JP2004235861A - 画像読取装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】原稿面の画像濃度に応じた二次照明光の強弱をなくし、二次照明光の影響による画像読取性能の低下を防止する。
【解決手段】原稿面8aを照明する光源9を有し、原稿面8aの画像を主走査方向に沿って線順次に読み取るようにした画像読取装置において、拡散面12aを備えた光拡散部材12を、拡散面12aが原稿面8aに対向し、かつ、光源9から出射されて原稿面8aに到達する一次照明光Aを遮光しない位置に配置する。これにより、拡散面12aは原稿面8aからの反射光を幅広い範囲に二次照明光Bとして再反射するので、原稿面8aの画像濃度に濃淡の差があり、原稿面8aから反射される反射光の光量に差が生じても、その反射光の光量の差がそのまま原稿面8aの各部を照明する二次照明光Bの光量の差とはならず、二次照明光Bは原稿面8aの各部に対して略均一に照明される。
【選択図】 図2
【解決手段】原稿面8aを照明する光源9を有し、原稿面8aの画像を主走査方向に沿って線順次に読み取るようにした画像読取装置において、拡散面12aを備えた光拡散部材12を、拡散面12aが原稿面8aに対向し、かつ、光源9から出射されて原稿面8aに到達する一次照明光Aを遮光しない位置に配置する。これにより、拡散面12aは原稿面8aからの反射光を幅広い範囲に二次照明光Bとして再反射するので、原稿面8aの画像濃度に濃淡の差があり、原稿面8aから反射される反射光の光量に差が生じても、その反射光の光量の差がそのまま原稿面8aの各部を照明する二次照明光Bの光量の差とはならず、二次照明光Bは原稿面8aの各部に対して略均一に照明される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像読取装置及びその画像読取装置を含む画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スキャナ等の画像読取装置においては、光源から出射された照明光により原稿面を照明し、原稿面を照明した照明光を原稿面の各部(白地部、画像部等)の反射率に比例して反射させ、原稿面で反射された光(反射光)を結像レンズまで導き、結像レンズを通過した反射光をCCD等の撮像素子上に結像させることにより画像読取を行っている。CCDは、画像読取の主走査方向に沿って1ライン分又は複数ライン分に渡って配列されている。
【0003】
このような画像読取装置における画像読取の精度を低下させる原因の一つに、フレア現象がある。このフレア現象とは、原稿面で反射した反射光が画像読取装置内の光学部品に当って再反射することにより二次照明光となり、この二次照明光が再度原稿面を照明する現象である。このフレア現象の発生により、光源から出射された照明光(以下、一次照明光という)と二次照明光との合計が、原稿面を照明する照明光となる。
【0004】
フレア現象のメカニズムを図16及び図17に基づいて簡単に説明する。図16は、画像読取装置の一部を示すもので、この画像読取装置は、原稿101が載置されるコンタクトガラス102、コンタクトガラス102上に載置された原稿101の原稿面101aをコンタクトガラス102の下方から照明する位置に配置された光源103、光源103の近傍に配置された種々の光学部品104等を備えている。
【0005】
光源103から出射された照明光(一次照明光)Aにより原稿面101aが照明され、一次照明光Aは原稿面101aで反射されて反射光となる。この反射光の大部分は折り返しミラー(図示せず)に向けて進行し、折り返しミラーで折り返されて結像レンズ(図示せず)に導かれるが、反射光の一部は光学部品104で再反射されて二次照明光Bとなり、再度原稿面101aを照明してフレア現象を生じる。
【0006】
このフレア現象が生じると、画像読取を行う領域の原稿面101aの画像濃度(以下、原稿濃度という)が同一であっても、画像読取を行う領域の周囲の原稿濃度の差によって、原稿読取の結果である原稿画像読取信号が変化する。これは、二次照明光Bを発生させる元になる反射光の光量が原稿面の各部の画像濃度により変化し、それに伴って二次照明光Bの光量が変化するためである。例えば、同じ白地部に対して照明される照明光(一次照明光A+二次照明光B)であっても、その周囲が白地部である場合には二次照明Bの光量が多くなり、その周囲が画像部である場合には二次照明光Bの光量が少なくなるので、照明光の光量に差が生じる。つまり、同じ白地部a、bであっても、白地部aの周囲が白地部、白地部bの周囲が画像部である場合には、白地部aに対しては周囲の白地部からの反射光(光量が多い)が再反射した二次照明光Bの光量が多くなり、白地部bに対しては周囲の画像部からの反射光(光量が少ない)が再反射した二次照明光Bの光量が少なくなる。このため、周囲が白地部である白地部aを照明する照明光(一次照明光A+二次照明光B)の光量が多くなるとともにその白地部aから結像レンズに向けて導かれる反射光の光量が多くなり、周囲が画像部である白地部bを照明する照明光(一次照明光A+二次照明光B)の光量が少なくなるとともにその白地部bから結像レンズに向けて導かれる反射光の光量が少なくなり、反射光の光量が多い白地部aは白地であると判断され、反射光の光量が白地部aより少ない白地部bは、白地部aよりも暗いと判断される。
【0007】
図17は、フレア現象が生じた場合の画像読取結果を説明する説明図である。図17(a)は原稿面の画像を示し、図17(b)はその原稿面の読取結果を示している。図17(a)に示すように、この原稿面には、3つの白地部110a、110b、110cと、2つの画像部111a、111bとが形成されている。なお、図面における左右方向が画像読取時の主走査方向であり、原稿面を照明する長尺状の光源の長手方向である。白地部110cは、主走査方向に沿って位置する2つの画像部111a、111bに挟まれている。
【0008】
この原稿面の画像を読取ると、一次照明光Aが白地部110a、110b、110cを照明したときには白地部110a、110b、110cからの反射光の光量が多くなり、その反射光が再反射されることにより発生する二次照明光Bの光量も多くなる。一方、一次照明光Aが画像部111a、111bを照明したときには画像部111a、111bからの反射光の光量が少なくなり、その反射光が再反射されることにより発生する二次照明光Bの光量も少なくなる。
【0009】
このため、周囲が白地部である白地部110a、110bでは照明される二次反射光Bの光量が多くなり、周囲が画像部である白地部110cでは照明される二次反射光Bの光量が少なくなる。つまり、白地部110a、110bでは照明光(一次照明光A+二次照明光B)の光量が多くなり、白地部110cでは照明光(一次照明光A+二次照明光B)の光量が少なくなるので、白地部110cは白地部110a、110bに比べて暗く読取られる。
【0010】
このようなフレア現象が原因となる画像読取の精度低下は、原稿面の画像濃度が急激に変化する領域(白地部と画像部との境界部)で顕著になる。
【0011】
そこで、フレア現象による画像読取の精度低下を防止するための種々の発明が提案され、実用化されている。
【0012】
その一例としては、フレア現象を抑制するために、光源と原稿面との間に遮光機能を有する部材(集光手段)を配置し、この部材で照明光(一次照明光)の一部を遮光することにより二次照明光の発生量を低減させている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
【特許文献1】
特開平9−130540号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に開示された発明では、二次照明光は低減されるものの依然として発生し、フレア現象による画像読取の精度低下も依然として発生する。
【0015】
また、照明光の一部を遮光するため、照明光の一部が無駄に消費されている。
【0016】
本発明の目的は、原稿面の各部において原稿面の画像濃度に応じた二次照明光の強弱をなくし、二次照明光の影響による画像読取性能の低下を防止した画像読取装置を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、画像読取の副走査方向で二次照明光の光量が変化した場合でも、その影響を受けることなく高精度の画像読取を行える画像読取装置を提供することである。
【0018】
本発明の目的は、二次照明光の影響による画像読取性能の低下を防止できる画像読取装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、原稿面を照明する光源と、前記原稿面からの反射光が結像レンズを介してライン状に結像される一次元撮像素子とを有し、前記原稿面の画像を主走査方向に沿って線順次に読み取るようにした画像読取装置において、前記光源から出射されて前記原稿面に到達する一次照明光を遮光しない位置に配置され、前記原稿面に対向する拡散面を備えた光拡散部材を有する。
【0020】
したがって、光源から出射された一次照明光が原稿面を照明すると、その一次照明光は原稿面で反射されて反射光となり、その反射光の一部が光拡散部材の拡散面で再反射されて二次照明光となり、最終的に原稿面は、一次照明光と二次照明光とが合計された照明光により照明され、その照明光の反射光が結像レンズを介して一次元撮像素子に結像され、原稿面の画像読取が行われる。
【0021】
光拡散部材の拡散面は、原稿面からの反射光を幅広い範囲に拡散して再反射するので、原稿面の画像濃度に濃淡の差があり、それによって原稿面から反射される反射光の光量に差が生じても、その反射光の光量の差がそのまま原稿面の各部を照明する二次照明光の光量の差とはならず、二次照明光は原稿面の各部に対して略均一に照明される。このため、原稿面の各部において原稿面の各部の画像濃度に応じた二次照明光の強弱がなくなり、二次照明光の光量の差による画像読取性能の低下が防止される。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像読取装置において、前記拡散面に、主走査方向に連続する鋸刃形状の凹凸部が形成されている。
【0023】
ここで、鋸刃形状とは、複数の三角形を底辺を連続させた状態で一方向に配列した形状をいう。
【0024】
したがって、鋸刃形状の凹凸部で再反射された二次照明光は元の位置に戻らずに広い範囲に拡散して反射されるので、原稿面に照明される二次照明光の光量がより一層均一化される。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像読取装置において、前記凹凸部の主走査方向ピッチが画像読取解像度の2倍以下である。
【0026】
したがって、このような小さなピッチで凹凸部を形成することにより、より細かく二次照明光を拡散させることができ、二次照明光の部分的なむらが生じにくくなり、原稿面に照明される二次照明光の光量がより一層均一化される。
【0027】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一記載の画像読取装置において、前記拡散面の色は、前記拡散面の周囲に配置された部材の色に対して補色の関係にある。
【0028】
ここで、二次照明光は拡散面で再反射されたものばかりでなく、拡散面の周囲に配置された部材で再反射されたものも含まれる。したがって、原稿面に照明される二次照明光は、拡散面で再反射された二次照明光と拡散面の周囲に配置された部材で再反射された二次照明光とが合成されたものとなるが、それらの二つの二次照明光が補色の関係にある部材で反射されたものであるので合成された二次照明光は白色光に近いものとなり、二次照明光の影響による原稿面の色に関する読取性能の低下が防止される。
【0029】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか一記載の画像読取装置において、前記拡散面の反射率は、前記光源の長手方向に沿った方向の一次照明光の強度分布に応じ、強度が高いところほど低く、強度が低いところほど高く設定されている。
【0030】
したがって、一次照明光の強度が高い(一次照明光の光量が多い)領域の二次照明光と、一次照明光の強度が低い(一次照明光の光量が少ない)領域の二次照明光との強度差(光量差)が小さくなり、一次照明光の強度分布にむらがあっても、二次照明光の光量が均一化される。
【0031】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか一記載の画像読取装置において、前記光拡散部材が少なくとも2つ以上設けられている。
【0032】
したがって、一次照明光を遮光することなく拡散面の面積を大きくすることが可能となり、原稿面に照明される二次照明光の光量がより一層均一化される。
【0033】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか一記載の画像読取装置において、前記光源は、前記一次元撮像素子による前記原稿面のライン状読取範囲よりもそのライン方向と直交する方向で広範囲に原稿面を照明する。
【0034】
したがって、原稿面に到達する一次照明光の範囲が広くなり、より広い範囲からの反射光を拡散面で再反射させて二次照明光を得ることができ、原稿面に照明される二次照明光の光量がより一層均一になる。
【0035】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか一記載の画像読取装置において、前記一次元撮像素子で線順次に読み取られた原稿画像読取信号の平均値を算出する平均値算出手段と、算出された前記平均値から前記原稿面の白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を算出するスレッシュ値算出手段と、算出された前記スレッシュ値を用いて白地部と画像部とを区分けした画像データを作成する画像データ作成手段と、を有する。
【0036】
