JP5742193B2 - リチウム複合金属酸化物および非水電解質二次電池 - Google Patents

リチウム複合金属酸化物および非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム複合金属酸化物および非水電解質二次電池に関する。詳しくは、非水電解質二次電池用正極活物質に用いられるリチウム複合金属酸化物および非水電解質二次電池に関する。
リチウム複合金属酸化物は、リチウム二次電池などの非水電解質二次電池に正極活物質として用いられている。リチウム二次電池は、既に携帯電話用途やノートパソコン用途等の小型電源として実用化されており、更に自動車用途や電力貯蔵用途などの中・大型電源においても、適用が試みられている。
従来のリチウム複合金属酸化物としては、特許文献1に、一次粒子の平均粒子径が0.17μmであり、BET比表面積が4.67m/gであり、二次粒子のメジアン径が11μmであり、Li1.05Ni0.45Mn0.45Co0.10という式で表されるリチウム二次電池用正極材料用のリチウム複合金属酸化物が記載されている。
特開2005−141983号公報
しかしながら、上記のような従来のリチウム複合金属酸化物を正極活物質として用いて得られる非水電解質二次電池は、高い電流レートにおいても高い放電容量を要求される用途、すなわち自動車用途や電動工具等のパワーツール用途において十分なものではない。本発明の目的は、高い電流レートにおいて高い放電容量維持率を示すことが可能な非水電解質二次電池およびそれに有用なリチウム複合金属酸化物、その製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記事情に鑑み種々検討した結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、ニッケル、コバルトおよびマンガンを含有するリチウム複合金属酸化物であって、BET比表面積が3m2/g以上15m2/g以下であり、レーザー回折散乱法によって測定される平均粒子径が0.1μm以上1μm未満であるリチウム複合金属酸化物を提供する。
本発明によれば、従来のリチウム二次電池に比し、高い電流レートにおける高い放電容量維持率を示す非水電解質二次電池を得ることができ、該二次電池は、特に、高い電流レートにおける高い放電容量維持率を要求される用途、すなわち自動車用や電動工具等のパワーツール用の非水電解質二次電池に極めて有用となる。
本発明のリチウム複合金属酸化物は、ニッケル、コバルトおよびマンガンを含有するリチウム複合金属酸化物であって、BET比表面積が3m2/g以上15m2/g以下であり、レーザー回折散乱法によって測定される平均粒子径(以下、単に平均粒子径ということがある。)が0.1μm以上1μm未満であることを特徴とする。BET比表面積が3m2/gを下回るかまたは15m2/gを超えると、得られる非水電解質二次電池は、高い電流レートにおける放電容量維持率は十分ではない。本発明の効果をより高めるために、リチウム複合金属酸化物のBET比表面積は、5m2/g以上であることがより好ましい。また、充填性を高めるために、BET比表面積は10m2/g以下であることがより好ましい。
また、平均粒子径が0.1μm未満であると、得られる非水電解質二次電池は、サイクル特性が十分でない。1μm以上であると、得られる非水電解質二次電池は、高い電流レートにおける放電容量維持率は十分でない。高いサイクル特性および高い電流レートにおける高い放電容量維持率を得るためには、平均粒子径が0.2〜0.8μmであることが好ましく、0.3〜0.7μmであることがより好ましい。
本発明のリチウム複合金属酸化物において、高い容量を得るためには、平均一次粒子径が0.05μm以上0.4μm以下であることが好ましく、0.07〜0.35μmであることがより好ましく、0.1〜0.3μmであることがさらに好ましい。
本発明において、複合金属酸化物は、以下の式(A)で表わされることが好ましい。
Li(Ni1-(x+y)MnxCoy)O2 (A)
(ここで、0.9≦a≦1.3、0.3≦x≦0.6、0.01≦y≦0.4、0.31≦x+y≦0.7である。)
前記式(A)において、放電容量を高めるために、aは0.95以上1.15以下であることがより好ましい。
前記式(A)において、非水電解質二次電池とした場合のサイクル特性を高めるためには、xの値は0.35以上0.55以下であることがより好ましい。
前記式(A)において、非水電解質二次電池とした場合の、高い電流レートにおける放電容量維持率を高めるためには、yの値は0.03以上0.3以下であることがより好ましく、0.05以上0.2以下であることがさらに好ましい。
前記式(A)において、非水電解質二次電池とした場合の放電容量およびサイクル特性を高めるために、x+yの値は0.4以上0.6以下であることがより好ましく、0.45以上0.55以下であることがさらに好ましい。
本発明の効果を損なわない範囲で、Coの一部をAl、Mg、Ba、Cu、Ca、Zn、V、Ti、Si、W、Mo、NbおよびZrからなる群より選ばれる一種以上の元素で置換することもできる。
本発明のリチウム複合金属酸化物は、一次粒子と、一次粒子が凝集して形成された二次粒子との混合物からなる。一次粒子、二次粒子それぞれの平均粒子径は、SEMで観察することにより、測定することができる。また、一次粒子と、一次粒子が凝集して形成された二次粒子との混合物からなるリチウム複合金属酸化物の平均粒子径は、レーザー回折散乱法によって、測定される。
本発明の効果をより高めるために、本発明のリチウム複合金属酸化物は、その構造がα-NaFeO2型結晶構造、すなわちR−3mの空間群に帰属する結晶構造であることが好ましい。結晶構造は、リチウム複合金属酸化物について、CuKαを線源とする粉末X線回折測定により得られる粉末X線回折図形から同定することができる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のリチウム複合金属酸化物を構成する粒子の表面に、該リチウム複合金属酸化物とは異なる化合物を付着させてもよい。該化合物としては、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Mgおよび遷移金属元素からなる群より選ばれる1種以上の元素を含有する化合物、好ましくはB、Al、Mg、Ga、InおよびSnからなる群より選ばれる1種以上の元素を含有する化合物、より好ましくはAlの化合物を挙げることができ、化合物として具体的には、前記元素の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩および有機酸塩を挙げることができ、好ましくは、酸化物、水酸化物またはオキシ水酸化物である。また、これらの化合物を混合して用いてもよい。これら化合物の中でも、特に好ましい化合物はアルミナである。また、付着後に加熱を行ってもよい。
次に、本発明のリチウム複合金属酸化物を製造する方法について説明する。本発明のリチウム複合金属酸化物は、ニッケル、コバルトおよびマンガンを所定モル比で含有するリチウム複合金属酸化物原料を焼成することにより、製造することができる。リチウム複合金属酸化物原料は、リチウム化合物とニッケル、コバルトおよびマンガンの遷移金属化合物との混合物である。ニッケル、コバルトおよびマンガンの遷移金属化合物としては、ニッケル、コバルトおよびマンガンそれぞれの金属化合物の混合物が挙げられる。該金属化合物としては、ニッケル、コバルトおよびマンガンそれぞれの酸化物、水酸化物(水酸化物はオキシ水酸化物も含む。以下同じ。)、塩化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩などが挙げられ、好ましくは水酸化物である。該金属化合物は、ニッケル、コバルトおよびマンガンのうちの2種以上の元素を含有する化合物であってもよい。該化合物は、共沈により得ることができ、好ましくはニッケル、コバルトおよびマンガンからなる群より選ばれる2種以上の元素を含有する水酸化物である。遷移金属化合物は、より好ましくはニッケル、コバルトおよびマンガンを含有する水酸化物である。前記リチウム化合物としては、水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウムおよび炭酸リチウムからなる群より選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。これらのリチウム化合物は、無水物であっても、水和物であってもよい。これらのリチウム化合物のうち、水酸化リチウムまたは炭酸リチウムあるいは両方が好ましく用いられる。リチウム化合物とニッケル、コバルトおよびマンガンの遷移金属化合物との混合方法は、乾式混合、湿式混合のいずれであってもよく、簡便性の観点で、好ましくは乾式混合である。混合装置としては、攪拌混合、V型混合機、W型混合機、リボン混合機、ドラムミキサー、ボールミル等が挙げられる。
