JP4331429B2 - 紙塗工用共役ジエン−芳香族ビニル系共重合体ラテックス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は紙塗工用共重合体ラテックスに関する。詳しくは、従来公知の紙塗工用共重合体ラテックスより効率よく生産でき、かつ本発明の共重合体ラテックスを使用して得られた紙塗工用塗料組成物の機械的安定性が優れ、更には当該紙塗工用塗料組成物を塗工乾燥して得られた塗工紙が、印刷時のドライピック強度、ウェットピック強度、耐ブリスター性などの塗工紙特性に優れ、また耐熱変色性能にも優れた紙塗工用共役ジエン−芳香族ビニル系共重合体ラテックスに関する。
【0002】
【従来技術】
塗工紙は塗工原紙の表面に紙塗工用塗料組成物を塗工、乾燥して製造される。一般に紙塗工用塗料組成物はクレー、炭酸カルシウムやポリスチレンなどの無機、有機白色顔料を水に分散した顔料分散液、顔料同士や顔料を原紙に接着固定するためのバインダー、およびその他の添加剤によって構成される水性塗料である。バインダーとしてはスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスに代表されるような合成エマルジョンバインダー、デンプンやカゼインに代表されるような天然バインダーが使用される。その中でもスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスは品質設計の自由度が大きく、今日では紙塗工用塗料組成物に最も適したバインダーとして広く使用されており、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスの性能が紙塗工用塗料組成物の性能あるいは最終的な塗工紙製品に必要とされる印刷時のドライピック強度、ウェットピック強度、耐ブリスター性、耐熱変色性能などの品質に大きく影響すると言われている。
【0003】
特に印刷が一層高速化されている今日においては、塗工紙に対して従来よりも高いレベルの表面強度や耐ブリスター性が求められている。また、印刷物に従来以上の高品位が求められており、印刷後の非画線部の耐熱変色性が要求されるケースも増えている。
【0004】
前記の性能面での要求が高まる一方で、近年は海外から低コストの塗工紙や製紙材料が輸入されてきており、塗工紙を製造する各メーカーは更なるコスト低減の目的から、安価でありかつ接着強度の良いバインダーを従来の使用量より減らしつつ、前述の塗工紙品質を維持、改良する必要に迫られている。よって、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスについても生産性効率がよく従来よりも低コストで製造でき、かつ前述の要求品質に優れたものが強く求められている。
【0005】
共重合体ラテックスの接着強度を改良するために、例えば共重合体ラテックス中のゲル含量を調製する方法や、共重合体の組成を調製するなどの改良方法が提案されているが、塗工紙の表面強度と他の要求特性とは互いに背反することが多く、全ての特性をバランスよく改良することは容易ではなかった。
【0006】
前述の物性バランスを改良するために、さまざまな改良する技術が公開されているが、未だ十分満足されるレベルにはいたっておらず、特に特開2001−172894号には、特定の2段重合方法を用いて比較的低温で重合して、特定の分子量を有する共重合体ラテックスが良好な特性を発現するとの技術が開示されているが、通常低温で重合した場合には反応時間が長くなり生産性が低下するためにコストパフォーマンスの優れる共重合体ラテックスを得ることが難しく、改良が強く望まれていた。
【0007】
一方、共役ジエンを共重合したラテックスは、それ以外の共重合体ラテックス、例えばアクリルラテックスなどに比べて塗工紙の強度面では有利とされているが、耐熱変色性能に付いては比較的劣るとされており、そのバランスについても改良が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来公知の紙塗工用共重合体ラテックスより効率よく生産でき、かつ本発明の共重合体ラテックスを使用して得られた紙塗工用塗料組成物の機械的安定性が優れ、更には当該紙塗工用塗料組成物を塗工乾燥して得られた塗工紙が、印刷時のドライピック強度、ウェットピック強度、耐ブリスター性などの塗工紙特性に優れ、また耐熱変色性能にも優れた紙塗工用共役ジエン−芳香族ビニル系共重合体ラテックスを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の諸事情に鑑み現状の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、反応に使用する単量体中の重合禁止剤または安定剤の量を一定以下になるように工夫し、かつ特定の条件下で得られた共重合体ラテックスで上記問題が解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、
(1)脂肪族共役ジエン系単量体25〜70重量%、芳香族ビニル単量体15〜74重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体1〜10重量%およびそれらと共重合可能な他の単量体0〜59重量%からなる単量体合計100重量部を乳化重合して得られた共重合体ラテックスであって、当該共重合体ラテックスの乳化重合に使用される脂肪族共役ジエン系単量体部数Aと芳香族ビニル単量体部数Bの和(A+B)に対する脂肪族共役ジエン系単量体中の重合禁止剤部数aと芳香族ビニル単量体中の重合禁止剤部数bの和(a+b)の比率(a+b)/(A+B)が35ppm以下であり、かつ、75℃以下の温度で反応を行なうことを特徴とする紙塗工用共役ジエン−芳香族ビニル系共重合体ラテックス、
