JP2009215536A - 紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法、紙塗工用共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物 - Google Patents

紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法、紙塗工用共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 重合反応中に発生する粗大凝集物の発生が極めて少なく、かつ、重合反応系外からの過大な加熱を必要とせず、省エネルギー性に優れた効率のよい紙塗工用重合体ラテックスを提供すること。
の提供。
【解決手段】 脂肪族共役ジエン20〜60重量%、シアン化ビニル5〜30重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体1〜10重量%およびそれらと共重合可能な他の単量体0〜74重量%からなる重合性単量体合計100重量部を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、単量体の一部または全量を仕込み完了後、重合系内の温度T1が0〜45℃の範囲で重合を開始した後、重合系内の温度T2を55〜100℃の範囲に到達させるに際し、その温度上昇(T2−T1)に必要な熱量の15%以上を重合による重合熱を利用して昇温させる紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法に関するものである。詳しくは、重合反応中に発生する粗大凝集物の発生が極めて少なく、かつ、製造初期において重合反応系外からの過大な加熱を必要とせず、省エネルギー性及び生産性に優れた紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法であり、さらには塗工紙に用いた際のドライピック強度、印刷光沢、塗工紙製造時の操業安定性に関係するベタツキ性や塗料の再分散性などに優れた紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法を提供するものである。
塗工紙は塗工原紙の表面に紙塗工用組成物を塗布、乾燥して製造される。塗工紙は印刷物に広く利用され、高品質の塗工紙を得るために顔料と水性バインダーとを主成分とした紙塗工用組成物の研究や改良が進められている。水性バインダーとしてはデンプンなどの天然バインダーやスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス又はシアン化ビニル−ブタジエン系共重合体ラテックスが広く用いられており、これらのバインダー性能が塗工紙製造時の操業安定性や最終的な塗工紙の品質に占める割合は大きいとされている。
近年、紙加工分野において高速塗工化、高生産効率化が進められている中、共重合体ラテックスに対しても従来に比べて高い性能が求められている。すなわち、塗工時の紙塗工用組成物の性能として、高せん断下での優れた流動性と良好な機械的安定性を有することはもちろん、バッキングロールを汚さないための耐ベタツキ性、一旦汚したとしてもすぐに取り除ける良好な再分散性(ロール洗浄性)が要求され、塗工紙には高いレベルのドライピック強度、印刷光沢などの高品質化が求められている。
そのため、紙塗工用に使用されている共重合体ラテックスの品質設計や製造方法に関してはさまざまな検討がされ、下記に例示される技術改良が紹介されている。
しかしながら、これらのさまざまな改良技術は、紙塗工用共重合体ラテックスに要求される高レベルの品質を十分満足するに至っておらず、更なる改良が望まれるところである。
また、共重合体ラテックスの重合方法を工夫して、前記の目標を達成しようとする場合、重合途中の反応温度などを一定に保つ、あるいは2段階にして一定に保つことが提案されているが、その操作には、重合が開始される時点で重合系の外部から加熱することが必要である。特に比較的高温域での重合では、所定温度に到達させるのに必要とされる外部からの加熱エネルギーも大きく、近年の地球温暖化や省エネルギーの観点からは、そのエネルギーの低減化についても社会的要請が高まるばかりである。
特開平6−179772号公報 特開平10−1504号公報 特開2003−238635号公報 特開2003−335807号公報
本発明は、従来から要求のあった製品の性能に加えて、近年急激に要求が高まった省エネルギーに関する上記課題の両者を解決するために成されたもので、重合反応中に発生する粗大凝集物の発生が極めて少なく、かつ、重合反応系外からの過大な加熱を必要とせず、省エネルギー性及び生産性に優れた紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法であり、さらには塗工紙に用いた際のドライピック強度、印刷光沢、塗工紙を製造する際に操業安定性を左右するベタツキ性や塗料の再分散性などに優れた紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法を提供するものである。
すなわち本発明は、脂肪族共役ジエン系単量体20〜60重量%、シアン化ビニル系単量体5〜30重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体1〜10重量%およびそれらと共重合可能な他の単量体0〜74重量%からなる重合性単量体合計100重量部を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、単量体の一部または全量を仕込み完了後、重合系内の温度T1が0〜45℃の範囲で重合を開始した後、重合系内の温度T2を55℃〜100℃の範囲に到達させるに際し、その温度上昇(T2−T1)に必要な熱量の15%以上を重合による重合熱を利用して昇温させることを特徴とする紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、重合初期における外部からの加熱エネルギーを大幅に低減できるとともに、重合反応における粗大凝集物の発生を低く抑えることができる。また、本発明における製造方法によって製造される紙塗工用共重合体ラテックスは、塗工紙に使用した際のドライピック強度、印刷光沢、塗工紙を製造する際に操業安定性を左右するベタツキ性や塗料の再分散性などに優れた性能を発揮するものであり、紙塗工用のバインダーとして好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、重合で発生する重合熱は特定範囲の昇温コントロールに積極的に利用される。よって、単量体の一部または全量を仕込み(以下、初期仕込みと記す場合あり)完了後、温度T1(0〜45℃)の任意の温度で重合を開始すればよく、その後、反応系が55℃を超える温度まで、外部からの多大な熱源によって加熱する必要は無い。温度T1が45℃を超えると省エネルギー性に劣る。更に加熱も冷却も最小限にとどめるためには、初期仕込み完了後の温度T1は10〜35℃であることが好ましい。
本発明において、初期仕込み完了後、重合を開始して重合系内の温度T2を55℃〜100℃の範囲に到達させるに際して、その温度上昇(T2−T1)に必要な熱量の15%以上を重合熱によって賄うことが必要である。15%未満では、外部から85%を超える熱量を与えねばならず、省エネルギー性に劣る。好ましくは、重合熱が温度上昇(T2−T1)に必要な熱量の20%以上、更に好ましくは40%以上を重合熱によって賄うことが好ましい。また、重合開始前に仕込む単量体は、単量体の一部又は全量の何れでもよく、単量体の一部を仕込む場合には、その後、重合を終了させる任意の間に残部の単量体を添加すればよい。
本発明において、重合系内の温度T2が55℃〜100℃に到達した後は、T2を55℃〜100℃の範囲内で一定に保っても、必要に応じて変化させても本発明の効果を妨げないが、温度T2に到達した後は、実質的に重合温度は一定に保って重合を継続するか、もしくは一定時間重合温度を一定に保って重合した後、重合温度を上昇させて(上限は100℃)重合を行なうことが好ましい。温度T2が55℃未満では粗大凝集物の発生量が増えて、反応安定性が劣る。また、重合系内の温度T2を55℃〜100℃の範囲を保って重合を継続する間、適宜、残部の単量体が添加され、さらには必要に応じて重合速度調節剤などを用いて重合反応による単位時間当たりの発熱量を制御できる。なお、本発明においては、T2−T1=30℃以上であることが好ましい。
