JP2009257135A - 分離器 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成により、内燃機関の潤滑オイルに混入した燃料成分を、オイルを劣化させることなく分離し得る分離器を提供する。
【解決手段】本分離器1は、燃料により希釈されたオイルから燃料成分をクロスフロー濾過方式にて分離する分離器であって、筒状の分離器本体10と、分離器本体内に設けられ且つ分離器本体内を第1領域15及び第2領域16に仕切り更にオイルに含まれる燃料成分を透過させて分離する分離部材11と、分離器本体に設けられ且つ第1領域にオイルを導入するオイル導入部12と、分離器本体に設けられ且つ第1領域からオイルを排出するオイル排出部13と、分離器本体に設けられ且つ第2領域から燃料成分を排出する燃料排出部14と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、分離器に関し、更に詳しくは、簡易な構成により、内燃機関の潤滑オイルに混入した燃料成分を、オイルを劣化させることなく分離し得る分離器に関する。
従来より、内燃機関の潤滑オイルの燃料成分の混入による希釈を抑制するため、その分離方法として、オイルを昇温させることにより燃料成分を気化させて分離する方法が知られている。(例えば、特許文献1及び2参照。)。
上記特許文献1には、内燃機関の潤滑回路内に設けられたオイルヒータにより、潤滑オイルの温度を上昇させて、潤滑オイルに混入した燃料や潤滑オイルに混入しようとする燃料のうち気化する燃料成分を増やすことが開示されている。
また、上記特許文献2には、オイルパン内の潤滑油を加熱するためのヒータをオイルパン底部に設けて潤滑油の温度調整を行い、燃料を気化させることが開示されている。
特開2004−190513号公報 特開2004−340056号公報
しかし、上記特許文献1及び2では、オイル中の燃料成分をヒータにて気化させているが、通常、内燃機関の運転時のオイル温度は最高でも130℃程度であり、この場合、オイル中の燃料成分の30%以上が残留してしまう。また、200℃程度まで昇温させればオイル中に含まれる燃料成分の略全量を気化させることができるが、この場合、オイル自体も劣化してしまうという問題が発生する。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、簡易な構成により、内燃機関の潤滑オイルに混入した燃料成分を、オイルを劣化させることなく分離し得る分離器を提供することを目的とする。
本発明は、以下の通りである。
1.燃料により希釈されたオイルから燃料成分をクロスフロー濾過方式にて分離する分離器であって、
筒状の分離器本体と、
前記分離器本体内に設けられ且つ該分離器本体内を第1領域及び第2領域に仕切り更に前記オイルに含まれる燃料成分を透過させて分離する分離部材と、
前記分離器本体に設けられ且つ前記第1領域に前記オイルを導入するオイル導入部と、
前記分離器本体に設けられ且つ前記第1領域から前記オイルを排出するオイル排出部と、
前記分離器本体に設けられ且つ前記第2領域から前記燃料成分を排出する燃料排出部と、を備えることを特徴とする分離器。
2.前記分離器本体は、円筒状に形成されており、前記分離部材は、前記分離器本体の軸方向に円筒状に形成されている上記1.記載の分離器。
3.前記第1領域は、前記分離部材の内側の領域であり、前記第2領域は、前記分離部材の外側の領域であり、前記オイル導入部及び前記オイル排出部は、前記分離器本体の両端面にそれぞれ設けられ、前記燃料排出部は、前記分離器本体の側面に設けられている上記2.記載の分離器。
4.前記第1領域は、前記分離部材の外側の領域であり、前記第2領域は、前記分離部材の内側の領域であり、前記オイル導入部及び前記オイル排出部は、前記分離器本体の側面にそれぞれ設けられ、前記燃料排出部は、前記分離器本体の端面に設けられている上記2.記載の分離器。
5.前記オイル導入口は、前記オイルを前記分離器本体の接線方向に導入し、前記オイル排出口は、前記オイルを前記分離器本体の接線方向から排出する上記4.記載の分離器。
6.前記分離部材は、燃料成分を透過可能な多数の細孔を有する分離膜部と、前記分離膜部の細孔の径よりも大きい多数の細孔を有する支持体部と、を有するセラミックフィルタである上記1.〜5.のいずれか1項に記載の分離器。
