JP2007228539A - 振動板及び圧電振動板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 振動板の構造の改良により剛性の上昇を抑制しながら圧電素子と振動板との電気的接続を図るとともに、圧電振動板の共振周波数の高周波化及び音圧の低下の防止を図る。
【解決手段】 振動板10は、複数の絶縁体層12A、12Bを備える積層体12と、少なくとも一方の主面の円形の圧電素子貼り付け領域11内の略中央部に設けられた円形の内側接続電極14Aと、中心から内側接続電極の最も離れた部分より少なくとも外側に設けられた環状の外側接続電極17Aと、絶縁体層の層間に領域11内と領域11外とに亘って内側接続電極に接続された内側引き出し電極24と外側接続電極に接続された外側引き出し電極27とを有している。従って、絶縁体層の層間の内側引き出し電極24で領域11外に引き出すことができるので、圧電素子の端子電極と振動板の接続電極とを密着させた状態で接続させることができ、振動板の剛性の上昇を防止することができる。
【選択図】図1
【解決手段】 振動板10は、複数の絶縁体層12A、12Bを備える積層体12と、少なくとも一方の主面の円形の圧電素子貼り付け領域11内の略中央部に設けられた円形の内側接続電極14Aと、中心から内側接続電極の最も離れた部分より少なくとも外側に設けられた環状の外側接続電極17Aと、絶縁体層の層間に領域11内と領域11外とに亘って内側接続電極に接続された内側引き出し電極24と外側接続電極に接続された外側引き出し電極27とを有している。従って、絶縁体層の層間の内側引き出し電極24で領域11外に引き出すことができるので、圧電素子の端子電極と振動板の接続電極とを密着させた状態で接続させることができ、振動板の剛性の上昇を防止することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、スピーカやマイクロホン等の電気音響変換器に用いられる振動板及び圧電振動板に関し、更に具体的には、振動板の剛性の上昇を防止して、圧電振動板の共振周波数上昇及び音圧低下の防止に関するものである。
圧電型のスピーカやマイクロホン等の圧電型電気音響変換器は、簡易な電気音響変換手段として広く利用されており、特に近年は、携帯電話や携帯情報端末などの分野でスピーカ等として多用されている。
特許文献1には、図6及び図7に一例が示されるように、複数の圧電セラミック層202A,202Bが内部電極204を間にして積層された積層型の圧電素子200が振動板212の一方の主面に固着され、ケース218の内周面の段部に前記振動板212の縁部が支持され、圧電素子200の引出電極204A,207Aとケース218の端子216とが導電性接着剤214により接続されている電気音響変換器が提案されている。
特許文献1には、図6及び図7に一例が示されるように、複数の圧電セラミック層202A,202Bが内部電極204を間にして積層された積層型の圧電素子200が振動板212の一方の主面に固着され、ケース218の内周面の段部に前記振動板212の縁部が支持され、圧電素子200の引出電極204A,207Aとケース218の端子216とが導電性接着剤214により接続されている電気音響変換器が提案されている。
しかしながら、上記のような背景技術では、圧電素子200の引出電極204A,207Aを振動板212を介して外部に引き出すにあたって、圧電素子200の厚み寸法を超えて上面から突出する導電性接着剤214が必要になる。このため、圧電振動板全体の厚み寸法が大きくなり、剛性が上昇して圧電振動板の共振周波数が上昇するとともに音圧が低下する課題があった。
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、振動板構造の改良により剛性の上昇を抑制しながら圧電素子と振動板との電気的接続を図ることである。他の目的は、前記振動板を用いて圧電振動板の共振周波数の高周波化、音圧の低下を防止することである。
前記目的を達成するため、本発明の振動板は、(1)複数の絶縁体層を備える積層体と、前記積層体の少なくとも一方の主面の円形の圧電素子貼り付け領域内の略中央部に設けられた内側接続電極と、前記圧電素子貼り付け領域内であって該圧電素子貼り付け領域の中心から前記内側接続電極の最も離れた部分より少なくとも外側に設けられた外側接続電極と、前記積層体の複数の絶縁体層の層間に前記圧電素子貼り付け領域内と該領域外とに亘って設けられ前記内側接続電極に接続された内側引き出し電極とを有することを特徴とする。
本発明の主要な実施形態は、(2)前記内側接続電極と前記外側接続電極とが同心状に配置されていることを特徴とする。
また、本発明の圧電振動板は、(3)前記(1)または(2)の振動板の前記圧電素子貼り付け領域に、圧電体層の少なくとも一方の主面に内側端子電極と環状の外側端子電極とが同心状に設けられた圧電素子が貼り付けられていることを特徴とする。
本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
本発明の振動板は、(1)複数の絶縁体層を備える積層体と、前記積層体の少なくとも一方の主面の円形の圧電素子貼り付け領域内の略中央部に設けられた内側接続電極と、前記圧電素子貼り付け領域内であって該圧電素子貼り付け領域の中心から前記内側接続電極の最も離れた部分より少なくとも外側に設けられた外側接続電極と、前記積層体の複数の絶縁体層の層間に前記圧電素子貼り付け領域内と該領域外とに亘って設けられ前記内側接続電極に接続された内側引き出し電極とを有することとした。
このため、積層体の主面の内側接続電極を積層体内部の内側引き出し電極で圧電素子貼り付け領域外に引き出すことができるので、圧電素子の同心状の一対の端子電極と振動板の接続電極とを密着させた状態で接続させることができる。これにより、振動板の剛性の上昇を防止することができる。
このため、積層体の主面の内側接続電極を積層体内部の内側引き出し電極で圧電素子貼り付け領域外に引き出すことができるので、圧電素子の同心状の一対の端子電極と振動板の接続電極とを密着させた状態で接続させることができる。これにより、振動板の剛性の上昇を防止することができる。
また、前記(1)に加えて、(2)前記内側接続電極と前記外側接続電極とが同心状に配置されていることとした。
このため、圧電体層の少なくとも一方の主面に内側端子電極と外側端子電極とが前記圧電体層の中心からの距離が異なる位置に設けられた圧電素子を貼り付ける際に、圧電素子の角度ずれを気にすることなく搭載することができる。
このため、圧電体層の少なくとも一方の主面に内側端子電極と外側端子電極とが前記圧電体層の中心からの距離が異なる位置に設けられた圧電素子を貼り付ける際に、圧電素子の角度ずれを気にすることなく搭載することができる。
また、本発明の圧電振動板は、(3)前記(1)または(2)の振動板の前記圧電素子貼り付け領域に、圧電体層の少なくとも一方の主面に内側端子電極と環状の外側端子電極とが同心状に設けられた圧電素子が貼り付けられていることとした。
