JP2009225133A - 車載アンテナ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 指向性制御を可能にすると共に、水平偏波/垂直偏波の偏波面切り換えを可能にして、電波の到来方向や偏波面が変化しても良好な受信性能を得られるようにする。
【解決手段】 アンテナ装置2は、基板10の両端に垂直偏波アンテナとしての第1アンテナ20及び第2アンテナ30が設けられている。また、基板10の裏面における、各アンテナ20,30の各地板21,31の間には、移相器12,13及び合成分配器14のグランドとしての回路グランド11が形成されている。回路グランド11と各地板21,31とは、少なくともスリット26,36において分離されているため、各アンテナ20,30は高い垂直偏波の利得が得られる。回路グランド11は更に、各アンテナ20,30との結合により、水平偏波の無給電素子としても機能する。これにより、各移相器12,13を適宜制御することで、偏波面の切り換え及び指向性制御を行うことが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載され、少なくとも電波の受信用に用いられる車載アンテナ装置に関する。
従来、例えば道路を走行する各車両が現在位置、速度、走行方向等のデータを車車間通信により送受信して車両同士の衝突事故を防止するシステムや、道路近傍に設置された路側機と車両との間で路車間通信を行う、ETCシステム(Electric Toll Collection System )や道路交通情報システム(VICS:Vehicle Information and Communication System)等の各種システムが知られている。
このような車車間通信、路車間通信において用いられるアンテナは、車体ルーフ上や車内インパネ上に設けるのが一般的ではあるものの、近年、車室内スペースの確保や見栄え向上等を目的として、ルームミラーに内蔵する構成が提案されている。しかし、ルームミラーにアンテナを内蔵すると、ルームミラーの向きが運転者によって変更された場合、アンテナの向きも同時に変化することになるため、安定した通信が確保されないという問題がある。
これに対し、例えば特許文献1には、ルームミラーにフェーズドアレイアンテナを設置することにより、ルームミラーの角度が変わってもそれに合わせてアンテナの指向性を適正方向に補正する技術が開示されている。また、特許文献2には、ルームミラーを動かすとギアによって内蔵アンテナも動くようにする(ミラーに対す.る相対的な移動であり、車体に対しては不動となるようにする)ことで、ミラーを動かしても内蔵アンテナの向きは車体に対して不変となるようにする技術が開示されている。
特開2006−279881号公報 特開2003−146136号公報
ところで、車車間通信或いは路車間通信で送受信される電波の偏波面は、送信側から送信されたときの偏波面に対し、受信側のアンテナに到達するまでの間の通信環境等(例えば反射物の存在やその凹凸等)によって変化してしまう可能性がある。そのため、例えば垂直偏波の電波が送受信されるような通信システムにおいて、送信側からは垂直偏波が送信されたとしても、受信側のアンテナに到達した電波の偏波面は垂直偏波とは違ったもの(例えば水平偏波)となってしまうことがある。
このような偏波面の変化が生じると、受信側のアンテナにおいて受信感度・受信利得が低下し、良好な受信性能を得ることができなくなる。特許文献1に開示された技術では、フェーズドアレイアンテナによる指向性の補正は可能であるが、上述した偏波面の変化には対応できず、通信環境等によっては安定した通信が確保されなくなる。
そのため、単に指向性を補正できるだけではなく、受信する電波の偏波面が変化しても、或いは、送信側から送信される電波の偏波面そのものが受信側のアンテナの偏波面とは異なるものであった場合でも、所望の受信性能が得られるようにすることが望まれていた。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、指向性の制御を可能にすると共に、水平偏波/垂直偏波の偏波面切り換えを可能にすることにより、電波の到来方向や偏波面が変化しても良好な受信性能を得ることが可能な車載アンテナ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、車両に搭載される車載アンテナ装置であって、水平方向に所定の長さを有する基板を備え、この基板における水平方向の両端にそれぞれ、垂直偏波のアンテナが設けられている。基板には、導体パターンとして、各アンテナ毎に形成され、該各アンテナの地板として機能する地板パターンと、各地板パターンの間に形成され、各アンテナの双方に対し、水平偏波の無給電素子として機能する中間パターンとが形成されている。そして、各アンテナの受信信号のうち少なくとも一方の位相を変化させることにより該各受信信号の位相差を制御する位相制御手段と、この位相制御手段による位相差の制御後の各受信信号を合成する合成手段とを備えている。
上記構成の車載アンテナ装置は、基板の両端に垂直偏波のアンテナが設けられるのに加え、基板における各アンテナの間(各アンテナの地板の間)に、中間パターンが形成されている。ここで、仮にこの中間パターンがなく、両端のアンテナのみの場合であっても、いわゆるフェーズドアレイアンテナとして作用し、垂直偏波の指向性を制御することは可能である。しかし、両端のアンテナのみでは、水平偏波への切り換えはもちろん、その指向性を制御することもできない。
そこで本発明(請求項1)では、基板における各アンテナの地板パターンの間に中間パターンを形成し、これを各アンテナに対する無給電素子として機能させる。具体的には、各アンテナと中間パターンとが電磁結合することにより、中間パターンにはそれぞれ水平方向に電流が流れ、これにより、中間パターンが水平偏波に対する無給電素子として機能する。中間パターンに流れる水平方向の電流は、各アンテナの受信信号の位相差によって異なり、例えば位相制御手段によって各受信信号の位相差が0(同位相)となるように制御すると、互いに弱め合うように作用する。逆に、例えば位相差が180°となるように制御すると、中間パターン上には同一方向の電流が流れることになるため、電流が互いに強め合い、水平偏波に対する大きな利得を得ることができる。
従って、請求項1記載の車載アンテナ装置によれば、基板の両端にそれぞれ垂直偏波アンテナを設けると共に、各アンテナ間(地板パターン間)に、水平偏波の無給電素子として機能する中間パターンを形成して、各アンテナの受信信号の位相差を制御できるように構成したため、位相差を制御することで、垂直偏波の指向性制御が可能であるのに加え、水平偏波への切り換えやその指向性制御も可能となる。そのため、電波の到来方向や偏波面が変化しても良好な受信性能を得ることが可能となる。
次に、請求項2記載の発明は、請求項1記載の車載アンテナ装置であって、各地板パターン及び中間パターンは、電気的に導通した1つの導体パターンにより構成されており、各アンテナのアンテナエレメントは、それぞれ、上記1つの導体パターンにおける各地板パターンとしての両端部分に設けられている。
即ち、各地板パターンと中間パターンは、中間パターンが水平偏波の無給電素子として機能できる限り、それぞれ個別に形成するようにしてもよいのだが、請求項2記載の車載アンテナ装置では、1つの(共通の)導体パターンを形成して、このうち両端を地板パターンとして用い、その中間を中間パターンとして用いる。このように構成することで、各パターンの形成が容易になると共に、水平偏波利得をより向上させることも可能となる。
次に、請求項3記載の発明は、請求項2記載の車載アンテナ装置であって、基板は、その板面が大地に対して垂直になるよう配置され、各アンテナは、その垂直に配置された基板を上下方向に2等分に区分した領域のうちいずれか一方の領域に給電点を有すると共に、各アンテナエレメントが、基板の板面に対し平行且つ大地に対し垂直であって、給電点の存在する領域からその反対側の領域に向けて延設された、線状又は板状の垂直エレメント部を有するよう構成されている。そして、上記1つの導体パターンにおける各地板パターンは、少なくとも、給電点に対応した位置よりもアンテナエレメントの先端側方向の所定の位置から該先端側方向の部分については、中間パターンに対して所定距離隔てて隣接するように形成されている。
