JP2009175522A - 投影用スクリーン - Google Patents

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【課題】観察者の位置による画像の明るさや色彩の変化が少なく、且つ、光の利用効率に優れた投影用スクリーンを提供する。
【解決手段】投影用スクリーンは、気泡の平均泡径が12μm以下のポリエステル樹脂発泡体シート11からなる反射シート10を有する。また、前記気泡は、配向性を有する楕円気泡であり、前記楕円気泡の長軸は、前記反射シート上に投影される投影画像の横方向と概ね平行である。さらに、前記反射シートは、前記ポリエステル樹脂発泡体シートが複数枚、平面に配列されてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、映画館、或いはオフィスや家庭で使用される投影用スクリーンに関し、より詳細には、映画館で使用される映画フィルムプロジェクタ、或いはオフィスや家庭で使用されるオーバーヘッドプロジェクタ(OHP)、スライドプロジェクタ、デジタルプロジェクタ、ビデオフィルムプロジェクタ等の投影機からの投影画像を表示する投影用スクリーンに関する。
近年は、会議等において発言者が資料を提示する装置として、オーバーヘッドプロジェクタやスライドプロジェクタが広く用いられている。また、一般家庭においても液晶を用いたデジタルプロジェクタやビデオフィルムプロジェクタが普及しつつある。映画館で使用される投影用スクリーンはもちろん、これらオフィスや家庭で使用されるスクリーンとしても、大型化したものが登場している。
投影用スクリーンには、大別して、スクリーンの表側から投影光を照射して当該投影光のスクリーンでの反射光を見る反射型スクリーンと、スクリーンの裏側から投影光を照射してスクリーンを透過した光をスクリーンの表側から見る透過型スクリーンとがある。いずれの方式のスクリーンにおいても、視認性の良好なスクリーンを実現するためには、明るい画像、コントラストの高い画像が得られることが要求される。特に、映画館等の劇場用大画面として使用される場合には、広い劇場のどの場所からでも鮮明な映像を見られることが求められる。
広い視野角に渡って明るい画像を得られる反射型スクリーンとしては、ビーズ塗布型のスクリーンが知られている(例えば、特許文献1)。また、光拡散層として透明ビーズと鱗片状アルミペーストを混合したバインダー樹脂を塗布し、光拡散特性を保持したままギラつきなく光反射率を向上させる技術も知られている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来のビーズ塗布型スクリーンでは、光拡散による指向性が高いものの、視野角が大きな領域においては急激に光の全反射率が低下し、画像が暗くなるという課題を有している。
また、特許文献2に記載の鱗片状アルミペーストとビーズを併用したスクリーンでは、視野角特性を保ったまま反射率を向上させることができるものの、アルミペーストが光吸収特性を有しているために光の利用効率が悪いという課題を有している。
上記課題に対して、特許文献3では、ビーズ塗布型スクリーンと同様の光拡散性を保持しながら、光吸収による損失のない明るい投影用スクリーンとして、高分子基材中に気泡が密集してなる光拡散シートを備えたスクリーンが提案され、また、高分子基材の気泡径としては、20〜200μmが好ましいことが記載されている。特許文献3によれば、密集した気泡がビーズと同様の拡散作用を行うと同時に、高分子基材と空気との屈折率差が大きいため吸収のない大きな反射率を実現することができることが記載されている。
特開平11−052107号公報 特開平10−186521号公報 特開2006−23342号公報
しかしながら、特許文献3に記載されているような、気泡径が20〜200μmと大きい高分子基材を用いた場合、光の反射率、特に拡散反射性能に劣る、という問題がある。
そこで、本発明明は、観察者の位置による画像の明るさや色彩の変化が少なく、且つ、光の利用効率に優れた投影用スクリーンを提供することを目的としている。
