JP2009260503A - 受光アンプ素子、光ピックアップ、およびそれを備える光ディスク記録再生装置 - Google Patents

受光アンプ素子、光ピックアップ、およびそれを備える光ディスク記録再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】受光領域が複数に分割された受光素子からの光電流を、電圧変換、加算、および増幅して、RF信号として出力する受光アンプ素子において、出力RF信号のS/Nが良好な受光アンプ素子を実現する。
【解決手段】受光アンプ素子のメインチャンネル回路1は、光電流IpdA〜IpdDを、PD400A〜400Dのアノードから抽出し、抽出した該光電流IpdA〜IpdDを加算して加算電流を生成し、該加算電流を増幅して出力する電流加算回路2と、電流加算回路2から出力された加算電流を電圧信号に変換して、RF信号VRFとして出力するRFアンプRAと、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばPD(Photo Diode:フォトダイオード)である受光素子からの光電流を、電圧信号に変換すると共に増幅(および加算)する受光アンプ素子に関するものである。特に、本発明は、光ディスク記録再生装置に備えられる光ピックアップ用素子等の、ノイズ特性および応答周波数特性等において所定の仕様が要求される受光アンプ素子に関するものである。
図2は、受光アンプ素子を備える光ディスク記録再生装置の、光学系の構成を模式的に示す図である。
図2に示す光ディスク記録再生装置は、光ディスク100の再生または光ディスク100への記録を行うべくレーザ光を光ディスク100に照射したり、光ディスク100から反射された信号光を受光したりする光ピックアップ200を備えている。
ここで、具体的に、光ピックアップ200では、以下の要領により、光ディスク100へのレーザ光の照射を行っている。
即ち、レーザ光は、光源となるレーザ201から出射される。なお、このレーザ201が出射するレーザ光の波長は、該レーザ光が出射される対象となる光ディスク100の種類によって異なり、例えば、CD(Compact Disc)への出射の場合780nm、DVD(Digital Video Disc)への出射の場合650nm、青色ディスク(いわゆる、Blu-Ray Disc)への出射の場合405nmである。レーザ201から出射されたレーザ光は、回折格子202を通過した後、コリメータレンズ203を介してビームスプリッタ204へと照射される。ビームスプリッタ204へと照射されたレーザ光は、該ビームスプリッタ204により、光ディスク100方向に反射される。このとき、ビームスプリッタ204により反射されたレーザ光は、4分の1波長板205、収差補正レンズ206、および対物レンズ207を順次介して、光ディスク100へと照射される。
こうして、光ピックアップ200では、光ディスク100へのレーザ光の照射を行っている。
一方、光ピックアップ200では、以下の要領により、光ディスク100から反射された信号光の受光を行っている。
即ち、光ディスク100にて反射された信号光は、対物レンズ207、収差補正レンズ206、4分の1波長板205、ビームスプリッタ204、およびスポットレンズ208を順次介して、受光アンプ素子209により受光される。
こうして、光ピックアップ200では、光ディスク100から反射された信号光の受光を行っている。
また、レーザ201から出射されたレーザ光は、該レーザ光を受光する受光アンプ素子210を備えた図示しないフロントモニタ(レーザパワーモニタ)により、該レーザ光の強度等がモニタされている。
ここで、上記光ディスク記録再生装置では、トラッキングサーボの代表的な方法として差動プッシュプル法が、フォーカシングサーボの代表的な方法として非点収差法がそれぞれ採用されている。
差動プッシュプル法では、レーザ201から出射されたレーザ光が、回折格子202を通過することによって、0次回折光、1次回折光、および−1次回折光という、3つのレーザ光に分割される。この分割により生成された3つのレーザ光はそれぞれ、光ディスク100の図示しない記録面で反射された後、受光領域が複数に分割された受光アンプ素子209により受光されて、光電変換が為される。そして、受光アンプ素子209は、3つのレーザ光をそれぞれ複数に分割された受光領域毎に光電変換することにより得られた複数の光電流に基づいて、トラッキング誤差信号を示す電気信号を、生成および出力する。上記光ディスク記録再生装置では、このトラッキング誤差信号により、トラッキングサーボが実施される。
また、非点収差法では、非点収差に起因してビーム形状が変化された、光ディスク100から反射された信号光を、受光領域が複数に分割された受光アンプ素子209により受光する。そして、受光アンプ素子209は、各受光領域において受光した、信号光の光量のバランスに基づいて、フォーカシング誤差信号を出力する。上記光ディスク記録再生装置では、このフォーカシング誤差信号により、フォーカシングサーボが実施される。
さらに、受光アンプ素子209は、複数に分割された上記受光領域からの光電流をそれぞれ、光電変換することで電気信号を生成する。そして、受光アンプ素子209は、生成した該電気信号を合算(加算)及び増幅した電気信号を、光ディスク100の図示しないピットから各種情報を読み出すためのRF(Radio Frequency)信号として出力する。
図7は、上記受光アンプ素子の構成を模式的に示す図である。
図7に示すとおり、上記光ディスク記録再生装置に備えられる受光アンプ素子350は、PD受光領域(受光領域)300A〜300Dを有する受光素子300、PD受光領域301A〜301Dを有する受光素子301、およびPD受光領域302A〜302Dを有する受光素子302を備える構成である。受光素子300〜302は、例えばPDである。即ち、受光アンプ素子350は、受光領域がそれぞれ4分割された、3個の受光素子300〜302を備える、いわゆる12分割受光素子の構造を有している。
例えば、受光素子300〜302のうち、中央に配された受光素子301は、メインチャンネルを構成する受光素子であり、受光素子301の両サイドに配された受光素子300、302は、サブチャンネルを構成する受光素子である。フォーカシング誤差信号およびRF信号を示す電気信号は、受光素子301のPD受光領域301A〜301Dからそれぞれ供給される信号に基づいて、所定の演算を行うことにより生成される。一方、トラッキング誤差信号は、受光素子300のPD受光領域300A〜300Dからそれぞれ供給される信号、受光素子301のPD受光領域301A〜301Dからそれぞれ供給される信号、および、受光素子302のPD受光領域302A〜302Dからそれぞれ供給される信号に基づいて、所定の演算を行うことにより生成される。
ところで、近年では、図2に示す光ピックアップ200の小型化に伴い、受光素子300〜302の出力端子数は、削減傾向にある。そして、こうした近年の傾向に伴い、受光アンプ素子350では、以下の構造が提案されている。
即ち、受光アンプ素子350内部では、受光素子300のPD受光領域300Aと受光素子302のPD受光領域302Aとが、スイッチ303Aを介して接続されている。また、受光アンプ素子350内部では、受光素子300のPD受光領域300Bと受光素子302のPD受光領域302Bとが、スイッチ303Bを介して接続されている。また、受光アンプ素子350内部では、受光素子300のPD受光領域300Cと受光素子302のPD受光領域302Cとが、スイッチ303Cを介して接続されている。さらに、受光アンプ素子350内部では、受光素子300のPD受光領域300Dと受光素子302のPD受光領域302Dとが、スイッチ303Dを介して接続されている。なお、スイッチ303A〜303Dは、自身のオン状態に、自身に接続されたPD受光領域302A〜302Dのいずれかと後述する受光アンプ回路313との間の経路を短絡し、自身のオフ状態に、該経路を開放するものである。
そして、互いに接続されたPD受光領域300AおよびPD受光領域302Aと、互いに接続されたPD受光領域300BおよびPD受光領域302Bと、互いに接続されたPD受光領域300CおよびPD受光領域302Cと、互いに接続されたPD受光領域300DおよびPD受光領域302Dと、は、それぞれ異なる受光アンプ回路313を介して、図示しない信号処理回路に接続されている。
なお、各受光アンプ回路313は、以下の構成を有している。即ち、受光アンプ回路313は、増幅器310および抵抗311、312により構成されている。増幅器310の非反転入力端は、抵抗311を介して、図示しない外部の基準電圧源(符号「Vref」参照)に接続されている。増幅器310の反転入力端は、上記互いに接続された2つのPD受光領域のいずれか、例えば互いに接続されたPD受光領域300AおよびPD受光領域302Aに接続されており、かつ、抵抗312を介して増幅器310自身の出力端に接続されている。増幅器310の出力端はさらに、上記信号処理回路に接続されている。
