本発明の少なくとも一つの態様は、照明装置及び画像読取装置の少なくとも一つに関する。
リフレクタを用いずに原稿面の近傍から離れた光源を用いることによって、低コスト、フレアの低減による高画質読み取り、又は画像読み取り装置の小型化を達成することができる、画像読取装置が、特許文献1〜4に開示されている。
特許文献1(特開2000−253213号公報)には、リフレクタを用いずに原稿面の近傍から離れた光源を用いることによって、フレアを低減することができる画像読取装置が、開示されているが、特許文献1に開示される画像読取装置は、以下の問題点(1)〜(4)を有する。
特許文献2(特開2000−250146号公報)には、リフレクタを排除することによって、そのコストダウンが達成された画像読取装置が、開示されているが、特許文献2に開示される画像読取装置は、同様に、以下の問題点(1)〜(4)を有する。
特許文献3(特開平10−190990号公報)には、撮像素子及び撮像素子の上下側に配置された光源が、撮像素子の結像光学系を共用し、光源から放出された光を、原稿面の近傍に設置されたミラーを用いて、原稿面の読取位置に照明する画像読取装置が、開示されているが、特許文献3に開示される画像読取装置は、以下の問題点(1)及び(4)を有する。
特許文献4(特開平9−51405号公報)には、撮像素子及び光源が、ハーフミラーを用いて、結像光学系を共用し、原稿面の同一の位置を読み取る及び照明する画像読取装置が、開示されているが、特許文献4に開示される画像読取装置は、以下の問題点(5)を有する。
ここで、上記の問題点(1)〜(5)とは、以下のようなものである。
(1)読取用の光軸及び照明用の光軸が、ほぼ同一であり原稿面に対して垂直であるため、原稿の光沢によって、読み取り値が変化してしまう。(少なくとも、原稿面の法線に対するこれらの光軸の角度は、規定されていない。)
(2)光源が、原稿面から遠く離れているため、原稿面での必要な照明光量を得るためには、強力な光源又はレンズなどのような集光器が、必要となり、コストアップの要因となる。また、光源に必要な電力も増加する。
(3)光源を結像レンズの下などに配置すると、画像読取装置の高さ方向の寸法を増加させることになり、リフレクタ等の排除による画像読取装置の小型化を無効にしてしまう。
(4)照明用の光軸が、読取用の光軸に完全には一致しないので、原稿に生じる浮き部分及びブック原稿の中央部における浮き部分などの読み取りにおいて、照明光が不足する。
特に、特許文献1及び特許文献2に開示される画像読取装置においては、第一及び第二のキャリッジを走行させることによって、二次元の原稿画像を読み取る際、第一及び第二のキャリッジのミラーの配置が、原稿の走査に従って、継続的に変化するので、原稿面に到達する照明光の位置が変動する。その結果、読取画像の明るさが変動し、高品位な画像読み取りを行うことができない。
(5)ハーフミラーの使用は、画像読取装置のコストアップにつながる。また、光源から放出された照明光が、ハーフミラーで反射されるとき、及び、原稿面から反射された光が、ハーフミラーを透過するとき、光量が、1/2倍に減少する。その結果、光源から放出された光の1/4倍である有効照明光量しか最終的に得られず、光源のエネルギーロスは、増加する。さらに、ハーフミラーからレンズ方向に射出された照明光が、不可避的に、レンズ表面で反射して撮像素子に入射するため、フレアが、常時、発生する。その結果、画像読み取りについて十分なSN比を得ることが困難である。
上述したように、特許文献1〜4に開示される画像読取装置においては、光源から放出される光量の利用率が、著しく低い。
また、特許文献5(特開2003−280094号公報)には、プロジェクタ用の照明装置が開示されているが、特許文献5に開示される照明装置は、基本的には面を照射するものであって、ラインを効率よく照射するための方法は、開示されていない。また、特許文献5には、画像読取装置へのその照明装置の適用方法についても開示されていない。
また、以下に示すような、照明装置及び画像読取装置に関連する先願が、同一出願人によって出願されている。
特願2004−055528号「画像読取装置」
特願2004−186365号「照明装置」
特願2004−169459号「画像読取装置」
これらの先願に係る発明は、基本的に以下のアイデアに基づく。
結像レンズと撮像素子との間に(微小な)線光源を設置し、結像レンズは、原稿面から反射された光を撮像素子上に結像させると共に、線光源の光を原稿面の読取領域に集光させる。このような結像レンズを使用する画像読取装置は、以下の利点を有する。
(a)照明光及び読取光が、同一の光学系を完全に共用するので、結像レンズと原稿面との間に配置された(ミラーのような)光学系の位置が変動しても、照明用の光軸と読取用の光軸との間の位置関係が、維持され、原稿画像を安定して読み取ることができる。
(b)照明光の大部分を、原稿面の読取領域に集めることができるため、無駄な光を低減させることができ、結果的に、省エネルギーを達成することができる。
(c)原稿面の近傍にランプ又はリフレクタを設置する必要が無いため、スキャナのような画像読取装置の本体の高さを、減少させることができる。
しかしながら、上記の画像読取装置は、以下のような欠点も有する。
(d)撮像素子と結像レンズとの間に(微小な)線光源(ランプ)を設置するため、撮像素子の撮像領域の一部が、ランプによって遮られ、MTF(modulation transfer function)などによって評価される画像品質が、低下する。
(e)光源から射出された光の一部が、撮像素子に直接又は間接的に戻るので、読取画像品質の劣化につながるフレアを発生させることがある。
(f) 光源から射出される光量の利用率が、必ずしも高くはない。
ここで、縮小光学系を有する一般的な画像読取装置の例を、図1〜図4を参照して、説明する。
図1(a)及び(b)は、それぞれ、一般的な画像読取装置の概略図及びその副走査方向における画像読取装置の断面図である。
画像読取装置(100)においては、原稿(107)は、コンタクトガラス(108)上に置かれ、ランプ(109)からの光及び該ランプ(109)からの光を受けたリフレクタ(110)からの反射光が、原稿(107)の撮像領域(111)に照射される。その反射光が、第1走行体(103)内の変向ミラー(113)(折り返しミラー)、第2走行体(104)内の折り返しミラーA(112a)及び折返しミラーB(112b)で反射されて、結像レンズ(102)によって1次元撮像素子(101)に結像させられる。このようにして、上記1次元撮像素子(101)は、ライン状の撮像領域(111)の1次元的な画像を取得する。1次元撮像素子(101)においてこの1次元的な画像を取得する方向を主走査方向と呼ぶ。
また、この画像読取装置(100)では、上記第1走行体(103)及び上記第2走行体(104)が、モータ(105)による駆動力を、駆動伝達手段(106)を通じて受け、第1走行体(103)は、第2走行体(104)の速度の2倍である速度で走行する。その結果、コンタクトガラス(108)面に対する結像レンズ(102)の結像位置が、1次元撮像素子(101)面に維持されつつ、光が、コンタクトガラス(108)面において、ライン状の撮像領域(111)と垂直な方向に且つコンタクトガラス(108)と平行に、走行する。このようにして、コンタクトガラス(108)上に置かれた原稿(107)の画像を、1次元撮像素子(101)にて順次読み出して、2次元に取得する。なお、上記第1走行体(103)及び上記第2走行体(104)が走行する方向を、副走査方向と呼ぶ。
通常、撮像素子として1次元CCDが用いられ、結像レンズ(102)は、コンタクトガラス(108)の面上の画像を縮小して、その縮小された画像を1次元撮像素子(101)上に結像する。
また、上記第1走行体(103)及び上記第2走行体(104)の走行速度の比は、2:1に設定されるので、第2走行体(104)の移動距離は、第1走行体(103)の移動距離の半分であり、撮像領域(111)から結像レンズ(102)又は1次元撮像素子(101)までの距離は、第1走行体(103)及び第2走行体(104)の位置によらず、一定である。
通常、スキャナの画像解像度は、ドット/mm(又はDPI(ドット/inch))で表され、デジタルPPCに搭載されるスキャナの画像解像度は、しばしば、15.7〜23.6ドット/mm(400〜600DPI)である。一方、カラースキャナでは、R(赤色)、G(緑色)及びB(青色)の光のスペクトルに感度を有する三個のCCDを用いており、それらのCCDから原稿までの光路長を共通にしている。しかしながら、(赤色)、G(緑色)及びB(青色)用の3ラインのCCDを副走査方向に配置した3ラインCCDを撮像素子として用いることもある。この場合、各画素列の間の距離は、CCD画素の主走査読取領域の4〜8ドット程度であり、各画素列は、必ずしも一体化されてない。よって、3ラインCCDを上記画像読取装置の撮像素子として用いた場合、RGBのCCD画素のそれぞれに対応する原稿の読取位置は、副走査方向で異なるため、原稿を照明する光を、それぞれの色に対応する読取位置に照射する必要がある。
図2は、別のタイプの画像読取装置の概略図である。
図2に示されている別のタイプの画像読取装置では、縮小光学系が、撮像素子(201)と結像レンズ(202)を含み、撮像素子(201)又は結像レンズ(202)と原稿(204)との間にミラーのような光学系を用いることなく、原稿台(203)上に原稿(204)が置かれ、その原稿(204)の画像が読み取られる。このような画像読取装置にも本発明の実施形態を適用することができる。図2に示す画像読取装置において、撮像素子(201)として1次元CCDを用いた場合、原稿台(203)上の原稿(204)を一方向に走査する又は結像レンズ(202)及び撮像素子(201)のユニットを一方向に走行させることによって、原稿(204)の2次元画像を読み取ることができる。このような画像読取装置においては、照明光として自然光(室内光)を用いること、又は、原稿台(203)上を均一に照明する光源を設置することが、一般的である。ただし、自然光を用いた場合、自然光の光量が、不安定であり、原稿(204)における自然光の照度もしばしば低いため、原稿(204)の画像を、高画質で読み取ることができないこともある。
次に、一般的な画像読取装置における問題点(1)〜(5)を説明する。
(1)画像読取装置における省エネルギーについて
画像読取装置としてのスキャナにおいて、最も大きい消費電力を備えた構成要素は、照明ランプである。特に、画像読取速度が、増加するほど、CCDの電荷蓄積時間が、短くなる。その結果、高輝度の照明ランプが必要になり、スキャナの消費電力が、大きくなる。
従来、より高い発光効率を備えたランプを得るために、光源を、ハロゲンランプからキセノンランプへ、さらにLEDへ替えてきた。
図3は、画像読取装置における照明領域と読取領域との間の関係を説明する図である。図3において、画像読取装置としてのスキャナ(300)の照明領域(305)及び読取領域(302)の関係を示すように、現状では、原稿(301)面上でのCCDによって読み取られる読取領域(302)に対して、光源(303)からの照明光(304)による照明領域(305)は、はるかに広い。例えば、23.6ドット/mm(600dpi)のスキャナにおいては、原稿(301)の画像の読み取りに必要な照明の幅は、42.3μmであるのに対して、実際には、20mm程度の幅を照明している。よって、それらの幅を比較することによって得られる単純な光のエネルギー効率は、0.5%程度しかない。すなわち、残りの約99.5%の光は、無駄なエネルギーということになる。
(2)画像読取装置の小型化(薄型化)について
画像読取装置としてのスキャナの小型化については、スキャナの厚さを減少する努力がなされてきた。縮小光学系において、第1走行体及び第2走行体を有するスキャナでは、特に、第1走行体に含まれるランプ及びリフレクタが、第1走行体のレイアウトについての最も問題となる制約条件であり、スキャナの薄型化を阻害してきた。特に、スキャナを含むデジタルPPC(普通紙コピア(登録商標))においては、内蔵されたプリンタのサイズが、大きいと、スキャナの原稿面の高さが、増加し、身長の低い人にとっては、原稿を置く操作などが、面倒になるという問題も発生する。
(3)画像読取装置の低コスト化について
画像読取装置としてのスキャナのコストに大きく影響する構成要素として、CCD及び結像レンズが、挙げられるが、これらに準じる構成要素として、照明ランプ及びその付随品が、挙げられる。特に、キセノンランプなどは、高電圧を必要とするため、パワーパックが、必要である。また、第1走行体にランプを設けるため、フレキシブルな電源ラインも必要である。
(4)フレアについて
画像読取装置としてのスキャナには、照明装置が内蔵されており、一般的なスキャナでは、原稿の画像をライン状に読み取り、且つ、原稿の画像を読み取るラインを走査することによって、原稿の2次元の画像を読み取っている(このような読み取りを、線順次画像読み取りという。特に、読み取りライン方向の走査を、主走査と呼び、該主走査に垂直で原稿面に平行な方向の走査を副走査と呼ぶ)。その際、フレアが発生することがある。
図4は、画像読取装置における照明の状態及びその画像読取装置において発生するフレアを説明する図である。
光源(401)として蛍光管を用いた画像読取装置(400)において、光源(蛍光管)(401)からの照明光(402)が、直接又はリフレクタ(404)を経由して、原稿面(403)に照射される。原稿面(403)に照射された光は、原稿面(403)から反射され、光源(401)の開口部(406)を通って光源(401)の蛍光面(407)に到達する。次に、蛍光面(407)に到達した光は、蛍光面(407)で反射され、再度原稿面(403)を照明する再照明光(405)になり、フレアが発生する(照明装置から原稿面に到達する照明光を1次照明光とする。また、原稿面で反射して再度原稿面を照明する光を2次照明光とする)。
このようなフレアが発生すると、均一な濃度の画像を有する原稿の画像を読み取っても、
原稿の読取領域の周辺における原稿濃度の差によって、スキャナによって読み取られる画像信号が変化する。この変化が発生する理由は、1次照明光が、原稿面から反射される際に、原稿の画像の濃度によって反射光量が、変化するため、1次照明光と2次照明光の合計である照明光量が原稿濃度によって変化してしまうことである。特に、フレアは、原稿において急激に変化する濃度を備えた画像の部分で顕著に発生する。
図5は、フレアが発生した画像読取装置で読み取られた画像の例を示す図である。図5においては、黒パターン(501)の間に挟まれた境界部分(502)が、白パターン(503)と比べて、より暗い領域として、読み取られている。原稿の画像の白パターンの濃度は、均一であるため、境界部分(502)についての読取画像の品質は、明らかに低いものである(理想的には、境界部分(502)と白パターン(503)は、同じ明るさを有するはずである)。これは、黒パターン(501)の間における領域である境界部分(502)をスキャナによって読み取る際、境界部分(502)の両側が、黒いため、2次照明光が、白パターンの読み取りの場合と比較して、相対的に減少するためである。
一般に、スキャナは、原稿における低い反射率を備えた領域を、暗い画像として読み取り、原稿における高い反射率を備えた領域を、明るい画像として読み取る。すなわち、黒文字画像を備えた原稿を読み取るとき、その文字内の白い部分が、読み取り画像においては、比較的暗くなり、結果的に、画像のコントラストが低下して、文字の読み取りが困難になることもある。これは、2次照明光が、基本的には、照明光が反射された位置の周辺における原稿面を再照明しており、(白黒パターンの境界部などのような)急激な濃度変化を備えた部分で2次照明光の光量の変化が大きいためである。
よって、スキャナの設計段階においては、原稿面で反射した2次照明光が、再度原稿を照明しないように、光学部品を黒色に塗装したり、光学部品のレイアウトを適宜調整している。しかしながら、2次照明光による再照明を完全には除去することはできないため、フレアは、読取画像品質についての課題となっていた。特に、文字の周辺の部分が、急激に暗くなり、コピー画像などで地汚れが発生して、画像品質が極端に低下することがあった。
(5)ブック原稿影について
図6は、ブック原稿から画像を読み取る場合に発生する影を説明する図である。図6に示すように、ブック原稿(601)をコンタクトガラス(602)上に置いて、ブック原稿(601)の画像を読み取る場合、図6に示すように、ブック原稿(601)の中央部分(603)が、コンタクトガラス(602)の面より上に浮いてしまう。このようなブック原稿(601)を、通常の照明光学系を備えた画像読取装置によって読み取ると、撮像素子の画素に対応する読取位置(604)に照明光(605)が到達せず、読取画像が暗くなるという問題が生じる。
よって、画像読取装置について、光源から放出された光で原稿面を照明する照明系の構成及び配置を適切に設計することによって、光の利用率を向上させて省エネルギーを達成すること、画像読取装置を薄型化して小型化すること、画像読取装置を低コスト化すること、フレアを低減すること及びブック原稿の影を防止することによって高画質化を達成すること、並びに、照明対象面の照度むらを低減することが、望まれる。
特開2000−253213号公報
特開2000−250146号公報
特開平10−190990号公報
特開平9−51405号公報
特開2003−280094号公報
本発明の第一の目的は、照明装置を提供することである。
本発明の第二の目的は、画像読取装置を提供することである。
本発明の第一の態様は、光源から放出された光で対象を照明する照明装置であって、第一の面内において前記光源から放出された光を複数の光束に分割する光束分割素子、前記第一の面内において前記複数の光束を受光すると共に前記複数の光束で前記対象を照明する光束照明素子、及び、前記第一の面内において前記対象の表面で前記対象を照明する前記複数の光束を重畳させる光束重畳素子を含む、照明装置において、前記光束分割素子及び前記光束照明素子の間の間隔は、前記光束分割素子の焦点距離及び前記光束照明素子の焦点距離よりも大きいものである、照明装置である。
本発明の第二の態様は、光源から放出された光で画像を備えた対象を照明し、前記対象から反射された光を受光して前記画像を読み取る画像読取装置であって、前記光源から放出された光で前記画像を備えた対象を照明する本発明の第一の態様である照明装置、及び前記対象から反射された光を受光して前記画像を読み取る撮像素子を含む、画像読取装置である。
本発明の第一の態様によれば、照明装置を提供することが可能になる。
本発明の第二の態様によれば、画像読取装置を提供することが可能になる。
次に、本発明の実施の形態(実施形態)を説明する。
(照明装置、照明方法、画像読取装置、画像読取方法、画像形成装置及び画像形成装置)
本発明の実施形態は、照明装置及び照明方法、画像読取装置及び画像読取方法、並びに画像形成装置及び画像形成方法に関する。
本発明の実施形態の目的は、光の利用率を向上させた、照明装置及び照明方法、画像読取装置及び画像読取方法、並びに画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
本発明の実施形態の第一の態様は、光源により照明した原稿からの反射光を結像レンズにより撮像素子に結像させ、該原稿の画像を一次元に読み取り、これを走査することによって2次元の画像を読み取る画像読取装置であって、少なくとも複数のレンズを有する照明レンズと、複数の光束を重畳させる手段とを備えて成り、上記光源から発する光束を複数に分割し、この分割された複数の光束を上記原稿面上に重畳させることを特徴とする画像読取装置である。
本発明の実施形態の第二の態様は、光源により照明した原稿からの反射光を結像レンズにより撮像素子に結像させ、該原稿の画像を一次元に読み取り、これを走査することによって2次元の画像を読み取る画像読取方法において、上記光源から発する光束を複数に分割し、この分割された複数の光束を上記原稿面上に重畳させることを特徴とする画像読取方法である。
本発明の実施形態の第三の態様は、本発明の実施形態の第一の態様である画像読取装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置である。
本発明の実施形態の第四の態様は、光源から放出された光を対象に照明する照明装置において、少なくとも一つの面内において、光源から放出された光から複数の光束を取得し、該複数の光束を該対象に照明する少なくとも一つの光束照明素子を含むことを特徴とする照明装置である。
本発明の実施形態の第五の態様は、光源から放出された光を対象に照明する照明方法において、少なくとも一つの面内において、光源から放出された光から複数の光束を取得し、該複数の光束を該対象に照明することを含むことを特徴とする照明方法である。
本発明の実施形態の第六の態様は、画像を備えた原稿に光源から放出された光を照明し、該原稿から反射された光を取得して該画像を読み取る画像読取装置において、本発明の実施形態の第四の態様である照明装置を含むことを特徴とする画像読取装置である。
本発明の実施形態の第七の態様は、画像を備えた原稿に光源から放出された光を照明し、該原稿から反射された光を取得して該画像を読み取る画像読取方法において、本発明の実施形態の第五の態様である照明方法を用いて、画像を備えた原稿に光源から放出された光を照明することを特徴とする画像読取方法である。
本発明の実施形態の第八の態様は、画像を備えた原稿の画像を読み取り、画像が形成される媒体に、該原稿の画像を形成する画像形成装置において、本発明の実施形態の第六の態様である画像読取装置を含むことを特徴とする画像形成装置である。
本発明の実施形態の第九の態様は、画像を備えた原稿の画像を読み取り、画像が形成される媒体に、該原稿の画像を形成する画像形成方法において、本発明の実施形態の第七の態様である画像読取方法を用いて、画像を備えた原稿の画像を読み取ることを特徴とする画像形成方法である。
本発明の実施形態によれば、光の利用率を向上させた、照明装置及び照明方法、画像読取装置及び画像読取方法、並びに画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。
次に、本発明の実施の形態(実施形態)を図面と共に説明する。
(1)本発明の第一の実施形態は、光源により照明した原稿からの反射光を結像レンズにより撮像素子に結像させ、該原稿の画像を一次元に読み取り、これを走査することによって2次元の画像を読み取る画像読取装置であって、少なくとも複数のレンズを有する照明レンズと、複数の光束を重畳させる手段とを備えて成り、上記光源から発する光束を複数に分割し、この分割された複数の光束を上記原稿面上に重畳させる。
本発明の第一の実施形態によれば、照明レンズにより光源から発する光束を複数に分割し、複数の光束を重畳させる手段によって上記分割された複数の光束を原稿面上に重畳させることができるので、例えばLED、LD、フィラメント、蛍光灯、放電灯などのような、いずれの光源を用いても、光源から発する光を有効に利用することができる。特に、照明効率を高くすることができ、照度分布を均一化することができる。その結果、投入電力を少なくすることが可能となる。
(2)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、上記照明レンズと同数のレンズを有する集光レンズを、上記光源と照明レンズとの間に挿入して成り、上記光源から発する光束を複数に分割して上記照明レンズに効率よく与える。
この場合には、光源から発する光束を集光レンズにより主走査方向に分割して集光させ、照明レンズの個別のレンズ(シリンダレンズ)に対して切り出した光束を全部透過させるようにしている。
(3)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、上記照明レンズは、上記光源から発する光束を主走査方向に複数分割するように配置して成り、主走査方向に直交する方向には分割しないようにした。
(4)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、上記光源が複数の光源から成り、光束を分割する方向での光源の数と、光束を分割する数とを不一致とした。
光源の数と光束を分割する数とを不一致にすることにより、それぞれの分割された光束の重なりによって照度が平均化され、極めて少ない照度むらの照明が可能となることがある。この場合には、光源として、LEDやLDのような点光源に近い複数個の光源を用いても、照度むらを殆ど生ずることなく、原稿面を均一に照射することができる。
(5)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、上記光源が複数の光源から成り、光束を分割する方向に複数の光源を配置し、該光束を分割する方向に直交する方向には、上記複数の光源の光束の分布を補完するように更に光源を配置した。
この場合には、光源として、LEDやLDのような点光源に近い複数個の光源を用いても、照度むらを殆ど生ずることなく、原稿面を均一に照射することができる。
(6)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、上記光源が複数の光源から成り、上記それぞれの光源からの光束を略平行光とした後、上記照明レンズにより光束を複数に分割する。
この場合には、光源として、LEDやLDのような点光源に近い複数個の光源を用いても、照度むらを殆ど生ずることなく、原稿面を均一に照射することができる。