上記構成の車載アンテナ装置では、基板が大地に対して垂直に配置されると共に、各アンテナのエレメントも、大地に対して垂直な垂直エレメント部を有しており、この垂直エレメント部により、垂直偏波が励振されて垂直偏波の利得を得ることができる。ここで、地板パターン及び中間パターンとしての1つの導体パターンが、例えば単に長方形状に形成されたものであると、各アンテナでの垂直偏波の利得が十分に得られなくなる。
そこで本発明(請求項3)では、各地板パターンにおける、給電点に対応した位置よりもアンテナエレメントの先端側方向の所定の位置から該先端側方向の部分については、中間パターンとの間が所定距離隔てられている。つまり、各地板パターンは、給電点を含む所定の領域を除き、中間パターンとは分離されているのである。
このように構成することで、各アンテナにおける垂直偏波の利得をより高めることが可能となり、延いては、車載アンテナ装置全体の垂直偏波の利得を高めることが可能となる。
なお、基板について「大地に対して垂直」とは、必ずしも完全に垂直(大地に対して90°)であることに限定されるものではなく、およそ垂直な状態、即ち、基板両端のアンテナが各々垂直偏波アンテナとして所望の性能を発揮できる状態であればよい。また、アンテナエレメントについて「板面に対し平行且つ大地に対し垂直」についても、必ずしも完全に平行・垂直であることを意味するものではなく、およそ平行・およそ垂直な状態、即ち、上記同様に各アンテナが各々垂直偏波アンテナとして所望の性能を発揮できる状態であればよい。これらについては、後述する請求項8記載の発明においても同様である。
次に、請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の車載アンテナ装置であって、位相制御手段は、位相差を制御するための制御信号を出力する制御信号出力手段と、この制御信号出力手段からの制御信号に従って位相を変化させる位相変化手段とを有する。そして、少なくとも、位相変化手段、合成手段、及び、該各手段と各アンテナとの間の給電ラインは、基板上においてマイクロストリップラインにて形成されている。
このように構成された車載アンテナ装置によれば、アンテナや各パターンが形成された基板と同一基板上に位相変化手段、合成手段、給電ラインも形成され、しかもマイクロストリップラインにて形成されるため、車載アンテナ装置をより小型化でき、より簡易的に作製することも可能となる。
次に、請求項5記載の発明は、請求項1〜4いずれかに記載の車載アンテナ装置であって、車両の車室内には、一方の面に光を反射させるための金属膜が形成されたミラーと、このミラーの鏡面が外部へ露出するように該ミラーが嵌め込まれたミラー筐体とを有するルームミラーが設置されている。そして、当該車載アンテナ装置は、ルームミラーと一体化して構成されている。
ここでいう一体化とは、例えば、ルームミラーのミラー筐体内に内蔵することや、内蔵はしないもののルームミラーと機械的に連結させること等を意味する。後述する請求項12、13においても同様である。
このように構成された車載アンテナ装置によれば、車載アンテナ装置が単独で車室内に設置されるのではなく、ルームミラーと一体化して構成されているため、当該車載アンテナ装置を設けても車室内のスペースが犠牲になるのを抑止できる。特に、ミラー筐体内に内蔵するようにすれば、車室内のスペースが犠牲になるのをより抑止できるのに加え、外部から直接は車載アンテナ装置が見えなくなるため、車室内の見栄えも向上する。
また、ルームミラーと一体化することにより、中間パターンに流れる水平方向の電流を、ミラーに形成された金属膜による反射の影響を利用して増大させることができる。そのため、水平偏波の利得をさらに高めることも可能となる。
更に、ルームミラーは、車両の運転者等によってその向きが変更されてしまうことがあるが、そのようにルームミラーの向きが変わってしまっても、位相差を適切に制御して指向性制御を行うことで、ルームミラーの向きに拘わらず良好な受信性能を維持することが可能となる。
この場合、ミラーの金属膜と中間パターン(基板)との関係は、例えば請求項6に記載のように、ミラーの金属膜と基板とが所定距離隔てて互いに対向するように配置するとよい。このようにすることで、水平偏波の利得をより効果的に向上させることができる。なお、より好ましくは、ミラーの金属膜と基板とが平行となるように配置するとよい。
次に、請求項7記載の発明は、車両に搭載される車載アンテナ装置であって、水平方向に所定距離隔てて配置された2つの垂直偏波のアンテナと、各アンテナ間に配置され、該各アンテナの双方に対し、水平偏波の無給電素子として機能する中間導体部材と、各アンテナの受信信号のうち少なくとも一方の位相を変化させることにより該各受信信号の位相差を制御する位相制御手段と、この位相制御手段による位相差の制御後の各受信信号を合成する合成手段とを備えたものである。
上記構成の車載アンテナ装置は、所定間隔隔てて配置された2つの垂直偏波のアンテナ間に、中間導体部材が配置されている。ここで、仮にこの中間導体部材がなく、両端のアンテナのみの場合は、いわゆるフェーズドアレイアンテナとして作用し、垂直偏波の指向性を制御することは可能である。しかし、両端のアンテナのみでは、水平偏波への切り換えはもちろん、その指向性を制御することもできない。
そこで本発明(請求項7)では、各アンテナの間に中間導体部材を配置し、これを各アンテナに対する無給電素子として機能させる。具体的には、各アンテナと中間導体部材とが電磁結合することにより、中間導体部材には各アンテナに対応した電流が水平方向に流れ、これにより、中間導体部材が水平偏波に対する無給電素子として機能する。中間導体部材に流れる水平方向の電流は、各アンテナの受信信号の位相差によって異なり、例えば位相制御手段によって各受信信号の位相差が0(同位相)となるように制御すると、互いに弱め合うように作用する。逆に、例えば位相差が180°となるように制御すると、中間導体部材上には同一方向の電流が流れることになるため、電流が互いに強め合い、水平偏波に対する大きな利得を得ることができる。つまり、本請求項7の車載アンテナ装置における中間導体部材は、請求項1の車載アンテナ装置における中間パターンと同等の機能を有するのである。
従って、請求項7記載の車載アンテナ装置によれば、垂直偏波アンテナを所定間隔隔てて配置すると共に、各アンテナ間に、水平偏波の無給電素子として機能する中間導体部材を形成して、各アンテナの受信信号の位相差を制御できるように構成したため、位相差を制御することで、垂直偏波の指向性制御が可能であるのに加え、水平偏波への切り換えやその指向性制御も可能となる。そのため、請求項1に記載の車載アンテナ装置と同様、電波の到来方向や偏波面が変化しても良好な受信性能を得ることが可能となる。
次に、請求項8記載の発明は、請求項7記載の車載アンテナ装置であって、中間導体部材は、板面が大地に対して垂直に配置される板状の部材である。そして、各アンテナは、中間導体部材の板面に平行な地板、及び、該地板における中間導体部材側の面とは反対側の面上に形成されたアンテナエレメントを有すると共に、中間導体部材に対し、少なくとも給電点が対向するように配置されている。
上記構成の車載アンテナ装置によれば、各アンテナが、板状の中間導体部材に対し、少なくとも給電点が対向するように配置される。換言すれば、中間導体部材をその板面に対して垂直方向から見たとき、少なくとも各アンテナの給電点は中間導体部材と重なるように配置されているのである。各アンテナにおいて、給電点は電流が強く流れる部分であるため、その給電点が中間導体部材に対向するように配置されれば、中間導体部材には各アンテナの励振によって水平方向に大きな電流が流れるようになる。そのため、高い水平偏波利得を得ることができ、延いては、車載アンテナ装置全体の水平偏波の利得を高めることが可能となる。
