JP2009247989A - 浄化槽 - Google Patents

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Abstract

【課題】動力をなくしてイニシャルコストやランニングコストを削減できる浄化槽を提供すること。
【解決手段】浄化槽1を構成する微細目スクリーン槽を、多孔製のスクリーン板12を備える多孔スクリーン槽10として形成する。多孔スクリーン槽10は、生物反応槽として構成する担体流動槽5と、スクリーン板12を介して隣接して配置する。スクリーン板12内に流入する汚水は担体流動槽5と行き来可能に流れる。多孔スクリーン槽10内には、スクリーン板12と平行に配置する整流板14と、ばっ気を行う散気装置12とを備える。一方、担体流動槽5内には、流動担体Tを挿入するとともに酸素供給装置51を配置して流動担体Tを回流させる。スクリーン板12で捕捉したし渣を、回流する気泡Eと流動担体Tとでスクリーン板12より離隔させてスクリーン板12の目詰まりを防止する。
【選択図】図11

Description

本発明は、し尿及び生活排水(以下、汚水という)を処理する浄化槽であって、主に業務用汚水を処理することに好適な浄化槽に関する。
周知のように、浄化槽は、接触ばっ気槽や担体流動槽等の生物反応槽での接触材等の閉塞やそれによる機能障害の発生を防止するために、し渣(2mm以上の夾雑物を含む)の除去を行っている。この除去に関して、従来の浄化槽100は、図14のフローチャートで示すように構成されている。つまり、流入された汚水は、汚水の粗大固形物を除去するばっ気型スクリーン(又は荒目スクリーン及び沈砂槽)101と、汚水内のし渣を除去する微細目スクリーン102と、汚水の所定の流量を調整して次工程に流す流量調整槽103と、生物反応槽として配置される回転板接触槽104と、汚泥を沈殿させる沈殿槽105及び消毒槽106とを備えて構成されている。沈殿槽105で沈殿された汚泥は汚泥濃縮貯留槽107に送られ、汚泥は汚泥濃縮貯留槽107に、分離液は流量調整槽103にそれぞれ移送される。
この際、微細目スクリーン102としては櫛状に形成された自動掻揚げ式のバースクリーンが使用されていた。この微細目スクリーン102は、モータで自動掻揚げすることから、付属する機器(例えば、ブレーカー等)を備えるためにイニシャルコストが高く、また電力を消費するためにランニングコストが高くなっていた。また、定期的なメンテナンスが必要なため、軸受・櫛歯等の消耗品の交換や配線・結線等の電気工事を行わなければならなかった。
一方、特許文献1には、汚水処理施設の前処理法が開示されている。これによると、この汚水処理施設の前処理法は、前処理槽に微細目スクリーンを設けて目詰まりなく汚水をろ過し、汚物を微細に分解して汚水から分離沈殿させるものであり、スクリーンの前面に添って下方から空気を噴出して汚水を回流させて汚物を微細に分解している。この汚水中、比重の大きいものを細目の底面スクリーンで下方の汚物沈殿槽にろ過沈殿させる。そして微細目スクリーン後面に、先端縁を下方に下げた整流板と気泡回収板とを設けている。微細目スクリーンの後方にはSS沈殿槽が配設され、気泡を回収するとともに汚水の攪拌を起こさずにSS沈降を促進させている。この微細目スクリーンではメッシュスクリーンが使用されていた。
特公平04−51204号公報
しかし、ばっ気型スクリーン101を通って微細目スクリーン102を通る従来の浄化槽100では、微細目スクリーンが自動掻揚げ式のためモータを使用していたことから、上述のように、イニシャルコストやランニングコスト等を高くすることとなっていた。また、汚泥が微細目スクリーン102で除去されるし渣とは別に汚泥濃縮貯留槽107に送られていたことから、エアリフトポンプの数を多くして、やはりコストを高くすることとなっていた。
また、特許文献1においては、微細目スクリーンを通る前に流量が調整されているわけではなく、流入される粗大固形物とし渣とが制限なく攪拌槽の一つの部屋で除去するように構成されていた。そのため、流入される汚水は攪拌室で攪拌された後、微細目スクリーンを通ることから、攪拌室で汚物が分解されることがあっても、微細目スクリーンには、し渣が付着しやすい。したがって、スクリーンを付着するし渣を充分に取り除くことができず、目詰まりを起こしやすかった。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、微細目スクリーンの目詰まりをなくして、夾雑物を含むし渣を確実に除去するとともに、省電力で廉価に構成された浄化槽を提供することを目的とする。そのために、本発明に係る浄化槽は以下のように構成するものである。すなわち、
