JP2009238587A - 正極活物質粉末 - Google Patents

正極活物質粉末 Download PDF

Info

Publication number
JP2009238587A
JP2009238587A JP2008083297A JP2008083297A JP2009238587A JP 2009238587 A JP2009238587 A JP 2009238587A JP 2008083297 A JP2008083297 A JP 2008083297A JP 2008083297 A JP2008083297 A JP 2008083297A JP 2009238587 A JP2009238587 A JP 2009238587A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
active material
electrode active
material powder
powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008083297A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5292885B2 (ja
Inventor
Yuichiro Imanari
裕一郎 今成
Yoshiki Kurotobi
義樹 黒飛
Katsuyuki Shioda
克幸 塩田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2008083297A priority Critical patent/JP5292885B2/ja
Publication of JP2009238587A publication Critical patent/JP2009238587A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5292885B2 publication Critical patent/JP5292885B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

【課題】高い電流レートにおいて、より高出力を示すことのできる非水電解質二次電池に有用な正極活物質粉末を提供する。
【解決手段】一次粒子および一次粒子が凝集してなる凝集粒子からなる正極活物質粉末であり、該粉末が以下の要件(A)を有する正極活物質粉末。(A)体積基準の頻度粒度分布曲線において、粒径が0.1μm以上0.3μm未満の範囲に、頻度の極大値を有する。以下の要件(B)をさらに有する前記正極活物質粉末。(B)体積基準の頻度粒度分布曲線において、粒径が0.3μm以上3μm以下の範囲に、頻度の極大値を有する。以下の要件(C)をさらに有する前記正極活物質粉末。(C)体積基準の累積粒度分布曲線において、50%累積時の微小粒子側からみた粒径(D50)が、0.1μm以上3μm以下の範囲の値である。前記正極活物質粉末を含有する非水電解質二次電池用正極。
【選択図】なし

