JP2009242350A - 多官能含フッ素化合物及び該化合物の製造方法 - Google Patents

多官能含フッ素化合物及び該化合物の製造方法 Download PDF

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義人 田中
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卓司 石川
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Abstract

【課題】多官能含フッ素化合物及び該化合物の製造方法、該化合物からなる架橋剤、該化合物を含む硬化性組成物及び該組成物を硬化させた硬化物を提供する
【解決手段】
一般式(1)
−S−CX2CHF−Z−O−Rf (1)
[式中、Xは同一又は異なってH又はFであり、Zは−CF−又は単結合であり、Rfは少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキル基、又は少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基であり、Rは少なくとも1つの加水分解性金属アルコキシドを有する有機基である。]
で表される基を2以上有する化合物
【選択図】なし

Description

本発明は、多官能含フッ素化合物及び該化合物の製造方法、該化合物からなる架橋剤、該化合物を含む硬化性組成物及び該組成物を硬化させた硬化物に関する。
分子内にフッ素原子を有する含フッ素化合物は、光の透過性や光に対する耐久性に優れており、含フッ素化合物を含む材料は、塗料の架橋剤、硬化性組成物、光デバイス関連の封止部材用材料等として使用されている。これらの用途に使用される含フッ素化合物は、他の成分と反応する官能基を分子内に複数有することが望まれる。
しかしながら、含フッ素化合物の合成には、フッ素原子を有する特殊な原料が必要である。また、含フッ素化合物の反応性は一般的な有機化合物とは異なることが多いので、通常の有機合成の手法によって目的とする化合物を得ることは難しい。
特に、分子内に複数の官能基を有する多官能含フッ素化合物は合成が容易ではなく、官能基数が3以上の多官能含フッ素化合物になると、市販されているものは皆無の状況である。
このような状況下、分子内に複数の官能基を有する新規な多官能含フッ素化合物が求められている。
国際公開WO2004/016689パンフレット
本発明は、多官能含フッ素化合物及び該化合物の製造方法、該化合物からなる架橋剤、該化合物を含む硬化性組成物及び該組成物を硬化させた硬化物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、多官能チオール化合物と水酸基を有する含フッ素アリル化合物とのエンチオール反応、又は多官能チオール化合物と水酸基を有する含フッ素ビニルエーテル化合物とのエンチオール反応により、少なくとも1つの水酸基を有する多官能含フッ素化合物を合成し、さらに、得られた多官能含フッ素化合物中の該水酸基とのウレタン化反応により、分子内に加水分解性金属アルコキシドを2個以上もつ多官能含フッ素化合物を合成できることを見出した。
得られた多官能含フッ素化合物は、分子内に加水分解性金属アルコキシドを有するので、塗料の架橋剤として好適に使用できる。また、本発明の多官能含フッ素化合物を、他の成分と混合して硬化性組成物とし、これを硬化させて硬化物を製造することもできる。本発明は、この様な知見に基づき、さらに検討を重ねて完成されたものである。
本発明は、下記項1〜11に示す新規な多官能含フッ素化合物、該化合物の製造方法、該化合物からなる架橋剤、該化合物を含む硬化性組成物及び該組成物を硬化させた硬化物を提供する。
項1. 一般式(1)
−S−CX2CHF−Z−O−Rf (1)
[式中、Xは同一又は異なってH又はFであり、Zは−CF−又は単結合であり、Rfは少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキル基、又は少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基であり、Rは少なくとも1つの加水分解性金属アルコキシドを有する有機基である。]
で表される基を2以上有する化合物。
項2. 一般式(1a)
Figure 2009242350
[式中、TはO、N及びSからなる群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を有していてもよい炭化水素であり、pは2以上の整数であり、X、Z及びRfはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
で表される項1に記載の化合物。
項3. 一般式(1b)
Figure 2009242350
[式中、Rは同一又は異なって単結合、−C2a−、−C2b−B−C2c−又は−S−C2d−であり、a、b、c及びdは同一又は異なって1以上の整数であり、Bは−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)−又は−O−であり、Aは−C2e−又は−C2f−E−C2g−であり、e、f及びgは同一又は異なって1以上の整数であり、Eは−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)−又は−O−であり、RはH、置換基を有していてもよいアルキル基又は式:−R−S−CX2CHF−Z−O−Rfで表される基であって、RはH、置換基を有していてもよいアルキル基又は式:−R−S−CX2CHF−Z−O−Rfで表される基であって、qは0以上の整数であり、X、Z及びRfはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
で表される項2に記載の化合物。
項4. 一般式(1c)
Figure 2009242350
[式中、Qは置換基を有していてもよい脂肪族環、置換基を有していてもよいヘテロ脂肪族環、置換基を有していてもよい芳香族環又は置換基を有していてもよいヘテロ芳香族環であり、該置換基はそれぞれ炭素数1〜12のアルキル基、−OH、−COOR、−CONR、―NH2、−COCl、―SOF、―SOH及び−CNからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、RはH、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、R及びRは同一又は異なってH、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、rは2以上の整数であり、X、Z及びRfはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
で表される項2に記載の化合物。
項5. XがH、Zが−CF−である項1〜4のいずれかに記載の化合物。
項6. XがF、Zが単結合である項1〜4のいずれかに記載の化合物。
項7. Rfが少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の含フッ素アルキル基、又は少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数2〜50のエーテル結合を有する直鎖又は分岐鎖の含フッ素アルキル基である項1〜6のいずれかに記載の化合物。
項8. 分子内に2以上の一般式(1)
−S−CX2CHF−Z−O−Rf (1)
[式中、Xは同一又は異なってH又はFであり、Zは−CF−又は単結合であり、Rfは少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキル基、又は少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基であり、Rは少なくとも1つの加水分解性金属アルコキシドを有する有機基である。]
で表される基を有する化合物の製造方法であって、分子内に2以上の一般式(2)
−S−CX2CHF−Z−O−Rf (2)
[式中、Rfは少なくとも1つの水酸基を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキル基、又は少なくとも1つの水酸基を有する炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基であり、X及びZは前記に同じ。]
で表される基を有する化合物を一般式(3)
O=C=N−R (3)
[式中、Rは前記に同じである。]
で表される化合物と反応させることを特徴とする製造方法。
項9. 項1〜7のいずれかに記載の化合物からなる塗料用架橋剤。
項10. 項1〜7のいずれかに記載の化合物を含有する硬化性組成物。
項11. 項10に記載の硬化性組成物を硬化して得られる硬化物。
多官能含フッ素化合物
本発明の多官能含フッ素化合物は、下記一般式(1)
−S−CX2CHF−Z−O−Rf (1)
[式中、Xは同一又は異なってH又はFであり、
Zは−CF−又は単結合であり、
Rfは少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキル基、又は少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基であり、
は少なくとも1つの加水分解性金属アルコキシドを有する有機基である。]
で表される基を2以上有することを特徴とする化合物である。
一般式(1)のRfにおいて、「少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキル基」の含フッ素アルキル基は、炭素数1〜20の含フッ素アルキル基が好ましく、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基がより好ましい。該含フッ素アルキル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよい。
一般式(1)のRfにおいて、「少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基」の含フッ素アルキル基は、炭素数2〜50のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基が好ましく、炭素数2〜25のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基がより好ましい。該含フッ素アルキル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよい。
一般式(1)において、Rf中のRは少なくとも1つの加水分解性金属アルコキシドを有する有機基である。該少なくとも1つの加水分解性金属アルコキシドを有する有機基としては、例えば、下記一般式(A)
11 (R12O)M{O−MR11 (OR12)}−R11 (OR12) (A)
[式中、Mは金属であり、R11は同一又は異なってイソシアネート基を1つ有する有機基であり、R12は同一又は異なってアルキル基、アルコキシアルキル基、またはアリール基であり、aは1〜3の整数、bは0〜4の整数、a+b=2〜4、dは0又は1、eは0又は1、d+e=1、fは0〜10の整数、gは0〜3の整数、hは0〜3の整数、g+h=1〜3であり、b、e及びhの少なくとも1つが1以上である。]
で表される加水分解性金属アルコキシド化合物のイソシアネート基を除く部位(基)が挙げられる。一般式(A)において、fは0〜4の整数が好ましい。
一般式(A)において、R11の「イソシアネート基を1つ有する有機基」の有機基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。該アルキル基は、直鎖、分岐鎖のいずれであっても良い。
