次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
本発明の実施形態は、原稿面照明方法、(原稿)照明装置、及び、それを用いた画像読取装置に関する。
本発明の実施形態は、例えば、本発明の実施形態は、複写機又はファクシミリの原稿面を照射する照明方法及び照明装置、デジタルPPC(普通紙複写機)などに搭載される固体撮像素子、結像レンズ、及び照明装置を搭載した(フィルムスキャナ及びハンディスキャナのような)画像読取装置とそのための照明装置に関する。
本発明の第一の実施形態は、光源からの光によって照明された原稿面からの散乱光を結像レンズによって感光体又は撮像素子に結像させて、原稿面の画像における画像形成対象位置での一次元画像を形成し、原稿面の画像形成対象位置を、一次元画像に沿った方向(主走査方向)と直角な方向(副走査方向)に順次移動させることによって、原稿面の画像における二次元の画像を形成する、画像形成装置用の原稿面照明方法において、少なくとも一次元画像に沿った方向(主走査方向)に対応する方向に複数の光源を配置し、複数の光源から放出される光の光束を、原稿面の一次元画像に沿った方向において、隣接する光源の間隔の二倍以上の範囲に拡散させることを特徴とする画像形成装置用の原稿面照明方法である。
本発明の第二の実施形態は、光源からの光によって照明された原稿面からの散乱光を結像レンズによって感光体又は撮像素子に結像させて、原稿面の画像における画像形成対象位置での一次元画像を形成し、原稿面の画像形成対象位置を、一次元画像に沿った方向(主走査方向)と直角な方向(副走査方向)に順次移動させることによって、原稿面の画像における二次元の画像を形成する、画像形成装置用の原稿面照明方法において、少なくとも一次元画像に沿った方向(主走査方向)に対応する方向に複数の光源を配置し、複数の光源から放出される光の光束を、原稿面の一次元画像に沿った方向において、隣接する光源の間隔の二倍以上の範囲に拡散させ、複数の光源から放出される光の光束の少なくとも一部を、原稿面の一次元画像に沿った方向(主走査方向)と直角な方向(副走査方向)において、概略集束させることを特徴とする画像形成装置用の原稿面照明方法である。
本発明の第三の実施形態は、発光手段、発光手段から発生した光によって照明された原稿面からの散乱光を撮像素子に結像させる結像手段、原稿面の画像における一次元画像を読み取る読取手段、及び、一次元画像に沿った方向(主走査方向)と直角な方向(副走査方向)に読取手段の読み取り位置を順次移動させる移動手段を用いて原稿面の画像を読み取る、画像読取装置用の照明装置において、少なくとも一次元画像に沿った方向(主走査方向)に対応する方向に配置された複数の発光手段、及び、複数の発光手段から発生した光の光束を、原稿面の一次元画像に沿った方向において、隣接する発光手段の間隔の二倍以上の範囲に拡散させる光拡散手段を有することを特徴とする画像読取装置用の照明装置である。
本発明の第三の実施形態において、好ましくは、少なくとも一次元画像に沿った方向(主走査方向)に対応する方向に配置された複数の発光手段を挟むように、一対の反射鏡が、平行に配置される。
本発明の第三の実施形態において、好ましくは、光拡散手段は、シリンダレンズ(又はシリンドリカルレンズ)である。
本発明の第三の実施形態において、好ましくは、複数の発光手段の各々における光源の位置が焦点の位置である放物面鏡が、複数の発光手段の各々に対応するように配置される。
本発明の第三の実施形態において、好ましくは、複数の発光手段の各々における光源の位置が一つの焦点の位置である楕円面鏡が、複数の発光手段の各々に対応するように配置される。
本発明の第三の実施形態において、好ましくは、複数の発光手段の各々に対応する凸レンズが配置される。
本発明の第三の実施形態において、好ましくは、複数の光源から放出される光の光束の少なくとも一部を、原稿面の一次元画像に沿った方向(主走査方向)と直角な方向(副走査方向)において、概略集束させる光集束手段が配置される。
本発明の第三の実施形態において、好ましくは、発光手段は、発光ダイオード(LED)である。
本発明の第四の実施形態は、光源からの光によって照明された原稿面からの散乱光を結像レンズによって撮像素子に結像させて、原稿面の画像における画像読み取り位置での一次元画像を読み取り、原稿面の画像読み取り位置を、一次元画像を読み取る方向(主走査方向)と直角な方向(副走査方向)に順次移動させると共に一次元画像の読み取りを繰り返すことによって、原稿面の画像における二次元の画像を読み取る、画像読取装置において、少なくとも一次元画像に沿った方向(主走査方向)に対応する方向に配置された複数の光源、及び、複数の光源に対応するように配置され、複数の光源から放出される光の光束を、原稿面の一次元画像に沿った方向において、隣接する光源の間隔の二倍以上の範囲に拡散させ、且つ、原稿面に重畳させる複数のレンズ(照明レンズ)を有することを特徴とする画像読取装置である。
本発明の第五の実施形態は、光源からの光によって照明された原稿面からの散乱光を結像レンズによって撮像素子に結像させて、原稿面の画像における画像形成対象位置での一次元画像を読み取り、原稿面の画像形成対象位置を、一次元画像を読み取る方向(主走査方向)と直角な方向(副走査方向)に順次移動させると共に一次元画像の読み取りを繰り返すことによって、原稿面の画像における二次元の画像を読み取る、画像読取装置において、本発明の第三の実施形態である照明装置を有することを特徴とする画像読取装置である。
本発明の第六の実施形態は、光源からの光によって照明された原稿面からの散乱光を結像レンズによって撮像素子に結像させて、原稿面の画像における画像形成対象位置での一次元画像を読み取り、原稿面の画像形成対象位置を、一次元画像を読み取る方向(主走査方向)と直角な方向(副走査方向)に順次移動させると共に一次元画像の読み取りを繰り返すことによって、原稿面の画像における二次元の画像を読み取る、画像読取装置において、少なくとも一次元画像に沿った方向(主走査方向)に対応する方向に配置された複数の光源、及び、複数の光源に対応するように配置され、複数の光源から放出される光の光束を、原稿面の一次元画像に沿った方向において、隣接する光源の間隔以上の範囲に拡散させ、且つ、原稿面に重畳させる複数のレンズ(照明レンズ)を有することを特徴とする画像読取装置において、複数の光源は、画像形成対象位置での原稿面における原稿面を照明する光の照度の分布特性が、撮像素子に結像レンズによって結像される画像の明度の分布特性と概略逆であるように、配置されることを特徴とする画像読取装置である。
本発明の第六の実施形態である画像読取装置又は本発明の第六の実施形態である画像読取装置用の照明装置において、好ましくは、複数の光源の間の間隔は、画像形成対象位置での原稿面における原稿面を照明する光の照度の分布特性が、撮像素子に結像レンズによって結像される画像の明度の分布特性と概略逆であるように、設定される。
本発明の第六の実施形態である画像読取装置又は本発明の第六の実施形態である画像読取装置用の照明装置において、好ましくは、原稿面からの複数の光源までの距離は、画像形成対象位置での原稿面における原稿面を照明する光の照度の分布特性が、撮像素子に結像レンズによって結像される画像の明度の分布特性と概略逆であるように、設定される。
本発明の第六の実施形態である画像読取装置又は本発明の第六の実施形態である画像読取装置用の照明装置において、好ましくは、複数の光源から放出される光の光束の発散角は、画像形成対象位置での原稿面における原稿面を照明する光の照度の分布特性が、撮像素子に結像レンズによって結像される画像の明度の分布特性と概略逆であるように、設定される。
本発明の第六の実施形態である画像読取装置又は本発明の第六の実施形態である画像読取装置用の照明装置において、複数の光源の光軸の向きは、画像形成対象位置での原稿面における原稿面を照明する光の照度の分布特性が、撮像素子に結像レンズによって結像される画像の明度の分布特性と概略逆であるように、設定される。
なお、「画像読取装置用の照明装置」とは、画像読取装置に用いられる、少なくとも一次元画像に沿った方向(主走査方向)に対応する方向に配置された複数の光源を含むと共にそれら複数の光源からの光によって原稿面を照明する照明装置を意味する。
また、本発明の第六の実施形態である画像読取装置又は本発明の第六の実施形態である画像読取装置用の照明装置においては、複数の光源の間の間隔、原稿面からの複数の光源までの距離、複数の光源から放出される光の光束の発散角、及び、複数の光源の光軸の向きの少なくとも二つのものの組み合わせ(例えば、原稿面からの複数の光源までの距離及び複数の光源から放出される光の光束の発散角)を、画像形成対象位置での原稿面における原稿面を照明する光の照度の分布特性が、撮像素子に結像レンズによって結像される画像の明度の分布特性と概略逆であるように、設定してもよい。
なお、本発明の実施形態において、照明される対象としては、例えば、シート状の原稿、並びに、本及びノートのような、複数のシート状の原稿が綴じられたブック原稿が、挙げられる。また、照射面は、ある面積を備えた面である。
本発明の実施形態の一つによれば、少なくとも一次元画像に沿った方向(主走査方向)に対応する方向に複数の光源(又は発光手段)を配置し、複数の光源から放出される光の光束を、原稿面の一次元画像に沿った方向において、隣接する光源の間隔の二倍以上の範囲に拡散させることによって、複数の光源を用いて、原稿面におけるより広い領域を照明する場合であっても、複数の光源(又は発光手段)の間における発光量の差を緩和するように、原稿面を照明することが可能となる。すなわち、原稿面の照明された領域における照度むらの減少させるように、原稿面を照明することが可能となる。よって、原稿面の一次元画像に沿った方向において、原稿面を、より均一に又はより高い効率で、照明することが可能となる。その結果、照明された原稿面から高品質な画像を得ることが可能となる。
また、本発明の実施形態の一つによれば、複数の光源から放出される光の光束を、原稿面の一次元画像に沿った方向(主走査方向)と直角な方向(副走査方向)において、概略集束させることによって、原稿面を照明する効率を向上させることが可能となる。その結果、原稿面を照明するために必要なエネルギーを低減することが可能となる(省エネルギー)。
さらに、本発明の実施形態の一つによれば、上記反射鏡、上記シリンダレンズ(又はシリンドリカルレンズ)、上記放物面鏡、上記楕円面鏡、及び上記凸レンズを、プラスチック成型手段によって、得ることができるので、照明装置又は画像読取装置のコストを低減することが可能となる。
また、本発明の実施形態の一つによれば、光源に発光ダイオード(LED)を用いると、光源を低い電圧の直流電源によって駆動することができるので、光源の点灯回路を、非常に簡単に設けることが可能となる。その結果、照明装置又は画像読取装置のコストを低減することが可能となる。
さらに、本発明の実施形態の一つによれば、複数の光源は、画像形成対象位置での原稿面における原稿面を照明する光の照度の分布特性が、撮像素子に結像レンズによって結像される画像の明度の分布特性と概略逆であるように、配置されるので、複数の光源から放出される光のうち原稿面を照明することなく遮断される又は捨てられる光の量を低減する又は無くすと共に撮像素子における結像レンズによって結像される画像の明度分布をより均一にすることが可能となる。その結果、光源から放出される光でより高い効率で原稿を照明することが可能なり、原稿面を照明するために必要なエネルギーを低減することが可能となる(省エネルギー)。
また、本発明の実施形態の一つによれば、複数の光源の間の間隔は、画像形成対象位置での原稿面における原稿面を照明する光の照度の分布特性が、撮像素子に結像レンズによって結像される画像の明度の分布特性と概略逆であるように、設定されるので、複数の光源から放出される光のうち原稿面を照明することなく遮断される又は捨てられる光の量を低減する又は無くすと共に撮像素子における結像レンズによって結像される画像の照度分布をより均一にすることが可能となる。その結果、光源から放出される光でより高い効率で原稿を照明することが可能なり、原稿面を照明するために必要なエネルギーを低減することが可能となる(省エネルギー)。
また、本発明の実施形態の一つによれば、原稿面からの複数の光源までの距離は、画像形成対象位置での原稿面における原稿面を照明する光の照度の分布特性が、撮像素子に結像レンズによって結像される画像の明度の分布特性と概略逆であるように、設定されるので、複数の光源から放出される光のうち原稿面を照明することなく遮断される又は捨てられる光の量を低減する又は無くすと共に撮像素子における結像レンズによって結像される画像の照度分布をより均一にすることが可能となる。その結果、光源から放出される光でより高い効率で原稿を照明することが可能なり、原稿面を照明するために必要なエネルギーを低減することが可能となる(省エネルギー)。
また、本発明の実施形態の一つによれば、複数の光源から放出される光の光束の発散角は、画像形成対象位置での原稿面における原稿面を照明する光の照度の分布特性が、撮像素子に結像レンズによって結像される画像の明度の分布特性と概略逆であるように、設定されるので、複数の光源から放出される光のうち原稿面を照明することなく遮断される又は捨てられる光の量を低減する又は無くすと共に撮像素子における結像レンズによって結像される画像の照度分布をより均一にすることが可能となる。その結果、光源から放出される光でより高い効率で原稿を照明することが可能なり、原稿面を照明するために必要なエネルギーを低減することが可能となる(省エネルギー)。
また、本発明の実施形態の一つによれば、複数の光源の光軸の向きは、画像形成対象位置での原稿面における原稿面を照明する光の照度の分布特性が、撮像素子に結像レンズによって結像される画像の明度の分布特性と概略逆であるように、設定されるので、複数の光源から放出される光のうち原稿面を照明することなく遮断される又は捨てられる光の量を低減する又は無くすと共に撮像素子における結像レンズによって結像される画像の照度分布をより均一にすることが可能となる。その結果、光源から放出される光でより高い効率で原稿を照明することが可能なり、原稿面を照明するために必要なエネルギーを低減することが可能となる(省エネルギー)。
なお、本発明の実施形態の一つによれば、複数の光源の間の間隔、原稿面からの複数の光源までの距離、複数の光源から放出される光の光束の発散角、及び、複数の光源の光軸の向きの少なくとも二つのものの組み合わせ(例えば、原稿面からの複数の光源までの距離及び複数の光源から放出される光の光束の発散角)を、画像形成対象位置での原稿面における原稿面を照明する光の照度の分布特性が、撮像素子に結像レンズによって結像される画像の明度の分布特性と概略逆であるように、設定することによっても、複数の光源から放出される光のうち原稿面を照明することなく遮断される又は捨てられる光の量を低減する又は無くすと共に撮像素子における結像レンズによって結像される画像の照度分布をより均一にすることが可能となる。その結果、光源から放出される光でより高い効率で原稿を照明することが可能なり、原稿面を照明するために必要なエネルギーを低減することが可能となる(省エネルギー)。
[実施例]
次に、本発明の実施形態に従った実施例を説明する。本発明の実施形態による照明方法及び照明装置は、従来の(原稿面の画像を直接感光体に投影して感光体に潜像を形成し、黒色トナー又はカラートナーによって潜像を現像して、可視画像を得る)アナログ複写機にも使用することできるが、本発明の実施例においては、ディジタル複写機又は一般にスキャナと呼ばれる画像読取装置に用いられる、照明方法及び照明装置を説明することにする。
図5は、本発明の第一の実施例による照明方法及び照明装置の例を説明する図である。図5(a)は、本発明の第一の実施例による照明装置の例の上面図であり、図5(b)は、本発明の第一の実施例による照明装置の例の正面図である。また、図5(c)は、本発明の第一の実施例による照明方法の例によって得られる照明対象面(撮像領域)(Ai)上での主走査方向(Sx)の照度分布を示す図であり、図5(d)は、本発明の第一の実施例による照明方法の例によって得られる照明対象面(撮像領域)(Ai)上での副走査方向の照度分布を示す図である。
図5(a)及び(b)に示すような、本発明の第一の実施例による照明装置は、図1(a)及び(b)に示す従来の照明装置における照明ランプ及びリフレクタに対応する。
まず、本発明の第一の実施例による照明装置の構成を説明する。
図5の(a)及び(b)に示すように、発明の第一の実施例による照明装置は、複数のLED(1)、複数の回転放物面鏡(2a)、照明レンズ(3)、集束レンズ(4a)、並びに、側面鏡A(5a)及び側面鏡B(5b)を有する。
複数のLED(1)の各々は、発光ダイオードのチップであって、光源として用いられる。本発明の第一の実施例の照明装置においては、n個のLED(1)(L1〜Ln)が、主走査方向(Sx)に等間隔に配置されている。
複数の回転放物面鏡(2a)は、それぞれ、複数のLED(1)に対応して配置され、回転放物面鏡(2a)の焦点位置にLED(1)の発光面を配置することによって、LEDから拡散する光の大部分を平行光に変換する。複数の回転放物面鏡(2a)は、LED(1)の発光面からLED(1)の前面側に180°の角度で拡散する光束を集束する、第一の集束手段として用いられる。
照明レンズ(3)は、本発明の第一の実施例の照明装置においては、シリンダレンズアレイである。照明レンズ(3)は、回転放物面鏡(2a)から射出される平行光の光束を主走査方向(Sx)に拡散させ、照明レンズ(3)によって拡散させられた光で、照明対象面(Ai)(撮像領域と同一部分を指すが、照明装置を説明するときは、撮像領域を、照明対象面又は照明対象領域と称する)を照明する。ここで、照明レンズ(3)のシリンダレンズアレイを構成する個々のレンズは、完全に又は実質的に同一のシリンダレンズであり、各々のシリンダレンズの焦点距離をfとし、シリンダレンズの配列方向(主走査方向(Sx))における各々のシリンダレンズの幅をmとする。また、各々のシリンダレンズの幅mは、複数のLED(1)における隣接するLED(1)の間隔に等しい。そして、シリンダレンズから照明対象面(撮像領域)(Ai)までの距離をgとすると、シリンダレンズの配列方向(主走査方向(Sx))において、シリンダレンズを透過した光によって照明される照明対象面(撮像領域)(Ai)上での照明範囲Mは、
によって、表される。本発明の第一の実施例の照明装置においては、主走査方向(Sx)において、各々のシリンダレンズの幅m、すなわち、複数のLED(1)における隣接するLED(1)の間隔に対するシリンダレンズを透過した光によって照明される照明対象面(撮像領域)(Ai)上での照明範囲Mの比(M/m)が、二倍以上である。一方、シリンダレンズの配列方向(主走査方向(Sx))と直角な方向(副走査方向(Sy))においては、シリンダレンズは、平行平面板と等価であるので、回転放物面鏡(2a)から射出される平行光の光束を、平行光として透過させる。
なお、主走査方向(Sx)における照明対称面の長さをKとすると、主走査方向(Sx)におけるシリンダレンズアレイの幅もまたKであってもよい。また、主走査方向(Sx)におけるシリンダレンズの幅は、主走査方向(Sx)における回転放物面鏡(2a)の幅と完全に又は実質的に同一であることが好ましい。すなわち、
であることが好ましく、ここで、nは、シリンダレンズアレイを構成するシリンダレンズの数である。
集束レンズ(4a)は、単体のシリンダレンズであって、照明レンズ(3)を透過した光を、副走査方向(Sy)において、照明対象面(撮像領域)(Ai)に集束させるように設けられる。すなわち、回転放物面鏡(2a)から放出された平行光は、副走査方向(Sy)においては、照明レンズ(3)によって拡散させられず、集束レンズ(4)によって、照明対象面(撮像領域)(Ai)にシャープに集束させられる。集束レンズ(4)は、主走査方向(Sx)においては、平行平面板と等価であるので、照明レンズ(3)によって拡散させられた光は、集束レンズ(4)によって集束させられず、そのまま拡散する。なお、集束レンズ(4)は、集束レンズと同様の機能を有する放物面鏡で容易に代用され得る。
