JP2009232495A - スイッチング電源制御用半導体装置、起動回路、およびスイッチング電源装置の起動方法 - Google Patents

スイッチング電源制御用半導体装置、起動回路、およびスイッチング電源装置の起動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高電圧入力端子から供給される起動電流を制限して、確実に異常時の発熱や発火を防ぐようにしたスイッチング電源制御用半導体装置を提供する。
【解決手段】起動用の高電圧入力端子VHはトランスの主巻線に接続され、スイッチング電源装置の電源投入によって起動電圧が供給される。電源端子VCCはコンデンサに接続され、スイッチング電源装置の電源投入後にコンデンサを充電するための起動電流を出力する。スイッチング電源制御用IC100に設けられた起動回路11は、高電圧入力端子VHと電源端子VCCとの間に接続され、電圧電流変換回路15によって起動電流を電源端子VCCの電圧値に比例した大きさに増加しながらコンデンサを充電するとともに、スイッチング電源装置の起動後には起動電流をオフにしてトランスの補助巻線からのみ電源電圧を供給するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、スイッチング電源制御用半導体装置、起動回路、およびスイッチング電源装置の起動方法に関し、とくにトランスの2次側の巻線に接続された負荷に対して電力供給するためのスイッチング電源制御用半導体装置、スイッチング電源装置を起動するための起動回路、およびスイッチング電源装置の起動方法に関する。
従来、フライバック型のスイッチング電源装置において、トランスの1次巻線に接続されたスイッチ素子をオン/オフすることで、その2次側に電圧を誘起するスイッチング電源制御用の集積回路装置(以下、ICという。)がある。このスイッチング電源制御用ICは、通常、トランジスタ等を多数有する回路構成からなる1チップの集積回路内に起動回路を組み込むとともに、スイッチング電源制御用IC自体を駆動する電源電圧を安定させるために、ICの電源端子に外付けされた電圧安定用のコンデンサを具備して構成される。
この種のスイッチング電源装置では、トランスの1次側での電源投入後に、スイッチング電源装置の出力電圧が安定するまで当該起動回路からコンデンサに起動電流を供給して充電し、充電が完了したコンデンサからICを動作させるための給電電圧をICの電源端子に供給することで、スイッチング動作を開始するようにしていた。すなわち、スイッチング電源制御用ICの給電電圧は、スイッチング電源装置の起動完了後には例えばその補助出力電圧として容易に得られるが、少なくとも起動時には入力電圧からは別途に電源供給しなければならず、このためICを起動するための起動回路を必要としていた。
図9は、スイッチング電源装置の一例を示すブロック図である。スイッチング電源装置は、ブリッジダイオードBD101、コンデンサC101〜C103、ダイオードD101,D102、トランスT101、パワートランジスタPwT101、抵抗R101、フォトカプラPC101、スイッチング電源制御用IC100、電圧検出回路111を有している。スイッチング電源制御用IC100は、高電圧入力端子VH、電源端子VCC、出力端子OUT、電流検出端子IS、グランド端子GND、およびフィードバック端子FBなどの端子を有し、さらに起動回路101およびパルス制御部102などを有している。図9に示すスイッチング電源装置は、AC100Vの商用電源を整流して、トランスT101を介して所定の電力を負荷121に供給する、いわゆる絶縁型のAC−DCコンバータの一例である。
ブリッジダイオードBD101はAC100Vの商用電源を整流する。整流された直流電圧は、トランスT101の1次側の主巻線N101と、スイッチング素子であるパワートランジスタPwT101とを直列接続した直列回路に印加される。パワートランジスタPwT101はそこに流れる電流を検出するための電流検出用の抵抗R101を介して接地されている。
スイッチング電源制御用IC100のフィードバック端子FBは、フォトカプラPC101のフォトトランジスタPT101に接続されている。電流検出端子ISは、パワートランジスタPwT101と電流検出用の抵抗R101との接続点に接続され、抵抗R101で検出される電圧値が入力される。グランド端子GNDは接地されている。出力端子OUTは、パワートランジスタPwT101のゲートに接続されている。電源端子VCCは、ダイオードD101を介して、トランスT101の1次側の補助巻線(以下、コイルともいう。)N103に接続されている。
こうして、スイッチング電源制御用IC100は、スイッチング電源装置の起動完了後にはコイルN103に誘起される電圧によって動作する。ここで、IC100の電源端子VCCには、コイルN103から供給される電圧を安定させるためのコンデンサC102が外付けされている。
電源投入後の起動に際して、スイッチング電源制御用IC100では、ブリッジダイオードBD101から起動回路101を介してコンデンサC102に起動電流が供給される。その後、起動電流によってコンデンサC102が充電され、IC100が動作するのに必要な電圧より高い所定の値まで電源端子VCCの電圧が上昇すると、起動回路101からの起動電流が止まる構成となっている。
IC100のパルス制御部102は、内部に発振回路を備えている。パルス制御部102では、発振回路の発振周波数で規定されるスイッチング周波数で、フィードバック端子FBで受けた出力電圧レベル(負荷レベルに関する情報も含まれている)および電流検出端子ISに入力される電圧に応じて、パルス変調されたパルス信号を出力端子OUTから出力して、パワートランジスタPwT101をオン/オフ制御する。
トランスT101の2次側の主巻線N102には、ダイオードD102とコンデンサC103からなる整流・平滑回路を介して、負荷121が接続される。整流・平滑回路と負荷121の間には電圧検出回路111が接続されているため、負荷121に供給されている電圧が検出できる。電圧検出回路111によって検出された電圧信号は、フォトカプラPC101のフォトダイオードPD101とフォトトランジスタPT101を介して、IC100のフィードバック端子FBにフィードバックされる。なお、電圧信号はフォトカプラPC101を介して1次側にフィードバック信号として伝えられるため、トランスT101の1次側と2次側は電気的に絶縁されることになる。