受光アンプ回路313は、一般的な増幅回路(いわゆる、トランスインピーダンスアンプ)を構成している。即ち、受光アンプ回路313では、上記互いに接続された2つのPD受光領域からの光電流を、電圧信号へと変換すると共に増幅して、上記信号処理回路に出力する。より具体的に、PD受光領域300AおよびPD受光領域302Aに接続された受光アンプ回路313では、PD受光領域300Aからの光電流I300Aと、PD受光領域302Aからの光電流I302Aとを、電圧信号へと変換すると共に増幅して、電圧(V300A+V302A)として、上記信号処理回路に出力する。また、PD受光領域300BおよびPD受光領域302Bに接続された受光アンプ回路313では、PD受光領域300Bからの光電流I300Bと、PD受光領域302Bからの光電流I302Bとを、電圧信号へと変換すると共に増幅して、電圧(V300B+V302B)として、上記信号処理回路に出力する。また、PD受光領域300CおよびPD受光領域302Cに接続された受光アンプ回路313では、PD受光領域300Cからの光電流I300Cと、PD受光領域302Cからの光電流I302Cとを、電圧信号へと変換すると共に増幅して、電圧(V300C+V302C)として、上記信号処理回路に出力する。そして、PD受光領域300DおよびPD受光領域302Dに接続された受光アンプ回路313では、PD受光領域300Dからの光電流I300Dと、PD受光領域302Dからの光電流I302Dとを、電圧信号へと変換すると共に増幅して、電圧(V300D+V302D)として、上記信号処理回路に出力する。
一方、受光素子301のPD受光領域301A〜301Dは、受光アンプ素子350において、それぞれ独立して接続されている。即ち、PD受光領域301A〜301Dは、それぞれ異なる受光アンプ回路323を介して、上記信号処理回路に接続されている。
なお、各受光アンプ回路323は、以下の構成を有している。即ち、受光アンプ回路323は、増幅器320および抵抗321、322により構成されている。増幅器320の非反転入力端は、抵抗321を介して、上記外部の基準電圧源に接続されている。増幅器320の反転入力端は、PD受光領域301A〜301Dのいずれかに接続されており、かつ、抵抗322を介して増幅器320自身の出力端に接続されている。増幅器320の出力端はさらに、上記信号処理回路に接続されている。
受光アンプ回路323は、受光アンプ回路313と同じく、一般的な増幅回路(いわゆる、トランスインピーダンスアンプ)を構成している。即ち、受光アンプ回路323では、PD受光領域301A〜301Dのいずれかからの光電流を、電圧信号へと変換すると共に増幅して、上記信号処理回路に出力する。PD受光領域301A〜301Dからの光電流I301A〜I301Dは、それぞれ異なる受光アンプ回路323を通過し、電圧V301A〜V301Dとして、上記信号処理回路に出力される。
トラッキング誤差信号は、上記信号処理回路において、電圧(V300A+V302A)、電圧(V300B+V302B)、電圧(V300C+V302C)、電圧(V300D+V302D)及び電圧V301A〜V301Dに基づいて生成される。
フォーカシング誤差信号は、上記信号処理回路において、電圧V301A〜V301Dに基づいて生成される。
さらに、各受光アンプ回路323の後段には、加算アンプ(RFアンプ)としての受光アンプ回路336が接続されている。
なお、受光アンプ回路336は、以下の構成を有している。即ち、受光アンプ回路336は、並列接続された抵抗330、増幅器331、周知のバイアス回路332、抵抗333、並列接続された抵抗334、および抵抗335により構成されている。並列接続された抵抗330は、各受光アンプ回路323の出力端(各増幅器320の出力端)と、増幅器331の非反転入力端との間に接続されている。増幅器331の非反転入力端はさらに、抵抗333を介してバイアス回路332に接続されている。増幅器331の反転入力端は、並列接続された抵抗334を介して上記外部の基準電圧源に接続されており、かつ、抵抗335を介して増幅器331自身の出力端に接続されている。増幅器331の出力端はさらに、上記信号処理回路に接続されている。
受光アンプ回路336は、一般的な加算回路を構成している。即ち、受光アンプ回路336では、各受光アンプ回路323の出力電圧V301A〜V301Dを加算および増幅して、電圧k(V301A+V301B+V301C+V301D)、即ち、RF信号VRFとして、上記信号処理回路に出力する。ここで、パラメータ「k」は、受光アンプ回路336の増幅率である。なお、このRF信号VRFは、上述したとおり、例えば光ディスク100(図2参照)の図示しないピットから各種情報を読み出すために用いられる信号である。
以上、図7に係る技術については、特許文献3を参照されたい。
ここからは、受光アンプ素子350の、加算アンプとしての受光アンプ回路336から出力されるRF信号VRFに含まれるノイズについて考察する。
図8は、従来技術に係る受光アンプ素子350のメインチャンネルの回路構成を示す図である。図8に示すとおり、受光アンプ素子350のメインチャンネル回路500は、従来、以下の構成を有している。
即ち、メインチャンネル回路500は、受光素子400において、図7に示すPD受光領域301A〜301Dにそれぞれ対応する受光領域として領域400A〜400D(以下、説明の便宜上「PD400A〜400D」と称する)を有している。即ち、受光領域がPD400A〜400Dに4分割されている受光素子400はいずれも、アノードが接地されている。PD400A〜400Dのカソードは、それぞれ異なるメイン前段アンプMAに接続されている。
なお、各メイン前段アンプMAは、以下の構成を有している。即ち、メイン前段アンプMAは、増幅器401、並列接続された抵抗402、およびスイッチ403により構成されている。増幅器401の非反転入力端は、上記外部の基準電圧源(符号「Vref」参照)に接続されている。増幅器401の反転入力端は、PD400A〜400Dのいずれかのカソードに接続されており、かつ、並列接続された抵抗402を介して増幅器401自身の出力端に接続されている。なお、並列接続された抵抗402と、増幅器401の出力端との間には、スイッチ403が設けられている。
また、各メイン前段アンプMAの出力端(各増幅器401の出力端)は、それぞれ異なるメイン後段アンプMBに接続されている。
なお、各メイン後段アンプMBは、以下の構成を有している。即ち、メイン後段アンプMBは、抵抗404、増幅器405、および抵抗406〜408により構成されている。メイン前段アンプMAの出力端(増幅器401の出力端)は、抵抗404を介して増幅器405の非反転入力端に接続されている。増幅器405の非反転入力端はさらに、抵抗408を介して上記外部の基準電圧源に接続されている。増幅器405の反転入力端は、抵抗406を介して上記外部の基準電圧源に接続されている。増幅器405の反転入力端はさらに、抵抗407を介して増幅器405自身の出力端に接続されている。増幅器405の出力端はさらに、上記信号処理回路に接続されている。
上記電圧V301A〜V301Dは、それぞれ異なるメイン後段アンプMBから、上記信号処理回路へと出力される。
つまり、メイン前段アンプMAおよびメイン後段アンプMBは、PD400A〜400Dからの信号(光電流)を、1つのPD毎に独立に、電圧信号に変換すると共に増幅するアンプである。
各メイン前段アンプMAと各メイン後段アンプMBの間には、加算アンプ(RFアンプ)SAが接続されている。
なお、加算アンプSAは、以下の構成を有している。即ち、加算アンプSAは、並列接続された抵抗409、増幅器410、バイアス回路411、抵抗412、並列接続された抵抗413、および抵抗414により構成されている。並列接続された抵抗409は、各メイン前段アンプMAの出力端と増幅器410の非反転入力端との間に接続されている。増幅器410の非反転入力端はさらに、抵抗412を介してバイアス回路411に接続されている。並列接続された抵抗413は、上記外部の基準電圧源と増幅器410の反転入力端との間に接続されている。増幅器410の反転入力端はさらに、抵抗414を介して増幅器410自身の出力端に接続されている。増幅器410の出力端はさらに、上記信号処理回路に接続されている。
加算アンプSAは、前段のメインアンプ、即ち、4個のメイン前段アンプMAからの出力信号を加算して出力することにより、上記RF信号VRFを出力するものである。
ここで、加算アンプSAが出力する上記RF信号VRFに含まれるノイズは、4個のメイン前段アンプMAにおいて発生したノイズの合計を、加算アンプSAの増幅率kで乗じた量となる。