Description

本発明は正極活物質粉末に関する。
正極活物質粉末は、リチウム二次電池などの非水電解質二次電池に用いられている。非水電解質二次電池は、既に携帯電話やノートパソコン等の電源として実用化されており、更に自動車用途や電力貯蔵用途などの中・大型用途においても、適用が試みられている。
従来の正極活物質粉末として、特許文献1には、粒子のメジアン径が6〜12μmの粉末が、具体的に記載されている。
特開2005−141983号公報(実施例、比較例)
しかしながら、上記の従来正極活物質粉末を用いて得られる非水電解質二次電池は、高い電流レートにおける高出力を要求される用途、すなわち自動車用途や電動工具等のパワーツール用途においては、未だ改良の余地がある。本発明の目的は、高い電流レートにおいて、より高出力を示すことのできる非水電解質二次電池に有用な正極活物質粉末を提供することにある。
本発明者らは上記事情に鑑み、種々検討した結果、特定の正極活物質粉末を使用して得られる非水電解質二次電池が、高い電流レートにおいてより高出力を示すことが可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、下記の発明を提供する。
<1>一次粒子および一次粒子が凝集してなる凝集粒子からなる正極活物質粉末であり、該粉末が以下の要件(A)を有する正極活物質粉末。
(A)正極活物質粉末の体積基準の頻度粒度分布曲線において、粒径が0.1μm以上0.3μm未満の範囲に、頻度の極大値を有する。
<2>前記正極活物質粉末が、以下の要件(B)をさらに有する前記<1>記載の正極活物質粉末。
(B)正極活物質粉末の体積基準の頻度粒度分布曲線において、粒径が0.3μm以上3μm以下の範囲に、頻度の極大値を有する。
<3>前記正極活物質粉末が、以下の要件(C)をさらに有する前記<1>または<2>記載の正極活物質粉末。
(C)正極活物質粉末の体積基準の累積粒度分布曲線において、50%累積時の微小粒子側からみた粒径(D50)が、0.1μm以上3μm以下の範囲の値である。
<4>正極活物質が複合金属酸化物であり、該酸化物が式(1)で表される前記<1>〜<3>のいずれかに記載の正極活物質粉末。
LixNi1-y1 y2 (1)
(ここで、xは0.9以上1.2以下の範囲の値であり、yは0以上0.8以下の範囲の値であり、M1はV、Ti、Mn、Fe、Co、P、Si、AlおよびBからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す。)
<5>M1がMn、FeおよびCoからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す前記<4>記載の正極活物質粉末。
<6>正極活物質が複合金属酸化物であり、該酸化物が式(2)で表される前記<1>〜<3>のいずれかに記載の正極活物質粉末。
LivMn1-w2 w3 (2)
(ここで、vは1.3以上2.2以下の範囲の値であり、wは0以上0.5以下の範囲の値であり、M2はV、Ti、Fe、Co、Ni、P、Si、AlおよびBからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す。)
<7>M2がFe、CoおよびNiからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す前記<6>記載の正極活物質粉末。
<8>前記<1>〜<7>のいずれかに記載の正極活物質粉末を含有する非水電解質二次電池用正極。
<9>前記<8>記載の非水電解質二次電池用正極を有する非水電解質二次電池。
<10>セパレータをさらに有する前記<9>記載の非水電解質二次電池。
<11>セパレータが、耐熱樹脂を含有する耐熱多孔層と熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムとが積層されてなる積層多孔質フィルムからなるセパレータである前記<10>記載の非水電解質二次電池。
本発明の正極活物質粉末を非水電解質二次電池に使用すると、この二次電池は、高い電流レートにおいてより高出力を示し、しかも高い放電容量を示すことができる。本発明の正極活物質粉末は、高い電流レートにおける高出力を要求される用途、すなわち自動車用途や電動工具等のパワーツール用途の非水電解質二次電池用として、特に好適に使用することができ、本発明は工業的に極めて有用である。
本発明の正極活物質粉末は、一次粒子および一次粒子が凝集してなる凝集粒子からなる正極活物質粉末であり、該粉末が以下の要件(A)を有することを特徴とする。
(A)正極活物質粉末の体積基準の頻度粒度分布曲線において、粒径が0.1μm以上0.3μm未満の範囲に、頻度の極大値を有する。
本発明において、体積基準の頻度粒度分布曲線は、横軸を粒子径とし、縦軸を頻度として表される曲線であり、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置によるレーザー回折散乱法粒度分布測定により得ることができる。レーザー回折散乱法粒度分布測定装置としては、マルバーン社製マスターサイザー2000を用いることができる。
本発明の正極活物質粉末は、以下の要件(B)をさらに有することが好ましい。
(B)正極活物質粉末の体積基準の頻度粒度分布曲線において、粒径が0.3μm以上3μm以下の範囲に、頻度の極大値を有する。
本発明の正極活物質粉末は、上記の要件(B)をさらに有することで、電池における電極密度を高めてその放電容量をより高め、また、高い電流レートにおける出力をさらにより高めることができる。具体的には、本発明において、上記の要件(A)における比較的小さな粒子(一次粒子および凝集粒子)が、上記の要件(B)における比較的大きな粒子(一次粒子および凝集粒子)間に充填され、これにより、電極密度が高まり、しかも導電性をも高まることができるものと考えられる。
ここで、本発明の正極活物質粉末が、上記の要件(B)をさらに有する場合には、要件(A)の極大値(粒径が0.1μm以上0.3μm未満の範囲における極大値)の頻度は、3〜30体積%であることが好ましく、より好ましくは、5〜20体積%、さらにより好ましくは7〜15体積%である。
また、本発明の正極活物質粉末は、以下の要件(C)をさらに有することが好ましい。
(C)正極活物質粉末の体積基準の累積粒度分布曲線において、50%累積時の微小粒子側からみた粒径(D50)が、0.1μm以上3μm以下の範囲の値である。尚、以下において、体積基準の累積粒度分布曲線における50%累積時の微小粒子側からみた粒径(D50)を、平均粒径(D50)と呼ぶことがある。
本発明において、体積基準の累積粒度分布曲線は、横軸を粒子径とし、縦軸を頻度の累積値として表される曲線であり、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置によるレーザー回折散乱法粒度分布測定により得ることができる。レーザー回折散乱法粒度分布測定装置としては、マルバーン社製マスターサイザー2000を用いることができる。
本発明の正極活物質粉末は、上記の要件(C)をさらに有することで、電池における電極密度を高めてその放電容量をより高め、また、高い電流レートにおける出力をさらにより高めることができる。上記の要件(C)において、平均粒径(D50)は、0.1μm以上2μm以下の範囲の値であることが好ましく、より好ましくは、0.1μm以上1μm以下の範囲の値である。
また、本発明の正極活物質粉末において、正極活物質が複合金属酸化物である場合には、その酸化物として、以下の式(1)、式(2)で表される酸化物を挙げることができる。
LixNi1-y1 y2 (1)
(ここで、xは0.9以上1.2以下の範囲の値であり、yは0以上0.8以下の範囲の値であり、M1はV、Ti、Mn、Fe、Co、P、Si、AlおよびBからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す。)
式(1)で表される酸化物により、放電容量を高めることができる。式(1)において、放電容量をより高める意味で、xは1.0以上1.1以下の範囲の値であることが好ましく、より好ましくは1.0以上1.05以下である。また、同様の意味で、yは0.1以上0.7以下が好ましく、より好ましくは0.2以上0.6以下である。また、式(1)におけるM1は、Mn、FeおよびCoからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
LivMn1-w2 w3 (2)
(ここで、vは1.3以上2.2以下の範囲の値であり、wは0以上0.5以下の範囲の値であり、M2はV、Ti、Fe、Co、Ni、P、Si、AlおよびBからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す。)
式(2)で表される酸化物により、高い電流レートにおける出力をより高めることができる。式(2)において、出力をさらにより高める意味で、vは1.4以上2.1以下の範囲の値であることが好ましく、より好ましくは1.5以上2.0以下の範囲の値である。また、同様の意味で、wは0.1以上0.45以下の範囲の値であることが好ましく、より好ましくは0.2以上0.4以下の範囲の値である。また、式(2)におけるM2は、Fe、CoおよびNiからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、上記のM1、M2の元素の一部をGa、In、Ge、Sn、Mg、Sc、Y、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Ru、Rh、Ir、Pd、Cu、Ag、Zn等の元素で置換してもよい。
本発明の正極活物質粉末のBET比表面積は、通常、2m2/g以上7m2/g以下である。非水電解質二次電池における高い放電容量と高出力のバランスから、該粉末のBET比表面積は、好ましくは2.5m2/g以上7m2/g以下、より好ましくは3m2/g以上4m2/g以下である。
また、上記酸化物における結晶構造として、前記式(1)で表される酸化物は、通常、六方晶型結晶構造を有し、空間群はR−3mに分類される。また、前記式(2)で表される酸化物は、通常、単斜晶型結晶構造を有し、空間群はC2/mに分類される。これらの結晶構造は、CuKαを線源とする粉末X線回折測定により同定することができる。
また、本発明の正極活物質粉末をコア材として、粉末を構成する粒子(一次粒子および凝集粒子)の表面に、さらにB、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Mgおよび遷移金属元素から選ばれる1種以上の元素を含有する化合物を被着させるなどの表面処理を施してもよい。上記元素の中でも、B、Al、Mg、Co、Cr、MnおよびFeから選ばれる1種以上が好ましく、操作性の観点からAlがより好ましい。化合物としては、例えば上記元素の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、有機酸塩またはこれらの混合物が挙げられる。中でも、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩またはこれらの混合物が好ましい。以上の中でも、より好ましくはアルミナである。また、上記の表面処理後、熱処理する場合においては、その熱処理の温度にもよるが、熱処理後の粉末のBET比表面積が、上記のBET比表面積の範囲より小さくなる場合もあり得るが、その場合、正極活物質粉末のBET比表面積の範囲は表面処理前のものとする。
次に本発明の正極活物質粉末を製造する方法について、説明する。
例えば、本発明における正極活物質が、式(1)、式(2)などで表される複合金属酸化物である場合には、まず、焼成により前記式(1)、式(2)となり得る金属化合物混合物を焼成することにより、複合金属酸化物を製造する。より具体的には、好ましい複合金属酸化物の一つで、Li1.04[Ni0.43Mn0.47Co0.1]O2で表される複合金属酸化物は、炭酸リチウム、水酸化ニッケル、二酸化マンガンおよび四三酸化コバルトのそれぞれの金属化合物を、Li:Ni:Mn:Coのモル比が1.04:0.43:0.47:0.1となるように秤量し、混合した後に得られる金属化合物混合物を焼成することにより得ることができる。
前記の金属化合物混合物における金属化合物は、例えば、式(1)または式(2)で表される複合金属酸化物を構成する金属元素(例えば、Li、Ni、Mn、Co、Feなど)を含有する化合物であり、金属化合物としては、これら金属元素の酸化物を用いるか、または、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩、アルコキシドなど高温で分解および/または酸化して酸化物になり得るものを用いることができる。Liを含有する化合物としては水酸化物および/または炭酸塩が好ましく、Niを含有する化合物としては水酸化物および/または酸化物が好ましく、Mnを含有する化合物としては炭酸塩および/または酸化物が好ましく、Coを含有する化合物としては酸化物および/または水酸化物が好ましく、Feを含有する化合物としては水酸化物および/または酸化物が好ましい。また、金属元素の2種以上を含有する複合金属化合物を、金属化合物として用いてもよい。
また、正極活物質粉末の結晶性を高めるため、焼成前の前記の金属化合物混合物が、さらにホウ素を含有する化合物を含有していてもよい。ホウ素を含有する化合物の含有量としては、通常、前記金属化合物混合物中のリチウムを除く金属元素の総モルに対して、ホウ素換算で0.00001モル%以上5モル%以下含有していてもよい。好ましくは、ホウ素換算で0.0001モル%以上3モル%以下である。ホウ素を含有する化合物としては、酸化ホウ素、ホウ酸が挙げられ、好ましくはホウ酸である。また、ここで金属化合物混合物にさらに含有されたホウ素は、焼成後の本発明の正極活物質粉末に残留していてもよいし、洗浄、蒸発等により除去されていてもよい。
金属化合物の混合は、乾式混合、湿式混合のいずれによってもよいが、より簡便な乾式混合が好ましく、乾式混合装置としては、V型混合機、W型混合機、リボン混合機、ドラムミキサー、乾式ボールミル等によって行うことができる。
また、焼成時の固相反応を促進させる観点から、金属化合物混合物の体積基準の平均粒径(D50)は、1μm以上20μm以下の範囲の値であることが好ましい。ここで、金属化合物混合物の体積基準の平均粒径(D50)は、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置により測定することができる。
前記金属化合物混合物を、必要に応じて圧縮成形した後、例えば、600℃以上1200℃以下の温度範囲にて、2〜30時間保持して焼成することにより焼成品を得る。また焼成の雰囲気としては、組成にもよるが、空気、酸素、窒素、アルゴンまたはそれらの混合ガスを用いることができるが、酸素が含まれている雰囲気が好ましい。
このようにして、複合金属酸化物を得ることができる。
本発明における複合金属酸化物は、例えば下記のような水熱反応による方法によっても製造することができる。例えば、以下の(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の工程をこの順で含む製法によって製造することができる。
(a)式(1)または式(2)で表される複合金属酸化物を構成する金属元素を含有する水溶液(以下、遷移金属水溶液と呼ぶことがある。)とアルカリ(i)とを混合することにより、沈殿を生成させる工程。
(b)該沈殿と酸化剤と、LiOHを含むアルカリ(ii)とを含有する液状混合物を150℃〜350℃の温度範囲で水熱処理し、水熱処理品を得る工程。
(c)該水熱処理品を洗浄し、洗浄品を得る工程。
(d)該洗浄品を乾燥し、乾燥品を得る工程。
(e)該乾燥品とリチウム化合物とを乾式混合により混合して得られる混合物を焼成し、焼成品(複合金属酸化物)を得る工程。
工程(a)における遷移金属水溶液は、水溶液中に、複合金属酸化物を構成する金属元素を含有していればよく、例えば、該金属元素が、Ni、MnおよびCoであり、原料として、Ni、MnおよびCoを含有する化合物で、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩などの水溶性化合物を用いる場合には、該化合物を水に溶解させて製造すればよい。これらの水溶性化合物は、無水物および水和物のいずれであってもよい。例えば、Niを含有する化合物としてはNiCl2・6H2O、Mnを含有する化合物としてはMnCl2・4H2O、Coを含有する化合物としてはCo(NO3)2・6H2Oを用いればよい。また、原料として、Ni、MnおよびCoの金属材料や、Ni、MnおよびCoを含有する化合物で、水酸化物、酸水酸化物、酸化物などの水への溶解が困難な化合物を用いる場合には、これらを塩酸などの酸に溶解させて製造すればよい。また、Ni、MnおよびCoそれぞれについて、上述の水溶性化合物、水への溶解が困難な化合物、金属材料のうち2種以上を併用してもよい。
工程(a)におけるアルカリ(i)としては、LiOH(水酸化リチウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)、NH3(アンモニア)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)、K2CO3(炭酸カリウム)および(NH42CO3(炭酸アンモニウム)からなる群より選ばれる1種以上の無水物および/または該1種以上の水和物を用いることができ、通常、これらを水に溶解させて、水溶液として用いる。該水溶液におけるアルカリ(i)の濃度は、通常0.1〜20M程度、好ましくは0.5〜10M程度である。また、正極活物質における不純物を減らす観点から、アルカリ(i)として、LiOHの無水物および/または水和物を用いることが好ましい。また、製造コストの面からは、アルカリ(i)としてKOHの無水物および/または水和物を用いることが好ましい。また、これらのアルカリ(i)を2つ以上併用してもよい。
工程(a)において、上記遷移金属水溶液と、アルカリ(i)とを混合することにより、沈殿を生成させるときには、粒径が均一な沈殿を得るために、遷移金属水溶液と、アルカリ(i)の水溶液とを混合させて生成した沈殿を含む混合液を攪拌することが好ましい。この際、沈殿を含む混合液のpHを計測しながら、遷移金属水溶液と、アルカリ(i)の水溶液の投入量を調節する。粒径が均一な沈殿を得る観点で、工程(a)では、計測pHが11以上13以下であるのが好ましい。