(7)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、上記光源にLEDを用いた。
この場合には、光源として、LEDのような点光源に近い複数個の光源を用いても、照度むらを殆ど生ずることなく、原稿面を均一に照射することができる。
(8)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、上記複数の光束を原稿面上に重畳させる手段として、統合レンズを用いた。
(9)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、上記複数の光束を原稿面上に重畳させる手段として、楕円面鏡を用いた。
(10)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、上記光源としてフィラメントを線状に配置した。
この場合には、光源が、フィラメントのような線状光源及び蛍光灯のような面状光源のような、発光分布に部分的にむらがある不均一な光源であっても、照度むらを殆ど生じることなく、原稿面を均一に照射することができる。よって、種々の光源を用いることができ、光源の低価格化が可能である。
(11)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、上記光源として帯状の発光体を用いた。
この場合には、光源が、フィラメントのような線状光源及び蛍光灯のような面状光源のような、発光分布に部分的にむらがある不均一な光源であっても、照度むらを殆ど生じることなく、原稿面を均一に照射することができる。よって、種々の光源を用いることができ、光源の低価格化が可能である。
(12)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、上記光源として放電灯を用いた。
(13)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、主走査方向における照明対象面(コンタクトガラス)の中心と照明装置の中心を不一致とした。ここで、照明装置は、画像読取装置における少なくとも光源及び照明レンズを含むと共に少なくとも照明レンズを介して光源からの光で照明対象面を照明する装置である。また、照明装置の中心は、主走査方向における照明装置の中心である。
この場合には、照明装置を、画像を読み取るための結像レンズと重なることなく、結像レンズに隣接して配置する(並置する)ことができることがあるため、照明装置は、画像読取装置の全体の厚さに影響を与えることはない。言い換えると、従来の照明装置の構成が不要であるので、画像読取装置の全体を薄くすることができる。
(14)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、結像系(撮像系)の主光軸と照明装置の主光軸を、照明対象面と平行な面上において平行に配置した。ここで、照明装置の主光軸は、照明装置に含まれる照明対象面を照明する光学系の光軸である。
この場合には、照明装置を、結像系を構成する結像レンズや撮像素子と共に画像読取装置本体に配設することができ、走行体(第1走行体)上に設置する必要がないので、上記照明装置を原稿面の直近に置く必要がなく、結像系を構成する結像レンズや撮像素子の付近に設置することができる。
また、照明装置を原稿面の直近に置く必要がなく、結像系を構成する結像レンズや撮像素子の付近に置くことができるので、画像読取装置の高さ方向における照明装置のための寸法が必要なくなり、結果として、画像読取装置の薄型化を達成することができる。
さらに、照明装置(光源)を第1走行体上に設置する必要がなく、画像読取装置本体の固定した部分に設置することができるので、フレキシブルな電源ラインが不要となり、信頼性の向上及び低コスト化を実現することができる。
加えて、原稿面の付近に反射性の部材を置く必要がないので、原稿面に照射された照明光が再反射されることがなくなり、フレアを殆ど除去することができる。
また、原稿面に対して鉛直に近い方向から光を照射することができるので、ブック原稿の中央部の影を殆ど除去することができる。
(15)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、原稿面(コンタクトガラス)に対して上記光源からの照明光を斜めに入射させるようにした。
原稿面を垂直に照明すると、コンタクトガラスの表面反射光や光沢のある原稿の面からの反射光が、結像レンズに入り、ハレーションを起して、低い質の読取画像が、得られることがある。これに対して、原稿面に対して照明光を斜めに入射させると、原稿面での正反射光成分が、結像レンズに入射することがなく、原稿面を照らす照明光のうち、拡散反射成分のみを撮像素子に入射させることになる。その結果、原稿面の光沢の変動の影響を受けることなく、原稿の画像濃度を正確に読み取ることが可能となる。
また、原稿面(コンタクトガラス)に対して上記光源からの照明光を斜めに入射させるようにしたときには、照明装置を原稿面の直近に置く必要がなく、結像系を構成する結像レンズや撮像素子の付近に置くことができるので、画像読取装置の高さ方向における照明装置のための寸法が必要なくなり、結果として、画像読取装置の薄型化を達成することができる。
さらに、原稿面(コンタクトガラス)に対して上記光源からの照明光を斜めに入射させるようにしたときには、照明装置(光源)を第1走行体上に設置する必要がなく、画像読取装置本体の固定した部分に設置することができるので、フレキシブルな電源ラインが不要となり、信頼性の向上及び低コスト化を実現することができる。
加えて、原稿面(コンタクトガラス)に対して上記光源からの照明光を斜めに入射させるようにしたときには、原稿面の付近に反射性の部材を置く必要がないので、原稿面に照射された照明光が再反射されることがなくなり、フレアを殆ど除去することができる。
また、原稿面(コンタクトガラス)に対して上記光源からの照明光を斜めに入射させるようにしたときには、原稿面に対して鉛直に近い方向から光を照射することができるので、ブック原稿の中央部の影を殆ど除去することができる。
(16)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、上記結像系を構成する結像レンズの近傍に照明装置を配置した。
この場合には、照明装置を原稿面の直近に置く必要がなく、結像系を構成する結像レンズや撮像素子の付近に置くことができるので、画像読取装置の高さ方向における照明装置のための寸法が必要なくなり、結果として、画像読取装置の薄型化を達成することができる。
また、照明装置(光源)を第1走行体上に設置する必要がなく、画像読取装置本体の固定した部分に設置することができるので、フレキシブルな電源ラインが不要となり、信頼性の向上及び低コスト化を実現することができる。
さらに、原稿面の付近に反射性の部材を置く必要がないので、原稿面に照射された照明光が再反射されることがなくなり、フレアを殆ど除去することができる。
加えて、原稿面に対して鉛直に近い方向から光を照射することができるので、ブック原稿の中央部の影を殆ど除去することができる。
(17)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、上記光源により撮像領域を照明する照明光と該撮像領域から反射する画像光とを、同一の反射面によって折り返す。
(18)本発明の第一の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、第1走行体に少なくとも一つの折り返し反射面を備え、第2走行体に少なくとも二つの折り返し反射面を備えて成り、上記撮像領域を照明する照明光と該撮像領域から反射する画像光とを、同一の上記反射面によって折り返す。
(19)本発明の第二の実施形態は、光源により照明した原稿からの反射光を結像レンズにより撮像素子に結像させ、該原稿の画像を一次元に読み取り、これを走査することによって2次元の画像を読み取る画像読取方法であって、上記光源から発する光束を複数に分割し、この分割された複数の光束を上記原稿面上に重畳させる。
本発明の第二の実施形態によれば、光源から発する光束を複数に分割し、この分割された複数の光束を原稿面上に重畳させることができるので、例えばLED、LD、フィラメント、蛍光灯、放電灯などのような、いずれの光源を用いても、光源から発する光を有効に利用することができる。特に、照明効率を高くすることができ、照度分布を均一化することができる。その結果、投入電力を少なくすることが可能となる。
(20)本発明の第三の実施形態は、本発明の第一の実施形態である画像読取装置を搭載した画像形成装置である。
上述したように、画像読取装置において、光源から発する光束を複数に分割し、この分割された複数の光束を原稿面上に重畳させることによって、画像読取装置における光の利用率の向上(省エネルギー化)、画像読取装置の薄型化又は小型化、画像読取装置の低コスト化、及び、照明対象面における照度むらの低減を実現することが可能となる。
(21)本発明の第四の実施形態は、光源から放出された光を対象に照明する照明装置であって、少なくとも一つの面内において、光源から放出された光から複数の光束を取得し、該複数の光束を該対象に照明する少なくとも一つの光束照明素子を含む。
(22)本発明の第四の実施形態による照明装置は、好ましくは、少なくとも一つの面内において、前記複数の光束を前記対象において重畳させる少なくとも一つの光束重畳素子をさらに含む。
(23)本発明の第四の実施形態による照明装置は、好ましくは、少なくとも一つの面内において、前記複数の光束を前記対象において集束させる少なくとも一つの光束集束素子をさらに含む。
(24)本発明の第四の実施形態による照明装置は、好ましくは、第一の面内において前記複数の光束を前記対象において重畳させると共に該第一の面と異なる第二の面内において前記複数の光束を前記対象において集束させる少なくとも一つの光学素子をさらに含む。
(25)本発明の第四の実施形態による照明装置において、好ましくは、前記少なくとも一つの面は、第一の面及び該第一の面と異なる第二の面を含み、前記少なくとも一つの光束照明素子は、該第一の面内で光源から放出された光から複数の第一の光束を取得し、該複数の第一の光束を前記対象に照明する第一の光束照明素子、及び、該第二の面内で光源から放出された光から複数の第二の光束を取得し、該複数の第二の光束を前記対象に照明する第二の光束照明素子を含む。
(26)本発明の第四の実施形態による照明装置において、好ましくは、前記光束集束素子の少なくとも一つは、前記対象から反射される光の少なくとも一部を集束させない部分を有する。
(27)本発明の第四の実施形態による照明装置は、好ましくは、少なくとも一つの面内において、前記光源から放出された光を前記複数の光束に分割する少なくとも一つの光束分割素子をさらに含む。
(28)本発明の第四の実施形態による照明装置において、好ましくは、前記光束分割素子及び前記光束照明素子の間の間隔は、前記光束分割素子の焦点距離及び前記光束照明素子の焦点距離よりも長い。
(29)本発明の第四の実施形態による照明装置において、好ましくは、前記少なくとも一つの面は、第一の面及び該第一の面と異なる第二の面を含み、前記少なくとも一つの光束分割素子は、該第一の面内で前記光源から放出された光を複数の第一の光束に分割する第一の光束分割素子、及び、該第二の面内で前記光源から放出された光を複数の第二の光束に分割する第二の光束分割素子をさらに含む。
(30)本発明の第四の実施形態による照明装置において、好ましくは、前記光源は、第一の波長領域に含まれる波長を備えた光を放出する第一の光源及び第二の波長領域に含まれる波長を備えた光を放出する第二の光源を含み、前記第一の光源及び前記第二の光源は、少なくとも一つの面内において、前記対象における前記第一の波長領域に含まれる波長を備えた光の照度のピーク位置が、前記対象における前記第二の波長領域に含まれる波長を備えた光の照度のピーク位置と異なるように、配置される。
(31)本発明の第四の実施形態による照明装置は、好ましくは、少なくとも一つの面内において、前記光源から放出された光を、該光の波長に対して分散させる波長分散素子をさらに含む。すなわち、波長分散素子によって、光源から放出された光が、その光の波長ごとに別々に分離される。
(32)本発明の第四の実施形態による照明装置は、好ましくは、前記光源から放出された光の少なくとも一部を反射させる反射体をさらに含む。
(33)本発明の第四の実施形態による照明装置は、好ましくは、前記光源から放出された光の少なくとも一部を吸収する吸収体又は前記光源から放出された光の少なくとも一部を散乱させる散乱体をさらに含む。
(34)本発明の第五の実施形態は、光源から放出された光を対象に照明する照明方法であって、少なくとも一つの面内において、光源から放出された光から複数の光束を取得し、該複数の光束を該対象に照明することを含む。
(35)本発明の第五の実施形態による照明方法は、好ましくは、少なくとも一つの面内において、前記複数の光束を前記対象において重畳させることをさらに含む。
(36)本発明の第五の実施形態による照明方法は、好ましくは、少なくとも一つの面内において、前記複数の光束を前記対象において集束させることをさらに含む。
(37)本発明の第五の実施形態による照明方法は、好ましくは、第一の面内において前記複数の光束を前記対象において重畳させると共に該第一の面と異なる第二の面内において前記複数の光束を前記対象において集束させることをさらに含む。
(38)本発明の第五の実施形態による照明方法は、好ましくは、前記少なくとも一つの面内において、光源から放出された光から複数の光束を取得し、該複数の光束を該対象に照明することは、第一の面内で光源から放出された光から複数の第一の光束を取得し、該複数の第一の光束を前記対象に照明すること、及び、該第一の面と異なる第二の面内で光源から放出された光から複数の第二の光束を取得し、該複数の第二の光束を前記対象に照明することを含む。
(39)本発明の第五の実施形態による照明方法は、好ましくは、少なくとも一つの面内において、前記光源から放出された光を前記複数の光束に分割することをさらに含む。
(40)本発明の第五の実施形態による照明方法において、好ましくは、前記少なくとも一つの面内において、前記光源から放出された光を前記複数の光束に分割することは、第一の面内で前記光源から放出された光を複数の第一の光束に分割すること、及び、該第一の面と異なる第二の面内で前記光源から放出された光を複数の第二の光束に分割することをさらに含む。
(41)本発明の第五の実施形態による照明方法は、好ましくは、前記光源が、第一の波長領域に含まれる波長を備えた光及び第二の波長領域に含まれる波長を備えた光を、少なくとも一つの面内において、前記対象における前記第一の波長領域に含まれる波長を備えた光の照度のピーク位置が、前記対象における前記第二の波長領域に含まれる波長を備えた光の照度のピーク位置と異なるように、放出することを含む。
(42)本発明の第五の実施形態による照明方法は、好ましくは、少なくとも一つの面内において、前記光源から放出された光を、該光の波長に対して分散させることをさらに含む。すなわち、光源から放出された光が、その光の波長ごとに別々に分離される。
(43)本発明の第六の実施形態は、画像を備えた原稿に光源から放出された光を照明し、該原稿から反射された光を取得して該画像を読み取る画像読取装置であって、本発明の第四の実施形態である照明装置を含む。
(44)本発明の第六の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、前記対象について読み取られた画像を拡大又は縮小する変倍光学素子をさらに含む。
(45)本発明の第六の実施形態による画像読取装置は、好ましくは、前記対象の画像を結像させる結像光学系及び前記光源から放出された光を反射させる反射面を備えた反射光学素子をさらに含み、該反射光学素子の該反射面は、該反射面が、該結像光学系によって結像されないように配置される。
(46)本発明の第六の実施形態による画像読取装置において、好ましくは、前記対象の画像を結像させる結像光学系の光軸及び前記光源から放出された光を前記対象に照明する照明系の光軸は、前記対象においてのみ一致する。
(47)本発明の第七の実施形態は、画像を備えた原稿に光源から放出された光を照明し、該原稿から反射された光を取得して該画像を読み取る画像読取方法であって、本発明の第五の実施形態である照明方法を用いて、画像を備えた原稿に光源から放出された光を照明する。
(48)本発明の第七の実施形態による画像読取方法は、好ましくは、前記対象について読み取られた画像を拡大又は縮小することをさらに含む。
(49)本発明の第八の実施形態は、画像を備えた原稿の画像を読み取り、画像が形成される媒体に、該原稿の画像を形成する画像形成装置であって、本発明の第六の実施形態である画像読取装置を含む。
(50)本発明の第九の実施形態は、画像を備えた原稿の画像を読み取り、画像が形成される媒体に、該原稿の画像を形成する画像形成方法であって、本発明の第七の画像読取方法を用いて、画像を備えた原稿の画像を読み取る。
上記(21)、(34)、(43)、(47)、(49)、(50)の構成については、(LED、LD、フィラメント、蛍光灯及び放電灯のような)いずれの光源を用いても、照明の効率が、改善され、照明装置の投入電力を減少させることができる。
上記(30)、(31)、(41)、(42)の構成については、単色光源のような光源を用いる場合には、照明の効率が、さらに改善され、照明装置の投入電力をさらに減少させることができる。
上記(46)の構成については、原稿面の正反射光を結像レンズに入射させず、原稿面に対して比較的鉛直に光を照射するため、ブック原稿の中央部の影をほとんど除くことができる。
上記(26)、(44)、(48)の構成については、照明の効率が改善され、画像を読み取ることが改善される。
上記(45)の構成については、画像読取装置を長期にわたった使用しても、良好な質の画像を読み取ることができる。
上記(22)〜(25)、(27)〜(29)、(32)〜(33)、(35)〜(40)の構成については、照明の効率をさらに向上させることができる。
[実施例1](上記(1)〜(8)及び(19)に対応する)
本発明の実施形態による画像読取装置の実施例1における照明装置のような照明系を、図7〜図11を参照しながら説明する。
図7は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例1における照明系の基本的概念を説明する図である。ここで、図7(a)は、照明系の上面図であり、図7(b)は、照明系の正面図である。図8は、本発明の実施形態による画像読取装置における照明系に用いることができる集光レンズ及び照明レンズの形態を説明する図である。図8Aは、シリンダレンズアレイの形態を示す図であり、図8Bは、シリンダレンズの一例を示す図であり、図8Cは、シリンダレンズの別の例を示す図である。
実施例1の照明系では、図7(a)に示されているように、光源(1a)として直線的に並べたLED(発光ダイオード)を用いる。個々のLEDから放射される光束をほぼ平行光として出力するように、個々のLEDの先端には、透明樹脂で作られたレンズのフードが設けられている。この透明樹脂で作られたレンズの焦点距離f3は、このレンズのフードの先端からLEDの位置までの距離である。
集光レンズ(3a)は、図8Bに示すようなシリンダレンズが並べられた、図8Aに示すような形態を有するシリンダレンズアレイである。集光レンズ(3a)のシリンダレンズアレイを構成するシリンダレンズは、図8Cに示されるようなシリンダレンズであってもよい。また、集光レンズ(3a)シリンダレンズアレイを構成するシリンダレンズの焦点距離f1は、図1における距離cである(f1=cを満たす)。なお、距離cは、集光レンズ(3a)と照明レンズ(5a)との間の距離である。集光レンズ(3a)は、図7(a)に示す面内においては、光源(1a)から放出された光束を、分割し、照明レンズ(5a)の個別のシリンダレンズに対して、分割された光束の全部を透過させるように、分割された光束を集光させるレンズである。
照明レンズ(5a)は、図7(a)に示す面内において、照明対象面(9a)である原稿面を照明するためのレンズであり、集光レンズ(3a)と同様に、シリンダレンズアレイで構成される。ここで、照明レンズ(5a)のシリンダレンズアレイを構成するシリンダレンズの焦点距離f2は、図7に示す距離a、b及びcを用いて、概略、f2=1/(1/(a+b)+1/c)によって表される。ここで、距離aは、統合レンズ(7a)と照明対象面との間の距離であり、距離bは、照明レンズ(5a)と統合レンズ(7a)との間の距離である。なお、照明レンズ(5a)の設計上、f1=f2を満足させることもできる。このとき、集光レンズ(3a)及び照明レンズ(5a)の両方には、同じ規格の部材を用いることができる。
統合レンズ(7a)は、光軸のまわりに軸対称である通常のレンズであり、集光レンズ(3a)により分割され且つ照明レンズ(5a)によって照射された光束を、照明対象面(9a)において重畳させるためのレンズである。ここで、統合レンズ(7a)の焦点距離f0は、図7に示すaに等しい(f0=a)。このとき、集光レンズ(3a)により分割され且つ照明レンズ(5a)によって照射された個々の光束の光軸(副光軸と称する)は、照明対象面(9a)において、統合レンズ(7a)の光軸(主光軸と称する)と一致する(即ち、集光レンズ(3a)により分割され且つ照明レンズ(5a)によって照射された個々の光束の光軸(副光軸)は、照明対象面(9a)上の点において、統合レンズ(7a)の光軸(主光軸)と交わる)。そして、集光レンズ(3a)により分割され且つ照明レンズ(5a)によって照射された光束を、照明対象面(9a)上で重畳することができる(図7では、簡単のために、シリンダアレイ中の三対のシリンダを通過する光束のみ表している)。
なお、照明レンズ(5a)による像の倍率などを説明する場合、本来は、照明レンズ(5a)の焦点距離f2及び統合レンズ(7a)の焦点距離f0の合成焦点距離を用いるべきである。しかしながら、実施例1の照明系においては、f2<<f0が成り立つので、簡単のために、b=0とし、統合レンズ(7a)の焦点距離f0を無視する。
集光レンズ(3a)のシリンダレンズアレイにおける個々のシリンダレンズの幅がm1であり、図7(a)に示す面内における照明対象面(9a)での照射幅がm0であるとすれば、図7(a)及び図7(b)における中央の集光レンズ(3a)、中央の照明レンズ(5a)、及び統合レンズ(7a)を通過すると共に照明対象面(9a)を照射する光束に着目するとき、上述したようなb〜0の近似を考慮することで、幾何学的に、m1/m0=c/aの関係が成立する(実際には、この関係を決めて後、f0及びf1を決定する)。照明系をこのように構成すると、集光レンズ(3a)の個別のシリンダレンズのサイズm1の像が、照明対象面(9a)上でm0の大きさに投影され、m1の大きさの範囲を通過した光束の全部が、照明対象面(9a)に届く。そして、この個々のシリンダレンズからの個々の光束による照明については、照明対象面(9a)は、激しい照度むらを伴って照明されるが、シリンダレンズアレイからの光束の全体を重畳することによって得られる、照明対象面(9a)における照明分布は、平坦になる。
図9Aは、実施例1においてシリンダレンズの数が、光源のLEDの数よりも一つだけ少ない例を示す図であり、図9Bは、実施例1においてシリンダレンズの数が、光源のLEDの数よりも一つだけ多い例を示す図である。図10は、実施例1における照明対象面での照明分布を説明する図である。図10(a)は、シリンダレンズの数が、光源のLEDの数に一致する例を示す図である。図10(b)は、シリンダレンズの数が、光源のLEDの数よりも一つだけ少ない例を示す図であり、より具体的には、5個のLED及び4個のシリンダレンズを含む照明系の例を示す。図10(c)は、シリンダレンズの数が、光源のLEDの数よりも一つだけ多い例を示す図であり、より具体的には、5個のLED及び6個のシリンダレンズを含む照明系の例を示す。
図7に示されている照明系では、図7(a)に示す面内において、光源(1a)としての等間隔で並べられたLEDの数は、集光レンズ(3a)及び照明レンズ(5a)のシリンダレンズの数と一致し、且つ、LEDの光軸を集光レンズ(3a)及び照明レンズ(5a)のシリンダレンズの光軸と一致させてある。また、集光レンズ(3a)及び照明レンズ(5a)のシリンダレンズアレイは、同一のシリンダレンズで構成されている。よって、個別のLEDから放出される光束の分布が、単純に重なり合い、照明対象面での照明分布は、個別のLEDの光束分布に比例して、図10(a)に示すような照度分布となる。
照明対象面での照度分布をさらに均一化するためには、光源のLEDの数をシリンダレンズの数と一致させないことが、好ましい。特に、LEDの数が少ない場合には、光源のLEDの数が、シリンダレンズの数と一つだけ異なると、照度分布の均一化及び光の利用率を、最良なものにすることができることがある。
例えば、図9A及び9Bに示すように構成された照明系によって照明された照明対象面での照度分布は、それぞれ、図10(b)及び(c)に示すような照度分布である。このように、照明対象面での照度分布は、照明対象面での個々の分割された光束による照度分布の重ね合わせであり、均一化される。なお、図10(b)において、3b1〜3b4によって示される曲線は、図9Aに示す集光レンズ(3b)及び照明レンズ(5b)のそれぞれのシリンダレンズによって分割された光束によって照明される照明対象面での照度分布を表す。また、図10(c)において、3c1〜3c6によって示される曲線は、図9Bに示す集光レンズ(3c)及び照明レンズ(5c)のそれぞれのシリンダレンズによって分割された光束によって照明される照明対象面での照度分布を表す。