このため、圧電素子の同心状の一対の端子電極と振動板の接続電極とが密着した状態で接続されている。これにより、共振周波数の高周波化、音圧の低下を防止することができる。
このため、圧電素子の同心状の一対の端子電極と振動板の接続電極とが密着した状態で接続されている。これにより、共振周波数の高周波化、音圧の低下を防止することができる。
次に、本発明の振動板の実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。図1は本実施形態1の振動板10の全体を示す外観斜視図であり、図2は前記振動板10を前記図1に示すA−A線に沿って切断した断面図であり、図3は前記振動板10の内部構造を示す分解斜視図である。
図1〜図3に示すように、本実施形態1の振動板10は、複数の絶縁体層12A,12Bが積層された略円板状の積層体12に外周方向に延出した凸部121が設けられており、一方の主面及び他方の主面の円形の圧電素子貼り付け領域11にはそれぞれ一対の接続電極14A,17Aが設けられており、前記積層体12の凸部121には前記接続電極14A,17Aに接続された引き出し電極の端子部24A,27Aが設けられている。
具体的には、複数の絶縁体層12A,12Bを備える積層体12と、前記積層体12の一方の主面の円形の圧電素子貼り付け領域11内の略中央部に設けられた内側接続電極14Aと、前記圧電素子貼り付け領域11内であって該領域11の中心Pから前記内側接続電極14Aの最も離れた部分(距離L1)より少なくとも外側(距離L2)に設けられた外側接続電極17Aと、を有する。また、前記積層体12の複数の絶縁体層12A,12Bの層間には、前記圧電素子貼り付け領域11内と該領域11外とに亘って内側引き出し電極24と外側引き出し電極27とが設けられている。
そして、前記絶縁体層12Aには、前記内側接続電極14Aと前記内側引き出し電極24とが対向する位置にスルーホール16A1が設けられ、該スルーホール16A1内にはスルーホール導体16Aが設けられて前記内側接続電極14Aと前記内側引き出し電極24とが導電接続されている。また、前記外側接続電極17Aと前記外側引き出し電極27とが対向する位置にスルーホール19A1が設けられ、該スルーホール19A1内にはスルーホール導体19Aが設けられて前記外側接続電極17Aと前記外側引き出し電極27とが導電接続されている。
また、前記積層体12の他方の主面には、円形の圧電素子貼り付け領域11内の略中央部に設けられた内側接続電極14Bと、前記圧電素子貼り付け領域11内であって該領域11の中心Pから前記内側接続電極14Bの最も離れた部分(距離L1)より少なくとも外側(距離L2)に設けられた外側接続電極17Bとを有し、前記と同様に、前記内側接続電極14Bが前記内側引き出し電極24に接続され、前記外側接続電極17Bが前記外側引き出し電極27に接続されている。
そして、上記と同様に、前記絶縁体層12Bには、前記内側接続電極14Bと前記内側引き出し電極24とが対向する位置にスルーホール16B1が設けられ、該スルーホール16B1内にはスルーホール導体16Bが設けられて前記内側接続電極14Bと前記内側引き出し電極24とが導電接続されている。また、前記外側接続電極17Bと前記外側引き出し電極27とが対向する位置にスルーホール19B1が設けられ、該スルーホール19B1内にはスルーホール導体19Bが設けられて前記外側接続電極17Bと前記内側引き出し電極27とが導電接続されている。
また、上記積層体12の凸部121には、絶縁体層12Aの凸部121Aに該凸部121Aの先端側から矩形の切欠きが2箇所平行に形成され、前記内側引き出し電極24の端部24Aと前記外側引き出し電極27の端部27Aとが露出されて、駆動回路に接続できるようになっている。
そして、前記絶縁体層12Aには、前記内側接続電極14Aと前記内側引き出し電極24とが対向する位置にスルーホール16A1が設けられ、該スルーホール16A1内にはスルーホール導体16Aが設けられて前記内側接続電極14Aと前記内側引き出し電極24とが導電接続されている。また、前記外側接続電極17Aと前記外側引き出し電極27とが対向する位置にスルーホール19A1が設けられ、該スルーホール19A1内にはスルーホール導体19Aが設けられて前記外側接続電極17Aと前記外側引き出し電極27とが導電接続されている。
また、前記積層体12の他方の主面には、円形の圧電素子貼り付け領域11内の略中央部に設けられた内側接続電極14Bと、前記圧電素子貼り付け領域11内であって該領域11の中心Pから前記内側接続電極14Bの最も離れた部分(距離L1)より少なくとも外側(距離L2)に設けられた外側接続電極17Bとを有し、前記と同様に、前記内側接続電極14Bが前記内側引き出し電極24に接続され、前記外側接続電極17Bが前記外側引き出し電極27に接続されている。
そして、上記と同様に、前記絶縁体層12Bには、前記内側接続電極14Bと前記内側引き出し電極24とが対向する位置にスルーホール16B1が設けられ、該スルーホール16B1内にはスルーホール導体16Bが設けられて前記内側接続電極14Bと前記内側引き出し電極24とが導電接続されている。また、前記外側接続電極17Bと前記外側引き出し電極27とが対向する位置にスルーホール19B1が設けられ、該スルーホール19B1内にはスルーホール導体19Bが設けられて前記外側接続電極17Bと前記内側引き出し電極27とが導電接続されている。
また、上記積層体12の凸部121には、絶縁体層12Aの凸部121Aに該凸部121Aの先端側から矩形の切欠きが2箇所平行に形成され、前記内側引き出し電極24の端部24Aと前記外側引き出し電極27の端部27Aとが露出されて、駆動回路に接続できるようになっている。
このため、前記積層体12の一方の主面の内側接続電極14Aと前記積層体12の他方の主面の内側接続電極14Bとを積層体12の複数の絶縁体層12A,12Bの層間の内側引き出し電極24で圧電素子貼り付け領域11外に引き出すことができるので、圧電素子30の同心状の一対の端子電極34,37と振動板10の接続電極14A,14B,17A、17Bとを密着させた状態で接続させることができる。これにより、振動板10の剛性の上昇を防止することができる。
上記絶縁体層12A,12Bとしては、PET(PolyEthylene Terephtalate)、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等の可撓性の絶縁フィルムが好ましいが、これに限定するものではなく、その他の種々の絶縁性樹脂シートを用いることができる。
上記実施形態1の振動板10においては内側引き出し電極24及び外側引き出し電極27の両方が前記積層体12の複数の絶縁体層12A,12Bの層間に設けられているが、本発明はこれに限定するものではなく、少なくとも内側引き出し電極24が前記層間に設けられていればよく、外側引き出し電極27は、前記積層体12の一方または他方の主面上の外側接続電極17A,17Bのいずれか一方を延長して引き出し電極とすることができる。
