ポリイミドのシートが特に好適に使用できる。なお、遮蔽層は、光の透過を完全に遮断できるのがもっとも好ましいが、必ずしも完全に遮断できなくてもよく、光の透過をある程度阻害できれば足りる。例えば、紫外線照射により光重合を行う場合であれば、紫外線透過率60%以下、好ましくは40%以下、さらに好ましくは20%以下のものを使用し得る。可視光線照射により光重合を行う場合であれば、全光透過率60%以下、好ましくは40%以下、さらに好ましくは20%以下である。なお、上記紫外線透過率や全光透過率などは以下の方法により求められる。超高圧水銀ランプから照度約100mW/cm2となる状態で光を照射し、遮蔽層(開口部を持たない遮蔽層)を介した状態と、遮蔽層を介さない状態とで照度を測定し、以下の計算式(1)により求められる。照度の測定は照度計や紫外線強度計を用いて行えばよく、具体的には、例えば、紫外線の照度を測定する場合には、例えば商品名「工業用チェッカーUVR−T1」(株式会社トプコン製)を用いることができる。
計算式(1):紫外線(全光)透過率=(遮蔽層を介した状態で測定される照度)/(遮蔽層を介さない状態で測定される照度)×100
上述の光の透過を完全に遮断できる遮蔽層とは、上記計算式(1)により求められる値が1%以下のものである。
[光重合]
支持体上に設けられた光重合性組成物層に、例えば紫外線等の光を照射し、重合させることにより、光重合生成物シートを製造することができる。光の照射は、上述の遮蔽層を介して行う部分光照射工程(1)と、部分光照射工程を経た光重合性組成物層全体に光を照射する全面光照射工程(2)とを設けて行う。
部分光照射工程(1)では、光重合性組成物層の遮蔽層に設けられた開口部によって光の照射を受ける部分の重合率が30%以上、好ましくは50%以上となるまで光の照射を行うのがよい。30%未満では遮蔽層を設けて光の照射を行う効果が十分でなく、厚みムラが発生しやすくなる。全面光照射工程(2)では、光重合性組成物層全体に光を照射し、重合反応を完了する。なお、重合率は光重合生成物を130℃で120分間乾燥し、乾燥前後の光重合生成物の重量を測定し、以下の計算式(2)により求められる。
計算式(2):重合率(%)=(乾燥後重量)/(乾燥前重量)×100
上記光を照射する手段としては、例えば、ケミカルランプ;ブラックライトランプ;低圧、高圧、超高圧水銀ランプ;メタルハライドランプ、蛍光灯などが挙げられる。光照射の強度は0.1〜300mW/cm2の範囲が一般的であるが、特に制限されない。
なお、光重合性組成物層に光を照射するときは、片面から光を照射してもよく、両面から光を照射してもよい。両面から光を照射する場合には、遮蔽層の開口部の位置は、光重合性組成物層の表側と裏側で一致していてもよく、一致していなくても(相対しない位置に設けられていても)よい。いずれの場合も厚みムラを低減させる効果は得られるが、後者の場合の方がより重合する部分を分散させ得るため、応力を分散する効果も高く、より好ましい。
図2に、支持体の両面に光重合性組成物層を設け、両面から光を照射する場合を例に、遮蔽層の開口部が光重合性組成物層の表側と裏側で相対しない位置に設けられた様子を示す。図2中11、13、19、21はそれぞれ、支持体、カバーフィルム、光重合性組成物、遮蔽層であり、21中、白色で示す21aは開口部、点描で示す21bは遮蔽部分である。
[光重合生成物シートの製造装置]
本発明の光重合生成物シートの製造装置を、図面を用いて説明する。図3は、本発明の光重合生成物シートの製造装置の一例を示す断面概略図である。支持体供給ロール12から繰り出された支持体11と、カバーフィルム繰り出しロール14より供給されたカバーフィルム13との間に、光重合性組成物19をコーティングロール17により塗布し、光重合性組成物層を形成する。カバーフィルム13により光重合性組成物層の表面から酸素を遮断し、酸素により光重合が阻害されるのを防ぐ。このようにして製造された光重合性組成物シートは光重合生成物シート回収ロール28の動きにより光照射室20へ移動する。なお、支持体供給ロール12、カバーフィルム繰り出しロール14及びコーティングロール17は(A)光重合性組成物シート供給手段に相当し、光重合生成物シート回収ロール28は(B)光重合性組成物シート移送手段に相当する。
