JP2009177751A - 圧電素子、圧電振動板および圧電型電気音響変換器 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定生産可能で生産性が良好な圧電素子、圧電振動板および圧電型電気音響変換器を提供する。
【解決手段】圧電体層と内部電極層とを交互に複数積層し且つ内部電極層13,14が一つ置きに互いに対向する端面にその端部を露出するように形成された直方体形状の圧電素子10であって、一方の端部近傍13bにおける複数の内部電極層13の厚さ寸法の和が一方の端面に端部を露出する複数の内部電極層の対向領域13aにおける厚さ寸法の和より大きくなるように形成され、且つ圧電素子の端面に露出する内部電極層の端部に、積層方向で隣接する内部電極層に近接する展延部13cが形成されている。このため、圧電素子の端面において内部電極層の展延部が互いに接近または接触して外部接続手段とのコンタクト性が改善される。
【選択図】図2
【解決手段】圧電体層と内部電極層とを交互に複数積層し且つ内部電極層13,14が一つ置きに互いに対向する端面にその端部を露出するように形成された直方体形状の圧電素子10であって、一方の端部近傍13bにおける複数の内部電極層13の厚さ寸法の和が一方の端面に端部を露出する複数の内部電極層の対向領域13aにおける厚さ寸法の和より大きくなるように形成され、且つ圧電素子の端面に露出する内部電極層の端部に、積層方向で隣接する内部電極層に近接する展延部13cが形成されている。このため、圧電素子の端面において内部電極層の展延部が互いに接近または接触して外部接続手段とのコンタクト性が改善される。
【選択図】図2
Description
本発明は、安定して生産可能な圧電素子、該圧電素子を用いた圧電振動板、および該圧電振動板を用いた圧電型電気音響変換器に関する。
従来より、薄型の電子機器や携帯型の電子機器におけるレシーバやスピーカ等の用途として、圧電型電気音響変換器が用いられている。前記圧電型電気音響変換器は、例えば、円板状のセラミック圧電体の両主面に電極を形成した圧電素子をリン青銅等の金属からなる振動板の主面に貼着した圧電振動板をキャップ状の樹脂製ケース等の内部に収容したものである。近年、上記機器において、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の大画面化に合わせて、大きな音圧と、スペース効率の向上とが求められるようになっている。このため、より大きな振幅の得られる積層型の圧電型電気音響変換器が提案されている。上記積層型の圧電型電気音響変換器として、特許文献1には、図16に示すように、複数のセラミックグリーンシート112a,112b,112c及び複数の電極113,113,114,114を積層し、同時に焼成して得られた焼結体110を利用し、スルーホール113c,114cにより前記電極113,113間,および電極114,114間をそれぞれ電気的に接続した構成の圧電素子が記載されている。
また、特許文献2には、図17に示すように、複数の圧電セラミックス層212a,212bを積層した四角形の積層体212の表裏主面に主面電極213,213を形成し、各セラミックス層212a,212bの間に内部電極214を形成し、主面電極213,213を一方の側面電極213aを介して導通させ、内部電極214を他方の側面電極214aと導通させ、側面電極213a,214aを引出電極213b,214bと導通させた圧電素子210が提案されている。また、前記特許文献2には、図18に示すように、前記圧電素子210を用いた圧電振動板の縁部近傍をケース221の内周段部に支持した圧電型電気音響変換器225が提案されている。
特開2001−16691号公報
特開2004−214796号公報
上記前者の背景技術に記載の圧電型電気音響変換器は、圧電素子の内部にスルーホール接続部を形成するために、積層される圧電セラミックス層に予めスルーホール形成および前記スルーホールへの導電ペーストの充填が不可欠である。このため、層間のスルーホールの位置ずれ等により安定生産が難しく、また、工程が煩雑で生産性に課題があった。
また、上記後者の背景技術に記載の圧電素子210は、主面電極213,213同士の接続や、内部電極214の取出しのために、圧電素子210の側面に例えばスパッタにより側面電極213a,214aを形成するには、面積に比較して厚さが極端に薄い圧電素子210の側面の一部のみを露出するようにマスクで被覆する必要がある。このため、圧電素子210とマスクとの位置合わせ時に素子割れ等が生じて安定生産が難しく、また、工程が煩雑で生産性に課題があった。
これに関して、本発明者らが鋭意検討した結果、内部電極層の材質、構造、および製造プロセスを工夫することで外部電極形成工程を省略できることを見出し、本発明に至った。本発明は、外部電極形成工程を付加することなく安定生産が可能な圧電素子を提供することを目的とする。また本発明は、安定生産が可能で生産性が良好な圧電振動板を提供することを目的とする。また本発明は、安定生産が可能で生産性が良好な圧電型電気音響変換器を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、(1)圧電体層と内部電極層とを交互に複数積層し且つ該内部電極層が一つ置きに互いに対向する端面にその端部を露出するように形成された直方体形状の圧電素子であって、前記圧電素子の一方の端面側における前記複数の内部電極層の端部近傍の厚さ寸法の和が前記一方の端面に端部を露出する前記複数の内部電極層の前記対向領域における厚さ寸法の和より大きくなるように形成されたセラミック圧電体層と内部電極層との未焼成積層体を準備し、該積層体を焼成したのち得られた圧電素子の集合体基板を相対移動する切削刃に接触させて切断することにより、前記圧電素子の端面に露出する内部電極層の端部に、積層方向で隣接する内部電極層に近接する展延部が形成されている。(以下、第1の課題解決手段と称する。)
また、本発明の圧電振動板は、(2)接続電極を備えた振動板の主面上に上記(1)記載の圧電素子が貼着されるとともに、該圧電素子の内部電極層の展延部と前記振動板の接続電極とが導電性樹脂により接続されている。(以下、第2の課題解決手段と称する。)