また、通常、反応槽を取り巻くジャケットなどに20〜35℃の常温冷却水を流して熱交換させることが省エネルギーの観点で最適であるが、必要に応じて20℃未満のチルド冷却水を用いたり、スチームや電熱ヒーターで加温した加温水を用いたりすることもできる。更には反応槽の任意の場所に空冷できるフィンを設置したり、従来公知の加熱冷却装置を重合槽に付帯させて補助的に活用したりすることも、本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。
本発明において、使用する重合水の量は特に限定されないが、重合性単量体合計100重量部に対して、65〜300重量部使用されることが好ましい。また、本発明においては、重合開始前に仕込む初期単量体と共に重合体シードを添加して、公知のシード重合法を適応することも可能である。また、単量体を連続的または間欠的に添加する場合、均一な組成の単量体混合物を仕込む均一フィード法、途中で1回または数回にわたって単量体混合物の組成を変える二段重合法、または多段重合法、連続的に単量体組成を変化させて仕込むパワーフィード法など、いずれの添加方法も採用することができる。
また、本発明における単量体以外の各種成分の添加方法についても特に制限はなく、分割添加方法、連続添加方法などの何れであっても本発明の効果を妨げない範囲で採用することができる。
本発明の紙塗工用共重合体ラテックスは、脂肪族共役ジエン系単量体20〜60重量%、シアン化ビニル系単量体5〜30重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体1〜10重量%およびそれらと共重合可能な他の単量体0〜74重量%からなる重合性単量体(合計100重量部)を乳化重合して製造される。
本発明における脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に1,3−ブタジエンの使用が好ましい。脂肪族共役ジエン系単量体は使用する単量体合計100重量部に対して20〜60重量%の範囲で使用することができる。脂肪族共役ジエン系単量体の使用量が20重量%未満は、ドライピック強度と印刷光沢が低下し、使用量が60重量%を超える場合は、印刷光沢とベタツキ性が低下する。
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸(無水物)を挙げることができ、これらを1種または2種以上使用することができる。エチレン系不飽和カルボン酸単量体は使用する単量体合計100重量部に対して1〜10重量%の範囲で使用することができる。エチレン系不飽和カルボン酸単量体の使用量が1重量%未満では、粗大凝集物が増大して反応安定性が劣るばかりではなく、得られる共重合体ラテックスのドライピック強度、印刷光沢、ベタツキ性が低下し、10重量%を超えると得られる共重合体ラテックスの粘度が高くなり取り扱いが困難となる。
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にアクリロニトリルの使用が好ましい。シアン化ビニル単量体は使用する単量体合計100重量部に対して5〜30重量%の範囲で使用することができる。シアン化ビニル単量体の使用量が5重量%未満では、ドライピック強度や印刷光沢が低下し、30重量%を超えても、ドライピック強度や印刷光沢が低下する。
上記の単量体と共重合可能な他の単量体としては、芳香族ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸アミド系単量体などが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびビニルベンゼンなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にスチレンの使用が好ましい。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、メチルアクリルレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマエート、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジメチルイタコネ−ト、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にメチルメタアクリレートの使用が好ましい。
ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に2−ヒドロキシエチルアクリレートの使用が好ましい。
不飽和カルボン酸アミド単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールジメチルアクリルアミドなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にアクリルアミドの使用が好ましい。
さらに、上記の単量体のほかに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル類、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等の塩基性単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどを使用することができる。
これら共重合可能な他の単量体は、使用する単量体合計100重量部に対して0〜74重量%の範囲で使用することができる。共重合可能な他の単量体の使用量が74重量%を超えるとドライピック強度や印刷光沢が低下する。
本発明には、公知の乳化剤や界面活性剤を使用することができる。例えば、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、デヒドロアビエチン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤あるいはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。
本発明においては、公知の連鎖移動剤を制限されることなく使用することができる。例えば、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物、ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。さらに、連鎖移動剤としてはα−メチルスチレンダイマーも使用することができる。α−メチルスチレンダイマーには、異性体として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンおよび1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンがあるが、α−メチルスチレンダイマーとしては、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの含有量が60重量%以上、特に80重量%以上であることが好ましい。これらの連鎖移動剤の量は特に限定されないが、通常、単量体100重量部に対して0〜5重量部にて使用される。
本発明においては、公知の重合開始剤として、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性重合開始剤を適宜用いることができる。特に過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドの使用が好ましい。単量体100部に対する重合開始剤の量は特に制限されないが、単量体組成、重合反応系のpH、他の添加剤などの組み合わせを考慮して、重合熱や温度上昇が本発明の範囲になるよう適宜調整される。
本発明においては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン等の不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などの炭化水素化合物を使用することができる。特に、沸点が適度に低く、重合終了後に水蒸気蒸留などによって回収、再利用しやすいシクロヘキセンやトルエンが、本発明の目的とは異なるものの、環境問題の観点から好適である。