図10は、従来の起動回路の構成を示すブロック図である。
起動回路101は、起動素子112、電流増幅回路113、およびスイッチ回路114を備え、そこには起動電圧入力端子101a、起動電流出力端子101b、および制御端子101cを有している。そして、起動回路101内部では、起動電圧入力端子101aはIC100の高電圧入力端子VHに接続され、起動電流出力端子101bはIC100の電源端子VCCに接続されている。制御端子101cは、電源電圧検出回路103と接続されている。
起動回路101の起動電流出力端子101bには、IC100の電源端子VCCを介してコンデンサC102が外付けされている。起動電圧入力端子101aには、高電圧入力端子VHを介してトランスT101の1次側に供給される高電圧が入力される。起動素子112は、高電圧入力端子VHと電源端子VCCとの間の高い電位差の大半が印加される高耐圧素子であり、他の素子を高電圧から保護する機能を有している。電流増幅回路113は、定電流を増幅するカレントミラーを用いてこの起動電流が一定となるようにし、スイッチ回路114を介して起動電流出力端子101bから起動電流を出力してコンデンサC102を充電する。電源電圧検出回路103は、電源端子VCCの電圧を検出して、起動回路101の制御信号となるオン/オフ(on/off)信号をスイッチ回路114に出力している。
ここでは、電源電圧がIC100を動作させるのに必要な電圧になるまではスイッチ回路114にオン信号を出力して起動電流を流し、IC100が動作可能な電圧より高い所定の値になったときオフ信号が出力され、起動電流を停止させる。こうしてスイッチング電源装置の起動が完了すると、スイッチング電源装置のスイッチング動作が開始し、トランスT101のコイルN103から起動回路101の起動電流出力端子101bに、電源端子VCCを介して電源電圧(Vcc)が所定の大きさで入力される。なお、上記の所定の値は通常ヒステリシス動作を持たせるために高低2つの値を有していて、電源電圧(Vcc)が低い方の所定値より低くなると、起動回路が再び稼動する。
図11は、従来の起動回路の具体的な構成の一例を示す回路図である。
起動回路101は、Nチャネルの高耐圧の接合型電界効果トランジスタJ11,J12(以下、単にトランジスタJ11,J12という。)によって起動素子112が構成されている。これらのトランジスタJ11,J12は、ゲートがグランドに接続されている。
また、図10に示す電流増幅回路113は、互いにカレントミラー接続されたPチャネル型MOSトランジスタMP11,MP12(以下、トランジスタMP11,MP12という。)と抵抗R11によって構成されている。スイッチ回路114は、Nチャネル型のMOSトランジスタMN11,MN12(以下、トランジスタMN11,MN12という。)と抵抗R12,R13によって構成されている。
トランジスタJ11,J12のドレインは、いずれも高電圧入力端子VHと接続され、トランジスタJ11のソースはトランジスタMP11,MP12のソースと接続されている。また、トランジスタJ12のソースは、抵抗R13を介してトランジスタMN11のドレインおよびトランジスタMN12のゲートと接続されて、トランジスタMN12のゲートに対するプルアップ電圧を印加している。トランジスタMN11のゲートは制御端子101cと接続され、起動回路101の制御信号となるオン/オフ(on/off)信号が入力されている。
このような起動回路101では、起動電圧入力端子101aに高電圧が印加されるとき、起動素子112から流れるドレイン電流はトランジスタJ11のソース−ゲート間の電位差が大きいほど小さくなる。すなわちトランジスタJ11のソース電位が高いほど小さくなる。また、電流増幅回路113を構成するトランジスタMP12に流れる電流値は、トランジスタMP11の電圧ドロップを無視すると、トランジスタJ11のソース電位と抵抗R11のインピーダンスの比およびトランジスタMP11とMP12のミラー比によって決まる。
図12は、一般的な接合型電界効果トランジスタの電圧/電流特性を示した図である。図12に示すカーブIJFETは、接合型電界効果トランジスタのソース−ゲート間の電圧(Vsg[V])とドレイン電流(Idr[A])の関係を示している。
図12に示すように、トランジスタJ11では、横軸に示すソース−ゲート間の電位差Vsgが大きいほど、縦軸に示すドレイン電流Idrは指数関数的に減少していく。したがって、スイッチング電源装置の起動直後では電源端子VCCの電圧は0V付近であるので、トランジスタJ11のゲート−ソース間の電位差は小さく、大きな電流が流れる。
図12に示す直線ICMは、抵抗R11に流れる電流をトランジスタMP11からトランジスタMP12にカレントミラーした電流の特性である(上記のように、トランジスタMP11の電圧ドロップは無視している。)。トランジスタJ11のゲート−ソース間に印加される電圧Vsgは、トランジスタMP11を介して抵抗R11に印加される電圧でもあり、トランジスタMP11による電圧ドロップを無視すれば、抵抗R11に流れる電流は電圧Vsgに比例する。すなわち、カレントミラー動作により規定されてトランジスタMP12に流れる電流は、直線ICMで示す特性を持つ。トランジスタJ11に流れる電流とPMOSトランジスタMP12に流れる電流は等しいから(ただし、ミラー比が大きいため抵抗R11に流れる電流は無視する。)、曲線IJFETと直線ICMの交点が求める安定点となる。
この安定点は、トランジスタJ11のソース−ゲート間の電圧/電流特性と、抵抗R11、トランジスタMP11のしきい値(Vth)により決まり、トランジスタJ11のソース電圧は、電源端子VCCの電圧値および高電圧入力端子VHの電圧値とは関係しない定電圧値の電圧Vconstとなる。図11に示す起動電圧入力端子101aに高電圧が印加されるとき、抵抗R11が3MΩであって、トランジスタJ11のソース電位がVconst=30Vで決まるとすれば、抵抗R11、トランジスタMP11に流れる電流は10μAの定電流値となる。また、トランジスタMP11とMP12のゲートサイズW/Lの比を1:100として、トランジスタJ11から起動電流出力端子101bに流れる起動電流も1mAの定電流となる。