加えて、集束レンズ(4)は、本発明の第一の実施例の照明装置において、必ずしも必要であるものではなく、照明レンズ(3)を透過した光を、副走査方向(Sy)において、平行光として照明対象面(撮像領域)(Ai)に当ててもよい。また、集束レンズ(4)は、照明対象面(撮像領域)(Ai)側の位置に配置してもよく、照明レンズ(3)側に配置させてもよい。さらには、集束レンズ(4)を、照明レンズ(3)と一体に形成することも可能である。この場合には、プラスチック成型の手段を用いることによって、照明装置に用いられる部品点数を減少させることができる。
側面鏡A(5a)及び側面鏡B(5b)は、照明レンズ(3)のシリンダレンズアレイの両側に配置したミラーである。側面鏡A(5a)及び側面鏡B(5b)は、LED(1)から放出される光を、より高い効率で照明対象面(撮像領域)(Ai)に照射するために設けられる。図5においては、三個のLED(1)(L1、L2、及びL3)から放出された光が、側面鏡A(5a)によって照明対象面(撮像領域)(Ai)へ反射させられ、同様に、三個のLED(1)(Ln−2、Ln−1、及びLn)から放出された光が、側面鏡B(5b)によって照明対象面(撮像領域)(Ai)へ反射させられる。このように、側面鏡A(5a)及び側面鏡B(5b)は、これらの六個のLED(1)が、あたかも照明装置の外側に配置されるかのように、これらの六個のLED(1)からの光を反射させるので、照明対象面(撮像領域)(Ai)の端部においても照明対象面(撮像領域)(Ai)の中央部と同じように、均一な照度分布が得られる。(なお、シリンダレンズアレイから照明対象面(撮像領域)(Ai)まで側面鏡を設けることが理想的であるが、実際の画像読取装置においては、原稿台としてのコンタクトガラスを回避して、側面鏡を設ける必要がある。その結果、照明対象面(撮像領域)(Ai)の端部の照度が、照明対象面(撮像領域)(Ai)の中央部の照度に対比して、若干低下する。それに応じて、主走査方向(Sx)における照明装置の全体の幅を、広げる必要があるが、側面鏡A(5a)及び側面鏡B(5b)を設けた場合における照明装置の全体の幅の変動量は、側面鏡を用いない場合における照明装置の全体の幅の変動量に対して極めてわずかなものである。)
次に、本発明の第一の実施例による照明装置を用いた、本発明の第一の実施例による照明方法を説明する。
図5(a)及び(c)に示すように、主走査方向(Sx)において、複数のLED(1)の一つ(L4)から放出された光は、L4に対応する回転放物面鏡(2a)によって反射され、概略平行光として射出される。L4に対応する回転放物面鏡(2a)から射出された光は、L4に対応する、照明レンズ(3)を構成するシリンダレンズに入射する。そのシリンダレンズを透過した光は、シリンダレンズの焦点距離fの位置で一旦集束させられるが、シリンダレンズの焦点距離fを超える距離では、集束レンズ(4)の有無にかかわらず、拡散する。このようにして主走査方向(Sx)においては、LED(1)のL4から放出された光の光束の幅が、シリンダレンズの幅の大きさm、すなわち、相互に隣接するLED(1)の間隔の大きさから照明対象面(撮像領域)(Ai)でMまで広がり、照明対象面(撮像領域)(Ai)が照射される。ここで、LED(1)の一つL4に対応するシリンダレンズの主点から照明対象面(撮像領域)(Ai)までの距離をgとすると、主走査方向(Sx)におけるLED(1)の一つL4から放出された光の光束の幅の拡大率Q(=M/m)は、
によって、表される。本発明の第一の実施例による照明方法においては、主走査方向(Sx)におけるLED(1)の一つから放出された光の光束の幅の拡大率Q、すなわち、相互に隣接するLED(1)の間隔の大きさに対する照明対象面(撮像領域)(Ai)での光束の幅Mの比は、二倍以上である。なお、図5においては、Qは、約6.5程度である。
このとき、LED(1)のL4から放出された光のみに起因する、照明対象面(撮像領域)(Ai)上での照度分布は、図5(c)における太線で示すようなもの(Each_Di)である。すなわち、LED(1)のL4及びL4に対応する回転放物面鏡(2a)の中心を通過する軸(光軸)上における照度がピークであり、且つ、光軸から離れるに従って、L4から放出された光に起因する照度は低下する。その結果、LED(1)のL4から放出された光のみに起因する、照明対象面(撮像領域)(Ai)上での照度分布は、照明対象面(撮像領域)(Ai)上の位置によって大きく変動する照度分布を与える。
ところが、LED(1)のL4に隣接するLED(1)のL5から放出される光は、照明対象面(撮像領域)(Ai)上で、LED(1)のL4から放出される光に起因する照明対象面(撮像領域)(Ai)上での照度分布のピークの位置から主走査方向(Sx)にmだけ変位したピークを有する同様の照度分布を与える。また、LED(1)のL6〜Lnの各々から放出される光も同様の照度分布(Di)で照明対象面(撮像領域)(Ai)を照明する。ここで、照明対象面(撮像領域)(Ai)上において、LED(1)のL4の光軸上における光は、LED(1)のL1から放出された、より少量の光、LED(1)のL2から放出された、中間の量の光、LED(2)のL3から放出された、より多量の光を含む。また、ここで、照明対象面(撮像領域)(Ai)上において、LED(1)のL4の光軸上における光は、LED(1)のL3からの放出された光の量と同程度の量のLED(1)のL5から放出された光、LED(1)のL2からの放出された光の量と同程度の量のLED(1)のL6から放出された光、及び、LED(1)のL1からの放出された光の量と同程度の量のLED(1)のL7から放出された光を含む。
その結果、LED(1)のL4の光軸上においては、LED(1)のL1〜L7から放出された光が、照明対象面(撮像領域)(Ai)上で重畳されると共に照明対象面(撮像領域)(Ai)を照明する。
本発明の第一の実施例による照明方法においては、照明対象面(撮像領域)(Ai)上の任意の一点は、上述したQの値の小数点以下の数字を切り捨てた数の個数のLED又は上述したQの値の小数点以下の数字を切り上げた数の個数(図5においては、6個又は7個である)のLEDから放出される光で照明されることになる。その結果、照明対象面(撮像領域)(Ai)上の照度分布は、より均一な(より平坦な)ものとなる(Total_Diとした概念を示す)。
図5(b)及び(d)に示すように、副走査方向(Sy)においては、複数のLED(1)の各々から拡散する光は、第一の集束手段としての、各々のLED(1)に対応する回転放物面鏡(2a)によって、ほぼ平行光に変換され、照明レンズ(3)を平行光のまま透過する。その平行光は、集束レンズ(4a)が、照明装置に設けられてない場合には、そのまま平行光として照明対象面(撮像領域)(Ai)を照明する。この場合には、副走査方向(Sy)において、照明対象面(撮像領域)での照度分布は、図5(d)において実線で示すような個別のLED(1)に起因する照度分布(Each_Di)及び複数のLED(1)から放出される光を重畳して得られる照度分布(Total_Di)である。すなわち、照明装置が、集束レンズ(4a)を含まない場合には、照明対象面(撮像領域)(Ai)における照度分布は、比較的ブロードな照度分布である。
一方、副走査方向(Sy)において、照明対象面(撮像領域)(Ai)上でシャープな照度分布が必要である場合には、第二の集束手段としての集束レンズ(4a)を用いる。照明装置が、集束レンズ(4a)を含まない場合には、副走査方向(Sy)において、照明対象面(撮像領域)(Ai)での照度分布は、図5(d)において二点鎖線で示すような個別のLED(1)に起因する照度分布(Each_Di)及び複数のLED(1)から放出される光を重畳して得られる照度分布(Total_Di)である。すなわち、照明装置が、集束レンズ(4a)を含む場合には、照明対象面(撮像領域)(Ai)における照度分布は、比較的シャープな照度分布である。
なお、副走査方向(Sy)において、比較的シャープな照度分布と比較的ブロードな照度分布との間の中間的な照度分布が照明対象面(撮像領域)(Ai)で必要である場合には、集束レンズ(4)の焦点距離を、集束レンズの焦点が、照明対象面(撮像領域)(Ai)の位置から離れるように、設定することによって、照明対象面(撮像領域)(Ai)で任意の幅の照度分布を得ることができる。このように、主走査方向(Sx)において、照明対象面(撮像領域)(Ai)上の照度分布を、ほぼ一定に維持すると共に、副走査方向(Sy)において、照明対象面(撮像領域)(Ai)上における照度分布を、シャープ又はブロードな照度分布に任意に設定することができる。
次に、本発明の第一の実施例の照明装置を有する第一の走行体を備えた本発明の第二の実施例による画像読取装置を説明する。
図6は、本発明の第二の実施例による画像読取装置の例を説明する図である。
図6(a)は、本発明の第一の実施例による照明装置を用いる本発明の第二の実施例による画像読取装置の上面図であり、図6(b)は、本発明の第一の実施例による照明装置を用いる本発明の第二の実施例による画像読取装置の正面図である。
図6(a)においては、図5に示したような本発明の第一の実施例による照明装置に加えて、変向ミラー(12)が描かれている。図6(b)において二点鎖線で示すように、照明装置の光軸を折り曲げることなく、照明装置を配置する場合には、撮像領域(Ai)からの反射光の光路である読取系の光軸(読取光軸(AxR))に照明装置を配置することを回避するために、照明装置の全体の光軸(照明光軸(AxI))を、読取光軸(AxR)から傾斜させてある。また、読取光軸(AxR)に対する照明光軸(AxI)の傾斜角θを小さくすると、コンタクトガラス(13)に垂直な方向における画像読取装置の大きさを増加させることになるため、図6(b)における実線で示すように、折り返しミラー(6)を用いて、照明光軸(AxI)を折り曲げることもできる。このようにして、照明装置を、コンタクトガラス(13)の面に平行に配置することによって、コンタクトガラス(13)に垂直な方向における画像読取装置の大きさを、低減することが可能である。なお、照明装置は、副走査方向(Sy)における撮像領域(Ai)での目的とする照度分布に応じて、集束レンズ(4a)を含んでも含まなくてもよい。
図6(c)は、本発明の第一の実施例による照明装置の変形例を用いる本発明の第二の実施例による画像読取装置の上面図であり、図6(d)は、本発明の第一の実施例による照明装置の変形例を用いる本発明の第二の実施例による画像読取装置の正面図である。
図6(c)及び(d)に示す照明装置においては、図6(a)及び(b)に示す集束レンズ(4a)に代えて、集束ミラー(4b)を用いている。集束ミラー(4b)は、副走査方向(Sy)においては、撮像領域(Ai)に焦点を有する放物面鏡であり、主走査方向(Sx)においては、集束機能を有さない反射面であるようなミラーである。また、集束ミラー(4b)は、図6(a)及び(b)に示す折り返しミラー(12)の機能を兼ね備えることができるため、照明装置の構成部品の数を低減すると共に、コンタクトガラス(13)に垂直な方向における画像読取装置の大きさを、低減することができる。なお、読取光軸(AxR)の折り曲げ方向は、図6における左右の方向のいずれでもよい。
図6に示すような画像読取装置の構成を採用することによって、画像読取装置の主走査方向(Sx)においては、撮像領域(Ai)で、複数のLED(図6においては、nが10以上である設計は、容易である)から放出される光束が、重畳されると共に照射されているので、複数のLEDの発光効率のバラツキは、平均化され、撮像領域(Ai)での照度ムラが、軽減される。一般的に製造されたLEDを光源として用いる場合には、同一のランクに属するLEDを用いて、5個以上のLEDから放出される光束が重なり合うように照明装置を設計すれば、主走査方向(Sx)における撮像領域(Ai)の全体での照度ムラを、20%程度まで抑制することができる。また、10個以上のLEDから放出される光束が重なり合うように照明装置を設計すれば、主走査方向(Sx)における撮像領域(Ai)の全体での照度ムラを、10%未満まで抑制することも可能となる。それに応じて、撮像領域(Ai)における照度ムラを、電気的に補正することによって、撮像領域(Ai)における照度の低い場所でも、画像信号のノイズを低減することが可能となり、画像信号の品質を向上させることが可能なる。
次に、ブック原稿の中央部分の読み取りを向上させることができる本発明の第三の実施例による画像読取装置を説明する。
図7は、本発明の第三の実施例による画像読取装置の例を説明する図である。図7(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び(f)は、それぞれ、ブック原稿の中央部分の読み取りを向上させることができる本発明の第三の実施例による画像読取装置の例を示す図である。
図7(a)に示すような画像読取装置の例においては、図6(a)及び(b)に示すような画像読取装置における、集束レンズ(4a)を透過する光の光束のうち、副走査方向において、照明光軸(AxI)よりもコンタクトガラス(13)側の光束を、読取光軸(AxR)よりも後側で、折り返しミラーA(6a)によって、撮像領域(Ai)へ反射させる一方で、集束レンズ(4a)を透過する光の光束のうち、副走査方向において、照明光軸(AxI)よりも変向ミラー(12)側の光束を、読取光軸(AxR)よりも前側で、折り返しミラーB(6b)によって、撮像領域(Ai)へ反射させる(なお、照明光軸(AxI)よりも変向ミラー(12)側の光束を、読取光軸(AxR)よりも前側で、折り返すので、折返しミラーA(6a)の大きさを、低減することができ、照明装置の全体を、読取光軸(AxR)側に近付けることができる。)。ここで、集束レンズ(4a)の焦点距離は、集束レンズ(4a)を透過する光の光束の全てについて共通であるので、折り返しミラーA及びB(6a,6b)の配置を、集束レンズ(4a)から撮像領域(Ai)までの距離が一定であるように、調整することによって、図5(a)に示すものと同様の照度分布を得ることができる。しかしながら、集束レンズ(4a)を透過する光の光束の全てについて、集束レンズ(4a)から撮像領域(Ai)までの距離を共通にする必要はない。集束レンズ(4a)を透過する光の光束の全てについて、集束レンズ(4a)から撮像領域(Ai)までの距離が共通でない場合には、照明光軸(AxI)よりもコンタクトガラス(13)側の光束の焦点の位置と照明光軸(AxI)よりも変向ミラー(12)側の光束の焦点の位置との間に、撮像領域(Ai)が位置するように、折り返しミラーA及びB(6a,6b)の配置を設定することが好ましい。
図7(b)に示すような画像読取装置の例においては、図7(a)に示すような画像読取装置とは逆に、集束レンズ(4a)を透過する光の光束のうち、副走査方向において、照明光軸(AxI)よりもコンタクトガラス(13)側の光束を、読取光軸(AxR)よりも前側で、折り返しミラーB(6b)によって、撮像領域(Ai)へ反射させる一方で、集束レンズ(4a)を透過する光の光束のうち、副走査方向において、照明光軸(AxI)よりも変向ミラー(12)側の光束を、読取光軸(AxR)よりも後側で、折り返しミラーA(6a)によって、撮像領域(Ai)へ反射させる。さらに、照明光軸(AxI)よりもコンタクトガラス(13)側の光束を、撮像領域(Ai)よりも後側(FB)で集束させ、照明光軸(AxI)よりも変向ミラー(12)側の光束を、撮像領域(Ai)の前側(FA)で集束させている。この場合には、ブック原稿の原稿面の中央部分を、照明光軸(AxI)よりもコンタクトガラス(13)側の光束で照射すると共に、照明光軸(AxI)よりも変向ミラー(12)側の光束を、ブック原稿の原稿面に集束させずに拡散させてブック原稿に照射することができる。その結果、ブック原稿の中央部分に光束を良好なバランスで照射することができ、ブック原稿の中央部分を黒色画像として読み取ることを防止又は低減することが可能となる。
図7(c)に示すような画像読取装置の例においては、図6(c)及び(d)に示すような画像読取装置における、集束ミラーによって反射させられる光の光束のうち、副走査方向において、照明光軸(AxI)よりもコンタクトガラス(13)側の光束を、読取光軸(AxR)よりも前側で、折り返しミラー(6)によって、集束ミラーB(4b2)へ反射させると共に、集束ミラーB(4b2)によって、撮像領域(Ai)へ反射させる一方で、集束ミラーによって反射させられる光の光束のうち、副走査方向において、照明光軸(AxI)よりも変向ミラー(12)側の光束を、読取光軸(AxR)よりも後側で、集束ミラーA(4b1)によって、撮像領域(Ai)へ反射させる。ここで、集束ミラーA(4b1)及び集束ミラーB(4b2)は、主走査方向においては平行平面であり、副走査方向においては撮像領域(Ai)に焦点を持つ放物面であるようなミラーである。なお、照明光軸(AxI)よりも変向ミラー(12)側の光束を、集束ミラーA(4b1)によって、反射させる必要がないので、集束ミラーA(4b1)の大きさを、低減することができる。図7(c)においては、照明光軸(AxI)よりもコンタクトガラス(13)側の光束及び照明光軸(AxI)よりも変向ミラー(12)側の光束の両方を撮像領域(Ai)に集束させているが、副走査方向における集束ミラーA(4b1)及び集束ミラーB(4b2)の焦点距離を適宜設定することによって、原稿面のタイプ及び要求される照度分布に依存して、それぞれ独立に撮像領域(Ai)の前後に集束させることもできる。
図7(d)に示すような画像読取装置の例においては、図7(c)に示すような画像読取装置における、照明光軸(AxI)よりもコンタクトガラス(13)側の概略平行光の光束を、副走査方向において、集束ミラーB(4b2)を用いることなく、読取光軸(AxR)よりも前側で折り返しミラー(6)によって、撮像領域(Ai)へ平行光束として反射させる。この場合には、副走査方向において、照明光軸(AxI)よりもコンタクトガラス(13)側の概略平行光の光束による撮像領域(Ai)での照度分布は、ブロードな分布を示し、照明光軸(AxI)よりも変向ミラー(12)側の光束による撮像領域(Ai)での照度分布は、シャープな分布を示す。
図7(e)及び図7(f)に示すような画像読取装置の例においては、集束レンズ及び集束ミラーのいずれも用いない画像読取装置の例である。図7(e)に示すような画像読取装置の例においては、照明レンズを透過した概略平行光の光束のうち、照明光軸(AxI)よりもコンタクトガラス(13)側の光束を、読取光軸(AxR)よりも後側で撮像領域(Ai)へ反射させ、照明光軸(AxI)よりも変向ミラー(12)側の光束を、読取光軸(AxR)よりも前側で撮像領域(Ai)へ反射させる。同様に、図7(f)に示すような画像読取装置の例においては、照明レンズを透過した概略平行光の光束のうち、照明光軸(AxI)よりもコンタクトガラス(13)側の光束を、読取光軸(AxR)よりも前側で撮像領域(Ai)へ反射させ、照明光軸(AxI)よりも変向ミラー(12)側の光束を、読取光軸(AxR)よりも後側で撮像領域(Ai)へ反射させる。これらの場合には、集束レンズ又は集束ミラーを用いる画像読取装置において、照明装置の光の利用効率は、低下するが、撮像領域(Ai)における照度分布は、ブロードであり、ブック原稿の中央部分を黒色画像として読み取ることをより有効に防止又は低減することができる。
図7において、画像読取装置における集束レンズ、折返しミラー、及び集束ミラーの配置の例を示してきたが、集束レンズ、折返しミラー、及び集束ミラーの配置は、任意であり、図7に示したものに限定されない。また、図7に示す画像読取装置の例では、光束を、照明光軸(AxI)の前後に、半分に分割しているが、光束の分割の割合は、5:5に限定されず、撮像領域(Ai)における集束の程度又は原稿のタイプ応じて、任意に設定され、例えば、6:4又は3:7であってもよい。
図8は、本発明の第三の実施例による画像読取装置の変形例を説明する図である。図8(a)は、本発明の第三の実施例による画像読取装置の第一の変形例を説明する図であり、図8(b)は、本発明の第三の実施例による画像読取装置の第二の変形例を説明する図である。