次に、請求項9記載の発明は、請求項8記載の車載アンテナ装置であって、中間導体部材は、各アンテナのうち、該各アンテナにおける給電点を含む所定の領域のみが対向し、それ以外の領域については該中間導体部材の水平方向端部よりも外側に位置するよう形成されている。
アンテナの地板全面が中間導体部材の板面に対向していると、各アンテナの垂直偏波の利得は弱まってしまう。即ち、アンテナの地板に流れる電流と、この地板に対向している中間導体部材に流れる電流とが互いに打ち消し合い、結果、垂直偏波の利得が弱くなってしまうのである。
そこで、請求項9記載の車載アンテナ装置では、アンテナにおける、給電点を含む所定の領域のみが中間導体部材と対向するように配置し、それ以外の領域は中間導体部材の水平方向端部よりも外側に位置する(つまり、中間導体部材とは対向しない)ようにしている。そのため、各アンテナの垂直偏波の利得を高いレベルで実現でき、延いては、車載アンテナ装置全体の垂直偏波の利得を高いレベルで実現することが可能となる。
次に、請求項10記載の発明は、請求項7〜9いずれかに記載の車載アンテナ装置であって、位相制御手段は、位相差を制御するための制御信号を出力する制御信号出力手段と、この制御信号出力手段からの制御信号に従って位相を変化させる位相変化手段とを有する。そして、各アンテナの間には、少なくとも位相変化手段及び合成手段として機能する回路が形成された基板が配置されている。この基板には、該各回路のグランドパターンが形成されており、中間導体部材はそのグランドパターンである。
このように構成された車載アンテナ装置によれば、同一基板上に位相変化手段、合成手段としての回路が形成され、しかも、各回路のグランドパターンが中間導体部材としても機能することになる。そのため、基板とは別に中間導体部材を設ける必要がなくなり、車載アンテナ装置を簡易的且つ小型に作製することが可能となる。
更に、例えば請求項11に記載のように、各回路を、基板上においてマイクロストリップラインにて形成すれば、車載アンテナ装置をより小型化でき、より簡易的に作製することが可能となる。
次に、請求項12記載の発明は、請求項7〜9いずれかに記載の車載アンテナ装置であって、車両の車室内には、一方の面に光を反射させるための金属膜が形成されたミラーと、このミラーの鏡面が外部へ露出するように該ミラーが嵌め込まれたミラー筐体とを有するルームミラーが設置されている。そして、当該車載アンテナ装置は、ルームミラーと一体化して構成されており、中間導体部材はミラーの金属膜である。
このように構成された車載アンテナ装置では、ルームミラーと一体化されることから、ミラーの一方の面に形成された金属膜を中間導体部材としても機能させることができる。つまり、ミラーの金属膜を中間導体部材として代用するのである。これにより、ミラー(金属膜)とは別に中間導体部材を設けることなく、高い水平偏波の利得を得ることができる。また、請求項5及び請求項6と同様、車室内のスペースが犠牲になるのを抑止でき、車室内の見栄えも向上し、更に、ルームミラーの向きに拘わらず良好な受信性能を維持することが可能となる。
次に、請求項13記載の発明は、請求項7〜11いずれかに記載の車載アンテナ装置であって、車両の車室内には、一方の面に光を反射させるための金属膜が形成されたミラーと、このミラーの鏡面が外部へ露出するように該ミラーが嵌め込まれたミラー筐体とを有するルームミラーが設置されている。そして、当該車載アンテナ装置は、ミラーの金属膜と中間導体部材とが所定距離隔てて互いに対向するように、ルームミラーと一体化して構成されている。
このように構成された車載アンテナ装置によれば、車載アンテナ装置が単独で車室内に設置されるのではなく、ルームミラーと一体化して構成され、しかも、ミラーの金属膜の影響を利用して水平偏波の利得を得ることができるようになる。そのため、水平偏波の利得をより効果的に向上させることができる。また、請求項5及び請求項6と同様、車室内のスペースが犠牲になるのを抑止でき、車室内の見栄えも向上し、更に、ルームミラーの向きに拘わらず良好な受信性能を維持することが可能となる。なお、より好ましくは、ミラーの金属膜と中間導体部材とが平行となるように配置するとよい。
次に、請求項14記載の発明は、請求項1〜13いずれかに記載の車載アンテナ装置であって、送信すべき信号を各アンテナへ分配する分配手段を備える。そして、位相制御手段は、分配手段による分配後の各アンテナへの各送信信号のうち少なくとも一方の位相を変化させることにより該各送信信号の位相差を制御する機能を有する。
このように構成された車載アンテナ装置によれば、受信時における偏波面の切り換え及び指向性制御が可能であるばかりでなく、送信時においても、偏波面の切り換え及び指向性制御が可能となる。
なお、分配手段と合成手段は、これら各手段の機能を共に備える一つの手段として構成してもよい。
次に、請求項15記載の発明は、請求項1〜14いずれかに記載の車載アンテナ装置であって、位相制御手段は、位相差を、少なくとも、±90°及び±180°に制御できるよう構成されている。
位相差を±90°にすれば、垂直偏波に対して高い利得が得られ、垂直偏波の電波を良好に受信(或いは送信)できる。しかも、+90°又は−90°に制御することで、少なくともこの2種類の位相差に対応した2方向の垂直偏波指向性に制御(切り換え)することが可能となる。更に、位相差を90°に制御すると、水平偏波に対しても実用に足り得る十分な利得を得ることができる。
一方、位相差を±180°に制御すれば、水平偏波に対して高い利得が得られ、水平偏波の電波を良好に受信(或いは送信)できる。しかもその指向性は、位相差を90°に制御したときの水平偏波の指向性に対し、メインビームの方向が異なる。
従って、請求項15記載の車載アンテナ装置によれば、少なくとも上記位相差に制御できるよう構成されているため、最低限、これら位相差に応じた水平偏波/垂直偏波の偏波面切り換え、及び各偏波における指向性の制御が共に可能となる。
次に、請求項16記載の発明は、請求項1〜15いずれかに記載の車載アンテナ装置であって、アンテナは、逆F型アンテナ又は逆L型アンテナである。
車載アンテナ装置を構成する2つのアンテナは、各々が単独では垂直偏波を受信するよう構成されたものであればどのような種類のアンテナでもよいが、特に、逆F型アンテナや逆L型アンテナを採用するようにすれば、アンテナを小型化(低姿勢化)でき、しかも高い垂直偏波利得を得ることができるため、より好ましい。
なお、線状の逆F型アンテナ又は逆L型アンテナを用いることももちろん可能であるが、インピーダンス整合のし易さやアンテナエレメントの作製、地板に対するアンテナエレメントの安定的な固定を考慮すると、線状よりも板状のものが好ましい。
また、2つのアンテナは必ずしも共に同じタイプのものを用いる必要はなく、例えば一方は逆F型アンテナ、他方は逆L型アンテナとすることも可能である。
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1に、本発明が適用された実施形態のアンテナ内蔵ルームミラーの概略構成を示す。図1に示すように、本実施形態のアンテナ内蔵ルームミラー1は、図示しない車両の車室内前方上部に設けられ、運転者等が車室内や車外(主に後部)を視認するためのものであり、ミラー6が嵌め込まれたミラー筐体3が樹脂カバー4で覆われた構成となっており、このミラー筐体3の中に、アンテナ装置2が内蔵されている。
ミラー6は、その一方の面(車両前方側の面)に、光を反射させるための金属膜7が形成されている。そして、他方の面(鏡面)が車室内において車両後方に向けて露出するよう、ミラー筐体3に嵌め込まれている。そして当然ながら、ミラー6の金属膜7はミラー筐体3の内側(車両前方側)に位置することになる。なお、ミラー筐体3は、筐体支持部材5によって車室内の天井に固定されている。