本発明の第1の態様は、気泡の平均気泡径が12μm以下のポリエステル樹脂発泡体シートからなる反射シートを有することを特徴とする投影用スクリーンである。
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係る投影用スクリーンにおいて、前記気泡は、配向性を有する楕円気泡であり、前記楕円気泡の長軸は、前記反射シート上に投影される投影画像の横方向と概ね平行であることを特徴とする。
本発明の第3の態様は、前記第1又は第2の態様に係る投影用スクリーンにおいて、前記反射シートは、前記ポリエステル樹脂発泡体シートが複数枚、平面に配列されてなることを特徴とする。
本発明の第4の態様は、前記第3の態様に係る投影用スクリーンにおいて、前記複数枚のポリエステル樹脂発泡体シートの投影側の面に、さらに光拡散シートを備えることを特徴とする。
本発明の第5の態様は、前記第1から第4のいずれかの態様に係る投影用スクリーンにおいて、前記投影用スクリーンに、音声通過用の貫通孔を設けたことを特徴とする。
本発明の投影用スクリーンは、気泡の平均泡径が12μm以下のポリエステル樹脂発泡体シートを反射シートとして備える。このような超微細発泡体シートは、波長400nmの青色光から波長700nmの赤色光までほぼ均等に反射する上、光の拡散反射率が非常に高いので、観察者の位置による画像の明るさや色彩の変化が少なく、且つ、光の利用効率に優れた投影用スクリーンを実現することができる。
以下に、本発明の投影用スクリーンの実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る投影用スクリーンを示す斜視図である。投影用スクリーンは、気泡の平均気泡径が12μm以下のポリエステル樹脂発泡体シート11からなる反射シート10を備えている。本明細書及び請求の範囲において使用する「平均気泡径が12μm以下の発泡体」とは、含まれる気泡の殆どが気泡径12μm以下である発泡体である。
図2は、本発明の反射シート10を構成するポリエステル樹脂発泡シート11の一部断面を拡大して模式的に示している。図中、Tはシートの厚さを示す。
樹脂発泡体シート11は、図2に示すように、内部に微細な独立気泡12を多数有するポリエステル樹脂発泡体である。本発明の樹脂発泡体シート11の平均気泡径rは、12μm以下であり、より好ましくは10μm以下である。平均気泡径が12μmを超えると、光の反射率、特に拡散反射性能が十分でなくなる。このように気泡が細かい樹脂発泡体シートを用いることにより、波長400nmの青色光から波長700nmの赤色光までほぼ均等に反射することができ、しかも、光の拡散反射率を高めることが可能となる。
図3及び図4に、本発明の樹脂発泡体シートの全反射率及び拡散反射率をそれぞれ示す。なお、ここで図示する反射率は、光波長550nmにおける硫酸バリウムとの相対値として示している。また、ここで示した樹脂発泡体シートは、その表面に紫外線吸収性の塗剤を塗布したもので、400nm以下の紫外線レベルでの反射率を低下させたものである。
図3及び図4に示すように、本発明の樹脂発泡体シートは、波長400nmの青色光から波長700nmの赤色光まで、全反射率がほぼ100%に近い。図4に示す拡散反射率についても、本発明の樹脂発泡体シートは、97%程度の拡散反射率を示す。
このように、本発明のポリエステル樹脂発泡体シートは、波長400nmの青色領域から波長700nmの赤色領域において反射率、拡散反射率ともに95%以上の反射率を備えている。したがって、本発明のポリエステル樹脂発泡体シートを用いて投影用スクリーンの反射シートを構成することにより、観察者の位置による画像の明るさや色彩の変化が少なく、且つ、光の利用効率に優れた投影用スクリーンを実現することができる。
ポリエステル樹脂発泡体シートに用いるポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)等が挙げられる。
ポリエステル樹脂発泡体シート11の厚さは、特に制限はされるものではないが、好ましくは、0.5〜5.0mmである。あまりに薄い場合は光の反射特性が低下するので望ましくない。また、必要以上に厚くしても製造コストが上昇するだけで光反射特性の向上は余り望めない。したがって、0.5〜5.0mmの厚さが適当である。
