JP2009197836A - 自立保持装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】揺動体を所定の角度範囲にわたって自立保持できるとともに、クリック感が発生せず、かつ、自立保持のための付勢力を適正に設定することのできる自立保持装置を提供すること。
【解決手段】自立保持装置は、第1回転軸12に連結された便座に対する自立保持機構19では、第1回転軸12の軸端部124に半径方向外側に突出した突部129が形成され、カバー13には、周方向に延在する押圧部135が形成されている。押圧部135の周りには、コイルバネからなる付勢部材190が装着されている。第1回転軸12に所定レベル未満の回転トルクが付与されているときには、突部129と押圧部135との間に発生する摩擦力によって押圧部135と突部129とのすり抜けを阻止し、便座が起立している状態を維持する。
【選択図】図4

Description

本発明は、洋式便器の便座や便蓋、あるいは開閉蓋等の揺動体を倒れないように自立状態に保持する自立保持装置に関するものである。
洋式便器の便座や便蓋、あるいは開閉蓋等の回転体を倒れないように起立した状態に自立保持する自立保持装置としては以下の先行技術が存在する。
まず、オイルダンパー機構のダンパー軸に設けた凹溝に内側ローラを配置する一方、外枠に設けたスリットに外側ローラを配置し、内側ローラと外側ローラの乗り越えを、部分的な開放部を備えた円弧状の板バネの付勢力で阻止する構成が提案されている(特許文献1参照)。
また、上記の先行技術と同様な構成において、内側ローラに代えて樹脂突起を用い、外側ローラに代えてバネ性をもった樹脂突起を用いた構成が提案されている(特許文献2参照)。
特開平8−182635号公報 特開平8−24161号公報
しかしながら、特許文献1に記載の構成のように、ローラ同士の干渉により揺動体の傾倒を阻止する構成では、ローラ同士が干渉して乗り越えが阻止された際にローラに大きな力が急激に加わるとともに、乗り越えが起こった際、外側ローラが急激に変位するので、度当たり的なクリック感やクリック音が発生してしまい、感触が悪いという問題点がある。また、内側ローラと外側ローラとが重なった位置で便座を保持できないため、全開位置より閉側でローラ同士を干渉させることになるので、全開位置付近で便座にガタツキが発生してしまうという問題点がある。また、特許文献1に記載の構成のように、樹脂部品にバネ性をもった樹脂突起を形成した場合には、使用する樹脂材料の強度や撓み強度などの制約の面から付勢力の設定範囲が狭くなってしまうという問題点がある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、揺動体に自立保持のための負荷を印加する際にクリック感が発生せず、かつ、自立保持のための付勢力を適正に設定することのできる自立保持装置を提供することにある。
また、本発明の課題は、自立している揺動体にガタツキが発生することを防止することのできる自立保持装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明では、固定体に回転可能に支持された回転部材に所定レベルを超える回転トルクが印加されない限り当該回転部材の回転を阻止して当該回転部材と一体に回転する揺動体の自立を保持する自立保持装置であって、前記固定体および前記回転部材のうち、一方側部材に形成された軸部には当該軸部の外周輪郭線に対する仮想内接円より半径方向外側に突出した突部が形成され、他方側部材は、前記軸部の外周側において周方向の所定箇所で半径方向に変位可能な押圧部と、当該押圧部を半径方向内側に付勢する付勢部材とを備え、前記突部の外周面および前記押圧部の内周面のうちの少なくとも一方は、周方向の所定の角度範囲にわたって延在し、前記回転部材に付加された回転トルクが前記突部と前記押圧部との間の摩擦力以下であるときには前記突部と前記押圧部とのすり抜けが阻止され、前記回転部材に付加された回転トルクが前記突部と前記押圧部との間の摩擦力を超えるときには前記突部と前記押圧部とのすり抜けが行なわれることを特徴とする。
本発明では、付勢部材に付勢された押圧部と軸部において突部が形成されていない領域とが接する区間では小さな摩擦力しか発生しない、あるいは摩擦力が発生しないので、揺動体を容易に揺動させることができる。これに対して、付勢部材に付勢された押圧部と軸部の突部とが接する区間では大きな摩擦力が発生する。このため、回転部材に付加された回転トルクが突部と押圧部との間の摩擦力以下であるときには突部と押圧部とのすり抜けが阻止される。このため、洋式便器の便座や便蓋、あるいは開閉蓋等の揺動体を倒れないように自立状態に保持することができる。ここで、突部および押圧部のうちの少なくとも一方は、周方向の所定の角度範囲にわたって延在しているため、突部と押圧部とのすり抜けが始まってから所定の区間では、押圧部の内側で突部が弾性をもって保持された状態が継続する。このため、所定の角度範囲にわたって揺動体に対して自立のための負荷を印加することができるので、突部と押圧部との間の摩擦力によって突部が押圧部の内側に保持されている角度範囲内に揺動体の回転範囲の起立側限界位置を設定することができる。また、突部と押圧部との摩擦力を利用するため、すり抜けが阻止された際に突部および押圧部に急激に力が加わることがなく、かつ、すり抜けが起こった際に押圧部が急激に変位することもないので、度当たり的なクリック感やクリック音が発生しない。さらに、突部と押圧部とのすり抜けを阻止するのに、固定体や回転部材とは別部品の付勢部材の付勢力を利用するため、付勢力については任意の最適なレベルに設定することができ、他方側部材についてバネ性を付与するのに適した材料を用いなければならないという制約もない。
本発明において、前記突部の外周面および前記押圧部の内周面のうち、前記の周方向に延在している部分は、前記軸部を中心とする略円弧状であることが好ましい。このように構成すると、前記の周方向に延在している部分で突部と押圧部とが接している間、略同一レベルの付勢力を発生させることができ、押圧部の内側で突部が弾性をもって保持された状態を所定の角度範囲にわたって実現することができる。
本発明においては、前記突部の外周面および前記押圧部の内周面のうち、前記押圧部の内周面が周方向の所定の角度範囲にわたって延在している構成を採用することができる。