また、本発明の圧電型電気音響変換器は、(3)接続電極を備えた振動板の主面上に上記(1)記載の圧電素子が貼着されるとともに、該圧電素子の内部電極層の展延部と前記振動板の接続電極とが導電性樹脂により接続された圧電振動板の周囲が支持体によって支持されている。(以下、第3の課題解決手段と称する。)
上記第1の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記圧電素子の一方の端面側における前記複数の内部電極層の端部近傍の厚さ寸法の和が前記一方の端面に端部を露出する前記複数の内部電極層の前記対向領域における厚さ寸法の和より大きくなるように形成されたセラミック圧電体層と内部電極層との未焼成積層体を準備し、該積層体を焼成したのち得られた圧電素子の集合体基板を相対移動する切削刃に接触させて切断することにより、前記圧電素子の端面に露出する内部電極層の端部に、積層方向で隣接する内部電極層に近接する展延部が形成されている。このため、前記圧電素子の端面において前記内部電極層の展延部が互いに接近または接触して外部接続手段とのコンタクト性が改善される。
上記第2の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、接続電極を備えた振動板の主面上に上記(1)記載の圧電素子が貼着されるとともに、該圧電素子の内部電極層の展延部と前記振動板の接続電極とが導電性樹脂により接続されている。このため、工程を追加することなく、内部電極層と振動板の接続電極とを接続することができる。これにより、安定生産可能で生産性が良好な圧電振動板を提供することができる。
上記第3の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、接続電極を備えた振動板の主面上に上記(1)記載の圧電素子が貼着されるとともに、該圧電素子の内部電極層の展延部と前記振動板の接続電極とが導電性樹脂により接続された圧電振動板の周囲が支持体によって支持されている。このため、工程を追加することなく、内部電極層と振動板の接続電極とを接続することができる。これにより、安定生産可能で生産性が良好な圧電型電気音響変換器を提供することができる。
本発明の圧電素子によれば、前記圧電素子の端面において前記内部電極層の展延部が互いに接近または接触して外部接続手段とのコンタクト性が改善されるので、スルーホール形成やスパッタ等の特別な工程を付加することなく、安定生産可能な前記圧電素子を提供することができる。本発明の前記目的とそれ以外の目的、構成特徴、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなろう。
以下、本発明の圧電素子の第1の実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。図1は第1の実施形態の圧電素子10の概要を示す外観斜視図である。図2は、本実施形態の圧電素子10の内部構造の概要を示す上記図1のA−A線における縦断面の模式図である。図3は、本実施形態の圧電素子10の製造プロセスの一例を示す斜視図である。同様に図4は、本実施形態の圧電素子10の製造プロセスの一例を示す斜視図である。
本実施形態の圧電素子10は、図1に示すように、その外観は直方体形状を呈する。そして、その内部構造は、図2に示すように、圧電体層12a,12b,12cと内部電極層13,14とを交互に複数積層し且つ該内部電極層13,14が一つ置きに圧電体11の互いに対向する端面11a,11bにその端部を露出するように形成されている。本実施形態の圧電素子10においては、最上層に位置する内部電極層13および最下層に位置する内部電極層14は、それぞれ前記圧電素子10の上面および底面に露出されている。そして、前記前記圧電素子10の端面11a,11bに露出する内部電極層13,14の端部に、積層方向で隣接する内部電極層13,14に近接する展延部13c、14cが形成されている。
次に、上記圧電素子10の製造プロセスの一例について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、本実施形態の圧電素子10を形成するために、例えばシート積層法を用いてセラミック圧電体層12a,12b,12cと内部電極層13.14との未焼成積層体を準備する段階を説明するための図である。図3において、一点鎖線で示す格子のそれぞれが、後にダイシング等により分割される圧電素子1つ分に相当する。セラミックグリーンシート12a’,12b’,12c’はそれぞれ、焼成された後にセラミック圧電体層12a,12b,12cを構成する。また、前記セラミックグリーンシート12a’,12b’,12c’の一方の主面上、およびセラミックグリーンシート12c’の他方の主面上には、例えば、AgまたはAg−Pd合金のうちのいずれかからなる粉末とバインダとを混合した電極材料ペーストがスクリーン印刷やグラビア印刷等の手段により塗布されて内部電極パターン13’、14’が形成されている。前記内部電極パターン13’、14’はそれぞれ、焼成された後に、内部電極層13,14を構成する。前記セラミックグリーンシ
ート12a’の一方の主面、および前記セラミックグリーンシート12c’の一方の主面に形成された内部電極パターン13’は、隣接する圧電素子2つ分に跨る長方形状に形成されている。また、前記セラミックグリーンシート12b’の一方の主面および前記セラミックグリーンシート12c’の他方の主面には、前記隣接する圧電素子およそ1つ分ずらした位置に、前記と同様に隣接する圧電素子2つ分に跨る長方形状の内部電極パターン14’が形成されている。そして、前記内部電極パターン13’、14’上のそれぞれ中央部の隣接する圧電素子2つ分に跨る位置には、前記と同様に例えばAgまたはAg−Pd合金のいずれかからなる粉末とバインダとを混合した電極材料ペーストがスクリーン印刷やグラビア印刷等の手段により塗布されて帯状の補助パターン13b’、14b’が形成されている。そして、前記一方の主面に内部電極パターン13’及び補助パターン13b’が形成されたセラミックグリーンシート12a’、前記一方の主面に内部電極パターン14’及び補助パターン14b’が形成されたセラミックグリーンシート12b’、及び一方の主面に前記内部電極パターン13’及び補助パターン13b’、他方の主面に前記内部電極パターン14’及び補助パターン14b’が形成されたセラミックグリーンシート12c’がこの順に積層され熱圧着される。