次いで、リチウム複合金属酸化物原料を焼成する。焼成前に、必要に応じて該原料と不活性溶融剤を混合してもよい。不活性溶融剤は、好ましくは、焼成の際にリチウム複合金属酸化物原料と反応し難いものである。不活性溶融剤の例としては、好ましくはNaCl、KCl、NH4Clなどの塩化物、K2CO3、Na2CO3などの炭酸塩、K2SO、Na2SOなどの硫酸塩、NaF、KF、NH4Fなどのフッ化物、ホウ酸などが挙げられ、より好ましくは前記塩化物、炭酸塩および硫酸塩である。該原料と不活性溶融剤を混合して焼成することで、該原料の反応性が制御され、得られるリチウム複合金属酸化物の平均粒子径およびBET比表面積を調整することが可能な場合がある。不活性溶融剤を2種以上併用してもよい。不活性溶融剤は、焼成後のリチウム複合金属酸化物に残留していてもよいし、焼成後のリチウム複合金属酸化物の洗浄、あるいは反応促進剤の蒸発等により除去されていてもよい。
焼成温度は、リチウム複合金属酸化物の平均粒子径およびBET比表面積を調整する観点で重要な因子である。通常、焼成温度が高くなればなるほど、平均粒子径は大きくなり、BET比表面積は小さくなる傾向にある。焼成温度が低くなればなるほど、平均粒子径は小さくなり、BET比表面積は大きくなる傾向にある。焼成温度は、好ましくは650℃以上950℃以下である。前記焼成温度で保持する時間は、通常0.1〜20時間であり、好ましくは0.5〜8時間である。前記焼成温度までの昇温速度は、通常50〜400℃/時間であり、前記焼成温度から室温までの降温速度は、通常10〜400℃/時間である。焼成の雰囲気としては、大気、酸素、窒素、アルゴンおよびこれらの混合ガスが挙げられ、好ましくは大気雰囲気である。
前記焼成後に得られたリチウム複合金属酸化物を、ボールミルやジェットミルなどを用いて粉砕してもよい。粉砕によって、リチウム複合金属酸化物のBET比表面積を調整することが可能な場合がある。粉砕と焼成のそれぞれを2回以上繰り返してもよい。リチウム複合金属酸化物は必要に応じて洗浄あるいは分級してもよい。
本発明のリチウム複合金属酸化物を有する電極は、非水電解質二次電池用正極として好適である。
本発明の非水電解質二次電池用正極活物質を用いて、例えば、次のようにして、非水電解質二次電池用正極を製造することができる。
前記正極は、前記正極活物質、導電材およびバインダーを含む正極合剤を正極集電体に担持させて製造する。前記導電材としては炭素材料を用いることができ、炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)、繊維状炭素材料などを挙げることができる。カーボンブラックは、微粒で表面積が大きいため、少量を正極合剤中に添加することにより正極内部の導電性を高め、充放電効率および出力特性を向上させることができるが、多く入れすぎるとバインダーによる正極合剤と正極集電体との結着性を低下させ、かえって内部抵抗を増加させる原因となる。通常、正極合剤中の導電材の割合は、正極活物質100重量部に対して5〜20重量部である。導電材として黒鉛化炭素繊維、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素材料を用いる場合には、この割合を下げることも可能である。
前記バインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができ、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;が挙げられる。また、これらの二種以上を混合して用いてもよい。また、バインダーとしてフッ素樹脂およびポリオレフィン樹脂を用い、正極合剤に対する該フッ素樹脂の割合が1〜10重量%、該ポリオレフィン樹脂の割合が0.1〜2重量%となるように含有させることによって、正極集電体との結着性に優れた正極合剤を得ることができる。
前記正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどの導電体を用いることができるが、薄膜に加工しやすく、安価であるという点でAlが好ましい。正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、加圧成型する方法、および有機溶媒を用いてペースト化し、正極集電体上に塗布、乾燥後プレスするなどして固着する方法が挙げられる。ペースト化する場合、正極活物質、導電材、バインダー、有機溶媒からなるペーストを作製する。有機溶媒としては、N,N―ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン等のアミン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸メチル等のエステル系溶媒;ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPということがある。)等のアミド系溶媒;が挙げられる。
正極合剤を正極集電体へ塗布する方法としては、例えば、スリットダイ塗工法、スクリーン塗工法、カーテン塗工法、ナイフ塗工法、グラビア塗工法および静電スプレー法が挙げられる。以上に挙げられた方法により、正極を製造することができる。
上記の正極を用いて、非水電解質二次電池を製造する方法として、リチウム二次電池を製造する場合を例に挙げて、次に説明する。すなわち、セパレータ、負極および上記の正極を、積層および巻回することにより得られる電極群を、電池缶内に収納した後、電解液を含浸させて製造することができる。
前記の電極群の形状としては、例えば、該電極群を巻回の軸に対して垂直方向に切断したときの断面が、円、楕円、長円、長方形、角がとれたような長方形等となるような形状を挙げることができる。また、電池の形状としては、例えば、ペーパー型、コイン型、円筒型、角型などの形状を挙げることができる。
前記負極は、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能であればよく、負極材料を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、および負極材料単独からなる電極を挙げることができる。負極材料としては、炭素材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物など)、窒化物、金属または合金で、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能な材料が挙げられる。また、これらの負極材料を混合して用いてもよい。
前記の負極材料につき、以下に例示する。前記炭素材料として、具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維および有機高分子化合物焼成体を挙げることができる。前記酸化物として、具体的には、SiO2、SiOなど式SiOx(ここで、xは正の実数)で表されるケイ素の酸化物;TiO2、TiOなど式TiOx(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの酸化物;V25、VO2など式VOx(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの酸化物;Fe34、Fe23、FeOなど式FeOx(ここで、xは正の実数)で表される鉄の酸化物;SnO2、SnOなど式SnOx(ここで、xは正の実数)で表されるスズの酸化物;WO3、WO2など一般式WOx(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの酸化物;Li4Ti512、LiVO2などのリチウムとチタンおよび/またはバナジウムとを含有する複合金属酸化物;を挙げることができる。前記硫化物として、具体的には、Ti23、TiS2、TiSなど式TiSx(ここで、xは正の実数)で表されるチタンの硫化物;V34、VS2、VSなど式VSx(ここで、xは正の実数)で表されるバナジウムの硫化物;Fe34、FeS2、FeSなど式FeSx(ここで、xは正の実数)で表される鉄の硫化物;Mo23、MoS2など式MoSx(ここで、xは正の実数)で表されるモリブデンの硫化物;SnS2、SnSなど式SnSx(ここで、xは正の実数)で表されるスズの硫化物;WS2など式WSx(ここで、xは正の実数)で表されるタングステンの硫化物;Sb23など式SbSx(ここで、xは正の実数)で表されるアンチモンの硫化物;Se53、SeS2、SeSなど式SeSx(ここで、xは正の実数)で表されるセレンの硫化物;を挙げることができる。前記窒化物として、具体的には、Li3N、Li3-xxN(ここで、AはNiおよび/またはCoであり、0<x<3である。)などのリチウム含有窒化物を挙げることができる。これらの炭素材料、酸化物、硫化物、窒化物は、併用して用いてもよく、結晶質または非晶質のいずれでもよい。また、これらの炭素材料、酸化物、硫化物、窒化物は、主に、負極集電体に担持して、電極として用いられる。