本発明において、前記突部と前記押圧部との間の摩擦力によって前記突部が前記押圧部の内側に保持されている状態で、前記揺動体の双方向の回転が阻止されていることが好ましい。このように構成すると、揺動体の自立保持を行なった状態で揺動体にガタツキが発生することを防止することができる。
本発明において、前記突部と前記押圧部との間の摩擦力によって前記突部が前記押圧部の内側に保持されている角度範囲内に前記揺動体の回転範囲の起立側限界位置が設定されていることが好ましい。このように構成すると、前記揺動体を起立側限界位置まで到達した時点で自立保持のための負荷(摩擦力)が印加された状態とすることができるので、自立状態の揺動体にガタツキが発生することを防止することができる。
本発明において、前記押圧部は、前記一方側部材の一部を加工してなることが好ましい。押圧部については、付勢力を発揮する構成および付勢力を発揮しない構成のいずれであってもよいので、別部品によって押圧部を形成する必要がない。従って、部品点数を減らすことができるとともに、組み立て工程の高効率化を図ることができる。
本発明においては、前記一方側部材が前記回転部材であり、前記他方側部材が前記固定体である構成、前記一方側部材が前記固定体であり、前記他方側部材が前記回転部材である構成を採用することができる。ここで、前記一方側部材が前記回転部材であり、前記他方側部材が前記固定体である場合、固定体において軸部の外周側に位置する部分をカバーなどとして利用できるので、内部への異物の侵入を防止することができる。
本発明において、前記突部は、前記押圧部の外側を通るように前記固定体側に装着された環状付勢部材であることが好ましい。付勢部材が環状付勢部材であれば、軸線方向から装着すればよいので、円弧状の板バネが開くように大きな力を加えて半径方向外側から板バネを外側部材に装着するという手間のかかる組み立て作業を行なう必要がない。また、環状付勢部材であれば、周方向に関しては位置決めや位置合わせを行う必要がないので、その点からいっても、組み立て作業が容易であるとともに、構成の簡素化を図ることができる。さらに、環状付勢部材であれば、周方向のいずれの箇所が押圧部に接している場合でも同等の付勢力を発揮するので、安定した動作を行なうという利点もある。
本発明において、前記付勢部材は、周方向で離間して複数形成され、前記付勢部材は、前記複数の押圧部の周りに装着された環状付勢部材であることが好ましい。このように構成すると、前記複数の押圧部に対して同等の付勢力を印加することができる。
本発明において、前記環状付勢部材は、コイルバネであることが好ましい。コイルバネは比較的安価であるため、自立保持装置のコストを低減することができる。しかも、コイルバネであれば、占有スペースが狭くてよい。また、コイルバネであれば、径の拡大と縮小が繰り返されても劣化が小さい。さらに、コイルバネの場合、線材の巻回方向に捩れながら径が拡大するため、径の拡大と縮小が繰り返されるうちに周方向にずれていく。このため、コイルバネにおいて押圧部に接する箇所が移動するため、特定箇所が変形してしまうことがないので、付勢力が安定しているという利点がある。さらにまた、コイルバネであれば、線材の巻回数や太さを変えるだけで、付勢力を調整することができる。また、線材が多重に巻回されている場合、その一部が切断されても、付勢力を発揮するため、ある程度の自立保持機能を発揮することができる。
本発明において、前記付勢部材は、周方向の一部に切り欠きをもったバネ部材であってもよい。かかるバネ部材としては、C字形状の板バネや、クリップ状のバネ部材を挙げることができる。
本発明において、前記軸部の外周側のうち、前記押圧部が形成されていない領域および前記付勢部材が介在しない領域を介して前記軸部の回転を検出するセンサが配置されていることが好ましい。
本発明において、前記回転部材が一方方向に回転する際に当該回転部材に制動力を印加する第1ダンパー機構を備えていることが好ましい。このように構成すると、揺動体が倒れようとする際の方向と、第1ダンパー機構において制動力が発生する際の揺動体の回転方向とを一致させれば、突部と押圧部とのすり抜けを阻止する付勢部材に求められる付勢力を小さくすることができる。
本発明において、前記回転部材とは別の回転部材が前記固定体に対して回転可能に支持され、前記別の回転部材に対しては、前記付勢部材に対して軸線方向で隣接する位置に当該別の回転部材が一方方向に回転する際に制動力を発揮する第2ダンパー機構が構成され、前記付勢部材は、前記第2ダンバー機構を構成する部材により、前記固定体から軸線方向への脱落が阻止されていることが好ましい。このように構成すると、付勢部材の抜け防止対策を別途行なう必要がないため、構成の簡素化を図ることができる。
本発明に係る自立保持装置では、回転部材に付加された回転トルクが突部と押圧部との間の摩擦力以下であるときには突部と押圧部とのすり抜けが阻止されるため、洋式便器の便座や便蓋、あるいは開閉蓋等の揺動体を倒れないように自立状態に保持することができる。ここで、突部および押圧部のうちの少なくとも一方は、周方向の所定の角度範囲にわたって延在しているため、突部と押圧部とのすり抜けが始まってから所定の区間では、押圧部の内側で突部が弾性をもって保持された状態が継続する。このため、所定の角度範囲にわたって揺動体に対して自立のための負荷を印加することができるので、突部と押圧部との間の摩擦力によって突部が押圧部の内側に保持されている角度範囲内に揺動体の回転範囲の起立側限界位置を設定することができ、自立状態の揺動体にガタツキが発生することを防止することができる。また、突部と押圧部との摩擦力を利用するため、すり抜けが阻止された際に突部および押圧部に急激に力が加わることがなく、かつ、すり抜けが起こった際に押圧部が急激に変位することもないので、度当たり的なクリック感やクリック音が発生しない。さらに、突部と押圧部とのすり抜けを阻止するのに、固定体や回転部材とは別部品の付勢部材の付勢力を利用するため、付勢力については任意の最適なレベルに設定することができ、他方側部材についてバネ性を付与するのに適した材料を用いなければならないという制約もない。
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
(全体構成)
図1(A)、(B)は、本発明に係る自立保持装置を備えた洋式トイレの全体図、および便座や便蓋が揺動する様子を示す側面図である。図2は、本発明が適用された自立保持装置の分解斜視図である。図3は、図2に示す自立保持装置を軸線方向と平行に切断したときの縦断面図である。