請求項1記載の発明では、流入された汚水中の粗大固形物を除去するばっ気型スクリーン槽又は荒目スクリーン槽と、し渣・夾雑物を除去する微細目スクリーン槽と、充填された担体が流動する担体流動槽とを備える浄化槽であって、前記微細目スクリーン槽が、多孔製のスクリーン板を有する多孔スクリーン槽として形成され、前記多孔スクリーン槽が、前記ばっ気型スクリーン槽又は荒目スクリーン槽と前記担体流動槽との間に配設されるとともに、前記スクリーン板で前記多孔スクリーン槽と前記担体流動槽を連通可能に仕切るように、前記担体流動槽に隣接して配設されていることを特徴とするものである。
請求項2記載の発明では、前記多孔スクリーン槽内において、汚泥・し渣を汚泥濃縮貯留槽に移送する1個のエアリフトポンプが配設されていることを特徴としている。
請求項3記載の発明では、前記多孔スクリーン槽内には、前記スクリーン板と平行して整流板が配設されていることを特徴としている。
請求項4記載の発明では、前記多孔スクリーン槽内には、前記多孔スクリーン槽の底部に空気の出口を有する散気装置が配設されていることを特徴としている。
本発明によれば、浄化槽に流入される汚水は、ばっ気スクリーン槽又は荒目スクリーン槽において30mm又は50mm以上の粗大固形物を除去する。粗大固型物が除去された汚水は、流量調整槽によって設定流量に調整された汚水を多孔スクリーン槽に移送して2mm以上のし渣を除去する。したがって、多孔スクリーン槽を透過した汚水は粗大固形物とし渣が除去されることから、担体流動槽に移送する汚水は、生物反応による除去が行われることとなる。このため、多孔スクリーン槽を透過した汚水は2段構造による粗大固形物やし渣の除去によって確実に汚物が除去される。
また、本発明においては、担体流動槽は、多孔スクリーン槽の後工程で多孔スクリーン槽とスクリーン板で連通可能に仕切られるように隣接して設けられていることから、汚水はスクリーン板を透過する際にし渣を除去することができる。このため、スクリーン板を揺動する必要がないから、揺動させるためのモータを必要とすることなく廉価に構成できる。また多孔スクリーン槽のスクリーン板に付着したし渣は、担体流動槽内で回流する流動担体がスクリーン板に接触することによってスクリーン板から離隔する。これによって、目詰まりを防止することができる。また、多孔スクリーン槽と担体流動槽とがスクリーン板を介して部屋同士つながっていることから、両部屋の汚泥濃度は均一となって汚泥調整と、し渣等の汚泥濃縮貯留槽への移送を、従来2つのエアリフトポンプで行っていたものを1つのエアリフトポンプで行うことができる。
また、多孔スクリーン槽内には、スクリーン板と略平行に配置した整流板を設けているから、スクリーン板と整流板との間で、ばっ気により、気砲の流速を速めることができる。この際、散気装置から発生する気泡がスクリーン板と整流板との間で回流することになり、気泡とスクリーン板との接触効率を向上するからスクリーン板の目詰まりの防止を促進することができる。
次に、本発明の浄化槽の一実施形態を図面に基づいて説明する。この形態の浄化槽においては、粗大固形物をばっ気型スクリーン槽(又は荒目スクリーン槽)で除去した後、流量調整された汚水を微細目スクリーン槽で2mm以上のし渣を除去するように構成されている。
図1のフローチャートに示すように、実地形態においては、浄化槽1において、流入された汚水は、ばっ気型スクリーン槽2を通って50mm以上の粗大固形物を除去する。粗大固形物が除去された汚水は、流量調整槽3において、流量調整されて微細目スクリーンとしての多孔スクリーン槽10に移送される。多孔スクリーン槽10は箱状に形成されて、2mm以上の夾雑物を含むし渣が除去される。この際、多孔スクリーン槽10の底部に沈殿された汚泥・し渣等は1個のエアリフトポンプ15(図4参照)で汚泥濃縮貯留槽4に送られる。2mm以上のし渣が除去された汚水は、担体流動槽5に送られて担体による生物反応処理される。そして、生物ろ過槽6でろ過されて浄化された水が消毒されて放流ポンプ槽7から外部に放流される。生物ろ過槽6で残された汚泥は、流量調整槽3に戻すように循環されて、新たに流入された汚水とともに流量が調整された状態で、再び浄化されることになる。
