JP2009262146A - 酸化物触媒の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼成工程中に焼成温度よりも低い融点を有する化合物を生成する酸化物触媒に関して、粒子形状を維持したまま焼成管内における固着を低減(抑制)することにより、優れた性能を有する(目的生成物の収率の高い)触媒を、大量かつ効率良く製造する方法を提供する。
【解決手段】Mo、Sbを含む触媒前駆体を焼成管に供給し、触媒構成元素の金属酸化物の融点以上の温度で焼成する工程を含む酸化物触媒の製造方法であって、前記焼成工程において前記焼成管に衝撃を加える工程を含み、前記衝撃を加える工程において、式f=(振動加速度)/(A+B)(式中、振動加速度:前記焼成管に加える衝撃の振動加速度(m/s2)、A:酸化物触媒のMoの質量%、B:酸化物触媒のSbの質量%を示す)により表されるfが、0.08≦f≦50を満たす酸化物触媒の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、Mo、Sbを含む触媒構成元素の金属酸化物の融点以上の温度で焼成する工程を含む酸化物触媒の製造方法に関する。
従来、プロピレン又はイソブチレンのアンモ酸化反応によって(メタ)アクリロニトリルを製造する方法や、プロピレン又はイソブチレンの酸化反応によって(メタ)アクリル酸を製造する方法が知られている。最近、プロピレン又はイソブチレンを用いるそのような方法に代わって、プロパン又はイソブタンの気相接触アンモ酸化反応によって(メタ)アクリロニトリルを製造する方法や、プロパン又はイソブタンの気相接触酸化反応によって(メタ)アクリル酸を製造する方法が着目されている。
これまでに、上記反応に用いられる触媒として、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、テルル(Te)及び/又はアンチモン(Sb)を含む酸化物触媒が種々提案されている。例えば、特許文献1には、Mo−V−Nb−Teを含む酸化物触媒が開示されており、特許文献2には、Mo−V−Nb−Sbを含む酸化物触媒が開示されている。これらの触媒は、その製造工程中の焼成方法が触媒性能を左右することが知られており、上記特許文献には、その焼成方法が詳細に記載されている。特許文献3には、鉄、アンチモン及びリンを含む金属酸化物触媒を再生するための焼成工程において、触媒の固結や粒子同士の付着による作業性の悪化を防ぐために、触媒床に気体を導入する流動式焼成が好ましいことが記載されている。特許文献4には、Sbを含む酸化物触媒の焼成工程において、焼成管内壁への付着を防止するためにノッカーやハンマーなどで衝撃を与えることが記載されている。
特開2002−320853号公報 特開2003−170044号公報 特開平7−328447号公報 特開2007−216212号公報
しかしながら、本発明者が実際に、触媒床に気体を導入する流動式焼成により、モリブデン、アンチモンを含む酸化物触媒を焼成すると、触媒の固結や粒子同士の付着を防止しきれないという問題が生じた。
特に、本発明者がロータリーキルンを用いて連続式焼成を行ったところ、酸化物触媒及び触媒前駆体等が固着物として大量に付着することによって触媒の収量が減少するという問題が生じた。また、大量に付着した固着物が、焼成管内の粉体への伝熱を悪化させ、時間の経過と共に焼成温度が低下した。さらに、固着物の層が厚くなることで、流動する粉体の炉内滞留時間が実質的に短くなり、適当な条件下での焼成ができず、得られる触媒の性能が悪化した。さらに、特許文献4に記載されたように、ノッカーやハンマーなどで衝撃を与えることも検討したが、必ずしも十分な付着防止効果を得ることはできなかった。
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、焼成工程中に焼成温度よりも低い融点を有する化合物を生成する酸化物触媒に関して、粒子形状を維持したまま焼成管内における固着を低減(抑制)することにより、優れた性能を有する(目的生成物の収率の高い)触媒を、大量かつ効率良く製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意研究を行った結果、金属酸化物の融点が焼成温度より低い構成元素を触媒が含む場合に、酸化物触媒及び触媒前駆体等が溶融して、焼成管の内壁に固着することが明らかになった。そして、このような触媒を製造する場合に、焼成工程において前記焼成管に、特定の関係式に従った振動加速度により衝撃を加えると、焼成管内の固着が顕著に低減され、その結果、優れた性能を有する触媒を、大量に、かつ、効率良く製造できることを見い出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
Mo、Sbを含む触媒前駆体を焼成管に供給し、触媒構成元素の金属酸化物の融点以上の温度で焼成する工程を含む酸化物触媒の製造方法であって、
前記焼成工程において前記焼成管に衝撃を加える工程を含み、
前記衝撃を加える工程において、下記式
f=(振動加速度)/(A+B)
(式中、振動加速度:前記焼成管に加える衝撃の振動加速度(m/s2)、A:酸化物触媒のMoの質量%、B:酸化物触媒のSbの質量%を示す)
により表されるfが、0.08≦f≦50を満たす酸化物触媒の製造方法。
[2]
前記fが、0.1≦f≦40を満たす上記[1]記載の酸化物触媒の製造方法。
[3]
前記fが、0.2≦f≦30を満たす上記[1]又は[2]記載の酸化物触媒の製造方法。
[4]
前記焼成工程は、前段焼成と、前記前段焼成後に行われる本焼成とを含む、上記[1]〜[3]のいずれか記載の酸化物触媒の製造方法。
[5]
前記本焼成を550〜800℃の温度範囲で行う、上記[4]記載の酸化物触媒の製造方法。
[6]
前記前段焼成を250〜400℃の温度範囲で行い、前記本焼成を580〜750℃の温度範囲で行う、上記[4]又は[5]記載の酸化物触媒の製造方法。
[7]
前記本焼成において焼成管に衝撃を加える、上記[4]〜[6]のいずれか記載の酸化物触媒の製造方法。
[8]
1秒以上1時間以下に1回の頻度で焼成管に衝撃を加える、上記[1]〜[7]のいずれか記載の酸化物触媒の製造方法。
[9]
1秒以上30分以下に1回の頻度で焼成管に衝撃を加える、上記[1]〜[8]のいずれか記載の酸化物触媒の製造方法。
[10]
前記焼成管を回転しながら焼成する、上記[1]〜[9]のいずれか記載の酸化物触媒の製造方法。
[11]
前記焼成管に触媒前駆体を連続的に供給して、連続式焼成により焼成を行う、上記[1]〜[10]のいずれか記載の酸化物触媒の製造方法。
[12]
前記酸化物触媒がMo、V、Nbを含み、Mo1原子当たりのV、Nbの原子比をそれぞれa、bとしたときに、0.1≦a≦1、0.01≦b≦1、を満たす、上記[1]〜[11]のいずれか記載の酸化物触媒の製造方法。
[13]
前記酸化物触媒がシリカに担持されており、前記シリカの質量が前記酸化物触媒と前記シリカの全質量に対し、SiO2換算で10〜80質量%である、上記[1]〜[12]のいずれか記載の酸化物触媒の製造方法。
[14]
上記[1]〜[13]のいずれか記載の製造方法により得られた酸化物触媒にプロパン又はイソブタンを接触させ、気相接触酸化又は気相接触アンモ酸化反応に供する工程を含む、不飽和酸又は不飽和ニトリルの製造方法。
本発明の製造方法によると、触媒前駆体を焼成する工程において焼成管内に発生する固着を顕著に低減することができ、その結果、優れた性能を有する触媒を、大量に、かつ、効率良く製造することが可能となる。
また、本発明の製造方法により得られた酸化物触媒は、優れた触媒性能を有しているため、プロパンもしくはイソブタンの気相接触酸化又は気相接触アンモ酸化反応に用いることで、対応する不飽和カルボン酸又は不飽和ニトリル(例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル)を高収率で安定的に製造することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[酸化物触媒の製造方法]
本実施の形態の酸化物触媒の製造方法は、Mo、Sbを含む触媒前駆体を焼成管に供給し、触媒構成元素の金属酸化物の融点以上の温度で焼成する工程を含み、前記焼成工程において前記焼成管に衝撃を加える工程を含み、前記衝撃を加える工程において、下記式
f=(振動加速度)/(A+B)
(式中、振動加速度:焼成管に加える衝撃の振動加速度(m/s2)、A:酸化物触媒のMoの質量%、B:酸化物触媒のSbの質量%を示す)
により表されるfが、0.08≦f≦50を満たす。
本実施の形態において、「酸化物触媒」とは、1種以上の金属成分の酸化物を含有する触媒を言う。後述するように、主触媒として機能する成分が担体に担持された触媒の場合、「酸化物触媒」とは主触媒と担体とを含む概念である。「触媒前駆体」とは、酸化物触媒の製造工程で生成する化合物を言う。本実施の形態において、「触媒構成元素の金属酸化物の融点」とは、酸化物触媒及び/又は触媒前駆体に含まれる金属成分が単独酸化物(単一の金属成分と酸素の2成分のみで形成される酸化物)を形成した時の融点を意味する。1種以上の金属成分が複数の組成式の単独酸化物を形成する場合は、その中で最も低い融点を有する酸化物の融点を言うものとする。例えば、Phase Diagrams for Ceramists(American Ceramic Society)によると、酸化モリブデンの融点:MoO2(818℃)、MoO3(782±5℃)、酸化アンチモンの融点:Sb23(655℃)、Sb25(525℃)であるから、触媒構成元素の金属酸化物の融点は、モリブデンを含む場合は(782−5)℃とし、アンチモンを含む場合は525℃とし、両方を含む場合は525℃とする。具体的には酸化物触媒がMo、Sb、V、Nbからなり、焼成温度が650℃の場合、アンチモンの単独酸化物(五酸化二アンチモン)の融点が焼成温度より低いため、本実施の形態の「触媒構成元素の金属酸化物の融点以上の温度で焼成する」を満たす。なお同文献によると、酸化ニオブNb25の融点は(1510℃)、酸化バナジウムV25の融点は(685℃)である。