図1(A)、(B)に示す洋式便器は、便器本体2、水タンク3、便座5、便蓋6、および自立保持装置1などから構成されている。便座5および便蓋6は、便器本体2にヒンジ機構を介して支持されており、開方向を矢印Oで示し、閉方向を矢印Cで示すように、便器本体2に対して開閉自在となっている。本形態において、便座5は、図1(B)に実線で示す全開位置から2点鎖線で示す全閉位置までの間で開閉され、その開閉角度θは110°前後に設定されている。また、便座5には、図1(B)において点L1で示す位置に起立側限界位置が設定され、これ以上、傾かないようになっている。
このように構成した洋式便器において、自立保持装置1は、後述するように、便座5および便蓋6を起立状態(開姿勢)から平伏状態(閉姿勢)に移行する際(矢印Cで示す)、その速度を低減するダンパー機能と、便座5を起立側限界位置まで起立させた際、その後、所定レベル以上の閉方向の回転トルクが便座5に印加されない限り、便座5の閉方向の回転を阻止して便座5を自立状態に保持するトルクリミッタ機能とを備えている。
図2および図3において、本形態の自立保持装置1は、図1に示す便蓋6および便座5の双方に機構的に連結される回転軸を備えるもので、ガラス入りポリブチレンテレフタレート製の筒状の第1回転軸12と、この第1回転軸12内に同軸状に挿入され、第1回転軸12から両方の軸端部が突き出た第2回転軸16と、第1回転軸12が内部を挿通する第1ケーシング11と、第2回転軸16の一方の軸端部160に同軸状に連結されたロータ17と、ロータ17が内部に同軸状に配置された第2ケーシング18とを有している。本形態では、第1回転軸12の第1ケーシング11からの突出部分に便座5が機構的に連結され、第2回転軸16の第1回転軸12からの突出部分に便蓋6が機構的に連結される。
詳しくは後述するように、第1ケーシング11と第1回転軸12との間に区画形成された第1密閉空間20A、および第2ケーシング18とロータ17との間に区画形成された第2密閉空間20Bの各々には、オイル(粘性流体)を用いた第1流体圧ダンパー機構10A、および第2流体圧ダンパー機構10Bが構成されており、かかる第1流体圧ダンパー機構10A、および第2流体圧ダンパー機構10Bは各々、便座5および便蓋6が閉方向に回転する際、第1回転軸12、および第2回転軸16(ロータ17)に負荷を印加する。
第1ケーシング11と第2ケーシング18は、第2回転軸16の軸端部160を通す開口部130が形成されたカバー13を間に挟んでフランジ同士がねじ(図示せず)で軸線方向に連結され、部材同士は溶接により接合されている。従って、第1ケーシング11は共通のカバー13の一方側端面で覆われ、第2ケーシング18は共通のカバー13の他方側端面で覆われている。
(自立保持機構の構成)
本形態では、以下に説明するように、第1ケーシング11、第2ケーシング18およびカバー13からなる固定体100に回転可能に支持された第1回転軸12(回転部材)に所定レベルを超える閉方向の回転トルクが印加されない限り、第1回転軸12の回転を阻止する自立保持機構19が構成されており、かかる自立保持機構19によって、便座5を自立状態に保持するようになっている。かかる自立保持機構19の構成を、図2、図3および図4を参照して説明する。
図4(A)〜(F)はそれぞれ、図2に示す自立保持装置1において、自立保持機構を構成する第1回転軸12の軸端面の断面図、カバー13の断面図、カバー13に第1回転軸12を位置合わせした状態の断面図、カバー13に付勢部材を装着した状態の断面図、図4(C)に示す状態から第1回転軸12を矢印Oで示す方向に回転させた様子を示す説明図、および図4(D)に示す状態から第1回転軸12をさらに矢印Oで示す方向に回転させた様子を示す説明図である。なお、図4では、各部材の構成が分かりやすいように、断面図以外にも、同一部材に係る部分には同一の斜線を付してある。
図1(B)に示すように、本形態では、便座5の姿勢に対応して、第1回転軸12には、第1回転軸12に連結された便座5が自重で倒れる自重回転範囲L2と、第1回転軸12を介して便座5に負荷を印加して自立状態(図1(B)に実線で示す全開状態)を保持する自立保持用負荷印加範囲L3とが設定されている。本形態では、かかる自立保持用負荷印加範囲L3を実現するとともに、自立保持用負荷印加範囲L3内に便座5の起立側限界位置(点L1)を設定することを目的に、以下に説明する自立保持機構19が構成されている。
本形態では、自立保持機構19を構成するにあたって、図2、図3および図4に示すように、第1ケーシング11、第2ケーシング18およびカバー13からなる固定体100のうち、カバー13と第1回転軸12とを利用している。
より具体的には、図2、図3(A)、図4(A)、(B)、(C)に示すように、第1回転軸12(回転部材)においてカバー13側に位置する軸端部124(軸部)は、基本的には円筒形状になっているが、その外周面には、点対称位置の2箇所に半径方向外側に突出した突部129が形成されている。すなわち、軸端部124の外周形状は、楕円形状、紡錘形状あるいは長円形状になっており、長軸方向および短軸方向をもった連続したカム面になっている。かかる突部129は、軸端部124の外周輪郭線に対する仮想内接円S(図4(A)参照)より半径方向外側に突出した部分として定義される。なお、突部129は、段差をもって突出した形状であってもよい。
これに対して、カバー13には、その一部を利用して、内底部から軸線方向に板状に延びた2つの押圧部135が形成されている。かかる2つの押圧部135は、第1回転軸12の軸端部124を中心とする点対称位置に配置されている。ここで、押圧部135は、周方向において所定の角度範囲にわたって形成されており、押圧部135の内周面は、軸端部124を中心とする略円弧状に湾曲しながら周方向に延在している。このため、カバー13の内側に第1回転軸12の軸端部124を配置すると、図4(C)に示すように、2つの押圧部135は、第1回転軸12の軸端部124の外周面に対向することになる。
また、本形態において、カバー13に対しては、図4(D)に示すように、2つの押圧部135の周りに環状の付勢部材190が装着されている。ここで、押圧部135は半径方向に変形して変位可能であるため、押圧部135は、付勢部材190によって半径方向内側に付勢され、第1回転軸12の軸端部124の外周面に弾性をもって接している。本形態では、付勢部材190として、本形態では、金属製の線材を多重に巻回したコイルバネが用いられている。なお、カバー13の内側に第1回転軸12の軸端部124を配置した時点で、2つの押圧部135が第1回転軸12の軸端部124の外周面に接するように構成してもよい。