このように、照明系を、光源(1b,1c)のLEDの数が、集光レンズ(3b,3c)及び照明レンズ(5b,5c)シリンダレンズの数と異なるように、構成することによって、照明の効率を低下させることなく、極めて照度むらの少ない照明が可能となることがある(照度むらを数%にすることも可能となることがある)。
なお、図7において、照度むらを、集光レンズ(3a)及び照明レンズ(5a)のそれぞれのシリンダレンズの幅m1を調整することによっても、低減することができる。この場合には、照明系が、互いに異なる幅m1を有する複数種類のシリンダレンズを有するので、シリンダレンズの幅m1に対する照明対称面での照明幅m0の比(拡大率)は、シリンダレンズの種類によって変動する。よって、それぞれのシリンダレンズを通過する光束で照明された照明対象面での照明幅を一定にするために、照明レンズ(5a)のシリンダレンズの焦点距離を調整する必要がある。例えば、集光レンズ(3a)及び照明レンズ(5a)の各シリンダレンズアレイの全体幅が5であり、各シリンダレンズアレイのシリンダレンズの数が5であるとき、シリンダレンズアレイの幅を(0.7):(0.8):(0.95):(1.15):(1.4)の比率で分割する。このとき、最小幅0.7のシリンダレンズに要求される拡大率は、最大幅1.4のシリンダレンズに要求される拡大率の二倍であるので、最小幅0.7のシリンダレンズの焦点距離は、最小幅1.4のシリンダレンズの焦点距離の1/2に設計する必要がある。このようにして、照明の効率を低下させることなく、極めて照度むらの少ない照明が可能となる。
画像読取装置の主走査方向についての照明の概念を、図7(a)に示す照明系の上面図に基づいて説明してきたが、次に、その主走査方向に垂直な画像読取装置の副走査方向における照明の概念を、図7(b)に示す照明系の正面図に基づいて説明する。より具体的には、画像読取装置の主走査方向における照度むらを低減すると共に、画像読取装置の副走査方向において照明対象面を効率的に照明する概念を説明する。
図7(b)に示す面内では、光源(1a)としてのLEDの数は、1個である。LEDから放出される光束は、LEDの先端に設けられた透明樹脂で作られたレンズにより、ほぼ平行光束に変換されて、出力される。図7(b)に示す面内では、集光レンズ(3a)及び照明レンズ(5a)は、主光軸に直角である平行平板とみなされる。よって、ほぼ平行光束に変換された光束は、集光レンズ(3a)及び照明レンズ(5a)によってほとんど影響されずに、平行光束として、集光レンズ(3a)及び照明レンズ(5a)を通過する。また、統合レンズ(7a)の焦点距離f0は、f0=aを満たすので、統合レンズ(7a)は、光束を照明対象面(9a)に集束させる。
このように、光源(1a)のLEDから放出された光束は、効率良く照明対象面(9a)上に直線状に集められ、照度むらの少ない高品質の照明を行うことができる。なお、統合レンズ(7a)は、光束が通過する部分についてのみ存在すればよいので、円形のレンズである必要はない。よって、図7(b)に示すように、統合レンズ(7a)における不要な部分をカットすることによって、照明系の厚さを非常に小さくすることができる。
図11は、実施例1において三色のLEDを用いる、より実用的な照明系を説明する図であり、(a)は、その照明系の上面図であり、(b)は、その照明系の正面図であり、(c)は、その照明系の側面図である。
図11(a)〜(c)に示すように、光源(1d)は、直線的に並べた複数のLED(発光ダイオード)の複数の列を含む。また、図11(b)及び(c)に示すように、光源(1d)は、1列の赤色(R)の複数のLED、2列の青色(B)の複数のLED、及び1列の緑色(G)の複数のLEDを含む。ここで、比較的低い発光効率を備えた青色(B)のLEDの数は、赤色(R)のLED又は緑色(G)のLEDの数よりも多いため、照明対象面における青色(B)の照明光の照度と赤色(R)又は緑色(G)の照明光の照度との差を低減させることができる。
図11(a)に示す面内においては、光源(1d)における5.5個のLEDに対して、集光レンズ(3d)及び照明レンズ(5d)における6個のシリンダレンズが対応する。図11(b)に示す面内においては、4個のLEDが、配置されているが、図11(b)に示すような照明系の作用は、図7(b)に示した照明系の作用と同様である。
図11においては、複数のLEDの列を、千鳥格子のパターンに配置しているが、複数のLEDの列の配置は、千鳥格子のパターンに限定されない。しかしながら、複数のLEDの列を、千鳥格子のパターンに配置すると、照明対象面(9d)における照明分布をより均一化することができる。
図11には、質の良いカラー画像を得るための照明系の例を示したが、照明の目的によっては、光源(1d)に白色LED(現状の市販品においては、青色のスペクトルの強度が高く、緑色のスペクトルの強度、赤色のスペクトルの強度が、順次低くなっている)のみを用いてもよく、赤色(R)のLEDのみ、緑色(G)のLEDのみ、又は青色(B)のLEDのみのような単色のLED、又はそれらのうち二色のLEDを用いてもよい。
以上説明したように、実施例1の画像読取装置における照明装置によれば、照明レンズによって、光源から発する光束を複数に分割し、統合レンズによって分割された複数の光束を原稿面上に重畳させることができるので、例えばLED、LD、フィラメント、蛍光灯、及び放電灯のようなどのようないずれの光源を用いても、光源から発する光を有効に利用することができる。そして、この照明装置は、高い照明効率を有するのみならず、照度分布を均一化することができ、投入電力を少なくすることができる。
[実施例2](上記(1)〜(3),(5),(7),(8),(19)に対応する)
本発明の実施形態による画像読取装置の実施例2における照明装置のような照明系を、図12〜図14を参照しながら説明する。
図12は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例2における照明系の第一の例を説明する図である。ここで、図12(a)は、照明系の第一の例の上面図であり、図12(b)は、照明系の第一の例の正面図である。図13は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例2における照明系の第二の例を説明する図である。ここで、図13(a)は、照明系の第二の例の上面図であり、図13(b)は、照明系の第二の例の正面図である。
実施例1では、個々のLEDの先端に設けられたレンズによって個々のLEDから放射される光束をほぼ平行光としているが、実施例2では、個々のLEDに、フラットな先端を備えたフードを設ける。
図12(a)及び(b)においては、図8Aに示すようなシリンダレンズアレイの個々のシリンダレンズが、図8Bに示すようなシリンダレンズと直交するように、図8Aに示すようなシリンダレンズアレイ及び図8Bに示すようなシリンダレンズが接合された集光レンズ(3e)を用いている。ここで、図8Aに示すようなシリンダレンズアレイを構成する個々のシリンダレンズの焦点距離f1をf1=1/(1/d+1/c)に設計し、図8Bに示すようなシリンダレンズの焦点距離f1'をf1'=dに設計する。照明レンズ(5e)及び統合レンズ(7e)の焦点距離は、図7において説明したものと同じである。
図12(a)に示すように、光源(1e)のLEDから放射される光束は、発散光として集光レンズ(3e)に到達し、この集光レンズ(3e)によって照明レンズ(5e)の位置に集束させられる。それ以外は、図12の照明系は、図7に示す照明系と同様である。言い換えれば、図12における集光レンズ(3e)は、図7における光源(1a)におけるLED用のフードレンズの機能及び集光レンズ(3a)の機能の両方を有する。
図12(b)に示す面内においては、集光レンズ(3e)のシリンダレンズの焦点距離f1'が、f1'=dを満たすので、光源(1e)のLEDから発散する光束は、集光レンズ(3e)により平行光にされる。その他の点については、図12の照明系は、図7に示す照明系と同様である。
図13(a)及び(b)においては、集光レンズ(3f)は、図8Aに示すようなシリンダレンズアレイであり、統合レンズ(7f)は、図8Bに示すような二つのシリンダレンズが互いに直交するように、二つのシリンダレンズが接合されたレンズである。図13(a)に示す面内においては、集光レンズ(3f)の焦点距離f1は、図12(a)に示す照明系の第一の例の場合と同様であり、f1=1/(1/d+1/c)を満たす。図13(b)に示す面内においては、集光レンズ(3f)の焦点距離f1'は、f1'=∞を満たす、即ち、図7に示す例と同様に、平板である。照明レンズ(5f)は、図7に示すものと同様である。統合レンズ(直交シリンダレンズ)(7f)の焦点距離f0は、図13(a)に示す面内においては、f0=aを満たす。また、図13(b)に示す面内においては、統合レンズ(直交シリンダレンズ)(7f)の焦点距離f0'は、f0'=1/(1/(d+c+b)+1/a)を満たす。このように、互いに直交する二つの方向についての各々のシリンダレンズの焦点距離が、設定される。
その結果、図13(a)に示す面内における照明系の作用は、図12(a)に示す面内における照明系の作用と同様である。一方、図13(b)に示す面内においては、光源(1f)のLEDから発散する光束は、集光レンズ(3f)及び照明レンズ(5f)を通過し、統合レンズ(7f)によって収束光束にされ、照明対象面(9f)に集束させられる。
図12に示す例と図13に示す例との間の照明系の中間的な概念として、図12(b)に示す集光レンズ(3e)の焦点距離f1'及び図13(b)に示す統合レンズ(7e)の焦点距離f0'の代わりに、照明レンズ(5e,5f)に焦点距離f1'及びf0'の一方を与えてもよい。すなわち、照明レンズ(5e,5f)の焦点距離f2'が、f2'=d+cを満たすと共に照明系のその他の部材を、図7に示すものと同じにする。この場合にも、図12及び13に示す照明系と同様の照明系を得ることができる。
このように、実施例2のいずれの照明系も、図7に示した照明系と同様に、光源のLEDから射出された光束を効率的に照明対象面上に直線状に集めることができ、照度むらの少ない高品質の照明を提供することができる。
図14は、実施例2において三色のLEDを用いる、照明系を説明する図であり、(a)は、その照明系の上面図であり、(b)は、その照明系の正面図であり、(c)は、その照明系の側面図である。
図14(a)〜(c)に示すように、光源(1g)が、個々のLEDにフラットな先端を備えたフードを有すると共に直線的に並べた複数のLED(発光ダイオード)の複数の列を含む場合には、その照明系は、図12(a)及び(b)に類似する構成を有し、集光レンズ(3g)は、互いに直交する図8Aに示す二つのシリンダレンズアレイが接合されたレンズである。
ここでは、光源(1g)の複数のLEDを、光源(1g)の縦方向及び横方向の両方において整列させている。図14(a)及び(b)に示すように、集光レンズ(3g)は、互いに直交する図8Aに示す二つのシリンダレンズアレイが接合されたレンズである。図14(b)に示す面内においては、集光レンズ(3g)の個々のシリンダレンズの焦点距離f1'は、f1'=dを満たすので、個々のLEDから発散される光束は、集光レンズ(3g)で平行光束に変換される。その他の点については、図14の照明系は、図11に示す照明系と同様である。図14(a)に示す面内においては、個々のLEDから放出される発散光を、集光レンズ(3g)によって、照明レンズ(5g)の位置に集束させればよく、その他の点については、図14の照明系は、図11に示す照明系と同様である。
この場合、光源(1g)のLEDの光軸を、集光レンズ(3g)の光軸と一致させる必要があるので、照明対象面(9g)上での照度分布は、図10(a)に示すような分布となる。
照明対象面(9g)上での照度分布を、図10(b)又は(c)に示すように、均一化するためには、集光レンズ(3g)と光源(1g)のLEDアレイとの間にシリンダレンズアレイを挿入する。そのシリンダレンズアレイを構成するシリンダレンズの数を、LEDの数と一致させると共にそのシリンダレンズアレイを構成する個々のシリンダレンズの光軸を、光源(1g)の個々のLEDの光軸と一致させる。これにより、LEDから放出される光束を、シリンダレンズアレイを用いて、平行光束に変換することができる。そして、図9A又は図9Bに示すように、集光レンズ(3g)のシリンダレンズの数が、LEDの数と一致しないような構成を採用することによって、照明対象面(9g)上で図10(b)又は(c)に示すような照度分布を得ることができることがある。
光源としてLED(発光ダイオード)アレイを用いる照明系を説明してきたが、LEDをLD(レーザダイオード)に置き換えた同様の構成を有する照明系も、同様の効果を有する。ただし、発光ダイオードの放射角は、数十度程度であるが、レーザダイオードの放射角は、数度程度であるので、レーザダイオードに適切な設計を必要とする。
[実施例3](上記(1)〜(3),(6),(8),(10),(19)に対応)
本発明の実施形態による画像読取装置の実施例3における照明装置のような照明系を、図15及び16を参照しながら説明する。
図15は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例3における照明系を説明する図である。ここで、図15(a)は、照明系の上面図であり、図15(b)は、光源に放物面鏡を用いた照明系の正面図であり、図15(c)は、光源に楕円面鏡を用いた照明系の正面図である。なお、図15(a)においては、光源(1h)から様々な方向に放出される光の光線のうち照明レンズ(5h)を構成するシリンダレンズの中央付近を通る光線の一部のみを示している。
実施例1及び実施例2では、光源としてLEDアレイ等を用いる照明系を説明してきたが、実施例3では、光源として線状の発光体を用いた照明系を説明する。
図15(a)に示す照明系においては、光源(1h)としてフィラメントランプを用いており、光源の発光効率を向上させるために、二重コイルのフィラメントを部分的に用いている(光源の発光効率を、二重コイルを用いて向上させているが、二重コイルの部分が、長い場合には、二重コイルの部分が、重力によって垂れ下がる。よって、複数の短い二重コイルの間に支持部材を挿入する)。フィラメントランプのフィラメントは、二重コイルのみならず、直線状に張られたニクロム線又は直線状に張られたコイルであってもよい。
この場合には、直線状の発光体を中心に360°の方向に光束が放出されるので、照明対象面(9h)の方向へ光束を向けるためのリフレクタを用いる。リフレクタは、照明対象面(9h)の方向へ効果的に集光するために、好ましくは、直線状の発光体の位置を焦点とする放物面鏡又は楕円面鏡である。
図16は、直線状の発光体から放出される光束の放射ベクトル及びレンズによる光束の放射ベクトルの取り込みを説明する図であり、(a)は、発光体から均等に放出される光束の放射ベクトルの強度分布を示す図であり、(b)は、発光体の光軸方向により多く放出される光束の放射ベクトルの強度分布を示す図であり、(c)は、照明レンズで取り込まれる放射ベクトルを説明する図であり、(d)は、集光レンズで取り込むまれる放射ベクトルを説明する図である。
図16(a)及び(b)に示すように、直線状の発光体を含む光源(1h)は、直線状の発光体における全ての部分からほぼ全方向に光を放出し、図15(a)に示す面内で(主走査方向について)直線状の発光体から放出される光を平行光にすることは、困難である。特に、図16(a)に示すように、直線状の発光体のある部分から放出される光束の強度(放射ベクトルの大きさ)が均一である場合には、図15(a)に示すように、集光レンズを省略しても、照明系による照明の効果は、あまり変化しない。
図15(a)に示す面内では、照明レンズ(5h)を構成するシリンダレンズの焦点距離f2は、f2=1/(1/(b+a)+(1/c))を満足する。すなわち、図7に示す照明系における集光レンズの位置に、発光体のフィラメントの中心を置く。統合レンズ(7h)は、図8Bに示すような互いに直交する二つのシリンダレンズが接合したレンズであってもよいが、それら二つのシリンダレンズの焦点距離f0は、それぞれ、f0=aを満たす。
また、直線状の発光体におけるある部分から放出される光束の強度分布が、図16(b)に示すように、光軸の方向において、他の方向よりも高い強度を有する場合、又は、照明レンズ(5h)の焦点距離の設定に依存して、照明レンズ(5h)を発光体の近傍に置けない場合には、照明系の照明効率を向上させるためには、光源(1h)と照明レンズ(5h)との間に集光レンズ(3h)を挿入することが好ましい。
具体的には、図16(d)に示すように、集光レンズ(3h)を構成するシリンダレンズを、発光体から集光レンズ(3h)を構成するシリンダレンズの焦点距離だけ離れた位置に置き、集光レンズ(3h)から集光レンズ(3h)を構成するシリンダレンズの反対の焦点距離だけ離れた位置に照明レンズ(5h)を配置する。この場合には、照明系が、光軸方向における発光体の相対的に高い強度の放射ベクトルを取り込むことができ、また、図16(c)に示すように集光レンズを含まない照明系と比較して、発光体からの光の取り込み角(θ)を大きくすることができる。よって、発光体からの光をより効果的に照射対象面へ導くことができる。
リフレクタとして、放物面鏡(2h)を用いる場合には、図15(b)に示す面内では、発光体から放出された光の大部分は、平行光として出力され、照明レンズ(5h)を平行光として通過し、統合レンズ(7h)によって照明対象面(9h)上に集束される。このように、リフレクタに放物面鏡(2h)を用いる場合には、統合レンズ(7h)は、図7に示す統合レンズ(7a)と同様に、主光軸を中心とする通常の軸対称のレンズであってもよい。
また、リフレクタとして、楕円面鏡(2h')を用いる場合には、図15(c)に示す面内では、直線状の発光体の中心を楕円面鏡(2h')の第1焦点に置き、楕円面鏡(2h')の第2焦点を照明対象面(9h')に置く。そして、図15(c)に示す面内では、照明レンズ(5h')の焦点距離及び統合レンズ(7h')の焦点距離は、無限大である。すなわち、照明レンズ(5h')及び統合レンズ(7h')の両方が、平行板とみなされる。この場合、照明レンズ(5h')は、図8Aに示すようなシリンダレンズアレイであり、統合レンズ(7h')は、図8Bに示すようなシリンダレンズである。
このようにして、図15(a)に示す面内で(主走査方向について)、照明対象面(9h)における照度むらを低減することができる。
以上説明したように、実施例3の画像読取装置の照明装置によれば、フィラメントのような線状の光源のように、その発光分布に部分的にむらを有する不均一な光源を用いても、照度むらをほとんど生じることなく、原稿面のような照射対象面を均一に照射することができる。よって、種々の光源を用いることができ、光源の低価格化が可能となる。
[実施例4](上記(1)〜(3),(8),(11),(19)に対応)
本発明の実施形態による画像読取装置の実施例4における照明装置のような照明系を、図17〜19を参照しながら説明する。
図17は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例4における光源としての蛍光管を説明する図である。図18は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例4における第一の照明系を説明する図である。ここで、図18(a)は、第一の照明系の上面図であり、図18(b)は、第一の照明系の正面図であり、図18(c)は、光源としての蛍光管の発光強度分布を示す図である。なお、図18(a)においては、光源(1i)から様々な方向に放出される光の光線のうち照明レンズ(5i)を構成するシリンダレンズの中央付近を通る光線の一部のみを示している。図19は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例4における第二の照明系を説明する図である。ここで、図19(a)は、第二の照明系の上面図であり、図19(b)は、第二の照明系の正面図である。
実施例4の照明系においては、光源(1i)として帯状の発光体(具体的には、蛍光灯のような面発光をする発光体)を用いる。発光体としての蛍光管においては、図17及び図18(b)に示すように、ガラス管(14)の内面に蛍光剤(16)を塗布し(開口部としての蛍光管の一部には、蛍光材を塗布しない)、開口部(15)を除くガラス管(14)の外壁には、反射膜(17)が形成される(蛍光剤の厚い層が塗布される場合には、反射膜は、不要である。また、蛍光管の発光原理は、一般の蛍光灯のものと同じであるので、その説明を省略する)。そして、蛍光剤(16)から放出された光束は、直接開口部(15)から放出されるか、又は、そうでなければ、反射膜(17)で数回反射し、その後、開口部(15)から放出される。なお、図17に示すように、蛍光管の両端に、蛍光管の電極部18が設けられている。
上記蛍光管の発光面は、図16(a)又は(b)に示すように、ほぼ全方向に発光し、主走査方向について、蛍光管の発光面から放出される光を平行光にすることは、困難である。特に、図16(a)に示すように、蛍光管の発光面から放出される光束の強度が均一である場合には、図15(a)に示すように、集光レンズを省略しても、蛍光管を含む照明系による照明の効果は、あまり変化しない。図18(a)に示す面内では、照明レンズ(5i)を構成するシリンダレンズの焦点距離f2は、図15に示す照明レンズ(5h)と同様に、f2=1/(1/(b+a)+(1/c))を満足する。また、図18(b)に示す面内で、照明レンズ(5i)を構成するシリンダレンズの焦点距離が、cに等しいとき、統合レンズ(7i)の焦点距離は、aに等しくなる。統合レンズ(7i)としては、通常のレンズを用いることが可能である。
また、蛍光管の発光面から放出される光束の強度分布が、図16(b)に示すように、光軸の方向において、他の方向よりも高い強度を有する場合には、照明系の照明効率を向上させるためには、図19(a)及び(b)に示すように、蛍光管(1j)と照明レンズ(5j)との間に集光レンズ(3j)を挿入することが好ましい。
図19(a)に示す面内では、集光レンズ(3j)を構成する個々のシリンダレンズの焦点距離f1は、図19(a)に示す距離cに一致する(即ち、f1=cを満たす)。照明レンズ(5j)を構成する個々のシリンダレンズの焦点距離f2は、概略、f2=1/(1/(a+b)+(1/c))に設定される。図19(b)に示す面内では、集光レンズ(3j)の焦点距離f1'は、f1'=dを満たし、照明レンズ(5j)の焦点距離f2'は、f2'=∞を満たす。これにより、統合レンズ(7j)の焦点距離f0は、f0=aを満たし、統合レンズ(7j)には、通常のレンズを用いることができる。
図15(a)に示されているように、光源が、フィラメントのような発光体であっても、光源から放出される光束の強度分布が、図16(b)に示すように、光軸の方向において、他の方向よりも高い強度を有する場合には、照明系の照明効率を向上させるためには、光源と照明レンズ(5j)との間に集光レンズ(3j)を挿入することが好ましい。
このように、原理的に主走査方向に一様に発光する光源を用いても、実際は様々な原因から、発光むらが生じる。図15(a)に示すように、フィラメントの形状を部分的に変更する場合のみならず、蛍光管に蛍光剤を均一に塗布することは、困難であるため、図18(c)に示すように、蛍光管の電極部付近では、発光強度が、変動している。このような不均一に発光する光源を用いても、主走査方向について、光束を分割して、分割された光束を照明対象面において重畳させることによって、照明対象面を均一に照明することができる。よって、発光むらに対する配慮無しに製造されたランプを使うことができるため、照明系の低コスト化が可能となる。また、フィラメントの付近まで使用することができるので、小型化が可能となる。
以上説明したように、実施例4の画像読取装置の照明装置によれば、蛍光灯のような面状光源を含む、その発光分布に部分的にむらを有する不均一な光源を用いても、照度むらをほとんど生じることなく、原稿面のような照射対象面を均一に照射することができる。よって、種々の光源を用いることができ、光源の低価格化が可能となる。
[実施例5](上記(1)〜(3),(6),(8),(9),(12),(19)に対応する)
本発明の実施形態による画像読取装置の実施例5における照明装置のような照明系を、図20及び21を参照しながら説明する。
図20は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例5における照明系の第一の例を説明する図である。ここで、図20(a)は、照明系の第一の例の上面図であり、図20(b)は、照明系の第一の例の正面図である。図21は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例5における照明系の第二の例を説明する図である。ここで、図21(a)は、照明系の第二の例の上面図であり、図21(b)は、照明系の第二の例の正面図である。
実施例5は、光源(1k)として、水銀灯、キセノンランプ及びメタルハライドランプのような放電灯(アーク灯)を用いる照明系を示す。
