以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
(第1実施形態)
図1、及び図2に、本発明の第1実施形態に係る半導体記憶装置のブロック図、及びセルアレイ及びセンスアンプ回路のレイアウト図を示す。なお、以下の説明では、図37から図43と同じ部分には同じ参照符号を付し、重複説明は省略する。また、図2では、図をわかりやすくするために、紙面左右方向にメモリセルアレイ1、及び書き込み順位記憶メモリセルアレイ7のセルブロック49、49'で共有されたメモリセルの制御ゲートWL0〜WL15,SSL,GSLは省略する。
メモリセルアレイ1は、図2に示すように、不揮発性メモリセルを直列、又は並列接続したメモリセルブロック49、49'を配列して構成される。このセルアレイ1のデータ転送線のデータをセンスし、あるいは書き込みデータを保持するためにセンスアンプ回路46が設けられている。このセンスアンプ回路46はデータレジスタを兼ねており、例えばフリップフロップ回路を主体として構成される。さらに、センスアンプ回路46は、データ入出力バッファ45に接続されている。これらの接続は、アドレスバッファ47からアドレス信号を受けるカラムデコーダ48の出力によって制御され、データ入出力I/Oに与えられたデータをセルアレイ1に書き込み、及びデータをI/Oへ読み出し可能となっている。セルアレイ1に対してメモリセルの選択を行うため、具体的には、データ制御ゲートWL0〜WL15、及びブロック選択ゲートSSL,GSLの制御をするために、ロウデコーダ3が設けられている。
また、図1に示すように、基板電位制御回路42は、セルアレイ1が形成されるp型ウェル23(図32等参照)の電位を制御するために設けられており、特に消去時に10V以上の消去電圧に昇圧されるように形成されることが望ましい。さらに、セルアレイ1の選択されたメモリセルにデータ書き込みを行う際に、電源電圧よりも昇圧された書き込み電圧Vpgmを発生するための回路41aが形成されている。このVpgm発生回路41aとは別に、データ書き込み時に非選択のメモリセルに与えられる書き込み用中間電圧Vpassを発生するための回路41b、データ読み出し時に非選択のメモリセルに与えられる読み出し用電圧Vread発生回路41c、選択セルのしきい値判定電圧を与える回路Vref発生回路1(41d)、及びVref発生回路2(41e)が設けられている。これらは、書き込み、消去、及び読み出しの各状態で、必要な電圧出力がデータ制御線ドライバ2に加えられるように、制御回路40によって制御されている。Vpgmとしては、6V以上30V以下の電圧であり、Vpassは3V以上15V以下の電圧である。また、Vreadとしては1V以上9V以下の電圧で、NAND型アレイの場合、書き込みしきい値上限よりも1V程度高い電圧が、読み出し電流を十分確保しリードディスターブ(Read disturb)を低下させるのには望ましい。さらに、Vref発生回路1(41d)、及びVref発生回路2(41e)としては、メモリセルの隣接する各しきい値、例えば"10"と"00"のしきい値分布の分離しきい値の中間に設定する。また、データ制御線ドライバ2は、ロウデコーダ3の出力に従って、上記電圧出力を、書き込み、又は読み出しが必要なメモリセルの制御ゲートWL0〜WL15,SSL,GSLに印加するようにするスイッチ回路である。
本実施形態では、Vref発生回路を41dと41eの2つ設けており、それぞれ隣接するメモリセルが先に書き込まれた場合に、41eの出力が41dの出力よりもΔV分高くなるように設定される。このΔVとしては、隣接セルに書き込みを行った場合の当該セルのしきい値上昇量と同程度とするのが望ましい。
さらに、本実施形態では、データ制御線ドライバ2の出力をセルアレイ1と共有するように書き込み順位記憶セルアレイ7が形成されている。これによって、各データ転送線毎に、隣接するメモリセルでの書き込み順位を記憶することができる。
さらに、書き込み順位記憶セルアレイ7は、データ転送線方向に対しては各ブロック49に対して1つ形成され、それぞれがデータ転送線に並列に接続されている。このデータ転送線は、書き込み順位評価、及び記憶用のセンスアンプ46'、及びそのデータレジスタに接続され、書き込み順位記憶セルアレイ7の書き込み、消去、及び読み出しの電圧、及び信号の入出力を行っている。
また、書き込み順位評価、及び記憶用のセンスアンプ46'の数は、最低分割書込みを必要とするブロック数あれば良い。分割ブロックについては、図1ではメモリセルアレイ1を点線で4つに分割して示している。ここでは4つの分割ブロックを仮定したが、もちろん分割ブロック数は自然数であればよく、2m(m=0,1,2,...)個となることがアドレスデコード上望ましい。ここで、分割ブロック数を2mとして(2m+m+1)個以上のセンスアンプ46'を用意すれば、例えばハミング符号を用いて、書き込み順位記憶セルアレイ7のビット誤りを1ビット訂正でき望ましい。以下では、書き込み順位記憶セルアレイ7に含まれるセンスアンプ数をjとする。
さらに、センスアンプ46'の入出力は、セルの書き込み順位情報に従って読み出しや書き込みを制御する制御ロジック40に接続されている。さらに、セルの書き込み順位情報に従ってセルの物理アドレスと論理アドレスとのマッピングを行うアドレスをaddaとし、これが制御ロジック40の入力となっている。さらに、この制御ロジック40の出力は、分割ページの位置情報に従って消去ベリファイする位置を制御する消去ベリファイ制御回路4に接続されている。さらに、この消去ベリファイ制御回路4の出力は、分割ページセンスアンプ選択信号として、各分割ページに分割されたカラムデコーダ48に接続されている。また、図では単純化のため示していないが、制御回路40より、センスアンプの動作を制御する制御信号やsel1、sel2制御信号が接続されている。
次に、第1実施形態に用いられるメモリセル構造について説明する。なお、以下に説明するメモリセル構造は、後述する第2、第3実施形態においても用いることができる。
図31A、及び図31Bは、それぞれ、NANDセルブロック49の等価回路、及び平面図である。なお、以下では、NANDセルブロック49'の構造は、NANDセルブロック49と同一であるので、49で代表させることとする。
図31Bでは、図31Aに示すセルブロックを3つ並列した構造を示している。特に図31Bでは、セル構造をわかりやすくするために、制御ゲート電極27よりも下の構造のみを示している。
図31Aでは、電荷蓄積電極26を有するMOSトランジスタからなる不揮発性メモリセルM0〜M15が直列に接続され、一端が選択トランジスタS1を介してBLと記してあるデータ転送線に接続されている。また、他の一端は選択トランジスタS2を介してSLと記してある共通ソース線に接続されている。また、それぞれのトランジスタは、同一のp型ウェル23上に形成されている。また、それぞれのメモリセルM0〜M15の制御電極は、WL0〜WL15と記したデータ選択線に接続されている。また、データ転送線に沿った複数のメモリセルブロックから1つのメモリセルブロックを選択してデータ転送線に接続するため、選択トランジスタS1の制御電極はブロック選択線SSLに接続されている。さらに、選択トランジスタS2の制御電極はブロック選択線GSLに接続されており、いわゆるNAND型メモリセルブロック49(点線の領域)を形成している。ここで、本実施形態では、選択ゲートの制御配線SSL、及びGSLがメモリセルの制御配線WL0〜WL15の電荷蓄積層26と同じ層の導電体によって、紙面左右方向に隣接するセルで接続されて形成されている。ここで、セルブロック49には、SSL、及びGSLのブロック選択線は少なくとも1本以上あればよく、データ選択線WL0〜WL15と同一方向に形成されることが、高密度化には望ましい。本実施形態では、セルブロック49に、16=24個のメモリセルが接続されている例を示したが、データ転送線、及びデータ選択線に接続するメモリセルの数は複数であればよく、2n個(nは正の整数)であることがアドレスデコードをする上で望ましい。
図32Aは図31B中のA−A線に沿う断面図で、メモリセル部断面図に相当する。また、図32Bは図31B中のB−B線に沿う断面図である。
図31B、図32A、及び図32Bにおいて、例えばボロン不純物濃度が1014cm-3〜1019cm-3の間のp型シリコン領域(半導体領域)23上に、例えば3nm〜15nmの厚さからなるシリコン酸化膜、又はオキシナイトライド膜25,25SSL,25GSLから形成されたトンネルゲート絶縁膜を介して、例えばリン、又は砒素を1018cm-3〜1021cm-3添加したポリシリコンからなる電荷蓄積層26,26SSL,26GSLが、10nm〜500nmの厚さで形成されている。これらは、例えばシリコン酸化膜からなる素子分離絶縁膜24が形成されていない領域上に、p型シリコン領域23と自己整合的に形成されている。これは、例えばp型シリコン領域23に25,26を全面堆積した後、パターニングし、さらに、p型シリコン領域23を、例えば0.05μm〜0.5μmの深さエッチングし、絶縁膜24を埋め込むことで形成することができる。このように25,26を、段差のない平面に全面形成できるので、より均一性の向上した特性の揃った成膜を行うことができる。
この上に、例えば厚さ5nm〜30nmの間のシリコン酸化膜、又はオキシナイトライド膜、又はシリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜からなるブロック絶縁膜50,50SSL,50GSLを介して、例えばリン、砒素、又はボロンを1017cm-3から1021cm-3程度に不純物添加したポリシリコン、又はWSi(タングステンシリサイド)とポリシリコンとのスタック構造、又はNiSi、MoSi、TiSi、CoSiとポリシリコンのスタック構造からなる制御ゲート27が10nm〜500nmの厚さで形成されている。この制御ゲート27は、図31Bにおいて隣接するメモリセルブロックで接続されるように、紙面左右方向にブロック境界まで形成されており、データ選択線WL0〜WL15を形成している。なお、p型シリコン領域23は、n型シリコン領域22によってp型シリコン基板21と独立に電圧印加できるようになっていることが、消去時の昇圧回路負荷を減らし消費電力を抑えるためには望ましい。また、書き込み時にはFNトンネル電流を用いることができ、ホットエレクトロン電流による書き込みよりも高効率で消費電力を抑えることができる。本実施形態のゲート形状では、p型シリコン領域23の側壁が絶縁膜24で覆われているので、この側壁が浮遊ゲート電極26を形成する前のエッチングで露出することがなく、ゲート電極26がp型シリコン領域23よりも下に来ることを防ぐことができる。よって、p型シリコン領域23と絶縁膜24との境界での、ゲート電界集中やしきい値が低下した寄生トランジスタが生じにくい。さらに、電界集中に起因する書き込みしきい値の低下現象、いわゆる、sidewalk現象が生じにくくなるため、より信頼性の高いトランジスタを形成することができる。
図32Bに示すように、これらゲート電極の両側には、例えば5nm〜200nmの厚さのシリコン窒化膜、又はシリコン酸化膜からなる側壁絶縁膜43を挟んでソース、又はドレイン電極となるn型拡散層28が形成されている。これら拡散層28、電荷蓄積層26、及び制御ゲート27により、電荷蓄積層26に蓄積された電荷量を情報量とする浮遊ゲート型EEPROMセルが形成されており、そのゲート長は、0.5μm以下0.01μm以上とする。ソース、又はドレイン電極となるn型拡散層28としては、例えばリンや砒素、アンチモンを表面濃度が1017cm-3〜1021cm-3となるように、深さ10nm〜500nmの間で形成されている。さらに、これらn型拡散層28は、隣接するメモリセル同士で共有され、NAND接続が実現されている。
また、図において、26SSL、さらに26GSLは、それぞれSSL、及びGSLに相当するブロック選択線に接続されたゲート電極であり、上記浮遊ゲート型EEPROMの浮遊ゲート電極と同じ層で形成されている。ゲート電極26SSL、及び26GSLのゲート長は、メモリセルのゲート電極のゲート長よりも長く、例えば1μm以下0.02μm以上とすることにより、ブロック選択時と非選択時のオンオフ比を大きく確保でき、誤書き込みや誤読み出しを防止できる。
また、27SSLの片側に形成されたソース、又はドレイン電極となるn型拡散層28dは、例えばタングステンやタングステンシリサイド、チタン、チタンナイトライド、又はアルミニウムからなるデータ転送線36(BL)とコンタクト31dを介して接続されている。ここで、データ転送線36(BL)は、隣接するメモリセルブロックで接続されるように、図31Bにおいて、紙面上下方向にブロック境界まで形成されている。一方、27GSLの片側に形成されたソース、又はドレイン電極となるn型拡散層28Sは、コンタクト31sを介してソース線となるSLと接続されている。このソース線SLは、隣接するメモリセルブロックで接続されるように、図31Bにおいて、紙面左右方向にブロック境界まで形成されている。もちろん、n型拡散層28Sを紙面左右方向にブロック境界まで形成することにより、ソース線としてもよい。これらBLコンタクト、及びSLコンタクトとしては、例えばn型、又はp型にドープされたポリシリコンやタングステン、及びタングステンシリサイド、Al、TiN、Ti等の導電物が用いられ、これら導電物がコンタクト孔に充填されて、導電体領域となっている。さらに、これらSL、及びBLと、上記トランジスタとの間は、例えばSiO2やSiNからなる層間絶縁膜28によって充填されている。さらに、このBL上部には、例えばSiO2、SiN、又はポリイミドからなる絶縁膜保護層37や、図には示していないが、例えばW、AlやCuからなる上部配線が形成されている。