また、沈殿生成を均一に行う意味で、遷移金属水溶液および/またはアルカリ(i)の水溶液を冷却して用いてもよい。この冷却のときの温度としては、10℃以下が好ましく、より好ましくは−15℃以上5℃以下程度である。冷却の温度を0℃以下とする場合には、不凍液としてメタノール、エタノール、エチレングリコールなど、水100重量部に対し、不凍液1〜50重量部の割合で遷移金属水溶液および/またはアルカリ(i)の水溶液に添加してもよい。
非水電解質二次電池とした場合の放電容量をより高くする意味で、上記の沈殿を含む混合液中に、空気等の酸素含有ガスを導入する操作をしてもよい。該操作のタイミングは特に限定されることは無く、遷移金属水溶液と、アルカリ(i)の水溶液中とを混合している途中でも良いし、混合後に該操作を行ってもよい。該操作の時間としては、1時間〜5日程度、温度としては、0〜100℃程度である。
工程(a)における混合により、生成された沈殿を含む混合液について、ろ過等の固液分離を行う場合には、混合液を固液分離し得られる沈殿を再度水に分散させて得られる分散液を、工程(b)で用いる。固液分離し得られる沈殿について、洗浄を行ってもよい。また、生成された沈殿を含む混合液を、固液分離を行うことなしに、そのまま工程(b)で用いてもよい。
工程(b)において、液状混合物は、工程(a)で得られた沈殿と酸化剤とLiOHを含むアルカリ(ii)とを含有するものである。酸化剤は、液状混合物中の金属元素を酸化するのに用いる。酸化剤としては、NaClO(次亜塩素酸ナトリウム)、HNO3(硝酸)、KClO3(塩素酸カリウム)およびH22(過酸化水素)からなる群より選ばれる1種以上を挙げることができ、製造コスト、酸化反応性の面では、H22および/またはKClO3が好ましく、酸化反応制御をし易くする意味でより好ましいのはKClO3である。また、LiOHを含むアルカリ(ii)としては、LiOHの無水物および/または水和物のみか、さらにNaOHの無水物および/または水和物、KOHの無水物および/または水和物、好ましくはKOHの無水物および/または水和物を含有してもよい。これらの酸化剤およびアルカリ(ii)を、上記の混合液または分散液に添加して、液状混合物を製造することができる。液状混合物中の酸化剤の濃度は、通常0.1〜10M程度、好ましくは0.3〜5M程度であり、液状混合物中のアルカリ(ii)は、通常0.1〜30M程度、好ましくは、1〜20M程度であり、液状混合物中の沈殿の含有量は通常1〜200g/(液体混合物1L)程度である。また、液状混合物におけるLiの濃度は、0.1〜10Mとしておくことが好ましく、0.5〜5Mとしておくことがより好ましい。液状混合物は、必要に応じて、塩化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウムを含有してもよい。また、液状混合物のpHは、水熱処理における反応を促進させる意味で、11以上であることが好ましく、13以上であることがより好ましい。
工程(b)において上記の液状混合物を用いて、150℃〜350℃の温度範囲で水熱処理し、水熱処理品を得る。この温度範囲における圧力は、通常、0.4MPa〜17MPa程度である。水熱処理装置としては、オートクレーブ(材質としては、例えば、ステンレス、インコネル(登録商標)、ハステロイ(登録商標)などの、耐熱性、耐触性に優れるものを好ましく用いられる。)を用いればよい。水熱処理の好ましい温度範囲としては、180℃〜250℃である。水熱処理の時間としては、通常0.1〜150時間程度であり、好ましくは0.5〜50時間である。
工程(c)において、水熱処理品を洗浄する。この洗浄により、水熱処理品中の例えば水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、酸化剤等の不純物を除去することができる。洗浄は、通常、水熱処理品をろ過等により固液分離後に得られる固形分を、水、水−アルコール、アセトンなどにより洗浄し、再度、固液分離する。固液分離後の固形分が、洗浄品である。
工程(d)において、洗浄品を乾燥し、乾燥品を得る。この乾燥は、通常、熱処理によって行うが、送風乾燥、真空乾燥等によってもよい。熱処理によって行う場合には、通常50〜300℃で行い、好ましくは100℃〜200℃程度である。
工程(e)において、上記乾燥品とリチウム化合物とを乾式混合により混合して得られる混合物を焼成し、焼成品を得る。工程(e)におけるリチウム化合物としては、水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウムおよび炭酸リチウムからなる群より選ばれる1種以上の無水物および/または該1種以上の水和物を挙げることができ、水酸化リチウムおよび炭酸リチウムからなる群より選ばれる1種以上の無水物および/または該1種以上の水和物が好ましく、固体状態である必要がある。乾燥品とリチウム化合物との混合は、乾式混合により行う。混合装置としては、攪拌混合、V型混合機、W型混合機、リボン混合機、ドラムミキサー、ボールミル等を挙げることができる。
工程(e)において、焼成の温度は、300℃以上1000℃以下であることが好ましく、より好ましくは500℃以上900℃以下である。前記焼成温度で保持する時間は、通常0.1〜20時間であり、好ましくは0.5〜8時間である。前記焼成温度までの昇温速度は、通常50〜400℃/時間であり、前記焼成温度から室温までの降温速度は、通常10〜400℃/時間である。また、焼成の雰囲気としては、空気、酸素、窒素、アルゴンまたはそれらの混合ガスを用いることができるが、酸素が含まれている雰囲気が好ましい。
本発明の正極活物質粉末は、上記のようにして得られる複合金属酸化物、従来技術により得られる正極活物質につき、粉砕、分級、2種類の粒度分布を有する正極活物質粉末の混合などの操作により、粒度分布の調整を適宜行って、製造することができる。
上記粉砕方法としては、ボールミル、ジェットミルなどによる方法を挙げることができ、ジェットミルを用いることが好ましい。ジェットミルにおいては、ジェット気流により正極活物質を構成する粒子を加速させ粒子同士の衝突により粉砕を行い、衝突による結晶構造の歪みが少なく、また短時間での粉砕が容易であり、しかも粒度分布を調整しやすく、本発明における目的以外の粒子の発生を抑えることができる。ジェットミルに換えて、振動ミルや乾式ボールミルを用いて、粉砕してもよいが、その際には、さらに風力分級操作を要する等、工程が複雑になる場合がある。また、ジェットミルとして、分級機が内蔵された流動層式ジェットミルを用いることがより好ましい。流動層式ジェットミルとしては、ナノグライディングミル(サンレックス工業株式会社製、NJ−100型)を挙げることができる。
また、上記において、粉砕、焼成は、それぞれ2回以上繰り返してもよいし、必要に応じて洗浄あるいは分級することもできる。
上記のようにして得られる本発明の正極活物質粉末を、単独で、または上記被着などの表面処理を施すなどして、非水電解質二次電池用正極に用いることができる。
次に、本発明の正極活物質粉末を含有する非水電解質二次電池用正極について説明する。該正極は、本発明の正極活物質粉末、導電材およびバインダーを含む正極合剤を正極集電体に担持させて製造することができ、この場合、非水電解質二次電池用正極は導電材を有する。前記導電材としては炭素質材料を用いることができ、炭素質材料として黒鉛粉末、カーボンブラック、アセチレンブラック、繊維状炭素材料などを挙げることができる。カーボンブラックやアセチレンブラックは、微粒で表面積が大きいため、少量正極合剤中に添加することにより正極内部の導電性を高め、充放電効率及びレート特性を向上させることができるが、多く入れすぎるとバインダーによる正極合剤と正極集電体との結着性を低下させ、かえって内部抵抗を増加させる原因となる。通常、正極合剤中の導電材の割合は、正極活物質粉末100重量部に対して5重量部以上20重量部以下である。導電材として繊維状炭素材料を用いる場合には、この割合を下げることも可能である。
非水電解質二次電池用正極の導電性をより高める意味で、導電材は、繊維状炭素材料を含有することが好ましいことがある。繊維状炭素材料を含有する場合、繊維状炭素材料の長さをa、該材料の長さ方向に垂直な断面の径をbとしたとき、a/bは、通常20〜1000である。また、繊維状炭素材料の長さをa、本発明の正極活物質粉末における一次粒子および一次粒子の凝集粒子の体積基準の平均粒径(D50)をcとしたとき、a/cの値は、通常2〜100であり、好ましくは2〜50である。a/cが2を下回る場合には、正極活物質粉末における粒子間の導電性が十分でないことがあり、100を超える場合には、正極合材と正極集電体との結着性が低下する場合がある。また、繊維状炭素材料において、その電気伝導度は高い方がよい。繊維状炭素材料の電気伝導度は、繊維状炭素材料を密度を1.0〜1.5g/cm3となるように成形した試料について測定され、その場合の電気伝導度は、通常1S/cm以上であり、好ましくは2S/cm以上である。
繊維状炭素材料として、具体的には、黒鉛化炭素繊維、カーボンナノチューブを挙げることができる。カーボンナノチュ−ブは、シングルウォール、マルチウォールのいずれでもよい。繊維状炭素材料は、市販されているものを、粉砕して、上記のa/bおよびa/cの範囲となるように調製して用いればよい。ここで、粉砕は、乾式、湿式のいずれによってもよく、乾式粉砕としては、ボールミル、ロッキングミル、遊星ボールミルによる粉砕が挙げられ、湿式粉砕としては、ボールミル、分散機による粉砕が挙げられる。分散機としては、ディスパーマット(英弘精機株式会社製、製品名)を挙げることができる。
本発明の非水電解質二次電池用正極において、繊維状炭素材料を用いる場合は、正極の導電性をより高める意味で、繊維状炭素材料の割合は、正極活物質粉末100重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下であることが好ましい。また、導電材として、繊維状炭素材料とそれ以外の炭素質材料(黒鉛粉末、カーボンブラック、アセチレンブラックなど)を併用してもよい。この場合、それ以外の炭素質材料は、球状で微粒であることが好ましい。それ以外の炭素質材料を併用する際には、該材料の割合は、正極活物質粉末100重量部に対して0.1重量部〜10重量部である。
前記バインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができ、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂等が挙げられる。また、これらの二種以上を混合して用いてもよい。また、バインダーとしてフッ素樹脂およびポリオレフィン樹脂を用い、正極合剤に対する該フッ素樹脂の割合が1〜10重量%、該ポリオレフィン樹脂の割合が0.1〜2重量%となるように含有させることによって、正極集電体との結着性に優れた正極合剤を得ることができる。
前記正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどを用いることができるが、薄膜に加工しやすく、安価であるという点でAlが好ましい。正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、加圧成型する方法、または有機溶媒などを用いてペースト化し、正極集電体上に塗布、乾燥後プレスするなどして固着する方法が挙げられる。ペースト化する場合、正極活物質、導電材、バインダー、有機溶媒からなるスラリーを作製する。有機溶媒としては、N,N―ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン等のアミン系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル等のエステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒等が挙げられる。
正極合剤を正極集電体へ塗布する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法、静電スプレー法等が挙げられる。以上に挙げた方法により、本発明における非水電解質二次電池用正極を製造することができる。
次に、本発明の非水電解質二次電池用正極を有する非水電解質二次電池について、該電池の例としてリチウム二次電池を挙げて説明する。リチウム二次電池は、セパレータ、負極集電体に負極合剤が担持されてなる負極、および上述の正極を、積層、巻回することにより得られる電極群を、電池缶などの容器内に収納した後、電解質を含有する有機溶媒からなる電解液を含浸させて製造することができる。
前記の電極群の形状としては、例えば、該電極群を巻回の軸と垂直方向に切断したときの断面が、円、楕円、長方形、角がとれたような長方形等となるような形状を挙げることができる。また、電池の形状としては、例えば、ペーパー型、コイン型、円筒型、角型などの形状を挙げることができる。
前記負極は、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープ・脱ドープが可能であればよく、負極材料を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、または負極材料単独からなる電極を挙げることができる。負極材料としては、炭素質材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物など)、窒化物、金属または合金で、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な材料が挙げられる。また、これらの負極材料を混合して用いてもよい。
前記の負極材料につき、以下に例示する。前記炭素質材料として、具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体などを挙げることができる。前記酸化物として、具体的には、SiO2、SiOなど式SiOx(ここで、xは正の実数)で表されるケイ素の酸化物、TiO2、TiOなど式TiOx(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの酸化物、V25、VO2など式VOx(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの酸化物、Fe34、Fe23、FeOなど式FeOx(ここで、xは正の実数)で表される鉄の酸化物、SnO2、SnOなど式SnOx(ここで、xは正の実数)で表されるスズの酸化物、WO3、WO2など一般式WOx(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの酸化物、Li4Ti512、LiVO2(たとえばLi1.10.92)などのリチウムとチタンおよび/またはバナジウムとを含有する複合金属酸化物などを挙げることができる。前記硫化物として、具体的には、Ti23、TiS2、TiSなど式TiSx(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの硫化物、V34、VS2、VSなど式VSx(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの硫化物、Fe34、FeS2、FeSなど式FeSx(ここで、xは正の実数)で表される鉄の硫化物、Mo23、MoS2など式MoSx(ここで、xは正の実数)で表されるモリブデンの硫化物、SnS2、SnSなど式SnSx(ここで、xは正の実数)で表されるスズの硫化物、WS2など式WSx(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの硫化物、Sb23など式SbSx(ここで、xは正の実数)で表されるアンチモンの硫化物、Se53、SeS2、SeSなど式SeSx(ここで、xは正の実数)で表されるセレンの硫化物などを挙げることができる。前記窒化物として、具体的には、Li3N、Li3-xxN(ここで、AはNiおよび/またはCoであり、0<x<3である。)などのリチウム含有窒化物を挙げることができる。これらの炭素質材料、酸化物、硫化物、窒化物は、併用して用いてもよく、結晶質または非晶質のいずれでもよい。また、これらの炭素質材料、酸化物、硫化物、窒化物は、主に、負極集電体に担持して、電極として用いられる。
また、前記金属として、具体的には、リチウム金属、シリコン金属、スズ金属が挙げられる。また、前記合金としては、Li−Al、Li−Ni、Li−Siなどのリチウム合金、Si−Znなどのシリコン合金、Sn−Mn、Sn−Co、Sn−Ni、Sn−Cu、Sn−Laなどのスズ合金のほか、Cu2Sb、La3Ni2Sn7などの合金を挙げることもできる。これらの金属、合金は、主に、単独で電極として用いられる(例えば箔状で用いられる)。
上記負極材料の中で、電位平坦性が高い、平均放電電位が低い、サイクル性が良いなどの観点からは、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛を主成分とする炭素質材料が好ましく用いられる。炭素質材料の形状としては、例えば天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、または微粉末の凝集体などのいずれでもよい。
前記の負極合剤は、必要に応じて、バインダーを含有してもよい。バインダーとしては、熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、PVDF、熱可塑性ポリイミド、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。電解液が後述のエチレンカーボネートを含有しない場合において、ポリエチレンカーボネートを含有した負極合剤を用いると、得られる電池のサイクル特性と大電流放電特性が向上することがある。
前記の負極集電体としては、Cu、Ni、ステンレスなどを挙げることができ、リチウムと合金を作り難い点、薄膜に加工しやすいという点で、Cuを用いればよい。該負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、正極の場合と同様であり、加圧成型による方法、溶媒などを用いてペースト化し負極集電体上に塗布、乾燥後プレスし圧着する方法等が挙げられる。