これにより、図2に示すように、前記圧電素子10の一方の端面11a側における前記複数の内部電極層13,13の端部近傍13b,13bの厚さ寸法の和が前記一方の端面11aに端部を露出する前記複数の内部電極層13,13の前記対向領域13a,13aにおける厚さ寸法の和より大きくなるように形成された未焼成積層体が準備される。また、前記未焼成積層体は、前記圧電素子10の他方の端面11b側における前記複数の内部電極層14,14の端部近傍14b,14bの厚さ寸法の和が前記他方の端面11bに端部を露出する前記複数の内部電極層14,14の前記対向領域14a,14aにおける厚さ寸法の和より大きくなるように形成されている。尚、本実施形態においては、シート積層法を例にして前記未焼成積層体を形成したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、公知のスラリービルド法を用いて図4に示すように未焼成積層体を形成してもよい。
ート12a’の一方の主面、および前記セラミックグリーンシート12c’の一方の主面に形成された内部電極パターン13’は、隣接する圧電素子2つ分に跨る長方形状に形成されている。また、前記セラミックグリーンシート12b’の一方の主面および前記セラミックグリーンシート12c’の他方の主面には、前記隣接する圧電素子およそ1つ分ずらした位置に、前記と同様に隣接する圧電素子2つ分に跨る長方形状の内部電極パターン14’が形成されている。そして、前記内部電極パターン13’、14’上のそれぞれ中央部の隣接する圧電素子2つ分に跨る位置には、前記と同様に例えばAgまたはAg−Pd合金のいずれかからなる粉末とバインダとを混合した電極材料ペーストがスクリーン印刷やグラビア印刷等の手段により塗布されて帯状の補助パターン13b’、14b’が形成されている。そして、前記一方の主面に内部電極パターン13’及び補助パターン13b’が形成されたセラミックグリーンシート12a’、前記一方の主面に内部電極パターン14’及び補助パターン14b’が形成されたセラミックグリーンシート12b’、及び一方の主面に前記内部電極パターン13’及び補助パターン13b’、他方の主面に前記内部電極パターン14’及び補助パターン14b’が形成されたセラミックグリーンシート12c’がこの順に積層され熱圧着される。これにより、図2に示すように、前記圧電素子10の一方の端面11a側における前記複数の内部電極層13,13の端部近傍13b,13bの厚さ寸法の和が前記一方の端面11aに端部を露出する前記複数の内部電極層13,13の前記対向領域13a,13aにおける厚さ寸法の和より大きくなるように形成された未焼成積層体が準備される。また、前記未焼成積層体は、前記圧電素子10の他方の端面11b側における前記複数の内部電極層14,14の端部近傍14b,14bの厚さ寸法の和が前記他方の端面11bに端部を露出する前記複数の内部電極層14,14の前記対向領域14a,14aにおける厚さ寸法の和より大きくなるように形成されている。尚、本実施形態においては、シート積層法を例にして前記未焼成積層体を形成したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、公知のスラリービルド法を用いて図4に示すように未焼成積層体を形成してもよい。
次に、図4に示すように、上記で得られた未焼成積層体を例えば500℃で脱バインダ処理したのち、例えば1000℃で焼成して、圧電素子の集合体基板を得る。そして、前記図4に一点鎖線で示すカットラインCLに沿って、前記圧電素子の集合体基板を相対移動する切削刃に接触させて切断する。具体的には、外周面に砥粒層が形成された回転刃を用いてダイシングする。これにより、前記図1及び図2に示すように前記圧電素子10の一方の端面11aに露出する内部電極層13の端部に、積層方向で隣接する内部電極層13に近接する展延部13cが形成される。また、前記圧電素子10の他方の端面11bに露出する内部電極層14の端部に、積層方向で隣接する内部電極層14に近接する展延部14cが形成される。また、前記内部電極層13、14のそれぞれ前記カットラインCLと重なる位置には、補助パターン13b’、14b’が形成されているので、前記展延部13c、14cはそれぞれ前記内部電極層13,14の端部からより伸張され、積層方向で隣接する内部電極層の展延部と互いに接近または接触して、例えば導電性樹脂等の外部接続手段とのコンタクト性が改善される。これにより、スルーホール形成やスパッタ等の特別な工程を付加することなく、安定生産可能な圧電素子が提供される。
次に、本発明の圧電振動板および圧電型電気音響変換器の第1の実施形態について、図5〜図7を用いて説明する。図5は、本実施形態の圧電振動板20および圧電型電気音響変換器25の概要を示す外観斜視図である。図6は、本実施形態の圧電振動板20および圧電型電気音響変換器25の内部構造を示す上記図5のB−B線における縦断面の模式図である。また図7は、本実施形態の圧電振動板20および圧電型電気音響変換器25の内部構造を示す分解斜視図である。
本実施形態の圧電振動板20は、図7に示すように、振動板15の一方の主面に上記圧電素子10を有する所謂ユニモルフ型の圧電振動板である。そして、前記振動板15は、直方体形状を呈し、一方の主面に一対の接続電極16,17を有する。前記一対の接続電極16,17はそれぞれ、前記振動板15の一辺に接するようにそれぞれ引出部16a,17aを有する。そして前記振動板15は、前記一対の接続電極16,17の間に塗布された接着剤18により、図6に示すように、前記圧電素子10の底面と接着されている。一方の接続電極16は、図5及び図6に示すように、導電性樹脂19aを介して前記圧電素子10の一方の端面11aの前記内部電極層13の展延部13cと導電接続されている。同様に、他方の接続電極17は、導電性樹脂19bを介して前記圧電素子10の他方の端面11bの前記内部電極層14の展延部14cと導電接続されている。