一般式(A)において、R12のアルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、シクロデシル等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。R12のアルコキシアルキル基としては、例えば、炭素数1〜12のアルコキシアルキル基が挙げられる。R12のアリール基としては、例えば、炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
一般式(A)において、アルコキシ基の数は1〜12、例えば1〜4であってよい。
の「少なくとも1つの加水分解性金属アルコキシドを有する有機基」は前記一般式(A)で表される加水分解性金属アルコキシド化合物のイソシアネート基を除く部位(基)の中でも、例えば、下記一般式(B):
(R11M(OR12 (B)
[式中、jは2〜5の整数、kは1又は2、j+k=3〜5の整数であり、R11及びR12は前記に同じ。]
で表される加水分解性金属アルコキシド化合物のイソシアネート基を除く部位(基)であってもよい。
一般式(B)において、jは3又は4であることが好ましく、kは1であることが好ましい。
加水分解性金属アルコキシドを有する有機基の金属(M)としては、例えば、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉄(Fe)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、リン(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ひ素(As)、セレン(Se)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
これらの中でも、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉄(Fe)が好ましい。
少なくとも1つの加水分解性金属アルコキシドを有する有機基の好ましいものとしては、例えば、下記一般式
Figure 2009242350
[式中、nは1〜10の整数であり、R12は前記に同じである。]
で表される有機基が挙げられる。
これらの中でも具体的な有機基としては、例えば、下記一般式
Figure 2009242350
で表される有機基が挙げられる。
一般式(1)のRfにおいて、式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基は、Rf中に少なくとも1つ存在すればよく、Rf中の該置換基の数は通常1〜10程度、好ましくは1〜6程度、より好ましくは1〜3程度である。
これらの加水分解性金属アルコキシドを少なくとも2つ有する本発明の多官能含フッ素化合物は、該置換基が官能基となるので、塗料の架橋剤等として使用できる。
一般式(1)のRfにおいて、「少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキル基」及び「少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基」の具体的な構造式としては、例えば、以下の構造式で表すことができる。
Figure 2009242350
[式中、l及びmは同一又は異なって1〜10の整数であり、nは0〜5の整数であり、n1は1〜10の整数であり、Rは前記に同じであり、各繰り返し単位はこの順に限られず、ブロックでもよくランダムでもよい。]
Figure 2009242350
[式中、s、t及びuは同一又は異なって0又は1であり、n、n及びnは同一又は異なって0以上の整数であって、n+n+n=1〜10であり、X、X、X及びXは同一又は異なってF又はCF3であり、X、X及びX6は同一又は異なってH又はFであり、n、n1及びRは前記に同じであり、各繰り返し単位はこの順に限られず、ブロックでもよくランダムでもよい。]
等が挙げられる。
Rfはこれらの中でも、下記構造式で表されるものが好ましい。
Figure 2009242350

[式中、n、n1及びRは前記に同じ。]
Figure 2009242350
[式中、n、n1及びRは前記に同じ。]
一般式(1)−S−CX2CHF−Z−O−Rfの中でも、XがHかつZが−CF−である化合物、又はXがFかつZが単結合である化合物が好ましい。
一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(1a)
Figure 2009242350
[式中、TはO、N及びSからなる群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を有していてもよい炭化水素であり、pは2以上の整数であり、X、Z及びRfはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
で表される化合物が好ましい。
一般式(1a)において、X、Z及びRfはそれぞれ同一又は異なり、上記一般式(1)で表される化合物のものと同じである。
また、一般式(1a)で表される化合物において、式:−(S−CXCHF−Z−O−Rf)で表される基は、p個(pは2以上の整数)存在し、それぞれ同一又は異なる。pは通常2〜20の整数、好ましくは2〜10の整数、より好ましくは2〜6の整数である。
一般式(1a)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記一般式(1b)
Figure 2009242350
[式中、Rは同一又は異なって単結合、−C2a−、−C2b−B−C2c−又は−S−C2d−であり、
a、b、c及びdは同一又は異なって1以上の整数であり、
Bは−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)−又は−O−であり、
Aは−C2e−又は−C2f−E−C2g−であり、
e、f及びgは同一又は異なって1以上の整数であり、
Eは−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)−又は−O−であり、
はH、置換基を有していてもよいアルキル基又は式:−R−S−CX2CHF−Z−O−Rfで表される基であって、
はH、置換基を有していてもよいアルキル基又は式:−R−S−CX2CHF−Z−O−Rfで表される基であって、
qは0以上の整数であり、
X、Z及びRfはそれぞれ同一又は異なって前記に同じであり、
式:−(S−CXCHF−Z−O−Rf)で表される基は同一又は異なる。]
で表される化合物が挙げられる。
一般式(1b)中、Rは同一又は異なって単結合、−C2a−、−C2b−B−C2c−又は−S−C2d−である。a、b、c及びdは同一又は異なって1以上の整数であり、好ましくは1〜20の整数、より好ましくは1〜10の整数である。
また、Rが−C2b−B−C2c−で示される基において、Bは−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)−又は−O−である。ただし、Rにおいて、−C2a−、−C2b−B−C2c−及び−S−C2d−はそれぞれ紙面の右側結合子が一般式(1b)中の−S−CX2CHF−Z−O−RfのS原子に結合する。Bはこれらの中でも、−OC(=O)−が好ましい。
一般式(1b)中、Aは−C2e−又は−C2f−E−C2g−である。e、f及びgは同一又は異なって1以上の整数であり、好ましくは1〜20の整数、より好ましくは1〜10の整数である。Eは−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)−又は−O−である。Eはこれらの中でも、−O−が好ましい。
一般式(1b)において、RはH、置換基を有していてもよいアルキル基又は式:−R−S−CX2CHF−Z−O−Rfで表される基である。
で示される「置換基を有していてもよいアルキル基」のアルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、シクロデシル等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基である。該アルキル基は置換されていてもよく、該置換基としては、本発明に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。該置換基としては、例えば、−OH、−COOH、−COOCH、−NH、−COOCHCH、−COOCHCF等が挙げられる。該アルキル基は、これらの群から選ばれる少なくとも1種で1〜3個置換されていてもよい。
一般式(1b)において、RはH、置換基を有していてもよいアルキル基又は式:−R−S−CX2CHF−Z−O−Rfで表される基である。
で示される「置換基を有していてもよいアルキル基」のアルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、シクロデシル等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基である。該アルキル基は置換されていてもよく、該置換基としては、本発明に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。該置換基としては、例えば、−OH、−COOH、−COOCH、−NH、−COOCHCH、−COOCHCF等が挙げられる。該アルキル基は、これらの群から選ばれる少なくとも1種で1〜3個置換されていてもよい。
一般式(1b)において、qは0以上の整数である。qは0〜10の整数であることが好ましく、0〜5の整数であることがより好ましく、0又1であることが特に好ましい。
一般式(1b)で表される化合物の中でも、特に好ましい化合物として、下記一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009242350
[式中、X、Z、Rf、b及びcはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
Figure 2009242350
[式中、X、Z、Rf、b、c、f及びgはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
Figure 2009242350
[式中、X、Z、Rf、b、c、及びeはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
Figure 2009242350
[式中、X、Z、Rf、b及びcはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
Figure 2009242350
[式中、X、Z、Rf、b及びcそれぞれ同一又は異なって前記に同じであり、Rは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基である。]
さらに、一般式(1a)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記一般式(1c)
Figure 2009242350
[式中、Qは置換基を有していてもよい脂肪族環、置換基を有していてもよいヘテロ脂肪族環、置換基を有していてもよい芳香族環又は置換基を有していてもよいヘテロ芳香族環であり、
該置換基はそれぞれ炭素数1〜12のアルキル基、−OH、−COOR、−CONR、―NH2、−COCl、―SOF、―SOH及び−CNからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
はH、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、
及びRは同一又は異なってH、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、
rは2以上の整数であり、
X、Z及びRfはそれぞれ同一又は異なって前記に同じであり、
式:−(S−CXCHF−Z−O−Rf)で表される基は同一又は異なる。]
で表される化合物が挙げられる。
一般式(1c)において、X、Z及びRfはそれぞれ同一又は異なり、上記一般式(1)で表される化合物のものと同じである。