ミラー筐体3に内蔵されたアンテナ装置2は、車車間通信或いは路車間通信のために外部との間で信号(電波)の送受信を行うためのものであり、本実施形態では、例えば700MHz帯の電波を良好に送受信できるよう構成されている。また、本実施形態のアンテナ装置2における最も特徴的機能として、水平偏波/垂直偏波の偏波面切り換え、及び各偏波面における指向性制御が可能であることが挙げられるが、これらについては後で詳述する。
アンテナ装置2は、位相制御回路83を除き、同一の基板10上にアンテナや各種回路が形成されて構成されている。この基板10は、その板面が大地に対して垂直になるよう、且つ、ミラー6の板面に対して平行(即ち金属膜7に対しても平行)となるよう、ミラー筐体3内に配置されている。ミラー6の金属膜7と基板10とは、互いに所定距離隔てて対向しており、この所定間隔は、本実施形態では、通信周波数(本例では700MHz帯)に対応した波長λの約1/4に設定されている。
基板10は、図示の如く、水平方向に所定の長さ(ミラー6とほぼ同じ長さ)を有しており、その車両前方側の面(以下「表面」ともいう)における両端には、それぞれ、第1アンテナ20及び第2アンテナ30が設けられている。
第1アンテナ20は、本実施形態では、いわゆる板状の逆F型アンテナであって、車両前方方向に対して基板10の右端に設けられており、アンテナエレメント22と、地板21とを有する。地板21とアンテナエレメント22との間には、所定の誘電率を有する誘電体23が介挿されている。アンテナエレメント22は、より詳しくは、給電点24から地板21に対して垂直方向に立ち上がる立ち上がり部と、その立ち上がり部の先端側から垂直に折り曲げられると共に、地板21に平行且つ上方(大地に対し垂直方向)へ延設される板状の長尺延設部と、この長尺延設部の下端端辺の一部から地板21に向けて垂直に立ち下がると共にその先端が地板21に短絡される地板短絡部とを有している。なお、地板短絡部は図1では視認されず、これはアンテナ装置2を下側から見たときに視認されるものである。地板21は、より詳しくは、基板10の裏面(車両後方側の面)に形成されている。
第2アンテナ30も、本実施形態では板状の逆F型アンテナであって、車両前方方向に対して基板10の左端に設けられており、アンテナエレメント32と、地板31とを有する。地板31とアンテナエレメント32との間には、所定の誘電率を有する誘電体33が介挿されている。アンテナエレメント32は、より詳しくは、給電点34から地板31に対して垂直方向に立ち上がる立ち上がり部と、その立ち上がり部の先端側から垂直に折り曲げられると共に、地板31に平行且つ上方(大地に対し垂直方向)へ延設される板状の長尺延設部と、この長尺延設部の下端端辺の一部から地板31に向けて垂直に立ち下がると共にその先端が地板31に短絡される地板短絡部とを有している。なお、地板短絡部が図1で視認できないのは第1アンテナ20の場合と同じである。また、地板31は、より詳しくは、基板10の裏面に形成されている。
第1アンテナ20及び第2アンテナ30はいずれも、それ単体としては、垂直偏波を強く励振(放射・受信)する垂直偏波アンテナである。また、各アンテナ20,30の特性はほぼ同じである。
なお、基板10は、必ずしも、大地に対して完全に垂直に配置されることが要求されるわけではなく、およそ垂直な状態で配置、即ち、第1アンテナ20及び第2アンテナ30が各々垂直偏波アンテナとして所望の性能を発揮できるように配置されればよい。各アンテナ20,30における各アンテナエレメント22,32と基板10との関係(大地との関係)について「垂直」或いは「平行」と説明した部分についても同様であり、必ずしも完全に「垂直」、「平行」であることが要求されるわけではなく、各アンテナ20,30が各々、垂直偏波アンテナとして所望の性能を発揮できる程度におよそ垂直、およそ平行であれば十分である。
基板10の表面における、上記各アンテナ20,30の間には、2つの移相器12,13及び合成分配器14が、マイクロストリップラインにて形成されている。各移相器12,13と合成分配器14との間の配線、各移相器12,13と対応するアンテナ20,30の給電点24,34との間の配線も、マイクロストリップラインにて形成されている。
一方の移相器12は、第1アンテナ20の給電点24に接続されており、この第1アンテナ20による受信信号の位相或いはこの第1アンテナ20から放射する電波(送信信号)の位相を変化させる。この移相器12は、アンテナ内蔵ルームミラー1とは別に設けられた車載ECU80から信号伝送ケーブル17を介して入力される位相制御信号(電圧信号)に応じてその移相量を可変できる可変移相器である。
他方の移相器13は、第2アンテナ30の給電点34に接続されており、この第2アンテナ30による受信信号の位相或いはこの第2アンテナ30から放射する電波(送信信号)の位相を変化させる。この移相器13は、車載ECU80から信号伝送ケーブル18を介して入力される位相制御信号(電圧信号)に応じてその移相量を可変できる可変移相器である。
各移相器12,13は、例えば、ハイブリッドカプラ及び可変容量素子を用いたハイブリッド型移相器(反射型可変移相器)にて構成することができる。
車載ECU80は、車両における任意の場所(例えばインストルメントパネル内)に設けられ、車車間通信或いは路車間通信に拘わる各種制御を行う機能を備えた電子制御装置であり、当該車載ECU80としての制御全体を統括するマイコン81と、このマイコン81により制御され、アンテナ装置2を介した信号の送受信を制御・実行する送受信制御部82と、この送受信制御部82からの移相指令に従い、各移相器12,13へ位相制御信号を出力する位相制御回路83とを備えている。なお、車載ECU80はこれら以外にも各種の構成(ハードウェア・ソフトウェア双方含む)を備えているが、図1ではアンテナ装置2の動作にかかわる主たる構成要素のみを図示し、それ以外は図示を省略している。
位相制御回路83は、各アンテナ20,30の受信信号或いは送信信号の位相差が所望の値になるよう、各移相器12,13に対して位相制御信号を出力することにより、各移相器12,13の移相量を制御する。なお、位相制御回路83をアンテナ内蔵ルームミラー1とは別に設けたのはあくまでも一例であり、この位相制御回路83もミラー筐体3内に内蔵(延いては基板10上に形成)するようにしてもよい。
合成分配器14は、各アンテナ20,30にて受信され、各移相器12,13にてそれぞれ位相が変化された各受信信号を合成(混合)して、同軸ケーブル16を介して車室内の図示しない通信装置へ伝送する機能、及び、通信装置から同軸ケーブル16を介して伝送されてきた送信用の信号を各移相器12,13へ等分配する機能を有する。
基板10の裏面には、その全面に渡り、基板10上に形成された各回路のグランドとしての導体膜が形成されている。より具体的には、図2に示すように、第1アンテナ20の地板21と、第2アンテナ30の地板31と、各移相器12,13及び合成分配器14に対する共通のグランドとしての回路グランド11とを有する。なお、各地板21,31と回路グランド11は、物理的に連続した一つの共通の導体膜として構成されており、各地板21,31と回路グランド11とは、基板10の両側に形成された各スリット26,36によって約2/3ほどが分離されている。なお、図2は、基板10をその裏面側から見たものである。
図2に示すように、例えば第2アンテナ30側のスリット36は、基板10の垂直方向長さのうち、下端から給電グランド幅Wgだけ残るように形成されている。この給電グランド幅Wgは、移相器13から第2アンテナ30の給電点34へ至る給電ライン35のライン幅Wsの3倍以上である。なお、この3倍以上というのは絶対的なものではなく、WgがWsの3倍より短くなってもそれが即座に通信不良を引き起こすわけではない。あくまでも、給電ライン35の性能をより良好に確保するために必要な(好ましい)幅Wgが、Wsの3倍以上、ということである。