本発明における紙塗工用共重合体ラテックスのゲル含有率(GEL)とゲル膨潤度(SI)の比率(GEL/SI)は、ドライピック強度の点から5〜15の範囲にあることが好ましい。また紙塗工用共重合体ラテックスの数平均粒子径も、ドライピック強度の点から70〜150nmの範囲にあることが好ましい。これらの数値は、共重合体ラテックスの乳化重合において使用する各種乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤の種類およびその使用量や添加方法、重合水の使用割合等を適宜調整することにより所望の範囲に調整することが可能である。
なお、これらの測定方法については後述する。
本発明においては、必要に応じて酸素補足剤、キレート剤、分散剤、pH調整剤等の公知の添加剤を用いることも差し支えなく、これらは種類、使用量ともに特に限定されず、適宜適量使用することが出来る。更には消泡剤、老化防止剤、防腐剤、抗菌剤、難燃剤、紫外線吸収剤などの公知の添加剤を用いることも差し支えなく、これらも種類、使用量ともに特に限定されず、適宜適量使用することが出来る。また、本発明の製造方法で製造された共重合体ラテックスは、その使用目的に応じて他のラテックスと適宜適量ブレンドすることもできる。
本発明の紙塗工用共重合体ラテックスは、顔料と共に紙塗工用組成物として使用される。このような顔料としては、例えば、カオリンクレー、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、サチンホワイトなどの無機顔料、あるいはポリスチレンラテックスやバインダーピグメントなどのような有機顔料が挙げられ、これらは単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
また、本発明の紙塗工用組成物には必要に応じて澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉等の変性澱粉、大豆蛋白、カゼインなどの天然バインダー、あるいはポリビニルアルコールなどの水溶性合成バインダーなどを使用しても差し支えない。
さらに、ポリ酢酸ビニルエマルション、アクリル系エマルションなどの合成エマルションなどを本発明の共重合体ラテックスと併用してもよいが、本発明の効果を高く発揮させるためには、これらの使用割合は全共重合体ラテックスと合成エマルションの合計量に対して固形分で50重量%未満に抑えることが望ましい。更には20重量%未満に抑えることが望ましく、本発明の共重合体ラテックスの単独使用が最も望ましい。
本発明の共重合体ラテックスを用いて紙塗工用組成物を調整する際に、さらにその他の助剤、例えば分散剤(ピロリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなど)、消泡剤(ポリグリコール、脂肪酸エステル、リン酸エステル、シリコーンオイルなど)、レベリング剤(ロート油、ジシアンジアミド、尿素など)、防腐剤、離型剤(ステアリン酸カルシウム、パラフィンエマルジョンなど)、蛍光染料、カラー保水性向上剤(カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)を必要に応じて添加しても良い。
本発明の紙塗工用組成物を塗工用原紙へ塗布する方法には、公知の技術、例えばエアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーターなどのいずれの塗工機を使用しても差し支えない。また、塗工乾燥後にカレンダーリングなどにより仕上げられる。
〔実施例〕
以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。また、特段の断りが無い限り、%や部は重量を基準とする。
重合転化率の評価方法:重合中にサンプリングした共重合体ラテックス約2gを秤量し、この値を「乾燥前重量」とする。これを150℃で30分乾燥して秤量し、この値を「乾燥後重量」とする。重合槽へ仕込む単量体以外の固形分部数をSとし、Sと「重合水部数」と「単量体合計部数」との合計を「仕込み総部数」とすれば、下記の式(1)と式(2)を経て、式(3)によって、重合転化率が計算される。
式(1) 重合転化部数 = 仕込み総部数×乾燥後重量/乾燥前重量−S
式(2) 単量体合計部数 = 仕込み総部数−(重合水部数+S)
式(3) 重合転化率 = 重合転化部数/単量体合計部数
重合熱利用効率E(%)の計算:初期仕込みを完了後、重合槽内をT1℃からT2℃まで(T2−T1)℃だけ昇温させるのに必要な熱量Hr(kcal)は、T2℃に到達するまでに重合槽内に仕込まれた物質の全熱容量Ha(kcal/℃)を用いて、下記の式(4)で計算される。
式(4) Hr = Ha×(T2−T1)
ただし、Haの算出に際して便宜的に単量体および油溶性物質の比熱を全て0.5、単量体以外の水溶性物質と重合に使用した純水の比熱を全て1.0とした。
また、槽内がT2℃に到達した時点までの重合熱Hpは、T2℃に到達するまでに槽内に仕込まれた単量体の部数M(部)、単量体1部当たりの単位重合熱Hu(kcal/部)、T2℃に到達した時点での重合転化率CT2を用いて下記の式(5)で計算される。
式(5) Hp = M×Hu×CT2
最終的に重合熱利用効率E(%)は、式(4)のHrと式(5)のHpを用いて下記の式(6)で計算される。
式(6) E = Hp/Hr×100
ただし、単量体1部当たりの単位重合熱Huについては単量体の種類や共重合する際の共重合組成により変化するので、本発明では、株式会社培風館出版から昭和50年6月20日に初版が発行された高分子学会編「共重合1反応解析」の295頁から307頁にわたる記載を参考にして、全ての単量体について16.5kcal/molの値を用いた。
具体的には、同書296頁の表30に記載されている中で工業的に大量消費されている代表的な単量体の重合熱、ブタジエン17.6kcal/mol、スチレン16.68kcal/mol、アクリロニトリル18.3kcal/mol、メタクリル酸メチル13.0〜13.9kcal/molの重合熱を算術平均して、16.5kcal/molを全ての重合体組成について一律に使用することにした。例えば、分子量が54.1であるブタジエンの場合、重量(g)/部数換算係数を1(g/部)として単量体部数当たりの重合熱は16.5÷54.1=0.305kcal/部となり、同様にスチレンで0.158kcal/部、アクリロニトリルで0.345kcal/部、メタクリル酸メチルで0.165kcal/部となる。また、上記以外の単量体については、スチレンと同様の0.158kcal/部の値を用いた。
省エネルギー性:前記の重合熱利用効率E(%)を下記の様に相対区分して評価した。値が高いほど外部からの加熱熱量が少なく省エネルギー性が良い。
◎(優秀):40%以上
○(良好):40%未満〜15%以上
△(微劣):15%未満〜5%以上
×(不良): 5%未満
粗大凝集物の発生量:得られた共重合体ラテックス1リットルを重量既知の200メッシュのステンレス製金網でろ過した。その際、金網上に捕捉された粗大凝集物を120℃で60分間乾燥して水分を除去し、その乾燥重量を測定した。測定された粗大凝集物の乾燥後の重量をろ過前の試料中の固形分重量で除して、粗大凝集物の発生量(重量%)を求めた。得られた測定結果に基づいて下記の様に相対区分して評価した。
◎(優秀):0.01未満
○(良好):0.01以上〜0.1未満
△(微劣):0.1以上〜0.5未満
×(不良):0.5以上
数平均粒子径の測定方法:共重合体ラテックスを透過型電子顕微鏡で撮影し、2000個の粒子の直径を測定して単純数平均値(nm)を算出した。
ゲル含有量(GEL)とゲル膨潤度(SI)の測定方法:室温雰囲気にて共重合体ラテックスフィルムを作成する。その後ラテックスフィルム約1gを秤量しXgとする。これを400ccのトルエンに入れ48時間膨張溶解させる。その後、これを300メッシュの金網で濾過し、金網に捕捉されたトルエン不溶部の乾燥前重量を秤量しYgとする。その後トルエンを蒸発乾燥させた乾燥後重量を秤量しZgとする。ゲル含有量(GEL)は次の式(7)より求めた。単位は重量%である。
式(7)ゲル含有量(GEL)= Z/X*100
また、ゲル膨潤度(SI)は式(8)より求めた。
式(8)ゲル膨潤度(SI) = Y/Z
(本発明例1)
