JP2001261342A - リチウム二次電池用正極材料、正極、リチウム二次電池並びに正極材料の製造法 - Google Patents

リチウム二次電池用正極材料、正極、リチウム二次電池並びに正極材料の製造法

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JP2001261342A JP2001000857A JP2001000857A JP2001261342A JP 2001261342 A JP2001261342 A JP 2001261342A JP 2001000857 A JP2001000857 A JP 2001000857A JP 2001000857 A JP2001000857 A JP 2001000857A JP 2001261342 A JP2001261342 A JP 2001261342A
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Takeshi Sueyoshi
剛 末吉
Hidekazu Miyagi
秀和 宮城
Tsutomu Miyazawa
勉 宮澤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リチウム二次電池用の正極材料としての正方晶
系リチウムマンガン複合酸化物、その製造方法、及び該
複合酸化物からなるリチウム二次電池用正極並びに正極
を用いたリチウム二次電池を提供する。 【解決手段】リチウムマンガン複合酸化物のMnサイト
の一部が他の金属元素で置換され、かつ一次粒子の平均
粒径が0.5μm以下である正方晶系リチウムマンガン
複合酸化物、Mn化合物、リチウム化合物、他の金属元
素化合物を混合、不活性雰囲気下焼成させることよりな
る該正方晶系リチウムマンガン複合酸化物の製造法、該
正方晶系リチウムマンガン複合酸化物を活物質として含
有することよりなるリチウム二次電池用正極、並びに該
リチウム二次電池用正極、炭素材料を活物質として含有
する負極、及び電解質相からなるリチウム二次電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリチウム二次電池用
正極材料である正方晶系リチウムマンガン複合酸化物及
びその製造法、並びに該リチウムマンガン複合酸化物を
製造するためのマンガン酸化物の製造法に関わり、更に
は該正極材料を用いたリチウム二次電池用正極、並びに
リチウム二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯用電子機器の小型化、軽量化
に伴い、その電源として高出力、高エネルギー密度であ
る二次電池が求められている。特にリチウム二次電池は
上記の要件を満たすため、その開発が急速に行われてい
る。リチウム二次電池の正極活物質としては、LiCo
2、LiNiO2、LiMnO2、Li2Mn24、Li
Mn24等のリチウム複合酸化物が提案され、研究が盛
んに行われている。特にリチウムとマンガンとを主成分
とする複合酸化物(以下、「リチウムマンガン複合酸化
物」と表記することがある)は、MnがCoやNiと比
較して埋蔵量が多く安価であることから注目を集めてい
る。その中でも、正方晶系に属するLi1+xMn2
4(0<X、以下「正方晶型リチウムマンガン複合酸化
物」と表記することがある)は、スピネル型の結晶構造
を持つLiMn24(以下、「スピネル型リチウムマン
ガン複合酸化物」と表記することがある)より初充電容
量が大きく、初充電時の炭素質材料を含む負極のリチウ
ムトラップの問題を解決しうるとされ、研究が進められ
ている。
【0003】正方晶型リチウムマンガン複合酸化物の製
造法として、幾つかの方法が報告されている。例えば、
J.Electrochem.Soc.Vol.138
(1991)p.2864には、スピネル型リチウムマ
ンガン複合酸化物をLiIを含有するアセトニトリル溶
液中で還流し、Li2Mn24を得る方法が記載されて
いる。また、特開平4−147573号公報には、スピ
ネル型リチウムマンガン複合酸化物を正極、Li金属を
負極として電池を作成し、電気化学的に放電させる方
法、スピネル型リチウムマンガン複合酸化物をn−ブチ
ルリチウムを含有するヘキサン溶液中で還流しLi2
24を得る方法が記載されている。更に、特開平10
−149828号公報には、スピネル型リチウムマンガ
ン複合酸化物を水酸化リチウムと混合し還元雰囲気下で
加熱しLi2Mn24を得る方法が記載され、特開平1
0−302766号公報には二酸化マンガン,Fe酸化
物及びLi塩からなる混合物を大気中で焼成し、次いで
生成物をLiIとアセトニトリル中で加熱還流下反応さ
せることによりMnサイトの一部がFeで置換されたリ
チウムマンガン系複合酸化物を製造したことが記載され
ている。しかしながら、上記のいずれの方法も未だ満足
のいくものではない。即ち、有機溶媒中での還流は工業
化の上で問題があり、還元雰囲気下での加熱ではMnの
価数の制御が難しく、特開平10−149828号公報
にも詳細な操作方法は記載されていない。
【0004】一方、実質的にリチウム、マンガン、酸素
のみからなり、その組成比がLi:Mn:O=2:2:
4である化合物としては、斜方晶系に属するLiMnO
2が安定であり、上記以外の製造法では正方晶型リチウ
ムマンガン複合酸化物を得ることが困難であるとされて
いる。しかしながら、斜方晶系に属するLiMnO
2は、正方晶型リチウムマンガン複合酸化物と比較して
初期容量が小さく平均電圧が低いといった問題が指摘さ
れている。そこで、正方晶系のリチウムマンガン複合酸
化物を容易に製造できる方法が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、リチ
ウム二次電池用の正極材料として有用な正方晶系リチウ
ムマンガン複合酸化物、並びに該複合酸化物及び該複合
酸化物を形成するのに適したマンガン酸化物を容易に製
造できる方法を提供することにある。他の目的は、その
製造方法によって生成される正方晶系リチウムマンガン