(2)脂肪族共役ジエン系単量体中の重合禁止剤量を20ppm以下になるよう処理した後、それを用いて乳化重合を開始する(1)に記載の紙塗工用共役ジエン−芳香族ビニル系共重合体ラテックス、
(3)反応系内に鉄を含まない還元剤を存在させることを特徴とする(1)または(2)に記載の紙塗工用共役ジエン−芳香族ビニル系共重合体ラテックス、
(4)反応の実質的開始を意味する重合開始剤の添加から重合転化率が95重量%になるまでの時間が15時間以内であることを特徴とする(1)〜(3)に記載の紙塗工用共役ジエン−芳香族ビニル系共重合体ラテックスを提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明における芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼン等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にスチレンの使用が好ましい。
現在、工業的に使用されるスチレンには重合禁止剤としてターシャリーブチルカテコールが約数十ppm含有されている。
【0012】
本発明における脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に1,3−ブタジエンの使用が好ましい。
現在、工業的に使用される1,3−ブタジエンにも単量体貯蔵中の重合を防ぐ目的で重合禁止剤が含まれており、その量はスチレンの場合の数十ppmよりも多く、一般にターシャリーブチルカテコールが約数十ppm〜100ppm含有されている。
【0013】
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸(無水物)が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、イタコン酸の使用が好ましい。
【0014】
上記単量体と共重合可能な他の単量体としては、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、シアン化ビニル単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体等が挙げられる。
【0015】
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマルエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にメチルメタクリレートの使用が好ましい。
【0016】
ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体としては、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にβ−ヒドロキシエチルアクリレートの使用が好ましい。
【0017】
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの使用が好ましい。
【0018】
不飽和カルボン酸アミド単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどが挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。特にアクリルアミドまたはメタクリルアミドの使用が好ましい。
【0019】
上記の単量体組成は、脂肪族共役ジエン系単量体25〜70重量%、芳香族ビニル系単量体15〜74重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体1〜10重量%およびそれらと共重合可能な他の単量体0〜59重量%であることが必要である。
【0020】
脂肪族共役ジエン系単量体が25重量%未満では印刷時に必要とされる表面強度のうちドライピック強度が、また70重量%を超えると印刷時に必要とされる湿潤時の表面強度、いわゆるウェットピック強度が劣るので好ましくない。好ましくは30〜60重量%、更に好ましくは35〜55重量%である。
【0021】
芳香族ビニル単量体が15重量%未満では印刷時に必要とされるウェットピック強度が、74重量%を超えると印刷時に必要とされるドライピック強度が劣るので好ましくない。好ましくは20〜65重量%、更に好ましくは25〜60重量%である。
【0022】
エチレン系不飽和カルボン酸単量体が1重量%未満では共重合体ラテックス自身および紙被覆用組成物の機械的安定性が劣る可能性があり、また10重量%を超えるとラテックスの粘度が高くなり、共重合体ラテックス自身の取り扱い上の問題を生じる可能性があるため好ましくない。さらに好ましくは1〜8重量%である。
【0023】
共重合可能な他の単量体の合計が59重量%を超えるとドライピック強度が劣り好ましくない。好ましくは0〜50重量%、さらに好ましくは0〜40重量%である。
【0024】