したがって、線順次に読み取られた原稿画像読取信号の平均値を算出し、その平均値から原稿面の白地部を判断するスレッシュ値を算出するので、スレッシュ値を用いて線順次ごとに原稿面の白地部を検出して最適な画像処理が期待でき、画像読取の副走査方向で原稿濃度の変化があって各線順次の読取時の二次照明光の光量が増減しても、その二次照明光の光量の変化の影響を受けない画像読取を行える。
【0037】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか一記載の画像読取装置において、前記一次元撮像素子で線順次に読み取られた複数ライン分の原稿画像読取信号を記憶する記憶手段と、前記記憶手段で記憶された複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値を算出する平均値算出手段と、算出された前記平均値から前記原稿面の白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を算出するスレッシュ値算出手段と、算出した前記スレッシュ値を用いて白地部と画像部とを区分けした画像データを作成する画像データ作成手段と、を有する。
【0038】
したがって、線順次に読み取られた原稿画像読取信号の複数ライン分が記憶され、その複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値を算出し、その平均値から原稿面の白恥部を判断するスレッシュ値を算出するので、主走査方向の原稿濃度が副走査方向で局所的に大きく変化した原稿でも、原稿画像読取信号の平均値が大きく変化することがなく、より正確なスレッシュ値の算出が可能となり、二次照明光の光量の変化の影響を受けない画像読取を行える。
【0039】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか一記載の画像読取装置において、前記一次元撮像素子で線順次に読み取られた複数ライン分の原稿画像読取信号を記憶する記憶手段と、前記記憶手段で記憶された複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値を算出する平均値算出手段と、算出された平均値から二次照明光の光量に応じた補正係数を算出する補正係数算出手段と、算出された補正係数を用いて前記原稿画像読取信号を補正する補正手段と、を有する。
【0040】
ここで、二次照明光とは、光源から出射されて原稿を照明した一次照明光が原稿面で反射されて反射光となり、その反射光の一部が光拡散部材の拡散面やその他の部材で再反射されて再び原稿面に照明された光である。
【0041】
したがって、副走査方向の原稿濃度の変化があって各線順に読み取られる読取時の二次照明光の光量が増減しても、二次照明光の光量に応じて原稿画像読取信号を補正することができ、主走査方向・副走査方向に関係なく、原稿濃度に対してリニアリティの高い画像読取が可能となる。
【0042】
請求項11記載の発明の画像形成装置は、請求項1ないし10のいずれか一記載の画像読取装置と、前記画像読取装置で読み取った画像を記録媒体上に形成するプリンタ装置と、を有する。
【0043】
したがって、請求項1ないし10のいずれか一記載の画像読取装置で読み取られた画像がプリンタ装置によって記録媒体上に形成されるので、請求項1ないし10のいずれか一記載の画像読取装置の作用を得ることが可能になる。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施の形態を図1ないし図3に基づいて説明する。図1は画像読取装置の概略図であり、図2はその要部を示す断面図である。
【0045】
画像読取装置1の装置本体2内には、第一走行体3、第二走行体4、結像レンズ5、一次元撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)6等が設けられている。
【0046】
装置本体2の上部にはコンタクトガラス7が配置され、このコンタクトガラス7上には画像読取の対象となる原稿8が載置され、載置された原稿8はその上から圧板(図示せず)により押えられる構造とされている。なお、圧板に代えて、圧板の機能をも備えたADF(自動原稿搬送装置)を設置することも可能である。
【0047】
第一走行体3は、コンタクトガラス7上に載置された原稿8の原稿面8aを照明する照明光(一次照明光A)を出射する長尺形状の光源9、光源9から出射された一次照明光Aであって原稿面8aに向かわなかった一次照明光Aを原稿面8aに向けて反射させるリフレクタ10、原稿面8aで反射された反射光を折り返して反射する第一反射ミラー11、拡散面12aを備えた光拡散部材12を有する。第一走行体3は、コンタクトガラス7と平行に対向した状態を維持して副走査方向(矢印a方向)へ往復走行可能に設けられている。
【0048】
第二走行体4は、第二反射ミラー13と第三反射ミラー14とを有する。第二走行体4は、コンタクトガラス7と平行に対向した状態を維持して副走査方向(矢印a方向)へ往復走行可能に設けられている。第一走行体3と第二走行体4とは同時に同じ方向に走行し、その走行速度は2:1に設定されている。第一走行体3と第二走行体4との走行は、モータ15(図3参照)からの駆動力をタイミングベルトやプーリを介して第一走行体3と第二走行体4とに伝達することにより行われる。
【0049】
コンタクトガラス7上に載置された原稿8の原稿面8aの画像読取の基本原理は、以下の通りである。第一走行体3と第二走行体4とが2:1の速度比で結像レンズ5側へ向けて走行するとともに点灯した光源9から出射された一次照明光Aにより原稿面8aが照明され、一次照明光Aは原稿面8aで反射して反射光となる。この反射光が第一反射ミラー11、第二反射ミラー13、第三反射ミラー14により順次反射され、結像レンズ5を通過した後にCCD6上で結像され、原稿面8aの画像読取が行われる。
【0050】
つぎに、この画像読取装置1に備えられる各部の電気的接続を図3に基づいて説明する。図3に示すように、この画像読取装置1は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)16を備えており、このマイコン16によって画像読取装置1が備える各部が駆動制御される。マイコン15は、各部を集中的に駆動制御するCPU(Central Processing Unit)17、アドレスバス、データバス等のバスライン18を介して、起動プログラム等の固定的データを予め格納したROM(Read Only Memory)19と、可変的なデータを書き換え自在に記憶してCPU17のワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)20とが接続されて構成されている。なお、RAM20は、バッテリ(図示せず)によりバックアップされている。このマイコン16が、上述した光源9、モータ15、CCD6等の各部をバスライン18を介して駆動制御する。
【0051】
このような構成の下、本実施の形態の特徴的部分について以下に説明する。光拡散部材12は、光源9から出射されて原稿面8aに到達する一次照明光Aを遮光しない位置に配置されている。また、拡散部材12は、光源9の長手方向(画像読取の主走査方向)に延出し、光源9と略同じ長さに形成されている。拡散面12aは、当たった光を拡散して反射させる機能を有し、原稿面8aで反射された反射光の一部が拡散面12aに当るとその反射光は再反射されて二次照明光Bとなり、再度原稿面8aを照明する。
【0052】
光拡散部材12の設置位置に関しては、原稿面8aからできるだけ遠くに位置することが、拡散領域を広げられるという点で好適である。また、拡散面12aの面積は、一次照明光Aを遮光しない範囲で広ければ広いほど好適である。
【0053】
尚、本実施の形態では、独立した部品として光拡散部材12を設けた場合を例に挙げて説明したが、他の部材と共有化してもよく、それによって部品点数の削減を図れる。例えば、第一反射ミラー11への入射光部に入射光を制限するアパーチャを設けた場合にはそのアパーチャに拡散面を形成してもよく、また、光源9を保持するブラケット等に拡散面を形成してもよい。この場合には、アパーチャ、ブラケット等が光拡散部材に相当する。
【0054】
拡散面12aは、光を広い範囲に拡散して反射する機能を有するものが好適であり、例えば、オパールガラスなどの光学部品、低光沢の白色塗装でもよい。
【0055】
このような拡散面12aを有する光拡散部材12を設けることにより、原稿面8aからの反射光が拡散面12aで再反射されて生じる二次照明光Bは、原稿面8aの幅広い範囲に拡散して照明される。このため、原稿面8aの主走査方向に沿った位置で画像濃度に濃淡の差があり、それによって原稿面8aの主走査方向に沿った各部から反射される反射光の光量に差が生じても、その反射光の光量の差がそのまま原稿面8aの主走査方向に沿った各部を照明する二次照明光Bの差とはならず、二次照明光Bは原稿面8aの主走査方向の各部に対して略均一に照明される。このため、原稿面8aの主走査方向に沿った各部において原稿面8aの各部の画像濃度に応じた二次照明光Bの強弱がなくなり、原稿面8aを照明する照明光(一次照明光A+二次照明光B)の光量が原稿面8aの主走査方向の各部において均一になり、二次照明光Bの光量の差による主走査方向に沿った方向での画像読取性能の低下が防止される。具体的には、周辺が白地部である白地部と、周辺に画像部がある白地部とにおいて、照明される照明光(一次照明光A+二次照明光B)の光量が略同じになるので、それらの白地部が同じ明るさに読み取られる。
【0056】
ここで、原稿面8aと拡散面12aとの距離について考察する。拡散面12aを原稿面8aに近づけ場合、拡散面12aで再反射された二次照明光Bがすぐに原稿面8aに到達するため、拡散面12aで拡散された二次照明光Bが原稿面8a上の反射位置の近くに照明されることになり、二次照明光Bが原稿面8a上の元の反射位置を再照明する割合が大きくなり、二次照明光Bの光量の均一化を図れない。
【0057】
拡散面12aと原稿面8aとの間の距離の目安としては、拡散面12aの拡散性能に依存するが、光源9としてXeランプを搭載する画像読取装置1の場合、Xeランプの蛍光面(ランプ内側)よりも遠く設置するのが望ましい。
【0058】
その理由は、Xeランプの内側は蛍光材として白色拡散面を構成しており、原稿面8aで反射された反射光がXeランプの白色拡散面で反射してフレア現象を起こしていることが知られている。標準的なスキャナ照明系であれば原稿面8aからXeランプの白色拡散面までが10〜20mm程度であり、この程度の距離だと主走査方向での二次照明光量Bのむらが発生してしまうため、画像読取装置1がA3原稿を読み取れるサイズとすると、30mm以上の距離を確保した方が良く、できれば50mm程度有る方が望ましい。
【0059】
本発明の第二の実施の形態を図4に基づいて説明する。なお、図1ないし図3において説明した部分と同じ部分は同じ符号で示し、説明も省略する(以下の実施の形態でも同じ)。
【0060】
本実施の形態では、光拡散部材12の拡散面12aに特徴があり、この拡散面12aに主走査方向に連続する鋸刃形状の凹凸部12bが形成されている。凹凸部12bのピッチ“P”は、画像読取装置1の読取解像度に対して2倍以下に設定されている。例えば、現在複写機に搭載された画像読取装置1の標準的な画像読取解像度が600dpiであり、1画素が42.3μmとなるところから、凹凸部12bのピッチ“P”は84.6μm以下とされている。
【0061】
このような構成において、拡散面12aに鋸刃形状の凹凸部12bを形成することにより、原稿面8aからの反射光が拡散面12aに到達すると、拡散面12aで再反射される二次照明光Bは凹凸部12bの反射面で主走査方向にかならず振られて反射することになり、原稿面8a上の反射した位置には戻らないことになる。つまり、オパールガラスなどの単純な拡散面だと、そこを反射した光の一部が原稿面8aの元の反射位置に戻るのに対して、本実施の形態のように鋸刃形状の凹凸部12bを形成することにより、拡散面12aで再反射された二次照明光Bはほとんど元の反射位置に戻ることがなく、より拡散効果が高くなり、原稿面8aに照明される二次照明光Bの光量がより一層均一化される。
【0062】
さらに、凹凸部12bのピッチ“P”を画像読取装置1の読取解像度に対して2倍以下に設定することにより、より細かく二次照明光Bを拡散させることができ、二次照明光Bの部分的なむらが生じにくくなり、原稿面8aに照明される二次照明光Bの光量がより一層均一化される。
【0063】
本発明の第三の実施の形態を説明する。本実施の形態の外観上の構成は第一又は第二の実施の形態と同じであるので、図面は図1ないし図3を援用して説明する。
【0064】
本実施の形態では、光拡散部材12の拡散面12aの色が、拡散面12aの周囲に配置された部材の色に対して補色の関係となるように設定されている。拡散面12aの周囲に配置された部材としては、光源9を保持するブラケットや、光源9がXeランプである場合の蛍光面などが含まれる。
【0065】
画像読取装置1において発生する二次照明光Bは、拡散面12aで再反射されたものばかりでなく、拡散面12aの周囲に配置された部材で再反射されたものも含まれる。したがって、原稿面8aに照明される二次照明光Bは、拡散面12aで再反射された二次照明光Bと拡散面12aの周囲に配置された部材で再反射された二次照明光Bとが合成されたものとなるが、それらの二つの二次照明光Bが補色の関係にある部材で反射されたものであるので合成された二次照明光Bは白色光に近いものとなり、二次照明光Bの影響により原稿面8aの色味が変化するということが防止される。この点に関しては、特にフルカラーの画像読取装置で読み取りを行った場合におけるRGB読取値の色分解性能の低下を防止できる。
【0066】
本発明の第四の実施の形態を説明する。本実施の形態の外観上の構成は第一又は第二の実施の形態と同じであるので、図面は図1ないし図3を援用して説明する。
【0067】
本実施の形態では、光拡散部材12の拡散面12aの反射率が、光源9の長手方向に沿った方向の一次照明光A(リフレクタ10で反射された一次照明光Aを含む)の強度分布に応じ、強度が高いところほど低く、強度が低いところほど高く設定されている。