スイッチング電源制御用IC100の起動時には、図10に示す電源電圧検出回路103のような低電圧誤動作防止回路によって、L(Low)状態のオフ信号がトランジスタMN11に入力されて、トランジスタMN11はオフする。このとき、トランジスタMN12のゲート端子に高電圧が入力されるので、トランジスタMN12がオン状態となって、起動回路101はトランジスタJ11のドレイン電流Idrを流すように動作するため、高電圧入力端子VHから電源端子VCCへ向かって起動電流が流れ始める。
電源端子VCCの電圧が、上記の所定の値(高い方の値)まで上昇すると、電源電圧検出回路103からH(High)状態のオン信号が出力され、スイッチ回路114を構成するトランジスタMN11をオンする。すると、トランジスタMN12のゲート電位がL状態となり、トランジスタMN12がオフ状態となって、図11に示す起動回路101から電源端子VCCへの起動電流の供給が止まる。
図13は、従来の起動回路における起動電流の変化を示す図である。図の横軸は、電源端子VCCの電源電圧(Vcc[V])を示し、縦軸は、起動回路101の起動電流出力端子101bからの起動電流(Istup[mA])を示す。
ここで、上記安定点に対するソース電位をVconst=18Vとすると、電源電圧Vccがこの18Vを超えるとソース電位が安定定点の18Vを維持できなくなって上昇するから、起動電流Istupは図12に示すカーブIJFETに従い減少する。そして、電源電圧Vccが上記の所定の値(高い方の値)まで上昇するとトランジスタMN12がオフ状態となって起動電流Istupがゼロになる。抵抗R11が温度依存性を持たなければ(温度によってその抵抗値が変化しなければ)図に示すように、電源端子VCCの電流値Istupは、電源端子VCCの電圧が少なくとも18Vになるまで、定電流特性を保つ。ただし、その定電流値は若干の温度特性をもっているため、スイッチング電源制御用IC10の電源端子VCCに外付けされるコンデンサC2は、温度により定まる一定の電流で充電されることになる。
特許文献1には、起動時において、起動用端子から電源端子に流す起動電流を、起動電流一定回路によって一定に流すようにしたスイッチング電源制御用半導体装置の発明が記載されている。ここでは、電源端子に外付けされたコンデンサは、一定の電流で充電されるので、電源端子の電圧が低いときの発熱を抑えるとともに、電源端子がグランドにショートしたときの故障を防ぎ、さらに、電源設計が容易になる。
特許文献2および3には、起動回路に流す電流として大小2つの定電流源を用意して、最初は小さな初期電流値で初期電圧値まで出力を立ち上げ、それがある程度上がったとき、大きい定電流源に切換えて動作電圧値まで立ち上げるようにした電源制御システムのスタートアップ方法が記載されている。
特開2006−204082号公報(段落番号[0042]〜[0062]、図1) 特表2007−508800号公報(段落番号[0005]〜[0015]、図1) 特開2007−509493号公報(段落番号[0018]〜[0025]、図4、図5) US特許6,940,320(特許文献2の対応特許)
上述したスイッチング電源装置では、電源投入時に起動回路101が高電圧入力端子VHから高電圧を受け取って、電圧安定用のコンデンサC102を充電するための電流シーケンスを生成している。その場合、電源端子VCCがグランドにショートしていたとしても、スイッチング電源制御用IC100が発熱し、あるいは発火によって破壊しないように、大きな電流ができるだけ流れないように構成する必要があった。
特許文献1に開示された従来技術は、起動時における起動電流を一定の大きさに制御することにより、電源端子VCCがグランドにショートしたときの故障を防ごうとするものであるが、電源端子VCCの電圧とは無関係に一定値で充電電流を流す構成であるため、一定とされる電流値が小さければ電源起動までに要する時間が長くなる。起動時間を短くするために起動電流の電流値を大きく設定すれば、異常時の発熱や発火を確実に防ぐことが容易ではないという問題があった。
また、特許文献2,3に記載された従来技術では、電源端子VCCの電位が初期電圧値まで上昇したことを検知して、その後に大きな起動電流を供給するための回路に切換えるように構成されている。そのため、電源端子VCCがグランドにショートしているときには、大きな電流が流れないという利点がある。
しかし、スイッチング電源装置の故障においては、必ずしも完全に電源端子VCCがグランドにショートするといった事故ばかりでなく、ツェナー回路要素を含んでいるために、ある程度の電圧上昇があってから制御回路に大電流が流れ、それによって発熱や発火の事故が生じることも想定される。したがって、従来技術では、スイッチング電源制御用ICの発熱や発火を確実に防ぐことができないという問題が生じていた。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、高電圧入力端子から供給される起動電流を制限して、確実に異常時の発熱や発火を防ぐようにしたスイッチング電源制御用半導体装置を提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的は、電源端子の電圧値に応じた大きさで起動電流を出力するようにした起動回路、およびスイッチング電源装置の起動方法を提供することである。
本発明では、上記問題を解決するために、直流電源と、トランスと、前記直流電源に接続された前記トランスの1次側主巻線に流れる電流を制御するスイッチ素子と、前記トランスの補助巻線に接続された電圧安定用コンデンサを有し、前記トランスの2次側の巻線に接続された負荷に対して電力供給するためのスイッチング電源装置のスイッチング電源制御用半導体装置が提供される。このスイッチング電源制御用半導体装置は、前記直流電源に接続される起動用の高電圧入力端子と、前記電圧安定用コンデンサに接続され、前記スイッチング電源装置の電源投入後に前記電圧安定用コンデンサを充電するための起動電流を出力する電源端子と、前記高電圧入力端子と前記電源端子との間に接続され、前記起動電流を前記電源端子の電圧値に応じた大きさとしながら前記コンデンサを充電するとともに、前記スイッチング電源装置の起動後には前記起動電流をオフにして前記トランスの補助巻線から電源電圧を前記電源端子に供給するようにした起動回路と、から構成される。