ここで、4個のメイン前段アンプMAにおける入力換算雑音を、vnA(PD400Aに接続されているメイン前段アンプMA)、vnB(PD400Bに接続されているメイン前段アンプMA)、vnC(PD400Cに接続されているメイン前段アンプMA)、vnD(PD400Dに接続されているメイン前段アンプMA)とする。また、4個のメイン前段アンプMAにおけるゲイン抵抗をそれぞれRfA(PD400Aに接続されているメイン前段アンプMA)、RfB(PD400Bに接続されているメイン前段アンプMA)、RfC(PD400Cに接続されているメイン前段アンプMA)、RfD(PD400Dに接続されているメイン前段アンプMA)とする。さらに、PD400A〜400Dが出力する光電流の値をそれぞれIpdA(PD400A)、IpdB(PD400B)、IpdC(PD400C)、IpdD(PD400D)とする。
この場合、加算アンプSAの出力、即ち、RF信号VRFは、下記数式(1)のように表される。
VRF=[(IpdA×RfA+vnA)+(IpdB×RfB+vnB)+(IpdC×RfC+vnC)+(IpdD×RfD+vnD)]×k ・・・(1)
ここで、RfA=RfB=RfC=RfD=RfおよびIpdA=IpdB=IpdC=IpdD=iという関係が成立し、かつ、加算アンプSAの増幅率k=1とする場合、加算アンプSAの出力、即ち、RF信号VRFは、下記数式(2)のように表される。
VRF=4×i×Rf+(vnA+vnB+vnC+vnD) ・・・(2)
なお、ここで加算アンプSAの増幅率k=1とする理由は、応答周波数特性等とのトレードオフを考慮する必要こそあるものの、加算アンプSAの増幅率k=1とすることにより、加算アンプSAではノイズ特性が比較的良好なものとなるためである。
さらに、入力換算雑音vnA〜vnDはいずれも、発生源がランダムであるため、下記数式(3)、
Figure 2009260503
と近似することができる。
上記数式(3)を、上記数式(2)に適用することにより、加算アンプSAの出力、即ち、RF信号VRFは、下記数式(4)のように表される。
VRF=4×i×Rf+2×vn ・・・(4)
以上のことから、4個のメイン前段アンプ(単独アンプ)MAの出力信号が加算される加算アンプSAを用いた受光アンプ素子350においては、電圧信号を加算しないRFアンプを用いて信号を出力する受光アンプ素子と比較して、約2倍の雑音成分が発生するということが分かる。
このため、上記入力換算雑音の増加に起因して、4個のメイン前段アンプMAの出力信号が加算される加算アンプSAを用いた受光アンプ素子350においては、1個のメインアンプを用いて信号を出力する受光アンプ素子と比較して、RF信号VRFのノイズ特性が、常に−6dB程度悪化すると考えられる。即ち、4個のメイン前段アンプMAの出力信号が加算される加算アンプSAを用いた受光アンプ素子350においては、1個のメインアンプを用いて信号を出力する受光アンプ素子と比較して、RF信号VRFのS/N(信号対雑音比)が悪化する。
以上、図8に係る技術については、特許文献4を参照されたい。
特開平6−037556号公報(1994年2月10日公開) 特開平10−256841号公報(1998年9月25日公開) 特開2007−87459号公報(2007年4月5日公開) 特開2003−187484号公報(2003年7月4日公開) 特開平9−331080号公報(1997年12月22日公開)
上述したとおり、従来、受光領域が複数に分割された受光素子からの光電流を、電圧変換、加算、および増幅して、RF信号として出力する受光アンプ素子においては、該分割された各受光領域からの光電流がそれぞれ光電変換された電圧信号が、加算アンプで加算されているため、該加算アンプが出力するRF信号のS/Nが悪化してしまうという問題が発生していた。しかしながら、上記受光アンプ素子において、該出力RF信号のS/N悪化に係る問題を解決することができる技術は、従来提案されていなかった。
そこで、受光領域が複数に分割された受光素子からの光電流を、電圧変換、加算、および増幅して、RF信号として出力する受光アンプ素子においては、予てから、出力RF信号のS/Nの改善が望まれていた。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、受光領域が複数に分割された受光素子からの光電流を、電圧変換、加算、および増幅して、RF信号として出力する受光アンプ素子において、出力RF信号のS/Nが良好な受光アンプ素子、光ピックアップ、およびそれを備える光ディスク記録再生装置を実現することにある。
本発明に係る受光アンプ素子は、上記の問題を解決するために、受光領域が複数に分割された受光素子を有しており、上記受光領域毎に出力される光電流を、上記受光素子の一端から抽出し、増幅および電圧信号に変換して出力すると共に、上記光電流の和を示す加算電流を、増幅および電圧信号に変換して、RF信号として出力する受光アンプ素子であって、上記光電流を、上記受光素子の他端から抽出し、抽出した該光電流を加算して上記加算電流を生成し、該加算電流を増幅して出力する電流加算回路と、上記電流加算回路から出力された上記加算電流を電圧信号に変換して、RF信号として出力するRFアンプと、を備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係る受光アンプ素子では、受光素子の一端から光電流を抽出し、増幅および電圧信号に変換して出力する一方、受光素子の他端から該光電流を抽出し、抽出した該光電流を加算して加算電流を生成し、該加算電流を増幅および電圧信号に変換して、RF信号として出力することが可能となる。
受光素子の他端から抽出された光電流は、増幅および電圧信号に変換される前の段階で加算が行われるため、その後の増幅は加算機能を有していないRFアンプで充分となる。これにより、RFアンプが出力するRF信号のS/Nが悪化することを抑制することができる。
ここで従来、出力RF信号のノイズ特性悪化に係る問題を解決する手段として、例えば、特許文献1に開示されている差動形フォトダイオード出力装置では、逆バイアスしたフォトダイオードのカソードおよびアノードの両方から、同量かつ互いに極性の異なった信号電流(光電流)を取り出すことで、2倍の出力信号電流を得て、S/N(信号対雑音比)を改善している。また、特許文献2に開示されているフォトダイオード増幅回路では、フォトダイオードの出力信号電流をカレントミラーでのエミッタ面積比Nに応じてN倍に電流増幅した電流を、電流‐電圧変換して得られた電圧信号を用いることで、信号成分のレベルのみをN倍とし、S/Nの改善を図っている。
しかしながら、特許文献1、2に開示されている技術を、受光領域が複数に分割された受光素子からの光電流を、電圧変換、加算、および増幅して、RF信号として出力する受光アンプ素子に適用した場合には、加算アンプの使用が避けられないため、結果的に、上記出力RF信号のS/Nの良化に限界がある。
一方、本発明に係る受光アンプ素子では、電流加算回路にて光電流を加算して、該加算して得られた加算電流をRFアンプにて増幅および電圧信号へと変換する構成により、加算アンプそのものを省略可能であるため、出力RF信号のS/Nの良化を大幅に良化させることができる。
従って、受光領域が複数に分割された受光素子からの光電流を、電圧変換、加算、および増幅して、RF信号として出力する受光アンプ素子において、出力RF信号のS/Nが良好な受光アンプ素子を実現可能であるという効果を奏する。
また、本発明に係る受光アンプ素子は、上記受光素子は、上記一端としてアノードおよびカソードの一方を、上記他端として該アノードおよびカソードの他方を有するフォトダイオードであることを特徴としてもよい。
また、本発明に係る受光アンプ素子は、上記受光素子を複数個有しており、上記電流加算回路は、複数個の上記受光素子毎に独立して生成された上記加算電流を出力するものであることを特徴としている。
上記の構成によれば、電流加算回路は、複数個の受光素子(複数に分割された受光領域)それぞれから出力された光電流に対して、加算電流の生成および出力を行うことができると共に、該加算電流の生成および出力を各該光電流毎に独立して行うことができる。各該光電流毎に生成および出力された各加算電流は、それぞれ異なる用途に適用可能である。
また、本発明に係る受光アンプ素子は、上記受光素子の他端は、1つの出力端子により構成されていることを特徴としている。
また、本発明に係る受光アンプ素子は、上記電流加算回路は、カレントミラー回路により構成されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、電流加算回路は、一般的なカレントミラー回路により構成できるため、電流加算回路を、簡単かつ単純な構成により実現することが可能となる。