複合酸化物からなるリチウム二次電池用正極及び該正極
を用いたリチウム二次電池を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究し
た結果、前記ヨウ化リチウム法(特開平10−3027
66号)によらず原料混合物の焼成条件を制御すること
によって、Mnサイトの一部を他元素で置換した正方晶
系リチウムマンガン複合酸化物を容易に得ることがで
き、このようにして得られるMnサイトの一部を他元素
で置換した正方晶系リチウムマンガン複合酸化物を正極
活物質とすれば高温特性が改善されることを見出し本発
明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は、リ
チウムマンガン複合酸化物のMnサイトの一部が他の金
属元素で置換されていることよりなり、かつ一次粒子の
平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とする正方
晶系リチウムマンガン複合酸化物に存し、他の要旨は該
正方晶系リチウムマンガン複合酸化物を活物質として含
有することよりなるリチウム二次電池用正極、並びに該
リチウム二次電池用正極、炭素材料を活物質として含有
する負極、及び電解質層からなるリチウム二次電池に存
するものである。
【0007】本発明の更なる要旨は、Mn化合物、リチ
ウム化合物及び他の金属元素化合物を混合、不活性ガス
雰囲気下焼成させること、或いはMnサイトの一部が他
の金属元素で置換されたマンガン酸化物又はMnサイト
及び/又はHサイトの一部が他の金属元素で置換された
オキシ水酸化マンガンと、リチウム化合物とを混合、焼
成させることよりなるMnサイトの一部が他の金属元素
で置換されている正方晶系リチウムマンガン複合酸化物
の製造法に存する。また、本発明は、下記(1)〜
(3)の工程を経て製造されることを特徴とするMnサ
イトの一部が他の金属元素で置換されたマンガン酸化物
の製造法を要旨とするものである。 (1)Mnを含有する少なくとも一種の化合物と、他の
金属元素の少なくとも一種の化合物とを水及び/又は有
機溶媒からなる溶媒中に溶解若しくは懸濁させる工程、 (2)工程(1)で生成した溶液又は懸濁液のOH濃度
を増加させることにより共沈化合物を生成させる工程 (3)その共沈化合物を分離後、水及び/又は有機溶媒
を除去する工程。
【0008】本発明の好ましい態様としては、Mnサイ
トの一部を置換する他の金属元素がAl、Ti、V、C
r、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Z
r、Nb、Mo及びPdの中から選択される少なくとも
一種の元素である正方晶系リチウムマンガン複合酸化物
が挙げられる。
【0009】また本発明の別の好適な態様として、上記
の正方晶系リチウムマンガン複合酸化物を活物質として
含有するリチウム二次電池用正極が、更に、他の正極材
料、例えばスピネル型リチウムマンガン複合酸化物を活
物質として含有するリチウム二次電池用正極が挙げら
れ、また、このリチウム二次電池用正極と、炭素材料を
活物質として含有する負極及び電解質層からなるリチウ
ム二次電池を挙げることができる。
【0010】本発明の正方晶系リチウムマンガン複合酸
化物の好適な製造法の態様としては、上記複合酸化物の
製造法においてMn化合物としてMnサイトの一部が他
の金属元素で置換されたマンガン酸化物又はオキシ水酸
化マンガンを用いること;Mnサイトの一部が他の金属
元素で置換されたマンガン酸化物が、γ−Mn23のマ
ンガンサイトの一部を他の金属元素で置換した化合物で
あり、その金属元素が、Co、Ni、及びMgの群から
選ばれる金属元素であること;並びにMnサイトの一部
が他の金属元素で置換されたマンガン酸化物として
(1)Mnを含有する少なくとも一種の化合物と、他の金
属元素の少なくとも一種の化合物とを水及び/又は有機
溶媒からなる溶媒中に溶解若しくは懸濁させる工程、
(2)工程(1)で生成した溶液又は懸濁液のOH濃度を、場合
により酸化剤を加えながら増加させることにより共沈化
合物を生成させる工程、及び(3)その共沈化合物を分離
後、水及び/又は有機溶媒を、例えば400℃以下の温
度下で除去する工程の各工程を経て製造されたものを用
いることを挙げることができる。また、上記複合酸化物
の製造法における焼成が不活性ガス雰囲気下、例えば酸
素濃度は10000ppm以下350〜1200℃で行われるこ
とも挙げることが出来る。本発明のMnサイトの一部が
他の金属元素で置換されたマンガン酸化物の好適な製造
法の態様としては、前記(1)〜(3)工程において、
酸化剤を加えながら(2)の工程を行うこと及び水及び
/又は有機溶媒の除去を400℃以下の温度下で行うこ
とが挙げられる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳細に説明す
る。本発明は、リチウム二次電池用正極材料として有用
なMnサイトが他の金属元素で置換された正方晶系リチ
ウムマンガン複合酸化物(以下、「置換正方晶系リチウ
ムマンガン複合酸化物」と表記することがある)に関す
るものである。置換する他の金属元素としては、Al、
Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、M
g、Ga、Zr、Nb、Mo、Pdの中から選択される
少なくとも一種の元素が挙げられ、好ましくはCo、N
i、Mgが挙げられる。これらの金属元素を選択するこ
とにより、置換正方晶系リチウムマンガン複合酸化物を
容易に得ることができる。
【0012】本発明の置換正方晶系リチウムマンガン複
合酸化物を製造する方法として、Mn化合物、リチウム
化合物、及び他の金属元素化合物を混合、不活性ガス雰
囲気下焼成させる方法をとることができる。他の製造方
法としては、Mnサイトの一部が他の金属元素で置換さ
れたマンガン酸化物、又はMnサイト及び/又はHサイ
トの一部が他の金属元素で置換されたオキシ水酸化マン
ガンと、リチウム化合物とを混合、焼成させることより
なる方法も採用することができる。