ここで、起動用の高電圧入力端子は直流電源に接続される。電源端子は前記電圧安定用コンデンサに接続され、前記スイッチング電源装置の電源投入後に前記電圧安定用コンデンサを充電するための起動電流を出力する。起動回路は前記高電圧入力端子と前記電源端子との間に接続され、前記起動電流を前記電源端子の電圧値に応じた大きさとしながら前記コンデンサを充電するとともに、前記スイッチング電源装置の起動後には前記起動電流をオフにして前記トランスの補助巻線から電源電圧を前記電源端子に供給するようにした。
また、本発明では、直流電源と、トランスと、前記直流電源に接続された前記トランスの1次側主巻線に流れる電流を制御するスイッチ素子と、前記トランスの補助巻線に接続された電圧安定用コンデンサを有し、前記トランスの2次側の巻線に接続された負荷に対して電力供給するスイッチング電源装置を起動するための起動回路が提供される。この起動回路は、前記直流電源に接続される起動用の高電圧入力端子と、前記電圧安定用コンデンサに接続され、前記スイッチング電源装置の電源投入後に前記電圧安定用コンデンサを充電するための起動電流を出力する電源端子と、前記高電圧入力端子に接続されて前記起動電流を流す起動素子と、前記電源端子の電圧信号に応じた大きさの可変電圧信号を生成する電圧変換回路と、前記起動素子と前記電源端子の間に設けられ、前記可変電圧信号に基づいて前記起動電流となる可変電流信号を生成する電流増幅回路と、から構成される。
さらに、本発明では、直流電源と、トランスと、前記直流電源に接続された前記トランスの1次側主巻線に流れる電流を制御するスイッチ素子と、前記トランスの補助巻線に接続された電圧安定用コンデンサを有し、前記トランスの2次側の巻線に接続された負荷に対して電力供給するスイッチング電源装置を前記直流電源と接続された起動回路によって起動する起動方法が提供される。この起動方法は、前記スイッチング電源装置の電源投入時に、前記起動回路の高電圧入力端子から起動電圧を供給するステップと、前記スイッチング電源装置の電源投入後に、前記起動回路の起動電流出力端子からの起動電流を前記電圧安定用コンデンサの電圧値に比例もしくは1次関数とさせながら前記電圧安定用コンデンサを充電するステップと、前記スイッチング電源装置の起動後に、前記起動電流をオフにして前記トランスの補助巻線から電源電圧を前記起動回路の電源端子に供給するステップと、を含んで構成される。
この発明の起動回路、あるいは起動方法では、電源端子の電圧値に応じた大きさの電流を起動回路から流すことによってコンデンサを充電できる。
本発明のスイッチング電源制御用半導体装置によれば、電源端子がグランドにショートしていた場合は起動電流がほとんど流れないから、異常時の発熱や発火を確実に防ぐことができる。また、起動回路では電源電圧の上昇に伴って起動電流が増加して流れるように制御しているので、ツェナー回路要素を含むような短絡にも対応でき、コンデンサの充電が完了してスイッチング電源装置を起動するまでに要する時間も短縮できる。
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る起動回路の構成を示すブロック図である。
起動回路11は、起動素子12、主電流回路13aと微小電流回路13bからなる電流増幅回路13、スイッチ回路14、および電圧電流変換回路(V−I変換回路)15を備え、起動電圧入力端子11a、起動電流出力端子11b、および制御端子11cを有している。そして、起動回路11の起動電圧入力端子11aは、スイッチング電源制御用IC100(前述した図9参照)の高電圧入力端子VHに接続されている。また、起動電流出力端子11bはIC100の電源端子VCCに接続され、制御端子11cは、電源電圧検出回路103と接続されている。
起動回路11の起動電流出力端子11bには、IC100の電源端子VCCを介して電圧安定用のコンデンサC102が外付けされている。起動電圧入力端子11aには、高電圧入力端子VHを介してトランスT101の1次側に供給される高電圧が入力される。起動素子12は、高電圧入力端子VHと電源端子VCCとの間の高い電位差の大半が印加される高耐圧素子であり、他の素子を高電圧から保護する機能を有している。電流増幅回路13は、基準となる電流を増幅するカレントミラーを用いてこの起動電流を決定し、スイッチ回路14を介して起動電流出力端子11bから起動電流を出力してコンデンサC102を充電する。電源電圧検出回路103は、電源端子VCCの電圧を検出して、起動回路11の制御信号となるオン/オフ(on/off)信号をスイッチ回路14に出力している。
ここでは、第1に電圧電流変換回路15を新たに設けて、電源端子VCCの電圧信号に応じた大きさで第1の可変電流信号を生成している点で、従来の起動回路101(図10)のものと異なる。第2の相違点は、電流増幅回路13が主電流回路13aと微小電流回路13bからなり、電源投入後に微小電流回路13bですぐに微小電流を電源端子VCCに流し、電源端子VCCの電圧が上昇し始めたとき、少なくとも一部のVCCの区間でそれに比例する、もしくは1次関数となる大きさに増幅された電流を主電流回路13aから出力するようにしたことである。
つぎに、起動回路11の具体例について説明する。図2は、実施の形態1に係る起動回路の具体的な構成の一例を示す回路図である。
起動回路11は、Nチャネルの高耐圧の接合型電界効果トランジスタJ1,J2(以下、単にトランジスタJ1,J2という。)によって、起動素子12が構成されている。トランジスタJ1,J2のゲートはそれぞれグランドに接続され、ドレインは高電圧入力VHが供給される起動電圧入力端子11aと共通に接続されている。トランジスタJ1のソースは、第1のPチャネルMOSトランジスタMP1(以下、単にトランジスタMP1という。)と第1の抵抗R1との直列回路を介して接地されている。トランジスタJ1は、スイッチング電源装置の電源投入によって起動電圧入力端子11aからの高電圧VHをドレイン端子で受け、ソース端子から起動電流出力端子11bに充電電流を流すものである。
