以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施の形態に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[第1の実施の形態]
図1〜図3、図8を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。以下、(画像形成装置の全体構成)、(現像装置の構成)、(一成分現像剤)、(トナー劣化検知方法の原理)、(トナー劣化検知方法)、(実使用条件下での耐久試験)、(実使用条件下でのシーケンス制御)、(補足説明)に分けて説明を行う。
(画像形成装置の全体構成)
図3に、本実施の形態に係る画像形成装置100の概略構成図を示す。本実施の形態では、画像形成装置100として、電子写真方式のレーザビームプリンタを用いて説明を行う。
画像形成装置100は、回転可能なドラム型の像担持体として、感光ドラム1を備えている。感光ドラム1の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ(帯電装置)2、現像手段としての現像装置3、転写手段としての転写ローラ(転写装置)4、クリーニング部材としてのクリーニングブレード5等が設置されている。
クリーニングブレード5は、廃トナー収納容器13に取り付けられており、クリーニングブレード5と廃トナー収納容器13とにより、クリーニング手段としてのクリーナ(クリーニング装置)21が構成されている。
本実施の形態では、感光ドラム1と、帯電ローラ2と、現像装置3と、クリーナ21とが一体的にカートリッジ化されており、画像形成装置本体100に対して着脱自在なプロセスカートリッジ19が構成されている。
また、帯電ローラ2と現像装置3との隙間は、プロセスカートリッジ19の外側に配置される露光手段(静電潜像形成手段)としての露光装置(静電潜像形成装置)6から射出されるレーザ光Lの光路になっている。
また、感光ドラム1と転写ローラ4との間の転写部(転写ニップ)Nから記録材Pの搬送方向下流側には、定着手段としての定着器7が配設されている。
本実施の形態における感光ドラム1は、直径30mmの負帯電性の有機感光体であり、アルミニウム製のドラム基体上に感光体層を有している。感光ドラム1は、所定の周速で図3に示す矢印方向(時計方向)に回転駆動され、その回転過程において帯電ローラ2により負極性に一様に帯電させられる。感光ドラム1の表面移動速度(周速)は、50mm/s以上600mm/s以下であることが好ましい。
帯電ローラ2は、回転自在であり、感光ドラム1の表面に接触して配設されている。帯電ローラ2は、帯電バイアス電源(図示せず)から印加される帯電バイアスによって、感光ドラム1の表面を負極性の所定の電位に均一に帯電するものである。
現像装置3は、現像剤としての非磁性一成分現像剤、即ち、非磁性トナーTで、感光ドラム1の表面に担持される静電潜像をトナー像として現像して可視化する接触一成分現像装置である。本実施の形態では、トナーTの正規の帯電極性は負極性である。
転写ローラ4は、感光ドラム1に対して所定の押圧力で接触して転写部(転写ニップ)Nを形成する。転写ローラ4には、転写バイアス電源(図示せず)から転写バイアスが印加される。これにより、本実施の形態では、転写ローラ4から正極性の電荷が記録材Pに印加され、この電荷による電界により、感光ドラム1に接触中の記録材Pに、感光ドラム1上の負極性のトナーTが転写される。
クリーニングブレード5の材料としては、シリコーンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム等のゴム弾性を有するものが挙げられるが、耐摩耗性、永久変形性等の観点から、ポリウレタンゴムが好ましい。
クリーニングブレード5の自由端側の先端部は、感光ドラム1の回転方向に対して、所謂、カウンター方向に、所定の圧力をもって感光ドラム1の表面に当接している。即ち、クリーニングブレード5は、自由端側の先端が感光ドラム1の回転方向上流側を向いて廃トナー収納容器13に取り付けられている。
クリーニングブレード5の先端部には、回転する感光ドラム1の表面との摩擦力を低減することを目的として、予め潤滑剤としての微粉体が塗布されている。
なお、クリーニングブレード5の先端部分に塗布する微粉体としては、様々な材料、形状のものが提案されている。本実施の形態では、クリーニングブレード5の先端部分に予め塗布する潤滑剤として、次のものを用いた。
それは、球形を有する平均粒径3μm、円形度0.93のシリコーン樹脂粒子と不定形(具体的には鱗片形状)を有する平均粒径2μmのフッ化黒鉛とを所定の割合で混合したものである。ここで、円形度0.93のシリコーン樹脂粒子には、商品名トスパール(東芝シリコーン株式会社製)を用い、平均粒径2μmのフッ化黒鉛には、商品名セフボン(セントラル硝子株式会社製)を用いた。
円形度に関しては、例えば東亜医用電子株式会社製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000等を用いて測定することが可能である。又、微粉体を塗布する方法としては、単一物質をアルコール等の揮発性液体に分散し、この溶液をクリーニングブレード5の先端部に塗布する方法を用いた。
クリーニングブレード5のエッジ先端からの塗布幅は概ね1mmとした。クリーニングブレード5は、転写後に感光ドラム1の表面に残ったトナー(転写残トナー(転写残現像剤))を感光ドラム1の表面から除去する。
露光装置6は、レーザドライバ、レーザダイオード、ポリゴンミラー14などを備えている。レーザドライバに入力された画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して変調されたレーザ光Lが、レーザダイオードから出力される。
感光ドラム1の表面は、高速回転するポリゴンミラー14によって光学レンズ系15を介して走査される上記レーザ光Lによって露光される。これにより、感光ドラム1の表面に画像情報に対応した静電潜像が形成される。
定着器7は、回転自在な定着ローラ7aと加圧ローラ7bとを有している。そして、定着器7は、定着ローラ7aと加圧ローラ7bとの間の定着ニップにて記録材Pを挟持搬送しながら、記録材Pの表面に転写されたトナー像を加熱及び加圧する。これにより、記録材P上のトナー像が記録材Pに定着される。
画像形成(動作)時には、感光ドラム1は駆動手段(図示せず)により図3に示す矢印方向に、周速200mm/sで回転駆動される。感光ドラム1の表面は、帯電バイアス(例えば、−1000VのDC電圧)が印加された帯電ローラ2により一様に帯電される。
帯電した感光ドラム1の表面は、露光装置6により画像情報に応じたレーザ光Lによって露光される。これにより、画像形成装置100に入力された画像情報に応じた静電潜像が、感光ドラム1上(像担持体上)に形成される。この際、感光ドラム1上の露光されない部分の暗部電位は−500V、露光された部分の明部電位は−100Vとなるように露光装置6のレーザパワーが調整されている。
感光ドラム1上の静電潜像は、現像装置3によりトナー像として可視化される。本実施の形態では、現像装置3が備える現像剤担持体としての現像ローラ9には、感光ドラム1の帯電極性(本実施の形態では負極性)と同極性の現像バイアスが印加される。また、現本実施の形態における現像ローラ9は、不図示の離間機構によって、感光ドラム1に対して接離可能に設けられ、不図示の駆動手段によって回転駆動される。
これにより、感光ドラム1の帯電極性(本実施の形態では負極性)と同極性に帯電されたトナーTが、現像ローラ9から感光ドラム1上の静電潜像の明部電位部分に転移して付着する。こうして、感光ドラム1上の静電潜像は反転現像される。現像装置3及びトナーTの詳細については後述する。
感光ドラム1上のトナー像が感光ドラム1と転写ローラ4の間の転写ニップNに到達すると、このタイミングに合わせて記録用紙などの記録材Pが搬送経路22を経由して転写ニップNに搬送される。記録材Pは、ピックアップローラ16によって記録材収納部としてのカセット等から1枚ずつ送り出され、レジストローラ(図示せず)等によって搬送される。
そして、トナーTと逆極性(本実施の形態では正極性)の転写バイアスが印加された転
写ローラ4により、感光ドラム1上のトナー像が記録材Pに転写される。
トナー像が転写された記録材Pは定着器7に搬送され、定着ローラ7aと加圧ローラ7bとの間の定着ニップにて加熱、加圧される。これによって、トナー像が記録材P上に熱定着される。その後、記録材Pは、排出トレイ17上に排出される。
また、トナー像の転写工程後の感光ドラム1の表面に残留した転写残トナーは、クリーニングブレード5によって除去されて、廃トナー収納容器13内に回収される。
(現像装置の構成)
図2を参照して、本実施の形態に係る現像装置の構成について説明する。図2は、本実施の形態における現像装置の概略構成図である。
本実施の形態における現像装置3は、非磁性一成分DC接触現像方式によって現像を行う接触一成分現像装置である。かかる現像方式の現像装置3は、現像剤担持体として半導電性(中抵抗:例えば体積抵抗率が109〜1011Ω・cm)の現像ローラ、又は表面に誘電層を形成した現像ローラを用いて、これを感光ドラム1の表面層に押し当てて現像を行うものである。
現像装置3は、一成分現像剤としての非磁性のトナーTで現像を行う接触一成分現像装置である。現像装置3は、現像剤担持体としての現像ローラ9、現像剤供給部材としての弾性ローラ10、層厚規制部材としての規制ブレード11、攪拌部材12を備えている。
ここで、現像ローラ9は、現像容器8の開口部に感光ドラム1と対向配置され、図2に示す矢印方向(反時計方向)に回転自在に設けられている。弾性ローラ10は、回転自在であって、現像ローラ9に圧接するように設けられている。
規制ブレード11は弾性を有し、現像ローラ9に当接するように設けられている。攪拌部材12は、現像容器8内のトナーTを攪拌するように回転可能に設けられている。また、規制ブレード11は、現像ローラ9と弾性ローラ10との圧接部に対して現像ローラ9の回転方向下流側で現像ローラ9に当接している。
攪拌部材12で攪拌されたトナーTは、現像ローラ9に圧接して回転する弾性ローラ10によって現像ローラ9表面に供給される。現像ローラ9表面に供給されたトナーTは、現像ローラ9の回転に伴い搬送され、規制ブレード11と現像ローラ9の当接部で摩擦により電荷を付与されて、現像ローラ9表面に薄層化される。
薄層化されたトナーTは現像ローラ9の回転によって担持搬送され、感光ドラム1との当接部(現像部)にて感光ドラム1上に形成された静電潜像に付着して顕像化する。なお、現像ローラ9上の現像に寄与しなかったトナーTは、弾性ローラ10で剥ぎ取られる。