Mo及びSbを含む酸化物触媒の場合、触媒及び/又は触媒前駆体に含まれるMo及びSbが溶融し、酸化物触媒及び触媒前駆体等を焼成管内壁に固着又は融着して塊を形成し易い。本発明者らは、酸化物触媒に含まれるMo及びSbの質量比が焼成中の酸化物触媒及び/又は触媒前駆体の固着又は融着し易さに影響すると考えた。すなわち、一般に融点の低いMo及びSbの化合物を包含する割合が少ない酸化物触媒及び/又は触媒前駆体は焼成管内壁に固着又は融着し難いし、割合が高ければ固着又は融着し易いと考えられる。よって、焼成時に加える衝撃の振動加速度を決定するための指標fは、触媒に含まれるMo及びSbの質量比に応じて決定する。
本実施の形態において「焼成温度」とは、焼成管内の酸化物触媒及び/又は触媒前駆体が最も高温になる時の温度をいう。バッチ式焼成の場合、焼成温度は、酸化物触媒及び/又は触媒前駆体に挿入した熱電対によって測定することができる。連続式焼成の場合、酸化物触媒及び/又は触媒前駆体は焼成管内に堆積しながら流れており、焼成温度は、その堆積している酸化物触媒及び/又は触媒前駆体に挿入した熱電対によって測定することができる。
本実施の形態の、酸化物触媒及び/又は触媒前駆体は、焼成温度より低い融点を有する化合物を形成する金属成分を含む。焼成工程において焼成温度より低い融点を有する化合物が生成すると、焼成中にこれが溶融し、酸化物触媒及び触媒前駆体等を焼成管の内壁に固着又は融着して塊を形成する。特に、連続式焼成ではこれが原因となって、伝熱の悪化や滞留時間の減少、不安定な粉体の流れを引き起こし、所望の温度で安定に焼成することが困難となる。
本実施の形態においては、焼成工程において焼成管に、上記関係式に従った振動加速度により衝撃を加えることで、上述した焼成管内壁への固着や塊の形成を抑制することが可能となる。この観点からは、「触媒構成元素の金属酸化物の融点以上の温度で焼成する」場合に限らず、焼成工程中に生成する化合物が焼成温度以下の融点を有する場合にも、焼成管に衝撃を加えることで固着を防ぐ効果を奏するはずである。しかしながら、焼成中に生成する化合物を全て掌握するのは現実的ではないので、本実施の形態においては、本発明者の経験則に鑑み、触媒構成元素の金属酸化物の融点が焼成温度以下か否かによって固着等の発生の指標としている。
特に、焼成管の外壁を通じて間接的に衝撃を加える場合には、焼成管内壁の固着物を機械的に削ぎ落とす、砕く等の方法により触媒に直接接触する場合と比べて、触媒の形状を良好に維持することができるという利点を有する。
焼成管に加える衝撃は、焼成管内に供給した触媒前駆体が焼成管内に堆積した深さ(粉深)や、焼成管の直径・長さ・肉厚・材質、衝撃を加える装置の材質・種類・形状・位置、及び衝撃を加える頻度等にも依存するので、これらにより適切に設定することが好ましい。
本実施の形態の製造方法においては、焼成管内壁への固着を十分に低減する観点から、また、焼成管の破損を防止する、及び焼成管内を流通する粉体の流れを乱さないという観点から、衝撃を加える工程において、下記式
f=(振動加速度)/(A+B)
(式中、振動加速度:焼成管に加える衝撃の振動加速度(m/s2)、A:酸化物触媒のMoの質量%、B:酸化物触媒のSbの質量%を示す)
により表されるfが、0.08≦f≦50を満たし、好ましくは0.1≦f≦40、より好ましくは0.2≦f≦30を満たす。fが0.08未満の場合、衝撃が不十分で焼成管壁面に触媒及び/又は触媒前駆体が付着し、付着した粉体は過度に焼成され、付着せずに内側を通過する粉体は伝熱不足のまま焼成管内を通過する。その結果、いずれの粉体も、所望の焼成温度で焼成することができずに所望の性能を得ることが困難となる。逆に、fが50を超える場合、焼成管が破損又は変形し易いことに加えて、焼成管内を流れる粒子が衝撃により割れ、粒子形状を流動床反応において良好な状態に維持できなかったり、流れと反対方向に飛散して流れの乱れを起こし易くなったりする。そのため、所望の焼成時間で焼成することができずに性能低下を招くおそれがある。
本実施の形態において、焼成管に加える衝撃の「振動加速度」とは、焼成管全長Lに対して、粉体流れ方向と平行に、焼成管粉体入口からL/4、3L/8、L/2の距離の位置で測定した値の平均値を意味する。測定位置は、焼成管断面方向で衝撃点と同じ位置とする。振動加速度の測定は焼成管に取り付けた振動計で測定できる。振動計としては、旭化成テクノシステム(株)製MD220、MD320又はMD550を用いることができる。
A及びBは、それぞれA:酸化物触媒のMoの質量%、B:酸化物触媒のSbの質量%を示す。
ここで、A:酸化物触媒のMoの質量%とは、酸化物触媒の各構成元素が最高酸化数をとっていると仮定した場合の酸化物触媒の質量比(各構成成分の最高酸化数の酸化物の質量比の和に相当)に対するMo金属原子の質量比、すなわちA={(Mo原子の質量/酸化物触媒の質量比)×100質量%}を意味する。なお、酸化物触媒が担体に担持されている場合、担体の比率(質量%)を全体(100質量%)から除く。つまり、A={(Mo原子の質量/酸化物触媒の質量比)×(100−担体の比率)質量%}で表される。
例えばMo10.23Nb0.086Sb0.27On/43wt%SiO2で表される酸化物触媒の場合、各構成成分はそれぞれMoO3、VO2.5、NbO2.5、SbO2.5を形成していると仮定し、Aを次のように求める。

A=(Mo原子量×1)/(MoO3の分子量×1+VO2.5の分子量×0.23+NbO2.5の分子量×0.086+SbO2.5の分子量×0.27)×(100−43)質量%


酸化物触媒において、各成分は何個の酸素と結合しているかを確認することはできないので、このようにMoO3、VO2.5、NbO2.5及びSbO2.5を形成していると仮定し、計算によって酸化物触媒に占めるMoの質量比を定義する。
また、B:酸化物触媒のSbの質量%とは、酸化物触媒の各構成元素が最高酸化数をとっていると仮定した場合の酸化物触媒の質量比に対するSb金属原子の質量比を意味する。よって上述の例の場合、Bは次のように求められる。

B=(Sb原子量×0.27)/(MoO3の分子量×1+VO2.5の分子量×0.23+NbO2.5の分子量×0.086+SbO2.5の分子量×0.27)×(100−43)質量%
衝撃を加える方法としては、特に限定されず、エアノッカー、ハンマー、ハンマリング装置等を好適に用いることができる。打撃先端部の焼成管に直接触れる部分の材質としては、十分な耐熱性を有する材質であれば特に限定されず、例えば、衝撃に耐えられる一般的な樹脂、金属等を使用することができ、中でも、金属が好ましい。金属は焼成管を破損、変形することのない程度の硬度を有するものが好ましく、銅製、SUS製のものを好適に使用できる。衝撃を加える箇所も特に限定されず、操作上都合の良い場所で行うことができるが、衝撃を無駄なく焼成管に直接与えることができるため、焼成管の加熱炉で覆われていない箇所に加えることが好ましい。
衝撃を加える箇所は、1箇所でも複数箇所でもよい。振動を効率よく伝えるために、衝撃は、回転軸に垂直な方向から加えることが好ましい。衝撃を加える頻度は特に限定されないが、焼成管内の固着がより良好に低減される傾向にあるため、焼成管に定常的に衝撃を加えるのが好ましい。ここで、「定常的に衝撃を加える」とは、一定以上の頻度で衝撃を加えることをいう。好ましくは1秒以上1時間以下に1回、より好ましくは1秒以上30分以下に1回、さらに好ましくは1秒以上5分以下に1回、特に好ましくは1秒以上1分以下に1回、衝撃を加える。衝撃は常に同じ間隔で加える必要はなく、ランダムでもよい。例えば、10秒に1回の衝撃の後、10秒に2回以上の衝撃を加え、再度10秒に1回の頻度に戻してもよい。衝撃を加える頻度は、振動加速度、焼成管内に供給する触媒前駆体の粉深、焼成管の直径・長さ・肉厚・材質、衝撃を加える装置の材質・種類・形状に合わせて適宜調整することが好ましい。
本実施の形態の製造方法で用いる焼成管の形状は特に限定されないが、円筒状であるのが好ましい。加熱方式は外熱式が好ましく、電気炉を好適に使用できる。焼成管の大きさ、材質等は焼成条件や製造量に応じて適当なものを選択することができるが、内径が、好ましくは70〜2000mm、より好ましくは100〜1200mm、長さが、好ましくは200〜10000mm、より好ましくは800〜8000mmのものを用いる。
焼成管の肉厚としては、衝撃により破損しない程度の十分な厚みであれば特に限定されないが、好ましくは2mm以上であり、より好ましくは4mm以上である。また衝撃を焼成管内部まで十分に伝えるという観点から、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下である。材質は耐熱性を有し、かつ、衝撃により破損しない強度を有するものであれば特に限定されず、例えば、SUSを好適に用いることができる。
本実施の形態の製造方法における焼成は、連続式焼成、バッチ式焼成のいずれでも構わない。通常、連続式焼成によるとバッチ式焼成と比較して大量の触媒を製造することが可能となるが、連続式焼成は、滞留時間や焼成温度のばらつき等が生じやすく、全ての触媒前駆体を最適な焼成時間及び焼成温度で焼成し難くなる傾向がある。そのため、触媒の組成や焼成温度が同じであっても、連続式焼成の場合には、バッチ式焼成と同等の収率を得ることが困難となる場合がある。
焼成を連続式で行う場合、触媒前駆体及び/又は酸化物触媒が通過するための穴を中心部に有する堰板を、焼成管の中に触媒前駆体の流れと垂直に設けて焼成管を2つ以上の区域に仕切ることもできる。堰板を設置することにより焼成管内滞留時間を確保しやすくなる。堰板の数は1つでも複数でもよい。堰板の材質は金属が好ましく、焼成管と同じ材質のものを好適に使用できる。堰板の高さは確保すべき滞留時間に合わせて調整することができる。例えば、内径150mm、長さ1150mmのSUS製の焼成管を有する回転炉で250g/hrで触媒前駆体を供給する場合、堰板は好ましくは5〜50mm、より好ましくは10〜40mm、さらに好ましくは13〜35mmである。堰板の厚みは特に限定されず、焼成管の大きさに合わせて調整することが好ましい。例えば内径150mm、長さ1150mmのSUS製の焼成管を有する回転炉の場合、好ましくは0.3mm以上30mm以下、より好ましくは0.5mm以上15mm以下である。