次に、図2に、センスアンプ回路まで含んだメモリセルアレイ1及びセンスアンプ46、並びにメモリセルアレイ7及びセンスアンプ46'のレイアウト例を示す。図2では、図を見やすくするために、データ選択線WL0〜WL15、及びブロック選択線SSL、GSLは省略しているが、これらは紙面左右方向のメモリセルブロック49、及び49'で共有されている。
図2において、BL1x、BL2x(x=a,b,c...k)は、データ転送線を示し、同図に示したメモリセルブロック49,、及び49'がそれぞれ接続され、Q1x、及びQ2xを介して1つのセンスアンプxに接続されている。なお、添え字a,b,...kは、複数のレイアウトを示すために便宜的に付けたインデックス(index)であり、インデックスの総数は複数であれば構わない。図2では、データ転送線方向、及びデータ選択線方向に2つずつ配置された構造を示したが、データ選択線方向に隣接するメモリセルの容量結合の影響を防ぐには複数であればよく、2i個(iは正の整数)であることがアドレスデコードをする上で望ましい。さらに、センスアンプにおいては、メモリセル1つよりも大きなトランジスタを必要とするため、1つのセンスアンプ46を複数のデータ転送線で共有し、センスアンプの占める面積を縮小している。また、図2では、センスアンプに接続されるデータ転送線BLはそれぞれ2本ある場合を示したが、例えば1本や4本でもよく、2n本(nは自然数)であることがアドレスデコード回路を簡略化でき望ましい。
特に、2本の場合には、任意のデータメモリセルに列方向に両側に隣接する2つのセルは、同時にデータの読み出しが可能なセルとなる。よって、列方向に隣接するセルのしきい値の影響を減少させるための隣接データ読み込みを一度で行うことができるので、データ読み出し時間を短縮し、隣接データバッファの数を減少させることができ、回路を簡略化できる。
さらに、データ転送線方向に隣接するメモリセルの容量結合の影響を防ぐには、1つのデータ転送線に1つのセンスアンプ46を接続する構成でも構わない。
さらに、センスアンプ46は、メモリセルのデータを読み出すためのものであり、かつメモリセルへの書き込みデータを一時保持するデータレジスタを兼ねている。さらに、このセンスアンプ46は、書き込み、及び読み出しデータをデータ入出力バッファ45と接続するデータ線I/O、及びI/OBとQxa、及びQxb(x=a,b,c...k)を介してそれぞれ共通接続されている。ここで、I/O、及びI/OBは、I/O、及びI/OBの電圧変動によるデータ転送線への容量結合ノイズを減らすためには、セルの列方向に形成されることが望ましく、配線面積を縮小できる。
さらに、図2において、BL1xd、BL2xd(x=a,b,c...,j)は、セルの書き込み順位を記憶するメモリセルに接続されたデータ転送線を示している。ここで、セルの書き込み順位を記憶するメモリセルアレイ7に属するセルブロック49、及び49'は、メモリセルアレイ1に属するセルブロック49、及び49'と同じ構造で形成することができる。ここで、メモリセルアレイ7に含まれるセルブロック49、49'は、メモリセルアレイ1のメモリセルブロック49、49'と同一のp型シリコン領域(p型ウェル)23上に形成されることが、消去、及び書き込み電圧を、メモリセルアレイ1に含まれるメモリセルとメモリセルアレイ7に含まれるメモリセルとで一致させることができるので、特性ばらつきを低減させるのに望ましい。
さらに、センスアンプ46'は、書き込み順位記憶用メモリセルのデータを読み出すためのものであり、メモリセルへの書き込みデータを一時保持するデータレジスタを兼ねている。さらに、このセンスアンプ46'は、書き込み、及び読み出しデータを制御回路40と接続するデータ線I/O'、及びI/OB'とQxda、及びQxdb(x=a,b,c...j)を介してそれぞれ共通接続されている。さらに、Q1xd、及びQ1xのゲート電極は、図2の紙面左右方向に共通に制御線sel1に接続され、Q2xd、及びQ2xのゲート電極は、図2の紙面左右方向に共通に制御線sel2に接続されている。これにより、データ選択線の制御をsel1、及びsel2を用いて小さな配線面積で行うことができる。
本発明では、セルの書き込み順位を記憶するメモリセル7を形成しない従来例に比較して、図2のセルアレイ部分1では、データ転送線方向は増大せず、回路面積を小さく保つことができる。さらに、図2において、センスアンプ制御信号は46と46'とで共有可能であり、同一のデータ選択線に接続されたメモリセルに対して書き込み順位記憶セル7とデータ記憶セル1とを同時にプログラム、消去、及び読み出しされる構造とすることができる。このような構造にすることにより、書き込み順位記憶セル領域7を形成しても、センスアンプとメモリセルアレイと両方で、書き込み順位記憶セルを設けたことによる信号線数の増大を大幅に減少させることができる。図2の回路において、外部まで形成され従来例よりも増える配線は、最低分割ブロック数必要なQxda駆動線、及びI/O'、I/OB'線のたかだか(分割ブロック数+2)本であり、従来例のBLと同じ配線層を配線に用いれば、従来例に比較して配線層の増加なく容易にレイアウトできる。さらに、書き込み順位記憶セル領域7とメモリセルアレイ1との間にウェル分離は必要なく、この間隔も小さく保つことができる。
ここで、センスアンプとデータレジスタ46、及び46'については、本実施形態については、例えば特開平7-182886号(U.S. Patent Number 5,452,249)によって公知のビット毎ベリファイ可能なセンスアンプ回路や、後述の第3実施形態で述べるセンスアンプ回路を用いればよいので省略する。
次に、本実施形態におけるデータ書込み動作を図3、及び図4を用いて説明する。なお、以下では、2値の状態に対しては、"0"は、26の電荷蓄積層にキャリア、例えば電子を注入し、しきい値を上昇させた状態を、"1"は、26の浮遊ゲート電極にキャリアを注入せずにしきい値が低下したままの状態を示すことにする。また、以下では4値の状態に対しては、消去状態を"11"、書き込み状態でしきい値が低い方から"10"、"00"、"01"となるようにする。このようにいわゆるグレイコードにすることにより、しきい値が隣接する分布で誤読み出しが生じても、2ビットの誤りが生じず、データ誤り確率を下げることができる。
ここで、書き込みを行うメモリセルブロックは、既に、例えば電気蓄積層26の電子を引き抜く公知の方法によってデータ消去されているものとし、"1"状態、又は"11"状態になっているものとする。さらに、センスアンプ46、及び46'内のデータレジスタの初期値は、データ消去状態となっているとする。電圧の反転を適宜用いることにより、"1"、及び"0"の条件を反転させることは容易にできることは明らかであろう。
なお、メモリセルとしては、図38の符号を用いて説明することとする。ここで、説明をわかりやすくするために、例えばBL2aに接続されたメモリセルM1'に4値のデータを書き込む場合を考える。また、図3、及び図4の該当する先書込みフラグは2値で十分であり、M1'と同一ページの先書き込みフラグは"00"、又は"01"状態が隣接するセルM1よりもM1'が先にデータが書き込まれたことを示し、"11"状態がそれ以外の場合を示すこととする。一方、M1と同一ページの先書き込みフラグは"00"、又は"01"状態が隣接するセルM1'よりもM1が先にデータが書き込まれたことを示し、"11"状態がそれ以外の場合を示すこととする。
まず、BL2aに隣接するデータ転送線BL1aのメモリセルM1のデータをセンスアンプ46内のデータレジスタに読み出す。ここで、M1はM1'に隣接して形成され、同一分割ブロックに属するメモリセルであり、この動作で、BL1x(x=a,b,...k)のメモリセルのデータも同時に読み出される。この時、同時に、BL1xd(x=a,b,..j)に接続された書き込み順位記憶セルのデータをセンスアンプ46'内のデータレジスタに読み出す(SE6)。この際、読み出しデータ判定しきい値としては、例えば"11"しきい値の上限よりも高く、"01"しきい値の下限よりも低いしきい値であれば良いが、"00"状態しきい値の下限と"10"状態しきい値の上限の約半分のしきい値とするのが、最もマージンを確保しやすいので望ましい。この読み出し動作によって、書き込み順位記憶セルが書き込み状態、つまり、"00"、又は"01"状態であるかどうかを46'内のデータレジスタに記憶することができる。
次いで、46'のデータを制御回路40で判定することによって、書き込み順位記憶セルが"00"、又は"01"状態かどうかを判定する(SE7)。書き込み順位記憶セルが"11"状態である場合、隣接したM1には書き込まれていない状態なので、そのままM1'に書き込み動作を行う。即ち、46のページレジスタを消去状態の初期値にした後、書き込みデータを外部I/Oより目的分割ページレジスタ46に転送し(SE11')、さらに、先書込みフラグを"01"、又は"00"、即ち、書き込み状態として、制御回路40よりセンスアンプ46'内のデータレジスタに転送する。
この後、M1'を含むセルに対してベリファイ読み出し(SE8)を行い、M1'と同じページに属する先書込みフラグについて、消去ビットのみに同時に追加書込みを行う(SE12'、SE13)。SE8は、既に書き込まれた先書込みフラグに再度書き込みを行って過剰に書き込みしきい値が上昇しないようにし、トンネル絶縁膜25の書き込みストレス印加を減少させるためのシーケンスである。
SE7で、書き込み順位記憶セルが"0"状態である場合、隣接したM1には先に書き込まれている状態となっている。この場合、SE6によって読み出した1ページ分のデータを、例えばデータ入出力バッファ45を通じて一時記憶装置に待避した後(SE10)、46のページレジスタを消去状態の初期値にした後、書き込みデータを外部I/Oより目的分割ページレジスタ46に転送し(SE11)、さらに、先書込みフラグを"11"、即ち、非書き込み状態として、制御回路40より46'内のデータレジスタに転送する。M1'と同じページに属する先書込みフラグについて、同時に追加書込みを行う(SE12)。ここで、図4に書き込みデータが4値のしきい値の場合のM1のしきい値分布を示す。SE12のシーケンスの前には、図4中の破線に示すようなしきい値分布となっているが、従来例で説明したようにSE12後には、容量結合によりしきい値が一部上昇し、図4中の実線に示すように、分布幅が広がったしきい値分布となる。本実施形態では、この後、例えばデータ入出力バッファ45を通じて一時記憶装置からSE10で待避した1ページ分のM1を含むデータを転送し(SE14)、さらに、先書込みフラグを"11"、即ち、非書き込み状態として、制御回路40より46'内のデータレジスタに転送する。さらに、M1のデータを追加ベリファイ書込みすることにより、図4中の一点鎖線に示すように、しきい値の分布幅の最大値をほぼ一定としたまま最低値を上昇させ、分布幅を小さくする(SE15)。これにより、書き込み状態のしきい値の分布の分離幅を増加させることができ、読み出し判定しきい値を先書き込みフラグに応じて変化させれば、しきい値の電圧マージンを確保することができる。ここで、SE12シーケンスによるセルのしきい値変化量は"11"状態から"01"状態まで変化する。特に消去"11"状態については、正のしきい値を測定するセンスアンプで負側のしきい値の判定は動作点が変化し測定が困難なため、2V以上に広がってしまう。よって、"11"状態から"01"状態までのしきい値変化量は4V以上と非常に大きいが、これに比べSE15シーケンスによるセルのしきい値変化量は書き込みしきい値分布幅程度(<0.5V)と小さいため、SE15によるM1'のしきい値上昇の影響は、従来例の0.5V/4V〜0.125
倍以下と十分小さく抑えることができる。
もちろん、ここで示した一時記憶装置は、センスアンプ46内に形成したデータレジスタでもよく、その方がデータ転送にかかる時間や、データ線I/Oの駆動に必要な消費電力を削減することができる。
次に、本実施形態におけるデータ読み出し動作を図5、及び図6を用いて説明する。
ここで、説明をわかりやすくするために、例えばBL2aに接続されたメモリセルM1'からデータを読み出す場合を考える。まず、BL2aに隣接するデータ転送線BL1aのメモリセルM1のデータをセンスアンプ46内のデータレジスタに読み出す。ここで、M1はM1'に列方向に隣接して形成され、同一分割ブロックに属するメモリセルである。この時、同時に、BL1adに接続された書き込み順位記憶セルのデータをセンスアンプ46'内のデータレジスタに読み出す(SE1)。この際、読み出しデータ判定しきい値としては、例えば"11"しきい値の上限よりも高く、"10"しきい値の下限よりも低いしきい値であれば良い。この読み出し動作によって、M1が先に書き込まれたかを46'内のデータレジスタに記憶することができ、分割ブロック内のM1のデータが全部消去状態かを調べることができる。
