JP2009249477A - ポリオレフィン製微多孔膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】高誘電率・高粘度液体に対して含浸性に優れ、電池の生産性に優れる電池セパレータとして好適なポリオレフィン製微多孔膜を提供する。
【解決手段】最大孔径が0.11〜0.3μm、表層から300nmにおける表面フィブリル率が70%以上であるポリオレフィン製微多孔膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、電池、コンデンサ、キャパシタ等の電子デバイス用セパレータに好適であり、特にリチウムイオン電池用セパレータとして好適なポリオレフィン製微多孔膜に関する。
ポリオレフィン製微多孔膜は、精密濾過膜、電池・コンデンサ・キャパシタ等の電子デバイス用セパレータ、燃料電池用材料等に使用されている。また、リチウムイオン電池の製造工程には、電極活物質が塗工された正極と負極、および2枚のセパレータから成る渦巻状の捲回体を挿入し、捲回体上部から電解液を注入し、電極及びセパレータに電解液を含浸させる工程が含まれる。リチウムイオン電池の電解液は、一般的に、エチレンカーボネート(EC)やポロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネート類、エチルメチルカーボネート等の直鎖状カーボネート類をブレンドし、電解質としてリチウム塩を溶解したものが使用されている。
従来公知のポリオレフィン製微多孔膜や電池として、例えば、特許文献1には平均孔径が0.15μm以下であり、孔の最長径と最短径の比が特定範囲にある微多孔膜を含むことを特徴とした電池が開示されている。また、特許文献2には高分子量ポリオレフィンフィルムを液体中で熱処理して微多孔化する処理前微多孔膜の製造方法において、処理前微多孔膜を圧縮することを特徴とする製造方法が開示されている。
特許第3765396号公報 特許第3998860号公報
ここで、近年の電池の高容量化に伴って、捲回体内に活物質を効率的に詰め込むことが必要となるため、捲回体内の電解液が浸透する空間が減少する傾向にある。さらに電池の高性能・高容量化を目的として、より高誘電率・高粘度の電解液を使用する、または高電解質濃度電解液を使用するという傾向がある。この場合、電池製造における注液工程のタクトタイムが長くなる、注液後もセパレータ全体に電解液が含浸するまでのエージング時間が長くなる等、生産性が低下するという問題が発生する場合があった。即ち、セパレータには、より効率的に電解液を含浸することが求められている。特許文献1には平均孔径、および孔の最長径と最短径の比が特定範囲である場合に電池特性が向上することの記載はなされているが、複雑な連通構造を有する表面から観察される平均孔径を規定しているに過ぎず、さらには測定方法に関する記載も無い。このため開示技術だけでは、高誘電率・高粘度液体に対する含浸性の観点からは、なお改善の余地があった。また、特許文献2において微多孔膜の物性から推測される最大孔径は0.1μ未満であるため、高誘電率・高粘度液体に対する含浸性の観点からは、なお改善の余地があった。
また、一般に、毛細管内を浸透する液体と毛細管直径の関係は、Lucas-Washburn式(数1)で表される(l:浸透深さ、d:毛細管直径、γ:表面張力、θ:接触角、η:液体粘度、t:時間)。当該数式によれば、浸透深さは毛細管直径の平方根および時間の平方根に比例し、液体粘度の平方根に反比例することとなる。従って、これを微多孔膜に当てはめた場合、大孔径である方が液体浸透に優れることが理論的には推測される。
Figure 2009249477
しかしながら、微多孔膜は屈曲した連通孔構造を有しているため、毛細管モデルに使用される貫通孔構造とは大きく異なる。実際、本願比較例1,2と3,4の比較からは、電解液含浸性に関しては大孔径膜よりも小孔径膜の方が良い傾向にあることが読み取れる。
つまり、微多孔膜の電解液含浸性を向上させるためには、毛細管モデルにおける毛細管直径のみに着目するのではなく、別の手段を講ずる必要のあることが考えられた。
このような事情のもと、本発明は、例えば高誘電率・高粘度液体に対しても含浸性に優れ、電池の生産性に優れる電池セパレータとして好適なポリオレフィン製微多孔膜を提供することを目的とするものである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、驚くべきことに特定の構造を有する微多孔膜が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1]
最大孔径が0.11〜0.3μm、表層から300nmにおける表面フィブリル率が70%以上であるポリオレフィン製微多孔膜。
[2]
最大孔径と平均孔径の比(最大孔径/平均孔径)が1.4を超えて2.0以下である[1]に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
[3]
平均孔径が0.06〜0.1μm未満である[1]又は[2]に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
本発明によれば、含浸性に優れ、電池の生産性に優れる電池セパレータとして好適なポリオレフィン製微多孔膜が実現される。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[微多孔膜の構造]