焼成工程においては、触媒前駆体の割れ、ひび等を防ぐと共に、均一に焼成するために、焼成管を回転させるのが好ましい。焼成管の回転速度は、好ましくは0.1〜30rpm、より好ましくは0.3〜20rpm、さらに好ましくは0.5〜10rpmである。
乾燥触媒前駆体の焼成においては、400℃より低い温度から昇温を始めて、550〜800℃の範囲内の温度まで、連続的に又は断続的に昇温するのが好ましい。
焼成雰囲気は、空気雰囲気下もしくは空気流通下で実施することもできるが、焼成の少なくとも一部を、窒素等の実質的に酸素を含まない不活性ガスを流通させながら実施することが好ましい。
焼成をバッチ式で行う場合は、不活性ガスの供給量は触媒前駆体1kg当たり、50Nリットル/hr以上、好ましくは50〜5000Nリットル/hr、さらに好ましくは50〜4000Nリットル/hrである(Nリットルは、標準温度・圧力条件、即ち0℃、1気圧で測定したリットルを意味する)。焼成を連続式で行う場合は、不活性ガスの供給量は触媒前駆体1kg当たり、50Nリットル以上、好ましくは50〜5000Nリットル、好ましくは50〜4000Nリットルである(Nリットルは、標準温度・圧力条件、即ち0℃、1気圧で測定したリットルを意味する)。この時、不活性ガスと触媒前駆体は向流でも並流でも問題ないが、触媒前駆体から発生するガス成分や、触媒前駆体と共に微量混入する空気を考慮すると、向流接触が好ましい。
焼成工程は、一段でも実施可能であるが、触媒の還元率を、効率よく適正な範囲に調整し易くなる傾向にあるため、本焼成の前に、前段焼成を行うのが好ましい。温度範囲としては、前段焼成を250〜400℃で行い、本焼成を550〜800℃で行うことが好ましい。前段焼成と本焼成は連続して実施してもよいし、前段焼成を一旦完了してからあらためて本焼成を実施してもよい。また、前段焼成及び本焼成のそれぞれが数段に分かれていてもよい。前段焼成と本焼成に分けて焼成を行う場合は、本焼成において衝撃を加えることが好ましい。
前段焼成は、好ましくは不活性ガス流通下、加熱温度250℃〜400℃、好ましくは300℃〜400℃の範囲で行う。250℃〜400℃の温度範囲内の一定温度で保持することが好ましいが、250℃〜400℃範囲内で温度が変動したり、緩やかに昇温、降温しても構わない。加熱温度の保持時間は30分以上、好ましくは3〜12時間である。前段焼成温度に達するまでの昇温パターンは直線的に上げてもよいし、上又は下に凸なる弧を描いて昇温してもよい。
前段焼成温度に達するまでの昇温時の平均昇温速度としては、特に限定されないが、好ましくは0.1〜15℃/min、より好ましくは0.5〜5℃/min、さらに好ましくは1〜2℃/minである。
本焼成は、好ましくは不活性ガス流通下、加熱温度550〜800℃、好ましくは580〜750℃、さらに好ましくは600〜720℃、特に好ましくは620〜700℃で行う。620〜700℃の温度範囲内の一定温度で保持することが好ましいが、620〜700℃の範囲内で温度が変動したり、緩やかに昇温、降温しても構わない。本焼成の時間は0.5〜20時間、好ましくは1〜15時間である。なお、不活性ガス流通下の焼成雰囲気には、所望により、酸化性成分(例えば酸素)又は還元性成分(例えばアンモニア)を添加してもよい。本焼成温度に達するまでの昇温パターンは直線的に上げてもよいし、上又は下に凸なる弧を描いて昇温してもよい。
本焼成温度に達するまでの昇温時の平均昇温速度としては、特に限定されないが、好ましくは0.1〜15℃/min、より好ましくは0.5〜10℃/min、さらに好ましくは1〜5℃/minである。
本焼成終了後の平均降温速度は0.01〜1000℃/min、好ましくは0.05〜100℃/min、より好ましくは0.1〜50℃/min、さらに好ましくは0.5〜10℃/minである。また、本焼成温度より低い温度で一旦保持することも好ましい。保持する温度は、本焼成温度より5℃、好ましくは10℃、さらに好ましくは50℃低い温度である。保持する時間は、0.5時間以上、好ましくは1時間以上、さらに好ましくは3時間以上、特に好ましくは10時間以上である。
焼成管を堰板で区切る場合、触媒前駆体は少なくとも2つ、好ましくは2〜20、さらに好ましくは4〜15の区域を連続して通過し、これらの区域はそれぞれ温度制御することができる。例えば、堰板を焼成管の加熱炉内に入る部分の長さを8等分するように7枚設置し、8つの区域に仕切った焼成管を用いる場合、前記所望の焼成パターンを得るため、以下のように調整することができる。前段焼成では焼成管内を滞留している触媒前駆体の区域内中心部に挿入した熱電対の温度がそれぞれ、触媒前駆体の供給側から数えて、区域1:100〜300℃、区域2:150〜400℃、区域3:200〜400℃、区域4:200〜400℃、区域5:200〜400℃、区域6:200〜400℃、区域7:200〜400℃、区域8:200〜400℃となるように調整することが好ましい。本焼成では同様に、区域1:350〜700℃、区域2:400〜750℃、区域3:550〜750℃、区域4:550〜750℃、区域5:400〜700℃、区域6:400〜700℃、区域7:400〜700℃、区域8:350〜700℃となるように調整することが好ましい。
[酸化物触媒]
本実施の形態の製造方法により得られる酸化物触媒としては、例えば、モリブデン、バナジウム、ニオブ及びアンチモンを含む、下記の一般式(1)で示される化合物を挙げることができる。
Mo1aNbbSbcdn (1)
(式中、Yは、Mn、W、B、Ti、Al、Te、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属から選ばれる少なくとも1種以上の元素を示し、a、b、c、d及びnは、それぞれ、V、Nb、Sb、Yのモリブデン(Mo)1原子当たりの原子比を示し、0.1≦a≦1、0.01≦b≦1、0.01≦c≦1、0≦d≦1であり、nは酸素以外の構成元素の原子価によって決定される酸素原子の数を示す。)
Mo1原子当たりの原子比a、b、c、dは、それぞれ、0.1≦a≦1、0.01≦b≦1、0.01≦c≦1、0≦d≦1であることが好ましく、0.1≦a≦0.5、0.01≦b≦0.5、0.1≦c≦0.5、0.0001≦d≦0.5であることがより好ましく、0.2≦a≦0.3、0.05≦b≦0.2、0.2≦c≦0.3、0.0002≦d≦0.4であることがさらに好ましい。
Moと、Sbとを含有するものは、焼成管内で固着が発生し易く、本実施の形態の製造方法を適用するのに好適な酸化物触媒である。
触媒を流動床で用いる場合には、充分な強度が要求されるので、酸化物触媒は、シリカに担持されていることが好ましい。酸化物触媒は、酸化物触媒(主触媒となる触媒構成元素の酸化物)とシリカの全質量に対し、SiO2換算で、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜60質量%、さらに好ましくは30〜55質量%のシリカに担持されている。担体であるシリカの量は強度と粉化防止、触媒を使用する際の安定運転の容易さ及びロスした触媒の補充を低減する観点から、酸化物触媒とシリカの全質量に対し10質量%以上であるのが好ましく、十分な触媒活性を達成する観点から、酸化物触媒とシリカの全質量に対し80質量%以下であるのが好ましい。特に触媒を流動床で用いる場合、シリカの量が80質量%以下であると、シリカ担持触媒(酸化物触媒+シリカ担体)の比重が適切で、良好な流動状態をつくり易い。
本実施の形態の酸化物触媒の製造方法において、焼成管に供給される「触媒前駆体」は、例えば、以下の原料調合工程及び乾燥工程を行うことにより得ることができる。以下、各工程について説明する。
(原料調合工程)
本工程は、金属成分を含有する原料を、水等の溶媒に溶解し混合することにより原料調合液を得る工程である。
金属成分を含有する原料としては、特に限定されず、例えば、下記の化合物を用いることができる。Moの原料としては、例えば、酸化モリブデン、ジモリブデン酸アンモニウム、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸が挙げられ、中でも、ヘプタモリブデン酸アンモニウムを好適に用いることができる。Vの原料としては、例えば、五酸化バナジウム、メタバナジン酸アンモニウム、硫酸バナジルが挙げられ、中でも、メタバナジン酸アンモニウムを好適に用いることができる。Nbの原料としては、ニオブ酸、ニオブの無機酸塩及びニオブの有機酸塩からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、中でも、ニオブ酸が好ましい。ニオブ酸はNb25・nH2Oで表され、ニオブ水酸化物又は酸化ニオブ水和物とも称される。中でも、ニオブの原料がジカルボン酸とニオブ化合物とを含むものであり、ジカルボン酸/ニオブのモル比が1〜4のニオブ原料液を用いることが好ましい。Sbの原料としては、アンチモン酸化物を好適に用いることができる。
以下に、本工程を、Mo、V、Nb、Sbを含む原料調合液を調製する例により具体的に説明する。
まず、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウム、三酸化二アンチモン粉末を水に添加し、80℃以上に加熱して混合液(A)を調製する。このとき、例えば触媒がTeやBやCeを含む場合、テルル酸、ホウ酸、硝酸セリウムを同時に添加することができる。