本発明の共重合体ラテックスは、当該共重合体ラテックスの乳化重合に使用される脂肪族共役ジエン系単量体部数Aと芳香族ビニル単量体部数Bの和(A+B)に対する脂肪族共役ジエン系単量体中の重合禁止剤部数aと芳香族ビニル単量体中の重合禁止剤部数bの和(a+b)の比率(a+b)/(A+B)が35ppm以下であることが必要であるとともに反応温度を75℃以下に設定することが好ましく、さらに、50℃から75℃の範囲に設定することが好ましい。この範囲の温度で重合したラテックスはドライピック強度と耐ブリスター適性のバランスが良好でありかつ生産効率が高い。一方で、重合禁止剤の比率が35ppmを越えると反応温度が75℃以下の条件で反応速度が落ちて、共重合体ラテックスの生産効率が低下する。また、重合禁止剤の比率に関係なく反応温度が75℃を越えると共重合体ラテックスの生産効率は確保できるが、塗工紙のドライピック強度と耐ブリスター適性が低下する。なお、これら重合禁止剤としては通常t−ブチルカテコール(TBC)が使用されている。
【0025】
本発明の共重合体ラテックスの製造に使用できる連鎖移動剤としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物、ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。これらの連鎖移動剤の量は特に限定されないが、通常、単量体100重量部に対して0〜5重量部にて使用される。
【0026】
また、本発明においては連鎖移動剤としてα−メチルスチレンダイマーも使用することが可能である。α−メチルスチレンダイマーには、異性体として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンおよび1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンがあるが、本発明に使用されるα−メチルスチレンダイマーとしては、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの含有量が60重量%以上、特に80重量%以上であることが好ましい。なお、α−メチルスチレンダイマーは沸点が高く、共重合体ラテックスの製造後もラテックス粒子中に残留するため、本発明の目的とは別の環境問題から、その使用量は単量体100重量部に対して2重量部未満とすることが好ましい。
【0027】
本発明における重合方法は、一段重合、二段重合、多段階重合、シード重合、パワーフィード重合法等何れを採用してもよいが、二段重合、多段階重合が特に好ましい。また、本発明の重合方法における各種成分の添加方法についても特に制限されるものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法の何れも採用することができる。後述の実施例に示すような連続添加方法による2段階以上の多段階重合法が好ましく、更には3段階以上の多段階重合法が好ましいようである。
【0028】
また、乳化重合において、常用の乳化剤、重合開始剤、遷移金属を含まない還元剤、炭化水素系溶剤、電解質、重合促進剤、キレート剤等を使用することができる。
【0029】
乳化剤としては高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤あるいはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。
【0030】
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性重合開始剤を適宜用いることができる。特に過硫酸カリウムや過硫酸ナトリウムの水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイドの使用が好ましい。
【0031】
また、反応系内に重合開始剤とともに還元剤を存在させると、性能の低下が無く反応速度が促進され好ましいが、鉄などの遷移金属を含む還元剤を使用すると塗工紙の耐熱変色性能が低下する傾向にあるため好ましくない。遷移金属を含む還元剤を使用しても金属封止剤をラテックスに添加すれば塗工紙の耐熱変色性能は若干改良されるが、本発明の効果(耐熱変色性能)を十分発揮させるためには遷移金属を含む還元剤、例えば硫酸第一鉄などは極力その使用を避けることが望ましい。
本発明において好ましく用いられる還元剤の具体例としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜ニチオン酸塩、ニチオン酸塩、チオ硫酸塩、また、ホルムアルデヒドスルホン酸塩、ベンズアルデヒドスルホン酸塩などの還元性スルホン酸塩、更にはL−アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸などのカルボン酸類、更にはデキストロース、サッカロースなどの還元糖類、更にはジメチルアニリン、トリエタノールアミンなどのアミン類が上げられる。特に亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸が好ましい。
【0032】
また、重合に際して、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン等の不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などの炭化水素化合物を使用しても良い。特に、沸点が適度に低く、重合終了後に水蒸気蒸留などによって回収、再利用しやすいシクロヘキセンやトルエンが、本発明の目的とは異なるものの、環境問題の観点から好適である。