図6に示す画像読取装置の例においては、読取光軸(AxR)に対して前側又は後側に照明装置本体を配置して、撮像領域(Ai)を照明しており、図7に示す画像読取装置の例においては、光束を二つに分割して、読取光軸(AxR)の前側及び後側の両方から撮像領域(Ai)を照明している。これに対して、図8に示す画像読取装置の例においては、二つの照明装置本体を読取光軸(AxR)の前側及び後側の両方に配置し、二つの照明装置本体を使用して、読取光軸(AxR)の前側及び後側の両方から撮像領域(Ai)を照明している。図8(a)の実線に示すような画像読取装置の例においては、集束レンズ(4a)を含む二つの照明装置本体の照明光軸(AxI)を折り曲げることなく、二つの照明装置本体を読取光軸(AxR)に対して斜めに配置している。この場合には、コンタクトガラス(13)の面に平行な方向における画像読取装置の大きさを低減することができる。しかしながら、図8(a)の二点差線で示すように、折り返しミラー(6)を用いて、照明装置本体を、コンタクトガラス(13)の面に対して平行に配置することもできる。この場合には、コンタクトガラス(13)の面に垂直な方向における画像読取装置の大きさを低減することができる。
図8(b)に示すような画像読取装置の例においては、放物面鏡である集束ミラー(4b)及び折り返しミラー(6)を含む二つの照明装置本体を用いている。
なお、図8に示すような画像読取装置の例においても、二つの照明装置本体の一方又は両方が、集束レンズ及び集束ミラーのいずれも含まないものであってもよく、図7に示すような画像読取装置の例における変形を適用することができる。
本発明の第二の又は第三の実施例においては、照明装置を第1走行体上に設ける画像読取装置の構成の例を説明した。
次に、本発明の実施形態による照明装置において、LEDから拡散する光束を、第一の集束段階で、平行光に変換する手段の詳細を説明する。
図9は、回転放物面鏡を用いてLEDから拡散する光束を平行光に変換する手段を説明する図である。図9(a)は、LED及び回転放物面鏡を含む光源の正面図であり、図9(b)は、LED及び回転放物面鏡を含む光源の側面図である。
図9に示すように、x軸、y軸、及びz軸を定義し、x軸、y軸、及びz軸の交点にLED(1)の発光面の中心が配置される。また、回転放物面鏡(2a)の焦点距離は、fであり、回転放物面鏡(2a)の回転放物面は、式
によって表される放物線を、x軸まわりに回転させることによって得られる回転放物面である。回転放物面の焦点位置(Pf)には、LED(1)の発光面の中心が配置される。ここで、LED(1)の発光面は、回転放物面鏡(2a)に面する。図9(a)及び(b)に示すように、LED(1)は、二つの電極(21)にリード線(22)を介して接続され、透明樹脂(23)の中に埋め込まれている。
図9の二点鎖線で示すように、回転放物面鏡(2a)の外周は、円形であってもよいが、図9(a)におけるLED(1)の発光面からの放射ベクトル(Vr)の分布に示すように、回転放物面鏡(2a)のx軸の近傍への強度に比べ周辺部分への強度が低いので、主走査方向(Sx)(例えば、z方向)における回転放物面(2a)を配置する密度を増加させるために、主走査方向(Sx)における回転放物面鏡(2a)の周辺部分を切り取ってもよい(すなわち、回転放物面鏡(2a)を側面から見たとき、回転放物面鏡(2a)は、小判状の形状を有する)。また、照明装置の照明効率を若干の低下を犠牲にして、照明装置を小型化するために、副走査方向(Sy)(例えば、y方向)における回転放物面鏡(2a)の周辺部分を切り取ってもよい(すなわち、回転放物面鏡(2a)を側面から見たとき、回転放物面鏡(2a)は、四角の形状を有する)。なお、LED(1)の発光面は面積を持っているので回転放物面の焦点位置で発光する場所はただ一点でしかなく、他の位置で発光する光は全て回転放物面の焦点位置から外れている。即ち、回転放物面鏡(2a)の焦点位置から発光する発光ベクトルは全て平行光となるが、それ以外の場所から発光する発光ベクトルは回転放物面鏡(2a)で反射されると全て平行光からずれてしまう。そのずれ方は回転放物面鏡(2a)の焦点位置から遠くになるほど大きくなる。
図9(c)は、図9(a)及び(b)に示すような回転放物面鏡及びLEDを含む光源から放出される光をある一定の距離を置いた光軸の近傍のある一点を通過する(或いは、ある一点に向かってくる)光のベクトル強度を相対値で示す配光特性図である。図9(c)の横軸は、回転放物面鏡の光軸からの角度(°)を表し、図9(c)の縦軸は、ある点を通過する光ベクトルの強度の最強値を基準とする相対放射強度RP(%)を表す。回転放物面鏡の光軸(x軸)と平行な成分(0度)が最も強いが、角度を持つ成分もある。(その量は角度がつくに従って少なくなっていく。50%まで落ちる角度を半値幅と称し、この例では±5度である。)
図10は、凸レンズを用いてLEDから拡散する光束を平行光に変換する手段を説明する図である。図10(a)は、LED及び凸レンズを含む光源の正面図であり、図10(b)は、LED及び凸レンズを含む光源の側面図である。
図10(a)及び(b)に示すLED及び凸レンズを含む光源は、砲弾型と呼ばれるものであり、ベース25に取り付けられたLED(1)が、樹脂材料で作られた凸レンズの形状を備えたフードレンズ(24)で覆われている。LED(1)は、リード線(22)を介して電極(21)に接続される。ここで、LED(1)の発光面の中心が、凸レンズであるフードレンズ(24)の焦点位置(Pf)に配置されている。また、フードレンズ(24)のレンズの大きさは、図10(a)に示すような、凸レンズ形状の周辺に入射する光の角度が、臨界角θ以下になるように決定されている。
図10(b)の二点鎖線で示すように、フードレンズ(24)の外周は、円形であってもよいが、図10におけるLED(1)の発光面からの放射ベクトル(Vr)の分布に示すように、フードレンズ(24)の周辺部分を通過する光の強度は、低いので、主走査方向(Sx)(例えば、z方向)におけるフードレンズ(24)を配置する密度を増加させるために、主走査方向(Sx)におけるフードレンズ(24)の周辺部分を切り取ってもよい(すなわち、フードレンズ(24)を側面から見たとき、フードレンズ(24)は、小判状の形状を有する)。また、照明装置の照明効率を若干の低下を犠牲にして、照明装置を小型化するために、副走査方向(Sy)(例えば、y方向)におけるフードレンズ(24)の周辺部分を切り取ってもよい(すなわち、フードレンズ(24)を側面から見たとき、フードレンズ(24)は、四角の形状を有する)。
さらに、フードレンズ(24)の側面の全面は、鏡面であることが好ましい。この場合には、フードレンズ(24)の側面に入射する光を鏡面で反射させることによって、フードレンズ(24)の側面に入射する光を、フードレンズ(24)のレンズ面から(平行光ではないが)射出させることができる。ただし、主走査方向(Sx)(例えば、z方向)におけるフードレンズ(24)の側面は、非鏡面であってもよい。主走査方向(Sx)(z方向)については、フードレンズの側面から逃げる光を、隣接するフードレンズに入射させることによって、有効に利用することが可能である。
なお、図5〜図9に示す照明装置におけるLED及び回転放物面鏡を含む光源を、図10(a)及び(b)に示すようなLED及び凸レンズを含む光源で置き換えてもよい。また、図10に示すような光源において、フードの先端を平面のままとし、フードレンズ(24)に対応する凸レンズを独立して配置することも可能である。
さらに、LED(1)の発光面の中心が、フードレンズ(24)の焦点に位置するときは、フードレンズ(24)を透過する光は、概略平行光であるが、LED(1)の発光面は面積を持っているのでフードレンズ(24)の焦点位置から外れた位置から発光している光束はフードレンズ(24)を透過すると光軸と平行の光束とはならない。また、図10(a)及び(b)に示すようなLED及び凸レンズを含む光源の配向特性は、図9(c)に示すようなLED及び回転放物面鏡を含む光源の配向特性と同様の傾向を有する。
本発明の第一〜第三の実施例においては、LEDから拡散する光束を平行光に変換する例を説明してきた。しかしながら、LEDから拡散する光を照明対象面(撮像領域)上に集束させるためには、本発明の第一〜第三の実施例において使用される第一の集束手段としての回転放物面鏡の回転軸と同軸の回転軸を有する回転楕円面鏡を用いることもできる。第一の集束手段として回転楕円面鏡を用いる場合には、回転楕円面鏡の焦点の一方(例えば、第一焦点F1)にLEDの発光面を配置すると共に、回転楕円面鏡の焦点の他方(例えば、第二焦点F2)の位置に照明対象面(撮像領域)を配置すればよい。そして、この場合には、第二の集束手段を省略することができる。すなわち、回転楕円面鏡は、本発明の第一〜第三の実施例において使用される第一の集束手段の機能及び第二の集束手段の機能の両方を有し得る。
図11は、本発明の第四の実施例による照明装置の一つの例を説明する図である。図11(a)は、本発明の第四の実施例による照明装置の一つの例の正面図であり、図11(b)は、副走査方向(Sy)における、本発明の第四の実施例による照明装置の一つの例によって与えられる照度分布を示す図である。
図11(a)に示す照明装置の例においては、LED(1)及び回転楕円面鏡(2b)を含む光源を用いており、LED(1)の発光面の中心が、回転楕円面鏡(2b)の第1焦点F1に配置されている。また、照明対象面(撮像領域)(Ai)は、回転楕円面鏡(2b)の第二の焦点F2に配置されている。LED(1)から放出された光は、回転楕円面鏡(2b)によって反射され、照明レンズ(3)に入射する。回転楕円面鏡(2b)によって反射された光は、主走査方向(Sx)においては、照明レンズ(3)によって拡散させられる一方、副走査方向(Sy)においては、照明レンズ(3)をそのまま通過し、照明対象面(撮像領域)(Ai)における第二焦点の位置に集束する。その結果、図11(b)に示すように、副走査方向(Sy)における照明対象面(撮像領域)(Ai)での照度分布(Each_Di)(Total_Di)は、図5(d)において二点鎖線で示した照度分布と同様のものとなる。
図12は、本発明の第四の実施例による照明装置の別の例を説明する図である。図12(a)は、本発明の第四の実施例による照明装置の別の例の正面図であり、図12(b)は、副走査方向(Sy)における、本発明の第四の実施例による照明装置の別の例によって与えられる照度分布を示す図である。
図12(a)に示す照明装置の例においては、図10に示す凸レンズ(フードレンズ)(2c)の焦点位置を変更することによって、LED(1)から拡散する光を、照明対象面(撮像領域)(Ai)上に集束させている。
すなわち、図12(a)に示す照明装置の例においては、LED(1)及び凸レンズ(2c)を含む光源を用いており、凸レンズ(2c)の焦点距離fが、
のように、設定されている。ここで、aは、LEDの発光面から凸レンズ(2c)の主点までの距離であり、bは、凸レンズ(2c)から照明対象面(撮像領域)(Ai)までの距離である。LED(1)から放出された光は、凸レンズ(2c)によって集束させられ、照明レンズ(3)に入射する。凸レンズ(2c)によって集束された光は、主走査方向においては、照明レンズ(3)によって拡散させられる一方、副走査方向(Sy)においては、照明レンズ(3)をそのまま通過し、照明対象面(撮像領域)(Ai)に集束する。その結果、図12(b)に示すように、副走査方向(Sy)における照明対象面(撮像領域)(Ai)での照度分布(Each_Di)(Total_Di)は、図5(d)において二点鎖線で示した照度分布と同様のものとなる。
なお、図11及び図12に示す照明装置の構成を、図5〜8に示す照明装置又は画像読取装置の例に適用することができる。
図13は、本発明の第四の実施例による照明装置及び画像読取装置の一つの例を説明する図である。図13(a)は、本発明の第四の実施例による照明装置の一つの例を示す図であり、図13(b)は、本発明の第四の実施例による画像読取装置の一つの例を示す図である。
図13(a)に示す照明装置の例は、図11に示す照明装置の例と同様のものである。図13(a)においては、照明装置に加えて、画像読取装置の変向ミラー(12)が描かれている。
図13(b)は、図11に示す照明装置の例と同様の照明装置を第一走行体(11)に搭載した画像読取装置の例を示す。図13(b)の二点鎖線で示すように、図13(a)に示す照明装置の照明光軸(AxI)を折り曲げることなく、その照明装置を読取光軸(AxR)に対して斜めに配置してもよく、図13(b)の実線で示すように、図13(a)に示す照明装置の照明光軸(AxI)を、折り曲げミラー(6)によって折り曲げることによって、その照明装置を、コンタクトガラス(13)の面と平行に配置してもよい。この場合には、コンタクトガラス(13)の面と垂直な方向における画像読取装置の大きさを低減することができる。
図14は、本発明の第四の実施例による照明装置及び画像読取装置の別の例を説明する図である。図14(a)は、本発明の第四の実施例による照明装置の別の例を示す図であり、図14(b)は、本発明の第四の実施例による画像読取装置の別の例を示す図である。
図14(a)に示す照明装置の例は、図12に示す照明装置の例と同様のものである。図14(a)においては、照明装置に加えて、画像読取装置の変向ミラー(12)が描かれている。
図14(b)は、図12に示す照明装置の例と同様の照明装置を第一走行体(11)に搭載した画像読取装置の例を示す。図14(b)の二点鎖線で示すように、図14(a)に示す照明装置の照明光軸(AxI)を折り曲げることなく、その照明装置を読取光軸(AxR)に対して斜めに配置してもよく、図14(b)の実線で示すように、図14(a)に示す照明装置の照明光軸(AxI)を、折り曲げミラー(6)によって折り曲げることによって、その照明装置を、コンタクトガラス(13)の面と平行に配置してもよい。この場合には、コンタクトガラス(13)の面と垂直な方向における画像読取装置の大きさを低減することができる。
なお、図13及び図14に示す画像読取装置の例においても、図7に示すように、光束を読取光軸(AxR)の前後で分割し、読取光軸(AxR)の前後の両方から、分割された光束を用いて、撮像領域(Ai)を照明することができる。
ここで、モノクロ原稿用の画像読取装置及びカラー原稿用画像読取装置におけるLEDの発光色を説明する。
モノクロ原稿用の画像読取装置においては、光の三原色の青色(B)、緑色(G)、赤色(R)のいずれかの色の光を発生させるLEDを用いることができる。あるいは、白色LEDを用いることもできる。しかしながら、緑色は、人間の視感度をほぼ代表しているので、緑色のLEDを用いることが好ましい。
カラー原稿用の画像読取装置においては、カラー用の一次元撮像素子及び白色LEDを用いれば、図5〜図14に示す照明装置及び画像読取装置を用いることができる。
R、G、B三原色のLEDの各々を用いる場合には、図5〜図14に示す照明装置及び画像読取装置において、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)のLEDを、組み合わせて又は交互に配置すると共に、カラー用の一次元撮像素子を用いればよい。例えば、図5〜図14に示す照明装置及び画像読取装置において、LEDのL1、L4、L7・・・として青色LEDを配置し、LEDのL2、L5、L8・・・として緑色LEDを配置し、LEDのL3、L6、L9・・・として赤色LEDを配置すればよい。
この場合には、照明対象面(撮像領域)における照度分布に寄与するLEDの数は、単色の場合と比較して、三分の一に減少する(例えば、図5において、6倍を超えるゲインQが2倍程度に減少する)ので、照明対象面(撮像領域)における各色の光による照度分布の特性は悪化することになる。そこで、照明レンズの焦点距離fを短くする及び/又は照明レンズから照明対象面(撮像領域)までの距離gを長くすることによって、ゲインQを約3倍程度増加させれば、単色のLEDを用いる場合における照度分布と同程度に良好な照度分布を得ることができる。
図15は、本発明の第五の実施例による照明方法及び照明装置の例を説明する図である。 図15(a)は、本発明の第五の実施例による照明装置の例の上面図であり、図15(b)は、本発明の第五の実施例による照明装置の例の正面図である。また、図5(c)は、本発明の第五の実施例による照明方法の例によって得られる照明対象面(撮像領域)(Ai)上での主走査方向(Sx)の照度分布(Each_Di)(Total_Di)を示す図であり、図5(d)は、本発明の第五の実施例による照明方法の例によって得られる照明対象面(撮像領域)(Ai)上での副走査方向(Sy)の照度分布を示す図である。
図15に示すような照明装置の例は、赤(R)、緑(G)、青(B)三色のLEDチップ(1)に一括して凸レンズ(2c)のフードレンズを取り付けた光源を含むカラー用照明装置の例である。図15に示す照明装置の例では、図5に示した照明装置におけるLED及び回転放物面鏡を含む光源の代わりに、LEDチップ(1)及び凸レンズ(2c)を含む光源を使用する。ここで、一つの光源は、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)用の三種類のLEDチップ(1)を一列に(図15においては主走査方向に)配置し、一列に配置された三種類のLEDチップ(1)の全体が、凸レンズ(2c)であるフードレンズで覆われている。三色のLEDチップ(1)の配置の順番は、特に限定されないが、図15においては、緑色(G)のLEDチップ(1)を中央に配置し、緑色(G)のLEDチップ(1)に隣接して、青色のLEDチップ(1)及び赤色のLEDチップ(1)が、配置される。
ここで、三色(B、G、R)のLEDチップ(1)及び凸レンズ(2c)を含む単一の光源Lkに起因する、照明対象面(撮像領域)(Ai)での照度分布(Each_Di)(Total_Di)を説明する。なお、凸レンズ(2c)の焦点距離fは、凸レンズ(2c)の主点からLEDチップ(1)までの距離aに等しいもの(f=a)とする。
図15に示すような照明装置の例において、緑色(G)のLEDチップ(1)からの発生する緑色の光束の光軸は、凸レンズ(2c)の光軸と一致しているので、緑色(G)のLEDチップ(1)からの発生する緑色の光束は、図5におけるLEDから発生する光束と全く同様の振る舞い示す。そして、主走査方向においては、照明レンズ(3)を構成するシリンダレンズの幅、すなわち、光源の幅に対して、
倍の幅の緑色の光束で、照明対象面(撮像領域)(Ai)を照射する。なお、本発明の実施形態においては、Qの値は、2以上である。
赤色(R)のLEDチップ(1)から発生する赤色の光束の光軸は、凸レンズ(2c)の光軸から若干下側にずれているので、赤色(R)のLEDチップ(1)から発生する赤色の光束は、凸レンズ(2c)を通過し、緑色(G)のLEDチップ(1)から発生する緑色の光束よりも若干上側にずれて、照明対象面(撮像領域)(Ai)を照射する。照明レンズ(3)を構成するシリンダレンズの幅、すなわち、光源の幅に対する、照明対象面(撮像領域)(Ai)における赤色の光束の幅の比Qは、緑色(G)のLEDチップ(1)から発生する緑色の光束についての値と同じである。
青色(B)のLEDチップ(1)から発生する青色の光束の光軸は、凸レンズ(2c)の光軸から若干上側にずれているので、青色(B)のLEDチップ(1)から発生する青色の光束は、凸レンズ(2c)を通過し、緑色(G)のLEDチップ(1)から発生する緑色の光束よりも若干下側にずれて、照明対象面(撮像領域)(Ai)を照射する。照明レンズ(3)を構成するシリンダレンズの幅、すなわち、光源の幅に対する、照明対象面(撮像領域)(Ai)における青色の光束の幅の比Qは、緑色(G)のLEDチップ(1)から発生する緑色の光束についての値と同じである。