前記セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質フィルム、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができ、また、前記の材質を2種以上用いてセパレータとしてもよいし、前記の材料が積層されていてもよい。セパレータとしては、例えば特開2000−30686号公報、特開平10−324758号公報等に記載のセパレータを挙げることができる。セパレータの厚みは電池の体積エネルギー密度が上がり、内部抵抗が小さくなるという点で、機械的強度が保たれる限り薄いほど好ましい。セパレータの厚みは、通常5〜200μm程度、好ましくは5〜40μm程度である。
セパレータは、好ましくは、熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムを有する。非水電解質二次電池においては、通常、正極−負極間の短絡等が原因で電池内に異常電流が流れた際に、電流を遮断して、過大電流が流れることを阻止する(シャットダウンする)ことが重要である。したがって、セパレータには、通常の使用温度を越えた場合に、できるだけ低温でシャットダウンする(セパレータが、熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムを有する場合には、多孔質フィルムの微細孔が閉塞する)こと、およびシャットダウンした後、ある程度の高温まで電池内の温度が上昇しても、その温度により破膜することなく、シャットダウンした状態を維持すること、換言すれば、耐熱性が高いことが求められる。セパレータとして、耐熱樹脂を含有する耐熱多孔層と熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムとが積層されてなる積層多孔質フィルムからなるセパレータを用いることにより、熱破膜温度をより防ぐことが可能となる。ここで、耐熱多孔層は、多孔質フィルムの両面に積層されていてもよい。
以下、耐熱樹脂を含有する耐熱多孔層と熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムとが積層されてなる積層多孔質フィルムからなるセパレータについて説明する。ここで、このセパレータの厚みは、通常40μm以下、好ましくは20μm以下である。また、耐熱多孔層の厚みをA(μm)、多孔質フィルムの厚みをB(μm)としたときには、A/Bの値が、0.1以上1以下であることが好ましい。また更に、このセパレータは、イオン透過性の観点から、ガーレー法による透気度において、透気度が50〜300秒/100ccであることが好ましく、50〜200秒/100ccであることがさらに好ましい。このセパレータの空孔率は、通常30〜80体積%、好ましくは40〜70体積%である。
積層多孔質フィルムにおいて、耐熱多孔層は、耐熱樹脂を含有する。イオン透過性をより高めるために、耐熱多孔層の厚みは、1μm以上10μm以下、さらには1μm以上5μm以下、特に1μm以上4μm以下という薄い耐熱多孔層であることが好ましい。また、耐熱多孔層は微細孔を有し、その孔のサイズ(直径)は通常3μm以下、好ましくは1μm以下である。さらに、耐熱多孔層は、後述のフィラーを含有することもできる。
耐熱多孔層に含有される耐熱樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、芳香族ポリエステル、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミドを挙げることができ、耐熱性をより高める観点で、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミドが好ましく、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドがより好ましい。さらにより好ましくは、耐熱樹脂は、芳香族ポリアミド(パラ配向芳香族ポリアミド、メタ配向芳香族ポリアミド)、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド等の含窒素芳香族重合体であり、とりわけ好ましくは芳香族ポリアミドであり、製造面で特に好ましくはパラ配向芳香族ポリアミド(以下、「パラアラミド」ということがある。)である。また、耐熱樹脂としては、ポリ−4−メチルペンテン−1、環状オレフィン系重合体を挙げることもできる。これらの耐熱樹脂を用いることにより、耐熱性を高めること、すなわち熱破膜温度を高めることができる。
熱破膜温度は、耐熱樹脂の種類に依存するが、通常、熱破膜温度は160℃以上である。耐熱樹脂として、上記含窒素芳香族重合体を用いることにより、熱破膜温度を最大400℃程度にまで高めることができる。また、ポリ−4−メチルペンテン−1を用いる場合には最大250℃程度、環状オレフィン系重合体を用いる場合には最大300℃程度にまで、熱破膜温度をそれぞれ高めることができる。
上記パラアラミドは、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドの縮合重合により得られるものであり、アミド結合が芳香族環のパラ位またはそれに準じた配向位(例えば、4,4’−ビフェニレン、1,5−ナフタレン、2,6−ナフタレン等のような反対方向に同軸または平行に延びる配向位)で結合される繰り返し単位から実質的になるものである。パラアラミドとしては、パラ配向型またはパラ配向型に準じた構造を有するパラアラミド、具体的には、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(4,4’−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロ−パラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンテレフタルアミド/2,6−ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体等が例示される。
上記芳香族ポリイミドとしては、芳香族の二酸無水物とジアミンの縮重合で製造される全芳香族ポリイミドが好ましい。二酸無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4―ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などがあげられる。ジアミンとしては、オキシジアニリン、パラフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン、3,3’−メチレンジアニリン、3,3’−ジアミノベンソフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5’−ナフタレンジアミンなどがあげられる。また、溶媒に可溶なポリイミドが好適に使用できる。このようなポリイミドとしては、例えば、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミンとの重縮合物のポリイミドが挙げられる。
上記芳香族ポリアミドイミドとしては、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジイソシアネートを用いてこれらの縮合重合から得られるもの、芳香族二酸無水物および芳香族ジイソシアネートを用いてこれらの縮合重合から得られるものが挙げられる。芳香族ジカルボン酸の具体例としてはイソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。また芳香族二酸無水物の具体例としては、無水トリメリット酸などが挙げられる。芳香族ジイソシアネートの具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、オルソトリランジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネートなどが挙げられる。
耐熱多孔層に含有されていてもよいフィラーは、有機粉末、無機粉末またはこれらの混合物のいずれから選ばれるものであってよい。フィラーを構成する粒子は、その平均粒子径が、0.01μm以上1μm以下であることが好ましい。フィラーの形状としては、略球状、板状、柱状、針状、ウィスカー状、繊維状等が挙げられ、いずれの粒子も用いることができるが、均一な孔を形成しやすいことから、略球状粒子であることが好ましい。
フィラーとしての有機粉末としては、例えば、スチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸メチル等の単独あるいは2種類以上の共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド等のフッ素系樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;ポリオレフィン;ポリメタクリレート等の有機物からなる粉末が挙げられる。有機粉末は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの有機粉末の中でも、化学的安定性の点で、ポリテトラフルオロエチレン粉末が好ましい。
フィラーとしての無機粉末としては、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸塩等の無機物からなる粉末が挙げられ、具体的に例示すると、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、または炭酸カルシウム等からなる粉末が挙げられる。無機粉末は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの無機粉末の中でも、化学的安定性の点で、アルミナ粉末が好ましい。フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子であることがより好ましく、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子であり、かつその一部または全部が略球状のアルミナ粒子であることがさらにより好ましい。
耐熱多孔層におけるフィラーの含有量は、フィラーの材質の比重にもよるが、例えば、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子である場合には、耐熱多孔層の総重量を100としたとき、フィラーの重量は、通常20重量部以上95重量部以下、好ましくは30重量部以上90重量部以下である。これらの範囲は、フィラーの材質の比重に依存して適宜設定できる。
積層多孔質フィルムにおいて、多孔質フィルムは、熱可塑性樹脂を含有する。この多孔質フィルムの厚みは、通常、3〜30μmであり、さらに好ましくは3〜20μmである。多孔質フィルムは、上記多孔質フィルムと同様に、微細孔を有し、その孔のサイズは通常3μm以下、好ましくは1μm以下である。多孔質フィルムの空孔率は、通常30〜80体積%、好ましくは40〜70体積%である。非水電解質二次電池において、通常の使用温度を越えた場合には、多孔質フィルムは、それを構成する熱可塑性樹脂の軟化により、微細孔を閉塞する役割を果たす。
多孔質フィルムに含有される熱可塑性樹脂としては、80〜180℃で軟化するものを挙げることができ、非水電解質二次電池における電解液に溶解しないものを選択すればよい。具体的には、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタンを挙げることができ、これらの2種以上の混合物を用いてもよい。より低温で軟化してシャットダウンさせるためには、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン等のポリエチレンを挙げることができ、超高分子量ポリエチレンを挙げることもできる。多孔質フィルムの突刺し強度をより高めるためには、熱可塑性樹脂は、少なくとも超高分子量ポリエチレンを含有することが好ましい。また、多孔質フィルムの製造面において、熱可塑性樹脂は、低分子量(重量平均分子量1万以下)のポリオレフィンからなるワックスを含有することが好ましい場合もある。
前記電解液において、電解質としては、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LIBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiC(SO2CF33、Li210Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl4などのリチウム塩が挙げられ、これらの2種以上の混合物を使用してもよい。リチウム塩として、これらの中でもフッ素を含むLiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32およびLiC(SO2CF33からなる群から選ばれた少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。
また前記電解液において、有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物、または上記の有機溶媒にさらにフッ素置換基を導入したものを用いることができるが、通常はこれらのうちの二種以上を混合して用いる。中でもカーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネート、または環状カーボネートとエーテル類の混合溶媒がさらに好ましい。環状カーボネートと非環状カーボネートの混合溶媒としては、動作温度範囲が広く、負荷特性に優れ、かつ負極の活物質として天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を用いた場合でも難分解性であるという点で、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。また、特に優れた安全性向上効果が得られる点で、LiPF6等のフッ素を含むリチウム塩およびフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル等のフッ素置換基を有するエーテル類とジメチルカーボネートとを含む混合溶媒は、大電流放電特性にも優れており、さらに好ましい。
上記の電解液の代わりに固体電解質を用いてもよい。固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖もしくはポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物などの高分子電解質を用いることができる。また、高分子に非水電解質溶液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。またLi2S−SiS2、Li2S−GeS2、Li2S−P25、Li2S−B23などの硫化物電解質、またはLi2S−SiS2−Li3PO4、Li2S−SiS2−Li2SO4などの硫化物を含む無機化合物電解質を用いると、安全性をより高めることができることがある。また、本発明の非水電解質二次電池において、固体電解質を用いる場合には、固体電解質がセパレータの役割を果たす場合もあり、その場合には、セパレータを必要としないこともある。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。正極活物質粉末の粒度分布の測定、正極活物質粉末のBET比表面積の測定、結晶構造解析および正極活物質粉末の組成分析は下記の方法で行った。また、充放電試験用電池の作製、評価、充放電試験は下記の方法で行った。
(1)正極活物質粉末の粒度分布測定
正極活物質粉末における体積基準の頻度粒度分布曲線、体積基準の累積粒度分布曲線を得るために、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置(マルバーン社製マスターサイザー2000)を用いて、粒度分布を測定した。分散媒には、0.2wt%ヘキサメタりん酸ナトリウム水溶液を使用した。
(2)正極活物質粉末のBET比表面積の測定
粉末1gを窒素気流中150℃、15分間乾燥した後、マイクロメリテックス社製フローソーブII2300を用いて測定した。
(3)正極活物質粉末の組成分析
粉末を塩酸に溶解させた後、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP発光分光分析装置:SPS3000、セイコーインスツル株式会社製、以下、ICP組成分析と呼ぶことがある)を用いて測定した。
(4)正極活物質粉末の結晶構造解析
正極活物質の結晶構造は、CuKαを線源とする粉末X線回折測定により同定した。測定装置としては、株式会社リガク製RINT2500TTRを用いた。
(5)充放電試験用電池の作製
正極活物質粉末と、導電材となる燐片状天然黒鉛とアセチレンブラックの混合物と、さらにバインダーとしてPVDFをN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPということがある。)に溶解させた溶液とを、活物質:燐片黒鉛:アセチレンブラック:PVDFが重量比で87:9:1:3となるように混合・混練することにより正極合剤ペーストとし、正極集電体となる厚さ40μmのAl箔に該ペーストを塗布して60℃で熱風乾燥機にて1時間乾燥後、ロールプレスにて圧密化処理を行い、14.5mmφのサイズに切り出し正極を得た。得られた正極の重量を測定し、正極の重量からAl箔の重量を減じ、正極合剤重量を算出し、さらに、上記のペースト状正極合剤の重量比から正極活物質粉末重量を算出した。
得られた正極と、電解液としてエチレンカーボネート(以下、ECということがある。)とジメチルカーボネート(以下、DMCということがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCということがある。)との30:35:35(体積比)混合液にLiPF6を1モル/リットルとなるように溶解したもの(以下、LiPF6/EC+DMC+EMCと表すことがある。)と、セパレータとしてポリエチレン多孔質フィルムと、負極として金属リチウムとを組み合わせて、コイン型電池(R2032)を作製した。