本実施の形態のポリオレフィン製微多孔膜(以下、単に「微多孔膜」と略記することがある)の、表層から300nmにおける表面フィブリル率は(以下、単に「フィブリル率」と略記することがある)、70%以上であり、好ましくは75%、より好ましくは80%以上、上限として好ましくは100%以下、より好ましくは95%以下、更に好ましくは93%以下である。表面フィブリル率が70%以上であれば電解液含浸性が向上するため好ましい。
ここで、本実施の形態における「電解液含浸性」とは、電解液の浸透性と、電池製造工程における電解液注液性とで評価される指標である。また、当該指標は後述する実施例における測定法に準じて測定される。
なお、本実施の形態における電解液としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等に代表される環状カーボネート類を好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上含む溶媒に、LiPF、LiBF等のリチウム塩が好ましくは0.5mol/L以上溶解したものを挙げることができる。 また、本実施の形態における電解液の、回転式粘度計にて測定される粘度(測定温度30℃)は、好ましくは2.0mPa・s以上、より好ましくは2.5mPa・s以上、更に好ましくは3.0mPa・s以上である。
図1は、表面フィブリル率についての概略図である。「表層から300nmにおける表面フィブリル率」とは、微多孔膜を平面視した場合に、表面から300nmに亘る鉛直方向の微多孔膜を構成するフィブリルがどの程度観察されるかの割合を意味する。
微多孔膜の表層から300nmの深さのフィブリル率が高くなる場合には、
1)微多孔膜の孔径が小さく、最表層のフィブリルのフィブリル率が高くなる場合、
2)微多孔膜の孔径が大きく、最表層だけでなく、最表層から300nmまでに存在するフィブリルが断面方向に密に存在する結果、フィブリル率が高くなる場合、
の2つが挙げられる。中でも、高誘電率・高粘度液体に対する含浸性の観点から、2)の態様が好ましい。一般的には、最大孔径が0.1μ未満の微多孔膜のフィブリルは最表面から300nm以内にほぼ100%含まれることとなる。
また、前記微多孔膜の最大孔径としては、0.11μm〜0.3μmである。好ましくは0.12μm〜0.25μm、より好ましくは0.13μm〜0.2μmである。最大孔径を0.11μm以上とすることは、透過性や電解液含浸性を向上させる観点から好ましい。0.3μm以下であれば十分な機械強度を有する傾向となり、また、電池用セパレータとしての耐短絡性に優れる傾向となるため好ましい。当該指標は後述する実施例における測定法に準じて測定される。
なお、前記フィブリル率や最大孔径は、微多孔膜の延伸温度、および後述する加圧工程により調整可能である。
表面フィブリル率が高い場合に電解液含浸性が優れる理由は必ずしも明らかではないが次のように推測される。微多孔膜は屈曲した連通孔構造を有しているため、毛細管モデルに使用される貫通孔構造とは大きく異なる。電解液が微多孔膜表面から浸透する場合、電解液は微多孔膜を構成するフィブリル表面に接触し、細孔内のフィブリル表面に働く毛細管力により微多孔膜の深さ方向に浸透していくと考えられる。従来の最大孔径が0.11μm以上の微多孔膜は、大孔径であるために断面方向から観察されるフィブリル間距離も大きくなり、深さ方向への電解液の浸透に時間を要し、浸透が阻害されていたと推測される。本実施の形態の微多孔膜は表面フィブリル率が高いためにフィブリル間距離が小さく(すなわちフィブリル同士が密)、電解液の浸透が促進されるものと推測される。さらに孔径(毛細管直径にあたる)は大きいため、上述のLucas-Washburn式が示すように高極性・高粘度液体や電解液に対して浸透しやすくなっているものと考えられる。
前記微多孔膜の平均孔径は、0.06μm〜0.15μmであることが好ましく、より好ましくは0.07μm〜0.13μm、さらに好ましくは0.08μm〜0.1μm未満である。平均孔径が0.06μm以上であれば微多孔膜としての透過性が向上する傾向となるために好ましく、0.15μm以下であれば機械強度に優れる傾向となるために好ましい。
なお、当該指標は後述する実施例における測定法に準じて測定される。
平均孔径に対する最大孔径の比(以下、「最大孔径/平均孔径」と略記する)は、0.14を超えて2未満であることが好ましく、より好ましくは1.41以上0.19以下、更に好ましくは1.5以上0.18以下である。最大孔径/平均孔径が0.14を超えれば透過性に優れる傾向となるために好ましく、0.2未満であれば不均一な孔径分布が原因で起きる電池特性低下を防ぐ観点から好ましい。
なお、当該指標は後述する実施例における測定法に準じて測定される。
微多孔膜の表面から観察されるフィブリル太さは0.2μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.3μm以上、更に好ましくは0.4μm以上である。フィブリル太さは、例えば、走査型電子顕微鏡による表面観察による測定可能である。
なお、前記平均孔径、最大孔径/平均孔径やフィブリル太さは、ポリオレフィンとポリオレフィンの融点以上で均一な溶液を形成する可塑剤との比、およびそれらと無機粒子との比を変えることにより調整可能である。