第1アンテナ20についても、給電グランド幅Wgとライン幅Wsとの関係は第2アンテナ30の場合と全く同様であるため、その説明を省略する。なお、各アンテナ20,30の中心間の間隔dは、およそ1/2λとなるようにされている。因みに、既述の通り本実施形態では通信周波数が700MHz帯であるため、1/2λはおよそ20cmであり、一般的なルームミラーの水平方向長さとほぼ同じである。つまり、ルームミラー内に過不足なく収まる長さである。このように、本実施形態のアンテナ装置2は、そのサイズの点からも、ミラー筐体3に内蔵するのがより好適であるといえる。
そして、上記のように基板10に各スリット26,36が形成されていることにより、各アンテナ20,30はそれぞれ、高い垂直偏波の利得を得ることができる。即ち、仮にこのスリット26,36が形成されておらず、基板10全体が単なる長方形状に形成されていたとすると、各アンテナ20,30は、アンテナエレメントの幅(水平方向の幅)に対し、地板の幅が広くなってしまい、垂直偏波の利得が十分に得られなくなる。
そこで本実施形態では、各スリット26,36を形成して、各アンテナ20,30の地板21,31と回路グランド11とを分離することで、各アンテナにおける垂直偏波の利得が高まるようにしている。
なお、各スリット26,36は、基板10そのものに切り込みを入れることで形成してもよいし、基板10における裏面の導体膜に対してのみ、エッチング等によって形成するようにしてもよい。
このように、本実施形態では、基板10の裏面全体に導体膜が形成され、これが各スリット26,36を境界として、それぞれ地板21,31及び回路グランド11とに分離されている。但し、分離されているとはいっても、上記説明及び図2から明らかなように、物理的・電気的に完全に分離されているのではなく、給電ラインに対応する部分(給電グランド幅Wg相当)までは分離されておらず、従って、全体として電気的に導通(物理的に一体化)した一つの導体膜から構成されている。
そして、本実施形態では、基板10の裏面における、各地板21,31の間に形成された回路グランド11が、単に、各移相器12,13及び合成分配器14のグランドとして機能するだけでなく、各アンテナ20,30の双方に対し、水平偏波の無給電素子としても機能する。このことは、本実施形態のアンテナ装置2の最も特徴的構成の一つである。
即ち、例えば第1アンテナ20と回路グランド11との関係について説明すると、第1アンテナ20にて電波が受信されたとき、或いはアンテナ20に送信信号が供給されたとき、アンテナ20に電流が流れる。特に給電点24には大きな電流が流れる。このようにアンテナ20に電流が流れると、電磁結合によって、隣接する回路グランド11にも電流が流れる。この電磁結合による回路グランド11の電流は、水平方向の電流であり、これにより、回路グランド11は水平偏波の無給電素子として機能することになるのである。第2アンテナ30についても同様である。
但し、第1アンテナ20との電磁結合によって回路グランド11に流れる水平方向の電流と、第2アンテナ30との電磁結合によって回路グランド11に流れる水平方向の電流とは、各アンテナ20,30の受信信号(或いは送信信号)の位相差によってその方向、大きさが異なる。
理論的には、例えば各アンテナ20,30の信号の位相差が0(同位相)となるように各移相器12,13の移相量を制御すると、各アンテナ20,30との電磁結合によって回路グランド11に流れる水平方向の電流は、互いに弱め合うように作用する。逆に、例えば位相差が180°となるように制御すると、回路グランド11上には同一方向に同位相の電流が流れることになるため、電流が互いに強め合い、水平偏波に対する大きな利得を得ることができる。
なお、仮にこの回路グランド11がなく、単に各アンテナ20,30が間隔dだけ隔てて配置されているだけであれば、各移相器12,13の移相量を制御することで垂直偏波の指向性制御を行うことが可能な、フェーズドアレイアンテナとして機能するだけである。
これに対し、本実施形態のアンテナ装置2は、各アンテナ20,30の間に、回路グランド11が形成されており、この回路グランド11が、各アンテナ20,30の双方に対して水平偏波の無給電素子として機能する。そのため、各アンテナ20,30の信号の位相差を適宜制御することで、水平偏波/垂直偏波の偏波面切り換え、及び各偏波面における指向性制御が可能となっている。
上記のように構成された本実施形態のアンテナ装置2について、各アンテナ20,30の受信信号の位相差を変化させたときの、垂直偏波及び水平偏波双方の指向性・利得の変化を、図3〜図6を用いて説明する。本願出願人は、位相差を10°刻み(一部5°刻み)で変化させて、各位相差毎に、所定レベルの電波を受信したときの各偏波のピーク利得及びその指向性(ピーク利得の角度)を計測した。図6は、その計測データである。そして、図6の一部をグラフ化したものが図3〜図5である。
まず、図3は、アンテナ受信電力間位相差(即ち各アンテナ20,30の各受信信号の位相差)と、アンテナ装置2全体の指向性との関係を示す指向性図である。図3では、位相差が0°、±90°、±180°の場合について、垂直偏波及び水平偏波それぞれの指向性が示されている。なお、図3の指向性図の座標は、同図中の下部に示した通りである。また、ここでいう位相差とは、第2アンテナ30の受信信号に対する、第1アンテナ20の受信信号の相対的な差を示すものである。そのため、位相差の符号が正の場合は第1アンテナ20の受信信号の方が相対的に位相が進んでいることになる。
図3から明らかなように、垂直偏波については、位相差が±180°のときは十分な利得が得られていないものの、位相差が+90°のときは車両左方向に十分なピーク利得が得られ、位相差が0°のときは車両前方方向に十分なピーク利得が得られ、位相差が−90°のときは車両右方向に十分なピーク利得が得られている。
つまり、垂直偏波の場合、−90°〜90°まで位相差を変化させることで、ピーク利得の方向を左方向から右方向へと変化させることができるのである。より具体的には、図4に示すように、位相差を−90°〜90°の間で変化させることにより、ピーク利得の角度は−20°〜20°の範囲で変化させることができる。なお、位相差の絶対値が90°を超えると、図5に示すように、ピーク利得は−3dBよりも低下していく傾向にある。そのため、垂直偏波において良好な受信性能を得るための位相差の条件は、0°±90°の範囲内となり、その場合、既述の通りピーク利得の角度を0°±20°の範囲で可変できる。
一方、水平偏波については、図3からあきらかなように、位相差が0°のときは十分な利得がえられないものの、位相差が±90°のときはある程度実用に足り得るピーク利得が得られ、更に位相差が±180°になると、ピーク利得がより増加する。また、ピーク利得の角度については、垂直偏波の場合ほど明確な変化がないものの、全体として、位相差が−90°、−180°の場合は車両左方向に向き、位相差が+90°、+180°の場合は車両右方向に向くといえる。
より具体的には、図4及び図6に示すように、位相差が10°〜130°の間は、ピーク利得の角度がおよそ−30°±10°の範囲(左方向)を推移する。一方、位相差が上記範囲以外の場合、ピーク利得の角度は、その向きが右方向に変わり、およそ45°±10°の範囲を推移する。但し、図5に示すように、位相差の絶対値がおよそ60°より小さくなると、ピーク利得は−3dBよりも低下していく。そのため、水平偏波において良好な受信性能を得るための位相差の条件は、±60°以上(絶対値が60°以上)であればよい。
以上説明した本実施形態のアンテナ内蔵ルームミラー1によれば、内蔵されているアンテナ装置2が、主として、基板10の両端に設けられた2つの垂直偏波のアンテナ20,30と、各アンテナ20,30の間に形成された回路グランド11とを有しており、この回路グランド11が、各アンテナ20,30の双方に対して水平偏波の無給電素子として機能する。そして、各アンテナ20,30の信号(受信信号或いは送信信号)は、それぞれ、対応する移相器によって位相が所望の値に制御され、延いては各信号の位相差が所望の量に制御される。そして、図3〜図6に示したように、位相差を制御することによって、水平偏波/垂直偏波の偏波面切り換えが可能になると共に、各偏波における指向性制御を行うことも可能となる。