次いで、46'および46のデータを制御回路40で判定することによって、M1がM1'よりも先に書き込まれたかを判定する(SE2)。書き込み順位記憶セルが"00"、又は"01"の書き込み状態である場合、又は分割ブロック内のM1のデータが全ビット"11"、即ち消去状態の場合は、M1'書き込み後M1には書き込まれていない状態なので、読み出し判定しきい値を第一の設定値(SE4)としてM1'の読み出しを行う(SE5)。この第一の読み出ししきい値は、図6に示すように、隣接するセルが消去状態"11"のメモリセルでのしきい値分布で、しきい値分離幅に判定しきい値が入るようにし、しきい値分離幅のほぼ中間にするのが望ましい。一方、書き込み順位記憶セルが"11"状態である場合、且つ分割ブロック内のM1のデータのいずれかのビットが消去状態"11"でない場合は、M1'書き込み後M1に書き込まれた状態なので、読み出し判定しきい値を第二の設定値(SE3)としてM1'の読み出しを行う(SE5)。この第二の読み出ししきい値は、図6に示すように、隣接するセルM1'にSE10〜SE15に従って追加書込みを行った後の当該メモリセルM1'でのしきい値分布を仮定し、しきい値分離幅に判定しきい値が入るようにし、しきい値分離幅のほぼ中間にするのが望ましい。図6から明らかなように、第二のしきい値は第一のしきい値よりもΔVだけ上昇する。このΔVは、(隣接するセルが"01"の場合のしきい値)−(隣接するセルが"11"の場合のしきい値)程度となるようにする。
以上読み出し、及び書き込みは、隣接するセルが列方向、つまりM1'に対してM1セルだけでなく、隣接するセルが行方向、つまりM1'に対してM0'やM2'となる場合にももちろん用いることができ、上記書込みシーケンスのM1部分をM0'、又はM2'と読み替え、BL2xをWL1、BL1xをWL0、又はWL2と読み替えればよい。
なお、J.H.Chernらの論文IEEE Electron Device Letters,13,No.1,pp.32-34(1992)によって、ソースドレイン電極を共有しその方向に隣接する電荷蓄積層間の容量Cは、電荷蓄積層の厚さをT、電荷蓄積層間の間隔をS、電荷蓄積層のソース/ドレイン方向の長さをWとして、トンネル絶縁膜の厚さが電荷蓄積層間の間隔よりも1/10以下で、以下の式に比例することが公知である。
上式はT<0.5Sの場合には、電荷蓄積層の電界はソース/ドレイン層で終端するため電荷蓄積層間の容量は{T/(T+0.5S)}の項だけ小さくなることを示している。逆に、T>0.5Sの場合には、ソース/ドレインによる電荷蓄積層からの電界遮蔽効果が弱まり、T<0.5Sの場合よりも電荷蓄積層間の容量が急に増加し、隣接セル間のしきい値変動が増大する。つまり、本発明では、隣接するメモリセルがソースドレイン電極を共有しており、その電荷蓄積層の間隔Sは、電荷蓄積層の厚さTの2倍以下である時に特に効果を発揮する。
本実施形態により得られる利点のいくつかを以下に示す。
(1)本実施形態では、隣接するメモリセルの書き込みデータすべてに対してベリファイ書込みを行っている。よって、隣接したメモリセルの書き込み後でもしきい値分布幅を小さく保つことができる。
(2)ブロック初期消去後にメモリセルを消去する必要がなく、書き込みのみでしきい値分布を小さく保つことができる。よって、フラッシュメモリにおいてウェルの電位が0Vに回復するのに必要な長い消去時間後の回復時間が不要で、高速に書き込み動作を行うことができる。また、負電圧をゲートに印加する回路も不要なので、データ制御線ドライバ2の回路とウェル構造を単純化することができる。特に、データの読み出しにかかる時間(period)をtR、ベリファイを含んだデータ書込みにかかる時間をtWとし、データの一時記憶装置に対する転送にかかる時間をttとすると、書き込み状態判定はtWに比べ僅かしか時間がかからないので、書き込みに最大(tR+2×tW+2×tt)だけの時間で書き込むことができる。
(3)後述する第2実施形態の2ページ分と比較して、一時記憶装置は1ページ分でよく、より一時記憶装置の面積を小さく、かつ消費電力を減らすことができる。
(4)後述する第2実施形態の消去を行う場合に比較して、書き込みを行わない分割ページには、消去ストレスと再書き込みストレスが印加されず、より信頼性の高いメモリセルが実現できる。
(5)後述する第3実施形態に比較して、1メモリセルに2値のデータを記憶する場合についても用いることができる。
(6)分割ブロックに対してそれぞれ書き込み順位記憶セルが設けられているので、分割ブロック毎に書き込み順位を任意に定めることができ、しきい値の補正を行うことができる。
また、書き込み順位記憶メモリセルアレイ7は、メモリセルアレイ1のデータが2値以上の多値を有する場合でも2値を記憶できればよく、十分なしきい値マージンを得ることができ、書き込み順位記憶メモリセルアレイ7の誤読み出しの確率やデータ破壊の確率を減少させることができる。
(第2実施形態)
図7に本発明の第2実施形態のブロック図を示す。
本実施形態は、第1実施形態とほぼ同一であるが、書き込み順位記憶メモリセルアレイ7、センスアンプ46、Vref回路2(41e)がそれぞれ形成されていない点、並びに書き込みのシーケンスが第1実施形態と異なっている。また、本実施形態では、第1実施形態と同一の部分、及び同一の電圧関係については、同一の参照符号をつけて詳しい説明は省略する。
図7において、データ入出力I/O線、又はI/OBが制御回路40へ接続されている。また、制御回路40からは基板電圧を制御する回路への信号出力が接続され、後述するSE126で弱い消去を行うタイミングを制御している。
なお、以下で、トランジスタのオン(ON)状態とは、トランジスタのしきい値よりも大きな電圧をゲート電極に加えて、MISFETのソース電極とドレイン電極が導通状態になっていることを示し、トランジスタのオフ(OFF)状態とは、トランジスタのしきい値よりも小さな電圧をゲート電極に加えて、MISFETのソース電極とドレイン電極が遮断状態になっていることを示している。なお、トランジスタのしきい値は、ソース電極とドレイン電極とに流れる電流が、例えば40nA×(チャネル幅)/(ゲート長)となる値になった時のゲート電圧とする。また、本実施形態では、通常のCMOSロジック回路の構成が簡単なため、しきい値が正であるトランジスタを例として用いて説明し、特に言及しない場合には、例えば0.5V〜15Vの範囲のVccとなる正の電圧を制御電圧として与えた場合に、論理は"H"とし、回路がオン状態となり、例えば0Vとなる電圧GNDを制御電圧として与えた場合には、論理は"L"とし、回路がオフ状態になるとする。もちろん、しきい値が負のトランジスタを用いても、ゲート電圧の可変範囲にしきい値が含まれるようにすればよいことは自明であろう。
本実施形態は、隣接するセルを書き込んだ後のしきい値と、隣接するセルが消去状態のしきい値とを揃えることで、例えば読み出し判定しきい値を統一したものである。
本実施形態におけるデータ書込み動作を図8、及び図9を用いて説明する。ここで、書き込みを行うメモリセルブロックは、既に、例えば電荷蓄積層26の電子を引き抜く公知の方法によってデータ消去されているものとする。さらに、センスアンプ46、及び46'内のデータレジスタの初期値は、データ消去状態となっているとする。電圧の反転を適宜用いることにより、"1"、及び"0"の条件を反転させることは容易にできることは明らかであろう。
なお、メモリセルとしては、図38中の参照符号を用いて説明することとする。ここで、説明をわかりやすくするために、例えばBL2aに接続されたメモリセルM1'に4値のデータを書き込む場合を考える。
まず、BL2aに隣接するデータ転送線BL1aのメモリセルM1のデータをセンスアンプ46内のデータレジスタで読み出す。ここで、M1はM1'に隣接して形成され、同一分割ブロックに属するメモリセルであり、この動作で、BL1x(x=a,b,...k)のメモリセルのデータも同時に読み出される(SE120)。この際、読み出しデータ判定しきい値としては、例えば"11"しきい値の上限よりも高く、"10"しきい値の下限よりも低いしきい値であれば良いが、"11"状態しきい値の上限と"10"状態しきい値の下限の約半分のしきい値とするのが、最もマージンを確保しやすいので望ましい。この読み出し動作によって、データ記憶セルが書き込み状態、つまり、"10"、"00"、又は"01"状態であるかどうかを46'内のデータレジスタに記憶することができる。
次いで、I/Oを例えばVccでプリチャージした後、分割ページに属するセンスアンプ46のQxaをon状態し、I/Oの電圧を例えばVcc/2をしきい値電圧として判定する(SE121)。この場合、メモリセルアレイ1の分割ページに属する全ビットが消去状態"11"の場合には、I/Oの出力は"H"つまり、Vccとなり、1つでも書き込み済のセルがある場合には、I/Oの出力は"L"状態となり、1つ1つのセンスアンプの状態を調べなくても高速で判定することができる。
次いで、分割ページに属する全ビットが消去状態の場合には、隣接したM1には書き込まれていない状態なので、そのままM1'に書き込み動作を行う。即ち、46のページレジスタを消去状態の初期値にした後、書き込みデータを外部I/Oより目的分割ページレジスタ46に転送し(SE132)書き込みを行う(SE133)。
一方、分割ページに属するビットで書き込み状態がある場合には隣接したM1には先に書き込まれている状態となっている。この場合、M1の属する1ページ分のデータを読み出し(SE122)、例えばデータ入出力バッファ45を通じて一時記憶装置1に待避した後(SE123)、さらに、M1'の属する1ページ分のデータを読み出し(SE124)、例えばデータ入出力バッファ45を通じて一時記憶装置2に待避する(SE125)。
この後、M1、及びM1'の接続されたデータ選択線のメモリセルをすべて弱く消去し、しきい値を低下させ(SE126)、M1は図9の一点鎖線の分布から実線の分布に変化する。このしきい値低下量は、隣接セル書き込みによるしきい値増大量の最大値よりも大きな値とする。なお、SE126の弱く消去する方法としては、例えばM1、及びM1'の接続されたデータ選択線を0Vに保ったまま、他のデータ選択線をフローティング(floating)とし、メモリセルアレイ1が形成されているウェルを、5Vから20Vに10μsから1sの間、昇圧することによって行うことができる。
次いで、該当する分割ページに対して一時記憶装置2のデータと書き込みデータとの論理積を取り、一時記憶装置2に格納する(SE127)。この際、該当しない分割ページについては、一時記憶装置1のデータをそのまま用いる。
次いで、データ入出力バッファ45を通じて一時記憶装置2のデータをセンスアンプ46のデータレジスタに転送した後(SE128)、M1'の属するページついて、追加書込みを行う(SE129)。ここで、図9に書き込みデータが4値のしきい値の場合のM1のしきい値分布を示す。SE129のシーケンスの前には、図の実線のしきい値分布となっているが、SE129後には、容量結合によりしきい値が一部上昇し、図9中の破線の分布幅が広がったしきい値分布となる。本実施形態では、この後、例えばデータ入出力バッファ45を通じて一時記憶装置1からSE123で待避した1ページ分のM1を含むデータを転送し(SE130)、M1のデータを追加ベリファイ書込みすることにより、図9中の一点鎖線のように、しきい値の分布幅の最大値をほぼ一定としたまま最低値を上昇させ、分布幅を小さくする(SE131)。以上により、しきい値分布を隣接メモリセルが消去状態のしきい値と、隣接メモリセルを書き込んだ後のしきい値分布を、書き込みしきい値についてはほぼ等しくすることができる。
これにより、書き込み状態のしきい値の分布の分離幅を増加させることができ、読み出し判定しきい値を先書き込みフラグに応じて変化させれば、しきい値の電圧マージンを確保することができる。ここで、SE129シーケンスによるセルのしきい値変化量は"11"状態から"01"状態まで変化する。特に消去"11"状態については、正のしきい値を測定するセンスアンプで負側のしきい値の判定は動作点が変化し測定が困難なため、2V以上に広がってしまう。よって、"11"状態から"01"状態までのしきい値変化量は4V以上と非常に大きいが、これに比べSE131シーケンスによるセルのしきい値変化量は書き込みしきい値分布幅程度(<0.5V)と小さいため、SE131によるM1'のしきい値上昇の影響は従来例の0.5V/4V〜0.125倍以下と十分小さく抑えることができる。
もちろん、ここで示した一時記憶装置1、2は、半導体記憶装置の外部に設けても良いが、I/Oセンスアンプ46内に形成したデータレジスタでも良い。ただし、I/Oセンスアンプ46内に形成したデータレジスタの方が、データ転送にかかる時間や、データ線I/Oの駆動に必要な消費電力を削減することができる。
本実施形態の読み出し動作は、従来例と同じなので、省略する。
以上読み出し、及び書き込みは、隣接するセルが列方向、つまりM1'に対してM1セルだけでなく、隣接するセルが行方向、つまりM1'に対してM0'やM2'となる場合にももちろん用いることができ、上記書き込みシーケンスのM1部分をM0'、又はM2'と読み替え、BL2xをWL1、BL1xをWL0、又はWL2と読み替えればよい。
また、本実施形態では、分割ブロックに対してそれぞれ隣接セル書き込み状態を検知しているので、分割ブロック毎に書き込み順位を任意に定めることができ、しきい値の補正を行うことができる。
本第2実施形態では、第1実施形態と共通に得られる利点に加えて、以下のような利点を得ることができる。
(1)本実施形態では、隣接するメモリセルの書き込みデータすべてに対してベリファイ書込みを行っている。よって、隣接したメモリセルの書き込み後でもしきい値分布幅を小さく保つことができる。