[微多孔膜の特性]
膜厚はセパレータとして使用した際の電気的絶縁性を保つ観点から3μm以上が好ましく、透過性を確保する観点から60μm以下が好ましい。より好ましくは5〜40μmであり、更に好ましくは10〜30μmである。
気孔率は気体及びイオン透過性を保つ観点から20%以上が好ましく、機械強度を確保する観点から80%以下が好ましい。より好ましくは30〜70%、更に好ましくは30〜60%である。
透気度は電気的絶縁性を保つ観点から膜厚20μm換算で3秒/20μm以上が好ましく、気体及びイオン透過性を保つ観点から500秒/20μm以下が好ましい。より好ましくは10〜300秒/20μm、より更に好ましくは50〜200秒/20μm以下である。
突刺強度は機械強度の観点から膜厚20μm換算で1N/20μm以上が好ましく、過度の延伸配向による熱収縮増加を防ぐ観点から10N/20μm以下が好ましい。より好ましくは2〜6N/20μm、より更に好ましくは3〜5.5N/20μmである。
ポリオレフィン製微多孔膜のヒューズ温度は、電池昇温時の安全性の観点から、2℃/minの昇温条件下で150℃以下が好ましい。より好ましくは145℃以下、更に好ましくは140℃以下である。電池の使用環境を想定して、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは130℃以上である。
ポリオレフィン製微多孔膜のショート温度は、電池昇温時の安全性及び耐熱性の観点から、2℃/minの昇温条件下で160℃より高いことが好ましく、より好ましくは170℃より高く、更に好ましくは180℃より高いことが好ましい。
前記微多孔膜の電解液含浸性は、電解液浸透性試験と電解液注液性試験で評価可能である。また前記微多孔膜は、電解液以外の液体浸透性にも優れる傾向にある。
微多孔膜の電解液浸透性試験における浸透時間は、電池特性向上の観点から60秒以下であることが好ましく、より好ましくは30秒以下、より更に好ましくは10秒以下である。電解液浸透時間が60秒以下であることは、高誘電率・高粘度な電解液との親和性に優れることに繋がるため好ましい。
また、電解液注液性試験において得られる電解液浸透面積比は、セパレータ全体に浸透した場合を100%として、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、最も好ましくは70%以上である。浸透面積が30%以上であることは、電池製造における注液工程と、該工程後に電解液がセパレータ全体に浸透する時間の両方が短縮出来ることに繋がるため、電池生産性向上の観点から好ましい。
なお、上述した微多孔膜の特性に関する各パラメータについては、後述する実施例における測定法に準じて測定される値である。また、これら各パラメータについては、ポリオレフィンとポリオレフィンの融点以上で均一な溶液を形成する可塑剤との質量比、およびそれらと無機粒子との質量比を変えることや、延伸工程における延伸倍率や延伸温度を調整することにより調整可能である。
なお、本実施の形態の微多孔膜を電池用セパレータとして用いる場合、例えば下記の方法で電池を作成すればよい。
まず、微多孔膜を幅10mm〜100mm、長さ200mm〜2000mmの縦長の形状にする。このセパレータを、正極−セパレータ−負極−セパレータ、または負極−セパレータ−正極−セパレータの順で重ね、円または扁平な渦巻状に巻回する。さらに、この巻回体を電池缶内に収納し、さらに電解液を注入する。
[微多孔膜の製造方法]
前記微多孔膜の製造方法は特に限定されないが、例えば、ポリオレフィンとポリオレフィンの融点以上で均一な溶液を形成する可塑剤とを混練する工程を含む方法(以下、相分離法とする)、ポリオレフィン製無孔シートを縦方向(以下、MDとする)に延伸することにより空孔部を形成する工程を含む方法(以下、延伸開孔法)、ポリオレフィン製無孔フィルムを前記可塑剤で膨潤する工程を含む方法などが挙げられる。この中で、大孔径であり、かつ機械強度に優れるという観点から相分離法が好ましく、無機微粉体を使用する方法がより好ましい。
以下、相分離法の無機微粉体を用いる微多孔膜製造工程を詳細に説明する。無機微粉体を用いる相分離法によるポリオレフィン製微多孔膜の製造方法は、以下の(a)〜(e)の各工程、
(a)少なくともポリオレフィン樹脂と、該樹脂と融点以上で均一な溶液を形成する可塑剤と、無機微粉体を含む混合物を溶融混練した後、押出、冷却固化してシート化する工程(相分離製膜工程)、
(b)可塑剤と無機フィラーを抽出する工程(抽出工程)、
(c)少なくとも一軸に延伸する工程(延伸工程)、
(d)熱固定工程、
(e)膜厚方向に加圧する工程(加圧工程)
を含むことが好ましい。
(a)〜(c)工程の順序は、(a)工程→(b)工程→(c)工程、(a)工程→(c)工程→(b)工程→(c)工程、(a)工程→(c)工程→(b)工程のいずれかが選択可能である。この中でも(a)工程→(b)工程→(c)工程がより好ましい。(c)工程は数段階に分けて実施しても良い。
また、(d)工程は(a)工程後であれば、熱収縮低減効果が得られ、回数に特に限定はないが、(d)工程は(b)及び(c)工程よりも後に少なくとも一回行うことが、より熱収縮を低減できるために好ましい。
更に、(e)工程は、(a)工程〜(d)工程の後に少なくとも一回行うことが、より電解液含浸性を高める観点から好ましい。