20は光照射室であり、部分光照射手段20aと、全面光照射手段20bとにより構成される。部分光照射手段20aは、光重合性組成物シートと等速で移動し光重合組成物層を被覆する部分的に開口部を設けた遮蔽層21と、遮蔽層を介して光重合性組成物層に光を照射する光照射手段23とを有している。遮蔽層21は遮蔽層繰り出しロール22aと遮蔽層回収ロール22bとにより構成される遮蔽層移送手段により、光重合性組成物シートと等速で移動することができる。部分光照射手段20aで光の照射を受けることにより、光重合性組成物層は開口部を通して光の照射を受けて重合が進んだ部分と、遮蔽層21により被覆されて重合が進んでいない部分とを生じることとなる。部分光照射手段20aでの光照射を経た光重合性組成物層は、全面光照射手段20bで光照射手段23による光の照射を受けて重合を完了し、光重合生成物層となる。なお、部分光照射手段20a及び全面光照射手段20bは光重合性組成物シートの表側及び裏側の両面から光を照射できるように設置されていてもよく、何れか一方の面のみから光を照射できるように設置されていてもよい。
光照射手段23としては、例えば、ケミカルランプ;ブラックランプ;低圧、高圧、超高圧水銀ランプ;メタルハライドランプ;蛍光灯が挙げられる。光照射の強度は例えば、0.1〜300mW/cm2の範囲から選択できる。
遮蔽層21は、照射する光の透過を阻害し得るシートやフィルムなどに、打ち抜き加工などにより開口部を設け、該開口部を通して光が透過できるようにした層である。遮蔽層は、例えば、金属や、不透明又は光吸収性を有する樹脂(ポリイミドが特に好適に使用できる)よりなっている。開口部は、光重合性組成物層の該開口部によって光の照射を受ける部分の面積が20〜80%、好ましくは25〜75%となるように設けるのがよい。遮蔽層に設ける開口部の形状は特に制限されず、例えば、円形、四角形や三角形、その他の多角形などが挙げられ、また、不定形でもかまわない。各々の開口部の面積は、例えば、0.5mm2〜1000mm2の範囲から選択することができる。開口部1個あたりの面積が小さすぎると、開口部を形成するのが容易ではなくなり、また、大きすぎると光重合生成物層の収縮が生じる面積が大きすぎることから、良好に応力を分散させることができなくなり、厚みムラを生じさせることとなり、好ましくない。
遮蔽層の開口部は、使用時に光重合性組成物層の一方方向に対して略均一に分散するように設けられているのが好ましく、使用時に光重合性組成物層に対して略均一に分散するように設けられているのがさらに好ましい。図1(a)〜(e)に遮蔽層の開口部の好ましい形状と分散の様子を示す。開口部の形状等は、これらの例示により何ら制限されるものではない。
このようにして製造した光重合生成物シートは、酸素を遮断するためのカバーフィルム13をカバーフィルム回収ロール24により剥離回収し、乾燥装置25で乾燥させることにより残存モノマー等を除去した後、再び光重合生成物層の表面をを保護するための製品用カバーフィルム27を貼り付け、光重合生成物シート回収ロール28により巻き上げ、巻回された形の光重合生成物シートが得られる。26は製品用カバーフィルム繰り出しロールである。
図4は支持体11の両面に光重合生成物層を備えた両面光重合生成物シートを製造する製造装置の一部分であり、光重合性組成物シート供給手段と、光照射室の一部を示す。カバーフィルム供給ロール14より繰り出されたカバーフィルム13上に光重合性組成物をコーター15によって塗布する。光重合性組成物を積層したカバーフィルム18をバックアップロール16の動きによってコーティングロール17まで搬送する。支持体繰り出しロール12により供給された支持体11の表裏に、コーティングロール17により光重合性組成物を塗布したカバーフィルム18が貼り合わされ、支持体11の両面に光重合性組成物層を備えた両面光重合性組成物シートが供給される。両面光重合性組成物シートは、図示していない光重合生成物シート回収ロールにより巻き上げられることにより移動し、光照射室20において光重合に付される。