また、前記金属として、具体的には、リチウム金属、シリコン金属およびスズ金属が挙げられる。また、前記合金としては、Li−Al、Li−Ni、Li−Siなどのリチウム合金;Si−Znなどのシリコン合金;Sn−Mn、Sn−Co、Sn−Ni、Sn−Cu、Sn−Laなどのスズ合金;Cu2Sb、La3Ni2Sn7などの合金;を挙げることもできる。これらの金属、合金は、主に、単独で電極として用いられる(例えば箔状で用いられる。)。
上記負極材料の中で、電位平坦性が高い、平均放電電位が低い、サイクル特性が良いなどの観点からは、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛を主成分とする炭素材料が好ましく用いられる。炭素材料の形状としては、例えば天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、または微粉末の凝集体などのいずれでもよい。
前記の負極合剤は、必要に応じて、バインダーを含有してもよい。バインダーとしては、熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、PVdF、熱可塑性ポリイミド、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンおよびポリプロピレンを挙げることができる。
前記の負極集電体としては、Cu、Ni、ステンレスなどの導電体を挙げることができ、リチウムと合金を作り難い点、薄膜に加工しやすいという点で、Cuを用いればよい。該負極集電体に負極合剤を担持させる方法としては、正極の場合と同様であり、加圧成型による方法、溶媒などを用いてペースト化し負極集電体上に塗布、乾燥後プレスし圧着する方法が挙げられる。
前記セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができ、また、前記の材質を2種以上用いてセパレータとしてもよいし、前記の材料が積層されていてもよい。セパレータとしては、例えば特開2000−30686号公報、特開平10−324758号公報等に記載のセパレータを挙げることができる。セパレータの厚みは電池の体積エネルギー密度が上がり、内部抵抗が小さくなるという点で、機械的強度が保たれる限り薄くした方がよく、通常5〜200μm程度、好ましくは5〜40μm程度である。
セパレータは、好ましくは、熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムを有する。非水電解質二次電池においては、通常、正極−負極間の短絡等が原因で電池内に異常電流が流れた際に、電流を遮断して、過大電流が流れることを阻止(シャットダウン)する機能を有することが好ましい。ここで、シャットダウンは、通常の使用温度を越えた場合に、セパレータにおける多孔質フィルムの微細孔を閉塞することによりなされる。そしてシャットダウンした後、ある程度の高温まで電池内の温度が上昇しても、その温度により破膜することなく、シャットダウンした状態を維持することが好ましい。かかるセパレータとしては、耐熱多孔層と多孔質フィルムとが積層されてなる積層フィルムが挙げられ、該フィルムをセパレータとして用いることにより、本発明における二次電池の耐熱性をより高めることが可能となる。ここで、耐熱多孔層は、多孔質フィルムの両面に積層されていてもよい。
以下、前記の耐熱多孔層と多孔質フィルムとが互いに積層された積層フィルムについて説明する。
前記積層フィルムにおいて、耐熱多孔層は、多孔質フィルムよりも耐熱性の高い層であり、該耐熱多孔層は、無機粉末から形成されていてもよいし、耐熱樹脂を含有していてもよい。耐熱多孔層が、耐熱樹脂を含有することにより、塗工などの容易な手法で、耐熱多孔層を形成することができる。耐熱樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、芳香族ポリエステル、ポリエーテルサルホンおよびポリエーテルイミドを挙げることができ、耐熱性をより高めるためには、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホンおよびポリエーテルイミドが好ましく、より好ましくは、ポリアミド、ポリイミドまたはポリアミドイミドである。さらにより好ましくは、芳香族ポリアミド(パラ配向芳香族ポリアミド、メタ配向芳香族ポリアミド)、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド等の含窒素芳香族重合体であり、とりわけ好ましくは芳香族ポリアミド、製造面で、特に好ましいのは、パラ配向芳香族ポリアミド(以下、パラアラミドということがある。)である。また、耐熱樹脂として、ポリ−4−メチルペンテン−1および環状オレフィン系重合体を挙げることもできる。これらの耐熱樹脂を用いることにより、積層フィルムの耐熱性、すなわち、積層フィルムの熱破膜温度をより高めることができる。これらの耐熱樹脂のうち、含窒素芳香族重合体を用いる場合には、その分子内の極性によるためか、電解液との相性、すなわち、耐熱多孔層における保液性も向上する場合があり、非水電解質二次電池製造時における電解液の含浸の速度も高く、非水電解質二次電池の充放電容量もより高まる。
かかる積層フィルムの熱破膜温度は、耐熱樹脂の種類に依存し、使用場面、使用目的に応じ、選択使用される。より具体的には、耐熱樹脂として、上記含窒素芳香族重合体を用いる場合は400℃程度に、また、ポリ−4−メチルペンテン−1を用いる場合は250℃程度に、環状オレフィン系重合体を用いる場合は300℃程度に、夫々、熱破膜温度をコントロールすることができる。また、耐熱多孔層が、無機粉末からなる場合には、熱破膜温度を、例えば、500℃以上にコントロールすることも可能である。
上記パラアラミドは、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドとの縮合重合により得られるものであり、アミド結合が芳香族環のパラ位またはそれに準じた配向位(例えば、4,4’−ビフェニレン、1,5−ナフタレン、2,6−ナフタレン等のような反対方向に同軸または平行に延びる配向位)で結合される繰り返し単位から実質的になるものである。具体的には、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(4,4’−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4,4’−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロ−パラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンテレフタルアミド/2,6−ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体等のパラ配向型またはパラ配向型に準じた構造を有するパラアラミドが例示される。
前記の芳香族ポリイミドとしては、芳香族の二酸無水物とジアミンとの縮重合で製造される全芳香族ポリイミドが好ましい。該二酸無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4―ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンおよび3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。該ジアミンの具体例としては、オキシジアニリン、パラフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン、3,3’−メチレンジアニリン、3,3’−ジアミノベンソフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォンおよび1,5’−ナフタレンジアミンが挙げられる。また、溶媒に可溶なポリイミドが好適に使用できる。このようなポリイミドとしては、例えば、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの重縮合物のポリイミドが挙げられる。