映画館等の劇場用の大画面スクリーンの場合には、図5に示すように、ポリエステル樹脂発泡体シート11を複数枚、平面に配列させて反射シート10’を形成してもよい。このような構成の反射シート10’は、同じサイズのポリエステル樹脂発泡体シートを複数枚準備し、これらをつなぎ合わせることで大画面スクリーンを形成することができるので、大画面スクリーンの製造コストを低減するとともに、製造、運搬、設置の容易性を向上させることができる。
図5に示す反射シート10’の場合は、複数のポリエステル発泡体シート11の繋ぎ目部分が光の反射に影響を及ぼし、投影画像の連続性が損なわれる場合がある。そこで、このような場合には、図6に示すように、ポリエステル樹脂発泡体シート11の投影側の面に、さらに光拡散シート13を設けることが好ましい。光拡散シートとしては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、反射シート上に直接形成してもよいし、あるいは、反射シートに貼り合わせてもよい。具体的には、透明又は半透明のビーズを配列した層を光拡散シートとして形成することができる。ビーズを配列した光拡散層は、使用するビーズの種類、大きさ等の諸条件により、ある特定範囲の波長の光に対して優れた光散乱特性を有するなどの特性を設計することも可能である。また、光拡散シートとしては、マイクロレンズアレー(MLA)を形成したフィルムなどを用い、透明な粘着剤等によってポリエステル樹脂発泡体シートと貼り合わせてもよい。
このような構成の投影用スクリーンでは、スクリーン表面の平滑性が高まるとともに、継ぎ目が目立たなくなり連続性が高まる。したがって、複数のポリエステル発泡体シート11を配列して大画面スクリーンを構成しても、シートの継ぎ目部分が目立たない優れた投影用スクリーンを得ることができる。これにより、反射光を肉眼で見る観察者にとって、シートの繋ぎ目部分が目立たず、高精細な画像を見ることができるという効果がある。
また、劇場用の反射型スクリーンの場合には、スクリーンの裏側にスピーカなどの音響装置が配置される。そこで、音響装置からの音声を、スクリーン前面へ効率よく通過させるために、スクリーンに小さな貫通孔を設けることもできる。図7は、図1で示した反射シート10からなるスクリーンに、貫通孔14を設けた場合を示す断面図であり、図8は、図6で示した反射シートと光拡散シートとからなるスクリーンに、貫通孔14を設けた場合を示す断面図である。貫通孔のサイズや間隔等は、スクリーンサイズや目的とする音響効果に応じて設定される。本発明のスクリーンを構成するポリエステル樹脂発泡体シートは、樹脂製であるので、このような貫通孔を容易に形成することができる。
反射シートを構成するポリエステル樹脂発泡体としては、図2で示したポリエステル樹脂発泡体シート11に代えて、図9に示すような構成のポリエステル樹脂発泡体シート11’を採用することができる。ポリエステル樹脂発泡体シート11’は、その気泡が配向性を有する楕円気泡12’であって、楕円気泡12’の長軸が、反射シート10上に投影される投影画像の横方向と概ね平行となるように構成されている。このような構成により、投影画像の左右方向の反射率が上下方向の反射率より大きくなるので、映画館等の劇場で左右に広がって位置する観察者の視認性を向上させることができる。すなわち、映画館等の劇場で左右に広がって位置する観察者の目に入る反射光は、スクリーンへの入射光が左右方向に反射する光の成分が相対的に多くなる。この際、楕円気泡12’の長軸が、反射シート10上に投影される投影画像の横方向(観察者がスクリーンに対面したときの左右方向)と概ね平行となるようになっていると、左右方向に反射する光は気泡を小さく認識し光反射性が相対的に高く維持される。このため、配向性を有する気泡の長軸が、投影画像の横方向と平行であることが好ましい。
次に本発明のポリエステル樹脂発泡体シートの製造方法について、簡単に説明する。