次に、ニオブ酸とシュウ酸を水中で加熱撹拌して混合液(B)を調製する。混合液(B)は以下に示す方法で得られる。すなわち、水にニオブ酸とシュウ酸を加え、撹拌することによって水溶液又は水性懸濁液を得る。懸濁する場合は、少量のアンモニア水を添加するか、又は、加熱することによってニオブ化合物の溶解を促進することができる。次いで、この水溶液又は水性懸濁液を冷却し、濾別することによってニオブ含有液を得る。冷却は簡便には氷冷によって、濾別は簡便にはデカンテーション又は濾過によって実施できる。得られたニオブ含有液にシュウ酸を適宜加え、好適なシュウ酸/ニオブ比に調製することもできる。シュウ酸/ニオブのモル比は、好ましくは2〜5であり、より好ましくは2〜4である。さらに、得られたニオブ混合液に過酸化水素を添加し、混合液(B)を調製してもよい。このとき、過酸化水素/ニオブのモル比は、好ましくは0.5〜20であり、より好ましくは1〜10である。
次に、目的とする組成に合わせて、混合液(A)と混合液(B)を混合して、原料調合液を得る。例えば触媒にWやMnを含む場合は、Wを含む化合物を好適に混合して原料調合液を得る。Wを含む化合物としては、例えば、メタタングステン酸アンモニウムが好適に用いられる。Mnを含む化合物としては、例えば、硝酸マンガンが好適に用いられる。WやMnを含む化合物は混合液(A)の中に添加することもできるし、混合液(A)と混合液(B)を混合する際に同時に添加することもできる。酸化物触媒がシリカ担体に担持されている場合は、シリカゾルを含むように原料調合液は調製され、この場合、シリカゾルは適宜添加することができる。
また、アンチモンを用いる場合は、混合液(A)又は調合途中の混合液(A)の成分を含む液に、過酸化水素を添加することが好ましい。このとき、H22/Sb(モル比)は、好ましくは0.01〜5であり、より好ましくは0.05〜4である。またこのとき、30℃〜70℃で、30分〜2時間撹拌を続けることが好ましい。このようにして得られる触媒原料調合液は均一な溶液の場合もあるが、通常はスラリーである。
(乾燥工程)
本工程は、上述の工程で得られた原料調合液を乾燥して、(乾燥)触媒前駆体を得る工程である。乾燥は公知の方法で行うことができ、例えば、噴霧乾燥又は蒸発乾固によって行うことができるが、噴霧乾燥により微小球状の乾燥触媒前駆体を得ることが好ましい。噴霧乾燥法における噴霧化は、遠心方式、二流体ノズル方式、又は高圧ノズル方式によって行うことができる。乾燥熱源は、スチーム、電気ヒーターなどによって加熱された空気を用いることができる。噴霧乾燥装置の乾燥機入口温度は150〜300℃が好ましく、乾燥機出口温度は100〜160℃が好ましい。
[不飽和酸及び不飽和ニトリルの製造方法]
本実施の形態の製造方法により得られた酸化物触媒を用いて、プロパン又はイソブタンを分子状酸素と気相で反応(気相接触酸化反応)させて、対応する不飽和カルボン酸(アクリル酸又はメタクリル酸)を製造することができる。また、この触媒を用いて、プロパン又はイソブタンをアンモニア及び分子状酸素と気相で反応(気相接触アンモ酸化反応)させて、対応する不飽和ニトリル(アクリロニトリル又はメタクリロニトリル)を製造することができる。
プロパン又はイソブタン及びアンモニアの供給原料は必ずしも高純度である必要はなく、工業グレードのガスを使用できる。供給酸素源としては、空気、純酸素又は純酸素で富化した空気を用いることができる。さらに、希釈ガスとしてヘリウム、ネオン、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気、窒素等を供給してもよい。
アンモ酸化反応の場合は、反応系に供給するアンモニアのプロパン又はイソブタンに対するモル比は0.3〜1.5、好ましくは0.8〜1.2である。酸化反応とアンモ酸化反応のいずれについても、反応系に供給する分子状酸素のプロパン又はイソブタンに対するモル比は0.1〜6、好ましくは0.1〜4である。
また、酸化反応とアンモ酸化反応のいずれについても、反応圧力は0.5〜5atm、好ましくは1〜3atmであり、反応温度は350℃〜500℃、好ましくは380℃〜470℃であり、接触時間は0.1〜10(sec・g/cc)、好ましくは0.5〜5(sec・g/cc)である。
本実施の形態において、接触時間は次式で定義される。
接触時間(sec・g/cc)=(W/F)×273/(273+T)×P
ここで、
W=触媒の質量(g)、
F=標準状態(0℃、1atm)での原料混合ガス流量(Ncc/sec)、
T=反応温度(℃)、
P=反応圧力(atm)である。
プロパン転化率及びアクリロニトリル収率は、それぞれ次の定義に従う。
プロパン転化率(%)=(反応したプロパンのモル数)/(供給したプロパンのモル数)×100
アクリロニトリル収率(%)=(生成したアクリロニトリルのモル数)/(供給したプロパンのモル数)×100
反応方式は、固定床、流動床、移動床等の従来の方式を採用できるが、反応熱の除熱が容易で触媒層の温度がほぼ均一に保持できること、触媒を反応器から運転中に抜き出したり、触媒を追加することができる等の理由から、流動床反応が好ましい。
以下に本実施の形態を、実施例と比較例によってさらに詳細に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
(ニオブ原料液の調製)
以下の方法でニオブ原料液を調製した。水500kgにNb25として80.2質量%を含有するニオブ酸76.33kgとシュウ酸二水和物〔H224・2H2O〕29.02gを混合した。仕込みのシュウ酸/ニオブのモル比は5.0、仕込みのニオブ濃度は0.532(mol−Nb/kg−液)であった。
この液を95℃で1時間加熱撹拌することによって、ニオブ化合物が溶解した水溶液を得た。この水溶液を静置、氷冷後、固体を吸引濾過によって濾別し、均一なニオブ化合物水溶液を得た。同じような操作を数回繰り返して、得られたニオブ化合物水溶液を一つにし、ニオブ原料液とした。このニオブ原料液のシュウ酸/ニオブのモル比は下記の分析により2.60であった。
るつぼに、このニオブ原料液10gを精秤し、95℃で一夜乾燥後、600℃で1時間熱処理し、Nb250.7868gを得た。この結果から、ニオブ濃度は0.592(mol−Nb/kg−液)であった。
300mLのガラスビーカーにこのニオブ原料液3gを精秤し、約80℃の熱水200mLを加え、続いて1:1硫酸10mLを加えた。得られた溶液をホットスターラー上で液温70℃に保ちながら、攪拌下、1/4規定KMnO4を用いて滴定した。KMnO4によるかすかな淡桃色が約30秒以上続く点を終点とした。シュウ酸の濃度は、滴定量から次式に従って計算した結果、1.54(mol−シュウ酸/kg)であった。
2KMnO4+3H2SO4+5H224→K2SO4+2MnSO4+10CO2+8H2
得られたニオブ原料液を、以下の酸化物触媒の製造においてニオブ原料液として用いた。
(実施例1)
組成式がMo10.23Nb0.086Sb0.27n/43質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水44.11kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を9.40kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を1.42kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を2.09kg加え、攪拌しながら90℃で2.5時間加熱して水性混合液A−1を得た。
上記ニオブ原料液7.68kgに、H22を30質量%を含有する過酸化水素水1.03kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持しながら、攪拌混合して、水性液B−1を得た。
水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として30.4質量%を含有するシリカゾル16.97kgを添加した。次いで、H22を30質量%を含有する過酸化水素水2.43kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。さらに、フュームドシリカ3.44kgを48.2kgの水に分散させた液を添加して原料調合液を得た。
後述する「乾燥触媒前駆体の調製」工程及び「焼成」工程を連続式で行うために、本工程を70回繰り返し、原料調合液を合計約1400kg調製した。
(乾燥触媒前駆体の調製)
得られた原料調合液を、遠心式噴霧乾燥器に供給して乾燥し、微小球状の乾燥触媒前駆体を連続的に得た。乾燥機の入口温度は210℃、出口温度は120℃であった。
(焼成)
得られた乾燥触媒前駆体を、内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、20kg/hrの速度で流通し、600Nリットル/minの窒素ガス流通下、焼成管を5rpmで回転させながら、360℃まで約4時間かけて昇温し、360℃で3時間保持する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、前段焼成することにより前段焼成粉を得た。別の内径500mm、長さ3500mm、肉厚20mmのSUS製焼成管で高さ150mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、焼成管を5rpmで回転させながら、前段焼成粉を15kg/hrの速度で流通した。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量14kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら、500Nリットル/minの窒素ガス流通下645℃まで2℃/minで昇温し、645℃で2時間焼成し、1℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成することにより酸化物触媒を得た。本焼成中、焼成温度の低下は起こらず安定した速度で酸化物触媒を得ることができた。振動加速度を振動計(旭化成テクノシステム(株)製MD−220)により測定したところ、48m/s2であり、f=1.75であった。
(触媒性能の評価)