前記の芳香族ポリアミドイミドとしては、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジイソシアネートを用いてこれらの縮合重合から得られるもの、芳香族二酸無水物および芳香族ジイソシアネートを用いてこれらの縮合重合から得られるものが挙げられる。芳香族ジカルボン酸の具体例としてはイソフタル酸およびテレフタル酸が挙げられる。また芳香族二酸無水物の具体例としては無水トリメリット酸が挙げられる。芳香族ジイソシアネートの具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、オルソトリレンジイソシアネートおよびm−キシレンジイソシアネートが挙げられる。
また、イオン透過性をより高めるためには、耐熱多孔層の厚みは、1〜10μm、さらには1〜5μm、特に1〜4μmという薄い耐熱多孔層であることが好ましい。また、耐熱多孔層は微細孔を有し、その孔のサイズ(直径)は通常3μm以下、好ましくは1μm以下である。また、耐熱多孔層が、耐熱樹脂を含有する場合には、さらに、耐熱多孔層は、後述のフィラーを含有することもできる。
前記積層フィルムにおいて、多孔質フィルムは、微細孔を有し、シャットダウン機能を有することが好ましい。この場合、多孔質フィルムは、熱可塑性樹脂を含有する。多孔質フィルムにおける微細孔のサイズは通常3μm以下、好ましくは1μm以下である。多孔質フィルムの空孔率は、通常30〜80体積%、好ましくは40〜70体積%である。非水電解質二次電池において、通常の使用温度を越えた場合には、熱可塑性樹脂を含有する多孔質フィルムは、それを構成する熱可塑性樹脂の軟化により、微細孔を閉塞することができる。
前記熱可塑性樹脂は、非水電解質二次電池における電解液に溶解しないものを選択すればよい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂および熱可塑性ポリウレタン樹脂を挙げることができ、これらの2種以上の混合物を用いてもよい。より低温で軟化してシャットダウンさせるためには、ポリエチレンを含有することが好ましい。ポリエチレンとして、具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン等のポリエチレンを挙げることができ、分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンを挙げることもできる。多孔質フィルムの突刺し強度をより高めるためには、該フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、少なくとも超高分子量ポリエチレンを含有することが好ましい。また、多孔質フィルムの製造面において、熱可塑性樹脂は、低分子量(重量平均分子量1万以下)のポリオレフィンからなるワックスを含有することが好ましい場合もある。
また、積層フィルムにおける多孔質フィルムの厚みは、通常3〜30μmであり、さらに好ましくは3〜25μmである。また、本発明において、積層フィルムの厚みとしては、通常40μm以下、好ましくは、30μm以下である。また、耐熱多孔層の厚みをA(μm)、多孔質フィルムの厚みをB(μm)としたときには、A/Bの値が、0.1以上1以下であることが好ましい。
また、耐熱多孔層が、耐熱樹脂を含有する場合には、耐熱多孔層は、1種以上のフィラーを含有していてもよい。フィラーは、その材質として、有機粉末、無機粉末またはこれらの混合物のいずれから選ばれるものであってもよい。フィラーを構成する粒子は、その平均粒子径が、0.01〜1μm以下であることが好ましい。
前記有機粉末としては、例えば、スチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸メチル等の単独または2種類以上の共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド等のフッ素系樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリメタクリレート;などの有機物からなる粉末が挙げられる。該有機粉末は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの有機粉末の中でも、化学的安定性の点で、ポリテトラフルオロエチレン粉末が好ましい。
前記無機粉末としては、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸塩等の無機物からなる粉末が挙げられ、これらの中でも、導電性の低い無機物からなる粉末が好ましく用いられる。具体的に例示すると、アルミナ、シリカ、二酸化チタンまたは炭酸カルシウム等からなる粉末が挙げられる。該無機粉末は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの無機粉末の中でも、化学的安定性の点で、アルミナ粉末が好ましい。ここで、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子であることがより好ましく、さらにより好ましいのは、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子であり、その一部または全部が略球状のアルミナ粒子である実施形態である。因みに、耐熱多孔層が、無機粉末から形成される場合には、上記例示の無機粉末を用いればよく、必要に応じてバインダーと混ぜて用いればよい。
耐熱多孔層が耐熱樹脂を含有する場合のフィラーの含有量としては、フィラーの材質の比重にもよるが、例えば、フィラーを構成する粒子のすべてがアルミナ粒子である場合には、耐熱多孔層の総重量を100重量部としたとき、フィラーの重量は、通常5〜95重量部であり、20〜95重量部であることが好ましく、より好ましくは30〜90重量部である。これらの範囲は、フィラーの材質の比重により、適宜設定できる。
フィラーの形状については、略球状、板状、柱状、針状、ウィスカー状、繊維状等の形状が挙げられ、いずれの粒子も用いることができるが、均一な孔を形成しやすいことから、略球状粒子であることが好ましい。略球状粒子としては、粒子のアスペクト比(粒子の長径/粒子の短径)が1以上1.5以下である粒子が挙げられる。粒子のアスペクト比は、電子顕微鏡写真により測定することができる。
本発明において、セパレータは、イオン透過性との観点から、ガーレー法による透気度において、透気度が50〜300秒/100ccであることが好ましく、50〜200秒/100ccであることがさらに好ましい。また、セパレータの空孔率は、通常30〜80体積%、好ましくは40〜70体積%である。セパレータは空孔率の異なるセパレータを積層したものであってもよい。
二次電池において、電解液は、通常、電解質および有機溶媒を含有する。電解質としては、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、LiN(SO2CF3)(COCF3)、Li(C49SO3)、LiC(SO2CF33、Li210Cl10、LiBOB(ここで、BOBは、bis(oxalato)borateのことである。)、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl4などのリチウム塩が挙げられ、これらの2種以上の混合物を使用してもよい。リチウム塩として、通常、これらの中でもフッ素を含むLiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32およびLiC(SO2CF33からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものを用いる。
また前記電解液において、有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物、または上記の有機溶媒にさらにフッ素置換基を導入したものを用いることができるが、通常はこれらのうちの二種以上を混合して用いる。中でもカーボネート類を含む混合溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒および環状カーボネートとエーテル類との混合溶媒がさらに好ましい。環状カーボネートと非環状カーボネートとの混合溶媒としては、動作温度範囲が広く、負荷特性に優れ、かつ負極の活物質として天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を用いた場合でも難分解性であるという点で、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。また、特に優れた安全性向上効果が得られる点で、LiPF6等のフッ素を含むリチウム塩およびフッ素置換基を有する有機溶媒を含む電解液を用いることが好ましい。ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル等のフッ素置換基を有するエーテル類とジメチルカーボネートとを含む混合溶媒は、大電流放電特性にも優れており、さらに好ましい。