一般式(1c)のQにおいて、置換基を有していてもよい脂肪族環は、単環、複環のいずれであってもよい。また、置換基を有する場合、該置換基はそれぞれ炭素数1〜12のアルキル基、−OH、−COOR、−CONR、―NH2、−COCl、―SOF、―SOH及び−CNからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
該置換基−COORにおいて、RはH、アルキル基又は含フッ素アルキル基である。該アルキル基としては、例えば、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。該含フッ素アルキル基としては、例えば、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状の含フッ素アルキル基が挙げられる。
また、置換基−CONRにおいて、R及びRは同一又は異なってH、アルキル基又は含フッ素アルキル基である。該アルキル基としては、例えば、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。また、該含フッ素アルキル基としては、例えば、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状の含フッ素アルキル基が挙げられる。
一般式(1c)で表される化合物において、rは2以上の整数であり、−(S−CXCHF−Z−O−Rf)で表される基は、一般式(1c)で表される化合物中に2つ以上存在する。rは通常2〜20の整数、好ましくは2〜10の整数、より好ましくは2〜6の整数である。
置換基を有していてもよい脂肪族環の炭素数は、通常3〜100程度、好ましくは3〜50程度、より好ましくは3〜12程度である。
置換基を有していてもよい脂肪族環の具体例としては、下記一般式で表される脂肪族環が挙げられる。
Figure 2009242350
[式中、それぞれの脂肪族環は一般式(1c)と同じ置換基を有していてもよく、X、Z及びRfは前記一般式(1)で表される化合物のものと同じであり、rは一般式(1c)のものと同じである。]
一般式(1c)のQにおいて、置換基を有していてもよいヘテロ脂肪族環は、単環、複環のいずれであってもよい。また、置換基を有する場合、該置換基はそれぞれ炭素数1〜12のアルキル基、−OH、−COOR、−CONR、―NH2、−COCl、―SOF、―SOH及び−CNからなる群から選ばれる少なくとも1種である。R、R及びRは、前記置換基を有していてもよい脂肪族環のものと同じである。
置換基を有していてもよい脂肪族環の炭素数は、通常2〜100程度、好ましくは2〜50程度、より好ましくは2〜12程度である。
ヘテロ脂肪族環に含まれるヘテロ原子としては、例えば、O、N及びSからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
該置換基を有していてもよいヘテロ脂肪族環の具体例としては、下記一般式で表されるヘテロ脂肪族環が挙げられる。
Figure 2009242350
[式中、それぞれのヘテロ脂肪族環は一般式(1c)と同じ置換基を有していてもよく、X、Z及びRfは前記一般式(1)で表される化合物のものと同じであり、rは一般式(1c)のものと同じである。]
一般式(1c)のQにおいて、置換基を有していてもよい芳香族環は、単環、複環のいずれであってもよい。また、置換基を有する場合、該置換基はそれぞれ炭素数1〜12のアルキル基、−OH、−COOR、−CONR、―NH2、−COCl、―SOF、―SOH及び−CNからなる群から選ばれる少なくとも1種である。R、R及びRは、前記置換基を有していてもよい脂肪族環のものと同じである。
置換基を有していてもよい芳香族環の炭素数は、通常6〜100程度、好ましくは6〜50程度、より好ましくは6〜20程度である。
置換基を有していてもよい芳香族環の具体例としては、下記一般式で表される芳香族環が挙げられる。
Figure 2009242350
[式中、それぞれの芳香族環は一般式(1c)と同じ置換基を有していてもよく、X、Z及びRfは前記一般式(1)で表される化合物のものと同じであり、rは一般式(1c)のものと同じである。]
一般式(1c)のQにおいて、置換基を有していてもよいヘテロ芳香族環は、単環、複環のいずれであってもよい。また、置換基を有する場合、該置換基はそれぞれ炭素数1〜12のアルキル基、−OH、−COOR、−CONR、―NH2、−COCl、―SOF、―SOH及び−CNからなる群から選ばれる少なくとも1種である。R、R及びRは、前記置換基を有していてもよい脂肪族環のものと同じである。
置換基を有していてもよいヘテロ芳香族環の炭素数は、通常4〜100程度、好ましくは4〜50程度、より好ましくは4〜20程度である。
置換基を有していてもよいヘテロ芳香族環の具体例としては、下記一般式で表されるヘテロ芳香族環が挙げられる。
Figure 2009242350
[式中、それぞれのヘテロ芳香族環は一般式(1c)と同じ置換基を有していてもよく、X、Z及びRfは前記一般式(1)で表される化合物のものと同じであり、rは一般式(1c)のものと同じである。]
製造方法
本発明の多官能含フッ素化合物の第一の製造方法は、分子内に2以上の一般式(2)
−S−CX2CHF−Z−O−Rf (2)
[式中、Xは同一又は異なってH又はFであり、
Zは−CF−又は単結合であり、
Rfは少なくとも1つの水酸基を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキル基、又は少なくとも1つの水酸基を有する炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基である。]
で表される基を有する化合物を一般式(3)
O=C=N−R (3)
[式中、Rは少なくとも1つの加水分解性金属アルコキシドを有する有機基である。]
で表される化合物と反応させて、分子内に2以上の下記一般式(1)
−S−CX2CHF−Z−O−Rf (1)
[式中、Rfは少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキル基、又は少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基であり、
X、Z及びRは前記の同じ。]
で表される基を有する化合物を得ることを特徴とする。
一般式(2)のRfにおいて、「少なくとも1つの水酸基を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキル基」の含フッ素アルキル基は、炭素数1〜20の含フッ素アルキル基が好ましく、炭素数1〜12の含フッ素アルキル基がより好ましい。該含フッ素アルキル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよい。
一般式(2)のRfにおいて、「少なくとも1つの水酸基を有する炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基」の含フッ素アルキル基は、炭素数2〜50のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基が好ましく、炭素数2〜25のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基がより好ましい。該含フッ素アルキル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよい。
一般式(2)で表される化合物において、Rfに少なくとも1つ存在する水酸基(−OH)が直接結合している炭素は、その化学結合様式から1級、2級及び3級の3種類の炭素に分類することができる。
本発明の製造方法においては、一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物との反応性の観点から、Rfに少なくとも1つ存在する水酸基(−OH)が直接結合している炭素は1級炭素であることが望ましい。
一般式(2)のRfにおいて、「少なくとも1つの水酸基を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキル基」及び「少なくとも1つの水酸基を有する炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基」の具体的な構造式としては、例えば、以下の構造式で表すことができる。
Figure 2009242350
[式中、l及びmは同一又は異なって1〜10の整数であり、nは0〜5の整数であり、n1は1〜10の整数であり、各繰り返し単位はこの順に限られず、ブロックでもよくランダムでもよい。]
Figure 2009242350
[式中、s、t及びuは同一又は異なって0又は1であり、n、n及びnは同一又は異なって0以上の整数であって、n+n+n=1〜10であり、X、X、X及びXは同一又は異なってF又はCF3であり、X、X及びX6は同一又は異なってH又はFであり、n及びn1は前記に同じであり、各繰り返し単位はこの順に限られず、ブロックでもよくランダムでもよい。]
等が挙げられる。
Rfはこれらの中でも、下記構造式で表されるものが好ましい。
Figure 2009242350


[式中、n及びn1は前記に同じ。]
Figure 2009242350

[式中、n及びn1は前記に同じ。]
さらに、Rfはこれらの中でも、特に下記構造式で表されるものが好ましい。
Figure 2009242350
[式中、nは前記に同じ。]
一般式(1)−S−CX2CHF−Z−O−Rfの中でも、XがHかつZが−CF−である化合物、又はXがFかつZが単結合である化合物が好ましい。
一般式(3)O=C=N−Rで表される化合物において、Rは一般式(1)と同じ「少なくとも1つの加水分解性金属アルコキシドを有する有機基」である。
少なくとも1つの加水分解性金属アルコキシドを有する有機基としては、下記一般式(A)
11 (R12O)M{O−MR11 (OR12)}−R11 (OR12) (A)
[式中、Mは金属であり、R11は同一又は異なってイソシアネート基を1つ有する有機基であり、R12は同一又は異なってアルキル基、アルコキシアルキル基、またはアリール基であり、aは1〜3の整数、bは0〜4の整数、a+b=2〜4、dは0又は1、eは0又は1、d+e=1、fは0〜10の整数、gは0〜3の整数、hは0〜3の整数、g+h=1〜3の整数であり、b、e及びhの少なくとも1つが1以上である。]
で表される加水分解性金属アルコキシド化合物のイソシアネート基を除く部位(基)が挙げられる。一般式(A)において、fは0〜4の整数が好ましい。
一般式(A)において、R11の「イソシアネート基を1つ有する有機基」の有機基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。該アルキル基は、直鎖、分岐鎖のいずれであっても良い。
一般式(A)において、R12のアルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、シクロデシル等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。R12のアルコキシアルキル基は、例えば、炭素数1〜12のアルコキシアルキル基である。R12のアリール基は例えば、炭素数6〜12のアリール基である。
一般式(A)において、アルコキシ基の数は1〜12、例えば1〜4であってよい。
の「少なくとも1つの加水分解性金属アルコキシドを有する有機基」は前記一般式(A)で表される加水分解性金属アルコキシド化合物のイソシアネート基を除く部位(基)の中でも、例えば、下記一般式(B):
(R11M(OR12 (B)
[式中、jは2〜5の整数、kは1又は2、j+k=3〜5の整数であり、R11及びR12は前記に同じ。]
で表される加水分解性金属アルコキシド化合物のイソシアネート基を除く部位(基)であってもよい。
一般式(B)において、jは3又は4であることが好ましく、kは1であることが好ましい。