また、本発明に係る受光アンプ素子は、上記カレントミラー回路は、コレクタ(ドレイン)が上記受光素子の他端に接続されている第1トランジスタと、コレクタ(ドレイン)が上記カレントミラー回路自身の出力端子となる第2トランジスタと、を備え、上記第1トランジスタと上記第2トランジスタとのトランジスタサイズ比に応じて、上記加算電流の増幅度合が決定されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、カレントミラー回路における加算電流の増幅率は、第1トランジスタと第2トランジスタとのトランジスタサイズ比に応じて決定可能である。こうして、該トランジスタサイズ比に応じて加算電流の増幅率を決定すれば、該加算電流に含まれた雑音成分を増幅することなく、該加算電流の信号成分のみを増幅することが可能となるため、出力RF信号のS/Nをさらに良化させることが可能となる。
また、本発明に係る受光アンプ素子は、上記電流加算回路は、上記カレントミラー回路の第1トランジスタのコレクタ(ドレイン)と接地面との間に、該第1トランジスタに対して並列接続された切替回路をさらに備え、上記切替回路は、上記第1トランジスタのコレクタ(ドレイン)に上記加算電流が供給される非導通状態と、該第1トランジスタへの該加算電流の供給を遮断する導通状態と、を切り替えるものであることを特徴としている。
また、本発明に係る受光アンプ素子は、上記受光素子の一端から抽出した光電流を、電圧信号に変換して出力し、かつ、自身の利得が可変である利得可変アンプをさらに備え、上記利得可変アンプにおける利得可変制御に応じて、上記切替回路における、導通状態および非導通状態の切り替えが制御されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、光電流を加算する必要がないとき、切替回路を導通状態とすることで、電流加算回路は、該光電流の加算を実施しない。
ところで、本発明に係る受光アンプ素子を光ディスク記録再生装置に備えた場合、該受光アンプ素子がRF信号を出力する必要がある場合は、主に光ディスクから情報を読み出す場合である一方、該光ディスクへの記録を行う場合については、該RF信号を出力する必要がない。そのため、切替回路は、可変利得アンプの利得可変制御(ゲイン切り替え)に応じて、その切り替えタイミングを制御することにより、電流加算回路では、該光ディスクの再生時にのみ、加算電流を出力することができる。
また、RFアンプは、比較的高速で駆動するものであるため、光ディスクへの記録時にもRF信号を出力するように該RFアンプを駆動させると、該RFアンプ自身の発振、および、該RFアンプから出力される信号の利得可変アンプへの入力信号帰還に起因する該利得可変アンプの発振が発生する虞がある。しかしながら、本発明に係る電流加算回路では、上記利得可変制御に応じた切り替えタイミングの制御により、該光ディスクへの記録時には、加算電流の出力を停止することができるため、RFアンプの動作安定性が向上し、上記発振等による不具合が発生する虞を低減することができる。
また、本発明に係る受光アンプ素子は、上記フォトダイオードは、P型半導体材料からなるP型半導体基板と、エピタキシャル成長されたP型半導体材料からなり、上記フォトダイオード自身のアノードとなるP型エピタキシャル層と、を備え、上記P型半導体基板と上記P型エピタキシャル層との間が絶縁されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、フォトダイオードのカソードだけでなく、フォトダイオードのアノードからも電流を抽出することが可能となる。なお、上記絶縁は、該P型半導体基板と該P型エピタキシャル層との間に介在する、N型半導体材料からなるN型材料層により行われてもよいし、該P型半導体基板と該P型エピタキシャル層との間に介在する絶縁層により行われても良い。
また、本発明に係る受光アンプ素子は、上記フォトダイオードのアノードコンタクト領域が、該フォトダイオード自身の外周部分全体を覆うように形成されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、フォトダイオードのアノードの直列抵抗を低減させることができるため、RFアンプ全体の入力抵抗を低減させることができる。また、上記の構成によれば、光キャリアがフォトダイオードのアノード(アノード領域)を拡散した状態で移動する距離が短くなるため、本発明に係る受光アンプ素子では、応答速度の劣化を改善することができる。これらにより、本発明に係る受光アンプ素子では、応答周波数特性の悪化を抑制することが可能となる。
また、本発明に係る光ピックアップは、上記のいずれかの受光アンプ素子を備えていることを特徴としている。また、本発明に係る光ディスク記録再生装置は、該本発明に係る光ピックアップを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係る光ピックアップまたはそれを備えた光ディスク記録再生装置は、上述した本発明に係る受光アンプ素子を備えるため、出力RF信号のS/Nを良化させることができる。
また、本発明に係る光ディスク記録再生装置は、上記の受光アンプ素子を備えている光ピックアップを有している光ディスク記録再生装置であって、上記受光アンプ素子のRFアンプは、複数個の上記受光素子毎に独立して生成された上記加算電流のうち、1の該加算電流を変換して得られた電圧信号をRF信号として出力することを特徴としている。また、このとき、本発明に係る光ディスク記録再生装置は、1の上記加算電流を除く該加算電流を変換して得られた電圧信号が、上記光ピックアップの上記受光アンプ素子に照射されるレーザ光の、レーザスポットの位置調整に用いられているのがさらに好ましい。
上記の構成によれば、複数個の受光素子からそれぞれ出力される光電流のみをモニタしていた、即ち、従来技術に係るレーザスポットの位置調整に比べ、位置調整の精度を向上させることが可能となる。
以上のとおり、本発明に係る受光アンプ素子は、受光領域が複数に分割された受光素子を有しており、上記受光領域毎に出力される光電流を、上記受光素子の一端から抽出し、増幅および電圧信号に変換して出力すると共に、上記光電流の和を示す加算電流を、増幅および電圧信号に変換して、RF信号として出力する受光アンプ素子であって、上記光電流を、上記受光素子の他端から抽出し、抽出した該光電流を加算して上記加算電流を生成し、該加算電流を増幅して出力する電流加算回路と、上記電流加算回路から出力された上記加算電流を電圧信号に変換して、RF信号として出力するRFアンプと、を備える構成である。
従って、受光領域が複数に分割された受光素子からの光電流を、電圧変換、加算、および増幅して、RF信号として出力する受光アンプ素子において、出力RF信号のS/Nが良好な受光アンプ素子を実現可能であるという効果を奏する。
本発明の一実施の形態について、図1〜7、および図9に基づいて説明すると以下の通りである。なお、説明の便宜上、すでに図面を用いて説明した部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記してその説明を省略する。
図1は、本発明に係る受光アンプ素子のメインチャンネルの回路構成を示す図である。なお、図1に示すメインチャンネル回路1は、例えば、図8に示す従来技術に係るメインチャンネル回路500に替わり、受光アンプ素子に具備することが好適な回路である。また、メインチャンネル回路1を具備した本発明に係る受光アンプ素子は、例えば、図2に示す光ディスク記録再生装置の受光アンプ素子209として好適に用いられるものである。
図1に示すメインチャンネル回路1は、例えばPDである受光素子400、メイン前段アンプ(利得可変アンプ)MA、電流加算回路2、メイン後段アンプMB、およびRFアンプRAを備える構成である。なお、受光素子400は、図7に示すPD受光領域301A〜301Dにそれぞれ対応する受光領域として領域400A〜400D(以下、説明の便宜上「PD400A〜400D」と称する)を有している。即ち、受光素子400は、受光領域がPD400A〜400Dに4分割されているものである。
PD400A〜400Dはいずれも、アノード(他端)が電流加算回路2に接続されている。
電流加算回路2は、PD400Aのアノードから該PD400Aが出力する光電流IpdAを、PD400Bのアノードから該PD400Bが出力する光電流IpdBを、PD400Cのアノードから該PD400Cが出力する光電流IpdCを、およびPD400Dのアノードから該PD400Dが出力する光電流IpdDを、それぞれ抽出する。そして、電流加算回路2は、上記抽出した光電流IpdA〜IpdDを加算して加算電流(IpdA+IpdB+IpdC+IpdD)を生成すると共に、該加算電流(IpdA+IpdB+IpdC+IpdD)を増幅し、出力電流N(IpdA+IpdB+IpdC+IpdD)として出力する。ここで、パラメータ「N」は、電流加算回路2の電流増幅率であり、この「N」は、例えば1〜30に設定されるのが好ましい。