上記の電解液の代わりに固体電解質を用いてもよい。固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖もしくはポリオキシアルキレン鎖の少なくとも一種以上を含む高分子化合物などの有機系高分子電解質を用いることができる。また、高分子化合物に非水電解液を保持させた、いわゆるゲルタイプのものを用いることもできる。またLi2S−SiS2、Li2S−GeS2、Li2S−P25、Li2S−B23、Li2S−SiS2−Li3PO4、Li2S−SiS2−Li2SO4などの硫化物を含む無機系固体電解質を用いてもよい。これら固体電解質を用いて、安全性をより高めることができることがある。また、本発明の非水電解質二次電池において、固体電解質を用いる場合には、固体電解質がセパレータの役割を果たす場合もあり、その場合には、セパレータを必要としないこともある。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、リチウム複合金属酸化物(正極活物質)の評価、充放電試験は、次のようにして行った。
(1)正極の作製
正極活物質と導電材(アセチレンブラックと黒鉛とを9:1(重量比)で混合したもの)との混合物に、バインダーとしてPVdF(N−メチル−2−ピロリドンを有機溶媒として用いた。)を、活物質:導電材:バインダー(PVdF)=87:10:3(重量比)の組成となるように加えて混練することによりペーストとし、集電体となる厚さ40μmのAl箔に該ペーストを塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、正極を得た。
(2)非水電解質二次電池(コインセル)の作製
(1)により得られた正極を用いて、コインセル(宝泉株式会社製)の下蓋にAl箔面を下に向けて正極を置き、その上に後述する積層フィルムセパレータ(ポリエチレン製多孔質フィルムの上に、耐熱多孔層を積層(厚み16μm))を置き、ここに電解液(エチレンカーボネート(以下、ECということがある。)とジメチルカーボネート(以下、DMCということがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、EMCということがある。)との30:35:35(体積比)混合液にLiPF6を1モル/リットルとなるように溶解したもの(以下、LiPF6/EC+DMC+EMCと表すことがある。))を300μl注入した。次に、負極として金属リチウムを用いて、前記金属リチウムを積層フィルムセパレータの上側に置き、ガスケットを介して上蓋をし、かしめ機でかしめて非水電解質二次電池(コイン型電池R2032)を作製した。なお、電池の組み立てはアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
(3)充放電試験
上記のコイン型電池を用いて、以下に示す条件で放電レート試験を実施した。放電レート試験における0.2C放電容量および10C放電容量を、それぞれ以下のようにして求めた。
<放電レート試験>
試験温度25℃
充電最大電圧4.3V、充電時間8時間、充電電流0.3mA/cm2
放電時は放電最小電圧を2.5Vで一定とし、放電電流を下記のように変えて放電を行った。10C(高い電流レート)における放電容量が高ければ高いほど、高い電流レートにおける高い放電容量維持率を示すことを意味する。
1サイクル目の放電(0.2C):放電電流0.3mA/cm2
2サイクル目の放電(10C) :放電電流15mA/cm2
(4)リチウム複合金属酸化物の評価
1.リチウム複合金属酸化物の組成分析
粉末を塩酸に溶解させた後、誘導結合プラズマ発光分析法(SII製SPS3000)を用いて測定した。
2.リチウム複合金属酸化物のBET比表面積の測定
測定する粉末1gを窒素雰囲気中150℃、15分間乾燥した後、マイクロメリティックス製フローソーブII2300を用いて測定した。
3.リチウム複合金属酸化物の平均粒子径の測定
測定する粉末0.1gを、0.2wt%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液50mlに投入し、該粉末を分散させた分散液を試料とし、これについてマルバーン社製マスターサイザー2000(レーザー回折散乱粒度分布測定装置)を用いて、粒度分布を測定し、体積基準の累積粒度分布曲線を得、微小粒子側から50%累積時の粒子径(D50)の値を粉末の平均粒子径とした。
4.リチウム複合金属酸化物の平均一次粒子径の測定
リチウム複合金属酸化物を構成する粒子をサンプルステージ上に貼った導電性シート上に載せ、日本電子株式会社製JSM−5510を用いて、加速電圧が20kVの電子線を照射してSEM観察を行った。平均一次粒子径は、SEM観察により得られた画像(SEM写真)から任意に50個の一次粒子を抽出し、それぞれの粒子径を測定し、その平均値を算出することにより測定した。
比較例1
1.遷移金属複合水酸化物の製造と評価
ニッケルの水溶性塩として硫酸ニッケル六水和物、マンガンの水溶性塩として硫酸マンガン一水和物、コバルトの水溶性塩として硫酸コバルト七水和物を用い、Ni:Mn:Coのモル比が0.45:0.45:0.10となるようにそれぞれ秤量し、純水に溶解してNi、MnおよびCoを含有する遷移金属水溶液を得た。また、錯化剤として硫酸アンモニウム水溶液を用い、アルカリ金属水溶液として水酸化ナトリウム水溶液を用いた。次いで、反応槽内に前記遷移金属水溶液と、錯化剤と、アルカリ金属水溶液とを同時に投入することにより、共沈を行い、沈殿物を生成させて、共沈物スラリーを得た。共沈時には、反応槽内のpHが12で維持されるように水酸化ナトリウム水溶液の投入量を調節し、反応槽内の温度は45℃に調節した。また、反応槽内は攪拌翼により攪拌した。得られた共沈物スラリーについて、固液分離を行い、蒸留水により洗浄して、遷移金属複合水酸化物を得、100℃で乾燥させて共沈物Qを得た。
2.リチウム複合金属酸化物の製造と評価
前記Qと水酸化リチウム一水和物とを乳鉢により混合して混合物を得た。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて大気雰囲気中800℃で6時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、焼成品を得て、これを粉砕し、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、300℃で6時間乾燥して、粉末状のリチウム複合金属酸化物Rを得た。前記Rの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Rの組成分析を行ったところ、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.05:0.45:0.45:0.10であり、BET比表面積は0.3m/gであった。また、前記Rの平均粒子径は8.8μmであり、平均一次粒子径は1.3μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Rを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、154、91であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、59であった。
比較例2
1.リチウム複合金属酸化物の製造
Ni:Mn:Coのモル比が0.33:0.34:0.33となるようにした以外は、比較例1と同様の操作を行い、共沈物Qを得た。
前記Qと水酸化リチウム一水和物とを乳鉢により混合して混合物を得た。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて大気雰囲気中800℃で6時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、焼成品を得て、これを粉砕し、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、300℃で6時間乾燥して、粉末状のリチウム複合金属酸化物Rを得た。前記Rの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Rの組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.05:0.33:0.34:0.33であり、BET比表面積は0.4m/gであった。また、前記Rの平均粒子径は9.1μmであり、平均一次粒子径は1.5μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Rを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、158、101であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、64であった。