図20に示す照明系においては、リフレクタとして回転放物面鏡(2k)を用いている。光源(1k)のアーク灯の発光部分を、放物面の焦点位置に置くことにより、光束は、回転放物面鏡(2k)の全面から平行光として放出される。図20に示す照明系において、集光レンズ(3k)、照明レンズ(5k)、及び統合レンズ(7k)によって、光束を分割し、分割された光束を再度統合することによって、照明対象面(9k)を均一に且つ高い効率で照明することができる。集光レンズ(3k)、照明レンズ(5k)、及び統合レンズ(7k)の各焦点距離は、図7に示す場合と同様に設定すればよい。なお、回転放物面鏡(2k)の前面は、カバー(4k)で覆われている。
また、図21に示す照明系においては、リフレクタとして回転楕円面鏡(2m)を用いている。光源(1m)のアーク灯の発光部分を、回転楕円面鏡(2m)の第1焦点に置き、回転楕円面鏡(2m)の第2焦点の位置に照明対象面(9m)の中心を置くとき、統合レンズを省略することができる。集光レンズ(3m)及び照明レンズ(5m)の焦点距離は、c≪aなので、図7に示す場合と同様に設定すればよい(具体的には、f1=c、f2=1/((1/c)+(1/a))である)。ただし、照明系の照明効率を向上させるためには、図21に示すように、集光レンズ(3m)を構成するシリンダレンズの大きさが、照明レンズ(5m)を構成するシリンダレンズの大きさに比例することが必要である(具体的には、m1/m2=(c+a)/aである)。なお、回転楕円面鏡(2m)の前面は、カバー(4m)で覆われている。
図20及び21に示す照明系は、光源に放電灯を使用することを前提としている。アーク灯のアーク長は、1mm〜2mmであるので、アーク灯は、非常に小さい領域から光を放出することができ、高い照明効率を備えた照明系を得ることができる。しかしながら、仮に照明系の照明効率が、若干低いことが許容されるとすれば、光源にフィラメントランプ又は数mm程度の小さいフィラメントを有するハロゲンランプを用いてもよい。このようなランプを用いる照明系の照明効率は、放電灯を用いる照明系の照明効率よりも低いが、従来の照明装置の照明効率よりも格段に高い。
また、図20及び図21に示す実施例5において、その光源として、放電灯に替えて、LEDを用いることもできる。LEDの配置については、図25Bに示すように、リフレクタとして、回転放物面鏡を用いる場合には、回転放物面鏡の焦点の位置に(図示していないが、回転楕円面鏡を用いる場合には、回転楕円面鏡の第1焦点の位置に)LEDペレットの発光面を置く。この場合には、比較的大きいLEDペレットを用いても、照明装置全体の小型化が可能となる。LEDの発光量は、ペレットの面積に比例する。よって、ペレットの一辺が、2倍、3倍になると、LEDの発光量は、ペレットの一辺の長さの二乗に比例して増加し、それぞれ、4倍、9倍になる。一方、図20に示すような回転放物面鏡の平行光化の性能は、その放物面のF値が一定である場合には、概略、LEDペレットの一辺の長さに比例する。また、図21に示すような回転楕円面鏡の集光の能力は、その楕円面の楕円率が、一定であるならば、概略、LEDペレットの一辺の長さに比例する。例えば、リフレクタとして回転放物面鏡を用いる場合には、一辺が0.3mmのLEDペレット及びF=1.8の回転放物面鏡の組み合わせを用いる場合における、得られる平行光の平行度及び照明効率は、一辺が1.0mmのLEDペレット及びF=6の回転放物面鏡の組み合わせを用いる場合におけるものと同じである。図20(b)においてDとして表される、回転放物面の焦点における回転放物面鏡の直径は、F値の4倍であるので、先に述べた回転放物面の直径は、それぞれ、7.2mm及び24mmであり、それらの回転放物面の直径の比は、LEDペレットの一辺の長さの比と一致し、約3.3倍であるが、それらの照明系で得られる光量は、約11倍である。
[実施例6](上記(1)〜(4),(6)〜(8),(13),(19)に対応する)
本発明の実施形態による画像読取装置の実施例6における照明装置のような照明系を、図22を参照しながら説明する。
図22は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例6における照明系の例を説明する図である。ここで、図22(a)は、照明系の例の上面図であり、図22(b)は、照明系の例の正面図である。
実施例6は、光源(1n)、集光レンズ(3n)及び照明レンズ(5n)の中心を照明対象面の中心からシフトさせた例である。
図22に示すように、実施例における照明装置は、光源(1n)、集光レンズ(3n)、照明レンズ(5n)、及び統合レンズ(7n)で構成され、統合レンズ(7n)の主光軸は、照明対象面の中心を通るが、光源(1n)、集光レンズ(3n)及び照明レンズ(5n)の中心は、照明対象面の中心からシフトしている。また、統合レンズ(7n)の中心は、照明対象面(9n)の中心と一致させてある。すなわち、統合レンズ(9n)の中心から外れた部分を照明に使用する。なお、統合レンズにおける光源から発する光束が通過しない部分を、カットしてもよい。
照明系を、図22(a)及び(b)に示すように構成することにより、照明系を後に詳述する画像読取装置に組み込む場合に、照明系を、画像を読み取るための結像レンズに隣接させて配置する(並置する)ことができる。このような照明系及び画像読取装置の配置を採用することによって、画像読取装置全体の厚さの増加が抑制される。言い換えれば、実施例6に示すような配置によれば、従来の照明方法による照明装置の構成が不要であるので、画像読取装置全体の厚さを減少させることができる。
[実施例7](上記(1)〜(4),(6)〜(7),(19)に対応する)
本発明の実施形態による画像読取装置の実施例7における照明装置のような照明系を、図23及び24を参照しながら説明する。
図23は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例7における第一の照明系を説明する図である。ここで、図23(a)は、第一の照明系の上面図であり、図23(b)は、第一の照明系の正面図である。図24は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例7における第二の照明系を説明する図である。ここで、図24(a)は、第二の照明系の上面図であり、図24(b)は、第二の照明系の正面図である。
実施例1〜6においては、統合レンズ(7)を照明レンズ(5)の直近に配置しているが、集光レンズ(3)又は照明レンズ(5)により分割されたそれぞれの光束の光軸(副光軸)を、照明対象面(9)の中心に一致させることができれば、統合レンズ(7)は、照明対象面(9)と照明レンズ(5)との間におけるいずれの場所に配置してもよい。
例えば、図23に示すように、統合レンズ(7p)を、照明対象面(9p)及び照明レンズ(5p)の中間に置くこともできる。ここで、集光レンズ(3p)の焦点距離f1は、f1=cを満たし、照明レンズ(5p)の焦点距離f2は、f2=1/((1/b)+(1/c))を満たし、統合レンズ(7p)の焦点距離f0は、f0=a=bを満たす。このとき、集光レンズ(3p)によって分割されたm1の幅を備えた光束は、統合レンズ(7p)の位置でm0'の幅を備えた光束に拡大される。そして、統合レンズ(7p)は、m0'の一定の幅を備えた光束を、平行光として、照明対象面(9p)に照射する。ここで、集光レンズ(3p)を構成する各シリンダレンズで分割された光束の副光軸は、統合レンズ(7p)までは平行に延びるが、この統合レンズ(7p)によって、照明対象面(9p)の中心に一致させられる。その結果、集光レンズ(3p)を構成する各シリンダレンズの幅m1が、照明対象面(9p)におけるm0の幅に対応し、集光レンズ(3p)を構成する各シリンダレンズによって分割された光束は、照明対象面(9p)において重畳されて、照明対象面(9p)を照射する。
さらに、図24に示すように、統合レンズ(7q)を、光源(1q)と集光レンズ(光束分割レンズ)(3q)との間に配置してもよい。ここで、統合レンズ(7q)の焦点距離f0は、f0=a+b+cを満たし、集光レンズ(3q)の焦点距離f1は、f1=bを満たし、照明レンズ(5q)の焦点距離f2は、f2=1/((1/a)+(1/b))を満たす。集光レンズ(3q)を構成するシリンダレンズの大きさと照明レンズ(5q)を構成するシリンダレンズの大きさの比が、m1/m2=(a+b)/aを満たすとき、図7に示す照明系の性能と同等の性能を得ることができる。
また、統合レンズを集光レンズと照明レンズとの間に配置してもよい。すなわち、集光レンズ(光束分割レンズ)によって分割されたそれぞれの光束の光軸(副光軸)が、照明レンズの光軸と一致するように、且つ、それら光束の副光軸が、統合レンズによって、照明対象面上において一致するように、照明系を構成することができる。
[実施例8](上記(5)〜(7)に対応する)
本発明の実施形態による画像読取装置の実施例8における照明装置のような照明系を、図25A及び25B並びに図26を参照しながら説明する。
図25Aは、直線状に配置された複数のLED及びLEDから発散された光を平行光に変換する反射鏡を有する光源を説明する図である。ここで、図25A(a)は、その光源の側面図であり、図25A(b)は、その光源の上面図である。図25Bは、回転放物面鏡に対するLEDペレットの配置及びLEDペレットから放出される光束の放射ベクトルを説明する図である。
図26は、二次元的に配置された複数のLED及びLEDから発散された光を平行光に変換する反射鏡を有する光源を説明する図である。ここで、図26(a)は、その光源の側面図であり、図26(b)は、その光源の上面図であり、図26(c)は、その光源の正面図である。
上記実施例1、2、6及び7においては、LEDの発光面から放射される光を、レンズを用いて、平行光とするのに対して、実施例8においては、以下に説明するように、LEDの発光面から放射される光を、反射鏡を用いて、平行光にする。
製造することが容易である反射鏡は、球面鏡であり、球面鏡の半径が、rであるとき、LEDの発光部を、球面の中心からr/2の位置に置くことによって、ほぼ平行光を得ることができる。しかしながら、図25A及びB並びに図26に示すように、放物面鏡(2r,2s)を用いることが、最良の方法である。
図25A及びBに示す光源においては、複数の放物面鏡(2r)が、直線的に配置され、LEDのペレット(21)の発光面は、光源としてのLEDの光軸(光源の光軸)に対して垂直であり、放物面鏡(2r)の焦点に置かれる。放物面鏡(2r)の本体は、透明樹脂(例えば、アクリル樹脂)で形成され、放物面(2r)の放物面にアルミを蒸着することによって、放物面の全反射鏡が得られる。このようにして、品質の高い平行光を得ることができる。しかしながら、図25Aのような単純な光源の構成においては、図25Bに示すように、LEDのペレット(21)の発光面に鉛直な方向に放出された光束の光量が、最も高いが、その光束は、回転放物面鏡で反射された後、LEDのペレット(21)自体、電気導線(20)、及びリード線(22)によって遮られてしまう。その結果、光源からの出力が低下して、照明系の照明の効率が低下する。
図26(a)、(b)及び(c)に示す光源は、直線状に配置されたLEDを有する上述した単純な光源の欠点を除去し、光源から放出された光束の利用率を向上させるものである。すなわち、複数個のLEDの列を並置して、光源から放出された光の集積効率を向上させている。
図26(a)、(b)及び(c)に示す光源において、透明樹脂材料で作られた放物面の本体にアルミニウムを蒸着することによって得られる鏡面を備えた、反射鏡としての放物面鏡(2s)、及び放物面鏡(2s)の焦点の位置に置かれたLEDのペレット(21)は、図25A及びBに示す光源におけるものとのと同じである。しかしながら、図25A及びBに示す光源とは異なり、LEDのペレット(21)の発光面を、放物面鏡(2s)の光軸に対して±45°だけ傾斜させ、LEDのペレット(21)の発光面から放出される光を、二つの方向に分けている。このような光源においては、LEDのペレット(21)の発光面に対して垂直な方向に放出されて放物面鏡から反射される高い強度の光が、LEDのペレット(21)自体、電気導線(20)及びリード線(22)によってあまり遮られず、LEDのペレット(21)自体、電気導線(20)及びリード線(22)によって遮られ得るのは、LEDのペレット(21)の発光面に対して斜めの方向に放出されて放物面鏡から反射される比較的低い強度の光である。よって、光源の出力低下及び照明系の照明効率の低下を減少させることができる。また、複数のLEDの列を並べるときは、図26(a)及び(b)に示すように、放物面鏡のずれたハニカム構造様の構造を採用することができるので、光源の面積の利用率も向上させることができる。
[実施例9](上記(14)〜(18),(20)に対応する)
本発明の実施形態による画像読取装置に関する実施例9を、図27、図28、及び図29を参照しながら説明する。
図27は、一体化された照明系及び読取系を用いる、実施例9の画像読取装置の上面図である。また、図28は、一体化された照明系及び読取系を用いる、実施例9の画像読取装置の正面図である。なお、図27及び図28においては、第1および第2走行体を省略している。また、図27においては、折り返しミラー及び変向ミラーを省略しているので、原稿(25)面とコンタクトガラス(26)を90度展開して示す。なお、図28においては、第1走行体に設けられたミラーが示されている。図27及び図28は、主走査方向の読み取りを説明する。
実施例1〜8においては、主に照明系(照明装置)を説明してきたが、実施例9においては、以上説明した照明系及び結像系が一体化された画像読取装置を説明する。実施例9においては、実施例1〜8における照明系の概念を、単純に画像読取装置に適用するだけでなく、原稿面の画像の読み取りもまた改善される。
例えば、図7に示される照明系を図1(a)及び(b)に示す画像読取装置に組み込む場合は、図27に示すように、画像読取装置は、原稿(25)を置くコンタクトガラス(26)、原稿(25)面の画像を撮像素子(27)に結像させる結像手段としての結像レンズ(28)、及び結像レンズ(28)の母線(主光軸)と平行に配置された照明装置(30)を有する。照明装置(30)は、少なくとも、光源(31)、原稿(25)面を照明する照明レンズ(32)、及び、照明光を原稿面に重畳させる統合レンズ(33)を含む。照明装置(30)は、統合レンズ(33)の中心から外れた部分に配置される。この場合には、光源(31)、集光レンズ、照明レンズ(32)、統合レンズ(33)を、(照明装置を称する)ユニットとして結像レンズの横に置くことができる。上記結像系を構成する結像レンズ(28)及び撮像素子(27)、並びに、照明系を構成する照明装置(30)は、固定されたコンタクトガラス(26)を有する画像読取装置本体の固定部分に設置される。
光源(31)から照射された照明光は、照明レンズ(32)及び統合レンズ(33)によって、原稿(25)面の主走査方向に沿って照明することになる(この照明系には、図22で説明した方法を用いている)。
また、光源(31)から照射された光が、統合レンズ(33)によって、原稿(25)の面上において重畳される。一方、原稿(25)面におけるその重畳された光で照明される場所の画像を、撮像素子(27)によって読み取るように、結像レンズ(28)などのレイアウトを決定する。
図27に示す画像読取装置においては、結像レンズ(28)を、結像レンズ(28)の母線(主光軸)が、原稿(25)面の中央を通過するように設置し、撮像素子(27)を、撮像素子(27)の中心が、結像レンズ(28)の母線に一致するように配置する。この場合には、結像レンズ(28)による画像の歪みが最も少ない状態で、画像を撮像素子(27)上に結像させることができる。また、統合レンズ(33)の主光軸は、結像レンズ(28)の母線(主光軸)に完全に一致する。結像レンズ(28)の母線をシフトさせると、結像レンズ(28)の母線は、統合レンズ(33)の主光軸と一致せずに平行となる。
ここで、例えば、照明の光量を2倍にする必要がある場合は、(図27に二点鎖線の矩形で示した)第2の照明装置(30')を、結像レンズ(33)の主光軸を中心にして、第1の照明装置(30)と対称な位置に配置すればよい。もちろん、第1の照明装置と第2の照明装置の役割を、照明光の色について分担してもよい。例えば、第1の照明装置は、R(赤)及びG(緑)の照明を提供し、第2の照明装置は、B(青)の照明を提供する。また、色の分配及び組み合わせは、特に限定されない。
なお、図27においては、結像レンズ(28)を有する結像系(撮像系)が、原稿(25)面の中央に配置されているが、照明装置(30)を有する照明系を、照明装置(30)が原稿(25)面の中央に配置されるように、結像系と入れ替えてもよい。また、結像系及び照明系を、原稿(25)面の中央を通る線(図27中の母線:主光軸)の両側に配置することもできる。
図18に示すような画像読取装置における第一の照明系においては、原稿面に対して垂直な方向で原稿面を照明すると、コンタクトガラス(26)の表面反射光又は光沢を備えた原稿(25)面からの反射光が、結像レンズ(28)に入り、ハレーションを起し、その結果、低い質の読取画像が得られることがある。
ここで、このような問題を解決する画像読取装置を、図28を参照しながら説明する。図28に示す画像読取装置においては、撮像素子(35)用の結像レンズ(36)の読取光軸(37)及び照明装置(40)の統合レンズ(43)の照明光軸(38)が、折り返しミラー(44)などを経て、原稿面(45)に到達している。ここで、上述したように、読取光軸(37)は、照明光軸(38)と完全に一致している。一方、原稿面(45)へ延びる光軸(47)は、原稿面(45)の法線(46)と一致させずに、原稿面(45)の法線(46)に対して一定の角度を有する。
光軸(47)に沿った照明光は、原稿面(45)に到達して反射される際、反射光の正反射成分は、正反射光軸(48)の方向に反射される。この正反射光軸(48)の方向は、読取光軸である光軸(47)の方向と異なるため、撮像素子(35)には、原稿面(45)で反射された光の正反射光成分が入射しない。すなわち、原稿面(45)に到達した照明光のうち拡散反射成分のみが、撮像素子(35)に入射することになる。よって、撮像素子における画像の読み取りは、原稿面(45)の光沢の変動に影響されないことになる。(正反射光成分が、撮像素子(35)に入射すると、原稿の光沢度によって撮像素子(35)に入射する光量が変動することになり、原稿の画像濃度の正確な読み取りが、困難になる。)
また、原稿面(45)へ延びる光軸(47)が、原稿面(45)の法線(46)と一定の角度を有するように、例えば、折り返しミラー(44)(変向ミラー)の傾斜角度を調整することによって、原稿面(45)の法線(46)に対する原稿面(45)へ延びる光軸(47)の角度を設定することができる。例えば、2つの走行体を用いる画像読取装置においては、第1走行体に設置されている折り返しミラー(変向ミラー)の角度を変更することによって、原稿面に対する読取光軸及び照明光軸の角度を設定することができる。
図29は、図1(a)及び(b)に示す画像読取装置に対応する、図27及び図28に示した画像読取装置を説明する図である。図29において、図1(a)及び(b)に示す符号を、図27及び図28に示す符号と対応させている。
本発明の実施形態による照明装置を用いる画像読取装置(100)においては、画像読取装置(100)を正面から見たとき、照明装置(40)の照明光軸(38)は、結像レンズ(102(36))及び1次元撮像素子(101(35))の読取光軸(37)と一致している。
照明装置(40)の光源(41)から放出された光束は、統合レンズ(43)を通過し、第2走行体(104)上に設けられた二つの折り返しミラー(112a,112b)で折り返されて、第1走行体(103)に設けられた変向ミラー(113(折り返しミラー(44)))で反射されて、コンタクトガラス(108)上の原稿(107(45))を照明する。その際、第2走行体(104)上の二つの折り返しミラー(112a,112b)の各々において、光は、直角に折り曲げられるので、光源からの光束は、第2走行体へ入射する方向と反対の方向に反射される。二つの折り返しミラー(112a,112b)によって反射された光束は、第1走行体(103)に設けられた変向ミラー(113)(折り返しミラー)によって、直角よりもわずかに大きい角度で折り返されるので、その光束は、コンタクトガラス(108)及び原稿(107(45))面に垂直な方向に対してわずかに傾斜した角度で入射する。そのため、コンタクトガラス(108)及び原稿(107(45))の各面で反射された直接反射光(48)は、入射光(47)とは反対に進行し、変向ミラー(113)(折り返しミラー)には戻らない。一方、原稿(107(45))面は、一般的には、紙面であるため、入射光(47)の大部分は、散乱反射される。そして、入射光(47)と(正面図上で)重なる母線上に反射された光の成分(ベクトル)は、画像光となって変向ミラー(113)(折り返しミラー)に向けられ、第2走行体(104)上の折り返しミラー(112a,112b)へ向けられる。画像光は、さらに第2走行体(104)上の二つの折り返しミラー(112a,112b)によって、直角に折り曲げられるので、原稿(107(45))面からの画像光は、第2走行体へ入射する方向と反対の方向に反射され、結像レンズ(102(36))を通じて1次元撮像素子(101(35))に結像される。
言い換えると、照明装置(40)からの照明光が、コンタクトガラス(108)上のライン状の撮像領域(111)を照明し、撮像領域(111)における原稿(107(45))面の画像が、1次元撮像素子(101(35))上に結像させられる。結像させられた画像光は、撮像素子(101(35))によって光電変換され、電気信号として1次元(主走査方向)の画像情報を得ることができる。
また、この画像読取装置(100)では、第1走行体(103)及び上記第2走行体(104)が、モータ(105)による駆動力を、駆動伝達手段(106)を通じて受け、第1走行体(103)は、第2走行体(104)の速度の2倍である速度で走行する。その結果、コンタクトガラス(108)面に対する結像レンズ(102(36))の結像位置が、1次元撮像素子(101(35))面に維持されつつ、光が、コンタクトガラス(108)面において、ライン状の撮像領域(111)と垂直な方向に且つコンタクトガラス(108)と平行に、走行する。このようにして、コンタクトガラス(108)上に置かれた原稿(107(45))の画像を、1次元撮像素子(101(35))にて順次読み出して、2次元に取得する。また、第1走行体(103)及び上記第2走行体(104)の走行速度の比は、2:1に設定されるので、第2走行体(104)の移動距離は、第1走行体(103)の移動距離の半分であり、撮像領域(111)から結像レンズ(102(36))又は1次元撮像素子(101(35))までの距離は、第1走行体(103)及び第2走行体(104)の位置によらず、一定である。このように、コンタクトガラス(108)上に置かれた原稿(107(45))の画像を、1次元撮像素子(101(35))に結像させて、逐次1次元画像情報を得ながら、第1走行体(103)及び第2走行体(104)を、副走査方向において走行させるので、第1走行体(103)及び第2走行体(104)の走行完了後には、2次元の画像情報を取得することができる。
なお、折り返しミラー(112a,112b)及び変向ミラー(113)(折り返しミラー)を、板状の反射板として図示しているが、これらのミラーのいずれについても、プリズムの全反射のような他の反射面を用いてもよい。特に、第2走行体上の折り返しミラー(112a,112b)を、プリズムで置き換えると、反射面の精度を容易に向上させることができ、第2走行体の組み立ても容易になる。
以上説明したように、実施例9の画像読取装置は、次のような効果を有する。
照明装置を第1走行体上に置く必要がなく、結像系を構成する結像レンズ及び撮像素子の付近に置くことができるので、画像読取装置の高さ方向における照明装置のための寸法が必要なくなり、結果として、画像読取装置の薄型化を達成することができる。
また、照明装置(光源)を第1走行体上に設置する必要がなく、画像読取装置本体の固定した部分に設置することができるので、フレキシブルな電源ラインが不要となり、信頼性の向上及び低コスト化を実現することができる。
加えて、原稿面の付近に反射性の部材を置く必要がないので、原稿面に照射された照明光が再反射されることがなくなり、フレアを殆ど除去することができる。
さらに、原稿面に対して照明光を斜めに入射させると、原稿面での正反射光成分が、結像レンズに入射することがなく、原稿面を照らす照明光のうち、拡散反射成分のみを撮像素子に入射させることになる。その結果、原稿面の光沢の変動の影響を受けることなく、原稿の画像濃度を正確に読み取ることが可能となる。
また、原稿面に対して鉛直に近い方向から光を照射することができるので、ブック原稿の中央部の影を殆ど除去することができる。
なお、このような画像読取装置を複写機のような画像形成装置に組み込むことは、従来の画像読取装置を複写機に組み込む場合と同様に容易に行うことができる。
ところで、図29に示す画像読取装置においては、副走査方向(72)において、照明光の光軸及び読取光軸は、互いに対して一致し、照明光及び画像光の両方が、変向ミラー及び二つの折り返しミラーで反射される。
図30は、画像読取装置におけるフレアの発生を説明する図である。図30に示すように、変向ミラー(113)(折り返しミラー)及び下側の折り返しミラー(112b)の鏡面は、上側に向けられている。このため、変向ミラー(113)(折り返しミラー)及び下側の折り返しミラー(112b)の鏡面には、塵又は埃(51)が容易に付着する。そして、これらの鏡面に塵又は埃(51)が付着すると、照明光が、これらの鏡面で反射されるとき、照明光は、それら鏡面に付着した塵又は埃(51)によって乱反射されて、フレア光(52)を生じる。このフレア光は、直接、結像レンズ(102)に入射し、原稿面からの画像光に重なり合い、一次元撮像素子(101)(例えば、CCD)上で検出されることになる。その結果、得られた画像に白みがかかるという黒浮き現象が、発生することがある。