【0068】
強い一次照明光Aが照明された原稿面8aでは、原稿濃度にもよるが基本的には強い反射光が発生し、その反射光が拡散面12aで再反射されて発生する二次反射光Bは強くなる(光量が多くなる)。その逆に、弱い一次照明光Aが照明された原稿面8aでは、発生する反射光が弱くなるとともにその反射光が拡散面12aで再反射されて発生する二次照明光Bも弱くなる(光量が少なくなる)。つまり、拡散面12aによって原稿面8aに二次照明光Bが均一に照明されるようにしても、一次照明光Aの強度分布が均一でなければ、二次照明光Bの光量もむらが生じてしまう。
【0069】
そこで、本実施の形態のように、拡散面12aの反射率を一次照明光Aの強度分布に応じてその強度分布の逆になるような反射率で形成することにより、原稿面8aの主走査方向の各部に照明される二次照明光Bの光量が均一化される。
【0070】
本発明の第五の実施の形態を図5に基づいて説明する。本実施の形態では、二つの光拡散部材12が設けられている。拡散面12aは広く形成するほど二次照明光Bを拡散する効果が高くなり、原稿面8aの濃度変化にかかわらず二次照明光Bを均一に原稿面8aに照明することが可能となる。
【0071】
しかし、画像読取装置1の照明光学系では、光源9、リフレクタ10、一次反射ミラー11等を設置する必要があるため、あまり大きいスペースを確保できない。そこで本実施の形態で示すように、画像読取の副走査方向の上流側と下流側との二箇所に二つの光拡散部材12を設置することにより、大きなスペースを確保することなく広い拡散面12aを得ることができ、原稿面8aに照明される二次照明光Bの光量がより一層均一化される。
【0072】
光拡散部材12を副走査方向の上流側と下流側との二箇所に設置することにより、二次照明光Bが原稿面8aに対して副走査方向の両側から照明されることになり、例えば切り貼りして紙厚分の段差の生じた原稿などの場合、一方向から照明すると段差の影が生じるが、本実施の形態ではそのような影の発生を抑制できる。
【0073】
本発明の第六の実施の形態を図6に基づいて説明する。本実施の形態では、光源9が、CCD6による原稿面8aのライン状読取範囲よりもそのライン方向と直交する方向(副走査方向)広範囲に原稿面8aを照明するように形成されている。具体的には、光源9であるXeランプの開口部9aの角度を大きくし、又は、リフレクタ10の角度や面積を変更することにより実現することができる。リフレクタ10は本来、反射光をCCD6の撮像領域に集光させるには曲率の大きな曲面であった方が有効であるが、本実施の形態では、逆に曲率を小さくして集光率を下げ、平面形状に近付けたりする。
【0074】
原稿面8aの広い範囲を照明することで、原稿面8aからの反射光が拡散面12aで再反射した二次照明光Bが多く発生するようになり、拡散面12aの効果によってより広い範囲で原稿に到達する均一な光量の二次照明光が得られる。
【0075】
したがって、原稿面に到達する一次照明光の範囲が広くなり、より広い範囲からの反射光を拡散面12aで再反射させて二次照明光Bを得ることができ、原稿面8aに照明される二次照明光Bの光量がより一層均一になる。
【0076】
本発明の第七の実施の形態を図7ないし図9に基づいて説明する。
【0077】
本実施の形態の画像読取装置1Aには、原稿面8aの画像を線順次に読み取る画像読取部21、画像読取部21で読み取った原稿画像読取信号に対して所定の処理を行う画像処理部22が設けられている。画像処理部22で画像処理が行われた画像データは、プリンタ装置、記憶装置等に出力される。
【0078】
画像読取部21では、第一、第二走行体3、4をモータ駆動により走行させ、そのときに光源9からの照明光の反射光をCCD6上に結像させることにより原稿面8aの画像読取が行われる。この画像読取は、主走査方向に沿った線順次に行われる。
【0079】
画像処理部22では、反射光をCCD6上に結像させることにより得られた画像読取信号に対し、ROM19に格納された制御プログラムがCPU17に実行させる機能として、線順次に読み取られた原稿画像読取信号の平均値の算出、算出された平均値からの原稿面8aの白地部と画像部とを判断するスレッシュ値の算出、読み取った画像読取信号を算出したスレッシュ値を用いて白地部と画像部とに区分けする画像データの作成等が行われる。
【0080】
ここで、上述した各実施の形態(第一〜第六の実施の形態)では、主走査方向において原稿濃度変化が生じても、主走査方向の各部における原稿面8aを照明する二次照明光Bの光量(強度分布)を均一にできることを説明した。
【0081】
ただし、図8に示すような画像が形成された原稿8の場合、“X”の領域では主走査方向の原稿濃度が平均して高いので二次照明光Bは小さくなり、“Y”の領域では原稿濃度が低いので二次照明光Bは大きくなる。つまり、主走査方向には原稿濃度変化に関わらず二次照明光Bの光量は均一になるが、副走査方向の原稿濃度変化に対しては二次照明光Bの光量が変化してしまい、読み取り画像の濃度むらが生じてしまうことによる。このような二次照明光Bの濃度むらが生じると、例えば、領域“Y”の白地部は白地部であると正しく判断されても、領域“X”の白地部は二次照明光Bの光量が少ないために白地部ではないと判断され、その白地部に薄い画像形成が行われ、所謂、地汚れが発生する。
【0082】
そこで、本実施の形態のように、画像処理部22での処理を行うことにより、図8に示すように、領域“X”の白地部の二次照明光Bの光量が少なくなった場合でも、その部分が白地部であると判断され、地汚れが発生しなくなる。
【0083】
以下に、画像処理部22での処理内容を図9のフローチャートを参照して説明する。原稿画像読取信号は、画像読取装置1Aにおける線順次読取動作によってCCD6で結像された光が電気信号に変換されたデジタル信号であり、この読み取った1ライン全部の原稿画像読取信号を対象にしてその平均値が算出され(ステップS1)、ここに、平均値算出手段の機能が実行される。つぎに、ステップS1で算出された平均値を用いて、原稿面8aの白地部と画像部とを判断するスレッシュ値(判断基準値)が算出され(ステップS2)、ここに、スレッシュ値算出手段の機能が実行される。このスレッシュ値の算出には、平均値とスレッシュ値との関係を定めたデータテーブルが用いられる。そして、このスレッシュ値と原稿画像読取信号とを用いて、画像読取の各ラインごとに白地部と画像部とを区分けした画像データが作成され(ステップS3)、ここに、画像データ作成手段の機能が実行される。
【0084】
本実施の形態では、副走査方向の原稿濃度に応じて白地部と画像部とを判断するためのスレッシュ値が変化することになり、原稿濃度が高めになる領域(例えば、図7における“X”の領域)ではスレッシュ値が低くなり、二次照明光Bの光量が少ないために“X”の領域の白地部の原稿画像読取信号が低い値を示す場合であっても、その部分は白地部と判断されるようになる。
【0085】
本発明の第八の実施の形態を図10ないし図12に基づいて説明する。
【0086】
本実施の形態の画像読取装置1Bには、原稿面8aの画像を線順次に読み取る画像読取部21、画像読取部21で読み取った原稿画像読取信号に対して所定の処理を行う画像処理部23が設けられている。画像処理部23で画像処理が行われた画像データは、プリンタ装置、記憶装置等に出力される。
【0087】
画像読取部21では、第一、第二走行体3,4をモータ駆動により走行させ、そのときに光源9からの照明光の反射光をCCD6上に結像させることにより原稿面8aの画像読取が行われる。この画像読取は、主走査方向に沿った線順次に行われる。
【0088】
画像処理部23では、反射光をCCD6上に結像させることにより得られた画像読取信号に対して、ROM19に格納された制御プログラムがCPU17に実行させる機能として、線順次に読み取られた複数ライン分の原稿画像読取信号の記憶、記憶した複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値の算出、算出された平均値からの原稿面の白地部と画像部とを判断するスレッシュ値の算出、算出した前記スレッシュ値を用いて白地部と画像部とを区分けした画像データの作成等が行われる。
【0089】
ここで、上述した第七の実施の形態(図7ないし図9参照)では、副走査方向の原稿濃度変化に伴う二次照明光Bの光量変動による地汚れの発生を、線順次読取動作ごとに原稿面8aの白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を求めることで防止しているが、図11に示すように副走査方向で主走査方向の原稿濃度が大きく変化している原稿面8aの画像を読み取った場合、例えば、領域“M”での主走査方向の原稿濃度は低いが、副走査方向の上下の領域“N”の原稿濃度が高いため、その近辺で生じる二次照明光Bは少なく、全体に暗く読み取られることになる。つまり、領域“M”を照明する二次照明光Bは少ないが、上述した第八の実施の形態では線順次動作ごとに原稿濃度レベルを検出していたため、領域“M”を読み取った際は高めのスレッシュ値を算出してしまい、この領域“M”が白地部ではないと判断し、地汚れが発生する可能性が有る。
【0090】
そこで、本実施の形態のように、画像処理部23での処理を行うことにより、図11に示すように、画像部の領域“N”に挟まれた白地部の領域“M”を白地部であると判断できるようになり、領域“M”での地汚れが発生しなくなる。
【0091】
以下に、画像処理部23での処理内容を図12のフローチャートを参照して説明する。原稿画像読取信号は、画像読取装置1Bにおける線順次読取動作によってCCD6で結像された光が電気信号に変換されたデジタル信号であり、読み取った複数ライン分の原稿画像読取信号が記憶され(ステップS11)、ここに、記憶手段の機能が実行される。この処理では、新しい1ライン分の原稿画像読取信号が記憶されると、最も古い1ライン分の原稿画像読取信号が削除される。つぎに、ステップS1で記憶された複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値が算出され(ステップS12)、ここに、平均値算出手段の機能が実行される。つぎに、ステップS12で算出された平均値を用いて、原稿面8aの白地部と画像部とを判断するスレッシュ値が算出され(ステップS13)、ここに、スレッシュ値算出手段の機能が実行される。このスレッシュ値の算出には、平均値とスレッシュ値との関係を定めたデータテーブルが用いられる。そして、このスレッシュ値と原稿画像読取信号とを用いて、画像読取の各ラインごとに白地部と画像部とを区分けした画像データが作成され(ステップS14)、ここに、画像データ作成手段の機能が実行される。
【0092】
ここで、本実施の形態では、複数ライン分の原稿画像読取信号を記憶し(ステップS11)、一定以上の原稿画像読取信号が溜まった段階で平均値を算出する(ステップS12)。平均値を算出するために記憶する原稿画像読取信号のライン数は、画像読取装置の照明系と画像読取解像度とによって決定され、以下の計算式が目安となる。
【0093】
原稿面における副走査方向の照明光強度分布幅:W(mm)
画像読取装置の読取解像度:X(mm/個) とすると、
記憶・平均値計算対象ライン数=W/X (式1)
つまり、原稿面8aに照明光が照明されている範囲内の原稿画像読取信号で計算すれば良い。これは二次照明光Bが発生するのは、あくまでも照明光に照明された領域のみで発生するからである。
【0094】
また、ステップS12の平均値算出工程では、各ラインごとの原稿画像読取信号に重みを付けても良い。これは原稿面8aの副走査方向の一次照明光Aの強度分布が均一でなく、この光強度によって二次照明光Bの強度が変化するためである。
【0095】
本実施の形態によれば、照明光が照明された範囲での原稿濃度に応じた二次照明光Bに対して、これを適正に補正するスレッシュ値を算出することができる。
【0096】
本発明の第九の実施の形態を図13及び図14に基づいて説明する。
【0097】
本実施の形態の画像読取装置1Cには、原稿面8aの画像を線順次に読み取る画像読取部21、画像読取部21で読み取った原稿画像読取信号に対して所定の処理を行う画像処理部24が設けられている。画像処理部24で画像処理が行われた原稿画像読取信号は、プリンタ装置、記憶装置等に出力される。
【0098】
画像読取部21では、第一、第二走行体3、4をモータ駆動により走行させ、そのときに光源9からの照明光の反射光をCCD6上に結像させることにより原稿面8aの画像読取が行われる。この画像読取は、主走査方向に沿った線順次に行われる。
【0099】
画像処理部24では、反射光をCCD6上に結像させることにより得られた画像読取信号に対して、ROM19に格納された制御プログラムがCPU17に実行させる機能として、線順次に読み取られた複数ライン分の原稿画像読取信号の記憶、記憶した複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値の算出、算出された平均値からの二次照明光の光量に応じた補正係数の算出、算出された補正係数を用いた原稿画像読取信号の補正等が行われる。
【0100】
ここで、上述した第六、第七の実施の形態では、原稿画像読取信号の処理における白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を対象とし、このスレッシュ値を適正に設定することにより画像読取の性能向上を図っている。
【0101】
しかし、本実施の形態のように、原稿面8aの白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を適正に設定するのではなく、原稿画像読取信号に対する補正係数を算出してその補正係数を用いて原稿画像読取信号を補正することにより、画像読取の性能向上を図ることができる。また、原稿画像読取信号を補正する場合に、補正係数を用いてガンマテーブルのデータを補正し、補正したガンマテーブルに基づいて原稿画像読取信号を補正してもよい。ガンマテーブルとは、原稿画像読取信号の変換テーブルであり、原稿画像読取信号レベルに対する出力値がテーブル化されているもので、原稿画像読取信号の階調特性を修正するのに用いられている一般手法である。