【0033】
また、本発明にて製造された共重合体ラテックスは、顔料と共に紙塗工用塗料組成物として使用される。このような顔料としては、例えば、カオリンクレー、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、サチンホワイトなどの無機顔料、あるいはポリスチレンラテックスやバインダーピグメントなどのような有機顔料が挙げられ、これらは単独または混合して使用される。
【0034】
また、必要に応じて澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉等の変性澱粉、大豆蛋白、カゼインなどの天然バインダー、あるいはポリビニルアルコールなどの水溶性合成バインダーなどを使用しても差し支えない。さらに、ポリ酢酸ビニルラテックス、アクリル系ラテックスなどの合成ラテックス等を本発明の共重合体ラテックスと併用してもよいが、本発明の効果を高く発揮させるためには、これらの使用割合は全共重合体ラテックスのうち固形分で50重量%未満に抑えることが望ましい。更には20重量%未満に抑えることが望ましく、本発明の共重合体ラテックスの単独使用が最も望ましい。
【0035】
本発明の共重合体ラテックスを用いて紙塗工用塗料組成物を調整する際に、さらにその他の助剤、例えば分散剤(ピロリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなど)、消泡剤(ポリグリコール、脂肪酸エステル、リン酸エステル、シリコーンオイルなど)、レベリング剤(ロート油、ジシアンジアミド、尿素など)、防腐剤、離型剤(ステアリン酸カルシウム、パラフィンエマルジョンなど)、蛍光染料、カラー保水性向上剤(カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)を必要に応じて添加しても良い。
【0036】
さらに、紙塗工用塗料組成物を塗工用原紙へ塗布する方法には、公知の技術、例えばエアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーターなどのいずれの塗工機を使用しても差し支えない。また、塗工後、表面を乾燥し、カレンダーリングなどにより仕上げる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中、割合を示す部および%は特に断りのない限り重量基準によるものである。また実施例における諸物性の評価は次の方法に拠った。
【0038】
塗料の機械的安定性の評価
紙塗工用組成物の固形分濃度を30重量%に調整し、ロール式機械的安定性試験機(パダースタビリティーテスター)を用いて金属ロールとゴムロールの間で機械的せん断を与え、ゴムロール上に凝固物が発生するまでの時間を測定し、下記の4段階で評価した。
◎・・・45分以上 (非常に良い)
○・・・30分以上45分未満 ( 良い )
△・・・20分以上30分未満 ( 少し悪い )
×・・・20分未満 (非常に悪い)
【0039】
塗工紙のドライピック強度の評価
RI印刷機を用いて、分裂抵抗の比較的大きいタック値が18のインキで各塗工紙試料を同時に印刷し、その際のピッキングの程度を肉眼で判定し、5級(最も良い)から1級(最も悪い)まで相対的に評価した。6回の印刷試験を行い、平均値を求めた。
【0040】
塗工紙のウェットピック強度の評価
RI印刷機を用いてモルトンロールにより各塗工紙試料に対して同時に湿し水を付与し、その直後に、分裂抵抗が中程度のタック値が12のインキで各塗工紙試料を同時に印刷し、その際のピッキングの程度を肉眼で判定し、5級(最も良い)から1級(最も悪い)まで相対的に評価した。6回の印刷試験を行い、平均値を求めた。
【0041】
ブリスター発生温度の評価
両面印刷した塗工紙試料を20℃、相対湿度65%の雰囲気中で約1昼夜調湿し、これを温度調整可能なオイルバス中に投げ込み、ブリスターの発生した最低温度を求めた。温度が高いほど耐ブリスター適性が良い。
【0042】
耐熱変色性の評価
各塗工紙試料を市販のギヤオーブン中につるし、140℃で10時間熱処理し黄色度測定試料とする。ハンター白色度試験機を用いて、JIS P−8123に準じた操作により各黄色度測定試料表面の標準酸化マグネシウム板に対する比反射率をブルー、アンバー、グリーンの各フィルターについて測定し、各フィルターについて得られた比反射率を各々B(ブルー)、A(アンバー)、G(グリーン)とする。各試料の黄色度YをY=(A−B)/Gによって計算する。黄色度Yの値が小さいほど耐熱変色性が優れる。
【0043】
共重合体ラテックスの粒子径の測定
数平均粒子径を動的光散乱法により測定した。測定に際しては、大塚電子製LPA−3000/3100を使用した。
【0044】
共重合体ラテックスのゲル含有量の測定
室温雰囲気にてラテックスフィルムを作成する。その後ラテックスフィルムを約1g秤量し、これを400ccのトルエンに入れ48時間膨張溶解させる。その後、これを300メッシュの金網で濾過し、金網に捕捉されたトルエン不溶部を乾燥後秤量し、この重量のはじめのラテックスフィルムの重量に占める割合をゲル含有量として重量%で算出した。
【0045】