(2)本実施形態では、隣接セルの書き込みの有無に依らず読み出しの判定しきい値を一定の値とすることができる。このため、読み出し動作は従来例と同等に高速で行うことができる。
(3)本実施形態では、第1実施形態や後述する第3実施形態のような書き込み順位記憶メモリセルアレイは必要なく、より小さな回路面積で実現することができる。
(4)後述する第3実施形態に比較して、1つのメモリセルに2値のデータを記憶する場合についても用いることができる。
もちろん、本実施形態の回路構成で、SE122〜SE131をSE10〜SE15へ置き換え、図5の読み出しフローを用いる構成も可能である。
さらに、第1実施形態の回路構成で、SE10とSE122〜SE131に置き換え、読み出しを従来例と同じくした構成も可能であり、この場合、構成上の利点はそれぞれの回路構成の利点と同じであり、読み出し、及び書き込み動作上の利点はそれぞれシーケンスを用いて説明した利点と同じとなる。
(第3実施形態)
図10に本発明の第3実施形態のブロック図を示す。
本実施形態は、第1実施形態とほぼ同一であるが、Vref回路2(41e)が形成されていない点、並びに書き込み、及び読み出しのシーケンスが第1実施形態と異なっている。また、本実施形態では、必ずしも分割したセンスアンプ選択信号をベリファイ制御回路4からカラムデコーダ48に与える必要はなく、一括したセンスアンプ選択信号を与えれば良い。なお、第1実施形態、及び第2実施形態と同一の部分、及び同一の電圧関係には、同一の参照符号をつけて詳しい説明は省略する。
本実施形態では、1つのメモリセルに2値以上の複数のしきい値、例えば4値を記憶することとし、記憶する一纏りの2ビットを、互いに隣接するメモリセルにベリファイを行いながら1ビットずつ書き込む。これにより、例えば隣接セルの容量結合によるしきい値の変化を補償する。さらに、本実施形態ではセンスアンプ回路46の具体的な構成例を開示する。
図11に第3実施形態のセンスアンプ46について、1つ分の回路ブロック例を示す。
図11に示すように、本センスアンプ46は、主としてデータが再生可能なデータレジスタR1,R2、選択充電及び放電回路、データレジスタTR1、及びデータレジスタTR3によって構成されている。ここで、データが再生可能なデータレジスタR1,R2とは、少なくとも2つの電圧の安定点が存在し、1つの安定点から少しずれた電圧を入出力ノードに与えても、上記安定点に上記入出力ノードの電圧を引き戻す働きを有するデータレジスタである。このようなデータレジスタは、例えば図12A〜図12Eで示すようなインバータを逆並列接続して形成したフリップフロップで形成すればよい。さらに、データが再生可能なデータレジスタR1には、データ入力、及び出力となる電圧ノードN3が形成されている。さらに、N3の反転出力となる電圧ノードN4が形成されていてもよい。また、データレジスタR1はデータ保持を制御する信号Φ7が接続されている。さらに、データレジスタTR3の入力、及び出力端子は、データレジスタR1に接続され、TR3のデータ出力制御信号Φ5が与えられている。なお、TR3のデータの入力端子と出力端子が分離されている場合には、データ保持制御信号Φ6が与えられても良い。
さらに、上記N3の電圧ノードは、選択充電及び選択放電回路の1つの入出力と接続されている。選択充電及び選択放電回路は、データレジスタTR1と接続され、ノードN3のデータをデータレジスタTR1に保持できるようになっている。なお、データレジスタTR1には、データ保持制御信号としてΦ4、及びデータレジスタTR1のデータ出力制御信号としてΦ3が与えられる。さらに、データレジスタTR1の保持データによって、電圧ノードN2の選択充電を制御している。ここで、選択充電及び選択放電回路には、充電及び放電を切り替える信号Φ2、及びノードN2、及びノードN3の導通と非導通を制御する信号Φ10が与えられる。さらに、信号Φ2を反転させることにより、データレジスタTR1の保持データによって、電圧ノードN2の選択放電を制御している。
さらに、ノードN2を通じてBL1、及びBL2を充電するためのトランジスタQ3、及びその充電を制御する信号Φ11がN2ノードに接続されている。さらに、N2ノードには、Q1,Q2を介して複数のデータ転送線BL1、及びBL2に接続されている。なお、図11でのQ1,Q2は、図2でのQ1x、Q2x(x=a,b,...,k)と同じトランジスタである。N2ノードに接続されるデータ転送線の数は、データ選択線方向に隣接するメモリセルの容量結合の影響を防ぐには複数であればよく、2i個(iは正の整数)であることがアドレスデコードをする上で望ましい。
さらに、N2ノードは、Q5を介してN1ノードと接続されている。Q5には、その導通を制御する信号Φ9が接続されている。なお、N2ノードは、sel1,sel2,Φ9,Φ11,Φ10,Φ3に接続されたトランジスタを遮断状態にすることにより、浮遊状態となりデータを一時的に貯えることができる、データレジスタTR2として機能する。N2ノードには、より容量を確保しデータ保持特性を良好とするために、例えば0.01pFから10pFの間の容量を有するキャパシタC1を接続していてもよい。
さらに、N1ノードは、データ再生可能なデータレジスタR2の入出力端子と接続されている。また、N1ノードはQ4を介して共通データ線I/Oと接続されている。このQ4は、図2におけるQxa(x=a,b,...,k)と同じものであり、共通データ線I/Oはデータ選択線方向に延び、複数のセンスアンプで共有されている。以上の回路で、Φ2〜Φ7,Φ9〜Φ11,sel1,sel2はデータ選択線方向に延び、複数のセンスアンプ46、及び46’で共有されていることが望ましい。このようにすることにより、複数のセンスアンプ46、及び46’を制御する信号線の本数を減少させ、配線を減らし回路面積を小さくすることができる。また、Q4の入力Φ1はカラムデコーダに接続されている。
次に、図12A〜図12Eに、データレジスタR1、及びR2の具体的構成例を示す。以下では、Φ7が"L"から"H"に変化した場合にN3のデータ保持を行い、"H"の期間はデータを保持し続ける例を示すが、適宜信号反転回路やn型トランジスタの替わりにp型トランジスタを用いることにより、例えば"H"から"L"に変化した場合にデータ保持を行う例も容易に構成できることは明らかであろう。また、以下では反転信号について、信号名の前にスラッシュ"/"を付けて示すこととする。
また、図12A〜図12Eにおいて、データレジスタR2については、N3ノードをN1ノードと読み替えればよく、Φ7信号をΦ8信号と読み替えればよい。これらは、インバータを逆並列接続して形成したフリップフロップであり、図12Aでは、Φ7をSAP入力、Φ7の反転をSAN入力とすることによってデータラッチすることがきる。本図12AのCMOSインバータで作成した例では、最もトランジスタ数が少なく回路面積を小さく構成できる。
図12Bに示す構成例は、インバータのN3側にクロックドインバータを用いた例で、図12Aに示した構成例に比べて、2つの利点を持つ。
(1)Φ7はQ11、及びQ10のゲート容量のみ充電すればよいので、Φ7の信号線を駆動する電流をより減らすことができ、信号線を細くしてレイアウトすることが可能である。また、Φ7がゲート入力に接続され、電流、及び電圧出力となるソース/ドレイン電極と接続されていないので、Φ7に並列接続されたセンスアンプの電位変動がΦ7を通じて他のセンスアンプに伝わることがなく、安定した動作が実現できる。
(2)Φ7を"L"とすることにより、N3ノードが浮遊状態となり、N4ノード゛の電圧に依存せず、N3ノードの値をラッチすることができる。
さらに、図12Cに示す構成例は、図12Bの(1)の利点に加えて、Φ7に接続されているトランジスタQ11,Q12が全てNMOSで構成されているので、面積の大きなPMOSトランジスタよりも小さい面積でセンスアンプを構成することができる、という利点がある。また、Φ7を"L"にした場合にVccからGNDまでの直流貫通電流が流れないので消費電力を減少させることができる。
さらに、図12Dは、図12Bの利点に加えて、Φ7'はΦ7と同じ信号でも良いし、Φ7'の信号の"L"から"H"への立ち上がりをΦ7に比べて早めれば、N3ノードをまず浮遊状態にし、その入力データをラッチすることができ、逆にΦ7の信号の"L"から"H"への立ち上がりをΦ7'に比べて早めれば、N4ノードをまず浮遊状態にし、N4ノードの入力データをラッチすることができる。この回路はN3、及びN4のどちらも浮遊状態にし、入力とすることが可能なので、図13A、図13H〜図13Kと用いれば、TR3のデータも安定に復元することができる。また、Φ7、及びΦ7'を"L"にした場合にVccからGNDまでの直流貫通電流が流れないので消費電力を減少させることができる。
さらに、図12Eは、図12Bの利点に加えてΦ7を"L"にした場合にVccからGNDまでの直流貫通電流が流れないので消費電力を減少させることができる。
以上R1,R2については、CMOSインバータを用いた例を示したが、もちろんNMOSで形成したEE型インバータや、PMOSの替わりに高抵抗負荷を用いたインバータで形成してもよく、動作は同様なので、省略する。
次に、図13A〜図13Kに、データレジスタTR3の具体的構成例を示す。以下では、Φ6が"H"から"L"に変化した場合にデータ保持を行い、"L"の期間はデータを保持し続ける例を示すが、適宜信号反転回路やn型トランジスタの替わりにp型トランジスタを用いることにより、例えば"H"から"L"に変化した場合にデータ保持を行う例も容易に構成できることは明らかであろう。また、以下では、Φ5が"L"の場合は浮遊状態で、"H"の期間はデータ出力する例を示すが、適宜信号反転回路やn型トランジスタの替わりにp型トランジスタを用いることにより、例えば"H"から"L"に変化した場合にデータ出力を行う例も容易に構成できることは明らかであろう。
図13A〜図13Cに示す構成例は、ダイナミック型メモリと同様のデータ保持回路であり、Φ5がΦ6と共通となっている。この図において、V1は例えばVDDからGNDの間の電圧となる電圧ノードを示す。この回路ではキャパシタC2の電荷量としてデータを保持する。これらは、信号線の数と構成素子数が少なくより小さい面積で回路を実現できる。
図13D〜図13Kに示す構成例は、Q17のゲート電極に蓄積された電荷量をデータとし、その反転出力をQ17,Q18を通じて出力する回路である。この図において、V1は例えばGNDとなる電圧ノードを示す。この回路構成では、データの入力と出力を分離することができ、データ読み出しに対して破壊が生じず、読み出し破壊を復元するデータリフレッシュは不要となり、入力と出力のタイミングを調整することも容易になる。また、保持データが"H"の場合で信号電荷が消失しても、Q17のゲート電極のノードがQ17のしきい値以上に保たれていれば、Φ5を"H"にして読み出すと、出力ノードとV1ノート゛を導通状態に保つことができ、より大きな信号マージンを得ることができる。
無論、TR3については、図12A〜図12Eで示したデータ再生可能なデータレジスタ回路で構成してもよいが、図13A〜図13Kの回路を用いた方が、構成トランジスタ数も3つ以下で少なく、電源線もV1の1つで良いので、より小さな回路を実現できる。
次に、図14A〜図14Fに、選択充電及び選択放電回路とデータレジスタTR1、即ち、選択放電/充電回路10の具体的構成例を示す。以下では、Φ4、及びΦ12が"H"から"L"に変化した場合にデータ保持を行い、"L"の期間はデータを保持し続ける例を示すが、適宜信号反転回路やn型トランジスタの替わりにp型トランジスタを用いることにより、例えば"H"から"L"に変化した場合にデータ保持を行う例も容易に構成できることは明らかであろう。また、以下では、Φ3が"L"の場合は浮遊状態で、"H"の期間はデータ出力する例を示すが、適宜信号反転回路やn型トランジスタの替わりにp型トランジスタを用いることにより、例えば"H"から"L"に変化した場合にデータ出力を行う例も容易に構成できることは明らかであろう。さらに、Φ2が"L"の場合はN2ノート゛を選択放電し、Φ2が"H"の場合は、N2ノート゛を選択充電する場合を示す。ここで、Φ3としては、Q20によるしきい値Vth分の低下量を低減し、N2ノート゛の電圧をVcc-Vthまで充電するために、Φ3が"H"の場合の電圧はVcc+Vth以上とするのが望ましい。
また、Φ10,Φ3,Φ4については、適宜信号反転回路やn型トランジスタの替わりにp型トランジスタを用いることにより、例えば"H"から"L"に変化した場合にデータ保持を行う例も容易に構成できることは明らかであろう。
本回路は、まず、Φ3,Φ4,Φ10,Φ12,Φ13,Φ14が"L"になっている初期状態を考える。また、VBLはVccとする。図14A〜図14Dに示す構成例ついてはΦ4に、図14E、及び図14Fに示す構成例についてはΦ4とΦ14とに"H"パルスを加え、N3ノードのデータをQ21のゲート電極へ伝達する。この後Φ4,Φ14を"L"にする。さらに、図14C、及び図14Dに示す構成例ついてはΦ12に、図14E、及び図14Fに示す構成例ついてはΦ4とΦ13とに"H"パルスを加え、N3ノードの電位に依らず、N2ノードのデータをQ21のゲート電極へ伝達することもできる。この後Φ12,Φ13を"L"にする。次いで、N2ノードを、例えばQ3を介してVccに充電した後、Q3をオフにし、Φ10を"L"にしたまま、N2を浮遊状態とし、TR2をデータ保持状態とする。さらに、Φ10を"L"、Φ2を0V、又はVccに固定したまま、Φ3を"L"から"H"にすることによって、Q21のゲート電極に保持された電荷量をデータとし、そのデータに基づいてN2ノードの充放電を行う。この動作を選択放電及び選択充電と呼ぶことにする。