また、光源にLEDを用いる上述した照明系を画像読取装置に組み込むと、光源におけるLEDから放出された光束の中で、LEDに取り付けられた平行化レンズの焦点位置から放出された光束は、概略、照明対象面における撮像領域に届くが、実際のLEDは、ある体積を有し、平行化レンズの焦点の位置以外の位置から放出される光束は、平行化レンズの焦点の位置から放出される光束よりも多い。すなわち、照明装置から平行光として放出される光束以外の照明装置から発散する光束も多く、照明光の多くの光束が、照明されることが望まれる撮像領域の付近に分散してしまうので、照明光の利用率は、低下してしまう。また、ある体積を有する光源を、平行化レンズの焦点付近に配置すると、照明対象面における撮像領域において、その光源は、LEDに取り付けられた平行化レンズの焦点距離f3に対する統合レンズの焦点距離f0の比f0/f3の割合で拡大されて投射される。このことは主走査方向の面では100倍を超えた拡大率で照明するのでf0/f3の割合を十分超えており問題とならないが、副走査方向の面ではf0/f3の割合を大きく上回った拡大率となってしまう。すなわち、照明対象面において、副走査方向の面では統合レンズで光束を絞ろうとしても絞りきれず、撮像領域(111)に照射される光束が減少してしまう。
[実施例10]
実施例10は、照射対象面における照度むらをより容易に低減することがきる、より高い光利用率を備えた画像読取装置を、図31を参照して説明する。
図31は、読取用の光を反射するエリアの周辺部分が折り曲げられた変向ミラーを用いる画像読取装置の例を示す図である。
図31に示すように、変向ミラー(113)(折り返しミラー)における読取用の光(原稿面の画像光)(47)を反射するエリアの周辺部分を折り曲げる。(なお、従来の画像読取装置においては、変向ミラー(折り返しミラー)の機械的強度を維持するために、読取用の光を反射する面積の数倍の寸法を有する変向ミラー(折り返しミラー)を用いていた。)このような変向ミラー(113)(折り返しミラー)は、図31に示すように、ある体積を有するLEDから放出され且つ照明装置(40)から発散して射出された光束を、その光束の光軸を折り曲げることによって、原稿面(107)における読取領域(ライン状の撮像領域(111))に集めることができる。より具体的には、図31に示す変向ミラー(113)(折り返しミラー)は、照明装置(40)から平行に射出された光束及び照明装置(40)から発散して射出された光束を原稿面(107)における読取領域(ライン状の撮像領域(111))に集めることができ、照明光の利用率を3倍程度まで高めることが可能となる。なお、副走査方向(72)において、原稿面(107)における読取領域(ライン状の撮像領域(111))の幅(実際のカラー読取装置では、3mm程度)を考慮して、変向ミラー(113)(折り返しミラー)の折り曲げた部分の数を増加させる(例えば、2〜6個の部分)と、おおむね変向ミラー(113)(折り返しミラー)の折り曲げた部分の数に比例して、照明装置から放出される照明光の利用率を向上させることができる。
[実施例11]
実施例11は、より高い光利用を備えた照明系を、図32を参照して説明する。
図32は、本発明の実施形態による、より高い光利用を備えた照明系の例を説明する図である。ここで、図32(a)は、実施例11における第一又は第二の照明系の上面図であり、図32(b)は、実施例11における第一の照明系の正面図であり、図32(c)は、実施例11における第二の照明系の正面図である。
図32に示す第一又は第二の照明系は、LED及びLEDから放出される発散光を平行光に変換するリフレクタを含む複数の光源(1)、光源から放出される光束を分割する集光レンズ(3)、分割された光束を照明対象面(9)に照明する照明レンズ(5)、図32(a)に示す面内で(画像読取装置の主走査方向(71)について)分割された光束を照明対象面(9)上で重畳させる統合レンズ(7)、並びに、図32(b)又は図32(c)に示す面内で(画像読取装置の副走査方向(72)について)分割された光束を照明対象面(9)上に集束させる集束レンズ(8)を有する。
図32に示す第一又は第二の照明系を、図7に示す照明系と比較すると、図32に示す第一又は第二の照明系においては、集光レンズ(3)及び照明レンズ(5)は共通であるが、統合レンズ(7)として、図7に示す通常のレンズに代えて、シリンダレンズを用いている。また、図32に示す第一又は第二の照明系においては、統合レンズ(7)用のシリンダレンズと直交する方向に配置されたシリンダレンズを、集束レンズ(8)として、照明対象面の付近に配置する。図32に示す第一又は第二の照明系において、統合レンズ(7)を構成するシリンダレンズの焦点距離は、図7に示す統合レンズの焦点距離と同じであるaであり、集束レンズ(8)を構成するシリンダレンズの焦点距離は、a'である。ここで、aは、統合レンズ(7)から照明対象面(9)(撮像領域)までの距離であり、a'は、集束レンズ8から照明対象面(9)(撮像領域)までの距離である。統合レンズ(7)は、例えば、図8Bに示すような形状を有するシリンダレンズであり、集束レンズ(8)は、例えば、図8Cに示すような形状を有するシリンダレンズである。(なお、図32において、LEDから放出される発散光を平行光に変換するリフレクタは、LEDの位置が焦点である回転放物面であり、その回転放物面の焦点距離は、LEDからリフレクタの先端までの距離である。)
図32に示す第一又は第二の照明系においては、図32(a)に示す面内では、LEDから放出された光束は、回転放物面鏡によって平行光に変換され、集光レンズとしてのシリンダレンズアレイ(3)によって複数の光束に分割され、照明レンズとしてのシリンダレンズアレイ(5)によって照明対象面(9)上に照明される。そして、分割された光束は、統合レンズ(7)及び集束レンズ(8)を通過するが、統合レンズ(7)としてのシリンダレンズによって、照明対象面(9)上で重畳される。なお、集束レンズ(8)は、図32(a)に示す面内では、平行平面板とみなすことができる。
一方、図32(b)又は(c)に示す面内では、LEDから放出された光束は、回転放物面鏡によって平行光に変換され、平行平面板とみなすことができる集光レンズ(3)、照明レンズ(5)及び統合レンズ(7)を平行光として通過し、集束レンズ(8)としてのシリンダレンズによって照明対象面上に集束する。
図32に示す第一又は第二の照明系においては、光源LEDの像は、図32(a)に示す面内では、M/m=(a+b)/cの比で、照明対象面(9)上に拡大されることになる。なお、bは、照明レンズ(5)と統合レンズ(7)との間の距離であり、cは、集光レンズ(3)と照明レンズ(5)との間の距離である。図32(b)又は図32(c)に示す面内では、光源LEDの像は、光源(1)の回転放物面の焦点距離に対する集束レンズ(8)としてのシリンダレンズの焦点距離a'の比で、照明対象面(9)上に投射される。ここで、集束レンズ(8)としてのシリンダレンズの焦点距離a'は、図7に示す照明系の統合レンズの焦点距離の1/10程度にすることができるので、図32に示す照明系におけるLEDの像の拡大率は、図7に示す照明系におけるLEDの像の拡大率の十分の一に押さえることができる。すなわち、図32に示す照明系は、図32(b)又は(c)に示す面内で、図7に示す照明系に対して10倍程の光を照射対象面(9)に集束させることができる。
光源(1)は、図32(b)に示すように、一つの光源の列を配置してもよく、図32(c)に示すように、複数の光源の列を配置してもよい。光源(1)におけるLEDの数(図32(a)、(b)で示す第一の照明系においては4個、図32(a)、(c)で示す第二の照明系においては12個として示している)は、特に限定されない。また、LEDの発光色は白色LEDのみでもよいし、赤色(R)のLED、緑色(G)のLED、及び青色(B)のLEDを含でもよい。カラーバランスを考慮した場合、光源(1)における赤色(R)のLEDの数、緑色(G)のLEDの数、及び青色(B)のLEDの数は、等しくてもよく、低い発光輝度を備えた色のLEDが、高い輝度を備えた色のLEDよりも多くてもよい。
また、図32(a)において、光源(1)の数に対する集光レンズ(3)(及び/又は照明レンズ(5))としてのシリンダレンズアレイを構成するシリンダレンズの数の比(図32(a)においては、光源の数:集光レンズの数(照明レンズの数)=4:5、即ち、集光レンズの数(照明レンズの数)/光源の数=5/4)を、増加させてもよい。この場合には、照明対象面における光の照度分布を、より容易に均一にすることができることがある。例えば、光源(1)に対する集光レンズ(3)及び/又は照明レンズ(5)を構成するシリンダレンズの数の比を、2以上にしてもよい。詳細は後述するが、このようにするとLEDの数が少ないときは照明対象面おける光の照度分布の均一化に有利である。
また、図32に示す照明系は、図32(a)に示す面内で(画像読取装置の主走査方向(71)について)、光源(1)、集光レンズ(3)、及び照明レンズ(5)を、統合レンズ(7)の光軸(照明光軸の主光軸(61))を中心に対称的に配置している。
図33は、集束レンズを有し且つ統合レンズの周辺部分を用いる照明系の例を説明する図である。ここで、図33(a)は、その照明系の例の上面図であり、図33(b)は、その照明系の例の正面図である。図33に示す照明系においては、図33(a)に示す面内で、光源(1)、集光レンズ(3)、及び照明レンズ(5)を、統合レンズ(7)の中央部分を除く、統合レンズ(7)の周辺部分に配置する。
図34は、本発明の実施形態による照明系に用いることができるシリンダレンズの形状を示す図である。図33に示すような、集束レンズ(8)を有し且つ統合レンズ(7)の周辺部分を用いる照明系に用いることができる統合レンズ(7)としてのシリンダレンズは、図34に示すようなシリンダレンズである。
図33に示すような照明系については、画像読取装置における読取系(撮像系、結像系)を、統合レンズの中央部分に配置することができる。すなわち、画像読取装置における読取系の周囲に照明系を配置する(又は並置する)ことができる。このようにして、図33に示すような照明系を用いることによって、照明系及び読取系を一体化することができる。
図35は、一体化された、集束レンズを含む照明系及び読取系を用いる画像読取装置の例を説明する図である。図35に示す画像読取装置は、図33に示すような照明装置40を含む。図35に示す画像読取装置における照明系は、光源(1)、集光レンズ(3)、照明レンズ(5)及び統合レンズ(7)を含む照明装置(40)並びに集束レンズ(8)を含む。すなわち、図35に示す一体化された照明系及び読取系を用いる画像読取装置における照明系は、図35に示すような集束レンズ(8)を含む。なお、集束レンズ(8)を、図35に示すように、変向ミラー(113)(折り返しミラー)の照明装置側に配置してもよく、変向ミラー(113)(折り返しミラー)の原稿面(107)側に配置してもよい。図35に示す画像読取装置においては、読取系の読取光軸(37)と照明系の照明光軸(38)が、主走査方向(71)について、重なっている。このため、集束レンズ(8)が、単純なシリンダーレンズであると、原稿(107)面の画像が、集束レンズ(8)によって拡大又は縮小され、拡大又は縮小された画像が、1次元撮像素子(101)によって読み取られる。このため、集束レンズ(8)における、結像レンズ(読み取り)に入射する画像光が通過する部分は、集束レンズ(8)の作用を持つべきではない。集束レンズ(8)における、結像レンズ(読み取り)に入射する画像光が通過する部分について、集束レンズ(8)からその部分のレンズの作用を除くためには、図35に示すように、集束レンズ(8)におけるその部分を、平行平面板に形成する(集束レンズ(8)に平坦部を形成する)か、又は、集束レンズ(8)のその部分を、切り取ればよい(結果として、レンズの中央部分を有さない二つの集束レンズが得られる。)。
また、集束レンズ(8)に代えて、原稿(107)面の撮像領域(111)に焦点を有する他の光束集束素子を用いることもできる。
図36は、光束集束素子としての放物面鏡を有し且つ統合レンズの周辺部分を用いる照明系及び読取系を用いる画像読み取り装置の例を説明する図である。図37は、光束集束素子として用いることができる放物面鏡の形状を示す図である。
図36に示すように、図35に示す画像読取装置において、集束レンズ(8)に代えて、原稿(107)面の撮像領域(111)又は照明対象面(9)に焦点を有する放物面鏡(8')を用いてもよい。ここで、放物面鏡(8')は、図37に示すような放物面鏡である。このように、原稿(107)面の撮像領域(111)又は照明対象面(9)に焦点を有する放物面鏡(8')を用いると、放物面鏡(8')は、光束集束素子としての作用に加えて、変向ミラー(113)(折り返しミラー)の作用も有する。その結果、変向ミラー(113)(折り返しミラー)を取り除くことができ、画像読取装置の部品の数を減少させることができる。また、図36に示す画像読取装置においても、読取系の読取光軸(37)と照明系の照明光軸(38)が、主走査方向(71)について、重なっている。このため、放物面鏡(8')が、単純な放物面鏡であると、原稿(107)面の画像が、放物面鏡(8')によって拡大又は縮小され、拡大又は縮小された画像が、1次元撮像素子(101)によって読み取られる。このため、放物面鏡(8')における、結像レンズ(読み取り)に入射する画像光が反射する部分は、放物面鏡(8')の作用を持つべきではない。放物面鏡(8')における、結像レンズ(読み取り)に入射する画像光が反射する部分について、放物面鏡(8')からその部分の集光作用を除くためには、図36に示すように、放物面鏡(8')におけるその部分を、平面鏡に形成する(放物面鏡(8')に変向ミラー(折り返しミラー)部を形成する)。
図38は、光束集束素子としての放物面鏡及び補正レンズを有し且つ統合レンズの周辺部分を用いる照明系並びに読取系を用いる画像読み取り装置の例を説明する図である。図38に示す画像読取装置においては、光束集束素子としての放物面鏡(8')を用いているが、放物面鏡(8')に平面鏡を形成していない。図38に示す画像読取装置は、放物面鏡(8')によって拡大又は縮小された画像を、逆に、縮小又は拡大する補正レンズ(8'')を有する。すなわち、撮像領域(111)からの画像光は、放物面鏡(8')(焦点距離=a')によって、平行光にされるので、放物面鏡(8')の焦点距離の符号と逆の符号の焦点距離(=1/(1/a+1/a'))を有する凹シリンダレンズを、補正レンズ(8'')として、読取系の結像レンズの直前に配置する。これにより、撮像領域(111)における画像を、正常に、一次元撮像装置(CCD)上に結像させることができる。なお、補正レンズ(8'')は、読取系にのみ配置され、照明系には配置されない。
なお、図35に示すような画像読取装置において、読取系に対応する、集束レンズ(8)としての凸シリンダレンズに平坦部を設ける又は集束レンズ(8)としての凸シリンダレンズの一部を切り取ることなく、集束レンズ(8)及び補正レンズ(8'')を用いてもよい。すなわち、撮像領域(111)からの画像光は、集束レンズ(8)(焦点距離=a')によって、平行光にされるので、集束レンズ(8)の焦点距離の符号と逆の符号の焦点距離(=1/(1/a+1/a'))を有する凹シリンダレンズを、補正レンズ(8'')として、読取系の結像レンズの直前に配置する。これにより、撮像領域(111)における画像を、正常に、一次元撮像装置(CCD)上に結像させることができる。なお、補正レンズ(8'')は、読取系にのみ配置され、照明系には配置されない。
[実施例12]
実施例12は、撮像領域(111)における画像が光束集束素子によって拡大又は縮小されない画像読取装置の例を、図39A及びB並びに図40A〜Dを参照して、説明する。光束集束素子が撮像領域(111)における画像を拡大又は縮小することを防止するためには、画像読取装置の主走査方向(71)と直交する方向において、読取光軸及び照明光軸を分離する。
図39Aは、照明装置を結像レンズの上側に配置した画像読取装置の例を説明する図である。図39Bは、照明装置を結像レンズの下側に配置した画像読取装置の例を説明する図である。
図39A及び図39Bに示すように、読取光軸(37)及び照明光軸(38)は、画像読取装置の主走査方向(71)と直交する方向において、互いに平行に分離され、二つの折り返しミラー(112a)及び(112b)で互いに平行に折り返される。ここで、二つの折り返しミラー(112a)及び(112b)の各々は、互いに平行に分離された照明光及び読取光の両方を反射させることができるような面積を有する。読取光軸(37)は、変向ミラー(113)(折り返しミラー)によって折り返され、原稿(107)面の撮像領域(111)に交差する。照明光軸いついては、変向ミラー(折り返しミラー)の近傍に、光束集束素子としての放物面鏡(8')を置く。なお、この放物面鏡(8')の焦点は、撮像領域(111)に位置させる。言い換えれば、読取光軸(37)及び照明光軸(38)を、撮像領域(111)のある位置で一致させる。
図39Aに示すように、照明装置(40)を結像レンズの上側に配置すると、照明光軸(38)及び読取光軸(37)が、折り返しミラー(112b)によって折り返される前には、照明光軸(38)は、読取光軸(37)の上側に位置する。一方、照明光軸(38)及び読取光軸(37)が、折り返しミラー(112a)によって折り返された後には、照明光軸(38)は、読取光軸(37)の下側に位置する。その結果、放物面鏡(8')は、変向ミラー(113)(折り返しミラー)の下側に配置され、照明光は、変向ミラー(113)(折り返しミラー)より下側に配置された放物面鏡(8')から撮像領域(111)に向かって反射される。なお、放物面鏡(8')は、変向ミラー(113)(折り返しミラー)より前側に配置してもよく(i)、変向ミラー(113)(折り返しミラー)より後側に配置してもよい(ii)。
図39Bに示すように、照明装置(40)を結像レンズの下側に配置すると、照明光軸(38)及び読取光軸(37)が、折り返しミラー(112b)によって折り返される前には、照明光軸(38)は、読取光軸(37)の下側に位置する。一方、照明光軸(38)及び読取光軸(37)が、折り返しミラー(112a)によって折り返された後には、照明光軸(38)は、読取光軸(37)の上側に位置する。その結果、放物面鏡(8')は、変向ミラー(113)(折り返しミラー)の上側に配置され、照明光は、変向ミラー(113)(折り返しミラー)より上側に配置された放物面鏡(8')から撮像領域(111)に向かって反射される。なお、放物面鏡(8')は、変向ミラー(113)(折り返しミラー)より前側に配置してもよく(i)、変向ミラー(113)(折り返しミラー)より後側に配置してもよい(ii)。
なお、図39A及び39Bにおいて、二つの放物面鏡(8')を変向ミラー(113)(折り返しミラー)の前側(i)及び後側(ii)に配置し、それぞれの放物面鏡(8')に、照明装置(40)から放出される照明光を照射できるようにすることもできる。この場合には、変向ミラー(113)(折り返しミラー)の前側に配置された放物面鏡(8')は照明光軸(38)の上半分ないしは下半分をカットして用いる。そうすることにより、前側に配置された放物面鏡から反射された光は、変向ミラー(113)(折り返しミラー)の前側から撮像領域(111)を照明する。また、前側に配置された放物面鏡で反射されなかった照明光軸(38)の上半分か下半分のどちらかの光束は変向ミラー(113)(折り返しミラー)の後側に配置された放物面鏡(8')から反射され、変向ミラー(113)(折り返しミラー)の後側から撮像領域(111)を照明する。このように、変向ミラー(113)(折り返しミラー)の前側及び後側から撮像領域(111)を照明することによって、ブック原稿を読み取る際に、ブック原稿の画像の中央に陰及び/又は黒線が生じることを低減することができる。
図39A及び図39Bに示す画像読取装置においては、二つの折り返しミラー(112a)及び(112b)を読取系及び照明系で共用している。
図40A〜Dは、読取光軸及び照明光軸の分離に関する様々な様式を説明する図である。図40A〜Dにおいては、図39A又は図39Bに示す二つの折り返しミラー(112a)及び(112b)の少なくとも一方を、二つの折り返しミラーに分割する。
図40Aは、上側の折り返しミラーを二つの折り返しミラーに分割すると共に読取光軸を下側に配置し照明光軸を上側に配置する例を示す図である。すなわち、図39A及び図39Bに示す画像読取装置において、上側の折り返しミラー(112a)を、図40Aにおいては、二つの折り返しミラー(112a)及び(112c)に分割すると共に読取光軸(37)を下側に配置し照明光軸(38)を上側に配置する。
図40Bは、下側の折り返しミラーを二つの折り返しミラーに分割すると共に読取光軸を下側に配置し照明光軸を上側に配置する例を示す図である。すなわち、図39A及び図39Bに示す画像読取装置において、下側の折り返しミラー(112b)を、図40Bにおいては、二つの折り返しミラー(112b)及び(112c)に分割すると共に読取光軸(37)を下側に配置し照明光軸(38)を上側に配置する。
図40Cは、下側の折り返しミラーを二つの折り返しミラーに分割すると共に読取光軸を上側に配置し照明光軸を下側に配置する例を示す図である。すなわち、図39A及び図39Bに示す画像読取装置において、下側の折り返しミラー(112b)を、図40Bにおいては、二つの折り返しミラー(112b)及び(112c)に分割すると共に読取光軸(37)を上側に配置し照明光軸(38)を下側に配置する。
図40Dは、上側及び下側の折り返しミラーをそれぞれ二つの折り返しミラーに分割すると共に読取光軸を内側に配置し照明光軸を外側に配置する例を示す図である。すなわち、図39A及び図39Bに示す画像読取装置において、上側の折り返しミラー(112a)及び下側の折り返しミラー(112b)を、図40Dにおいては、四つの折り返しミラー(112a)、(112b)、(112c)及び(112d)に分割すると共に、図39A及び図39Bにおける読取光軸(37)及び照明光軸(38)の配置を交換する。
このように、図39A及び図39Bに示す画像読取装置において、二つの折り返しミラー(112a)及び(112b)の少なくとも一方を分割することによって、読取光軸(37)及び照明光軸(38)の配置を、したがって、読取系及び照明系の配置を、自由に選択することができる。
そして、画像読取装置の主走査方向(71)に直交する方向において、読取系の鏡筒(読取系の筐体)及び照明装置(40)が互いに接触する又は分離するように、読取光軸(37)及び照明光軸(38)を配置(分離)すれば、図33に示す照明系の構成ではなく、図32に示す照明系の構成を用いることができる。
[実施例13]
実施例13は、画像読取装置内に付着した塵又は埃によるフレアを低減することができる画像読取装置を、図41を参照して、説明する。
図41は、画像読取装置内に付着した塵又は埃によるフレアを低減することができる画像読取装置の例を説明する図である。
図41に示すように、画像読取装置を長年の間使用する間に、画像読取装置内に塵及び/又は埃51が侵入し、その塵及び/又は埃(51)は、画像読取装置内の様々な場所に付着する。照明光が、画像読取装置内のミラーの鏡面で反射するとき、一般には、照明光の大部分が、その鏡面で反射され、照明光のわずかな残りの部分が、ミラーによって吸収される。しかしながら、塵及び/又は埃(51)が、ミラーの鏡面に付着すると、照明光は、ミラーの鏡面に付着した塵及び/又は埃によって、あらゆる方向に乱反射される。具体的には、画像読取装置における変向ミラー(113)(折り返しミラー)、折り返しミラー(112a、112bなど)、及び光束集束素子としての放物面鏡(8')のようなミラーの鏡面に塵及び/又は埃(51)が付着し得る。そして、塵及び/又は埃(51)が付着した鏡面に、照明光が入射すると、照明対象面の方向以外の方向に散乱する散乱光(52)が、発生し、その散乱光(52)の一部分が、結像レンズ(102)に入射することがある(フレアの発生)。
このような結像レンズへの、塵及び/又は埃51によって発生する散乱光の入射を低減するために、塵及び/又は埃の侵入を防止するように、画像読取装置を密閉すること、及び、鉛直方向に対して90°よりも小さい角度の方向に延びる法線を備えた面を含む鏡面を有する部材を密閉する(例えば、第1走行体(103)及び第2走行体(104)の光が通過しない部分を密閉する)ことが考えられるが、これらの方法は、あまり現実的ではない。
そこで、ミラーの鏡面の法線が、鉛直方向に対して90°以上の角度の方向に延びるように、ミラーを配置する。また、鉛直方向に対して90°よりも小さい角度の方向に延びる法線を備えたミラーの鏡面によって散乱される光が、結像レンズ(102)に入射しない(1次元撮像素子(101)に結像しない)ように、ミラーを配置する又は遮光板(53)のような遮光部材を設ける。このようにして、画像読取装置内に付着した塵又は埃によるフレアを低減することができる。