上記のコイン型電池を用いて、25℃保持下、以下に示す条件で放電レート試験を実施した。放電レート試験は、放電時の放電電流を変えて放電容量を測定し、以下に従い、放電容量維持率を計算した。
<放電レート試験>
充電最大電圧4.3V、充電時間8時間、充電電流0.3mA/cm2
放電時は放電最小電圧を3.0Vで一定とし、各サイクルにおける放電電流を下記のように変えて放電を行った。10Cにおける放電(高い電流レート)による放電容量が高ければ高いほど、高出力を示すことを意味する。
1、2サイクル目の放電(0.2C):放電電流0.3mA/cm2
3サイクル目の放電(1C):放電電流1.5mA/cm2
4サイクル目の放電(3C):放電電流4.5mA/cm2
5サイクル目の放電(5C):放電電流7.5mA/cm2
6サイクル目の放電(10C):放電電流15mA/cm2
<0.2C放電容量比>
0.2C放電容量比(%)=所定回数のサイクルにおける放電容量/初回0.2C放電容量×100
比較例1
(1)正極活物質粉末の合成
炭酸リチウム(Li2CO3:本荘ケミカル株式会社製)と水酸化ニッケル(Ni(OH)2:関西触媒化学株式会社製)と酸化マンガン(MnO2:高純度化学株式会社製)と四三酸化コバルト(Co34:正同化学工業株式会社製)とホウ酸(H3BO3:米山化学株式会社製)を、各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co:B=1.1:0.43:0.47:0.10:0.03となるようにそれぞれ秤量し、下記に示す条件でボールミル混合機を用いて混合することにより金属化合物混合物を得た。
粉砕メディア :15mmφアルミナボール(5.8kg)
ボールミルの回転数 :80rpm
ボールミルの容積 :5L
前記金属化合物混合物をアルミナさやに充填し、大気雰囲気中1040℃で4時間保持して焼成することで塊状物を得た。この塊状物を、ジェットミル装置(日本ニューマチック工業株式会社製、スパイラルジェットミルPJM−100SP)を用いて、粉砕圧0.4MPa、粉末処理量2kg/h粉砕し、粉砕粉末を得た。該粉砕粉末を45μmの目開きの篩にて粗粒子を除去し、粉末A1を得た。
(2)正極活物質粉末の粒度分布測定、BET測定、組成分析、結晶構造解析
粉末A1のICP組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.04:0.43:0.47:0.10であり、また、粉末A1の結晶構造解析により、その結晶構造は六方晶型結晶構造(α−NaFeO2型結晶構造)であることがわかった。これらにより、粉末A1は、Li1.04Ni0.43Mn0.47Co0.102(上記式(1)において、x=1.04、y=0.57、M1はMnおよびCo)として表されることがわかった。また、粉末A1のBET比表面積は2.9m2/gであった。また、粉末A1の体積基準の粒度分布測定結果を図1に示す。図1におけるA1の体積基準の頻度粒度分布曲線において、粒径が0.1μm以上0.3μm未満の範囲に、頻度の極大値は認められなかった。また、図1におけるA1の体積基準の累積粒度分布曲線において、平均粒径(D50)は、1.37μmであった。
(3)非水電解質二次電池の放電レート試験
粉末A1を用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、1C、3C、5C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、141、120、97、83、59であり、0.2C放電容量比(%)は、それぞれ100、85、69、59、42であった。結果を表1に示す。
実施例1
(1)正極活物質粉末の合成
比較例1における塊状物を、ジェットミル装置(サンレックス工業株式会社製、ナノグライディングミルNJ−100)を用いて、粉砕圧1.5MPa、粉末処理量0.5kg/hで粉砕し、粉砕粉末を得た。該粉砕粉末を45μmの目開きの篩にて粗粒子を除去し、粉末B1を得た。
(2)正極活物質粉末の粒度分布測定、BET測定、組成分析、結晶構造解析
粉末B1のICP組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.04:0.43:0.47:0.10であり、また、粉末B1の結晶構造解析により、その結晶構造は六方晶型結晶構造(α−NaFeO2型結晶構造)であることがわかった。これらにより、粉末B1は、Li1.04Ni0.43Mn0.47Co0.102(上記式(1)において、x=1.04、y=0.57、M1はMnおよびCo)として表されることがわかった。また、粉末B1のBET比表面積は、3.4m2/gであった。また、粉末B1の体積基準の粒度分布測定結果を図1に示す。図1におけるB1の体積基準の頻度粒度分布曲線において、粒径が0.1μm以上0.3μm未満の範囲と0.3μm以上3μm以下の範囲のそれぞれの範囲に、頻度の極大値を有しており、0.1μm以上0.3μ未満の範囲における頻度の極大値は7.3体積%であった。また、図1におけるB1の体積基準の累積粒度分布曲線において、平均粒径(D50)は、0.60μmであった。
(3)非水電解質二次電池の放電レート試験
粉末B1を用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、1C、3C、5C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、156、143、125、112、90であり、0.2C放電容量比(%)は、それぞれ100、92、80、72、58であり、各Cレートにおける放電容量および0.2C放電容量比は、それぞれ、A1の放電容量および0.2C放電容量比よりも高かった。結果を表1に示す。
比較例2
(1)正極活物質粉末の合成
各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co:B=1.10:0.45:0.45:0.10:0.03となるように秤量した以外は、比較例1と同様にして、塊状物を得た。この塊状物を、ジェットミル装置(日本ニューマチック工業株式会社製、スパイラルジェットミルPJM−100SP)を用いて、粉砕圧0.4MPa、粉末処理量2kg/hで粉砕し、粉砕粉末を得た。該粉砕粉末を45μmの目開きの篩にて粗粒子を除去し、粉末A2を得た。
(2)正極活物質粉末の粒度分布測定、BET測定、組成分析、結晶構造解析
粉末A2のICP組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.05:0.45:0.45:0.10であり、また、粉末A2の結晶構造解析により、その結晶構造は六方晶型結晶構造(α−NaFeO2型結晶構造)であることがわかった。これらにより、粉末A2は、Li1.05Ni0.45Mn0.45Co0.102(上記式(1)において、x=1.05、y=0.55、M1はMnおよびCo)として表されることがわかった。また、粉末A2のBET比表面積は、2.2m2/gであった。また、粉末A2の体積基準の粒度分布測定結果を図2に示す。図2におけるA2の体積基準の頻度粒度分布曲線において、粒径が0.1μm以上0.3μm未満の範囲に、頻度の極大値は認められなかった。また、図2におけるA2の体積基準の累積粒度分布曲線において、平均粒径(D50)は、1.59μmであった。
(3)非水電解質二次電池の放電レート試験
粉末A2を用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、1C、3C、5C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、146、128、106、90、64であり、0.2C放電容量比(%)は、それぞれ100、88、73、62、44であった。結果を表1に示す。
実施例2
(1)正極活物質粉末の合成
比較例2における塊状物を、ジェットミル装置(サンレックス工業株式会社製、ナノグライディングミルNJ−100)を用いて、粉砕圧1.5MPa、粉末処理量0.5kg/hで粉砕し、粉砕粉末を得た。該粉砕粉末を45μmの目開きの篩にて粗粒子を除去し、粉末B2を得た。
(2)正極活物質粉末の粒度分布測定、BET測定、組成分析、結晶構造解析
粉末B2のICP組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.05:0.45:0.45:0.10であり、また、粉末B2の結晶構造解析により、その結晶構造は六方晶型結晶構造(α−NaFeO2型結晶構造)であることがわかった。これらにより、粉末B2は、Li1.05Ni0.45Mn0.45Co0.102(上記式(1)において、x=1.05、y=0.55、M1はMnおよびCo)として表されることがわかった。また、粉末B2のBET比表面積は、3.4m2/gであった。また、粉末B2の体積基準の粒度分布測定結果を図2に示す。図2におけるB2の体積基準の頻度粒度分布曲線において、粒径が0.1μm以上0.3μm未満の範囲と0.3μm以上3μm以下の範囲のそれぞれの範囲に、頻度の極大値を有しており、0.1μm以上0.3μ未満の範囲における頻度の極大値は7.7体積%であった。また、図2におけるB2の体積基準の累積粒度分布曲線において、平均粒径(D50)は、0.58μmであった。
(3)非水電解質二次電池の放電レート試験
粉末B2を用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、1C、3C、5C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、152、139、123、111、91であり、0.2C放電容量比(%)は、それぞれ100、91、81、73、60であり、各Cレートにおける放電容量および0.2C放電容量比は、それぞれ、A2の放電容量および0.2C放電容量比よりも高かった。結果を表1に示す。
実施例3
(1)正極活物質粉末の合成
ポリプロピレン製ビーカー内で、水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O:本荘ケミカル株式会社製)を蒸留水300mlに添加、攪拌により水酸化リチウム一水和物を完全に溶解させ、水酸化リチウム水溶液を調製した。また、塩化ニッケル(II)六水和物(NiCl2・6H2O:和光純薬工業株式会社製)、塩化マンガン(II)四水和物(MnCl2・4H2O:和光純薬工業株式会社製)、および硝酸コバルト(II)六水和物(Co(NO3)2・6H2O:和光純薬工業株式会社製)をNi:Mn:Coのモル比が0.39:0.47:0.1となるように各々秤量し、ガラス製ビーカー内で蒸留水300mlを用いて、上記塩化ニッケル(II)六水和物、塩化マンガン(II)四水和物および硝酸コバルト(II)六水和物の金属塩を完全に溶解させ、ニッケル−マンガン−コバルト水溶液を得た。前記水酸化リチウム水溶液を攪拌しながら、これに前記ニッケル−マンガン−コバルト水溶液を滴下し、沈殿を生成させた。
次いで、生成した沈殿を含む混合液を、室温で空気を吹き込む操作(バブリング)を1日行った。バブリング後に得られた混合液について、ろ過・蒸留水洗浄し、沈殿を得た。
ポリテトラフルオロエチレン製ビーカー内で、水酸化リチウム一水和物、塩素酸カリウム(KClO3:和光純薬工業株式会社製)、水酸化カリウム(KOH:和光純薬工業株式会社製)および蒸留水500mlを用いて、攪拌し、上記で得た沈殿を添加して、さらに攪拌して沈殿を分散させ、液状混合物を得た。
上記の液状混合物入りのポリテトラフルオロエチレン製ビーカーをオートクレーブ中に静置し、220℃の温度で5時間水熱処理し、自然冷却し、水熱処理品を得た。水熱処理品をオートクレーブから取出し、蒸留水にてデカンテーションを行って、洗浄品を得た。
前記洗浄品から得られた固形分を100℃で乾燥させて、乾燥品を得た。次いで、該乾燥品2.0gと、水酸化リチウム一水和物0.45gとをメノウ乳鉢を用いて乾式混合・粉砕して得られる混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて大気中800℃で焼成を6時間行った。焼成品を室温まで冷却し、ジェットミル装置(サンレックス工業株式会社製、ナノグライディングミルNJ−100)を用いて、粉砕圧1.5MPa、粉末処理量0.5kg/hで粉砕し、次いで蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、100℃で8時間乾燥して粉末B3を得た。
(2)正極活物質粉末の粒度分布測定、BET測定、組成分析、結晶構造解析
粉末B3のICP組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.32:0.41:0.49:0.10であり、また、粉末B3の結晶構造解析により、その結晶構造は単斜晶型結晶構造であることがわかった。これらにより、粉末B3は、Li1.32Ni0.41Mn0.49Co0.103(上記式(2)において、v=1.32、w=0.59、M2はMnおよびCo)として表されることがわかった。また、粉末B3のBET比表面積は、3.4m2/gであった。また、粉末B3の体積基準の粒度分布測定結果を図3に示す。図3におけるB3の体積基準の頻度粒度分布曲線において、粒径が0.1μm以上0.3μm未満の範囲と0.3μm以上3μm以下の範囲のそれぞれの範囲に、頻度の極大値を有しており、0.1μm以上0.3μ未満の範囲における頻度の極大値は8.4体積%であった。また、図3におけるB3の体積基準の累積粒度分布曲線において、平均粒径(D50)は、0.29μmであった。
(3)非水電解質二次電池の放電レート試験
粉末B3を用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、1C、3C、5C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、136、120、105、97、80であり、0.2C放電容量比(%)は、それぞれ100、88、77、71、59であり、各Cレートにおける0.2C放電容量比は、それぞれ、A2の0.2C放電容量比よりも高かった。結果を表1に示す。
Figure 2009238587
表1に示される実施例1〜3、比較例1〜2における放電容量のデータと0.2C対レート特性のデータから、実施例1〜3の正極活物質粉末を用いた電池は、放電電流を高くしても(例えば10C)、放電容量が大きく、高出力であることがわかる。
製造例1(積層多孔質フィルムの製造)
(1)塗工液の製造
NMP4200gに塩化カルシウム272.7gを溶解した後、パラフェニレンジアミン132.9gを添加して完全に溶解させた。得られた溶液に、テレフタル酸ジクロライド243.3gを徐々に添加して重合し、パラアラミドを得て、さらにNMPで希釈して、濃度2.0重量%のパラアラミド溶液を得た。得られたパラアラミド溶液100gに、アルミナ粉末(a)2g(日本アエロジル社製、アルミナC,平均粒子径0.02μm)とアルミナ粉末(b)2g(住友化学株式会社製スミコランダム、AA03、平均粒子径0.3μm)とをフィラーとして計4g添加して混合し、ナノマイザーで3回処理し、さらに1000メッシュの金網で濾過、減圧下で脱泡して、耐熱多孔層用スラリー状塗工液を製造した。パラアラミドおよびアルミナ粉末の合計重量に対するアルミナ粉末(フィラー)の重量は、67重量%となる。
(2)積層多孔質フィルムの製造
多孔質フィルムとしては、ポリエチレン製多孔質膜(膜厚12μm、透気度140秒/100cc、平均孔径0.1μm、空孔率50%)を用いた。厚み100μmのPETフィルムの上に上記ポリエチレン製多孔質膜を固定し、テスター産業株式会社製バーコーターにより、多孔質膜上に耐熱多孔層用スラリー状塗工液を塗工した。PETフィルム上の塗工された該多孔質膜を一体にしたまま、貧溶媒である水中に浸漬させ、パラアラミド多孔質膜(耐熱多孔層)を析出させた後、溶媒を乾燥させて、PETフィルムから剥離して、耐熱多孔層と多孔質フィルムとが積層された積層多孔質フィルムを得た。
(3)積層多孔質フィルムの評価
積層多孔質フィルムの厚みは16μmであり、パラアラミド多孔質膜(耐熱多孔層)の厚みは4μmであった。積層多孔質フィルムの透気度は180秒/100cc、空孔率は50%であった。積層多孔質フィルムにおける耐熱多孔層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察をしたところ、0.03μm〜0.06μm程度の比較的小さな微細孔と0.1μm〜1μm程度の比較的大きな微細孔とを有することがわかった。
なお、積層多孔質フィルムの評価は、下記の(A)〜(C)でのようにして行った。
(A)厚み測定
積層多孔質フィルムの厚み、多孔質フィルムの厚みは、JIS規格(K7130−1992)に従い、測定した。また、耐熱多孔層の厚みとしては、積層多孔質フィルムの厚みから多孔質フィルムの厚みを差し引いた値を用いた。
(B)ガーレー法による透気度の測定
積層多孔質フィルムの透気度は、JIS P8117に基づいて、株式会社安田精機製作所製のデジタルタイマー式ガーレー式デンソメータで測定した。
(C)空孔率
得られた積層多孔質フィルムのサンプルを一辺の長さ10cmの正方形に切り取り、重量W(g)と厚みD(cm)を測定した。サンプル中のそれぞれの層の重量(Wi)を求め、Wiとそれぞれの層の材質の真比重(g/cm3)とから、それぞれの層の体積を求めて、次式より空孔率(体積%)を求めた。
空孔率(体積%)=100×{1−(W1/真比重1+W2/真比重2+・・+Wn/真比重n)/(10×10×D)}
上記実施例のそれぞれにおいて、セパレータとして、製造例1により得られた積層多孔質フィルムを用いれば、熱破膜温度をより高めることのできるリチウム二次電池を得ることができる。
比較例1(A1)、実施例1(B1)における体積基準の粒度分布測定結果。 比較例2(A2)、実施例2(B2)における体積基準の粒度分布測定結果。 実施例3(B3)における体積基準の粒度分布測定結果。