なお、図15においては、光源Lkから発生する赤色の光束を、太い破線で示し、緑色の光束を、実線で示し、青色の光束を、細い破線で示している。その三色のそれぞれの光束による照明対象面(撮像領域)(Ai)での照度分布の概念を個別の照度分布(Each_Di)として図15(c)に示す。また、他の光源・・Lk−2、Lk−1 、Lk+1、 Lk+2・・などから発生する光束も同様に照明対象面(撮像領域)(Ai)を照射するので、光源Lkの光軸上における照明対象面(撮像領域)(Ai)での照度には、光源Lkの周囲の光源から発生する光束の照度も寄与する。それらの光源の全体に起因する全体の照度分布(Total_Di)もまた図15(c)に示す。
以上のように、三色のLEDチップ(1)及び凸レンズ(2c)を含む光源を使用する場合にも、主走査方向における、各色の光束によって照明される照明対象面(撮像領域)(Ai)での照度ムラは、各色の光束毎に、図5に示すような照度ムラを適用することによって、説明される。
次に、副走査方向(Sy)については、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)のLEDチップ(1)は、同一の光軸上に存在し、凸レンズの焦点距離fは、f=aを満たすので、各色のLED(1)から発生する光束は、凸レンズ(2c)を通過し、概略平行光となる。
ここで、図15に示す照明装置が、集束レンズ(4a)を含まない場合には、照明レンズ(3)を通過した各色の平行光束が、そのまま照明対象面(撮像領域)(Ai)を照射する。その結果、副走査方向(Sy)における照明対象面(撮像領域)(Ai)での照度分布(Di)は、図15(d)の実線で示すように、ブロードな分布となる。一方、図15に示す照明装置が、照明レンズ(3)と照明対象面(撮像領域)(Ai)との間に設けられ且つ照明対象面(撮像領域)(Ai)から焦点距離Fだけ離れた位置に配置される集束レンズ(4a)を含む場合には、照明レンズ(3)を通過した各色の平行光束は、照明対象面(撮像領域)(Ai)上に集束する。その結果、副走査方向(Sy)における照明対象面(撮像領域)(Ai)での照度分布は、図15(d)の二点鎖線で示すように、シャープな分布(Each_Di)(Total_Di)となる。
なお、副走査方向(Sy)において、LEDチップ(1)から発生する光を照明対象面(撮像領域)(Ai)上に集束させる手段としては、凸レンズ(2c)の焦点距離fを、図12における照明装置の例と同様に、
とする方法が挙げられる。ここで、aは、LEDチップ(1)の発光面から凸レンズ(2c)の主点までの距離であり、bは、凸レンズ(2c)の主点から照明対象面(撮像領域)(Ai)までの距離である。そして、この場合には、集束レンズ(4a)を設けることを必要としない。
図15に示すような照明装置を、画像読取装置の第一走行体に搭載する場合には、図15に示すような照明装置を、図6〜図8に示すような画像読取装置に適用することができる。
図16は、本発明の第六の実施例による照明方法及び画像読取装置の例を説明する図である。 図16(a)は、本発明の第六の実施例による画像読取装置の例の上面図であり、図16(b)は、本発明の第六の実施例による画像読取装置の例の正面図である。また、図16(c)は、本発明の第六の実施例による照明方法の例によって得られる照明対象面(撮像領域)上での副走査方向の照度分布を示す図である。
図16に示すような画像読取装置の例は、赤(R)、緑(G)、青(B)三色のLEDチップ(1)に一括して凸レンズ(2c)のフードレンズを取り付けた光源を用いるカラー画像読取装置の例である。
図16に示すような画像読取装置の例においては、照明系の三色のLEDチップ(1)の配置が、各色の画像を読み取るための読取系の一次元撮像素子(15)の配置と対応付けられる。図16に示すような画像読取装置において、照明対象面(撮像領域)(Ai)より左側の系が、照明系であり、照明対象面(撮像領域)(Ai)より右側の系が、読取系である。そして、照明系を用いて、撮像領域(Ai)を照明し、撮像領域(Ai)に置かれた原稿の画像を、読取系で読み取る。
カラー画像読取装置の読取系では、三本の1ラインCCD(一次元撮像素子(15))を並列させた3ラインCCDを用いる。三本の1ラインCCDの各々には、赤色(R)、緑色(G)、又は青色(B)を透過するカラーフィルター(18)が設けられ、三本の1ラインCCDの各々は、カラーフィルター(18)を透過する色の画像を読み取る。このようなカラーフィルター(18)を備えた3ラインCCDは、原稿における撮像領域(Ai)の同じ場所の画像を同時に読み取ることができない。現行の画像読取装置においては、600dpiの画像を構成する画素のサイズは、42.3μmであるが、現行の画像読取装置の読取系は、縮小光学系であり、撮像素子においては、読取系の縮小率に応じて、10μm、7μm、又は4.7μmなどに相当する。しかしながら、このような短い間隔で1ラインCCDを配列させることは困難である。実際には、三本の1ラインCCDを、副走査方向(Sy)に並べる場合には、三本の1ラインCCDを、3画素〜4画素に相当する距離だけ、互いに離す必要がある。ここで、三本の1ラインCCDの間隔は、原稿面の撮像領域(Ai)では、おおよそ、0.4〜0.2mmに相当する。すなわち、原稿面の撮像領域(Ai)において、0.4〜0.2mmの間隔で、赤色、緑色、及び青色の画像を読み取ることになる。よって、赤色、緑色、及び青色のLEDチップ(1)から発生する赤色、緑色、及び青色の光束を、原稿面の撮像領域(Ai)において、0.4〜0.2mmの間隔で照射することが好ましい。
ここで、副走査方向(Sy)において、照明系の三色のLEDチップ(1)の配置と照明対象面(撮像領域)(Ai)における各色の光束の中心位置との関係を、図16(b)に示す。図16(b)において、aは、LEDチップの発光面から凸レンズ(2c)の主点までの距離であり、bは、凸レンズ(2c)の主点から集束レンズ(4a)の主点までの距離であり、cは、集束レンズ(4a)の主点から照明対象面(撮像領域)(Ai)までの距離である。また、m0は、各色のLEDチップ(1)間の間隔であり、m1は、集束レンズ(4a)を通過する各色のLEDチップ(1)からの各色の光束の中心間距離であり、m2は、照明対象面(撮像領域)(Ai)における各色のLEDチップ(1)からの各色の光束の中心間距離である。さらに、凸レンズ(2c)部の焦点距離をf0とし、集束レンズ(4a)の焦点距離をf1とすると、f0=a及びf1=cであるため、
の関係が成り立つ。よって、式(1)及び(2)より、
の関係が成り立つ。
式(2)より、b=cのとき、m2=m1であり、さらに、b<cのとき、m2>m1であり、b>cのとき、m2<m1である。
また、式(3)より、b=cのとき、
であり、さらに、b<cのとき、
であり、b>cのとき、
である。
なお、図16(b)においては、f0=a及びf1=cであり、且つ、b=cである。図16(a)及び(b)に示す画像読取装置における副走査方向(Sy)の照度分布を図16(c)に示すが、実際には、照明系の構成要素の配置を考慮しながら、上記のような関係を保つことによって、各色の光束によって照明される照明対象面(撮像領域)(Ai)での照度分布(Di)のピークが、各色の画像を読み取る1ラインCCDの位置に対応するように、照明系の設計をすることができる。
また、R、G、Bの色の配置は、主走査方向(Sx)又は副走査方向(Sy)における直線上にあることを仮定したが、R、G、Bの色の配置は、特に限定されず、例えば、R、G、Bの色は、三角形の各頂点、ひらがなの「く」の字状、英文字の「L」の字状に配置されることもある。そのような場合には、図15及び図16に示すような考え方を組み合わせることによって、照明装置及び画像読取装置の最適設計が可能となる。
図17は、本発明の第七の実施例による照明方法及び照明装置の一つの例を説明する図である。図17(a)は、本発明の第七の実施例による照明装置の一つの例の斜視図であり、図17(b)は、本発明の第七の実施例による画像読取装置の一つの例の正面図であり、図17(c)は、本発明の第七の実施例による画像読取装置の例の一つの側面図である。また、図17(d)は、本発明の第七の実施例による照明方法の例の一つによって得られる照明対象面(撮像領域)上での主走査方向の照度分布を示す図である。
図17に示すような照明装置の例では、長方形の発光面を備えた複数のLED(1)を用いる。また、図17に示すような照明装置の例は、長方形の発光面を備えた複数のLED(1)と照明対象領域(Ai)との間に、主走査方向(Sx)において長方形の発光面を備えた複数のLED(1)から発生する光束を拡散させるシリンダレンズアレイの照明レンズ(3)を含む。そして、長方形の発光面を備えた複数のLED(1)と照明レンズ(3)との間に、副走査方向(Sy)において長方形の発光面を備えた複数のLED(1)から発生する光束を集束させるシリンダレンズの集束レンズ(4a)が挿入される。なお、照明レンズ(3)のシリンダレンズアレイを構成するシリンダレンズ及び集束レンズ(4a)のシリンダレンズの焦点距離を設定する考え方は、第1〜第6の実施例のものと同じである。なお、集束レンズ(4a)は、図17(c)に示すように集束されるように示しているが、副走査方向(Sy)において、長方形の発光面を備えた複数のLED(1)から発生する光束を、必ずしも集束させる必要はなく、平行光又は拡散光に変換してもよい。さらには、集束レンズ(4a)の挿入は、必ずしも必須ではない。
また、図17に示すような照明装置の例では、図17(b)に示すように、主走査方向(Sx)において、長方形の発光面を備えた複数のLED(1)の各々から発生する光束は、各々のLED(1)に対応する照明レンズ(3)のシリンダレンズに入射するのみならず、各々のLED(1)に対応する照明レンズ(3)のシリンダレンズの近傍における(又はそのシリンダレンズに隣接する)シリンダレンズにも入射する。その結果、長方形の発光面を備えた複数のLED(1)の各々から発生する光束は、照明レンズ(3)によって、より拡散させられる。例えば、図17(b)に示すように、LED(1)の一つL4から拡散する光束は、主として、LED(1)のL4に対応するシリンダレンズに入射し、予め設定された倍率で、照明対象面(撮像領域)(Ai)を照射する。しかしながら、LED(1)の一つL4から拡散する光束の一部は、LED(1)のL4に隣接するLED(1)のL3及びL5に対応するシリンダレンズにも入射する。さらに、LED(1)の一つL4から拡散する光束の一部は、LED(1)のL4の近傍に位置するLED(1)のL2及びL6に対応するシリンダレンズにも入射する。その結果、図17に示すような照明装置の例では、LED(1)から発生する光を、より広く拡散させることができる。
そして、図17(a)、(b)及び(c)に示すような照明装置を使用することによって、図17(d)に示すように、主走査方向(Sx)において、複数のLED(1)の発光効率のバラツキに起因する、照明対象面(撮像領域)(Ai)での照度分布の変動を大幅に低減することができる。すなわち、図4に示すような従来の照明装置では、主走査方向(Sx)において、より低い発光効率を備えたLED(1)によって照明される照明対象面(撮像領域)(Ai)での照度h2に対するより高い発光効率を備えたLED(1)によって照明される照明対象面(撮像領域)(Ai)での照度h1の比が、おおよそ二倍であったとしても、図17(a)、(b)及び(c)に示すような照明レンズ(3)を含む照明装置を使用する場合には、より低い発光効率を備えたLED(1)によって照明される照明対象面(撮像領域)(Ai)での照度h2’に対するより高い発光効率を備えたLED(1)によって照明される照明対象面(撮像領域)(Ai)での照度h1’の比(h1’/h2’)を、(h1/h2)よりも大幅に低減することができる。より具体的には、図17(d)中の(Actual_Di2)に示すように、(h1’/h2’)の値の変動幅は、10%程度にまで容易に抑制される。
図17に示すような照明装置においては、主走査方向(Sx)における光束の拡散の範囲がより広いので、照明装置に側面鏡(5a,5b)を設けることが効果的である。なお、側面鏡(5a,5b)は、LED(1)の側面まで設けることが有効である。この場合には、LEDからの拡散光を、主走査方向(Sx)において、照明対象領域(Ai)の外側に拡散させることなく、照明対象面(撮像領域)(Ai)に照射させることができる。
図18は、本発明の第七の実施例による照明装置の別の例を説明する図である。図18(a)は、本発明の第七の実施例による照明装置の別の例の上面図であり、図18(b)は、本発明の第七の実施例による画像読取装置の別の例の正面図である。
図18に示すような照明装置の例においては、図17に示すような照明装置の例における集光レンズ(4a)の代わりに、放物面鏡(2d)を用い、光源には、図17と同じように長方形の発光面を備えたLEDを並べて用いている。ここで、放物面鏡(2d)は、主走査方向(Sx)において平行平面の断面を有し、副走査方向(Sy)において放物面の断面を有する。
また、図18に示すような照明装置の例においては、主走査方向(Sx)において、複数のLED(1)の各々から発生する光束に対する障壁がないので、図17に示すような照明装置の例と同様に、各々のLED(1)から発生する光束は各々のLED(1)に対応する照明レンズ(3)のシリンダレンズに入射するのみならず、各々のLED(1)に対応する照明レンズ(3)のシリンダレンズの近傍における(又はそのシリンダレンズに隣接する)シリンダレンズにも入射する。その結果、各々のLED(1)から発生する光束は、照明レンズ(3)によって、より拡散させられる。例えば、LED(1)の一つL4から拡散する光束は、主として、LED(1)のL4に対応するシリンダレンズに入射し、予め設定された倍率で、照明対象面(撮像領域)(Ai)を照射する。しかしながら、LED(1)の一つL4から拡散する光束の一部は、LED(1)のL4に隣接するLED(1)のL3及びL5に対応するシリンダレンズにも入射する。さらに、LED(1)の一つL4から拡散する光束の一部は、LED(1)のL4の近傍に位置するLED(1)のL2及びL6に対応するシリンダレンズにも入射する。その結果、図18に示すような照明装置の例では、LED(1)から発生する光を、より広く拡散させることができる。
図18に示すような照明装置においては、主走査方向(Sx)における光束の拡散の範囲がより広いので、照明装置に側面鏡(5a,5b)を設けることが効果的である。なお、側面鏡(5a,5b)は、放物面鏡(2d)の側面まで設けることが有効である。この場合には、LEDからの拡散光を、主走査方向(Sx)において、照明対象領域(Ai)の外側に拡散させることなく、照明対象面(撮像領域)(Ai)に照射させることができる。
図18に示す照明装置は、集束レンズ(4a)を含むが、集束レンズ(4a)は、必ずしも必須の構成要素ではない。図18に示すような照明装置の例においては、第一の集束手段として、放物面鏡(2a)を用いているが、第一の集束手段としては、楕円面鏡を用いることもできる。ここで、楕円面鏡は、主走査方向(Sx)においては、平行平面の断面を有し、副走査方向(Sy)においては、楕円面の断面を有する。そして、楕円面鏡の楕円面の第一焦点は、LEDの発光面の中心に位置すると共に、楕円面鏡の楕円面の第二焦点は、照明対象領域(Ai)に位置する。第一の集束手段としてこのような楕円面鏡を用いる場合には、集束レンズ(4a)は、不要となる。
さらに、R、G、Bの三色の独立なLEDを用いるカラーの画像読取装置用の照明装置を説明する。例えば、図17(b)及び(c)に示すように、図17に示されるようなL1〜L7のLEDを、一色のLEDで構成すると共に、他の二色のLEDを追加する。具体的には、図17(c)に示すように、一色(G)のLEDの副走査方向(Sy)の両側に、他の二色(R及びB)のLEDを配置することによって、三色のLEDで構成される光源を提供することができる。図17(c)に示すような照明装置の例は、図16に示すような照明装置の例と同様に機能する。(ただし、図16(b)における集光レンズ(2c)の位置に集束レンズ(4a)を配置し、a、b、cの関係のうちc=0とする)。
図19は、本発明の第八の実施例による照明装置の例を説明する図である。図19(a)は、本発明の第八の実施例による照明装置の別の例の上面図であり、図19(b)は、本発明の第八の実施例による画像読取装置の別の例の正面図である。
本発明の第一〜第七の実施例においては、照明レンズとして、隣接して配置された複数の凸シリンダレンズで構成されるシリンダレンズアレイを示してきたが、照明レンズとして、隣接して配置された複数の凹シリンダレンズで構成されるシリンダレンズアレイを用いることもできる。
図19に示すような照明装置の例においては、照明レンズ(3)として、隣接して配置された複数の凹シリンダレンズで構成されるシリンダレンズアレイが使用されている。照明レンズ(3)として、隣接して配置された複数の凹シリンダレンズで構成されるシリンダレンズアレイを用いた場合であっても、LED(1)から発生する光束を、主走査方向(Sx)において、拡散させることができる。ここで、シリンダレンズアレイを構成する各々の凹シリンダレンズの焦点距離がfであり、且つ、LED(1)の一つに対応する凹シリンダレンズの主点から照明対象面(撮像領域)(Ai)までの距離がgであるとすると、主走査方向(Sx)におけるLED(1)の一つから放出された光の光束の幅の拡大率Qは、
であり、本発明の実施形態において、Qは、2以上である。
本発明の第一〜第八の実施例においては、画像読取装置における原稿台(コンタクトガラス)並びに結像レンズ及び一次元撮像装置を含む読取系が、固定される一方で、第一走行体及び第二の走行体が、副走査方向において、差動的に移動する。そして、第一走行体に、本発明の第一〜第八の実施例による照明装置が、搭載される。第一走行体には、照明装置を除けば、撮像領域から反射された光の光路を折り曲げる変向ミラーのみを搭載するので、第一走行体の質量は、増加せずに、第一走行体及び第二の走行体の移動による画像の読取は、高速の読取に適する。しかしながら、低速な読取が許容される場合には、読取装置も第一走行体上に搭載することも考えられる。なお、この場合には、第二走行体は、不必要となるので、走行体は一つのみでもよい。)。
図20は、本発明の第九の実施例による画像読取装置の例を説明する図である。図20(a)は、本発明の第九の実施例による画像読取装置の一つの例を説明する図であり、図20(b)は、本発明の第九の実施例による画像読取装置の別の例を説明する図である。
図20(a)及び(b)に示すような画像読取装置においては、本発明の第一〜第八の実施例による照明装置としての照明ユニット(10)が、読取系としての読取ユニット(16)と共に走行体(11a)に搭載される。読取ユニット(16)は、結像レンズ及び撮像素子を含む縮小光学系であるため、原稿面から結像レンズまでのある程度の距離が、要求される。
図20(a)に示すような画像読取装置においては、原稿面からの反射された画像光は、一旦変向ミラー(12)によって、コンタクトガラス(13)に平行な方向に変向させられた後、二つの折返しミラー(17a)及び(17b)で、各々2回ずつ、折り返された後に、読取ユニット(16)へ導かれる。
図20(b)に示すような画像読取装置においては、原稿面からの反射された画像光は、変向ミラー(12)によって斜め右上に向かって折り返され、第一の折返しミラー(17a)によって、コンタクトガラス(13)に平行な方向に変向させられた後、第二の折り返しミラー(17b)に向けらける。その第二の折返しミラー(17b)に入射した光は、少し下向きに再度反射させて、再度、第一の折返しミラー(17a)に戻される。第一の折返しミラー(17a)に戻された光は、斜め下側に反射させられ、第三の折返しミラー(17c)でさらに反射させられ、コンタクトガラス(13)の面に平行な方向において、
読取ユニット(11)へ導かれる。
図20(a)及び(b)に示すように、読取ユニット(11)のような読取系及び照明ユニット(10)のような照明系の両方を走行体(11a)上に搭載する場合であっても、発明の第一〜第八の実施例による照明装置のいずれも、照明ユニット(10)として用いることができる。図20(a)においては、図7(e)に示す照明装置を直接採用している。図20(b)に示すような画像読取装置においては、図20(a)に示す画像読取装置における第一の集束手段としての回転放物面鏡の代わりに、凸レンズを用いたものである。
