JP2009257137A - 内燃機関の油中希釈燃料分離装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本装置1は、オイル貯留部(オイルパン5)と、オイル貯留部と被潤滑部とを連絡するオイル通路7と、オイル通路に設けられ且つオイル貯留部の潤滑オイルを被潤滑部に供給するオイルポンプ8と、その一端側がオイル通路のオイルポンプの下流側に接続され且つその他端側がオイルポンプの上流側に接続されているバイパス通路9と、バイパス通路に設けられ且つバイパス通路を流れる潤滑オイル中に含まれる燃料を分離する燃料分離手段(燃料分離器10)と、バイパス通路に設けられ且つバイパス通路を潤滑オイルの温度又は該温度と相関関係を持つ物理量に基づいて開閉する開閉弁20と、を備える。
【選択図】図1
Description
上記特許文献1には、内燃機関のオイル回路の途中にオイルヒータを設け、このヒータによりオイル回路を流れる潤滑オイルを加熱して燃料を気化分離することが開示されている。
また、上記特許文献2には、オイルパンの底部にヒータを設け、このヒータによりオイルパン内の潤滑オイルを加熱して燃料を気化分離することが開示されている。
特に、上記特許文献1では、オイルパンとエンジンの被潤滑部とを連絡するオイル通路又はこのオイル通路に設けられたバイパス通路を通る比較的大量の潤滑オイルをヒータで加熱しているので、上述の問題が顕著なものとなる。また、上記特許文献2では、オイルパン内の全オイルを加熱しているので、上述の問題が極めて顕著なものとなる。
1.内燃機関の潤滑オイルを貯留するオイル貯留部と、
前記オイル貯留部と前記内燃機関の被潤滑部とを連絡するオイル通路と、
前記オイル通路に設けられ且つ前記オイル貯留部の潤滑オイルを前記内燃機関の被潤滑部に供給するオイルポンプと、
その一端側が前記オイル通路の前記オイルポンプの下流側に接続され且つその他端側が前記オイルポンプの上流側に接続されているバイパス通路と、
前記バイパス通路に設けられ且つ該バイパス通路を流れる潤滑オイル中に含まれる燃料を分離する燃料分離手段と、
前記バイパス通路に設けられ且つ該バイパス通路を潤滑オイルの温度又は該温度と相関関係を持つ物理量に基づいて開閉する開閉弁と、を備えることを特徴とする内燃機関の油中希釈燃料分離装置。
2.前記燃料分離手段は、前記バイパス通路を流れる潤滑オイル中に含まれる燃料を透過させて分離する分離膜部を有するクロスフロー濾過方式の燃料分離器である上記1.記載の内燃機関の油中希釈燃料分離装置。
3.前記バイパス通路の他端側は、前記オイル通路の前記オイルポンプの上流側に接続されている上記1.又は2.に記載の内燃機関の油中希釈燃料分離装置。
4.前記バイパス通路の他端側は、前記オイル貯留部に接続されている上記1.又は2.に記載の内燃機関の油中希釈燃料分離装置。
また、前記燃料分離手段が、潤滑オイル中に含まれる燃料を透過させて分離する分離膜部を有するクロスフロー濾過方式の燃料分離器である場合は、潤滑オイルを高温加熱する必要がないため、オイルの劣化をより確実に抑制して燃料を分離することができる。また、クロスフロー濾過方式であるため、分離膜部の表面に潤滑オイル中のスラッジ等の異物が堆積し難く分離膜部の分離能力の低下を抑制することができる。
また、前記バイパス通路の他端側が、前記オイル通路の前記オイルポンプの上流側に接続されている場合は、潤滑オイルの低温時に、バイパス通路を流れる燃料分離後のある程度勢いのある潤滑オイルがオイル通路のオイルポンプの上流側に戻されるため、内燃機関のフリクションを低減させることができる。