7.更に、前記分離部材を加熱する分離部材加熱手段を備える上記1.〜6.のいずれか1項に記載の分離器。
本発明の分離器によると、オイル導入部により分離器本体の第1領域に導入されるオイルから、分離部材を介して燃料成分を第2領域へ分離し、オイルから分離された燃料成分は燃料排出部により第2領域から排出され、燃料成分が分離されたオイルはオイル排出部により第1領域から排出される。
このように、分離部材を用いてオイルから燃料成分を分離するようにしたので、従来のようにオイルを昇温するためのヒータ等を設ける必要がなく簡易な構造とすることができ、また、オイルを昇温しないので、オイルの熱による劣化を防止することができる。また、クロスフロー濾過方式を採用しているので、分離部材の表面にオイル中に含まれるスラッジ等の固形成分が堆積するのを防止して分離部材の能力低下を抑制することができる。
また、前記分離器本体が、円筒状に形成されており、前記分離部材が、該分離器本体の軸方向に円筒状に形成されている場合は、分離器を更に簡易な構造とすることができる。
更に、前記第1領域が前記分離部材の内側の領域であり、前記第2領域が前記分離部材の外側の領域であり、前記オイル導入部及び前記オイル排出部が前記分離器本体の両端面にそれぞれ設けられ、前記燃料排出部が前記分離器本体の側面に設けられている場合は、オイル導入部から円筒状の分離部材を経てオイル排出部に至るオイルの流路を直線的に形成することができ、この分離器を内燃機関の潤滑回路に組み込んでも、回路内のオイルの流通を阻害することなく、オイルの円滑な流通を確保できる。
また、前記第1領域が前記分離部材の外側の領域であり、前記第2領域が前記分離部材の内側の領域であり、前記オイル導入部及び前記オイル排出部が前記分離器本体の側面にそれぞれ設けられ、前記燃料排出部が前記分離器本体の端面に設けられている場合は、オイルが流通する第1領域の容積を大きく設定することができ、また、内側の第1領域から外側の第2領域へと燃料を濾過する場合と比較して、同じ断面積の分離部材を用いた場合、濾過面積を大きく設定することができる。
更に、前記オイル導入部が前記オイルを前記分離器本体の接線方向に導入し、前記オイル排出部が前記オイルを前記分離器本体の接線方向から排出する場合は、導入及び排出するオイルにより、第1領域内のオイルを旋回させて遠心力を付与し、オイルよりも比重の大きい金属粉等の固形成分を、分離器本体の遠心方向に集積、即ち分離部材から離隔させて、分離部材の表面に金属粉等の固形成分が堆積するのを更に減少させて、分離部材の能力低下を更に抑制することができる。
また、燃料成分を透過可能な多数の細孔を有する分離膜部と、前記分離膜部の細孔の径よりも大きい多数の細孔を有する支持体部と、を有するセラミックフィルタである場合は、濾過能力に優れた、高性能の分離器を実現することができる。
更に、前記分離部材を加熱する分離部材加熱手段を備える場合は、オイルからの燃料成分の分離を更に促進させることができる。
本実施形態に係る分離器は、燃料により希釈されたオイルから燃料成分をクロスフロー濾過方式にて分離する分離器であって、以下に述べる分離器本体、分離部材、オイル流入部、オイル排出部及び燃料排出部を備えている。尚、クロスフロー濾過方式とは、流れの一部のみが濾材を通過する濾過方式のことである(例えば、図2、5、9及び11等参照)。
上記「分離器本体」は、その内部に導入されるオイルから燃料成分を分離する限り、その構造、形状、材質等は特に問わない。この分離器本体の材質としては、例えば、鉄、アルミニウム等の金属製、樹脂製等を挙げることができる。また、分離器本体の形状としては、例えば、円筒状、角筒状(例えば、四角(正方形、長方形等)、六角、八角等)等を挙げることができる。
上記「分離部材」は、上記分離器本体内に設けられ且つ分離器本体内を第1領域及び第2領域に仕切り更にオイルに含まれる燃料成分を透過させて分離する限り、その構造、形状、材質等は特に問わない。この分離部材の形状としては、例えば、円筒状(例えば、図2〜7等参照)、角筒状(例えば、四角(正方形、長方形等)、六角、八角等)、長さ方向に2以上の貫通孔を有する柱状(例えば、図8等参照)、平板状(例えば、図9等参照)、湾曲板状、屈曲板状等を挙げることができる。また、分離部材の材質としては、例えば、セラミックス製、樹脂製等を挙げることができる。また、分離部材の構造としては、燃料成分を透過可能な多数の細孔を有する一体的に形成された分離部材である構造、燃料成分を透過可能な多数の細孔を有する分離膜部が、分離膜部の細孔の径よりも大きい多数の細孔を有する支持体部の表面に形成されている分離部材である構造等を挙げることができる。