【0102】
以下に、画像処理部24での処理内容を図14のフローチャートを参照して説明する。原稿画像読取信号は、画像読取装置1における線順次読取動作によってCCD6で結像された光が電気信号に変換されたデジタル信号であり、読み取った複数ライン分の原稿画像読取信号が記憶され(ステップS21)、ここに、記憶手段の機能が実行される。この処理では、新しい1ライン分の原稿画像読取信号が記憶されると、最も古い1ライン分の原稿画像読取信号が削除される。つぎに、ステップS1で記憶された複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値が算出され(ステップS22)、ここに、平均値算出手段の機能が実行される。つぎに、ステップS22で算出された平均値と、二次照明光比(一次照明光Aに対する二次照明光Bの光量比)とを用い、補正係数が算出され(ステップS23)、ここに、補正係数算出手段の機能が実行される。つぎに、ステップS23で算出された補正係数をガンマテーブルデータに乗算してガンマ変換が行われ(ステップS24)、ガンマ変換されたガンマテーブルデータに基づいて原稿画像読取信号の補正が行われ(ステップS25)、ここに、補正手段の機能が実行される。
【0103】
ここで、ステップS23の補正係数の算出では、以下の計算式(2)を用いる。
二次照明光比(一次照明光Aに対する二次照明光Bの光量比)を“R”とするとき、
補正係数=1.0−R×平均値/255
(但し、原稿画像読取信号がbitの場合) (式2)
原稿濃度が低い(平均値が小さい)と補正係数が大きくなり、逆に高いと補正係数が小さくなる。上記補正係数は平均値が0の場合、つまり、原稿面が真っ黒で全く二次照明光Bが発生しない状態を基準としており、よって、ガンマテーブルデータも標準値は、全く二次照明光Bが発生しない状態で最適になるように設計しておく。
【0104】
二次照明光比は、設計値を用いた照明系シミュレーションで算出しても良いし、実験的に算出しても良い。
【0105】
二次照明光比を算出する実験手法について、以下に説明する。小さい白色パッチ原稿を用意し、パッチ周辺が白地と黒地との場合での画像読取装置の読取値を取得する。周辺部が黒地であれば、その部位での二次照明光Bの光量はなくなり、周辺部が白地であればその部位での二次照明光Bの光量が最大となるから、二次照明光比は以下の計算式(3)によって算出できる。
白地原稿での白パッチ読取値 : Dw
黒地原稿での白パッチ読取値 : Db とすると
R=(Dw−Db)/Db (式3)
本実施の形態によれば、原稿面の白地部のみならず、原稿画像読取信号の全階調に対して、二次照明光Bによる画像読取値の変動を補正することになる。
【0106】
本発明の第十の実施の形態を図15に基づいて説明する。本実施の形態の画像形成装置25は、上述した画像読取装置1と、画像読取装置1で読み取った画像を記録媒体上に形成するプリンタ装置26とにより構成されている。
【0107】
プリンタ装置26は、記録媒体を収納する給紙カセット等の記録媒体収納部、記録媒体を一枚ずつ搬送する搬送機構、搬送された記録媒体に対して画像形成を行う画像形成部等を有する。なお、プリンタ装置26としては、電子写真方式により画像形成を行うものや、インクジェット方式で画像形成を行うものが含まれる。また、画像読取装置1に代えて、画像読取装置1A、1B、1Cを用いてもよい。
【0108】
本実施の形態の画像形成装置25によれば、画像読取装置1では主走査方向において二次照明光Bを均一に照明して画像読取が行われ、その読み取られた画像に基づいて画像形成が行われるので、記録媒体上に形成される画像品質が向上する。
【0109】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の画像読取装置によれば、光拡散部材の拡散面は、原稿面からの反射光を幅広い範囲に拡散して二次照明光として再反射するので、原稿面の画像濃度に濃淡の差があり、それによって原稿面から反射される反射光の光量に差が生じても、その反射光の光量の差がそのまま原稿面の各部を照明する二次照明光の光量の差とはならず、二次照明光は原稿面の各部に対して略均一に照明される。このため、原稿面の各部において原稿面の各部の画像濃度に応じた二次照明光の強弱がなくなり、二次照明光の光量の差による画像読取性能の低下を防止できる。
【0110】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の画像読取装置において、前記拡散面に、主走査方向に連続する鋸刃形状の凹凸部が形成されているので、鋸刃形状の凹凸部で再反射された二次照明光は元の位置に戻らずに広い範囲に拡散して反射されるので、原稿面に照明される二次照明光の光量をより一層均一化させることができる。
【0111】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の画像読取装置において、前記凹凸部の主走査方向ピッチが画像読取解像度の2倍以下であるので、このような小さなピッチで凹凸部を形成することにより、より細かく二次照明光を拡散させることができ、二次照明光の部分的なむらが生じにくくなり、原稿面に照明される二次照明光の光量をより一層均一化することができる。
【0112】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれか一記載の画像読取装置において、前記拡散面の色は、前記拡散面の周囲に配置された部材の色に対して補色の関係にあるので、原稿面に照明される二次照明光は、拡散面で再反射された二次照明光と拡散面の周囲に配置された部材で再反射された二次照明光とが合成されたものとなるが、それらの二つの二次照明光が補色の関係にある部材で反射されたものであるので合成された二次照明光は白色光に近いものとなり、二次照明光の影響による原稿面の色に関する読取性能の低下を防止できる。
【0113】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4のいずれか一記載の画像読取装置において、前記拡散面の反射率は、前記光源の長手方向に沿った方向の一次照明光の強度分布に応じ、強度が高いところほど低く、強度が低いところほど高く設定されているので、一次照明光の強度が高い(一次照明光の光量が多い)領域の二次照明光と、一次照明光の強度が低い(一次照明光の光量が少ない)領域の二次照明光との強度差(光量差)が小さくなり、一次照明光の強度分布にむらがあっても二次照明光の光量を均一化することができる。
【0114】
請求項6記載の発明によれば、請求項1ないし5のいずれか一記載の画像読取装置において、前記光拡散部材が少なくとも2つ以上設けられているので、一次照明光を遮光することなく拡散面の面積を大きくすることが可能となり、原稿面に照明される二次照明光の光量をより一層均一化することができる。
【0115】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし6のいずれか一記載の画像読取装置において、前記光源は、前記一次元撮像素子による前記原稿面のライン状読取範囲よりもそのライン方向と直交する方向で広範囲に原稿面を照明するので、原稿面に到達する一次照明光の範囲が広くなり、より広い範囲からの反射光を拡散面で再反射させて二次照明光を得ることができ、原稿面に照明される二次照明光の光量をより一層均一化することができる。
【0116】
請求項8記載の発明によれば、請求項1ないし7のいずれか一記載の画像読取装置において、前記一次元撮像素子で線順次に読み取られた原稿画像読取信号の平均値を算出する平均値算出手段と、算出された前記平均値から前記原稿面の白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を算出するスレッシュ値算出手段と、算出された前記スレッシュ値を用いて白地部と画像部とを区分けした画像データを作成する画像データ作成手段とを有するので、画像読取の副走査方向で原稿濃度の変化があって各線順次の読取時の二次照明光の光量が増減しても、その二次照明光の光量の変化の影響を受けない画像読取を行うことができる。
【0117】
請求項9記載の発明によれば、請求項1ないし7のいずれか一記載の画像読取装置において、前記一次元撮像素子で線順次に読み取られた複数ライン分の原稿画像読取信号を記憶する記憶手段と、前記記憶手段で記憶された複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値を算出する平均値算出手段と、算出された前記平均値から前記原稿面の白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を算出するスレッシュ値算出手段と、算出した前記スレッシュ値を用いて白地部と画像部とを区分けした画像データを作成する画像データ作成手段とを有するので、主走査方向の原稿濃度が副走査方向で局所的に大きく変化した原稿でも、原稿画像読取信号の平均値が大きく変化することがなく、より正確なスレッシュ値の算出が可能となり、二次照明光の光量の変化の影響を受けない画像読取を行うことができる。
【0118】
請求項10記載の発明によれば、請求項1ないし7のいずれか一記載の画像読取装置において、前記一次元撮像素子で線順次に読み取られた複数ライン分の原稿画像読取信号を記憶する記憶手段と、前記記憶手段で記憶された複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値を算出する平均値算出手段と、算出された平均値から二次照明光の光量に応じた補正係数を算出する補正係数算出手段と、算出された補正係数を用いて前記原稿画像読取信号を補正する補正手段とを有するので、副走査方向の原稿濃度の変化があって各線順に読み取られる読取時の二次照明光の光量が増減しても、二次照明光の光量に応じて原稿画像読取信号を補正することができ、主走査方向・副走査方向に関係なく、原稿濃度に対してリニアリティの高い画像読取を行うことができる。
【0119】
請求項11記載の発明の画像形成装置によれば、請求項1ないし10のいずれか一記載の画像読取装置で読み取った画像を、プリンタ装置によって記録媒体上に形成することにより、請求項1ないし10のいずれか一記載の発明の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態の画像読取装置を示す概略図である。
【図2】その要部を示す断面図である。
【図3】その電気的接続を示すブロック図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態の画像読取装置の光拡散部材を示す斜視図である。
【図5】本発明の第五の実施の形態の要部を示す断面図である。
【図6】本発明の第六の実施の形態の画像読取装置の光源を示す断面図である。
【図7】本発明の第七の実施の形態の画像読取装置の機能を示すブロック図である。
【図8】本実施の形態の画像読取装置による好適な画像読取が可能となる画像が形成された原稿を示す説明図である。
【図9】画像処理部での処理内容を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の第八の実施の形態の画像読取装置の機能を示すブロック図である。
【図11】本実施の形態の画像読取装置による好適な画像読取が可能となる画像が形成された原稿を示す説明図である。
【図12】画像処理部での処理内容を説明するフローチャートである。
【図13】本発明の第九の実施の形態の画像読取装置の機能を示すブロック図である。
【図14】画像処理部での処理内容を説明するフローチャートである。
【図15】本発明の第十の実施の形態の画像形成装置を示す概略図である。
【図16】フレア現象の発生メカニズムを説明する説明図である。
【図17】フレア現象が生じた場合の画像読取結果を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 画像読取装置
1A 画像読取装置
1B 画像読取装置
1C 画像読取装置
5 結像レンズ
6 一次撮像素子
8a 原稿面
9 光源
12 光拡散部材
12a 拡散面
12b 凹凸部
25 プリンタ装置
A 一次照明光
B 二次照明光
P 凹凸部の主走査方向ピッチ
ステップS1 平均値算出手段
ステップS2 スレッシュ値算出手段
ステップS3 画像データ作成手段
ステップS11 記憶手段
ステップS12 平均値算出手段
ステップS13 スレッシュ値算出手段
ステップS14 画像データ作成手段
ステップS21 記憶手段
ステップS22 平均値算出手段
ステップS23 補正係数算出手段
ステップS25 補正手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像読取装置及びその画像読取装置を含む画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スキャナ等の画像読取装置においては、光源から出射された照明光により原稿面を照明し、原稿面を照明した照明光を原稿面の各部(白地部、画像部等)の反射率に比例して反射させ、原稿面で反射された光(反射光)を結像レンズまで導き、結像レンズを通過した反射光をCCD等の撮像素子上に結像させることにより画像読取を行っている。CCDは、画像読取の主走査方向に沿って1ライン分又は複数ライン分に渡って配列されている。
【0003】
このような画像読取装置における画像読取の精度を低下させる原因の一つに、フレア現象がある。このフレア現象とは、原稿面で反射した反射光が画像読取装置内の光学部品に当って再反射することにより二次照明光となり、この二次照明光が再度原稿面を照明する現象である。このフレア現象の発生により、光源から出射された照明光(以下、一次照明光という)と二次照明光との合計が、原稿面を照明する照明光となる。
【0004】