内径25mmのバイコールガラス流動床型反応管に、焼成開始から48時間後に得られた酸化物触媒を45g充填し、反応温度440℃、反応圧力常圧下にプロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:0.85:3.0:11のモル比の混合ガスを接触時間3.0(sec・g/cc)で通過させた。触媒の性能を評価した結果、プロパン転化率89.5%、アクリロニトリル収率53.6%であった。
(実施例2)
内径150mm、長さ1150mm、肉厚7mmのSUS製円筒状焼成管で高さ30mmの6枚の堰板を加熱炉部分の長さを7等分するように設置したものに、乾燥触媒前駆体を340g/hrの速度で流通し、10Nリットル/minの窒素ガスを流通させたこと以外は実施例1と同様の方法により前段焼成し、前段焼成粉を得た。別の内径150mm、長さ1150mm、肉厚7mmのSUS製焼成管で高さ30mmの7枚の堰板を加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、前段焼成粉を200g/hrの速度で流通し、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量2kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部30mmの高さから15秒に1回打撃を加えながら、6Nリットル/minの窒素ガスを流通させたこと以外は実施例1と同様の方法により本焼成し、酸化物触媒を得た。本焼成中、焼成温度の低下は起こらず安定した速度で酸化物触媒を得ることができた。実施例1と同様に振動加速度を測定したところ、63m/s2であり、f=2.30であった。また、実施例1と同様に触媒性能を評価したところ、プロパン転化率90.1%、アクリロニトリル収率53.7%であった。
(実施例3)
内径150mm、長さ1150mm、肉厚7mmのSUS製円筒状焼成管で高さ30mmの6枚の堰板を、加熱炉部分の長さを7等分するように設置したものに、乾燥触媒前駆体を340g/hrの速度で流通し、窒素ガスを10Nリットル/minで流通させたこと以外は実施例1と同様の方法により前段焼成し、前段焼成粉を得た。別の内径150mm、長さ1150mm、肉厚7mmのSUS製焼成管で高さ30mmの7枚の堰板を、加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに前段焼成粉を200g/hrの速度で流通した。その際、30秒に1回0.25MPaの空気圧のエアノッカー(セイシン SK−30LPS)で打撃を加えながら6Nリットル/minの窒素ガスを流通させたこと以外は実施例1と同様の方法により本焼成し、酸化物触媒を得た。本焼成中、焼成温度の低下は起こらず安定した速度で酸化物触媒を得ることができた。実施例1と同様に振動加速度を測定したところ、20m/s2であり、f=0.73であった。また、実施例1同様に触媒性能を評価をしたところ、プロパン転化率89.1%、アクリロニトリル収率53.4%であった。
(実施例4)
内径150mm、長さ1150mm、肉厚7mmのSUS製円筒状焼成管で高さ30mmの6枚の堰板を、加熱炉部分の長さを7等分するように設置したものに、乾燥触媒前駆体を340g/hrの速度で流通し、窒素ガスを10Nリットル/minで流通させたこと以外は実施例1と同様の方法により前段焼成し、前段焼成粉を得た。別の内径150mm、長さ1150mm、肉厚7mmのSUS製焼成管で高さ30mmの7枚の堰板を、加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに前段焼成粉を200g/hrの速度で流通し、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量50gのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部30mmの高さから5秒に1回打撃を加えながら6Nリットル/minの窒素ガスを流通させたこと以外は実施例1と同様の方法により本焼成し、酸化物触媒を得た。実施例1と同様に振動加速度を測定したところ、5m/s2であり、f=0.18であった。また、実施例1と同様に触媒性能を評価をしたところ、プロパン転化率88.4%、アクリロニトリル収率52.5%であった。
(実施例5)
内径90mm、長さ900mm、肉厚2mmのSUS製円筒状焼成管で高さ18mmの6枚の堰板を、加熱炉部分の長さを7等分するように設置したものに、乾燥触媒前駆体を91g/hrの速度で流通し、窒素ガスを2.7Nリットル/minで流通させたこと以外は実施例1と同様の方法により前段焼成し、前段焼成粉を得た。別の内径90mm、長さ900mm、肉厚2mmのSUS製焼成管で高さ18mmの7枚の堰板を、加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに前段焼成粉を60g/hrの速度で流通し、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量3kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部20mmの高さから10秒に1回打撃を加えながら1.5Nリットル/minの窒素ガスを流通させたこと以外は実施例1と同様に本焼成し、酸化物触媒を得た。旭化成テクノシステム(株)製MD320を用いて振動加速度を測定したところ、280m/s2であり、f=10.21であった。また、実施例1と同様に触媒性能を評価をしたところ、プロパン転化率88.1%、アクリロニトリル収率53.3%であった。
(実施例6)
内径150mm、長さ1150mm、肉厚7mmのSUS製円筒状焼成管で高さ30mmの6枚の堰板を、加熱炉部分の長さを7等分するように設置したものに、乾燥触媒前駆体を340g/hrの速度で流通し、窒素ガスを10Nリットル/minで流通させたこと以外は実施例1と同様の方法により前段焼成し、前段焼成粉を得た。別の内径150mm、長さ1150mm、肉厚7mmのSUS製焼成管で高さ30mmの7枚の堰板を、加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに前段焼成粉を200g/hrの速度で流通し、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量5kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部100mmの高さから15秒に1回打撃を加えながら6Nリットル/minの窒素ガスを流通させたこと以外は実施例1と同様の方法により本焼成し、酸化物触媒を得た。旭化成テクノシステム(株)製MD550を用いて振動加速度を測定したところ、500m/s2であり、f=18.2であった。また、実施例1と同様に触媒性能を評価をしたところ、プロパン転化率87.8%、アクリロニトリル収率52.6%であった。
(比較例1)
前段焼成粉を、480℃まで2℃/minで昇温し、480℃で2時間焼成し、12℃/minで降温する温度プロファイルとなるように加熱炉温度を調整し、本焼成を行ったこと以外は、実施例2と同様の方法により酸化物触媒を得た。実施例1と同様に触媒性能を評価をしたところ、プロパン転化率49.5%、アクリロニトリル収率24.4%であった。
(比較例2)
内径150mm、長さ1150mm、肉厚7mmのSUS製円筒状焼成管で高さ30mmの6枚の堰板を、加熱炉部分の長さを7等分するように設置したものに、乾燥触媒前駆体を340g/hrの速度で流通し、窒素ガスを10Nリットル/minで流通させたこと以外は実施例1と同様の方法により前段焼成し、前段焼成粉を得た。別の内径150mm、長さ1150mm、肉厚7mmのSUS製焼成管で高さ30mmの7枚の堰板を、加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに前段焼成粉を200g/hrの速度で流通し、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量30gのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部20mmの高さから30秒に1回打撃を加えながら6Nリットル/minの窒素ガスを流通させたこと以外は実施例1と同様の方法により本焼成し、酸化物触媒を得た。実施例1と同様に振動加速度を測定したところ、2m/s2であり、f=0.07であった。また、実施例1と同様に触媒性能を評価をしたところ、プロパン転化率86.5%、アクリロニトリル収率50.5%であった。
(比較例3)
内径150mm、長さ1150mm、肉厚7mmのSUS製円筒状焼成管で高さ30mmの6枚の堰板を、加熱炉部分の長さを7等分するように設置したものに、乾燥触媒前駆体を340g/hrの速度で流通し、窒素ガスを10Nリットル/minで流通させたこと以外は実施例1と同様の方法により前段焼成し、前段焼成粉を得た。別の内径150mm、長さ1150mm、肉厚7mmのSUS製焼成管で高さ30mmの7枚の堰板を、加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに前段焼成粉を200g/hrの速度で流通し、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量8kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部250mmの高さから30秒に1回打撃を加えながら6Nリットル/minの窒素ガスを流通させたこと以外は実施例1と同様の方法により本焼成し、酸化物触媒を得た。実施例6と同様に振動加速度を測定したところ、1500m/s2であり、f=54.7であった。また、実施例1と同様に触媒性能を評価をしたところ、プロパン転化率86.1%、アクリロニトリル収率51.0%であった。
(実施例7)