図4に示す光照射室20の部分光照射手段20aに設けられた遮蔽層21は、図3の装置と同様光重合性組成物シートと等速で移動しながら光照射手段23によって光の照射を受けるが、遮蔽層移動手段22の位置を調節することなどにより、遮蔽層21に設けられた開口部の位置が、光重合性組成物シートの表側と裏側で相対しない位置関係(例えば、図2に示すように表側と裏側の遮蔽層の開口部が互い違いとなるような位置関係。)に調整して使用することができる。このように開口部の位置を表側と裏側で相対しない位置関係とすると、厚みムラの発生を防ぐ効果がより高い。
以上のように、本発明の方法によれば、光重合生成物層の厚みムラの少ない光重合生成物シートを製造することができ、特に光重合生成物の層を膜厚にしたとき、その効果が顕著である。また、本発明の方法で製造することにより、光重合生成物本来の特性が損なわれることはなく、例えば、本発明の方法により、アクリル系粘着シートを製造した場合には、粘着特性や耐候性等、アクリル系粘着剤の持つ本来の特性を保持しつつ、粘着剤層の厚みムラの少ない粘着シートとすることができる。
また、光重合生成物シートの製造装置によれば、光重合生成物層の厚みムラの少ない光重合生成物シートを簡便に製造することができ、例えば光重合生成物シートを巻回された形で製造した場合に、巻き巣等の品質不良が発生するのを防止する。
以下に本発明の実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により、何ら制限されるものではない。
[光重合性組成物]
実施例及び比較例において、光重合性組成物として以下の要領で調製した粘着剤組成物前駆体を使用した。
2−エチルヘキシルアクリレート:90重量部、アクリル酸:10重量部に、光反応開始剤として商品名「イルガキュア651」(チバスペシャリティーケミカルズ社製):0.1重量部を混合撹拌し、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を除去して、粘度が約15Pa・s(BH粘度計、No.5ローター、10rpm、測定温度:30℃)になるまで紫外線(UV)を照射して重合し、一部が重合した組成物(シロップ)を作製した。粘度調整後ヘキサンジオールアクリレート:0.1重量部、商品名「イルガキュア651」(チバスペシャリティーケミカルズ社製):0.1重量部、中空ガラスバルーン(商品名「セルスターZ−27」(東海工業株式会社製):9.5重量部を配合して均一に混合分散し、粘着剤組成物前駆体を得た。
(実施例1)
粘着剤組成物前駆体をロールコーターにて片面剥離処理された厚さ38μmのポリエステルフィルムの剥離処理された面上に幅15cm、厚み2mmになるよう塗布し、粘着剤組成物前駆体層を形成した。次いで粘着剤組成物前駆体層上に、同種のポリエステルフィルムを剥離処理された面が粘着剤組成物前駆体上に接触するように貼り合わせた。ポリエステルフィルムの非剥離処理面に、開口部を有する遮蔽層(開口部面積:遮蔽層全面積に対して50%、素材:商品名「カプトン」、(東レ・デュポン株式会社製)、開口部の形状は図1(d)に示す。)を貼り付けた。これにより粘着剤組成物前駆体層の遮蔽層の開口部によって光の照射を受ける部分の面積は粘着剤組成物前駆体層の全面積の50%となる。次いで、10mW/cm2のメタルハライドランプによって紫外線を片面から、遮蔽層を介して照射した。開口部にあたる部分の重合率が70%となったところで遮蔽層を剥がし、さらに塗布面全体に紫外線の照射を行い重合を完結させ、粘着テープを得た。なお、紫外線照射時間は全工程で3分間である。
(実施例2)