また、図2に示すように、カバー13の円筒状胴部136には、2つの押圧部135を結ぶ仮想線に直交する線上に窓137が形成されており、かかる窓137の半径方向外側には、2つの押圧部135が形成されていない領域、および付勢部材190が介在しない領域を介して第1回転軸12の軸端部124の回転を検出する光学式あるいは磁気式のセンサ14が配置されている。
(自立保持機構19の動作、作用およびその主な効果)
図5は、図1に示す洋式トイレで便座5の位置と、便座5に加わる回転トルク、および第1回転軸12とカバー13との発生する摩擦力との関係を示すグラフであり、便座5に加わる回転トルクは、自立保持機構19がない場合に便座5を自重などによって閉方向に回転させる際に便座5に加わる回転トルクを示してある。
本形態の自立保持装置1において、図1(B)に示すように、便座5が水タンク3の側(奥の方)に傾斜する開姿勢から、矢印Cで示す閉方向に回転させる際、第1回転軸12に加わるトルクは、図5に実線L11で示すように変化していく。逆に、便座5が便器本体2上に平伏する閉姿勢から矢印Oで示す開方向に回転させるには、図5に実線L11で示す回転トルクを印加する必要があり、その際、便座5は、便座5自身に対するストッパや、後述する第1流体圧ダンパー機構10A内に構成されたストッパにより、図1(B)に示す起立側限界位置L2で停止する。
一方、図4を参照して説明した自立保持機構19においては、図4(D)、(F)に示すように、付勢部材190に付勢された押圧部195と軸端部124において突部129が形成されていない領域とが接する区間では、図5に点線L12で示すように、押圧部195と軸端部124との間に小さな摩擦力しか発生しない。これに対して、図4(E)に示すように、付勢部材190に付勢された押圧部195と軸端部124の突部129とが接する区間は、図5に示す自立負荷印加領域L3であり、図5に点線L12で示すように、押圧部195と軸端部124との間に大きな摩擦力が発生する。
従って、図1(B)に二点鎖線で示すように、便器本体2上で平伏する閉姿勢にある便座5を開方向に回転させる際、自立保持用負荷印加範囲L3に到達する前の自重回転範囲L2では、図4(D)に示すように、付勢部材190に付勢された押圧部195と軸端部124において突部129が形成されていない領域とが接する区間であるので、小さな力で便座5を開方向に回転させることができる。
そして、便座5をさらに開方向に回転させ、それに伴って、第1回転軸12が開方向に回転すると、図4(E)に示すように、付勢部材190に付勢された押圧部135が軸端部124の突部129に接し、押圧部135と軸端部124の突部129とが接する区間(自立保持用負荷印加範囲L3)となる。かかる区間では、押圧部195と軸端部124との間に大きな摩擦力が発生する。かかる状態においては、第1回転軸12に大きめの力を加えない限り、便座5は、開方向に回転しないとともに、便座5から手を放しても便座5が閉方向に回転することもない。
さらに、便座5を開方向に回転させ、それに伴って、第1回転軸12が開方向に回転すると、図4(F)に示すように、再び付勢部材190に付勢された押圧部195は、軸端部124において突部129が形成されていない領域に接することになり、かかる状態では押圧部135と軸端部124との間に小さな摩擦力しか発生しない。
但し、本形態では、便座5が水平姿勢に対して約110°を成す角度位置(起立側限界位置L1)に到達した時点は、図5に示すように、押圧部135と突部129とが接する自立保持用負荷印加範囲L3内の最終時点に設定してあるため、便座5を最も開方向に回転させた時点でも、図4(F)に示す状態にはならず、図4(E)に示す状態で停止する。この状態では、押圧部135と軸端部124との間には、図5に実線L11で示すトルク以上の大きな摩擦力が発生するように、付勢部材190の付勢力などを設定してある。このため、押圧部135と軸端部124との間に発生した摩擦力を超えるような力が便座5に加わらない限り、突部129と押圧部135とのすり抜けが阻止される。それ故、便座5は、起立側限界位置L1において自立姿勢が保持され、不用意に閉方向に回転することがない。
なお、便座5を閉方向に強制的に回転させて、便座5を自重回転範囲L2まで到達させた後においては、便座5は、自重により自動的に閉方向に回転することになる。
以上説明したように、本形態の自立保持装置1では、第1回転軸12に付加された回転トルクが突部129と押圧部135との間の摩擦力以下であるときには突部129と押圧部135とのすり抜けが阻止されるので、便座5を倒れないように自立状態に保持することができる。
ここで、押圧部135の内周面は、周方向の所定の角度範囲にわたって延在しているため、突部129と押圧部135とのすり抜けが始まってから所定の区間(自立保持用負荷印加範囲L3)では、押圧部135の内側で突部129が弾性をもって保持された状態が継続する。しかも、押圧部135の内周面において、周方向に延在している部分は略円弧状であるため、突部129と押圧部135とが接している間、略同一レベルの付勢力を発生させることができ、押圧部135の内側で突部129が弾性をもって保持された状態を所定の角度範囲にわたって実現することができる。このため、所定の角度範囲にわたって便座5および第1回転軸12に対して自立のための負荷を印加することができるので、かかる自立保持用負荷印加範囲L3内に、便座5の回転範囲の起立側限界位置L1を設定することができる。それ故、突部129が押圧部135の内側に保持されている状態で、便座5の双方向の回転が阻止されているため、自立状態の便座5にガタツキが発生することを防止することができる。
また、本形態では、突部129と押圧部135との摩擦力を利用するため、すり抜けが阻止された際に突部129および押圧部135に急激に力が加わることがなく、かつ、すり抜けが起こった際に押圧部135が急激に変位することもないので、度当たり的なクリック感やクリック音が発生しない。