フレア現象のメカニズムを図16及び図17に基づいて簡単に説明する。図16は、画像読取装置の一部を示すもので、この画像読取装置は、原稿101が載置されるコンタクトガラス102、コンタクトガラス102上に載置された原稿101の原稿面101aをコンタクトガラス102の下方から照明する位置に配置された光源103、光源103の近傍に配置された種々の光学部品104等を備えている。
【0005】
光源103から出射された照明光(一次照明光)Aにより原稿面101aが照明され、一次照明光Aは原稿面101aで反射されて反射光となる。この反射光の大部分は折り返しミラー(図示せず)に向けて進行し、折り返しミラーで折り返されて結像レンズ(図示せず)に導かれるが、反射光の一部は光学部品104で再反射されて二次照明光Bとなり、再度原稿面101aを照明してフレア現象を生じる。
【0006】
このフレア現象が生じると、画像読取を行う領域の原稿面101aの画像濃度(以下、原稿濃度という)が同一であっても、画像読取を行う領域の周囲の原稿濃度の差によって、原稿読取の結果である原稿画像読取信号が変化する。これは、二次照明光Bを発生させる元になる反射光の光量が原稿面の各部の画像濃度により変化し、それに伴って二次照明光Bの光量が変化するためである。例えば、同じ白地部に対して照明される照明光(一次照明光A+二次照明光B)であっても、その周囲が白地部である場合には二次照明Bの光量が多くなり、その周囲が画像部である場合には二次照明光Bの光量が少なくなるので、照明光の光量に差が生じる。つまり、同じ白地部a、bであっても、白地部aの周囲が白地部、白地部bの周囲が画像部である場合には、白地部aに対しては周囲の白地部からの反射光(光量が多い)が再反射した二次照明光Bの光量が多くなり、白地部bに対しては周囲の画像部からの反射光(光量が少ない)が再反射した二次照明光Bの光量が少なくなる。このため、周囲が白地部である白地部aを照明する照明光(一次照明光A+二次照明光B)の光量が多くなるとともにその白地部aから結像レンズに向けて導かれる反射光の光量が多くなり、周囲が画像部である白地部bを照明する照明光(一次照明光A+二次照明光B)の光量が少なくなるとともにその白地部bから結像レンズに向けて導かれる反射光の光量が少なくなり、反射光の光量が多い白地部aは白地であると判断され、反射光の光量が白地部aより少ない白地部bは、白地部aよりも暗いと判断される。
【0007】
図17は、フレア現象が生じた場合の画像読取結果を説明する説明図である。図17(a)は原稿面の画像を示し、図17(b)はその原稿面の読取結果を示している。図17(a)に示すように、この原稿面には、3つの白地部110a、110b、110cと、2つの画像部111a、111bとが形成されている。なお、図面における左右方向が画像読取時の主走査方向であり、原稿面を照明する長尺状の光源の長手方向である。白地部110cは、主走査方向に沿って位置する2つの画像部111a、111bに挟まれている。
【0008】
この原稿面の画像を読取ると、一次照明光Aが白地部110a、110b、110cを照明したときには白地部110a、110b、110cからの反射光の光量が多くなり、その反射光が再反射されることにより発生する二次照明光Bの光量も多くなる。一方、一次照明光Aが画像部111a、111bを照明したときには画像部111a、111bからの反射光の光量が少なくなり、その反射光が再反射されることにより発生する二次照明光Bの光量も少なくなる。
【0009】
このため、周囲が白地部である白地部110a、110bでは照明される二次反射光Bの光量が多くなり、周囲が画像部である白地部110cでは照明される二次反射光Bの光量が少なくなる。つまり、白地部110a、110bでは照明光(一次照明光A+二次照明光B)の光量が多くなり、白地部110cでは照明光(一次照明光A+二次照明光B)の光量が少なくなるので、白地部110cは白地部110a、110bに比べて暗く読取られる。
【0010】
このようなフレア現象が原因となる画像読取の精度低下は、原稿面の画像濃度が急激に変化する領域(白地部と画像部との境界部)で顕著になる。
【0011】
そこで、フレア現象による画像読取の精度低下を防止するための種々の発明が提案され、実用化されている。
【0012】
その一例としては、フレア現象を抑制するために、光源と原稿面との間に遮光機能を有する部材(集光手段)を配置し、この部材で照明光(一次照明光)の一部を遮光することにより二次照明光の発生量を低減させている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
【特許文献1】
特開平9−130540号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に開示された発明では、二次照明光は低減されるものの依然として発生し、フレア現象による画像読取の精度低下も依然として発生する。
【0015】
また、照明光の一部を遮光するため、照明光の一部が無駄に消費されている。
【0016】
本発明の目的は、原稿面の各部において原稿面の画像濃度に応じた二次照明光の強弱をなくし、二次照明光の影響による画像読取性能の低下を防止した画像読取装置を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、画像読取の副走査方向で二次照明光の光量が変化した場合でも、その影響を受けることなく高精度の画像読取を行える画像読取装置を提供することである。
【0018】
本発明の目的は、二次照明光の影響による画像読取性能の低下を防止できる画像読取装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、原稿面を照明する光源と、前記原稿面からの反射光が結像レンズを介してライン状に結像される一次元撮像素子とを有し、前記原稿面の画像を主走査方向に沿って線順次に読み取るようにした画像読取装置において、前記光源から出射されて前記原稿面に到達する一次照明光を遮光しない位置に配置され、前記原稿面に対向する拡散面を備えた光拡散部材を有する。
【0020】
したがって、光源から出射された一次照明光が原稿面を照明すると、その一次照明光は原稿面で反射されて反射光となり、その反射光の一部が光拡散部材の拡散面で再反射されて二次照明光となり、最終的に原稿面は、一次照明光と二次照明光とが合計された照明光により照明され、その照明光の反射光が結像レンズを介して一次元撮像素子に結像され、原稿面の画像読取が行われる。
【0021】
光拡散部材の拡散面は、原稿面からの反射光を幅広い範囲に拡散して再反射するので、原稿面の画像濃度に濃淡の差があり、それによって原稿面から反射される反射光の光量に差が生じても、その反射光の光量の差がそのまま原稿面の各部を照明する二次照明光の光量の差とはならず、二次照明光は原稿面の各部に対して略均一に照明される。このため、原稿面の各部において原稿面の各部の画像濃度に応じた二次照明光の強弱がなくなり、二次照明光の光量の差による画像読取性能の低下が防止される。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像読取装置において、前記拡散面に、主走査方向に連続する鋸刃形状の凹凸部が形成されている。
【0023】
ここで、鋸刃形状とは、複数の三角形を底辺を連続させた状態で一方向に配列した形状をいう。
【0024】
したがって、鋸刃形状の凹凸部で再反射された二次照明光は元の位置に戻らずに広い範囲に拡散して反射されるので、原稿面に照明される二次照明光の光量がより一層均一化される。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の画像読取装置において、前記凹凸部の主走査方向ピッチが画像読取解像度の2倍以下である。
【0026】
したがって、このような小さなピッチで凹凸部を形成することにより、より細かく二次照明光を拡散させることができ、二次照明光の部分的なむらが生じにくくなり、原稿面に照明される二次照明光の光量がより一層均一化される。
【0027】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一記載の画像読取装置において、前記拡散面の色は、前記拡散面の周囲に配置された部材の色に対して補色の関係にある。
【0028】
ここで、二次照明光は拡散面で再反射されたものばかりでなく、拡散面の周囲に配置された部材で再反射されたものも含まれる。したがって、原稿面に照明される二次照明光は、拡散面で再反射された二次照明光と拡散面の周囲に配置された部材で再反射された二次照明光とが合成されたものとなるが、それらの二つの二次照明光が補色の関係にある部材で反射されたものであるので合成された二次照明光は白色光に近いものとなり、二次照明光の影響による原稿面の色に関する読取性能の低下が防止される。
【0029】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか一記載の画像読取装置において、前記拡散面の反射率は、前記光源の長手方向に沿った方向の一次照明光の強度分布に応じ、強度が高いところほど低く、強度が低いところほど高く設定されている。
【0030】
したがって、一次照明光の強度が高い(一次照明光の光量が多い)領域の二次照明光と、一次照明光の強度が低い(一次照明光の光量が少ない)領域の二次照明光との強度差(光量差)が小さくなり、一次照明光の強度分布にむらがあっても、二次照明光の光量が均一化される。
【0031】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか一記載の画像読取装置において、前記光拡散部材が少なくとも2つ以上設けられている。
【0032】
したがって、一次照明光を遮光することなく拡散面の面積を大きくすることが可能となり、原稿面に照明される二次照明光の光量がより一層均一化される。
【0033】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか一記載の画像読取装置において、前記光源は、前記一次元撮像素子による前記原稿面のライン状読取範囲よりもそのライン方向と直交する方向で広範囲に原稿面を照明する。
【0034】
したがって、原稿面に到達する一次照明光の範囲が広くなり、より広い範囲からの反射光を拡散面で再反射させて二次照明光を得ることができ、原稿面に照明される二次照明光の光量がより一層均一になる。
【0035】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか一記載の画像読取装置において、前記一次元撮像素子で線順次に読み取られた原稿画像読取信号の平均値を算出する平均値算出手段と、算出された前記平均値から前記原稿面の白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を算出するスレッシュ値算出手段と、算出された前記スレッシュ値を用いて白地部と画像部とを区分けした画像データを作成する画像データ作成手段と、を有する。
【0036】
したがって、線順次に読み取られた原稿画像読取信号の平均値を算出し、その平均値から原稿面の白地部を判断するスレッシュ値を算出するので、スレッシュ値を用いて線順次ごとに原稿面の白地部を検出して最適な画像処理が期待でき、画像読取の副走査方向で原稿濃度の変化があって各線順次の読取時の二次照明光の光量が増減しても、その二次照明光の光量の変化の影響を受けない画像読取を行える。
【0037】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか一記載の画像読取装置において、前記一次元撮像素子で線順次に読み取られた複数ライン分の原稿画像読取信号を記憶する記憶手段と、前記記憶手段で記憶された複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値を算出する平均値算出手段と、算出された前記平均値から前記原稿面の白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を算出するスレッシュ値算出手段と、算出した前記スレッシュ値を用いて白地部と画像部とを区分けした画像データを作成する画像データ作成手段と、を有する。
【0038】
したがって、線順次に読み取られた原稿画像読取信号の複数ライン分が記憶され、その複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値を算出し、その平均値から原稿面の白恥部を判断するスレッシュ値を算出するので、主走査方向の原稿濃度が副走査方向で局所的に大きく変化した原稿でも、原稿画像読取信号の平均値が大きく変化することがなく、より正確なスレッシュ値の算出が可能となり、二次照明光の光量の変化の影響を受けない画像読取を行える。
【0039】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか一記載の画像読取装置において、前記一次元撮像素子で線順次に読み取られた複数ライン分の原稿画像読取信号を記憶する記憶手段と、前記記憶手段で記憶された複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値を算出する平均値算出手段と、算出された平均値から二次照明光の光量に応じた補正係数を算出する補正係数算出手段と、算出された補正係数を用いて前記原稿画像読取信号を補正する補正手段と、を有する。
【0040】
ここで、二次照明光とは、光源から出射されて原稿を照明した一次照明光が原稿面で反射されて反射光となり、その反射光の一部が光拡散部材の拡散面やその他の部材で再反射されて再び原稿面に照明された光である。
【0041】
したがって、副走査方向の原稿濃度の変化があって各線順に読み取られる読取時の二次照明光の光量が増減しても、二次照明光の光量に応じて原稿画像読取信号を補正することができ、主走査方向・副走査方向に関係なく、原稿濃度に対してリニアリティの高い画像読取が可能となる。
【0042】