ブタジエンおよびスチレン中に存在するt−ブチルカテコール(TBC)の定量方法
試料の一定量を蒸発乾固し、残留物を1N−NaOHで溶解する。この溶液を分光光度計を用いて波長540nmでの吸光度を測定する。既知量のTBCから求めた検量線より試料のTBC含有量を定量した。
【0046】
反応開始後15時間目の重合転化率の測定方法
ラテックスサンプル約1.0gを正確に秤量し、150℃オーブンにて60分乾燥後残留量を測定し、以下の計算によって全重合転化率を算出した。
【0047】
【数1】
【0048】
【数2】
【0049】
ブタジエン中に含まれるTBCの減量操作
1N−NaOHと接触させることでTBCを取り除く。この操作によって得られたTBCを含まないブタジエンとTBC既知量のブタジエンとの混合比率によりブタジエン中に存在するTBC量を決定する。
【0050】
ブタジエン中に含まれるTBCの測定
市販のブタジエンAに含まれるTBCの量を前述の方法で測定したところ55ppmであった。
それを前述したTBCの減量操作によってブタジエンCを得た。ブタジエンCに含まれるTBCの量を前述の方法で測定したところ0ppmであった。ブタジエンAとブタジエンCを1/2の割合で混合し、ブタジエンBを得た。ブタジエンBに含まれるTBCの量を前述の方法で測定したところ18ppmであった。
【0051】
スチレン中に含まれるTBCの測定
A社製のスチレンAに含まれるTBCの量を前述の方法で測定したところ35ppmであった。
B社製のスチレンBに含まれるTBCの量を前述の方法で測定したところ13ppmであった。
【0052】
共重合体ラテックスの作製方法(実施例1〜7および比較例1〜4)
(実施例1)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で純水120部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、表1に示す1段目の各単量体およびα−メチルスチレンダイマー0.5部、L−アスコルビン酸0.3部を加えて十分攪拌した後、過硫酸カリウム0.8部を仕込み、61℃で重合を開始した。開始から5時間後に重合温度を65℃に上げて保ち、表1に示す2段目の各単量体およびt−ドデシルメルカプタン0.2部、シクロヘキセン5部、ペレックスSSL0.5部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.05部、純水10部を6時間にわたって連続的に添加した。そのまま重合温度を65℃に4時間保った後、重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。この時の重合転化率は97%であった。次いで、共重合体ラテックスを苛性ソーダ水溶液でpHを約7に調整した後、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックスを得た。
【0053】
(実施例2)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で純水120部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.2部、表1に示す1段目の各単量体およびシクロヘキセン8部、n−オクチルメルカプタン0.2部を加えて十分攪拌した後、過硫酸ナトリウム0.3部を仕込み、64℃で重合を開始した。開始から4時間後に重合温度を66℃に上げて保ち、表1に示す2段目の各単量体および過硫酸ナトリウム0.2部、亜硫酸水素ナトリウム0.2部、n−オクチルメルカプタン0.1部を4時間にわたって連続的に添加した。さらに重合温度を68℃に上げて保ち、表1に示す3段目の各単量体および過硫酸ナトリウム0.3部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.1部を3時間にわたって連続的に添加した。そのまま重合温度を68℃に4時間保った後、重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。この時の重合転化率は98%であった。次いで、共重合体ラテックスを苛性ソーダ水溶液でpHを約7に調整した後、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックスを得た。
【0054】
(実施例3)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で純水105部、乳化剤としてペレックスSSL1.3部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部、表1に示す1段目の各単量体およびシクロヘキセン4部、t−ドデシルメルカプタン0.4部を加えて十分攪拌した後、過硫酸カリウム1部を仕込み、62℃で重合を開始した。開始から4時間後に表1に示す2段目の各単量体および過硫酸カリウム0.3部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ペレックスSSL、純水10部を7時間にわたって連続的に添加した。さらに重合温度を68℃に上げて保ち、表1に示す3段目の各単量体およびペレックスSSL0.2部、純水5部を1時間にわたって連続的に添加した。そのまま重合温度を68℃に3時間保った後、重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。この時の重合転化率は96%であった。次いで、共重合体ラテックスを苛性ソーダ水溶液でpHを約7に調整した後、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックスを得た。