また、突部129と押圧部135とのすり抜けを阻止するのに、固定体100や第1回転軸12とは別部品の付勢部材190の付勢力を利用するため、付勢力については任意の最適なレベルに設定することができ、カバー13についてはバネ性を付与するのに適した材料を用いなければならないという制約もない。しかも、付勢力については付勢部材190によって調整できるので、押圧部135については付勢力を発揮する構成および付勢力を発揮しない構成のいずれであってもよい。それ故、カバー13の材質にかかわらず、カバー13の一部によって押圧部135を構成できるので、部品点数を減らすことができるとともに、組み立て工程の高効率化を図ることができる。
また、本形態では、付勢部材190として、コイルバネ(環状付勢部材)を用いたため、付勢部材190を軸線方向から装着すればよいので、円弧状の板バネが開くように大きな力を加えて半径方向外側から板バネを外側部材に装着するという手間のかかる組み立て作業を行なう必要がない。また、環状の付勢部材190であれば、周方向に関しては位置決めや位置合わせを行う必要がないので、その点からいっても、組み立て作業が容易であるとともに、構成の簡素化を図ることができる。さらに、環状の付勢部材190であれば、周方向のいずれの箇所が押圧部135に接している場合でも同等の付勢力を発揮するので、安定した動作を行なうという利点もある。
また、付勢部材190として安価なコイルバネを用いたため、自立保持装置1のコストを低減することができる。しかも、付勢部材190がコイルバネであれば、占有スペースが狭くてよい。また、付勢部材190がコイルバネであれば、径の拡大と縮小が繰り返されても劣化が小さい。さらに、付勢部材190がコイルバネの場合、線材の巻回方向に捩れながら径が拡大するため、径の拡大と縮小が繰り返されるうちに周方向にずれていく。このため、付勢部材190において押圧部135に接する箇所が移動するため、特定箇所が変形してしまうことがないので、付勢力が安定しているという利点がある。また、付勢部材190がコイルバネであれば、線材の材質、巻回数、太さなどを変えるだけで、付勢力を調整することができる。また、付勢部材190が、線材が多重に巻回されたコイルバネであれば、その一部が切断されても、付勢力を発揮するため、ある程度の自立保持機能を発揮することができる。
また、環状の付勢部材190を2つの押圧部135の周りに装着したため、2つの複数の押圧部135に対して同等の付勢力を印加することができる。しかも、2つの押圧部135同士、および2つの突部129同士を点対称位置に配置したため、第2回転軸12に偏った力が加わらない。それ故、第2回転軸12に対するラジアル軸受部分での偏った磨耗を防止することができる。
また、本形態では、回転する第1回転軸12の軸端部124を内側に配置し、外側に固定のカバー13を第1回転軸12の軸端部124を囲むように配置したため、内部への異物の侵入を防止することができる。
また、押圧部135が形成されていない領域、および付勢部材19が介在しない領域を介して第1回転軸12の軸端部124の回転を検出するセンサ14を配置したため、第1回転軸12の半径方向外側で第1回転軸12の回転を監視でき、かかる位置であれば、第1回転軸12に対して軸線方向で回転検出を行なう場合に比して、センサ14を配置するのに必要な空間が狭くてよい。それ故、自立保持装置1の小型化を図ることができる。また、センサ14の位置が監視対象である第1回転軸12に近いので、検出感度が高い。
さらに、本形態の自立保持装置1は、第1回転軸12に対する第1流体圧ダンパー機構10A(図6を参照して後述する)を備えており、かかる第1流体圧ダンパー機構10Aにおいて制動力が発揮する方向は、便座5が倒れようとする際の方向である。このため、自立保持機構19では、付勢部材190に求められる付勢力を小さくすることができる。
しかも、自立保持機構19は、固定体100のうち、カバー13を利用して構成され、第1流体圧ダンパー機構10Aは、固定体100のうち、第1ケーシング11を利用して構成されている。このため、自立保持機構19と第1流体圧ダンパー機構10Aとを途中まで別々に組み立てた後、カバー13と第1ケーシング11とを連結すればよいので、組み立て作業を効率よく行なうことができる。
さらにまた、第1回転軸12とは別の第2回転軸16(別の回転部材)が固定体100に対して回転可能に支持され、かかる第2回転軸16には、図7を参照して後述する第2流体圧ダンパー機構10Bが構成されている。また、自立保持機構19は、第1流体圧ダンパー機構10Aと第2流体圧ダンパー機構10Bとの間に配置されている。このため、カバー13において付勢部材190が配置されている開口部130は、第2流体圧ダンパー機構10Aを構成する部材(後述するロータ17の端面)によって、付勢部材190が配置されている部分が塞がれる。このため、付勢部材190が押圧部135から抜けることがないので、付勢部材190の抜け防止対策を別途行なう必要がなく、構成の簡素化を図ることができる。
(第1流体圧ダンパー機構)
図2、図3および図6を参照して、便座5に対する第1流体圧ダンパー機構を説明する。図6(A)〜(E)はそれぞれ、図2に示す第1のダンパー機構10Aにおいて、起立していた便座を倒そうとする動作を行っているときの密閉空間内の様子を軸線方向に垂直に切断したときの断面図、軸線方向と平行に切断したときの断面図、平伏している便座を起こそうとする動作を行っているときの密閉空間内の様子を軸線方向に垂直に切断したときの断面図、平伏している便座を起こそうとする動作を行っているときの密閉空間内の様子を軸線方向に平行に切断したときの断面図、および逆止弁が変形した様子を示す説明図である。
図2および図3(A)に示すように、本形態の自立保持装置1では、第1回転軸12の軸線方向の略中央位置から先端側にはOリング52を装着するOリング装着溝127が形成されている。また、第1回転軸12の軸線方向の略中央位置から基端寄りの位置にもOリング53を装着するOリング装着溝128が形成されている。さらに、カバー13の外周面にもOリング54を装着するOリング装着溝131が形成されている。従って、各Oリング装着溝127、128、131にOリング52、53、54を装着する一方、第1ケーシング11内に所定量のオイル(粘性流体)を注入しておき、次に、第1ケーシング11内に第1回転軸12を挿入し、しかる後に、カバー13を取り付ければ、第1回転軸12、第1ケーシング11、およびカバー13によって第1密閉空間20Aが区画形成されるとともに、この第1密閉空間20Aにはオイルが充填された状態となる。
