JP2009184426A - 駐車支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】段差や勾配などの特殊な路面状況を有する駐車区画への駐車であっても、目標駐車位置に車両を適正に誘導することができる駐車支援装置を提供する。
【解決手段】駐車支援装置は、駐車区画内に配設された駐車区画の路面状況を含む駐車区画属性情報を符号化している符号化マーカを撮像手段6によって撮像することにより得られた符号化マーカ画像から駐車区画属性情報を生成する駐車区画属性情報生成手段23と、駐車区画内において特定された目標駐車位置までの駐車経路を前記駐車区画属性情報を参照して演算する駐車経路演算手段33と、駐車経路に従って車両を誘導する誘導手段34とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に備えられたカメラによる撮影画像を用いて、駐車区画において設定された目標駐車位置に向かう駐車経路を演算して、当該駐車経路に従って車両を目標駐車位置に誘導する駐車支援装置に関する。
このような駐車支援装置として、例えば特許文献1に示すものが知られている。この駐車支援装置は、車両に搭載されたカメラを用いて、目標駐車位置を決定する際の基準となる駐車基準を含む車両の周辺を撮影する。撮影された画像を解析して駐車区画を検出し、検出された駐車区画に基づいて目標駐車位置を設定する。その後、設定された目標駐車位置に向かって車両が誘導される。この駐車支援装置では、駐車区画からかなり離れた駐車開始位置で設定された目標駐車位置に基づいて駐車経路が演算される。従って、精度の良い駐車支援のためには、遠くから撮影された駐車区画の撮影画像品質が高いことが前提となる。
そのような問題を解決する駐車支援装置として、例えば特許文献2に示すものも知られている。この駐車支援装置では、車両を目標駐車位置に誘導する際に、車両が所定条件移動するごとに、駐車基準検出手段が駐車基準を検出するとともに、目標位置更新手段が駐車基準と車両との相対位置に基づいて目標駐車位置を更新する。これにより、最初の目標駐車位置の設定の際に駐車基準から離間した位置に車両が存在したために好適な駐車車両位置が設定できなかった場合であっても、車両が駐車基準に近づいた状態で再度駐車基準と目標駐車位置の設定を行うことで、良好な駐車支援を行うことを意図している。
特開2000−79860号公報(段落番号0020、図1) 特開2007−176244号公報(段落番号0008、図13)
いずれにせよ上述した駐車支援装置では、駐車しようとする駐車区画とその駐車区画への駐車路との間に段差や勾配がないことが前提条件となっている。従って、実際に段差や勾配が存在している場合、段差による走行距離のずれや、勾配による撮影画像から読み取られる距離と実際の距離との違い等により、演算された駐車経路が不正確になる。その結果、目標駐車位置に車両を適正に誘導することができないという問題が生じる。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、段差や勾配などの特殊な路面状況を有する駐車区画への駐車であっても、目標駐車位置に車両を適正に誘導することができる駐車支援装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明による駐車支援装置は、車両に備えられて前記車両の駐車区画周辺を撮像する撮像手段と、前記駐車区画内に配設された前記駐車区画の路面状況を含む駐車区画属性情報を符号化している符号化マーカを前記撮像手段によって撮像することにより得られた符号化マーカ画像から前記駐車区画属性情報を生成する駐車区画属性情報生成手段と、駐車区画内において特定された目標駐車位置までの駐車経路を前記駐車区画属性情報を参照して演算する駐車経路演算手段と、前記駐車経路に従って前記車両を前記目標駐車位置へ誘導する誘導手段とを備えている。
この構成によれば、特定された目標駐車位置に車両を誘導する際に、撮像手段によって符号化マーカが撮像されると、その符号化マーカ画像から駐車区画の路面状況を含む駐車区画属性情報が生成される。さらに、この生成された駐車区画属性情報を参照して駐車経路が演算される。従って、駐車区画の路面状況に応じた適正な駐車経路が演算され、その結果、この駐車支援装置は、目標駐車位置に車両を適正に誘導することができる