(a)相分離製膜工程
本工程で使用するポリオレフィンは、一種のポリオレフィンからなっても、ポリオレフィン組成物であってもよい。ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテンなどが挙げられ、これらを2種類以上ブレンドして用いても良い。透過性と機械強度と耐熱性を向上させる観点からポリエチレンとポリプロピレンの混合物を用いることが好ましい。
ポリエチレンの種類としては、密度が0.94g/cmを越えるような高密度ポリエチレン、密度が0.93〜0.94g/cmの範囲の中密度ポリエチレン、密度が0.93g/cmより低い低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。機械強度を向上させる観点から高密度ポリエチレン又は中密度ポリエチレンの使用が好ましく、それらを単独で使用しても、或いは混合物として使用してもよい。ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレンと高分子量ポリエチレンを単独またはブレンドして使用することが可能である。超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量(Mv)は、ポリオレフィン製微多孔膜の機械強度をより向上させる観点から50万以上が好ましく、成形性が損なわれる可能性があるため300万以下が好ましい。より好ましくは60万〜250万である。高分子量ポリエチレンのMvは、機械強度を向上させるために3万以上であることが好ましく、良好なシャットダウン特性の観点から50万未満が好ましい。より好ましくは15万〜40万、更に好ましくは30万以下である。ポリエチレン全体に対する超高分子量ポリエチレンのブレンド比は、10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%、更に好ましくは60%以下である。
ポリプロピレンの種類としては、プロピレンホモポリマー、エチレンプロピレンランダムコポリマー、エチレンプロピレンブロックコポリマーを用いることができる。これらのうちホモポリプロピレンを用いることが好ましい。コポリマーの場合はポリプロピレンの結晶化度が低下して、微多孔膜の透過性低下を防ぐ観点からコポリマー中のエチレン含量は1モル%以下とすることが好ましい。使用するポリプロピレンのMvは得られる微多孔膜の耐熱性を向上させるために10万以上が好ましく、ブレンドした際の分散不良を防止する観点から100万未満であることが好ましい。より好ましくは20万〜80万、更に好ましくは40万〜80万である。
可塑剤とは、ポリオレフィンとポリオレフィンの融点以上で均一な溶液を形成しうる不揮発性溶媒を指す。例えば、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジブチルのようなフタル酸エステル類、アジピン酸エステルやグリセリン酸エステル等の有機酸エステル類、リン酸トリオクチル等のリン酸エステル類、流動パラフィン、固形ワックス、ミネラルオイル等が挙げられる。これらの中でもポリオレフィンとの相溶性を考慮するとフタル酸エステルが好ましい。また、これらを単独で使用しても混合物として使用してもよい。
無機微粉体は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等が使用できる。これらのうち、溶融混練における均一性の観点からシリカが好ましい。ポリオレフィンと可塑剤と無機微粉体とをヘンシェルミキサー等で混合造粒することが、無機微粉体を均一に分散させる観点から好ましい。
ポリオレフィン樹脂と可塑剤と無機微粉体の合計量に対するポリオレフィン樹脂の割合は、成膜時の成形加工性の観点から10質量%以上が好ましく、微多孔膜の透過性の観点から60質量%であることが好ましい。より好ましくは20〜50質量%、さらに好ましくは40質量%以下である。また、可塑剤と無機微粉体の合計量に対する可塑剤の割合は無機微粉体の凝集による品位低下を防ぐ観点から50質量%以上が好ましく、適度な孔径と透過性を付与する観点から80%以下が好ましい。より好ましくは60〜75質量%である。
なお、ポリオレフィン、無機微粉体、可塑剤の他に本実施の形態の効果を阻害しない範囲で酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤等の各種添加剤を添加することができる。
溶融混練で得られた混練物をシート状に成形する方法としては、溶融物を冷却により固化させる方法をあげることができる。冷却方法として、冷風や冷却水等の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールやプレス機に接触させる方法等が挙げられる。冷媒で冷却したロールやプレス機に接触させる方法が、厚み制御が優れる点で好ましい。
(b)抽出工程
抽出工程では、可塑剤と無機微粉体を溶剤によって抽出除去する。可塑剤を抽出する溶剤としては、膜を構成するポリオレフィンに対して貧溶媒であり、且つ可塑剤に対しては良溶媒であり、沸点が膜を構成するポリオレフィンの融点よりも低いものが望ましい。このような抽出溶媒としては、例えば、n−ヘキサンやシクロヘキサン等の炭化水素類、塩化メチレンや1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ハイドロフロロエーテルやハイドロフロロカーボン等の非塩素系ハロゲン化溶剤、エタノールやイソプロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類が挙げられる。この中から適宜選択し、単独もしくは混合して用いる。中でも塩化メチレンやメチルエチルケトンが好ましい。