この浄化槽1の詳細を、図2〜10に示す。図2は平面図を示すものであり、図3はその断面図を示すものである。浄化槽1のケース1a内には、流入側から順に、ばっ気型スクリーン槽2、流量調整槽3、汚泥濃縮貯留槽4、多孔スクリーン槽10、担体流動槽5、生物ろ過槽6、放流ポンプ槽7がそれぞれ配置されている。
ばっ気型スクリーン槽2は、図2、図3、図8に示すように、ケース1aの端部から流体調整槽3内に侵入するように配置されるとともに、ばっ気型スクリーン槽2には、櫛状に形成されたバースクリーン21が配置されて、50mm以上の粗大固形物をばっ気により除去可能に構成されている。ばっ気型スクリーン槽2と流量調整槽3との間は、壁で遮蔽可能に仕切られていて、粗大固形物が除去された汚水は配管部材を通して流量調整槽3に送られる。流量調整槽3は、ばっ気型スクリーン槽2と汚泥濃縮貯留槽4との間において壁で遮蔽可能に仕切られて汚水が貯留されている。流量調整槽3には、貯留されている汚水を上方に汲み上げる電動ポンプ31と、汲み上げられた汚水を計量する計量装置32とを備えている。そして、所定量に計量された汚水分だけを移流管33を通して多孔スクリーン槽10に移送する。また、流量調整槽3の上部には、生物ろ過槽6からの汚泥を戻す後述の移送管64が接続され、生物ろ過槽6から除去された汚泥を底部に落下させている。
なお、実施形態においては、ばっ気型スクリーン槽2で粗大固形物を除去するようにしているが、ばっ気型スクリーン槽2の代わりに荒目スクリーン槽を配置してもよい。この場合、スクリーンとしては、同様にバースクリーンが使用され、粗大固形物は50mm以上のものが除去されることとなる。
実施形態の多孔スクリーン槽10は、後面の下部に傾斜部を有してホッパ状に形成された箱状であり、汚泥濃縮貯留槽4内において、担体流動槽5と向かい合う位置に侵入するように配置されている。
多孔スクリーン槽10を詳細に説明すれば、図4〜7に示すように、担体流動槽5に対向する面を開放したホッパ状のケース11と、ケース11の開放した面に挿入するように固着された多孔製のスクリーン板12と、スクリーン板12の上方に配置された副水路13と、多孔スクリーン槽10内においてスクリーン板12に対して、担体流動槽5と離れた位置に平行に配置された整流板14と、多孔スクリーン槽10に沈殿した汚泥やし渣を吸込んで汚泥濃縮貯留槽4に移送するエアリフトポンプ15と、ケース11内に空気を送給して気泡を発生させる散気装置18を備えている。
ケース11は、上部で流量調整槽3から延設された移流管33の先端部を受け入れるとともに、担体流動槽5側に対向する面だけを開口して汚泥濃縮貯留槽4とは外壁で遮蔽するように形成されている。ケース11の後側下部は担体流動槽5側に下傾部11aを形成してケース11の下部を狭くしている。ケース11の下部で下傾部11aを形成することによって汚泥を溜まりにくくして後述のエアリフトポンプ15で汚泥を汚泥濃縮貯留槽4に回収し易くしている。
スクリーン板12は、多孔スクリーン槽10と担体流動槽5との間で、スクリーン板12の網目模様の多孔によって汚水が行き来できるように配置されている。孔の径は、約2mm以下に形成されているから、2mm以上のし渣は、スクリーン板12で捕捉される。捕捉されたし渣は、担体流動槽4の流動担体及び多孔スクリーン槽10内でばっ気により発生した気泡の接触によって、スクリーン板12から離隔されて多孔スクリーン槽10内で回流する。
副水路13は、スクリーン板12の上方でスクリーン板12より荒い目(5mm程度)に形成されて、万が一、スクリーン板12に目詰まりが発生した場合の汚水の通り道となる。
整流板14は、厚みの薄い矩形板状に形成され、スクリーン板12と平行に配置されるとともに、多孔スクリーン槽10内において、スクリーン板12に対して反担体流動槽5側に配置することにより、スクリーン板12との距離を狭くしている。スクリーン板12と整流板14との通路を狭くすることによって、ばっ気により発生した気泡や流動担体の流速を速めることができる。