また、前記絶縁体層を3層以上とし、前記内側引き出し電極24と前記外側引き出し電極27とを前記複数の絶縁体層の異なる層間に設けてもよく、また、前記内側引き出し電極と前記外側引き出し電極とをそれぞれ複数の層間に設け、前記積層体12の一方の主面の接続電極と他方の主面の接続電極とをそれぞれ異なる層間の引き出し電極に接続してもよい。
上記実施形態1の振動板10においては内側引き出し電極24及び外側引き出し電極27の両方が前記積層体12の複数の絶縁体層12A,12Bの層間に設けられているが、本発明はこれに限定するものではなく、少なくとも内側引き出し電極24が前記層間に設けられていればよく、外側引き出し電極27は、前記積層体12の一方または他方の主面上の外側接続電極17A,17Bのいずれか一方を延長して引き出し電極とすることができる。
また、前記絶縁体層を3層以上とし、前記内側引き出し電極24と前記外側引き出し電極27とを前記複数の絶縁体層の異なる層間に設けてもよく、また、前記内側引き出し電極と前記外側引き出し電極とをそれぞれ複数の層間に設け、前記積層体12の一方の主面の接続電極と他方の主面の接続電極とをそれぞれ異なる層間の引き出し電極に接続してもよい。
上記接続電極14A,14B、17A、17B、及び引き出し電極24,27としては、Ag粉末等を含む導電性樹脂ペーストを前記可撓性絶縁シートの一方の主面にスクリーン印刷等により塗布し、100℃で乾燥した後、例えば150℃で熱硬化することにより形成される。
尚、導電性樹脂ペーストはフィラーとしてAg粉等の導電粉末を多量に含むためにPETフィルム等に対する密着力が弱いので、予めPETフィルム等の表面にエポキシ樹脂層等、導電性樹脂ペーストとの密着力の良好な下地層を被覆しておくこと、もしくは、PETフィルム等の表面に予めサンドブラスト処理により粗面化しておくことが好ましい。
また、前記各電極の形成方法としては、導電性樹脂ペーストの塗布・硬化は一例であり、スパッタリング法などにより金属その他の薄膜導電体層として設けるようにしてもよい。
尚、導電性樹脂ペーストはフィラーとしてAg粉等の導電粉末を多量に含むためにPETフィルム等に対する密着力が弱いので、予めPETフィルム等の表面にエポキシ樹脂層等、導電性樹脂ペーストとの密着力の良好な下地層を被覆しておくこと、もしくは、PETフィルム等の表面に予めサンドブラスト処理により粗面化しておくことが好ましい。
また、前記各電極の形成方法としては、導電性樹脂ペーストの塗布・硬化は一例であり、スパッタリング法などにより金属その他の薄膜導電体層として設けるようにしてもよい。
上記円形の圧電素子貼り付け領域11としては、少なくとも円板状の圧電素子の一方の主面全体を重ねることができるように円で囲まれる領域が平面に形成されていればよい。
前記圧電素子貼り付け領域11内の前記内側接続電極と外側接続電極とは必ずしも同心状に配置される必要はないが、前記内側接続電極と前記外側接続電極とが同心状に配置されていることが好ましい。これによれば、圧電体層の少なくとも一方の主面に内側端子電極と外側端子電極とが前記圧電体層の中心からの距離が異なる位置に設けられた圧電素子を貼り付ける際に、前記振動板と前記圧電素子との角度ずれを気にすることなく搭載することができ、接続の信頼性の向上と振動板の振動の偏りを防止することができる。
前記圧電素子貼り付け領域11内の前記内側接続電極と外側接続電極とは必ずしも同心状に配置される必要はないが、前記内側接続電極と前記外側接続電極とが同心状に配置されていることが好ましい。これによれば、圧電体層の少なくとも一方の主面に内側端子電極と外側端子電極とが前記圧電体層の中心からの距離が異なる位置に設けられた圧電素子を貼り付ける際に、前記振動板と前記圧電素子との角度ずれを気にすることなく搭載することができ、接続の信頼性の向上と振動板の振動の偏りを防止することができる。
上記積層体12の主面の内側接続電極14A、14Bと前記積層体12の前記複数の絶縁体層12A,12Bの層間の内側引き出し電極24とは、スルーホール導体16A,16Bにより接続するのが好ましい。
上記外側引き出し電極27としては、本実施形態1においては、前記絶縁体層12B上の前記外側接続電極17A,17Bと同じ円環状の領域から前記絶縁体層12Bの凸部121B上に亘って直線状に延出され、先端の端部27Aが、前記積層体12の一方の絶縁体層12Aの凸部121Aに形成した切欠きにより露出されているとともに、前記円環状の領域の一部が円環状の内と外とをつなぐように切り開かれ、ここを通って前記内側引き出し電極24が振動板10の絶縁体層12Bの凸部121B上に亘って直線状に延出されているが、本発明はこれに限定するものではなく、前記積層体12の複数の絶縁体層12A,12Bの層間もしくは前記積層体12の一方及び/又は他方の主面上に前記圧電素子貼り付け領域11内と該領域11外とに亘って設けられ前記接続電極17A,17Bに接続されていればよい。
上記積層体12の主面の外側接続電極17A,17Bと前記積層体12の複数の絶縁体層12A,12Bの層間の外側引き出し電極27との接続は、スルーホール導体19A,19Bにより接続するのが好ましいが、本発明はこれに限定するものではなく、前記積層体12の主面の外側接続電極17A,17B及び前記積層体12の複数の絶縁体層12A,12Bの層間の外側引き出し電極27をそれぞれ前記円形の圧電素子貼り付け領域11内から前記積層体12の外周側面に至るまで延長するとともに、前記積層体12の外周側面に接続導体を形成して前記外側接続電極と前記外側引き出し電極とを接続してもよい。
次に、上記本発明の実施形態の振動板10の製造プロセスについて図3を用いて説明する。まず、絶縁体層としてPETフィルムを用い、150℃で30分間の加熱によりアニール処理して、2枚の絶縁体層12A,12Bを準備する。
次に、前記絶縁体層12Aの所定の位置に打ち抜きプレス等の公知の穿孔手段によりスルーホール16A1,19A1を穿孔するとともに,同様に前記絶縁体層12Bの所定の位置にスルーホール16B1,19B1を穿孔する。
次に、Ag、カーボン等の導電性の粉末とエポキシ系樹脂等の絶縁性の樹脂と溶剤とを混合して導電性樹脂ペーストを準備し、スクリーン印刷法により前記絶縁体層12Aの一方の主面に円形の内側接続電極14A及び円環状の外側接続電極17Aを印刷するとともに、前記スルーホール16A1,19A1内に導電性樹脂ペーストを充填してスルーホール導体16A,19Aを形成する。
同様に、前記絶縁体層12Bの一方の主面に内側引き出し電極24及び外側引き出し電極27を印刷するとともに、前記スルーホール16B1,19B1内に導電性樹脂ペーストを充填してスルーホール導体16B,19Bを形成する。