遮蔽層の開口部の数を減らし、開口部の面積を遮蔽層全面積の30%とし、粘着剤組成物前駆体層の開口部により光の照射を受ける部分の面積を粘着剤組成物前駆体層の全面積の30%とした以外は実施例1と同様の操作を行い粘着テープを得た。
(実施例3)
遮蔽層の開口部の数を減らし、開口部の面積を遮蔽層全面積の70%とし、粘着剤組成物前駆体層の開口部により光の照射を受ける部分の面積を粘着剤組成物層の全面積の70%とした以外は実施例1と同様の操作を行い粘着テープを得た。
(実施例4)
粘着剤組成物前駆体層の開口部により光の照射を受ける部分の重合率が40%になったところで遮蔽層を剥離した以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着テープを得た。
(実施例5)
粘着剤組成物前駆体をロールコーターにて片面剥離処理された厚さ38μmのポリエステルフィルムの剥離処理された面上に幅15cm、厚み2mmになるよう塗布した。次いで塗布された粘着剤組成物前駆体の上に、同種のポリエステルフィルムを剥離処理された面が粘着剤組成物上に接触するように貼り合わせた。この両面に、開口部を有する遮蔽層(開口部面積は遮蔽層全面積に対して50%、素材:商品名「カプトン」、(東レ・デュポン株式会社製)、開口部の形状は図1(d)に示す。)を両面の開口部の位置が一致するように貼り付けた。これにより粘着剤組成物前駆体層で、遮蔽層の開口部により光の照射を受ける部分の面積は、粘着剤組成物前駆体層の全面積の50%となる。次いで、照度10mW/cm2のメタルハライドランプで、両面からUVを照射した。遮蔽層の開口部にあたる部分の粘着剤組成物前駆体の重合率が70%になったところで遮蔽層を剥がし、全面にUVを照射して重合を完了させ、粘着テープを得た。UV照射時間は全行程で3分である。
(実施例6)
遮蔽層の開口部が粘着剤組成物前駆体の表面と裏面で相対しない位置に貼り付けた以外は実施例5と同様の操作を行い粘着シートを得た。粘着剤組成物前駆体層で、遮蔽層の開口部により光の照射を受ける部分の面積は、粘着剤組成物前駆体層の表裏各々50%となる。
(比較例1)
遮蔽層を介しての部分的な光の照射を行わず、全面への光照射のみを行った以外は実施例1と同様の操作を行い、粘着シートを得た。
(開口部の重合率)
実施例及び比較例において、遮蔽層を剥がすタイミングは、実施例及び比較例で使用したのと同様に作製した粘着剤組成物前駆体のシートに、遮蔽層を貼り合わせず光を照射し、(比較例1と同条件)、目的とする重合率に達するまでの時間を予め測定して決定した。なお、重合率は、試料を130℃で120分間乾燥し、乾燥前後の試料粘着剤の重量を測定して、下記計算式(2)により求めた。
計算式(2):重合率(%)=(乾燥後重量)/(乾燥前重量)×100
[試験評価]
実施例及び比較例で作製した粘着シートに、以下の試験評価を行った。結果を表1に示す。
(厚みムラ)
作製した粘着シートの粘着剤層の厚みを測定し、最大厚みと最少厚みとの差を厚みムラとした。
(接着力)
得られた粘着シートを幅25mm、長さ100mmに切断し、サンプル片とする。このサンプル片の片面のポリエステルフィルムを剥がし、そこに剥離処理を施していない厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート基材を貼り合わせる。もう一方のポリエステルフィルムを剥がし、粒度280番の研磨紙で磨き、表面をトルエンで拭き取ったSUS板に、重さ5kgのローラーを片道圧着して貼り付ける。23℃で30分間放置後、23℃、65%R.H.の雰囲気下で剥離に要する力を測定した(180°ピール、引張速度:50mm/min)。
Figure 2006137036
表1より明らかなように、本発明の方法によって、接着力を低下させることなく、厚みムラの少ない粘着シートを製造することができる。
本発明の方法で用いられる遮蔽層に設けられた開口部の形状と分散の様子の例を表す概略図である。 光重合性組成物層の表側と裏側とに配置された遮蔽層に設けられた開口部の位置関係を示す断面図である。 本発明の光重合生成物シートの製造装置の一例を示す断面概略図である。 本発明の光重合生成物シートの製造装置の一例を示す断面概略図である。