さらに、前記バイパス通路の他端側が、前記オイル貯留部に接続されている場合は、潤滑オイルの低温時に、燃料分離された潤滑オイルがオイル貯留部に戻されてオイル貯留部内の燃料分離前の大量の潤滑オイルに混ぜられる。これにより、オイル通路には、燃料成分を比較的多く含む潤滑オイルが流れることとなり、燃料の分離効率を高めることができる。
本実施形態1.に係る内燃機関の油中希釈燃料分離装置は、以下に述べるオイル貯留部、オイル通路、オイルポンプ、バイパス通路、燃料分離手段及び開閉弁を備えている。
上記バイパス通路の他端側の接続形態としては、例えば、(1)上記バイパス通路の他端側がオイル通路のオイルポンプの上流側に接続されている形態(図1参照)、(2)上記バイパス通路の他端側がオイル貯留部に接続されている形態(図8参照)等を挙げることができる。
なお、上記「クロスフロー濾過方式」とは、流れの一部が濾材を通過する濾過方式を意味する。
上記(2)形態では、例えば、分離器本体の内周面側にオイル中に含まれる比重の大きな金属粉等の異物を捕集する捕集部を設けることができる。これにより、分離後の燃料への異物の混入を抑制できる。
上記分離部材、支持体部及び分離膜部の形状、材質、個数等は、分離するオイルの流量等に応じて適宜選択される。上記分離膜部の厚さは、例えば、1〜1000μm(好ましくは10〜20μm)であることができる。また、上記分離部材、支持体部及び分離膜部の材質としては、例えば、セラミック、樹脂、ゴム等を挙げることができる。
上記開閉弁は、例えば、上記バイパス通路の燃料分離手段の下流側に設けられていてもよいが、上記開閉弁がバイパス通路の燃料分離手段の上流側に設けられていることが好ましい。閉鎖状態のバイパス通路内の残存オイルを最小限又は略零として、潤滑オイルの必要な油量をより確保し易いためである。
上記開閉弁としては、例えば、(1)バネ等の弾性体によりバイパス通路を閉鎖する位置に付勢され且つバイパス通路に流入する潤滑オイルの圧力が所定の設定値(例えば、375〜425kPaのうちの任意の数値等)を超えたときにその潤滑オイルの圧力によりバイパス通路を開放するように変位される弁体を備える形態、(2)バイパス通路に流入される潤滑オイルの温度が所定の設定値(例えば、40〜60℃のうちの任意の数値等)を超えたときにバイパス通路を閉鎖し且つ所定の設定値以下のときにバイパス通路を開放するサーモスタットである形態、(3)潤滑オイルの温度を検出する検出センサの検出結果に基づいて開閉制御される電磁弁である形態、(4)上記物理量を検出する検出センサの検出結果に基づいて開閉制御される電磁弁である形態等を挙げることができる。これらのうち、より簡易に構成できるといった観点から、上記(1)形態であることが好ましい。また、より正確な温度で制御できるといった観点から、上記(2)(3)形態であることが好ましい。
上記気液分離器の種類としては、例えば、遠心分離式、チャンバ式等を挙げることができる。
上記燃料捕集手段としては、例えば、その内部に粒状活性炭等の吸着材を充填してなるキャニスタ、活性炭等の吸着材ハニカム構造体からなるキャニスタ等を挙げることができる。
上述の形態の場合、例えば、上記油中希釈燃料分離装置は、上記気液分離器の液体成分排出部と内燃機関の燃料タンクとを連絡する燃料戻し通路を更に備えることができる。これにより、燃料戻し通路を介して気液分離器で気液分離された燃料の液体成分を燃料タンクに戻して、燃費を向上させることができる。
なお、本実施例では、本発明に係る「内燃機関」として、燃焼室内に燃料噴射弁が配置され気筒内周面に直接燃料を噴射する直噴式エンジンを例示する。