上記出力電流N(IpdA+IpdB+IpdC+IpdD)は、後述するRFアンプRAの増幅器10の反転入力端に入力される。
なお、電流加算回路2の具体的な回路構成については、後述する。
PD400A〜400Dのカソード(一端)は、それぞれ異なるメイン前段アンプMAに接続されている。
また、各メイン前段アンプMAの出力端(各増幅器401の出力端)は、それぞれ異なるメイン後段アンプMBに接続されている。
電圧V301A〜V301Dは、それぞれ異なるメイン後段アンプMBから、図示しない信号処理回路へと出力される。
つまり、メイン前段アンプMAおよびメイン後段アンプMBは、PD400A〜400Dからの信号(光電流)を、1つのPD毎に独立に、電圧信号に変換すると共に増幅するアンプである。
なお、各メイン前段アンプMAおよび各メイン後段アンプMBの構成および処理は、上述した図8に示す各メイン前段アンプMAおよび各メイン後段アンプMBの構成および処理と同じであるため、これらの詳細な説明については省略する。
ここで、電流加算回路2は、RFアンプRAに接続されている。
なお、RFアンプRAは、以下の構成を有している。即ち、RFアンプRAは、増幅器10、バイアス回路11、並列接続された抵抗12、抵抗13、およびスイッチ14により構成されている。電流加算回路2は、増幅器10の反転入力端に接続されている。増幅器10の反転入力端はさらに、並列接続された抵抗12を介して増幅器10自身の出力端に接続されている。増幅器10の非反転入力端は、抵抗13を介してバイアス回路11に接続されている。バイアス回路11は、RFアンプRAの基準電圧を生成するものであり、所定のレベルの電圧を増幅器10の非反転入力端に印加するものである。なお、並列接続された抵抗12と、増幅器10の出力端との間には、該並列接続された抵抗12の抵抗値を切り替えるためのスイッチ14が設けられている。
RFアンプRAは、電流加算回路2から出力された電流、即ち、上記出力電流N(IpdA+IpdB+IpdC+IpdD)が入力されると、光電変換により、該出力電流N(IpdA+IpdB+IpdC+IpdD)を、電圧信号へと変換すると共に増幅して、RF信号VRFとして、上記信号処理回路に出力する。
RFアンプRAの動作原理とメイン前段アンプMAとは、同じ動作原理となる。即ち、1つのメイン前段アンプMAが出力する信号は、光電流IpdA〜IpdDのいずれかに、帰還抵抗である抵抗402の抵抗値を乗じたレベルの信号となる。例えば、PD400Aのカソードに接続されたメイン前段アンプMAが出力する信号のレベルは、IpdA×(抵抗402の抵抗値)となる。また、RFアンプRAが出力するRF信号VRFは、出力電流N(IpdA+IpdB+IpdC+IpdD)に、帰還抵抗である、並列接続された抵抗12の抵抗値を乗じたレベルの信号となる。
この場合、RF信号VRFは、上記記号iおよびvnと、帰還抵抗である、並列接続された抵抗12の抵抗値Rfを使って表すと、下記数式(5)、
VRF=N(IpdA+IpdB+IpdC+IpdD)・Rf+vn
=4・N・i・Rf+vn ・・・(5)
となり、従来の出力、即ち、上記数式(4)と比較して、RF信号VRFの信号成分がN倍となり、同雑音成分が半分となる。
図8に示すメインチャンネル回路500を用いてRF信号VRFを出力している、従来技術に係る受光アンプ素子では、PD400A〜400Dが出力する光電流IpdA〜IpdDを、一旦複数のメイン前段アンプMAにて電圧信号に変換し、該複数のメイン前段アンプMAから出力された電圧信号を、加算アンプSAにて加算及び増幅することで、RF信号VRFを生成していた。一方、図1に示すメインチャンネル回路1を用いてRF信号VRFを出力している、本発明に係る受光アンプ素子では、複数のメイン前段アンプMAの前段に備えられた電流加算回路2でPD400A〜400Dが出力する光電流IpdA〜IpdDを加算および増幅し、該加算および増幅された電流を、単独アンプであるRFアンプRAにて電圧信号に変換することでRF信号VRFを生成する。
結果、図1に示すメインチャンネル回路1を用いてRF信号VRFを出力している、本発明に係る受光アンプ素子では、RF信号の信号成分を従来のN倍に、同雑音成分を従来の半分程度に低減することが可能となるため、該RF信号のS/Nを大幅に良化させることができる。
なお、図1に示すメインチャンネル回路1のPD400A〜400Dは、アノードが電流加算回路2に接続されており、カソードがメイン前段アンプMAに接続されているが、これに限定されない。即ち、受光素子としてのPDの構造にもよるが、本発明に係る受光アンプ素子のメインチャンネル回路では、PDのアノードがメイン前段アンプMAに接続されており、PDのカソードが電流加算回路2に接続されている構成であってもよい。
ここで、図1に示すメインチャンネル回路1のPD400A〜400Dを有する受光素子400は、図7に示す受光アンプ素子350において、メインチャンネルを構成する受光素子部分、即ち、PD受光領域301A〜301Dを有する受光素子301部分に適用されるものである。
ここで、本発明に係る受光アンプ素子では、図7に示す受光アンプ素子350において、多分割された受光領域としてPD受光領域300A〜300Dを有する受光素子300部分においても、該PD受光領域300A〜300Dに対応するPDのアノードまたはカソードが、電流加算回路2に接続されている構成であってもよい。これにより、電流加算回路2では、PD受光領域300A〜300Dから出力される光電流を抽出および加算することができる。また、本発明に係る受光アンプ素子では、図7に示す受光アンプ素子350において、多分割された受光領域としてPD受光領域302A〜302Dを有する受光素子302部分においても、該PD受光領域302A〜302Dに対応するPDのアノードまたはカソードが、電流加算回路2に接続されている構成であってもよい。これにより、電流加算回路2では、PD受光領域302A〜302Dから出力される光電流を抽出および加算することができる。
電流加算回路2により、PD受光領域300A〜300Dおよび/またはPD受光領域302A〜302Dから出力される光電流を抽出および加算する上記構成によれば、PD受光領域301A〜301Dから出力される光電流を抽出および加算した出力電流については、上記RF信号VRFを生成するための信号として好適に用いることができる。
一方、PD受光領域300A〜300Dおよび/またはPD受光領域302A〜302Dから出力される光電流を抽出および加算した出力電流については、光ピックアップ200(図2参照)の組立工程で実施される、レーザスポットの位置調整に使用する基準信号として好適に用いることができる。
ここで、上記レーザスポットの位置調整について、図2、3、7を参照して簡単に説明する。
図3は、光ピックアップにおけるレーザスポットの位置調整の様子を示す図である。
図2に示す光ピックアップ200では、回折格子202にてレーザ光が分割されて生成された、0次回折光、1次回折光、および−1次回折光がそれぞれ、受光素子300の中心部分、受光素子301の中心部分、および受光素子302の中心部分に照射されるように、組立工程で調整されている(図3参照)。なお、図3では、受光素子301に照射される光をメインビーム、受光素子300または受光素子302に照射される光をサブビームと称している。
従来、図7に示すとおり、受光アンプ素子350内部では、上述したとおり、受光素子300のPD受光領域300Aと受光素子302のPD受光領域302Aとがスイッチ303Aを介して、受光素子300のPD受光領域300Bと受光素子302のPD受光領域302Bとがスイッチ303Bを介して、受光素子300のPD受光領域300Cと受光素子302のPD受光領域302Cとがスイッチ303Cを介して、受光素子300のPD受光領域300Dと受光素子302のPD受光領域302Dとがスイッチ303Dを介して、それぞれ接続されている。
ここで、レーザスポットの位置調整時には、スイッチ303A〜303Dをオフ状態として、受光素子302のPD受光領域302A〜302Dと受光アンプ回路313との間の経路を開放することで、受光素子300のPD受光領域300A〜300Dから出力される光電流のみを受光アンプ回路313に出力する。
そして、受光素子300のPD受光領域300A〜300Dから出力される光電流IpdA〜IpdDを、各受光アンプ回路313を通じて得られた各該受光アンプ回路313の出力電圧が全て等しくなったとき、即ち、V300A=V300B=V300C=V300Dとなったとき、フォーカスからのクロストークは最小となる。このとき、上記電圧V300A〜V300Dをモニタすれば、上記レーザスポットの位置調整は、簡単に実施することができる。また、このとき、タンジェンシャル方向(図3「タンジェンシャル方向」参照)における位置調整は、上記レーザスポットの位置調整により同時に実施されている。さらに、サブビームの一方のレーザスポットの位置調整は、サブビームの他方のレーザスポットの位置を調整することにより可能である。