具体的には、図41に示すように、照明光を反射する折り返しミラーのうち、照明光を上側に反射する折り返しミラーを、鉛直上向き方向に対して90°以上の角度の方向に延びる法線を備えた鏡面を有する折り返しミラー(112c)及び鉛直上向き方向に対して90°よりも小さい角度の方向に延びる法線を備えた鏡面を有する(112d)に分割し、折り返しミラー(112d)から散乱される光が、結像レンズ(102)に入射しないように、折り返しミラー(112d)を配置するか、又は、折り返しミラー(112d)に遮光板(53)を設ける。また、光束集束素子としての放物面鏡(8')の鏡面の法線が、鉛直上向き方向に対して90°以上の角度の方向に延びるように、放物面鏡(8')を配置し、放物面鏡(8')によって反射された光を撮像領域(111)へ反射する折り返しミラー(112e)(平面鏡)を、折り返しミラー(112e)が放物面鏡(8')及び変向ミラー(113)(折り返しミラー)によって覆われるように、設ける。この場合には、放物面鏡(8')の鏡面における塵及び/又は埃(51)の付着を防止又は低減することができる。また、仮に折り返しミラー(112e)の鏡面に塵及び/又は埃(51)が付着し、塵及び/又は埃(51)による散乱光(52)が発生したとしても、その散乱光は、変向ミラー(113)(折り返しミラー)によって遮断され、結像レンズ(102)に入射しない。
[実施例14]
実施例14は、照明系から発散する発散光によって生じるフレアを低減することができる画像読取装置を、図42及び図43を参照して、説明する。
図42は、照明系から発散する発散光によって生じるフレアを低減することができる画像読取装置の例を説明する図である。
画像読取装置における照明装置の光源は、LED及びLEDの先端にLEDから放出された光を平行光に変換するレンズを有する光源であってもよく、LED及びLEDの位置に焦点を有する回転放物面鏡を有する光源であってもよい。これらの光源については、LEDから放出された光は、理想的には、平行光束として光源から射出されるが、LEDは、点光源ではなく、ある体積を有する光源であるため、光源から発散する光束も存在する。よって、図42に示すように、光源から発散する光束は、照明装置(40)からも発散する光束として射出される。そして、図42に示す面内で、照明装置(40)から発散する光束として射出された光が、第2走行体(104)における読取系の二つの折り返しミラー(112b)及び(112c)の一方に入射し、二つの折り返しミラー(112b)及び(112c)の一方によって反射された光が、他方の折り返しミラーによって再度反射されると、その反射された光は、照明装置(40)側へ戻ることがある。そして、照明装置(40)側に戻る光の一部が、照明装置(40)付近に存在する結像レンズ(102)に入射すると、フレアを発生し、読取画像の白浮きの原因になることがある。
このような照明装置(40)から発散する光束に起因するフレアを低減するためには、図42に示すように、照明装置40から発散する光束が、第2走行体(104)における読取系の二つの折り返しミラー(112b)及び(112c)に入射しないように、照明装置(40)及び/又は二つの折り返しミラー(112b)及び(112c)の少なくとも一方に遮光板(53)を設けてもよく、及び/又は、結像レンズ(102)の光軸と照明装置(40)の光軸との間のシフト(間隔)を、増加させてもよい。
また、照明装置40から発散する光束に起因するフレアを低減するためには、照明装置(40)から発散する光束の発散角を減少させることが、好ましい。
図43は、本発明の実施形態による集束レンズ及びリレーレンズを含む照明系の例を説明する図である。なお、図43は、集束レンズ及びリレーレンズを含む照明系の例の正面図である。図43に示す照明系においては、図32又は図33に示すような照明系にリレーレンズ(6)を加えている。リレーレンズ(6)は、図43に示す面内でレンズとしての作用を有する(と共に図43に示す面と垂直な面内では平行平面板として作用する)シリンダレンズである。ここで、リレーレンズ(6)の焦点距離は、図43に示すfであり、集束レンズ(8)の焦点距離は、1/(1/e+1/a')である。リレーレンズ(6)の焦点距離fは、おおよそ、統合レンズ(7)と集束レンズ(8)との間の距離の半分であることが好ましい。なお、eは、リレーレンズ(6)の焦点から集束レンズ(8)までの距離である。リレーレンズ(6)は、照明系において、光源(1)、集光レンズ(3)、照明レンズ(5)及び統合レンズ(7)を含む照明装置内における光源1より後の任意の場所に設けられる。リレーレンズ(6)を照明装置内に設けることによって、照明装置から放出される光束の発散度を若干低下させることができる。
[実施例15]
実施例15は、本発明の実施形態による、照明装置から放出される光束の発散度を抑制すると共に光利用率を向上させることができる照明系を、図44A、図44B、及び図44Cを参照して、説明する。
図44Aは、本発明の実施形態による集束レンズ及び副照明レンズを含む照明系の第一の例を説明する図である。なお、図44Aは、集束レンズ及び副照明レンズを含む照明系の第一の例の正面図である。図44Bは、本発明の実施形態による集束レンズ及び副照明レンズを含む照明系の第二の例を説明する図である。なお、図44Bは、集束レンズ及び副照明レンズを含む照明系の第二の例の正面図である。図44Cは、本発明の実施形態による集束レンズ及び副照明レンズを含む照明系の第三の例を説明する図である。なお、図44Cは、集束レンズ及び副照明レンズを含む照明系の第三の例の正面図である。
図44Aに示す照明系は、図32又は図33に示す照明系と同様の構成に加えて、シリンダレンズアレイである照明レンズ(5)の後側に、副照明レンズ(5')を有する。副照明レンズ(5')は、照明レンズ(5)のシリンダレンズアレイを構成するシリンダレンズと直交するシリンダレンズである。すなわち、副照明レンズ(5')は、図44Aに示す面内で(画像読取装置の副走査方向(72)について)、レンズの作用を有し、図44Aに示す面と垂直な面内で(画像読取装置の主走査方向(71)について)、平行平面板と同様の作用を有する。図44Aに示すように、1/(前側主点から物点までの距離)+1/(後側主点から像点までの距離)=1/(焦点距離)の関係より、副照明レンズ(5')の焦点距離は、1/(1/g+1/h)であり、集束レンズ(8)のシリンダレンズの焦点距離は、1/(1/g+1/a')である。ここで、hは、光源(1)の回転放物面鏡の出射窓から副照明レンズ(5')までの距離であり、gは、副照明レンズ(5')から集束レンズ(8)までの距離であり、a'は、集束レンズ(8)から照明対象面(9)までの距離である。図44Aに示す照明系においては、光源(1)の回転放物面鏡の(大きさm'を備えた)出射窓の像が、集束レンズ(8)の位置に、M''/m'=g/hの比で投射され、集束レンズ(8)の位置に投射された大きさM''の像が、さらに、照明対象面(9)上にM'/M''=a'/gの比で投射される。しかしながら、実際には、集束レンズ(8)の大きさをM''まで増加させることが、困難である場合もあるので、図44Aに破線で示すように、集束レンズ(8')の周辺部を切り取り、集束レンズ(8)の中央部のみを用いることもできる。なお、シミュレーション及び実験の結果、図44Aに示すような照明系の光利用率は、集束レンズ(8)の大きさを一定としたとき、図32、図33、又は図43に示す照明系の光利用率よりも50%程度増加することを確認した。
図44Aに示す照明系の副照明レンズ(5')の焦点距離を、図44B又は図44Cに示す照明系の副照明レンズ(5')の焦点距離に変更してもよい。ここで、図44Bに示すように、1/(前側主点から物点までの距離)+1/(後側主点から像点までの距離)=1/(焦点距離)の関係より、図44Bに示す副照明レンズ(5')の焦点距離は、1/(1/(a'+g)+1/h)であり、図44Cに示すように、焦点距離の定義(又は1/(前側主点から物点までの距離)+1/(後側主点から像点までの距離)=1/(焦点距離)の関係)より、図44Cに示す副照明レンズ(5')の焦点距離は、hである。ただし、図44B又は図44Cに示す照明系においても、集束レンズ(8')の周辺部を切り取り、集束レンズ(8)の中央部のみを用いてもよい。図44A、図44B、及び図44Cに示す照明系において、集束レンズ(8)の大きさが一定である場合には、集束レンズ(8)の位置でより狭まる光束を用いる図44Bに示す照明系の光利用率は、集束レンズ(8)の位置でより広がる光束を用いる図44Aに示す照明系の光利用率よりも高い。また、図44Cに示す照明系においては、光源(1)の像が、集束レンズ(8)の位置で結像せずに、m'(1+g/h)の幅の光束が、集束レンズ(8)の位置に到達している。図44Cに示す照明系において、集束レンズ(8)の周辺部を(図44A及び図44Bに示す集束レンズ(8)と同じ大きさに)切り取ると、集束レンズ(8)によって集束される光量が、図44A〜Cに示す照明系において、最も低く、図44Cに示す照明系の光利用率も一番悪い。
よって、集束レンズ(8)の光軸付近の部分(中央部分)のみを用いる場合には、副照明レンズ(5')の焦点距離を、1/(1/g+1/h)以上h以下の範囲内にすることによって、照明レンズ(5')を含む照明系の光効率を、副照明レンズ(5')を含まない照明系と比較して、大幅に向上させることができることを発見した。また、図44Cに示すように、集束レンズ(8)の焦点距離が、a'である場合、照明系の光利用率は、若干低下するが、本質的には良好である。言い換えれば、集束レンズ(8)の焦点距離を、1/(1/g+1/a')以上a'以下の範囲内にすることによって、照明系の光利用率を同様に向上させることができる。
[実施例16]
実施例16は、本発明の実施形態による、照明装置から放出される光束の発散度を抑制すると共に光利用率を向上させることができる別の照明系を、図45A、図45B、及び図45Cを参照して、説明する。
図45Aは、本発明の実施形態による集束レンズ、副照明レンズ及び副集光レンズを含む照明系の第一の例を説明する図である。なお、図45Aは、集束レンズ、副照明レンズ及び副集光レンズを含む照明系の第一の例の正面図である。図45Bは、本発明の実施形態による集束レンズ、副照明レンズ及び副集光レンズを含む照明系の第二の例を説明する図である。なお、図45Bは、集束レンズ、副照明レンズ及び副集光レンズを含む照明系の第二の例の正面図である。図45Cは、本発明の実施形態による集束レンズ、副照明レンズ及び副集光レンズを含む照明系の第三の例を説明する図である。なお、図45Cは、集束レンズ、副照明レンズ及び副集光レンズを含む照明系の第三の例の正面図である。
図45Aに示す照明系は、図44Aに示す照明系と同様の構成に加えて、光源(1)の回転放物面の出射窓の後側に、副集光レンズ(3')を有する。副集光レンズ(3')は、集光レンズ(3)のシリンダレンズアレイを構成するシリンダレンズと直交するシリンダレンズである。すなわち、副集光レンズ(3')は、図45Aに示す面内で(画像読取装置の副走査方向(72)について)、レンズの作用を有し、図45Aに示す面と垂直な面内で(画像読取装置の主走査方向(71)について)、平行平面板と同様の作用を有する。副集光レンズ(3')の焦点距離は、hであり、hは、副集光レンズ(3')から副照明レンズ(5')までの距離である。この場合には、光源(1)から放出された平行光束が、副照明レンズ(5')の位置に集束する。なお、副照明レンズ(5')及び集束レンズ(8)の関係は、図44Aにおけるそれらの関係と同様である。図45Aに示す照明系においては、光源(1)の回転放物面鏡から発散する光束も若干照明対象面(9)の照明に利用することができるため、図45Aに示す照明系の光利用率は、図44Aに示す照明系の光利用率に対してさらに数%高いものとすることが期待される。
図45Bに示す照明系及び図45Cに示す照明系は、それぞれ、図44Bに示す照明系及び図44Cに示す照明系において、図44Aに対する図45Aの関係と同様に、さらに副集光レンズ(3')を有する。
[実施例17]
実施例17は、本発明の実施形態による、照明装置から放出される光束の発散度を抑制すると共に光利用率を向上させることができる別の照明系を、図46A及び図46Bを参照して、説明する。
図46Aは、本発明の実施形態による集束レンズ、副照明レンズアレイ及び副集光レンズアレイを含む照明系の第一の例を説明する図である。なお、図46Aは、集束レンズ、副照明レンズアレイ及び副集光レンズアレイを含む照明系の第一の例の正面図である。図46Bは、本発明の実施形態による集束レンズ、副照明レンズアレイ及び副集光レンズアレイを含む照明系の第二の例を説明する図である。なお、図46Bは、集束レンズ、副照明レンズアレイ及び副集光レンズアレイを含む照明系の第二の例の正面図である。
図46Aに示す照明系においては、図45Aに示す照明系における副集光レンズ(3')としてのシリンダレンズ及び副照明レンズ(5')としてのシリンダレンズを、それぞれ、シリンダレンズアレイである副集光レンズアレイ(3'')及びシリンダレンズアレイである副照明レンズアレイ(5'')に置き換えている。すなわち、図46Aに示す照明系においては、図45Aに示す照明系における副集光レンズ(3')としてのシリンダレンズ及び副照明レンズ(5')としてのシリンダレンズを、それぞれ、シリンダレンズアレイである副集光レンズアレイ(3'')及びシリンダレンズアレイである副照明レンズアレイ(5'')に分割している。図46Aにおける副集光レンズアレイ(3'')を構成するシリンダレンズの焦点距離は、図45Aに示す副集光レンズ(3')の焦点距離と同じであり、図46Aにおける副照明レンズアレイ(5'')を構成するシリンダレンズの焦点距離は、図45Aに示す副照明レンズ(5')の焦点距離と同じである。図46Aに示す照明系においては、集光レンズアレイ(3'')を構成する大きさm''(図45Aに示すm'をシリンダレンズアレイにおけるシリンダレンズの数で除する)のシリンダレンズの像が、g/hの比で、集束レンズ(8)の位置に投射され、集束レンズ(8)の位置に投射された大きさM'''(図45Aに示すM''をシリンダレンズアレイにおけるシリンダレンズの数で除する)の像が、さらに、照明対象面(9)上に、a'/gの比で投射される。ここで、集束レンズ(8)の位置では、シリンダレンズアレイにおけるシリンダレンズの数の大きさM'''の像が、シリンダレンズアレイにおけるシリンダレンズのピッチで、互いに重なり合う。図46Aに示す照明系は、図45Aに示す照明系に対応しているが、図45B及び図45Cに示す照明系に対応する照明系も構成することができる。ただし、図46Aに示すような構成を備えた照明系の光利用率が、図45Aに示すような照明系の光利用率よりも高いことを、確認することができなかった。なお、図44、45、46の説明においては、拡大率の説明の便宜上、大きさm'のシリンダレンズが、像M''及びM'として結像している又は大きさm''のシリンダレンズが、像M'''として結像しているように説明をしてきたが、実際には、それらの像は形成されない。
図46Bに示す照明系においては、図46Aに示す照明系に、図43と同様に、シリンダレンズであるリレーレンズ(6)を加えている。図46Bに示す照明系においては、集光レンズアレイ(3'')及び照明レンズアレイ(5'')によって分割された複数の光束の光軸(副光軸(62))を、光束とみなしている。図46Bに示す照明系の光利用率は、図46Aに示す照明系の光利用率とほぼ同じであるが、図46Aに示す照明系よりも、放出される照明光の発散度を若干減少させることができる。
以上においては、光束集束素子として、集束レンズのみを利用する照明系のみを説明してきた。しかしながら、光束集束素子として、集束レンズに代えて、放物面鏡又は楕円面鏡を用いることができ、画像読取装置用の照明系においては、集束レンズよりも放物面鏡又は楕円面鏡をより簡便に扱うことができる。
[実施例18]
実施例18は、光束集束素子としてミラーを用いる画像読取装置を、図47及び図48を参照して、説明する。
図47は、光束集束素子として放物面鏡を用いる画像読取装置の例を説明する図である。図47に示すように、放物面鏡(8')で反射された照明光を撮像領域(111)に反射する平面鏡(55)を用いない場合には、平面鏡を用いない場合の照明光軸(38b)は、読取光軸(37)の下側に配置されるように、例えば図39(ii)のように、照明装置(40)の光軸が、読取系の結像レンズ(102)の光軸からシフトされる。放物面鏡(8')については、ライン状の撮像領域(111)に焦点(F)を有する放物面鏡と平面鏡を用いない場合の照明光軸(38b)との交線を含み且つ照明装置(40)から放出された光束を受光する、放物面鏡の使用範囲(8'a)が、切り出される。読取系の変向ミラー(113)(折り返しミラー)は、結像レンズに入射する有効な画像光の全てを受光するための幅及び変向ミラー(113)(折り返しミラー)それ自体を支持する強度を提供するための幅を有し、撮像領域(111)から反射された光を直角方向に向けるように配置される。放物面鏡の使用範囲(8'a)は、照明光の光束が、変向ミラー(113)(折り返しミラー)を回避し、コンタクトガラス(108)上の照明対象面(9)に、比較的直角に近い角度で入射するように、決定される。放物面鏡の使用範囲(8'a)における放物面鏡(8')で反射された照明光の光束は、撮像領域(111)に効率良く集束される、すなわち、撮像領域(111)を効率良く照明する。照明光の光束が、原稿(107)面又はコンタクトガラス(108)の表面などで反射されるとき、その正反射光は、図47に示される正反射光の範囲49に反射される。よって、その正反射光は、変向ミラー(113)(折り返しミラー)へ反射されず、読取系の結像レンズ(102)に入射することもない。
一方、放物面鏡(8')で反射された照明光を撮像領域(111)に反射する平面鏡(55)を用いる場合には、図47に示すように、平面鏡を用いる場合の照明光軸(38a)は、読取光軸(37)の上側に配置されるように、例えば図41又は図42のように、照明装置(40)の光軸が、読取系の結像レンズ(102)の光軸からシフトされる。放物面鏡(8')については、ライン状の撮像領域(111)に焦点(F)を有する放物面鏡と平面鏡を用いない場合の照明光軸(38b)との交線を含み且つ照明装置(40)から放出された光束を受光する、放物面鏡の使用範囲(8'a)が、切り出される。そして、平面鏡(55)を、平面鏡(55)が、放物面鏡の使用範囲(8'a)における放物面鏡(8')から反射されると共に放物面鏡の焦点(F)に集束する光束を横切るように、配置する。また、放物面鏡(8')は、放物面鏡(8')が、平面鏡(55)の鏡面に対して、平面鏡を用いない場合の放物面鏡と面対象となるように、配置される。このようにして、平面鏡を用いる場合の照明光軸は、放物面鏡(8')及び平面鏡(55)の両方で折り曲げられ、撮像領域(111)に到達する。なお、平面鏡(55)の鏡面は、放物面鏡(8')によって覆われる。その結果、放物面鏡(8')の焦点距離を短くすることなく放物面鏡(8')の鏡面を下側に向けることができる。これにより、放物面鏡(8')を含む第1走行体(103)の大きさを増加させることがない。また、放物面鏡(8')に対する塵及び/又は埃(51)の付着を防止すると共に平面鏡(55)に付着した塵及び/又は埃(51)からの散乱光(52)が結像レンズ(102)に入射することを防止することができるため、フレアを低減することができる。
図48は、光束集束素子として楕円面鏡を用いる画像読取装置の例を説明する図である。 光束集束素子として楕円面鏡を用いる画像読取装置は、例えば、図43及び図46Bに示すような、集束レンズ(8)及びリレーレンズ(6)を含む照明系において、集束レンズ(8)を楕円面鏡(8''')に置き換えることによって、得られる。すなわち、図43及び図46Bに示すような、リレーレンズ(6)の焦点の位置に楕円面鏡(8''')の第一焦点F1を位置させると共に照明対象面(9)、例えば、ライン状の撮像領域(111)の位置に楕円面鏡(8''')の第二焦点F2を位置させる。また、光束集束素子として楕円面鏡を用いる画像読取装置は、例えば、図44A〜C及び図45A〜Cに示すような、集束レンズ(8)及び副照明レンズ(5')を含む照明系において、集束レンズ(8)を楕円面鏡(8''')に置き換えることによって、得られる。すなわち、図44A〜C及び図45A〜Cに示すような、副照明レンズ(5')の位置に楕円面鏡(8''')の第一焦点F1を位置させると共に照明対象面(9)、例えば、ライン状の撮像領域(111)の位置に楕円面鏡(8''')の第二焦点F2を位置させる。そして、図47に示すように、楕円面鏡(8''')及び変向ミラー(113)(折り返しミラー)を配置する。また、図48においては、平面鏡(55)を用いていないが、図47に示すように、平面鏡(55)を楕円面鏡(8''')と共に用いることができる。
[実施例19]
実施例19は、本発明の実施形態による、照明装置から放出される光束の発散度を抑制すると共に光利用率を向上させることができる別の照明系を、図49及び図50を参照して、説明する。
図49は、内面に反射面を有する照明装置の例を説明する図である。なお、図49は、内面に反射面を有する照明装置の例の正面図である。図49に示す照明装置は、LED及びLEDの位置に焦点を有すると共にLEDから放出される光を反射して概略平行光束として出力する回転放物面鏡(放物面鏡の焦点から放出される光束は、平行光束として出力される)を有する光源(1)、シリンダレンズアレイである集光レンズ(3)、シリンダレンズアレイである照明レンズ(5)、及びシリンダレンズである統合レンズ(7)を含む。図49に示す照明装置は、図49に示す面内では、光源(1)から放出される平行光束を、平行光束として出力する。
しかしながら、光源(1)のLEDは、実際には、ある面積又は体積を有するので、回転放物面の焦点から外れたLEDの位置から放出される光束は、平行光束ではなく、発散する光束として出力される。
図50は、LEDから放出されると共に回転放物面鏡で反射される光束の相対放射強度分布の例を示す図である。図50において、横軸は、LEDから放出されると共に回転放物面鏡で反射される光束の放射角度(°)を表し、縦軸は、LEDから放出されると共に回転放物面鏡で反射される光束の相対放射強度(%)を表す。LEDから放出されると共に回転放物面鏡で反射される光束の相対放射強度分布は、LEDの大きさ及び回転放物面鏡のF値にも依存するが、現実には、例えば図50に示すような分布を有する。図50に示す光源(1)については、±5°の放射角度で光源(1)から出力される光の相対放射強度は、完全な平行光の相対放射強度の約50%である。上述した実施例では、集束レンズ(8)で受光することができる光束は、光源(1)からの放射角度が、0°±1〜2°の範囲にあるような光束である。そこで、0°±1〜2°の範囲外の放射角度の光束を利用するために、照明装置(9)の内壁を、反射板の鏡面のような反射面(56)にする。これにより、図49に示す光源(1)から発散する光束(a、b、c)のうち、統合レンズ(7)の幅dの範囲外に出力される光束(b及びc)を、照明装置(9)の内壁における反射面(56)によって反射させ、集束レンズ(8)へ入射させることによって、照明系の光利用率を、10%程度向上させることが期待される。
また、図42に示すような画像読取装置において、照明装置(9)から発散する光束が、例えば、二つの折り返しミラー(112a)及び(112b)で反射され、その反射光の一部が、読取系の結像レンズ(102)へ入射するというフレアが発生することがある。このようなフレアを低減又は防止するために、図49に示すような照明装置において、照明装置の内壁の一方を、(反射面に代えて)光吸収板のような無反射の面にすると、光源(1)から発散する光の一部が、無反射面で吸収され、照明装置からフレア光の原因となる発散光の量を低減することができる。図49において上側の反射面(56)をそのままとし、下側の反射面(56)を吸収面に代えると光線bは放射されるが、光線cは吸収面によって吸収されて照明装置からは放射されない。その結果、先に述べた照明装置における光の利用率の向上効果は半減する。
なお、図49に示す照明装置は、副集光レンズ(3')、副照明レンズ(5')、又はリレーレンズ(6)を含んでもよく、集光レンズ(3)、副照明レンズ(5')、又はリレーレンズ(6)を含む照明装置でも、同様の効果を有することが、期待される。
[実施例20]
実施例20は、プリズムを使用して、光利用率を向上させることができるカラー画像読取装置を、図51〜図54を参照して、説明する。
図51は、画像読取装置の副走査方向における撮像領域での照度分布を説明する図である。ここで、図51(a)は、今まで説明してきた照明形をそのまま画像読取装置へ組み込んだ場合の副走査方向における撮像領域での照度分布の概念を説明する図であり、図51(b)は、本発明の実施形態による画像読取装置の副走査方向における撮像領域での照度分布を説明する図である。図51(a)及び図51(b)において、横軸は、画像読取装置の副走査方向における撮像領域での相対的な位置を表し、縦軸は、画像読取装置の副走査方向における撮像領域でのその位置における相対照度を表す。図52は、本発明の実施形態によるプリズムを含む照明系を用いる画像読取装置の第一の例を説明する図である。