実施形態のエアリフトポンプ15は、汚泥又はし渣を導入する導入管部16aと汚泥又はし渣を汚泥濃縮貯留槽4に送給する送給管部16bとを有してU字状に形成される移送管16と、送給管部16bに接続する空気送給管17とを有している。導入管部16aには、汚水の上面あたりに吸入口16cが形成されて、汚水内のし渣や汚泥を吸引可能とし、送給管部16bは、汚泥濃縮貯留槽4に接続する接続管16dに配管されている。また、空気送給管17は上部にブロワ17aが配置されて下部が送給管部16bに接続されている。このエアリフトポンプ15は導入管部16aの吸入口16cから吸入された汚泥やし渣を、空気送給管17から空気を供給することによって、送給管部16bに移送して接続管16dを介して汚泥濃縮貯留槽4に送ることとなる。
散気装置18は、入口18aをケース11の上面より突出して配置されるとともにケース11の底部でケース11に支持され、出口18bをケース11の底部に配置することによって、外部からの空気をケース11内に貯留された汚水内に放出させ、汚水内で気泡を発生させるように構成されている。
なお、この多孔スクリーン槽10は、図1のフローチャートで示す流れを確保できれば、汚泥濃縮貯留槽4内に侵入して配置されるのではなく、他の槽に組み込んでもよく、また、独立して配置されていてもよい。他の槽に組み込むことによって設置スペースを有効に利用できることとなる。また、汚泥濃縮貯留槽4を図3に配置する位置と別に設けてもよい。
担体流動槽5は、多孔スクリーン槽10と一面で連通して汚水の行き来を可能とするとともに、汚泥濃縮貯留槽4及び生物ろ過槽6とは、壁で遮蔽されて汚水の行き来を不可能に形成されている。担体流動槽5内には、固形物に生物を付着させて汚濁物質を処理する流動担体T(図11参照)が充填されて生物反応槽として配置されている。また、担体流動槽5内に、酸素供給管51を挿入して担体流動槽5内に酸素を供給する。供給された酸素によって担体流動槽5内はばっ気される。このばっ気により流動担体が回流して多孔スクリーン槽10のスクリーン板12に捕捉されたし渣に接触してスクリーン板12に付着したし渣をスクリーン板12から離隔する。これによって、スクリーン板12の目詰まりを防止する。なお、実施形態の酸素供給管51は、担体流動槽5内に垂直方向に配置させるとともに、担体流動槽5の上面を突出するように空気導入口51aを配置し、底部に二股状に形成する空気排出筒51bを配置している。なお、空気排出筒51bは、担体流動槽5の底部に配置されているものであれば、二股状ではなく1個でもよくまた多数に配置されていてもよい。さらに、酸素供給管51の出口から空気を供給できるものであれば、図例のような水平方向に配置するものではなく、例えば、空気排出筒51bを削除して垂直方向に設置した酸素供給管51の端部から、直接空気を排出するようにしてもよい。
生物ろ過槽6は、図3及び図9に示すように、担体流動槽5で生物反応処理された汚水中の汚泥を沈殿させてろ材でろ過するものであり、担体流動槽5から接続される吸入管61と、生物ろ過槽6の上部に配置されるろ材62と、ろ過された汚泥を複数のエアリフトポンプ63で流量調整槽3に移送する移送管64とを備えている。
放流ポンプ槽7は、図3及び図10に示すように、消毒室71と放流ポンプ室72とを備え、消毒室において生物ろ過槽でろ過された汚水を消毒して放流ポンプ室に配置された電動ポンプ73で排出口74から外部に放流される。
次に上述のように構成された浄化槽1の作用について説明する。
浄化槽1に流入された汚水は、ばっ気型スクリーン槽2に流入すると櫛目状のバースクリーン21で50mm以上の粗大固形物が除去されて流量調整槽3に移送される。バースクリーン21に付着された粗大固形物は、ばっ気により除去装置によって除去されて貯留される。そしてバースクリーン21は、定期的に清掃される。
ばっ気型スクリーン槽2から流量調整槽3に流入された汚水は、流量調整槽3の底部に貯留される。流量調整槽3には、生物ろ過槽6で除去された汚泥が常時回収されている。汚泥やし渣を含んだ汚水は電動ポンプ31により上方に吸い上げられる。そして、上部に配置された計量装置32で所定量の汚水が計量されて移流管33を通って多孔スクリーン槽10内に流入される。