そして、上記調整終了後には、スイッチ303A〜303Dをオン状態として、受光素子300のPD受光領域300Aと受光素子302のPD受光領域302Aとを、受光素子300のPD受光領域300Bと受光素子302のPD受光領域302Bとを、受光素子300のPD受光領域300Cと受光素子302のPD受光領域302Cとを、受光素子300のPD受光領域300Dと受光素子302のPD受光領域302Dとを、それぞれ短絡状態とする。
これにより、トラッキング誤差信号は、PD受光領域300A〜300D、302A〜302DおよびPD受光領域301A〜301Dから得られる。
PD受光領域300A〜300Dおよび/またはPD受光領域302A〜302Dから出力される光電流を抽出および加算する上記構成によれば、該加算された電流を用いて、さらに高精度の上記レーザスポットの位置調整が可能となる。
即ち、まずは、PD受光領域300A〜300DおよびPD受光領域302A〜302Dから出力される光電流をそれぞれ加算した電流を、それぞれモニタすることで、2つのサブビームの、上記タンジェンシャル方向の位置調整を実施する。そして、その後は、上述したとおり、受光素子300のPD受光領域300A〜300Dから出力される光電流を用いて、即ち、スイッチ303A〜303Dをオフ状態として、回転方向(図3「+θ回転」参照)の位置調整を行う。
こうして、レーザスポットの位置調整を実施することで、受光素子300のPD受光領域300A〜300Dから出力される光電流のみをモニタしていた、即ち、一方のサブビームのみモニタしていた、従来のレーザスポットの位置調整方法に比べ、位置調整の精度を向上させることが可能となる。
ここからは、電流加算回路2の具体的な回路構成について、図4、5を参照して説明する。
図4は、電流加算回路2の一構成例を示す図である。また、図5は、電流加算回路2の別の構成例を示す図である。
図4に示す電流加算回路21は、トランジスタ(第1トランジスタ)Q61、トランジスタ(第2トランジスタ)Q62を備える構成である。なお、図4では、電流加算回路21とPD400A〜400Dとの接続関係を明確に図示するために、PD400A〜400Dをさらに図示しているが、厳密に言えば、PD400A〜400Dは、電流加算回路21を構成する部材でない。トランジスタQ61は、コレクタがPD400A〜400Dのアノードに接続され、エミッタが接地面gndに接地されており、ベースがトランジスタQ61自身のコレクタおよびトランジスタQ62のベースに接続されている。トランジスタQ62は、コレクタが電流加算回路21の出力端子として図1に示すRFアンプRAの増幅器10の反転入力端に接続され、エミッタが接地面gndに接地されている。なお、図4および図5では、PD400A〜400DとトランジスタQ61との間のノードを「Q」と称している。また、PD400A〜400Dは、アノードが互いに共通化されている。即ち、PD400A〜400Dの出力端子は、上記ノード「Q」部分の1つのみとなる。
トランジスタQ61、Q62は、一般的なカレントミラー回路を構成している。つまり、PD400A〜400Dが出力する光電流の和である電流(IpdA+IpdB+IpdC+IpdD)が、基準電流としてトランジスタQ61のコレクタに入力されると、電流加算回路21は、該基準電流に正確に追従する電流N(IpdA+IpdB+IpdC+IpdD)を、トランジスタQ62のコレクタから出力することができる。
また、図5に示す電流加算回路22は、図4に示す電流加算回路21の構成において、トランジスタQ61のコレクタと接地面gndとの間に、バイパススイッチ(切替回路)63をさらに備える構成である。なお、図5では、電流加算回路22とPD400A〜400Dとの接続関係を明確に図示するために、PD400A〜400Dをさらに図示しているが、厳密に言えば、PD400A〜400Dは、電流加算回路22を構成する部材でない。
バイパススイッチ63は、例えばc接点動作を行うスイッチが用いられるがこれに限定されず、自身のオンオフを切り替えることで、トランジスタQ61のコレクタと接地面gndとの短絡状態および開放状態を切り替えることが可能なスイッチでさえあれば、周知のいかなるスイッチをも使用可能である。バイパススイッチ63がオフ状態(非導通状態)のとき、トランジスタQ61のコレクタと接地面gndとは開放され、トランジスタQ61のコレクタに加算電流(IpdA+IpdB+IpdC+IpdD)が供給されるため、図5に示す電流加算回路22は、図4に示す電流加算回路21と同じ動作を行う。一方、バイパススイッチ63がオン状態(導通状態)のとき、トランジスタQ61のコレクタと接地面gndとは短絡され、図5に示す電流加算回路22は、PD400A〜400Dのアノードが接地面gndに接地される構成となるため、トランジスタQ61のコレクタへの加算電流(IpdA+IpdB+IpdC+IpdD)の供給が遮断され、結果、電流加算回路としての機能自体が停止される。
図5に示す電流加算回路22の構成によれば、PD400A〜400Dが出力する光電流IpdA〜IpdDを加算する必要がないとき、バイパススイッチ63をオン状態とすることで、電流加算回路22は、該光電流IpdA〜IpdDの加算を実施しない。
本発明に係る受光アンプ素子がRF信号VRFを出力する必要がある場合は、主に光ディスクから情報を読み出す場合であるが、該光ディスクへの記録を行う場合については、該RF信号VRFを出力する必要がない。そのため、バイパススイッチ63は、メイン前段アンプMAのゲイン切り替え、即ち、スイッチ403の切り替えと連動するように、その切り替えタイミングを制御することにより、電流加算回路22では、該光ディスクの再生時にのみ、出力電流N(IpdA+IpdB+IpdC+IpdD)を出力することができる。また、RFアンプRA(図1参照)は、比較的高速で駆動するものであるため、光ディスクへの記録時にもRF信号VRFを出力するように該RFアンプRAを駆動させると、該RFアンプRA自身の発振、および、該RFアンプRAから出力される信号のメイン前段アンプMAへの入力信号帰還に起因する該メイン前段アンプMAの発振等の不具合が発生する虞がある。しかしながら、電流加算回路22では、上記切り替えタイミングの制御により、該光ディスクへの記録時には、出力電流N(IpdA+IpdB+IpdC+IpdD)の出力を停止することができるため、RFアンプRAの動作安定性が向上し、上記発振等の不具合が発生する虞を低減することができる。
ここで、パラメータ「N」は、電流加算回路2、つまり、電流加算回路21または電流加算回路22の電流増幅率である。このパラメータ「N」は、トランジスタQ61とトランジスタQ62とのサイズ比により、即ち、トランジスタQ62のサイズをトランジスタQ61のサイズのN倍とすることにより、適宜設定することが可能である。これにより、RF信号VRFは、信号成分のレベルのみがN倍に増幅されるため、S/Nをさらに改善することができる。
電流加算回路21または電流加算回路22の構成によれば、図1に示す電流加算回路2を、簡単かつ単純な回路構成により実現することが可能となる。
なお、図4に示す電流加算回路21および図5に示す電流加算回路22はいずれも、トランジスタQ61および/またはトランジスタQ62として、NPN型のバイポーラトランジスタを備える構成であるが、これに限定されない。即ち、トランジスタQ61および/またはトランジスタQ62は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のMOS(Metal Oxide Semiconductor)電界効果トランジスタであってもよい。トランジスタQ61および/またはトランジスタQ62として、MOS電界効果トランジスタを用いた場合は、NPN型のバイポーラトランジスタを用いた場合において、ベースがMOS電界効果トランジスタのゲートに、エミッタがMOS電界効果トランジスタのソースに、コレクタがMOS電界効果トランジスタのドレインに、それぞれ置換可能である。
ここからは、PD受光領域301A〜301Dを有している受光素子301(即ち、PD400A〜400Dを有している受光素子400)として用いられるPDの具体的な構造について、図6および図9を参照して説明する。
図6(a)は、従来技術に係るPDの構造を示す断面図である。図6(b)は、本発明に係るPDの一構造例を示す断面図である。図6(c)は、本発明に係るPDの別の構造例を示す断面図である。