本発明の第一〜第九の実施例においては、撮像素子で画像を読み取る縮小光学系又はディジタル画像読取装置に搭載するための照明装置及び照明方法を説明してきた。しかしながら、本発明の第一〜第九の実施例に示すような照明装置及び照明方法を、等倍光学系又はアナログ複写機に搭載するための照明方法としても使用可能である。
図21は、本発明の第十の実施例による画像読取装置の例を説明する図である。図21に示すような画像読取装置の例は、シート状の原稿を複写する画像形成装置用の画像読取装置である。結像レンズ(14)は、マイクロレンズアレイであり、多数のマクロレンズを、マイクロレンズアレイの長さが、紙のようなシート原稿(33)の幅と同じ長さとなるように、配列させたものである。結像レンズ(14)は、等倍光学系を提供するために、撮像領域(Ai)と感光体(31)のちょうど中間に配置される。シート原稿(33)との摩擦が少ないコンタクトガラス(13)上の撮像領域(Ai)部分で、紙送りローラ(32)によって、シート原稿(33)は、圧接されると共に送られる。シート原稿の送りと同期して(同じ速度で)感光体(31)を移動させる。なお、感光体(31)を帯電させる帯電装置及び転写装置のような感光体の周辺装置の図示は、省略した。
図21に示すような画像読取装置の例において、照明装置は、図7(b)に示す照明装置において、走行体を除去し、折り返しミラーの位置を変えたものである。このような照明装置を使用して、シート原稿(33)の撮像領域(Ai)を一次元に照明し、シート原稿(33)上の画像を、結像レンズ(14)を介して感光体(31)上に投影している。そして、シート原稿(33)及び感光体(31)を順次移動させることによって、シート原稿(33)上の画像の全体を、感光体(31)上に二次元画像として投影することができる。その後、アナログ複写機のプロセスとして、一般に使われている紙と同じ、普通紙上に画像を転写して、画像のハードコピーを得るが、公知のアナログ複写プロセスの詳細な説明は省略する。
このように、アナログ複写機においても、本発明の実施形態による照明方法及び照明装置を使用して、照度むらを軽減することができるので、高品質な画像を得ることができる。
以上の説明は照明対象面(撮像領域)を均一に照明する方法を述べてきた。等倍光学系を用いた画像読取装置、或いは画像形成装置用に適用するにはそのままの適用がよい。縮小光学系を用いた画像読取装置では結像レンズのコサイン4乗特性(cos4θ特性)により、主走査方向の照明対象領域の中央部はその周辺部より光量を落としたほうが総合的に省エネとなり都合が良い。その場合、コサイン4乗特性に合わせて、光源であるLEDの間隔を周辺部から中央部に向かって粗くしていくことによって容易に実現できる。勿論、その場合、一番粗い場所においてもLEDが発光する光束をLEDの間隔の2倍以上に拡散をさせるのが望ましい。
図22は、縮小光学系を用いた画像読取装置における撮像領域(Ai)での照度分布(Di)及びCCD上での縮小光学系の相対明度の関係を説明する図である。図22(a)は、縮小光学系を用いた画像読取装置における撮像領域(Ai)、結像レンズ、及び一次元CCDの配置を示す図であり、図22(b)は、(1)結像レンズによって一次元CCD上に結像される画像の明度分布と、(2)撮像領域(Ai)に要求される照度分布(Di)の関係を説明する図である。
図22(a)に示すように、撮像領域(Ai)に平行に一次元CCDを置き、その間に結像レンズ(14)を置いて、その一次元CCD上に画像を結像させる画像読取装置において、撮像領域(Ai)における画像を、結像レンズ(14)によって、一次元撮像素子(15)としての一次元CCDに結像させた場合には、その結像レンズ(14)によって結像される一次元CCD上の中央部における画像の明度に対して、その一次元CCD上の周辺部における画像の明度は低くなる。
図22(a)において、Wを、主走査方向(Sx)における撮像領域(Ai)の長さとし、結像レンズ(14)を、撮像領域(Ai)の中心の鉛直方向にその光軸を有するように配置し、Ldを、撮像領域(Ai)から結像レンズ(14)までの距離とすると、結像レンズ(14)の光軸に対して結像レンズ(14)に入射する光線の角度θの最大値θmaxは、
θmax=tan−1[W/(2×Ld)]
となる。
このとき、一次元CCD上の主走査方向(Sx)における各位置での結像レンズ(14)によって結像される画像の明度の相対値は、いわゆるコサイン4乗則に従って、その位置に対応する撮像領域(Ai)における位置から結像レンズに入射する光線の角度θに対して、図22(b)の曲線(1)に示すようなcos4θで変化する。その結果、主走査方向(Sx)の中心における結像レンズ(14)によって結像される一次元CCD上の画像の明度に対して、主走査方向(Sx)の周辺における結像レンズ(14)によって結像される一次元CCD上の画像の明度は、数10%低くなる。
一方、一次元CCDに入射する光量は、一次元CCDによって電気信号に変換されるので、その光量を電気信号に変換した後に、その電気信号の増幅率を変化させることによって、結像レンズ(14)によって結像される画像の明度の差異を補正することは、可能である。しかしながら、この場合には、ダイナミックレンジが小さくなってしまうので、結像レンズ(14)によって結像される画像の明度が相対的に低い一次元CCDの周辺では、ノイズが増加する。その結果、一次元CCDで読み取られた画像が汚くなる。
そこで、図22(b)の曲線(1)に示す関係と逆比例するように、結像レンズ(14)の撮像領域(Ai)側に、結像レンズ(14)の光軸付近の撮像領域(Ai)の位置からの光についての遮光量が多くなるような遮光マスクを挿入するか、又は、光源からの光を反射させる反射板の反射率を、反射板の中央における反射率が低くなるように変化させることによって、一次元CCDに結像される光の照度を一定にすることも考えられる。このような場合には、電気信号の補正を低減することが可能になる。しかしながら、光源から放出される光を遮光する又は捨てることは、省エネルギーの観点からは、望ましくない。
即ち、光源から発生する光束を捨てることなく、図22(b)の曲線(2)に示す撮像領域(Ai)に要求される照度分布(Di)になるように、撮像領域(Ai)を照明するのが望ましい。そうすれば、光源から放出される光の利用効率を向上させることができ、その結果、撮像領域(Ai)を照明する光のエネルギーを低減する(省エネルギーを達成する)ことができる。
結像レンズ(14)によって結像される一次元撮像素子(CCD)(15)上の画像の明度分布を一定にする方法としては、例えば、LEDのような複数の光源の間隔を変えて対応する方法、撮像領域(Ai)から複数の光源までの距離を変えて対応する方法、複数の光源から放出される光の光束の発散角を変えて対応する方法、及び、照射対象面に対する複数の光源の光軸の方向を変えて対応する方法が、挙げられる。このような方法を採用することによって、主走査方向(Sx)における撮像領域(Ai)を照明する光の照度分布(Di)が、図22(b)の曲線(2)に示すような1/cos4θの特性を有するように、複数の光源の配置を変えて対応すればよい。
本発明の第11の実施例は、複数の光源の配置間隔を変えて撮像対象領域(撮像領域)(Ai)を照明する光の照度分布(Di)を1/cos4θの特性に一致させる例を示す。
図23は、一次元CCDに結像される画像の相対明度が一定となるような、撮像対象領域(Ai)を照明する複数の光源の配置間隔を決定する方法を説明する図である。
一次元CCDに結像される画像の相対明度が一定となるようにするためには、撮像対象領域(Ai)を照明する複数の光源(例えば、LED)の配置間隔を中央部(結像レンズの光軸)から離れるに従って狭めていく。図23においては、図22(a)に示す配置を、90度反時計まわりに回転させて示しており、そこに示した記号で、図22における記号と同じ記号は同じ意味である。なお、図23において、Whは、主走査方向(Sx)における撮像対象領域(Ai)の長さWの半分であり、撮像対象領域(Ai)の中心から計算される。
一次元CCDに結像される画像の相対明度が一定となるような、撮像対象領域(Ai)を照明する複数の光源の間隔を計算するために、副走査方向(Sy)については光源からの光束が発散しないことを前提として、設計する又はシミュレーションすることにする。具体的には、副走査方向(Sy)においては、複数の光源から放出される光を平行光として撮像対象領域(Ai)を照明するか、複数の光源から放出される光を撮像対象領域(Ai)に集束させるか、又はそれらの中間のいずれかを採用する。
図23に示すように、図23の中心線(結像レンズの光軸)に対して上半分の領域及び下半分の領域は、対称であるので、説明の都合上、下半分の領域のみを用いて説明する。まず、その下半分の領域(主走査方向(Sx)における撮像対象領域(Ai)の半分)をN分割し、中心線上の点を原点とする。さらに、その原点の点番号を0とすると共に、各分割点の点番号を、原点に近い順に1〜nと番号付けて、原点0から分割点1までの間隔、分割点1から分割点2までの間隔、…、分割点n−1から終点nまでの間隔を、それぞれ、w1、w2、…、wnによって表す。
ここで、図22(b)の曲線(2)に示す撮像対象領域(Ai)に要求される照度分布(Di)になるようなw1〜wnの間隔を得るのだが、下半分の領域(主走査方向(Sx)における撮像対象領域(Ai)の半分)のN分割を、最初はN等分にする。そして、撮像対象領域(Ai)全域が一定照度で照明されている場合として、結像レンズによって一次元CCD上に結像される各分割点に対応する位置の相対明度を、コサイン四乗則によって求める。具体的には、撮像対象領域(Ai)上のk番目の分割点に対応する結像レンズによって一次元CCD上に結像する画像の相対明度は、cos4θkである。また、これらの相対明度の総和は、
である。ここで、θkは、結像レンズの光軸に対する、結像レンズの中心と撮像対象領域(Ai)のk番目の分割点とを結ぶ直線の角度である。なお、θnは、結像レンズの光軸に対する、結像レンズの中心とn番目の分割点とを結ぶ直線の角度であり、θmaxと一致する。
次に、各分割点に対応した相対明度に比例した分割で各分割点間の距離を与え直す。即ちN分割点間の間隔w1,w2,…,wnを、式
に従って、算出する。
ここで得られた各分割点間の間隔w1,w2,…,wnは、目標とする間隔から少しずれているので、再度、同様の計算をする。
まず、各分割点の位置を上式で得られた間隔w1,w2,…,wnで分割し直し、結像レンズの光軸に対する、結像レンズの中心とk番目の分割点とを結ぶ直線の角度θ’kを算出する。次に、得られた間隔w1,w2,…,wnの各々で各分割点に対応する一次元CCD上に結像する画像の相対明度を、コサイン四乗則によって求める。具体的には、k番目の分割点に対応する一次元CCD上に結像する画像の相対明度は、cos4θ’kである。また、その相対明度の総和は、
である。
ここで、これを基に、改めてそれぞれの分割点間の間隔w’1,w’2,…,w’nを、式
に従って、算出する。
このような演算を無限回繰り返すことによって、目標とする分割点間の間隔に限りなく近づくのであるが、後述するように、Nを12としてミュレーションした結果では、最初の演算によって得られた間隔w1,w2,…,wnと、二回目の演算によって得られた間隔w’1,w’2,…,w’nのそれぞれ対応する間隔の差異は、最大で±0.4%未満であった。このような差異は、実用上、(部品の精度や加工精度などのような)他の要因の変動より遥かに小さいので、最初の演算によって得られた間隔w1,w2,…,wnを用いても問題はない。
このように求めた撮像対象領域(Ai)の分割点に対応してL0の距離上に光源を配置して、撮像対象領域(Ai)の周辺部まで1/cos4θの照度分布を与えようとすると、撮像対象領域(Ai)幅Wを超えて光源を配置する必要がある。即ち、0からnまでの位置のN個の光源以外に、撮像対象領域(Ai)からL0離れた線上の撮像対象領域(Ai)から外れた延長線上にもn+1、n+2、n+3、・・・と光源を配置する必要がある(この配置位置は上述の計算方法を演繹すれば容易に求まるが、詳しい説明は省略する)。
次に、間隔が調整された複数の光源によって照明される撮像対象領域(Ai)の照度分布を求める方法を示す。
図24は、一次元CCDに結像される画像の相対明度が一定となるような、撮像対象領域(Ai)を照明する複数の光源の具体的な配置を説明する図である。図24(a)は、複数の光源の配置及び側面鏡を配置する鏡面の位置を示す図であり、図24(b)は、光源の放射特性の例を示す図である。
図24(a)は、図23の撮像対象面(撮像対象領域)(Ai)より左側に表現した部分の拡大図である。
図24(a)に示すように、照明対象領域(撮像対象領域)(Ai)からL0だけ離れ、且つ撮像対象領域(Ai)に対して平行に、上述の説明で得られた間隔でN分割することによって、得られた各分割点に光源を置いている。更に、その外側PM1の位置に鏡面(側面鏡)を置いて、撮像対象領域(Ai)の各位置の相対照度を算出する。この鏡面は、撮像対象領域(Ai)の範囲を分割した点に対応した光源配置位置上に置いた複数の光源から放出される光束を反射させて、あたかもその延長線上に光源があるかのように照明対象領域(Ai)の範囲を照射させている。
図24(a)においては、主走査方向(Sx)における撮像対象領域(Ai)の半分をN分割することによって得られたn+1個の光源の位置を、P0,P1,…Pnとすると共に、n番目の光源の外側PM1の位置に設けられる側面鏡によって得られる、P0,P1,…Pnに配置された光源の像(虚光源VLS)の位置をPn+1,Pn+2,…P2n+1とする。ここで、Pnの位置に置かれた光源とPn+1に位置する、側面鏡によって得られるその光源の像との間の間隔は、上述の計算方法を演繹して得られる。そして、位置Pnと位置Pn+1は、互いに側面鏡による鏡像の関係にあるので、側面鏡の鏡面を、位置Pnと位置Pn+1との間の間隔の半分の位置に設けている。更に、上述の計算方法を演繹して位置Pn+1と位置Pn+2との間の間隔、…、位置P2nと位置P2n+1との間の間隔を求めると、位置Pn+1、位置Pn+2との間の間隔、位置Pn+2と位置Pn+3との間の間隔、…、と進むにつれて間隔が狭くする必要があるが、図24に示す配置では鏡面による虚像であるため逆に間隔が広くなってしまう(当然、位置Pn+1と位置Pn+2との間の間隔、…、位置P2nと位置P2n+1との間の間隔は、それぞれ、位置Pn−1と位置Pnとの間の間隔、…、位置P0と位置P1との間の間隔に一致している)。なお、n番目の光源の外側に設けられる側面鏡と対をなす側面鏡が、撮像対象領域(Ai)の中心線(結像レンズの光軸)に対して上半分の領域にも設けられ(PM2の位置)、n番目の光源の外側に設けられる側面鏡とは、互いに平行に配置される。このため、側面鏡の対によって、鏡像である無限の数の虚光源が生じるが、この内、側面鏡で2回以上の反射で生ずる虚光源は、撮像対象領域(Ai)からかなり離れた位置に生じため、撮像対象領域(Ai)における照度分布(Di)に対する寄与率が、著しく小さく、無視してもなんら差し支えない。
次に、複数の光源によって照明される撮像対象領域(Ai)のある任意の点Mmにおける相対照度I(Mm)を求めることにする。撮像対象領域(Ai)に対する鉛直線と、光源から点Mmに向かって放出される光の放射ベクトルの角度をαとすると、光源から撮像対象領域(Ai)までの距離が、L0であるので、ある一つの光源から点Mmまでの距離は、L0/cosαとなる。そして、副走査方向(Sy)においては光源から放出される光の光束が発散しないことを前提とすると、各光源から放出される光によって照明される撮像対象領域(Ai)の点Mmにおける光の強度は、各光源から点Mmまでの距離L0/cosαに逆比例する。さらに、その同一点Mmでの面の傾きによる受ける光束の減少度はcosαとなる。
一方、図24(b)に示すように、撮像対象領域(Ai)に対する鉛直線と角度αをなす放射ベクトルの方向に光源から放出される光の強度は、光源から放出される光の放射ベクトルの分布(エンベロープ)に依存する。現実のLEDなどの光源の放射ベクトル分布(エンペロープ)は複雑な形を成しているが、計算の都合上円形ないしは楕円状で近似する。例えば、図24(b)の(1)に示すように、光源から放出される光の放射ベクトルのエンベロープが円形に近似できる場合には、光源の中心軸に対して角度αをなす放射ベクトルの方向に光源から放出される光の強度は、cosαだけ減少する。光源から放出される光の放射ベクトルのエンベロープが、楕円状に近似できる場合には、その放射ベクトルのエンベロープの形状により、図24(b)の(2)に示すようなcos2α、あるいは、図24(b)の(3)に示すようなcos4α等のように近似することが可能である。
従って、複数の光源によって照明される撮像対象領域(Ai)のある任意の点Mmにおける相対照度I(Mm)は、
によって表される。ここで、Akは、k番目の光源が放出する光の総光量の相対値であり、αkは、結像レンズ光軸の方向に対する点Mmに向かうk番目の光源の放射ベクトルの角度である。また、aは、その光源の放射ベクトルのエンベロープを近似する係数である。例えば、光源の放射ベクトルのエンベロープが、円形に近い場合には、図24(b)の(1)に示すように、a=1とし、光源の放射ベクトルのエンベロープが、楕円状に近い場合には、図24(b)の(2)及び(3)に示すa=2及びa=3のように、a>1とする。また、光源の放射ベクトルのエンベロープが偏平していればa<1に近似できる。
このようにして、撮像対象領域(Ai)の中心線(CL)から下半分に配置した光源の全体によって照明される撮像対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布を算出することができる。また、得られた照度分布を中心線(CL)に対して対称に反転させれば、撮像対象領域(Ai)の中心線(CL)から上半分に配置した光源の全体によって照明される撮像対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布を得ることができる。そして、撮像対象領域(Ai)の中心線(CL)から下半分に配置した光源の全体によって照明される撮像対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布と撮像対象領域(Ai)の中心線(CL)から上半分に配置した光源の全体によって照明される撮像対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布を加算すれば、全部の光源によって照明される撮像対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布を得ることができる。ただし、この計算をする場合、P0上に置いた光源から発する光束は中心線(CL)から下半分を計算する場合と、上半分を計算する場合の両者で用いるので、その光源の相対強度A0を、その以外の位置に置いた光源の相対強度の1/2として計算する必要がある。
そこで、このようなモデルで得られる相対照度を撮像対象領域(Ai)の全域にわたって計算する。
従来、実用的な縮小光学系は、結像レンズによる像の歪みや明度分布の関係からW:Ld=1:1.5からW:Ld=1:1の範囲で用いられてきた。W:Ld=1:1.5の場合には、θmax=18.4°となり、W:Ld=1:1の場合には、θmax=26.6°となる。
図25は、これらの実用的な縮小光学系を用いた場合、一定照度で照明された撮像対象領域(Ai)を結像レンズによって一次元CCD上に結像される画像の相対明度の具体例、及び、一次元CCD上に結像される画像の相対明度が一定になるように撮像対象領域(Ai)を照明する場合の目標照度分布(要求照度分布)の具体例を示す図である。