なお、符号化マーカの検出には、駐車区画を規定している単純な区画線(一般的には白線)に較べてより高い品質の撮影画像が要求される。従って、満足できる品質の符号化マーカ画像が得られるまでは、従来通りの駐車区画属性情報を参照しないで演算された駐車経路を利用して駐車区画に進入してもよい。その後、満足できる品質の符号化マーカ画像が得られた段階で駐車区画属性情報を参照して演算された駐車経路を利用することで正確な駐車位置に車両を駐車させることができる。
駐車経路の演算において誤差を生じさせる要因となる、駐車区画の路面状況として、特に駐車区画における勾配や段差が挙げられる。このため、本発明に係る駐車支援装置は、さらに、前記駐車区画属性情報生成手段が、前記符号化マーカ画像から前記駐車区画の勾配又は段差あるいはその両方を前記駐車区画属性情報として読み取ることを特徴としている。このような実施形態では、駐車区画内に配設された符号化マーカには、当該駐車区画の勾配や段差に関する情報が符号化して埋め込まれていることになるので、符号化マーカ画像を画像分析して勾配や段差に関する情報を読み取ることができる。
一般に、撮影手段として用いられる車載カメラは車体後部の中央に設けられ、その撮影中心がほぼ車体の長手中心線の延長上に位置している。このため、前記符号化マーカを前記駐車区画の中央に配設すると、その符号化マーカはカメラ撮像面の中央で捉えられることになり、歪みの少ない符号化マーカ画像が得られるという利点がある。
また、駐車区画の中央に配設された符号化マーカが何らかの障害物情報と誤認されないよう、駐車区画の中央部は余白として残しておきたいという要望がある。そのような要望に応えるためには、前記符号化マーカが前記駐車区画を決定する両側の区画線上に配設され、前記車両の駐車区画への進入中において前記駐車区画属性情報生成手段は撮影歪みの少ない方の符号化マーカ画像を用いて前記駐車区画属性情報を生成すると好都合である。車庫入れのような駐車の場合、車両は左方又は右方からカーブしながら駐車区画への進入するケースが少なくない。その際には、両側区画線のどちらか一方に配設された符号化マーカがより歪みが少なくかつ鮮明に撮影される可能性が高いので、その良好な符号化マーカを利用することができる。
また、本発明に係る符号化マーカを暗色領域と明色領域で区分けされた直線幾何学模様から構成し、前記駐車区画属性情報生成手段は前記符号化マーカ画像における特定暗色領域と特定明色領域の長さ比に基づいて駐車区画属性情報を生成することも可能である。この特徴によれば、符号化マーカ部を二値化することで簡単にその直線幾何学模様を取り出すことができる。さらに、符号化マーカ画像から例えば二値化されて明確化された直線幾何学模様における輪郭線を生成することで、各辺の長さ比も容易に算出することができる。
さらに、本発明に係る符号化マーカを暗色領域と明色領域とで区分けされた同心形幾何学模様から構成し、前記駐車区画属性情報生成手段は前記符号化マーカ画像における特定同心形部分の幅比に基づいて駐車区画属性情報を生成する事も可能である。特に同心形として同心円などを採用した場合、その符号化マーカ画像は方向性を無視することができ、同心形の円計歪み補正を行うだけで、その同心形部分の幅比を容易に算出することができる。
図1は、本発明に係る駐車支援装置の構成を模式的に示すブロック図である。図2は、本発明に係る駐車支援装置を搭載する車両10の一例を示す斜視図である。図1及び図2に示す駐車支援ECU(Electronic Control Unit)1は、マイクロコンピュータやDSP(Digital Signal Processor)などによって構成されており、本発明の駐車支援装置の中核をなすものである。駐車支援ECU1は、カメラ6(撮影手段の一例)、距離センサ7a、速度センサ7b、シフトレバースイッチ7d、操舵角センサ7cなどから、車両10及び車両10の周辺の撮影画像を得て、乗員による車両10の駐車操作を支援する。モニタ5bやスピーカ5cなどは、駐車支援ECU1からの支援情報を、乗員に提供するための報知装置である。モニタ5bは操作パネル5aに隣接している。操作パネル5aの各種ボタン・スイッチは、乗員によるマニュアル操作入力を受け付ける。さらに、モニタ5bはタッチパネルとして構成されており、モニタ5bも操作パネル5aと同様に操作入力手段として機能する。また、駐車支援ECU1は、車両10の他の制御装置、例えばアクセルECU8a、ステアリングECU8b、制動ECU8cにも支援情報を提供する。アクセルECU8a、ステアリングECU8b、制動ECU8cは、この支援情報に基づいて車両10の走行機構を制御して車両10を走行され、車両10を目標駐車位置に誘導する。