図15A、及び図15Bにそれぞれ、本回路の選択放電動作及び選択充電動作の論理表を示す。なお、太線で囲った部分は、Q21のゲート電極に蓄えられた初期データの反転がN2ノード出力に得られていることを示している。即ち、選択放電動作を行うことにより、図16に示すシーケンスでデータの反転が得られることを示している。さらに、図16のシーケンスでは、第1実施形態で述べたように、グレイコードで4値のしきい値の論理値の順番を決定した場合、しきい値が低い順から"11"、"10"、"00"、"01"となり、下位ビットの"0"、"1"としきい値順序を反転する必要がある。本実施形態の選択放電回路を用いることにより、従来例で困難だったデータ反転を非常に単純な回路構成で、センスアンプ内46で高速に行うことができる。よって、データを反転するためデータ入出力バッファ45を通じて外部バッファにデータ転送にかかる時間や、データ線I/Oの駆動に必要な消費電力を削減することができる。
以上より、選択放電/充電回路10を用いて、Q21のゲート電極にN2、又はN3のデータを保持し、そのデータに基づいてN2ノードを選択充放電できることが明らかとなった。さらに、図14A〜図14DについてはΦ10に、図14E、及び図14Fについては、Φ13とΦ14とに"H"パルスを加えることにより、N2ノードとN3ノードが導通状態にできることも明らかである。
以下では、簡単のため、最も素子数の少ない図14Aに示す選択放電/充電回路10の動作のみを説明することとする。例えば図14Bは図14Aと同じ回路動作を実現でき、図14C、及び図14Dは図14A、及び図14Bの回路を含んでいるので、Φ12を"L"にして同様に動作させることができることは明らかである。さらに、図14E、及び図14Fは、Φ14を常に"H"にして、Φ13にΦ10と同じ信号を加えれば同様に動作させることができることは明らかである。
次に、データレジスタR1とR2とのデータ内容を交換するフロー例を図17に示す。以下では、データを再生するとは、1つの安定点から少しずれた電圧を入出力ノードに与えても上記安定点に上記入出力ノードの電圧を引き戻し、論理信号振幅を復元することを示している。また、本実施形態ではR1、及びR2によって実施される。なお、図13A〜図13K、及び図14A〜図14Fで示したデータレジスタ回路では、電源電圧ノードは1つしかないため、2値のデータは再生できない。図16、及び図17のシーケンスはいずれもTR3の保持データを破壊することなく実施することができる。
さらに、以下でTR3からR1にデータリストアするという表現を用いるが、これは、TR3が例えば電荷漏れやアレイノイズにより論理振幅電圧が低下した電圧となった出力を与えた場合に、R1によってデータ再生を行い、R1にデータを保持することを意味する。これは、例えばΦ7を"L"にしデータセンス状態にし、Φ5を"H"にした後、Φ7を"L"から"H"にすることによりTR3のデータを保持するシーケンスを指すこととする。また、R1からTR3へのデータ転送は、R1をデータ保持状態、つまり、Φ7を”H”にした状態で、例えばΦ6を”L”から”H”にすることにより転送し、その後Φ6を”H”から”L”にすることで、R1にTR3と独立にデータを記憶できるようにするシーケンスを示す。さらに、R1のデータをTR1に転送とは、R1をデータ保持状態、つまり、Φ7を”H”にした状態で、Φ4を”L”から”H”にし、TR1の電位がR1の出力電位と等しくなった後に、Φ4を”H”から”L”にするシーケンスを示し、R1のデータをTR2に転送とは、R1をデータ保持状態、つまり、Φ7を”H”にした状態で、Φ10を”L”から”H”にし、TR2の電位がR1の出力電位と等しくなった後に、Φ7を”H”から”L”にするするシーケンスを示し、TR2のデータをR1に転送とは、R1をデータセンス状態、即ち、Φ7を”L”にして、Φ10を”L”から”H”にしてTR2のデータをN3ノードに転送し、次いで、Φ7を”L”から”H”にしてデータを保持状態にするシーケンスを示す。
次に、本実施形態におけるデータ読み出し動作を図18、及び図19を用いて説明する。
本実施形態では、1つのメモリセルに2値以上の複数のしきい値、例えば4値を記憶することとし、記憶する一塊の2ビットを、互いに隣接するメモリセルにベリファイを行いながら1ビットずつ書き込む。よって、図19に示すように、消去後、分割ブロックに最初に書きこむ論理アドレス1のデータ(1ビット目)を"11"と"00"状態の2値に対応させ隣接する2つのセルに記憶し、物理アドレスと論理アドレス対応表とを共に記憶する。その後に論理アドレス2にデータ(2ビット目)を書き込む要求があった場合、上記セルのしきい値に追加書き込みを行い、"11"を"11"と"10"、"00"を"00"と"01"に追加ビットに依存して書き分け4値のデータとする。なお、以下では、説明をわかりやすくするために、4値のデータを仮定し、一度に書き込む2ビットでk1に書き込むデータを下位ビット、k2に書き込むデータを上位ビットと定義する。また、第3実施形態では、書き込み順位記憶メモリセルアレイ7のデータ内容は、論理アドレス1に先に書き込みを行った場合に"11"(非書き込み)、論理アドレス2に先に書き込みを行った場合"00"(書き込み)となるように設定されている。以下では、上記物理アドレスと論理アドレスの変換を行うアドレスをaddaと表記する。なお、これら論理アドレス書き換えフラグは、例えば図2のセルレイアウトで第1実施形態と同様に実現でき、2値の値”11”と”00”を記憶できれば十分であり、分割ページと行が同じデータを記憶するメモリセルと同時に書き込み、及び読み出し、消去が行えることは明らかである。また、論理アドレス書き換えフラグと同じセル回路構成で、ブロック消去後で書き込みを行ったかどうかの状態を示すフラグ(初期書き込みフラグ)を形成する。これは、消去後、該当分割ブロックの隣接セルのいずれかにも書き込みを行っていない場合に"11"(非書き込み)、どちらか既に書き込みを行っている場合に"00"(書き込み)となるように設定されている。これらフラグは、例えば論理アドレス書き換えフラグを下位ビットと同時に読み出されるメモリセルアレイ7に、初期書き込みフラグを上位ビットと同時に読み出されるメモリセルアレイ7に割り当てれば、メモリセルアレイ1と全く同じ構成で、1データ転送線を追加するだけで1分割ブロック分の情報を記憶でき、新たなメモリセルや配線設計の必要がなく、回路面積を小さく実現することができる。
また、個々のデータの読み出し、及び書き込み、ベリファイ動作のタイミングについては、例えば特開平7-182886号(U.S. Patent Number 5,452,249)によって公知であるので省略する。本実施形態ではR1をセンスアンプ動作として用いており、選択放電/充電回路10をベリファイ動作に用いているので、データ読み出し動作によって、R1と、TR2の内容が破壊され、ベリファイ動作によって、TR1の内容が破壊されるが、TR3とR2のデータ内容は破壊されないことに注意されたい。
さらに、図18から図27までのk1とk2とは互いに隣接するメモリセルで、一塊の2ビットを、それぞれに1ビットずつ記憶するメモリセルを示し、隣接する方向は、列方向、及び行方向のいずれでも構わない。
まず、図18のSE21で示すシーケンスによって、しきい値"11"と"10"との間のしきい値判定値によって、k1のデータを読み出す。この際、読み出しデータ判定しきい値としては、図19に示しているように、例えば"11"しきい値の上限よりも高く、"10"しきい値の下限よりも低いしきい値であれば良いが、"11"状態しきい値の上限と"10"状態しきい値の上限の約半分のしきい値とするのが、最もマージンを確保しやすいので望ましい。この結果、判定しきい値よりも高いしきい値をメモリセルが有する場合には"H"が、また、低いしきい値をメモリセルが有する場合には"L"が、R1に保持される。
次いで、読み出し論理アドレスaddaとの排他的論理和をセンスアンプ46'、又は制御回路40で生成する。この回路については、図29を用いて後述する。これにより、k1,k2とも消去状態、及び論理アドレス1に先に書き込みを行った場合で読み出しアドレスが1の場合と、論理アドレス2に先に書き込みを行った場合で読み出しアドレスが2の場合に、排他的論理和が"1"("L")となり、4値のうち"11"、又は"10"を"1"、"00"、又は"01"を"0"として読み出せば良い。これは、SE30、及びSE31のシーケンスで"00"と"01"の間でしきい値判定をk1に続いてk2について行うことにより、容易に行うことができる。また、逆に、論理アドレス1に先に書き込みを行った場合で、読み出しアドレスが2の場合と、論理アドレス2に先に書き込みを行った場合で、読み出しアドレスが1の場合に、排他的論理和が"0"("H")となり、4値のうち"11"、又は"01"を"1"、"10"、又は"00"を"0"として読み出せば良い。この場合"10"と"00"のしきい値は"11"と"01"のしきい値の中間のしきい値となるので、SE21で読み出したデータをTR2に保持し、SE24で読み出したデータをTR1で保持した後、SE25に示すように選択放電することによって、TR2に"11"、又は"01"の場合には"1"("L")を、"10"、又は"00"の場合には、"H"の状態を取り出すことができる。SE21,SE24,SE25はk1についてデータを取り出すシーケンスであり、SE26〜SE28はk2についてデータを取り出す同等のシーケンスであり、これらデータはR1,R2に保持されて、順にQ4を通じてI/Oに出力できる。
なお、ここで、SE25のR2のデータ出力と、SE26からSE27までのシーケンスは、Q5をオフにしておけば、同時に行うことができ、外部へのデータ読み出し時間を削減できる。特に、データの読み出しにかかる時間(period)をtR、データの外部への転送にかかる時間をtt2とすると、1ブロックの読み出しに最大(4×tR+1×tt2)か(2×tR+2×tt2)の大きい方の時間で読み出すことができる。
次に、本実施形態におけるデータ書き込みシーケンスを、図20〜図27を用いて説明する。
まず、書き込みデータをSE32でTR3、及びR2に転送する(SE32)。なお、以下では、セルに既にデータが書き込まれている場合も想定して、用語を明確化するために、SE32で転送されたデータを追加書き込みデータと呼ぶことにする。これにより、第1、第2実施形態と異なり、書き込み動作シーケンスの始めから書き込みデータ転送を行うことができ、書き込み動作開始からデータ転送までの時間を短縮することができる。さらに、SE33、SE33'、SE34、及びSE35によって、消去後でデータが初期値の場合と、論理アドレス1に論理アドレス2よりも先に書き込みを行った場合で追加書き込みデータの論理アドレスが1の場合と、論理アドレス2に先に書き込みを行った場合で書き込み論理アドレスの読み出しアドレスが2の場合に、排他的論理和が"1"("L")となる。この場合、いずれにせよ、データ列をk1とk2に2分し、"0"を"00"、"1"を"11"としてベリファイ書き込みを行えば良い。この詳細なフローをSE36に示すが、SE36に示すように、隣接するセルk1とk2のデータを書き込み後に、k1、及びk2をそれぞれベリファイ読み出しし、k1、及びk2についてそれぞれ再書き込みを行うことにより、隣接セル間容量によってしきい値が変化する場合でも隣接するセルのしきい値の差を補正し小さくすることができる。なお、特に消去後の書き込みの場合や、隣接分割ブロックの容量結合が小さく無視できる場合の書き込みの場合には、隣接するセルの容量結合でしきい値が変化するセルは書き込みを行うセルのみなので、ベリファイ電圧ステップを小さくすることにより、ベリファイ電圧ステップ程度まで隣接するセルのしきい値の差を補正し小さくすることができる。
一方、論理アドレス1に論理アドレス2よりも先に書き込みを行った場合で、追加書き込みデータの論理アドレスが2の場合と、論理アドレス2に先に書き込みを行った場合で、追加書き込み論理アドレスの読み出しアドレスが1の場合に、排他的論理和が"0"("H")となる。ここで、該当分割ブロックに対する初期書き込みを確認するフラグを調べ、初期書き込みである場合には、前記のデータ列をk1とk2とに2分し、"0"を"00"、"1"を"11"としてベリファイ書き込みを行えば良い。その他の場合には、データ列をk1とk2とに2分し、書き込みを行うセルのしきい値が"11"の場合には、追加書き込みデータ"0"、"1"に従い"10"、"11"となるようにし、書き込みを行うセルのしきい値が"00"の場合には、追加書き込みデータ"0"、"1"に従い"00"、"01"となるよう書き込みを行えば良い。この場合、既に"00"、及び"11"のデータが書き込まれているので、図19で示すように、"00"のデータのセルの隣接するセルへの追加書き込みによるしきい値上昇が生じてしまう。しかし、従来例でしきい値上昇は、最大{(隣接するセルが"01"の場合のしきい値)−(隣接するセルが"11"の場合のしきい値)}×(比例定数)なのに対し、本実施形態では、最大{(隣接するセルが"10"の場合のしきい値)−(隣接するセルが"11"の場合のしきい値)}×(比例定数)まで小さく抑えることができる。