図11に示すように、多孔スクリーン槽10では、移流管33を通って貯留された汚水はスクリーン板12を通って担体流動槽5に流れることから、スクリーン板12を透過することによって2mm以上の夾雑物を含むし渣がスクリーン板12で捕捉される。一方、汚水中に含まれる汚泥は多孔スクリーン槽10の底部に沈殿する。
また、多孔スクリーン槽10内には、整流板14が設置されているとともに、底部に出口18bを配置した散気装置18が多孔スクリーン槽10内でばっ気を行うように配置されている。散気装置18は、ケース11の上面より突出位置で空気の入口18aを備えているから、汚水内の出口18bから気泡Eが吹出される。気泡Eはスクリーン板12と整流板14との間を通って上昇する。スクリーン板12と整流板14との間は狭い通路に形成されているから、汚水の流れが速くなるとともに、ケース11の下傾部11aにより多孔スクリーン槽10内の回流の効率を促進する。
また、図12に示すように、多孔スクリーン槽10と担体流動槽5とはスクリーン板12を介して連通可能に配置されているから、担体流動槽5においては、し渣が除去された汚水が貯留される。担体流動槽5には、流動担体Tが充填されており、流動担体Tは、担体流動槽5内に配置されてばっ気を行うための酸素供給管51が配置されている。酸素供給管51の空気排出筒51bから酸素を供給することによって、担体流動槽5内は気泡Eが排出され、流動担体Tとともに担体流動槽5内を回流する。流動担体Tはスクリーン板12を通って多孔スクリーン槽10内にも入り込んで、多孔スクリーン槽10と担体流動槽5内では、流動担体Tと気泡Eとが回流することとなる。
したがって、スクリーン板12では、散気装置18から排出された気泡Eと、担体流動槽5で回流した流動担体Tとが、スクリーン板12に付着したし渣と接触して、し渣をスクリーン板12から離隔させる。これによってスクリーン板12の目詰まりを防止することとなる。
離隔したし渣や底部に貯留されている汚泥は、図13に示すように、多孔スクリーン槽10内で回流して、エアリフトポンプ15の移送管16の吸入口16cから移送管16の導入管部16aに吸入される。そして空気送給管17(図4参照)から空気を送り込むことによって、汚泥・し渣は送給管部16bに移送されて接続管16dから汚泥濃縮貯留槽4に送られることとなる。
また、万が一スクリーン板12に目詰まりがあった場合、多孔スクリーン槽10内では、汚水の水位が上昇することになる。汚水の水位が上昇すると、汚水はスクリーン板12の上方に配置された副水路13を通って担体流動槽5内に流入される。副水路13は、スクリーン板12より目が荒く形成されていることから、スクリーン板12で目詰まりが発生しても副水路13では汚水を透過し易くなる。
担体流動槽5内では、流動担体Tに付着した微生物が汚水と接触することによって、汚水中のBODを分解除去することとなる。そして、担体流動槽5で生物反応処理された汚水は、生物ろ過槽6に移送される。
生物ろ過槽6では、底部に汚水が貯留されている。汚水が底部から上部へ流れる際に、ろ材62を通過する。汚水がろ材62を通過することによって汚水中の汚泥がろ過される。汚泥を沈殿させた汚水は放流ポンプ槽7に消毒室71に流入されて消毒された後、放流ポンプ室72の電動ポンプ73によって槽外に放流される。
生物ろ過槽6内でろ過されて沈殿した汚泥は、エアリフトポンプ63によって、常時流量調整槽3に移送される。一方、ろ材62は、毎日、汚水の流入が停止している間に、ばっ気により攪拌にてろ材62内の汚泥を除去することによって洗浄されている。この際、同時に多孔スクリーン槽10内では、回流している汚泥・し渣を汚泥濃縮貯留槽4に移送することになる。
上述のように、実施形態の浄化槽1では、多孔スクリーン槽10と担体流動槽5がスクリーン板12を介して連通されていることから、汚水中のし渣はスクリーン板12を透過することによって除去される。そのため、スクリーン板12を揺動する必要とすることはないからスクリーン板12を揺動するモータを削除できる。
したがって、スクリーン板12に動力を付与しないことによって、イニシャルコストを低減することができる。つまり、スクリーン板12でし渣を除去する際に、担体流動槽5のばっ気に使用する空気の一部を利用していることから、専用の電力は必要なく従来に比べて省電力となる。また、専用の電力がないことから、基本的に消耗品はなく、維持費を低減することができてランニングコストを低減することができる。さらに、浄化槽設置時に電気工事を削除することができる。そのため、工期を短縮することが可能となる。