【0055】
(実施例4)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で純水150部、乳化剤としてペレックスSSL0.1部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部、表1に示す1段目の各単量体およびα−メチルスチレンダイマー1部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を加えて十分攪拌した後、過硫酸カリウム0.5部、L−アスコルビン酸0.2部を仕込み、62℃で重合を開始した。開始から3時間後に、表1に示す2段目の各単量体および過硫酸ナトリウム0.2部、L−アスコルビン酸0.2部、α−メチルスチレンダイマー0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、ペレックスSSL0.3部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部、純水10部を4時間にわたって連続的に添加した。さらに、表1に示す3段目の各単量体および過硫酸ナトリウム0.1部、L−アスコルビン酸0.1部、ペレックスSSL0.2部、純水5部を4時間にわたって連続的に添加した。そのまま重合温度を62℃に4時間保った後、重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。この時の重合転化率は97%であった。次いで、共重合体ラテックスを苛性ソーダ水溶液でpHを約7に調整した後、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックスを得た。
【0056】
(実施例5)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で純水130部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.2部、表1に示す1段目の各単量体およびシクロヘキセン5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部を加えて十分攪拌した後、過硫酸カリウム0.4部、L−アスコルビン酸0.3部を仕込み、70℃で重合を開始した。開始から4時間後に、表1に示す2段目の各単量体および過硫酸ナトリウム0.3部、亜硫酸水素ナトリウム0.05部、シクロヘキセン5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ペレックスSSL0.5部、純水5部を3時間にわたって連続的に添加した。重合温度を72℃に上げて保ち、表1に示す3段目の各単量体および過硫酸ナトリウム0.2部、亜硫酸ナトリウム0.05部、ペレックスSSL0.1部、純水5部を2時間にわたって連続的に添加した。さらに重合温度を75℃に上げ、3時間保った後、重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。この時の重合転化率は99%であった。次いで、共重合体ラテックスを苛性ソーダ水溶液でpHを約7に調整した後、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックスを得た。
【0057】
(実施例6)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で純水115部、乳化剤としてペレックスSSL0.5部、表1に示す1段目の各単量体およびα−メチルスチレンダイマー0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、シクロヘキセン2.0部を加えて十分攪拌した後、過硫酸カリウム1.5部を仕込み、65℃で重合を開始した。開始から4時間後に、表1に示す2段目の各単量体および過硫酸ナトリウム0.1部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.1部、α−メチルスチレンダイマー0.2部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、シクロヘキセン4部、ペレックスSSL0.2部、純水10部を4時間にわたって連続的に添加した。さらに、表1に示す3段目の各単量体およびt−ドデシルメルカプタン0.2部、過硫酸ナトリウム0.1部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.1部、ペレックスSSL0.2部、純水10部を4時間にわたって連続的に添加した。そのまま重合温度を65℃に3時間保った後、重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。この時の重合転化率は97%であった。次いで、共重合体ラテックスを苛性ソーダ水溶液でpHを約7に調整した後、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックスを得た。
【0058】