また、図2、図3(A)、および図6(A)、(B)において、第1ケーシング11の円筒内壁111からは、半径方向内側に一対の隔壁112が第1回転軸12の外周面近傍まで突出している一方、第1回転軸12の外周面からは一対の翼部120が突出し、第1密閉空間20Aは、隔壁112と翼部120とによって複数のオイル室に区画されている。すなわち、隔壁112によって区画形成された2つの空間は各々、翼部120によって、翼部120に対して矢印CWで示す方向の側に位置する第1オイル室21と、翼部120に対して矢印CCWで示す方向の側に位置する第2オイル室22とに区画形成されている。また、隔壁112および翼部120は、第1回転軸12の回転領域を規定するストッパとして機能する。ここで、第1回転軸12の回転領域は、それに連結された便座5の開閉動作に対応する角度範囲である。
本形態において、翼部120には、凹部からなるオリフィス125の両側に第1係合突起121および第2係合突起122が形成されている。従って、翼部120では、第1係合突起121、オリフィス125、および第2係合突起122が軸線方向にこの順に並んでおり、第1係合突起121の軸線方向における外側、および第2係合突起122の軸線方向における外側には各々、断面矩形の切り欠きが形成されている。また、翼部120には、オリフィス125を開閉する逆止弁30が装着される。
逆止弁30は、翼部120の周方向に位置する2つの端面のうち、矢印CCWで示す方向側の端面(一方側端面)の側でオリフィス125を覆う平板状の弁部35と、弁部35の一方端から第1係合突起121の外側を回って翼部120の矢印CWで示す方向側の端面(他方側端面)まで屈曲して第1係合突起121に係合するコの字形状の第1係合部31と、弁部35の他方端から第2係合突起122の外側を回って翼部120の矢印CWで示す方向側の端面まで屈曲して第2係合突起122に係合するコの字形状の第2係合部32とを備えた樹脂成形品である。
ここで、逆止弁30は、第1ケーシング11の内底と、第1ケーシング11の開口を塞ぐカバー13の端面とによって軸線方向の両側から支持される。
このように構成した第1流体圧ダンパー機構10Aにおいて、第1回転軸12に便座を機構的に連結した場合の動作を説明する。
第1流体圧ダンパー機構10Aでは、起立していた便座5を倒そうとすると、図6(A)、(B)に示すように、第1ケーシング11の方は固定されたまま、第1回転軸12が矢印CCWで示す方向に回転する。その際、第1回転軸12の外周面は、隔壁112の先端面を摺動しながら矢印CCWで示す方向に回転し、翼部120は、矢印CCWで示す方向に回転しながら第2オイル室22を狭める。その結果、第2オイル室22のオイルは加圧されて、第1オイル室21に移動しようとするが、その圧力で逆止弁30が矢印CWで示す方向の方向に変位し、翼部120の矢印CCWで示す方向の側に位置する端面に弁部35が押し付けられる。その結果、オリフィス125は、弁部35で塞がれるため、第1オイル室21のオイルは、第1ケーシング11の円筒内壁111と逆止弁30との隙間などから第2オイル室22に移動するだけである。従って、便座5は、このときのオイルの流動抵抗によって高負荷状態になって、制動力が発生するので、緩やかに閉じることができる。
これに対して、平伏していた便座5を起こそうとすると、図6(C)、(D)に示すように、第1ケーシング11の方は固定されたまま、第1回転軸12が矢印CWで示す方向に回転する。その際、第1回転軸12の外周面は、隔壁112の先端面を摺動しながら矢印CWで示す方向に回転し、翼部120は、矢印CWで示す方向に回転しながら第1オイル室21を狭める。その結果、第1オイル室21のオイルは、第2オイル室22に移動しようとし、その圧力で逆止弁30が矢印CCWで示す方向の方向に変位し、翼部120の矢印CCWで示す方向側の端面から弁部35が離間する。その結果、オリフィス125は開放状態となり、第1オイル室21のオイルは、オリフィス125から第2オイル室22に自由に移動する。従って、便座5は低負荷状態になるので、小さな力で起こすことができる。
また、第1流体圧ダンパー機構10Aにおいて、高負荷状態のときには、逆止弁30の弁部35が翼部120に押し付けられるので変形しにくいが、低負荷状態のときには、弁部35が翼部120から離間しているので、オイルの圧力を弁部35全体が受けることになって、図6(E)に示すように逆止弁30が撓む。それでも、本形態では、逆止弁30の第1および第2係合部31、32は、翼部120の第1および第2の係合突起122、122の各々の外側を回って屈曲して第1および第2の係合突起122、122に係合している。従って、低負荷状態のとき、逆止弁30が撓んでも、このような変形は、第1および第2係合部31、32が第1および第2の係合突起122、122にさらに深く係合しようとする方向の変形であるので、逆止弁30が翼部120から外れることはない。それ故、第1および第2係合部31、32については、剛性を高める必要がないので、自立保持装置1を組み立てる際、逆止弁30を小さな力で変形させて翼部120に装着することができる。よって、組立性に優れている。また、本形態の逆止弁30は、撓んでも、外れることがないので、重い便座に対応するときに用いられる高粘度の粘性流体にも対応することができる。
また、逆止弁30は、第1および第2係合部31、32が翼部120の矢印Cで示す方向側の端面の側で離間し、各々がコの字形状を有している。このため、逆止弁30を撓ませて、第1係合部31、および第2係合部32の内側に第1および第2の係合突起122、122を容易に嵌めることができる。
さらに本形態では、第1ケーシング11の内部に第1回転軸12を挿入した状態で、逆止弁30は軸線方向の両側から支持され、かつ、逆止弁30の第1および第2係合部31、32が第1および第2の係合突起122、122の外側を回っているので、逆止弁30がどのように撓んでも、翼部120から外れることがない。
(第2流体圧ダンパー機構)
図2、図3および図7を参照して、便蓋6に対する第2流体圧ダンパー機構を説明する。図7は、図2に示す第2流体圧ダンパー機構の断面図である。
図2、図3および図7において、本形態の自立保持装置1では、第1ケーシング11のフランジ部に対しては、カバー13を介して第2ケーシング18が連結され、この第2ケーシング18の内側にロータ17が配置される。ロータ17の端面には長穴状の連結穴179が形成されている一方、第2回転軸16の軸端部160は、断面長丸形状になっている。このため、第2回転軸16の軸端部160をロータ17の連結穴179に嵌め込むだけで、ロータ17は、第2回転軸16と別部品であるが、第2回転軸16と一体に軸線周りに回転する。