本実施例に係る油中希釈燃料分離装置1は、図1に示すように、エンジン2のオイル回路3の途中に設けられている。このエンジン2の本体2aの下部には、潤滑オイルを貯留するオイルパン5(本発明に係る「オイル貯留部」として例示する。)が設けられている。このオイルパン5内には周知のオイルストレーナ6が配設されている。このオイルストレーナ6とエンジン2の各被潤滑部(図示省略)とは、オイル回路3を構成するオイル通路7を介して連絡されている。このオイル通路7の途中には、エンジン2の駆動力により作動されオイルパン5内の潤滑オイルを各被潤滑部に圧送するオイルポンプ8が設けられている。
次に、上記構成の油中希釈燃料分離装置1の作用について説明する。
なお、本実施例では、直噴式エンジン2を採用しているので、気筒内周面に付着した燃料が潤滑オイルに混ざりオイルパン5内の潤滑オイルが希釈され易い。特に、潤滑オイルの低温時(例えば、50℃以下)には潤滑オイル中の燃料の気化がほとんどなく希釈燃料が比較的多い状態となる。一方、潤滑オイルの高温時(例えば、130℃)には潤滑オイル中の大部分の燃料が気化されて希釈燃料が比較的少ない状態となる。
以上より、本実施例によると、潤滑オイルの低温時(即ち、潤滑オイルの高圧時)には、開閉弁20によりバイパス通路9が開放され、オイルポンプ8の作用でオイル通路7を流れる潤滑オイルのうちの一部がバイパス通路9を流れて、燃料分離器10によりその潤滑オイル中に含まれる燃料が分離される。一方、潤滑オイルの高温時(即ち、潤滑オイルの低圧時)には、開閉弁20によりバイパス通路9が閉鎖され、オイルポンプ8の作用でオイル通路7を流れる潤滑オイルの全部がエンジン2の各被潤滑部に供給される。このように、潤滑オイルの低温時の燃料希釈が比較的多いときに、オイル通路7から分岐してバイパス通路9を流れる比較的少量の潤滑オイル中の燃料を分離するようにしたので、オイルの劣化を抑制しつつ燃料を分離することができる。また、大量の燃料成分がブローバイガス還元されないため、吸気側の空燃比の安定した制御を図ることができる。さらに、潤滑オイルの高温時の燃料希釈が比較的少ないときに、潤滑オイルをバイパス通路9に分岐させずにオイル通路7のみを流すようにしたので、潤滑オイルの必要な油圧を確保して円滑に流通させることができる。
Claims (4)
- 内燃機関の潤滑オイルを貯留するオイル貯留部と、
前記オイル貯留部と前記内燃機関の被潤滑部とを連絡するオイル通路と、
前記オイル通路に設けられ且つ前記オイル貯留部の潤滑オイルを前記内燃機関の被潤滑部に供給するオイルポンプと、
その一端側が前記オイル通路の前記オイルポンプの下流側に接続され且つその他端側が前記オイルポンプの上流側に接続されているバイパス通路と、
前記バイパス通路に設けられ且つ該バイパス通路を流れる潤滑オイル中に含まれる燃料を分離する燃料分離手段と、
前記バイパス通路に設けられ且つ該バイパス通路を潤滑オイルの温度又は該温度と相関関係を持つ物理量に基づいて開閉する開閉弁と、を備えることを特徴とする内燃機関の油中希釈燃料分離装置。 - 前記燃料分離手段は、前記バイパス通路を流れる潤滑オイル中に含まれる燃料を透過させて分離する分離膜部を有するクロスフロー濾過方式の燃料分離器である請求項1記載の内燃機関の油中希釈燃料分離装置。
- 前記バイパス通路の他端側は、前記オイル通路の前記オイルポンプの上流側に接続されている請求項1又は2に記載の内燃機関の油中希釈燃料分離装置。
- 前記バイパス通路の他端側は、前記オイル貯留部に接続されている請求項1又は2に記載の内燃機関の油中希釈燃料分離装置。
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