加水分解性金属アルコキシドを有する有機基の金属(M)としては、例えば、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉄(Fe)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、リン(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ひ素(As)、セレン(Se)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
これらの中でも、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、鉄(Fe)が好ましい。
一般式(3)で表される化合物の好ましいものとしては、例えば、下記一般式
Figure 2009242350
[式中、nは1〜10の整数であり、R12は前記に同じである。]
で表される化合物が挙げられる。
これらの具体的な化合物としては、例えば、下記一般式
Figure 2009242350
で表される化合物が挙げられる。
本発明の製造方法において、分子内に2以上の一般式(2)で表される基を有する化合物の使用量は、分子内の水酸基の数によって異なり、例えば、水酸基1つに対して一般式(3)で表される化合物が1つ反応するのに足る量を使用すればよい。本明細書においては、この量を当量という。分子内に2個水酸基をもつ化合物においては、当量は分子量の1/2となり、同様に分子内に3個水酸基をもつ化合物では当量は分子量の1/3となる。
分子内に2以上の一般式(2)で表される基を有する化合物の使用量は、一般式(3)で表される化合物に対して、通常、0.01〜2当量程度、好ましくは0.1〜1.5当量程度、より好ましくは0.5〜1当量程度の量である。換言すれば、分子内に2以上の一般式(2)で表される基を有する化合物中の水酸基1モルに対して、一般式(3)で表される化合物を通常、0.5〜100モル程度、好ましくは0.67〜10モル程度、より好ましくは0.83〜2モル程度使用すればよい。
本発明の製造方法においては、分子内に2以上の前記一般式(2)で表される基を有する化合物と一般式(3)で表される化合物とがウレタン化反応(付加反応)してウレタン結合を形成する。一方、一般式(3)で表される化合物中に存在する末端二重結合は、実質的に反応せずに、本発明の多官能含フッ素化合物の反応性官能基となる。
本発明の多官能含フッ素化合物は、一般式(3)で表される化合物中に存在する上記置換基由来の反応性末端二重結合が分子内に複数存在するので、塗料の架橋剤、添加剤として好適に使用できる。また、発明の多官能含フッ素化合物を含む硬化性組成物とし、これを硬化させて硬化物を製造することもできる。
本発明の製造方法によって得られる「分子内に2以上の一般式(1)で表される基を有する化合物」中に未反応のOH基が存在する場合、該未反応のOH基は、本発明の多官能含フッ素化合物を硬化性組成物として用いる場合には、硬化反応基として作用する。
本発明の製造方法において、分子内に2以上の一般式(2)で表される基を有する化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
該ウレタン化反応は、分子内に2以上の一般式(2)で表される基を有する化合物と一般式(3)で表される化合物との混合物を加熱することによって容易に進行する。
該ウレタン化反応の加熱温度(反応温度)は、通常5〜90℃程度、好ましくは10〜70℃程度、より好ましくは20〜60℃程度である。
本発明の製造方法においては、分子内に2以上の一般式(2)で表される基を有する化合物と一般式(3)で表される化合物に触媒を使用しても良い。該触媒は、特に限定されず、ウレタン化反応に使用される従来公知のものを使用すればよく、市販品が容易に入手可能である。
該触媒としては、例えば、テトラエチルチタネート、テトラブチルチタネート等の有機チタン系化合物、オクチル酸スズ、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウレート等の有機スズ系化合物、塩化第一スズ、臭化第一スズ等のハロゲン系第一スズ等が挙げられる。
本発明の製造方法においては、触媒を使用することにより、より短時間でウレタン化反応が進行し、目的とする多官能含フッ素化合物が得られる。
ウレタン化反応に使用する触媒の使用量は、特に限定されず、適宜調整すればよいが、例えば、一般式(3)で表される化合物100質量部に対して、通常0.0001〜3質量部程度、好ましくは0.001〜1質量部程度、より好ましくは0.01〜0.5質量部程度である。
本発明の製造方法においては、さらに溶媒を使用しても良い。溶媒を使用する場合、溶媒としては、ウレタン化反応の進行を妨げない一般的に使用される従来公知の溶媒を使用すればよい。
溶媒としては、例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;HCFC225(ジクロロペンタフルオロプロパン)等のフッ素系の溶媒等を使用すればよい。OH基を有するアルコール系の溶媒は、ウレタン化反応の進行を妨げるため好ましくない。また、系内に水があってもウレタン化反応の進行が妨げられるため、各溶媒は使用前に脱水することがより好ましい
本発明の製造方法においては、必要に応じて、さらに他の成分を添加しても良い。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、レべリング剤、無機フィラー、有機フィラー等が挙げられる。
酸化防止剤を使用する場合、使用量は、一般式(3)で表される化合物100質量部に対して、通常0.01〜10質量部程度、好ましくは0.1〜2質量部程度、より好ましくは0.5〜1質量部程度である。
[一般式(2)で表される基を有する化合物の製造方法]
本発明の製造方法で使用する、前記分子内に2以上の一般式(2)で表される基を有する化合物は、例えば、分子内に2以上のチオール基を有する化合物を下記一般式(2−1)
CX2=CF−Z−O−Rf (2−1)
[式中、X、Z及びRfは前記に同じである。]
で表される化合物と反応させることにより得られる。
以下、分子内に一般式(2)で表される基を有する化合物の製造方法について説明する。
[分子内に2以上のチオール基を有する化合物]
一般式(2)で表される基を有する化合物の製造方法において、原料となる「分子内に2以上のチオール基を有する化合物」としては、例えば下記一般式(3a)
Figure 2009242350
[式中、TはO、N及びSからなる群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を有していてもよい炭化水素であり、pは2以上の整数である。]
で表される化合物が挙げられる。
一般式(3a)において、T及びpは一般式(1a)のものと同じである。
一般式(3a)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記一般式(3b)
Figure 2009242350
[式中、R5bはH、置換基を有していてもよいアルキル基又は式:−R−SHで表される基であって、R6bはH、置換基を有していてもよいアルキル基又は式:−R−SHで表される基であって、R、A及びqは前記に同じである。]
で表される化合物が挙げられる。
一般式(3b)において、R5bはH、置換基を有していてもよいアルキル基又は式:−R−SHで表される基である。
5bで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」のアルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、シクロデシル等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基である。該アルキル基は置換されていてもよく、該置換基としては、本発明に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。該置換基としては、例えば、−OH、COOH、−COOCH、−NH、−COOCHCH、−COOCHCF等が挙げられる。該アルキル基は、これらの群から選ばれる少なくとも1種で1〜3個置換されていてもよい。
一般式(3b)において、R6bはH、置換基を有していてもよいアルキル基又は式:−R−SHで表される基である。
6bで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」のアルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、シクロデシル等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基である。該アルキル基は置換されていてもよく、該置換基としては、本発明に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。該置換基としては、例えば、−OH、COOH、−COOCH、−NH、−COOCHCH、−COOCHCF等が挙げられる。該アルキル基は、これらの群から選ばれる少なくとも1種で1〜3個置換されていてもよい。
一般式(3b)で表される化合物の中でも、特に好ましい化合物として、下記一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009242350
[式中、b及びcはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
Figure 2009242350
[式中、b、c及びeはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
Figure 2009242350
[式中、b、c、f及びgはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
Figure 2009242350
[式中、b及びcはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
Figure 2009242350
[式中、b及びc、R5bそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
一般式(3b)で表される化合物としては、例えば、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトエタン、1,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、ジメルカプトブタン、ジメルカプトヘキサン、テトラキスメルカプトメチルメタン、ジメルカプトメタン、トリメルカプトメタン、1,2,3−トリメルカプトプロパン、1,2,3,4−テトラメルカプトブタン、ジメルカプトメタン、1,1−ジメルカプトエタン、1,2−ジメルカプトエタン、1,1−ジメルカプトプロパン、1,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、2,2−ジメルカプトプロパン、1,1−ジメルカプトブタン、1,2−ジメルカプトブタン、1,3−ジメルカプトブタン、1,4−ジメルカプトブタン、2,2−ジメルカプトブタン、2,3−ジメルカプトブタン、1,2−ジメルカプトエチルチオ−3−メルカプトプロパン、1,2−ビス−2−メルカプトエチルチオ−3−メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール等が挙げられる。
また、一般式(3a)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記一般式(3c)
Figure 2009242350
[式中、Q及びrは前記一般式(1c)のものと同じである。]
で表される化合物が挙げられる。
一般式(3c)において、Qは、前記一般式(1c)と同じ置換基を有していてもよい脂肪族環、置換基を有していてもよいヘテロ脂肪族環、置換基を有していてもよい芳香族環又は置換基を有していてもよいヘテロ芳香族環である。該置換基はそれぞれアルキル基、−OH、−COOR、−CONR、―NH2、−COCl、―SOF、―SOH及び−CNからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