比較例3
1.リチウム複合金属酸化物の製造
ニッケルの水溶性塩として硫酸ニッケル六水和物、マンガンの水溶性塩として硫酸マンガン一水和物、コバルトの水溶性塩として硫酸コバルト七水和物を用い、Ni:Mn:Coのモル比が0.50:0.30:0.20となるようにそれぞれ秤量し、純水に溶解してNi、MnおよびCoを含有する遷移金属水溶液を得た。この遷移金属水溶液に、アルカリ金属水溶液として水酸化カリウム水溶液を加えて共沈を行い、沈殿物を生成させて、共沈物スラリーを得た。得られた共沈物スラリーについて、固液分離を行い、蒸留水により洗浄して、遷移金属複合水酸化物を得た。150℃で乾燥させて共沈物Qを得た。
2.リチウム複合金属酸化物の製造と評価
前記Qと、炭酸リチウムと、不活性溶融剤として硫酸カリウムとを乳鉢により混合して混合物を得た。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて大気雰囲気中1000℃で6時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、焼成品を得て、これを粉砕し、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、300℃で6時間乾燥して粉末状のリチウム複合金属酸化物Rを得た。前記Rの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Rの組成分析を行ったところ、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.10:0.50:0.30:0.20であり、BET比表面積は0.3m/gであった。また、前記Rの平均粒子径は4.2μmであり、平均一次粒子径は3.2μmであった。
2.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Rを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、138、54であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、39であった。
比較例4
1.リチウム複合金属酸化物の製造
Ni:Mn:Coのモル比が0.33:0.34:0.33となるようにした以外は、比較例3と同様の操作を行い、共沈物Qを得た。
前記Qと炭酸リチウムとを乳鉢により混合して混合物を得た。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて大気雰囲気中850℃で6時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、焼成品を得て、これを粉砕し、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、300℃で6時間乾燥して粉末状のリチウム複合金属酸化物Rを得た。前記Rの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Rの組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.10:0.33:0.34:0.33であり、BET比表面積は3.8m/gであった。また、前記Rの平均粒子径は1.5μmであり、平均一次粒子径は0.2μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Rを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、141、59であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、42であった。
比較例5
1.リチウム複合金属酸化物の製造
ニッケルの水溶性塩として硫酸ニッケル六水和物、マンガンの水溶性塩として硫酸マンガン一水和物を用い、Ni:Mnのモル比が0.70:0.30となるようにし、焼成温度を850℃とした以外は、比較例3と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物Rを得た。前記Rの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Rの組成分析の結果、Li:Ni:Mnのモル比は、1.10:0.70:0.30であり、BET比表面積は6.9m2/gであった。また、前記Rの平均粒子径は0.2μmであり、平均一次粒子径は0.2μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Rを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、80、3であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、4であった。
比較例6
1.リチウム複合金属酸化物の製造
比較例2で得られた共沈物Qと、炭酸リチウムと、不活性溶融剤として硫酸カリウムとを乳鉢により混合して混合物を得た。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて大気雰囲気中850℃で6時間保持して焼成を行い、室温まで冷却し、焼成品を得て、これを粉砕し、蒸留水でデカンテーションによる洗浄を行い、ろ過し、300℃で6時間乾燥して粉末状のリチウム複合金属酸化物Rを得た。前記Rの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Rの組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.09:0.33:0.34:0.33であり、BET比表面積は1.2m2/gであった。また、前記Rの平均粒子径は7.2μmであり、平均一次粒子径は1.0μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Rを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、152、94であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、62であった。
比較例7
1.リチウム複合金属酸化物の製造
炭酸リチウム、水酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化コバルト、ホウ酸を各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co:B=1.08:0.35:0.44:0.21:0.03となるように秤取した後、15mmφのアルミナボールをメディアとした乾式ボールミルにより4時間(周速0.7m/s)粉砕混合し粉体Qを得た。この粉体をトンネル型の連続炉に入れ、空気中にて1040℃で4時間保持して焼成し、焼成品を得た。該焼成品を15mmφのアルミナボールをメディアとした乾式ボールミルにより7時間(周速0.7m/s)粉砕し、45μmの目開きの篩にて粗粒子を除去し、粉末状のリチウム複合金属酸化物Rを得た。前記Rの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Rの組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.04:0.35:0.44:0.21であり、BET比表面積は3.3m2/gであった。また、前記Rの平均粒子径は1.3μmであり、平均一次粒子径は1.3μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Rを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、154、79であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、51であった。
実施例1
1.リチウム複合金属酸化物の製造
Ni:Mn:Coのモル比が0.50:0.30:0.20となるようにした以外は、比較例5と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物Bを得た。前記Bの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Bの組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.13:0.50:0.30:0.20であり、BET比表面積は6.0m2/gであった。また、前記Bの平均粒子径は0.2μmであり、平均一次粒子径は0.2μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Bを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、170、138であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、82であり、放電容量および放電容量維持率は高かった。