さらに、前記絶縁体層12Bの他方の主面に前記絶縁体層12Aと同様に円形の内側接続電極14B及び円環状の外側接続電極17Bを印刷する。
得られた絶縁体層12A,12Bを100℃で乾燥した後、前記絶縁体層12Aの他方の主面に前記スルーホール導体16A,19A形成箇所を除いて熱硬化性樹脂もしくは熱可塑性樹脂を主成分とする絶縁性接着剤を塗布し、前記絶縁体層12Aと絶縁体層12Bとを積層して150℃で加熱・硬化もしくは加熱したのち冷却・硬化させて貼り合わせるか、あるいは、前記絶縁体層12Aと絶縁体層12Bとを積層して前記絶縁体層12A,12B同士を超音波溶着等により貼り合わせることにより、振動板10が得られる。
次に、前記絶縁体層12Aの所定の位置に打ち抜きプレス等の公知の穿孔手段によりスルーホール16A1,19A1を穿孔するとともに,同様に前記絶縁体層12Bの所定の位置にスルーホール16B1,19B1を穿孔する。
次に、Ag、カーボン等の導電性の粉末とエポキシ系樹脂等の絶縁性の樹脂と溶剤とを混合して導電性樹脂ペーストを準備し、スクリーン印刷法により前記絶縁体層12Aの一方の主面に円形の内側接続電極14A及び円環状の外側接続電極17Aを印刷するとともに、前記スルーホール16A1,19A1内に導電性樹脂ペーストを充填してスルーホール導体16A,19Aを形成する。
同様に、前記絶縁体層12Bの一方の主面に内側引き出し電極24及び外側引き出し電極27を印刷するとともに、前記スルーホール16B1,19B1内に導電性樹脂ペーストを充填してスルーホール導体16B,19Bを形成する。
さらに、前記絶縁体層12Bの他方の主面に前記絶縁体層12Aと同様に円形の内側接続電極14B及び円環状の外側接続電極17Bを印刷する。
得られた絶縁体層12A,12Bを100℃で乾燥した後、前記絶縁体層12Aの他方の主面に前記スルーホール導体16A,19A形成箇所を除いて熱硬化性樹脂もしくは熱可塑性樹脂を主成分とする絶縁性接着剤を塗布し、前記絶縁体層12Aと絶縁体層12Bとを積層して150℃で加熱・硬化もしくは加熱したのち冷却・硬化させて貼り合わせるか、あるいは、前記絶縁体層12Aと絶縁体層12Bとを積層して前記絶縁体層12A,12B同士を超音波溶着等により貼り合わせることにより、振動板10が得られる。
次に、本発明の圧電振動板の実施形態について、図4及び図5を用いて説明する。
図4は、本実施形態2の圧電振動板20を示す斜視図であり、図4(A)は圧電振動板20の全体を示す外観斜視図であり、図4(B)は圧電振動板20の内部構造を説明するための分解斜視図であり、図5は、本実施形態2の圧電振動板に用いる圧電素子30の一例を示す内部構造を説明するための分解斜視図である。
図4は、本実施形態2の圧電振動板20を示す斜視図であり、図4(A)は圧電振動板20の全体を示す外観斜視図であり、図4(B)は圧電振動板20の内部構造を説明するための分解斜視図であり、図5は、本実施形態2の圧電振動板に用いる圧電素子30の一例を示す内部構造を説明するための分解斜視図である。
図4に示すように、本実施形態2の圧電振動板20は、前記実施形態1の振動板10の一方及び他方の主面の前記圧電素子貼り付け領域11に、圧電体層の少なくとも一方の主面に内側端子電極と環状の外側端子電極とが同心状に設けられた圧電素子30がそれぞれ接着剤等を用いて貼り付けられている。
このため、圧電素子30の内側端子電極34と振動板10の内側接続電極14とが間に前記電極間の接続を阻止するためのレジスト層を介在することなく密着した状態で接続されるとともに、前記圧電素子30の外側端子電極37と振動板10の外側接続電極17とが同様に間に前記電極間の接続を阻止するためのレジスト層を介在することなく密着した状態で接続されているので、前記レジスト層が介在することによる振動板剛性の上昇を避けることができ、共振周波数の高周波化、音圧の低下を防止することができる。
このため、圧電素子30の内側端子電極34と振動板10の内側接続電極14とが間に前記電極間の接続を阻止するためのレジスト層を介在することなく密着した状態で接続されるとともに、前記圧電素子30の外側端子電極37と振動板10の外側接続電極17とが同様に間に前記電極間の接続を阻止するためのレジスト層を介在することなく密着した状態で接続されているので、前記レジスト層が介在することによる振動板剛性の上昇を避けることができ、共振周波数の高周波化、音圧の低下を防止することができる。
次に、上記圧電振動板20に貼り付けられる圧電素子30について図5を用いて説明する。前記圧電素子30は、積層圧電体32の積層方向に2つの圧電体層32A,32Bを備えており、該圧電体層32Aの一方の主面、前記圧電体層32Bの他方の主面、及び前記圧電体層32Aと前記圧電体層32Bとの層間に、円形と円環状の一対の電極がそれぞれ設けられている。
具体的には、前記積層圧電体32の表面であって圧電体層32Aの一方の主面上に、環状の間隙31を挟んで円形の第1の電極34A及び環状の第2の電極37Aとが一対の端子電極として同心状に設けられるとともに、前記圧電体層32Aの第2の主面上に、前記第1の電極34Aと対向する円形の第3の電極37B、及び前記第2の電極37Aと対向する環状の第4の電極34Bと、を有する。そして、前記第1の電極34Aと前記第4の電極34Bとが前記積層圧電体32の前記第1の主面及び第2の主面のいずれとも異なる面上の接続導体35A及び該接続導体35Aと前記第1の電極34Aとを接続するスルーホール導体36A、及び前記接続導体35Aと前記第4の電極34Bとを接続するスルーホール導体36Bを経由して接続されるとともに、前記第2の電極37Aと前記第3の電極37Bとが前記積層圧電体32の前記第1の主面及び第2の主面のいずれとも異なる面上の接続導体38A及び該接続導体38Aと前記第2の電極37Aとを接続するスルーホール導体39A、及び前記接続導体38Aと前記第3の電極37Bとを接続するスルーホール導体39Bを経由して接続されている。
このため、前記圧電体層32Aの一方の主面の第1の電極34Aと第2の電極37Aとにそれぞれ異なる極性の信号電圧が印加されると、スルーホール導体36A、前記接続導体35A,及びスルーホール導体36Bを経由して、前記圧電体層32Aを挟んで前記第2の電極37Aに対向する第4の電極34Bにも前記第1の電極34Aと同じ信号電圧が印加され、同様に、スルーホール導体39A、前記接続導体38A,及びスルーホール導体39Bを経由して、前記圧電体層32Aを挟んで前記第1の電極34Aに対向する第3の電極37Bにも前記第2の電極37Aと同じ信号電圧が印加される。これにより、各電極間に挟まれる圧電体層32Aが厚み方向/面方向に変位する。
上記圧電素子としては、少なくとも一つの圧電体層32Aを備えた積層圧電体32を有するものであればよいが、本実施形態2の圧電振動板に用いられる一例の圧電素子30では、もう一つの圧電体層32Bについても上記の圧電体層32Aと同様に電極、接続導体、及びスルーホール導体が形成され、接続されている。