請求項11記載の発明の画像形成装置は、請求項1ないし10のいずれか一記載の画像読取装置と、前記画像読取装置で読み取った画像を記録媒体上に形成するプリンタ装置と、を有する。
【0043】
したがって、請求項1ないし10のいずれか一記載の画像読取装置で読み取られた画像がプリンタ装置によって記録媒体上に形成されるので、請求項1ないし10のいずれか一記載の画像読取装置の作用を得ることが可能になる。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施の形態を図1ないし図3に基づいて説明する。図1は画像読取装置の概略図であり、図2はその要部を示す断面図である。
【0045】
画像読取装置1の装置本体2内には、第一走行体3、第二走行体4、結像レンズ5、一次元撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)6等が設けられている。
【0046】
装置本体2の上部にはコンタクトガラス7が配置され、このコンタクトガラス7上には画像読取の対象となる原稿8が載置され、載置された原稿8はその上から圧板(図示せず)により押えられる構造とされている。なお、圧板に代えて、圧板の機能をも備えたADF(自動原稿搬送装置)を設置することも可能である。
【0047】
第一走行体3は、コンタクトガラス7上に載置された原稿8の原稿面8aを照明する照明光(一次照明光A)を出射する長尺形状の光源9、光源9から出射された一次照明光Aであって原稿面8aに向かわなかった一次照明光Aを原稿面8aに向けて反射させるリフレクタ10、原稿面8aで反射された反射光を折り返して反射する第一反射ミラー11、拡散面12aを備えた光拡散部材12を有する。第一走行体3は、コンタクトガラス7と平行に対向した状態を維持して副走査方向(矢印a方向)へ往復走行可能に設けられている。
【0048】
第二走行体4は、第二反射ミラー13と第三反射ミラー14とを有する。第二走行体4は、コンタクトガラス7と平行に対向した状態を維持して副走査方向(矢印a方向)へ往復走行可能に設けられている。第一走行体3と第二走行体4とは同時に同じ方向に走行し、その走行速度は2:1に設定されている。第一走行体3と第二走行体4との走行は、モータ15(図3参照)からの駆動力をタイミングベルトやプーリを介して第一走行体3と第二走行体4とに伝達することにより行われる。
【0049】
コンタクトガラス7上に載置された原稿8の原稿面8aの画像読取の基本原理は、以下の通りである。第一走行体3と第二走行体4とが2:1の速度比で結像レンズ5側へ向けて走行するとともに点灯した光源9から出射された一次照明光Aにより原稿面8aが照明され、一次照明光Aは原稿面8aで反射して反射光となる。この反射光が第一反射ミラー11、第二反射ミラー13、第三反射ミラー14により順次反射され、結像レンズ5を通過した後にCCD6上で結像され、原稿面8aの画像読取が行われる。
【0050】
つぎに、この画像読取装置1に備えられる各部の電気的接続を図3に基づいて説明する。図3に示すように、この画像読取装置1は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)16を備えており、このマイコン16によって画像読取装置1が備える各部が駆動制御される。マイコン15は、各部を集中的に駆動制御するCPU(Central Processing Unit)17、アドレスバス、データバス等のバスライン18を介して、起動プログラム等の固定的データを予め格納したROM(Read Only Memory)19と、可変的なデータを書き換え自在に記憶してCPU17のワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)20とが接続されて構成されている。なお、RAM20は、バッテリ(図示せず)によりバックアップされている。このマイコン16が、上述した光源9、モータ15、CCD6等の各部をバスライン18を介して駆動制御する。
【0051】
このような構成の下、本実施の形態の特徴的部分について以下に説明する。光拡散部材12は、光源9から出射されて原稿面8aに到達する一次照明光Aを遮光しない位置に配置されている。また、拡散部材12は、光源9の長手方向(画像読取の主走査方向)に延出し、光源9と略同じ長さに形成されている。拡散面12aは、当たった光を拡散して反射させる機能を有し、原稿面8aで反射された反射光の一部が拡散面12aに当るとその反射光は再反射されて二次照明光Bとなり、再度原稿面8aを照明する。
【0052】
光拡散部材12の設置位置に関しては、原稿面8aからできるだけ遠くに位置することが、拡散領域を広げられるという点で好適である。また、拡散面12aの面積は、一次照明光Aを遮光しない範囲で広ければ広いほど好適である。
【0053】
尚、本実施の形態では、独立した部品として光拡散部材12を設けた場合を例に挙げて説明したが、他の部材と共有化してもよく、それによって部品点数の削減を図れる。例えば、第一反射ミラー11への入射光部に入射光を制限するアパーチャを設けた場合にはそのアパーチャに拡散面を形成してもよく、また、光源9を保持するブラケット等に拡散面を形成してもよい。この場合には、アパーチャ、ブラケット等が光拡散部材に相当する。
【0054】
拡散面12aは、光を広い範囲に拡散して反射する機能を有するものが好適であり、例えば、オパールガラスなどの光学部品、低光沢の白色塗装でもよい。
【0055】
このような拡散面12aを有する光拡散部材12を設けることにより、原稿面8aからの反射光が拡散面12aで再反射されて生じる二次照明光Bは、原稿面8aの幅広い範囲に拡散して照明される。このため、原稿面8aの主走査方向に沿った位置で画像濃度に濃淡の差があり、それによって原稿面8aの主走査方向に沿った各部から反射される反射光の光量に差が生じても、その反射光の光量の差がそのまま原稿面8aの主走査方向に沿った各部を照明する二次照明光Bの差とはならず、二次照明光Bは原稿面8aの主走査方向の各部に対して略均一に照明される。このため、原稿面8aの主走査方向に沿った各部において原稿面8aの各部の画像濃度に応じた二次照明光Bの強弱がなくなり、原稿面8aを照明する照明光(一次照明光A+二次照明光B)の光量が原稿面8aの主走査方向の各部において均一になり、二次照明光Bの光量の差による主走査方向に沿った方向での画像読取性能の低下が防止される。具体的には、周辺が白地部である白地部と、周辺に画像部がある白地部とにおいて、照明される照明光(一次照明光A+二次照明光B)の光量が略同じになるので、それらの白地部が同じ明るさに読み取られる。
【0056】
ここで、原稿面8aと拡散面12aとの距離について考察する。拡散面12aを原稿面8aに近づけ場合、拡散面12aで再反射された二次照明光Bがすぐに原稿面8aに到達するため、拡散面12aで拡散された二次照明光Bが原稿面8a上の反射位置の近くに照明されることになり、二次照明光Bが原稿面8a上の元の反射位置を再照明する割合が大きくなり、二次照明光Bの光量の均一化を図れない。
【0057】
拡散面12aと原稿面8aとの間の距離の目安としては、拡散面12aの拡散性能に依存するが、光源9としてXeランプを搭載する画像読取装置1の場合、Xeランプの蛍光面(ランプ内側)よりも遠く設置するのが望ましい。
【0058】
その理由は、Xeランプの内側は蛍光材として白色拡散面を構成しており、原稿面8aで反射された反射光がXeランプの白色拡散面で反射してフレア現象を起こしていることが知られている。標準的なスキャナ照明系であれば原稿面8aからXeランプの白色拡散面までが10〜20mm程度であり、この程度の距離だと主走査方向での二次照明光量Bのむらが発生してしまうため、画像読取装置1がA3原稿を読み取れるサイズとすると、30mm以上の距離を確保した方が良く、できれば50mm程度有る方が望ましい。
【0059】
本発明の第二の実施の形態を図4に基づいて説明する。なお、図1ないし図3において説明した部分と同じ部分は同じ符号で示し、説明も省略する(以下の実施の形態でも同じ)。
【0060】
本実施の形態では、光拡散部材12の拡散面12aに特徴があり、この拡散面12aに主走査方向に連続する鋸刃形状の凹凸部12bが形成されている。凹凸部12bのピッチ“P”は、画像読取装置1の読取解像度に対して2倍以下に設定されている。例えば、現在複写機に搭載された画像読取装置1の標準的な画像読取解像度が600dpiであり、1画素が42.3μmとなるところから、凹凸部12bのピッチ“P”は84.6μm以下とされている。
【0061】
このような構成において、拡散面12aに鋸刃形状の凹凸部12bを形成することにより、原稿面8aからの反射光が拡散面12aに到達すると、拡散面12aで再反射される二次照明光Bは凹凸部12bの反射面で主走査方向にかならず振られて反射することになり、原稿面8a上の反射した位置には戻らないことになる。つまり、オパールガラスなどの単純な拡散面だと、そこを反射した光の一部が原稿面8aの元の反射位置に戻るのに対して、本実施の形態のように鋸刃形状の凹凸部12bを形成することにより、拡散面12aで再反射された二次照明光Bはほとんど元の反射位置に戻ることがなく、より拡散効果が高くなり、原稿面8aに照明される二次照明光Bの光量がより一層均一化される。
【0062】
さらに、凹凸部12bのピッチ“P”を画像読取装置1の読取解像度に対して2倍以下に設定することにより、より細かく二次照明光Bを拡散させることができ、二次照明光Bの部分的なむらが生じにくくなり、原稿面8aに照明される二次照明光Bの光量がより一層均一化される。
【0063】
本発明の第三の実施の形態を説明する。本実施の形態の外観上の構成は第一又は第二の実施の形態と同じであるので、図面は図1ないし図3を援用して説明する。
【0064】
本実施の形態では、光拡散部材12の拡散面12aの色が、拡散面12aの周囲に配置された部材の色に対して補色の関係となるように設定されている。拡散面12aの周囲に配置された部材としては、光源9を保持するブラケットや、光源9がXeランプである場合の蛍光面などが含まれる。
【0065】
画像読取装置1において発生する二次照明光Bは、拡散面12aで再反射されたものばかりでなく、拡散面12aの周囲に配置された部材で再反射されたものも含まれる。したがって、原稿面8aに照明される二次照明光Bは、拡散面12aで再反射された二次照明光Bと拡散面12aの周囲に配置された部材で再反射された二次照明光Bとが合成されたものとなるが、それらの二つの二次照明光Bが補色の関係にある部材で反射されたものであるので合成された二次照明光Bは白色光に近いものとなり、二次照明光Bの影響により原稿面8aの色味が変化するということが防止される。この点に関しては、特にフルカラーの画像読取装置で読み取りを行った場合におけるRGB読取値の色分解性能の低下を防止できる。
【0066】
本発明の第四の実施の形態を説明する。本実施の形態の外観上の構成は第一又は第二の実施の形態と同じであるので、図面は図1ないし図3を援用して説明する。
【0067】
本実施の形態では、光拡散部材12の拡散面12aの反射率が、光源9の長手方向に沿った方向の一次照明光A(リフレクタ10で反射された一次照明光Aを含む)の強度分布に応じ、強度が高いところほど低く、強度が低いところほど高く設定されている。
【0068】
強い一次照明光Aが照明された原稿面8aでは、原稿濃度にもよるが基本的には強い反射光が発生し、その反射光が拡散面12aで再反射されて発生する二次反射光Bは強くなる(光量が多くなる)。その逆に、弱い一次照明光Aが照明された原稿面8aでは、発生する反射光が弱くなるとともにその反射光が拡散面12aで再反射されて発生する二次照明光Bも弱くなる(光量が少なくなる)。つまり、拡散面12aによって原稿面8aに二次照明光Bが均一に照明されるようにしても、一次照明光Aの強度分布が均一でなければ、二次照明光Bの光量もむらが生じてしまう。
【0069】
そこで、本実施の形態のように、拡散面12aの反射率を一次照明光Aの強度分布に応じてその強度分布の逆になるような反射率で形成することにより、原稿面8aの主走査方向の各部に照明される二次照明光Bの光量が均一化される。
【0070】
本発明の第五の実施の形態を図5に基づいて説明する。本実施の形態では、二つの光拡散部材12が設けられている。拡散面12aは広く形成するほど二次照明光Bを拡散する効果が高くなり、原稿面8aの濃度変化にかかわらず二次照明光Bを均一に原稿面8aに照明することが可能となる。
【0071】
しかし、画像読取装置1の照明光学系では、光源9、リフレクタ10、一次反射ミラー11等を設置する必要があるため、あまり大きいスペースを確保できない。そこで本実施の形態で示すように、画像読取の副走査方向の上流側と下流側との二箇所に二つの光拡散部材12を設置することにより、大きなスペースを確保することなく広い拡散面12aを得ることができ、原稿面8aに照明される二次照明光Bの光量がより一層均一化される。
【0072】
光拡散部材12を副走査方向の上流側と下流側との二箇所に設置することにより、二次照明光Bが原稿面8aに対して副走査方向の両側から照明されることになり、例えば切り貼りして紙厚分の段差の生じた原稿などの場合、一方向から照明すると段差の影が生じるが、本実施の形態ではそのような影の発生を抑制できる。
【0073】
本発明の第六の実施の形態を図6に基づいて説明する。本実施の形態では、光源9が、CCD6による原稿面8aのライン状読取範囲よりもそのライン方向と直交する方向(副走査方向)広範囲に原稿面8aを照明するように形成されている。具体的には、光源9であるXeランプの開口部9aの角度を大きくし、又は、リフレクタ10の角度や面積を変更することにより実現することができる。リフレクタ10は本来、反射光をCCD6の撮像領域に集光させるには曲率の大きな曲面であった方が有効であるが、本実施の形態では、逆に曲率を小さくして集光率を下げ、平面形状に近付けたりする。
【0074】
原稿面8aの広い範囲を照明することで、原稿面8aからの反射光が拡散面12aで再反射した二次照明光Bが多く発生するようになり、拡散面12aの効果によってより広い範囲で原稿に到達する均一な光量の二次照明光が得られる。