更に説明すると、現像ローラ9は、トナーTを収容した現像容器8の長手方向に延在する開口部に位置して、感光ドラム1と対向して配置される。現像ローラ9は、感光ドラム1と所定の当接幅を持って接触し、感光ドラム1の周速(200mm/s)よりも速い周速(300mm/sec)で図2に示す矢印方向(反時計方向)に回転駆動される。本実施の形態では、感光ドラム1と現像ローラ9とは、当接部においてそれぞれの表面移動方向が同方向となるように回転する。
次に、現像ローラ9を駆動する方法の詳細を説明する。
現像ローラ9の駆動手段として、本実施の形態ではモーター(不図示)を用いた。また、このモーターで、現像装置内の現像ローラ9、弾性ローラ10、撹拌部材12も回転駆動させた。ただし、感光ドラム1の駆動には、現像ローラ9を駆動するモーターとは別の回転駆動手段を用いる。
現像装置3を駆動する際の負荷としては、主に、現像ローラ9と規制ブレード11間の負荷、現像ローラ9と弾性ローラ10間の負荷、現像ローラ9と感光ドラム1間の負荷、現像ローラ9とシール部材23間の負荷、現像容器内の撹拌部材12の回転負荷がある。また、部材間には常にトナーが存在するため、トナーの状態によって負荷は変動する。
本実施の形態におけるトナーの劣化検知は、後に説明するが、現像ローラ9の回転負荷に基づいてトナー劣化を検知するものである。特に、比較例2、比較例3、及び本実施の形態〜第5の実施の形態では、現像ローラ9を回転駆動する負荷を電力で検知する。
現像ローラ9の表面は、トナーTとの摺擦確率を高くし、且つ、トナーTの搬送を良好に行うために、適度な凹凸を有している。本実施の形態では、現像ローラ9は、直径16mm、長さ240mmであり、芯金の上に設けられた肉厚4mmのシリコーンゴム層上に、アクリル・ウレタン系の薄層がコートされて構成されている。
現像ローラ9には、第1電圧印加手段としての現像バイアス電源が接続されており、本実施の形態では、この現像バイアス電源から現像ローラ9に負極性の所定電位の現像バイアスが印加される。
現像ローラ9としては、電気抵抗値が104〜106Ω、表面粗さ[算術平均粗さ:JIS中心線平均粗さ(JIS B 0601:2001)]Raが0.3〜5.0μm、硬度がアスカーC硬度で40°〜70℃(加重1kg)に調整されたものが好適である。
本実施の形態では、電気抵抗105Ω、表面粗さRaが2.0μm、アスカーC硬度が55°の現像ローラ9を用いた。
なお、現像ローラ9の電気抵抗値は、次のようにして測定されたものである。直径30mmのアルミローラ(図示せず)と現像ローラ9とを当接荷重500gf(4.9N)で長手方向全域にて当接させ、このアルミローラを0.5rpsで回転させる。
そして、現像ローラ9に−400Vの直流電圧を印加して、アース側に10kΩの抵抗を配置する。そして、この抵抗の両端の電圧を測定し、測定された電圧値から電流値を算出して現像ローラ9の抵抗値を算出する。
また、現像ローラ9と感光ドラム1との当接部(現像部)よりも現像ローラ9の回転方向下流側において、可撓性のシール部材23が設けられている。シール部材23は、未現像トナーTの現像容器8内への通過を許容すると共に、現像容器8内のトナーTが、現像ローラ9と感光ドラム1との当接部よりも現像ローラ9の回転方向下流側から漏出するのを防止する。
弾性ローラ10は、規制ブレード11と現像ローラ9との当接部よりも現像ローラ9の回転方向上流側において現像ローラ9に当接し、図2に示す矢印方向(反時計方向)に回転駆動される。
弾性ローラ10としては、発泡骨格状スポンジ構造のものが、現像ローラ9へのトナーTの供給及び現像ローラ9からの未現像トナーTの剥ぎ取り性能の点で好ましい。本実施
の形態では、芯金上にポリウレタンフォーム(ポリウレタンから成るスポンジ)を設けた直径16mmの弾性ローラ10を用いた。
弾性ローラ10の現像ローラ9に対する当接幅としては、1〜6mmが好ましい。また、弾性ローラ10は、現像ローラ9との当接部において、現像ローラ9に対して相対速度を持たせることが好ましい。本実施の形態では、現像ローラ9との当接幅を2mmに設定した。また、この時の弾性ローラ10と現像ローラ9との当接圧(線圧)は40gf/cm(0.392N/cm)であった。
また、本実施の形態では、弾性ローラ10は、現像動作時に周速が200mm/secとなるように、駆動手段(図示せず)により所定のタイミングで回転駆動されている。弾性ローラ10と現像ローラ9とは、接触位置においてそれぞれの表面移動方向が逆方向となるように回転する。又、弾性ローラ10の電位と現像ローラ9の電位は等電位である。
規制ブレード11は弾性を有しており、現像ローラ9と弾性ローラ10との当接部よりも現像ローラ9の回転方向下流側において、その自由端側の先端近傍が現像ローラ9の外周面に面接触にて当接するように設けられている。
規制ブレード11は、導電性を有し、バネ弾性を有するSUS又はリン青銅の金属薄板から構成されることが好ましい。シリコーン、ウレタン等のゴム材料や、バネ弾性を有するSUS又はリン青銅の金属薄板を基体として、現像ローラ9への当接面側に導電性ゴム材料等を接着して構成してもよい。
本実施の形態では、厚さ0.1mmの板状のリン青銅金属薄板で形成された規制ブレード11を用いた。また、規制ブレード11の現像ローラ9に対する当接圧(線圧)は、本実施の形態では、25gf/cm(0.245N/cm)以上35gf/cm(0.343N/cm)以下に設定した。
規制ブレード11の現像ローラ9に対する当接方向は、規制ブレード11の自由端側の先端が現像ローラ9との当接部に対して現像ローラ9の回転方向上流側に位置する、所謂、カウンター方向になっている。
なお、本実施の形態において、線圧は次のようにして測定したものである。即ち、摩擦係数が既知の金属薄板を3枚当接部に挿入し、その中央の1枚をばね計りで引き抜いた時の値から線圧を換算した。
また、規制ブレード11に電圧を印加することで、規制ブレードニップに電界を形成することができる。ここで、規制ブレード11に印加する電圧をVb、現像ローラ9に印加する電圧をVdevとし、ΔVbを次のように定義する。
定義式:ΔVb=Vb−Vdev
この定義によると、例えばΔVbが正極性の場合、規制ブレードニップにおいて、負極性に帯電したトナーを、規制ブレード11側に引き付ける電界が形成される。
逆に、ΔVbが負極性の場合、規制ブレードニップにおいて、負極性に帯電したトナーを、現像ローラ9側に引き付ける電界が形成される。本実施の形態中では、ΔVb=−200Vに設定した。
現像動作時には、現像容器8内のトナーTは、攪拌部材12の図2に示す矢印方向(時計方向)の回転に伴い弾性ローラ10側に送られる。このトナーTは、弾性ローラ10の
図2に示す矢印方向(反時計方向)の回転によって、現像ローラ9の近傍に搬送される。弾性ローラ10上に担持されているトナーTは、現像ローラ9と弾性ローラ10との当接部において現像ローラ9と摺擦されることによって摩擦帯電を受け、現像ローラ9上に付着する。
そして、現像ローラ9の図2に示す矢印方向(反時計方向)の回転に伴い、トナーTが規制ブレード11の圧接下に送られ、現像ローラ9上で薄層化され、感光ドラム1との対向部である現像部へ搬送される。本実施の形態では、トナーTの良好な帯電電荷量は、−40〜−70mC/kgとなるように設定されている。
現像ローラ9上(現像剤担持体上)に薄層形成されたトナーTは、現像ローラ9に−300Vの現像バイアスが印加されることによって、現像部において感光ドラム1上に形成されている静電潜像に付着する。これにより、感光ドラム1上の静電潜像は、トナー像として現像される。
また、現像ローラ9上の現像に寄与しなかったトナーTは、弾性ローラ10との当接部において現像ローラ9の表面から剥ぎ取られる。この剥ぎ取られたトナーTの大部分は、弾性ローラ10の回転に伴って搬送され、現像容器8内のトナーTと混ざり合い、トナーTの帯電電荷が分散される。そして、同時に弾性ローラ10の回転により現像ローラ9上に新たなトナーTが供給され、上述した現像動作が繰り返される。
(一成分現像剤についての説明)
次に、本実施の形態で用いられる一成分現像剤としてのトナーTについて説明する。
本実施の形態では、体積平均粒径が4.0μm以上10.0μm以下であり、平均円形度が0.950以上のトナーが用いられる。
本実施の形態のトナーの体積平均粒径が4μm未満である場合にはトナー粒子の流動性が悪化することによる帯電性が不均一になり易く、例えば、高湿環境下において画像かぶりが発生し易くなるためことが懸念される。また、トナーの体積平均粒径が10μmを超える場合には高精細な出力が困難となり、要求される画質を満足できなくなることが懸念される。
トナーTの体積平均粒径の測定には、例えばコールターカウンターTA−II型、又はコールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター株式会社製)等を用いている。これらに個数分布、体積分布を出力するインターフェース(日科機バイオス株式会社製)及びパーソナルコンピュータを接続した測定装置でトナーTの体積平均粒径を測定することができる。この測定では電解液が用いられるが、この電解液には、例えば1級塩化ナトリウムを用いて調製された1%NaCl水溶液や、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン株式会社製)が使用できる。
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、前記コールターカウンターTA−II型により2μm以上のトナーの体積を測定して体積分布を算出する。それから、本実施の形態の体積分布から求めた体積平均粒径を求める。
本実施の形態のトナーにおける形状制御は、フロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数基準の相当径−円形度スキャッタグラムにおける該トナーの平均円形度が0.9
50以上の範囲が好ましい。
トナーの平均円形度が0.950未満のトナーとは、形状が球形から離れて不定形に近づいたトナーを意味する。このような不定形トナーは、現像中に現像器内でトナーが破砕され易いために、粒度分布が変動したり、帯電量分布がブロードになったりするため、その結果、画像濃度低下やかぶりの増加といった現像上不都合な現象を生じ易くなるため好ましくない。
本実施の形態におけるトナーTの円形度とは、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものである。本実施の形態では、フロー式粒子像測定装置FPIA−1000型(東亜医用電子(現シスメックス)株式会社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出した。なお、測定条件としては、測定時のトナー粒子濃度が5000〜15000個/μlとなるように調整し、トナー粒子を1000個以上計測することで行った。
定義式:円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