すなわち圧電素子30は、少なくとも一つの圧電体層32Bを備えた積層圧電体32を有するとともに、前記圧電体層32Bの第1の主面に相当する面上には第1の電極に相当する電極34B及び第2の電極に相当する電極37Bが間隙を挟んで設けられており、前記圧電体層32Bの第2の主面に相当する面上には前記第1の電極に相当する電極34Bと対向する第3の電極に相当する電極37C及び前記第2の電極に相当する電極37Bと対向する第4の電極に相当する電極34Cが同様に間隙を挟んで設けられている。そして、前記第1の電極に相当する電極34Bと前記第4の電極に相当する電極34Cとが、前記圧電体層32Bの前記第1の主面に相当する面及び第2の主面に相当する面のいずれとも異なる面上の接続導体35B、該接続導体35Bと前記第1の電極に相当する電極34Bとを接続するスルーホール導体36B、及び前記接続導体35Bと前記第4の電極に相当する電極34Cとを接続するスルーホール導体36Cを経由して接続されるとともに、前記第2の電極に相当する電極37Bと前記第3の電極に相当する電極37Cとが、前記圧電体層32Bの前記第1の主面に相当する面及び第2の主面に相当する面のいずれとも異なる面上の接続導体38B、該接続導体38Bと前記第2の電極に相当する電極37Bとを接続するスルーホール導体39B、及び前記接続導体38Bと前記第3の電極に相当する電極37Cとを接続するスルーホール導体39Cを経由して接続されている。
すなわち圧電素子30は、少なくとも一つの圧電体層32Bを備えた積層圧電体32を有するとともに、前記圧電体層32Bの第1の主面に相当する面上には第1の電極に相当する電極34B及び第2の電極に相当する電極37Bが間隙を挟んで設けられており、前記圧電体層32Bの第2の主面に相当する面上には前記第1の電極に相当する電極34Bと対向する第3の電極に相当する電極37C及び前記第2の電極に相当する電極37Bと対向する第4の電極に相当する電極34Cが同様に間隙を挟んで設けられている。そして、前記第1の電極に相当する電極34Bと前記第4の電極に相当する電極34Cとが、前記圧電体層32Bの前記第1の主面に相当する面及び第2の主面に相当する面のいずれとも異なる面上の接続導体35B、該接続導体35Bと前記第1の電極に相当する電極34Bとを接続するスルーホール導体36B、及び前記接続導体35Bと前記第4の電極に相当する電極34Cとを接続するスルーホール導体36Cを経由して接続されるとともに、前記第2の電極に相当する電極37Bと前記第3の電極に相当する電極37Cとが、前記圧電体層32Bの前記第1の主面に相当する面及び第2の主面に相当する面のいずれとも異なる面上の接続導体38B、該接続導体38Bと前記第2の電極に相当する電極37Bとを接続するスルーホール導体39B、及び前記接続導体38Bと前記第3の電極に相当する電極37Cとを接続するスルーホール導体39Cを経由して接続されている。
このため、前記圧電体層32Bの一方の主面に相当する面の第1の電極に相当する電極34Bと第2の電極に相当する電極37Bとにそれぞれ異なる極性の信号電圧が印加されると、スルーホール導体36B、前記接続導体35B,及びスルーホール導体36Cを経由して、前記圧電体層32Bを挟んで前記第2の電極に相当する電極37Bに対向する第4の電極に相当する電極34Cにも前記第1の電極に相当する電極34Bと同じ信号電圧が印加され、同様に、スルーホール導体39B、前記接続導体38B,及びスルーホール導体39Cを経由して、前記圧電体層32Bを挟んで前記第1の電極に相当する電極34Bに対向する第3の電極に相当する電極37Cにも前記第2の電極に相当する電極37Bと同じ信号電圧が印加される。これにより、各電極間に挟まれる圧電体層32Bが厚み方向/面方向に変位する。
このため、本実施例1の圧電素子30は、積層圧電体32の表面の前記電極34A,37Aにそれぞれ異なる極性の信号電圧が印加されると、接続導体35A,35B、及びスルーホール導体36A,36B,36Cを経由して,電極34B,34Cに前記電極34Aと同じ電圧が印加されるとともに、接続導体38A,38B、及びスルーホール導体39A,39B,39Cを経由して、電極37B,37Cに前記電極37Aと同じ電圧が印加される。
この結果、圧電素子30は、積層圧電体32の各圧電体層32A,32Bが厚み方向/面方向に変位する。
この結果、圧電素子30は、積層圧電体32の各圧電体層32A,32Bが厚み方向/面方向に変位する。
上記圧電素子30の圧電体層32A,32Bとしては、セラミックス圧電体、有機圧電体、もしくはこれらの混合物を主成分とするものが好適である。
上記圧電素子30の電極34A〜34C,37A〜37C、接続導体35A、35B、38A、38B、スルーホール導体36A〜36C,39A〜39Cとしては、Ag,Ag−Pd,Pd等の電極材料、もしくは前記電極材料に少量の前記圧電材料を共生地として混合したものが好適である。上記圧電素子の積層圧電体32としては、少なくとも一つの圧電体層を備えるものであって、複数の圧電体層を備えるもののほうがより大きな変位を得られるために好適である。また、上記積層体は、上記少なくとも一つの圧電体層と他の絶縁体層とを積層したものであっても良いことは勿論である。
上記圧電素子30の電極34A〜34C,37A〜37C、接続導体35A、35B、38A、38B、スルーホール導体36A〜36C,39A〜39Cとしては、Ag,Ag−Pd,Pd等の電極材料、もしくは前記電極材料に少量の前記圧電材料を共生地として混合したものが好適である。上記圧電素子の積層圧電体32としては、少なくとも一つの圧電体層を備えるものであって、複数の圧電体層を備えるもののほうがより大きな変位を得られるために好適である。また、上記積層体は、上記少なくとも一つの圧電体層と他の絶縁体層とを積層したものであっても良いことは勿論である。
次に、圧電体層としてセラミック圧電体を用いた積層型の圧電素子30について、製造プロセスの一例としてシート積層法を用いた場合について説明する。
まず、PZT系の圧電性セラミック材料粉末を準備し、バインダー、溶剤とともに混合してセラミックススラリーを作成し、得られたスラリーを用いて、PET(ポリエチレンテレフタレート)等からなるキャリアフィルム上にドクターブレード法、グラビア印刷法等公知の手段により塗工し、乾燥して厚さ10〜100μmの長尺の圧電体材料を主成分とするセラミックグリーンシートを形成した後、所定の寸法にカットし、複数枚のセラミックグリーンシートを作成する。次に得られたセラミックグリーンシートの所定の位置に打ち抜きプレス等によりスルーホールを穿孔する。次に、Ag,Ag−Pd,Pd等の導電粉末を準備し、バインダーと溶剤とともに混合して電極材料ペーストを作成し、得られた電極材料ペーストを用いて、上記セラミックグリーンシート上に所定のパターンで電極、接続導体を印刷するとともに、前記スルーホールにスルーホール導体を充填する。上記で得られたセラミックグリーンシートを前記電極及び前記接続導体と前記スルーホール導体とが接するように所定の順序で積層・圧着してセラミック積層体を作成し、400〜800℃で脱バインダー処理した後、850℃〜1100℃で1〜3時間焼成して積層体からなる圧電素子を得る。以上がシート積層法を用いた製造プロセスの概要であるが、本発明の圧電素子を得るための製造プロセスは上記のシート積層法に限定するものではなく、公知のスラリービルド法のほか、有機圧電体材料を用いてプリント配線基板と同様のプロセスを用いて形成することもできる。