【0075】
したがって、原稿面に到達する一次照明光の範囲が広くなり、より広い範囲からの反射光を拡散面12aで再反射させて二次照明光Bを得ることができ、原稿面8aに照明される二次照明光Bの光量がより一層均一になる。
【0076】
本発明の第七の実施の形態を図7ないし図9に基づいて説明する。
【0077】
本実施の形態の画像読取装置1Aには、原稿面8aの画像を線順次に読み取る画像読取部21、画像読取部21で読み取った原稿画像読取信号に対して所定の処理を行う画像処理部22が設けられている。画像処理部22で画像処理が行われた画像データは、プリンタ装置、記憶装置等に出力される。
【0078】
画像読取部21では、第一、第二走行体3、4をモータ駆動により走行させ、そのときに光源9からの照明光の反射光をCCD6上に結像させることにより原稿面8aの画像読取が行われる。この画像読取は、主走査方向に沿った線順次に行われる。
【0079】
画像処理部22では、反射光をCCD6上に結像させることにより得られた画像読取信号に対し、ROM19に格納された制御プログラムがCPU17に実行させる機能として、線順次に読み取られた原稿画像読取信号の平均値の算出、算出された平均値からの原稿面8aの白地部と画像部とを判断するスレッシュ値の算出、読み取った画像読取信号を算出したスレッシュ値を用いて白地部と画像部とに区分けする画像データの作成等が行われる。
【0080】
ここで、上述した各実施の形態(第一〜第六の実施の形態)では、主走査方向において原稿濃度変化が生じても、主走査方向の各部における原稿面8aを照明する二次照明光Bの光量(強度分布)を均一にできることを説明した。
【0081】
ただし、図8に示すような画像が形成された原稿8の場合、“X”の領域では主走査方向の原稿濃度が平均して高いので二次照明光Bは小さくなり、“Y”の領域では原稿濃度が低いので二次照明光Bは大きくなる。つまり、主走査方向には原稿濃度変化に関わらず二次照明光Bの光量は均一になるが、副走査方向の原稿濃度変化に対しては二次照明光Bの光量が変化してしまい、読み取り画像の濃度むらが生じてしまうことによる。このような二次照明光Bの濃度むらが生じると、例えば、領域“Y”の白地部は白地部であると正しく判断されても、領域“X”の白地部は二次照明光Bの光量が少ないために白地部ではないと判断され、その白地部に薄い画像形成が行われ、所謂、地汚れが発生する。
【0082】
そこで、本実施の形態のように、画像処理部22での処理を行うことにより、図8に示すように、領域“X”の白地部の二次照明光Bの光量が少なくなった場合でも、その部分が白地部であると判断され、地汚れが発生しなくなる。
【0083】
以下に、画像処理部22での処理内容を図9のフローチャートを参照して説明する。原稿画像読取信号は、画像読取装置1Aにおける線順次読取動作によってCCD6で結像された光が電気信号に変換されたデジタル信号であり、この読み取った1ライン全部の原稿画像読取信号を対象にしてその平均値が算出され(ステップS1)、ここに、平均値算出手段の機能が実行される。つぎに、ステップS1で算出された平均値を用いて、原稿面8aの白地部と画像部とを判断するスレッシュ値(判断基準値)が算出され(ステップS2)、ここに、スレッシュ値算出手段の機能が実行される。このスレッシュ値の算出には、平均値とスレッシュ値との関係を定めたデータテーブルが用いられる。そして、このスレッシュ値と原稿画像読取信号とを用いて、画像読取の各ラインごとに白地部と画像部とを区分けした画像データが作成され(ステップS3)、ここに、画像データ作成手段の機能が実行される。
【0084】
本実施の形態では、副走査方向の原稿濃度に応じて白地部と画像部とを判断するためのスレッシュ値が変化することになり、原稿濃度が高めになる領域(例えば、図7における“X”の領域)ではスレッシュ値が低くなり、二次照明光Bの光量が少ないために“X”の領域の白地部の原稿画像読取信号が低い値を示す場合であっても、その部分は白地部と判断されるようになる。
【0085】
本発明の第八の実施の形態を図10ないし図12に基づいて説明する。
【0086】
本実施の形態の画像読取装置1Bには、原稿面8aの画像を線順次に読み取る画像読取部21、画像読取部21で読み取った原稿画像読取信号に対して所定の処理を行う画像処理部23が設けられている。画像処理部23で画像処理が行われた画像データは、プリンタ装置、記憶装置等に出力される。
【0087】
画像読取部21では、第一、第二走行体3,4をモータ駆動により走行させ、そのときに光源9からの照明光の反射光をCCD6上に結像させることにより原稿面8aの画像読取が行われる。この画像読取は、主走査方向に沿った線順次に行われる。
【0088】
画像処理部23では、反射光をCCD6上に結像させることにより得られた画像読取信号に対して、ROM19に格納された制御プログラムがCPU17に実行させる機能として、線順次に読み取られた複数ライン分の原稿画像読取信号の記憶、記憶した複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値の算出、算出された平均値からの原稿面の白地部と画像部とを判断するスレッシュ値の算出、算出した前記スレッシュ値を用いて白地部と画像部とを区分けした画像データの作成等が行われる。
【0089】
ここで、上述した第七の実施の形態(図7ないし図9参照)では、副走査方向の原稿濃度変化に伴う二次照明光Bの光量変動による地汚れの発生を、線順次読取動作ごとに原稿面8aの白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を求めることで防止しているが、図11に示すように副走査方向で主走査方向の原稿濃度が大きく変化している原稿面8aの画像を読み取った場合、例えば、領域“M”での主走査方向の原稿濃度は低いが、副走査方向の上下の領域“N”の原稿濃度が高いため、その近辺で生じる二次照明光Bは少なく、全体に暗く読み取られることになる。つまり、領域“M”を照明する二次照明光Bは少ないが、上述した第八の実施の形態では線順次動作ごとに原稿濃度レベルを検出していたため、領域“M”を読み取った際は高めのスレッシュ値を算出してしまい、この領域“M”が白地部ではないと判断し、地汚れが発生する可能性が有る。
【0090】
そこで、本実施の形態のように、画像処理部23での処理を行うことにより、図11に示すように、画像部の領域“N”に挟まれた白地部の領域“M”を白地部であると判断できるようになり、領域“M”での地汚れが発生しなくなる。
【0091】
以下に、画像処理部23での処理内容を図12のフローチャートを参照して説明する。原稿画像読取信号は、画像読取装置1Bにおける線順次読取動作によってCCD6で結像された光が電気信号に変換されたデジタル信号であり、読み取った複数ライン分の原稿画像読取信号が記憶され(ステップS11)、ここに、記憶手段の機能が実行される。この処理では、新しい1ライン分の原稿画像読取信号が記憶されると、最も古い1ライン分の原稿画像読取信号が削除される。つぎに、ステップS1で記憶された複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値が算出され(ステップS12)、ここに、平均値算出手段の機能が実行される。つぎに、ステップS12で算出された平均値を用いて、原稿面8aの白地部と画像部とを判断するスレッシュ値が算出され(ステップS13)、ここに、スレッシュ値算出手段の機能が実行される。このスレッシュ値の算出には、平均値とスレッシュ値との関係を定めたデータテーブルが用いられる。そして、このスレッシュ値と原稿画像読取信号とを用いて、画像読取の各ラインごとに白地部と画像部とを区分けした画像データが作成され(ステップS14)、ここに、画像データ作成手段の機能が実行される。
【0092】
ここで、本実施の形態では、複数ライン分の原稿画像読取信号を記憶し(ステップS11)、一定以上の原稿画像読取信号が溜まった段階で平均値を算出する(ステップS12)。平均値を算出するために記憶する原稿画像読取信号のライン数は、画像読取装置の照明系と画像読取解像度とによって決定され、以下の計算式が目安となる。
【0093】
原稿面における副走査方向の照明光強度分布幅:W(mm)
画像読取装置の読取解像度:X(mm/個) とすると、
記憶・平均値計算対象ライン数=W/X (式1)
つまり、原稿面8aに照明光が照明されている範囲内の原稿画像読取信号で計算すれば良い。これは二次照明光Bが発生するのは、あくまでも照明光に照明された領域のみで発生するからである。
【0094】
また、ステップS12の平均値算出工程では、各ラインごとの原稿画像読取信号に重みを付けても良い。これは原稿面8aの副走査方向の一次照明光Aの強度分布が均一でなく、この光強度によって二次照明光Bの強度が変化するためである。
【0095】
本実施の形態によれば、照明光が照明された範囲での原稿濃度に応じた二次照明光Bに対して、これを適正に補正するスレッシュ値を算出することができる。
【0096】
本発明の第九の実施の形態を図13及び図14に基づいて説明する。
【0097】
本実施の形態の画像読取装置1Cには、原稿面8aの画像を線順次に読み取る画像読取部21、画像読取部21で読み取った原稿画像読取信号に対して所定の処理を行う画像処理部24が設けられている。画像処理部24で画像処理が行われた原稿画像読取信号は、プリンタ装置、記憶装置等に出力される。
【0098】
画像読取部21では、第一、第二走行体3、4をモータ駆動により走行させ、そのときに光源9からの照明光の反射光をCCD6上に結像させることにより原稿面8aの画像読取が行われる。この画像読取は、主走査方向に沿った線順次に行われる。
【0099】
画像処理部24では、反射光をCCD6上に結像させることにより得られた画像読取信号に対して、ROM19に格納された制御プログラムがCPU17に実行させる機能として、線順次に読み取られた複数ライン分の原稿画像読取信号の記憶、記憶した複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値の算出、算出された平均値からの二次照明光の光量に応じた補正係数の算出、算出された補正係数を用いた原稿画像読取信号の補正等が行われる。
【0100】
ここで、上述した第六、第七の実施の形態では、原稿画像読取信号の処理における白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を対象とし、このスレッシュ値を適正に設定することにより画像読取の性能向上を図っている。
【0101】
しかし、本実施の形態のように、原稿面8aの白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を適正に設定するのではなく、原稿画像読取信号に対する補正係数を算出してその補正係数を用いて原稿画像読取信号を補正することにより、画像読取の性能向上を図ることができる。また、原稿画像読取信号を補正する場合に、補正係数を用いてガンマテーブルのデータを補正し、補正したガンマテーブルに基づいて原稿画像読取信号を補正してもよい。ガンマテーブルとは、原稿画像読取信号の変換テーブルであり、原稿画像読取信号レベルに対する出力値がテーブル化されているもので、原稿画像読取信号の階調特性を修正するのに用いられている一般手法である。
【0102】
以下に、画像処理部24での処理内容を図14のフローチャートを参照して説明する。原稿画像読取信号は、画像読取装置1における線順次読取動作によってCCD6で結像された光が電気信号に変換されたデジタル信号であり、読み取った複数ライン分の原稿画像読取信号が記憶され(ステップS21)、ここに、記憶手段の機能が実行される。この処理では、新しい1ライン分の原稿画像読取信号が記憶されると、最も古い1ライン分の原稿画像読取信号が削除される。つぎに、ステップS1で記憶された複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値が算出され(ステップS22)、ここに、平均値算出手段の機能が実行される。つぎに、ステップS22で算出された平均値と、二次照明光比(一次照明光Aに対する二次照明光Bの光量比)とを用い、補正係数が算出され(ステップS23)、ここに、補正係数算出手段の機能が実行される。つぎに、ステップS23で算出された補正係数をガンマテーブルデータに乗算してガンマ変換が行われ(ステップS24)、ガンマ変換されたガンマテーブルデータに基づいて原稿画像読取信号の補正が行われ(ステップS25)、ここに、補正手段の機能が実行される。
【0103】
ここで、ステップS23の補正係数の算出では、以下の計算式(2)を用いる。
二次照明光比(一次照明光Aに対する二次照明光Bの光量比)を“R”とするとき、
補正係数=1.0−R×平均値/255
(但し、原稿画像読取信号がbitの場合) (式2)
原稿濃度が低い(平均値が小さい)と補正係数が大きくなり、逆に高いと補正係数が小さくなる。上記補正係数は平均値が0の場合、つまり、原稿面が真っ黒で全く二次照明光Bが発生しない状態を基準としており、よって、ガンマテーブルデータも標準値は、全く二次照明光Bが発生しない状態で最適になるように設計しておく。
【0104】
二次照明光比は、設計値を用いた照明系シミュレーションで算出しても良いし、実験的に算出しても良い。
【0105】
二次照明光比を算出する実験手法について、以下に説明する。小さい白色パッチ原稿を用意し、パッチ周辺が白地と黒地との場合での画像読取装置の読取値を取得する。周辺部が黒地であれば、その部位での二次照明光Bの光量はなくなり、周辺部が白地であればその部位での二次照明光Bの光量が最大となるから、二次照明光比は以下の計算式(3)によって算出できる。
白地原稿での白パッチ読取値 : Dw
黒地原稿での白パッチ読取値 : Db とすると
R=(Dw−Db)/Db (式3)
本実施の形態によれば、原稿面の白地部のみならず、原稿画像読取信号の全階調に対して、二次照明光Bによる画像読取値の変動を補正することになる。
【0106】