衝撃を加える頻度を30分に1回にしたこと以外は実施例3と同様の方法により本焼成を行った。得られた触媒を実施例1と同様にアンモ酸化反応に使用したところ、プロパン転化率87.9%、アクリロニトリル収率52.7%であった。
(実施例8)
内径500mm、長さ1000mm、肉厚20mmのSUS製円筒状焼成管に、実施例1と同様の方法により得られた乾燥触媒前駆体40kgを入れ、窒素ガスを100Nリットル/minで流通させ、焼成管を7rpmで回転させながら、350℃まで約4時間かけて昇温し、350℃で3時間保持する温度プロファイルで前段焼成し、前段焼成粉を得た。別の内径500mm、長さ1000mm、肉厚20mmのSUS製焼成管に前段焼成粉を35kg入れ、窒素ガスを20Nリットル/minで流通させ、焼成管を7rpmで回転させながら、645℃まで2℃/minで昇温し、645℃で2時間焼成し、1℃/minで降温する温度プロファイルで本焼成し、酸化物触媒を得た。その際、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量10kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部50mmの高さから10秒に1回打撃を加えながら、本焼成を行った。振動加速度を実施例1と同様に測定したところ、7m/s2であり、f=0.26であった。また、実施例1と同様に触媒性能を評価をしたところ、プロパン転化率90.6%、アクリロニトリル収率54.0%であった。
(実施例9)
内径80mm、長さ1300mm、肉厚2mmのSUS製円筒状焼成管で高さ15mmの7枚の堰板を、加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに、乾燥触媒前駆体を86g/hrの速度で流通し、窒素ガスを2.2Nリットル/minで流通させたこと以外は実施例1と同様の方法により前段焼成して、前段焼成粉を得た。別の内径80mm、長さ1300mm、肉厚2mmのSUS製焼成管で高さ30mmの7枚の堰板を、加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに前段焼成粉を50g/hrの速度で流通し、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量2kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部15mmの高さから20秒に1回打撃を加えながら1.7Nリットル/minの窒素ガスを流通させたこと以外は実施例1と同様に本焼成し、酸化物触媒を得た。本焼成中、焼成温度の低下は起こらず安定した速度で酸化物触媒を得ることができた。実施例1と同様に振動加速度を測定したところ、120m/s2であり、f=4.38であった。また、実施例1と同様に触媒の性能を評価をしたところ、プロパン転化率88.9%、アクリロニトリル収率53.1%であった。
(実施例10)
内径300mm、長さ800mm、肉厚7mmのSUS製円筒状焼成管で高さ70mmの4枚の堰板を、加熱炉部分の長さを5等分するように設置したものに、乾燥触媒前駆体を1.2kg/hrの速度で流通し、窒素ガスを35Nリットル/minで流通させたこと以外は実施例1と同様の方法により前段焼成して、前段焼成粉を得た。別の内径300mm、長さ800mm、肉厚7mmのSUS製焼成管で高さ70mmの7枚の堰板を、加熱炉部分の長さを8等分するように設置したものに前段焼成粉を0.7kg/hrの速度で流通し、焼成管の粉導入側部分(加熱炉に覆われていない部分)を、打撃部先端がSUS製の質量8kgのハンマーを設置したハンマリング装置で、回転軸に垂直な方向で焼成管上部50mmの高さから20秒に1回打撃を加えながら23Nリットル/minの窒素ガスを流通させたこと以外は実施例1と同様に本焼成し、酸化物触媒を得た。本焼成中、焼成温度の低下は起こらず安定した速度で酸化物触媒を得ることができた。実施例1と同様に振動加速度を測定したところ、38m/s2であり、f=1.39であった。また、実施例1同様に触媒性能を評価をしたところ、プロパン転化率88.8%、アクリロニトリル収率53.2%であった。
(実施例11)
組成式がMo10.23Nb0.086Sb0.270.02n/43質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水21.6kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を4.60kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を0.70kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を1.02kg加え、攪拌しながら90℃で2.5時間加熱して水性混合液A−1とした。
上記ニオブ原料液3.76kgに、H22を30質量%を含有する過酸化水素水0.50kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、水性液B−1とした。
得られた水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として30.4質量%を含有するシリカゾル8.49kgを添加した。さらに、H22を30質量%を含有する過酸化水素水1.19kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。続いて、WO3として50.2質量%を含有するメタタングステン酸アンモニウム0.24kgを加え、さらに、フュームドシリカ1.72kgを24.1kgの水に分散させた液を添加して原料調合液を得た。
本工程を3回繰り返して、合計約30kgの原料調合液を調製し、以下の「乾燥触媒前駆体の調製」工程及び「焼成」工程に供した。
(乾燥触媒前駆体の調製)
実施例1と同様の方法により噴霧乾燥を行い、乾燥触媒前駆体を得た。
(焼成)
実施例2と同様の方法により焼成を行い、酸化物触媒を得た。焼成工程における振動加速度は55m/s2であり、f=2.04であった。なお、WはWO3を形成すると仮定して、Mo及びSbの質量%の計算に用いた。
(触媒性能の評価)
実施例1と同様に焼成開始後48hr経過時に、焼成管出口から得られた酸化物触媒のアンモ酸化反応における性能評価を行ったところ、プロパン転化率90.5%、アクリロニトリル収率53.8%であった。
(実施例12)
組成式がMo10.23Nb0.086Sb0.270.035Ce0.008n/43質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水21.1kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4)6Mo724・4H2O〕を4.50kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を0.68kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を1.00kg、硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕を0.090kg加え、攪拌しながら90℃で2.5時間加熱して水性混合液A−1とした。
上記ニオブ原料液3.68kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水0.49kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、水性液B−1とした。
得られた水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として30.4質量%を含有するシリカゾル8.49kgを添加した。さらにH22として30質量%を含有する過酸化水素水1.16kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。続いて、WO3として50.2質量%を含有するメタタングステン酸アンモニウム0.41kgを加え、さらに、フュームドシリカ1.72kgを24.1kgの水に分散させた液を添加して原料調合液を得た。
本工程を3回繰り返して、合計約30kgの原料調合液を調製し、以下の「乾燥触媒前駆体の調製」工程及び「焼成」工程に供した。
(乾燥触媒前駆体の調製)
実施例1と同様の方法により噴霧乾燥を行い、乾燥触媒前駆体を得た。
(焼成)
実施例2と同様の方法により焼成を行い、酸化物触媒を得た。焼成工程における振動加速度は54m/s2であり、f=2.04であった。なお、WはWO3を、CeはCeO2を形成すると仮定して、Mo及びSbの質量%の計算に用いた。
(触媒性能の評価)
実施例1と同様の方法により、焼成開始後48hr経過時に焼成管出口から得られた酸化物触媒のアンモ酸化反応における性能を評価したところ、プロパン転化率90.8%、アクリロニトリル収率53.9%であった。
(実施例13)
組成式がMo10.23Nb0.086Sb0.270.1n/43質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水21.7kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を4.63kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を0.70kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を1.03kg、ホウ酸〔H3BO3〕を0.16kg加え、攪拌しながら90℃で2.5時間加熱して水性混合液A−1とした。
上記ニオブ原料液3.78kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水0.51kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、水性液B−1とした。