図1に示すように、駐車支援ECU1は、画像処理ユニット2と、演算ユニット3と、HMI(Human Machine Interface)ユニット4とを備えている。HMIユニット4は、操作入力処理手段41と、GUI(Graphic User Interface)機能を有する表示画像処理手段42と、オーディオ処理手段43とを有している。操作入力処理手段41は、操作パネル5aを通じて送られてきた操作信号、及び表示画像処理手段42を介して送られてきたタッチパネル操作信号を受け取る。表示画像処理手段42は、カメラ6によって撮影された車両10の周辺の情景の画像や、この画像上に文字や線による駐車支援情報を重ね合わせた画像をモニタ5bに表示するための制御を行う。HMIユニット4に入力された操作指令は演算ユニット3に送られる。
画像処理ユニット2は、カメラ6によって撮像された車両後方の撮影画像を処理する。画像処理ユニット2の構成要素のうち、特に本発明に関係するものとして、駐車基準検出手段21と、符号化マーカ画像抽出手段22と、駐車区画属性情報生成手段23が挙げられる。駐車基準検出手段21は、カメラ6から入力された撮影画像を解析して、目標駐車位置を設定する際の基準となる駐車基準を検出する。符号化マーカ画像抽出手段22は、入力された撮影画像から、後で詳しく説明される符号化マーカの画像の領域を検出して、その符号化マーカ画像を駐車区画属性情報生成手段23に与える。なお、入力された撮影画像から、2つの符号化マーカ画像が検出された場合には、より幾何学的歪みが少なく、かつ鮮明な方が抽出される。駐車区画属性情報生成手段23は、符号化マーカ画像を、後で詳しく説明する符号化復元ルールに基づいて復元し、符号化マーカに埋め込まれている、駐車区画の路面状況を含む駐車画像属性情報を生成する。
演算ユニット3には、目標駐車位置設定手段31と、車両位置演算手段32と、駐車経路演算手段33と、誘導手段34とが備えられている。目標駐車位置設定手段31は、駐車基準検出手段21によって検出された駐車基準に基づいて目標駐車位置を設定する。車両位置演算手段32は、カメラ6から入力された撮影画像の画像処理ユニット2により処理結果や、距離センサ7a、速度センサ7b、操舵角センサ7cなどによる検出結果に基づいて、車両10の位置を検出する。駐車経路演算手段33は、目標駐車位置と車両10の位置とに基づいて目標駐車位置までの駐車経路を演算する。その際、駐車区画属性情報生成手段23によって駐車区画属性情報が生成されている場合には、その駐車区画属性情報を参照して、例えば、段差や勾配に起因するずれを補正した駐車経路を演算する。誘導手段34は、駐車経路に従って、アクセルECU8a、ステアリングECU8b、制動ECU8cなどを制御して車両10を目標駐車位置まで誘導する。なお、駐車支援ECU1の各ユニットや各手段は、説明上、機能としての区別を示すものとして用いられているだけであり、それらの統合、分割は自由である。また、上記のような各ユニット及び各手段は、駐車支援ECU1に実装されたソフトウェアプログラムの実行によりそれぞれの機能が実現するように構成することができる。
図2に示すように、この実施形態では、カメラ6は車両10の後方に備えられている。カメラ6は、これに限らず、前方及び後方に備えられるものであってもよく、車両10の後方に少なくとも一つのカメラ6が備えてあればよい。カメラ6からの撮影画像は、車両10の周辺の情景として、モニタ5bに表示することができる。速度センサ7bは、例えば各車輪に備えられた回転センサである。各車輪の回転数を検出することにより、車両10の速度を計測する。あるいは、速度センサ7b(回転センサ)は回転数だけを検出し、駐車支援ECU1がこの回転数から車両10の移動速度を演算してもよい。ステアリング9の近傍には、操舵角センサ7cが備えられている。