一般式(3c)のQにおいて、置換基を有していてもよい脂肪族環は、単環、複環のいずれであってもよい。また、置換基を有する場合、該置換基はそれぞれアルキル基、−OH、−COOR、−CONR、―NH2、−COCl、―SOF、―SOH及び−CNからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
該置換基−COORにおいて、RはH、アルキル基又は含フッ素アルキル基である。該アルキル基としては、例えば、炭素数1〜10の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。該含フッ素アルキル基としては、例えば、炭素数1〜10の直鎖、分岐鎖又は環状の含フッ素アルキル基が挙げられる。
また、置換基−CONRにおいて、R及びRは同一又は異なってH、アルキル基又は含フッ素アルキル基である。該アルキル基としては、例えば、炭素数1〜10の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。また、該含フッ素アルキル基としては、例えば、炭素数1〜10の直鎖、分岐鎖又は環状の含フッ素アルキル基が挙げられる。
一般式(3c)で表される化合物において、rは2以上の整数であり、−(SH)で表される基は、一般式(3c)で表される化合物中に2つ以上存在する。rは通常2〜20の整数、好ましくは2〜10の整数、より好ましくは2〜6の整数である。
置換基を有していてもよい脂肪族環の炭素数は、通常3〜100程度、好ましくは3〜50程度、より好ましくは3〜12程度である。
該置換基を有していてもよい脂肪族環の具体例としては、下記式で表される脂肪族環が挙げられる。
Figure 2009242350
[式中、それぞれの脂肪族環は一般式(3c)と同じ置換基を有していてもよく、該置換基及びrは前記一般式(1c)で表される化合物のものと同じである。]
一般式(3c)のQにおいて、置換基を有していてもよいヘテロ脂肪族環は、単環、複環のいずれで合ってもよい。また、置換基を有する場合、該置換基はそれぞれアルキル基、−OH、−COOR、−CONR、―NH2、−COCl、―SOF、―SOH及び−CNからなる群から選ばれる少なくとも1種である。R、R及びRは、前記置換基を有していてもよい脂肪族環のものと同じである。
置換基を有していてもよいヘテロ脂肪族環の炭素数は、通常2〜100程度、好ましくは2〜50程度、より好ましくは2〜12程度である。
ヘテロ脂肪族環に含まれるヘテロ原子としては、例えば、O、N及びSからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
置換基を有していてもよいヘテロ脂肪族環の具体例としては、下記式で表されるヘテロ脂肪族環が挙げられる。
Figure 2009242350
[式中、それぞれのヘテロ脂肪族環は一般式(3c)と同じ置換基を有していてもよく、該置換基及びrは前記一般式(1c)で表される化合物のものと同じである。]
一般式(3c)において、Qが置換基を有していてもよいヘテロ脂肪族環である化合物の具体例としては、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、4,5−ジメルカプトメチル−1,3−ジチアン等が挙げられる。
一般式(3c)のQにおいて、置換基を有していてもよい芳香族環は、単環、複環のいずれで合ってもよい。また、置換基を有する場合、該置換基はそれぞれアルキル基、−OH、−COOR、−CONR、―NH2、−COCl、―SOF、―SOH及び−CNからなる群から選ばれる少なくとも1種である。R、R及びRは、前記置換基を有していてもよい脂肪族環のものと同じである。
置換基を有していてもよい芳香族環の炭素数は、通常6〜100程度、好ましくは6〜50程度、より好ましくは6〜20程度である。
置換基を有していてもよい芳香族環の具体例としては、下記式で表される芳香族環が挙げられる。
Figure 2009242350
[式中、それぞれの芳香族環は一般式(3c)と同じ置換基を有していてもよく、該置換基及びrは一般式(1c)で表される化合物のものと同じである。]
一般式(3c)において、Qが置換基を有していてもよい芳香族環である化合物の具体例としては、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2−ジメルカプトトルエン、1,3−ジメルカプトトルエン、1,4−ジメルカプトトルエン、1,3,5−トリメルカプトトルエン、1,2−ジメルカプトキシレン、1,3−ジメルカプトキシレン、1,4−ジメルカプトキシレン、1,3−ジメルカプトトリレン、1,3,5−トリメルカプトトリレン等が挙げられる。
一般式(1c)のQにおいて、置換基を有していてもよいヘテロ芳香族環は、単環、複環のいずれで合ってもよい。また、置換基を有する場合、該置換基はそれぞれアルキル基、−OH、−COOR、−CONR、―NH2、−COCl、―SOF、―SOH及び−CNからなる群から選ばれる少なくとも1種である。R、R及びRは、前記置換基を有していてもよい脂肪族環のものと同じである。
置換基を有していてもよい芳香族環の炭素数は、通常4〜100程度、好ましくは4〜50程度、より好ましくは4〜20程度である。
ヘテロ芳香族環に含まれるヘテロ原子としては、例えば、O、N及びSからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
Figure 2009242350
[式中、それぞれのヘテロ芳香族環は一般式(3c)と同じ置換基を有していてもよく、該置換基及びrは一般式(1c)で表される化合物のものと同じである。]
本発明の分子内に2以上のチオール基(−SH基、メルカプト基)を有する化合物は、従来公知の製造方法によって得られる化合物であり、市販品を使用することもできる。本発明の分子内に2以上のチオール基を有する化合物は、例えば、TheChemistry of the thiol group(Chemistry of Functional Groups) By Saul Patai: John Wiley and Sons Ltd 出版等に記載の方法に準じて合成することができる。例えば、チオ尿素を反応させて、イソチウロニウム塩化し、これを加水分解するイソチウロニウム塩法等が挙げられる。
[一般式(2−1)で表される化合物]
一般式(2−1)で表される化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2009242350


[式中、n及びn1は前記に同じ。]
Figure 2009242350
[式中、n及びn1は前記に同じ。]
Figure 2009242350


[式中、n及びn1は前記に同じ。]
Figure 2009242350
[式中、n及びn1は前記に同じ。]
さらに、これらの中でも、特に下記構造式で表されるものが好ましい。
Figure 2009242350
[式中、nは前記に同じ。]
Figure 2009242350
[式中、nは前記に同じ。]
Figure 2009242350
[式中、nは前記に同じ。]
Figure 2009242350
[式中、nは前記に同じ。]
さらに、一般式(2−1)で表される化合物はこれらの中でも、下記構造式で表されるものが特に好ましい。
Figure 2009242350
[式中、n及びmは前記に同じ。]
本発明の一般式(2−1)で表される化合物は、従来公知の製造方法によって得られる化合物であり、市販品を使用することもできる。
本発明の一般式(2−1)で表される化合物の製造方法としては、例えば、国際公開WO95/33782パンフレットに記載されている方法が具体的に挙げられる。
また、三共出版 「フッ素化学入門」 独立行政法人 日本学術振興会 フッ素化学 第155委員会編 に記載されている具体的な合成ルートに従い製造することができる。
一般式(2−1)で表される化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
分子内に2以上のチオール基を有する化合物の使用量は、分子内のチオール基の数によって異なり、例えば、チオール基1つに対して一般式(2−1)で表される化合物が1つ反応するのに足る量を使用すればよい。本明細書においては、この量を当量という。分子内に2個チオール基をもつ化合物においては、当量は分子量の1/2となり、同様に分子内に3個チオール基をもつ化合物では当量は分子量の1/3となる。
分子内に2以上のチオール基を有する化合物の使用量は、一般式(2−1)で表される化合物に対して、通常、2〜0.1当量程度、好ましくは1.2〜0.2当量程度、より好ましくは1〜0.5当量程度の量である。換言すれば、分子内に2以上のチオール基をもつ化合物のチオール基1モルに対して、一般式(2−1)で表される化合物を通常、0.5〜10モル程度、好ましくは0.83〜5モル程度、より好ましくは1〜2モル程度使用すればよい。
一般式(2)で表される化合物の製造方法においては、分子内に2以上のチオール基を有する化合物と一般式(2−1)で表される化合物とがエンチオール反応(付加反応)することにより、分子内に2以上のチオール基を有する化合物のS上のHが下記一般式(5)
−CX2CHF−Z−O−Rf (5)
[式中、X、Z及びRfは前記に同じ]
で表される基で置換される。
すなわち、本発明のエンチオール反応では、一般式(2−1)で表される化合物中に存在する炭素−炭素二重結合が、分子内に2以上のチオール基を有する化合物中のチオール基と付加反応する。一方、一般式(2−1)で表される化合物中に存在する上記Rf中の水酸基は、実質的に反応せずに、一般式(3)で表される化合物の中のイソシアネート基又は一般式(4)で表される化合物中のX−C(=O)−基と反応して、本発明の多官能含フッ素化合物を生成する。
エンチオール反応によって得られる一般式(2)で表される化合物中に未反応のチオール基が存在する場合、該未反応のチオール基は、前記一般式(3)で表される化合物のイソシアネート基と反応して結合を形成し得るが、反応せずに本発明の多官能含フッ素化合物中にチオール基が残っていたとしても、硬化性組成物として用いた際に硬化反応基として作用する。
一般式(2)で表される化合物の製造方法において、分子内に2以上のチオール基を有する化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
該エンチオール反応は、分子内に2以上のチオール基を有する化合物と一般式(2−1)で表される化合物との混合物に、紫外線を照射することによって容易に進行する。
紫外線の照射量は、通常0.1〜10J/cm程度、好ましくは0.5〜8J/cm程度、より好ましくは1〜6J/cm程度である。
該エンチオール反応の反応温度は、通常5〜60℃程度、好ましくは10〜55℃程度、より好ましくは20〜50℃程度である。
本発明のエンチオール反応では、分子内に2以上のチオール基を有する化合物と一般式(2−1)で表される化合物に加えて、光重合開始剤を使用しても良い。光重合開始剤を使用しなくても、本発明の多官能含フッ素化合物が得られるが、光重合開始剤を使用することにより、より短時間でエンチオール反応が進行し、目的とする多官能含フッ素化合物が得られる。
光重合開始剤の種類は、特に限定されず、従来公知のものを使用すればよく、市販品が容易に入手可能である。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシ−プロピルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、ミヒラーケトン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン、ジエチルチオキサンソン、ジメチルチオキサンソン等のチオキサンソン類;ベンジル、α−アシルオキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、アンスラキノン等の光重合開始剤が挙げられる。また、光重合開始剤の市販品としては、例えば、長瀬産業株式会社製のイルガキュア907、イルガキュア127、イルガキュア369、イルガキュア819等が挙げられる。光重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