得られた水性混合液A−1を70℃に冷却した後にSiO2として30.4質量%を含有するシリカゾル8.49kgを添加した。さらにH22として30質量%を含有する過酸化水素水1.19kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。さらに、フュームドシリカ1.72kgを24.1kgの水に分散させた液を添加して原料調合液を得た。
本工程を3回繰り返して、合計約30kgの原料調合液を調製し、以下の「乾燥触媒前駆体の調製」工程及び「焼成」工程に供した。
(乾燥触媒前駆体の調製)
実施例1と同様の方法により噴霧乾燥を行い、乾燥触媒前駆体を得た。
(焼成)
実施例2と同様の方法により焼成を行い、酸化物触媒を得た。焼成工程における振動加速度は60m/s2であり、f=2.22であった。なお、BはBO1.5を形成すると仮定してMo及びSbの質量%の計算に用いた。
(触媒性能の評価)
実施例1と同様に焼成開始後48hr経過時に、焼成管出口から得られた酸化物触媒のアンモ酸化反応における性能を評価したところ、プロパン転化率90.3%、アクリロニトリル収率53.7%であった。
(実施例14)
組成式がMo10.23Nb0.086Sb0.270.025Mn0.003n/43質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水20.8kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を4.57kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を0.69kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を1.02kg加え、攪拌しながら90℃で2.5時間加熱して水性混合液A−1とした。
上記ニオブ原料液3.74kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水0.50kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、水性液B−1とした。
得られた水性混合液A−1を70℃に冷却した後にSiO2として30.4質量%を含有するシリカゾル8.49kgを添加した。さらにH22として30質量%を含有する過酸化水素水1.18kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。続いて、硝酸マンガン〔Mn(NO32・6H2O〕0.022kg、WO3として50%を含有するメタタングステン酸アンモニウム0.30kgを加え、さらに、フュームドシリカ1.72kgを24.1kgの水に分散させた液を添加して原料調合液を得た。
本工程を3回繰り返して、合計約30kgの原料調合液を調製し、以下の「乾燥触媒前駆体の調製」工程及び「焼成」工程に供した。
(乾燥触媒前駆体の調製)
実施例1と同様の方法により噴霧乾燥を行い、乾燥触媒前駆体を得た。
(焼成)
実施例2と同様の方法により焼成を行い、酸化物触媒を得た。焼成工程における振動加速度は55m/s2であり、f=2.05であった。なお、WはWO3を、MnはMnO3.5を形成すると仮定して、Mo及びSbの質量%の計算に用いた。
(触媒性能の評価)
実施例1と同様の方法により焼成開始後48hr経過時に、焼成管出口から得られた酸化物触媒のアンモ酸化反応における性能を評価したところ、プロパン転化率90.1%、アクリロニトリル収率53.6%であった。
(実施例15)
組成式がMo10.23Nb0.086Sb0.27Bi0.02Ce0.006n/43質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水21.5kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を4.58kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を0.69kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を1.02kg、硝酸ビスマス〔Bi(NO33・5H2O〕を0.25kg、硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕を0.068kg加え、攪拌しながら90℃で2.5時間加熱して水性混合液A−1とした。
上記ニオブ原料液3.74kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水0.50kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、水性液B−1とした。
得られた水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として30.4質量%を含有するシリカゾル8.49kgを添加した。さらにH22として30質量%を含有する過酸化水素水1.18kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。さらに、フュームドシリカ1.72kgを24.1kgの水に分散させた液を添加して原料調合液を得た。
本工程を3回繰り返して、合計約30kgの原料調合液を調製し、以下の「乾燥触媒前駆体の調製」工程及び「焼成」工程に供した。
(乾燥触媒前駆体の調製)
実施例1と同様の方法により噴霧乾燥を行い、乾燥触媒前駆体を得た。
(焼成)
実施例2と同様の方法により焼成を行い、酸化物触媒を得た。焼成工程における振動加速度は60m/s2であり、f=2.24であった。なお、BiはBiO1.5を、CeはCeO2を形成すると仮定して、Mo及びSbの質量%の計算に用いた。
(触媒性能の評価)
実施例1と同様に焼成開始後48hr経過時に、焼成管出口から得られた触媒のアンモ酸化反応における性能を評価したところ、プロパン転化率90.2%、アクリロニトリル収率53.5%であった。
(実施例16)
組成式がMo10.23Nb0.086Sb0.27Ti0.008Al0.01n/43質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水21.9kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を4.67kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を0.71kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を1.04kg加え、攪拌しながら90℃で2.5時間加熱して水性混合液A−1とした。
上記ニオブ原料液3.82kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水0.51kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、水性液B−1とした。
得られた水性混合物A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として30.4質量%を含有するシリカゾル8.49kgを添加した。さらにH22として30質量%を含有する過酸化水素水1.21kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。続いて、酸化チタン〔TiO2〕0.017kgを水0.19kg中で攪拌・分散させたもの、及び酸化アルミニウム〔Al23〕0.013kgを水0.38kg中で攪拌・分散させたものを添加し、さらに、フュームドシリカ1.72kgを24.1kgの水に分散させた液を添加して原料調合液を得た。
本工程を3回繰り返して、合計約30kgの原料調合液を調製し、以下の「乾燥触媒前駆体の調製」工程及び「焼成」工程に供した。
(乾燥触媒前駆体の調製)
実施例1と同様の方法により噴霧乾燥を行い、乾燥触媒前駆体を得た。
(焼成)
実施例2と同様の方法により焼成を行い、酸化物触媒を得た。焼成工程における振動加速度は52m/s2であり、f=1.91であった。なお、TiはTiO2を、AlはAlO1.5を形成すると仮定して、Mo及びSbの質量%の計算に用いた。
(触媒の収率評価)
実施例1同様に焼成開始後48hr経過時に、焼成管出口から得られた酸化物触媒のアンモ酸化反応における性能を評価をしたところ、プロパン転化率88.6%、アクリロニトリル収率53.1%であった。
(実施例17)
組成式がMo10.23Nb0.086Sb0.27Ti0.0080.05n/43質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水21.8kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を4.65kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を0.70kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を1.03kg、ホウ酸〔H3BO3〕を0.082kg加え、攪拌しながら90℃で2.5時間加熱して水性混合液A−1とした。
上記ニオブ原料液3.80kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水0.51kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、水性液B−1とした。
得られた水性混合物A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として30.4質量%を含有するシリカゾル8.49kgを添加した。さらにH22として30質量%を含有する過酸化水素水1.20kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。続いて、酸化チタン〔TiO2〕0.017kgを水0.19kg中で攪拌・分散させたものを添加し、さらに、フュームドシリカ1.72kgを24.1kgの水に分散させた液を添加して原料調合液を得た。