第1、第2のNチャネルMOSトランジスタMN1,MN2(以下、単にトランジスタMN1,MN2という。)、および第2の抵抗R2は、電圧電流変換回路15を構成するものであって、起動電流出力端子11bの電圧信号に応じた大きさで第1の可変電流信号(以下、電流I11という。)を生成している。第2の抵抗R2は、一端が起動電流出力端子11bに接続され、他端がトランジスタMN1のドレインに接続されている。トランジスタMN1は、ドレインとゲートが互いに接続され、ソースが接地されている。トランジスタMN2は、ソースが接地されるとともに、トランジスタMN1に流れる電流I11に対するカレントミラー電流I12を流すように、そのゲートがトランジスタMN1のゲートと接続されている。
カレントミラー回路を構成するトランジスタMN1,MN2のゲートは、スイッチ回路14を構成するNチャネルMOSトランジスタMN3(以下、単にトランジスタMN3という。)のドレインに接続されている。このトランジスタMN3は、ソースがグランドに接続され、ゲートが制御端子11cと接続されている。この制御端子11cには、起動回路11の制御信号となるオン/オフ(on/off)信号が入力されている。
トランジスタMP1と第2のPチャネルMOSトランジスタMP2(以下、単にトランジスタMP2という。)はゲートが互いに接続されてカレントミラー回路を構成しており、これらトランジスタMP1,MP2と抵抗R1によって図1の電流増幅回路13が構成されている。トランジスタMP2は、起動素子12と起動電流出力端子11bの間の電流経路に設けられている。トランジスタMN2に流れるカレントミラー電流I12に基づき、トランジスタMP2により充電電流となる第2の可変電流信号(以下、充電電流I22という。)が起動電流出力端子11bへ至る電流経路に生成される。このトランジスタMP2と起動電流出力端子11bの間には、さらにNチャネルMOSトランジスタMN4(以下、スイッチングトランジスタMN4という。)が配置され、このスイッチングトランジスタMN4のゲートは、抵抗R3を介してトランジスタJ2のソース端子と接続されている。
トランジスタMP1のソースは、トランジスタJ1のソース端子と接続され、ベースおよびドレインは抵抗R1を介して接地されている。また、トランジスタMP1と第1の抵抗R1の接続点にはトランジスタMN2のドレインが接続されている。
抵抗R3とスイッチングトランジスタMN4との接続点は、スイッチ回路14を構成するNチャネルMOSトランジスタMN5(以下、単にトランジスタMN5という。)を介してグランドに接続される。このトランジスタMN5のゲートは、抵抗R4によりグランドにプルダウンされるとともに、制御端子11cと接続されている。スイッチングトランジスタMN4は、トランジスタJ1のソース端子と起動電流出力端子11bの間を接続する電流経路に介在するスイッチングトランジスタであって、そのゲート電圧がトランジスタJ2のソース電圧および抵抗R3によりによってプルアップされている。
最初に、トランジスタMN3,MN5にL状態のオフ信号が入力されると、電流I11に対するカレントミラー電流I12が流れ、カレントミラー電流I12と抵抗R1を流れる初期電流I13とを加算した電流I21がトランジスタMP1に流れる。トランジスタMP1,MP2はカレントミラー接続されているから、電流経路にはトランジスタMP1に流れる電流I21を増幅したカレントミラー電流が、充電電流I22として流れることになる。
なお、図2を図1の構成と対比させると、トランジスタMP1,MP2および抵抗R3が微小電流回路13bに相当し、トランジスタMP1,MP2およびトランジスタMN2が主電流回路13aに相当する。
図3は、実施の形態1の起動回路に流れる起動電流の電圧依存性を示す図である。ここでは、横軸に電源電圧(Vcc)、縦軸に起動電流(Istup)をとってある。
起動用の高電圧入力端子11aは、スイッチング電源装置の電源投入によってトランスの主巻線に供給される高電圧VHが供給される。起動素子12では、トランジスタJ1のソース電圧が発生して抵抗R1に初期電流I13が流れる。いま、抵抗R1の抵抗値を10MΩとし、トランジスタJ1で30Vのソース電圧が発生したとすれば、3μAの大きさの初期電流I13が流れる。
このとき、起動電流出力端子11bの電源電圧Vccは0Vであるため、トランジスタMN1,MN2からなるカレントミラー回路に電流I11,I12は流れない。しかしながら、トランジスタMP1,MP2のカレントミラー回路を構成する電流増幅回路13では、そのミラー比に応じて抵抗R1に流れる初期電流I13が増幅されて、起動電流出力端子11bに流れ始める。
いま、トランジスタMP1,MP2のゲートサイズW/Lの比を1:50として、起動電流Istupを計算すると、150μAの電流が起動電流出力端子11bへ流れ込むことになる。充電電流によって電源電圧Vccが上昇するとき、第2の抵抗R2に流れる電流I11は、次式によって表わされる。
I11=(Vcc−Vth)/R2…(1)
ここで、VthはトランジスタMN1のスレッシュ電圧、R2は第2の抵抗R2の抵抗値である。このようにして、電源電圧Vccは0Vから徐々に上昇を始めると同時に、トランジスタMN1に流れる電流I11が増加してくる。したがって、充電電流I22に生じる変化は、図3に示すように、電源電圧Vccの大きさに比例して増加する。
いま、トランジスタMN1,MN2のゲートサイズW/Lの比を1:10とすると、カレントミラー電流I12は次式によって表わされる。
I12=10×(Vcc−Vth)/R2…(2)
したがって、充電電流I22は次式によって表わされる。
I22=50×{10×[(Vcc−Vth)/R2]+3}…(3)
すなわち、スイッチング電源装置の電源投入後に、起動回路11では起動電流出力端子11bからの充電電流I22によってコンデンサを充電するとともに、その電圧値Vccに比例した大きさで充電電流I22を増加することによって、コンデンサが充電されていくことになる。