尚、上記分離部材が分離膜部と支持体部とを備える場合、分離膜部の厚さは、好ましくは5〜20μmであり、支持体部の厚さは、好ましくは1〜5mmである。また、それらの材質は、同一であってもよいし、同一でなくてもよい。また、分離膜部と支持体部との間に、更に1又は2以上の層を設けるようにしてもよい。
上記分離部材による分離器本体内の仕切り形態としては、例えば、(1)1若しくは2以上の筒状、又は2以上の貫通孔を有する柱状、の分離部材により分離器本体内を分離部材の内側の第1領域と分離部材の外側の第2領域とに仕切る形態(例えば、図2、3等参照)、(2)1若しくは2以上の筒状、又は2以上の貫通孔を有する柱状、の分離部材により分離器本体内を分離部材の外側の第1領域と分離部材の内側の第2領域とに仕切る形態(例えば、図5、6等参照)、(3)板状の分離部材により分離器本体内を側方に隣接する第1領域と第2領域とに仕切る形態(例えば、図9等参照)等を挙げることができる。
上記「オイル導入部」は、上記分離器本体に設けられ且つ第1領域にオイルを導入する限り、その形状、配置形態等は特に問わない。
上記「オイル排出部」は、上記分離器本体に設けられ且つ第1領域からオイルを排出する限り、その形状、配置形態等は特に問わない。
上記「燃料排出部」は、上記分離器本体に設けられ且つ第2領域から燃料成分を排出する限り、その形状、配置形態等は特に問わない。この燃料排出部は、例えば、内燃機関の吸気側に接続されていたり、また、分離した燃料を貯留する貯留タンク等に接続されていたり、更に、分離した燃料を更に処理する処理手段に接続されていたりすることができる。
ここで、上記分離器本体が円筒状であり、上記分離部材が1若しくは2以上の円筒状又は2以上の貫通孔を有する柱状であり、分離部材による分離器本体内の仕切り形態が上記(1)の形態である場合には、上記オイル導入部及びオイル排出部は、分離器本体の両端面にそれぞれ設けられることができる(例えば、図2、3等参照)。この場合、上記オイル導入部及びオイル排出部は、分離部材を介して直線状に設けられていることが好ましい。オイルをスムーズに流通させることができるからである。
また、上記分離器本体が円筒状であり、分離部材が1若しくは2以上の円筒状又は2以上の貫通孔を有する円柱状であり、分離部材による分離器本体内の仕切り形態が上記(2)の形態である場合には、上記オイル導入部は、分離器本体の側面に、その接線方向にオイルを導入するように、また、上記オイル排出部は、分離器本体の側面に、その接線方向からオイルを排出するようにそれぞれ設けられることができる(例えば、図5、6等参照)。これにより、導入および排出するオイルによって第1領域内のオイルに旋回力を付与するようにすることができる。また、この場合、上記オイル導入部及びオイル排出部は、分離器本体の両端面側の側面に、それぞれ離隔した位置に設けられていることが好ましい。オイルを、オイル導入部から導入してオイル排出部から排出するまでに、分離器本体内でより多く旋回させることができるからである。
本実施形態に係る分離器は、上述の構成の他に、更に上記分離部材を加熱する分離部材加熱手段(例えば、図10等参照)を備えることができる。
上記「分離部材加熱手段」は、分離部材を加熱しうる限り、その構造、形状、加熱形態等は特に問わない。この分離部材加熱手段は、上記分離部材の内部または表面等に設けられたヒータ等であることができる。
本実施形態に係る分離器は、内燃機関の潤滑回路内(例えば、図1等参照)に、又は潤滑回路とは別系統の単独の分離回路(例えば、図12等参照)として、設けることができる。
以下、図面を用いて実施例1及び2により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例1及び2では、本発明に係る「分離器」として、ウェットサンプ式エンジンを潤滑するオイルから燃料成分を分離する分離器を例示する。