この検出結果より、駐車支援ECU1は車両10の操舵の状態を把握する。また、シフトレバースイッチ7dにより、駐車支援ECU1は、車両10が前進運転状態であるか、後退運転状態であるかを把握する。なお、速度センサ7bが回転センサを用いて構成されている場合、この回転センサの回転方向によって、前進運転状態であるか、後退運転状態であるかを検出してもよい。また、回転センサが4輪に備えられていれば、それぞれの車輪の回転数の違いにより、駐車支援ECU11が操舵角を演算してもよい。そして、これらの情報に基づいて、演算ユニット3は車両10と到達目標との相対位置及び駐車基準と車両10との相対位置を演算することができる。
図3は車両10の上方より見た説明図であり、図4は車両10の側方より見た説明図である。符号Sは駐車区画Eを区画するために駐車場に描かれた駐車区画線(駐車基準の一例)であり、一般には白線で描画されている。ここでは、左駐車区画線S1と右駐車区画線L2が示されている。さらに、この左右の駐車区画線Sの各前端に、同じ符号化マーカ50が描画されている。この実施形態では、符号化マーカは、図4の(a)に示すような駐車区画における勾配の情報と、図4の(b)に示すような駐車区画における段差の情報とを符号化(模様化)して埋め込んでいる。
そのような符号化マーカ50の一例が図5に示されている。この符号化マーカ50は横辺の長さがWで表され、縦辺の長さがLで表された矩形形状である。その矩形形状の内部に、暗色領域51と明色領域52によって十字模様を作り出している。暗色領域51と明色領域52との関係は図5の反対でもよい。なお、この縦辺は駐車区画線S1、S2の延設方向に一致させている。図5から理解できるように、ここでは明色領域52で表された十字模様を横辺方向に沿って解析すると、十字模様の左上に位置する暗色領域部分の横辺方向の距離W1と、十字模様の縦辺の幅W2と、十字模様の右上に位置する暗色領域部分の横辺方向の距離W3とを読み取ることができる。ここでは、勾配を以下の式、
勾配=((4・W2−W)/W)・10
で定義している。
また、勾配変化開始位置を以下の式、
勾配変化開始位置(mm)=((W1−W3)/W)・10000
で定義している。
また、明色領域52で表された十字模様を縦辺方向に沿って解析すると、十字模様の左上に位置する暗色領域部分の縦辺方向の距離L1と、十字模様の横辺の幅L2と、十字模様の左下に位置する暗色領域部分の縦辺方向の距離L3とを読み取ることができる。ここでは、段差を以下の式、
段差(mm)((4・L2−L)/L)・100
で定義している。
また、段差変化開始位置を以下の式、
勾配変化開始位置(mm)=((L1−L3)/W)・10000
で定義している。
つまり、この符号化マーカ50は、暗色領域と明色領域で区分けされた直線幾何学模様の一例としての十字模様における特定暗色領域と特定明色領域の長さ比の形態で、勾配情報又は段差情報あるいはその両方を埋め込んでいる。従って、駐車区画属性情報生成手段23はこの符号化マーカ50の符号化マーカ画像における特定暗色領域と特定明色領域の長さ比に基づいて駐車区画属性情報としての勾配情報又は段差情報を生成することができる。
符号化マーカ50から勾配情報と段差情報を読み取る実例を図6と図7を用いて説明する。
図6(a)は、勾配がある駐車区画を車両10の側方より見た説明図である。この勾配の開始位置は符号化マーカ50の先端から駐車区画後方に1250mm(正負符号を付けて表すと−1250)で、勾配は登りで5%(正負符号を付けて表すと+5)となっている。なお、段差はなしとなっている。このような勾配情報と段差情報とを駐車区画属性情報として埋め込んでいる符号化マーカ50が図6(b)に示されている。図6(b)で示された符号化マーカ50をカメラ6で撮像して得られた符号化マーカ画像を解析することにより、前述したW、W1、W2、W3、L、L1、L2、L3の値を求めることができる。なお、WとLは、予め設定しておくと好都合であり、ここではそれぞれ400と設定されている。図6(b)の例では、W=400、W1=100、W2=150、W3=150、L=400、L1=150、L2=100、L3=150となっている。これを前述した勾配と段差に関する式に代入すると、
勾配(%):
=((4・150−400)/400)・10=5
勾配変化開始位置(mm):