また、本実施形態の圧電型電気音響変換器25は、図7に示すように、上記圧電素子10と上記振動板15とを有する圧電振動板20と、支持体21とを有する。支持体21は、その外観が枠状を呈し、幅広に形成された端子部21aと幅の細い支持部21bとを有する。また、前記支持体21の端子部21aには、一対の端子電極22a,22bを有する。そして、図6に示すように、前記圧電振動板20の振動板15の縁部近傍が前記支持体21の前記支持部21bおよび前記端子部21aの縁部に当接され、図示省略した接着剤等により固着接着されている。一方の端子電極22aは、図5に示すように、導電性樹脂23aを介して前記圧電振動板20の一方の接続電極16の引出部16aと導電接続されている。同様に、他方の端子電極22bは、導電性樹脂23bを介して前記圧電振動板20の他方の接続電極17の引出部17aと導電接続されている。
前記一方の端子電極22aは、前記導電性樹脂23a、前記接続電極15、前記導電性樹脂19a、および前記圧電素子10の一方の内部電極層13の展延部13cを介して前記内部電極層13の対向領域13aに接続さている。また、前記他方の端子電極22bは、前記導電性樹脂23b、前記接続電極16、前記導電性樹脂19b、および前記圧電素子10の他方の内部電極層14の展延部14cを介して前記内部電極層14の対向領域14aに接続されている。また、前記圧電素子10の圧電体層12a,12b,12cは、前記内部電極層13及び前記内部電極層14を介して、交互に逆向きに分極処理が施されている。このため、前記圧電型電気音響変換器25の前記支持体21の前記一対の端子電極22a,22bに図示省略した入力回路から入力信号に伴う交番電圧が印加されると、上記の経路を介して前記内部電極層13、14の対向領域13a,14aに挟まれる圧電体層12a,12b,12cが同時に、厚み方向と面方向とに交互に膨張・収縮して前記圧電振動板20が厚み方向に屈曲振動する。これにより前記圧電型電気音響変換器25から前記入力信号に応じて音声が出力される。
次に、本発明の圧電素子の第2の実施形態について、図8〜図11を参照して説明する。図8は第2の実施形態の圧電素子30の概要を示す外観斜視図である。図9は、本実施形態の圧電素子30の内部構造の概要を示す上記図8のC−C線における断面の模式図である。図10は、本実施形態の圧電素子30の製造プロセスの一例を示す斜視図である。同様に図11は、本実施形態の圧電素子30の製造プロセスの一例を示す斜視図である。
本実施形態の圧電素子30は、図8に示すように、その外観は直方体形状を呈する。そして、その内部構造は、図9に示すように、圧電体層32a,32b,32cと内部電極層33,34とを交互に複数積層し且つ該内部電極層33,34が一つ置きに圧電体31の互いに対向する端面31a,31bにその端部を露出するように形成されている。本実施形態の圧電素子30においては、最上層に位置する内部電極層33および最下層に位置する内部電極層34は、それぞれ前記圧電素子30の上面および底面に露出されている。そして、前記前記圧電素子30の端面31a,31bに露出する内部電極層33,34の端部に、積層方向で隣接する内部電極層33,34に近接する展延部33c、34cが形成されている。
次に、上記圧電素子30の製造プロセスの一例について、図10及び図11を参照して説明する。図10は、本実施形態の圧電素子30を形成するために、例えばシート積層法を用いてセラミック圧電体層32a,32b,32cと内部電極層33.34との未焼成積層体を準備する段階を説明するための図である。図10において、一点鎖線で示す格子のそれぞれが、後にダイシング等により分割される圧電素子1つ分に相当する。セラミックグリーンシート32a’,32b’,32c’はそれぞれ、焼成された後にセラミック圧電体層を構成する。また、前記セラミックグリーンシート32a’,32b’,32c’の一方の主面上、およびセラミックグリーンシート32c’の他方の主面上には、前記第1の実施形態の圧電素子10と同様に、例えばAgまたはAg−Pd合金のうちのいずれかからなる粉末とバインダとを混合した電極材料ペーストがスクリーン印刷やグラビア印刷等の手段により塗布されて内部電極パターン33’、34’が形成されている。前記内部電極パターン33’、34’はそれぞれ、焼成された後に、内部電極層33,34を構成する。前記セラミックグリーンシート32a’の一方の主面、および前記セラミックグリーンシート32c’の一方の主面に形成された内部電極パターン33’は、隣接する圧電素子2つ分に跨る長方形状に形成されている。また、前記セラミックグリーンシート32b’の一方の主面および前記セラミックグリーンシート32c’の他方の主面には、前記隣接する圧電素子およそ1つ分ずらした位置に、前記と同様に隣接する圧電素子2つ分に跨る長方形状の内部電極パターン34’が形成されている。そして、互いに隣接する内部電極パターン33’、33’間の隣接する圧電素子2つ分に跨る位置には、前記と同様に例えばAgまたはAg−Pd合金のうちのいずれかからなる粉末とバインダとを混合した電極材料ペーストがスクリーン印刷やグラビア印刷等の手段により塗布されて帯状の補助パターン34b’が形成されている。また、互いに隣接する内部電極パターン34’、34’間の隣接する圧電素子2つ分に跨る位置には、前記と同様に帯状の補助パターン33b’が形成されている。そして、前記一方の主面に内部電極パターン33’及び補助パターン34b’が形成されたセラミックグリーンシート32a’、前記一方の主面に内部電極パターン34’及び補助パターン33b’が形成されたセラミックグリーンシート32b’、及び一方の主面に前記内部電極パターン33’及び補助パターン34b’、他方の主面に前記内部電極パターン34’及び補助パターン33b’が形成されたセラミックグリーンシート32c’がこの順に積層され熱圧着される。これにより、図9に示すように、前記圧電素子30の一方の端面31a側における前記複数の内部電極層33,33bの端部近傍33,33bの厚さ寸法の和が前記一方の端面31aに端部を露出する前記複数の内部電極層33,33bの前記対向領域33aにおける厚さ寸法の和より大きくなるように形成された未焼成積層体が準備される。また、前記未焼成積層体は、前記圧電素子30の他方の端面31b側における前記複数の内部電極層34,34bの端部近傍34,34bの厚さ寸法の和が前記一方の端面31bに端部を露出する前記複数の内部電極層34,34bの前記対向領域34aにおける厚さ寸法の和より大きくなるように形成されている。尚、本実施形態においては、シート積層法を例にして前記未焼成積層体を形成したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、公知のスラリービルド法を用