(実施例1)
(1)分離器の構成
本実施例1に係る分離器1は、図1に示すように、ウェットサンプ式エンジン2(以下、単に「エンジン」と略記する。)の潤滑回路内の、オイルをエンジン2の各部に圧送する潤滑用ポンプ3の吐出側に設けられている。
分離器1は、図2及び3に示すように、円筒状で金属製の分離器本体10を備えている。この分離器本体10内には、その両端を分離器本体10の両端の端面部10a、10bに取着されたセラミックス製のセラミックフィルタ(本発明に係る分離部材として例示する。)11が設けられている。このセラミックフィルタ11により、分離器本体10内は、セラミックフィルタ11の内側の第1領域15と外側の第2領域16とに仕切られている。また、分離器本体10の一端側の端面部10aには、分離器本体10内の第1領域15にオイルを導入するオイル導入部12が設けられており、また、分離器本体10の他端側の端面部10bには、分離器本体10内の第1領域15からオイルを排出するオイル排出部13が設けられている。更に、分離器本体10の外周側の側面部10cには、分離器本体10内の第1領域15に導入されたオイルから、セラミックフィルタ11を透過して第2領域16に到達し、オイルから分離された燃料成分を排出する燃料排出部14が設けられている。また、燃料排出部14の他端側は、エンジン2の吸気管4に接続されている。
上記セラミックフィルタ11は、図4(a)に示すように、多数の細孔を有する支持体部11aと、その内側の、支持体部11aの細孔径よりも小さく、燃料成分を透過可能な多数の細孔を有する分離膜部11bと、からなる2層構造をしている。そして、セラミックフィルタ11の外径及び内径はそれぞれ約10mm及び7mm、また、分離膜部11bの厚さは10μm程度となっている。また、支持体部11aに設けられている細孔の平均径は10μm程度であるのに対し、分離膜部11bに設けられている細孔の平均径は20nm程度である。
ここで、内燃機関に用いられるガソリン等の燃料は、その分子構造において、1つの分子あたり4〜13個程度の炭素原子を有しているが、オイルの場合、1つの分子あたり25個以上の炭素原子を有している。このような分子の構成の違いにより、燃料の分子径は分離膜部11bの細孔の径よりも小さく、オイルの分子径は分離膜部11bの細孔の径よりも大きいため、セラミックフィルタ11によりオイルに混合している燃料成分を分離することができる。そして、支持体部11aの細孔径は分離膜部11bの細孔径と比較して極めて大きいので、分離膜部11bを通過した燃料成分は、分離膜部11bを通過するよりも小さい抵抗で、支持体部11aを通過することができる。
(2)分離器の作用
次に、上記構成の分離器1の作用について説明する。
先ず、潤滑用ポンプ3から吐出されたオイルは、オイル導入部12からセラミックフィルタ11の内側である第1領域15に導入される。このとき、第1領域15内の圧力は、潤滑用ポンプ3の吐出圧力により、第2領域16内の圧力よりも高くなっている。その差圧により、第1領域15内に導入されたオイルに含まれている燃料成分が、セラミックフィルタ11を透過し、第2領域16へ到達し、燃料排出部14から分離器1の外部に排出される。このとき、燃料成分は分離器本体10の接線方向から排出されるので、第2領域16内の燃料は、第2領域内を旋回する。また、燃料成分が分離され、燃料による希釈率が減少したオイルは、オイル排出部13から排出され、エンジン2の各部に圧送される。更に、分離された燃料は、エンジン2の吸気管4に送られ、エンジン2にて燃焼処理される。
(3)実施例の効果
以上より、本実施例1の分離器1では、セラミックフィルタ11を用いてオイルから燃料成分を分離するようにしたので、従来のようにオイルを加熱するためのヒータ等を設ける必要がなく簡易な構造とすることができ、また、オイルを昇温させないので、オイルの熱による劣化を防止することができる。
また、クロスフロー濾過方式を採用しているので、セラミックフィルタ11の表面にオイル中の金属粉等の固形成分が堆積して目詰まりするのを抑制して、セラミックフィルタ11の能力低下を抑制することができる。