そのため、電波の到来方向や偏波面が変化しても良好な受信性能を得ることが可能となる。なお、アンテナの送受信特性の可逆性により、送信時においても、受信時と同様の効果が得られる。
また、アンテナ装置2を構成する基板10の裏面には、各アンテナの地板21,31と回路グランド11が共通の導体膜として形成されているため、裏面導体膜の形成が容易になると共に、水平偏波利得をより向上させることも可能となる。
しかも、各アンテナの地板21,31は、それぞれ、回路グランド11に対し、各スリット26,36によって分離されている。そのため、各アンテナ20,30における垂直偏波の利得をより高めることが可能となり、延いては、アンテナ装置2全体の垂直偏波の利得を高めることが可能となる。
更に、基板10には、各アンテナ20,30に加え、2つの移相器12,13及び合成分配器14についてもマイクロストリップラインにて形成されている。そのため、より小型化されたアンテナ装置2の提供が可能となる。
更にまた、アンテナ装置2は、ミラー筐体3に内蔵され、且つ、基板10が、ミラー6の金属膜7に対して所定間隔(本例では1/4λ)隔てて平行となるように配置されている。このように、ミラー筐体3に内蔵されることで、車室内のスペースが犠牲になるのを抑止でき、しかも、外部から直接は車載アンテナ装置が見えなくなるため、車室内の見栄えも向上する。また、ミラー筐体3の金属膜7と基板10の裏面とが対向するように基板10が配置されるため、基板10の回路グランド11に流れる水平方向の電流が、ミラー6の金属膜7による反射の影響により増大する。そのため、水平偏波の利得をさらに高めることも可能となる。更に、ミラー6の向きは、車両の運転者等によって変更されてしまうことがあるが、そのようにミラー6の向きが変わってしまっても、位相差を適切に制御して指向性制御を行うことで、ミラー6の向きに拘わらず(即ちミラー筐体3の動きに拘わらず)良好な受信性能を維持することが可能となる。
また、アンテナ装置2を構成する2つのアンテナ20,30として、板状の逆F型アンテナを採用しているため、各アンテナ20,30の小型化(低姿勢化)が実現できる。しかも、高い垂直偏波利得を得ることができる。
なお、本実施形態において、位相制御回路83は本発明の制御信号出力手段に相当し、2つの移相器12,13は本発明の位相変化手段に相当し、合成分配器14は本発明の合成手段及び分配手段に相当する。
[第2実施形態]
次に、本実施形態のアンテナ内蔵ルームミラーについて、図7及び図8を用いて説明する。図7は、本発明が適用された実施形態のアンテナ内蔵ルームミラーの概略構成を示す斜視図であり、図8(a)はその側面図、図8(b)はアンテナ装置の正面図(但し一部回路の図示を省略)である。
図7及び図8に示すように、本実施形態のアンテナ内蔵ルームミラー40は、第1実施形態のアンテナ内蔵ルームミラー1と同様、ミラー筐体3が筐体支持部材5によって車室内の天井に固定されたものであり、その内部に、アンテナ装置41が内蔵されている。なお、ミラー6及び樹脂カバー4は第1実施形態のアンテナ内蔵ルームミラー1と同じものである。
本実施形態のアンテナ装置41は、2つのアンテナの間に、水平偏波の無給電素子として機能する導体が存在しているという構成は、第1実施形態と共通している。但し、その細部については第1実施形態とは異なるため、以下、具体的に説明する。
本実施形態のアンテナ装置41は、水平方向に所定距離隔てて配置された2つのアンテナ(第1アンテナ50,第2アンテナ60)を有する。各アンテナ50,60はいずれも、図7から明らかなように、板状の逆F型アンテナである。各アンテナ50,60は、いずれも、地板51,61が同一平面上に存在するよう、且つ大地に対して垂直となるように配置されている。なお、各アンテナ50,60の中心間の距離d(本例では各給電点54,64間の距離と同じ)(図8(b)参照)も、第1実施形態と同様、1/2λである。また、ここでいう「大地に対して垂直」が必ずしも完全に垂直であることを要するものではないことは、上述した第1実施形態の場合と同様である。
各アンテナ50,60のうち、第1アンテナ50は、車両前方方向に対して右側に配置され、地板51及びアンテナエレメント52を有する。第2アンテナ60は、車両前方方向に対して左側に配置され、地板61及びアンテナエレメント62を有する。
また、アンテナ装置41は、各アンテナ50,60の間には、各地板51,61の背面側(各アンテナエレメント52,62とは反対側)において、略長方形状の金属板42(本発明の中間導体部材に相当)が配置されている。この金属板42には、水平方向の両端部において、それぞれ、切り欠き部56,66が形成されている。
これにより、第1アンテナ50は、給電点54を含む所定の領域のみが金属板42と対向し、それ以外の部分は金属板42と対向しない(つまり金属板42の水平方向端部よりも外側に位置する)ようにされている。第2アンテナ60も、給電点64を含む所定の領域のみが金属板42と対向し、それ以外の部分は金属板42と対応しないようにされている。
このように、金属板42の両端にそれぞれ切り欠き部56,66を形成し、給電点付近のみ金属板42と対向させ、それ以外は金属板42と対向しないようにすることで、各アンテナ50,60がそれぞれ単独では垂直偏波アンテナとして良好に機能すると共に、金属板42が各アンテナ50,60の双方と良好に結合して、金属板42が水平偏波の無給電素子として良好に機能するようにされている。
また、金属板42の表面側における各アンテナ50,60の間には、第2アンテナ60に対応した移相器44と、車載ECU90の送受信制御部82からの移相指令に従い、移相器44に対して位相制御信号を出力することにより移相量を制御する位相制御回路46と、合成分配器45とがそれぞれ配置されている。
金属板42は、図8に示すように、その全面がミラー6の金属膜7に対向するように形成されている。また、金属板42とミラー6の金属膜7との間隔は、本例でも1/4λである。
なお、図7のアンテナ装置41において、各アンテナ50,60は、地板とアンテナエレメントの間が空隙になっているが、ここに誘電体を介挿してもよいことはいうまでもない。また、第1実施形態と同様、基板上に移相器44や合成分配器45を形成して、その基板のグランドパターンとして、上記金属板42と同様の形状のものを形成し、これを水平偏波の無給電素子として機能させるようにしてもよい。
このように構成された本実施形態のアンテナ装置41についても、第1実施形態と同様、各アンテナの信号の位相差を制御することで、水平偏波/垂直偏波の偏波面切り換え、及び、各偏波における指向性の制御を行うことができる。具体的には、例えば、位相差を±90°に設定すると、垂直偏波に対する高い利得が得られ、さらにその位相差を変化させるとその指向性(ピーク利得の角度)を変化させることができる。また、位相差を例えば±180°に設定すると、水平偏波に対する高い利得が得られ、さらにその位相を変化させると、第1実施形態の場合と同様にピーク利得の角度を変化させることができる。
次に、各アンテナ50,60の受信信号の位相差が180°となるように移相器44が制御されているときの、当該アンテナ装置41の水平偏波指向性を、図9に示す。なお、図9に示すように、本実施形態では、比較のために、2つのアンテナ50,60の間に金属板42を配置せず、且つミラー6も取り除いた場合の指向性(図9のa)と、ミラー6はあるものの金属板42は配置しない場合の指向性(図9のb)についても測定し、これらのデータを、図7のアンテナ装置41の指向性、即ちミラー6があり且つ金属板42も配置されている場合の指向性(図9のc)と比較した。