また、SE37からSE42に示すように、隣接するセルk1データを一度書き込み後に、k2をベリファイ書き込みすることで、SE37、及びSE40によるしきい値上昇分をSE38、及びSE41で補正することができ、k1にベリファイ書き込みし、次いで、k2にベリファイ書き込みした場合よりもしきい値ばらつきを小さくすることができる。また、図20〜図27のフローを用いることにより、図11の構成で、隣接するセルの容量結合によるしきい値上昇を抑えることができる。
さらに、k1とk2とがM0とM1のように、NAND構造内の行方向に隣接するメモリセルで本実施形態を適用することにより、データの誤書き込みを従来よりも低減することができる。この理由を以下説明する。従来、最低のしきい値である”11”しきい値を有するメモリセルがあるとし、そのセルに隣接する2つのメモリセルのしきい値がVthrである場合を考える。ここで、プログラム時に、Vthrしきい値のデータ選択線をVpassの電圧で昇圧し、”11”しきい値のデータ選択線をVpassより高い電圧であるVpgmで昇圧して、”11”しきい値のセルは非書き込み状態に保つ場合を考える。この場合、しきい値Vthrのセルでは、データ選択線とチャネル電位との容量結合による電位上昇は、チャネルに電荷が誘起されてからVpassに昇圧するまでの電圧差に比例するので、(Vpass-Vthr)に比例する。よって、Vthrが上昇するほど、非選択セルのチャネル電位は低下し、特にVthrが”10”状態のセルが、”11”状態のセルの両側に形成されると、”11”しきい値のセルの制御線にVpgmを与えられたときに誤書き込みが生じる可能性があった。これに対して本発明では、k1とk2を一度の連続したシーケンスで書き込むため、書き込む前の一方の隣接するセルのしきい値が”01”となる確率を従来の1/2以下に抑えることができ、従来例のしきい値書き込み法よりも、データ制御線がVpgmに昇圧された時に非書き込み状態に保つセルの誤書き込みを減少させることができる。
ここで、図28に本実施形態のセンスアンプ46の全体の回路例を示す。本回路は、TR2のノードがQ32によって2つに分割されていること、また、それぞれその分割されたTR2に対してデータ転送線が2本ずつ接続されていること、及びR1にもI/Oとの入出力のためのトランジスタQ4’が形成されていること、さらに、R2とQ21の間にΦ14が形成されていることが異なっている。ここで、本回路は、Φ17、及びΦ18を”H”、Φ3、Φ4、及びΦ15を”L”、Φ12、及びΦ6を”H”、Φ14をΦ5と同じ信号で駆動し、Φ16とΦ1とカラムデコーダの信号に従い駆動することとすれば、特開平7-182886号(U.S. Patent Number 5,452,249)によって公知のビット毎ベリファイ可能なセンスアンプ回路を2つ並列に並べた回路構造と実質的に等しく、2値のデータをBLxa、BLxb(x=1,2)のそれぞれに対して同時に書き込み、読み出し、及び消去を行うことができる。
一方、Φ14、Φ16を”L”、Φ15を”H”、読み出すデータ転送線に応じてΦ17とΦ18にいずれかを”H”、他方を”L”とすることによって、上述のように4値のデータを2つのデータ転送線に本実施形態に従って読み込み、書き込みすることができ、特開平7-182886号(U.S. Patent Number 5,452,249)の構造に僅か6つのトランジスタQ32,Q19,Q22、Φ17の接続されたトランジスタ、Φ18の接続されたトランジスタ、及びQ24を付け加えるのみで隣接セルの容量結合によるしきい値変動を低減した、4値の半導体記憶回路を容易に実現することができる。
また、本実施形態について、書き込み順位記憶セルアレイ7に接続されたセンスアンプ46'の具体的回路例を図29に示す。本実施形態での書き込み順位の判定結果はデータレジスタR1によってセンスされているので、図29のようにR1の出力N3、及びその反転出力が得られるN4を制御回路40からの信号でQ40,Q41によって出力制御を行い、アドレスバッファ47からのaddaの値と排他的論理和を形成し、出力を制御回路40に入力する。このように、46’は46に加えて排他的論理和まで出力するのに最低6トランジスタで実現でき、非常に小さい面積で実現できる。さらに、46と同じ回路を46’の構成要素として用いることができるため、回路のタイミング設計が容易であり、センスアンプ46,46'のΦ1を除く制御線も共通にすることができ、配線面積も減少させることができる。
また、図11のセンスアンプ46'の構成は、R1とR2、及びTR3のデータを維持したまま、R1、及びR2のデータを独立にI/O線に読み出すことができる。ここで、図18〜図27で説明した条件分岐は46'のR1に貯えられたデータに従って全て行うことができるため、I/O線へ入出力を除くセンスアンプの制御線を46、及び46'で共通にしても、Q40、及びQ41を制御回路40によって制御することによって、46と46'とを共通信号で駆動でき、タイミング発生回路や配線面積を減少することができる。
なお、本実施形態では消去後、分割ブロックに最初に書きこむ論理アドレス1のデータ(1ビット目)を"11"と"00"状態の2値に対応させ隣接する2つのセルに記憶する例を示したが、例えば図30Aのように最初に書きこむデータ(1ビット目)を"11"と"10"状態の2値に対応させ隣接する2つのセルに記憶し、2ビット目をそれぞれ”11”と”00”、”10”と”01”とに対応させる方法や、図30Bのように最初に書きこむデータ(1ビット目)を"11"と"10"状態の2値に対応させ隣接する2つのセルに記憶し、2ビット目をそれぞれ”11”と”01”、”10”と”00”とに対応させる方法も考えられる。図30A、及び図30Bでは、1ビット目の最大しきい値が”10”で”00”よりも低いので、特に、k1とk2がM0とM1のように、NAND構造内の行方向に隣接するメモリセルで本実施形態を適用することにより、データの誤書き込みをより低減することができる。
なお、図19、図30A、及び図30Bに判定しきい値の設定値やしきい値の分布の関係を示す。例えば図19では、”00”しきい値が隣接セルの容量結合によるしきい値上昇が最も大きいためしきい値が”10”しきい値や”01”しきい値より広がる。このため、”00”しきい値と”01”しきい値の分離幅を、”10”しきい値と”00”しきい値との分離幅よりも大きく確保しておくことが望ましい。
また、図30A、及び図30Bでは、”10”しきい値が隣接セルの容量結合によるしきい値上昇が最も大きいためしきい値が”00”しきい値や”01”しきい値より広がる。このため、”10”しきい値と”00”しきい値の分離幅を、”00”しきい値と”01”しきい値との分離幅よりも大きく確保しておくことが望ましい。
また、本実施形態で、まず全ブロック消去後、addaが0となるメモリブロックにデータを書き込んだ後、上記メモリブロックと同じアドレスでaddaに相当するアドレスビットのみ異なるメモリブロックのデータを読むと、消去後にも係わらず、書き込みデータと同じデータが読み出される。よって、addaを与えなくても、消去後最初に記録したデータは読むことができる。
さらに、本実施形態でも第1実施形態の(2)、(4)、(6)の利点と、第1実施形態、及び第2実施形態に共通の利点を有することは明らかである。
(第4実施形態)
図33A、及び図33Bに本発明の第4実施形態に係るメモリセル構造を示す。
本実施形態は、第1、第2、第3実施形態の浮遊型ゲートを用いたNANDセルブロック49を、MONOS型ゲートを用いたNANDセルブロックに変更したものである。
図33A、及び図33Bに示す断面はそれぞれ、図32A、及び図32Bに示したNANDセルブロックのA−A線、及びB−B線に沿った断面に対応する。なお、平面図は、図31Bと同一なので、省略する。
図33A、及び図33Bに示すように、例えばSiNやSiONを電荷蓄積層26としたMOSトランジスタからなる不揮発性メモリセルM0〜M15が直列に接続され、一端が選択トランジスタS1を介してBLと記してあるデータ転送線に接続されている。また、他の一端は選択トランジスタS2を介してSLと記してある共通ソース線に接続されている。また、それぞれのトランジスタは、同一のウェル上に形成されている。図33A、及び図33Bにおいて、例えばボロン不純物濃度が1014cm-3〜1019cm-3の間のp型シリコン領域(半導体領域)23に、例えば1nm〜10nmの厚さからなるシリコン酸化膜、又はオキシナイトライド膜からなるトンネルゲート絶縁膜を介して、例えばSiN、SiONからなる電荷蓄積層26が3nm〜50nmの厚さで形成されている。この上に、例えば厚さ2nm〜10nmの間のシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜50を介して、例えばポリシリコンやWSi(タングステンシリサイド)とポリシリコンとのスタック構造、又は、NiSi、MoSi、TiSi、CoSiとポリシリコンのスタック構造からなる制御ゲート27が10nm〜500nmの厚さで形成されている。この制御ゲート27は、図31Bにおいて隣接するメモリセルブロックで接続されるように、紙面左右方向にブロック境界まで形成されており、データ選択線WL0〜WL15、及び選択ゲート制御線SSL,GSLを形成している。なお、p型シリコン領域23は、n型シリコン領域22によってp型シリコン基板21と独立に電圧印加できるようになっていることが、消去時の昇圧回路負荷を減らし消費電力を抑えるためには望ましい。本実施形態のゲート形状では、p型シリコン領域23の側壁が絶縁膜24で覆われているので、この側壁が浮遊ゲート電極26を形成する前のエッチングで露出することがなく、ゲート電極26がp型シリコン領域23よりも下に来ることを防ぐことができる。よって、p型シリコン領域23と絶縁膜24との境界での、ゲート電界集中やしきい値が低下した寄生トランジスタが生じにくい。さらに、電界集中に起因する書き込みしきい値の低下現象、いわゆる、sidewalk現象が生じにくくなるため、より信頼性の高いトランジスタを形成することができる。
これらゲート電極の両側には、例えば5nm〜200nmの厚さのシリコン窒化膜、又はシリコン酸化膜からなる側壁絶縁膜43を挟んでソース、又はドレイン電極となるn型拡散層28が形成されている。これら拡散層28、電荷蓄積層26、及び制御ゲート27により、M-ONO-S型不揮発性EEPROMセルが形成されており、電荷蓄積層26のゲート長としては、0.5μm以下0.01μm以上とする。ソース、又はドレイン電極となるn型拡散層28としては、例えばリンや砒素、アンチモンを表面濃度が1017cm-3〜1021cm-3となるように、深さ10nm〜500nmの間で形成されている。さらに、これらn型拡散層28は、隣接するメモリセル同士で共有され、NAND接続が実現されている。また、図において、27SSL、さらに、27GSLは、それぞれSSL、及びGSLに相当するブロック選択線に接続されたゲート電極であり、上記MONOS型EEPROMの制御ゲート電極と同じ層で形成されている。ゲート電極は、例えば3nm〜15nmの厚さのシリコン酸化膜、又はオキシナイトライド膜からなるゲート絶縁膜25SSL、及び25GSLを介してp型シリコン領域23と対向し、MOSトランジスタを形成している。ここで、ゲート電極27SSL、及び27GSLのゲート長は、メモリセルゲート電極のゲート長よりも長く、例えば1μm以下0.02μm以上とすることにより、ブロック選択時と非選択時のオンオフ比を大きく確保でき、誤書き込みや誤読み出しを防止できる。
また、27SSLの片側に形成されたソース、又はドレイン電極となるn型拡散層28dは、例えばタングステンやタングステンシリサイド、チタン、チタンナイトライド、又はアルミニウムからなるデータ転送線36(BL)とコンタクト31dを介して接続されている。ここで、データ転送線36(BL)は、隣接するメモリセルブロックで接続されるように、図31Bにおいて、紙面上下方向にブロック境界まで形成されている。一方、27GSLの片側に形成されたソース、又はドレイン電極となるn型拡散層28Sは、コンタクト31sを介してソース線となるSLと接続されている。このソース線SLは、隣接するメモリセルブロックで接続されるように、図31Bにおいて、紙面左右方向にブロック境界まで形成されている。もちろん、n型拡散層28Sを紙面左右方向にブロック境界まで形成することにより、ソース線としてもよい。これらBLコンタクト、及びSLコンタクトとしては、例えばn型、又はp型にドープされたポリシリコンやタングステン、及びタングステンシリサイド、Al、TiN、Ti等の導電物が用いられ、これら導電物がコンタクト孔に充填されて、導電体領域となっている。さらに、これらSL、及びBLと、上記トランジスタとの間は、例えばSiO2やSiNからなる層間絶縁膜28によって充填されている。さらに、このBL上部には、例えばSiO2、SiN、又はポリイミドからなる絶縁膜保護層37や、図には示していないが、例えばW、AlやCuからなる上部配線が形成されている。
本実施形態では、図32A、及び図32Bに示した浮遊ゲート型セルの利点に加え、MONOS型セルを用いているため、浮遊ゲート型EEPROMセルよりも書き込み電圧、及び消去電圧を低電圧化することができ、素子分離間隔を狭めゲート絶縁膜厚を薄膜化しても耐圧を維持することができる。よって、高電圧が印加される回路の面積を小さくでき、よりチップ面積を縮小することができる。