【0013】上記の他の金属元素の化合物としては特に
制限されず、各種の酸化物、水酸化物、無機酸塩、炭酸
塩、有機酸塩、アンモニウム塩を適宜用いることができ
る。他の金属元素化合物をMn化合物及びリチウム化合
物と混合、焼成する場合には、炭酸塩、酸化物、水酸化
物等が好ましく、Mnサイトの一部が他の金属元素で置
換されたマンガン酸化物、又はMnサイト及び/又はH
サイトの一部が他の金属元素で置換されたオキシ水酸化
マンガンとして使用する場合には、これら酸化物及びオ
キシ水酸化マンガンを調製するのに適した、硝酸塩、硫
酸塩等の無機酸塩やシュウ酸塩等の有機酸塩などの溶媒
に可溶性の塩類が好ましい。
【0014】リチウム化合物としては、Li2CO3、L
iNO3等の無機酸塩、LiOH、LiOH・H2O等の
水酸化物、LiCl、LiI等のハロゲン化物、Li2
O等の酸化物、CH3COOLi、ジカルボン酸Li、
脂肪酸Li等の有機酸塩、ブチルリチウム等のアルキル
リチウム等が挙げられる。
【0015】Mn化合物としては、マンガン酸化物、オ
キシ水酸化マンガンを用いることもできる。マンガン酸
化物としては、Mnの価数が3価である化合物が好まし
く、例えばMn23やThe American Me
neralogist Vol.50(1965)12
96頁に記載のγ−Mn23を挙げることができる。な
お、これらの化合物に若干の水分が付随しても良いが、
付随量が多いと焼成後の収量が減少するため少ない方が
望ましい。マンガン酸化物としてMnサイトの一部が上
記他の金属元素で置換されたマンガン酸化物を用いるこ
ともできる。オキシ水酸化マンガンとしては、Mnサイ
ト及び/又はHサイトが上記他の金属元素で置換された
ものを用いることもできる。これらの他の金属元素で置
換されたマンガン酸化物またはオキシ水酸化マンガンと
しては、複数の金属元素で置換されたものを用いること
が出来る。複数の金属元素で置換されたマンガン酸化物
等はそれらを製造する際、複数の金属を同時に共沈等で
置換し得ないこともあるので、場合によりMnサイトの
一部が上記の金属元素で置換されたマンガン酸化物、リ
チウム化合物と共に他種の金属元素を含む化合物を存在
させ焼成してもよい。Mnサイトの一部が上記他の金属
元素で置換されたマンガン酸化物として好ましいのは、
γ−Mn23のマンガンサイトの一部を他の金属元素で
置換した化合物であり、置換する金属元素としては、C
o、Ni、Mgが好ましく用いられる。これらの金属元
素を選択することにより、置換正方晶系リチウムマンガ
ン複合酸化物を容易に得ることができる。
【0016】Mnサイトの一部が他の金属元素で置換さ
れたマンガン酸化物の製造法として特に制限はないが、
該酸化物において他の金属元素が均一に分布しているこ
とが望ましい。この様な金属が均一に分布したマンガン
酸化物は、例えば、以下の(1)〜(3)の各工程を行
うことにより製造することができる。これらの工程は、
互いに分離して行ってもよいが、一部を重複して行って
もよい。 (1) Mnを含有する少なくとも一種の化合物と、他
の金属元素の少なくとも一種の化合物とを水、有機溶媒
またはそれらの混合物中に溶解或いは懸濁させる工程 (2) 工程(1)で生成した溶液又は懸濁液のOH-濃度
を増加させることにより共沈化合物を生成させる工程、 (3) 上記共沈化合物を分離後、水及び/又は有機溶
媒を除去する工程
【0017】(1)の工程におけるMnを含有する少な
くとも一種の化合物と、少なくとも一種の他の金属元素
化合物は特に限定されないが、それぞれ硝酸塩、硫酸塩
などの無機酸塩、酢酸塩やシュウ酸塩などの有機酸塩、
炭酸塩、アンモニウム塩、酸化物などが挙げられる。こ
れらの化合物をそのまま用いてもよく、ゾル状にして用
いてもよい。他の金属元素のモル数が、Mnと他の金属
元素のモル数との総和に占める割合(モル比)は、0.
005以上0.5以下、好ましくは0.01以上0.4
以下である。溶液或いは懸濁液中におけるMnおよび他
の金属元素の総和の濃度は、0.01〜10mol/
l、好ましくは0.02〜5mol/lである。この工
程では、溶液もしくは懸濁液を攪拌することが望まし
い。液温に特に制限はなく、途中で温度を変更してもよ
い。
【0018】(2)の工程において、工程(1)で生成
した溶液又は懸濁液のOH-濃度を増加させる方法として
特に制限はないが、アルカリ金属の水酸化物およびその
水溶液、アンモニア水を加える方法が挙げられる。アル
カリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸
化リチウムなどが挙げられる。OH-濃度を増加させる
際、もしくはその前後に、過酸化水素、酸素といった酸
化剤を加えてもよい。液温は特に制限はないが、酸化剤
を加える際に適切な温度を選ぶことができ、沈澱により
生成した共沈化合物の粒子性状を制御するため、加熱し
てもよい。加熱温度としては、通常100℃以下、好ま
しくは90℃以下で、また、通常30℃以上の範囲で適
宜選択される。この工程では、溶液もしくは懸濁液を攪
拌することが望ましい。
【0019】(3)の工程で、工程(2)で生成した共
沈化合物の分離には従来公知の各種の方法を用いること
ができ、例えば遠心濾過、減圧濾過、遠心分離、デカン
テーションなどが挙げられる。分離した後、引き続いて
得られたケーキを洗浄することが望ましく、洗浄液のp
Hはケーキが溶出しないよう制御することが望ましい。
共沈化合物の分離後、ケーキ内に残存する水及び/又は
有機溶媒(以下、水等という場合がある。)は除去され
る。水等を除去する方法としては、例えば減圧して除去
する方法や、適当な温度で乾燥処理するような方法等を
採用することができる。また、水等の除去操作は、一段
処理(一度の処理で水等を除去をする)で行うこともで
きるが、多段処理(複数の段階を経て水等を除去する)
で行ってもよい。上記の除去方法のうち、好ましいのは
適当な温度で乾燥処理することであり、特に好ましいの
は、酸素存在下で乾燥処理を行うことである。乾燥処理
をする場合の温度としては、通常400℃以下、好まし
くは350℃以下、更に好ましくは300℃以下、特に