上記式において、「粒子投影面積」とは、二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは、該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物等を除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料約0.02gを加え、均一に分散させる。
分散させる手段としては、超音波分散機UH−50型(株式会社エスエムテー製)に振動子としてφ5mmのチタン合金チップを装着したものを用い、分散の条件としては5分間処理で行い、測定用の分散液とする。
本実施の形態の体積平均粒径、平均円形度を本発明の好ましい範囲にするための達成手段としては、いわゆる粉砕方法による製造方法の他に、次のような方法等を用いてトナーを製造することも可能である。それは、特開昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報に開示されている懸濁重合方法を用いて直接トナーを生成する方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合方法である。また、水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法である。
本実施の形態では、トナーの形状を容易にコントロールでき、比較的容易に粒度分布がシャープで体積平均粒径が4〜10μmの微粒子トナーが得られる常圧下での、又は加圧下での懸濁重合方法を用いた。そして、モノマーとしてスチレンとn−ブチルアクリレート、荷電制御剤としてサリチル酸金属化合物、極性レジンとして飽和ポリエステル、更にワックスと着色剤を加え、着色懸濁粒子を製造した。このトナー粒子の体積平均粒径は、6.5μmであり、平均円形度は0.980である。
続いて、本実施の形態の特徴である現像剤母体粒子(以下、トナー母体粒子)に付着させる外添剤について以下に説明する。
本実施の形態では、平均一次粒径が5nm以上100nm未満であるシリカ微粒子が、トナー母体粒子100質量部(現像剤母体粒子100質量部)に対し、1.0質量部以上3.0質量部未満外添されている。かつ、平均一次粒径が5nm以上500nm未満であるシリカ以外の微粒子が、トナー母体粒子100質量部に対し、0.5質量部未満外添さ
れている。
平均一次粒径が5nm以上100nm未満であるシリカ微粒子が外添されていない場合には、良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が十分に行われにくくなることが懸念される。良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が十分に行われない場合には、かぶりの増大、画像濃度の低下、トナー飛散等の問題が発生しやすいことが懸念される。
平均一次粒径が5nm以上100nm未満であるシリカ微粒子をトナー母体粒子100質量部に対し、1.0質量部未満外添させる場合、現像器を長期間に渡って使用する場合には、現像器の使用後半時に、良好なトナーの流動性が得られないことが懸念される。
このような場合、トナー粒子への帯電付与が十分に行われにくくなることが懸念される。トナー粒子への帯電付与が十分に行われない場合には、かぶりの増大、画像濃度の低下、トナー飛散等の問題が発生しやすい。
また、平均一次粒径が5nm以上100nm未満であるシリカ微粒子をトナー母体粒子100質量部に対し、3.0質量部以上外添させる場合、感光体表面や現像剤担持体表面へのシリカ汚染が生じやすくなることが懸念される。
感光体表面や現像剤担持体表面へのシリカ汚染が生じた場合には、画像の連続印字において、感光体表面への融着や現像剤担持体の下層汚染が生じることにより、現像弊害を生じることが懸念される。
このように、平均一次粒径が5nm以上100nm未満であるシリカ微粒子が、トナー母体粒子100質量部に対し、1.0質量部以上3.0質量部未満外添されていることで、良好なトナーの流動性を得ることができる。したがって、トナー粒子への帯電付与を十分に行うことができる。
ここで、現像、転写、定着、クリーニングの各プロセスの性能を維持するために、他の微粒子を少量外添して、トナーの流動性及び帯電性を微調整しても良い。
ただし、微粒子の平均一次粒径が500nm以上であるとトナー表面から脱離し易いため、トナーの流動性及び帯電性を長期間維持することが困難となるので、平均一次粒径が5nm以上500nm未満である微粒子を外添することが好ましい。
また、平均一次粒径が5nm未満である微粒子が外添されている場合には、微粒子の凝集性が強まり、一次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易い。このため、凝集体の現像や、定着部材あるいは像担持体或いは現像剤担持体等を傷つけるなどによる画像欠陥を生じ易くなることが懸念される。
通常、平均一次粒径が5nm以上500nm未満である微粒子を、トナー母体粒子100質量部に対し、0.5質量部未満外添される程度ならば、平均一次粒径が5nm以上100nm未満であるシリカ微粒子の効果が大きい。このため、良好なトナーの流動性及び帯電性を得ることができる。これにより、十分に良好な画像を出力することができる。
平均一次粒径が5nm以上500nm未満である微粒子としては、次のようなものを例示することができる。例えば、テフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末である。さらに、酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末
、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤を用いてもよい。
さらに、酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤や、ケーキング防止剤、球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等の無機又は有機の球状に近い微粒子などのクリーニング助剤を用いてもよい。また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることが可能である。
本実施の形態における、外添剤微粒子の平均一次粒径の測定法を次に示す。
測定にあたっては、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって外添剤微粒子の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照して行われる。そして、これらの写真を対照しつつ、トナー表面に付着或いは遊離して存在している外添剤微粒子の一次粒子を100個以上測定し、個数平均粒径を求めることで、平均一次粒径を測定する。
シリカ微粒子は、疎水化処理されていることが好ましい。例えば、シリカ微粒子の表面をシリコーンオイル処理することで、疎水化処理できる。
また、シリカ微粒子は、一般にトナーの流動性改良及びトナー母体粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粒子を本実施の形態のようにシリコーンオイルによって疎水化処理することにより、次のような機能を付与することができる。それは、トナーの帯電量の調整、環境安定性だけでなく、本実施の形態の定着ベルトに対する離型性の向上等の機能である。
なお、シリカ微粒子を疎水化処理したものが高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する上でより好ましい。
本実施の形態では、トナー母体粒子100質量部に対して、平均一次粒径10nmのシリカAを1.5質量部、平均一次粒径50nmのシリカBを0.4質量部計量し、ヘンシェルミキサーで乾式混合した。なお、これは後述の第2〜第5の実施の形態、及び比較例においても同様である。
このトナーTのトナー体積抵抗値としては1014Ω・cm以上である。トナーTの体積抵抗値の測定条件は、直径φ:6mm、測定電極板面積:0.283cm2、圧力:1500gの錘を用い、圧力:96.1kPa、測定時の粉体層厚:0.5〜1.0mmとした。そして、400Vの直流電圧を微小電流計(YHP(横河ヒューレットパッカード株式会社製)4140pA METER/DC VOLTAGE SOUCE)で電流値を測定し、測定した電流値より体積抵抗値(比抵抗)を算出する。
本実施の形態においては、トナー結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜70℃であることがよい。Tgが40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、70℃を超える場合にはトナーの定着点の上昇をもたらす。
フルカラー画像を形成するためのカラートナーの場合においては各色トナーの定着時の混色性が低下し色再現性にやや劣り、OHP画像の透明性が低下する。特に、45〜65℃であることが好ましい。本実施の形態では、Tgが60℃のトナーを用いた。
トナーに含まれるワックスの最大吸熱ピークは、45〜75℃であることが好ましい。ワックスの最大吸熱ピークが45℃未満の場合、本実施の形態に用いられる樹脂のガラス
転移温度よりも低くなるために、高温環境に放置した際にトナー表面に溶け出すため、耐ブロッキング性能が大幅に悪くなることが懸念される。
一方、最大吸熱ピークが75℃より大きい場合、トナー定着溶融時にワックスが迅速に溶融トナー表面に移行できず、離型性が悪くなるために、高温オフセットが発生し易くなることが懸念される。特に、50〜70℃であることが好ましい。本実施の形態では、最大吸熱ピークが65℃のトナーを用いた。
なお、本実施の形態において、Tgの測定には、例えばパーキンエルマー社製示差走査熱量計「DSC−7」を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定試料は2〜10mg、好ましくは5mgを精密に秤量する。測定試料はアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下測定を行う。2回目の昇温過程で得られる、温度30〜200℃の範囲におけるDSC(示差走査熱量測定)曲線をもって解析を行う。
ガラス転移温度(Tg)については、得られたDSC曲線より中点法で解析を行った値を用いる。また、ワックスの融点ついては、得られたDSC曲線の吸熱メインピークの温度値を用いる。
(トナー劣化検知方法の原理)
本実施の形態におけるトナー劣化検知方法の原理を説明する。
現像ローラ9の駆動電力の検知は、感光ドラム1にトナーが現像されていない非画像形成時に行う。本実施の形態では、現像ローラ表面周速V1は300[mm/s]、感光ドラム表面周速V2は200[mm/s]で回転している。回転方向は現像部において同一方向であり、周速差V1−V2は100[mm/s]で、現像ローラ9の方が速く回転する。