なお、図6(a)〜(c)に示すPD600、PD610、およびPD620はいずれも、図9に示す受光素子301の平面図の、90A−90A線、もしくは、90B−90B線における断面の構造を、詳細に図示した図である。
ここで、図9に示すとおり、受光素子301のアノード電極(アノードコンタクト領域)91は、受光素子301自身の外周部分全体を覆うように形成されているのが好ましい。これにより、受光素子301では、アノード電極91の直列抵抗値を低減させることが可能となるため、本発明に係る受光アンプ素子では、RFアンプRA(図1参照)の入力抵抗を低減させることが可能となる。結果、本発明に係る受光アンプ素子では、ノイズ特性および応答周波数特性等の悪化を抑制することができる。なお、図9に示す受光素子301のアノード電極91は、後述する、図6(a)に示すPD600のアノード電極604、図6(b)、(c)に示すPD610、620のアノード電極616に対応するものである。
また、図9に図示されている参照符号92A〜92Dの部材は、受光素子301のカソード電極である。このカソード電極92A〜92Dはそれぞれ、後述する、図6(a)に示すPD600のカソード電極605A〜605D、図6(b)、(c)に示すPD610、620のカソード電極617A〜617Dに対応するものである。
図6(a)に示すPD600は、P型半導体基板601、P型エピタキシャル層602、N+材料(N型不純物)層603A、603B、アノード電極604、カソード電極605A〜605D、トレンチ606、およびN型エピタキシャル層607を備える構成である。
P型半導体基板601は、PD600の最下層に設けられている。このP型半導体基板601は、P型エピタキシャル層602およびN型エピタキシャル層607を貫通するように2箇所突出しており、該突出している箇所は、その上端部分が露出している。該露出している上端部分は、アノード電極604と電気的に接続されている。
P型エピタキシャル層602は、P型半導体基板601上に積層されているが、上述したとおり、P型半導体基板601の上記突出している箇所が貫通した状態で、P型半導体基板601上に積層されている。また、P型エピタキシャル層602は、N+材料層603AとN+材料層603Bとに挟まれた部分において、N型エピタキシャル層607を貫通するように1箇所突出している。
N+材料層603A、603Bは、P型エピタキシャル層602上に積層されているが、P型エピタキシャル層602の上記突出している箇所の両側にそれぞれ設けられている。N+材料層603A、603Bはいずれも、その上端部分に露出している部分を有しており、該露出している部分はそれぞれ、カソード電極605A〜605Dと電気的に接続されている。
トレンチ606は、P型半導体基板601の上記突出している箇所近傍に、P型エピタキシャル層602およびN型エピタキシャル層607に形成されている。
図6(a)に示すPD600が、図9に示す受光素子301の、90A−90A線における断面を図示した図であるとする場合、図6(a)に示すカソード電極605Aは、PD400A(図1参照)のカソードの役割を果たし、図6(a)に示すカソード電極605Bは、PD400B(図1参照)のカソードの役割を果たす。つまり、この場合、図6(a)に示すPD600は、カソード電極605Aから光電流IpdAを、カソード電極605Bから光電流IpdBを、それぞれ出力することができる構造である。
図6(a)に示すPD600が、図9に示す受光素子301の、90B−90B線における断面を図示した図であるとする場合、図6(a)に示すカソード電極605Cは、PD400C(図1参照)のカソードの役割を果たし、図6(a)に示すカソード電極605Dは、PD400D(図1参照)のカソードの役割を果たす。つまり、この場合、図6(a)に示すPD600は、カソード電極605Cから光電流IpdCを、カソード電極605Dから光電流IpdDを、それぞれ出力することができる構造である。
一方、図6(a)に示すPD600は、アノード電極604が、PD400A〜400D(図1参照)のアノードの役割を果たしている。アノード電極604は、該PD400A〜400Dを有する受光素子400(図1参照)の外周部分を覆うように形成されている。しかしながら、図6(a)に示すPD600のアノード電極604は、接地面gndに接地されているため、アノード電極604から光電流のみを出力することはできない。
図6(b)に示すPD610は、P型半導体基板611、N型材料層612、P型材料層613、P型エピタキシャル層614、N+材料層615A、615B、アノード電極616、カソード電極617A〜617D、トレンチ618A、618B、およびN型エピタキシャル層619を備える構成である。
P型半導体基板611は、P型半導体材料からなり、PD610の最下層に設けられている。なお、P型半導体材料に添加する不純物としては例えば、ホウ素が使用される。
N型材料層612は、N型半導体材料からなり、P型半導体基板611上に積層されている。なお、N型半導体材料に添加する不純物としては例えば、ヒ素またはアンチモンが使用される。
P型材料層613は、上記P型半導体材料からなり、N型材料層612上に積層されている。このP型材料層613は、P型エピタキシャル層614およびN型エピタキシャル層619を貫通するように2箇所突出しており、該突出している箇所は、その上端部分が露出している。該露出している上端部分は、アノード電極616と電気的に接続されているため、P型材料層613は、PD610のアノードとなる。
エピタキシャル成長された上記P型半導体材料からなるP型エピタキシャル層614は、P型材料層613上に積層されているが、上述したとおり、P型材料層613の上記突出している箇所が貫通した状態で、P型材料層613上に積層されている。また、P型エピタキシャル層614は、N+材料層615AとN+材料層615Bとに挟まれた部分において、エピタキシャル成長された上記N型半導体材料からなるN型エピタキシャル層619を貫通するように1箇所突出している。
N+材料層615A、615Bは、P型エピタキシャル層614上に積層されているが、P型エピタキシャル層614の上記突出している箇所の両側にそれぞれ設けられている。N+材料層615A、615Bはいずれも、その上端部分に露出している部分を有しており、該露出している部分はそれぞれ、カソード電極617A(またはカソード電極617D)、617B(またはカソード電極617C)と電気的に接続されている。
トレンチ618Aは、P型材料層613の上記突出している箇所近傍に、P型エピタキシャル層614およびN型エピタキシャル層619に形成されている。トレンチ618Bは、P型材料層613の上記突出している箇所近傍に、P型エピタキシャル層614、N型エピタキシャル層619、およびP型材料層613に形成されている。
図6(b)に示すPD610が、図9に示す受光素子301の、90A−90A線における断面を図示した図であるとする場合、図6(b)に示すカソード電極617Aは、PD400A(図1参照)のカソードの役割を果たし、図6(b)に示すカソード電極617Bは、PD400B(図1参照)のカソードの役割を果たす。つまり、この場合、図6(b)に示すPD610は、カソード電極617Aから光電流IpdAを、カソード電極617Bから光電流IpdBを、それぞれ出力することができる構造である。
図6(b)に示すPD600が、図9に示す受光素子301の、90B−90B線における断面を図示した図であるとする場合、図6(b)に示すカソード電極617Cは、PD400C(図1参照)のカソードの役割を果たし、図6(b)に示すカソード電極617Dは、PD400D(図1参照)のカソードの役割を果たす。つまり、この場合、図6(b)に示すPD610は、カソード電極617Cから光電流IpdCを、カソード電極617Dから光電流IpdDを、それぞれ出力することができる構造である。
一方、図6(b)に示すPD610は、アノード電極616が、PD400A〜400D(図1参照)のアノードの役割を果たしている。図6(b)に示すPD610のアノード電極616から引き出された配線にある点「Q」は、図4、5に示す、PD400A〜400DとトランジスタQ61との間のノード「Q」となる。そのため、アノード電極616からは、光電流IpdA〜IpdDの加算電流を出力することが可能となる。
なお、上述した、カソード電極617A〜617Dおよびアノード電極616の役割は、後述する図6(c)に示すPD620においても同じである。
また、図6(c)に示すPD620は、図6(b)に示すPD610の構造において、P型半導体基板611は、PD620の最下層に設けられており、かつ、N型材料層612のかわりに、酸化シリコン層(絶縁層)621が設けられている。なお、図6(c)に示すPD620では、絶縁層の材料として酸化シリコンを用いているが、これに限定されない。即ち、絶縁層の材料としては、酸化シリコン以外にも、窒化シリコン等の絶縁材料を用いることができる。