ここで、ロータ17の大径部177には、Oリング55が装着されるOリング装着溝178が形成されている。従って、第2ケーシング18内に所定量のオイル(粘性流体)を注入しておき、しかる後に、第2ケーシング18内にロータ17を挿入すれば、ロータ17と第2ケーシング18との間には第2密閉空間20Bが区画形成されるとともに、この第2密閉空間20B内にはオイルが充填された状態となる。
第2ケーシング18とロータ17との間でも、第1ケーシング11と第1回転軸12との間と同様、第2ケーシング18の円筒内壁181からは、半径方向内側に一対の隔壁182がロータ17の外周面近傍まで突出している一方、ロータ17の外周面からは一対の翼部170が突出し、第2密閉空間20Bは、隔壁182と翼部170とによって複数のオイル室に区画されている。従って、ロータ17は、隔壁182と翼部170がストッパになって回転領域が規定されている結果、第2回転軸16も回転領域が規定されている。ここで、第2回転軸16の回転領域は、それに連結された便蓋6の開閉動作に対応する角度範囲である。
また、翼部170にはオリフィス175が形成されている一方、この翼部170には、第1流体圧ダンパー機構10Aと同様な逆止弁30が装着されている。すなわち、翼部170では、第1流体圧ダンパー機構10Aの翼部120と同様、第1係合突起171、オリフィス175、および第2係合突起172が軸線方向にこの順に並んでいるので、逆止弁30の弁部35は、翼部170の周方向に位置する2つの端面のうち、矢印CCWで示す方向側の端面(一方側端面)の側でオリフィス175を覆っている。また、逆止弁30のコの字形状の第1係合部31は、第1係合突起171の外側を回って翼部170の矢印CWで示す方向側の端面(他方側端面)まで屈曲して第1係合突起171に係合し、コの字形状の第2係合部32は、第2係合突起172の外側を回って翼部170の矢印Cで示す方向側の端面まで屈曲して第2係合突起172に係合している。この状態で、逆止弁30は、第2ケーシング18の内底と、ロータ17の大径部177とによって軸線方向の両側から支持されている。
このように構成した第2流体圧ダンパー機構10Bにおける動作は、第1流体圧ダンパー機構10Aと同様であるため、その説明を省略するが、起立していた便蓋6を倒そうとすると、オイルの流動抵抗によって高負荷状態になって、制動力が発生するので、緩やかに閉じることができる。また、平伏していた便蓋6を起こそうとすると、便蓋6は低負荷状態にあるので、小さな力で起こすことができる。
[その他の実施の形態]
上記形態では、押圧部135および突部129のうち、押圧部135を周方向に延在させたが、突起129の側、あるいは押圧部135および突部129の双方を周方向に延在させてもよい。
上記形態では、図4(E)に示すように、押圧部135と突部129とが接する自立保持用負荷印加範囲L3内に便座5の起立側限界位置L1を設定したが、図4(F)に示すように、突部129と押圧部135とのすり抜けが終了した直後の位置に便座5の起立側限界位置L1を設定してもよい。
上記形態では、付勢部材190としてコイルバネを用いたが、リング状あるいは円筒状のゴム体であってもよく、この場合も、材質や太さを変えることにより付勢力を任意に設定することができる。また、カバー13に取り付けた板バネなどによって押圧部135を付勢してもよく、この場合、板厚、材質、サイズを変えることにより付勢力を任意に設定することができる。
ここで、付勢部材190として、C字形状に湾曲した板バネやクリップ状のバネ部材など、周方向の一部に切り欠きをもったバネ部材を押圧部35の外側に装着すれば、切り欠きを付勢部材190が介在しない領域として利用することができるので、軸端部124の回転を検出するセンサを配置するのに都合がよい。
上記形態において、押圧部135は、図4(C)に示すように、付勢部材190により付勢されていない状態で、軸端部124の外周面のうち、突部129が形成されていない部分に接触せず、付勢部材190による付勢によって、軸端部124の外周面のうち、突部129が形成されていない部分に接触する構成になっていたが、付勢部材190により付勢されていない状態でも、軸端部124の外周面のうち、突部129が形成されていない部分に押圧部135が接触する構成であってもよい。逆に、付勢部材190により付勢された状態であっても、押圧部135は、軸端部124の外周面のうち、突部129が形成されていない部分に接触しない構成を採用してもよい。
上記形態では、内側の回転部材(第1回転軸12)が配置され、外側に固定体(カバー13)が配置されていたが、回転部材が外側に配置され、固定体が内側に配置されている場合に本発明を適用してもよい。この場合、固定体側に突部を備えた軸部を構成し、回転部材側に、付勢部材により付勢された押圧部を構成することになる。
上記形態では、ダンパー機構として流体圧ダンパー機構を採用したが、第1回転軸12および第2回転軸16をステッピングモータで駆動する場合、ステッピングモータのディテントトルクを利用してダンパー機構を構成してもよい。また、第1回転軸12および第2回転軸16をステッピングモータで駆動する場合、本発明では、摩擦力を利用しているため、部材同士の突き当たりを利用した場合に比較して、ステッピングモータに求められるトルクを小さく設定でき、モータの小型化を実現することができる。
上記形態では、第1回転軸12に対して自立保持機構19および第1流体圧ダンパー機構10Aを構成するにあって、共通の回転部材(第1回転軸12)に自立保持機構19および第1流体圧ダンパー機構10Aを構成したが、異なる回転部材に自立保持機構19および第1流体圧ダンパー機構10Aを設け、異なる回転部材を連結して第1回転軸12とする構成を採用すれば、各々を別々に組み立てることができるので、組み立て作業の効率を高めることができる。
上記形態では、第2流体圧ダンパー機構10Bを構成する部材(ロータ17)によって、カバー13に装着した付勢部材190の抜け止めを行なったが、付勢部材190に対して軸線方向の両側に第1流体圧ダンパー機構10Aを構成する部材および第2流体圧ダンパー機構10Bを構成する部材を配置して、付勢部材190の両方向での抜け止めを行なう構成を採用してもよい。