実施例2
1.リチウム複合金属酸化物の製造
Ni:Mn:Coのモル比が0.60:0.30:0.10となるようにした以外は、実施例1と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物Bを得た。前記Bの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Bの組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.10:0.60:0.30:0.10であり、BET比表面積は5.4m2/gであった。また、前記Bの平均粒子径は0.5μmであり、平均一次粒子径は0.2μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Bを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、174、124であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、71であり、放電容量および放電容量維持率は高かった。
実施例3
1.リチウム複合金属酸化物の製造
Ni:Mn:Coのモル比が0.60:0.20:0.20となるようにした以外は、実施例1と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物Bを得た。前記Bの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Bの組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.09:0.60:0.20:0.20であり、BET比表面積は、3.4m2/gであった。また、前記Bの平均粒子径は0.5μmであり、平均一次粒子径は0.3μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Bを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、175、124であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、71であり、放電容量および放電容量維持率は高かった。
実施例4
1.リチウム複合金属酸化物の製造
Ni:Mn:Coのモル比が0.50:0.30:0.20となるようにし、焼成温度を800℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物Bを得た。前記Bの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Bの組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.12:0.50:0.30:0.20であり、BET比表面積は、6.3m2/gであった。また、前記Bの平均粒子径は0.2μmであり、平均一次粒子径は0.2μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Bを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、168、121であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、72であり、放電容量および放電容量維持率は高かった。
実施例5
1.リチウム複合金属酸化物の製造
Ni:Mn:Coのモル比が0.33:0.34:0.33となるようにした以外は、実施例1と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物Bを得た。前記Bの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Bの組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.07:0.33:0.34:0.33であり、BET比表面積は、6.1m2/gであった。また、前記Bの平均粒子径は0.3μmであり、平均一次粒子径は0.2μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Bを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、161、129であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、80であり、放電容量および放電容量維持率は高かった。
実施例6
1.リチウム複合金属酸化物の製造
不活性融剤を炭酸カリウムとした以外は、実施例1と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物Bを得た。前記Bの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Bの組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.11:0.50:0.30:0.20であり、BET比表面積は、5.9m/gであった。また、前記Bの平均粒子径は0.2μmであり、平均一次粒子径は0.2μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Bを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、167、140であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、83であり、放電容量および放電容量維持率は高かった。
実施例7
1.リチウム複合金属酸化物の製造
Ni:Mn:Coのモル比が0.33:0.34:0.33となるようにした以外は、実施例6と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物Bを得た。前記Bの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Bの組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.11:0.33:0.34:0.33であり、BET比表面積は、5.6m2/gであった。また、前記Bの平均粒子径は0.6μmであり、平均一次粒子径は0.2μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Bを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、160、130であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、81であり、放電容量および放電容量維持率は高かった。
実施例8
1.リチウム複合金属酸化物の製造
Ni:Mn:Coのモル比が0.60:0.30:0.10となるようにした以外は、実施例6と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物Bを得た。前記Bの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Bの組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.10:0.60:0.30:0.10であり、BET比表面積は、5.1m2/gであった。また、前記Bの平均粒子径は0.2μmであり、平均一次粒子径は0.2μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Bを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、174、121であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、70であり、放電容量および放電容量維持率は高かった。
実施例9
1.リチウム複合金属酸化物の製造