図9に示すように、ミラー6及び金属板42の双方がなく、単に2つの垂直偏波のアンテナ50,60が所定間隔隔てて配置されているだけのときは(図9のa)、垂直偏波のフェーズドアレイアンテナとして機能するだけであるため、水平偏波の利得は得られない。これに対し、金属板42はないもののミラー6を配置するようにすると(図9のb)、ミラー6の金属膜7が水平偏波の無給電素子として機能するため、高いレベルで水平偏波の利得を得ることができる。更に、金属板42及びミラー6の双方を配置するようにすると(図9のc)、無給電素子として機能する金属板42の機能がミラー6の金属膜7による反射の影響を受けてより高まり、図上わずかではあるが、さらに高い水平偏波の利得が得られている。
以上説明した本実施形態のアンテナ内蔵ルームミラー40によれば、内蔵されているアンテナ装置41が、主として、所定間隔隔てて配置された2つの垂直偏波のアンテナ50,60と、これら各アンテナ50,60の地板51,61の裏側において各アンテナ50,60の間に配置された金属板42を有しており、この金属板42が、各アンテナ50,60の双方に対して水平偏波の無給電素子として機能する。そして、各アンテナ50,60の信号(受信信号或いは送信信号)の位相差が所望の量に制御される。これにより、第1実施形態と同様、水平偏波/垂直偏波の偏波面切り換えが可能になると共に、各偏波における指向性制御を行うことも可能となる。
そのため、電波の到来方向や偏波面が変化しても良好な受信性能を得ることが可能となる。なお、送信時においても、受信時と同様の効果が得られる。
また、各アンテナ50,60は、給電点を含む所定領域のみが金属板42に対向し、それ以外の部分は金属板42とは対向しないように構成されている。そのため、各アンテナ50,60はそれぞれ高い垂直偏波の利得を得ることができると共に、各アンテナ50,60とが各々の給電点を中心として強く結合し、金属板42に大きな水平方向電流が流れるため、高い水平偏波の利得を得ることができ、延いては、アンテナ装置42全体の水平偏波の利得を高めることが可能となる。
更に、本実施形態では、アンテナ装置41がミラー筐体3に内蔵されることから、金属板42を省き、代わりにミラー6の金属膜7を無給電素子として機能させるよう構成することもできる。このように構成すれば、垂直偏波及び水平偏波ともに十分な利得を維持しつつ、アンテナ装置41を簡易的且つ小型に作製することが可能となる。
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、上記第2実施形態では、アンテナ内蔵ルームミラー40に、各アンテナ50,60と共に移相器44、合成分配器45、及び位相制御回路46も内蔵されている例を示したが、図10に例示したように、各アンテナ50,60及び金属板42を内蔵し、その他の移相器44、合成分配器45、及び位相制御回路46は車載ECU100内に設けるようにしてもよい。
この他にも、例えば、移相器44はアンテナ内蔵ルームミラー40に内蔵して合成分配器45及び位相制御回路46は車載ECU100内に設けてもよく、アンテナ装置41が所望の機能を奏する限り、何を内蔵して何をミラー筐体3の外に配置するかについては、適宜決めることができる。このことは、第1実施形態についても同様である。
また、上記各実施形態では、アンテナ装置をミラー筐体3に内蔵した例について説明したが、ミラー筐体3への内蔵はあくまでも一例であり、例えば樹脂カバー4の前面側に連結固定するなど、内蔵はしないもののルームミラー本体と連結して設けるようにしてもよい。更に、ルームミラーとは全く別に、アンテナ装置を単独で(或いは他の装置・モジュール等に内蔵・連結させて)設けるようにしてもよい。
また、上記第1実施形態では、アンテナ装置2を構成する2つのアンテナ20,30として、板状の逆F型アンテナを採用したが、これはあくまでも一例であり、所望の特性を得ることが可能である限り、採用するアンテナは適宜決めることができる。例えば、図11に示すような逆L型アンテナを用いても良い。この逆L型アンテナは、地板71上に逆L字状のアンテナエレメント72が搭載された周知の板状逆L型アンテナであり、地板71におけるアンテナエレメント72の立ち上がり部分が給電点73となる。
また、板状アンテナに限らず、例えば線状の逆F型アンテナ或いは逆L型アンテナを用いることも可能である。但し、インピーダンス整合のし易さやアンテナエレメントの作製、地板に対するアンテナエレメントの安定的な固定を考慮すると、線状よりも板状のものが好ましい。また、2つのアンテナは必ずしも共に同じタイプのものを用いる必要はなく、例えば一方は逆F型アンテナ、他方は逆L型アンテナとすることも可能である。第2実施形態の各アンテナ50,60についても同様である。
また、上記第1実施形態では、水平偏波の無給電素子として機能する回路グランド11を、基板10の裏面における、各地板21,31に相当する領域を除く全領域に形成したが、これも一例であり、必ずしもそのような広範囲にわたって形成する必要はない。例えば、各アンテナ20,30の各給電点21,31の近傍を結ぶライン状の金属パターンであってもよい。つまり、各アンテナ20,30の双方と結合して水平偏波の無給電素子として機能できる限り、回路グランド11の形状は特に限定されない。第2実施形態における金属板42の形状についても同様である。
また、上記各実施形態では、移相器の構成として、ハイブリッド型移相器(反射型可変移相器)を例に挙げたが、これはあくまでも一例であり、受信信号の位相或いは送信電波の位相を所望の位相に変化できる限り、その具体的構成は特に限定されない。
また、第1実施形態では移相器の数を2つとしたが、第2実施形態のようにどちらか一方のみにしてもよい。逆に、第2実施形態において、移相器の数を第1実施形態と同様に2つとしてもよい。つまり、各アンテナの受信信号(送信電波)の位相差を所望の量に制御できる限り、移相器を各アンテナ毎に設けるか、或いは一方のアンテナに対してのみ設けるかについては、適宜決めることができる。
また、上記各実施形態では、ミラー筐体3の金属膜7と基板10(第2実施形態では金属板42)との間隔を1/4λとしたが、これはあくまでも一例であり、これより短い間隔としてもよい。なお、1/4λを超えると、無給電素子として機能するパターンに流れる電流とミラー筐体3の金属膜7による反射波とが互いに打ち消し合うようになるため、1/4λ以下の間隔にするのが好ましい。
また、上記各実施形態では、受信時・送信時ともに、偏波面の切り換えや指向性制御が可能な構成として説明したが、これに限らず、例えば受信時のみ、或いは送信時のみに偏波面の切り換えや指向性制御が可能な構成とすることもできる。
第1実施形態のアンテナ内蔵ルームミラーの概略構成を示す説明図である。 アンテナ装置を構成する基板の裏面を示す説明図である。 アンテナ装置を構成する2つのアンテナ間の位相差に対する、アンテナ装置全体の指向性を示す図である。 アンテナ装置を構成する2つのアンテナ間の位相差に対する、ピーク利得の角度を示す図である。 アンテナ装置を構成する2つのアンテナ間の位相差に対する、ピーク利得を示す図である。 アンテナ装置を構成する2つのアンテナ間の位相差に対する、ピーク利得およびその角度の測定データである。 第2実施形態のアンテナ内蔵ルームミラーの概略構成を示す説明図である。 第2実施形態のアンテナ内蔵ルームミラーの概略構成を示す説明図であり、(a)は側面図、(b)はアンテナ装置の正面図である。 第2実施形態における、位相差180°の場合の水平偏波指向性を示す図である。 アンテナ内蔵ルームミラーの変形例を示す説明図である。 逆L型アンテナの構成を示す説明図である。
符号の説明
1,40・・・アンテナ内蔵ルームミラー、2,41・・・アンテナ装置、3・・・ミラー筐体、4・・・樹脂カバー、5・・・筐体支持部材、6・・・ミラー、7・・・金属膜、10・・・基板、11・・・回路グランド、12,13,44・・・移相器、14,45・・・合成分配器、46,83・・・位相制御回路、16・・・同軸ケーブル、17,18・・・信号伝送ケーブル、20,50・・・第1アンテナ、21,31,51,61,71・・・地板、22,32,52,62,72・・・アンテナエレメント、23,33・・・誘電体、24,34,54,64,73・・・給電点、26,36・・・スリット、30,60・・・第2アンテナ、35・・・給電ライン、42・・・金属板、56,66・・・切り欠き部、80,90,100・・・車載ECU、81・・・マイコン、82・・・送受信制御部