現像部において、現像ローラ9と感光ドラム1はトナーを介して接触している。非画像形成時には、感光ドラム1の表面電位は約−500Vに帯電しており、現像ローラ9の芯金には−300V電圧が印加されている。
本実施の形態におけるトナーは負帯電トナーであるので、トナーは現像ローラ9の表面に付着したまま現像部を通過する。すなわち、100[mm/s]の周速差が生じるのは、現像ローラ9上のトナー層と、感光ドラム1表面の間である。
図13に、現像ローラ9と感光ドラム1が当接している時の、現像部における力の釣り合いを示す。また、図14に、現像ローラ9と感光ドラム1が離間している時の、現像部における力の釣り合いを示す。
図13では、現像ローラ9と感光ドラム1は当接しており、垂直効力F2が感光ドラム1表面及び、現像ローラ9上のトナー層にかかる。そして、現像ローラ9上のトナー層と、感光ドラム1表面の間には、摩擦力が生じる。この時の動摩擦係数をμとすると、現像ローラ9は回転を妨げる方向に力μF2を受け、反対に感光ドラム1は回転を助ける方向に力μF2を受ける。
これに対して、図14では、現像ローラ9と感光ドラム1は離間しており、現像ローラ9上のトナー層と、感光ドラム1の間には力が働かない。
従って、感光ドラム1と現像ローラ9の当接時は、両者が離間している時と比較すると、現像ローラ9が感光ドラム1と摺擦することにより、μF2×100[mm/s]分余計に駆動電力が必要になる。
そして、このμF2×100[mm/s]は、現像ローラ9と感光ドラム1が当接している時の現像ローラ駆動電力と、現像ローラ9と感光ドラム1が離間している時の現像ローラ駆動電力との差分とほぼ同じである。
ここで本件の発明者は、現像ローラ9や規制ブレード11にトナー融着が生じる場合は、上記差分が装置本体の使用初期と比べて上昇する事を発見した。
これは、現像装置3を使用し続けてもF2は変化しないので、現像ローラ9上のトナー層と、感光ドラム1表面の動摩擦係数μが上昇することを意味する。このように、動摩擦係数μが上昇し、トナーにかかる負荷が大きくなることで、トナー融着が発生しやすくなる。
また、さらに、動摩擦係数μに対するトナーや感光ドラム、現像ローラの寄与を明らかにする実験を行った。
具体的には、長期間使用した現像器内の残留トナー、長期間使用した現像ローラ、長期間使用した感光ドラム、さらに新品トナー、新品現像ローラ、新品感光ドラムによって、各々を組み換えて作成した現像装置を用いた。そして、その現像装置を用いて、現像ローラと感光ドラムが当接している時の現像ローラ駆動電力と、現像ローラと感光ドラムが離間している時の現像ローラ駆動電力との差分を駆動負荷測定手段によって測定した。
図15にその測定結果を示す。この図から分かるように、上記差分はトナーによって大きく影響を受け、感光ドラムや現像ローラには小さな影響しか受けないことが分かった。従って、動摩擦係数μはトナーが劣化することにより上昇することが分かった。
以上の事実から、現像ローラ9と感光ドラム1が当接している時の現像ローラ駆動電力と、現像ローラ9と感光ドラム1が離間している時の現像ローラ駆動電力との差分を測定することで、トナー劣化を検知することが可能になる。
(トナー劣化検知方法の説明)
図8を参照して本実施の形態におけるトナー劣化検知方法について説明する。図8は、本実施の形態におけるトナー劣化情報検知装置の概略構成図である。
図8に示すように、現像ローラ9は現像ローラ駆動モーター51によって回転駆動される。また、トナー劣化情報検知装置(現像剤劣化判定手段)56は、モーター駆動電力検知装置(駆動負荷測定手段)52、検知結果記録装置(測定結果記録手段)53、データ処理装置(データ処理手段)54、データ比較装置55から構成される。すなわち、トナー劣化情報検知装置56は、制御手段、判定手段、記録手段を構成している。
現像装置状態表示装置(不図示)は、現像装置3の状態を表示するが、表示内容はデータ比較装置55によって制御される。
以下、トナー劣化検知の具体的方法を説明する。
まず、現像装置使用初期における、現像ローラ9と感光ドラム1を当接させた時の駆動
電力と、現像ローラ9と感光ドラム1を離間させた時の駆動電力との差分を基準値W0とする。そして、基準値W0の1.5倍を閾値W1とし、データ比較装置55に記録する。なお、基準値W0の1.5倍を閾値W1とした根拠については後述する。
画像出力前の非画像形成時に、所定時間経過後に、現像ローラ9と感光ドラム1を当接させた状態で、モーター駆動電力検知装置52、検知結果記録装置53、データ処理装置54を用いて、モーター駆動電力を検知する。そして、これらの検知結果を記録して平均値W5を算出する(平均化処理)。算出したW5はデータ比較装置55に記録する。
同様に、画像出力前の非画像形成時に、所定時間の間、現像ローラ9と感光ドラム1を離間させた状態で、モーター駆動電力検知装置52、検知結果記録装置53、データ処理装置54を用いて、モーター駆動電力を検知する。そして、その検知結果を記録し、その平均値W6を算出する(平均化処理)。算出したW6はデータ比較装置55に記録する。
次に、データ比較装置55を用いて、差分W5−W6と閾値W1の大小関係を比較する。W5−W6<W1(差分が所定の閾値未満である場合)ならば、トナーは劣化していないと判定し、W5−W6≧W1(差分が所定の閾値以上である場合)ならば、トナーは劣化していると判定する。そして、トナー劣化判定を終了する。
このように、現像ローラ9と感光ドラム1の当接時のモーター駆動電力の平均値と、現像ローラ9と感光ドラム1の離間時のモーター駆動電力の平均値との差分を算出すると、測定誤差が小さく、測定結果が安定するため、高精度にトナー劣化を検知できる。
(実使用条件下での耐久試験)
本実施の形態における現像装置3の耐久性能を確認すべく、実使用条件に近い条件下において耐久試験を行った。耐久試験は、現像容器8に、画像印字比率5%のA4サイズの画像8000枚相当である200gのトナーを充填して行った。
評価用の画像は、画像印字比率0.5%、1%、1.5%、2%、3%のA4サイズの文字パターンとした。また、2枚画像出力する毎に1回、5秒停止する間欠モードとした。試験環境は、温度23℃、湿度50%RHとした。
ここで、現像ローラ9、規制ブレード11、弾性ローラ10に印加される電圧をそれぞれ、Vdev、Vb、Vrsとすると、Vdev=−300V、Vb=−500V、Vrs=−300Vに設定し、現像ローラ9回転時は常に同じ電圧を印加し続けた。
現像ローラ9及び規制ブレード11へのトナー融着が発生すると、画像不良である「かぶり」が発生する。この「かぶり」の発生を調べるべく、耐久試験中にかぶり評価を行った。かぶり評価方法は以下の通りである。
すなわち、プリントアウト画像の白地部分の白色度(反射率Ds(%))と記録材の白色度(平均反射率Dr(%))との差から、かぶり濃度(%)(=Dr(%)−Ds(%))を算出し、画像かぶりを評価する方法を採用した。ここで、白色度は、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(有限会社東京電色製)により測定した。
本実施の形態では、ブラックトナーを用いているので、測定時に使用するフィルタとしてグリーンのフィルタを用いた。なお、第2の実施の形態から第5の実施の形態で後述する4色フルカラー画像形成装置では、測定時に使用するフィルタとして、シアンの場合はアンバーライト、イエローの場合はブルー、マゼンタ及びブラックの場合はグリーンのフィルタを用いた。また、かぶりの評価は、以下に示す基準で行った。
○:良好 3.0%未満
×:問題あり 3.0%以上
各々の画像印字比率条件で、1000枚印字するごとにかぶり評価を行い、かぶり評価が×となるまで耐久試験を行った。表1にかぶり評価(耐久試験評価)の結果を示す。
表1の1行目は、耐久試験の画像印字比率条件を示す。また、表1中の「トナー残量」、「現像ローラ駆動電力」、「当接時の現像ローラ駆動電力と離間時の現像ローラ駆動電力との差分」、「印字枚数」は、かぶり評価が×となり耐久試験を終了した時点における各々の値を示す。そして、このデータをもとに、各種トナー劣化検知方法を決めた。
まず、本実施の形態では、現像装置使用初期において、現像ローラ9と感光ドラム1を当接させた時の駆動電力と、現像ローラ9と感光ドラム1を離間させた時の駆動電力との差分は、2.0[W]であった。
そこで、基準値W0=2.0[W]とする。表1の結果を考慮すると、上記差分が基準値W0の1.5倍未満ならば、現像ローラ9や規制ブレード11ヘのトナー融着が発生しない。そこで、閾値W1=3.0[W]と設定し、上記差分が閾値W1未満ならば、現像装置3内のトナーは劣化していないと判定し、上記差分が閾値W1以上ならば、現像装置3内のトナーは劣化していると判定した。そして、1000枚印字するごとに、トナー劣化の判定を行った。
次に、比較例1として、画像印字比率に閾値を設けて、トナー劣化を検知する例を挙げる。この比較例1の場合は、画像印字比率が2.0%の時に、画像不良が発生することがなく、現像装置3内のトナーをほぼ全量消費することができた。
そこで、画像印字比率の閾値=2.0%とする。画像印字比率が2.0%の時に、現像装置3内のトナーをほぼ全量消費することができる印字枚数をXとする。そして、現像装置使用開始からX枚画像出力し終わったら、現像装置3内に劣化トナーが発生したと判定し、現像装置3の使用を停止する。
したがって、画像印字比率が2.0%以上のときは、現像装置内のトナーをほぼ全量消費することができるが、画像印字比率が2.0%未満のときは、現像装置3内のトナーを全量消費することができない。
また、比較例2として、現像ローラ駆動電力に閾値を設けてトナー劣化を検知する例を挙げる。この比較例2の場合、現像装置使用初期において、現像ローラ駆動電力は6.3[W]であった。そこで、基準値Y0=6.3[W]とする。
表1の結果を考慮すると、現像ローラ駆動電力が現像装置使用初期の1.3倍未満ならば、現像ローラ9や規制ブレード11ヘのトナー融着が発生しない。そこで、Y0×1.3≒8.2なので、閾値Y1=8.2[W]と設定し、上記差分が閾値Y1未満ならば、
現像装置3内のトナーは劣化していないと判定し、上記差分が閾値Y1以上ならば、現像装置3内のトナーは劣化していると判定した。そして、1000枚印字するごとに、トナー劣化の判定を行った。
以上の条件によって、本実施の形態、比較例1、比較例2の各々のトナー劣化検知方法を用いて、トナーが劣化したことを検知するまで耐久試験を継続した。耐久評価方法は、前述と同様で、評価用の画像は、画像印字比率0.5%、1%、1.5%、2%、3%のA4サイズの文字パターンとする。
表2に、各々のトナー劣化検知方法を用いて、トナー劣化を検知した時点における現像装置内のトナー残量を示す。
いずれの耐久試験評価においても、かぶり評価が×になることは無かった。この結果から、画像印字比率が2.0%以上では、どのトナー劣化検知方法を用いても現像装置3内のトナーのほぼ全量を消費可能であることがわかる。また、画像印字比率が1.5%では、どのトナー劣化検知方法を用いても、トナーが劣化していると検知した後の現像装置3内トナー残量はほぼ同じであることがわかる。