Claims (11)

  1. 一次粒子および一次粒子が凝集してなる凝集粒子からなる正極活物質粉末であり、該粉末が以下の要件(A)を有する正極活物質粉末。
    (A)正極活物質粉末の体積基準の頻度粒度分布曲線において、粒径が0.1μm以上0.3μm未満の範囲に、頻度の極大値を有する。
  2. 前記正極活物質粉末が、以下の要件(B)をさらに有する請求項1記載の正極活物質粉末。
    (B)正極活物質粉末の体積基準の頻度粒度分布曲線において、粒径が0.3μm以上3μm以下の範囲に、頻度の極大値を有する。
  3. 前記正極活物質粉末が、以下の要件(C)をさらに有する請求項1または2記載の正極活物質粉末。
    (C)正極活物質粉末の体積基準の累積粒度分布曲線において、50%累積時の微小粒子側からみた粒径(D50)が、0.1μm以上3μm以下の範囲の値である。
  4. 正極活物質が複合金属酸化物であり、該酸化物が式(1)で表される請求項1〜3のいずれかに記載の正極活物質粉末。
    LixNi1-y1 y2 (1)
    (ここで、xは0.9以上1.2以下の範囲の値であり、yは0以上0.8以下の範囲の値であり、M1はV、Ti、Mn、Fe、Co、P、Si、AlおよびBからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す。)
  5. 1がMn、FeおよびCoからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す請求項4記載の正極活物質粉末。
  6. 正極活物質が複合金属酸化物であり、該酸化物が式(2)で表される請求項1〜3のいずれかに記載の正極活物質粉末。
    LivMn1-w2 w3 (2)
    (ここで、vは1.3以上2.2以下の範囲の値であり、wは0以上0.5以下の範囲の値であり、M2はV、Ti、Fe、Co、Ni、P、Si、AlおよびBからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す。)
  7. 2がFe、CoおよびNiからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す請求項6記載の正極活物質粉末。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の正極活物質粉末を含有する非水電解質二次電池用正極。
  9. 請求項8記載の非水電解質二次電池用正極を有する非水電解質二次電池。
  10. セパレータをさらに有する請求項9記載の非水電解質二次電池。
  11. セパレータが、耐熱樹脂を含有する耐熱多孔層と熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムとが積層されてなる積層多孔質フィルムからなるセパレータである請求項10記載の非水電解質二次電池。
JP2008083297A 2008-03-27 2008-03-27 正極活物質粉末 Active JP5292885B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008083297A JP5292885B2 (ja) 2008-03-27 2008-03-27 正極活物質粉末