好ましいのは250℃以下、最も好ましいのは200℃
以下であり、通常−30℃以上、好ましくは25℃以
上、さらに好ましくは100℃以上である。温度がこの
範囲外となると、製造設備の装置構成が複雑となる。水
等の除去操作をする際の処理時間も特に制限されない
が、一段処理・多段処理の場合を含め、通常2〜48時
間の間で適宜選択される。処理時間が短すぎると水等の
除去が不十分となる一方、処理時間が長すぎるのは工業
的に好ましくない。ケーキ内に残存する水及び/又は有
機溶媒を除去した後、焼成処理を行うことも出来る。こ
の場合、焼成温度は200〜1200℃、好ましくは3
50〜1100℃、更に好ましくは450〜1000℃
である。上記の範囲外ではMn価数を3価に調整するこ
とが難しい。尚、γ−Mn23のMnサイトの一部を他
の金属元素で置換した化合物を得るためには、前記水及
び/又は有機溶媒を除去する工程及び焼成処理は400
℃以下とするのが好ましい。
【0020】焼成時間は1時間以上50時間以下が好ま
しい。この範囲以下では焼成の効果が十分発揮されず、
他方この範囲以上に焼成してもその効果に有意的な差異
を認めることが難しい。焼成雰囲気は酸素含有気体下、
例えば空気下が望ましい。酸素を含有する気体を流通さ
せてもよい。乾燥および焼成は連続式で行ってもよい
し、バッチ式で行ってもよい。Mnサイトの一部が他の
金属元素で置換されたマンガン酸化物の他の製造法とし
ては、Mn化合物および他の金属元素化合物を乾式で混
合、解砕した後、酸素存在下焼成を行っても良い。焼成
は、上記と同様な条件下で行うことができる。
【0021】本発明の置換正方晶系リチウムマンガン複
合酸化物の製造の際、Mn化合物、リチウム化合物、及
び他の金属元素化合物の混合の方法としては、慣用的な
混合方法が用いられ、例えば、湿式混合および噴霧乾
燥、乾式混合、ボールミル粉砕などが挙げられる。本発
明方法における焼成は、不活性ガス雰囲気下で行われ
る。不活性ガスとして、窒素、アルゴン、ヘリウムなど
が挙げられる。焼成温度は350℃以上1200℃以
下、好ましくは500℃以上1000℃以下である。上
記範囲以下ではLiが充分拡散せず、上記範囲以上では
Liの揮散が起きる恐れがあり、いずれも好ましくな
い。焼成時間は1時間以上72時間以内、好ましくは2
時間以上50時間以内である。上記範囲以下では焼成の
効果が充分得られず、この範囲を越えて長時間焼成して
も効果上の差異を認めることが難しい。
【0022】リチウム化合物とマンガン化合物の焼成に
よる固相反応においては、スピネル型など様々な結晶構
造のリチウムマンガン複合酸化物が生成しうるが、正方
晶系リチウムマンガン複合酸化物の生成は困難とされて
いた。ところが、本発明においては、上記各成分化合物
を混合、不活性ガス雰囲気下焼成するという容易な操作
方法により、Mnサイトの一部を他の金属元素で置換し
た正方晶系のリチウムマンガン複合酸化物を得ることが
できるのである。
【0023】本発明において対象とするのは、この置換
正方晶系リチウムマンガン複合酸化物である。この結晶
構造の化合物は、焼成条件を適宜選択することによって
適宜選択的に製造することができる。例えば、焼成下で
の不活性ガス雰囲気中の酸素濃度を10000ppm以
下、好ましくは1000ppm以下としたり、空気下で
の焼成を還元雰囲気下に変えて行うことによって、置換
正方晶系リチウムマンガン複合酸化物を製造することが
できる。
【0024】本発明の置換正方晶系リチウムマンガン複
合酸化物の一次粒子の平均粒径は、通常0.01μm以
上、好ましくは0.02μm以上、通常50μm以下、好
ましくは30μm以下、さらに好ましくは0.5μm以
下、特に好ましくは0.2μm以下である。粒径が上記
範囲より小さいとリチウム二次電池の正極活物質として
使用した場合電解液との副反応を誘引することがあり、
また上記範囲を越えると活物質と電解液間のLiの拡散
が阻害され、高電流密度での使用において問題が生じる
ことがあるので好ましくない。一次粒子の形状に特に制
限はない。二次粒子の平均粒径は、0.1μm以上10
0μm以下、好ましくは0.2μm以上60μm以下であ
る。粒径が上記範囲より小さいと取り扱いが難しく、上
記範囲を越えて大きすぎると塗布電極作成が困難となり
好ましくない。二次粒子の形状に特に制限はない。比表
面積は0.05m2/g以上100m2/g以下、好まし
くは0.1m2/g以上50m2/g以下である。上記範
囲未満では活物質と電解液間のLiの拡散が阻害され、
上記範囲より大では電解液との副反応を誘引することが
ある。
【0025】本発明の上記の方法で製造された置換正方
晶系リチウムマンガン複合酸化物は、リチウム二次電池
用正極材料であり、リチウム二次電池の正極の活物質と
して用いられる。リチウム二次電池用正極としては、該
置換正方晶系リチウムマンガン複合酸化物を活物質とし
て用いた正極が挙げられるが、さらに、この置換正方晶
系リチウムマンガン複合酸化物に加え、少なくとも一種
類の他の正極材料を活物質として含有する正極が挙げら
れる。正極に共用される他の正極材料としては、スピネ
ル型リチウムマンガン複合酸化物、LiCoO2、Li
NiO2等を用いることができるが、スピネル型リチウ
ムマンガン複合酸化物が資源、価格の面で好ましい。ス
ピネル型リチウムマンガン複合酸化物は、従来公知の方
法で製造することができ、少量の酸素欠損、不定比性を
持っていてもよく、Mnサイト、Liサイトが他元素で
置換されていてもよい。
【0026】本発明のリチウム二次電池用正極は、通常
上記活物質、結着剤及び導電剤を含有する。結着剤(バ
インダー)としては、例えばポリフッ化ビニリデン、ポ
リテトラフルオロエチレン、EPDM(エチレン−プロ
ピレン−ジエン三元共重合体)、SBR(スチレン−ブタ
ジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴ
ム)、フッ素ゴム等が挙げられる。また、導電剤として
は、黒鉛の微粒子、アセチレンブラック等のカーボンブ
ラック、ニードルコークス等の無定形炭素の微粒子等が