図3において起動電流(Istup)が上昇から下降に転ずるのは、前述の図13において電源電圧Vccが安定点に対するソース電位Vconst=18Vを超えたときと同じ現象である。すなわち、トランジスタJ1のソース電位が安定点を維持できなくなって上昇するから、起動電流Istupは図12に示すカーブIJFETに従い減少する。そして、電源電圧Vccがスイッチング電源装置の動作可能な所定値まで上昇すると、H状態のオン信号がトランジスタMN3,MN5に入力されて、それらがオンする。これによって、トランジスタMN2を流れるカレントミラー電流I12がゼロになり、同時に充電電流I22を流していた電流経路のスイッチングトランジスタMN4もオフするから、充電電流が流れなくなる。また、充電電流遮断の前後でスイッチング電源装置が動作を開始する。これにより、スイッチング電源制御用IC100では、起動回路11からの起動電流がオフになり、トランスT101のコイルN103からのみ電源電圧が供給されるようになる。
このように、実施の形態1に係る起動回路11は、高電圧入力端子VHと電源端子VCCとの間に接続され、充電電流I22を電源端子VCCの電圧値Vccに比例した大きさに増加しながらコンデンサC102を充電するとともに、スイッチング電源装置の起動後には充電電流I22をオフにしてトランスT101のコイルN103から電源電圧Vccを供給するようにしたので、電源端子VCCがグランドにショートしていた場合は起動電流出力端子11bからの充電電流I22がほとんど流れない。また、電源電圧Vccの上昇に伴って充電電流I22が増加して流れるように制御することで、ある程度の電圧上昇があってから急に大電流が流れることもない。したがって、スイッチング電源制御用ICでは、異常時の発熱や発火を確実に防ぐことができる。
また、上述した式(3)に示すように、充電電流I22は電源電圧Vccに依存しているため、トランジスタJ1,J2における電圧/電流特性による影響を受けにくい。したがって、スイッチング電源制御用IC100の製造工程で特性のばらつきが生じた場合や、使用環境の温度が変化しても、スイッチング電源装置が起動するまでの時間が変化するおそれがなくなる。
また、起動回路11が停止すると、高電圧入力端子VHから流れる電流は起動回路11の第1の抵抗R1に流れる微小電流だけとなるから、待機時の消費電力を低減できる。従来回路(図11)では抵抗R1に流れる待機時の電流値が10μAであったが、初期電流を同じ500倍で増幅するとしても、待機時の電流値は3μAまで低減される。
さらに、電流増幅回路13と電圧電流変換回路15において、独立した2つのカレントミラー電流を流すことによって電流増幅を行っているので、従来のような1段のミラー回路で500倍の電流増幅する構成と比較して、増幅用のトランジスタMP1,MP2、MN1,MN2を合計した占有面積を10分の1程度まで小さくできる。
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2に係る起動回路の構成を示すブロック図である。ここでは、実施の形態1の起動回路と対応する部分には同一符号を付けており、以下ではそれらについての説明を省略する。
図5は、実施の形態2の起動回路に流れる起動電流の電圧依存性を示す図である。ここでは、横軸に電源電圧(Vcc)、縦軸に起動電流(Istup)をとってある。
図4に示す起動回路は、図2の起動回路と比較して、第2の抵抗R2で構成された抵抗回路部分が、ツェナーダイオードZD1と抵抗R2との直列回路によって置き換えられている点で異なっている。すなわち、トランジスタMN1,MN2、ツェナーダイオードZD1および抵抗R2からなる電圧電流変換回路15は、起動電流出力端子11bに接続されたコンデンサC102に抵抗R1に流れる初期電流I13に基づく充電電流I22が流れて起動電流出力端子11bの電圧信号がある程度の大きさに上昇するまで、動作しない構成となっている。
図4において、ツェナーダイオードZD1と抵抗R2との直列回路に流れる電流I11は、次式によって表わされる。
I11=(Vcc−Vz−Vth)/R2…(4)
ここで、VthはトランジスタMN1のスレッシュ電圧、R2は第2の抵抗R2の抵抗値、VzはツェナーダイオードZD1のツェナー電圧である。したがって、ツェナー電圧Vzを例えば4.9V、スレッシュ電圧を例えば1Vとすれば、電源電圧Vccが5.9Vになるまでは、充電電流I22を初期電流I13に基づく一定の大きさ、すなわち150μAで流している。そして、一度電源電圧Vccが5.9Vになると、充電電流は徐々に上昇を始める。このとき起動電流Istupは、図5に示すように、電源電圧Vccの大きさに比例して増加する。
いま、トランジスタMN1,MN2のゲートサイズW/Lの比を1:10とすると、カレントミラー電流I12は次式によって表わされる。
I12=10×(Vcc−Vz−Vth)/R2…(5)
したがって、充電電流I22は次式によって表わされる。
I22=50×{10×[(Vcc−Vz−Vth)/R2]+3}…(6)
このように実施の形態2に係る起動回路11は、高電圧入力端子VHと電源端子VCCとの間に接続され、コンデンサC102に起動電流が流れて、電源電圧Vccがある程度高くなるまでは微小電流を供給し、所定電圧を超えたとき、充電電流I22を電源端子VCCの電圧値Vccに比例した大きさに増加しながらコンデンサC102をさらに充電するようにしている。したがって、電源端子VCCとグランドの間にツェナー回路要素が介在してショートしているときでも、初期電流I13に基づく微小な充電電流I22だけが流れて、発熱や発火を引き起こすような大電流が流れるおそれがない。したがって、スイッチング電源制御用ICでは、異常時の発熱や発火を一層確実に防ぐことができる。
(実施の形態3)
図6は、実施の形態3に係る起動回路の構成を示すブロック図である。また、図7は実施の形態3の起動回路に流れる起動電流の電圧依存性を示す図である。ここでは、実施の形態1の起動回路と対応する部分には同一符号を付けており、以下ではそれらについての説明を省略する。
図6に示す起動回路は、図2の起動回路(実施の形態1)と比較して、第2の抵抗R2で構成された抵抗回路部分が、第3の抵抗R2と第4の抵抗R5からなる直列回路、およびこれらの抵抗R2,R5の接続点にカソードが接続され、アノードが接地された第2のツェナーダイオードZD2によって置き換えられている点で異なっている。すなわち、トランジスタMN1,MN2、ツェナーダイオードZD2および抵抗R2,R5からなる電圧電流変換回路15は、ツェナーダイオードZD2のツェナー電圧Vzおよび抵抗R2,R5の抵抗値で決まる一定電圧まで電源電圧Vccが上昇した後は、図7に示すように充電電流を一定値に保持する構成となっている。