またスクリーン板12に捕捉されて付着したし渣は、多孔スクリーン槽10及び担体流動槽5内で回流する気泡Eや流動担体Tの接触でスクリーン板12から離隔される。これによってスクリーン板12の目詰まりが防止される。
また、スクリーン板12の目詰まりの防止は、スクリーン板12と平行に配置される整流板14によって、ばっ気によって発生した気泡Eや回流する流動担体Tのスクリーン板12への接触を良好にすることから、さらに促進することができる。
また、多孔スクリーン槽10と担体流動槽5とがスクリーン板12を介して部屋同士つながっていることから、両部屋の汚泥濃度は均一となって汚泥調整と、し渣等の汚泥濃縮貯留槽への移送を、従来2つのエアリフトポンプで行っていたものを1つのエアリフトポンプ15で行うことができる。これによって部品の点数を減少することができて廉価に製作できることとなる。
さらに、スクリーン板の上部には、スクリーン板12より目の荒い副水路13を設けてあるから、万が一、スクリーン板12に目詰まりが生じたとしても、副水路13を通って汚水を担体流動槽5に移送することができる。
なお、本発明の浄化槽は、上述の形態に限定するものではない。例えば、請求項1の構成による、多孔スクリーン槽10と担体流動槽5とを多孔製のスクリーン板で連通可能に隣接させることは、例えば、多孔スクリーン槽に汚水を送給するための流量調整槽を通らないタイプのものであっても適用できるものである。
また、各層で配置されたエアリフトポンプは、槽内に酸素を供給できるものであれば、他の構成のものであっても適用できるものである。
本発明の一形態の浄化槽を示すフローチャートである。 本発明の一形態の浄化槽を示す平面図である。 同縦断面図である。 図3における多孔スクリーン槽の内部を示す正面図である。 同平面図である。 図5におけるVI−VI断面図である。 図5におけるVII−VII断面図である。 図2におけるVIII−VIII断面図である。 図2におけるIX−IX断面図である。 図2におけるX−X断面図である。 多孔スクリーン槽・担体流動槽内の汚水の流れを示す簡略作用図である。 スクリーン板の目詰まりを防止するための流れを示す簡略作用図である。 多孔スクリーン槽内の汚泥・し渣を除去する流れを示す簡略作用図である。 従来の浄化槽における汚水の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1、浄化槽
2、ばっ気型スクリーン槽
3、流量調整槽
4、汚泥濃縮貯留槽
5、担体流動槽
6、生物ろ過槽
7、放流ポンプ槽
10、多孔スクリーン槽
11、ケース
11a、下傾部
12、スクリーン板
13、副水路
14、整流板
15、エアリフトポンプ
16、移送管
16c、吸入口
16d、接続管
18、散気装置
21、バースクリーン
31、電動ポンプ
32、計量装置
51、酸素供給管
62、ろ材

Claims (4)

  1. 流入された汚水中の粗大固形物を除去するばっ気型スクリーン槽又は荒目スクリーン槽と、し渣を除去する微細目スクリーン槽と、充填された担体が流動する担体流動槽とを備える浄化槽であって、
    前記微細目スクリーン槽が、多孔製のスクリーン板を有する多孔スクリーン槽として形成され、前記多孔スクリーン槽が、前記ばっ気型スクリーン槽又は荒目スクリーン槽と前記担体流動槽との間に配設されるとともに、前記スクリーン板で前記多孔スクリーン槽と前記担体流動槽とを連通可能に仕切るように、前記担体流動槽に隣接して配設されていることを特徴とする浄化槽。
  2. 前記多孔スクリーン槽内において、汚泥・し渣を汚泥濃縮貯留槽に移送する1個のエアリフトポンプが配設されていることを特徴とする請求項1記載の浄化槽。
  3. 前記多孔スクリーン槽内には、前記スクリーン板と平行して整流板が配設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の浄化槽。
  4. 前記多孔スクリーン槽内には、前記多孔スクリーン槽の底部に空気の出口を有する散気装置が配設されていることを特徴とする請求項1,2又は3の何れかに記載の浄化槽。

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