本発明の第十の実施の形態を図15に基づいて説明する。本実施の形態の画像形成装置25は、上述した画像読取装置1と、画像読取装置1で読み取った画像を記録媒体上に形成するプリンタ装置26とにより構成されている。
【0107】
プリンタ装置26は、記録媒体を収納する給紙カセット等の記録媒体収納部、記録媒体を一枚ずつ搬送する搬送機構、搬送された記録媒体に対して画像形成を行う画像形成部等を有する。なお、プリンタ装置26としては、電子写真方式により画像形成を行うものや、インクジェット方式で画像形成を行うものが含まれる。また、画像読取装置1に代えて、画像読取装置1A、1B、1Cを用いてもよい。
【0108】
本実施の形態の画像形成装置25によれば、画像読取装置1では主走査方向において二次照明光Bを均一に照明して画像読取が行われ、その読み取られた画像に基づいて画像形成が行われるので、記録媒体上に形成される画像品質が向上する。
【0109】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の画像読取装置によれば、光拡散部材の拡散面は、原稿面からの反射光を幅広い範囲に拡散して二次照明光として再反射するので、原稿面の画像濃度に濃淡の差があり、それによって原稿面から反射される反射光の光量に差が生じても、その反射光の光量の差がそのまま原稿面の各部を照明する二次照明光の光量の差とはならず、二次照明光は原稿面の各部に対して略均一に照明される。このため、原稿面の各部において原稿面の各部の画像濃度に応じた二次照明光の強弱がなくなり、二次照明光の光量の差による画像読取性能の低下を防止できる。
【0110】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の画像読取装置において、前記拡散面に、主走査方向に連続する鋸刃形状の凹凸部が形成されているので、鋸刃形状の凹凸部で再反射された二次照明光は元の位置に戻らずに広い範囲に拡散して反射されるので、原稿面に照明される二次照明光の光量をより一層均一化させることができる。
【0111】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の画像読取装置において、前記凹凸部の主走査方向ピッチが画像読取解像度の2倍以下であるので、このような小さなピッチで凹凸部を形成することにより、より細かく二次照明光を拡散させることができ、二次照明光の部分的なむらが生じにくくなり、原稿面に照明される二次照明光の光量をより一層均一化することができる。
【0112】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれか一記載の画像読取装置において、前記拡散面の色は、前記拡散面の周囲に配置された部材の色に対して補色の関係にあるので、原稿面に照明される二次照明光は、拡散面で再反射された二次照明光と拡散面の周囲に配置された部材で再反射された二次照明光とが合成されたものとなるが、それらの二つの二次照明光が補色の関係にある部材で反射されたものであるので合成された二次照明光は白色光に近いものとなり、二次照明光の影響による原稿面の色に関する読取性能の低下を防止できる。
【0113】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4のいずれか一記載の画像読取装置において、前記拡散面の反射率は、前記光源の長手方向に沿った方向の一次照明光の強度分布に応じ、強度が高いところほど低く、強度が低いところほど高く設定されているので、一次照明光の強度が高い(一次照明光の光量が多い)領域の二次照明光と、一次照明光の強度が低い(一次照明光の光量が少ない)領域の二次照明光との強度差(光量差)が小さくなり、一次照明光の強度分布にむらがあっても二次照明光の光量を均一化することができる。
【0114】
請求項6記載の発明によれば、請求項1ないし5のいずれか一記載の画像読取装置において、前記光拡散部材が少なくとも2つ以上設けられているので、一次照明光を遮光することなく拡散面の面積を大きくすることが可能となり、原稿面に照明される二次照明光の光量をより一層均一化することができる。
【0115】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし6のいずれか一記載の画像読取装置において、前記光源は、前記一次元撮像素子による前記原稿面のライン状読取範囲よりもそのライン方向と直交する方向で広範囲に原稿面を照明するので、原稿面に到達する一次照明光の範囲が広くなり、より広い範囲からの反射光を拡散面で再反射させて二次照明光を得ることができ、原稿面に照明される二次照明光の光量をより一層均一化することができる。
【0116】
請求項8記載の発明によれば、請求項1ないし7のいずれか一記載の画像読取装置において、前記一次元撮像素子で線順次に読み取られた原稿画像読取信号の平均値を算出する平均値算出手段と、算出された前記平均値から前記原稿面の白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を算出するスレッシュ値算出手段と、算出された前記スレッシュ値を用いて白地部と画像部とを区分けした画像データを作成する画像データ作成手段とを有するので、画像読取の副走査方向で原稿濃度の変化があって各線順次の読取時の二次照明光の光量が増減しても、その二次照明光の光量の変化の影響を受けない画像読取を行うことができる。
【0117】
請求項9記載の発明によれば、請求項1ないし7のいずれか一記載の画像読取装置において、前記一次元撮像素子で線順次に読み取られた複数ライン分の原稿画像読取信号を記憶する記憶手段と、前記記憶手段で記憶された複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値を算出する平均値算出手段と、算出された前記平均値から前記原稿面の白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を算出するスレッシュ値算出手段と、算出した前記スレッシュ値を用いて白地部と画像部とを区分けした画像データを作成する画像データ作成手段とを有するので、主走査方向の原稿濃度が副走査方向で局所的に大きく変化した原稿でも、原稿画像読取信号の平均値が大きく変化することがなく、より正確なスレッシュ値の算出が可能となり、二次照明光の光量の変化の影響を受けない画像読取を行うことができる。
【0118】
請求項10記載の発明によれば、請求項1ないし7のいずれか一記載の画像読取装置において、前記一次元撮像素子で線順次に読み取られた複数ライン分の原稿画像読取信号を記憶する記憶手段と、前記記憶手段で記憶された複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値を算出する平均値算出手段と、算出された平均値から二次照明光の光量に応じた補正係数を算出する補正係数算出手段と、算出された補正係数を用いて前記原稿画像読取信号を補正する補正手段とを有するので、副走査方向の原稿濃度の変化があって各線順に読み取られる読取時の二次照明光の光量が増減しても、二次照明光の光量に応じて原稿画像読取信号を補正することができ、主走査方向・副走査方向に関係なく、原稿濃度に対してリニアリティの高い画像読取を行うことができる。
【0119】
請求項11記載の発明の画像形成装置によれば、請求項1ないし10のいずれか一記載の画像読取装置で読み取った画像を、プリンタ装置によって記録媒体上に形成することにより、請求項1ないし10のいずれか一記載の発明の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態の画像読取装置を示す概略図である。
【図2】その要部を示す断面図である。
【図3】その電気的接続を示すブロック図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態の画像読取装置の光拡散部材を示す斜視図である。
【図5】本発明の第五の実施の形態の要部を示す断面図である。
【図6】本発明の第六の実施の形態の画像読取装置の光源を示す断面図である。
【図7】本発明の第七の実施の形態の画像読取装置の機能を示すブロック図である。
【図8】本実施の形態の画像読取装置による好適な画像読取が可能となる画像が形成された原稿を示す説明図である。
【図9】画像処理部での処理内容を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の第八の実施の形態の画像読取装置の機能を示すブロック図である。
【図11】本実施の形態の画像読取装置による好適な画像読取が可能となる画像が形成された原稿を示す説明図である。
【図12】画像処理部での処理内容を説明するフローチャートである。
【図13】本発明の第九の実施の形態の画像読取装置の機能を示すブロック図である。
【図14】画像処理部での処理内容を説明するフローチャートである。
【図15】本発明の第十の実施の形態の画像形成装置を示す概略図である。
【図16】フレア現象の発生メカニズムを説明する説明図である。
【図17】フレア現象が生じた場合の画像読取結果を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 画像読取装置
1A 画像読取装置
1B 画像読取装置
1C 画像読取装置
5 結像レンズ
6 一次撮像素子
8a 原稿面
9 光源
12 光拡散部材
12a 拡散面
12b 凹凸部
25 プリンタ装置
A 一次照明光
B 二次照明光
P 凹凸部の主走査方向ピッチ
ステップS1 平均値算出手段
ステップS2 スレッシュ値算出手段
ステップS3 画像データ作成手段
ステップS11 記憶手段
ステップS12 平均値算出手段
ステップS13 スレッシュ値算出手段
ステップS14 画像データ作成手段
ステップS21 記憶手段
ステップS22 平均値算出手段
ステップS23 補正係数算出手段
ステップS25 補正手段
Claims (11)
- 原稿面を照明する光源と、前記原稿面からの反射光が結像レンズを介してライン状に結像される一次元撮像素子とを有し、前記原稿面の画像を主走査方向に沿って線順次に読み取るようにした画像読取装置において、
前記光源から出射されて前記原稿面に到達する一次照明光を遮光しない位置に配置され、前記原稿面に対向する拡散面を備えた光拡散部材を有することを特徴とする画像読取装置。 - 前記拡散面に、主走査方向に連続する鋸刃形状の凹凸部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
- 前記凹凸部の主走査方向ピッチが画像読取解像度の2倍以下であることを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
- 前記拡散面の色は、前記拡散面の周囲に配置された部材の色に対して補色の関係にあることを特徴とする請求1ないし3のいずれか一記載の画像読取装置。
- 前記拡散面の反射率は、前記光源の長手方向に沿った方向の一次照明光の強度分布に応じ、強度が高いところほど低く、強度が低いところほど高く設定されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の画像読取装置。
- 前記光拡散部材が少なくとも2つ以上設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の画像読取装置。
- 前記光源は、前記一次元撮像素子による前記原稿面のライン状読取範囲よりもそのライン方向と直交する方向で広範囲に原稿面を照明することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載の画像読取装置。
- 前記一次元撮像素子で線順次に読み取られた原稿画像読取信号の平均値を算出する平均値算出手段と、
算出された前記平均値から前記原稿面の白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を算出するスレッシュ値算出手段と、
算出された前記スレッシュ値を用いて白地部と画像部とを区分けした画像データを作成する画像データ作成手段と、
を有する請求項1ないし7のいずれか一記載の画像読取装置。 - 前記一次元撮像素子で線順次に読み取られた複数ライン分の原稿画像読取信号を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段で記憶された複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値を算出する平均値算出手段と、
算出された前記平均値から前記原稿面の白地部と画像部とを判断するスレッシュ値を算出するスレッシュ値算出手段と、
算出した前記スレッシュ値を用いて白地部と画像部とを区分けした画像データを作成する画像データ作成手段と、
を有する請求項1ないし7のいずれか一記載の画像読取装置。 - 前記一次元撮像素子で線順次に読み取られた複数ライン分の原稿画像読取信号を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段で記憶された複数ライン分の原稿画像読取信号の平均値を算出する平均値算出手段と、
算出された平均値から二次照明光の光量に応じた補正係数を算出する補正係数算出手段と、
算出された補正係数を用いて前記原稿画像読取信号を補正する補正手段と、
を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一記載の画像読取装置。 - 請求項1ないし10のいずれか一記載の画像読取装置と、前記画像読取装置で読み取った画像を記録媒体上に形成するプリンタ装置と、を有する画像形成装置。
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2003
- 2003-01-29 JP JP2003020589A patent/JP2004235861A/ja active Pending
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