(実施例7)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で純水95部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部、表1に示す1段目の各単量体およびα−メチルスチレンダイマー0.5部、シクロヘキセン4.0部を加えて十分攪拌した後、過硫酸カリウム0.7部、硫酸第一鉄7水塩0.03部を仕込み、62℃で重合を開始した。開始から3時間後に、重合温度を65℃に上げて保ち、表1に示す2段目の各単量体および過硫酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水塩0.01部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部、純水10部を6時間にわたって連続的に添加した。さらに、表1に示す3段目の各単量体およびα−メチルスチレンダイマー0.2部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、過硫酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水塩0.01部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部、純水5部を1.5時間にわたって連続的に添加した。その後重合温度を65℃に保ち、4.5時間保った後、重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。この時の重合転化率は98%であった。次いで、共重合体ラテックスを苛性ソーダ水溶液でpHを約7に調整した後、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックスを得た。
【0059】
(比較例1)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で純水120部、乳化剤としてペレックスSSL0.3部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部、表1に示す1段目の各単量体およびα−メチルスチレンダイマー0.2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を加えて十分攪拌した後、過硫酸カリウム0.4部を仕込み、61℃で重合を開始した。開始から4時間後に、表1に示す2段目の各単量体および過硫酸ナトリウム0.2部、α−メチルスチレンダイマー0.1部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、シクロヘキセン4部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部、純水3部を3時間にわたって連続的に添加した。さらに、表1に示す3段目の各単量体およびα−メチルスチレンダイマー1部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、シクロヘキセン6部、純水7部を4時間にわたって連続的に添加した。そのまま重合温度を61℃に4時間保った後、重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。この時の重合転化率は92%であった。次いで、共重合体ラテックスを苛性ソーダ水溶液でpHを約7に調整した後、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックスを得た。
【0060】
(比較例2)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で純水98部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8部、表1に示す1段目の各単量体およびα−メチルスチレンダイマー0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部を加えて十分攪拌した後、過硫酸カリウム1.0部を仕込み、68℃で重合を開始した。開始から3時間後に、表1に示す2段目の各単量体およびt−ドデシルメルカプタン0.1部、純水3部を6時間にわたって連続的に添加した。さらに、表1に示す3段目の各単量体および純水4部を2時間にわたって連続的に添加した。そのまま重合温度を68℃に4時間保った後、重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。この時の重合転化率は98%であった。次いで、共重合体ラテックスを苛性ソーダ水溶液でpHを約7に調整した後、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックスを得た。
【0061】