本発明は、便座5に対する自立保持装置1の他、便蓋6に対する自立保持装置にも適用でき、1つの自立保持装置に対して、便座5に対する自立保持機構、および便蓋6に対する自立保持機構の双方を設けてもよい。
また、本発明は、便座5や便蓋6に対する自己保持装置の他、開閉蓋(揺動体)の倒れやあおりを防止するための自立保持装置に適用してもよい。
本発明が適用されたダンパー機構を備えた洋式トイレの説明図である。 本発明が適用されたダンパー機構の分解斜視図である。 図2に示すダンパー機構を軸線方向と平行に切断したときの縦断面図、および各部材の連結部分の縦断面図である。 (A)〜(F)はそれぞれ、本発明を適用した自立保持装置において、自立保持機構を構成する第1回転軸の軸端面の断面図、カバーの断面図、カバーに第1回転軸を位置合わせした状態の断面図、カバーに付勢部材を装着した状態の断面図、(C)に示す状態から第1回転軸を回転させた様子を示す説明図、および(D)に示す状態から第1回転軸をさらに回転させた様子を示す説明図である。 図1に示す洋式トイレにおいて、便座の角度位置と、便座に加わる回転トルク、および第1回転軸とカバーとの発生する摩擦力との関係を示すグラフである。 (A)〜(E)はそれぞれ、図2に示す便座に対する第1のダンパー機構において、起立していた便座を倒そうとする動作を行っているときの密閉空間内の様子を軸線方向に垂直に切断したときの断面図、軸線方向と平行に切断したときの断面図、平伏している便座を起こそうとする動作を行っているときの密閉空間内の様子を軸線方向に垂直に切断したときの断面図、平伏している便座を起こそうとする動作を行っているときの密閉空間内の様子を軸線方向に平行に切断したときの断面図、および逆止弁が変形した様子を示す説明図である。 図2に示す便蓋に対する第2流体圧ダンパー機構の構成を示す断面図である。
符号の説明
1 自立保持装置
2 便器本体
5 便座(揺動体)
6 便蓋
10A 第1流体圧ダンパー機構
10B 第2流体圧ダンパー機構
11 第1ケーシング
12 第1回転軸(回転部材)
13 カバー
14 センサ
16 第2回転軸
17 ロータ
18 第2ケーシング
19 自立保持機構
20A 第1密閉空間
20B 第2密閉空間
30 逆止弁
100 固定体
124 第1回転軸の軸端部(軸部)
129 第1回転軸の突部
135 カバーの押圧部
190 付勢部材

Claims (14)

  1. 固定体に回転可能に支持された回転部材に所定レベルを超える回転トルクが印加されない限り当該回転部材の回転を阻止して当該回転部材と一体に回転する揺動体の自立を保持する自立保持装置であって、
    前記固定体および前記回転部材のうち、一方側部材に形成された軸部には当該軸部の外周輪郭線に対する仮想内接円より半径方向外側に突出した突部が形成され、他方側部材は、前記軸部の外周側において周方向の所定箇所で半径方向に変位可能な押圧部と、当該押圧部を半径方向内側に付勢する付勢部材とを備え、
    前記突部の外周面および前記押圧部の内周面のうちの少なくとも一方は、周方向の所定の角度範囲にわたって延在し、
    前記回転部材に付加された回転トルクが前記突部と前記押圧部との間の摩擦力以下であるときには前記突部と前記押圧部とのすり抜けが阻止され、前記回転部材に付加された回転トルクが前記突部と前記押圧部との間の摩擦力を超えるときに前記突部と前記押圧部とのすり抜けが行なわれることを特徴とする自立保持装置。
  2. 前記突部の外周面および前記押圧部の内周面のうち、前記の周方向に延在している部分は、前記軸部を中心とする略円弧状であることを特徴とする請求項1に記載の自立保持装置。
  3. 前記突部の外周面および前記押圧部の内周面のうち、前記押圧部の内周面が周方向の所定の角度範囲にわたって延在していることを特徴とする請求項1または2に記載の自立保持装置。
  4. 前記突部と前記押圧部との間の摩擦力によって前記突部が前記押圧部の内側に保持されている状態で、前記揺動体の双方向の回転が阻止されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の自立保持装置。
  5. 前記突部と前記押圧部との間の摩擦力によって前記突部が前記押圧部の内側に保持されている角度範囲内に前記揺動体の回転範囲の起立側限界位置が設定されていることを特徴とする請求項4に記載の自立保持装置。
  6. 前記押圧部は、前記一方側部材の一部を加工してなることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の自立保持装置。
  7. 前記一方側部材は、前記回転部材であり、
    前記他方側部材は、前記固定体であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の自立保持装置。
  8. 前記付勢部材は、前記押圧部の外側を通って前記固定体側に装着された環状付勢部材であることを特徴とする請求項7に記載の自立保持装置。
  9. 前記押圧部は、周方向で離間して複数形成され、
    前記環状付勢部材は、前記複数の押圧部の周りに装着されていることを特徴とする請求項8に記載の自立保持装置。
  10. 前記環状付勢部材は、コイルバネであることを特徴とする請求項8または9に記載の自立保持装置。
  11. 前記付勢部材は、周方向の一部に切り欠きをもったバネ部材であることを特徴とする請求項7に記載の自立保持装置。
  12. 前記軸部の外周側のうち、前記押圧部が形成されていない領域および前記付勢部材が介在しない領域を介して前記軸部の回転を検出するセンサが配置されていることを特徴とする請求項7乃至11の何れか一項に記載の自立保持装置。
  13. 前記回転部材が一方方向に回転する際に当該回転部材に制動力を印加する第1ダンパー機構を備えていることを特徴とする請求項7乃至12の何れか一項に記載の自立保持装置。
  14. 前記回転部材とは別の回転部材が前記固定体に対して回転可能に支持され、
    前記別の回転部材に対しては、前記付勢部材に対して軸線方向で隣接する位置に当該別の回転部材が一方方向に回転する際に制動力を発揮する第2ダンパー機構が構成され、
    前記付勢部材は、前記第2ダンバー機構を構成する部材により、前記固定体から軸線方向への脱落が阻止されていることを特徴とする請求項13に記載の自立保持装置。
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