本発明のポリエステル樹脂発泡体シートの製造方法は、ポリエステル樹脂シートとセパレータとを重ねて巻くことによりロールを形成し、該ロールを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して樹脂シートに不活性ガスを含有させる工程(以下第1工程という)と、不活性ガスを含有させた樹脂シートを常圧下で加熱して発泡させる工程(以下、第2工程という)とを有する。
第1工程ではまず、樹脂シートとセパレータとを重ね合わせて巻くことによりロールを形成する。樹脂シートには、樹脂本来の特性を損なわない範囲で、結晶化核剤、結晶化促進剤、気泡化核剤、抗酸化剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、顔料、染料、滑剤などの各種添加剤を配合してもよい。
次に、以上のようにして形成されたロールを圧力容器に入れ加圧不活性ガス雰囲気中に保持して樹脂シートに不活性ガスを含有させる。発泡剤として用いられる不活性ガスとしては、ヘリウム、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどが挙げられる。これらのうち、樹脂シートでの含有量が多くなる二酸化炭素が好ましい。不活性ガスの浸透条件は、圧力が30kg/cm以上、好ましくは50kg/cm以上である。
第2工程においては、第1工程において不活性ガスが含有された樹脂シートを常圧下でその樹脂の軟化温度以上に加熱することにより発泡させる。第2工程における加熱手段としては、熱風循環式発泡炉、オイルバス、溶融塩バスなどが挙げられる。より具体的には、例えば圧力容器から取り出したロールを樹脂シートとセパレータとを分離させながら、樹脂シートだけを熱風循環式発泡炉中を通過させる方法が用いられる。その後、炉からでた発泡シートを直ちに成形ロールで平らに成形し、さらに、これを冷却する。
以上のように、ポリエステル樹脂シートに加圧下で不活性ガスを含有させ、そのシートに掛かっている圧力を開放してガスを過飽和状態にした後、ガラス転移点以上に加熱することにより気泡を成長させ、その後冷却することにより気泡を固定することにより、所望の樹脂発泡体シートを得ることができる。
本発明の実施形態に係る投影用スクリーンの斜視図である。 本発明の投影用スクリーンを構成するポリエステル樹脂発泡体の内部構造を模式的に示す一部断面図である。 ポリエステル樹脂発泡体シートの全反射特性を示すグラフである。 ポリエステル樹脂発泡体シートの拡散反射特性を示すグラフである。 本発明の反射シートの他の構成例を示す斜視図である。 本発明の投影用スクリーンの他の構成例を示す斜視図である。 本発明の投影用スクリーンに貫通孔を設けた場合の構成例を示す断面図である。 本発明の投影用スクリーンに貫通孔を設けた場合の他の構成例を示す断面図である。 ポリエステル樹脂発泡体シートの他の例を示す斜視図である。
符号の説明
10、10’:反射シート
11、11’:ポリエステル樹脂発泡体シート
12:気泡
12’:楕円気泡
13:光拡散シート
14:貫通孔

Claims (5)

  1. 気泡の平均気泡径が12μm以下のポリエステル樹脂発泡体シートからなる反射シートを有することを特徴とする投影用スクリーン。
  2. 前記気泡は、配向性を有する楕円気泡であり、
    前記楕円気泡の長軸は、前記反射シート上に投影される投影画像の横方向と概ね平行であることを特徴とする請求項1に記載の投影用スクリーン。
  3. 前記反射シートは、前記ポリエステル樹脂発泡体シートが複数枚、平面に配列されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の投影用スクリーン。
  4. 前記複数枚のポリエステル樹脂発泡体シートの投影側の面に、さらに光拡散シートを備えることを特徴とする請求項3に記載の投影用スクリーン。
  5. 前記投影用スクリーンに、音声通過用の貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の投影用スクリーン。
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