=((100−150)/400)・10000=−1250
段差(mm):
((4・100−400)/400)・100=0
勾配変化開始位置(mm):
=((150−150)/400)・10000=0
となる。
図7(a)は、段差がある駐車区画を車両10の側方より見た説明図である。この段差の開始位置は符号化マーカ50の先端から駐車区画後方に1250mm(正負符号を付けて表すと−1250)で、段差は登りで50mm(正負符号を付けて表すと+50)となっている。なお、勾配はなしとなっている。このような勾配情報と段差情報とを駐車区画属性情報として埋め込んでいる符号化マーカ50が図7(b)に示されている。図7(b)で示された符号化マーカ50をカメラ6で撮像して得られた符号化マーカ画像を解析することにより、前述したW、W1、W2、W3、L、L1、L2、L3の値を求めることができる。なお、WとLは、それぞれ400と設定されている。図7(b)の例では、W=400、W1=150、W2=100、W3=150、L=400、L1=150、L2=150、L3=100となっている。これを前述した勾配と段差に関する式に代入すると、
勾配(%):
=((4・100−400)/400)・10=0
勾配変化開始位置(mm):
=((150−150)/400)・10000=0
段差(mm):
((4・150−400)/400)・100=50
勾配変化開始位置(mm):
=((150−150)/400)・10000=1250
となる。このことから、このような符号化マーカから正確に勾配情報と段差情報とが得られることが理解できる。
上記のように構成された駐車支援装置を搭載した車両10が、図3で示されたような駐車区画Eに駐車する際の駐車支援装置の動作を図8のフローチャートを用いて説明する。車両10が図3に示す位置にある場合、車室内に設けられたモニタ5bには、図9に例示するような画面が示される。この画面の左上方には、駐車区画線L1と駐車区画線L2とによって区画された駐車区画Eの全景が映しだされているが、符号化マーカ50は鮮明には表示されていない。画面の下方には、車両10の後バンパの一部が映っている。また、図中の符号Rは車両10の最後部から例えば30cm後方を示す注意線を示している。
この状態で、運転者が車両10を駐車区画Eに駐車するべく車両10を一旦停止すると、速度センサ7bは車両10が停止していることを検出し、この検出結果を駐車支援装置の演算ユニット3に送信する。さらに、運転者がシフトレバー9bをリバースに設定すると、シフトレバースイッチ7dはシフトレバー9bがリバースに設定されたことを検出し、この検出結果を演算ユニット3に送信する。上述の二つの検出結果が演算ユニット3に送信されると、駐車支援ECU1は目標位置設定モードに移行する(♯01Yes分岐)。駐車支援ECU1が目標位置設定モードに移行すると、モニタ5bの画面に「目標駐車位置設定」が表示されるとともに、スピーカ5cから「目標駐車位置を設定しますか?」という音声が発せられる。乗員がモニタ5bの「目標駐車位置設定」に触れると、スピーカ5cから「目標駐車位置を設定します」という音声が発せられ、目標駐車位置の設定が開始される。
目標駐車位置設定モードにおいて、まず、目標駐車位置を設定するための基準となる駐車区画線Sを検出する駐車区画線検出処理が行われる(♯02)駐車区画線検出処理において、駐車基準検出手段21はカメラ6bにより撮影された画像を画像処理して駐車区画線Sを検出する。なお、駐車区画線検出処理の詳細については後述する。駐車区画線検出処理が終了すると、目標駐車位置を設定する(♯3)。目標駐車位置は、例えば駐車区画線S1、S2の長さに関する情報、駐車区画線S1、S2間の距離に関する情報等の駐車区画線Sに関する情報に基づいて、車両10が駐車区画の中央に駐車されるように設定される。なお、目標駐車位置の設定は、上述の例に限ることなく、例えば駐車区画線Sを一本検出し、当該駐車区画線Sから所定距離離間した位置を目標駐車位置に設定する等上述以外の方法であってもよい。また、マニュアルで設定してもよい。