しかし、画像印字比率が0.5%、1.0%の場合、本実施の形態におけるトナー劣化検知方法を用いることで、比較例1及び比較例2より現像装置3内のトナー残量を減らすことができる。すなわち、本実施の形態を適用することにより、良好な状態で画像形成できる現像装置や現像剤を、無駄に廃棄することを抑えることができる。これは、現像ローラ9と感光ドラム1の摺擦による駆動負荷変化のみを測定することにより、高い精度でトナー劣化を検知できるためである。
以上のことから、本実施の形態を適用することにより、どのような画像印字比率条件で使用した場合でも、画像不良が発生することが無く、かつ、良好な状態で画像形成できる現像装置や現像剤を、無駄に廃棄することを抑えることができる。
なお、表1及び表2の試験環境は、温度23℃、湿度50%RHの環境(以下N/N環境)で行った。
さらに、温度15℃、湿度10%RHの環境(以下L/L環境)、温度30℃、湿度80%RHの環境(以下H/H環境)において、本実施の形態のトナー劣化検知方法を適用して耐久試験を実施した。
表3に、N/N環境の試験結果を実施例1−1に、L/L環境の試験結果を実施例1−2に、H/H環境の試験結果を実施例1−3に示す。
表3は、トナー劣化を検知した時点における現像装置3内のトナー残量を示す。なお、いずれの耐久試験評価においても、かぶり評価が×になることは無かった。
このようにN/N環境と同様に、L/L環境、H/H環境においても、本実施の形態のトナー劣化検知方法を適用することにより、良好な状態で画像形成できる現像装置や現像剤を、無駄に廃棄することを抑えることができる。
(実使用条件下でのシーケンス制御)
図1を参照して、本実施の形態において、現像ローラ9及び規制ブレード11に劣化トナーが融着することを防止する、実使用条件下のシーケンス制御を説明する。図1は、本実施の形態に係る画像形成装置のトナー劣化検知のシーケンス制御図である。
まず、画像出力命令を待機する状態(ステップS1)において画像出力命令を受けると、トナー劣化検知を行う(ステップS2)。その結果、トナー劣化を検知した場合(Yes)はステップS4に進み、検知しなかった場合(No)はステップS3に進み、画像を出力する。
ステップS2でトナー劣化を検知した場合(Yes)、現像装置交換要求を表示し、画像形成を一時停止する(ステップS4)。現像装置交換のためには、画像形成装置のドアを開閉しなければならないので、ドアの開閉が検知されるまで待機する(ステップS5)。
ドアの開閉を検知したら、トナー劣化検知を行い(ステップS6)、トナー劣化を検知した場合(Yes)はステップS4に戻り、検知しなかった場合(No)はステップS3に進み、画像を出力する。そして、ステップS3の画像出力が終了したらステップS1の画像出力待機状態に戻る。
上記のシーケンス制御を実施することで、現像ローラ9及び規制ブレード11に劣化トナーが付着して画像不良が発生する前に、正常な現像装置に交換することができる。これにより、現像ローラ9及び規制ブレード11へのトナー融着に起因した画像不良を防止することが可能になる。
(本実施の形態の補足説明)
以下、上記で説明した本実施の形態に係る画像形成装置について、補足的に説明を行う。ここでは、(トナー劣化の検知方法に関する補足説明)、(トナー劣化の判定方法に関する補足説明)、(閾値の設定に関する補足説明)、(現像ローラの回転負荷に関する補足説明)、(基準値と閾値の設定方法に関する補足説明)について説明する。さらに、(現像ローラの駆動電力の検知タイミングに関する補足説明)、(補足トナーに関する補足説明)、(現像ローラと感光ドラムの周速比に関する補足説明)、について説明する。
(トナー劣化の検知方法に関する補足説明)
本実施の形態では、現像ローラ9の駆動電力について、現像ローラ9と感光ドラム1が当接している時と、現像ローラ9と感光ドラム1が離間している時との差分を測定することで、トナー劣化を検知したが、本発明の検知方法は必ずしもこの限りではない。
図13に示すように、現像ローラ駆動モーターと同様に、感光ドラム駆動モーターも、現像ローラ9と感光ドラム1の摺擦の影響を受ける。したがって、感光ドラム1の駆動電力についても、現像ローラ9と感光ドラム1が当接している時と、現像ローラ9と感光ドラム1が離間している時との差分を測定することで、トナー劣化を検知することができる
。
また、一つのモーター(駆動手段)で現像ローラ9と感光ドラム1を駆動する場合でも、現像ローラ9と感光ドラム1が当接している時と、現像ローラ9と感光ドラム1が離間している時との差分を測定することで、トナー劣化を検知することができる。
これは、トナーが劣化すると、現像ローラ9と感光ドラム1が当接している時の現像部において、トナー表面の外添剤埋め込みや外添剤遊離が進み、トナー同士の摺擦によっても電力が消費されるためである。
したがって、感光ドラム1または現像ローラ9を回転駆動するモーターの少なくとも一方について、現像ローラ9と感光ドラム1が当接している時と、現像ローラ9と感光ドラム1が離間している時との差分を測定することで、トナー劣化を検知可能である。
(トナー劣化の判定方法に関する補足説明)
また、本実施の形態では、現像ローラ9と感光ドラム1が当接している時の現像ローラ駆動電力と、現像ローラ9と感光ドラム1が離間している時の現像ローラ駆動電力との差分を測定することで、トナー劣化を検知した。
しかしながら、本発明におけるトナー劣化の判定方法はこれに限られるものではない。すなわち、駆動電力の差分を算出するのではなく、当接時と離間時の駆動電力比率からトナー劣化を検知してもよい。
また、本実施の形態では、当接時と離間時の差分が閾値W1未満である場合、トナーは劣化していないと判定し、当接時と離間時の差分が閾値W1以上である場合、トナーは劣化していると判定した。
これによると、現像ローラ表面周速V1>感光ドラム表面周速V2ならば、当接時と離
間時の差分が常に正となるので、本実施の形態で説明した判定方法でよい。しかし、現像ローラ表面周速V1<感光ドラム表面周速V2の場合のように、当接時と離間時の差分が負となる可能性もある。
そこで、現像ローラ表面周速V1と感光ドラム表面周速V2の大小関係が変わっても、劣化トナーを正確に判定可能なように、当接時と離間時の差分の絶対値を閾値W1と比較する判定方法であってもよい。すなわち、当接時と離間時の差分の絶対値が閾値W1未満である場合、トナーは劣化していないと判定し、当接時と離間時の差分の絶対値が閾値W1以上である場合、トナーは劣化していると判定した。
(閾値の設定に関する補足説明)
本実施の形態では閾値を1つ設定したが、本発明における閾値の設定は必ずしもその限りではない。例えば、閾値を2つ設定してもよい。
現像装置使用初期において、現像ローラ9と感光ドラム1を当接させた時の駆動電力と、現像ローラ9と感光ドラム1を離間させた時の駆動電力との差分は2.0[W]であった。しかし、上記表1の結果を考慮すると、上記差分が現像装置使用初期の1.5倍未満であるならば、現像ローラ9や規制ブレード11ヘのトナー融着が発生しない。
そこで、現像装置使用初期の1.3倍を第一の閾値、1.5倍を第二の閾値と設定してもよい。すなわち、閾値W3=2.6[W]、閾値W4=3.0[W]と設定し、上記差分が閾値W3未満ならば「現像装置正常」と表示し、上記差分が閾値W3以上W4未満な
らば、「まもなく現像装置交換要求」と表示する。さらに、上記差分が閾値W4以上ならば「現像装置交換要求」と表示し、画像形成を一時停止する。
これにより「現像装置交換要求」と表示し、画像形成を一時停止する前に、ユーザーが現像装置3を交換する準備ができるので、すぐに現像装置3を新品に交換でき、画像形成装置100が使用できない時間を極力短くすることができる。
(現像ローラの回転負荷に関する補足説明)
本実施の形態では、現像ローラ9の回転負荷を検知する方法として、現像ローラ9を回転駆動するモーターの駆動電力を検知する方法を採用したが、本発明における現像ローラ9の回転負荷の検知方法は必ずしもこの限りではない。
例えば、モーターを駆動する際に必要な電流を検知する方法であってもよい。これにより、モーター電力の検知と同様に、現像ローラ9の回転負荷を検知することができる。また、モーターを駆動する際に必要な駆動トルクを検知する方法であってもよい。
(基準値と閾値の設定方法に関する補足説明)
本実施の形態では、現像装置使用初期において、現像ローラ9と感光ドラム1を当接させた時の駆動電力と、現像ローラ9と感光ドラム1を離間させた時の駆動電力との差分はW0=2.0[W]であった。
上記表1の結果を考慮すると、上記差分が現像装置使用初期の1.5倍未満ならば、現像ローラ9や規制ブレード11ヘのトナー融着が発生しない。そこで、閾値W1=3.0[W]と設定した。しかし、基準値W0及び閾値W1の設定方法はこの限りではない。
例えば、複数の現像装置3に対して、現像ローラ9と感光ドラム1を当接させた時の駆動電力と、現像ローラ9と感光ドラム1を離間させた時の駆動電力との差分を算出し、その平均値をW0としてもよい。
この方法を用いると、製造されてから使用開始されるまでの現像装置3の履歴の影響をほとんど受けず、また、現像ローラ9や規制ブレード11などの現像装置3内各種部材の性能誤差や設定誤差の影響をほとんど受けずに、基準値W0及び閾値W1を設定できる。よって、安定してトナー劣化を検知できる。
また、現像装置3の使用を開始して所定枚数画像出力後ならば、現像ローラ9を回転駆動する負荷が安定する。よって、その時に、現像ローラ9と感光ドラム1を当接させた時の駆動電力と、現像ローラ9と感光ドラム1を離間させた時の駆動電力との差分を算出し、その平均値をW0としてもよい。
また、閾値W1は基準値W0の1.5倍でなくともよく、各々の現像装置やトナーに対して適切な定数倍を決めればよい。
(現像ローラの駆動電力の検知タイミングに関する補足説明)
本実施の形態では、画像形成前に現像ローラ駆動電力を検知したが、本発明における現像ローラの駆動電力の検知タイミングは必ずしもこの限りではない。すなわち、画像形成前に限らず、非画像形成時ならばどのタイミングで検知を行ってもよい。
例えば、画像形成動作終了後、非通紙状態で現像ローラ9の駆動が行われる後回転中に、現像ローラ駆動電力の検知を行ってもよい。また、感光ドラム1上で紙間時に相当するタイミングで、現像ローラ駆動電力の検知を行ってもよい。ここで、紙間とは、連続して
画像形成を行った際の、連続して搬送される記録材と記録材の間を意味する。
なお、非画像形成中に現像ローラ駆動電力を検知する理由は以下の通りである。
非画像形成時には、感光ドラム表面電位は約−500Vに帯電しており、現像ローラ9の心金には−300V電圧が印加され、トナーは負帯電トナーであるので、トナーは現像ローラ9の表面に付着したまま現像部を通過する。すなわち、周速差が生じるのは、常に、現像ローラ9上のトナー層と、感光ドラム1表面の間である。したがって、現像ローラ駆動電力は安定する。