また、第1領域15がセラミックフィルタ11の内側の領域であり、第2領域16がセラミックフィルタ11の外側の領域であり、オイル導入部12及びオイル排出部13が分離器本体10の両端面にそれぞれ設けられ、燃料排出部14が分離器本体10の側面に設けられているので、オイル導入部12から円筒状のセラミックフィルタ11を経てオイル排出部13に至るオイルの流路を直線的に形成することができ、潤滑回路内のオイルの流通を阻害することなく、オイルの円滑な流通を確保することができる。
(実施例2)
次に、実施例2に係る分離器について説明する。なお、本実施例2に係る分離器において、上記実施例1の分離器1と略同じ構成部位には同符合を付けて詳説を省略する。
本実施例2に係る分離器1は、上述の実施例1と同様に、エンジン2の潤滑回路内の、オイルをエンジン2の各部に圧送する潤滑用ポンプ3の吐出側に設けられている。
(1)分離器の構成
本実施例2に係る分離器1では、図5及び6に示すように、その両端を分離器本体10の両端の端面部10a、10bに取着されたセラミックス製のセラミックフィルタ31が設けられている。このセラミックフィルタ31により、分離器本体10内は、セラミックフィルタ31の外側の第1領域15と内側の第2領域16とに仕切られている。また、分離器本体10の外周側の側面部10cには、分離器本体10内の第1領域15にオイルを導入するオイル導入部32と、分離器本体10内の第1領域15からオイルを排出するオイル排出部33が設けられている。このオイル導入部32は、分離器本体10の接線方向からオイルを導入するように設けられており、また、オイル排出部33は、分離器本体10の接線方向へオイルを排出するように設けられている。更に、分離器本体10の一端側の端面部10bには、分離器本体10内の第1領域15に導入されたオイルからセラミックフィルタ31を透過して第2領域16に到達しオイルから分離された燃料成分を排出する燃料排出部34が設けられている。また、この燃料排出部34の他端側は、エンジン2の吸気管4に接続されている。
ここで、上述の実施例1のセラミックフィルタ11では、分離膜部11bは支持体部11aの内側に形成されているが、本実施例2のセラミックフィルタ31では、図4(b)に示すように、分離膜部31bは支持体部31aの外側に形成されている。これは、上述の実施例1では、燃料成分がセラミックフィルタ11の内側の第1領域から外側の第2領域へ透過するのに対し、本実施例2では、燃料成分がセラミックフィルタ31の外側の第1領域から内側の第2領域へ透過するためである。
(2)分離器の作用
次に、上記構成の分離器1の作用について説明する。
先ず、潤滑用ポンプ3から吐出されたオイルは、オイル導入部32からセラミックフィルタ31の外側である第1領域15に導入される。このとき、オイルはオイル導入部32から分離器本体10の接線方向へ導入され、第1領域15内を旋回しながら流通する。また、第1領域15内の圧力は、潤滑用ポンプ3の吐出圧力により、第2領域16内の圧力よりも高くなっている。その差圧により、第1領域15内に導入されたオイルに含まれている燃料成分が、セラミックフィルタ31を透過し、第2領域16へ到達し、燃料排出部34から分離器1の外部に排出される。また、燃料成分が分離され、燃料による希釈率が減少したオイルは、オイル排出部33から排出され、エンジン2の各部に圧送される。更に、分離された燃料は、エンジン2の吸気管4に送られ、エンジン2にて燃焼処理される。
(3)実施例の効果
以上より、本実施例2の分離器1では、上記実施例1と同様に、セラミックフィルタ31を用いてオイルから燃料成分を分離するようにしたので、従来のようにオイルを加熱するためのヒータ等を設ける必要がなく簡易な構造とすることができ、また、オイルを昇温させないので、オイルの熱による劣化を防止することができる。
また、本実施例2の分離器1では、上記実施例1と同様に、クロスフロー濾過方式を採用しているので、セラミックフィルタ31の表面にオイル中の金属粉等の固形成分が堆積して目詰まりするのを抑制して、セラミックフィルタ31の能力低下を抑制することができる。これに加えて、本実施例2の分離器1では、オイル導入部32がオイルを分離器本体10の接線方向に導入して第1領域15内のオイルを旋回させるようにしたので、その遠心力により、オイルよりも比重の大きい金属粉等の固形成分には、分離器本体10の遠心方向、即ちセラミックフィルタ31から離隔する方向への力が作用する。これにより、セラミックフィルタ31の表面への金属粉等の固形成分の堆積を更に減少させて、セラミックフィルタ31の能力低下を更に抑制することができる。更に、このオイルの旋回による遠心力により、燃料と比較して比重の大きいオイル(約0.8)が分離器本体10の遠心方向へ、比重の小さい燃料(約0.76)は軸心方向へ、それぞれ引き寄せられるので、オイルからの燃料の分離を促進することができる。