図6(b)に示すPD610および図6(c)に示すPD620に共通する構造は、P型半導体基板611とP型エピタキシャル層614との間が絶縁(好ましくは、離間)されている構造である。こうした構造により、アノード電極616からは、光電流IpdA〜IpdDを出力することが可能となる。
なお、図6(b)に示すPD610および図6(c)に示すPD620ではいずれも、最下層に設けられた半導体基板がP型材料で形成されたP型半導体基板611である。ここで、最下層に設けられた半導体基板がN型材料で形成されたN型半導体基板であれば、アノードがメイン前段アンプMA(図1参照)に接続され、カソードが電流加算回路に接続されるPDを実現することが可能である。
以上に説明した構成を有する、本発明に係る受光アンプ素子は、図2に示す光ディスク記録再生装置(本発明に係る光ディスク記録再生装置)の光ピックアップ200に設けられた受光アンプ素子209として好適に用いることができる。これにより、本発明に係る光ディスク記録再生装置では、出力RF信号のS/Nが良好な光ディスク記録再生装置を実現することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、受光素子からの光電流を、電圧信号に変換すると共に増幅(および加算)する受光アンプ素子に好適に用いることができる。特に、本発明は、光ディスク記録再生装置に備えられる光ピックアップ用素子等の、ノイズ特性および応答周波数特性等において所定の仕様が要求される受光アンプ素子に好適に用いることができる。
本発明に係る受光アンプ素子のメインチャンネルの回路構成を示す図である。 受光アンプ素子を備える光ディスク記録再生装置の、光学系の構成を模式的に示す図である。 光ピックアップにおけるレーザスポットの位置調整の様子を示す図である。 本発明に係る電流加算回路の一構成例を示す回路図である。 本発明に係る電流加算回路の別の構成例を示す回路図である。 図6(a)は、従来技術に係るPDの構造を示す断面図であり、図6(b)は、本発明に係るPDの一構造例を示す断面図であり、図6(c)は、本発明に係るPDの別の構造例を示す断面図である。 図2に示す受光アンプ素子の構成を模式的に示す図である。 従来技術に係る受光アンプ素子のメインチャンネルの回路構成を示す図である。 図6(a)〜図6(c)に示すPDを示す平面図である。
符号の説明
1 メインチャンネル回路
2、21、22 電流加算回路
63 バイパススイッチ(切替回路)
91、616 アノード電極(アノードコンタクト領域)
92A〜92D、617A〜617D カソード電極
100 光ディスク
200 光ピックアップ
201 レーザ
202 回折格子
203 コリメータレンズ
204 ビームスプリッタ
205 4分の1波長板
206 収差補正レンズ
207 対物レンズ
208 スポットレンズ
209、210、350 受光アンプ素子
300A〜300D、301A〜301D、302A〜302D
PD受光領域(受光領域)
300〜302、400 受光素子
400A〜400D PD(受光素子400の受光領域)
610、620 PD
313、323、336 受光アンプ回路
611 P型半導体基板
612 N型材料層
613 P型材料層
614 P型エピタキシャル層
615A、615B N+材料層
618A、618B トレンチ
619 N型エピタキシャル層
621 酸化シリコン層(絶縁層)
gnd 接地面
MA メイン前段アンプ(利得可変アンプ)
MB メイン後段アンプ
Q61 トランジスタ(第1トランジスタ)
Q62 トランジスタ(第2トランジスタ)
RA RFアンプ

Claims (16)

  1. 受光領域が複数に分割された受光素子を有しており、
    上記受光領域毎に出力される光電流を、上記受光素子の一端から抽出し、増幅および電圧信号に変換して出力すると共に、
    上記光電流の和を示す加算電流を、増幅および電圧信号に変換して、RF信号として出力する受光アンプ素子であって、
    上記光電流を、上記受光素子の他端から抽出し、抽出した該光電流を加算して上記加算電流を生成し、該加算電流を増幅して出力する電流加算回路と、
    上記電流加算回路から出力された上記加算電流を電圧信号に変換して、RF信号として出力するRFアンプと、を備えることを特徴とする受光アンプ素子。
  2. 上記受光素子は、上記一端としてアノードおよびカソードの一方を、上記他端として該アノードおよびカソードの他方を有するフォトダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の受光アンプ素子。
  3. 上記受光素子を複数個有しており、
    上記電流加算回路は、複数個の上記受光素子毎に独立して、上記加算電流を生成し、該加算電流を増幅して出力するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の受光アンプ素子。
  4. 上記受光素子の他端は、1つの出力端子により構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の受光アンプ素子。
  5. 上記電流加算回路は、カレントミラー回路により構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の受光アンプ素子。
  6. 上記カレントミラー回路は、
    コレクタ(ドレイン)が上記受光素子の他端に接続されている第1トランジスタと、コレクタ(ドレイン)が上記カレントミラー回路自身の出力端子となる第2トランジスタと、を備え、
    上記第1トランジスタと上記第2トランジスタとのトランジスタサイズ比に応じて、上記加算電流の増幅度合が決定されていることを特徴とする請求項5に記載の受光アンプ素子。
  7. 上記電流加算回路は、上記カレントミラー回路の第1トランジスタのコレクタ(ドレイン)と接地面との間に、該第1トランジスタに対して並列接続された切替回路をさらに備え、
    上記切替回路は、上記第1トランジスタのコレクタ(ドレイン)に上記加算電流が供給される非導通状態と、該第1トランジスタへの該加算電流の供給を遮断する導通状態と、を切り替えるものであることを特徴とする請求項6に記載の受光アンプ素子。
  8. 上記受光素子の一端から抽出した光電流を、電圧信号に変換して出力し、かつ、自身の利得が可変である利得可変アンプをさらに備え、
    上記利得可変アンプにおける利得可変制御に応じて、上記切替回路における、導通状態および非導通状態の切り替えが制御されていることを特徴とする請求項7に記載の受光アンプ素子。
  9. 上記フォトダイオードは、
    P型半導体材料からなるP型半導体基板と、
    エピタキシャル成長されたP型半導体材料からなり、上記フォトダイオード自身のアノードとなるP型エピタキシャル層と、を備え、
    上記P型半導体基板と上記P型エピタキシャル層との間が絶縁されていることを特徴とする請求項2に記載の受光アンプ素子。
  10. 上記P型半導体基板と上記P型エピタキシャル層との間は、該P型半導体基板と該P型エピタキシャル層との間に介在する、N型半導体材料からなるN型材料層により絶縁されていることを特徴とする請求項9に記載の受光アンプ素子。
  11. 上記P型半導体基板と上記P型エピタキシャル層との間は、該P型半導体基板と該P型エピタキシャル層との間に介在する絶縁層により絶縁されていることを特徴とする請求項9に記載の受光アンプ素子。
  12. 上記フォトダイオードのアノードコンタクト領域が、該フォトダイオード自身の外周部分全体を覆うように形成されていることを特徴とする請求項2、9〜11のいずれか1項に記載の受光アンプ素子。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の受光アンプ素子を備えていることを特徴とする光ピックアップ。
  14. 請求項13に記載の光ピックアップを備えていることを特徴とする光ディスク記録再生装置。
  15. 請求項3に記載の受光アンプ素子を備えている光ピックアップを有している光ディスク記録再生装置であって、
    上記受光アンプ素子のRFアンプは、複数個の上記受光素子毎に独立して生成された上記加算電流のうち、1の該加算電流を変換して得られた電圧信号をRF信号として出力することを特徴とする光ディスク記録再生装置。
  16. 1の上記加算電流を除く該加算電流を変換して得られた電圧信号が、上記光ピックアップの上記受光アンプ素子に照射されるレーザ光の、レーザスポットの位置調整に用いられていることを特徴とする請求項15に記載の光ディスク記録再生装置。
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