いて図11に示すように未焼成積層体を形成してもよい。
いて図11に示すように未焼成積層体を形成してもよい。
次に、図11に示すように上記で得られた未焼成積層体を例えば500℃で脱バインダ処理したのち、例えば1000℃で焼成して圧電素子の集合体基板を得る。そして、前記集合体基板を図11に一点鎖線で示すカットラインCLに沿って回転刃を用いてダイシングする。これにより、前記図8及び図9に示すように前記圧電素子30の一方の端面31aには、対向領域33aを有する内部電極層33の端部と前記補助パターン33b’に起因する内部電極層33bの端部とが露出されている。そして前記露出する内部電極層33,33bの端部に、積層方向で隣接する内部電極層33b、33に近接する展延部33cがそれぞれ形成される。このため、前記展延部33cはそれぞれ積層方向で隣接する内部電極層の展延部と互いに接近または接触して、外部接続手段とのコンタクト性が改善される。同様に、前記圧電素子30の他方の端面31bには、対向領域34aを有する内部電極層34の端部と前記補助パターン34b’に起因する内部電極層34bの端部とが露出されている。そして前記露出する内部電極層34,34bの端部に、積層方向で隣接する内部電極層34b、34に近接する展延部34cがそれぞれ形成される。このため、前記展延部34cはそれぞれ積層方向で隣接する内部電極層の展延部と互いに接近または接触して、外部接続手段とのコンタクト性が改善される。これにより、スルーホール形成やスパッタ等の特別な工程を付加することなく、安定生産可能な圧電素子が提供される。
本実施形態の圧電素子30が先の第1の実施形態の圧電素子10と異なる点は、前記補助パターン33b’,34b’が前記内部電極パターン33’,34’に接しない位置に形成されていることにある。その他の構成および作用効果は先の第1の実施形態の圧電素子10と同様である。
次に、本発明の圧電振動板および圧電型電気音響変換器の第2の実施形態について、図12〜図14を用いて説明する。図12は、本実施形態の圧電振動板40および圧電型電気音響変換器45の概要を示す外観斜視図である。図13は、本実施形態の圧電振動板40および圧電型電気音響変換器45の内部構造を示す上記図12のD−D線における縦断面の模式図である。また図14は、本実施形態の圧電振動板40および圧電型電気音響変換器45の内部構造を示す分解斜視図である。
本実施形態の圧電振動板40は、図14に示すように、振動板35の一方及び他方の主面にそれぞれ上記圧電素子30を有する所謂バイモルフ型の圧電振動板である。そして、前記振動板35は、直方体形状を呈し、一方の主面および他方の主面にそれぞれ一対の接続電極36,37を有する。そして、前記振動板35の一方の主面の前記接続電極36と前記振動板35の他方の主面の前記接続電極36とは前記振動板35を厚さ方向に貫通するスルーホール接続部36bにより相互に導電接続されている。また、前記振動板35の一方の主面の前記一対の接続電極16,17はそれぞれ、前記振動板35の一辺に接するようにそれぞれ引出部36a,37aを有する。そして前記振動板35は、前記一方の主面の前記一対の接続電極36,37の間に塗布された接着剤38により、図13に示すように、前記一方の圧電素子30の底面と接着されている。また、前記振動板35は、前記他方の主面の前記一対の接続電極35,37の間に塗布された接着剤38により、前記他方の圧電素子30の上面と接着されている。一方の接続電極36は、図5及び図6に示すように、導電性樹脂39aを介して前記圧電素子30の一方の端面31aの前記内部電極層33の展延部33cと導電接続されている。同様に、他方の接続電極37は、導電性樹脂39bを介して前記圧電素子30の他方の端面31bの前記内部電極層34の展延部34cと導電接続されている。
また、本実施形態の圧電型電気音響変換器45は、図14に示すように、上記一対の圧電素子30と上記振動板35とを有する圧電振動板40と、支持体41とを有する。支持体41は、その外観が枠状を呈し、幅広に形成された端子部41aと幅の細い支持部41bとを有する。また、前記支持体41の端子部41aには、一対の端子電極42a,42bを有する。そして、図13に示すように、前記圧電振動板40の振動板35の縁部近傍が前記支持体41の前記支持部41bおよび前記端子部41aの縁部に当接され、図示省略した接着剤等により固着接着されている。一方の端子電極42aは、図12に示すように、導電性樹脂43aを介して前記圧電振動板40の一方の接続電極36の引出部36aと導電接続されている。同様に、他方の端子電極42bは、導電性樹脂43bを介して前記圧電振動板40の他方の接続電極37の引出部37aと導電接続されている。
前記一方の端子電極42aは、前記導電性樹脂43a、前記接続電極35、前記導電性樹脂39a、および前記圧電素子30、30の一方の内部電極層33の展延部33cを介して前記内部電極層33の対向領域33aに接続さている。また、前記他方の端子電極42bは、前記導電性樹脂43b、前記接続電極36、前記導電性樹脂39b、および前記圧電素子30、30の他方の内部電極層34の展延部34cを介して前記内部電極層34の対向領域34aに接続されている。また、前記圧電素子30の圧電体層32a,32b,32cは、前記内部電極層33及び前記内部電極層34を介して、交互に逆向きに分極処理が施されている。また、前記圧電振動板40の前記振動板35の一方の主面側に配置された圧電素子30の各圧電体層と、前記振動板35の他方の主面に配置された圧電素子30の各圧電体層とは、互いに分極の向きが上下逆転し、前記内部電極層33,34の配置が同じ内部構造を有する。このため、前記振動板35の他方の主面側の圧電素子30の各圧電体層には、前記振動板35の一方の主面側の前記圧電素子30の各圧電体層に比較して、分極方向に対し逆向きの電圧が印加されることになる。尚、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、前記圧電振動板40の前記振動板35の一方の主面側に配置された圧電素子30の各圧電体層と、前記振動板35の他方の主面に配置された圧電素子30の各圧電体層とは、互いに分極の向きが同じで、前記内部電極層33,34の配置が左右逆転した内部構造を有するものであってもよいことは勿論である。本実施形態の圧電型電気音響変換器45は、前記支持体41の前記一対の端子電極42a,42bに図示省略した入力回路から入力信号に伴う交番電圧が印加されると、上記の経路を介して前記振動板35の一方の主面側の圧電素子30の前記内部電極層33、34の対向領域33a,34aに挟まれる圧電体層32a,32b,32cが同時に、厚み方向と面方向とに交互に膨張・収縮する。また、前記振動板35の他方の主面側の圧電素子30の前記内部電極層33、34の対向領域33a,34aに挟まれる圧電体層32a,32b,32cが同時に、厚み方向と面方向とに交互に収縮・膨張する。これにより、前記圧電振動板40が厚み方向に屈曲振動する。これにより前記圧電型電気音響変換器45から前記入力信号に応じて音声が出力される。