目標駐車位置が設定されると、符号化マーカ画像抽出手段22がカメラ6の撮影画像から符号化マーカ画像が抽出できたかどうかチェックされる(#04)。符号化マーカ画像が抽出されている場合(#04Yes分岐)、抽出された符号化マーカ画像を用いて、駐車区画属性情報である段差情報と勾配情報とが上述した演算アルゴリズムを用いて生成される(#05)。生成された駐車区画属性情報はメモリに一時記憶され(#06)、さらに参照フラグに「1」が設定される(#07)。符号化マーカ画像が抽出されていない場合(#04No分岐)、参照フラグに「0」が設定される(#08)。
次に、誘導手段34は、車両位置演算手段32によって算出された現在の車両10の位置に関する情報と前記目標駐車位置に関する情報とに基づいて駐車する際の駐車経路を演算する(♯09)。駐車経路の計算が完了すると、モニタ5bに、目標駐車位置を示す表示と目標駐車位置までの駐車経路を示す表示が行われ、スピーカ5bから「設定を完了しました。目標駐車位置を変更しますか?」という音声が発せられる。目標駐車位置を変更する必要がない場合(♯10Yes分岐)、乗員が「目標駐車位置確定」の表示に触れることで、目標駐車位置が確定する。一方、設定された目標駐車位置を変更したい場合(♯10No分岐)、目標駐車位置の再設定を行い(♯11)、ステップ#09に戻って駐車経路を演算し直す。
目標駐車位置が確定すると、駐車支援装置は駐車支援モードに移行し、車両10の目標駐車位置への誘導が実行される(♯12)。駐車支援モードの移行に先立って、スピーカ5cから「駐車支援を開始しますか?」の音声を発するとともにモニタ5bに「駐車支援開始」が表示し、乗員が「駐車支援開始」の表示に触れる等の確認操作を行うようにすることが好ましい。駐車支援モードに移行すると、誘導手段34は、シフトレバー9bがリバースに設定してあること及び乗員によりブレーキが解除されたことを検知した後、アクセルECU8a、ステアリングECU8b、制動ECU8cを制御して、車両10を目標駐車位置に向けて誘導する。この目標駐車位置への誘導は、車両10が目標駐車位置に到達するまで実行されるが、その途中で、カメラ5bの撮影画像から符号化マーカ画像が抽出できたかどうか再度チェックされる(#13)。符号化マーカ画像が抽出されている場合(#13Yes分岐)、抽出された符号化マーカ画像を用いて、駐車区画属性情報である段差情報と勾配情報とが生成される(#14)。カメラ6と符号化マーカ50までの距離は遠いと、得られる符号化マーカ画像も小さく不鮮明なものとなって、駐車区画属性情報の作成が不能となることが考えられる。しかし、カメラ6と符号化マーカ50までの距離は近くなると、図10で示すように、得られる符号化マーカ画像も大きく鮮明なものとなって、正確な駐車区画属性情報の作成が可能となる。このため、車両10の目標駐車位置への誘導中においても、符号化マーカ画像を抽出して、駐車区画属性情報の作成を行うことは有意義である。この符号化マーカ画像の抽出処理は、車両10が所定距離移動したタイミングでおこなってもよいし、車両10が所定時間走行したタイミングで行ってもよい。
次いで、参照フラグの値がチェックされる(#15)。参照フラグの値が「1」の場合(#15Yes分岐)、さらに、ステップ#14で生成された駐車区画属性情報とその時点でメモリに一時記憶されている駐車区画属性情報とが相違しているかどうかチェックされる(#16)。相違している場合(#16Yes分岐)、新しく生成された駐車区画属性情報によってメモリに一時記憶されている内容が書き換えられる(#17)。参照フラグの値が「0」の場合(#15No分岐)、これまでは符号化マーカ画像が抽出されず、駐車区画属性情報が生成されていなかったことになるので、ステップ#14で生成された駐車区画属性情報がメモリに一時記憶され(#18)。さらに参照フラグに「1」が設定される(#18)。ステップ#17で駐車区画属性情報が書き換えられるか、又はステップ#18で駐車区画属性情報が記憶された場合、再度この最新の駐車区画属性情報を参照した駐車経路が演算される(#20)。このステップ#20の後、又はステップ#16のチェックで駐車区画属性情報が相違していなかった場合(#16No分岐)は、ステップ#21に進んで、車両10が目標駐車位置に到達したかどうかがチェックされる。まだ目標駐車位置に到達していない場合(#21No分岐)、ステップ#12に戻って、最新の演算された駐車経路に従った目標駐車位置への誘導が実行される。車両10が目標駐車位置に到達すると(#21Yes分岐)、この駐車支援制御は終了する。駐車支援が終了すると、スピーカ5cより「駐車支援を終了します」の音声が発せられ、駐車支援が終了したことが乗員に報知される。