挙げられる。正極中における、活物質、結着剤及び導電
剤の含有量は、それぞれ通常20〜90重量%、10〜
50重量%、及び1〜20重量%程度である。正極は、
上記の材料を含むスラリーを、通常、Al金属等の集電
体上に塗布、乾燥することによって得ることができる。
【0027】正極は、負極及び電解質層と組み合わせて
リチウム二次電池に構成される。負極に使用される活物
質としては、通常、この種のリチウム二次電池に用いら
れる材料がいずれも使用可能である。例えば、リチウム
イオン電池の負極剤として好まれて使用されている炭素
系材料を用いることができる。また、リチウム金属、A
l、Si、Sn、Pb、In、Bi、Sb、Agなどと
のリチウム合金、Li金属に対し2V以下といった比較
的低い電位においてリチウムを可逆的にドープ、脱ドー
プ可能なMoO2、WO2、TiS2、TiO2などの遷移
金属酸化物あるいは硫化物、さらにはアモルファススズ
複合酸化物やリチウム窒化物などを使用することができ
る。上記炭素系材料として、天然黒鉛、人造黒鉛、さら
には石炭系および石油系コークス・ピッチ類,フェノー
ル樹脂などの樹脂組成物,各種セルロース類などを高温
で炭化処理したものなどを使用することが可能である。
さらに、これらの炭素系材料を2種以上複合化したも
の、あるいは上記の非炭素系材料と炭素系材料を2種以
上複合化したものを使用することもできる。上記の負極
活物質の使用は特に限定されるものではないが、天然黒
鉛系、人造黒鉛系、さらにはピッチ・コークスを原料と
した非晶質炭素材料を単独あるいは複合化したものが、
一般に用いられている。負極は、通常上記活物質と結着
剤(バインダー)とを含有する。結着剤としては、正極と
同様の材料を使用することができる。また、その製造も
正極と同様の方法を採用することができる。
【0028】電解質層は、通常電解質からなるイオン伝
導体とセパレータとから構成される。セパレーターを使
用する場合は、通常微多孔性の高分子フィルムが用いら
れ、ナイロン、セルロースアセテート、ニトロセルロー
ス、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化
ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテ
ン等のポリオレフィン高分子よりなるものが用いられ
る。セパレータの化学的及び電気化学的安定性は重要な
因子である。この点からポリオレフィン系高分子が好ま
しく、電池セパレータの目的の一つである自己閉塞温度
の点からポリエチレン製であることが望ましい。ポリエ
チレンセパレーターの場合、高温形状維持性の点から超
高分子量ポリエチレンであることが好ましく、その分子
量の下限は、好ましくは50万、さらに好ましくは10
0万、最も好ましくは150万である。他方分子量の上
限は、好ましくは500万、更に好ましくは400万、
最も好ましくは300万である。分子量が小さすぎると
閉塞性が高くなりすぎて高温での使用に問題が生じ、分
子量が大きすぎると、流動性が低すぎて加熱された時セ
パレーターの孔が閉塞しない場合がある。
【0029】また、本発明のリチウム二次電池における
イオン伝導体には、例えば公知の有機電解液、高分子固
体電解質、ゲル状電解質、無機固体電解質等を用いるこ
とができるが、中でも有機電解液が好ましい。有機電解
液は、有機溶媒と溶質から構成される。有機溶媒として
は特に限定されるものではないが、例えばカーボネート
類、環状エーテル類、ケトン類、スルホラン系化合物、
ラクトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素類、エーテル
類、アミン類、エステル類、アミド類、リン酸エステル
化合物等を使用することができる。これらの代表的なも
のを具体的に列挙すると、プロピレンカーボネート、エ
チレンカーボネート、ビニレンカーボネート、テトラヒ
ドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−
ジオキサン、4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジ
メトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチ
ロラクトン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,
3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メ
チルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、
ベンゾニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、
1,2−ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチ
ル等を挙げることが出来、これらの単独もしくは二種類
以上の混合溶媒が使用できる。
【0030】またこの溶媒に溶解させる溶質としては特
に限定されるものではないが、従来公知のいずれもが使
用でき、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、Li
BF4、LiB(C654、LiCl、LiBr、CH
3SO3Li、CF3SO3Li等のリチウム塩が挙げら
れ、これらのうち少なくとも1種以上のものを用いるこ
とができる。高分子固体電解質を使用する場合にも、こ
の高分子に公知のものを用いることができ、特にリチウ
ムイオンに対するイオン導電性の高い高分子を使用する
ことが好ましく、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポ
リプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン等が好ま
しく使用され、またこの高分子に対して上記の溶質と共
に、上記の溶媒を加えてゲル状電解質として使用するこ
とも可能である。