W:Ld=1:1.5の場合における、撮像対象領域(Ai)内の各位置に対応する一次元CCD上に結像レンズによって結像される画像の相対明度の曲線は、図25における(1)に示す曲線のようになる。また、W:Ld=1:1の場合における、撮像対象領域(Ai)内の各位置に対応する一次元CCD上に結像レンズによって結像される画像の相対明度の曲線は、図25における(2)に示す曲線のようになる。その結果、W:Ld=1:1.5の場合における、撮像対象領域(Ai)の中心における照度に対して、撮像対象領域(Ai)のあらゆる位置で要求される照度の割合の曲線は、図25の(3)に示す曲線のようになり、その撮像対象領域(Ai)の中心における照度に対して、撮像対象領域(Ai)の両端における向上させなければならない照度の程度は、123%である。また、W:Ld=1:1の場合における、撮像対象領域(Ai)の中心における照度に対して、撮像対象領域(Ai)のあらゆる位置で要求される照度の割合の曲線は、図25の(4)に示す曲線のようになり、その撮像対象領域(Ai)の中心における照度に対して、撮像対象領域(Ai)の両端における向上させなければならない照度の程度は、156%である。
図26は、これまでに述べた考え方に従って撮像対象領域(Ai)を照明する目標相対照度に向けてシミュレーションした結果を示す図である。即ち、上述した式によって求められる相対照度I(Mm)の値、及び、その相対照度I(Mm)と要求される相対照度との差分を、Ak=1、N=12(撮像対象領域(Ai)の全域を照明する光源の数=25個)、及び、a=2の条件で計算した。ただし、図26(a)は、W:Ld=1:1の場合における結果のみを表示している。図26(b)は、相対照度I(Mm)の計算結果と要求される相対照度との差分を示す図(拡大図)である。
また、図26(a)において、グラフ(1)は、中心線(CL)から半分の領域における光源によって照明される撮像対象領域(Ai)全域での照度分布を示し、グラフ(2)は、グラフ(1)の反対側の半分の領域における光源によって照明される撮像対象領域(Ai)全域での照度分布を示す。グラフ(3)は、グラフ(1)とグラフ(2)との和である。グラフ(4)は グラフ(3)の中央の値が100になるように正規化したものである。グラフ(5)は、図26(a)のグラフ(4)と図25のグラフ(4)との差分である。
図26(b)において、グラフ(6)は、グラフ(5)と同一であり、グラフ(7)は、W:Ld=1:1.5の場合における相対照度の計算値と目標照度との差分である。
図26(b)に示すグラフの両端付近が乱れて目標照度との差分が多く発生している理由は、図24に示すように位置Pn+1から位置P2n+1までの光源が、位置P0から位置Pnまでの光源の鏡像である虚光源であるので、光源の間の間隔を理想的な間隔にしていないためである。ただし、位置Pnと位置Pn+1の間における側面鏡の位置を若干Pn側に接近させたり、側面鏡の角度を微妙に変化させたり、適切に設定することによって、撮像対象領域(Ai)の両端付近における照度分布をある程度制御することができる。
しかしながら、グラフ(7)に示される差分は、±1(%)未満であり、グラフ(6)で示される差分も、±2(%)未満である。すなわち、複数の光源によって照明される撮像対象領域(Ai)の相対照度を、非常に精度よく目標の照度分布に近づけることが可能であることがわかる。また、図26(b)のグラフから、主走査方向(Sx)における、光源によって照明する領域の幅を2〜3%程度増加させる(又は、主走査方向(Sx)における、光源によって照明される撮像対象領域(Ai)の幅を2〜3%程度減少させる)ことによって、光源によって照明される撮像対象領域(Ai)の照度分布を、目標の照度分布にさらに適合させることが可能であり、適切な条件を設定することによって、光源によって照明される撮像対象領域(Ai)の照度分布と目標の照度分布との差分を、±1%未満にすることが可能である。ただし、実用上は、部品の精度や組み立て精度の誤差などによる照度分布の変動が、上記の差分よりも大きく、上記の差分程度は、あまり問題ではない。
また、図26(b)におけるグラフ(6)及び(7)の比較から、主走査方向(Sx)における撮像対象領域(Ai)の幅Wに対する撮像対象領域(Ai)から結像レンズまでの距離Ldの比が、より大きいほど、容易に目標照度分布に近づけられることが分る。
さらに、光源の放射ベクトルのエンベロープをモデル化するcosaαにおけるaを、a=1又はa=4に設定して、同様のシミュレーションをした場合に、照明対象面(撮像領域)(Ai)から光源までの最適距離L0が、多少変化するものの、ほぼ同様の特性が得られた。
加えて、ここでは、撮像対象領域(Ai)の中心線上に光源を置き、撮像対象領域(Ai)の全域を、奇数個の光源で照明することを前提にしたが、撮像対象領域(Ai)の中心線上に光源を置かずに、照明対象領域(Ai)の全域を、偶数個の光源で照明することもでき、同様のシミュレーション又は設計も可能であることは言うまでもない。
次に、複数の光源の間隔を調整することによって、撮像対象領域(Ai)を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に一致させる照明装置の一例を示す。
図27は、複数の光源の間隔を調整することによって、撮像対象領域(Ai)を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に一致させる照明装置を実現するための概念図である。図27(a)は、複数の光源の間隔を調整することによって、撮像対象領域(Ai)を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に一致させる照明装置の例の上面図であり、撮像対象領域(Ai)の周辺部の一方を示したものである(中心部からもう一方の周辺部は省略している)。図27(b)は、複数の光源の間隔を調整することによって、撮像領域(撮像対象領域)(Ai)を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に一致させる照明装置の例の正面図である。
図27(a)に示すように、照明装置は、複数の光源として、主走査方向(Sx)に配列させられた複数のLEDを含む。個々のLEDから放出される光の光束を、そのLEDに対応する凸レンズであるフードレンズによって平行光にした後、シリンダレンズである照明レンズ(3)によって一旦、集光させた後、発散させることによって、照明対象領域(Ai)を照明する。ここで、複数のLEDの間隔は、上述のシミュレーションの結果に従って、照明装置の中心線付近から照明装置の周辺に向かって、狭くなるように、複数のLEDが、配置してある。(図27(a)におけるLEDの間隔wkの番号kの順序は、図23における間隔wkの番号kの順序と逆である。)なお、図24に示される撮像対象領域(Ai)から距離L0だけ離れた各光源の位置P0〜Pnは、図27(a)に示す照明装置においては、各LEDに対応するシリンダレンズの焦点の位置(焦点距離f)に対応する。すなわち、各LEDに対応するシリンダレンズの焦点の位置は、仮想的な光源の位置とみなすことができる。
また、この第11の実施例での照明装置の副走査方向(Sy)における構成は、副走査方向(Sy)における本発明の第1〜9の実施例での照明装置の構成を変更する必要はない。図27(b)には、個々のLEDから放出された光の光束を、そのLEDに対応するフードレンズで平行光にされた後、シリンダレンズである照明レンズ(3)を平行光のまま透過し、集束ミラー(4b)によって照明対象領域(Ai)に集束される方法を示している。ここで、集束ミラーの代わりに平面鏡を用いて平行光のまま撮像対象領域(Ai)を照射するようにしても上述のシミュレーションの結果から外れるものではないことを付記しておく。
なお、図27においては、光源のLEDから放出された光を平行光にする手段として、凸レンズであるフードレンズを用いたが、フードレンズの代わりに、図9に示すような回転放物面鏡を用いてもよい。
また、本発明の第1〜9の実施例の方法又は装置の構成において、主走査方向(Sx)に配置された複数の光源の間隔を、上述したようなシミュレーションの結果に従って、変更してもよい。
さらに、本発明の第5及び6の実施例においては、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のLEDの組みを光源としている。本発明の第11の実施例においても、同様にして、その赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のLEDの組みの間隔を、上述したシミュレーションの結果に従って、変更すればよい。
本発明の第12の実施例は、複数の光源の各々から撮像対象領域(Ai)までの距離を調整して撮像対象領域(Ai)を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に一致させる例を示す。
図28は、一次元CCDに結像される画像の相対明度が一定となるような、撮像対象領域(Ai)を照明する複数の光源の具体的な配置の求め方を説明する図である。図28(a)は、複数の光源の配置及び側面鏡を配置する鏡面の位置を示す図であり、図28(b)は、光源の放射特性の例を示す図である。
図28(a)に示す図においては、主走査方向(Sx)における複数の光源の間隔は、一定であるが、複数の光源の各々から照明対象領域(撮像対象領域)(Ai)までの距離を変化させる。図28における記号は、図24における記号と同一であるが、図28(a)においては、複数の光源の間隔w1,w2,…wnは、一定であり、Wh/Nに等しい。言い換えれば、複数の光源の間隔w1,w2,…wnは、主走査方向(Sx)における撮像対象領域(Ai)の長さの半分WhをN等分することによって与えられる。また、複数の光源のうち、k番目の位置Pkに配置される光源から照明対象面(撮像領域)(Ai)までの距離Lkは、次式
に従って決められる。ここで、θkは、結像レンズの光軸に対する、結像レンズの中心と撮像対象領域(Ai)上のk番目の分割点とを結ぶ直線の角度である。すなわち、複数の光源のうちk番目の位置Pkに配置される光源から照明対象面(撮像領域)(Ai)までの距離Lkは、θkに対してコサイン四乗則に従った、結像レンズによって結像される画像の明度の減少を、結像レンズの光軸上に設けられた光源の位置P0から撮像対象領域(Ai)までの距離L0を距離Lkまで減少させることによって補償する。
また、複数の光源から放出される光によって照射される撮像対象領域(Ai)における任意の点Mmでの相対照度I(Mm)は、本発明の第11の実施例と同様の考え方で、式
によって求められる。
図29は、本発明の第12の実施例以降の実施例における相対照度についてのシミュレーション結果のうち、相対照度I(Mm)の計算結果と要求される相対照度との差分を示す図である。
本発明の第12の実施例中、以上に示した条件の下で、本発明の第11の実施例と同様の方法により、W:Ld=1:1の条件の下で、複数の光源によって照明される撮像対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布のシミュレーションを行った。その結果、図26と同様のグラフを得ることができた。この内、シミュレーションの結果による照度分布を示すグラフは、図26の(a)のグラフと見分けがつかない程度に酷似しているので提示を省略し、照度分布と目標の照度分布との差分の拡大図のみを、図29中の(1)の曲線に示す。
図29中の(1)の曲線の両端付近が乱れて目標照度との差分が多く発生している理由は、実施例12の理由と似たような理由で、位置Pn+1から位置P2n+1までの光源が、位置P0から位置Pnまでの光源の鏡像である虚光源であるので、撮像対象領域(Ai)と光源までの距離を理想的な距離に設定できないためである。ただし、位置Pnと位置Pn+1の間における側面鏡の位置を若干Pn側に接近させたり、側面鏡の角度を微妙に変化させたり、適切に設定することによって、撮像対象領域(Ai)の両端付近における照度分布をある程度制御することができる。
しかしながら、このままでも、図29のグラフ(1)に示される差分の最大値は、±3%程度であり、図26に示される差分の最大値の約2倍程度であるが、部品の精度や組み立ての精度の観点及び省エネルギーの観点のいずれからも殆ど問題とならない。(一次元CCDで光量を電気信号に変換した後の電気信号の増幅率を変えてその差分を補正しても、その増幅率の変更は小さく、ノイズの影響を受けることはない。)
次に、以上の考え方で照明装置化するための考え方を示す。
図30は、複数の光源の各々から撮像領域(撮像対象領域)(Ai)までの距離を調整することによって、撮像領域(Ai)を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に一致させる照明装置を実現するための概念図である。図30(a)は、その上面図であり、図30(b)は、その正面図である。なお、図30に示す概念を装置化して第1走行体に搭載する方法は、前述の実施例11の方法に準じており、当業者には容易に実施可能である。
図31は、光源から放出される光の放射特性を変化させる方法の例を説明する図である。図31は、図30(a)に示す上面図の方向と同じ方向から見た図である。図31においては、正面図は、省略するが、図30(b)と同様の構成を示す。
ここで、図31の(1)に示すように、フードでもある凸レンズ(焦点距離f0)の焦点の位置に発光源LEDを置く。また、その凸レンズと同じ焦点距離を有する凸シリンダレンズ(焦点距離f1)を、凸レンズの前面に、凸レンズの光軸と凸シリンダレンズの光軸を一致させるように、配置する。このとき、その凸シリンダレンズの焦点位置に、発光源の放射特性と同様の放射特性を有する仮想の光源を形成することとができる。例えば、図28(b)の(1)のように、発光源の放射特性のエンペロープが円形である場合には、同じ円形のエンペロープの放射特性を有する仮想の光源を点Fに形成することができる。次に、この同じ円形のエンペロープの放射特性を有する発光源を用いて、凸シリンダレンズの焦点距離f1を、凸レンズの焦点距離f0よりも小さくすると、図31の(2)に示すように、光軸の方向において偏平な楕円状のエンペロープの放射特性を有する仮想の光源を形成することができる。一方、f1>f0である場合には、図31の(3)に示すように、光軸の方向において鋭い楕円状のエンペロープの放射特性を有する仮想の光源を形成することができる。(ただし、現実にはフードレンズのサイズや臨界角の関係から図中の矢印の外側へ向かう光束は生じない)。
図30(a)においては、凸レンズの形状及び凸シリンダレンズの形状の関係は、図31の(1)、(2)及び(3)のいずれかであり、凸レンズ及び凸シリンダレンズは、主走査方向(Sx)に並べられる。図30(a)においては、個々の発光源LEDから放出される光の光束は、凸レンズである対応するフードレンズによって、平行光にされた後に、凸シリンダレンズである照明レンズ(3)によって集光し、発散させられる。そして、本発明の第12の実施例においては、撮像領域(Ai)の中心線側に配置された凸シリンダレンズの焦点の位置(仮想の光源の位置)よりも撮像領域(Ai)の周辺側に配置された凸シリンダレンズの焦点の位置(仮想の光源の位置)が、撮像領域(Ai)に近いように、光源LED、凸レンズ、及び、凸シリンダレンズの組みを配置する。より具体的には、撮像領域(Ai)と凸シリンダレンズの焦点の位置(仮想の光源の位置)との間の距離は、一次元CCDに結像レンズによって結像される画像の相対明度に比例し、前述の式L0×cos4θによって与えられる。なお、図30(a)においては、光源の数は、10個で示してあるが、シミュレーションでは、光源の数を25個に設定した。
図30(b)においては、主走査方向(Sx)における中央部及び一方の端部の光源、凸レンズ、及び凸シリンダレンズの組みのみを記載しており、その他の光源、凸レンズ、及び凸シリンダレンズを、省略している。図30(b)に示すように、副走査方向(Sy)においては、個々の発光源LEDから放出された光の光束を、そのLEDに対応する凸レンズであるフードレンズによって、平行光にした後、凸シリンダレンズである照明レンズ(3)を平行光として通過し、集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)によって撮像領域(撮像対象領域)(Ai)に集束させる。主走査方向(Sx)における中央部分と周辺部分との間で、撮像領域(Ai)から光源までの距離は、変動するが、集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)から撮像領域(Ai)までの距離は、一定であるので、発光源LEDから放出された光の集束の程度は、主走査方向(Sx)における光源の位置によっては変動しない。言い換えれば、副走査方向(Sy)において、照明レンズ(3)から集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)までの距離は、変動するが、光束は、照明レンズ(3)から集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)までの間では平行光である。また、光束が集束する、集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)から撮像領域(Ai)までの距離が一定であるので、光の集束の程度は、変動しない。なお、集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)を、必ずしも挿入する必要はない。すなわち、原稿の浮きを考慮する場合には、集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)を用いないことが、好ましい。しかしながら、この場合においても、一次元CCD上に結像される画像の相対明度を、一定にする目的を損ねることはない。
本発明の第13の実施例は、複数の光源から放出される光の放射特性を調整して撮像対象領域(Ai)を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に一致させる例を示す。
図32は、一次元CCDに結像される画像の相対明度が一定となるような、撮像対象領域を照明する複数の光源の具体的な配置を説明する図である。図32(a)は、複数の光源の配置及び側面鏡を配置する鏡面の位置を示す図であり、図32(b)は、光源の放射特性の例を示す図である。
図32における記号は、図24における記号と同一であるが、主走査方向(Sx)における複数の光源の間隔及び複数の光源の各々から照明対象領域(撮像対象領域)(Ai)までの距離は、一定である。即ち、図32(a)においては、複数の光源の間隔w1,w2,…wnは、一定であり、Wh/Nに等しい。言い換えれば、複数の光源の間隔w1,w2,…wnは、主走査方向(Sx)における撮像対象領域(Ai)の長さの半分WhをN等分することによって与えられる。また、複数の光源の各々から照明対象領域(撮像対象領域)(Ai)までの距離は、L0である。しかしながら、それぞれの光源から放出される光の放射特性は変化させている。
その変化のさせ方を説明する。即ち、光源が発する総光量は同じとして、照度を落とす領域では発光光束をより分散させ、照度を上げる領域では発光光束をあまり分散させないようにするのである。その光束の分散の程度を放射特性式cosaαで近似できるが、その代表を図あるいは式で表すと、図32(b)に示すように積極的に分散させる場合は図32(1)a=1(cos0.5α)のように、分散の程度を抑える場合は図32(3)a=2(cos2α)のようになる。図32(2)a=1(cosα)はその中間である。ここで重要なことは光源から放出される総光量が一定ならば、光の放射ベクトルのエンペロープで囲まれた面積はaが変化しても一定であることである。
ここで、撮像対象領域(Ai)の任意の分割点(複数の光源のうちk番目の位置Pkに対応する分割点)での目標照度の相対値を改めてTkとする。即ち目標値Tkを、コサイン四乗則に従って、改めて
とする。ここで、θkは、結像レンズの光軸に対する、結像レンズの中心と撮像対象領域(Ai)上のk番目の分割点とを結ぶ直線の角度である。また、複数の光源のうちk番目の位置Pkに配置される光源から放出される光の放射特性を、式