無機微粉体の抽出は、可塑剤抽出の後に行うが、抽出溶剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液を使用することができる。
抽出の方法としては、抽出溶剤に浸漬、或いはシャワーすることで抽出し、その後充分に乾燥すればよい。
(c)延伸工程
延伸工程は少なくとも一軸方向へ延伸する工程であり、ロール延伸機による一軸延伸、ロール延伸機とテンターの組み合わせによる逐次二軸延伸、同時二軸テンターによる同時二軸延伸などが挙げられる。中でも、孔径が大きくかつ高強度であるためにロール延伸機とテンターの組み合わせによる逐次二軸延伸であることが好ましい。
延伸倍率(面倍率)は、機械強度向上の観点から3倍以上が好ましく、過度の透過性向上を防ぐ観点から20倍以下が好ましい。より好ましくは6〜15倍である。延伸時には得られる微多孔膜が高強度であるために(b)工程で得られるシートを二枚重ねて延伸することが好ましい。
(d)熱固定工程
熱固定とはテンターやロール延伸機等にて、所定の温度雰囲気において、低倍率延伸及び/又は緩和操作を行い、処理前微多孔膜の熱収縮を低減させることである。低倍率延伸とは面積倍率で3.0倍以下のことである。
低倍率延伸における延伸倍率は、処理前微多孔膜のMD及び/或いはTDに対して、好ましくは1.0〜3.0倍、より好ましくは1.5〜2.0倍である。過度の延伸は膜破断の可能性が高くなるため好ましくない。
延伸時の温度は、熱収縮防止の観点から100℃以上が好ましく、より好ましくは110℃以上、よりさらに好ましくは120℃以上である。また、加熱により処理前微多孔膜が溶けることを防ぐために135℃以下が好ましく、より好ましくは133℃以下、より更に好ましくは130℃以下である。
緩和操作とは、処理前微多孔膜のMD及び/或いはTDの寸法を少し元に戻す操作のことである。延伸時のフィルム寸法に対する緩和倍率は、熱収縮を低減する観点から1.0倍以下が好ましく、より好ましくは0.95倍以下である。また、過度の緩和によるシワ発生を防ぐため、0.65倍以上が好ましく、より好ましくは0.7倍以上である。
緩和時の温度は、熱収縮を低減する観点から120℃以上であることが好ましく、より好ましくは125℃以上である。また、膜の透過性低下を防止するため140℃以下が好ましく、より好ましくは138℃以下である。
(e)加圧工程
加圧工程は電解液含浸性を向上させるために、実質的に空孔部を有する処理前微多孔膜を膜厚方向に加圧する工程である。実質的に空孔部を有する処理前微多孔膜とは気孔率20%以上であることを意味し、曲路連通孔を有することが好ましい。本実施の形態における加圧とは圧縮または圧延などの圧力を加えることを意味する。
なお、本実施の形態において、処理前微多孔膜とは加圧処理を施す前の膜をいう。
加圧方法は処理前微多孔膜処理前微多孔膜を膜厚方向に加圧できれば特に限定されないが、バッチ式の圧縮プレス機、1対のベルト間に試料を挟んで加圧可能なダブルベルトプレス機、一対のロール間に挟みながら少なくとも1回加圧可能なカレンダープレス機等が挙げられる。これらの中でも、装置の保守メンテナンスの観点からカレンダープレス機が好ましい。
カレンダープレス機のロール材質は加圧する処理前微多孔膜処理前微多孔膜の材質によって、金属製、樹脂製等を選択可能であるが、ロール間で処理前微多孔膜処理前微多孔膜とロールがスリップし、処理前微多孔膜処理前微多孔膜の表面が損傷することを防止する観点から、少なくとも一つのロールは樹脂製ロールが好ましい。樹脂製ロールの硬度は、加圧力、加圧時間によるため適宜調整可能であるが、膜厚方向への加圧を高い生産性で行う観点から、JIS−K7215に準拠したタイプDデュロメータで測定される硬さが、好ましくは100以下、より好ましくは90以下、更に好ましくは80以下である。
膜厚方向の加圧による変形率は、加圧する処理前微多孔膜の気孔率に依り適宜変更できるため特に限定は無いが、過度の変形による透過性低下を防ぐため好ましくは60%以下であり、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下、最も好ましくは20%以下である。電解液含浸性を向上させる観点から、好ましくは1%以上であり、より好ましくは3%以上、更に好ましくは5%以上である。膜厚方向の変形率とは、加圧により減少した膜厚を加圧前の膜厚で割った数値のことである。
膜厚方向の加圧に伴う面積変化は、面積変化に伴う構造変化で電解液含浸性が低下したり熱収縮が増加したりすることを防ぐために、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、より更に好ましくは5%以下、最も好ましくは3%以下である。面積変化は、加圧により増加した膜の面積を加圧前の膜面積で割った数値のことである。