本工程を3回繰り返して、合計約30kgの原料調合液を調製し、以下の「乾燥触媒前駆体の調製」工程及び「焼成」工程に供した。
(乾燥触媒前駆体の調製)
実施例1と同様の方法により噴霧乾燥を行い、乾燥触媒前駆体を得た。
(焼成)
実施例2と同様の方法により焼成を行い、酸化物触媒を得た。焼成工程における振動加速度は61m/s2であり、f=2.25であった。なお、TiはTiO2を、BはBO1.5を形成すると仮定して、Mo及びSbの質量%の計算に用いた。
(触媒の性能評価)
実施例1と同様に焼成開始後48hr経過時に、焼成管出口から得られた酸化物触媒のアンモ
酸化反応における性能を評価したところ、プロパン転化率88.7%、アクリロニトリル収率53.0%であった。
(実施例18)
組成式がMo10.25Nb0.086Sb0.24Ce0.008n/43質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水24.1kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を4.72kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を0.78kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を0.93kg、硝酸セリウム〔Ce(NO33・6H2O〕を0.094kg加え、攪拌しながら90℃で2.5時間加熱して水性混合液A−1とした。
上記ニオブ原料液3.86kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水0.52kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、水性液B−1とした。
得られた水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として30.4質量%を含有するシリカゾル8.49kgを添加した。さらにH22として30質量%を含有する過酸化水素水1.09kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。さらに、フュームドシリカ1.72kgを24.1kgの水に分散させた液を添加して原料調合液を得た。
本工程を3回繰り返して、合計約30kgの原料調合液を調製し、以下の「乾燥触媒前駆体の調製」工程及び「焼成」工程に供した。
(乾燥触媒前駆体の調製)
実施例1と同様の方法により噴霧乾燥を行い、乾燥触媒前駆体を得た。
(焼成)
実施例2と同様の方法により焼成を行い、酸化物触媒を得た。焼成工程における振動加速度は58m/s2であり、f=2.16であった。なお、CeはCeO2を形成すると仮定して、Mo及びSbの質量%の計算に用いた。
(触媒性能の評価)
実施例1と同様に焼成開始後48hr経過時に、焼成管出口から得られた酸化物触媒のアンモ酸化反応における性能を評価したところ、プロパン転化率88.3%、アクリロニトリル収率53.1%であった。
(実施例19)
組成式がMo10.23Nb0.086Sb0.27n/50質量%−SiO2で示されるシリカ担持触媒を次のようにして製造した。
(原料調合液の調製)
水19.3kgにヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH46Mo724・4H2O〕を4.12kg、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4VO3〕を0.62kg、三酸化二アンチモン〔Sb23〕を0.92kg加え、攪拌しながら90℃で2.5時間加熱して水性混合液A−1とした。
上記ニオブ原料液3.37kgに、H22として30質量%を含有する過酸化水素水0.45kgを添加した。液温をおよそ20℃に維持し、攪拌混合して、水性液B−1とした。
得られた水性混合液A−1を70℃に冷却した後に、SiO2として30.4質量%を含有するシリカゾル9.05kgを添加した。さらにH22として30質量%を含有する過酸化水素水1.06kgを添加し、50℃で1時間撹拌混合した後、水性液B−1を添加した。さらに、フュームドシリカ2.25kgを31.5kgの水に分散させた液を添加して原料調合液を得た。
本工程を3回繰り返して、合計約30kgの原料調合液を調製し、以下の「乾燥触媒前駆体の調製」工程及び「焼成」工程に供した。
(乾燥触媒前駆体の調製)
実施例1と同様の方法により噴霧乾燥を行い、乾燥触媒前駆体を得た。
(焼成)
実施例2と同様の方法により焼成を行い、酸化物触媒を得た。焼成工程における振動加速度は65m/s2であり、f=2.70であった。
(触媒の収率評価)
実施例1と同様の方法により焼成開始後48hr経過時に、焼成管出口から得られた触媒のアンモ酸化反応における性能を評価をしたところ、プロパン転化率90.2%、アクリロニトリル収率53.7%であった。
実施例及び比較例の焼成工程における各条件と、得られた酸化物触媒の組成及びプロパン(PN)転化率、アクリロニトリル(AN)収率を、表1及び表2に示す。
Figure 2009262146
Figure 2009262146
上記結果から、本実施の形態の製造方法(実施例1〜19)は、焼成工程においてハンマー或いはエアノッカーを用いて、特定の関係式に従った振動加速度により焼成管に衝撃(打撃)を加えることで、焼成管内に発生する固着を顕著に低減し、その結果、優れた性能を有する触媒を、大量に、かつ、効率良く製造することが可能であった。
また、本実施の形態の製造方法により得られた酸化物触媒は、優れた触媒性能を有しているため、プロパンの気相接触アンモ酸化反応に用いることで、対応するアクリロニトリルを高収率で安定的に製造することができた。
これに対して、比較例1の製造方法は、焼成温度が触媒構成元素の金属酸化物の融点未満であるため、得られた酸化物触媒の性能が劣っていた。
また、比較例2の製造方法は、焼成工程において焼成管に加える衝撃が弱いため、焼成管の内壁に固着物が大量に付着し焼成管内への伝熱を悪化させることによって焼成温度が低下するという問題が生じた。さらに、長時間経過後には、焼成管への固着がさらに増加し、触媒の収量が大幅に減少した。比較例3の製造方法は、焼成工程において焼成管に加える衝撃が強いため、おそらく焼成管内の触媒又は触媒前駆体の流れが乱れ、所望の焼成時間、及び/又は焼成温度で焼成できないため、触媒性能が低下した。
本発明により、触媒前駆体を焼成する工程において焼成管内に発生する固着を顕著に低減することができ、その結果、優れた性能を有する触媒を、大量に、かつ、効率良く製造することが可能となる。
本発明の製造方法により得られた酸化物触媒は、優れた触媒性能を有しているため、プロパンもしくはイソブタンから、対応する不飽和カルボン酸又は不飽和ニトリル(例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル)を製造する際の酸化物触媒としての産業上利用可能性を有する。

Claims (14)

  1. Mo、Sbを含む触媒前駆体を焼成管に供給し、触媒構成元素の金属酸化物の融点以上の温度で焼成する工程を含む酸化物触媒の製造方法であって、
    前記焼成工程において前記焼成管に衝撃を加える工程を含み、
    前記衝撃を加える工程において、下記式
    f=(振動加速度)/(A+B)
    (式中、振動加速度:前記焼成管に加える衝撃の振動加速度(m/s2)、A:酸化物触媒のMoの質量%、B:酸化物触媒のSbの質量%を示す)
    により表されるfが、0.08≦f≦50を満たす酸化物触媒の製造方法。
  2. 前記fが、0.1≦f≦40を満たす請求項1記載の酸化物触媒の製造方法。
  3. 前記fが、0.2≦f≦30を満たす請求項1又は2記載の酸化物触媒の製造方法。
  4. 前記焼成工程は、前段焼成と、前記前段焼成後に行われる本焼成とを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の酸化物触媒の製造方法。
  5. 前記本焼成を550〜800℃の温度範囲で行う、請求項4記載の酸化物触媒の製造方法。
  6. 前記前段焼成を250〜400℃の温度範囲で行い、前記本焼成を580〜750℃の温度範囲で行う、請求項4又は5記載の酸化物触媒の製造方法。
  7. 前記本焼成において焼成管に衝撃を加える、請求項4〜6のいずれか1項記載の酸化物触媒の製造方法。
  8. 1秒以上1時間以下に1回の頻度で焼成管に衝撃を加える、請求項1〜7のいずれか1項記載の酸化物触媒の製造方法。
  9. 1秒以上30分以下に1回の頻度で焼成管に衝撃を加える、請求項1〜8のいずれか1項記載の酸化物触媒の製造方法。
  10. 前記焼成管を回転しながら焼成する、請求項1〜9のいずれか1項記載の酸化物触媒の製造方法。
  11. 前記焼成管に触媒前駆体を連続的に供給して、連続式焼成により焼成を行う、請求項1〜10のいずれか1項記載の酸化物触媒の製造方法。
  12. 前記酸化物触媒がMo、V、Nbを含み、Mo1原子当たりのV、Nbの原子比をそれぞれa、bとしたときに、0.1≦a≦1、0.01≦b≦1、を満たす、請求項1〜11のいずれか1項記載の酸化物触媒の製造方法。
  13. 前記酸化物触媒がシリカに担持されており、前記シリカの質量が前記酸化物触媒と前記シリカの全質量に対し、SiO2換算で10〜80質量%である、請求項1〜12のいずれか1項記載の酸化物触媒の製造方法。
  14. 請求項1〜13いずれか1項記載の製造方法により得られた酸化物触媒にプロパン又はイソブタンを接触させ、気相接触酸化又は気相接触アンモ酸化反応に供する工程を含む、不飽和酸又は不飽和ニトリルの製造方法。
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