Ni:Mn:Coのモル比が0.60:0.20:0.20となるようにした以外は、実施例6と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物Bを得た。前記Bの粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記Bの組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.09:0.60:0.20:0.20であり、BET比表面積は、3.5m2/gであった。また、前記Bの平均粒子径は0.2μmであり、平均一次粒子径は0.2μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記Bを用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、177、125であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、71であり、放電容量および放電容量維持率は高かった。
実施例10
1.リチウム複合金属酸化物の製造
Ni:Mn:Coのモル比が0.50:0.40:0.10となるようにした以外は、実施例1と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物B10を得た。前記B10の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記B10の組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.08:0.50:0.40:0.10であり、BET比表面積は、8.0m2/gであった。また、前記B10の平均粒子径は0.2μmであり、平均一次粒子径は0.2μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記B10を用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、168、122であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、73であり、放電容量および放電容量維持率は高かった。
実施例11
1.リチウム複合金属酸化物の製造
Ni:Mn:Coのモル比が0.47:0.48:0.05となるようにした以外は、実施例1と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物B11を得た。前記B11の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記B11の組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.05:0.47:0.48:0.05であり、BET比表面積は、8.1m2/gであった。また、前記B10の平均粒子径は0.2μmであり、平均一次粒子径は0.2μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記B11を用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、149、117であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、79であり、放電容量および放電容量維持率は高かった。
実施例12
1.リチウム複合金属酸化物の製造
Ni:Mn:Coのモル比が0.40:0.50:0.10となるようにした以外は、実施例1と同様の操作を行い、粉末状のリチウム複合金属酸化物B12を得た。前記B12の粉末X線回折測定の結果、粉末X線回折図形において、層状岩塩型結晶構造であるR−3mの空間群に帰属するリチウム複合金属酸化物のピークが確認された。
前記B12の組成分析の結果、Li:Ni:Mn:Coのモル比は、1.04:0.40:0.50:0.10であり、BET比表面積は、8.4m2/gであった。また、前記B12の平均粒子径は0.2μmであり、平均一次粒子径は0.2μmであった。
3.非水電解質二次電池の充放電試験
前記B12を用いてコイン型電池を作製し、放電レート試験を行ったところ、0.2C、10Cにおける放電容量(mAh/g)は、それぞれ、152、110であり、10Cにおける放電容量維持率(%)は、72であり、放電容量および放電容量維持率は高かった。
製造例1(積層フィルムの製造)
(1)スラリー状塗工液の製造
NMP4200gに塩化カルシウム272.7gを溶解した後、パラフェニレンジアミン132.9gを添加して完全に溶解させた。得られた溶液に、テレフタル酸ジクロライド243.3gを徐々に添加して重合し、パラアラミドを得て、さらにNMPで希釈して、濃度2.0重量%のパラアラミド溶液(A)を得た。得られたパラアラミド溶液100gに、アルミナ粉末(a)2g(日本アエロジル社製、アルミナC、平均粒子径0.02μm)とアルミナ粉末(b)2g(住友化学株式会社製スミコランダム、AA03、平均粒子径0.3μm)とをフィラーとして計4g添加して混合し、ナノマイザーで3回処理し、さらに1000メッシュの金網で濾過、減圧下で脱泡して、スラリー状塗工液(B)を製造した。パラアラミドおよびアルミナ粉末の合計重量に対するアルミナ粉末(フィラー)の重量は、67重量%となる。
(2)積層フィルムの製造および評価
多孔質フィルムとしては、ポリエチレン製多孔質膜(膜厚12μm、透気度140秒/100cc、平均孔径0.1μm、空孔率50%)を用いた。厚み100μmのPETフィルムの上に上記ポリエチレン製多孔質膜を固定し、テスター産業株式会社製バーコーターにより、該多孔質膜の上にスラリー状塗工液(B)を塗工した。PETフィルム上の塗工された該多孔質膜を一体にしたまま、貧溶媒である水中に浸漬させ、パラアラミド多孔質膜(耐熱多孔層)を析出させた後、溶媒を乾燥させて、耐熱多孔層と多孔質フィルムとが積層された積層フィルム1を得た。積層フィルム1の厚みは16μmであり、パラアラミド多孔質膜(耐熱多孔層)の厚みは4μmであった。積層フィルム1の透気度は180秒/100cc、空孔率は50%であった。積層フィルム1における耐熱多孔層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察をしたところ、0.03〜0.06μm程度の比較的小さな微細孔と0.1〜1μm程度の比較的大きな微細孔とを有することがわかった。なお、積層フィルムの評価は以下の方法で行った。
<積層フィルムの評価>
(A)厚み測定
積層フィルムの厚み、多孔質フィルムの厚みは、JIS規格(K7130−1992)に従い、測定した。また、耐熱多孔層の厚みとしては、積層フィルムの厚みから多孔質フィルムの厚みを差し引いた値を用いた。
(B)ガーレー法による透気度の測定
積層フィルムの透気度は、JIS P8117に基づいて、株式会社安田精機製作所製のデジタルタイマー式ガーレー式デンソメータで測定した。
(C)空孔率
得られた積層フィルムのサンプルを一辺の長さ10cmの正方形に切り取り、重量W(g)と厚みD(cm)を測定した。サンプル中のそれぞれの層の重量(Wi(g))(iは1からnの整数)を求め、Wiとそれぞれの層の材質の真比重(真比重i(g/cm3))とから、それぞれの層の体積を求めて、次式より空孔率(体積%)を求めた。
空孔率(体積%)=100×{1−(W1/真比重1+W2/真比重2+・・+Wn/真比重n)/(10×10×D)}

Claims (7)

  1. ニッケル、コバルトおよびマンガンを含有するリチウム複合金属酸化物であって、BE
    T比表面積が2/g以上15m2/g以下であり、レーザー回折散乱法によって測定さ
    れる平均粒子径が0.1μm以上1μm未満である非水電解質二次電池正極活物質用リチウム複合金属酸化物。
  2. 平均一次粒子径が0.05μm以上0.4μm以下である請求項1に記載のリチウム複合金属酸化物。
  3. 以下の式(A)で表わされる請求項1または2に記載のリチウム複合金属酸化物。
    Li(Ni1-(x+y)MnxCoy)O2 (A)
    (ここで、0.9≦a≦1.3、0.3≦x≦0.6、0.01≦y≦0.4、0.31≦x+y≦0.7である。)
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム複合金属酸化物を有する非水電解質二次電池用電極。
  5. 請求項4に記載の電極を正極として有する非水電解質二次電池。
  6. さらにセパレータを有する請求項5に記載の非水電解質二次電池。
  7. セパレータが、耐熱多孔層と多孔質フィルムとが互いに積層された積層フィルムからな
    る請求項6に記載の非水電解質二次電池。
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