更に、本実施例2の分離器1では、セラミックフィルタ31の分離膜部31bは、支持体部31aの外側に形成されているので、上述の実施例1のように支持体部11aの内側に分離膜部11bを形成した場合と比較して、分離膜部31bの表面積、即ち濾過面積を大きく設定することができる(図4(a)及び(b)参照)。
また、本実施例2の分離器1では、セラミックフィルタ31の外側を、オイルが流通する第1領域15、内側を、分離した燃料が流通する第2領域16としたので、上述の実施例1と比較して、オイルが流通する第1領域15の容積を大きく設定することができる。即ち、燃料によるオイルの希釈率の許容限度は約10%であり、オイルと燃料との流量の割合は、オイルと燃料とが完全に分離されたとしても9:1程度であることから、分離後の流量として燃料成分の流量よりもはるかに多い流量が流通するオイル側の容積、即ち第1領域15の容積をより大きく設定できる好ましい形態とすることができる。
尚、本発明においては、上記実施例1及び2に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例1及び2では、1つの円筒状の各セラミックフィルタ11、31をそれぞれ用いる形態を例示したが、これに限定されず、例えば、図7(a)及び(b)に示すように、2以上の筒状の各セラミックフィルタ41、51をそれぞれ用いる形態としてもよい。この場合、上述の実施例1及び2の各セラミックフィルタ11、31の各分離膜部11b、31bの表面積(濾過面積)とそれぞれ比較して、第1領域15の断面積が同じであれば、各分離膜部41b、51bの表面積をより大きく設定することができる。
また、上記実施例1では、円筒状のセラミックフィルタ11を用いる形態を例示したが、これに限定されず、例えば、図8に示すように、長さ方向に2以上の貫通孔(図中7個の貫通孔)を有する柱状のセラミックフィルタ61とし、各貫通孔の内面に分離膜部61bを形成する形態としてもよい。これにより、分離膜部の表面積が同じであれば、オイルが流通する第1領域15の断面積を小さく設定することができ、流通するオイルの流速を大きく設定することにより、分離膜部61の表面への金属粉等の固形成分の堆積を抑制することができる。また、第1領域15の断面積が同じであれば、分離膜部61bの表面積を大きく設定することができる。
更に、上記実施例1及び2では、円筒状の各セラミックフィルタ11、31により分離器本体10内を第1領域及び第2領域に仕切るようにしたが、これに限定されず、例えば、図9に示すように、平板状の分離部材71により分離器本体10内を左右に隣接する第1領域15及び第2領域16に仕切るようにしてもよい。
また、上記実施例1及び2では、オイル中の燃料成分を分離する各セラミックフィルタ11、31のみを用いる形態を例示したが、これに限定されず、例えば、図10に示すように、セラミックフィルタを加熱するヒータ17(本発明に係る分離部材加熱手段として例示する。)を更に備えるようにして、オイルからの燃料成分の分離を促進させるようにしてもよい。
また、上記実施例2では、円筒状の分離器本体10を用いたが、これに限定されず、例えば、図11に示すように、分離器本体10の外周側の側面部10cに段差部10dを設けた段差円筒状の分離器本体10とし、この段差を利用して金属粉等の固形成分を分離するようにしてもよい。即ち、燃料及びオイルと比較して比重の大きい金属粉等の固形成分には、第1領域15を旋回するオイルの遠心力により分離器本体10の外周方向への力が作用するので、軸心から最遠となる段差部10dに集積される。このようにして、燃料成分だけでなく、金属粉等の固形成分をオイルから分離することもできる。また、集積された、オイルよりも比重の大きい金属粉等の固形成分は、例えば、図11に示すように、ドレン口18を設けて適宜排出するようにしてもよい。