しかし、画像形成中には、現像部において現像ローラ9と感光ドラム1の間のトナーは、現像ローラ9に付着し、感光ドラム1にも付着可能である。したがって、現像ローラ9と感光ドラム1間の動摩擦係数μが不安定になり、現像ローラ9と感光ドラム1間の摺擦に伴う駆動電力の増減も不安定になり、現像ローラ駆動電力は安定しない。
以上説明したように、安定した現像ローラ駆動電力を検知するためには、非画像形成中に現像ローラ駆動電力を検知することが好ましい。しかし、画像形成中や、現像ローラ9から感光ドラム1にトナーを現像している時に、トナー劣化を検知する検知タイミングであってもよいことはもちろんである。
(補給トナーに関する補足説明)
本実施の形態では、補給トナーの正規帯電極性は負極性であるが、本発明における補給トナーはこれに限定されるものではない。負極性に帯電したトナーではなく、正規帯電極性が正極性であるトナーを用いてもよい。その場合は、必要に応じて、帯電ローラ2、現像ローラ9、規制ブレード11、弾性ローラ10等の部材に印加する電圧の極性を変えればよい。
(現像ローラと感光ドラムの周速比に関する補足説明)
本実施の形態では、現像ローラ周速V2=300[mm/s]、感光ドラム周速V1=200[mm/s]であり、現像ローラ周速/感光ドラム周速(V2/V1)=1.5であるが、本発明における両者の周速比は必ずしもこの限りではない。
図16は、現像ローラ周速/感光ドラム周速に対する、現像ローラ9と感光ドラム1が当接している時の現像ローラ駆動電力と、現像ローラ9と感光ドラム1が離間している時の現像ローラ駆動電力との差分変化を示す図である。
図16に示すように、現像ローラ周速/感光ドラム周速が、0.95以下または1.05以上ならば、現像ローラ9と感光ドラム1が当接している時の現像ローラ駆動電力と、離間している時の現像ローラ駆動電力の差分を測定することが可能である。
ただし、現像ローラ周速/感光ドラム周速が、0.95以下の場合、上記差分は負に、1.05以上の場合、上記差分は正になる。したがって、上記差分の絶対値と閾値を比較すれば、トナー劣化を確実に検知することができる。
[第2の実施の形態]
図4を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。
上記第1の実施の形態では、画像形成装置100は単色の画像形成装置であるものとして説明したが、本発明に係る画像形成装置はこれに限定されるものではなく、フルカラー画像を形成可能な画像形成装置であってもよい。
すなわち、本実施の形態に係る画像形成装置は、電子写真方式を用いて、フルカラー画像などの多色画像を形成可能なカラー画像形成装置である。
本実施の形態に係る画像形成装置には、各色のトナーに応じた複数の現像装置が設けられており、各々の現像装置には、回転可能な像担持体が設けられる。そして、画像を形成する際には、感光体上に順次に形成された静電潜像を、各々の現像装置において順次現像する。
各々の感光体上に形成されたトナー像は、記録材上に直接転写されるか、又は中間転写体に一旦転写した後に記録材に転写される。この転写の際に、各々のトナー像が重なって転写されることで、記録材、または中間転写ベルト上には所望の色調を有するカラー画像が形成される。
また、単一の感光体に対して、各色トナーごとに現像装置を設け、単一の感光体上に所望の色調を有するトナー像を現像する構成であってもよい。かかる構成で感光体上に現像されたカラー画像は、その後記録材に転写される。
図4に本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す。図4に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置は、各色トナーに応じた複数の画像形成部を有し、4色フルカラー画像の形成が可能なカラー画像形成装置である。
図4に示すカラー画像形成装置200は、複数の画像形成部として、それぞれシアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部を有する。プロセスカートリッジ19A、19B、19C、19Dはそれぞれ、第1、第2、第3、第4の画像形成部に対応する。
各画像形成部の構成及び動作は、用いるトナーの色が異なることを除いて、第1の実施の形態と実質的に同じであるので、それについての説明は省略する。また、以下の説明において特に区別を要しない場合は、いずれかのトナーの色用に設けられた要素であることを表すために図4中符号に与えた添え字A、B、C、Dは省略して総括的に説明する。
画像形成装置200は、垂直方向に並設された4個の画像形成部にそれぞれ、像担持体としての感光ドラム1を備える。この感光ドラム1は、矢印方向に駆動モーター(不図示)により回転駆動される。
感光ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に、帯電ローラ2、露光装置6、現像装置3、静電搬送転写装置18、クリーニングブレード5等が配設されている。また、現像装置3の動作は、第1の実施の形態において説明した図3の画像形成装置100と同様である。帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面を均一に帯電する。
露光装置6は、画像情報に基づきレーザを照射し、感光ドラム1上に静電潜像を形成する。現像装置3は、静電潜像を現像剤像(トナー像)として現像する。静電搬送転写装置18は、感光ドラム1上のトナー像を記録材Pに転写する。クリーニングブレード5は、転写後の感光ドラム1表面に残った転写残トナーを除去する。
感光ドラム1、及び、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置3、クリーニングブレード5及び廃トナー収納容器13は一体的にカートリッジ化され、プロセスカートリッジ19を形成している。プロセスカートリッジ19は、画像形成装置200の本体に着脱可能になっている。
また、本実施の形態では、各プロセスカートリッジ19A、19B、19C、19Dは全て同一形状を有し、全て同じ構成であるが、その中に内包されるトナーがそれぞれシアン、イエロー、マゼンタ、ブラックである。
そして、全ての感光ドラム1に対向して接するように、循環移動する記録材担持体としての記録材搬送ベルト(静電搬送ベルト)22が配設されている。また、4個の感光ドラム1に対応して、静電搬送ベルト22の内側に当接する転写部材としての転写ローラ4が並接される。
転写ローラ4は、静電搬送ベルト22を介して感光ドラム1に当接して転写部を形成する。転写ローラ4から静電搬送ベルト22を介して正極性の電荷が記録材Pに印加され、この電荷による電界により、感光ドラム1に接触中の記録材Pに、感光ドラム1上の負極性トナーが転写される。
また、画像形成装置200には、記録材Pに転写された複数のトナー像を定着させる定着器7が設けられる。感光ドラム1上のトナー像を転写した記録材Pは、定着器7を通過する際に熱及び圧力を印加される。これにより、複数色のトナー像が記録材Pの表面に永久定着される。
なお、図4に示すカラー画像形成装置200における現像装置3は、上記第1の実施の形態において図2を参照して説明したものと同様であり、トナーとしては、非磁性一成分現像剤が用いられる。しかし、本発明におけるトナーはこれに限定されず、磁性一成分現像剤を用いてもよい。
次に、現像ローラ9を駆動する方法の詳細を説明する。
現像ローラ9の駆動手段として、本実施の形態ではモーター(不図示)を用いた。また、このモーターで現像装置内の現像ローラ9、弾性ローラ10、撹拌部材12も回転駆動する構成とした。
ただし、感光ドラム1、静電搬送ベルト22の駆動には、現像ローラ9を駆動するモーターとは別の回転駆動手段を用いる。本実施の形態では、モーターの数を少なくするために、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック各々の現像器を1つのモーターで駆動する構成とした。
次に、トナー劣化検知方法の種類によって、トナーが劣化していると検知した時の現像装置内トナー残量が異なることを示す。
まず本実施の形態では、第1の実施の形態1と同様に、現像装置使用初期において、現像ローラ9と感光ドラム1を当接させた時の駆動電力と、現像ローラ9と感光ドラム1を離間させた時の駆動電力との差分は2.0[W]であった。
そこで、基準値W0=2.0[W]とする。上記表1の結果を考慮すると、上記差分が基準値W0の1.5倍未満ならば、現像ローラ9や規制ブレード11ヘのトナー融着が発生しない。
そこで、閾値W1=3.0[W]と設定し、上記差分が閾値W1未満ならば、現像装置3内のトナーは劣化していないと判定し、上記差分が閾値W1以上ならば、現像装置内のトナーは劣化していると判定した。
そして、1000枚印字するごとに、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック各々の現像器について、トナー劣化の判定を行った。
次に、比較例3(比較例1、2は上記第1の実施の形態、表2を参照)として、現像ローラ駆動電力に閾値を設けて劣化トナーの有無を検知する方法を設定する。
現像装置使用初期において、現像ローラ駆動電力は24.9[W]であった。そこで、基準値Y0=24.9[W]とする。上記表1の結果を考慮すると、現像ローラ駆動電力が現像装置使用初期の1.3倍未満ならば、現像ローラ9や規制ブレード11ヘのトナー融着が発生しない。
そこで、閾値Y1=32.4[W]と設定し、上記差分が閾値Y1未満ならば、現像装置内のトナーは劣化していないと判定し、上記差分が閾値Y1以上ならば、現像装置内のトナーは劣化していると判定した。そして、1000枚印字するごとに、トナー劣化の判定を行った。
そして、本実施の形態、比較例3のトナー劣化検知方法を用いて、劣化トナーを検知するまで耐久試験を継続した。耐久評価方法は、前述と同様で、評価用の画像は画像印字比率0.5%、1%、1.5%、2%、3%のA4サイズの文字パターンとする。
表4に、各々のトナー劣化検知方法を用いて、トナー劣化を検知した時点における現像装置内のトナー残量を示す。
上記表4において、いずれの耐久試験評価においても、かぶり評価が×になることは無かった。この結果から、画像印字比率が2.0%以上では、どのトナー劣化検知方法を用いても現像装置内のトナーのほぼ全量を消費可能であることがわかる。
しかし、画像印字比率が0.5%、1.0%、1.5%の場合、本実施の形態のトナー劣化検知方法を用いることで、比較例3より現像装置内のトナー残量を減らすことができる。すなわち、本実施の形態を適用することにより、良好な状態で画像形成できる現像装置や現像剤を、無駄に廃棄することを抑えることができる。
(第2の実施の形態の補足説明)
本実施の形態では、モーターの数を少なくするために、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック各々の現像器を1つのモーターで駆動する。