また、光重合開始剤には、必要に応じてアミン類、スルホン類、スルフィン類等の公知の光開始助剤を添加してもよい。
光重合開始剤を使用する場合、光重合開始剤の使用量は、特に限定されず、適宜調整すればよいが、例えば、一般式(2−1)で表される化合物100質量部に対して、通常0.01〜10質量部程度、好ましくは0.5〜7質量部程度、より好ましくは1〜5質量部程度である。
本発明の製造方法においては、さらに溶媒を使用しても良い。溶媒を使用する場合、溶媒としては、エンチオール反応の進行を妨げない一般的に使用される従来公知の溶媒を使用すればよい。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、HCFC225(ジクロロペンタフルオロプロパン)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)等を使用すればよい。
本発明の製造方法においては、必要に応じて、さらに他の成分を添加しても良い。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、レべリング剤、無機フィラー、有機フィラー等が挙げられる。
酸化防止剤を使用する場合、使用量は、一般式(2−1)で表される化合物100質量部に対して、通常0.01〜10質量部程度、好ましくは0.1〜2質量部程度、より好ましくは0.5〜1質量部程度である。
また、エンチオール反応は特に紫外線を照射しなくても、適当な方法でラジカルを発生させることにより反応を進行させることができる。
ラジカルを発生させる方法としては、例えば公知のラジカル重合開始剤を使用して、加熱によってラジカルを発生させる方法が好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、公知のパーオキサイド類、アゾ系開始剤等が利用できる。
ラジカル重合開始剤の量は、一般式(2−1)で表される化合物100質量部に対してに対して通常0.01〜10質量部程度、好ましくは0.05〜7質量部程度、より好ましくは0.5〜3質量部程度である。
塗料用架橋剤及び添加物
本発明の多官能含フッ素化合物は、分子内に複数の不飽和基(炭素−炭素二重結合)を有するので、塗料の架橋剤、添加剤として好適に使用できる。
本発明の多官能含フッ素化合物を架橋剤として使用できる塗料としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、フッ素系等が挙げられる。
硬化性組成物及び硬化物
本発明の多官能含フッ素化合物は、分子内に複数の不飽和基(炭素−炭素二重結合)を有するので、他の成分と混合して硬化性組成物(硬化性含フッ素樹脂組成物)として好適に使用できる。
本発明の硬化性含フッ素樹脂組成物の態様としては、例えば、溶剤を使用する態様が挙げられる。本発明の硬化性含フッ素樹脂組成物を溶剤に溶解又は分散させることによって種々の基材にコーティングし、塗膜を形成することができ、塗膜形成後、活性エネルギー線等の照射によって効率よく硬化でき、硬化被膜が得られる点で好ましい。
例えば、本発明のコーティング用含フッ素樹脂組成物は、(a)本発明の多官能含フッ素化合物(b)活性エネルギー線硬化開始剤、(c)溶剤を含む組成物である。
活性エネルギー線硬化開始剤(b)は、例えば350nm以下の波長領域の電磁波、つまり紫外光線、電子線、X線、γ線等が照射されることによって初めてラジカルやカチオン等を発生し、多官能含フッ素化合物の炭素−炭素二重結合を硬化(架橋反応)を開始させる触媒として働くものであり、通常、紫外光線でラジカルやカチオンを発生させるもの、特にラジカルを発生するものを使用する。例えばつぎのものが例示できる。
アセトフェノン系:アセトフェノン、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノン、ヒドロキシプロピオフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリンプロパン−1−オン等。
ベンゾイン系:ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール等。
ベンゾフェノン系:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシ−プロピルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン等。
チオオキサンソン類:チオキサンソン、クロロチオキサンソン、メチルキサンソン、ジエチルチオキサンソン、ジメチルチオキサンソン等。
その他:ベンジル、α−アシルオキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、アンスラキノン等。
溶剤(c)は、多官能含フッ素化合物(a)、活性エネルギー線硬化開始剤(b)及び必要に応じて添加する硬化剤、レベリング剤、光安定剤等の添加剤 が均一に溶解又は分散するものであれば特に制限はないが、特に多官能含フッ素化合物(a)を均一に溶解するものが好ましい。この溶剤を使用する態様は 特に反射防止膜用途等薄層被膜(0.1μm前後)が要求される分野で透明性が高く、均質な被膜を生産性よく得られる点で好ましい。
かかる溶剤(c)としては、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶剤;ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブ チル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル アセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のプロピレングリコール系溶剤;2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類あるいはこれらの2種以上の混合溶剤等が挙げられる。
またさらに、多官能含フッ素化合物(a)の溶解性を向上させるために、必要に応じてフッ素系の溶剤を用いてもよい。フッ素系の溶剤としては、例えばCHCClF(HCFC−141b)、CFCFCHCl/CClFCFCHClF混合物(HCFC−225)、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、メトキシ−ノナフルオロブタン、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼン等のほか、下記一般式
Figure 2009242350
で表される化合物等のフッ素系アルコール類、ベンゾトリフルオライド、パーフルオロベンゼン、パーフルオロ(トリブチルアミン)、ClCFCFClCFCFCl等が挙げられる。
これらフッ素系溶剤は単独でも、またフッ素系溶剤同士、非フッ素系とフッ素系の1種以上との混合溶剤として用いてもよい。これらのなかでもケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤等が、塗装性、塗布の生産性等の面で好ましいものである。また、多官能含フッ素化合物を溶解させる際、これら汎用溶剤とともに含フッ素アルコール系溶剤を混合してもよい。添加する含フッ素系アルコールとしては、沸点が50℃以上、好ましくは80℃以上のもので、多官能含フッ素化合物を溶解させるものであればよい。例えば、下記一般式
Figure 2009242350
で表される化合物等が好ましい具体例である。
含フッ素系アルコールは、それのみで溶剤として用いても良いが、前述のケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、非フッ素系アルコール溶剤、芳香族系溶剤等の汎用溶剤に加えて用いても効果的である。混合して用いる場合の添加量は、溶剤全体に対して1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、特に10〜30重量%添加するのが好ましい。本発明の多官能含フッ素化合物(a)と活性エネルギー線硬化開始剤(b)との硬化性含フッ素樹脂組成物、さらに溶剤(c)を含めたコーティング用含フッ素樹脂組成物に、さらに必要に応じて硬化剤を添加してもよい。硬化剤としては、炭素−炭素不飽和結合を1つ以上有しかつラジカル又は酸で重合できるものが好ましく、具体的にはアクリル系モノマー等のラジカル重合性の単量体、ビニルエーテル系モノマー等のカチオン重合性の単量体が挙げられる。これら単量体は、炭素−炭素二重結合を1つ有する単官能であっても炭素 −炭素二重結合を2つ以上有する多官能の単量体であってもよい。
これらの炭素−炭素不飽和結合を有するいわゆる硬化剤は、本発明の組成物中の活性エネルギー線硬化開始剤(b)と光等の活性エネルギー線との反応で生じるラジカルやカチオンで反応し、本発明の組成物中の多官能含フッ素化合物(a)の側鎖の炭素−炭素二重結合と共重合によって架橋することができるものである。
単官能のアクリル系単量体としては、アクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸、メタクリル酸エステル類、α−フルオロアクリル酸、α−フルオロアクリル酸エステル類、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類のほか、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等を有する(メタ)アクリル酸エステル類等が例示される。なかでも硬化物の屈折率を低く維持するために、フルオロアルキル基を有するアクリレート系単量体が好ましく、例えば下記一般式
Figure 2009242350
[式中、XはH、CH又はFであり、Rfは炭素数2〜40の含フッ素アルキル基、又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基である。]
で表わされる化合物が好ましい。具体的には、下記一般式
Figure 2009242350
[式中、Xは前記に同じ。]
で表される化合物等が挙げられる。
多官能アクリル系単量体としては、ジオール、トリオール、テトラオール等の多価アルコール類のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基、α−フルオロアクリレート基に置き換えた化合物が一般的に知られている。具体的には、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のそれぞれの多価アルコール類の2個以上のヒドロキシル基がアクリレート基、メタクリレート基、α−フルオロアクリレート基のいずれかに置き換えられた化合物が挙げられる。また、含フッ素アルキル基、エーテル結合を含む含フッ素アルキル基、含フッ素アルキレン基又はエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基を有する多価アルコールの2個以上のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基、α−フルオロアクリレート基に置き換えた多官能アクリル系単量体も利用でき、特に硬化物の屈折率を低く維持できる点で好ましい。具体例としては、
Figure 2009242350
[式中、Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基である。]
Figure 2009242350
[式中、Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基であり、RはH又は炭素数1〜3のアルキル基である。]
Figure 2009242350
[式中、Rf’は炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であり、Rは前記に同じである。]