処理前微多孔膜にかける加圧力は、所望の変形率を得られれば特に限定は無いが、適度な変形率を得ること、及び過度の変形による処理前微多孔膜の破断等を防ぐ観点から、線圧で1500N/cm以下であることが好ましく、より好ましくは1000〜50N/cm、更に好ましくは700〜100N/cm、最も好ましくは500〜200N/cmである。面圧では3000N/cm以下であることが好ましく、より好ましくは2000〜100N/cm以下、より更に好ましくは1500〜200N/cm、最も好ましくは1000〜300N/cmである。
加圧温度は、生産設備の観点から0℃以上が好ましく、処理前微多孔膜の構造が膜厚方向だけで無く、膜面方向にも変形し電解液含浸性が低下する可能性があるため100℃以下が好ましい。より好ましくは15〜80℃、更に好ましくは25〜60℃、最も好ましくは25〜50℃である。
加圧工程には、静電気除去装置や除塵装置を設置することも、加圧後の品位向上の観点から好ましい。静電気除去は加圧前後の処理前微多孔膜と微多孔膜両方に対して行うことが好ましく、加圧時に樹脂製ロールを使用する際にはロールに発生する静電気も除去することが好ましい。また、除塵装置は加圧する処理前微多孔膜及び/又は加圧ロールの塵を除去するために取り付けることが効果的な除塵対策として好ましい。これにより処理前微多孔膜及び/又はロール上に埃が付着し、加圧工程で処理前微多孔膜表面を損傷することを防ぐことが可能となる。
本実施の形態の微多孔膜は、大孔径であるため透過性に優れ、電池特性の向上が可能であり、かつ高誘電率・高粘度の電解液含浸性に優れる。従って本実施の形態の微多孔膜をリチウムイオン電池用セパレータとして使用した場合、電池の性能向上と生産性向上に寄与することが可能である。また、リチウムイオン電池以外の電子デバイスにおいても電解液含浸性に優れるために性能向上と生産性に寄与することが可能となる。また濾過膜用途としても高粘度液体や高表面張力液体に対して優れた浸透性を有するため性能向上に寄与することが可能となる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の物性は以下の方法により測定した。
(1)表層フィブリル率(%)
Didital Instruments/Veeco Metrology Group,Inc.製の走査型プローブ顕微鏡(SPM)Dimension(商標)3000、測定解析ソフトとしてDiditalInstruments/Veeco Metrology Group,Inc.製NanoScope(登録商標)III version5.31R1を使用して、タッピングモードで凹凸像を観察した。測定試料は、測定装置付属の試料台上に市販の水溶性修正液を塗布し、その上に10mm四方に切り取ったポリオレフィン微多孔膜を静置することで試料台に対して水平に配置し、24時間放置したものを使用した。
測定はScan sizeが20μm、Scan rateが0.3Hz、Scan angleが90°、drive frequencyが305kHzの条件にて行った。またプローブは、タッピング・モード用単結晶Si探針(商品名NANOSENSORS)(カンチレバー長さが130μm、短針高さが10〜15μm、探針極率半径5〜10nm、探針1/2開き角が横18°、正面25°、背面10°)を使用した。
次に、測定で得られた凹凸像を解析ソフトに付属のBearing機能で解析を行った。ヒストグラム上でヒストグラム%(Hist%)が0を超える深さ(Hist depth)を最表面として、これを基準として300nmの深さまでのヒストグラム面積(Bearingarea%)を表面フィブリル率とした。また、必要に応じて、Grain Size機能で解析を行い、Bearing機能による解析で最表面と定義した深さから300nmの深さまでに存在するフィブリル像を得た(図2,3)。
(2)粘度平均分子量
ポリエチレンおよびポリオレフィン製微多孔膜の粘度平均分子量は、溶剤としてデカリンを用い、測定温度135℃で測定し、粘度[η]から次式により算出した。
[η]=6.77×10−4Mv0.67(Chiangの式)
また、ポリプロピレンについては、次式によりMvを算出した。
[η]=1.10×10−4Mv0.80
(3)密度(g/cm
ASTM−D1505に準拠し、密度勾配管法(23℃)で測定した。
(4)膜厚(μm)
東洋精機製の微小測厚器、KBM(商標)を用いて室温23℃で測定した。
(5)気孔率(%)
10cm×10cm角の試料を微多孔膜から切り取り、その体積(cm)と質量(g)を求め、それらと膜密度(g/cm)より、次式を用いて計算した。
気孔率=(体積−質量/膜密度)/体積×100
なお、膜密度は0.95(g/cm)として算出した。
(6)透気度(sec)
JIS P−8117に準拠し、東洋精器(株)製のガーレー式透気度計、G−B2(商標)により測定した。
(7)突刺強度(N/20μm)
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES−G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーで微多孔膜を固定した。次に固定された微多孔膜の中央部を、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secで、25℃雰囲気下にて突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として生の突刺強度(N)を得た。これに20(μm)/膜厚(μm)を乗じることにより20μm膜厚換算突刺強度(N/20μm)を算出した。