さらに、浮遊ゲート型セルと比較して、電荷蓄積層26の厚さを、例えば20nm以下に小さくでき、よりゲート形成時のアスペクトを低減でき、ゲート電極の加工形状を向上させ、層間絶縁膜28のゲート間の埋め込みも向上させることができ、より耐圧を向上させることができる。また、浮遊ゲート電極を形成するためのプロセスやスリット作成プロセスが不要であり、よりプロセス工程を短くすることができる。また、電荷蓄積層26が絶縁体で、1つ1つの電荷トラップに電荷が捕獲されているので、放射線に対して電荷が抜け難く、強い耐性を持たせることができる。さらに、電荷蓄積層26の側壁絶縁膜43が薄膜化しても、電荷蓄積層26に捕獲された電荷が全て抜けてしまうことがなく、良好な電荷保持特性を維持できる。さらに、電荷蓄積層26がp型シリコン領域23と合わせずれなく形成することができ、より均一な電荷蓄積層26とp型シリコン領域23との容量を実現できる。これにより、メモリセルの容量ばらつきやメモリセル間の容量ばらつきを低減することができる。
上記第1、第2、第3実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルには、浮遊ゲート型セルばかりでなく、本実施形態で説明したようなMONOS型セルを用いることが可能である。
(第5実施形態)
図34A〜図34Dに本発明の第5実施形態に係るメモリセル構造を示す。
本実施形態は、第1〜第4実施形態で説明したNANDセルブロック49を、ANDセルブロックに変更したものである。なお、第1〜第4実施形態と同一の部分や、同一の電圧関係には、同一の参照符号をつけて詳しい説明は省略する。
図34Aは、49や49’に対応するANDセルブロックの回路図である。図34Aの49は、データを格納するANDセルブロック49を示すが、浮遊ゲート電極を有するMOSトランジスタからなる不揮発性メモリセルM0〜M15が並列に接続され、一端が選択トランジスタS1を介してBLと記してあるデータ転送線に接続されている。また、他の一端は選択トランジスタS2を介してSLと記してある共通ソース線に接続されている。また、それぞれのトランジスタは、同一のウェル上に形成されている。nをブロックインデックス(自然数)とすると、それぞれのメモリセルM0〜M15の制御電極は、WL0〜WL15と記したデータ選択線に接続されている。また、データ転送線に沿った複数のメモリセルブロックから1つのメモリセルブロックを選択してデータ転送線に接続するため、選択トランジスタS1の制御電極はブロック選択線SSLに接続されている。さらに、選択トランジスタS2の制御電極はブロック選択線GSLに接続されており、いわゆるAND型メモリセルブロック49(点線の領域)を形成している。本実施形態では、メモリセルブロック49に16=24個のメモリセルが接続されている例を示したが、データ転送線、及びデータ選択線に接続するメモリセルの数は複数であればよく、2n個(nは正の整数)であることがアドレスデコードをする上で望ましい。
図34BはANDセルブロックの平面図、図34Cは図34B中のC−C線に沿う断面図、図34Dは図34B中のD−D線に沿う断面図である。特に、図34Bでは、セル構造をわかりやすくするために、ゲート電極27よりも下の構造のみを示している。図34C、及び図34Dにおいて、例えば3nm〜15nmの厚さからなるシリコン酸化膜、又はオキシナイトライド膜25,25SSL,25GSLから形成されたトンネルゲート絶縁膜を介して、例えばリン、又は砒素を1018cm-3〜1021cm-3添加したポリシリコンからなる電荷蓄積層26が、10nm〜500nmの厚さで形成されている。これらは、例えばシリコン酸化膜からなる素子分離絶縁膜24が形成されていない領域上に、p型シリコン領域23と自己整合的に形成されている。
この上に、例えば厚さ5nm〜30nmの間のシリコン酸化膜、又はオキシナイトライド膜、又はシリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜からなるブロック絶縁膜50が形成されている。これらは、例えばシリコン酸化膜からなる素子分離絶縁膜24が形成されていない領域に、p型シリコン領域23と自己整合的に形成されている。これは、例えばp型シリコン領域23に25,26を全面堆積した後、パターニングしてp型シリコン領域23に達するまで、例えば0.05μm〜0.5μmの深さエッチングし、絶縁膜24を埋め込むことで形成することができる。このようにメモリセル部の25,26を、段差の少ない平面に全面形成できるので、より均一性の向上した特性の揃った成膜を行うことができる。また、セル部の層間絶縁膜56とn型拡散層28は、トンネル絶縁膜25を形成する前に、予めトンネル絶縁膜25を形成する部分に、例えばポリシリコンによるマスク材を形成し、イオン注入によってn型拡散層28を形成後、全面に層間絶縁膜56を堆積し、CMP、及びエッチバックによってトンネル絶縁膜25に相当する部分の上記マスク材を選択的に取り除くことで自己整合的に形成することができる。
さらに、ポリシリコン、又はWSi(タングステンシリサイド)とポリシリコンとのスタック構造、又はCoSiとポリシリコンのスタック構造からなる制御ゲート27が、10nm〜500nmの厚さで形成されている。この制御ゲート27は、図34Bにおいて隣接するメモリセルブロックで接続されるように、紙面左右方向にブロック境界まで形成されており、データ選択線WL0〜WL15、及びブロック選択ゲート制御線SSL,GSLを形成している。なお、p型シリコン領域23は、n型シリコン領域22によってp型シリコン基板21と独立に電圧印加できるようになっていることが、消去時の昇圧回路負荷を減らし消費電力を抑えるためには望ましい。
図34Dに示すように、メモリセルに相当するD−D断面において、これらゲート電極の下には、例えば5nm〜200nmの厚さのシリコン酸化膜、又はオキシナイトライド膜からなる層間絶縁膜56を挟んでソース、又はドレイン電極となるn型拡散層28が形成されている。これら拡散層28、電荷蓄積層26、及び制御ゲート27により、電荷蓄積層に蓄積された電荷量を情報量とする浮遊ゲート型EEPROMセルが形成されており、そのゲート長としては、0.5μm以下0.01μm以上とする。図34Dのように、層間絶縁膜56はソース、又はドレイン電極となる拡散層28を覆うように、チャネル上にも形成される方が、ソース/ドレイン端での電界集中による異常書込みを防止するのに望ましい。これらn型拡散層28としては、例えばリンや砒素、アンチモンを表面濃度が1017cm-3〜1021cm-3となるように、深さ10nm〜500nmの間で形成されている。さらに、これらn型拡散層28は、BL方向に隣接するメモリセル同士共有され、AND接続が実現されている。
また、図において、27SSL、さらに、27GSLは、それぞれSSL、及びGSLに相当するブロック選択線に接続されたゲート電極であり、ブロック選択部線部では、26と27の間の層間絶縁膜50が剥離され、EEPROMの制御電極WL0〜WL15と同層で形成されている。ここで、図34B、及び図34Cに示すように、ブロック選択トランジスタS1は拡散層28、及び28dをソース/ドレイン電極とし、27SSLをゲート電極としたMOSFETとして形成されており、ブロック選択トランジスタS2は拡散層28、及び28sをソース/ドレイン電極とし、27GSLをゲート電極としたMOSFETとして形成されている。ここで、ゲート電極27SSL、及び27GSLのゲート長は、メモリセルゲート電極のゲート長よりも長く、例えば1μm以下0.02μm以上と形成することにより、ブロック選択時と非選択時のオンオフ比を大きく確保でき、誤書き込みや誤読み出しを防止できる。
本実施形態では、図34A〜図34Dに示すように、AND型セルを用いているので、メモリセルブロックの直列抵抗を小さく一定とすることができ、多値化した場合のしきい値を安定させるのに向いている。
上記第1、第2、第3実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルには、NAND型セルばかりでなく、本実施形態で説明したようなAND型セルを用いることが可能である。
(第6実施形態)
図35A〜図35Dに本発明の第6実施形態に係るメモリセル構造を示す。
本実施形態は、第5実施形態で説明した浮遊ゲート型セルを用いたANDセルブロック49を、MONOS型セルを用いたANDセルブロックに変更したものである。
図35A〜図35Dはそれぞれ、図34A〜図34Dに対応するANDセルブロックの回路図、平面図、ブロック選択ゲート部、メモリセル部断面図である。
図35Aに示すように、電荷蓄積層電極を有するMOSトランジスタからなる不揮発性メモリセルM0〜M15が並列に接続され、一端がブロック選択トランジスタS1を介してBLと記してあるデータ転送線に接続されている。また、他の一端はブロック選択トランジスタS2を介してSLと記してある共通ソース線に接続されている。また、それぞれのトランジスタは、同一のウェル上に形成されている。nをブロックインデックス(自然数)とすると、それぞれのメモリセルM0〜M15の制御電極は、WL0〜WL15と記したデータ選択線に接続されている。また、データ転送線に沿った複数のメモリセルブロックから1つのメモリセルブロックを選択してデータ転送線に接続するため、ブロック選択トランジスタS1の制御電極はブロック選択線SSLに接続されている。さらに、ブロック選択トランジスタS2の制御電極はブロック選択線GSLに接続されており、いわゆるAND型メモリセルブロック45(点線の領域)を形成している。ここで、本実施形態では、ブロック選択ゲートの制御配線SSL、及びGSLがメモリセルの制御配線WL0〜WL15と同じ層の配線で形成されている。また、メモリセルブロック49には、ブロック選択線は少なくとも1本以上あればよく、データ選択線と同一方向に形成されることが、高密度化には望ましい。本実施形態では、メモリセルブロック49に16=24個のメモリセルが接続されている例を示したが、データ転送線、及びデータ選択線に接続するメモリセルの数は複数であればよく、2n個(nは正の整数)であることがアドレスデコードをする上で望ましい。
図35Bは、AND型メモリセルブロック49の平面図、図35Cは、図35B中のC−C線に沿う断面図、図35Dは、図35B中のD−D線に沿う断面図である。特に図35Bでは、セル構造をわかりやすくするために、ゲート電極27よりも下の構造のみを示している。図35C、及び図35Dにおいて、例えば0.5nm〜10nmの厚さからなるシリコン酸化膜、又はオキシナイトライド膜25,25SSL,25GSLから形成されたトンネルゲート絶縁膜を介して、例えばシリコン窒化膜からなる電荷蓄積層26が4nm〜50nmの厚さで形成されている。この上に、例えば厚さ2nm〜30nmの間のシリコン酸化膜、又はオキシナイトライド膜からなるブロック絶縁膜50を介して、例えばポリシリコン層51が10nm〜500nmの厚さで形成されている。これらは、例えばシリコン酸化膜からなる素子分離絶縁膜24が形成されていない領域に、p型シリコン領域23と自己整合的に形成されている。これは、例えばp型シリコン領域23に24,26,40,41を全面堆積した後、パターニングしてp型シリコン領域23に達するまで、例えば0.05μm〜0.5μmの深さエッチングし、絶縁膜24を埋め込むことで形成することができる。このように25、26、及び40を段差の少ない平面に全面形成できるので、より均一性の向上した特性の揃った製膜を行うことができる。また、セル部の層間絶縁膜56とn型拡散層28は、トンネル絶縁膜25を形成する前に、予めトンネル絶縁膜25を形成する部分に、例えばポリシリコンによるマスク材を形成し、イオン注入によってn型拡散層28を形成後、全面に層間絶縁膜56を堆積し、CMP、及びエッチバックによってトンネル絶縁膜25に相当する部分の上記マスク材を選択的に取り除くことで自己整合的に形成することができる。
さらに、ポリシリコン、又はWSi(タングステンシリサイド)とポリシリコンとのスタック構造、又はCoSiとポリシリコンのスタック構造からなる制御ゲート27が、10nm〜500nmの厚さで形成されている。この制御ゲート27は、図35Bにおいて隣接するメモリセルブロックで接続されるように、紙面左右方向にブロック境界まで形成されており、データ選択線WL0〜WL15、及びブロック選択ゲート制御線SSL,GSLを形成している。なお、p型シリコン領域23は、n型シリコン領域22によってp型半導体基板21と独立に電圧印加できるようになっていることが、消去時の昇圧回路負荷を減らし消費電力を抑えるためには望ましい。
図35Dに示すように、メモリセルに相当するD−D断面において、これらゲート電極の下には、例えば5nm〜200nmの厚さのシリコン酸化膜、又はオキシナイトライド膜からなる層間絶縁膜56を挟んでソース、又はドレイン電極となるn型拡散層28が形成されている。これら拡散層28、電荷蓄積層26、及び制御ゲート27により、電荷蓄積層に蓄積された電荷量を情報量とするMONOS型EEPROMセルが形成されており、そのゲート長としては、0.5μm以下0.01μm以上とする。図35Dのように、層間絶縁膜56はソース、又はドレイン電極となる拡散層28を覆うように、チャネル上にも形成される方が、ソース/ドレイン端での電界集中による異常書込みを防止するのに望ましい。これらn型拡散層28としては、例えばリンや砒素、アンチモンを表面濃度が1017cm-3〜1021cm-3となるように、深さ10nm〜500nmの間で形成されている。さらに、これらn型拡散層28は、BL方向に隣接するメモリセル同士共有され、AND接続が実現されている。