なお、誘導手段34による誘導は、上述のようにステアリング9aの操舵やアクセルの操作、プレーキの操作等を自動で行うものに限らず、例えば操舵量や操舵タイミング、ブレーキタイミング等を乗員に知らせる表示や音声等であってもよい。
また、図8のフローチャートでは示されていないが、駐車支援実行中は、モニタ5bに「駐車支援中止」が表示され、乗員がその表示に触れることにより必要に応じて駐車支援を中止できる構成や、例えば乗員がブレーキやステアリング9a等を操作した場合も駐車支援を中止する構成を採用してもよい。
図8のステップ#02に示す駐車区画線検出処理の一例について、図11に基づいて説明する。まず、カメラ6bが撮影した画像をワールド座標からイメージ座標に変換して視点変換処理を行う(♯41)。そして、視点変換処理した画像について、例えば3×3の空間フィルタを走査し、各空間フィルタに対して微分処理をして輝度差情報を取得する。取得した輝度差情報に基づき、空間フィルタごとに閾値を越えた輝度差を+エッジ、-エッジとし(♯42)、これらの並びから駐車区画線候補を抽出する(♯43)。駐車区画線候補が抽出されると、公知のHough変換を用いて駐車区画線候補から駐車区画線を検出する(♯44)。駐車区画線が抽出されると、後の処理での利用のために、検出された駐車区画線に基づいて駐車区画線S1,S2の端部の座標値などの駐車区画パラメータを取得する(♯45)。
図8のステップ#05と#13に示す駐車区画属性情報生成処理の一例について、図12に基づいて説明する。まず、符号化マーカ画像抽出手段22によって抽出された符号化マーカ画像をワーキングメモリに展開して、2値化処理を行う(#51)。明色領域と暗色領域に振り分けられた符号化マーカ画像からエッジ強調とエッジ検出を行い、輪郭線(ここでは十字模様)を生成する(#52)。輪郭線で表された符号化マーカ画像に対して歪み補正を行う(#53)。この歪み補正は、レンズ歪みやカメラ撮像面と符号化マーカ50の描画面との関係に起因する幾何学歪みが代表的であるが、予め符号化マーカ50の互いに直交する横辺の長さ:Wと縦辺の長さ:Lとが予め設定されているとそれに基づいて比較的簡単に行うことができる。符号化マーカの縦辺が縦軸に一致し、符号化マーカの横辺が横軸に一致するように座標変換を行う(#54)。符号化マーカ50の横辺の長さ:Wと縦辺の長さ:Lとを基準にしてサイズの正規化(拡縮処理)を行う(#55)。上述したW1、W2、W3、L1、L2、L3の値を算定する(#56)。W、W1、W2、W3、L、L1、L2、L3の値を上述した式に代入して、段差情報と勾配情報を生成する(#57)。
上述したように本発明による駐車支援装置では、符号化マーカ50の撮影画像から、これから駐車しようとする駐車区画Eの路面状況を表す駐車区画属性情報(この実施形態では段差情報や勾配情報)が生成される。そして、この駐車区画属性情報に基づいて駐車経路が演算され、その駐車経路に従って車両10が誘導されるので、段差や勾配のある駐車区画Eでも、正確な駐車誘導が実現する。
〔別実施形態〕
(1)
上述した実施形態では、図3に示すように、符号化マーカ50は駐車区画線Sの先端領域に描画されていたが、それに限定されるわけではない。例えば、図13に示すように、駐車区画Eの中央、左駐車区画線S1と右駐車区画線S2の間に描画することも可能である。この場合、カメラ6が車体10の中央に設けられ、その撮影中心がほぼ車体の長手中心線の延長上にあることを考慮すると、符号化マーカ50はカメラ6の撮像面の中央で捉えることになり、歪みの少ない符号化マーカ画像が得られる利点がある。
(2)
上述した実施形態では、符号化マーカ50の縦辺と横辺の認識は、駐車区画線Sに沿っているのが縦線であるというルールに基づいていたが、それに限定されるわけではない。例えば、縦辺の長さLと横辺の長さWに予め所定の大小関係をつけておき、その大小関係から縦辺と横辺の認識を行うことができる。
(3)