(8)最大孔径(μm)
ASTM E−128−61に準拠し、エタノール中でのバブルポイント(kPa)により算出した。なおエタノールの表面張力は24.5mN/mとして算出した。また、バブルポイントが980kPa以上の場合は0.07μm未満とした。
(9)平均孔径(ハーフドライ法)(μm)
ASTM F−316−86に準拠し、エタノールを使用して測定した。
(10)電解液浸透性
電解液としてエチレンカーボネートを20質量%、プロピレンカーボネートを80質量%の混合液体を用い、高さ30mmよりスポイトで一滴垂らし、混合液体が膜に浸透して透明になるときの時間を測定した。5秒以内で透明化した場合を◎、30秒以内を○、30〜180秒以内に若干の浸透がみられた場合を△、180秒以内に浸透しなかった場合を×とした。
(11)液体浸透性
液体として、表面張力(以下、γとする)が42mN/mの濡指数標準液(ナカライテスク株式会社製)を使用した以外は、(10)と同様に行った。5分以内に浸透して透明になった場合を○、8分以内を△、8分以内に浸透しなかった場合を×とした。
(12)電解液注液性
a.正極の作製
活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoOを92.2質量%、導電剤としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3質量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2質量%をN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の両面にダイコーターで塗付し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、正極の活物質塗付量は250g/m,活物質嵩密度は3.00g/cmになるようにした。
b.負極の作製
活物質として人造グラファイト96.9質量%、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%とスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス1.7質量%を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の両面にダイコーターで塗付し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、負極の活物質塗付量は106g/m,活物質嵩密度は1.35g/cmになるようにした。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:プロピレンカーボネート:γ−ブチロラクトン=1:1:2(体積比)の混合溶媒に、電解質としてLiBFを0.5mol/Lの濃度で溶解したものを調整した。
d.注液性評価
前項aで作成した正極を縦方向に96mm横方向に40mmで切断し、前項bで作成した負極を縦方向に98mm横方向に42mmで切断し、微多孔膜をMDに100mmTDに44mmのサイズに切断した。次に下側から負極、セパレータ、正極の順番に中心部が一致するように重ね合わせて積層体を作成した。この積層体全体に58.8N(6.0kg)の荷重を均一に掛けた状態で、5torrまで減圧した後、前記cで調整した電解液5mlを積層体周辺に注液した。この状態で10分間放置した後、常圧に戻し、余剰電解液を拭き取った後、積層体を解体した。セパレータの面積に対して電解液が浸透していた面積が90%以上の場合を○、70%以上の場合を△、70%未満の場合を×とした。
[実施例1]
Mv100万、融点134℃の超高分子量ポリエチレン19.2質量%、Mv25万、融点136℃の高密度ポリエチレン12.8質量%、フタル酸ジオクチル(DOP)48重量%、微粉シリカ20重量%を混合造粒した後、先端にTダイスを装着した2軸押出機にて溶融混練した後に押出し、両側から加熱したロールで圧延し、厚さ110μmのシート状に成形した。該成形物から塩化メチレンにてDOPを、水酸化ナトリウムにて微粉シリカを抽出除去し微多孔膜を作製した。該微多孔膜を2枚重ねて115℃で、縦方向に4.5倍延伸した後、120℃で横方向に2.1倍延伸し、最後に137℃にて熱処理することにより処理前のポリオレフィン微多孔膜を得た。
次に処理前のポリオレフィン微多孔膜をJIS−K7215に準拠して測定されるタイプDのデュロメータ硬さ70である直径100mmの樹脂ロールと、直径200mmの40℃に温調した金属ロールから構成されるロールプレス機を用いて、線圧327N/cm、ライン速度10m/minにて連続加圧することによりポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性を表1に示し、最表面から300nmの深さに存在するフィブリル像を図2に示す。
[実施例2]