に従って、設定する。なお、式中、Tk 2は、k番目の位置Pkにある光源から放出される光の放射ベクトルのうち、照明対象面(撮像領域)(Ai)に対して鉛直方向のベクトルの強度であり、B(k)は、k番目の位置Pkにある光源から放出される光の放射ベクトルの放射特性(エンベロープ)の形状を規定する関数であり、B(k)=a・Tk bで表される。ここで、aは初期値(放射特性の形状の初期値)であり、bは形状係数(その形状の変化の程度を規定するパラメータ)である。すなわち、k=0に対して、位置P0にある光源から放出される光の放射特性の形状はB(k=0)=aであり、図32(b)に示すように、aのみによって一意に決定される。
よって、複数の光源から放出される光によって照射される撮像対象領域(Ai)における任意の点Mmでの相対照度I(Mm)は、本発明の第12の実施例と同様の考え方で、式
によって表される。
この式を用い、N=12、a=0.5、b=3.1として、本発明の第11の実施例と同様の方法で、複数の光源によって照明される撮像対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布を求めた結果、図26と同様のグラフを得ることができた。そのうち、W:Ld=1:1の条件の下で行ったシミュレーションの結果による照度分布と目標の照度分布との差分は、図29のグラフ(2)のようなものであった。
図29中の(2)の曲線の両端付近が乱れて目標照度との差分が多く発生している理由は、実施例12の理由と似たような理由で、位置Pn+1から位置P2n+1までの光源が、位置P0から位置Pnまでの光源の鏡像である虚光源であるので、光源の光の放射特性を理想的な特性にしていないためである。ただし、位置Pnと位置Pn+1の間における側面鏡の位置を若干Pn側に接近させたり、側面鏡の角度を微妙に変化させたり、適切に設定することによって、撮像対象領域(Ai)の両端付近における照度分布をある程度制御することができる。
しかしながら、このままでも、その差分の最大値は、±5%程度であり、図29のグラフ(1)に示される差分の最大値よりも若干大きくなる。しかしながら、このような差分の最大値は、部品の精度や組み立ての精度の観点及び省エネルギーの観点のいずれからも殆ど問題とならない。(一次元CCDで光量を電気信号に変換した後の電気信号の増幅率を変えてその差分を補正しても、その増幅率の変更は小さく、ノイズの影響を受けることはほとんどない。)
次に、以上説明した複数の光源から放出される光の放射特性を調整することによって、撮像対象領域(Ai)を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に一致させる照明装置を実現するための概念を示す。
図33は、複数の光源から放出される光の放射特性を調整することによって、撮像領域(撮像対象領域)を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に一致させる照明装置を実現するための概念図である。図33(a)は、その上面図であり、図33(b)は、その正面図である。
図33(a)に示す図においては、主走査方向(Sx)に配置される複数の光源に対応する凸レンズの焦点距離は、一定であり、主走査方向(Sx)に配置された複数の光源に対応する照明レンズ(凸シリンダレンズ)(3)の焦点距離は、図31に示すようにして、変化する。図33(a)に示す照明装置の中央付近では、照明レンズの焦点位置に形成される仮想の光源の放射特性のエンベロープが、図31の(2)に示すように、分散が強い偏平の楕円状になるように、相対的に短い焦点距離の照明レンズを用い、周辺に向かってその偏平度を少なくするように焦点距離を徐々に長くしていき、途中、図33(1)のような円形に近いエンペロープとする照明レンズを用いるのを経て、その後は図31の(3)に示すように、分散の少ない鋭い楕円状になるように、相対的に長い焦点距離の照明レンズを用いる。
即ち、照明レンズの焦点位置に形成される仮想の光源の放射特性の楕円状のエンベロープの形状は、前述の式Rk=Tk 2・cosB(k)αkに従って変化させている。
また、照明レンズの焦点位置に形成される仮想の光源の放射特性の楕円状のエンベロープの形状が変動するように、照明レンズの焦点距離を変化させることによって、発光源から仮想光源までの距離も、照明装置の中央付近と周辺付近との間で変動する。それゆえ、仮想光源から照明対象面(撮像領域)(Ai)までの距離を一定にするために、発光源LEDの位置を、照明装置の中央付近と周辺付近との間で、変動させている。なお、シミュレーションでは、光源の数を25個にしたが、図33(a)においては、光源の数を10個で示してある。
図33(b)においては、主走査方向(Sx)における中央部及び一方の端部の光源、凸レンズ、及び凸シリンダレンズの組みのみを記載しており、その他の光源、凸レンズ、及び凸シリンダレンズを、省略している。図33(b)に示すように、副走査方向(Sy)においては、個々の発光源LEDから放出された光の光束を、そのLEDに対応する凸レンズであるフードレンズによって、平行光にした後、凸シリンダレンズである照明レンズ(3)を平行光として通過し、集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)によって撮像領域(Ai)に集束させる。主走査方向(Sx)における中央部分と周辺部分との間で、撮像領域(Ai)から光源までの距離は、変動するが、集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)から撮像領域(Ai)までの距離は、一定であるので、発光源LEDから放出された光の集束の程度は、主走査方向(Sx)における光源の位置によっては変動しない。言い換えれば、副走査方向(Sy)において、照明レンズから集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)までの距離は、変動するが、光束は、照明レンズから集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)までの間では平行光である。また、光束が集束する、集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)から撮像領域(Ai)までの距離が一定であるので、光の集束の程度は、変動しない。なお、集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)を、必ずしも挿入する必要はない。すなわち、原稿の浮きを考慮する場合には、集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)を用いないことが、好ましい。しかしながら、この場合においても、一次元CCD上に結像される画像の明度を、一定にする目的を損ねることはない。
なお、以上述べた図33に示す概念を装置化して第1走行体に搭載する方法は、前述の実施例11の方法に準じており、当業者には容易に実施可能である。
本発明の第14の実施例は、撮像領域(撮像対象領域)(Ai)を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に近似する照明装置の概念の一例を示す。
図34は、複数の光源の各々から撮像領域(Ai)までの距離を調整することによって、撮像領域(Ai)を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に近似する照明装置を実現するための概念図である。図34(a)は、その上面図であり、図34(b)は、その正面図である。図34(c)は、1/cos4θの特性に近似された撮像領域を照明する光の照度分布の例を示す図である。
本発明の第12の実施例において、複数の光源の各々から撮像領域(Ai)までの距離を調整することによって、撮像領域(Ai)を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性により良好な精度で一致する照明装置の例を説明してきた。1/cos4θの特性を有するべきである撮像領域(Ai)を照明する光の照度分布の精度を多少犠牲にすることによって、例えば、より容易に製造することが可能な構成を考えることができる。図34に示す本発明の実施例による照明装置は、本発明の第12の実施例に説明した照明装置よりもより容易に製造することが可能なものである。
まず、図34(c)に示すように、本発明の第12の実施例における1/cos4θの特性を有する撮像領域(Ai)での理想的な照度分布を与える、複数の光源の相対的な位置Lk/L0=cos4θの曲線を、撮像領域(Ai)の範囲で三分割(3Dev)する。そして、その曲線を三分割した位置における曲線上の点(Pb,Pc)を頂点とする台形(Pa−Pb−Pc−Pd)に近似する。そして、その台形(に合同な台形)の各辺(Pa−Pb、Pb−Pc、Pc−Pd)上に光源を配置するか、又は、その台形(に合同な台形)の各辺(Pa−Pb、Pb−Pc、Pc−Pd)上に仮想光源が位置するように光源を配置する。なお、複数の光源の相対的な位置を示すcos4θの曲線を台形に近似した場合、理想的な照度分布と近似の構成の照度分布との差異は、複数の光源の理想的なcos4θの曲線上の位置と複数の光源の台形の辺上の位置との差異に基づくものにすぎず、非常に小さい。
図34(a)は、複数の光源の各々から撮像領域(Ai)までの距離を調整することによって、撮像領域(Ai)を照明する光の目標の照度分布を台形の特性で近似させる照明装置の概念を示す。図34(a)に示すように、例えば、台形の特性において撮像領域(Ai)に対して平行な台形の辺の特性を与える光源は、光源又は仮想光源(ここでは、照明レンズ(3)の焦点)を、撮像領域(Ai)に対して平行な台形の辺の上に位置するように、配置する。また、例えば、台形の特性において撮像領域(Ai)に対して傾斜する辺の特性を与える光源は、光源又は仮想光源(ここでは、照明レンズ(3)の焦点)が、撮像領域(Ai)に対して傾斜する辺と平行に位置するように配置され、シリンダレンズである照明レンズ(3)の撮像領域(Ai)側にプリズム(7)を設ける。照明レンズ(3)よりも撮像領域(Ai)側に設けられたプリズム(7)によって、光源又は仮想光源から延びる光軸がプリズム(7)で折り曲げられ、折り曲げられた光軸が、撮像領域(Ai)に対して鉛直になるようにする。
図34に示すような構成を採用することによって、光源を支持する基板として、平面板を用いることができ、照明装置の製造が、より容易になる。
図34(a)及び(b)においては、発光源LEDから放出される光束を平行光にするために回転放物面鏡を用いているが、砲弾型のフードレンズを用いてもよい。さらに、少し効率を犠牲にして図34においては、1/cos4θの特性を有する撮像領域(Ai)での理想的な照度分布を与える、複数の光源の相対的な位置の曲線cos4θを、撮像領域(Ai)の範囲で三分割したが、更に効率を犠牲にして良いならば撮像領域(Ai)の範囲で二分割してもよい。そして、複数の光源の相対的な位置の曲線を、その曲線を二分割した位置における曲線上の点を頂点とする三角形に近似してもよい。この場合には、複数の光源は、撮像領域(Ai)に対して傾斜する辺にのみ配置されることになる。このように、撮像領域(Ai)の範囲で二分割して複数の光源の相対的な位置の曲線を三角形に近似したとしても、撮像領域(Ai)を均一に照明する場合と比較して、光源から放出される光の利用効率を大幅に向上させることができる。
同様に、本発明の第13の実施例においても、1/cos4θの特性を有する撮像領域(Ai)での理想的な照度分布を与える、複数の光源の相対的な位置の曲線を、撮像領域(Ai)の範囲で多角形に近似することが可能である。例えば、本発明の第13の実施例における1/cos4θの特性を有する撮像領域(Ai)での理想的な照度分布を与える、複数の光源の相対的な位置の曲線を、本発明の第12の実施例における近似の台形又は三角形の頂点の位置と撮像領域(Ai)に平行な面に対して反対側の位置に頂点を有する台形又は三角形に近似してもよい。この場合には、光源を支持する基板として、平面板を用いることができ、照明装置の製造が、より容易となる。
加えて、図34に示す照明装置において、発光源が、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)のLEDの組み合わせである場合、プリズムによる赤色光、緑色光、青色光の間に色収差が生じる。しかしながら、複数のプリズムを通過した赤色光、緑色光、及び青色光は、撮像領域(Ai)で互いに重畳し、ほぼ白色光の照明を撮像領域(Ai)に提供することになる。従って、実際上、プリズムによる色収差が問題になることは少ない。
なお、従来技術におけるほぼ一定の照度分布となっている撮像領域(Ai)の中央部分の光束を捨てるということは、図34(c)に示す多くの光量(ハッチングの部分の光量)を捨てることになる。これに対して、本発明の第14の実施例によれば、目標位置の曲線と台形の近似折れ線とで挟まれた部分のわずかな光量のみを捨てるだけである。それゆえ、本発明の第14の実施例によれば、光量に対応する電気信号の電気的な補正は、わずかであり、電気信号に対するノイズの影響も従来技術よりも低減できる。
なお、以上述べた図34に示す概念を装置化して第1走行体に搭載する方法も、前述の実施例11の方法に準じており、当業者には容易に実施可能である。
本発明の第15の実施例は、複数の光源の各々から撮像領域(Ai)までの距離の調整及び複数の光源から放出される光の放射特性の調整の両方によって、撮像領域を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に一致させる例を示す。
図35は、一次元CCDに結像される画像の相対明度が一定となるような、撮像対象領域(Ai)を照明する複数の光源の具体的な配置を説明する図である。図35(a)は、複数の光源の配置及び側面鏡を配置する鏡面の位置を示す図であり、図35(b)は、光源の放射特性の例を示す図である。
図35(a)に示す図においては、主走査方向(Sx)における複数の光源の間隔は、一定であるが、複数の光源の各々から照明対象領域(撮像対象領域)(Ai)までの距離及び複数の光源から放出される光の放射特性を変化させる。図35における記号の意味は、図24における記号と同一であり、複数の光源の間隔w1,w2,…wnは、一定で、Wh/Nに等しい。言い換えれば、複数の光源の間隔w1,w2,…wnは、主走査方向(Sx)における撮像対象領域(Ai)の長さの半分WhをN等分することによって与えられる。
図35(a)に示す図においては、撮像対象領域(Ai)からk番目の光源の位置Pkまでの距離L’kは、本発明の第12の実施例中、式Lk=L×cos4θkで得られる値Lkと撮像対象領域(Ai)の中心線上に設けられた光源の位置P0から照明対象面(撮像領域(Ai))までの距離L0との間の中間的な距離である。即ち、撮像対象領域(Ai)からk番目の光源の位置Pkまでの距離L’kは、
によって得られる距離となる。(ここで、θkは、結像レンズの光軸に対する、結像レンズの中心と撮像対象領域(Ai)上のk番目の分割点とを結ぶ直線の角度である。)
また、個々の光源が発する総光量は同じとして、照度を落とす領域では発光光束をより分散させ、照度を上げる領域では発光光束をあまり分散させないように光源から放出される光の放射特性(光源から放出される光の放射ベクトルの角度に対する放射ベクトルの強度)を変化させる。その変化の程度は、本発明の第13の実施例における変化の程度の半分である。すなわち、
であり、式中のB(k)の形状係数bは、本発明の第13の実施例におけるbの値の半分である。
このような条件の下で、複数の光源から放出される光によって照射される撮像対象領域(Ai)における任意の点Mmでの相対照度I(Mm)は、本発明の第12の実施例と同様の考え方で、式
によって表される。
この式を用いて、本発明の第11の実施例と同様の方法で、複数の光源によって照明される撮像対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布を求めた。N=12、a=0.5、b=1.55の条件の下でのシミュレーションの結果、図26と同様のグラフを得ることができた。また、W:Ld=1:1の条件の下で行った、複数の光源によって照明される撮像対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布のシミュレーションの結果による照度分布と目標の照度分布との差分は、図29のグラフ(3)のようなものであった。
図29中の(3)の曲線の両端付近が乱れて目標照度との差分が多く発生している理由は、実施例12の理由と似たような理由で、位置Pn+1から位置P2n+1までの光源が、位置P0から位置Pnまでの光源の鏡像である虚光源であるので、撮像対象領域(Ai)と光源までの距離や、光源の光の放射特性を理想的に設定できないためである。ただし、位置Pnと位置Pn+1の間における側面鏡の位置を若干Pn側に接近させたり、側面鏡の角度を微妙に変化させたり、適切に設定することによって、撮像対象領域(Ai)の両端付近における照度分布をある程度制御することができる。
しかしながら、このままでも、その差分の最大値は、±2.5%程度であり、図29のグラフ(1)及び(2)に示される差分の最大値よりも小さくなっている。また、図26に示される差分の最大値よりも大きいが、このような差分の最大値は、部品の精度や組み立ての精度の観点及び省エネルギーの観点のいずれからも殆ど問題とならない。一次元CCDで光量を電気信号に変換した後の電気信号の増幅率を変えてその差分を補正しても、その増幅率の変化量は小さく、ノイズの影響を受けることはほとんどない。
次に、複数の光源の各々から撮像領域までの距離の調整及び複数の光源から放出される光の放射特性の調整の両方によって、撮像領域を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に一致させる照明装置化の概念を示す。
図36は、複複数の光源の各々から撮像領域(Ai)までの距離の調整及び複数の光源から放出される光の放射特性の調整の両方によって、撮像領域(Ai)を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に一致させる照明装置を実現するための概念図である。図36(a)は、その上面図であり、図36(b)は、その正面図である。
図36(a)に示すように、撮像領域(撮像対象領域)(Ai)における中心軸に沿った仮想光源と撮像領域(Ai)との間の距離L0に対する仮想光源と撮像領域(Ai)との間の距離L’kの比は、本発明の第14の実施例で得られる値Lk/L0=cos4θkの平方根、すなわち、L’k/L0=cos2θkである。
図36(a)に示す図においては、主走査方向(Sx)に配置される複数の光源に対応する凸レンズの焦点距離は、一定であり、主走査方向(Sx)に配置された複数の光源に対応する照明レンズ(凸シリンダレンズ)(3)の焦点距離は、図36に示すようにして、変化する。図36(a)に示す照明装置の中央付近では、照明レンズの焦点位置に形成される仮想の光源の放射特性のエンベロープが、図31の(2)に示すように、分散が強い偏平の楕円状になるように、相対的に短い焦点距離の照明レンズを用い、周辺に向かってその偏平度を少なくするように焦点距離を徐々に長くしていき、途中、図33(1)のような円形に近いエンペロープとする照明レンズを用いるのを経て、その後は図31の(3)に示すように、分散の少ない鋭い楕円状になるように、相対的に長い焦点距離の照明レンズを用いる。
即ち、照明レンズの焦点位置に形成される仮想の光源の放射特性の楕円状のエンベロープの形状は、前述の式R’k=Tk・cosB(k)αkに従って変化させている。
図36に示す概念で照明装置化する場合においては、各光源の位置から照明対象面(撮像領域)(Ai)までの距離が一定であるように、各光源を配置することができるので、基板としての平面板に光源を設けることができる。その結果、照明装置をより容易に製造することができる。なお、光源の数を25個に設定してシミュレーションしたが、図36(a)においては、光源の数は、10個で示してある。