この場合、本実施の形態の耐久試験条件のように、現像装置の使用開始が同じで、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック各色の使用頻度が同じ場合は、現像ローラ駆動電力の絶対値で劣化トナーを検知してもよい。
しかし、実際の使用条件では、使用済みの現像装置と新しい現像装置を交換して新しい現像装置を使用開始するタイミングは、各々の現像装置によって異なるし、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック各色の使用頻度も異なる。
したがって、このような場合、現像ローラ駆動電力の絶対値で劣化トナーを検知しても、どの現像装置内のトナーが劣化しているか分からない。このような場合、4色全ての現像装置を交換しなければならず、良好な状態で画像形成できる現像装置や現像剤を、無駄に廃棄しなければならない。
また、1つの現像装置のみトナー劣化が発生している場合、現像ローラ駆動電力は、ほぼ6.3×1.0×3+6.3×1.3×1=27.1Wである。したがって、閾値Y1
=32.4Wに達していないため、トナー劣化を検知できない。
このような場合でも、本発明のように、各々の現像装置について、現像ローラ9と感光ドラム1を当接及び離間させることにより、どの現像装置においてトナー劣化が発生しているか判定できる。
[第3の実施の形態]
図5、6、9、10を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
上記第1、第2の実施の形態は、現像装置が補給機構(現像剤補給手段)を備えていない構成であったが、本発明に係る画像形成装置はこれに限定されるものではない。
図6に本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図を示す。図6に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置は、複数の画像形成部を有するフルカラー画像の形成が可能な装置であって、現像装置がトナーの補給機構を備えている点が特徴である。この現像装置の概略構成を図5に示す。
本実施の形態と上記第1、2の実施の形態との相違点は、現像装置が補給機構を備えている点のみである。すなわち、現像装置の補給機構以外の構成は、第1、2の実施の形態と異なるものではないのでその説明については省略する。
図5に示すように、本実施の形態における現像装置3は、現像剤担持体としての現像ローラ9、現像剤供給部材としての弾性ローラ10、層厚規制部材としての規制ブレード11、現像室31、現像室攪拌部材32、を備えている。さらに、現像剤収容室としてのトナー収容室33、及びトナー収容室攪拌部材34を備えている。
現像室31は、現像ローラ9を含むように設けられている。現像室攪拌部材32は、現像室31内のトナーTを攪拌するように回転可能に設けられている。トナー収容室33は、開口42を介して現像室31とつながる(連通する)ように設けられている。トナー収容室攪拌部材34は、トナー収容室33内のトナーTを攪拌するように設けられている。現像室31には最大50gのトナーを入れることができる。
トナー収容室33は、トナー収容室攪拌部材34と、トナー補給ローラ41を備える。トナー収容室攪拌部材34で攪拌されたトナーTは、トナー補給ローラ41に供給される。トナー補給ローラ41は、後述のトナー補給制御時に回転し、開口42を介して、現像室31にトナーTを補給する。
現像室31からトナーが消費されたら、逐次トナー収容室33からトナーが補給され、現像室31内は常にトナーが50gになるように制御されている。
なお、本実施の形態におけるトナー劣化検知方法は上記第1の実施の形態と同様である。異なる点は、トナーが劣化していると検知した後の、トナー劣化検知のシーケンス制御
である。以下、図10を参照して本実施の形態におけるトナー劣化検知のシーケンス制御について説明する。
まず、画像出力命令を待機する状態から始まる(ステップS1)。次に、画像出力命令を受けたらトナー劣化検知を行い(ステップS2)、YesならばステップS4に進み、NoならばステップS3に進み、画像を出力する。
ステップS2でYesの場合、現像室から不図示の現像剤排出手段によってトナーを5g排出する(ステップS4)。次に、トナー収容室から現像室に5g補給する(ステップS5)。トナー劣化検知を行い(ステップS6)、YesならばステップS4に戻り、NoならばステップS3に進み、画像を出力する。ステップS3の画像出力が終了したら、ステップS1の画像出力待機状態に戻る。
上記のシーケンス制御を実施することで、現像ローラ9及び規制ブレード11に劣化トナーが付着して画像不良が発生する前に、現像室内のトナーの一部を新しいトナーに交換することができる。また、新しいトナーが現像室内に補給されると、現像ローラ9及び規制ブレード11に劣化トナーが付着し続けなくなる。これにより、現像ローラ9及び規制ブレード11へのトナー融着に起因した画像不良を防止できる。
(第3の実施の形態の補足説明)
本実施の形態では、現像室31からのトナー排出と、トナー収容室33から現像室31へのトナー補給を連続して行ったが、本発明におけるトナー補給のタイミングは、必ずしもこの限りではない。
例えば、トナーの劣化を検知した場合は、現像室31からトナーを排出しなくても、トナー収容室33から現像室31にトナーを補給することができる場合、現像室31からのトナー排出無しで、トナー収容室33から現像室31へのトナー補給を行ってもよい。
(他のトナー劣化検知方法の併用)
本実施の形態では、現像ローラ9と感光ドラム1を当接させた時の駆動負荷と、現像ローラ9と感光ドラム1を離間させた時の駆動負荷との差分を用いて、トナー劣化を検知したが、上記方法に加えて、他のトナー劣化検知方法を併用しても良い。2種類以上のトナー劣化検知方法を用いることで、より正確なトナー劣化検知が可能になる。
また、下記において、現像装置の履歴情報として、現像装置の総画像出力枚数、及び現像ローラの総回転時間をもとに、トナー劣化を検知する方法を説明する。
しかし、この方法でトナー劣化を検知した後に、現像ローラ9と感光ドラム1を当接させた時の駆動負荷と、現像ローラ9と感光ドラム1を離間させた時の駆動負荷との差分を用いて、トナー劣化を検知してもよい。これにより、本発明のトナー劣化検知回数を減らすことができ、非画像形成時に画像形成装置を動作させる時間を減らすことができる。
以下に、現像装置の総画像出力枚数及び現像ローラの総回転時間をもとに、トナー劣化を検知する方法をその一例として示す。
図9は、本実施の形態におけるトナー劣化情報検知装置67を説明するための図である。図9に示されるように、トナー劣化情報検知装置67は、画像信号処理回路61、現像ローラ走行距離測定回路62、カウンタ63、CPU64、RAM65、ROM66から構成される。現像装置の履歴情報である現像ローラ走行距離は、現像ローラ走行距離測定回路62で測定され、CPU64に記録される。
また、トナー劣化情報検知装置67は、制御手段、判定手段、走行距離導出手段を構成している。
印字されるデジタル画像信号は、画像信号処理回路61に送られ、ここで画素毎にその画素の濃度に対応した出力レベルを有する8bit(256値)の画素画像信号に変換される。
各画素の濃度に対応した画素画像信号は、カウンタ63によって積算される。ここで、カウンタ63からの積算信号S1は、トナー像を形成するために現像容器8から消費されるトナー量に対応している。
そこで、この積算信号S1をCPU64に供給すると共にRAM65に記憶する。ここで、A4サイズで、画像印字比率5%の画像を8000枚出力した場合に、200g消費されるように現像装置を設定する。
この時、600dpiで印字した場合、A4サイズ、7128×5040dotで、8000枚印字した場合の画素画像信号の積算信号をT1とする。
これにより、
(積算信号S1の時の推定トナー消費量)=200×(S1/T1)
として算出することができる。そこで、T1をROM66に記録する。
本発明の発明者は、トナーの劣化レベルは、現像ローラ走行距離の積算値すなわち「回転時間×周速」にほぼ比例していることを確認している。
ここでは、現像ローラ9の周速を、現像ローラ表面の回転速度と定義する。そこで、現像室31から消費または排出されるトナー量及び、トナー収容室33から現像室31に補給されるトナー量を考慮したトナー劣化指標をS3とする。
すなわち、この値が大きいほど、現像室31内のトナーが劣化していると判定する。
また、トナー劣化指標S3(現像剤劣化指標S3)の算出方法を以下に示す。
現像ローラ走行距離の積算値S2は、現像ローラ9の回転時間及び周速を測定し、回転時間と周速の乗算を算出可能である、現像ローラ走行距離測定回路62によって算出される。
本実施の形態では、A4サイズで、2枚画像出力する毎に、1回停止する間欠モードで、画像印字比率1.5%画像を出力し続けた場合、トナーが劣化していると判定する。現像装置の総画像出力枚数及び現像ローラの総回転時間をもとに、トナー劣化を検知する判定は、100枚印字する毎に行った。
また、現像室31には最大50gのトナーを入れることができる。
A4サイズで、画像印字比率100%のベタ画像を100枚出力した場合に、推定トナー消費量は50gである。従って、100枚印字した時の現像室31からの推定トナー消費量をX1、現像室31のトナー量(現像室31に収容可能なトナーの最大量)をX2とすると、常に、X2≧X1を満たす。
印字枚数のカウントは、印字枚数カウンタ69で行った。ここで、A4サイズで、2枚画像出力する毎に、1回停止する間欠モードで、画像を100枚出力した場合の現像ローラ走行距離の積算値をT2とする。そこで、T2をROM66に記録する。
この場合、上記画像出力条件では、
(100枚出力時の推定トナー消費量)
=(100/8000)×(1.5/5)×200
=0.75g
(100枚出力時の現像ローラ走行距離)=T2
となる。
従って、画像印字比率1.5%画像を100枚印字した場合、0.75gトナーが消費されると推定される。
現像室31内のトナーを消費した場合、トナー補給ローラ41を回転駆動し、現像室31内に設けられたトナー残量検知センサ43が現像室に50gのトナーが入っていることを示すまで、トナー収容室33から現像室31に新品トナーを逐次補給する。ここで、トナー残量検知センサ43は、現像剤消費量導出手段を構成している。
このような現像室のトナーの入れ替わりを考慮して、一定枚数出力した時の現像ローラ走行距離をL1、一定枚数出力した時の現像室からの推定トナー消費量をX1、現像室のトナー量をX2として、
トナー劣化指標S3=L1×(X2−X1)/X2
と定義する。なお、常に、X2≧X1を満たすので、S3≧0である。
ここで、画像印字比率1.5%画像を100枚印字した場合、0.75gトナーが消費されると推定されて、