本実施形態の圧電振動板40が先の第1の実施形態の圧電振動板20と異なる点は、振動板35の他方の主面にも接続電極が形成され、圧電素子が貼着されて、バイモルフ型の圧電振動板が構成されていることにある。
本実施形態の圧電型電気音響変換器45が先の第1の実施形態の圧電型電気音響変換器25と異なる点は、上述のバイモルフ型の圧電振動板を用いたことにある。
次に、本発明の好ましい実施形態について説明する。まず、上記圧電体層の好ましい実施形態は次の通りである。すなわち、上記圧電体層としては、例えばPbZrxTi1−xO3(PZT)などのセラミック圧電体材料からなることが好ましい。また、鉛を含まない所謂非鉛系のセラミック圧電体であってもよい。上記圧電体層の厚さは、例えば30μmである。また、上記圧電体層の形成は、例えば前記セラミック圧電体材料の粉末と有機溶剤、バインダ、可塑剤、分散剤等を所定の比率で混合してスラリーを準備し、例えば公知のドクターブレード法によりセラミックグリーンシートを作成し、後述する内部電極層と交互に積層した後、例えば大気中500℃で脱バインダ処理し、例えば大気中1000℃で一体焼成することにより得られる。また上記ドクターブレード法に限定するものではなく、例えば、上記と同様の圧電体材料を含むスラリーと内部電極材料を含む導電ペーストとを交互に印刷・積層する所謂スラリービルド法等を用いて形成することができる。 また、前記圧電体層のほかに、必要によりダミーの内部電極層や絶縁体層を挿入してもよい。
上記内部電極層の好ましい実施形態は次の通りである。すなわち、上記内部電極層としては、例えばAgまたはAg−Pd合金のいずれかであることが好ましい。これによれば、前記積層体を焼成したのち得られた圧電素子の集合体基板を相対移動する切削刃に接触させて切断する際に、前記展延部が安定して形成される。また、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、Au,Pt,PdおよびAu−Pd合金のうちのいずれかであってもよい。前記内部電極層の厚さは、例えば2μmである。 また、前記内部電極層は圧電体層を挟んで一つ置きに互いに対向する端面にその端部を露出するように形成されることが好ましい。また、前記一つ置きに互いに対向する端面に露出するように形成される内部電極層のほかに、必要により、ダミーの内部電極層を挿入してもよい。
上記未焼成積層体の好ましい実施形態は次の通りである。すなわち、上記積層体としては、圧電素子の一方の端部近傍における前記複数の内部電極層の厚さ寸法の和が前記一方の端面に端部を露出する前記複数の内部電極層の前記対向領域における厚さ寸法の和より大きくなるように形成されていることが好ましい。より具体的には、例えば前記内部電極層の前記対向領域の厚さ(例えば2μm)より、前記内部電極層の端部近傍の厚さを厚く(例えば4μmに)することが好ましい。また、例えば前記内部電極層の前記対向領域における層数より前記内部電極層の端部近傍の層数を大きくすることが好ましい。
上記焼成の好ましい実施形態は次の通りである。すなわち、上記焼成としては、前記積層されたセラミック圧電体層が焼結一体化されることが好ましい。また、前記内部電極パターンの金属粉末が焼結により相互に連結されることが好ましい。
上記焼成したのち得られた圧電素子の集合体基板を相対移動する切削刃に接触させて切断の好ましい実施形態は次の通りである。すなわち、上記切削刃としては、例えば、外周面に砥粒層が形成されスピンドルに固定された回転円板状のダイシングブレードや、表面に砥粒が固着されたワイヤーが循環駆動されるワーヤーソー等を用いることができる。前記焼成により得られた圧電素子の集合体基板に相対移動する前記のような切削刃を接触させて切断することが好ましい。また、前記切断とは、少なくとも前記圧電素子の内部電極層の端部と接する領域について行なえばよい。そして、前記内部電極層が存在しない例えばサイドマージン等の残部の領域は、例えばサンドブラスト法やレーザー加工、その他の方法により切断してもよい。また、ダイヤモンドカッター等で表面に浅い溝を設けた後に破断してもよい。
上記圧電素子10,30の好ましい実施形態は次の通りである。すなわち、上記圧電素子としては、上記圧電体層と上記内部電極層とが交互に積層され焼成により一体化されたものであることが好ましい。また、前記第1および第2の実施形態においては、圧電素子10の最上層および最下層にそれぞれ内部電極層が露出されたものであったが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、最上層や最下層に圧電体層が形成されていてもよい。また、前記内部電極層を被覆するように、樹脂や無機材
料等からなる絶縁体層が形成されていてもよい。前記圧電素子の圧電体層の層数は必要に応じて調整することができる。上記圧電体層の層数は例えば5層である。
料等からなる絶縁体層が形成されていてもよい。前記圧電素子の圧電体層の層数は必要に応じて調整することができる。上記圧電体層の層数は例えば5層である。
上記展延部の好ましい実施形態は次の通りである。すなわち、上記展延部としては、前記圧電素子の端面に露出された前記内部電極層の端部から展延されることが好ましい。前記内部電極層の端部から前記展延部の先端までの長さ寸法は、例えば前記内部電極層の端部近傍の厚さを厚くすることで、長くすることができる。
上記振動板の好ましい実施形態は次の通りである。すなわち、上記振動板としては、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)や液晶ポリマー等からなる絶縁フィルムの表面に接続電極が形成されていることが好ましい。