等の一般式で示される含フッ素多価アルコール類の2個以上のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基又はα−フルオロアクリレート基に置き 換えた構造のものが好ましく挙げられる。また、これら例示の単官能、多官能アクリル系単量体を硬化剤として本発明の組成物に用いる場合、なかでも特にα−フルオロアクリレート化合物が硬化反応性が良好な点で好ましい。
本発明の硬化性組成物において、活性エネルギー線硬化開始剤(b)の添加量は、多官能含フッ素化合物(a)中の炭素−炭素二重結合の含有量、上記硬化剤の使用の有無や硬化剤の使用量によって、さらには用いる開始剤、活性エネルギー線の種類や、照射エネルギー量(強さと時間等)によって適宜選択されるが、硬化剤を使用しない場合では、多官能含フッ素化合物(a)100質量部に対して0.01〜30質量部、さらには0.05〜20質量部、最も好ましくは、0.1〜10質量部である。詳しくは、多官能含フッ素化合物(a)中に含まれる炭素−炭素二重結合の含有量(モル数)に対し、0.05〜50モル%、好ましくは0.1〜20モル%、最も好ましくは、0.5〜10モル%である。
硬化剤を使用する場合は、多官能含フッ素化合物(a)中に含まれる炭素−炭素二重結合の含有量(モル数)と硬化剤の炭素−炭素不飽和結合のモル数の合計モル数に対して0.05〜50モル%、好ましくは0.1〜20モル%、最も好ましくは0.5〜10モル%である。
硬化剤を使用する場合、硬化剤の使用量は目的とする硬度や屈折率、硬化剤の種類、使用する多官能含フッ素化合物の硬化性基の含有量等によって適宜選択され、望ましくは多官能含フッ素化合物に対して、1〜80重量%、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜50重量%である。硬化剤の添加量が多すぎると屈折率が高くなる傾向にあり、好ましくない。
本発明のコーティング用含フッ素樹脂組成物における溶剤(c)の含有量としては、溶解させる固形分の種類、硬化剤の使用の有無や使用割合、塗布する基材の種類や目標とする膜厚等によって適宜選択されるが、組成物中の全固形分濃度が0.5〜70重量%、好ましくは1〜50重量%となるように配合するのが好ましい。本発明の硬化性組成物は、前述の化合物のほかに、必要に応じて種々の添加剤を配合してもよい。
そうした添加剤としては、例えばレベリング剤、粘度調整剤、光安定剤、水分吸収剤、顔料、染料、補強剤等が挙げられる。また、本発明の硬化性組成物は、硬化物の硬度を高める目的で無機化合物の微粒子を配合することもできる。無機化合物微粒子としては特に限定されないが、屈折率が1.5以下の化合物が好ましい。具体的にはフッ化マグネシウム(屈折率1.38)、酸化珪素(屈折 率1.46)、フッ化アルミニウム(屈折率1.33〜1.39)、フッ化カルシウム(屈折率1.44)、フッ化リチウム(屈折率1.36〜1.37)、フッ化ナトリウム(屈折率1.32〜1.34)、フッ化トリウム(屈折率1.45〜1.50)等の微粒子が望ましい。微粒子の粒径については、低屈折率材料の透明性を確保するために可視光の波長に比べて充分に小さいことが望ましい。具体的には100nm以下、特に50nm以下が好ましい。
無機化合物微粒子を使用する際は、硬化性組成物中での分散安定性、低屈折率材料中での密着性等を低下させないために、予め有機分散媒中に分散した有機ゾルの形態で使用するのが望ましい。さらに、該組成物中において、無機化合物微粒子の分散安定性、低屈折率材料中での密着性等を向上させるために、予め無機微粒子 化合物の表面を各種カップリング剤等を用いて修飾することができる。各種カップリング剤としては、例えば有機置換された珪素化合物;アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモン又はこれらの混合物等の金属アルコキシド;有機酸の塩;配位性化合物と結合した配位化合物等が挙げられる。
本発明のコーティング用含フッ素樹脂組成物は、溶剤(c)に対して多官能含フッ素化合物(a)又は添加物がディスパージョン状のものでも、溶液状のものでもよいが、均一な薄膜を形成するため、また比較的低温で成膜が可能となる点で、均一な溶液状であることが好ましい。塗装法としては、膜厚をコントロールできるのであれば公知の塗装法を採用することができる。例えば、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、フローコート法、バーコート法、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法等が採用でき、基材の種類、形状、生産性、膜厚のコントロール性等を考慮して選択できる。
本発明の多官能含フッ素化合物(a)と活性エネルギー線硬化開始剤(b)を含む硬化性樹脂組成物、及び上記の方法等で本発明のコーティング用含フッ素樹脂組成物を基材に塗布したのち乾燥により得られる被膜は、紫外線、電子線又は放射線等の活性エネルギー線を照射することによって光硬化させることができる。光硬化すると本発明の多官能含フッ素化合物(a)中の炭素−炭素二重結合が分子間で重合し、多官能含フッ素化合物(a)中の炭素−炭素二重結合が減少又は消失する。その結果、樹脂硬度が高くなり、機械的強度が向上したり、耐摩耗性、耐擦傷性が向上したり、さらには硬化前には溶解していた溶剤に対して不溶となるだけでなく、他の数多くの種類の溶剤に対して不溶となる。
本発明によれば、多官能チオール化合物と水酸基を有する含フッ素アリル化合物とのエンチオール反応、又は多官能チオール化合物と水酸基を有する含フッ素ビニルエーテル化合物とのエンチオール反応により、少なくとも1つの水酸基を有する多官能含フッ素化合物を合成し、さらに、該水酸基とのエステル化反応又はウレタン化反応を行うことにより、末端に炭素−炭素二重結合を2個以上もつ多官能含フッ素化合物を合成できる。得られた本発明の多官能含フッ素化合物は、分子内に複数の硬化性部位を有するので、塗料の架橋剤として好適に使用できる。また、炭素−炭素二重結合を分子内に複数有する本発明の多官能含フッ素化合物を、他の成分と混合して硬化性組成物とし、これを硬化させて硬化物を製造することもできる。
以下に、本発明の実施例を挙げて、本発明を一層明らかにするが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の実施例において、(1)フッ素含有量の測定、(2)屈折率(n)の測定、(3)赤外吸収分析(IR分析)、(4)19F−NMRの測定及び(5)相溶性(溶解性)の測定は、以下の方法により行った。
(1)フッ素含有量の測定
酸素フラスコ燃焼法により試料10mgを燃焼し、分解ガスを脱イオン水20mlに吸収させ、吸収液中のフッ素イオン濃度をフッ素選択電極法(フッ素イオンメーター、オリオン社製 901型)で測定することにより、試料中のフッ素含有量を求めた(質量%)。
(2)屈折率(nD)の測定
ナトリウムD線(589nm)を光源とし、アッベ屈折率計(株式会社アタゴ光学機器製作所製)を用いて25℃における試料の屈折率(nD)を測定した。
(3)赤外吸収分析(IR分析)
Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光光度計1760Xを使用し、室温にて試料の赤外吸収分析を行った。
(4)19F−NMR測定
BRUKER社製のNMR測定装置を用いて試料の19F−NMRを測定した。
19F−NMR測定条件:282MHz(トリクロロフルオロメタン:0ppm)。
(5)相溶性(溶解性)の測定
試料とアセトンとを質量比1:1で混合し、相溶性を目視で確認した。相溶性の評価は、相溶を○、二相分離を×とした。
本実施例で使用した含フッ素アリルエーテル化合物及び多官能チオール化合物の構造式及び略称を以下に示す。
含フッ素アリルエーテル化合物
Figure 2009242350
多官能チオール化合物
Figure 2009242350
MTBD:1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン
(カレンズMT BD1 昭和電工社製)
Figure 2009242350
TMMP:トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)
(TMMP(Trimethylolpropane tris-3-mercaptopropionate)堺化学社製)
合成例1(3官能OH基含有含フッ素化合物の合成)
(1)混合溶液(a1)の調整
以下の配合に従い、混合溶液(a1)を調製した。
混合溶液(a1)
(i) AEH−1 100質量部
(ii) TMMP 33質量部
(iii) イルガキュア907(光重合開始剤 長瀬産業株式会社製) 4質量部。
(2)混合溶液(a1)の反応及びIR吸収測定
混合溶液(a1)1gを5mlの硝子製サンプル瓶に入れた。フタをせずに、サンプル瓶の上から、高圧水銀灯を用いて、強度5000 mJ/cm2Uの紫外線を混合溶液(a1)に照射した(常温常圧下)。
その後、得られた溶液(a1)のIR吸収の変化を測定した。AEH−1とTMMPとのエンチオール反応によって変化すると思われる−SH基及びC=C結合に基づくIR吸収の変化をそれぞれ図1及び図2に示す。
図1及び図2から分かるように、紫外線照射によってAEH−1とTMMPとのエンチオール反応が進行し、溶液(a1)中のSH基の減少及びC=C結合の減少が確認された。一方、紫外線照射前後において、AEH−1由来の−OH基のIR吸収に変化はなかった。
また、紫外照射後の溶液(a1)の粘度は、紫外線照射前の混合溶液(a1)に比べて目視でわかる程度に上昇した。紫外照射後の溶液(a1)は無色透明であった。
(3)混合溶液(a1)反応率の計算
上記(2)で得られた溶液の19F−NMR測定により、C=C二重結合に結合したフッ素の吸収の積分強度変化でAEH−1とTMMPとの反応率を計算した。反応率は91%であった。上記(2)で得られた反応後の溶液(a1)(反応生成物(a1))のフッ素含有率、屈折率及び相容性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2009242350
実施例1
合成例1で得た3官能OH基含有含フッ素化合物(a1)100質量部に対してイソシナネートプロピルトリエトキシシラン[OCNCSi(OCHCH]を11質量部加え、さらにジブチルスズジラウリレートを0.01質量部加えて40℃で24時間反応させた。
得られた反応生成物の赤外線吸収分析を行ったところ、イソシナネートプロピルトリエトキシシランのイソシアネート基に由来する−NCOの吸収が消失し、新たにウレタン結合に基づくNHの吸収が観測され、反応が進行したことが確認された。得られた反応生成物は透明で均一な液状の化合物であった。
合成例2(2官能OH基含有含フッ素化合物の合成)
(1)混合溶液(a2)の調製
以下の配合に従い、混合溶液(a2)を調製した。
混合溶液(a2)
(i)AEH−0 62質量部
(ii)MTBD 38質量部
(iii)イルガキュア907 4質量部。
(2)混合溶液(a2)の反応、フッ素含有率及び屈折率
合成例1と同様に、混合溶液(a2)を1g、5mlの硝子製サンプル瓶に入れた。フタをせずに、サンプル瓶の上から、高圧水銀灯を用い、強度5000 mJ/cm2Uの紫外線を各混合物に照射した(常温常圧下)。紫外線照射後の溶液のフッ素含有率及び屈折率を測定した。結果を下表2に示す。
Figure 2009242350
実施例2
合成例2で得た2官能OH基含有含フッ素化合物(a2)100質量部に対してイソシナネートプロピルトリエトキシシラン[OCNCSi(OCHCH]を7質量部加え、さらにジブチルスズジラウリレートを0.01質量部加えて40℃で24時間反応させた。
得られた反応生成物の赤外線吸収分析を行ったところ、イソシナネートプロピルトリエトキシシランのイソシアネート基に由来する−NCOの吸収が消失し、新たにウレタン結合に基づくNHの吸収が観測され、反応が進行したことが確認された。得られた反応生成物は透明で均一な液状の化合物であった。
合成例3
(1)混合溶液(a3)及び(a4)の調製
以下の配合に従い、混合溶液(a3)及び(a4)を調製した。
混合溶液(a3)
AEH−1 37質量部
AEE−1 39質量部
TMMP 24質量部
イルガキュア907 4質量部
HCFC225 100質量部。