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008083297A JP5292885B2 (ja) 2008-03-27 2008-03-27 正極活物質粉末

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009238587A true JP2009238587A (ja) 2009-10-15
JP5292885B2 JP5292885B2 (ja) 2013-09-18

Family

ID=41252280

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008083297A Active JP5292885B2 (ja) 2008-03-27 2008-03-27 正極活物質粉末

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5292885B2 (ja)

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013069686A (ja) * 2011-09-22 2013-04-18 Samsung Electronics Co Ltd リチウム二次電池用電解質及びこれを採用したリチウム電池
JP2014513409A (ja) * 2011-05-23 2014-05-29 エルジー ケム. エルティーディ. 出力密度特性が向上した高出力のリチウム二次電池
WO2014103558A1 (ja) * 2012-12-26 2014-07-03 シャープ株式会社 非水電解質二次電池電極及びその製造方法
US9385372B2 (en) 2011-05-23 2016-07-05 Lg Chem, Ltd. Lithium secondary battery of high power property with improved high energy density
JPWO2014057909A1 (ja) * 2012-10-09 2016-09-05 イビデン株式会社 蓄電デバイス用炭素材料、その製造方法及びそれを用いた蓄電デバイス
US9525167B2 (en) 2011-07-13 2016-12-20 Lg Chem, Ltd. Lithium secondary battery of high energy with improved energy property
US9601756B2 (en) 2011-05-23 2017-03-21 Lg Chem, Ltd. Lithium secondary battery of high energy density with improved energy property
JP2018041657A (ja) * 2016-09-08 2018-03-15 株式会社Gsユアサ リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法、リチウム二次電池用電極、及びリチウム二次電池
US9985278B2 (en) 2011-05-23 2018-05-29 Lg Chem, Ltd. Lithium secondary battery of high energy density with improved energy property
JP2018098183A (ja) * 2016-12-07 2018-06-21 住友化学株式会社 リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池
CN109844999A (zh) * 2016-09-07 2019-06-04 株式会社杰士汤浅国际 蓄电元件和蓄电元件的制造方法
JP2020031027A (ja) * 2018-08-24 2020-02-27 時空化学株式会社 Li2S−P2S5−SeS2系ガラスセラミックからなる全固体リチウム硫黄電池用固体電解質、前記固体電解質に適した正極材料及びこれらの製造方法、並びにこれらを含む全固体リチウム硫黄電池
JP2020053115A (ja) * 2018-09-21 2020-04-02 トヨタ自動車株式会社 全固体電池の製造方法及び全固体電池
US11217782B2 (en) 2016-04-04 2022-01-04 Gs Yuasa International Ltd. Energy storage device