上記接続電極の好ましい実施形態は次の通りである。すなわち、上記接続電極としては、前記絶縁基板の表面に例えばCu箔を貼着したのちエッチングして所望のパターンに形成されることが好ましい。
上記接着剤の好ましい実施形態は次の通りである。すなわち、上記接着剤としては、例えば紫外線硬化性のアクリル系樹脂等が好ましい。尚、振動板の両主面にそれぞれ圧電素子を貼着してなる所謂バイモルフ型の圧電振動板を得る場合には、前記圧電素子の貼着に用いる接着剤層のうちのいずれか一方または両方を、例えばエポキシ系樹脂等の熱硬化性の接着剤や2液反応型の接着剤等を使用することが好ましい。
上記導電性樹脂の好ましい実施形態は次の通りである。すなわち、上記導電性樹脂としては、例えば、金属やカーボン等の導電性の粉末と例えばポリエステル系の樹脂とを混合してなるものが好ましい。
上記圧電振動板の好ましい実施形態は次の通りである。すなわち、上記圧電振動板としては、振動板の一方の主面側に圧電素子が貼着されたユニモルフ型、振動板の一方及び他方の主面側にそれぞれ圧電素子が貼着されたバイモルフ型等が好ましい。
上記支持体の好ましい実施形態は次の通りである。すなわち、上記支持体としては、ポリブチレンテレフタラート(PBT)やPET等からなることが好ましい。上記支持体の外観は、枠状が好ましいが、これに限定するものではなく、例えば皿状等であってもよい。上記支持体の形状は、直方体形状が好ましいがこれに限定するものではなく、必要に応じて適宜変更することができる。
上記端子電極の好ましい実施形態は次の通りである。すなわち、上記端子電極としては、上記支持体の端子部に形成されることが好ましい。上記端子電極は、前記接続電極と同様に例えばCu箔のエッチングにより形成してもよいが、これに限定するものではなく、例えば、導電性樹脂のペーストをスクリーン印刷等で塗布し、硬化させたものであってもよい。
上記圧電型電気音響変換器の好ましい実施形態は次の通りである。すなわち、上記圧電型電気音響変換器としては、前記振動板の接続電極を引き出す端子電極を有することが好ましいが、これに限定するものではなく、前記振動板の接続電極の引出部を端子電極として用いてもよい。また、入力回路との接続するためのリードを固着してもよい。
(実施例)以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明する。まず、PZTからなるセラミック圧電体材料の粉末を有機溶剤、バインダ、可塑剤、分散剤と混合してスラリーを準備した。次に前記スラリーをドクターブレード法によりシート状に成型した後、所定の寸法にカットして厚さ30μmの複数枚のセラミックグリーンシートを得た。上記で得られたセラミックグリーンシートのうちの3枚のセラミックグリーンシートの一方の主面に、Ag−Pd合金粉末と有機溶剤、バインダを混合してなる電極材料ペーストを塗布して隣接する圧電素子2つ分に跨るように長さ33mm、幅21mmの長方形の厚さ2μmの内部電極パターン13’を形成した。また、前記長方形の内部電極パターン13’の中央の前記隣接する圧電素子2つ分に跨る位置に前記内部電極パターン13’に重なるように長さ2mm、幅21mmの帯状の厚さ2μmの補助パターン13b’を形成した。また、前記内部電極パターン13’及び前記補助パターン13b’を形成したセラミックグリーンシートのうちの1枚のセラミックグリーンシートの他方の主面に、前記隣接する圧電素子約1つ分ずらした位置に、前記と同様に長方形の内部電極パターン14’を形成した。また前記長方形の内部電極パターン14’の中央の前記隣接する圧電素子2つ分に跨る位置に前記内部電極パターン14’に重なるように前記と同様に帯状の補助パターン14b’を形成した。また、上記で得られたセラミックグリーンシートのうちの2枚のセラミックグリーンシートの一方の主面に、前記と同様に隣接する圧電素子約1つ分ずらした位置に、前記と同様に長方形の内部電極パターン14’を形成した。また前記長方形の内部電極パターン14’の中央の前記隣接する圧電素子2つ分に跨る位置に前記内部電極パターン14’に重なるように前記と同様に帯状の補助パターン14b’を形成した。上記で得られた一方の主面に前記内部電極パターン13’及び補助パターン13b’が形成されたセラミックグリーンシートと、一方の主面に前記内部電極パターン14’及び補助パターン14b’が形成されたセラミックグリーンシートとを交互に重ね、最下層に、上記で得られた他方の主面に前記内部電極パターン14’及び補助パターン14b’が形成されたセラミックグリーンシートを重ねて、これらのセラミックグリーンシートを積層圧着して未焼成積層体を得た。上記で得られた未焼成積層体を大気中500℃で2時間脱バインダ処理した後、大気中1000℃で2時間焼成し、圧電素子の集合体基板を得た。をスピンドルにダイシングブレードを取り付けたダイシング装置を用い、前記カットラインCLに沿って、上記で得られた圧電素子の集合体基板を相対移動する切削刃に接触させて切断して直方体形状の複数の圧電素子を得た。上記で得られた圧電素子は、圧電体層と内部電極層とを交互に複数積層し且つ該内部電極層が一つ置きに互いに対向する端面にその端部を露出するように形成された直方体形状の圧電素子であって、前記圧電素子の一方の端部近傍における前記複数の内部電極層の厚さ寸法の和が前記一方の端面に端部を露出する前記複数の内部電極層の前記対向領域における厚さ寸法の和より大きくなるように形成されている。また、前記で得られた圧電素子の端面を株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡(SEM)S4300を使用し、倍率2000倍で観察した結果、前記端面に露出する内部電極層の端部に、積層方向で隣接する内部電極層に近接する展延部が形成されていることが確認された。(参考例)上記構造による効果を明らかにするため、前記補助パターン13b’,14b’を形成しないこと以外は上記実施例と同様にして参考例の圧電素子を得た。参考例の圧電素子の端面を前記と同様にSEMで観察した結果、展延部はほとんど認められなかった。