図36(b)に示すように、副走査方向(Sy)においては、個々の発光源LEDから放出された光の光束を、そのLEDに対応する凸レンズであるフードレンズによって、平行光にした後、凸シリンダレンズである照明レンズを平行光として通過し、集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)によって撮像対象領域(Ai)に集束させる。なお、集束レンズ(4a)(又は集束ミラー)を、必ずしも挿入する必要はない。すなわち、原稿の浮きを考慮する場合には、集束レンズ(又は集束ミラー)を用いないことが、好ましい。しかしながら、この場合においても、一次元CCD上に結像される画像の明度を、一定にする目的を損ねることはない。
なお、以上述べた図36に示す概念を装置化して第1走行体に搭載する方法は、前述の実施例11の方法に準じており、当業者には容易に実施可能である。
本発明の第16の実施例は、複数の光源から放出される光の照明光軸の角度を調整して撮像領域を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に一致させる例を示す。
図37は、一次元CCDに結像される画像の相対明度が一定となるような、撮像対象領域(Ai)を照明する複数の光源の具体的な配置を説明する図である。図37は、図23における撮像対象面の左側の拡大図に相当する。図37における記号は、図32における記号に対応するものである。
図37に示すように、本発明の第16の実施例では、撮像対象領域(Ai)における照度分布が、1/cos4θの特性を有するように、複数の光源の個々の照明光軸の角度を調整する。
前述の実施例11〜15において説明してきたのと同様に、照明対象領域(Ai)からL0だけ離れた且つ照明対象領域(Ai)と平行な場所をN分割することによって得られた各分割点に点光源を置き、各分割点の位置を、それぞれ、P0,P1,…Pnとする。更に、その外側PM1の位置に鏡面(側面鏡)が配置している。この鏡面は、撮像対象領域(Ai)の範囲を分割した点に対応した光源配置位置上に置いた複数の光源から放出される光束を反射させて、あたかもその延長線上に光源があるかのように照明対象領域(Ai)の範囲を照射させている。ここで分割点Pn,…,P1,P0の位置に対応した側面鏡によって得られる虚像(虚光源VLS)の位置を、それぞれ、Pn+1,Pn+2,…,P2n+1とする。そして、本発明の第16の実施例においては、位置Pkに位置した光源から放出される光の照明光軸を、照明対象面(撮像領域)(Ai)の鉛直方向に対して角度βkだけ傾斜させる(位置Pkにおける光源の光軸の角度がβkである)。
今、照明対象領域(Ai)から各光源までの距離L0よりも遠くに離れた(その距離をL00とする)照射対象領域の中心線CL上に任意の点P00を置いたとき、その任意の点P00から照明対象領域の両端に向けて結ばれる直線が中心線CLとなす角度をβ00とする。このとき、中心線CLからその角度β00の範囲内に含まれる位置Pkにおける光源の照明光軸の角度βkは、点P00からその光源の位置Pkに向けて結ばれる直線が、撮像対象領域(Ai)の中心線CLとなす角度であるとする。一方、撮像対象領域(Ai)の中心線CLから、その角度β00までの範囲外に位置する光源の照明光軸の角度βkは、全て、その光源の位置と撮像対象領域(Ai)の最端部とを結ぶ直線が、撮像対象領域(Ai)の中心線CLとなす角度であるとする。即ち、撮像対象領域(Ai)の中心線CLに対する、位置Pkにおける光源の照明光軸の角度は、βkであるので、β0,β1,…,βk,…,βnである。
ここで、撮像対象領域(Ai)の中心線CLから角度β00までの光源位置Pkに対する照明光軸の角度βkはk=0(β0=0)から始まり、kが大きくなるに従って大きくなるが、角度β00を超える光源位置Pkに対する照明光軸の角度βkはkが大きくなるに従って小さくなっていき、PkがPnとなったとき角度βn=0となる。また、言い換えると、角度β00以上に位置するPkの光源の光軸はPnまで撮像対象領域(Ai)の最端部に向くことになる。
また、位置Pn+1,Pn+2,…,P2n+1における虚光源の位置及び照明光軸の向きを制御することは困難であるが、位置P0,P1,…Pnに配置された光源から放出される光の多くを照射対象面に照射するためには、側面鏡(平面鏡)の鏡面を、位置Pnの光源にできる限り近づける(平面鏡である側面鏡が位置Pnの光源に接触するまで、側面鏡を位置Pnの光源に近づける。)ことが好ましい。
なお、位置Pnの光源の外側に設けられる側面鏡と対をなす側面鏡PM2が、撮像対象領域(Ai)の中心線に対して上半分の領域にも設けられ、位置Pnの光源の外側に設けられる側面鏡とは、互いに平行に配置される。このため、側面鏡の対によって、虚光源の鏡像である無限の数の虚光源が生じるが、この内、側面鏡で2回以上の反射で生ずる虚光源は、照明対象領域(Ai)からかなり離れた位置に生じる。このため、撮像対象領域(Ai)における照度分布に対する虚光源の鏡像による寄与率は、著しく小さく、無視してもなんら差し支えない。
次に、複数の光源によって照明される撮像対象領域(Ai)のある任意の点Mmにおける相対照度I(Mm)を求めることにする。照明対象領域(撮像対象領域)(Ai)に対する鉛直線と、光源から点Mmに向かって放出される光の放射ベクトルの角度をαとすると、光源から照明対象領域(Ai)までの距離が、L0であるので、ある一つの光源から点Mmまでの距離は、L0/cosαとなる。そして、副走査方向(Sy)においては光源から放出される光の光束が発散しないことを前提とすると、各光源から放出される光によって照明される照明対象領域(Ai)の点Mmにおける光の強度は、各光源から点Mmまでの距離L0/cosαに逆比例する。さらに、その同一点Mmでの面の傾きによる受ける光束の減少度はcosαとなる。
一方、図24(b)に示すように、照明対象領域(撮像対象領域)(Ai)に対する鉛直線と角度αをなす放射ベクトルの方向に光源から放出される光の強度は、光源から放出される光の放射ベクトルの分布(エンベロープ)に依存する。現実のLEDなどの光源の放射ベクトル分布(エンペロープ)は複雑な形を成しているが、計算の都合上円形ないしは楕円状で近似する。例えば、図24の(1)に示すように、光源から放出される光の放射ベクトルのエンベロープが円形に近似できる場合には、光源の照明光軸に対して角度αをなす放射ベクトルの方向に光源から放出される光の強度は、cosαだけ減少する。光源から放出される光の放射ベクトルのエンベロープが、楕円状に近似できる場合には、照明対象領域(撮像対象領域)(Ai)に対する鉛直線と角度αをなす放射ベクトルの方向に光源から放出される光の強度の減少度は、その放射ベクトルのエンベロープの形状により、図24の(2)に示すようなcos2α、図24の(3)に示すようなcos4α等のように近似することが可能である。
従って、複数の光源によって照明される照明対象領域(Ai)のある任意の点Mmにおける相対照度I(Mm)は、
によって表される。ここで、Akは、k番目の光源が放出する光の総光量の相対値であり、αkは、照明対象領域(Ai)の鉛直線に対する点Mmに向かうk番目の光源の放射ベクトルの角度である。また、aは、その光源の放射ベクトルのエンベロープを近似する係数である。例えば、図24(b)の(1)に示すように、光源の放射ベクトルのエンベロープが、円形に近い場合には、a=1であり、光源の放射ベクトルのエンベロープが、楕円状に近い場合には、a>1であり、図24(b)の(2)及び(3)に示すように、光源の放射ベクトルのエンベロープの形状に依存して、例えば、a=2及びa=3である。また、光源の放射ベクトルのエンベロープが偏平していればa<1に近似できる。
特に、本発明の第16の実施例においては、位置Pkに配置された光源から放出されて且つ照明対象領域(Ai)の点Mmに到達する光源の放射ベクトルは、照明対象領域(Ai)の鉛直線に対する位置Pkと点Mmを結ぶ直線の角度がαkであるが、照明対象領域(Ai)の鉛直線に対して、位置Pkに配置された光源の照明光軸がβkだけ傾斜しているため、位置Pkに配置された光源の照明光軸に対して角度αk−βkをなす放射ベクトルの光である。
このようにして、照明対象領域(Ai)の中心線(CL)から下半分に配置した光源の全体によって照明される照明対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布を算出することができる。また、得られた照度分布を中心線(CL)に対して対称に反転させれば、照明対象領域(Ai)の中心線(CL)から上半分に配置した光源の全体によって照明される照明対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布を得ることができる。そして、照明対象領域(Ai)の中心線(CL)から下半分に配置した光源の全体によって照明される照明対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布と、照明対象領域(Ai)の中心線(CL)から上半分に配置した光源の全体によって照明される照明対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布とを加算すれば、全部の光源によって照明される照明対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布を得ることができる(ただし、この計算をする場合、P0上に置いた光源から発する光束は中心線(CL)から下半分を計算する場合と、上半分を計算する場合の両者で用いるので、その光源の相対強度A0を、その以外の位置に置いた光源の相対強度の1/2として計算する必要がある)。
そこで、このようなモデルで得られる相対照度を、
W:Ld=1:1.5;
L00=2×L0;
N=12;及び
a=2
の条件の下で、照明対象領域(Ai)の全域にわたって計算する。
図38は、本発明の第16の実際例における相対照度と目標の照度分布との差分についてのシミュレーション結果を示す図である。
本発明の第21の実施例に示す構成を備えた照明装置について、本発明の第12の実施例と同様の方法で、複数の光源によって照明される撮像対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布を求めた。その結果、図25と同様のグラフを得ることができた。図38は、複数の光源によって照明される撮像対象領域(Ai)の全域にわたる照度分布と目標の照度分布との差分の拡大図のみを示す。図38は、撮像対象領域(Ai)のいずれの位置においても、得られた照度分布と目標の照度分布との差分を、撮像対象領域(Ai)の周辺部の照度が撮像対象領域(Ai)の中央部の照度より大きくなるように、表示したものである。図38のグラフにおいては、撮像対象領域(Ai)の最端部における照度と撮像対象領域(Ai)の中央部とがほとんど一致しており、図38のグラフに示される差分の最大値は、撮像対象領域(Ai)におけるその最端部から15%程度内側の位置で+8%強である。しかしながら、従来技術のように撮像対象領域(Ai)を均一に照明した場合には、撮像対象領域(Ai)の中央部分で捨てる光量の割合が、23%であるため、撮像対象領域(Ai)を均一に照明する場合と比較すると、光源から放出される光の利用効率を大幅に向上させることができる。また、この程度の差異ならば一次元CCDで光量を電気信号に変換した後の電気信号の増幅率を変えてその差分を補正しても、その増幅率の変化率は小さく、ノイズの影響を受けることはほとんどない。
次に、複数の光源から放出される光の照明光軸の角度を調整することによって、撮像領域(Ai)を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に一致させる照明装置化の概念を示す。
図39は、複数の光源から放出される光の照明光軸の角度を調整することによって、撮像領域(Ai)を照明する光の照度分布を1/cos4θの特性に一致させる照明装置を実現するための概念図である。図39(a)は、その上面図であり、図39(b)は、その正面図である。
図39に示す照明装置においては、シミュレーションを前提とする図37に示す照明装置の構成よりも目標の照度分布を得ることを容易にするためのいくつかの事項を変更している。
図39に示す図においては、光源LED及び凸レンズは、図31に示すような仮想光源を形成する。また、照明対象領域(撮像領域)(Ai)の中心線に対して光源の照明光軸を傾斜させる手段としては、図34に示したもの同様に、凸シリンダレンズの照明レンズ(3)の直後に配置したプリズムを用いることができる。図37において複数の光源の間隔は等しいが、図39に示す照明装置においても、複数の光源それら自体の間隔は等しい。しかしながら、仮想光源の位置は、光軸の照明光軸が傾斜すると共に、光源の照明光軸から変位している。光源の照明光軸に対する仮想光源の位置の変位量については、撮像領域(Ai)の中心線(センターライン:CL)と撮像領域(Ai)の中心線上のある点と撮像領域(Ai)の端部を結ぶ直線(エッジライン:EL)との間の領域に含まれる仮想光源の間隔は、仮想光源の位置が端部に近いほど、大きくなる。一方、撮像領域(Ai)のエッジラインの外側の領域に含まれる仮想光源の間隔は、仮想光源の位置が端部に近いほど、小さくなる。よって、シミュレーションを行った、図37に示される照明装置と同じ照明装置を得るためには、厳密には仮想光源の位置の変位に対応して光源の位置を変位させる必要があるが、実際には、仮想光源の位置の変位は、あまり大きな問題とならない。
また、エッジラインELの内側の領域に含まれる照明レンズ(3)の放射特性は、a=2、即ち、cos2αであり、エッジラインELの外側の領域に含まれる照明レンズ(3)の放射特性は、a=4、即ち、cos4αである。エッジラインELの内側における照明レンズ(3)の放射特性を相対的に発散型にして、撮像領域(Ai)の中央部分における照度を相対的に減少させると共に、エッジラインELの外側における照明レンズ(3)の放射特性を相対的に収束型にして、撮像領域(Ai)の周辺部分における照度を相対的に増加させる。その結果、図38に示される差分のピークの大きさを低減することができる。さらに、撮像領域(Ai)の中央付近における照明レンズ(3)の放射特性をa=1即ちcosαに設計するなど、本実施例の構成に他の実施例の構成を組み合わせることによって、図38に示される差分のピークの大きさを、より低減することができる。
本発明の第11〜16の実施例として典型的な構成を説明してきたが、本発明の第11〜16の実施例に記載された構成の組み合わせ、変形、及び一部の変更をすることは可能である。例えば、照明装置の製造の都合によって、複数のLEDを一体のユニットに統合したり、シリンダレンズアレイ及び/又はプリズムアレイを用いたり、シリンダレンズの光軸をシフトさせたり、部品の単価をより低減することも可能となる。また、集光レンズをフードレンズとして示した例についても、集光レンズを、LEDとは独立に設けることもできる。
また、光源に対して仮想光源を形成する手段として、発光源LEDからの光束を、概略平行光にした後、凸シリンダレンズで主走査方向(Sx)においてのみ、凸シリンダレンズの焦点の位置に、一旦集束させることによって、仮想光源を形成することを説明してきた。しかしながら、凸シリンダレンズを凹シリンダレンズに取り替えても、同様に、光源から仮想光源を形成することができる。
図40は、凹シリンダレンズを用いて光源から仮想光源VLSを形成することを説明する図である。図40(a)は、凹シリンダレンズを用いる光学系の上面図であり、図40(b)は、凹シリンダレンズを用いる光学系の正面図である。図49に示すように、発光光源LEDから放出される光の光束を、凸レンズを用いて概略平行光にした後、凹シリンダレンズによって、主走査方向(Sx)にのみ、発散させることができる。このとき、光源に対する仮想光源の位置は、図49に示すように、凹シリンダレンズ(焦点距離f1)の焦点に形成される。すなわち、凹シリンダレンズを用いることによって、凹シリンダレンズよりも光源の側に仮想光源VLSを位置させることができる(凸シリンダレンズを用いる場合には、凹シリンダレンズよりも撮像領域(Ai)側に仮想光源が形成される)。このため、凹シリンダレンズの焦点距離f1を適宜選択することによって、照明装置をより小型化することが可能となる。
また、光源には出来るだけ小さな体積で発光するものを用いるのが望ましいのでLED(発光ダイオード)が適している。赤(R)、緑(G)、青(B)などの単色光を単体で発光体としたものだけでなく、それらの複数を一体で封入して白色光としたものや、白色LEDのように青色LEDや、紫色LEDなどの発光光束を蛍光体に当てて白色光を得るようなものも本発明の装置に適用できる。また、ネオン管や、小型高圧水銀灯などの放電灯や、小さく球状にしたフィラメント電球なども、適用可能である。
最後に、本発明の実施形態及び実施例に用いることができる、主要な光学部品の形態を説明する。
図41及び図42は、本発明の実施形態及び実施例に用いることができる光学部品を説明する図である。
図41(a)は、第一のシリンダレンズアレイの例を示す図である。図41(a)に示すような第一のシリンダレンズアレイは、互いに隣接して配置された複数の凸のシリンダレンズで構成され、本発明の実施形態及び実施例においては、照明レンズとして使用され得る。
図41(b)は、第二のシリンダレンズアレイの例を示す図である。図41(b)に示すような第一のシリンダレンズアレイは、互いに隣接して配置された複数の凹のシリンダレンズで構成され、本発明の実施形態及び実施例においては、照明レンズとして使用され得る。
図41(c)は、第一のシリンダレンズの例を示す図である。図41(c)に示すような第一のシリンダレンズは、平凸の断面を有し、本発明の実施形態及び実施例においては、集束レンズとして使用され得る。
図41(d)は、第二のシリンダレンズの例を示す図である。図41(d)に示すような第二のシリンダレンズは、両凸の断面を有し、本発明の実施形態及び実施例においては、集束レンズとして使用され得る。
図41(e)は、放物面鏡又は楕円面鏡の例を示す図である。図41(e)に示すような放物面鏡又は楕円面鏡は、ある一つの方向において、放物面又は楕円面の断面を有し、且つ、その方向と垂直な方向には、平行平面の断面を有するミラーである。図41(e)に示すような放物面鏡又は楕円面鏡は、本発明の実施形態及び実施例においては、集束ミラーとして使用され得る。図41(e)に示すような放物面鏡又は楕円面鏡の形状は、光輝アルミ薄板を用いて、容易に形成されるので、図41(e)に示すような放物面鏡又は楕円面鏡を製造するコストを、低減することができる。
図41(f)は、平面鏡の例を示す図である。図41(f)に示すような平面鏡は、本発明の実施形態及び実施例においては、変向ミラー及び折り返しミラーとして使用され得る。ここで、図41(f)に示すような平面鏡を、変向ミラーとして用いる場合には、画像情報を備えた光を反射させるために、図41(f)に示すような平面鏡は、ガラスの一面を鏡面とした平面鏡であることが好ましい。また、図41(f)に示すような平面鏡を、折り返しミラーとして用いる場合には、図41(f)に示すような平面鏡は、光輝アルミ板を用いて製造された平面鏡であってもよい。
図42(a)は、凸シリンダレンズを示す図である。図42(a)に示すような凸シリンダレンズは、本発明の実施形態及び実施例においては、照明レンズとして使用され得る。
図42(b)は、凹シリンダレンズを示す図である。図42(a)に示すような凹シリンダレンズは、本発明の実施形態及び実施例においては、照明レンズとして使用され得る。
図42(c)は、プリズムを示す図である。図42(c)に示すようなプリズムは、本発明の実施形態及び実施例においては、照明光軸を折り曲げる(偏向させる)光学素子として使用され得る。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、これら本発明の実施の形態及び実施例を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。