まず、PZT系の圧電性セラミック材料粉末を準備し、バインダー、溶剤とともに混合してセラミックススラリーを作成し、得られたスラリーを用いて、PET(ポリエチレンテレフタレート)等からなるキャリアフィルム上にドクターブレード法、グラビア印刷法等公知の手段により塗工し、乾燥して厚さ10〜100μmの長尺の圧電体材料を主成分とするセラミックグリーンシートを形成した後、所定の寸法にカットし、複数枚のセラミックグリーンシートを作成する。次に得られたセラミックグリーンシートの所定の位置に打ち抜きプレス等によりスルーホールを穿孔する。次に、Ag,Ag−Pd,Pd等の導電粉末を準備し、バインダーと溶剤とともに混合して電極材料ペーストを作成し、得られた電極材料ペーストを用いて、上記セラミックグリーンシート上に所定のパターンで電極、接続導体を印刷するとともに、前記スルーホールにスルーホール導体を充填する。上記で得られたセラミックグリーンシートを前記電極及び前記接続導体と前記スルーホール導体とが接するように所定の順序で積層・圧着してセラミック積層体を作成し、400〜800℃で脱バインダー処理した後、850℃〜1100℃で1〜3時間焼成して積層体からなる圧電素子を得る。以上がシート積層法を用いた製造プロセスの概要であるが、本発明の圧電素子を得るための製造プロセスは上記のシート積層法に限定するものではなく、公知のスラリービルド法のほか、有機圧電体材料を用いてプリント配線基板と同様のプロセスを用いて形成することもできる。
次に、上記実施形態の圧電振動板20に用いられる圧電素子30の一例について、シート積層法を例にして製造プロセスを説明する。
まず、公知のPZT系セラミック圧電体材料の粉末を準備し、バインダー、溶剤とともに混合してセラミックスラリーを作成し、得られたスラリーを用いて、PETフィルム上にドクターブレード法により厚さ30μmの長尺のセラミックグリーンシートを作成する。得られたセラミックグリーンシートを所定の寸法に切断して複数枚のセラミックグリーンシート32A1,32A2,32B1,32B2を作成する。尚、説明の都合上、圧電素子1個分について図示する(以下同様)。
次に、上記で得られたセラミックグリーンシート32A1の所定の位置にスルーホール36A1,39A1を、セラミックグリーンシート32A2の所定の位置にスルーホール36B1,39B1を、セラミックグリーンシート32B1の所定の位置にスルーホール36B2,39B2を、セラミックグリーンシート32B2の所定の位置にスルーホール36C1,39C1を、打ち抜きプレスによりそれぞれ穿孔する。
次に、Pd電極材料粉末とバインダーと溶剤とを混合した電極材料ペーストを準備し、スクリーン印刷法によりそれぞれのグリーンシートの所定の位置に電極、接続導体の印刷を行うとともに、スルーホール導体の充填を行う。まず、前記セラミックグリーンシート32A2の一方の主面に一対の接続導体35A,38Aを印刷するとともに前記スルーホール36B1,39B1にスルーホール導体を充填する。同様に、セラミックグリーンシート32B2の一方の主面に一対の接続導体35B,38Bを印刷するとともに前記スルーホール36C1,39C1にスルーホール導体を充填する。また、前記セラミックグリーンシート32A1の一方の主面に一対の電極34A,37Aを印刷するとともに前記スルーホール36A1,39A1にスルーホール導体を充填する。同様に、前記セラミックグリーンシート32B1の一方の主面に一対の電極34B,37Bを印刷するとともに前記スルーホール36B2,39B2にスルーホール導体を充填する。また、前記セラミックグリーンシート32B2の他方の主面に一対の電極34C、37Cを印刷する。前記電極と前記スルーホール導体、及び前記接続導体と前記スルーホール導体がそれぞれ接するように上記で得られたセラミックグリーンシート32A1,32A2,32B1,32B2を順次積層・圧着し、所定の温度で脱バインダー処理した後、所定の温度で3時間焼成して積層圧電体32を得る。
まず、公知のPZT系セラミック圧電体材料の粉末を準備し、バインダー、溶剤とともに混合してセラミックスラリーを作成し、得られたスラリーを用いて、PETフィルム上にドクターブレード法により厚さ30μmの長尺のセラミックグリーンシートを作成する。得られたセラミックグリーンシートを所定の寸法に切断して複数枚のセラミックグリーンシート32A1,32A2,32B1,32B2を作成する。尚、説明の都合上、圧電素子1個分について図示する(以下同様)。
次に、上記で得られたセラミックグリーンシート32A1の所定の位置にスルーホール36A1,39A1を、セラミックグリーンシート32A2の所定の位置にスルーホール36B1,39B1を、セラミックグリーンシート32B1の所定の位置にスルーホール36B2,39B2を、セラミックグリーンシート32B2の所定の位置にスルーホール36C1,39C1を、打ち抜きプレスによりそれぞれ穿孔する。
次に、Pd電極材料粉末とバインダーと溶剤とを混合した電極材料ペーストを準備し、スクリーン印刷法によりそれぞれのグリーンシートの所定の位置に電極、接続導体の印刷を行うとともに、スルーホール導体の充填を行う。まず、前記セラミックグリーンシート32A2の一方の主面に一対の接続導体35A,38Aを印刷するとともに前記スルーホール36B1,39B1にスルーホール導体を充填する。同様に、セラミックグリーンシート32B2の一方の主面に一対の接続導体35B,38Bを印刷するとともに前記スルーホール36C1,39C1にスルーホール導体を充填する。また、前記セラミックグリーンシート32A1の一方の主面に一対の電極34A,37Aを印刷するとともに前記スルーホール36A1,39A1にスルーホール導体を充填する。同様に、前記セラミックグリーンシート32B1の一方の主面に一対の電極34B,37Bを印刷するとともに前記スルーホール36B2,39B2にスルーホール導体を充填する。また、前記セラミックグリーンシート32B2の他方の主面に一対の電極34C、37Cを印刷する。前記電極と前記スルーホール導体、及び前記接続導体と前記スルーホール導体がそれぞれ接するように上記で得られたセラミックグリーンシート32A1,32A2,32B1,32B2を順次積層・圧着し、所定の温度で脱バインダー処理した後、所定の温度で3時間焼成して積層圧電体32を得る。