トナー劣化指標の閾値T3=T2×(50−0.75)/50
として算出することができる。
したがって、トナー劣化指標S3が、トナー劣化指標の閾値T3を上回る場合、トナーが劣化していると判定する。この判定は、CPU64で行う。なお、トナー劣化指標S3は、トナー劣化判定後にRAM65に記憶する。
また、画素画像信号の積算信号S1、現像ローラ走行距離の積算値S2は、0にリセットされる。そして、トナー劣化判定を終了する。印字枚数カウンタ69を0にリセットする。画像出力する毎に、S1及びS2は積算され、印字枚数カウンタ69も印字枚数をカウントする。
次に、トナーが現像室31に補給された場合の、トナー劣化指標S3の変化を例示する。現像ローラ9から感光ドラム1に5g分(A4ベタ画像10枚相当)の劣化トナーを現像し、現像室31から排出する。その後で、トナー収容室33から現像室31に5g新品トナーを補給する。
この場合、現像室31からトナーを排出・補給する前のトナー劣化指標をS3’、現像室31からトナーを排出・補給した後のトナー劣化指標をS3’’とすると、S3’’=S3’×(45/50)=0.9×S3’となる。すなわち、トナー劣化指標S3を下げることができる。
現像装置3を使用開始してから、n+1回目のトナー劣化検知方法を以下で説明する。
n回目のトナー劣化指標を[S3]nとする。[S3]nは、n回目のトナー劣化判定後に、RAM65に記憶されている。
n回目のトナー劣化判定から、n+1回目までに、(画素画像信号の積算信号S1の推定トナー消費量)=200×(S1/T1)である。
従って、n+1回目のトナー劣化指標は、
[S3]n+1=([S3]n+S2)×(W2−W1)/W2
=([S3]n+S2)×(50−200×(S1/T1))/50
である。
[S3]n+1が、トナー劣化指標の閾値T3を上回る場合、トナーが劣化していると判定する。この判定は、CPU64で行う。判定後の動作は、既述の通りである。
トナー劣化指標[S3]n+1は、トナー劣化判定後にRAM65に記憶する。また、画素画像信号の積算信号S1、現像ローラ走行距離の積算値S2は、0にリセットされる。そして、トナー劣化判定を終了する。印字枚数カウンタ69を0にリセットする。
このような現像装置の総画像出力枚数及び現像ローラの総回転時間をもとに、劣化トナーを検知する方法と、本発明のトナー劣化検知方法を併用することで、より正確なトナー劣化検知が可能になる。
[第4の実施の形態]
図7、図11を参照して本発明の第4の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
上記第3の実施の形態では、現像室31内にトナー残量検知センサ43を設ける構成であった。そして、現像室31内のトナーが消費されたら、トナー補給ローラ41を回転し、消費分だけトナー収容室33から現像室31へトナー補給を行うように制御した。
しかし、本発明に係る画像形成装置の構成は、トナー収容室33から現像室31へのトナー補給を制御することに限定されるものではない。すなわち、トナー補給制御を行わない現像装置を備える構成であってもよい。
図7は、トナー収容室33から現像室31へのトナー補給制御を行わない現像装置44の概略構成を示す断面図である。
この現像装置44は、トナー収容室33が現像室31の上方に位置し、開口42が常に開いていて、現像室攪拌部材32とトナー収容室攪拌部材34を常に回転させる。ここで、現像室攪拌部材32は、穴を開けたマイラシートを用い、トナー収容室攪拌部材34は金属棒を用いた。
このような構成を採用した場合、現像室31内のトナーが消費されたら、トナーの自重により、消費した分だけトナー収容室33から現像室31へトナー補給を行うことができる。
本実施の形態のトナー劣化検知方法は、上記第1の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。ここでは第1の実施の形態と異なる、トナーが劣化していると検知した後の動作についてのみ説明を行う。
図11に、本実施例における画像形成装置のトナー劣化検知のシーケンス制御図を示す。
画像出力命令を待機する状態から始まる(ステップS1)。画像出力命令を受けたら、トナー劣化検知を行い(ステップS2)、Yesならば、ステップS4に進み、Noならば、ステップS3に進み、画像を出力する。
ステップS2でYesの場合、現像室からトナーを5g排出する(ステップS4)。トナー劣化検知を行い(ステップS5)、Yesならば、ステップS4に戻り、Noならば、ステップS3に進み、画像を出力する。ステップS3の画像出力が終了したら、ステップS1の画像出力待機状態に戻る。
本実施の形態の現像装置44では、ステップS4で現像室31からトナーを排出するだけで、トナーの自重により、消費した分だけトナー収容室33から現像室31へトナー補給を行う。
これにより、上記のシーケンス制御を実施することで、現像ローラ9及び規制ブレード11に劣化トナーが付着して画像不良が発生する前に、現像室内のトナーの一部を新しいトナーに交換することができる。これにより、現像ローラ9及び規制ブレード11へのトナー融着に起因した画像不良を防止できる。
[第5の実施の形態]
図12を参照して本発明の第5の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
上記第1の実施の形態では、トナーが劣化していると検知した後に現像器交換要求を表示し、ユーザーに現像器を交換してもらったが、本発明に係る画像形成装置の構成は必ずしもこの限りではない。
例えば、トナーが劣化していると検知した後に、不図示の画像形成条件制御手段によって、画像形成条件を変更する構成であってもよい。
通常、画像形成速度が速いほど、画像形成装置内の温度が上昇するため、現像装置内のトナー温度も上昇しやすい。また、単位時間当たりに摺擦されるトナー量も多い。そこで、トナーが劣化していると検知した後は、トナーにかかる負荷をより小さくした画像形成条件で画像出力してもよい。
図12に、本実施の形態における画像形成装置のトナー劣化検知のシーケンス制御図を示す。ここでは、通常の感光ドラム周速をVとした。
画像出力命令を待機する状態から始まる(ステップS1)。画像出力命令を受けたら、トナー劣化検知を行い(ステップS2)、Yesならば、ステップS4に進み、Noならば、ステップS3に進み、画像出力する。ステップS2でYesの場合、感光ドラム周速を通常の半分の速度であるV/2にする(ステップS4)。
トナー劣化検知を行い(ステップS5)、Yesならば、ステップS6に進み、Noならば、ステップS3に進み、画像出力する。ステップS6では、一定時間画像出力を停止する。その後で、再びステップS4、ステップS5に進む。
ステップS3の画像出力が終了したら、感光ドラム周速を通常の速度Vにする(ステッ
プS7)。その後、ステップS1の画像出力待機状態に戻る。
本実施の形態では、トナーが劣化していると検知した後は、感光ドラム周速を通常の半分の速度であるV/2にして、トナーにかかる負荷をより小さくすることができる。それでも、トナー劣化を検知する場合は、一定時間画像出力を停止し、トナーの温度を下げ、よりトナー融着が発生しにくい条件で画像出力を行う。
以上述べたとおり、上記のシーケンス制御を実施することで、現像ローラ9及び規制ブレード11に劣化トナーが付着して画像不良が発生することを防止できる。そして、現像ローラ9及び規制ブレード11へのトナー融着に起因した画像不良を防止できる。
なお、本実施の形態では、トナーが劣化していると検知した後は、感光ドラム周速を通常の速度より遅くすることで、トナー融着の発生を防止したが、本発明に係る画像形成装置の構成は、必ずしもこの限りではない。
すなわち、トナーが劣化すると、現像ローラ9に対するトナーの付着力が上がり、現像ローラ9に過剰にトナーが付着しやすくなる。過剰にトナーが付着した部分では、トナーが十分に帯電されず、感光ドラム1の画像白地部にトナーが移動する「かぶり」が発生してしまう。
そこで、トナーが劣化していると検知した時に、規制ブレード11に印加する電圧を変更することで、規制ブレード11の規制力を上げて「かぶり」を防止してもよい。
例えば、現像ローラ9、規制ブレード11に印加される電圧をそれぞれ、Vdev、Vbとすると、トナー劣化検知前には、Vdev=−300V、Vb=−500Vに設定し、トナー劣化検知後には、Vdev=−300V、Vb=−400Vに設定してもよい。
これにより、現像ローラ9と規制ブレード11の当接部における電界を小さくすることができ、規制ブレード11側から現像ローラ9側に負帯電トナーを移動させる力を小さくすることができる。
同様に、トナーが劣化していると検知した時に、弾性ローラ10に印加する電圧を変更することで、弾性ローラ10から現像ローラ9への負帯電トナーの供給を減らすことで、「かぶり」を防止してもよい。
例えば現像ローラ9、弾性ローラ10に印加される電圧をそれぞれ、Vdev、Vrsとして、トナー劣化検知前には、Vdev=−300V、Vrs=−300Vに設定し、トナー劣化検知後には、Vdev=−300V、Vrs=−200Vに設定してもよい。これにより、現像ローラ9側から弾性ローラ10側に負帯電トナーを移動させる力を大きくすることができる。
また、トナーが劣化すると、感光ドラム1に対するトナーの付着力が上がる。このため、画像形成装置使用初期から転写ローラ4に印加する電圧を変えない場合、感光ドラム1から紙へトナーを転写する効率が落ちる。
そこで、トナーが劣化していると検知した時に、転写ローラ4に印加する電圧を変更することで、負帯電トナーを感光ドラム1から紙に転写する電界を大きくすることで転写効率の低下を防止してもよい。
例えば、転写ローラ4に印加される電圧をVtとすると、トナー劣化検知前には、Vt
=1500Vに設定し、トナー劣化検知後には、Vt=2000Vに設定してもよい。また、転写電流で転写電圧を制御している場合は、トナー劣化検知前の転写電流より、トナー劣化検知後の転写電流を大きくしてもよい。このように、トナー劣化に伴う画像不良を防止する画像形成条件の変更ならば、どのような条件変更でもよい。
[その他の実施の形態]
本発明の実施の形態は、上記第1〜第5の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記各実施の形態では、感光ドラム1、現像装置3、帯電ローラ2、クリーニングブレード5、及び廃トナー収納容器13を一体的にカートリッジ化して、画像形成装置本体200に対して着脱自在なプロセスカートリッジ19とした。
しかし、感光ドラム1を画像形成装置本体に固定配置して、現像装置3のみを画像形成装置本体に着脱自在なカートリッジ19(現像カートリッジ)として交換する構成の画像形成装置においても、同様に本発明を適用することができる。
または、現像装置3を画像形成装置本体に固定配置して、この現像装置3にトナーを補給する構成の画像形成装置においても、同様に本発明を適用することができる。この場合、補給トナーは、現像装置3に初期から入っているトナーと異なってもよい。