符号の説明
11 支持体
12 支持体供給ロール
13 カバーフィルム
14 カバーフィルム繰り出しロール
15 コーター
16 バックアップロール
17 コーティングロール
18 光重合性組成物を積層したカバーフィルム
19 光重合性組成物
20 光照射室
20a 部分光照射手段
20b 全面光照射手段
21 遮蔽層
21a 遮蔽層開口部
21b 遮蔽層遮蔽部
22 遮蔽層移動手段
22a 遮蔽層繰り出しロール
22b 遮蔽層回収ロール
23 光照射手段
24 カバーフィルム回収ロール
25 乾燥装置
26 製品用カバーフィルム繰り出しロール
27 製品用カバーフィルム
28 光重合生成物シート回収ロール

Claims (9)

  1. 支持体の少なくとも一方の面に光重合性組成物よりなる光重合性組成物層を設け、該光重合性組成物層に光を照射して重合させることにより光重合生成物シートを製造する方法において、
    (1)部分的に開口部を設けた遮蔽層で光重合性組成物層を被覆し、遮蔽層で被覆された部分の露光量を低下させて光を照射する部分光照射工程と、
    (2)前記部分光照射工程を経た光重合性組成物層の全面に光を照射する全面光照射工程、
    を含むことを特徴とする光重合生成物シートの製造方法。
  2. 上記部分光照射工程(1)において、遮蔽層の開口部以外の部分が、完全に遮光可能な層である請求項1記載の光重合生成物シートの製造方法。
  3. 上記部分光照射工程(1)において、光重合性組成物層の遮蔽層に設けられた開口部によって光の照射を受ける面積が、光重合性組成物層の全面積に対して20〜80%である請求項1又は2記載の光重合生成物シートの製造方法。
  4. 遮蔽層に設けられた開口部が、光重合性組成物層の一方向に対して略均一に分散している請求項1〜3の何れかの項に記載の光重合生成物シートの製造方法。
  5. 遮蔽層に設けられた開口部が、光重合性組成物層に対して略均一に分散している請求項1〜3の何れかの項に記載の光重合生成物シートの製造方法。
  6. 上記部分光照射工程(1)において、光重合性組成物層の遮蔽層に設けられた開口部によって光の照射を受ける部分の光重合性組成物の重合率が30%以上となった時点で、全面光照射工程(2)へ移行する請求項1〜5の何れかの項に記載の光重合生成物シートの製造方法。
  7. 支持体の少なくとも一方の面に光重合性組成物よりなる光重合性組成物層を設け、該光重合性組成物に光を照射して重合させることにより光重合生成物シートを製造する装置であって、
    (A)支持体の片面又は両面に光重合性組成物層を積層し、光重合性組成物シートとして繰り出す光重合性組成物シート供給手段、
    (B)上記光重合性組成物シートを移送する光重合性組成物シート移送手段、
    (C)光重合性組成物シートと等速で移動し光重合性組成物層を被覆する、部分的に開口部を設けた遮蔽層と、遮蔽層を介して光重合性組成物層に光を照射する光照射手段とを備えた部分光照射手段、
    (D)遮蔽層を介さずに光重合性組成物層に光を照射する全面光照射手段、
    とを備えた光重合生成物シートの製造装置。
  8. 支持体の両面に光重合性組成物層を積層し、光重合性組成物シートとして繰り出す(A)光重合性組成物シート供給手段を備えるとともに、上記(C)部分光照射手段と、(D)全面光照射手段とを(B)光重合性組成物シート移送手段によって移送される光重合性組成物シートの表側及び裏側の両面に備えた、請求項7記載の光重合生成物シートの製造装置。
  9. (C)部分光照射手段における遮蔽層の開口部が、光重合性組成物シートの表側と裏側とで相対しない位置に設けられた、請求項8記載の光重合生成物シートの製造装置。
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