共重合体ラテックス1の作製:ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水129部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、ブタジエン9部、スチレン12部、アクリロニトリル9部、2−ヒドロキシエチルアクリレート1部、フマール酸4部、イタコン酸1部、t−ドデシルメルカプタン0.05部、シクロヘキセン2部、硫酸第一鉄0.002部、L−アスコルビン酸0.04部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、過硫酸カリウム0.6部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を72℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.51であり、重合熱利用効率は69%であった。重合開始60分後から150分後までは、ブタジエン10部、スチレン15部、アクリロニトリル8部、t−ドデシルメルカプタン0.20部、シクロヘキセン2部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部を90分間連続添加しながら、重合温度を72℃に保って重合を継続した。重合開始150分後から240分後までは、ブタジエン20部、スチレン9部、アクリロニトリル2部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部を90分間連続添加しながら、重合温度を72℃に保って重合を継続した。重合開始240分後に、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部、クメンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、重合開始240分後から330分後までは、重合温度を72℃から85℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始330分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認してから槽内温度を35℃以下に冷却した。水酸化ナトリウム0.5部と水酸化カリウム0.5部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス1を得た。
共重合体ラテックス1の数平均粒子径は100nm、pHは7.8、ゲル含有率は87%、ゲル膨潤度は14、粗大凝集物の発生量は0.001%であった。
(本発明例2)
共重合体ラテックス2の作製:ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水131部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、ブタジエン10部、スチレン11部、アクリロニトリル9部、イタコン酸3部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.05部、αメチルスチレンダイマー0.3部、硫酸第一鉄0.002部、L−アスコルビン酸0.06部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、過硫酸カリウム0.6部を仕込み35℃で重合を開始した。重合開始から90分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を73℃に上昇させた。この時点での重合転化率は0.61であり、重合熱利用効率は91%であった。重合開始90分後から210分後までは、ブタジエン12部、スチレン10部、アクリロニトリル9部、t−ドデシルメルカプタン0.20部、シクロヘキセン2部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水3部を120分間連続添加しながら、重合温度を73℃に保って重合を継続した。重合開始210分後から330分後までは、ブタジエン23部、スチレン7部、アクリロニトリル4部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水3部を120分間連続添加しながら、重合温度を73℃に保って重合を継続した。重合開始330分後に、L−アスコルビン酸0.04部、純水3部、クメンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、重合開始330分後から450分後までは、重合温度を73℃から85℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始450分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認してから槽内温度を35℃以下に冷却した。水酸化ナトリウム1.0部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス2を得た。
共重合体ラテックス2の数平均粒子径は90nm、pHは8.0、ゲル含有率は94%、ゲル膨潤度は10.5、粗大凝集物の発生量は0.002%であった。
(本発明例3)
共重合体ラテックス3の作製:ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水110部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、ブタジエン10部、スチレン7部、メチルメタクリレート5部、アクリロニトリル5部、フマール酸2部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.02部、シクロヘキセン1部、硫酸第一鉄0.003部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.1部を仕込み28℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を70℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.75であり、重合熱利用効率は102%であった。重合開始60分後から180分後までは、ブタジエン11部、スチレン15部、アクリロニトリル5部、t−ドデシルメルカプタン0.20部、αメチルスチレンダイマー0.2部の混合物、および過硫酸カリウム0.5部、純水20部を120分間連続添加しながら、重合温度を70℃に保って重合を継続した。重合開始180分後から300分後までは、ブタジエン22部、スチレン12部、アクリロニトリル4部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.5部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.1部、純水1部を120分間連続添加しながら、重合温度を70℃から75℃に上昇させて重合を継続した。重合開始300分後に、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.05部、純水1部、クメンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、重合開始300分後から420分後までは、重合温度を75℃から85℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始420分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認してから槽内温度を35℃以下に冷却した。水酸化カリウム1.0部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス3を得た。
共重合体ラテックス3の数平均粒子径は110nm、pHは7.8、ゲル含有率は94%、ゲル膨潤度は13.3、粗大凝集物の発生量は0.002%であった。
(本発明例4)