【0031】無機固体電解質を使用する場合にも、この
無機物に公知の結晶質、非晶質固体電解質を用いること
ができる。結晶質の固体電解質としては例えば、Li
I、Li3N、Li1+xxTi2-x(PO43(ただしM
=Al、Sc、Y及びLaからなる群から選ばれる少な
くとも一種)、Li0.5-3xRE0.5+xTiO3(ただしR
E=La、Pr、Nd及びSmからなる群から選ばれる
少なくとも一種)等が挙げられ、非晶質の固体電解質と
しては例えば、4.9LiI−34.1Li2O−61B 25
33.3Li2O−66.7SiO2等の酸化物ガラスや0.45Li
I−0.37Li2S−0.26B23,0.30LiI−0.42Li2
S−0.28SiS2等の硫化物ガラス等が挙げられる。こ
れらのうち少なくとも1種以上のものを用いることがで
きる。
【0032】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限され
るものではない。
【0033】実施例1正極材料の製造 オキシ水酸化マンガン7.92g、水酸化ニッケル(I
I)0.93g、水酸化リチウム一水和物4.41gを
秤量[Li:Mn:Ni=1.05:0.9:0.1]
し、混合、解砕した後、窒素気流下900℃で10時間
焼成を行った。焼成後の得られた粉末につき、そのXR
D測定の結果をJCPDSカード38−0299記載の
結果と対比したところ、置換正方晶系リチウムマンガン
複合酸化物であることが確認された。別途、スピネル結
晶構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(以下、
“スピネル型正極剤”と表記する)を以下のようにして
作成した。水酸化リチウム一水和物(LiOH・H
2O)、三酸化二マンガン(Mn23)、ベーマイト
(AlOOH)を、Li、Mn、Alの各々のモル比
(Li:Mn:Al)が1.03:1.85:0.12
となるような量で秤量し、良く混合し、880℃で24
時間焼成した。置換正方晶系リチウムマンガン複合酸化物の容量確認 前記置換正方晶系リチウムマンガン複合酸化物を75重
量% 、アセチレンブラックを20重量%、ポリテトラ
フロロエチレンパウダーを5重量%の割合で秤量したも
のを乳鉢で十分混合した後、シート状に成型し、9mm
φのポンチで打ち抜いた。この際、全体重量は約8mm
gになるように調整した。これをAlのエキスパンドメ
タルに圧着して正極とした。そして、前記正極を試験
極、Li金属を対極として電池セルを組んだ。この電池
セルに0.2mA/cm2の定電流充電すなわち、正極
からリチウムイオンを放出させる試験を上限4.35V
で行い、ついで0.2mA/cm2の定電流放電すなわ
ち正極にリチウムイオンを吸蔵させる試験を下限3.2
Vで行った。この際の正極活物質単位重量当たりの初期
充電容量は、200.0(mAh/g) 、初期放電容
量は、156.7(mAh/g)であった。
【0034】正極及び負極の製造 上記により製造した置換正方晶系リチウムマンガン複合
酸化物とスピネル型正極剤とを重量比1:3で混合して
正極活物質とした。正極活物質、導電剤としてのアセチ
レンブラック及び結着剤としてのポリ4フッ化エチレン
樹脂を重量比で75:20:5の割合で混合して正極合
剤を作成した。次いで、正極合剤をシート状に成型して
正極とした。負極は、次のようにして製造した。黒鉛と
結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を重
量比で90:10の割合で使用し、N−メチルピロリド
ンを溶媒としてペースト化し、これを厚さ20μmの銅
箔の片面に塗布し、乾燥して溶媒を蒸発させ、圧力0.
5t/cm2でプレス処理をすることにより負極を作成
し、得られた塗布負極を直径12mmφに打ち抜いた。
【0035】電池の製造 上記により製造した正極及び負極を用い、電池を作成し
た。即ち正極の上にセパレーターとして多孔性ポリプロ
ピレンフィルムを置き、その上に負極を、ポリプロピレ
ン製ガスケットを付けた封口缶に圧着した。非水電解液
として1モル/lのLiPF6を溶解させたエチレンカー
ボネートとジエチルカーボネートとの混合溶液(50v
ol%:50vol%)を用い、これをセパレーター及
び負極上に加えた。その後、電池を封口してリチウム二
次電池(ボタン形)とした。
【0036】実施例2正極材料及び正極の製造 オキシ水酸化マンガン7.92g、水酸化コバルト(C
oとして60wt%含有)0.93g、水酸化リチウム
一水和物4.41gを秤量(Li:Mn:Co=1.0
5:0.9:0.1)し、混合、解砕した後、窒素気流
下900℃で10時間焼成を行った。焼成後の得られた
粉末についてXRD測定した結果を、JCPDSカード
38−0299記載の結果と対比したところ、置換正方
晶系リチウムマンガン複合酸化物であることが確認され
た。この置換正方晶系リチウムマンガン複合酸化物の容
量を実施例1と同様にして測定したところ、初期充電容
量は、192.0(mAh/g)、初期放電容量は、1
11.3(mAh/g)であった。この置換正方晶系リ
チウムマンガン複合酸化物と、実施例1で製造したスピ
ネル型正極剤を重量比1:3で混合し、正極活物質とし
た。この正極活物質を用い、実施例1と同様にして正極
を製造した。電池の製造 上記により製造した正極を使用した以外は、実施例1と
同様にしてリチウム二次電池を作成した。
【0037】実施例3 オキシ水酸化マンガン3.96g、酸化マグネシウム
0.20g、水酸化リチウム一水和物2.20gを秤量
(Li:Mn:Mg=1.05:0.9:0.1)し、
混合、解砕した後、窒素気流下900℃で10時間焼成
を行った。焼成後の得られた粉末についてXRD測定し
た結果を、JCPDSカード38−0299記載の結果
と対比したところ、置換正方晶系リチウムマンガン複合
酸化物であることが確認された。この置換正方晶系リチ
ウムマンガン複合酸化物の容量を実施例1と同様にして
測定したところ、初期充電容量は、146.3(mAh
/g)、初期放電容量は、137.4(mAh/g)で
あった。