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11957135B2 (en) * 2016-03-02 2024-04-16 Fuji Oil Holdings Inc. Chocolate-like food containing polyunsaturated fatty acid
WO2017208741A1 (ja) * 2016-06-02 2017-12-07 不二製油グループ本社株式会社 高度不飽和脂肪酸含有チョコレート様食品
EP4053080A4 (en) * 2019-10-29 2022-12-28 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. POSITIVE ACTIVE ELECTRODE MATERIAL FOR A SECONDARY BATTERY AND SECONDARY BATTERY

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11302020A (ja) * 1998-04-20 1999-11-02 Ube Ind Ltd リチウムマンガン系複合酸化物およびその製造法ならびにその用途
JP2000030686A (ja) * 1998-04-27 2000-01-28 Sumitomo Chem Co Ltd 非水電解質電池セパレ―タ―とリチウム二次電池
JP2001261342A (ja) * 2000-01-14 2001-09-26 Mitsubishi Chemicals Corp リチウム二次電池用正極材料、正極、リチウム二次電池並びに正極材料の製造法
JP2002100354A (ja) * 2000-09-21 2002-04-05 Toshiba Battery Co Ltd 非水電解質二次電池
JP2002124258A (ja) * 2000-10-13 2002-04-26 Toda Kogyo Corp マンガン酸リチウム粒子粉末及びその製造法
JP2004362934A (ja) * 2003-06-04 2004-12-24 Sony Corp 正極材料および電池
JP2005005208A (ja) * 2003-06-13 2005-01-06 Japan Storage Battery Co Ltd 非水電解質二次電池および非水電解質二次電池用正極の製造方法
JP2005141983A (ja) * 2003-11-05 2005-06-02 Mitsubishi Chemicals Corp リチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケル系複合酸化物粉体及びその製造方法、リチウム二次電池用正極並びにリチウム二次電池
JP2006294597A (ja) * 2005-03-17 2006-10-26 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水電解液二次電池
JP2009081130A (ja) * 2007-09-04 2009-04-16 Mitsubishi Chemicals Corp リチウム遷移金属系化合物粉体、その製造方法、及びその噴霧乾燥工程で得られる噴霧乾燥体、並びにそれを用いたリチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11302020A (ja) * 1998-04-20 1999-11-02 Ube Ind Ltd リチウムマンガン系複合酸化物およびその製造法ならびにその用途
JP2000030686A (ja) * 1998-04-27 2000-01-28 Sumitomo Chem Co Ltd 非水電解質電池セパレ―タ―とリチウム二次電池
JP2001261342A (ja) * 2000-01-14 2001-09-26 Mitsubishi Chemicals Corp リチウム二次電池用正極材料、正極、リチウム二次電池並びに正極材料の製造法
JP2002100354A (ja) * 2000-09-21 2002-04-05 Toshiba Battery Co Ltd 非水電解質二次電池
JP2002124258A (ja) * 2000-10-13 2002-04-26 Toda Kogyo Corp マンガン酸リチウム粒子粉末及びその製造法
JP2004362934A (ja) * 2003-06-04 2004-12-24 Sony Corp 正極材料および電池
JP2005005208A (ja) * 2003-06-13 2005-01-06 Japan Storage Battery Co Ltd 非水電解質二次電池および非水電解質二次電池用正極の製造方法
JP2005141983A (ja) * 2003-11-05 2005-06-02 Mitsubishi Chemicals Corp リチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケル系複合酸化物粉体及びその製造方法、リチウム二次電池用正極並びにリチウム二次電池
JP2006294597A (ja) * 2005-03-17 2006-10-26 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水電解液二次電池
JP2009081130A (ja) * 2007-09-04 2009-04-16 Mitsubishi Chemicals Corp リチウム遷移金属系化合物粉体、その製造方法、及びその噴霧乾燥工程で得られる噴霧乾燥体、並びにそれを用いたリチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池

Cited By (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014513409A (ja) * 2011-05-23 2014-05-29 エルジー ケム. エルティーディ. 出力密度特性が向上した高出力のリチウム二次電池
US9385372B2 (en) 2011-05-23 2016-07-05 Lg Chem, Ltd. Lithium secondary battery of high power property with improved high energy density
US9601756B2 (en) 2011-05-23 2017-03-21 Lg Chem, Ltd. Lithium secondary battery of high energy density with improved energy property
US9985278B2 (en) 2011-05-23 2018-05-29 Lg Chem, Ltd. Lithium secondary battery of high energy density with improved energy property
US9525167B2 (en) 2011-07-13 2016-12-20 Lg Chem, Ltd. Lithium secondary battery of high energy with improved energy property
US9590266B2 (en) 2011-09-22 2017-03-07 Samsung Electronics Co., Ltd. Electrolyte for lithium secondary battery and lithium secondary battery including the same
JP2013069686A (ja) * 2011-09-22 2013-04-18 Samsung Electronics Co Ltd リチウム二次電池用電解質及びこれを採用したリチウム電池
JPWO2014057909A1 (ja) * 2012-10-09 2016-09-05 イビデン株式会社 蓄電デバイス用炭素材料、その製造方法及びそれを用いた蓄電デバイス
WO2014103558A1 (ja) * 2012-12-26 2014-07-03 シャープ株式会社 非水電解質二次電池電極及びその製造方法
US11217782B2 (en) 2016-04-04 2022-01-04 Gs Yuasa International Ltd. Energy storage device
US11239458B2 (en) 2016-09-07 2022-02-01 Gs Yuasa International Ltd. Energy storage device and method for manufacturing energy storage device
CN109844999A (zh) * 2016-09-07 2019-06-04 株式会社杰士汤浅国际 蓄电元件和蓄电元件的制造方法
JP2018041657A (ja) * 2016-09-08 2018-03-15 株式会社Gsユアサ リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法、リチウム二次電池用電極、及びリチウム二次電池
US11011741B2 (en) 2016-12-07 2021-05-18 Sumitomo Chemical Company, Limited Positive electrode active material for lithium secondary batteries, positive electrode for lithium secondary batteries, and lithium secondary battery
JP2018098183A (ja) * 2016-12-07 2018-06-21 住友化学株式会社 リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池
JP2020031027A (ja) * 2018-08-24 2020-02-27 時空化学株式会社 Li2S−P2S5−SeS2系ガラスセラミックからなる全固体リチウム硫黄電池用固体電解質、前記固体電解質に適した正極材料及びこれらの製造方法、並びにこれらを含む全固体リチウム硫黄電池
JP7093078B2 (ja) 2018-08-24 2022-06-29 時空化学株式会社 Li2S-P2S5-SeS2系ガラスセラミックからなる全固体リチウム硫黄電池用固体電解質、前記固体電解質に適した正極材料及びこれらの製造方法、並びにこれらを含む全固体リチウム硫黄電池
JP2020053115A (ja) * 2018-09-21 2020-04-02 トヨタ自動車株式会社 全固体電池の製造方法及び全固体電池
JP7293595B2 (ja) 2018-09-21 2023-06-20 トヨタ自動車株式会社 全固体電池の製造方法及び全固体電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP5292885B2 (ja) 2013-09-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5292885B2 (ja) 正極活物質粉末
JP5640311B2 (ja) リチウム複合金属酸化物および非水電解質二次電池
JP5481786B2 (ja) リチウム複合金属酸化物
JP5287520B2 (ja) 電極活物質、電極および非水電解質二次電池
JP5644392B2 (ja) 遷移金属複合水酸化物およびリチウム複合金属酸化物
US20120183850A1 (en) Positive electrode mixture, positive electrode and nonaqueous electrolyte secondary battery
JP5842478B2 (ja) リチウム複合金属酸化物およびその製造方法
JP5531602B2 (ja) 電極活物質、電極および非水電解質二次電池
WO2016195036A1 (ja) リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池
US9147905B2 (en) Lithium composite metal oxide and positive electrode active material
JP2010021134A (ja) リチウム複合金属酸化物の製造方法
WO2011071094A1 (ja) リチウム複合金属酸化物の製造方法、リチウム複合金属酸化物および非水電解質二次電池
WO2011158889A1 (ja) 遷移金属複合水酸化物およびリチウム複合金属酸化物
JP5487821B2 (ja) リチウム複合金属酸化物および正極活物質
WO2011016574A1 (ja) 粉末材料および正極合剤
US9112228B2 (en) Lithium-containing metal oxide, and non-aqueous electrolyte secondary battery
JP2011216472A (ja) 正極用粉末
JP2012109190A (ja) リチウム複合金属酸化物の製造方法
JP5742193B2 (ja) リチウム複合金属酸化物および非水電解質二次電池
JP2011153067A (ja) 複合金属水酸化物およびリチウム複合金属酸化物の製造方法ならびに非水電解質二次電池
JP5515435B2 (ja) リチウムニッケル複合金属酸化物用原料粉末

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100908

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130305

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130423

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130514

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130527

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5292885

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350