共重合体ラテックス4の作製:ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水110部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、ブタジエン14部、スチレン9部、アクリロニトリル7部、イタコン酸4部、t−ドデシルメルカプタン0.05部、シクロヘキセン0.5部、αメチルスチレンダイマー0.5部、硫酸第一鉄0.003部、L−アスコルビン酸0.08部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、過硫酸カリウム0.3部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を66℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.77であり、重合熱利用効率は142%であった。重合開始60分後から150分後までは、ブタジエン13部、メチルメタクリレート10部、アクリロニトリル9部、t−ドデシルメルカプタン0.20部の混合物、および過硫酸カリウム0.3部、L−アスコルビン酸0.04部、純水16部を90分間連続添加しながら、重合温度を66℃から72℃に上昇させて重合を継続した。重合開始150分後から240分後までは、ブタジエン23部、スチレン3部、アクリロニトリル8部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.5部、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部を90分間連続添加しながら、重合温度を72℃に保って重合を継続した。重合開始240分後に、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.1部、純水2部、クメンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、重合開始240分後から330分後までは、重合温度を72℃から85℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始330分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認してから槽内温度を35℃以下に冷却した。水酸化カリウム1.0部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス4を得た。
共重合体ラテックス4の数平均粒子径は125nm、pHは8.1、ゲル含有率は96%、ゲル膨潤度は8.1、粗大凝集物の発生量は0.003%であった。
(本発明例5)
共重合体ラテックス5の作製:ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水119部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、ブタジエン11部、スチレン11部、アクリロニトリル9部、イタコン酸1部、アクリル酸3部、t−ドデシルメルカプタン0.05部、硫酸第一鉄0.002部、L−アスコルビン酸0.06部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、過硫酸カリウム0.4部を仕込み35℃で重合を開始した。重合開始から90分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を73℃に上昇させた。この時点での重合転化率は0.52であり、重合熱利用効率は87%であった。重合開始90分後から210分後までは、ブタジエン12部、スチレン10部、アクリロニトリル9部、t−ドデシルメルカプタン0.50部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部を120分間連続添加しながら、重合温度を73℃に保って重合を継続した。重合開始210分後から330分後までは、ブタジエン23部、スチレン6部、アクリロニトリル5部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部を120分間連続添加しながら、重合温度を73℃に保って重合を継続した。重合開始330分後に、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部、クメンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、重合開始330分後から450分後までは、重合温度を73℃から85℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始450分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認してから槽内温度を35℃以下に冷却した。水酸化ナトリウム1.0部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス5を得た。
共重合体ラテックス5の数平均粒子径は130nm、pHは8.0、ゲル含有率は78%、ゲル膨潤度は16.3、粗大凝集物の発生量は0.004%であった。
(本発明例6)
共重合体ラテックス6の作製:ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水105部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、ブタジエン9部、スチレン13部、アクリロニトリル9部、イタコン酸2部、フマール酸1部、アクリル酸1部、t−ドデシルメルカプタン0.05部、硫酸第一鉄0.002部、L−アスコルビン酸0.04部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、過硫酸カリウム0.3部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を66℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.56であり、重合熱利用効率は106%であった。重合開始60分後から150分後までは、ブタジエン10部、スチレン16部、アクリロニトリル8部、t−ドデシルメルカプタン0.20部の混合物、および過硫酸カリウム0.3部、純水20部、L−アスコルビン酸0.04部を90分間連続添加しながら、重合温度を66℃から72℃に上昇させて重合を継続した。重合開始150分後から240分後までは、ブタジエン19部、スチレン10部、アクリロニトリル2部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.5部、L−アスコルビン酸0.04部、純水3部を90分間連続添加しながら、重合温度を72℃に保って重合を継続した。重合開始240分後に、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.1部、純水2部とクメンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、重合開始240分後から330分後までは、重合温度を72℃から85℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始330分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認してから槽内温度を35℃以下に冷却した。水酸化カリウム1.0部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス6を得た。
共重合体ラテックス6の数平均粒子径は135nm、pHは8.0、ゲル含有率は95%、ゲル膨潤度は6.1、粗大凝集物の発生量は0.001%であった。
(比較例7)
共重合体ラテックス7の作製:ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水129部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、ブタジエン5部、スチレン19部、アクリロニトリル6部、フマール酸3部、イタコン酸1部、t−ドデシルメルカプタン0.05部、硫酸第一鉄0.002部、L−アスコルビン酸0.04部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、過硫酸カリウム0.6部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を72℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.54であり、重合熱利用効率は62%であった。重合開始60分後から150分後までは、ブタジエン9部、スチレン17部、アクリロニトリル8部、t−ドデシルメルカプタン0.20部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部を90分間連続添加しながら、重合温度を72℃に保って重合を継続した。重合開始150分後から240分後までは、ブタジエン4部、スチレン23部、アクリロニトリル5部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部を90分間連続添加しながら、重合温度を72℃に保って重合を継続した。重合開始240分後に、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部、クメンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、重合開始240分後から330分後までは、重合温度を72℃から85℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始330分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認してから槽内温度を35℃以下に冷却した。水酸化ナトリウム0.5部と水酸化カリウム0.5部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス7を得た。