混合溶液(a4)
AEH−2 53質量部
AEH−0 22質量部
TMMP 25質量部
イルガキュア907 4質量部
HCFC225 100質量部。
(2)混合溶液(a3)及び(a4)の反応、フッ素含有率、屈折率及びIR吸収測定
合成例1と同様に、混合溶液(a3)及び(a4)を各1gずつ、それぞれ5mlの硝子製サンプル瓶に入れた。フタをせずに、サンプル瓶の上から、高圧水銀灯を用い、強度5000 mJ/cm2Uの紫外線を各混合物に照射した(常温常圧下)。その後、溶媒であるHCFC225を室温で風乾し、紫外線照射後の各溶液のフッ素含有率及び屈折率を測定した。結果を下表3に示す。
Figure 2009242350
紫外線照射前後における各溶液のIR吸収を測定したところ、SH基の減少及びC=C結合の減少が確認された。さらに、紫外線照射前後において、AEH−0、AEH−1及びAEH−2由来の−OH基、AEE−1由来の−CO(=O)−基のIR吸収に変化はなかった。
また、紫外照射後の各溶液の粘度は、紫外線照射前の各混合溶液に比べて目視でわかる程度に上昇した。
実施例3
合成例3で得えられたOH基含有含フッ素化合物(a3)及び(a4)各100質量部に対してイソシナネートプロピルトリエトキシシラン[OCNCSi(OCHCH]を組成物(a3)に対しては6質量部を、組成物(a4)に対しては11質量部加え、さらにそれぞれにジブチルスズジラウリレートを0.01質量部を加えて40℃で24時間反応させた。
得られた反応生成物の赤外線吸収分析を行ったところ、イソシナネートプロピルトリエトキシシランのイソシアネート基に由来する−NCOの吸収が消失し、新たにウレタン結合に基づくNHの吸収が観測され、反応が進行したことが確認された。得られた反応生成物は透明で均一な液状の化合物であった。
実施例4
実施例1〜3で得られた反応生成物を用いて、硬化性組成物を作製した。硬化性組成物の作製には以下の試薬を使用した。
アクリルモノマー:TMPA(トリメチロールプロパントリアクリレート)
シランカップリング剤:AcTMSP(アクリル酸 3-(トリメトキシシリル)プロピル)
光酸発生剤:サンアプロ社製 CPI−200K
以下の配合で各成分を混合し、硬化性組成物を作製した。
硬化性組成物(b1)
(i)実施例1の反応生成物 50質量部
(ii)TMPA 50質量部
(iii)イルガキュア907 4質量部
(iv)CPI−200K 1質量部。
硬化性組成物(b2)
(i)実施例1の反応生成物 10質量部
(ii)TMPA 90質量部
(iii)イルガキュア907 4質量部
(iv)CPI−200K 0.2質量部。
硬化性組成物(b3)
実施例1の反応生成物 50質量部
(i)TMPA 49質量部
(ii)AcTMSP 1質量部
(iii)イルガキュア907 4質量部
(iv)CPI−200K 1質量部。
硬化性組成物(b4)
(i)実施例2の反応生成物 50質量部
(ii)TMPA 50質量部
(iii)イルガキュア907 4質量部
(iv)CPI−200K 1質量部。
硬化性組成物(b5)
実施例2の反応生成物 10質量部
(i)TMPA 90質量部
(ii)イルガキュア907 4質量部
(iii)CPI−200K 0.2質量部。
硬化性組成物(b6)
(i)実施例3の反応生成物(a4) 10質量部
(ii)TMPA 90質量部
(iii)イルガキュア907 4質量部
(iv)CPI−200K 0.2質量部。
得られた硬化性組成物(b1)〜(b6)は、いずれも均一透明な組成物であった。
得られた硬化性組成物(b1)〜(b6)の外観を評価した。評価は以下の基準で行った。結果を表4に示す。
外観
目視で組成物の外観を評価した。
○ : 透明均一
△ : 一部不均一
× : 白濁。
比較実施例1
以下の配合で各成分を混合し、硬化性組成物(c1)及び(c2)を作製した。なおC17CHCHSi(OCHCHはAzmax社より購入したものをそのまま使用した。
硬化性組成物(c1)
(i)C17CHCHSi(OCHCH 50質量部
(ii)TMPA 50質量部
(iii)イルガキュア907 4質量部
(iv)CPI−200K 1質量部。
硬化性組成物(c2)
(i)TMPA 100質量部
(ii)AcTMSP 2質量部
(iii)イルガキュア907 4質量部
(iv)CPI−200K 0.2質量部。
実施例9と同様にして硬化性組成物(c1)及び(c2)の外観を評価した。
硬化性組成物(c1)は、不均一な組成物となった。結果を表4に示す。
実施例5(塗布物の作製)
実施例4で得られた光硬化性組成物(b1)〜(b6)を表面未処理のアクリル板上にスピンコーターにより室温でコートし、室温で5分間真空乾燥した。この際、乾燥後の膜厚が1μmとなるように、スピンコーターの回転数を調整した(500〜2000回転)。
スピンコーターによる光硬化性組成物(b1)〜(b6)の塗布性をつぎの基準で評価した。結果を表4に示す。
○ : 塗布ムラがない。
△ : 一部に塗布ムラが認められる。
× : 塗布できない。
実施例6(硬化被膜の物性測定)
実施例5で塗布した光硬化性組成物(b1)〜(b6)を乾燥後、得られた被膜に高圧水銀灯を用い、室温にて5000mJ/cm の強度で紫外線を照射して光硬化させて硬化被膜を作製した。得られた被膜の物性を以下の方法で評価した。結果を表4に示す。
外観
目視で評価した。
○ : 透明均一
△ : 一部、不均一
× : 白濁。
フッ素含有率
前記の通りである。
耐薬品性
メタノールを含浸させた綿布で塗膜表面を擦った後の塗膜表面の状態(溶解又は剥離)を目視で観察した。耐薬品性の評価は以下のように行った。
○ : 変化なし
△ : 一部溶解又は剥離あり
× : 溶解又は剥離あり。
対水接触角
接触角計(協和界面化学(株)製のCA−DT)を用いて、純水を室温下で3μlの液量を基材の表面に触れさせて液滴を作った。このときに生ずる液滴と面との角度を測定し対水接触角とした。結果を表4に示す。
Figure 2009242350
−は未測定
IR吸収の測定結果(−SH基の吸収)を示すグラフ(紫外線照射前、強度5000 mJ/cm2Uの紫外線照射後の混合溶液(a1)) IR吸収の測定結果(C=C結合の吸収)を示すグラフ(紫外線照射前、強度5000 mJ/cm2Uの紫外線照射後の混合溶液(a1))

Claims (11)

  1. 一般式(1)
    −S−CX2CHF−Z−O−Rf (1)
    [式中、Xは同一又は異なってH又はFであり、Zは−CF−又は単結合であり、Rfは少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキル基、又は少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基であり、Rは少なくとも1つの加水分解性金属アルコキシドを有する有機基である。]
    で表される基を2以上有する化合物。
  2. 一般式(1a)
    Figure 2009242350
    [式中、TはO、N及びSからなる群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を有していてもよい炭化水素であり、pは2以上の整数であり、X、Z及びRfはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
    で表される請求項1に記載の化合物。
  3. 一般式(1b)
    Figure 2009242350
    [式中、Rは同一又は異なって単結合、−C2a−、−C2b−B−C2c−又は−S−C2d−であり、a、b、c及びdは同一又は異なって1以上の整数であり、Bは−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)−又は−O−であり、Aは−C2e−又は−C2f−E−C2g−であり、e、f及びgは同一又は異なって1以上の整数であり、Eは−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)−又は−O−であり、RはH、置換基を有していてもよいアルキル基又は式:−R−S−CX2CHF−Z−O−Rfで表される基であって、RはH、置換基を有していてもよいアルキル基又は式:−R−S−CX2CHF−Z−O−Rfで表される基であって、qは0以上の整数であり、X、Z及びRfはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
    で表される請求項2に記載の化合物。
  4. 一般式(1c)
    Figure 2009242350
    [式中、Qは置換基を有していてもよい脂肪族環、置換基を有していてもよいヘテロ脂肪族環、置換基を有していてもよい芳香族環又は置換基を有していてもよいヘテロ芳香族環であり、該置換基はそれぞれ炭素数1〜12のアルキル基、−OH、−COOR、−CONR、―NH2、−COCl、―SOF、―SOH及び−CNからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、RはH、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、R及びRは同一又は異なってH、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、rは2以上の整数であり、X、Z及びRfはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
    で表される請求項2に記載の化合物。
  5. XがH、Zが−CF−である請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
  6. XがF、Zが単結合である請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
  7. Rfが少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の含フッ素アルキル基、又は少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数2〜50のエーテル結合を有する直鎖又は分岐鎖の含フッ素アルキル基である請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
  8. 分子内に2以上の一般式(1)
    −S−CX2CHF−Z−O−Rf (1)
    [式中、Xは同一又は異なってH又はFであり、Zは−CF−又は単結合であり、Rfは少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキル基、又は少なくとも1つの式:−O−C(=O)−NH−Rで表される基を有する炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基であり、Rは少なくとも1つの加水分解性金属アルコキシドを有する有機基である。]
    で表される基を有する化合物の製造方法であって、分子内に2以上の一般式(2)
    −S−CX2CHF−Z−O−Rf (2)
    [式中、Rfは少なくとも1つの水酸基を有する炭素数1〜40の含フッ素アルキル基、又は少なくとも1つの水酸基を有する炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基であり、X及びZは前記に同じ。]
    で表される基を有する化合物を一般式(3)
    O=C=N−R (3)
    [式中、Rは前記に同じである。]
    で表される化合物と反応させることを特徴とする製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の化合物からなる塗料用架橋剤。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の化合物を含有する硬化性組成物。
  11. 請求項10に記載の硬化性組成物を硬化して得られる硬化物。
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