上述した実施形態では、符号化マーカ50は暗色領域と明色領域で区分けされた直線幾何学模様、例えば十字模様からなっていたが、これに限定されるわけではない。暗色領域と明色領域で区分けされた同心形幾何学模様から符号化マーカ50を作成することも可能である。特に、図14に示すような同心円幾何学模様を採用した場合、図14でも示されているように、勾配情報と段差情報を導くW1、W2、W3、L1、L2、L3は、特定同心形部分の幅で定義するこことができる。もちろん、同心形幾何学模様としては、図14に示すような同心円幾何学模様のような正円形状だけでなく、半円形状や、扇形形状を用いることも可能である。さらには、同心の複数楕円や複数多角形からなる幾何学模様も採用可能である。
(4)
上述した実施形態では、符号化マーカ50は駐車区画属性情報として段差情報と勾配情報を埋め込んでいたが、これに限定されるわけではない。駐車区画属性情報としては、駐車の障害となる障害物情報、滑りやすい路面や大きな駆動力を必要とする凸凹路面など、駐車経路の演算での影響因子となる全ての情報を対象とすることができる。
(5)
上述した実施形態では、後退による駐車を例に説明したが、駐車支援装置による駐車支援は、例えば車両の前部等にもカメラ6を設け、前進による駐車や縦列駐車等、上述の形態に限るものではない。
本発明に係る駐車支援装置を示すブロック図 駐車支援装置を搭載した車両を示す模式図 駐車しようとする駐車区画と符号化マーカの関係を示す説明図 駐車区画における勾配と段差を示す説明図 符号化マーカの一例を示す説明図 勾配情報とその勾配情報を埋め込んだ符号化マーカとを示す説明図 段差情報とその段差情報を埋め込んだ符号化マーカとを示す説明図 駐車支援装置の動作の一例を示すフローチャート 目標位置設定モードへ移行前のモニタ画面を示す図 駐車支援中のモニタ画面を示す図 駐車区画線検出処理を示すフローチャート 駐車区画属性情報生成処理を示すフローチャート 駐車しようとする駐車区画と符号化マーカの別な形態を示す説明図 符号化マーカの別な形態を示す説明図
符号の説明
6 撮影手段(カメラ)
10 車両
21 駐車基準検出手段
22 符号化マーカ画像抽出手段
23 駐車区画属性情報生成手段
31 目標駐車位置設定手段
32 車両位置演算手段
33 駐車経路演算手段
34 誘導手段
50 符号化マーカ
E 駐車区画

Claims (6)

  1. 車両に備えられて前記車両の駐車区画周辺を撮像する撮像手段と、
    前記駐車区画内に配設された前記駐車区画の路面状況を含む駐車区画属性情報を符号化している符号化マーカを前記撮像手段によって撮像することにより得られた符号化マーカ画像から前記駐車区画属性情報を生成する駐車区画属性情報生成手段と、
    駐車区画内において特定された目標駐車位置までの駐車経路を前記駐車区画属性情報を参照して演算する駐車経路演算手段と、
    前記駐車経路に従って前記車両を前記目標駐車位置へ誘導する誘導手段と、
    を備えた駐車支援装置。
  2. 前記駐車区画属性情報生成手段は、前記符号化マーカ画像から前記駐車区画の勾配又は段差あるいはその両方を前記駐車区画属性情報として読み取る請求項1に記載の駐車支援装置。
  3. 前記符号化マーカは前記駐車区画を決定する両側の区画線上のそれぞれに配設されており、前記車両の駐車区画への進入中において前記駐車区画属性情報生成手段は撮影歪みの少ない方の符号化マーカ画像を用いて前記駐車区画属性情報を生成する請求項1又は2に記載の駐車支援装置。
  4. 前記符号化マーカは前記駐車区画の中央に配設されている請求項1又は2に記載の駐車支援装置。
  5. 前記符号化マーカは暗色領域と明色領域で区分けされた直線幾何学模様からなり、前記駐車区画属性情報生成手段は前記符号化マーカ画像における特定暗色領域と特定明色領域の長さ比に基づいて駐車区画属性情報を生成する請求項1から4のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
  6. 前記符号化マーカは暗色領域と明色領域で区分けされた同心形幾何学模様からなり、前記駐車区画属性情報生成手段は前記符号化マーカ画像における特定同心形部分の幅比に基づいて駐車区画属性情報を生成する請求項1から4のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
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