共重合体ラテックス7の数平均粒子径は135nm、pHは7.8、ゲル含有率は76%、ゲル膨潤度は10.8、粗大凝集物の発生量は0.009%であった。
(比較例8)
共重合体ラテックス8の作製:ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水129部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、ブタジエン21部、スチレン3部、アクリロニトリル7部、イタコン酸2.5部、アクリル酸1.5部、t−ドデシルメルカプタン0.05部、硫酸第一鉄0.002部、L−アスコルビン酸0.04部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、過硫酸カリウム0.6部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を72℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.48であり、重合熱利用効率は75%であった。重合開始60分後から150分後までは、ブタジエン23部、スチレン4部、アクリロニトリル7部、t−ドデシルメルカプタン0.20部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部を90分間連続添加しながら、重合温度を72℃に保って重合を継続した。重合開始150分後から240分後までは、ブタジエン21部、スチレン5部、アクリロニトリル5部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部を90分間連続添加しながら、重合温度を72℃に保って重合を継続した。重合開始240分後に、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部とクメンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、重合開始240分後から330分後までは、重合温度を72℃から85℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始330分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認してから槽内温度を35℃以下に冷却した。水酸化ナトリウム0.5部と水酸化カリウム0.5部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス8を得た。
共重合体ラテックス8の数平均粒子径は140nm、pHは7.8、ゲル含有率は90%、ゲル膨潤度は9.0、粗大凝集物の発生量は0.007%であった。
(比較例9)
共重合体ラテックス9の作製:ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水110部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、ブタジエン10部、スチレン2部、メチルメタクリレート2部、アクリロニトリル15部、フマール酸3.5部、アクリル酸0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.02部、硫酸第一鉄0.003部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.1部を仕込み28℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を70℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.50であり、重合熱利用効率は88%であった。重合開始60分後から180分後までは、ブタジエン10部、スチレン10部、アクリロニトリル12部、t−ドデシルメルカプタン0.20部の混合物、および過硫酸カリウム0.5部、純水20部を120分間連続添加しながら、重合温度を70℃に保って重合を継続した。重合開始180分後から300分後までは、ブタジエン20部、スチレン7部、アクリロニトリル8部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.5部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.1部、純水1部を120分間連続添加しながら、重合温度を70℃から75℃に上昇させて重合を継続した。重合開始300分後に、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.05部、純水1部、クメンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、重合開始300分後から420分後までは、重合温度を75℃から85℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始420分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認してから槽内温度を35℃以下に冷却した。水酸化カリウム1.0部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス9を得た。
共重合体ラテックス9の数平均粒子径は125nm、pHは7.7、ゲル含有率は92%、ゲル膨潤度は8.7、粗大凝集物の発生量は0.000%であった。
(比較例10)
共重合体ラテックス10の作製:ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水131部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、ブタジエン11部、スチレン17部、イタコン酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.05部、硫酸第一鉄0.002部、L−アスコルビン酸0.06部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、過硫酸カリウム0.6部を仕込み35℃で重合を開始した。重合開始から90分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を73℃に上昇させた。この時点での重合転化率は0.48であり、重合熱利用効率は57%であった。重合開始90分後から210分後までは、ブタジエン12部、スチレン20部、アクリロニトリル1部、t−ドデシルメルカプタン0.20部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水3部を120分間連続添加しながら、重合温度を73℃に保って重合を継続した。重合開始210分後から330分後までは、ブタジエン22部、スチレン11部、アクリロニトリル1部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水3部を120分間連続添加しながら、重合温度を73℃に保って重合を継続した。重合開始330分後に、L−アスコルビン酸0.04部、純水3部、クメンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、重合開始330分後から450分後までは、重合温度を73℃から85℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始450分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認してから槽内温度を35℃以下に冷却した。水酸化ナトリウム1.0部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス10を得た。