従来の画像読取装置の副走査方向における撮像領域での照度分布は、図51(a)に示すように、撮像領域と照明光軸との交点で最大の照度を有する分布である。一方、カラー画像読取装置においては、一次元撮像素子は、副走査方向に1ラインCCDを3ライン分並べてある。また、各々の1ラインCCDの前面には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーフィルターのいずれかが設けられている。また、1ラインCCD間の間隔は、例えば、撮像領域上での4〜8画素分あけて設定される。その結果、各色に対応する1ラインCCDに入射する、撮像領域からの光量には、画像読取装置の副走査方向における撮像領域での照度分布が反映され、各色に対応する1ラインCCDに入射する光量は、図51(a)に示すような、R、G又はB用の1ラインCCDに対応する、撮像領域における位置の照度に比例する。図51(a)においては、R又はB用の1ラインCCDに対応する撮像領域における位置の照度は、G用の1ラインCCDに対応する撮像領域における位置の照度よりも相対的に低い。撮像領域における照度分布によって生じる、R、G及びB用の1ラインCCDの間における光量の差は、一般的には、1ラインCCDからの信号を電気的に処理する際の増幅率を変えることによって、補正できるが、画像読取装置における光利用率の向上の観点からは、図51(b)に示すように、各色用の1ラインCCDに対応する撮像領域における位置での各色の照明光の相対強度が、最大であることが望ましい。
例えば、図52に示すように、画像読取装置における照明光の光路中にプリズム(57)を挿入すると、プリズム(57)の分散効果によって、放物面鏡(8')及び楕円面鏡(8''')のようなミラーによって反射された照明光を、その波長に対して分散させる(即ち、照明光がその光の波長ごとに別々に分離される)ことができ、その波長に対して分散された照明光(即ち、照明光の波長ごとに別々に分離された光)を、撮像領域(111)に照射することができる。このように、プリズム(57)並びに放物面鏡(8')及び楕円面鏡(8''')のようなミラーの組み合わせによって、互いに異なる波長を備えた照明光、すなわち、互いに異なる色を備えた照明光を、撮像領域(111)における異なる位置に集束させることができ、互いに異なる色を備えた照明光は、撮像領域(111)における異なる位置で最大の照度を与える。このように、R、G及びBの照明光が、それぞれ、R、G及びB用の1ラインCCDに対応する撮像領域における位置で、概略最大の照度を有するように、プリズムによってR、G及びBの照明光を分散させることができる。すなわち、図51(b)に示すように、各色用の1ラインCCDに対応する撮像領域における位置での各色の照明光の相対強度を、概略最大にすることができる。
図53は、本発明の実施形態によるプリズムを含む照明系を用いる画像読取装置の第二の例を説明する図である。図53に示すように、鏡面(57')を備えたプリズム(57)、並びに、放物面鏡(8')及び楕円面鏡(8''')のようなミラーの組み合わせを、カラー画像読取装置に用いることもできる。図53に示すような画像読取装置においては、放物面鏡(8')及び楕円面鏡(8''')のようなミラーで反射された照明光は、鏡面(57')を備えたプリズム(57)に入射する。鏡面(57')を備えたプリズム(57)に入射した照明光は、プリズムの分散効果によって、その波長に対して分散される(即ち、照明光がその光の波長ごとに別々に分離される)と共に、その波長に対して分散された照明光(即ち、照明光の波長ごとに別々に分離された光)は、プリズム(57)の鏡面(57')によって撮像領域(111)に反射される。このように、互いに異なる波長を備えた照明光、すなわち、互いに異なる色を備えた照明光を、撮像領域(111)における異なる位置に集束させることができ、互いに異なる色を備えた照明光は、撮像領域(111)における異なる位置で最大の照度を与える。図53に示すように、鏡面(57')を備えたプリズム(57)における照明光の反射を用いる場合における、必要な分散を得るための鏡面(57')を備えたプリズム(57)の頂角は、図52に示すようなプリズム(57)を通じて照明光の透過を用いる場合におけるプリズム(57)の頂角の半分である。
なお、図52及び53に示すプリズム(57)は、撮像領域(111)の近傍に配置されている。よって、主走査方向おけるプリズム(57)の長さは、主走査方向における撮像領域(111)の長さとほぼ同等である。
図54は、本発明の実施形態によるプリズムを含む照明系を用いる画像読取装置の第三の例を説明する図である。図54に示すように、プリズム(57)を、照明装置内に又は照明装置の出口付近に配置すると、画像読取装置の主走査方向におけるプリズムの大きさを、比較的小さくすることができる。ただし、画像読取装置に、集束レンズ(8)のような光束集束素子を設ける場合には、光束集束素子における各色の照明光の集束を考慮して、プリズムによる照明光の分散(プリズムの屈折率及び頂角)を決定することが要求される。
[実施例21]
実施例21は、光利用率を向上させることができるカラー画像読取装置を、図55及び図56を参照して、説明する。
図55は、本発明の実施形態による光利用率を向上させることができるカラー照明系の例を説明する図である。ここで、図55(a)は、カラー照明系の上面図であり、図55(b)は、カラー照明系の正面図であり、図55(c)は、カラー照明系の側面から見た光源の図である。
図55(c)に示すように、カラー照明系の光源(1)は、複数のLED及びLEDから放出された光を反射すると共に平行光として出力する複数の回転放物面鏡を含む。なお、各々のLEDは、対応する回転放物面鏡の焦点に位置する。カラー照明系の光源(1)における複数のLEDについては、画像読取装置の主走査方向(71)に対応する方向に、同一の発光色のLEDを配置する。一方、画像読取装置の副走査方向(72)に対応する方向には、互いに異なる発光色のLEDを、例えば、図55(c)に示すように赤色(R)のLED、緑色(G)のLED及び青色(B)のLEDのような三色のLEDを、配置する。
また、図55(a)及び図55(b)に示すように、カラー照明系の照明装置は、光源(1)に加えて、副走査方向(72)について、各色のLEDに対応するシリンダレンズで構成されるシリンダレンズアレイの副集光レンズ(3')、集光レンズ(3)、照明レンズ(5)、統合レンズ(7)、副照明レンズ(5')及び副統合レンズ(7')を有する。さらに、カラー照明系は、カラー照明装置に加えて、副走査方向(72)について、副集光レンズ(3')によって分割された光束を照明対象面(9)に集束させるための、集束レンズ(8)、放物面鏡(8')及び楕円面鏡(8''')のような光束集束素子を含む。
図55(a)に示すように、図55(a)に示す面内で(主走査方向(71)について)、集光レンズ(3)、照明レンズ(5)及び統合レンズ(7)が作用し、カラー照明系は、図32及び図33に示す照明系と同様の機能を有する。
図55(b)に示すように、図55(b)に示す面内で(副走査方向(72)について)、副集光レンズ(3')のシリンダレンズアレイを構成するシリンダレンズの焦点距離は、副集光レンズ(3')から副照明レンズ(5')までの距離hであり、副集光レンズ(3')のシリンダレンズアレイを構成するシリンダレンズは、光源1の各色のLED及び回転放物面に対応する。また、副照明レンズ(5')も、副集光レンズ(3')のシリンダレンズアレイと(シリンダレンズの形状及び数について)同一である。また、副統合レンズ(7')の焦点距離は、副統合レンズ(7')から集束レンズ(8)までの距離gであり、集束レンズ(8)の焦点距離は、1/(1/(b'+g)+1/a')であり、ここで、a'は、集束レンズ(8)から照明対象面(9)までの距離であり、b'は、副照明レンズ(5')から副統合レンズ(7')までの距離である。このように構成すると集束レンズ8の中心でB、G、R各色の光軸が交わり、照明対象面(9)ではPの間隔を置いてR、G、Bの焦点位置をずらせる。その位置関係は光源側で上からB、G、Rと配置すると、照明対象面上ではR、G、Bと反転する。なお、副照明レンズ(5')を構成するシリンダレンズの焦点距離h及び副統合レンズ(7')の焦点距離gの合成焦点距離は、図45Aに示す照明系の副照明レンズ(5')の焦点距離と一致し、図55に示すカラー照明系における集束レンズ(8)の作用も、図45Aに示す照明系の集束レンズの作用と同じであるので、図55における個々の色のLEDに対するカラー照明系の光利用率は、図45Aにおける照明系の光利用率と同様である。しかしながら、図55に示すカラー照明系においては、R、G、Bの光学系のような、互いに異なる色に対する光学系の光軸を、副走査方向において、シフトさせてあるので、照明対象面(9)上における互いに異なる位置で、各色の照明光の相対強度を、概略最大にすることができる。例えば、図51(b)に示すように、各色用の1ラインCCDに対応する撮像領域における位置での各色の照明光の相対強度を、概略最大にすることができる。その結果、互いに異なる色の全体に対するカラー照明系の光利用率を向上させることができる。
なお、図55に示すカラー照明系は、図45Aに示す照明系に対応するが、図45B又は図45Cに示す照明系に対応するカラー照明系も設計することができる。さらに、図44A〜Cに示す照明系の構成のように、副集光レンズ(3')を用いないカラー照明系を設計することもできる。この場合にも、個々の色のLEDに対する設計されたカラー照明系の光利用率は、図44における対応する照明系の光利用率と同様であり、互いに異なる色の全体に対するカラー照明系の光利用率を向上させることができる。
なお、図55に示す照明系における副集光レンズ(3')及び副照明レンズ(5')のシリンダレンズアレイは、図46に示す照明系における副集光レンズ(3')及び副照明レンズ(5')のシリンダレンズアレイと異なる作用を有する。すなわち、図46に示す照明系においては、一色の光源から放出される光束を分割するように、副集光レンズ(3')及び副照明レンズ(5')のシリンダレンズアレイを構成するのに対して、図55に示す照明系においては、一色の光源に一つのシリンダレンズが対応するように、三色の光源に対して三個のシリンダレンズからなるシリンダレンズアレイが対応するように、副集光レンズ(3')及び副照明レンズ(5')のシリンダレンズアレイを構成する。
図55に示すカラー照明系の照明効率を向上させるためには、副走査方向(72)について、集束レンズ(8)の位置で照明光が広がり過ぎないように、副集光レンズ(3')から副照明レンズ(5')までの距離hに対する副照明レンズ(5')から集束レンズ(8)までの距離gの比g/hが、小さいことが好ましい。よって、主走査方向(71)において作用する集光レンズ(3)、照明レンズ(5)及び統合レンズ(7)は、副集光レンズ(3')と副照明レンズ(5')との間に挟まれる。しかしながら、集光レンズ(3)、照明レンズ(5)及び統合レンズ(7)は、必ずしも、副集光レンズ(3')と副照明レンズ(5')との間に挟まれる必要はない。
図56は、複数のレンズ機能を一体化したレンズを有する照明系の例を説明する図である。図56(a)は、その照明系の上面図であり、図56(b)は、その照明系の正面図である。
図56に示す照明系においては、図55に示すような集光レンズ(3)及び副集光レンズ(3')が一体化されている。図56においては、照明レンズ(5)及び副照明レンズ(5')は、別個のシリンダレンズアレイであるが、照明レンズ(5)及び副照明レンズ(5')を一体化することもできる。このように、照明系において、互いに隣接する個別のシリンダレンズ(アレイ)を一体化することができる。具体的には、個別のシリンダレンズ(アレイ)を一体化した形状を有する光学素子を、プラスチック成形を用いて得ることができる。
[実施例22]
実施例22は、画像読取装置の主走査方向における照度分布を改善する照明系を、図57及び図58を参照して、説明する。
図57は、読取系の結像レンズによって結像された像の明るさの特性を説明する図である。図58は、画像読取装置の主走査方向における好適な照度分布を説明する図である。図58において、横軸は、結像レンズの光軸に対する角度θであり、縦軸は、読取系の結像レンズによって結像された、角度θにおける像の相対的な明るさ又は撮像領域における好ましい相対的な照度(相対強度)を表す。なお、結像レンズの光軸の方向における像の明るさ又は撮像領域における照度を1とする。また、図58における(i)は、角度θに対する像の相対的な明るさの分布を表し、図58における(ii)は、角度θに対する好適な照度分布を表す。
図57に示すように、主走査方向(71)におけるライン状の撮像領域(111)が、結像レンズ(102)の光軸に対して垂直に配置されていると、読取系の結像レンズ(102)によって結像された、主走査方向(71)における撮像領域(111)における像の明るさは、一般的には、読取系の結像レンズの特性によって、結像レンズ(102)の光軸方向からの角度θが増加するに従って、又は、撮像領域(111)と結像レンズ(102)の光軸との交点から周辺に向かうに従って、低下する。
図58の(i)に示すように、主走査方向(71)におけるライン状の撮像領域(111)に対して垂直に配置された結像レンズ(102)によって結像される像の明るさは、結像レンズ(102)の光軸方向からの角度θが増加するに従って減少してしまい、図58の(i)に示すように、結像レンズ(102)の光軸方向における明るさのcos4θ倍となる。
上述した画像読取装置においては、撮像領域、すなわち、照明対象面での照度分布を均一にすると共に光利用率の向上させる照明系及び画像読取装置の構成を説明してきたが、画像読取装置における撮像領域における照度分布については、結像レンズの特性を考慮すすることが好ましい。
上述した照明系においては、集光レンズ(3)を構成するシリンダレンズの焦点距離をcに設定し、照明レンズ(5)を構成するシリンダレンズの焦点距離を1/(1/(a+b)+1/c)に設定することによって、照明対象面(9)における照度分布を均一化した。そのために、照明光に対する、集光レンズ(3)及び照明レンズ(5)を構成するシリンダレンズの円筒収差(球面レンズの球面収差に対応する)の影響を受ける部分は捨てていたので、上述した照明系の光利用率を落としていた。
より詳しくは、集光レンズ(3)の光軸(副光軸)付近の光束は、集光レンズ(3)を構成するシリンダレンズの円筒収差の影響をあまり受けず、照明レンズ(5)の中心部に集束し、照明レンズ(5)を通過し、照明対象面(9)内に均一に照射される。一方、集光レンズ(3)の周辺部分を通過する光束は、集光レンズ(3)を構成するシリンダレンズの円筒収差の影響を受け、照明レンズ(5)の手前で集束してしまい、照明対象範囲から外れてしまう。また、このような照明系を画像読取装置で用いる場合には、照明光束の拡大率が、数十倍であり大きいため、大きい円筒収差の大きな部分も使用せざるを得ない。そこで、集光レンズ(3)の周辺部分を通過すると共に集光レンズ(3)を構成するシリンダレンズによって発生した大きい円筒収差の影響を受けた光束も、照明レンズ(5)によって照明対象面(9)の周辺部分に取り込んで照射することによって、結像レンズ(102)のcos4θ特性とは逆である、図58の(ii)に示す1/cos4θの特性を有する照度分布を、照明対象面(9)(撮像領域(111))で得ることが可能である。
具体的には、集光レンズ(3)と照明レンズ(5)との間の間隔を、集光レンズ(3)及び照明レンズ(5)の焦点距離の数%から十数%だけ離す。この場合には、集光レンズ(3)の周辺部分を通過する光束も、照明対象領域の周辺部分に到達することができ、照明対象面(9)における周辺部分における照度が、照明対象面(9)の中心部分における照度よりも高くなり、概略1/cos4θの特性に近い分布を有する。また、シミュレーションの結果、照明対象面(9)における全体の照度も向上し、照度分布を均一にする場合と比較して、約50%の照明効率の向上が認められた。
[実施例23]
実施例23は、集光レンズを含まない照明系の例を、図59を参照して、説明する。図59は、本発明の実施形態による、集光レンズを含まない照明系の例を説明する図である。なお、図59は、集光レンズを含まない照明系の例の上面図である。また、図59においては、LED及びLEDの位置に焦点を有する回転楕円面鏡を備える光源のような、光源(1)から様々な方向に放出される光の光線のうち照明レンズ(5)を構成するレンズの中央付近を通る光線の一部のみを示している。前述の実施例における照明系は、集光レンズ(3)を含む。しかしながら、図59に示すように、照明の効率が、低下しても、照明系に含まれる部品点数を減少させることが望まれる場合には、照明系から集光レンズ(3)を除去してもよい。図59に示すように、集光レンズ(3)を含まない照明系においてもまた、光源(1)から放出される光束を、複数のレンズで構成される照明レンズ(5)によって照明対象面(9)に照明し、照明レンズ(5)に含まれる複数のレンズを通過する光束を、統合レンズ(7)によって、照明対象面(9)上で重畳させることができる。ここで、照明レンズ(5)を構成する複数のレンズは、光源(1)から放出される光束から複数の光束を取得し、それら複数の光束が照射対象面(9)上で部分的に重なり合うように、それら複数の光束を照射対象面(9)上に照射する作用を有する。
[実施例24]
実施例24は、統合レンズを含まない照明系の例を、図60及び61を参照して、説明する。図60は、本発明の実施形態による、統合レンズを含まない照明系の例を説明する図である。ここで、図60(a)は、統合レンズを含まない照明系の上面図であり、図60(b)は、統合レンズを含まない照明系の正面図である。
図60(a)に示すように、図60(a)に示す面内では、光源(1)から放出された光束を、集光レンズ(3)によって複数の光束に分割する。それら分割された光束は、照明レンズ(5)によって、照射対象面(9)に照射され、照射対象面(9)上で部分的に重なり合う。なお、集束レンズ(8)は、図60(a)に示す面内では、平行平面板と同様の作用を有する。
図60(a)に示すように、集光レンズ(3)及び照明レンズ(5)を構成するシリンダレンズの大きさmの光束が、照射対象面(9)上で大きさMの光束に拡大される。また、照明レンズ(5)を構成する複数のシリンダレンズによって照明対象面(9)に照射された複数の光束は、照明対象面(9)上で、集光レンズ(3)及び照明レンズ(5)を構成するシリンダレンズの大きさmだけシフトして、重なり合う。そして、照明レンズ(5)を構成する複数のシリンダレンズによって照明対象面(9)に照射された複数の光束の全てが重なり合う照明対象面(9)上の範囲は、均一に照明され、画像読取装置における読取対象領域とすることができる。すなわち、照明レンズ(5)を構成するn個のシリンダレンズによって照明対象面(9)上に大きさMのn個の光束が照射されるとき、大きさMのn個の光束が、n個のシリンダレンズの配列の方向に順次シリンダレンズの大きさmずつシフトして照明対象面(9)上で重なり合う。このとき、照明対象面(9)上においてn個のシリンダレンズの配列の方向にn個の光束の全部が重なり合う領域及びその両側にn個の光束の一部が重なり合う領域が形成される。ここで、n個の光束の一部が重なり合う領域は、1個の光束のみによって照射される大きさmの領域からn−1個の光束が重なり合う大きさmの領域までのn−1個の大きさmの領域からなる。このため、n個の光束の一部が重なり合う領域の大きさは、m×(n−1)である。また、n個の光束の全部が重なり合う領域は、1個の光束によって照射される大きさMの領域から片側のn個の光束の一部が重なり合う領域を除くことによって与えられる。このため、n個の光束の全部が重なり合う領域の大きさは、M−m×(n−1)である。よって、図60に示す照明系においては、読取対象領域は、M−m×(シリンダレンズの数−1)である。従って、集光レンズ(3)及び照明レンズ(5)を構成するシリンダレンズの数が小さいとき、読取対象領域は、広くなる。また、実際には、集光レンズ(3)及び照明レンズ(5)を構成するシリンダレンズの大きさmは、1mmから数mm程度である。よって、統合レンズを用いない場合、読取対象領域は、1mmから数mm程度の単位でしか減少しない。
図60(b)に示すように、図60(b)に示す面内では、光源(1)から放出された光束は、平行光束として、集光レンズ(3)及び照明レンズ(5)を通過し、集束レンズ(8)によって、照射対象面(9)上に集束させられる。ここで、集光レンズ(3)及び照明レンズ(5)は、図60(b)に示す面内では、平行平面板と同様の作用を有する。
さらに、この実施例でも実施例23と同様に集光レンズ(3)を除去しても光利用効率が少し悪くはなるが本発明の実施形態の本質を外すものではない。
図61Aは、一つの光源に対して奇数個のシリンダレンズからなるシリンダレンズアレイを用いる照明系の例を説明する図である。ここで、図61A(a)は、光源から放出される光束の強度分布を表す図であり、図61A(b)は、照明対象面における照度分布を説明する図である。
図60に示すような照明系において、直径Dを備えた光源(例えば、LED+コリメートレンズ又はミラー)から、図61A(a)に示すような強度分布で光束を放出する。図61A(a)に示すような強度分布で放出された光束は、幅m1、m2、m3を有する三個のシリンダレンズからなる集光レンズ(3)及び照明レンズ(5)を通過する。シリンダレンズm1を通過した光は、図61A(b)に示すように、照明対象面(9)でm1'によって表される照度分布を有する。同様に、シリンダレンズm2を通過した光は、照明対象面(9)によってm2'によって表される照度分布を有し、シリンダレンズm3を通過した光は、照明対象面(9)によってm3'によって表される照度分布を有する。その結果、シリンダレンズm1、m2、m3を通過した光の全体は、照明対象面(9)上に、m1'、m2'、m3'によって表される照度分布の重ね合わせの照度分布で、照明され、照明対象面(9)上においては、読取対象領域Mの範囲で均一な照度分布が得られる。
図61Bは、一つの光源に対して偶数個のシリンダレンズからなるシリンダレンズアレイを用いる照明系の例を説明する図である。ここで、図61B(a)は、光源から放出される光束の強度分布を表す図であり、図61B(b)は、照明対象面における照度分布を説明する図である。
図60に示すような照明系において、直径Dを備えた光源(例えば、LED+コリメートレンズ又はミラー)から、図61B(a)に示すような強度分布で光束を放出する。図61B(a)に示すような強度分布で放出された光束は、幅m1、m2、m3、m4を有する四個のシリンダレンズからなる集光レンズ(3)及び照明レンズ(5)を通過する。シリンダレンズm1を通過した光は、図61B(b)に示すように、照明対象面(9)でm1'によって表される照度分布を有する。同様に、シリンダレンズm2を通過した光は、照明対象面(9)でm2'によって表される照度分布を有し、シリンダレンズm3を通過した光は、照明対象面(9)でm3'によって表される照度分布を有し、シリンダレンズm4を通過した光は、照明対象面(9)でm4'によって表される照度分布を有する。その結果、シリンダレンズm1、m2、m3、m4を通過した光の全体は、照明対象面(9)上に、m1'、m2'、m3'、m4'によって表される照度分布の重ね合わせの照度分布で、照明され、照明対象面(9)上においては、読取対象領域Mの範囲で均一な照度分布が得られる。
なお、上述した実施例において、光束集束素子は、集束レンズ又は放物面鏡及び楕円面鏡のような反射鏡であるが、他のレンズの一部を反射鏡に置き換えることができる。例えば、統合レンズ(7)は、放物面鏡であってもよい(この場合には、照明装置の全体を逆向きにするか、又は、さらに一枚の平面鏡を挿入する必要がある)。
また、光源としては、LED以外の光源を用いてもよい。
さらに、照明系及び読取系を単一の走行体に設けてもよく、この場合には、単一の走行体を用いて原稿を走査し、原稿の画像を読み取ることができる。この場合は、照明装置、結像レンズ、一次元撮像素子などが単一の走行体に乗るので二つの走行体を用いる方法に比べると、質量が増大してしまうので高速に移動させるのが難しくなるが、フレアの発生源が減るのでその点では有利となる。
以上、本発明の実施の形態(実施形態)及び実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施の形態(実施形態)及び実施例に限定されるものではなく、これら本発明の実施の形態(実施形態)及び実施例を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
[付記]
付記(1):
光源により照明した原稿からの反射光を結像レンズにより撮像素子に結像させ、該原稿の画像を一次元に読み取り、これを走査することによって2次元の画像を読み取る画像読取装置であって、
少なくとも複数のレンズを有する照明レンズと、
複数の光束を重畳させる手段とを備えて成り、
上記光源から発する光束を複数に分割し、この分割された複数の光束を上記原稿面上に重畳させることを特徴とする画像読取装置。
付記(2):
上記照明レンズと同数のレンズを有する集光レンズを、上記光源と照明レンズとの間に挿入して成り、
上記光源から発する光束を複数に分割して上記照明レンズに効率よく与えることを特徴とする付記(1)に記載の画像読取装置。
付記(3):
上記照明レンズは、上記光源から発する光束を主走査方向に複数分割するように配置して成り、主走査方向に直交する方向には分割しないようにしたことを特徴とする付記(1)又は付記(2)に記載の画像読取装置。
付記(4):
上記光源が複数の光源から成り、
光束を分割する方向での光源の数と、光束を分割する数とを不一致としたことを特徴とする付記(1)〜付記(3)のいずれかに記載の画像読取装置。
付記(5):
上記光源が複数の光源から成り、
光束を分割する方向に複数の光源を配置し、該光束を分割する方向に直交する方向には、上記複数の光源の光束の分布を補完するように更に光源を配置したことを特徴とする付記(1)〜付記(4)のいずれかに記載の画像読取装置。
付記(6):