図6において、充電電流I22によって電源電圧Vccがある電位Vxまで上昇するとき、抵抗R5,R2の直列回路に流れる電流I11は、次式によって表わされる。ここで、R5は第4の抵抗R5の抵抗値、R2は第3の抵抗R2の抵抗値である。
I11=(Vcc−Vth)/(R5+R2)…(7)
したがって、充電電流I22の電流値は、実施の形態1で説明したものと同様に、電源電圧Vccの大きさに比例して増加する。ここで、抵抗R5,R2の抵抗値をそれぞれ100kΩ、400kΩとすれば、図7に示すように充電電流I22は電源電圧Vccが次式で示す電圧Vxに達した以後、その大きさが固定される。
Vx=(Vz−Vth)×{(100+400)/400}+Vth…(8)
例えば、ツェナー電圧Vzを4.9V、スレッシュ電圧Vthを1Vとして計算すると、Vxは5.875Vとなる。
(実施の形態4)
図8は、実施の形態4に係る起動回路の構成を示すブロック図である。
この起動回路は、図2の起動回路(実施の形態1)におけるトランジスタMN1,MN2を、ダーリントン接続した2つのNPN型のトランジスタQ11,Q12からなるエミッタフォロワ回路に置き換えて、電圧電流変換回路15を構成したものである。ここでは、トランジスタQ11,Q12のコレクタはトランジスタMP1のドレインに接続され、トランジスタQ11のエミッタはトランジスタQ12のベースに接続され、トランジスタQ12のエミッタは抵抗R6を介して接地されている。
さらに、トランジスタJ1のソース端子は、抵抗R1とツェナーダイオードZD3の直列回路を介して接地され、トランジスタQ11のベースを、抵抗R1とツェナーダイオードZD3との接続点に接続している。トランジスタQ11のベースは、PチャネルMOSトランジスタMP3(以下、単にトランジスタMP3という。)、およびトランジスタMN3を介してグランドに接続されている。トランジスタMP3のゲートが起動電流出力端子11bと接続されて、トランジスタMP3は出力端子11bの電位に対するソースフォロワとして機能する。トランジスタMN3のゲートは、一端が接地された抵抗R41の他端、および制御端子11cと接続されている。この制御端子11cには、起動回路11の制御信号となるオン/オフ(on/off)信号が入力されている。
さて、起動電流出力端子11bの電源電圧Vccが0Vであれば、トランジスタMP3のソース電位はトランジスタMPのスレッシュ電圧Vth(約2.5V)となり、このソース電位からトランジスタQ11,Q12のベースエミッタ間電圧(1.4V)を引いた電圧(約1.1V)が、抵抗R6に印加される。したがって、この抵抗R6に流れる電流が、電流増幅回路13を構成する2つのトランジスタMP1,MP2のカレントミラー比で増幅されて充電電流Iとなる。そして、この充電電流Iは起動電流出力端子11bを介して電源端子VCCに接続されたコンデンサC102に供給され、電源電圧Vccが上昇する。電源電圧Vccが上昇すると、トランジスタMP3によるソースフォロワとトランジスタQ11,Q12からなるエミッタフォロワ回路により、(Vcc+2.5V−1.4V=Vcc+1.1Vの電圧が抵抗Rに印加されていくことになる。これにより、充電電流Iは、電源端子VCCに接続されている電圧安定用のコンデンサC102の電圧値(Vcc)に比例もしくは1次関数となる大きさになる。
このようにして、実施の形態1の場合と同様に、電源端子VCCの電圧上昇に伴って、トランジスタMP3のソース電位が上昇し、抵抗R6の両端電圧が大きくなることで、充電電流Iが増加していく。ただし、トランジスタMP3のソース電位は、それと並列に設けられているツェナーダイオードZD3によって、ツェナー電圧Vz(約7V)でクランプされるから、このクランプ電圧によって充電電流Iの最大値が決められる。
この起動回路では、起動素子であるトランジスタJ1の特性とは無関係に起動電流出力端子11bに供給される充電電流を決めることができるため(実施の形態1〜3では、抵抗R1に流れる電流がトランジスタJ1の特性との兼ね合いで決まる。)、スイッチング電源制御用IC100の製造工程での起動素子における特性のばらつきや、使用環境での温度変化などの影響を受けないで動作するという利点がある。
また、トランジスタMP3によるソースフォロワをバイポーラトランジスタによるエミッタフォロワ回路に置き換えてもよいし、トランジスタQ11,Q12からなるエミッタフォロワ回路をMOSトランジスタによるソースフォロワに置き換えてもよい。
なお、本発明は電源端子VCCの電圧値によって起動電流の大きさを正帰還制御させる起動方法を含むものであって、上述した実施の形態のみに限定されるものではない。
実施の形態1に係る起動回路の構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る起動回路の具体的な構成の一例を示す回路図である。 実施の形態1の起動回路に流れる起動電流の電圧依存性を示す図である。 実施の形態2に係る起動回路の構成を示すブロック図である。 実施の形態2の起動回路に流れる起動電流の電圧依存性を示す図である。 実施の形態3に係る起動回路の構成を示すブロック図である。 実施の形態3の起動回路に流れる起動電流の電圧依存性を示す図である。 実施の形態4に係る起動回路の構成を示すブロック図である。 スイッチング電源装置の一例を示すブロック図である。 従来の起動回路の構成を示すブロック図である。 従来の起動回路の具体的な構成の一例を示す回路図である。 一般的な接合型電界効果トランジスタの電圧/電流特性を示した図である。 従来の起動回路における起動電流の変化を示す図である。
符号の説明
11 起動回路
11a 起動電圧入力端子
11b 起動電流出力端子
11c 制御端子
12 起動素子
13 電流増幅回路
14 スイッチ回路
15 電圧電流変換回路(V−I変換回路)
103 電源電圧検出回路
100 スイッチング電源制御用IC
J1,J2 接合型電界効果トランジスタ
MP1〜MP3 PチャネルMOSトランジスタ
MN1〜MN5 NチャネルMOSトランジスタ
R1〜R6 抵抗
VCC 電源端子
VH 高電圧入力端子