次に、長さ25mm、幅25mm、厚さ50μmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムの一方の主面にAg粉末、有機溶剤、バインダを含有する導電性ペーストをスクリーン印刷により塗布し、150℃で硬化して厚さ5μmの一対の接続電極を形成して振動板を準備した。得られた振動板の一方の主面上の前記接続電極間にアクリル系樹脂からなる紫外線硬化性の接着剤をディスペンサーにより塗布し、前記一対の接続電極上に跨るように、上記で得られた圧電素子を重ねてUV照射し、前記振動板と前記圧電素子とを貼り合わせた。次に前記接続電極と前記圧電素子素子の前記内部電極層の展延部が形成された端面とをつなぐようにAg粉末、有機溶剤、バインダを含有する導電性樹脂のペーストをディスペンサーにより塗布し、150℃で硬化させて圧電振動板を得た。上記で得られた圧電振動板の縁部近傍をポリブチレンテレフタラート(PBT)樹脂からなる枠状の支持体にアクリル系樹脂からなる接着剤で接着した。次に、前記振動板の接続電極の引出部と前記支持体の端子部に接着されたCu箔からなる一対の端子電極のそれぞれとを繋ぐように前記と同様の導電性樹脂のペーストをディスペンサーを用いて塗布し、150℃で硬化させた。次に、上記一対の端子電極に50Vの直流電圧を印加して前記圧電素子の内部電極層の対向領域の圧電体層を分極処理して、積層型の圧電音響変換器を得た。上記で得られた50個の圧電型電気音響変換器の前記一対の端子電極にヒューレットパッカード社製のインピーダンスアナライザー(HP4194A)の一対の測定端子をそれぞれ接続し、周波数120Hz,電圧1Vrmsにて静電容量の値を測定し、得られた結果を図15に示した。上記と同様にして参考例の圧電素子を用いて50個の参考例の圧電型電気音響変換器を作成し、上記と同様にして静電容量の値を測定し、得られた結果を図15に示した。前記圧電素子の前記内部電極層の端部が露出された一対の端面にそれぞれ外部電極層を形成した場合と同様に、圧電型電気音響変換器の圧電素子の内部電極層の対向領域におけるすべての内部電極層が前記一対の接続電極のそれぞれと接続された場合にはその静電容量の値はおよそ1.12μFであり、静電容量の値が極端に低いものは、前記接続電極との導電接続に不具合を生じた内部電極層が存在するものと考えられる。図15より明らかなように、本発明の実施例の圧電素子を用いたすべての圧電型電気音響変換器において、前記圧電素子の内部電極層の対向領域のほとんどの内部電極層が前記接続電極と接続されているのに対し、参考例の圧電素子を用いた複数の圧電型電気音響変換器において、前記接続電極との導電接続に不具合を生じた内部電極層が存在するものが発見された。尚、上記実施例では内部電極層としてAg−Pd合金を用いたが、Agに置き換えた場合であっても、安定して展延部が形成されることが確認された。また、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、Au,Pt,PdまたはAu−Pd合金のいずれかに変更してもよい。
本発明によれば、薄型の電子機器や携帯型の電子機器等に搭載される小型スピーカ等として用いられる圧電型電気音響変換器に好適である。
10:
圧電素子11:圧電体11a,11b:端面12a,12b,12c:圧電体層13,14:内部電極層13a,14a:対向領域13b,14b:端部近傍13c,14c:展延部15:振動板16,17:接続電極16a,17a:引出部18:接着剤19a,19b:導電性樹脂20:圧電振動板21:支持体21a:端子部21b:支持部22a,22b:端子電極23a,23b:導電性樹脂25:圧電型電気音響変換器30:圧電素子31:圧電体31a,31b:端面32a,32b,32c:圧電体層33,34:内部電極層33a,34a:対向領域33b,34b:端部近傍33c,34c:展延部35:振動板36,37:接続電極36a,37a:引出部36b、37b:スルーホール接続部38:接着剤39a,39b:導電性樹脂40:圧電振動板41:支持体41a:端子部41b:支持部42a,42b:端子電極43a,43b:導電性樹脂45:圧電型電気音響変換器
圧電素子11:圧電体11a,11b:端面12a,12b,12c:圧電体層13,14:内部電極層13a,14a:対向領域13b,14b:端部近傍13c,14c:展延部15:振動板16,17:接続電極16a,17a:引出部18:接着剤19a,19b:導電性樹脂20:圧電振動板21:支持体21a:端子部21b:支持部22a,22b:端子電極23a,23b:導電性樹脂25:圧電型電気音響変換器30:圧電素子31:圧電体31a,31b:端面32a,32b,32c:圧電体層33,34:内部電極層33a,34a:対向領域33b,34b:端部近傍33c,34c:展延部35:振動板36,37:接続電極36a,37a:引出部36b、37b:スルーホール接続部38:接着剤39a,39b:導電性樹脂40:圧電振動板41:支持体41a:端子部41b:支持部42a,42b:端子電極43a,43b:導電性樹脂45:圧電型電気音響変換器
Claims (3)
- 圧電体層と内部電極層とを交互に複数積層し且つ該内部電極層が一つ置きに互いに対向する端面にその端部を露出するように形成された直方体形状の圧電素子であって、前記圧電素子の一方の端面側における前記複数の内部電極層の端部近傍の厚さ寸法の和が前記一方の端面に端部を露出する前記複数の内部電極層の前記対向領域における厚さ寸法の和より大きくなるように形成されたセラミック圧電体層と内部電極層との未焼成積層体を準備し、該積層体を焼成したのち得られた圧電素子の集合体基板を相対移動する切削刃に接触させて切断することにより、前記圧電素子の端面に露出する内部電極層の端部に、積層方向で隣接する内部電極層に近接する展延部が形成されたことを特徴とする圧電素子。
- 接続電極を備えた振動板の主面上に請求項1記載の圧電素子が貼着されるとともに、該圧電素子の内部電極層の展延部と前記振動板の接続電極とが導電性樹脂により接続されたことを特徴とする圧電振動板。
- 接続電極を備えた振動板の主面上に請求項1記載の圧電素子が貼着されるとともに、該圧電素子の内部電極層の展延部と前記振動板の接続電極とが導電性樹脂により接続された圧電振動板の周囲が支持体によって支持されたことを特徴とする圧電型電気音響変換器。
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