更に、上記実施例1及び2では、分離器1を、エンジン2の潤滑回路内の、オイルをエンジン2の各部に圧送する潤滑用ポンプ3の吐出側に設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、潤滑用ポンプ3の吸込側に設けるようにしてもよいし、また、例えば、図12に示すように、潤滑回路とは別の、燃料分離専用の回路として設けるようにしてもよい。
内燃機関の潤滑で使用されるオイルに混入した燃料成分を分離する技術として広く利用される。特に、直噴式エンジン等のオイルに燃料成分が混入しやすい方式のエンジンで使用されるオイルから燃料成分を分離する技術として好適に利用される。
本実施例にかかる分離器のエンジンを含めた全体回路図である。 実施例1に係る分離器の縦断面図である。 図2のI−I線断面図である。 本実施例に係る分離部材を示す断面図であり、(a)は支持体部の内面に分離膜部が形成されている形態、(b)は支持体部の外面に分離膜部が形成されている形態をそれぞれ示す。 実施例2に係る分離器の縦断面図である。 図5のII−II線断面図である。 本実施例に係る他の形態の分離部材をそれぞれ説明するための横断面図である。 本実施例に係る他の形態の分離部材を説明するための横断面図である。 本実施例に係る他の形態の分離器を説明するための縦断面図である。 本実施例に係る他の形態の分離部材を説明するための横断面図である。 本実施例に係る他の形態の分離器を説明するための縦断面図である。 本実施例に係る分離器のエンジンを含めた他の形態を示す全体回路図である。
符号の説明
1;分離器、10;分離器本体、10a、10b;端面部、10c;側面部、10d;段差部、11、31、41、51、61、71;セラミックフィルタ、11a、31a、41a;支持体部、11b、31b、41b、61b;分離膜部、12、32;オイル導入部、13、33;オイル排出部、14、34;燃料排出部、15;第1領域、16;第2領域、17;ヒータ、2;エンジン、3;潤滑用ポンプ、4;吸気管。

Claims (7)

  1. 燃料により希釈されたオイルから燃料成分をクロスフロー濾過方式にて分離する分離器であって、
    筒状の分離器本体と、
    前記分離器本体内に設けられ且つ該分離器本体内を第1領域及び第2領域に仕切り更に前記オイルに含まれる燃料成分を透過させて分離する分離部材と、
    前記分離器本体に設けられ且つ前記第1領域に前記オイルを導入するオイル導入部と、
    前記分離器本体に設けられ且つ前記第1領域から前記オイルを排出するオイル排出部と、
    前記分離器本体に設けられ且つ前記第2領域から前記燃料成分を排出する燃料排出部と、を備えることを特徴とする分離器。
  2. 前記分離器本体は、円筒状に形成されており、前記分離部材は、前記分離器本体の軸方向に円筒状に形成されている請求項1記載の分離器。
  3. 前記第1領域は、前記分離部材の内側の領域であり、前記第2領域は、前記分離部材の外側の領域であり、前記オイル導入部及び前記オイル排出部は、前記分離器本体の両端面にそれぞれ設けられ、前記燃料排出部は、前記分離器本体の側面に設けられている請求項2記載の分離器。
  4. 前記第1領域は、前記分離部材の外側の領域であり、前記第2領域は、前記分離部材の内側の領域であり、前記オイル導入部及び前記オイル排出部は、前記分離器本体の側面にそれぞれ設けられ、前記燃料排出部は、前記分離器本体の端面に設けられている請求項2記載の分離器。
  5. 前記オイル導入口は、前記オイルを前記分離器本体の接線方向に導入し、前記オイル排出口は、前記オイルを前記分離器本体の接線方向から排出する請求項4記載の分離器。
  6. 前記分離部材は、燃料成分を透過可能な多数の細孔を有する分離膜部と、前記分離膜部の細孔の径よりも大きい多数の細孔を有する支持体部と、を有するセラミックフィルタである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の分離器。
  7. 更に、前記分離部材を加熱する分離部材加熱手段を備える請求項1乃至6のいずれか1項に記載の分離器。
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