次に、上記積層圧電体32の表面の前記電極34A,37Aにそれぞれ異なる極性の分極電圧が印加されると、接続導体35A,35B、及びスルーホール導体36A,36B,36Cを経由して、電極34B,34Cに前記電極34Aと同じ電圧が印加されるとともに、接続導体38A,38B、及びスルーホール導体39A,39B,39Cを経由して、電極37B,37Cに前記電極37Aと同じ電圧が印加される。この結果、圧電素子30は、積層圧電体32の各圧電体層32A,32Bが厚み方向に分極される。
上記の圧電素子30は、少なくとも一つの圧電体層32Aを備えた積層圧電体32を有するとともに、前記圧電体層32Aの第1の主面上には第1の電極34A及び第2の電極37Aが間隙31を挟んで設けられており、前記圧電体層32Aの第2の主面上には前記第1の電極34Aと対向する第3の電極37B及び前記第2の電極37Aと対向する第4の電極34Bが同様に間隙を挟んで設けられている。そして、前記第1の電極34Aと前記第4の電極34Bとが前記積層圧電体32の前記第1の主面及び第2の主面のいずれとも異なる面上の接続導体35Aを経由して接続されるとともに、前記第2の電極37Aと前記第3の電極37Bとが、前記積層圧電体32の前記第1の主面及び第2の主面のいずれとも異なる面上の接続導体38Aを経由して接続されている。
このため、前記圧電体層の第1の主面の第1の電極34A及び第2の電極37A、前記第2の主面の第3の電極37B及び第4の電極34Bを、それぞれ前記電極間の間隙31を越えてはみ出すような延長部分を設けることなく導電接続できるので、圧電体層32Aを挟んで対向する電極34A及び37B,電極37A及び34Bの対向面積を減少させることがない。このため、同じ音圧を得るために必要な圧電素子30の面積寸法を削減して、小型化を実現することができる。
このため、前記圧電体層の第1の主面の第1の電極34A及び第2の電極37A、前記第2の主面の第3の電極37B及び第4の電極34Bを、それぞれ前記電極間の間隙31を越えてはみ出すような延長部分を設けることなく導電接続できるので、圧電体層32Aを挟んで対向する電極34A及び37B,電極37A及び34Bの対向面積を減少させることがない。このため、同じ音圧を得るために必要な圧電素子30の面積寸法を削減して、小型化を実現することができる。
また、上記の実施形態2の圧電振動板20に用いられる圧電素子30は、前記第1の電極34Aと前記第4の電極34B、前記第2の電極37Aと前記第3の電極37Bのうち、少なくともと一方が、前記積層圧電体32の内部の第3の面上の接続導体35A,38Aと、前記圧電体層32Aに設けたスルーホール導体36A,36B,39A,39Bとを経由して接続されているので、前記圧電体層32Aの第1及び第2の主面上の電極間隙の限られた領域内にスルーホール接続部を設ける必要がないので、スルーホール形成位置を任意に選択することができ、スルーホール部への応力の集中を防止できるとともに、層間で面方向に多少の位置ずれが生じた場合であっても電極間のショートや接続部の接続不良等が生じにくい。
以上本実施形態2の圧電振動板20に用いられる圧電素子30の少なくとも一つの圧電体層について着目してその作用・効果を記載したが、もう一つの圧電体層32Bについても同様の作用・効果を奏する。
以上本実施形態2の圧電振動板20に用いられる圧電素子30の少なくとも一つの圧電体層について着目してその作用・効果を記載したが、もう一つの圧電体層32Bについても同様の作用・効果を奏する。
次に、本実施形態2の圧電振動板20の製造プロセスの一例について図4を用いて説明する。
上記実施形態1の振動板10の一方の主面の接続電極14A,17A上にエポキシ系の絶縁性接着剤を薄く塗布した後、前記圧電素子30の前記端子電極34Cと前記振動板10の接続電極14Aが、また、前記圧電素子30の端子電極37Cと前記振動板10の接続電極17Aが、それぞれ接するように、前記圧電素子30を重ね、前記積層圧電体32が割れない程度の圧力で圧着し、加熱硬化する。これにより、前記圧電素子30の端子電極34C,37Cの表面の微細な凹凸と前記振動板10の接続電極14A,17Aの表面の微細な凹凸とが接触して、前記振動板10の一方の接続電極14Aと前記圧電素子30の主面の接続電極34Cとが導電接続されるとともに、前記振動板10の他方の端子電極17Aと前記圧電素子30の主面の電極層37Cとが導電接続される。
同様に、振動板10の他方の主面の接続電極14B,17B上にエポキシ系の絶縁性接着剤を薄く塗布した後、前記圧電素子30と内部構造が同じで分極方向のみが逆向きの圧電素子30’の前記端子電極34A’と前記振動板10の接続電極14Bが、また、前記圧電素子30’の端子電極37A’と前記振動板10の接続電極17Bが、それぞれ接するように、前記圧電素子30’を重ね、前記積層圧電体32’が割れない程度の圧力で圧着し、加熱硬化する。これにより、前記圧電素子30’の端子電極34A’,37A’の表面の微細な凹凸と前記振動板10の接続電極14B,17Bの表面の微細な凹凸とが接触して、前記振動板10の一方の接続電極14Bと前記圧電素子30’の主面の接続電極34A’とが導電接続されるとともに、前記振動板10の他方の端子電極17Bと前記圧電素子30’の主面の電極層37A’とが導電接続され、圧電振動板20が得られる。
上記実施形態1の振動板10の一方の主面の接続電極14A,17A上にエポキシ系の絶縁性接着剤を薄く塗布した後、前記圧電素子30の前記端子電極34Cと前記振動板10の接続電極14Aが、また、前記圧電素子30の端子電極37Cと前記振動板10の接続電極17Aが、それぞれ接するように、前記圧電素子30を重ね、前記積層圧電体32が割れない程度の圧力で圧着し、加熱硬化する。これにより、前記圧電素子30の端子電極34C,37Cの表面の微細な凹凸と前記振動板10の接続電極14A,17Aの表面の微細な凹凸とが接触して、前記振動板10の一方の接続電極14Aと前記圧電素子30の主面の接続電極34Cとが導電接続されるとともに、前記振動板10の他方の端子電極17Aと前記圧電素子30の主面の電極層37Cとが導電接続される。
同様に、振動板10の他方の主面の接続電極14B,17B上にエポキシ系の絶縁性接着剤を薄く塗布した後、前記圧電素子30と内部構造が同じで分極方向のみが逆向きの圧電素子30’の前記端子電極34A’と前記振動板10の接続電極14Bが、また、前記圧電素子30’の端子電極37A’と前記振動板10の接続電極17Bが、それぞれ接するように、前記圧電素子30’を重ね、前記積層圧電体32’が割れない程度の圧力で圧着し、加熱硬化する。これにより、前記圧電素子30’の端子電極34A’,37A’の表面の微細な凹凸と前記振動板10の接続電極14B,17Bの表面の微細な凹凸とが接触して、前記振動板10の一方の接続電極14Bと前記圧電素子30’の主面の接続電極34A’とが導電接続されるとともに、前記振動板10の他方の端子電極17Bと前記圧電素子30’の主面の電極層37A’とが導電接続され、圧電振動板20が得られる。