乾式法で作成した平均分散粒子径0.25μm、95vol%累積粒径0.45μm、5vol%累積粒径0.15μm、分散粒径比3.0、吸油量240ml/100g、1次粒径12nmのシリカ微粉体を20質量%、Mv100万、融点134℃の超高分子量ポリエチレンを4質量%、Mv25万、融点136℃の高密度ポリエチレンを17質量%、Mv15万の直鎖状低密度ポリエチレンを11質量%フタル酸ジオクチル(DOP)を48質量%混合して造粒した後、Tダイスを装着した二軸押出機にて溶融混練した後に押出し、両側から加熱したロールで圧延し、厚さ90μmのシート状に成形した。該成形物から塩化メチレンにてDOPを、水酸化ナトリウムにて微粉シリカを抽出除去し微多孔膜を作製した。該微多孔膜を2枚重ねて110℃で、縦方向に4.5倍延伸した後、125℃で横方向に2.0倍延伸し、135℃で熱処理することにより処理前のポリオレフィン微多孔膜を得た。次に処理前のポリオレフィン微多孔膜をJIS−K7215に準拠して測定されるタイプDのデュロメータ硬さ70である直径100mmの樹脂ロールと、直径200mmの40℃に温調した金属ロールから構成されるロールプレス機を用いて、線圧245N/cm、ライン速度10m/minにて連続加圧することによりポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
[比較例1〜2]
圧縮処理以外を実施例1と同様に実施した。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。比較例1で得られた微多孔膜の、最表面から300nmの深さに存在するフィブリル像を図3に示す。
[比較例3]
Mv25万、融点136℃の高密度ポリエチレン40質量%、Mv70万、融点135℃の超高分子量ポリエチレン60質量%を、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたポリマー混合物99質量%に、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。フィーダーおよび二軸延伸機内の雰囲気を窒素で置換し、得られた混合物をフィーダーにより二軸押出機へ供給し、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
溶融混練で押し出される全混合物中に占める樹脂濃度が35質量%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。
続いて、溶融混練物をT−ダイより押出し、冷却固化することで1800μmのシートを得た。
次に、このシートを同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度123℃とした。
その後、このシートを塩化メチレン槽に導き、塩化メチレン中に充分に浸漬させて流動パラフィンを抽出除去し、その後塩化メチレンを乾燥除去した。さらに、このシートをTDテンターに導き、温度120℃、倍率1.5倍にて低倍率延伸を実施し、温度127℃、緩和率0.85倍にて熱固定を行い、微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
[比較例4]
Mv25万、融点136℃の高密度ポリエチレン40質量%、Mv70万、融点135℃の超高分子量ポリエチレン60質量%を、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたポリマー混合物99質量%に、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。フィーダーおよび二軸延伸機内の雰囲気を窒素で置換し、得られた混合物をフィーダーにより二軸押出機へ供給し、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
溶融混練で押し出される全混合物中に占める樹脂濃度が40質量%となるように、フィーダー及びポンプを調整した。
続いて、溶融混練物をT−ダイより押出し、冷却固化することで1800μmのシートを得た。
次に、このシートを同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.4倍、設定温度123℃とした。
その後、このシートを塩化メチレン槽に導き、塩化メチレン中に充分に浸漬させて流動パラフィンを抽出除去し、その後塩化メチレンを乾燥除去し、微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。
Figure 2009249477
本発明のポリオレフィン製微多孔膜は、例えば、リチウムイオン電池用セパレータとして好適である。
表面フィブリル率についての概略図 実施例1における最表面から300nmの深さに存在するフィブリル像 比較例1における最表面から300nmの深さに存在するフィブリル像

Claims (3)

  1. 最大孔径が0.11〜0.3μm、表層から300nmにおける表面フィブリル率が70%以上であるポリオレフィン製微多孔膜。
  2. 最大孔径と平均孔径の比(最大孔径/平均孔径)が1.4を超えて2.0以下である請求項1に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
  3. 平均孔径が0.06〜0.1μm未満である請求項1又は2に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
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