上記光源が複数の光源から成り、
上記それぞれの光源からの光束を略平行光とした後、上記照明レンズにより光束を複数に分割することを特徴とする付記(1)〜付記(5)のいずれかに記載の画像読取装置。
付記(7):
上記光源にLEDを用いたことを特徴とする付記(1)〜付記(6)のいずれかに記載の画像読取装置。
付記(8):
上記複数の光束を原稿面上に重畳させる手段として、統合レンズを用いたことを特徴とする付記(1)〜付記(7)のいずれかに記載の画像読取装置。
付記(9):
上記複数の光束を原稿面上に重畳させる手段として、楕円面鏡を用いたことを特徴とする付記(1)〜付記(3)のいずれかに記載の画像読取装置。
付記(10):
上記光源としてフィラメントを線状に配置したことを特徴とする付記(1)〜付記(3)のいずれかに記載の画像読取装置。
付記(11):
上記光源として帯状の発光体を用いたことを特徴とする付記(1)〜付記(3)のいずれかに記載の画像読取装置。
付記(12):
上記光源として放電灯を用いたことを特徴とする付記(1)〜付記(3)のいずれかに記載の画像読取装置。
付記(13):
主走査方向における照明対象面(コンタクトガラス)の中心と照明装置の中心を不一致としたことを特徴とする付記(1)〜付記(12)のいずれかに記載の画像読取装置。
付記(14):
結像系(撮像系)の主光軸と照明装置の主光軸を、照明対象面と平行な面上において平行に配置したことを特徴とする付記(1)〜付記(13)のいずれかに記載の画像読取装置。
付記(15):
原稿面(コンタクトガラス)に対して上記光源からの照明光を斜めに入射させるようにしたことを特徴とする付記(14)に記載の画像読取装置。
付記(16):
上記結像系を構成する結像レンズの近傍に照明装置を配置したことを特徴とする付記(14)又は付記(15)に記載の画像読取装置。
付記(17):
上記光源により撮像領域を照明する照明光と該撮像領域から反射する画像光とを、同一の反射面によって折り返すことを特徴とする付記(1)〜付記(16)のいずれかに記載の画像読取装置。
付記(18):
第1走行体に少なくとも一つの折り返し反射面を備え、第2走行体に少なくとも二つの折り返し反射面を備えて成り、上記撮像領域を照明する照明光と該撮像領域から反射する画像光とを、同一の上記反射面によって折り返すことを特徴とする付記(17)に記載の画像読取装置。
付記(19):
光源により照明した原稿からの反射光を結像レンズにより撮像素子に結像させ、該原稿の画像を一次元に読み取り、これを走査することによって2次元の画像を読み取る画像読取方法において、
上記光源から発する光束を複数に分割し、この分割された複数の光束を上記原稿面上に重畳させることを特徴とする画像読取方法。
付記(20):
付記(1)〜付記(18)のいずれかに記載の画像読取装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
付記(21):
光源から放出された光を対象に照明する照明装置において、
少なくとも一つの面内において、光源から放出された光から複数の光束を取得し、該複数の光束を該対象に照明する少なくとも一つの光束照明素子を含むことを特徴とする照明装置。
付記(22):
少なくとも一つの面内において、前記複数の光束を前記対象において重畳させる少なくとも一つの光束重畳素子をさらに含むことを特徴とする付記(21)に記載の照明装置。
付記(23):
少なくとも一つの面内において、前記複数の光束を前記対象において集束させる少なくとも一つの光束集束素子をさらに含むことを特徴とする付記(21)又は(22)に記載の照明装置。
付記(24):
第一の面内において前記複数の光束を前記対象において重畳させると共に該第一の面と異なる第二の面内において前記複数の光束を前記対象において集束させる少なくとも一つの光学素子をさらに含むことを特徴とする付記(21)に記載の照明装置。
付記(25):
前記少なくとも一つの面は、第一の面及び該第一の面と異なる第二の面を含み、
前記少なくとも一つの光束照明素子は、該第一の面内で光源から放出された光から複数の第一の光束を取得し、該複数の第一の光束を前記対象に照明する第一の光束照明素子、及び、該第二の面内で光源から放出された光から複数の第二の光束を取得し、該複数の第二の光束を前記対象に照明する第二の光束照明素子を含むことを特徴とする付記(21)に記載の照明装置。
付記(26):
前記光束集束素子の少なくとも一つは、前記対象から反射される光の少なくとも一部を集束させない部分を有することを特徴とする付記(23)に記載の照明装置。
付記(27):
少なくとも一つの面内において、前記光源から放出された光を前記複数の光束に分割する少なくとも一つの光束分割素子をさらに含むことを特徴とする付記(21)乃至(26)のいずれか一つに記載の照明装置。
付記(28):
前記光束分割素子及び前記光束照明素子の間の間隔は、前記光束分割素子の焦点距離及び前記光束照明素子の焦点距離よりも長いことを特徴とする付記(27)に記載の照明装置。
付記(29):
前記少なくとも一つの面は、第一の面及び該第一の面と異なる第二の面を含み、
前記少なくとも一つの光束分割素子は、該第一の面内で前記光源から放出された光を複数の第一の光束に分割する第一の光束分割素子、及び、該第二の面内で前記光源から放出された光を複数の第二の光束に分割する第二の光束分割素子をさらに含むことを特徴とする付記(27)に記載の照明装置。
付記(30):
前記光源は、第一の波長領域に含まれる波長を備えた光を放出する第一の光源及び第二の波長領域に含まれる波長を備えた光を放出する第二の光源を含み、
前記第一の光源及び前記第二の光源は、少なくとも一つの面内において、前記対象における前記第一の波長領域に含まれる波長を備えた光の照度のピーク位置が、前記対象における前記第二の波長領域に含まれる波長を備えた光の照度のピーク位置と異なるように、配置されることを特徴とする付記(21)乃至(29)のいずれか一つに記載の照明装置。
付記(31):
少なくとも一つの面内において、前記光源から放出された光を、該光の波長に対して分散させる波長分散素子をさらに含むことを特徴とする付記(21)乃至(30)のいずれか一項に記載の照明装置。
付記(32):
前記光源から放出された光の少なくとも一部を反射させる反射体をさらに含むことを特徴とする付記(21)乃至(31)のいずれか一つに記載の照明装置。
付記(33):
前記光源から放出された光の少なくとも一部を吸収する吸収体又は前記光源から放出された光の少なくとも一部を散乱させる散乱体をさらに含むことを特徴とする付記(21)乃至(31)のいずれか一つに記載の照明装置。
付記(34):
光源から放出された光を対象に照明する照明方法において、
少なくとも一つの面内において、光源から放出された光から複数の光束を取得し、該複数の光束を該対象に照明することを含むことを特徴とする照明方法。
付記(35):
少なくとも一つの面内において、前記複数の光束を前記対象において重畳させることをさらに含むことを特徴とする付記(34)に記載の照明方法。
付記(36):
少なくとも一つの面内において、前記複数の光束を前記対象において集束させることをさらに含むことを特徴とする付記(34)又は(35)に記載の照明方法。
付記(37):
第一の面内において前記複数の光束を前記対象において重畳させると共に該第一の面と異なる第二の面内において前記複数の光束を前記対象において集束させることをさらに含むことを特徴とする付記(34)に記載の照明方法。
付記(38):
前記少なくとも一つの面内において、光源から放出された光から複数の光束を取得し、該複数の光束を該対象に照明することは、第一の面内で光源から放出された光から複数の第一の光束を取得し、該複数の第一の光束を前記対象に照明すること、及び、該第一の面と異なる第二の面内で光源から放出された光から複数の第二の光束を取得し、該複数の第二の光束を前記対象に照明することを含むことを特徴とする付記(34)に記載の照明方法。
付記(39):
少なくとも一つの面内において、前記光源から放出された光を前記複数の光束に分割することをさらに含むことを特徴とする付記(34)乃至(38)のいずれか一つに記載の照明方法。
付記(40):
前記少なくとも一つの面内において、前記光源から放出された光を前記複数の光束に分割することは、第一の面内で前記光源から放出された光を複数の第一の光束に分割すること、及び、該第一の面と異なる第二の面内で前記光源から放出された光を複数の第二の光束に分割することをさらに含むことを特徴とする付記(39)に記載の照明方法。
付記(41):
前記光源が、第一の波長領域に含まれる波長を備えた光及び第二の波長領域に含まれる波長を備えた光を、少なくとも一つの面内において、前記対象における前記第一の波長領域に含まれる波長を備えた光の照度のピーク位置が、前記対象における前記第二の波長領域に含まれる波長を備えた光の照度のピーク位置と異なるように、放出することを含むことを特徴とする付記(34)乃至(40)のいずれか一項に記載の照明方法。
付記(42):
少なくとも一つの面内において、前記光源から放出された光を、該光の波長に対して分散させることをさらに含むことを特徴とする付記(34)乃至(41)のいずれか一つに記載の照明方法。
付記(43):
画像を備えた原稿に光源から放出された光を照明し、該原稿から反射された光を取得して該画像を読み取る画像読取装置において、
付記(21)乃至(33)のいずれか一つに記載の照明装置を含むことを特徴とする画像読取装置。
付記(44):
前記対象について読み取られた画像を拡大又は縮小する変倍光学素子をさらに含むことを特徴とする付記(43)に記載の画像読取装置。
付記(45):
前記対象の画像を結像させる結像光学系及び前記光源から放出された光を反射させる反射面を備えた反射光学素子をさらに含み、
該反射光学素子の該反射面は、該反射面が、該結像光学系によって結像されないように配置されることを特徴とする付記(43)又は(44)に記載の画像読取装置。
付記(46):
前記対象の画像を結像させる結像光学系の光軸及び前記光源から放出された光を前記対象に照明する照明系の光軸は、前記対象においてのみ一致することを特徴とする付記(43)乃至(45)のいずれか一つに記載の画像読取装置。
付記(47):
画像を備えた原稿に光源から放出された光を照明し、該原稿から反射された光を取得して該画像を読み取る画像読取方法において、
付記(34)乃至(42)のいずれか一つに記載の照明方法を用いて、画像を備えた原稿に光源から放出された光を照明することを特徴とする画像読取方法。
付記(48):
前記対象について読み取られた画像を拡大又は縮小することをさらに含むことを特徴とする付記(47)に記載の画像読取方法。
付記(49):
画像を備えた原稿の画像を読み取り、画像が形成される媒体に、該原稿の画像を形成する画像形成装置において、
付記(43)乃至(46)のいずれか一つに記載の画像読取装置を含むことを特徴とする画像形成装置。
付記(50):
画像を備えた原稿の画像を読み取り、画像が形成される媒体に、該原稿の画像を形成する画像形成方法において、
付記(47)又は(48)に記載の画像読取方法を用いて、画像を備えた原稿の画像を読み取ることを特徴とする画像形成方法。
本発明の実施形態を、デジタルPPCのような画像形成装置に含まれ、且つ、固体撮像素子、結像レンズ及び照明装置を有する縮小光学系を含む画像読取装置及び画像読取方法に適用することができる。本発明の実施形態による画像読取装置を、原稿台の上側から画像を読み取る、フィルムスキャナ及びブック原稿用のスキャナなどにもまた適用することができる。
図1(a)及び(b)は、それぞれ、一般的な画像読取装置の概略図及びその副走査方向における画像読取装置の断面図である。
図2は、別のタイプの画像読取装置の概略図である。
図3は、画像読取装置における照明領域と読取領域との間の関係を説明する図である。
図4は、画像読取装置における照明の状態及びその画像読取装置において発生するフレアを説明する図である。
図5は、フレアが発生した画像読取装置で読み取られた画像の例を示す図である。
図6は、ブック原稿から画像を読み取る場合に発生する影を説明する図である。
図7は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例1における照明系の基本的概念を説明する図であり、(a)は、照明系の上面図であり、(b)は、照明系の正面図である。
図8Aは、シリンダレンズアレイの形態を示す図である。
図8Bは、シリンダレンズの一例を示す図である。
図8Cは、シリンダレンズの別の例を示す図である。
図9Aは、実施例1においてシリンダレンズの数が、光源のLEDの数よりも一つだけ少ない例を示す図である。
図9Bは、実施例1においてシリンダレンズの数が、光源のLEDの数よりも一つだけ多い例を示す図である。
図10は、実施例1における照明対象面での照明分布を説明する図であり、(a)は、シリンダレンズの数が、光源のLEDの数に一致する例を示す図であり、(b)は、シリンダレンズの数が、光源のLEDの数よりも一つだけ少ない例を示す図であり、(c)は、シリンダレンズの数が、光源のLEDの数よりも一つだけ多い例を示す図である。
図11は、実施例1において三色のLEDを用いる、より実用的な照明系を説明する図であり、(a)は、その照明系の上面図であり、(b)は、その照明系の正面図であり、(c)は、その照明系の側面図である。
図12は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例2における照明系の第一の例を説明する図であり、(a)は、照明系の第一の例の上面図であり、(b)は、照明系の第一の例の正面図である。
図13は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例2における照明系の第二の例を説明する図であり、(a)は、照明系の第二の例の上面図であり、(b)は、照明系の第二の例の正面図である。
図14は、実施例2において三色のLEDを用いる、照明系を説明する図であり、(a)は、その照明系の上面図であり、(b)は、その照明系の正面図であり、(c)は、その照明系の側面図である。
図15は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例3における照明系を説明する図であり、(a)は、照明系の上面図であり、(b)は、光源に放物面鏡を用いた照明系の正面図であり、(c)は、光源に楕円面鏡を用いた照明系の正面図である。
図16は、直線状の発光体から放出される光束の放射ベクトル及びレンズによる光束の放射ベクトルの取り込みを説明する図であり、(a)は、発光体から均等に放出される光束の放射ベクトルの強度分布を示す図であり、(b)は、発光体の光軸方向により多く放出される光束の放射ベクトルの強度分布を示す図であり、(c)は、照明レンズで取り込まれる放射ベクトルを説明する図であり、(d)は、集光レンズで取り込むまれる放射ベクトルを説明する図である。
図17は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例4における光源としての蛍光管を説明する図である。
図18は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例4における第一の照明系を説明する図であり、(a)は、第一の照明系の上面図であり、(b)は、第一の照明系の正面図であり、(c)は、光源としての蛍光管の発光強度分布を示す図である。
図19は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例4における第二の照明系を説明する図であり、(a)は、第二の照明系の上面図であり、(b)は、第二の照明系の正面図である。
図20は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例5における照明系の第一の例を説明する図であり、(a)は、照明系の第一の例の上面図であり、(b)は、照明系の第一の例の正面図である。
図21は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例5における照明系の第二の例を説明する図であり、(a)は、照明系の第二の例の上面図であり、(b)は、照明系の第二の例の正面図である。
図22は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例6における照明系の例を説明する図であり、(a)は、照明系の例の上面図であり、(b)は、照明系の例の正面図である。
図23は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例7における第一の照明系を説明する図であり、(a)は、第一の照明系の上面図であり、(b)は、第一の照明系の正面図である。
図24は、本発明の実施形態による画像読取装置の実施例7における第二の照明系を説明する図であり、(a)は、第二の照明系の上面図であり、(b)は、第二の照明系の正面図である。
図25Aは、直線状に配置された複数のLED及びLEDから発散された光を平行光に変換する反射鏡を有する光源を説明する図であり、(a)は、その光源の側面図であり、(b)は、その光源の上面図である。
図25Bは、回転放物面鏡に対するLEDペレットの配置及びLEDペレットから放出される光束の放射ベクトルを説明する図である。
図26は、二次元的に配置された複数のLED及びLEDから発散された光を平行光に変換する反射鏡を有する光源を説明する図であり、(a)は、その光源の側面図であり、(b)は、その光源の上面図であり、(c)は、その光源の正面図である。
図27は、一体化された照明系及び読取系を用いる、実施例9の画像読取装置の上面図である。
図28は、一体化された照明系及び読取系を用いる、実施例9の画像読取装置の正面図である。
図29は、図1(a)及び(b)に示す画像読取装置に対応する、図27及び図28に示した画像読取装置を説明する図である。
図30は、画像読取装置におけるフレアの発生を説明する図である。
図31は、読取用の光を反射するエリアの周辺部分が折り曲げられた変向ミラーを用いる画像読取装置の例を示す図である。
図32は、本発明の実施形態による、より高い光利用を備えた照明系の例を説明する図であり、(a)は、実施例11における第一又は第二の照明系の上面図であり、(b)は、実施例11における第一の照明系の正面図であり、(c)は、実施例11における第二の照明系の正面図である。
図33は、集束レンズを有し且つ統合レンズの周辺部分を用いる照明系の例を説明する図であり、(a)は、その照明系の例の上面図であり、(b)は、その照明系の例の正面図である。
図34は、本発明の実施形態による照明系に用いることができるシリンダレンズの形状を示す図である。
図35は、一体化された、集束レンズを含む照明系及び読取系を用いる画像読取装置の例を説明する図である。
図36は、光束集束素子としての放物面鏡を有し且つ統合レンズの周辺部分を用いる照明系及び読取系を用いる画像読み取り装置の例を説明する図である。
図37は、光束集束素子として用いることができる放物面鏡の形状を示す図である。
図38は、光束集束素子としての放物面鏡及び補正レンズを有し且つ統合レンズの周辺部分を用いる照明系並びに読取系を用いる画像読み取り装置の例を説明する図である。
図39Aは、照明装置を結像レンズの上側に配置した画像読取装置の例を説明する図である。
図39Bは、照明装置を結像レンズの下側に配置した画像読取装置の例を説明する図である。
図40Aは、上側の折り返しミラーを二つの折り返しミラーに分割すると共に読取光軸を下側に配置し照明光軸を上側に配置する例を示す図である。
図40Bは、下側の折り返しミラーを二つの折り返しミラーに分割すると共に読取光軸を下側に配置し照明光軸を上側に配置する例を示す図である。
図40Cは、下側の折り返しミラーを二つの折り返しミラーに分割すると共に読取光軸を上側に配置し照明光軸を下側に配置する例を示す図である。
図40Dは、上側及び下側の折り返しミラーをそれぞれ二つの折り返しミラーに分割すると共に読取光軸を内側に配置し照明光軸を外側に配置する例を示す図である。
図41は、画像読取装置内に付着した塵又は埃によるフレアを低減することができる画像読取装置の例を説明する図である。
図42は、照明系から発散する発散光によって生じるフレアを低減することができる画像読取装置の例を説明する図である。
図43は、本発明の実施形態による集束レンズ及びリレーレンズを含む照明系の例を説明する図である。
図44Aは、本発明の実施形態による集束レンズ及び副照明レンズを含む照明系の第一の例を説明する図である。
図44Bは、本発明の実施形態による集束レンズ及び副照明レンズを含む照明系の第二の例を説明する図である。
図44Cは、本発明の実施形態による集束レンズ及び副照明レンズを含む照明系の第三の例を説明する図である。
図45Aは、本発明の実施形態による集束レンズ、副照明レンズ及び副集光レンズを含む照明系の第一の例を説明する図である。
図45Bは、本発明の実施形態による集束レンズ、副照明レンズ及び副集光レンズを含む照明系の第二の例を説明する図である。
図45Cは、本発明の実施形態による集束レンズ、副照明レンズ及び副集光レンズを含む照明系の第三の例を説明する図である。
図46Aは、本発明の実施形態による集束レンズ、副照明レンズアレイ及び副集光レンズアレイを含む照明系の第一の例を説明する図である。
図46Bは、本発明の実施形態による集束レンズ、副照明レンズアレイ及び副集光レンズアレイを含む照明系の第二の例を説明する図である。
図47は、光束集束素子として放物面鏡を用いる画像読取装置の例を説明する図である。
図48は、光束集束素子として楕円面鏡を用いる画像読取装置の例を説明する図である。
図49は、内面に反射面を有する照明装置の例を説明する図である。
図50は、LEDから放出されると共に回転放物面鏡で反射される光束の相対放射強度分布の例を示す図である。
図51は、画像読取装置の副走査方向における撮像領域での照度分布を説明する図であり、(a)は、従来の像読取装置の副走査方向における撮像領域での照度分布を説明する図であり、(b)は、本発明の実施形態による像読取装置の副走査方向における撮像領域での照度分布を説明する図である。
図52は、本発明の実施形態によるプリズムを含む照明系を用いる画像読取装置の第一の例を説明する図である。
図53は、本発明の実施形態によるプリズムを含む照明系を用いる画像読取装置の第二の例を説明する図である。
図54は、本発明の実施形態によるプリズムを含む照明系を用いる画像読取装置の第三の例を説明する図である。
図55は、本発明の実施形態による光利用率を向上させることができるカラー照明系の例を説明する図であり、(a)は、カラー照明系の上面図であり、(b)は、カラー照明系の正面図であり、(c)は、カラー照明系の光源の図である。
図56は、複数のレンズ機能を一体化したレンズを有する照明系の例を説明する図であり、(a)は、その照明系の上面図であり、(b)は、その照明系の正面図である。
図57は、読取系の結像レンズによって撮像された像の明るさの特性を説明する図である。
図58は、画像読取装置の主走査方向における好適な照度分布を説明する図である。
図59は、本発明の実施形態による、集光レンズを含まない照明系の例を説明する図である。
図60は、本発明の実施形態による、統合レンズを含まない照明系の例を説明する図であり、(a)は、統合レンズを含まない照明系の上面図であり、(b)は、統合レンズを含まない照明系の正面図である。
図61Aは、一つの光源に対して奇数個のシリンダレンズからなるシリンダレンズアレイを用いる照明系の例を説明する図であり、(a)は、光源のから放出される光束の強度分布を表す図であり、(b)は、照明対象面における照度分布を説明する図である。
図61Bは、一つの光源に対して偶数個のシリンダレンズからなるシリンダレンズアレイを用いる照明系の例を説明する図であり、(a)は、光源のから放出される光束の強度分布を表す図であり、(b)は、照明対象面における照度分布を説明する図である。
(図1〜29)
1a〜1s 光源
2h,2k,2r,2s 放物面鏡
2h',2m 楕円面鏡
3a〜3s 集光レンズ
4k,4m カバー
5a〜5q 照明レンズ
7a〜7k,7n〜7q 統合レンズ
9a,9d〜9h,9h',9k〜9q 照明対象面
14 ガラス管
15 開口部
16 蛍光剤
17 反射膜
18 電極部
20 電気導線
21 LEDペレット
25 原稿
26 コンタクトガラス
27,35 撮像素子
28,36 結像レンズ
30,30',40 照明装置
31,41 光源
32,42 照明レンズ
33,43 統合レンズ
37 読取光軸
38 照明光軸
44 折り返しミラー
45 原稿面
46 法線
47 光軸
48 正反射光軸
(図30〜63)
1 光源
3 集光レンズ
3' 副集光レンズ
3'' 副集光レンズアレイ
5 照明レンズ
5' 副照明レンズ
5'' 副照明レンズアレイ
6 リレーレンズ
7 統合レンズ
7' 副統合レンズ
8 集束レンズ
8' 放物面鏡
8'a 放物面鏡の使用範囲
8'' 補正レンズ
8''' 楕円面鏡
9 照明対象面
37 読取光軸
38 照明光軸
38a 平面鏡を用いる場合の照明光軸
38b 平面鏡を用いない場合の照明光軸
38c プリズムを用いる場合の照明光軸
38d プリズムを用いない場合の照明光軸
40 照明装置
48 正反射光軸
49 正反射光の範囲
51 塵及び/又は埃
52 散乱光
53 遮光板
54 発散光
55 平面鏡
56 反射面
57 プリズム
57' 鏡面
60 読取対象領域
61 主光軸
62 副光軸
71 主走査方向
72 副走査方向