Claims (16)

  1. 車両に搭載される車載アンテナ装置であって、
    水平方向に所定の長さを有する基板と、
    前記基板における前記水平方向の両端にそれぞれ設けられた垂直偏波のアンテナと、
    前記基板上に形成された導体パターンであって、前記各アンテナ毎に形成され、該各アンテナの地板として機能する地板パターンと、
    前記基板上に形成された導体パターンであって、前記各地板パターンの間に形成され、前記各アンテナの双方に対し、水平偏波の無給電素子として機能する中間パターンと、
    前記各アンテナの受信信号のうち少なくとも一方の位相を変化させることにより該各受信信号の位相差を制御する位相制御手段と、
    前記位相制御手段による前記位相差の制御後の前記各受信信号を合成する合成手段と、
    を備えたことを特徴とする車載アンテナ装置。
  2. 請求項1記載の車載アンテナ装置であって、
    前記各地板パターン及び前記中間パターンは、電気的に導通した1つの導体パターンにより構成されており、
    前記各アンテナのアンテナエレメントは、それぞれ、前記1つの導体パターンにおける前記各地板パターンとしての両端部分に設けられている
    ことを特徴とする車載アンテナ装置。
  3. 請求項2記載の車載アンテナ装置であって、
    前記基板は、その板面が大地に対して垂直になるよう配置され、
    前記各アンテナは、前記垂直に配置された基板を上下方向に2等分に区分した領域のうちいずれか一方の領域に給電点を有すると共に、前記各アンテナエレメントが、前記基板の板面に対し平行且つ大地に対し垂直であって、前記給電点の存在する領域からその反対側の領域に向けて延設された、線状又は板状の垂直エレメント部を有するよう構成されており、
    前記1つの導体パターンにおける前記各地板パターンは、少なくとも、前記給電点に対応した位置よりも前記アンテナエレメントの先端側方向の所定の位置から該先端側方向の部分については、前記中間パターンに対して所定距離隔てて隣接するように形成されている
    ことを特徴とする車載アンテナ装置。
  4. 請求項2又は3記載の車載アンテナ装置であって、
    前記位相制御手段は、
    前記位相差を制御するための制御信号を出力する制御信号出力手段と、
    前記制御信号出力手段からの制御信号に従って前記位相を変化させる位相変化手段と、を有し、
    少なくとも、前記位相変化手段、前記合成手段、及び、該各手段と前記各アンテナとの間の給電ラインは、前記基板上においてマイクロストリップラインにて形成されている
    ことを特徴とする車載アンテナ装置。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の車載アンテナ装置であって、
    前記車両の車室内には、
    一方の面に光を反射させるための金属膜が形成されたミラーと、
    前記ミラーの鏡面が外部へ露出するように該ミラーが嵌め込まれたミラー筐体と、
    を有するルームミラーが設置されており、
    当該車載アンテナ装置は、前記ルームミラーと一体化して構成されている
    ことを特徴とする車載アンテナ装置。
  6. 請求項5記載の車載アンテナ装置であって、
    当該車載アンテナ装置は、前記ミラー筐体内において、前記ミラーの金属膜と前記基板とが所定距離隔てて互いに対向するように配置されている
    ことを特徴とする車載アンテナ装置。
  7. 車両に搭載される車載アンテナ装置であって、
    水平方向に所定距離隔てて配置された2つの垂直偏波のアンテナと、
    前記各アンテナ間に配置され、該各アンテナの双方に対し、水平偏波の無給電素子として機能する中間導体部材と、
    前記各アンテナの受信信号のうち少なくとも一方の位相を変化させることにより該各受信信号の位相差を制御する位相制御手段と、
    前記位相制御手段による前記位相差の制御後の前記各受信信号を合成する合成手段と、
    を備えたことを特徴とする車載アンテナ装置。
  8. 請求項7記載の車載アンテナ装置であって、
    前記中間導体部材は、板面が大地に対して垂直に配置される板状の部材であり、
    前記各アンテナは、前記中間導体部材の板面に平行な地板、及び、該地板における前記中間導体部材側の面とは反対側の面上に形成されたアンテナエレメントを有すると共に、前記中間導体部材に対し、少なくとも給電点が対向するように配置されている
    ことを特徴とする車載アンテナ装置。
  9. 請求項8記載の車載アンテナ装置であって、
    前記中間導体部材は、前記各アンテナのうち、該各アンテナにおける給電点を含む所定の領域のみが対向し、それ以外の領域については該中間導体部材の水平方向端部よりも外側に位置するよう形成されている
    ことを特徴とする車載アンテナ装置。
  10. 請求項7〜9いずれかに記載の車載アンテナ装置であって、
    前記位相制御手段は、
    前記位相差を制御するための制御信号を出力する制御信号出力手段と、
    前記制御信号出力手段からの制御信号に従って前記位相を変化させる位相変化手段と、を有し、
    前記各アンテナの間に配置され、少なくとも前記位相変化手段及び前記合成手段として機能する回路が形成された基板を有し、該基板には該各回路のグランドパターンが形成されており、
    前記中間導体部材は、前記グランドパターンである
    ことを特徴とする車載アンテナ装置。
  11. 請求項10記載の車載アンテナ装置であって、
    前記各回路は、前記基板上においてマイクロストリップラインにて形成されている
    ことを特徴とする車載アンテナ装置。
  12. 請求項7〜9いずれかに記載の車載アンテナ装置であって、
    前記車両の車室内には、
    一方の面に光を反射させるための金属膜が形成されたミラーと、
    前記ミラーの鏡面が外部へ露出するように該ミラーが嵌め込まれたミラー筐体と、
    を有するルームミラーが設置されており、
    当該車載アンテナ装置は、前記ルームミラーと一体化して構成されており、
    前記中間導体部材は、前記ミラーの金属膜である
    ことを特徴とする車載アンテナ装置。
  13. 請求項7〜11いずれかに記載の車載アンテナ装置であって、
    前記車両の車室内には、
    一方の面に光を反射させるための金属膜が形成されたミラーと、
    前記ミラーの鏡面が外部へ露出するように該ミラーが嵌め込まれたミラー筐体と、
    を有するルームミラーが設置されており、
    当該車載アンテナ装置は、前記ミラーの金属膜と前記中間導体部材とが所定距離隔てて互いに対向するように、前記ルームミラーと一体化して構成されている
    ことを特徴とする車載アンテナ装置。
  14. 請求項1〜13いずれかに記載の車載アンテナ装置であって、
    送信すべき信号を前記各アンテナへ分配する分配手段を備え、
    前記位相制御手段は、前記分配手段による分配後の前記各アンテナへの各送信信号のうち少なくとも一方の位相を変化させることにより該各送信信号の位相差を制御する機能を有する
    ことを特徴とする車載アンテナ装置。
  15. 請求項1〜14いずれかに記載の車載アンテナ装置であって、
    前記位相制御手段は、前記位相差を、少なくとも、±90°及び±180°に制御できるよう構成されている
    ことを特徴とする車載アンテナ装置。
  16. 請求項1〜15いずれかに記載の車載アンテナ装置であって、
    前記アンテナは、逆F型アンテナ又は逆L型アンテナである
    ことを特徴とする車載アンテナ装置。
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