上記振動板10の端子部24A,27Aは図示省略した電源に接続され、例えば、一方の端子部24Aにはプラス,他方の端子部27Aにはマイナスという具合に異なる極性の信号電圧が交互に印加される。
上記本発明の実施形態1の振動板10を用いた実施形態2の圧電振動板20は、一対の接続電極14A,17Aを備えた振動板10に前記圧電素子30を固着したので、端子電極34,37の引出しを全て振動板10から行うことができ、圧電振動板20の薄型化を図ることができる。また、第1の主面の端子電極34A,37Aと第2の主面の電極34B,37Bとをそれぞれ接続するために前記電極34A,34B,37A,37Bの対向面積を減少させることがないので、大きな変位を得ることが可能となり、圧電振動板20の音圧を向上させることができる。
上記実施形態2の圧電振動板20では、振動板10の両主面にそれぞれ接続電極14A,17A,14B,17Bを形成し、それぞれの主面に独立して圧電素子30を固着してバイモルフ構造を示したが、本発明はこれに限定するものではなく、振動板10の一方の主面のみに端子電極14A,17Aを形成して1つの圧電素子30を固着したユニモルフ構造にすることもできる。
また、上記第1の実施形態では、圧電素子及び振動板の全体形状を円形及び略円形としたが、本発明はこれに限定するものではなく、振動板を矩形やその他の異形状にしてもよく、また、振動板の一方の主面に複数の圧電素子を互いに離間して貼り合わせてもよい。また、上記実施形態では、振動板10と圧電素子30との貼り合わせに絶縁性の接着剤を用いたが、本発明はこれに限定するものではなく、振動板10の接続電極と圧電素子30の主面の端子電極とが対向する領域に導電性接着剤を塗布して貼り合わせてもよい。
また、上記第1の実施形態では、圧電素子及び振動板の全体形状を円形及び略円形としたが、本発明はこれに限定するものではなく、振動板を矩形やその他の異形状にしてもよく、また、振動板の一方の主面に複数の圧電素子を互いに離間して貼り合わせてもよい。また、上記実施形態では、振動板10と圧電素子30との貼り合わせに絶縁性の接着剤を用いたが、本発明はこれに限定するものではなく、振動板10の接続電極と圧電素子30の主面の端子電極とが対向する領域に導電性接着剤を塗布して貼り合わせてもよい。
本発明の振動板および圧電振動板の好適な応用例としては,携帯電話,携帯情報端末(PDA),ボイスレコーダ,PC(パソコン)などの各種電子機器のスピーカが挙げられるが、他の公知の各種の電子機器に適用することを妨げるものではない。
本発明によれば、薄型化が要求される発音体用の圧電振動板及びそれを利用した電子機器の用途に好適である。
10:振動板
11:圧電素子貼り付け領域
12:積層体
121:凸部
12A,12B:絶縁体層
121A,121B:凸部
14A,14B:接続電極
16A,16B:スルーホール導体
17A,17B:接続電極
19A,19B:スルーホール導体
20:圧電振動板
24:引き出し電極
24A:端部
27:引き出し電極
27A:端部
30:圧電素子
30’:圧電素子
31:間隙
32:積層圧電体
32’:積層圧電体
32A、32B:圧電体層
34A、34B、34C:電極
34A’:電極
35A、35B:接続導体
36A,36B、36C:スルーホール導体
37A、37B,37C:電極
37A’:電極
38A、38B:接続導体
39A,39B、39C:スルーホール導体
P:中心
11:圧電素子貼り付け領域
12:積層体
121:凸部
12A,12B:絶縁体層
121A,121B:凸部
14A,14B:接続電極
16A,16B:スルーホール導体
17A,17B:接続電極
19A,19B:スルーホール導体
20:圧電振動板
24:引き出し電極
24A:端部
27:引き出し電極
27A:端部
30:圧電素子
30’:圧電素子
31:間隙
32:積層圧電体
32’:積層圧電体
32A、32B:圧電体層
34A、34B、34C:電極
34A’:電極
35A、35B:接続導体
36A,36B、36C:スルーホール導体
37A、37B,37C:電極
37A’:電極
38A、38B:接続導体
39A,39B、39C:スルーホール導体
P:中心
Claims (3)
- 複数の絶縁体層を備える積層体と、前記積層体の少なくとも一方の主面の円形の圧電素子貼り付け領域内の略中央部に設けられた内側接続電極と、前記圧電素子貼り付け領域内であって該圧電素子貼り付け領域の中心から前記内側接続電極の最も離れた部分より少なくとも外側に設けられた外側接続電極と、前記積層体の複数の絶縁体層の層間に前記圧電素子貼り付け領域内と該領域外とに亘って設けられ前記内側接続電極に接続された内側引き出し電極とを有することを特徴とする振動板。
- 前記内側接続電極と前記外側接続電極とが同心状に配置されていることを特徴とする請求項1記載の振動板。
- 前記請求項1または2に記載の振動板の前記圧電素子貼り付け領域に、圧電体層の少なくとも一方の主面に内側端子電極と環状の外側端子電極とが同心状に設けられた圧電素子が貼り付けられていることを特徴とする圧電振動板。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006079705A JP2007228539A (ja) | 2006-02-21 | 2006-02-21 | 振動板及び圧電振動板 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9049522B2 (en) | 2010-10-08 | 2015-06-02 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Piezoelectric microspeaker and method of fabricating the same |
KR20190091615A (ko) * | 2018-01-29 | 2019-08-07 | 한국세라믹기술원 | Mfc용 압전세라믹 소자 |
KR20200114750A (ko) * | 2019-03-29 | 2020-10-07 | 경북대학교 산학협력단 | 전극을 포함하는 음파 발생 장치 및 시스템 |
CN112601169A (zh) * | 2020-12-15 | 2021-04-02 | 武汉大学 | 一种宽频带高灵敏度谐振式压电mems麦克风 |
CN116171097A (zh) * | 2023-04-25 | 2023-05-26 | 常州威图流体科技有限公司 | 一种压电双晶片结构 |
-
2006
- 2006-02-21 JP JP2006079705A patent/JP2007228539A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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