また、図において、27SSL、さらに、27GSLは、それぞれSSL、及びGSLに相当するブロック選択線に接続されたゲート電極であり、上記MONOS型EEPROMの制御電極WL0〜WL15と同層で形成されている。ここで、図35B、及び図35Cに示すように、ブロック選択トランジスタS1は拡散層28、及び28sをソースドレイン電極とし、27SSLをゲート電極としてMOS型MOSFETとして形成されており、ブロック選択トランジスタS2は拡散層28、及び28dをソースドレイン電極とし、27GSLをゲート電極としてMOS型MOSFETとして形成されている。ここで、ゲート電極27SSL、及び27GSLのゲート長は、メモリセルゲート電極のゲート長よりも長く、例えば1μm以下0.02μm以上と形成することにより、ブロック選択時と非選択時のオンオフ比を大きく確保でき、誤書き込みや誤読み出しを防止できる。
本実施形態では、第5実施形態の利点、即ち、ANDセルを用いることで、メモリセルブロックの直列抵抗を小さく一定とすることができ、多値化した場合のしきい値を安定させるのに向いている、という利点がある。この利点に加え、MONOS型セルを用いることで、第5実施形態の浮遊ゲート型EEPROMセルよりも書き込み電圧、及び消去電圧を低電圧化することができ、素子分離間隔を狭めゲート絶縁膜厚を薄膜化しても耐圧を維持することができる。よって、高電圧が印加される回路の面積を小さくでき、よりチップ面積を縮小することができる。
さらに、第5実施形態と比較して、電荷蓄積層26の厚さを、例えば20nm以下に小さくでき、よりゲート形成時のアスペクトを低減でき、ゲート電極の加工形状を向上させ、層間絶縁膜28のゲート間の埋め込みも向上させることができ、より耐圧を向上させることができる。また、浮遊ゲート電極を形成するためのプロセスやスリット作成プロセスが不要であり、よりプロセス工程を短くすることができる。また、電荷蓄積層26が絶縁体で、1つ1つの電荷トラップに電荷が捕獲されているので、放射線に対して電荷が抜け難く、強い耐性を持たせることができる。さらに、電荷蓄積層26の側壁絶縁膜43が薄膜化しても、電荷蓄積層26に捕獲された電荷が全て抜けてしまうことがなく、良好な電荷保持特性を維持できる。さらに、電荷蓄積層26がp型シリコン領域23と合わせずれなく形成することができ、より均一な電荷蓄積層26とp型シリコン領域23との容量を実現できる。これにより、メモリセルの容量ばらつきやメモリセル間の容量ばらつきを低減することができる。
上記第1、第2、第3実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルには、浮遊ゲート型セルを用いたAND型セルブロックばかりでなく、本実施形態で説明したようなMONOS型セルを用いたAND型セルブロックを用いることが可能である。
(第7実施形態)
図36A〜図36Dに本発明の第7実施形態に係るメモリセル構造を示す。
本実施形態は、第1〜第4実施形態で説明したNANDセルブロック49を、NORセルブロックに変更したものである。
図36AはNORセルブロックの回路図である。
図36Aに示すように、電荷蓄積層電極を有するMOSトランジスタからなる不揮発性メモリセルM0〜M15が並列に接続され、一端がBLと記してあるデータ転送線に接続されている。また、他の一端は共通ソース線SLに接続されている。NORメモリセルでは1つのトランジスタによってメモリセルブロック49が形成されている。また、それぞれのトランジスタは、同一のウェル上に形成されている。それぞれのメモリセルM0〜M1の制御電極は、WL0〜WL1と記したデータ選択線に接続されている。
図36BはNORセルブロックの平面図、図36Cは図36B中のC−C線に沿う断面図、図36Cは図36B中のC−C線に沿う断面図、図36Dは図36B中のD−D線に沿う断面図である。特に図36Bでは、セル構造をわかりやすくするために、ゲート電極27よりも下の構造のみを示している。図36C、及び図36Dにおいて、例えば3nm〜15nmの厚さからなるシリコン酸化膜、又はオキシナイトライド膜25から形成されたトンネルゲート絶縁膜を介して、例えばリン、又は砒素を1018cm-3〜1021cm-3添加したポリシリコンからなる電荷蓄積層26が、10nm〜500nmの厚さで形成されている。これらは、例えばシリコン酸化膜からなる素子分離絶縁膜24が形成されていない領域上に、p型シリコン領域23上に形成されている。
この上に、例えば厚さ5nm〜30nmの間のシリコン酸化膜、又はオキシナイトライド膜、又はシリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜からなるブロック絶縁膜50が形成されている。これらは、例えばシリコン酸化膜からなる素子分離絶縁膜24が形成されていない領域に、p型シリコン領域23上に形成されている。
さらに、ポリシリコン、又はWSi(タングステンシリサイド)とポリシリコンとのスタック構造、又はCoSiとポリシリコンのスタック構造からなる制御ゲート27が、10nm〜500nmの厚さで形成されている。この制御ゲート27は、図36Bにおいて隣接するメモリセルブロックで接続されるように、紙面左右方向にブロック境界まで形成されており、データ選択線WL0〜WL2を形成している。なお、p型シリコン領域23は、n型シリコン領域22によってp型半導体基板21と独立に電圧印加できるようになっていることが、消去時の昇圧回路負荷を減らし消費電力を抑えるためには望ましい。
図36Dに示すように、メモリセルに相当するD−D断面において、これらゲート電極の下には、例えば5nm〜200nmの厚さのシリコン酸化膜、又はオキシナイトライド膜からなる層間絶縁膜56を挟んでソース、又はドレイン電極となるn型拡散層28が形成されている。これら拡散層28、電荷蓄積層26、及び制御ゲート27により、電荷蓄積層に蓄積された電荷量を情報量とする浮遊ゲート型EEPROMセルが形成されており、そのゲート長としては、0.5μm以下0.01μm以上とする。図36B、及び図36Dのように、BLと接続されたn型拡散層28dと対となるn型拡散層28は、図36Bの紙面左右方向に延びて隣接するメモリセルを接続するソース線SLとなっている。このようなNOR型セルでも、SLを挟んでデータ転送線方向に隣接するメモリセルの電荷蓄積層間が絶縁膜で形成されているため、電荷蓄積層間の容量結合によるしきい値変動が生じる。よって、例えば図36AのM0とM1のようにソース線を挟んだ2つの隣接するセルについて、1つのメモリセルに2値以上の複数のしきい値、例えば4値を記憶することとし、記憶する一塊の2ビットを、互いに隣接するメモリセルにベリファイを行いながら1ビットずつ書き込むことにより、第3実施形態の方法で、しきい値の隣接セルの容量結合による変化を補償することができる。
もちろん、ロウ方向に隣接する2つのメモリセル間も図36A〜図36Dに示すように、絶縁膜によって埋め込まれているので、電荷蓄積層間の容量結合によるしきい値変動が生じる。よって、図33AのM1とM1’とのように、ロウ方向の2つの隣接するセルについて、1つのメモリセルに2値以上の複数のしきい値、例えば4値を記憶することとし、記憶する一塊の2ビットを、互いに隣接するメモリセルにベリファイを行いながら1ビットずつ書き込むことにより、第3実施形態の方法で、しきい値の隣接セルの容量結合による変化を補償することができる。
上述した第1〜第7実施形態の構造を用いれば、隣接したメモリセルにデータを書き込んだ後でも、狭いしきい値分布を実現できる。よって、同じ最大しきい値分布を用いても、データに対応するしきい値分布間の分離電圧幅をより大きくすることができ、電荷保持特性の劣化や温度変化によるしきい値シフトが生じても、異なるデータのしきい値分布が重なることを起因とするデータ破壊を減少させることができる。
また、セルのしきい値分布の最大値を従来よりも低く設定できる。よって、蓄積電荷の自己電界が小さくなり電荷の保持特性を良好に保つことができる。さらに、メモリセルを直列接続して形成したNAND型メモリセルブロックにおいては、データを読み出すセルに直列に接続されたメモリセルについて、しきい値分布の最大値よりも高い電圧をゲートに印加する必要が生ずるが、この印加電圧を低下させることが可能となる。よって、読み出し動作を繰り返すことによって電荷蓄積層に負の電荷が注入されしきい値が上昇する問題が生ずるが、この問題を抑えることができ、特に、消去状態の"11"しきい値と"10"状態とのしきい値分離幅を良好に確保することができる。
さらに、読み出しを行う場合の判定しきい値とデータに対応するしきい値との分離電圧幅を大きく確保できるため、より誤読み出し頻度を小さくすることができ、データ読み出し判定を行うゲート駆動電圧を大きく確保できる。よって、データに対応するしきい値が判定しきい値より高い場合のデータセルを流れる電流を一定としたままで、データに対応するしきい値が判定しきい値より低い場合のデータセルを流れる電流を増大させ、読み出し速度を高速化することができる。
また、電荷蓄積層間の容量が、寸法ばらつきや電圧ばらつきによってばらついても、しきい値変化を受ける隣接するメモリセルに対してベリファイ再書き込みを行っているので、しきい値ばらつきを一定のしきい値範囲内に小さく保つことができる。
また、本発明の構成は、従来の2値を記憶する不揮発性記憶装置の構成要素をそのまま含んでいるので、従来の2値を記憶する不揮発性記憶装置の機能を損なうことなくそのまま実現できる。
また、第1実施形態、及び第3実施形態については、メモリセルアレイに対しては、列方向にメモリセルアレイを構成しているメモリセルとセンスアンプを分割ページ分追加するだけでよい。また、第2実施形態ではメモリセルを従来よりも追加する必要はない。よって、全ての実施形態において、データ転送線の伸びる方向にメモリセルの追加は必要なく、データ選択線の延びる方向に面積増大を伴わずに回路を構成することが可能である。
さらに、第3実施形態では、書き込みデータを一時保持する回路を各センスアンプに複数形成しているので、書き込み時に外部データバッファからセンスアンプにデータを随時送る場合と比較して、高速であり、配線も短いので消費電力を減らすことができる。
以上、この発明を第1〜第7の実施形態により説明したが、この発明は、これら実施形態それぞれに限定されるものではない。例えば上記実施形態において、分割ページに対応する例を示したが、もちろん分割ページが1つでもよい。また、列方向に隣接するセルと、行方向に隣接するセルについて独立にしきい値補正を行う実施形態を示したが、もちろん、例えば行方向、及び列方向に隣接するセル両方についてしきい値補正を行ってもよい。
また、上記実施形態ではスイッチ素子として主にn型MISFETを用いたが、これらは、ゲート入力を反転すれば、p型とn型を入れ替えてもよい。
さらに、上記実施形態では、EEPROMからなる不揮発性半導体素子を例に挙げたが、本発明の構成は、複数のデータ選択線と複数のデータ転送線からなるメモリマトリックスで、メモリセルの情報記憶領域が互いに隣接するメモリセル間で、隣接したセルに記憶した情報によって、セルの情報が干渉を受ける構造で有効であることは明らかである。例えば電荷蓄積層に情報を蓄える替わりに、分極量、又は反転によって情報を記憶する強誘電体メモリでも、隣接するセルに分極の向きに従った電界が生ずるので、本方法が適用できる。さらに、磁化の向き、又は強さで強磁性体メモリでも、隣接するセルに分極の向きに従った磁界が生ずるので、本方法が適用できる。
また、素子分離膜や絶縁膜形成法自身は、シリコンをシリコン酸化膜やシリコン窒化膜に変換する以外の方法、例えば酸素イオンを堆積したシリコンに注入する方法や、堆積したシリコンを酸化する方法を用いてもかまわない。また、電荷蓄積層26は、TiO2やAl2O3、あるいはタンタル酸化膜、チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウム鉛や、それらの積層膜を用いても構わない。
また、実施形態としては、半導体基板21としてp型シリコン基板を想定したが、代わりにn型シリコン基板やSOI基板のSOIシリコン層、又はSiGe混晶、SiGeC混晶など、シリコンを含む単結晶半導体基板であればよい。
さらに、p型シリコン領域23上にn型MOSFETを形成する例を述べたが、n型シリコン領域上にp型MOSFETを形成するように置き換えてもよく、その場合、上述の実施形態のn型をp型、p型をn型と読み替え、さらに、ドーピング不純物種のAs、P、SbをIn、Bのいずれかと読み替えればよい。
また、ゲート電極27はSi半導体、SiGe混晶、SiGeC混晶、TiSi、NiSi、CoSi、TaSi、WSi、MoSiなどのシリサイドやポリサイド、Ti、Al、Cu、TiN、Wなどの金属を用いることができ、多結晶であってもよいし、これらの積層構造にしてもよい。また、アモルファスSi、アモルファスSiGe混晶、又はアモルファスSiGeC混晶を用いることができ、これらの積層構造にしてもよい。さらに、電荷蓄積層26はドット状に形成されていても構わず、本方法が適用できることは言うまでもない。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々に変形して実施することができる。
また、上記各実施形態は、単独、又は適宜組み合わせて実施することももちろん可能である。
さらに、上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、各実施形態において開示した複数の構成要件の適宜な組み合わせにより、種々の段階の発明を抽出することも可能である。