共重合体ラテックス10の数平均粒子径は110nm、pHは8.0、ゲル含有率は75%、ゲル膨潤度は15、粗大凝集物の発生量は0.012%であった。
(比較例11)
共重合体ラテックス11の作製:ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水110部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、ブタジエン9部、スチレン17部、アクリロニトリル7部、イタコン酸0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.05部、硫酸第一鉄0.002部、L−アスコルビン酸0.04部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、過硫酸カリウム0.3部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を66℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.55であり、重合熱利用効率は94%であった。重合開始60分後から150分後までは、ブタジエン10部、メチルメタクリレート15部、アクリロニトリル8部、t−ドデシルメルカプタン0.20部の混合物、および過硫酸カリウム0.3部、L−アスコルビン酸0.04部、純水16部を90分間連続添加しながら、重合温度を66℃から72℃に上昇させて重合を継続した。重合開始150分後から240分後までは、ブタジエン16部、スチレン10.5部、アクリロニトリル7部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.5部、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部を90分間連続添加しながら、重合温度を72℃に保って重合を継続した。重合開始240分後に、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.1部、純水2部、クメンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、重合開始240分後から330分後までは、重合温度を72℃から85℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始330分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認してから槽内温度を35℃以下に冷却した。水酸化カリウム1.0部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス11を得た。
共重合体ラテックス11の数平均粒子径は140nm、pHは8.1、ゲル含有率は82%、ゲル膨潤度は13、粗大凝集物の発生量は0.332%であった。
(比較例12)
共重合体ラテックス12の作製:ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水124部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、ブタジエン5部、スチレン5部、アクリロニトリル5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート1部、フマール酸2部、イタコン酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.05部、硫酸第一鉄0.002部、L−アスコルビン酸0.04部、エチレンジアミン四酢酸0.01部を仕込んだ。仕込み完了時の内部温度は30℃であった。外部ジャケットに温水を流しながら90分かけて内部温度を72℃に引き上げた。この時点で重合転化率は0.00であり、重合熱利用効率は0%であった。内部温度が72℃に到達後に過硫酸カリウム0.6部と純水5部を添加して反応を開始した。重合開始直後から150分後までは、ブタジエン18部、スチレン13部、アクリロニトリル8部、t−ドデシルメルカプタン0.20部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部を150分間連続添加しながら、重合温度を72℃に保って重合を継続した。重合開始150分後から300分後までは、ブタジエン22部、スチレン13部、アクリロニトリル6部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部を150分間連続添加しながら、重合温度を72℃に保って重合を継続した。重合開始300分後に、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部、クメンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、重合開始300分後から420分後までは、重合温度を72℃から85℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始420分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認してから槽内温度を35℃以下に冷却した。水酸化ナトリウム0.5部と水酸化カリウム0.5部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス12を得た。
共重合体ラテックス12の数平均粒子径は115nm、pHは7.8、ゲル含有率は95%、ゲル膨潤度は8.6、粗大凝集物の発生量は0.126%であった。
(比較例13)
共重合体ラテックス13の作製:ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水129部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、ブタジエン8部、スチレン9部、アクリロニトリル2部、イタコン酸4部、t−ドデシルメルカプタン0.05部、硫酸第一鉄0.001部、L−アスコルビン酸0.015部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、過硫酸カリウム0.2部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から120分かけて、重合熱を利用しながら重合温度を48℃に上昇させた。この時点で重合転化率は0.11であり、重合熱利用効率は23%であった。重合開始120分後から360分後までは、ブタジエン13部、スチレン17部、アクリロニトリル9部、t−ドデシルメルカプタン0.20部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、過硫酸カリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部を240分間連続添加しながら、重合温度を48℃に保って重合を継続した。重合開始360分後から600分後までは、ブタジエン20部、スチレン9部、アクリロニトリル9部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、過硫酸カリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部を240分間連続添加しながら、重合温度を48℃から53℃に上昇させて重合を継続した。重合開始600分後に、L−アスコルビン酸0.04部、純水2部、クメンハイドロパーオキサイド0.2部を添加し、重合開始600分後から780分後までは、重合温度を53℃に保って重合を継続した。重合開始780分後以降に重合転化率が95%を超えたことを確認してから槽内温度を35℃以下に冷却した。水酸化ナトリウム0.5部と水酸化カリウム0.5部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス13を得た。