(比較例3)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で純水104部、乳化剤としてペレックスSSL1.0部、表1に示す1段目の各単量体およびn−オクチルメルカプタン0.2部、シクロヘキセン8部を加えて十分攪拌した後、過硫酸カリウム0.8部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.2部を仕込み、68℃で重合を開始した。開始から3時間後に、表1に示す2段目の各単量体および過硫酸ナトリウム0.1部、n−オクチルメルカプタン0.2部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部、純水6部を6時間にわたって連続的に添加した。さらに、表1に示す3段目の各単量体および過硫酸ナトリウム0.1部、ホルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム0.2部、純水5部を2時間にわたって連続的に添加した。そのまま重合温度を68℃に4時間保った後、重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。この時の重合転化率は97%であった。次いで、共重合体ラテックスを苛性ソーダ水溶液でpHを約7に調整した後、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックスを得た。
【0062】
(比較例4)
耐圧性の重合反応機に、窒素雰囲気下で純水95部、乳化剤としてペレックスSSL0.3部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部、表1に示す1段目の各単量体およびα−メチルスチレンダイマー1.5部を加えて十分攪拌した後、過硫酸カリウム1部、L−アスコルビン酸0.2部を仕込み、80℃で重合を開始した。開始から3時間後に、表1に示す2段目の各単量体およびL−アスコルビン酸ナトリウム0.1部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部、純水10部を6時間にわたって連続的に添加した。さらに、表1に示す3段目の各単量体およびt−ドデシルメルカプタン0.1部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部、純水5部を1.5時間にわたって連続的に添加した。その後重合温度を85℃に上げて保ち、4.5時間保った後、重合停止剤としてジエチルヒドロキシアミンを添加して重合を終了した。この時の重合転化率は99.5%であった。次いで、共重合体ラテックスを苛性ソーダ水溶液でpHを約7に調整した後、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、共重合体ラテックスを得た。
【0063】
紙塗工用組成物の作製
下記の組成からなる紙塗工用組成物を固形分濃度が63%となるように作成した。
カオリンクレー 70部
炭酸カルシウム 30部
水酸化ナトリウム 0.15部
澱粉 4部
共重合体ラテックス 10部
【0064】
片面塗工紙の作製
市販の熱風塗工乾燥機MLC−100S型を用いて、塗工原紙(坪量54g/m2)に作製した紙塗工用組成物液をワイヤーバー#3〜6を用いて塗工量13g/m2となるように塗工し、塗工から0.5秒後に150℃の乾燥炉内で温度190℃風速36m/secの熱風により5秒間乾燥し作製した。
【0065】
両面塗工紙の作製
片面塗工紙と同様の条件で両面塗工を行い作製した。
【0066】
得られた各塗工紙を相対湿度65%、温度20℃の条件下で一昼夜調湿した後、線圧40kg/cm、温度50℃、通紙速度7m/min、4回通紙の条件でスーパーカレンダー処理し両面塗工紙はブリスター発生温度評価に、それ以外の評価には片面塗工紙を供試した。物性試験の結果を表1に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【発明の効果】
上記の通り、本発明によって得られる共重合体ラテックスは従来公知の紙塗工用共重合体ラテックスより効率よく生産でき、かつ本発明の共重合体ラテックスを使用して得られた紙塗被用塗料組成物の機械的安定性が優れ、得られた塗工紙が印刷時のドライピック強度、ウエットピック強度、耐ブリスター性に優れ、さらに耐熱黄変性に優れる紙塗工用共重合体ラテックスを提供することができる。
Claims (3)
- 脂肪族共役ジエン系単量体25〜70重量%、芳香族ビニル系単量体15〜74重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体1〜10重量%およびそれらと共重合可能な他の単量体0〜59重量%からなる単量体合計100重量部を、反応系内に鉄を含まない還元剤を存在させて乳化重合して得られた共重合体ラテックスであって、当該共重合体ラテックスの乳化重合に使用される脂肪族共役ジエン系単量体部数Aと芳香族ビニル単量体部数Bの和(A+B)に対する脂肪族共役ジエン系単量体中の重合禁止剤部数aと芳香族ビニル単量体中の重合禁止剤部数bの和(a+b)の比率(a+b)/(A+B)が35ppm以下であり、かつ50〜75℃の温度で反応を行なうことを特徴とする紙塗工用共役ジエン−芳香族ビニル系共重合体ラテックス。
- 重合禁止剤量が20ppm以下になるよう処理された脂肪族共役ジエン系単量体を使用してなる請求項1に記載の紙塗工用共役ジエン−芳香族ビニル系共重合体ラテックス。
- 反応の実質的開始を意味する重合開始剤の添加から重合転化率が95重量%になるまでの時間が15時間以内であることを特徴とする請求項1〜2何れかに記載の紙塗工用共役ジエン−芳香族ビニル系共重合体ラテックス。
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