【0038】実施例4正極材料及び正極の製造 硝酸マンガン(II)6水和物34.4g、硝酸コバルト
(II)6水和物3.9gを水350gに溶解させ、室温
で空気を吹き込み攪拌を行いながら、この溶液に水酸化
リチウム11.1gを含有する水溶液を滴下させた。生
成した混合物を遠心濾過、洗浄し、得られたケーキを空
気下60℃で3時間乾燥した後、空気下800℃で24
時間焼成を行った。この様にして得られた粉末1.19
gと水酸化リチウム一水和物0.66gを秤量(Li:
Mn:Co=1.05:0.9:0.1)し、よく混合
し、窒素気流下900℃で10時間焼成した。焼成後の
得られた粉末についてXRD測定した結果を、JCPD
Sカード38−0299記載の結果と対比したところ、
置換正方晶系リチウムマンガン複合酸化物であることが
確認された。この置換正方晶系リチウムマンガン複合酸
化物の容量を実施例1と同様にして測定したところ、初
期充電容量は、197.7(mAh/g)、初期放電容
量は、133.1(mAh/g)であった。この置換正
方晶系リチウムマンガン複合酸化物と、実施例1で製造
したスピネル型正極剤を重量比1:3で混合し、正極活
物質とした。この正極活物質を用い、実施例1と同様に
して正極を製造した。電池の製造 上記により製造した正極を使用した以外は、実施例1と
同様にしてリチウム二次電池を作成した。
【0039】実施例5正極材料及び正極の製造 硝酸マンガン(II)6水和物34.4g、硝酸コバルト
(II)6水和物4.0gを水300gに溶解させ、室温
で空気を吹き込み攪拌を行いながら、この溶液に水酸化
リチウム12.0gを含有する水溶液を滴下させた。生
成した混合物を遠心濾過、洗浄し、得られたケーキを空
気下60℃で3時間乾燥した後、さらに空気下200℃
で24時間乾燥を行った。この様にして得られた粉末
0.70gと水酸化リチウム一水和物0.38gを秤量
(Li:Mn:Co=1.02:0.9:0.1)し、
よく混合し、窒素気流下800℃で20時間焼成した。
焼成後の得られた粉末についてXRD測定した結果を、
JCPDSカード38−0299記載の結果と対比した
ところ、置換正方晶系リチウムマンガン複合酸化物であ
ることが確認された。また、得られた置換正方晶系リチ
ウムマンガン複合酸化物の粒子表面をSEM観察したと
ころ、一次粒子の平均粒径は0.2μm以下であること
がわかった。この置換正方晶系リチウムマンガン複合酸
化物の容量を実施例1と同様にして測定したところ、初
期充電容量は、193.3(mAh/g)、初期放電容
量は、119.1(mAh/g)であった。この置換正
方晶系リチウムマンガン複合酸化物と、実施例1で製造
したスピネル型正極剤を重量比1:3で混合し、正極活
物質とした。この正極活物質を用い、実施例1と同様に
して正極を製造した。電池の製造 上記により製造した正極を使用した以外は、実施例1と
同様にしてリチウム二次電池を作成した。
【0040】実施例6正極材料の製造 硝酸マンガン(II)6水和物34.4g、硝酸ニッケル
(II)6水和物3.9gを水300gに溶解させ、室温
で空気を吹き込み攪拌を行いながら、この溶液に水酸化
リチウム11.4gを含有する水溶液を滴下させた。生
成した混合物を遠心濾過、洗浄し、得られたケーキを空
気下60℃で3時間乾燥した後、空気下200℃で24
時間乾燥を行った。この様にして得られた粉末0.70
gと水酸化リチウム一水和物0.38gを秤量(Li:
Mn:Ni=1.02:0.9:0.1)し、よく混合
し、窒素気流下800℃で20時間焼成した。焼成後の
得られた粉末についてXRD測定した結果を、JCPD
Sカード38−0299記載の結果と対比したところ、
置換正方晶系リチウムマンガン複合酸化物であることが
確認された。また、得られた置換正方晶系リチウムマン
ガン複合酸化物の粒子表面をSEM観察したところ、一
次粒子の平均粒径は0.2μm以下であることがわかっ
た。この置換正方晶系リチウムマンガン複合酸化物の容
量を実施例1と同様にして測定したところ、初期充電容
量は、228.1(mAh/g)、初期放電容量は、1
69.7(mAh/g)であった。
【0041】比較例1 実施例1で製造したスピネル型正極剤を正極活物質とし
て正極を製造した他は、実施例1と同様にしてリチウム
二次電池を作成した。尚、Li金属を対極として、前記
スピネル型正極剤の容量を実施例1と同様にして測定し
たところ、初期充電容量は、113.9(mAh/
g)、初期放電容量は、111.7(mAh/g)であ
った。
【0042】高温サイクル特性試験 実施例1、2、4、5及び比較例1で製造した各リチウ
ム二次電池について、高温サイクル特性の比較を行っ
た。高温サイクル特性は、充放電電流密度1mA/cm
2、電圧範囲が4.2Vから3.0Vの間で定電流充放
電する充放電サイクル試験によって評価した。その結果
を表−1に示す。なお、表−1では正極活物質1g当た
りに換算した放電容量で表記した。この結果から本発明
の実施例では、高温特性が改善されていることがわか
る。また、容量維持率は、次式で算出した。
【0043】
【数1】容量維持率(%)=[(Xサイクルでの容量)/(1
〜Xサイクルにおける容量の最大値)]×100 X=77又は100
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、高性能なMnサイトの
一部が他の金属元素で置換された正方晶系リチウムマン
ガン複合酸化物を容易に製造することができ、優れたリ
チウム二次電池用の正極材料及びリチウム二次電池を提
供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 10/40 H01M 10/40 Z

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムマンガン複合酸化物のMnサイ
    トの一部が他の金属元素で置換されていることよりな
    り、かつ一次粒子の平均粒径が0.5μm以下であるこ
    とを特徴とする正方晶系リチウムマンガン複合酸化物。
  2. 【請求項2】 他の金属元素がAl、Ti、V、Cr、
    Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、N
    b、Mo及びPdの中から選択される少なくとも一種の
    元素であることよりなる請求項1記載の正方晶系リチウ
    ムマンガン複合酸化物。
  3. 【請求項3】Mn化合物、リチウム化合物及び他の金属
    元素化合物を混合、不活性ガス雰囲気下焼成させること
    を特徴とするMnサイトの一部が他の金属元素で置換さ
    れていることよりなる正方晶系リチウムマンガン複合酸
    化物の製造法。
  4. 【請求項4】 Mn化合物として、Mnサイトの一部が
    他の金属元素で置換されたマンガン酸化物を用いること
    を特徴とする請求項3記載の正方晶系リチウムマンガン
    複合酸化物の製造法。
  5. 【請求項5】 Mn化合物として、オキシ水酸化マンガ
    ンを用いることを特徴とする請求項3記載の正方晶系リ
    チウムマンガン複合酸化物の製造法。
  6. 【請求項6】Mnサイトの一部が他の金属元素で置換さ
    れたマンガン酸化物とリチウム化合物を混合、焼成させ
    ることを特徴とするMnサイトの一部が他の金属元素で
    置換されていることよりなる正方晶系リチウムマンガン
    複合酸化物の製造法。
  7. 【請求項7】 Mnサイトの一部が他の金属元素で置換
    されたマンガン酸化物が、γ−Mn23のマンガンサイ
    トの一部を他の金属元素で置換した化合物であることを
    特徴とする請求項4又は6に記載の正方晶系リチウムマ
    ンガン複合酸化物の製造方法。
  8. 【請求項8】 Mnサイトの一部を置換する金属元素
    が、Co、Ni、及びMgの群から選ばれる金属元素で
    あることを特徴とする、請求項7に記載の正方晶系リチ
    ウムマンガン複合酸化物の製造方法。
  9. 【請求項9】 Mnサイト及び/又はHサイトの一部が
    他の金属元素で置換されたオキシ水酸化マンガンとリチ
    ウム化合物を混合、焼成させることを特徴とするMnサ
    イトの一部が他の金属元素で置換されていることよりな
    る正方晶系リチウムマンガン複合酸化物の製造法。
  10. 【請求項10】 焼成は、不活性ガス雰囲気下350〜
    1200℃で行うことを特徴とする請求項3〜9のいず
    れかに記載の正方晶系リチウムマンガン複合酸化物の製
    造法。
  11. 【請求項11】 不活性ガス中の酸素濃度を10000ppm以
    下とすることを特徴とする請求項10記載の正方晶系リ
    チウムマンガン複合酸化物の製造法。
  12. 【請求項12】 Mnサイトの一部が他の金属元素で置
    換されたマンガン酸化物は、下記(1)〜(3)の工程を経て
    製造されることを特徴とする請求項4、6、7、8のい
    ずれかに記載の正方晶系リチウムマンガン複合酸化物の
    製造法。 (1) Mnを含有する少なくとも一種の化合物と、他の
    金属元素の少なくとも一種の化合物とを水及び/又は有
    機溶媒からなる溶媒中に溶解若しくは懸濁させる工程、 (2) 工程(1)で生成した溶液又は懸濁液のOH濃度を増加
    させることにより共沈化合物を生成させる工程、 (3) その共沈化合物を分離後、水及び/又は有機溶媒
    を除去する工程。
  13. 【請求項13】 酸化剤を加えながら(2)の工程を行
    うことを特徴とする請求項12に記載の正方晶系リチウ
    ムマンガン複合酸化物の製造法。
  14. 【請求項14】 水及び/又は有機溶媒の除去を400
    ℃以下の温度下で行うことを特徴とする請求項12に記
    載の正方晶系リチウムマンガン複合酸化物の製造法。
  15. 【請求項15】 下記(1)〜(3)の工程を経て製造
    されることを特徴とするMnサイトの一部が他の金属元
    素で置換されたマンガン酸化物の製造法。 (1)Mnを含有する少なくとも一種の化合物と、他の
    金属元素の少なくとも一種の化合物とを水及び/又は有
    機溶媒からなる溶媒中に溶解若しくは懸濁させる工程、 (2)工程(1)で生成した溶液又は懸濁液のOH濃度
    を増加させることにより共沈化合物を生成させる工程 (3)その共沈化合物を分離後、水及び/又は有機溶媒
    を除去する工程。
  16. 【請求項16】 酸化剤を加えながら(2)の工程を行
    うことを特徴とする請求項15に記載のマンガン酸化物
    の製造法。
  17. 【請求項17】 水及び/又は有機溶媒の除去を400
    ℃以下の温度下で行うことを特徴とする請求項15に記
    載のマンガン酸化物の製造法。
  18. 【請求項18】 リチウムマンガン複合酸化物のMnサ
    イトの一部が他の金属元素で置換されていることよりな
    り、かつ一次粒子の平均粒径が0.5μm以下であると
    ころの正方晶系リチウムマンガン複合酸化物からなるリ
    チウム二次電池用正極材料。
  19. 【請求項19】 請求項18記載の正極材料を活物質と
    して含有することよりなるリチウム二次電池用正極。
  20. 【請求項20】 活物質として請求項18記載の正極材
    料と他の活物質の少なくとも一種とを含有することより
    なるリチウム二次電池用正極。
  21. 【請求項21】 他の活物質がスピネル型リチウムマン
    ガン複合酸化物であることよりなる請求項20記載のリ
    チウム二次電池用正極。
  22. 【請求項22】 請求項19に記載のリチウム二次電池
    用正極、炭素材料を活物質として含有する負極、及び電
    解質層からなることを特徴とするリチウム二次電池。
  23. 【請求項23】 請求項20又は21に記載のリチウム
    二次電池用正極、炭素材料を活物質として含有する負
    極、及び電解質層からなることを特徴とするリチウム二
    次電池。
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