共重合体ラテックス13の数平均粒子径は145nm、pHは8.0、ゲル含有率は72%、ゲル膨潤度は14、粗大凝集物の発生量は0.536%であった。
(比較例14)
共重合体ラテックス14の作製:ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水124部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、ブタジエン2部、スチレン1部、メチルメタクリレート1部、アクリロニトリル2部、フマール酸2部、イタコン酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.05部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、過硫酸カリウム0.8部を仕込み30℃で重合を開始した。それと同時に外部ジャケットに温水を流しながら60分かけて内部温度を72℃に引き上げた。この時点で重合転化率は0.32であり、重合熱利用効率は13%であった。重合開始60分後から240分後までは、ブタジエン21部、スチレン15部、アクリロニトリル9部、t−ドデシルメルカプタン0.20部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、純水2部を180分間連続添加しながら、重合温度を72℃に保って重合を継続した。重合開始240分後から420分後までは、ブタジエン18部、スチレン18部、アクリロニトリル9部の混合物、およびアルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.2部、純水2部を180分間連続添加しながら、重合温度を72℃から75℃に上昇させて重合を継続した。重合開始420分後に、純水2部、クメンハイドロパーオキサイド0.2部を添加し、重合開始420分後から600分後までは、重合温度を75℃から85℃に徐々に上昇させて重合を継続した。重合開始600分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認してから槽内温度を35℃以下に冷却した。水酸化ナトリウム0.5部と水酸化カリウム0.5部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス14を得た。
共重合体ラテックス14の数平均粒子径は125nm、pHは7.7、ゲル含有率は92%、ゲル膨潤度は7.2、粗大凝集物の発生量は0.023%であった。
(紙塗工用組成物の作成)
上記にて得られた各種共重合体ラテックスを用いて、下記の配合により紙塗工用組成物を調整した。
カオリンクレー 50部
重質炭酸カルシウム 50部
変性デンプン 3部
共重合体ラテックス 9部
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
固形分濃度 65%
(塗工紙の作成と評価)
市販の熱風塗工乾燥機MLC−100S型を用いて、塗工原紙(坪量67g/m2)に得られた紙塗工用組成物を塗工乾燥し、塗工紙を作製した。
塗工条件:熱風塗工乾燥機MLC−100S型にて、各紙塗工用組成物の乾燥後の塗工量が片面13g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗工した。塗工速度は46m/分に設定した。
乾燥条件:塗工から約0.5秒後に150℃の乾燥炉内で、温度210℃、風速33m/秒の熱風により3秒間乾燥した。
得られた各塗工紙を、相対湿度65%、温度20℃の条件下で一昼夜調湿した後、線圧60kg/cm、表面温度50℃、通紙速度7m/分、表裏2回ずつ合計4回の通紙条件でスーパーカレンダー処理し、得られた塗工紙を下記に示す各試験に供して評価し、結果を表1および2に示した。
(各特性の評価方法)
塗工紙のドライピック強度の評価:RI印刷機で各塗工紙試料を同時に印刷した際のピッキングの程度を肉眼で判定し、(優)◎ > ○ > △ > ×(劣)まで相対的に評価した。結果を表1および2に示した。
塗工紙の印刷光沢:RI印刷機で各塗工紙試料をシートオフセット用インキを用いて印刷した後、一昼夜放置し、印刷面の光沢度をJIS.P−8142に従い測定し、以下に示す◎(最も良い)から×(最も悪い)までを相対的に評価した。結果を表1および2に示した。
◎:60%以上
○:55%以上、60%未満
△:50%以上、55%未満
×:50%未満
ラテックスフィルムのベタツキ性:ワイヤーバー#10を用いて、各共重合体ラテックスをポリエステルフィルム上に塗工したのち、熱風循環式オーブン中で110℃×1分間乾燥してラテックスフィルムを得た。フィルムサンプルの上にNo.5ろ紙を置き、加圧式熱ロール装置にて圧着したのち、ろ紙をはずして、フィルム上に付着したろ紙の状態を肉眼で判定し、以下に示すとおり、ろ紙繊維付着が少なく最も良い◎から、ろ紙繊維付着が少なく最も悪い×までを相対的に評価した。結果を表1および2に示した。
(優)◎ > ○ > △ > ×(劣)
再分散性:NBRゴムシート上に各紙塗工用組成物を並べてワイヤーバーで塗布後乾燥した後、水洗して、塗工層の洗浄しやすさを比較した。最も洗浄しやすかったものを◎、少し洗浄しにくかったものを○、洗浄しにくかったものを△、全く洗浄できなかったものを×として相対的に評価した。結果を表1および2に示した。
以上のとおり、本発明は重合反応中に発生する粗大凝集物の発生が極めて少なく、かつ、製造初期において重合反応系外からの過大な加熱を必要とせず、省エネルギー性に優れた効率のよい紙塗工用共重合体ラテックスが得られるものであり、また得られた紙塗工用共重合体ラテックスを塗工紙のバインダーとして使用することにより、接着強度、印刷光沢、操業性などに優れた物性を有するものであり、紙塗工用のバインダーとして好適に使用することができる。

Claims (9)

  1. 脂肪族共役ジエン系単量体20〜60重量%、シアン化ビニル系単量体5〜30重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体1〜10重量%およびそれらと共重合可能な他の単量体0〜74重量%からなる重合性単量体合計100重量部を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、単量体の一部または全量を仕込み完了後、重合系内の温度T1が0〜45℃の範囲で重合を開始した後、重合系内の温度T2を55〜100℃の範囲に到達させるに際し、その温度上昇(T2−T1)に必要な熱量の15%以上を重合による重合熱を利用して昇温させることを特徴とする紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法。
  2. 共重合体ラテックスのゲル含有率(GEL)とゲル膨潤度(SI)の比率(GEL/SI)の値が5〜15の範囲にある請求項1に記載の紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法。
  3. 共重合体ラテックスの数平均粒子径が70〜150nmである請求項1に記載の紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法。
  4. 重合開始から180〜540分で全重合性単量体の重合転化率を0.9以上に到達させる請求項1〜3何れかに記載の紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法。
  5. 重合性単量体合計100重量部に対して65〜300重量部の重合水を使用してなる請求項1〜4何れかに記載の紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法。
  6. T2−T1=30℃以上である請求項1〜5何れかに記載の紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法。
  7. 温度上昇(T2−T1)に必要な熱量の40以上%を重合による重合熱によって昇温させることを特徴とする請求項1〜6何れかに記載の紙塗工用共重合体ラテックスの製造方法。
  8. 請求項1〜7何れかに記載の製造方法で得られた紙塗工用共重合体ラテックス。
  9. 請求項8に記載の紙塗工用共重合体ラテックス及び顔料を含んでなる紙塗工用組成物。
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