ZD1〜ZD3 ツェナーダイオード

Claims (11)

  1. 直流電源と、トランスと、前記直流電源に接続された前記トランスの1次側主巻線に流れる電流を制御するスイッチ素子と、前記トランスの補助巻線に接続された電圧安定用コンデンサを有し、前記トランスの2次側の巻線に接続された負荷に対して電力供給するためのスイッチング電源装置のスイッチング電源制御用半導体装置であって、
    前記直流電源に接続される起動用の高電圧入力端子と、
    前記電圧安定用コンデンサに接続され、前記スイッチング電源装置の電源投入後に前記電圧安定用コンデンサを充電するための起動電流を出力する電源端子と、
    前記高電圧入力端子と前記電源端子との間に接続され、前記起動電流を前記電源端子の電圧値に応じた大きさとしながら前記コンデンサを充電するとともに、前記スイッチング電源装置の起動後には前記起動電流をオフにして前記トランスの補助巻線から電源電圧を前記電源端子に供給するようにした起動回路と、
    を備えたことを特徴とするスイッチング電源制御用半導体装置。
  2. 前記起動回路は、
    前記高電圧入力端子に接続された起動素子と、
    前記電源端子の電圧信号に応じた大きさで第1の可変電流信号を生成する電圧電流変換回路と、
    前記起動素子と前記電源端子の間に設けられ、前記第1の可変電流信号に基づいて前記起動電流となる第2の可変電流信号を生成する電流増幅回路と、
    を有することを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源制御用半導体装置。
  3. 前記起動素子は前記高電圧入力端子にそのドレインが接続されて前記電源端子に供給される前記起動電流を流す第1の接合型電界効果トランジスタ、および前記高電圧入力端子にそのドレインが接続された第2の接合型電界効果トランジスタを有し、
    前記第2の接合型電界効果トランジスタのソースが、前記第1の接合型電界効果トランジスタのソースと前記電源端子の間を接続する電流経路に介在するスイッチングトランジスタのゲートと接続されて該ゲートのプルアップ電圧を供給することを特徴とする請求項2記載のスイッチング電源制御用半導体装置。
  4. 前記電流増幅回路は、
    前記第1の接合型電界効果トランジスタのソースとグランドの間に直列接続された、第1のPチャネルMOSトランジスタと第1の抵抗との直列回路、
    および、前記第1のPチャネルMOSトランジスタと互いにゲートが接続され、前記電流経路に設けられてカレントミラー電流を流す第2のPチャネルMOSトランジスタ、
    を有することを特徴とする請求項3記載のスイッチング電源制御用半導体装置。
  5. 前記電圧電流変換回路は、
    ドレインとゲートが互いに接続され、ソースが接地された第1のNチャネルMOSトランジスタと、
    前記第1のNチャネルMOSトランジスタに流れる電流に対するカレントミラー電流を流す第2のNチャネルMOSトランジスタと、
    一端が前記電源端子に接続され、他端が前記第1のNチャネルMOSトランジスタのドレインに接続された抵抗回路と、
    を有することを特徴とする請求項2記載のスイッチング電源制御用半導体装置。
  6. 前記抵抗回路は、互いに直列接続された第2の抵抗および第1のツェナーダイオードを有することを特徴とする請求項5記載のスイッチング電源制御用半導体装置。
  7. 前記抵抗回路は、第3の抵抗と第4の抵抗からなる直列回路、および前記第3、第4の抵抗の接続点にカソードが接続され、アノードが接地された第2のツェナーダイオードを有することを特徴とする請求項5記載のスイッチング電源制御用半導体装置。
  8. 前記電圧電流変換回路は、ダーリントン接続した複数のトランジスタからなるエミッタフォロワ回路を有することを特徴とする請求項2記載のスイッチング電源制御用半導体装置。
  9. 直流電源と、トランスと、前記直流電源に接続された前記トランスの1次側主巻線に流れる電流を制御するスイッチ素子と、前記トランスの補助巻線に接続された電圧安定用コンデンサを有し、前記トランスの2次側の巻線に接続された負荷に対して電力供給するスイッチング電源装置を起動するための起動回路であって、
    前記直流電源に接続される起動用の高電圧入力端子と、
    前記電圧安定用コンデンサに接続され、前記スイッチング電源装置の電源投入後に前記電圧安定用コンデンサを充電するための起動電流を出力する電源端子と、
    前記高電圧入力端子に接続されて前記起動電流を流す起動素子と、
    前記電源端子の電圧信号に応じた大きさの可変電圧信号を生成する電圧変換回路と、
    前記起動素子と前記電源端子の間に設けられ、前記可変電圧信号に基づいて前記起動電流となる可変電流信号を生成する電流増幅回路と、
    を備えたことを特徴とする起動回路。
  10. 前記電源端子に接続されるソースフォロワ回路もしくはエミッタフォロワ回路を用いて前記可変電圧信号を生成し、該可変電圧信号が入力される別のソースフォロワ回路もしくはエミッタフォロワ回路により前記可変電流信号を生成することを特徴とする請求項9記載の起動回路。
  11. 直流電源と、トランスと、前記直流電源に接続された前記トランスの1次側主巻線に流れる電流を制御するスイッチ素子と、前記トランスの補助巻線に接続された電圧安定用コンデンサを有し、前記トランスの2次側の巻線に接続された負荷に対して電力供給するスイッチング電源装置を前記直流電源と接続された起動回路によって起動する起動方法において、
    前記スイッチング電源装置の電源投入時に、前記起動回路の高電圧入力端子から起動電圧を供給するステップと、
    前記スイッチング電源装置の電源投入後に、前記起動回路の起動電流出力端子からの起動電流の大きさを前記電圧安定用コンデンサの電圧値に比例もしくは1次関数とさせながら前記電圧安定用コンデンサを充電するステップと、
    前記スイッチング電源装置の起動後に、前記起動電流をオフにして前記トランスの補助巻線から電源電圧を前記起動回路の電源端子に供給するステップと、
    を含むことを特徴とするスイッチング電源装置の起動方法。
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